説明

ウェットティッシュ包装体

【課題】収納容器からウェットティッシュを容易に取り出すことができ、かつ製造時のコストを低く抑えたコンパクトなウェットティッシュ包装体を提供する。
【解決手段】ウェットティッシュを収納した収納容器3は開口部9に切り欠き部43を有する基板10が取り付けられ、開口部9を密閉可能で開閉自在な蓋体17を備えている。切り欠き部43は、基板10が開口部9に取り付けられた状態で、開口部9の縁部の一部とで、ウェットティッシュを外方に摘み出すための摘み用孔12を形成し、ウェットティッシュをウェットティッシュ折り畳み体から分離予定部で分離するために、取り出し用孔13を摘み用孔12と連通して設けていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティッシュ包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェットティッシュは、身体拭き用等様々な目的で広く利用されている。ウェットティッシュは、基布に薬液等を含浸させたウェブシートで構成され、通常は、基布が薬液等で濡れた状態を維持することができるように、密封された収納容器内に収納されている。収納容器としては、円筒形状をしたボトルタイプのものが従来から広く利用されている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
図15に示すように、特許文献1に記載されたウェットティッシュ収納体201は、薬液等が含浸されたロール状のウェットティッシュ202と、このウェットティッシュ202を収納するボトルタイプの収納容器203とから構成されている。ロール状のウェットティッシュ202は、薄帯状の長尺なウェブシートを巻き回してなり、ウェブシートにはミシン目204がその延在方向をウェブシートの幅方向に沿う方向とするように設けられており、またミシン目204は、ウェブシートの長手方向に一定の間隔をおいて多数設けられている。収納容器203は、容器本体205の上部に容器蓋体206が着脱可能に取り付けられており、内部にロール状のウェットティッシュ202が収納できるようになっている。容器蓋体206には中央に略円形の小孔207が設けられており、小孔207からウェットティッシュ202が引っ張り出されるようになっている。この小孔207は、ロール状のウェットティッシュ202の先端を収納容器203内から引き出す際に、この引き出されたウェットティッシュ202に対して、該引き出されたウェットティッシュ202がミシン目204で分断される大きさの抵抗力を付与する大きさに形成されている。また、容器蓋体206には、収納容器203内を密閉するための開閉蓋208が開閉自在に取り付けられている。
【0004】
また、特許文献2に記載されたウェットティッシュの収納容器は、ロール状のウェットティッシュを収納できるように構成されており、上部には上蓋が取り付けられている。上蓋の上面には、ロール状のウェットティッシュの巻き端部を摘んで取り出すための取出口、取り出したウェットティッシュを切り離すための切離口、これら取出口と切離口との間を連結して、取出口から取り出されたウェットティッシュを切離口まで案内するための連結口が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平4−56638号公報
【特許文献2】特開2007−217054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のウェットティッシュ包装体は、小孔の孔径を小さくすることによって、ウェットティッシュに対して、該ウェットティッシュがミシン目で分断される程度の大きさの抵抗力を付与することができるように構成されている。そのため、ロール状のウェットティッシュの先端を小孔に通すのが容易ではなく、該ウェットティッシュの先端を外方へ取り出すことが容易に行えないという問題があった。また、特許文献1に記載のウェットティッシュ包装体の場合、外方へ引き出されたウェットティッシュは、小孔を通過する際に小孔によって絞られて皺が寄った状態で取り出される。そのため、使用者は、ウェットティッシュを取り出す毎に絞られた状態のウェットティッシュを広げなければならず、該ウェットティッシュを取り出してから拭き取りを行うまでの作業が増加してしまい、非常に作業性が悪いという問題もあった。
【0007】
特許文献2に記載の収納容器も、ウェットティッシュに対して、該ウェットティッシュがミシン目で切り離される程度の大きさの抵抗力を付与できるように切離口の孔径を小さく形成しており、引き出されたウェットティッシュは皺が寄った状態で外方へ取り出される。そのため、使用者は、ウェットティッシュを取り出す毎に絞られた状態のウェットティッシュを広げなければならず、ウェットティッシュを取り出してから拭き取りを行うまでの作業が増加してしまい、作業性が非常に悪かった。また、特許文献2に記載の収納容器は、ウェットティッシュを取り出す取出口と、ウェットティッシュを切り離す切離口とが別に形成されており、収納容器内に収納されるウェットティッシュはロール状であるため、使用者が取出口からウェットティッシュを取り出し、さらにそのウェットティッシュを取出口から切離口へ移動させて、切離口から外方へ取り出されるようにしなければならず、この作業が新たに付加されることで作業の煩雑性が増加するという問題があった。
【0008】
また、一般に、ボトルタイプのウェットティッシュ包装体は、ロール状のウェットティッシュを縦置きにして収納容器内に収納していたので、収納容器が必然的に縦長なものとなりコンパクト化することが困難であるという問題があった。また、ボトルタイプのウェットティッシュ包装体は、収納容器が大型化してしまい、製造時のコストも高くなってしまうという問題もあった。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、収納容器からウェットティッシュを容易に取り出すことができ、かつ製造時のコストを低く抑えたコンパクトなウェットティッシュ包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、(1)ウェットティッシュを分離可能に形成された分離予定部を有するウェットティッシュ折り畳み体と、
前記ウェットティッシュ折り畳み体を収納可能に形成されるとともに、収納されたウェットティッシュ折り畳み体を構成するウェットティッシュを外方へ引き出し可能な開口部が形成された収納容器と、
前記開口部に取り付けられ、所定の位置に切り欠き部を形成した基板と、を備え、
切り欠き部は、基板が開口部に取り付けられた状態で、該開口部の縁部の一部と切り欠き部とで、前記ウェットティッシュを外方に摘み出すための摘み用孔をなすように形成されており、
前記摘み用孔と連通し、前記分離予定部で前記ウェットティッシュをウェットティッシュ折り畳み体から分離可能に形成された取り出し用孔と、
前記摘み用孔及び取り出し用孔を密閉可能で開閉自在な蓋体と、を備える、ことを特徴とするウェットティッシュ包装体、
(2)切り欠き部は、取り出し用孔に向かって延び且つ前記取り出し用孔に連通する延長部を有し、この延長部は、前記取り出し用孔に向かうに従い順次先細り状に形成されて取り出し用孔に連通している、上記(1)に記載のウェットティッシュ包装体、
(3)基板には、弾性材料からなる取り出し用孔形成部が、設けられており、
取り出し用孔は、取り出し用孔形成部に形成されている、上記(1)または(2)に記載のウェットティッシュ包装体、
(4)基板は、取り出し用孔形成部材と、取り出し用孔形成部材を取り付けて取り出し用孔形成部を構成する取付部を形成した基板本体とを備えてなり、
取り出し用孔形成部材には、前記取付部に取り付けるための孔部が形成されており、
取付部には、前記孔部に圧入可能なボスが形成されている上記(3)に記載のウェットティッシュ包装体、
(5)基板は、取り出し用孔形成部材と、取り出し用孔形成部材を取り付けて取り出し用孔形成部を構成する取付部を形成した基板本体とを備えてなり、
取り出し用孔形成部には、該取り出し用孔形成部の外周から外側に突出するリブが形成されており、
取付部には、前記リブを係止可能な係止孔が形成されている上記(3)に記載のウェットティッシュ包装体、
(6)基板は、取り出し用孔形成部材と、取り出し用孔形成部材を取り付けて取り出し用孔形成部を構成する取付部を形成した基板本体と、取り出し用孔形成部を取付部に取付固定する固定部材を備えてなり、
前記固定部材は、ボスが挿通可能な固定孔が開口形成され、該固定部材の外周から外側に突出する突起部が形成されており、
取付部には、前記突出部が係止可能な係止孔が形成されている上記(3)に記載のウェットティッシュ包装体、を要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ウェットティッシュ包装体として、使用者がウェットティッシュを摘み出す際にウェットティッシュの先端を摘みやすいものが得られる。また、摘み用孔から引き出したウェットティッシュは、上方向に引き上げることによって摘み用孔から取り出し用孔へと引き出される位置が移動するので、該ウェットティッシュが引き出される位置を使用者が摘み用孔から取り出し用孔へ移動させる手間や作業の煩雑性を軽減することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るウェットティッシュ包装体の外観構成を表す外観斜視図であり、(a)は蓋体を閉じた状態を表した図、(b)は蓋体を開けた状態を表した図である。
【図2】(a)は、図1(a)のA−A´線断面図、(b)は、図1(a)のB−B´線断面図である。
【図3】ウェットティッシュ折り畳み体の構成を表した図であり、(a)は、ウェットティッシュ折り畳み体の分断予定部の構成を表した部分拡大図、(b)は、ウェットティッシュ折り畳み体の分断予定部の位置を説明するための説明図である。
【図4】ウェットティッシュ折り畳み体の別の形態を模式的に示す模式図であり、(a)は、Z折りと呼ばれる折り畳み構造を有するウェットティッシュ折り畳み体を表した図、(b)は、WZ折りと呼ばれる折り畳み構造を有するウェットティッシュ折り畳み体を表した図である。
【図5】基板の構成を表した平面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るウェットティッシュ包装体の外観構成を表す外観斜視図であり、蓋体を開けた状態を表した図である。
【図7】図6の領域Pの部分を拡大するとともに分解して示す分解図であり、且つ、取付孔への取り出し用孔形成部材の取りつけを模式的に説明する概略部分拡大分解斜視模式図である。
【図8】(a)から(d)は、いずれも取り出し用孔形成部材の変形例を表した図である。
【図9】ウェットティッシュ包装体に適用される基板の他例1についてその外観構成を表す外観斜視図である。
【図10】図9に示す基板の裏面側の構成を表した分解斜視図である。
【図11】ウェットティッシュ包装体に適用される基板の他例2についてその外観構成を表す外観斜視図である。
【図12】図11に示す基板の裏面側の構成を表した分解斜視図である。
【図13】ウェットティッシュ包装体に適用される基板の他例3についてその外観構成を表す外観斜視図である。
【図14】図13に示す基板の裏面側の構成を表した分解斜視図である。
【図15】従来例に係るウェットティッシュ包装体の外観構成を表した外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
本発明に係るウェットティッシュ包装体の第1の実施形態について、図1から図5に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るウェットティッシュ包装体の外観構成を表す外観斜視図であり、(a)は蓋体を閉じた状態を表した図、(b)は蓋体を開けた状態を表した図、図2は、本実施の形態のウェットティッシュ包装体の断面図であり、(a)は図1(a)のA−A´線断面図、(b)は図1(a)のB−B´線断面図、図3は、本実施の形態に係るウェットティッシュ折り畳み体の構成を表した図であり、(a)は、ウェットティッシュ折り畳み体の分断予定部の構成を表した部分拡大図、(b)は、ウェットティッシュ折り畳み体の分断予定部の位置を説明するための説明図、図4は、ウェットティッシュ折り畳み体の別の形態を模式的に示す模式図であり、(a)は、Z折りと呼ばれる折り畳み構造を有するウェットティッシュ折り畳み体を表した図、(b)は、WZ折りと呼ばれる折り畳み構造を有するウェットティッシュ折り畳み体を表した図、図5は、基板の構成を表した正面図である。なお、本明細書における上下前後左右は、図1に示す上下前後左右方向を言うものとする。また、本明細書における「ウェットティッシュの先端」とは、収納容器内に収納されたウェットティッシュ折り畳み体において、基板に形成された取り出し用孔に近い側の端部を言うものとする。なお、本明細書においては、収納容器の一形態として袋体を用いた例について説明するが、収納容器としては袋体以外のものを使用してもよい。
【0014】
<ウェットティッシュ包装体1>
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係るウェットティッシュ包装体1は、ウェットティッシュ折り畳み体2を袋体3の内部に収納してなる構造を備える。
【0015】
(ウェットティッシュ折り畳み体2)
ウェットティッシュ折り畳み体2は、ウェブシート等といった基布に薬液等を含浸させたものである。このウェットティッシュ折り畳み体2は、ウェブシートの折り畳み構造を有して構成されている。このウェブシートは、折り畳み構造を展開された状態では、すなわち非折り畳み状態では、多数ウェブシート小片を連ならせた構造を形成してなり、例えば、ウェブシート小片を連続的に連ならせたシート構造を有して構成されてよく、また、多数ウェブシート小片を部分的に重ねてオーバーラップ部を形成しつつ面順次に並べてなるシート構造を有して構成されてよい。ウェットティッシュ折り畳み体2は、ウェットティシュを構成するウェブシートに折り返して複数の折り返し部を形成しており、図2に示すように、折り返し部として、第1の折り返し部5及び第2の折り返し部6を形成している。ウェットティッシュ折り畳み体2には、分離予定部40として分断予定部4が間隔をあけて形成され、図3の例では、所定間隔毎に複数設けられており繰り返し形成される。なお、本明細書では、ウェットティッシュ2aとは、ウェットティッシュ折り畳み体2から分離予定部40において分けとられるものを意味する。なお、本明細書におけるウェットティッシュ2aは、ウェットティッシュ折り畳み体2から分けとられたシート状のウェブシート小片を意味するが、ウェットティッシュ折り畳み体2から分けとられる前の状態のウェブシートを言う場合もある。
【0016】
(分離予定部40)
分離予定部40は、ウェットティッシュ折り畳み体2からウェットティッシュ2aを取出す際に、ウェットティッシュ折り畳み体とウェットティッシュとの間での切り離し部分とされることを予定される部分である。分離予定部40は、ウェットティッシュ2aを分離可能に形成され、ウェットティッシュ折り畳み体2を構成するウェブシートに形成される。図3の例では、ウェットティッシュ折り畳み体2には、分離予定部40として分断予定部4が形成されている。分断予定部4は、ウェットティッシュ2aが引き出される際に、該ウェットティッシュ2aに付与される引っ張り張力により分断することができるように形成されている。図3(a)に示すように、分断予定部4は、ウェットティッシュ折り畳み体2の幅方向に一定の間隔で複数の空間4aが形成されており、これら空間4aの間に、ウェットティッシュ折り畳み体2を繋ぐ繋ぎ部4bが形成されている。本実施の形態では、この繋ぎ部4bは、ウェットティッシュ折り畳み体2の幅方向に対して3箇所に形成されているが、この繋ぎ部4bの数や形状はこれに限定されるものではない。また、分断予定部4は、引っ張り張力が作用した時に分断されるように構成されていればよく、例えば、空間4aと繋ぎ部4bとの間隔を短くしてミシン目状に形成してもよいし、これ以外の形状であってもよい。このような場合、ウェットティッシュ折り畳み体2の状態では、ウェットティッシュ2aは分断予定部4で連続的に繋がって全体として長尺なウェブシートをなしている。
【0017】
図3(b)は、ウェットティッシュ折り畳み体2の分断予定部4がウェットティッシュ折り畳み体2をなす長尺なウェブシートのどの位置に位置するかを表した説明図である。この図では、黒丸で示した箇所が分断予定部4の位置を表す。図3(b)に示すように、ウェットティッシュ折り畳み体2では、長尺なウェブシートのウェブ面に沿ってに隣り合う第1の折り返し部5と第2の折り返し部6とで挟まれた部分をみた場合に、分断予定部4が第1の折り返し部5と第2の折り返し部6との間の中央部に位置し、且つ、上下方向の関係では、隣り合う第1の折り返し部5と第2の折り返し部6とで挟まれた部分について、分断予定部4があるものと分断予定部4がないものとが交互に存在するように構成される。
【0018】
なお、ウェットティッシュ折り畳み体2の構成はこれに限定されるものではなく、袋体3に収納可能な構成であればどのような形状にしてもよい。例えば、本実施の形態では、分断予定部4の位置が第1の折り返し部5と第2の折り返し部6との間の中央部に位置するようにしているが、中央部以外の場所に分断予定部4を配置するようにしてもよい。また、分断予定部4を第1の折り返し部5又は第2の折り返し部6が形成される位置に配置してもよい。さらには、本実施の形態では、ウェットティッシュ折り畳み体2の上下方向の関係では、第1の折り返し部5と第2の折り返し部6とで挟まれた部分について、分断予定部4のあるものと分断予定部4のないものとが交互に位置するように構成されているが、分断予定部4のあるものが上下に重なるように折り畳んでもよい。また、分断予定部4が、第1の折り返し部5の形成される位置と第2の折り返し部6の形成される位置との両方の位置にあってもよい。
【0019】
なお、ウェットティッシュ折り畳み体2に用いられる基材としては、従来から公知のものを種々用いてよい。また、本実施の形態のウェットティッシュ折り畳み体2の基材に含浸される薬液等も、従来から公知のものを種々用いてよい。
【0020】
(ウェットティッシュ折り畳み体の他例)
ウェットティッシュ包装体1に収容されるウェットティッシュ折り畳み体は、上記したような分離予定部40を有するウェットティッシュ折り畳み体2に限定されない。例えば、ウェットティッシュ包装体1には、ウェットティッシュ折り畳み体2に変えて、に限定されず、次に示すようなウェットティッシュ折り畳み体が収容されていてもよい。
【0021】
すなわち、ウェットティッシュ包装体1には、ウェットティッシュ折り畳み体2に変えて、別体のウェットティッシュ2a同士を部分的にオーバーラップさせつつ所定の折り畳みパターンで折り畳んでなる折り畳み構造を有するものが収容されてよい。このようなウェットティッシュ折り畳み体は、所定のパターンで折り畳まれたウェットティッシュをウェブシート小片として、これを個々のウェブシート小片の端部で互いにオーバーラップさせつつ積層させたウェブシートの折り畳み構造体として構成される。図4は、そのようなウェットティッシュ折り畳み体の例を示す模式図である。図4(a)は、Z折りと呼ばれる折り方をして形成される折り畳み構造を有するウェットティッシュ折り畳み体151、図4(b)は、WZ折りと呼ばれる折り方をして形成される折り畳み構造を有するウェットティッシュ折り畳み体155の構成を表している。なお、ウェットティッシュ折り畳み体の折り構成は、ウェットティッシュが引き上げられた時に次のウェットティシュが順次連続して引き上げられてポップアップされるように構成されていればよく、上記したZ折りやWZ折りのみならず、W折りやこれら以外の折り構成であってもよい。
【0022】
図4(a)に示すように、Z折りの折り構成を有するウェットティッシュ折り畳み体151は、Z状に折られたウェットティッシュを複数積層して構成されている。また、このウェットティッシュ折り畳み体151は、ウェットティッシュ152の終端152aの上面と、次のウェットティッシュ153の始端153aの下面とを重ねあわせてオーバーラップ部41を形成しつつ順次多数のウェットティッシュを積層して構成されている。ウェットティッシュ折り畳み体151では、ウェットティッシュ152が引き出されると、オーバーラップ部41では、このウェットティッシュ152の終端152aが次のウェットティッシュ153の始端153aを引き上げるようにウェットティッシュ153に作用力を及ぼし、そして次のウェットティッシュ153の始端153aが図示しない取り出し口から袋体の外部に引き出された時に、これらウェットティッシュ152の終端152aと次のウェットティッシュ153の始端153aとが分離するように構成されている。このとき、オーバーラップ部41でウェットティッシュがウェットティッシュ折り畳み体151から分けとられる。すなわち、このようなウェットティッシュ折り畳み体151では、分離予定部40としてオーバーラップ部41が形成されている。
【0023】
図4(b)に示すように、WZ折りされたウェットティッシュ折り畳み体155は、Z字状に折られたウェットティッシュ156と、W字状に折られたウェットティッシュ157とを交互に積層して構成されている。ただし、Z字状に折られたウェットティッシュ156と、W字状に折られたウェットティッシュ157とは、互いに一方の始端と他方の終端とが重なりあってオーバーラップ部42を形成している。図3(b)の場合には、Z折りされたウェットティッシュ156の終端156aの上面と、次に位置するW折りされたウェットティッシュ157の始端157aの下面とが重なり合うように積層されており、Z折りされたウェットティッシュ156を引き出すと、オーバーラップ部42では、このウェットティッシュ156の終端156aが、次のW折りされたウェットティッシュ157の始端157aを引き上げるようにウェットティッシュ157に作用力を及ぼし、そして、このW折りされたウェットティッシュ157の始端157aが図示しない取り出し口から袋体の外部に引き出された時に、これらZ折りされたウェットティッシュ156の終端156aと次のW折りされたウェットティッシュ157の始端157aとが分離するように構成されている。なお、W折りされたウェットティッシュ157を引き出した後にZ折りされたウェットティッシュ158の始端158aが引き出される時も同様の作用によって引き上げられる。このとき、オーバーラップ部42で、ウェットティッシュがウェットティッシュ折り畳み体151から分けとられる。すなわち、WZ折りされたウェットティッシュ折り畳み体155についても、Z折りの折り構成を有するウェットティッシュ折り畳み体151と同様に、分離予定部40としてオーバーラップ部42が形成されていることになる。
【0024】
(袋体3)
袋体3は、ウェットティッシュ折り畳み体2を内部に収納するための収容容器160の概念に含まれるものである。図1に示すように、袋体3は、袋体本体3aに基板10を接合して形成される。袋体本体3aは、気密性を有する可撓性のあるプラスチックフィルム等のシート材により、例えばピロー形状の袋状に形成されている。また、袋体3は、袋体本体3aの前後両端がヒートシール等によって気密に封止されている。
【0025】
図2に示す例では、袋体3の袋体本体3aを構成するシート材は、内層7と外層8の2層構造で構成されている。内層7及び外層8に用いられる材質は、適宜選択可能である。具体的には、内層7には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、セロハン等のプラスチックからなるフィルム若しくはこれら2種以上からなる積層フィルムまたはこれらの単体フィルム、積層フィルムにアルミ箔を積層してなる複合フィルム等が用いられ、外層8には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが用いられてよい。なお、本実施の形態に示すような、袋体3の袋体本体3aが内層7及び外層8の2層から構成されている場合は、袋体3の一例であって、袋体3の袋体本体3aを構成するシート材の構造はこれに限定されるものではなく、3層以上の多層にしてもよいし、1層で構成してもよい。
【0026】
袋体本体3aには、図1及び図2に示すように、開口部9が形成されている。この開口部9は、次に述べる基板10を取り付け可能な大きさに形成される。
【0027】
(基板10)
基板10は、袋体本体3aの開口部9の位置に取り付けられる。基板10は、袋体本体3aの内面側にあてがわれて、ホットメルト等にて袋体3の内面側に取り付けられた状態となることが基板10の外周端面を露出させないようにすることができて好ましい。基板10は、開口部9に取り出し用孔13と切り欠き部43が臨むように配される。基板10の材質は適宜選択可能であるが、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂材料で成型された板状の部材が選択される。図2及び図5に示すように、基板10は、中央に凹部11を有しており、この凹部11の底部には及び取り出し用孔13が開口形成されて、さらに、基板10の所定位置に切り欠き部43が形成されている。なお、図5における符号14は、基板10において袋体3の内面に対してヒートシール等で溶着された際に溶着部を形成する領域を示す。
【0028】
(切り欠き部43)
切り欠き部43は、基板10の平面視上、コ字状、山型状、舌片状など適宜形状に設定可能である。図1、図5の例では、切り欠き部43は、基板10の外周端縁の所定位置から凹部11の取出し孔13の方向に向かって切り欠いた形状に形成されて、基板10の平面視上、基板10の外周縁に凹状部44を形成する。切り欠き部43は、基板10を袋体3に取り付けた状態で摘み用孔12の一部をなす。切り欠き部43の大きさは、適宜設定可能であるが、袋体3に取り付けられた状態で摘み用孔12を形成可能な程度の大きさを確保される。また、切り欠き部43の形状は、基板10を袋体3に取り付けた状態で摘み用孔12を十分な大きさで形成可能な形状であればよい。
【0029】
また、切り欠き部43には、切り欠き延長部43aが形成されている。切り欠き延長部43aは、取り出し用孔13に向けて延び、且つ取り出し用孔13に連通するように形成されている部分である。そして、切り欠き部43において、切り欠き延長部43aは、取り出し用孔13に向かうに従い順次先細り状になるように形成されている部分である。切り欠き延長部43aは、基板10を取り付けた袋体3において、摘み用孔12の延長部12aをなす部分である。このような切り欠き延長部43aは、切り欠き部43内の所定部分を取り出し用孔13に向かって先細な形状に切り欠くことで調製できる。
【0030】
(摘み用孔12)
摘み用孔12は、ウェットティッシュ2aを外方に摘み出すための孔である。図1に示すように、摘み用孔12は、基板10を袋体3の開口部9の位置に取り付けられることで開口部9の縁部の一部と切り欠き部43とで形成される。より具体的には、ウェットティッシュ包装体1の平面視上、ウェットティッシュ包装体1において蓋体17を取り外した状態で切り欠き部43の周縁に沿った部分のうち開口部9から外側に露出する部分、及び、開口部9の端縁のうち基板10の切り欠き部43と交差する部分とで囲まれた部分で、摘み孔12が形成される。また、摘み用孔12は、袋体3の内部に収納されたウェットティッシュ2aを摘むことが可能な大きさに開口した部分として形成される。なお、ウェットティッシュ包装体1の平面視上とは、図1(a)や図2において、下方向にウェットティッシュ包装体1を見た場合を示す。
【0031】
本発明のウェットティッシュ包装体1では、使用者がウェットティッシュをつまみ出す際、使用者の指が多少太いだけで摘み用孔12からウェットティッシュを摘めなくなるという事態を生じる虞があったが、上記したように摘み用孔12が、一部分を袋体3で構成することで、使用者の指が多少太くても袋体3の可撓性により摘み用孔12からウェットティッシュを適宜摘みだすことが容易となり、上記のような事態が生じる虞を抑制することができる。
【0032】
(取り出し用孔13)
取り出し用孔13は、ウェットティッシュ折り畳み体2からウェットティッシュを分離予定部40で分けとる機能を発揮可能に形成されていれば、適宜設定可能である。より具体的には、取り出し用孔13は、切り欠き部43に連通し、すなわち摘み用孔12の延長部12aと連通し、引き出されるウェットティッシュ2aに摩擦抵抗を付与することができるように構成されている。
【0033】
図1の例では、取り出し用孔13は、二つの円を部分的に重ね合わせた形に形成されており、これら二つの円を重ね合わせて取り出し用孔13の内方に向けて突出する部分には、突出部15が形成される。突出部15は、切り欠き延長部43aの奥方端と境界を接して形成されており、本実施の形態では、突出部15は二つの突部15a,15bにより構成されて、切り欠き延長部43の奥方に向かうにつれ突部15a,15bの間位置へ近づく。この突出部15については、突出部15の突出度合いが大きいほど、取り出し用孔13内から引き出されるウェットティッシュ折り畳み体2が摘み用孔12へ移動することが抑制され、引き出されるウェットティッシュ折り畳み体2に付与する摩擦抵抗が増加する。
【0034】
また、取り出し用孔13には、突出部15と対向する位置に、取り出し用孔13の内方に向けて突出する突起16が形成されている。突起16は、引き出されるウェットティッシュ折り畳み体2に付与する摩擦抵抗を増加するためのものである。なお、図5中の符号13aは、取り出し用孔13から前後方向に延出形成されたスリットである。
【0035】
なお、突出部15は、ウェットティッシュ折り畳み体2に付与する摩擦抵抗を増加することができ、かつ取り出し用孔13内から引き出されるウェットティッシュ折り畳み体2が摘み用孔12へ移動するのを防止することができればよく、その形状及び大きさは限定されない。また、突起16は、ウェットティッシュ折り畳み体2に付与する摩擦抵抗を増加することができれば、形状や大きさは限定されない。
【0036】
このようにウェットティッシュ包装体1には、取り出し用孔13に突出部15及び突起16が設けられて、これら突出部15と突起16との間隔が取り出し用孔13を部分的に狭めるように突出部15及び突起16が配置されてよいものである。この場合、取り出し用孔13の孔径を必要以上に小さくしなくても、取り出し用孔13からウェットティッシュ2aを引き出す際に、ウェットティッシュ2aに対して適度な抵抗力を付与することができる。そのため、引っ張り上げたウェットティッシュ2aが絞られて皺が寄った状態にならず、使用者が使用しやすい状態を維持しながら、引っ張り上げることができる。したがって、本実施の形態のウェットティッシュ包装体1によれば、使用者が使用する際の手間を省くことができ、使用時の煩雑さを大幅に解消することが可能になる。
【0037】
(蓋体17)
図1及び図2に示すように、袋体3の上面には蓋体17が設けられている。蓋体17は、ウェットティッシュ包装体1の摘み用孔12及び取り出し用孔13を密閉できるように開閉自在に設けられており、たとえば袋体3の上面にホットメルト等の方法で設けられている。蓋体17には、柔軟性を有する可撓性を有するフィルムやシート状のもので形成されたフラップが好適に用いられる。蓋体17の下面には粘着層(図示せず)が形成されており、袋体3の上面に貼り付けたときに、袋体3の内部が密閉されるようになっている。この粘着層は、例えばアクリル系の糊材、可塑性を含んだポリ塩化ビニル組成物、エチレン−酢酸ビニル共重合体に塩化ビニルモノマーがクラフト重合されたクラフト共重合体などのクラフトマーを主体としたもののような感圧型接着剤が挙げられるが、上記したものに限定されない。蓋体17の形状は、本実施の形態では、図1に示すように前方に摘みが付いた略長方形状をしているが、摘み用孔12及び取り出し用孔13を密閉できればよく、その形状は限定されるものではない。
【0038】
ウェットティッシュ包装体1は、シート状のウェットティッシュ2aの取出しに応じて適宜、蓋体17を袋体3の上面に貼り付け又は部分的に剥がされる。蓋体17が袋体3の上面に貼り付けられるときは、粘着層によって袋体3内の気密を維持することができ、ウェットティッシュ折り畳み体2に含浸された薬液等が揮発しないようにすることができる。なお、ウェットティッシュ2aのうち、取り出し用孔13から飛び出た部分は、蓋体17を袋体3の上面に貼り付けた際に、基板10に形成された凹部11の内部に収納されている。そのため、ウェットティッシュ2aのうち取り出し用孔13から飛び出た部分についても薬液等が揮発してしまうおそれを防止することが可能になる。
【0039】
本実施の形態のウェットティッシュ包装体1は、ウェットティッシュ2aを折り畳んだ構造を有するウェットティッシュ折り畳み体2を袋体3内に収容して構成されているので、ウェットティッシュ包装体1全体の大きさを小型化することができ、また製造時のコストを大幅に低減することが可能になる。
【0040】
また、ウェットティッシュ包装体1は、ウェットティッシュ折り畳み体2を袋体3といった収納容器内に収納しているので、ウェットティッシュ2aの先端を摘んで引き出す際にウェットティッシュ2aに大きな捩れを生じる虞が抑制される。そのため、ウェットティッシュ包装体1によれば、引き出されたウェットティッシュ2aに多くの皺が入る虞が低減される。
【0041】
さらに、本発明に係るウェットティッシュ包装体1は、ウェットティッシュを引き上げて分離予定部40で分けとられた後は、収納容器内に収納されたウェットティッシュ折り畳み体2の先端(ウェットティッシュの先端でもある)が取り出し用孔から収容容器外側に飛び出した状態を維持する。そのため、使用者が次回ウェットティッシュを引き出す際の作業も効率的に行うことが可能になり、その都度ウェットティッシュの先端を収容容器内から摘んで引き出すというような煩わしさを解消することが可能になる。
【0042】
本発明に係るウェットティッシュ包装体において、袋体本体に取り付けられる基板は、上記したように構成されたものに限定されず、以下の第2実施形態に述べるような基板であってもよい。すなわち、上記のような取り出し用孔形成部を基板自体に形成するタイプのほか、以下に示すような取り出し用孔形成部を形成する部材を基板本体の取付孔に取り付けて基板を構成するタイプのものでもよい。
【0043】
[第2の実施形態]
第2の実施形態のウェットティッシュ包装体に取り付けられる基板25について、図6,図7を用いて説明する。第2の実施形態のウェットティッシュ包装体21について、先に説明した第1の実施形態のウェットティッシュ包装体1と同様に構成される部分については説明を省略し、また、符号も同一のものを使用する。
【0044】
ウェットティッシュ包装体21は、ウェットティッシュ折り畳み体22が収納容器としての袋体23内に収納されて構成されている。
【0045】
ウェットティッシュ折り畳み体22としては、図3(b)に示すウェットティッシュ折り畳み体2と同じ構造を有するものが用いられてよいがこれに限定されない。その他にも、ウェットティッシュ折り畳み体22としては、図4(a)(b)に示すウェットティッシュ折り畳み体151,155のような分離予定部40としてオーバーラップ部41,42を形成しているものが用いられてもよい。
【0046】
図6に示すように、袋体23は、袋体本体23aに基板25を接合して形成される。袋体本体23aには開口部24が形成されており、この開口部24にホットメルト等の接合方法を適宜用いて基板25が取り付けられている。
【0047】
基板25は、基板本体25aに取り出し用孔形成部材32を取り付けて、その取り出し用孔形成部材を設けた部分を取り出し用孔形成部となして形成されている。基板本体25aは、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂材料によって、従来から公知の方法を適宜使用して成型された部材である。基板本体25aには、中央に凹部26が形成されるように底面29aと底面29aの周縁から上方に向かって立設された側壁部29bが形成されており、さらに凹部26には、取付孔28が形成され、基板25の外周端縁部所定位置に対応する基板本体25aの外周端縁部所定位置から中央に向かって切り欠き部43が形成されている。なお、凹部26よりも外側において平面状に形成されている符号31で示す部分は、袋体23に対してホットメルト等の適宜方法を用いて基板25を取り付けて形成される溶着面である。
【0048】
切り欠き部43は、基板本体25aの外周縁所定部分から取付孔28の方向に向かって切り欠いた形状に形成されて、基板25の平面視上、基板25の外周縁に凹状部44を形成する。また、切り欠き部43は、第1の実施形態の切り欠き部43と同様に、基板25を袋体3に取り付けた状態で摘み用孔27の一部をなす。切り欠き部43は、第1の実施形態と同じく、切り欠き延長部43aを有しており、切り欠き延長部43aは、基板25が袋体23に取り付けられた状態で摘み用孔27の延長部27aをなす。第2の実施形態においても第1の実施形態と同様に、切り欠き部43において、切り欠き延長部43aは、取付孔28へ向かうに従い順次先細り状になるように形成されている部分である。
【0049】
ここに、摘み用孔27は、第1の実施形態で説明した摘み用孔12と同様に、ウェットティッシュ22aを外方に摘み出すための孔である。また、この摘み用孔27は、基板25を袋体23に取り付けた状態で開口部24の端縁の一部と切り欠き部43とで形成される。より具体的には、切り欠き部43の周縁に沿った部分のうち開口部24から外側に露出した部分、及び、開口部24の端縁のうち基板25の切り欠き部43と交わる部分とで囲まれた部分で摘み孔27が形成される。また、摘み用孔27は、袋体23の内部に収納されたウェットティッシュ折り畳み体22のウェットティッシュ22aを摘むことが可能な大きさに開口形成される。また、摘み用孔27は延長部27aを有している。
【0050】
取付孔28は、後述する取り出し用孔形成部材32を取り付けるためのもので、基板本体25aに開口形成されている。取付孔28は、切り欠き部43と切り欠き延長部43aにて連通するように形成されるとともに、取り出し用孔形成部材32を係止可能な大きさ及び形状に形成されている。
【0051】
取り出し用孔形成部材32は、基板25に取り出し用孔形成部を形成するもので、基板本体25aよりも柔軟な材料からなる弾性部材で形成されている。取り出し用孔形成部材32は、従来から公知の弾性材料を任意に適用することができるが、弾性変形のしやすさの観点から、天然ゴム、合成ゴム等のゴム材料、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、又はビニル樹脂等の弾性材料により形成されていることが好ましい。また、合成ゴムを使用する場合には、シリコンゴムやウレタンゴム等を使用することが好ましい。
【0052】
図7に示すように、取り出し用孔形成部材32は、その中央部に、該取り出し用孔形成部材32を平面視した場合に略円形状となるように形成された貫通孔として取り出し用孔36が形成されるとともに、この取り出し用孔36から外側周面まで切り込みが加えられてスリット37が形成されている。取り出し用孔形成部材32は、外側周面を周回する軌道を描く溝33を形成している。また、溝33はスリット37と交差し、その交差する部分では溝33が欠けている。
【0053】
基板25は、取り出し用孔形成部材32を、次のように基板本体25aの取付孔28に嵌め込まれて係止することで形成される。すなわち、取り出し用孔形成部材32の溝33に、基板25の取付孔28の端縁部34を嵌め合わせることで、取り出し用孔形成部材32が基板25に対して上下前後左右方向に自由には動かないように取り付けられる。
【0054】
また、取り出し用孔形成部材32は、基板25の平面視上、スリット37の形成位置を切り欠き延長部43aの形成位置にあわせつつ基板本体25aの取付孔28にはめ込まれる。このとき、基板25は、切り欠き部43から取り出し用孔36まで連通した状態で形成される。そして、このような基板25が袋体23に取り付けられて、切り欠き部43と袋体23の開口部24の一部とで摘み用孔27が形成されると、摘み用孔27と取り出し用孔36とが連通した構造が形成される。
【0055】
ウェットティッシュ包装体21によれば、摘み用孔27と取り出し用孔36を形成することで、使用者は、ウェットティッシュ2aに皺が寄らない状態を維持しながらウェットティッシュ22aを容易に取り出すことができ、ウェットティッシュ2aを引き出す際の煩雑さや使用時の煩雑さを大幅に解消することが可能になる。また、本実施の形態のウェットティッシュ包装体21によれば、取り出し用孔36が弾性材料からなる取り出し用孔形成部に形成されていることで、取り出し用孔36の孔径が該取り出し用孔36を通過するウェットティッシュ22aの厚さに応じて変化可能に構成されているので、ウェットティッシュ22aを引き出す際に、該ウェットティッシュ22aの厚みの変化によって生じる抵抗感の変化を使用者に感じさせないようにすることができるとともに、ウェットティッシュ22aの引き出しをスムーズに行うようにすることが可能になる。
【0056】
(取り出し用形成部材32の他例)
取り出し用孔形成部材32は、上述のように平面視上略円形状の取り出し用孔36を形成したものに限定されず、ウェットティッシュが引き出される際に弾性変形しやすく、かつウェットティッシュ22aを確実に分離予定部で分断できるような取り出し用孔36を形成したものであればよい。すなわち、基板本体25aに対して、取り出し用孔形成部材36に変えて、例えば、図8の各図に示すような形状に構成された取り出し用孔を備えた取り出し用孔形成部材45,46,47,48が取り付けられてもよい。なお、取り出し用孔形成部材の変形例に係る構成を説明する際の上下左右は、図8に示す方向を言うものとする。
【0057】
具体的に、図8(a)に示すような取り出し用孔を備えた取り出し用孔形成部材45について説明する。取り出し用孔形成部材45の取り出し用孔は、中央部に略円形状の中央孔45aを開口形成するとともに、この中央孔45aの左右方向に長孔部45bを形成してなる。そして、取り出し用孔形成部材45には、中央孔45aの下方に、スリット45cが設けられている。このスリットは、取り出し用孔形成部材45の外周縁まで設けられており、基板25に取り付けられた際に、切り欠き延長部43bの形成位置に配置される。
【0058】
図8(b)の例についてみるに、取り出し用孔形成部材46の取り出し用孔は、3つの長孔部46aにより形成されている。これら長孔部46aは、それぞれが120°間隔で位置するように形成されている。また、スリット46bは、3つの長孔部46aが交わる中央部46cから取り出し用孔形成部材46の外周縁まで設けられている。
【0059】
図8(c)の例では、取り出し用孔形成部材47の取り出し用孔は、3つの線状のスリット47aが90°間隔で交わるように形成されており、取り出し用孔形成部材47の外周縁まで延びるスリット47bは、これら3つのスリット47aが交わる点から延出するように形成されている。
【0060】
図8(d)の例では、取り出し用孔形成部材48には、矩形状の取り出し用孔48aが形成されている。この取り出し用孔48aは、長方形状でもよいし、ひし形状、正方形状であってもよい。また、取り出し用孔48aの下部からは、該取り出し用孔48aから取り出し用孔形成部材48の外周縁まで延びるスリット48bが設けられている。
【0061】
(基板の他例1)
ウェットティッシュ包装体21においては、開口部24の位置に取り付けられる基板としては、基板25に限定されない。ウェットティッシュ包装体21では、開口部24に、基板25にかえて図9,図10に示すように構成された基板71が取り付けられてもよい。図9は、基板71の外観構成を表す外観斜視図、図10は、基板71の裏面側の構成を表した分解斜視図である。
【0062】
(基板71の構成)
基板71は、基板本体71aに取り出し用孔形成部材83を取り付けて、その取り出し用孔形成部材83を設けた部分を取り出し用孔形成部となして形成されている。基板本体71aは、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂材料によって形成されており、従来から公知の成型方法で成型されている。図9に示すように、基板本体71aは、平面視略楕円形状の成形体をその外周縁の一部に内側に向かって所定の大きさで切り欠いてなる外形輪郭形状を呈するように、形成されている。このとき、その切り欠かれた部分は切り欠き部43をなし、基板25の外周縁に凹状部44を形成している。また基板71はホットメルト等の任意な方法で基板本体71aの周縁部で袋体23に取り付けられて、その周縁部に溶着面72を形成している。このとき、基板71を袋体23に取り付けた状態で基板71の切り欠き部43と袋体の開口部24の端縁の一部とで、摘み用孔27が形成される。基板71は、基板本体71aの溶着面72よりも内側で、溶着面72よりも落ち込んだ部分を形成しており、その落ち込んだ部分を凹部73となしている。凹部73には、開口孔75が形成されている。また、基板71の切り欠き部43には、その先細りに形成された部分で切り欠き延長部43aが形成されており、切り欠き延長部43aの先細りした端部が開口孔75に達している。そして、基板71では、切り欠き部43と開口孔75とが連通している。
【0063】
基板71の切り欠き部43における切り欠き延長部43aは、上記した基板25における切り欠き延長部43aと同じく、基板71が袋体23に取り付けられた状態で摘み用孔27の延長部27aをなす。なお、摘み用孔27は、ウェットティッシュ22aを外方に摘み出すための孔である。
【0064】
図10に示すように、基板本体71aの下面側には、凹部73に対する表裏逆の部分が突出して下方凸状部78が形成されている。下方凸状部78には、開口孔75の周囲を取り囲むように下壁部80が形成されており、下壁部80で取り囲まれた空間が取付部79を構成している。下壁部80の形成位置と係止孔77の形成位置との位置関係については基板本体71aの平面視状、下壁部80の形成位置に係止孔77が形成されている。また係止孔77は、基板71の上面から下面を通過してさらに下壁部80の内周面側所定位置まで穿かれて形成されている。このように係止孔77は、基板71の上面側から下壁部80の内周面側まで連通するように形成されている。係止孔77は、基板本体71の下面側に取り付けられる取り出し用孔形成部材83のリブ84が係止可能な大きさと形状に形成されている。このような係止孔77は、取り出し用孔形成部材83のリブ84と対応して複数箇所に形成されている。また、取付部79には、下壁部80と開口孔75との間の位置に複数のボス81が形成されている。
【0065】
ところで、開口孔75には、切り欠き延長部43aと繋がる箇所には、開口孔75の内方に向けて突出する突出部85が形成されていてもよい。突出部85は、二つの突部86によって形成され、突部86は、切り欠き延長部43aの奥方の隙間82を形成する。
【0066】
取り出し用孔形成部材83は、取り出し用孔形成部を構成するもので、基板71よりも柔らかい弾性材料で形成されている。この取り出し用孔形成部材83は、従来から公知の弾性材料を任意に適用することができるが、弾性変形のしやすさの観点から、天然ゴム、合成ゴム等のゴム材料、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、又はビニル樹脂等の弾性材料により形成されていることが好ましい。また、合成ゴムを使用する場合には、シリコンゴムやウレタンゴム等を使用することが好ましい。
【0067】
図10に示すように、取り出し用孔形成部材83は、取付部79の形状に対応した形状に形成されており、外周面の上端部位置には、複数のリブ84が外周側に突出するように形成されている。リブ84は、基板71の取付部79に形成された係止孔77と対応する位置に形成されている。取り出し用孔形成部材83は、その上面周縁部に複数の受孔90が形成されている。受孔90は、基板71に形成された複数のボス81と対応する位置に形成されている。
【0068】
取り出し用孔形成部材83には、中央部89に取り出し用孔87が貫通形成されており、この取り出し用孔87と取り出し用孔形成部材83の外周端との間にスリット91が形成されている。取り出し用孔形成部材83において、スリット91が形成されている部分は、外周端に至るまで薄厚となるように形成されている。このスリット91は、取り出し用孔形成部材83が基板71の取付部79に取り付けられた時に、切り欠き延長部43aで形成されているスリット状の隙間と連続するような位置に形成されている。
【0069】
(基板71の形成)
基板71は、取り出し用孔形成部材83を、基板本体71aの取付部79に次のように取り付けられて形成される。すなわち、取り出し用孔形成部材83の受孔90にボス81を挿入し、取り出し用孔形成部材83のリブ84を係止孔77にはめ込むことで、取り出し用孔形成部材83は、基板本体71aの取付部79に係止固定される。このとき、取り出し用孔87は、開口孔75から基材71の上面側に臨むように位置することとなる。こうして基板71が形成される。
【0070】
なお、この基材71は、複数の受孔90のそれぞれに、対応する各ボス81を挿入し、さらに複数の係止孔のそれぞれに、対応する各リブを係止させて形成されるものであるため、取り出し用孔形成部材83の基板本体71aに対する位置決めが確実に行われる。
【0071】
(基板の他例2)
ウェットティッシュ包装体21の開口部24の位置に取り付けられる基板としては、基板25に限定されない。ウェットティッシュ包装体21の開口部24の位置には、基板25にかえて図11,図12に示すように構成された基板101が取り付けられてもよい。図11は、基板101の外観構成を表す外観斜視図、図12は、基板101の裏面側の構成を表した分解斜視図である。
【0072】
(基板101の構成)
基板101は、基板本体101aに取り出し用孔形成部材106を取り付けて、その取り出し用孔形成部材106を設けた部分を取り出し用孔形成部となして形成されている。基板本体101aは、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂材料によって形成されており、従来から公知の成型方法で成型されている。図11に示すように、基板本体101aは、平面視略楕円形状の成形体をその外周縁の一部に内側に向かって所定の大きさで切り欠いてなる外形輪郭形状を呈するように、形成されている。そして、その切り欠かれた部分は切り欠き部43をなし、基板101の外周縁に凹状部44を形成する。また基板101はホットメルト等の任意な方法で基板101の周縁部で袋体23に取り付けられて、その周縁部に溶着面102を形成している。このとき、基板101の切り欠き部43と袋体23の開口部24の一部とで、摘み用孔27が形成される。基板101は、溶着面102よりも内側で、溶着面102よりも落ち込んだ部分を形成しており、その落ち込んだ部分を凹部103となしている。凹部103には、開口孔105が形成されている。また、基板101の切り欠き部43には、先細り形状の部分で切り欠き延長部43aが形成されており、切り欠き延長部43aの先細り端部が開口孔105に達している。こうして、基板101では、切り欠き部43と開口孔105とが連通している。
【0073】
基板101の基板本体101aは、凹部103に、開口孔105を形成しており、切り欠き部43を避けて開口孔105の周囲を取り巻くように側壁部108が上方に向かって立設形成されており、側壁部108の上端縁で開口孔105内側に向かって延出部が形成されて上面壁部109をなしている。上面壁部109には開口が形成されて上面開口孔104が形成されている。そして、側壁部108と上面壁部109とで囲まれた部分で、取付部107が形成されている。
【0074】
取付部107は、取り出し用孔形成部材106を取り付けられる部分である。取付部107には、側壁部108に複数の係止孔110が形成されるとともに、上面壁部109の下面側に下方に向かって延出形成された複数のボス111が形成されている。
【0075】
開口孔105には、切り欠き延長部43aと繋がる箇所に、開口孔105の内方に向けて突出する突出部115が形成されている。突出部115は、二つの突部116によって形成され、突部116は、切り欠き延長部43aの奥方の隙間114を形成する。突部116は、ウェットティッシュ包装体21の使用時に、取り出し用孔形成部材106に形成された取り出し用孔119から引き出されるウェットティッシュ22aが摘み用孔27の方へ移動することを抑制する。
【0076】
取り出し用孔形成部材106は、基板101の取り出し用孔形成部を構成するもので、基板本体101aよりも柔らかい弾性材料で形成されている。この取り出し用孔形成部材106は、先に基板71で説明した取り出し用孔形成部材83と同様のものを任意に適用し、従来から公知の方法で形成されている。
【0077】
取り出し用孔形成部材106には、中央部に取り出し用孔119が貫通形成されており、この取り出し用孔119と取り出し用孔形成部材106の外周端との間にスリット120が形成されている。このスリット120は、取り出し用孔形成部材106が基板101の取付部107に取り付けられた時に、切り欠き延長部43aで形成されるスリット状の隙間と連続する位置に形成されている。取り出し用孔形成部材106は、このスリット120の形成部分を他の部分よりも厚みが薄くなるように形成されている。
【0078】
取り出し用孔形成部材106は、外周面の上部には、複数のリブ112が形成されている。取り出し用孔形成部材106は、その周縁部117に受孔113が形成されている。受孔113は、上記した複数のボス111と対応する位置に形成されている。
【0079】
(基板101の形成)
基板101は、取り出し用孔形成部材106を、基板本体101aの取付部107に次のように取り付けられて形成される。すなわち、取り出し用孔形成部材106の受孔113にボス111を挿入し、取り出し用孔形成部材106のリブ112を係止孔110にはめ込むことで、取り出し用孔形成部材106は、基板本体101aの取付部107に係止固定される。このとき、取り出し用孔119は、上面開口孔104から基材101の上面側に臨む。なお、取り出し用孔形成部材106が基板本体101aの取付部107に係止固定された状態では、基板101に形成された突出部115は、取り出し用孔形成部材106の下面よりも下方側に位置する。
【0080】
(基板の他例3)
ウェットティッシュ包装体21の開口部24の位置に取り付けられる基板としては、基板25,71,101に限定されない。ウェットティッシュ包装体21の開口部24の位置には、基板25にかえて図13,図14に示すように構成された基板121が取り付けられてもよい。図13は、基板121の外観構成を表す外観斜視図、図14は、基板121の裏面側の構成を表した分解斜視図である。
【0081】
(基板121の構成)
基板121は、基板本体121aに取り出し用孔形成部材133を取り付けるとともに、固定部材139で基板本体121aと取り出し用孔形成部材133とを相互に固定して、取り出し用孔形成部材133を設けた部分を取り出し用孔形成部となして形成されている。
【0082】
基板本体121aは、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂材料によって形成されており、従来から公知の成型方法で成型されている。図13に示すように、基板本体121aは、平面視略楕円形状の成形体をその外周縁の一部に内側に向かって所定の大きさで切り欠いてなる外形輪郭形状を呈するように、形成されている。そして、その切り欠かれた部分は基板121の切り欠き部43をなし、基板121の外周縁に凹状部44を形成する。また基板121はホットメルト等の任意な方法で基板121の周縁部で袋体23に取り付けられて、その周縁部に溶着面122を形成している。このとき、基板121の切り欠き部43と袋体23の開口部24の一部とで、摘み用孔27が形成される。基板121は、溶着面122よりも内側で、溶着面122よりも落ち込んだ部分を形成しており、その落ち込んだ部分を凹部123となしている。凹部123には、開口孔127が形成されている。また、基板121の切り欠き部43には、先細り形状の部分で切り欠き延長部43aが形成されており、切り欠き延長部43aの先細り端部が開口孔127に達している。そして、基板121では、切り欠き部43と開口孔127とが連通している。
【0083】
基板121の基板本体121aは、凹部123に、略半月状の開口孔127を形成している。基板本体121aの凹部123には、切り欠き部43の一部が入り込んでいる部分で形成された切り欠き部入り込み区画144(側壁部142の形成位置を基準にしてそこから開口孔127側の部分を除く部分で構成される区画)と、略半月状の開口孔127を形成している部分で形成される区画との間に、側壁部142が上方に向かって立設形成されている。このとき、側壁部142は、切り欠き部43と開口孔127との連通部分を避けて形成される。また、凹部123には、側壁部142上端を開口孔127側に延出して上面壁部143を形成している。凹部123には、切り欠き部入り込み区画144と、上面壁部143との間で段差124が形成される。また、上面壁部143は、開口して上面開口孔126を形成している。
【0084】
基板本体121aの下面側には、該基板121の上面側の凹部123の部分に対する表裏逆側の部分が凸状に突出している。この凸状に突出形成された部分において、側壁部142と上面壁部143で区画された部分に取付部125が形成されている。取付部125は、基板本体121aの上面壁部143の下面側に、一定間隔をあけて複数のボス128が下方向へ向かって突出形成されている。また、取付部125には、固定部材139に形成されたリブ140を嵌め込むための係止孔129が一定間隔で設けられている。
【0085】
基板本体121aの下面側において切り欠き延長部43aが形成されている部分には、開口孔127に向かって突出する突出部131が形成されている。この突出部131は、ウェットティッシュ包装体21において基板121に取り付けられた取り出し用孔形成部材133の取り出し用孔137からウェットティッシュを引き抜く際に、引き抜こうとするウェットティッシュが取り出し用孔137から摘み用孔27へと移動するのを抑制する。この突出部131は、切り欠き延長部43aのうち隙間130を形成する部分から延出された二つの突部132から構成されている。
【0086】
取り出し用孔形成部材133は、基板121の取り出し用孔形成部を構成するもので、基板本体121aよりも柔らかい弾性材料で形成されている。この取り出し用孔形成部材133は、従来から公知の方法を任意に使用して形成することができ、また取り出し用孔形成部材133に用いられる材料も、上記した取り出し用孔形成部材83において説明したものと同様のものを任意に選択して使用してよい。
【0087】
また、取り出し用孔形成部材133には、中央部135に取り出し用孔137が貫通形成されており、この取り出し用孔137と取り出し用孔形成部材133の外周端との間にはスリット138が形成されている。このスリット138は、取り出し用孔形成部材133が基板本体121aの取付部125に取り付けられた時に、切り欠き延長部43aで形成されている先細り状の隙間130と連続する位置に形成されている。また、取り出し用穴形成部材113は、開口孔127にあわせて略半月状の外側輪郭形状を呈するように形成されており、その周縁部134には貫通孔136が形成されている。これら貫通孔136は、取り出し用孔形成部材133を基板本体121aに取り付ける際に、取付部125に形成されたボス128を挿通可能であるような位置に形成されている。
【0088】
取り出し用孔137は、二つの円を部分的に重ね合わせた形に形成されており、これら二つの円を重ね合わせることによって突出形成される部分には、突出構造137aが形成されている。この突出構造137aは、取り出し用孔137内を通過するウェットティッシュに対して付与する摩擦抵抗力をより大きくする。
【0089】
固定部材139は、基板121の取付部125からの取り出し用孔形成部材133の脱落を抑制するために設けられる。固定部材139は、プラスチック材料等の硬質なもので形成されていることが好ましい。固定部材139は、外周形状が取り出し用孔形成部材133と略同一の形状となるように形成されており、その外周面から所定間隔をあけて複数の突起部140が突出成型されている。突起部140は、係止孔129と係止可能な位置に形成されるとともに、係止孔129に係止された状態を維持することが可能な形状に形成されている。また、固定部材139は、取り出し用孔形成部材133の貫通孔136と同じ間隔で固定孔141が開口形成されている。この固定孔141は、内径がボス128の外径と略同寸法となるように形成されている。
【0090】
(基板121の形成)
基板121は、取り出し用孔形成部材133及び固定部材139を、基板本体121aの取付部125に次のように取り付けられて形成される。取り出し用孔形成部材133が、基板本体121aの下方面側から取付部125にはめつけられる。このとき、取り出し用孔形成部材133は、貫通孔136内にボス128が挿通される。さらに、固定部材139は、取り出し用孔形成部材133の下側から取付部125に取り付けられて固定される。このとき、固定部材139は、ボス128が固定孔141内を挿通するように配置されるとともに、突起部140が係止孔129に係止される。なお、基板本体121aに形成された突出部131は、取付部125に取り付けられた取り出し用孔形成部材133の下面よりも下方に位置する。
【0091】
上記のように、本発明のウェットティッシュ包装体について説明してきたが、上記の明細書に記載された事項から次に示すような発明が読み取れる。
【0092】
すなわち、(1)ウェットティッシュを分離可能に形成された分離予定部を有するウェットティッシュ折り畳み体と、
前記ウェットティッシュ折り畳み体を収納可能に形成するとともに、収納されたウェットティッシュ折り畳み体の分離予定部において分けとられるウェットティッシュを外方へ引き出すための開口部が形成された収納容器と、
前記開口部に取り付けられ、所定の位置に切り欠き部を形成した基板と、を備え、
切り欠き部は、基板が開口部に取り付けられた状態で、該開口部の縁部の一部と切り欠き部とで、前記ウェットティッシュを外方に摘み出すための摘み用孔をなすように形成されており、
前記摘み用孔と連通し、前記分離予定部で前記ウェットティッシュを分けとるための取り出し用孔と、
前記摘み用孔及び取り出し用孔を密閉可能で開閉自在な蓋体と、を備える、ことを特徴とするウェットティッシュ包装体、
(2)取り出し用孔は、引き出されるウェットティッシュに摩擦抵抗を付与するように構成されている上記(1)記載のウェットティッシュ包装体、
(3)取り出し用孔が基板に開口形成されている上記(1)又は(2)記載のウェットティッシュ包装体、
(4)取り出し用孔には、該取り出し用孔の内方に向かって突出する突出部が形成されている上記(1)から(3)のいずれかに記載のウェットティッシュ包装体、
(5)取り出し用孔には、突出部と対向する位置に突起が形成されている上記(4)記載のウェットティッシュ包装体、
(6)基板には、弾性材料からなる取り出し用孔形成部が、設けられており、
取り出し用孔は、取り出し用孔形成部に形成されている、上記(1)から(5)のいずれかに記載のウェットティッシュ包装体、
(7)取り出し用孔は、該取り出し用孔を通過するウェットティッシュの厚さに応じて孔径が変化するように構成されている上記(6)記載のウェットティッシュ包装体、
(8)基板は、取り出し用孔形成部材と、取り出し用孔形成部材を取り付けて取り出し用孔形成部を構成する取付部を形成した基板本体とを備えてなり、
取り出し用孔形成部材には、前記取付部に取り付けるための孔部が形成されており、
取付部には、前記孔部に圧入可能なボスが形成されている上記(6)又は(7)記載のウェットティッシュ包装体、
(9)基板は、取り出し用孔形成部材と、取り出し用孔形成部材を取り付けて取り出し用孔形成部を構成する取付部を形成した基板本体とを備えてなり、
取り出し用孔形成部には、該取り出し用孔形成部の外周から外側に突出するリブが形成されており、
取付部には、前記リブを係止可能な係止孔が形成されている上記(6)から(8)のいずれかに記載のウェットティッシュ包装体、
(10)基板は、取り出し用孔形成部材と、取り出し用孔形成部材を取り付けて取り出し用孔形成部を構成する取付部を形成した基板本体と、取り出し用孔形成部を取付部に取付固定する固定部材を備えてなり、
前記固定部材は、ボスが挿通可能な固定孔が開口形成され、該固定部材の外周から外側に突出する突起部が形成されており、
取付部には、前記突出部が係止可能な係止孔が形成されている上記(6)から(8)のいずれかに記載のウェットティッシュ包装体、
(11)切り欠き部は、取り出し用孔に向かって延び且つ前記取り出し用孔に連通する延長部を有し、この延長部は、前記取り出し用孔に向かうに従い順次先細り状に形成されて取り出し用孔に連通している、上記(1)から(10)のいずれかに記載のウェットティッシュ包装体、という(1)から(11)に示す発明が読み取れる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、身体などの拭き取りに使用可能なウェットティッシュとして家庭などで用いるのに有益である。
【符号の説明】
【0094】
1,21 ウェットティッシュ包装体
2,22 ウェットティッシュ折り畳み体
2a,22a ウェットティッシュ
3,23 袋体
4 分断予定部
5 第1の折り返し部
6 第2の折り返し部
9,24 開口部
10,25,71,101,121 基板
12,27 摘み用孔
12a,27a 延長部
13,36,87,119,137 取り出し用孔
17 蓋体
32,83,106,133 取り出し用孔形成部材
43 切り欠き部
43a 切り欠き延長部
139 固定部材
160 収容容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェットティッシュを分離可能に形成された分離予定部を有するウェットティッシュ折り畳み体と、
前記ウェットティッシュ折り畳み体を収納可能に形成されるとともに、収納されたウェットティッシュ折り畳み体を構成するウェットティッシュを外方へ引き出し可能な開口部が形成された収納容器と、
前記開口部に取り付けられ、所定の位置に切り欠き部を形成した基板と、を備え、
切り欠き部は、基板が開口部に取り付けられた状態で、該開口部の縁部の一部と切り欠き部とで、前記ウェットティッシュを外方に摘み出すための摘み用孔をなすように形成されており、
前記摘み用孔と連通し、前記分離予定部で前記ウェットティッシュをウェットティッシュ折り畳み体から分離可能に形成された取り出し用孔と、
前記摘み用孔及び取り出し用孔を密閉可能で開閉自在な蓋体と、を備える、ことを特徴とするウェットティッシュ包装体。
【請求項2】
切り欠き部は、取り出し用孔に向かって延び且つ前記取り出し用孔に連通する延長部を有し、この延長部は、前記取り出し用孔に向かうに従い順次先細り状に形成されて取り出し用孔に連通している、請求項1に記載のウェットティッシュ包装体。
【請求項3】
基板には、弾性材料からなる取り出し用孔形成部が、設けられており、
取り出し用孔は、取り出し用孔形成部に形成されている、請求項1または2に記載のウェットティッシュ包装体。
【請求項4】
基板は、取り出し用孔形成部材と、取り出し用孔形成部材を取り付けて取り出し用孔形成部を構成する取付部を形成した基板本体とを備えてなり、
取り出し用孔形成部材には、前記取付部に取り付けるための孔部が形成されており、
取付部には、前記孔部に圧入可能なボスが形成されている請求項3に記載のウェットティッシュ包装体。
【請求項5】
基板は、取り出し用孔形成部材と、取り出し用孔形成部材を取り付けて取り出し用孔形成部を構成する取付部を形成した基板本体とを備えてなり、
取り出し用孔形成部には、該取り出し用孔形成部の外周から外側に突出するリブが形成されており、
取付部には、前記リブを係止可能な係止孔が形成されている請求項3に記載のウェットティッシュ包装体。
【請求項6】
基板は、取り出し用孔形成部材と、取り出し用孔形成部材を取り付けて取り出し用孔形成部を構成する取付部を形成した基板本体と、取り出し用孔形成部を取付部に取付固定する固定部材を備えてなり、
前記固定部材は、ボスが挿通可能な固定孔が開口形成され、該固定部材の外周から外側に突出する突起部が形成されており、
取付部には、前記突出部が係止可能な係止孔が形成されている請求項3に記載のウェットティッシュ包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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