ウェハ収納容器
【課題】従来のウェハ収納容器は、300mm以上の大口径ウェハや0.3mm以下の薄型ウェハなどのタワミを最小限に抑えて、多数枚のウェハを効率良く収納することができないという課題を有していた。
【解決手段】本発明のウェハ収納容器は、少なくとも1つの容器開口を有する収納容器本体と、前記収納容器本体内部に設けられたウェハ支持構造を有しており、前記ウェハ支持構造は、前記収納容器本体に取り付けて固定する固定部と、前記固定部に連結され開閉自在に構成された一対のウェハ支持体とからなり、前記一対のウェハ支持体にはスリット状開口が互いに対向して等間隔に形成されており、前記固定部は固定部側取り付け部を有しており、前記収納容器本体の内面には収納容器側取り付け部が設けられている構造とした。
【解決手段】本発明のウェハ収納容器は、少なくとも1つの容器開口を有する収納容器本体と、前記収納容器本体内部に設けられたウェハ支持構造を有しており、前記ウェハ支持構造は、前記収納容器本体に取り付けて固定する固定部と、前記固定部に連結され開閉自在に構成された一対のウェハ支持体とからなり、前記一対のウェハ支持体にはスリット状開口が互いに対向して等間隔に形成されており、前記固定部は固定部側取り付け部を有しており、前記収納容器本体の内面には収納容器側取り付け部が設けられている構造とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリコン半導体や化合物半導体などからなるウェハを収納するためのウェハ収納容器であるウェハ洗浄容器、ウェハ保管容器、ウェハ工程内容器あるいはウェハ出荷容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコン半導体や化合物半導体などからなるウェハを収納するためのウェハ収納容器としては、ウェハを一括して洗浄するときに用いるウェハ洗浄容器、加工中または加工済みウェハを一時保管するためのウェハ保管容器、クリーンルーム内のウェハプロセスのため工程内搬送に用いるウェハ工程内容器、さらにはウェハを工場間で搬送するウェハ出荷容器などが良く知られていた。
【0003】
これらのウェハを収納するウェハ収納容器に対しては、表面に形成されている素子の破壊や不純物粒子の発生を最小限に抑えるために、ウェハの周縁部のみを保持するような工夫がなされてきた。
【0004】
例えば、ウェハを多段にかつ等間隔に支持するための多数のリブ片を多段に配設して支持用リブを構成したウェハ収納容器が開示されている(特許文献1と特許文献2)。図6に特許文献1と2に示された支持用リブの構成を示す。図6に示すように、従来のウェハ収納容器においては、収納容器本体100の内側面に沿って多数のリブ片101が形成されており、その結果ウェハの周縁部のみを支持してウェハを収納できるようになっている。
【特許文献1】特開平9−64161
【特許文献2】登録実用新案公報第3020287号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では素子の収率を向上させるために300mmの大口径ウェハが量産投入されたり、さらには次世代ウェハとしてさらに大口径の450mmウェハが検討されたりするようになった。また、素子の小型化・薄型化に伴い化合物半導体においてはウェハの薄型化が進展するようになった。そのため、従来の方法を用いて周縁部を支持するウェハ収納容器では、ウェハの自重によるタワミが大きくなり、多数枚のウェハを効率良く収納することが困難になってきた。
【0006】
そのため、簡便かつ安価な方法で、従来以上に広い間隔でウェハ周縁部を保持したり、ウェハの裏面を保持したりして、ウェハのタワミを最小限に抑えて効率良く収納することができるウェハ収納容器を提供する必要性が生じてきた。
すなわち、従来のウェハ収納容器は、300mm以上の大口径ウェハや0.3mm以下の薄型ウェハなどのタワミを最小限に抑えて、多数枚のウェハを効率良く収納することができないという課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のウェハ収納容器は、少なくとも1つの容器開口を有する収納容器本体と、前記収納容器本体内部に設けられたウェハ支持構造を有するウェハ収納容器であって、前記ウェハ支持構造は、当該ウェハ支持構造を前記収納容器本体に取り付けて固定する固定部と、前記固定部を中央にして連結され開閉自在に構成された一対のウェハ支持体とからなり、前記一対のウェハ支持体には当該ウェハ支持体を閉じることによってウェハの端部を挿入して支持・固定するスリット状開口が互いに対向して等間隔に形成されており、前記固定部は当該固定部を前記収納容器本体に取り付けるための固定部側取り付け部を有しており、前記収納容器本体の内面には前記固定部を取り付ける収納容器側取り付け部が設けられている構造とした。これによって、前記スリット状開口の長さを変えるだけで任意に広い周縁位置で前記ウェハを保持することが可能となり、ウェハのタワミを最小に抑えてスリット状開口の数に対応する任意の枚数のウェハを収納することが可能となり上記課題を解決することができた。
【0008】
上記ウェハ支持体は複数のサブ支持体に分割されており、前記サブ支持体には上記スリット状開口が少なくとも1つ形成されており、前記サブ支持体は上記固定部との連結部で各々独立に開閉自在となるように構成した。あるいはまた、前記ウェハ支持体は弾性材料からなる複数のサブ支持体に分割されており、前記サブ支持体には上記スリット状開口が少なくとも1つ形成されており、前記サブ支持体は各々独立に弾性的に変形して開閉自在となるように構成した。この結果、個々のウェハの収納と取り出しを1枚ずつ容易に行うことができるようになった。
【0009】
上記ウェハ支持体は所定の開位置または閉位置またはその両方で開き角度を保持できるように構成した。これには例えば、前記ウェハ支持体を開いた位置を固定するための開ストッパを有した構造にした。具体的には、上記固定部と上記ウェハ支持体はヒンジで連結し、前記ウェハ支持体における前記固定部側近接端部には弾性的ひっかけ部を形成し、前記ウェハ支持体が開状態のとき当該ウェハ支持体における前記固定部側近接端部が前記弾性的ひっかけ部にひっかけて固定し、この状態で前記ウェハ支持体を閉じようとするときは前記弾性的ひっかけ部が変形して前記固定側近接端部が外れる構造とした。さらにまた、前記収納容器本体に、前記ウェハ支持体を閉じて前記ウェハを支持・固定する位置を固定するための閉ストッパを形成した。このようにすることによって、前記ウェハ支持体の開閉を確実に行うことができるようになった。
【0010】
さらに、上記スリット状開口の平面形状はウェハ面方向に略平行な二辺からなる上下辺と、当該二辺と鈍角で交わる二辺で形成される一対の側辺、または長軸側の半楕円で形成される一対の側辺とから形成される形状とした。そして、前記スリット状開口の側辺を形成する二辺が交わって形成する頂角は、鋭角となるようにした。このようにすることによって、前記ウェハを前記スリット状開口に挿入したときに脱落することなく安定してウェハを保持することが可能となった。
【0011】
そして、上記スリット状開口を構成する上下辺の各々は上記ウェハの最近接表面から0.5〜24mm離間して形成した。このようにすることで、前記ウェハを前記スリット状開口に挿入して保持したときに、前記ウェハの自重によるタワミや、外部衝撃によるタワミが発生しても前記ウェハの表面および裏面が前記上下辺に当って損傷を受けたり、汚染されたりすることがなくなった。
【0012】
特に、上記スリット状開口を構成する上下辺における下辺の少なくとも一か所を凸状戴置部を形成することにより、上記ウェハの裏面を最小面積で支持することが可能とすることができ、よりタワミの少ないウェハ支持を可能とすることができた。
【0013】
さらにまた、上記収納容器本体と、前記収納容器本体の上記容器開口を塞ぐ蓋体と、当該蓋体と前記収納容器本体との間にあって前記容器開口を前記蓋体で塞いだときに当該収納容器本体の内部を外部環境から気密に保持するシールを少なくとも有する構造とすることにより、外部環境からの粒子等による汚染を回避したウェハ収納を可能とした。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明のウェハ収納容器は、収納容器本体内部に取り付けられたウェハ支持構造に形成された開閉自在なウェハ支持体を閉じて、そのウェハ支持体に形成されたスリット状開口に収納するウェハの周縁部を挿入してこのウェハを挟持することで、300mmを超える大口径のウェハや、0.3mmよりも薄いウェハであっても、そのタワミを最小限に抑えて安全に効率良く収納することが可能となるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明のウェハ収納容器について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は本発明のウェハ収納容器に係わる1実施形態の構成を示す模式的斜視透視図である。図1において、1は収納容器本体、2は容器開口、3はウェハ支持構造、4は固定部、5aと5bは連結部、6aと6bはウェハ支持体、7aと7bはスリット状開口、8は固定部側取り付け部、9は収納容器側取り付け部である。
【0017】
図1に示したウェハ収納容器は1枚のウェハを収納して用いるためのものである。図1において示される収納容器本体は、図を見やすくするために収納容器本体1が破線で描画されている。
【0018】
収納容器本体1は図面手前側に容器開口2を有しており、ウェハの洗浄や一時保管に用いられる収納容器である。そのため、収納容器本体1はポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトンあるいはフッ素樹脂などの耐薬品性の大きな高分子材料で形成される場合が多い。
【0019】
ウェハ支持構造3は、固定部4とウェハ支持体6a、6bが連結部5a、5bで連結された構造を有している。この連結部5a、5bは、ウェハ支持体6a、6bが連結部5a、5bで開閉自在となるように、一体型ヒンジ構造となっていてもよいし、固定部4にウェハ支持体6a、6bをはめ込んで形成されたヒンジ構造となっていてもよい。また、後述するように、ウェハ支持体6a、6bが弾性的に変形して開閉可能な場合は、連結部5a、5bはウェハ支持体6a、6bを固定部4に固定して連結してもよい。
【0020】
固定部4には固定部側取り付け部8が形成されており、収納容器本体1の内面に設けられた収納容器側取り付け部9と協働して固定部4を収納容器本体1の内部に固定して取り付けられるようになっている。本実施形態では、固定部側取り付け部8は4つの開口で形成されており、収納容器側取り付け部9は固定部側取り付け部8に挿入されて係合するひっかけ構造となっている。言うまでもなく、例えば固定部側取り付け部8を嵌合穴とし収納容器側取り付け部9をその嵌合穴に圧入して取り付けるなどの、この実施形態以外の固定方法を用いても良い。また、固定部側取り付け部8と収納容器側取り付け部9の数は、図1に示した4箇所である必要はなく、両者が充分な機械的強度を保持して取り付けられる数およびその配置関係であればこれ以外の数量でも問題はない。
【0021】
ウェハ支持体6a、6bには一対のスリット状開口7aと7bが対向して形成されている。この開口7a、7bは細長いスリット状の形状をしており、図示していないウェハの周縁部を挿入してウェハ支持体7a、7bを閉じることによってウェハを支持固定する機能を有している。このスリット状開口7a、7bにウェハを挿入して支持するために、ウェハ支持体6a、6bはウェハを損傷せず滑らかに出し入れすることができるように、滑り性に優れた柔らかい材料で構成するのが望ましい。このウェハ支持体6a、6bを構成する材料としては、収納容器と同じ高分子材料であるポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトンあるいはフッ素樹脂に加えて、ポリエチレン、ポリエチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマーなどを用いることができる。
【0022】
図7は本発明のウェハ収納容器におけるウェハ支持体に形成されたスリット状開口の位置に関する説明図であり、図7(a)はスリット状開口位置が収納容器本体の容器開口に近い場合、図7(b)はスリット状開口位置が収納容器本体の容器開口から遠い場合を示している。図7(a)と(b)において、2は容器開口、3はウェハ支持構造、7aと7bはスリット状開口、14はウェハである。図7(a)に示すように、スリット状開口7a、7bが容器開口2に近い場合は、ウェハ14の容器開口2側の一部が容器開口2からはみだして図示しない蓋体と干渉する場合が生じる。図7(b)に示すように、スリット状開口7a、7bが容器開口2から遠い場合は、ウェハ14の容器開口2側の一部が容器開口2からはみだすことなく図示しない蓋体と干渉することはない。このどちらの場合においても、スリット状開口7a、7bの長さが同じ場合はこれらがウェハ14を支持する位置はおおよそ同じ位置で安定して支持することが可能となる。
【0023】
図1に示す実施形態においては、ウェハを1枚しか収納することはできないが、ウェハ支持体6a、6bにスリット状開口7a、7bを複数対形成することによって、複数のウェハを収納することが可能となる。図5に複数のウェハを収納可能な本発明のウェハ収納容器に関わる他の実施形態を示す。
【0024】
図5は本発明のウェハ収納容器に係わる他の実施形態を示す斜視図であり、1は収納容器本体、2は容器開口、3はウェハ支持構造、12は蓋体、13はシールである。図5に示すウェハ収納容器は、複数枚のウェハを収納容器本体1の内部に収納して、シール13を介して蓋体12で収納容器本体1の容器開口2を気密に塞ぐことによって、収納されたウェハを外部環境から気密に隔離して収納することが可能なミニエンバイロメントを構成できるようになっている。このようなウェハ収納容器としては、ウェハを工場間で輸送するために用いられるウェハ出荷容器やウェハをクリーンルーム工程内で搬送するために用いられるウェハ工程内容器が良く知られている。
【0025】
図5に示すウェハ収納容器に用いられているウェハ支持構造3は複数のスリット状開口を有するウェハ支持体を有しているために、複数のウェハを収納することができる。図5に示されている実施形態では13枚のウェハを収納できる構成が示されているが、収納できるウェハの枚数は、2枚、6枚、11枚、25枚あるいはそれ以外の枚数であってもよい。
【0026】
これらのウェハ収納容器における収納容器1や蓋体12を構成する材料としては、不純物ガス発生が少ない高純度なポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、およびフッ素樹脂などの高分子材料が用いられる。特に、ウェハ工程内容器では前記高分子材料にカーボンファイバーやカーボンパウダーあるいはカーボンナノチューブなどの導電性フィラーを混合して非帯電性または導電性を付与したものを用いるのが一般的である。もちろん、ウェハ工程内容器として用いる場合は、ウェハ支持構造3に用いる材料として、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリエチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマーなどの高分子材料にカーボンファイバーやカーボンパウダーあるいはカーボンナノチューブなどの導電性フィラーを混合して非帯電性または導電性を付与したものを用いるのが望ましい。
【0027】
次に、図5に示したような複数のウェハを支持することが可能なウェハ支持構造について説明する。図2は本発明のウェハ収納容器に用いたウェハ支持構造の1実施例を示した模式的斜視図である。図2において、図1と同様の作用を有する要素には同一の符号を付し、その説明を省略した。
【0028】
図2に示すウェハ支持構造3が図1に示すウェハ支持構造と異なっている点は、ウェハ支持体6aと6bには複数対のスリット状開口7a、7bが形成されている点である。ウェハ支持体6aに形成されているスリット状開口7aとウェハ支持体6bに形成されている開口7bとは互いに1対1に対向して形成されており、これらウェハ支持体6aと6bとを互いに閉じるときに、これら対向したスリット状開口7a、7bには1枚のウェハの周縁部が両側から挿入され挟持されてそのウェハを保持する。
【0029】
図2において、スリット支持体6aと6bは連結部5aと5bで固定部4に連結されている。この連結部5a、5bは、ウェハ支持体6a、6bが連結部5a、5bで開閉自在となるように一体型ヒンジ構造となっているか、固定部4にウェハ支持体6a、6bをはめ込んで形成されたヒンジ構造となっている。したがって、図2に示すウェハ支持体6a、6bは連結部5a、5bで自在に開閉することができる。
【0030】
図2に示す実施形態では、片側1枚のウェハ支持体6aおよび6bに複数のスリット状開口7aおよび7bが形成されているために、ウェハの挿入または取り出し操作は処理したいウェハ全てに対して同時に行う。すなわち、支持体6aおよび6bが開いた状態にしておき、複数のウェハを同時に戴置ハンドで掴んだ状態で、全てのウェハの周縁部が各開口7aおよび7bに挿入可能な位置にこれらウェハを移動させ、その後ウェハ支持体6aと6bを同時に閉じて複数のウェハを同時に挟持して支持および保持し、その後戴置ハンドを抜き出して行う。一方、ウェハを容器から取り出すときは、全てのウェハを戴置ハンドで同時に掴み、その後ウェハ支持体6aと6bを開いて全てのウェハの周縁部をスリット状開口7aと7bから抜き取ってから、戴置ハンドを引き抜いて全てのウェハを同時に取り出す。このようにして、図2に示したウェハ支持構造3は、ウェハの同時出し入れという操作に適したものとなっている。
【0031】
しかしながら、図2に示したように全てのウェハを同時にウェハ収納容器に出し入れする場合は限られており、多くの場合はウェハを1枚ずつ出し入れする(図2に示した本発明のウェハ支持構造においても個別に動作する戴置ハンドを用いる場合には、ウェハを1枚ずつ出し入れすることが可能であるが、戴置ハンドの構造が複雑になるなどの問題点がある)。そこで、複数枚のウェハを収納可能なウェハ収納容器に用いられるウェハ支持構造において、ウェハを1枚ずつ出し入れ可能なものの実施形態について説明する。
【0032】
図3は本発明のウェハ収納容器に用いたウェハ支持構造の1実施例を示した模式的斜視図である。図3において、10aと10bはサブ支持体である。なお、図1と同様の作用を有する要素には同一の符号を付し、その説明を省略した。
【0033】
図3に示すウェハ支持構造3が図2に示すウェハ支持構造と異なっている点は、ウェハ支持体6aおよび6bが各々サブ支持体10aおよび10bに分割されており、サブ支持体10aおよび10bの各々に対してスリット状開口7aおよび7bが形成されている点である。このようにウェハ支持体6a、6bをサブ支持体10a、10bに分割して、その各々にスリット状開口7a、7bを形成することによって、これらサブ支持体10a、10bを各々独立に開閉させることが可能となり、その結果、任意のサブ支持体10a、10bにウェハを1枚ずつ独立に出し入れすることが可能となる。
【0034】
次に、図2と図3に示したウェハ支持体を用いた場合にウェハを出し入れするときの、ウェハ支持体の動作を説明する。図8は本発明のウェハ収納容器にウェハを入れる方法を示した説明図であり、図8(a)は初期状態を示した図であり、図8(b)はウェハ支持体を開いた状態を示した図であり、図8(c)はウェハを容器に入れた状態を示した図であり、図8(d)はウェハを入れ終わった状態を示した図である。図8において14はウェハである。なお、図8において、図2と図3と同じ作用を有する要素には同一の符号を付し、その説明を省略した。
【0035】
図8(a)に示す初期状態においては、ウェハ支持体6aと6b(サブ支持体10a、10b)は閉じた状態にある。このとき連結部5a、5bはヒンジで構成されており、ウェハ支持体6a、6b(サブ支持体10a、10b)は連結部5a、5bを回転中心として図8(b)の矢印で示される方向に開くことができる。次に、図8(c)で示されるようにウェハ支持体6a、6b(サブ支持体10a、10b)を開いた状態でスリット状開口7a、7bと同じ高さ位置にウェハ14を入れ、図8(d)のようにウェハ支持体6a、6b(サブ支持体10a、10b)を閉じるとウェハ14の周縁部の一部がスリット状開口7a、7bに挿入され、さらにウェハ支持体6a、6b(サブ支持体10a、10b)を閉じることによってウェハ14はスリット状開口7a、7bの両端部分で挟持されて支持・保持される。
【0036】
図10はスリット状開口の端部で保持されているウェハ14の状態を模式的に示した断面図であり、6(6a、6b)はウェハ支持体、7(7a、7b)はスリット状開口、14はウェハ、15はウェハ表面、16はウェハ裏面、17はウェハベベル面、18はウェハ端面である。
【0037】
図10に示されるように、ウェハ14はその周縁部をスリット状開口7に挿入されると同時にウェハ支持体6で挟持されることによって、上下のウェハベベル17がスリット状開口7の端部で押し付けられて支持および保持される。このとき支持および保持されるウェハベベル17の領域はウェハ支持体6の厚み程度の小さな面積領域である。また、支持および保持されるときのウェハベベル17に印加される力は、V溝で押し付けて保持する場合と同程度に均一である。
【0038】
一方、図8からも分かるように、図10のウェハベベル17が押え付けられる位置は、スリット状開口7を円形ウェハ17の弦とみなすと、その弦の中心角として90度近傍とすることができる。すなわち、ウェハ14の全周をほぼ4等分できる程度の広い角度分布で支持および保持することが可能となるため、保持されるウェハのタワミを最小にすることが可能となる。
【0039】
図4は本発明のウェハ収納容器に用いたウェハ支持構造に係る他の実施形態を示す斜視図である。図4において、11aと11bは固定連結部である。なお、図4では、図3と同様の作用を有する要素には同一の符号を付しその説明を省略した。
【0040】
図4に示したウェハ支持構造3が図3に示したウェハ支持構造3と異なっている点は、ウェハ支持体6a、6bをサブ支持体10a、10bに分割する切り込みが連結部11a、11bにまで達しておらず、また固定連結部11a、11bは開閉自在なヒンジ構造を持っておらず固定して連結ざれていることである。
【0041】
サブ支持体10a、10bすなわちウェハ支持体6a、6bは弾性的に変形可能な材料で形成されている。このような材料としては、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、あるいはポリエチレンなどの高分子材料や、ステンレス鋼やリン青銅などのバネ性を持った金属材料の表面を前記高分子材料やポリエチレンエラストマーあるいはオレフィンエラストマーなどで被覆した構造のもので形成することができる。
【0042】
図4に示したウェハ支持構造を用いた本発明のウェハ収納容器にウェハを出し入れする方法について説明する。図9は、本発明のウェハ収納容器にウェハを入れる方法を示した説明図であり、図9(a)は初期状態を示した図であり、図9(b)はウェハ支持体を開いた状態を示した図であり、図9(c)はウェハを容器に入れた状態を示した図であり、図9(d)はウェハを入れ終わった状態を示した図である。なお、図9において、図8と同じ作用を有する要素には同一の符号を付しその説明を省略した。
【0043】
図9(a)に示す初期状態においては、ウェハ支持体6aと6b(サブ支持体10a、10b)は閉じた状態にある。このとき連結部11a、11bは固定して構成されている。ウェハ支持体6a、6b(サブ支持体10a、10b)は弾性的に上記の変形可能な材料で形成されているために、図9(b)の矢印で示される方向に変形して開くことができる。この変形はウェハ支持体6a、6bが形成されている切り込みの根元まで連続的に発生する。次に、図9(c)で示されるようにウェハ支持体6a、6b(サブ支持体10a、10b)を開いた状態でスリット状開口7a、7bと同じ高さ位置にウェハ14を入れ、図9(d)のようにウェハ支持体6a、6b(サブ支持体10a、10b)にかける外力を解除して矢印の方向に閉じるとウェハ14の周縁部の一部がスリット状開口7a、7bに挿入され、さらにウェハ支持体6a、6b(サブ支持体10a、10b)を閉じることによってウェハ14はスリット状開口7a、7bの両端部分で挟持されて支持・保持される。
【0044】
図3や図9に示す実施形態におけるウェハ14の保持状態も図10に示したものと同様となる。
【0045】
次に、ウェハ支持体6aと6bに形成されているスリット状開口7a、7bの開口形状について説明する。図11は本発明のウェハ収納容器に形成されているスリット状開口形状の基本構成を示した模式図で、図11(a)は第一の形状を示した模式図であり、図11(b)は第二の形状を示した模式図である。図11において、7はスリット状開口、19は上下辺、19aは上辺、19bは下辺、20は第一側辺、20aは第一側辺上辺、20bは第一側辺下辺、21は第二側辺、21aは第二側辺上辺、21bは第二側辺下辺である。
【0046】
図11(a)に示すスリット状開口の第一の形状は、開口全周が直線で形成されている。すなわち、ウェハの径方向に平行な上辺19aと下辺19bとで形成される上下辺19、第一側辺上辺20aと第一側辺下辺20bとで形成される第一側辺20、および第二側辺上辺21aと第二側辺下辺21bとで形成される第二側辺21とで囲繞された領域が開口となって形成されている。第一側辺上辺20aと第一側辺下辺20bとはスリット状開口7の頂角が鋭角になるように互いに交わっている。また、第二側辺上辺21aと第二側辺下辺21bとはスリット状開口7の頂角が鋭角になるように互いに交わっている。
これら第一側辺20および第二側辺21が形成する頂角が鈍角となると図10に示したウェハべベル面17に対する押圧力が小さくなるため、安定してウェハを保持することができなくなってしまう。
【0047】
また、第一側辺上辺20aと第二側辺上辺21aは上辺19aに対して鈍角で交わってスリット状開口7を形成している。さらに、第一側辺下辺20bと第二側辺下辺21bは下辺19bに対して鈍角で交わってスリット状開口7を形成している。これらの交わり角が鋭角になると、第一側辺20と第二側辺21が形成する頂角は180度以上となってしまい、ウェハを全く支持および保持できなくなってしまう。
【0048】
一方、図11(b)に示すスリット状開口の第二の形状は、ウェハの径方向に平行な二直線と一対の長軸側の半楕円で形成されている。ここで、長軸側の半楕円とは、楕円長軸の半分と短軸とで構成される楕円の半領域のことを意味している。この場合も半楕円と上下辺との交点は鈍角で交じっている。また、この場合に、ウェハをしっかりと支持および保持するためには、前記半楕円の楕円率はより小さな値の方がよい。具体的には2/3程度以下であることが望ましい。
【0049】
次に、スリット状開口の形状に関してより詳細な説明をする。図12は本発明のウェハ収納容器に形成されているスリット状開口の種々の代表的な形状を示した説明図であり、図12(a)は第一詳細形状を示した説明図であり、図12(b)は第二詳細形状を示した説明図であり、図12(c)は第三詳細形状を示した説明図であり、図12(d)は第四詳細形状を示した説明図である。図12において、22は突状載置部である。なお、図12において、図10および図11と同様の作用を有する要素には同一の符号を付しその説明を省略した。なお、図12では、図11(b)で示した第二の形状のスリット状開口を基本としたときの種々の代表形状を示したものであるが、図11(a)で示した第一の形状を基本としても本質的に変わることはない。
【0050】
まず、図12(a)の第一詳細形状は図11(b)に示した第二の形状と同等であり、図10に示されるようにスリット状開口7の半楕円部分でウェハべベル面が押えられることによってウェハを支持および保持する。この第一詳細形状は、ウェハ14の表面と上辺19aとの距離、およびウェハ14の裏面と下辺19bとの距離を最小に保つことが可能であり、収納時のウェハピッチを最小にすることが可能な形状である。このとき、ウェハ14の表面と上辺19aとの距離、およびウェハ14の裏面と下辺19bとの距離をおよそ0.5mm程度に狭くしても、開口の長さにも依存するがスリット状開口7の両端でのタワミ量は最大でも0.5mm以下に押えることができるため、特にウェハ工程内容器のように外部から加わる機械的衝撃力が小さな環境で用いる場合は、ウェハ収納時のピッチを7mm程度に狭くすることが可能となる。
【0051】
図12(b)に示した第二詳細形状は、図12(a)に示した第一詳細形状におけるスリット状開口7の上辺19aをウェハ14の表面から遠ざけて形成したものである。ウェハ出荷容器など輸送時の外部衝撃力が大きな用途においては、その外部衝撃によってウェハ14が弾性的に大きく撓んでしまう場合がある。そのタワミは、100Gの外部衝撃力がウェハ14に作用した場合、最大で18〜23mm程度となる。その衝撃力でウェハ14が変形してその表面がスリット状開口7の上辺19aに当たり損傷を受けないように、ウェハ14の表面と上辺19aとの間隔を最大で25mm程度離間させて形成している。この場合は、外部衝撃によってはウェハ14の裏面は下辺19bに当ってしまうことが課題となる。
【0052】
図12(c)の第三詳細形状は、図12(b)の第二詳細形状の下辺をも最大で25mm程度離間させて形成したものである。このようにすることで、例え100Gの外部衝撃力がウェハ14に作用したとしても、ウェハ14の表面と裏面の両方ともスリット状開口7に当って損傷を受けることがなくなる。
【0053】
図12(d)に示した第四詳細形状は、特に450mmウェハなどの超大口径ウェハ用の工程内容器などに用いられるものであって、最初からウェハ14の裏面を突状載置部22で支持した状態で、ウェハ14の周縁部(ウェハべベル面)を保持している。このようにすることで、ウェハ14のタワミを最小に抑えることが可能となる。このウェハ14のタワミが最小になるスリット状開口7の最適長さがあることは言うまでもない。また、この第四詳細形状においては、上辺19aとウェハ14の表面との距離を空けて、表面の損傷生じないようになっている。450mmウェハ工程内容器として用いる場合に、工程内で発生する加速度は最大でも4G程度であり、このとき必要なウェハ表面とスリット状開口7の上辺19aとの間隙は1mm程度以下でよい。このようにすることによって、450mmという超大口径ウェハであっても、ウェハ収納容器への収納ピッチを従来の300mmウェハ収納容器の収納ピッチと同程度の10mmとすることが可能となる。
【0054】
以上説明してきたウェハ支持体は、所定の開位置または閉位置またはその両方で開き角度を保持できるように構成されていることが望ましい。それは、ウェハ支持体を確実に開位置や閉位置で固定することによって、ウェハ収納容器から安全にウェハを出し入れすることができるようにするためである。特に、図4や図9で説明したようなウェハ支持体においては、少なくともウェハ支持体またはサブ支持体が開位置で開き角の保持ができるようになっていないと、ウェハ支持体が弾性的にもとの位置に戻ってしまうためにウェハの収納が困難になってしまう。もちろん、ウェハを出し入れするためのロボットハンドによってウェハ支持体の開位置や閉位置の開き角を保持することも可能である。
【0055】
このようにウェハ支持体の開位置や閉位置の開き角を保持するために、ウェハ支持体が所定の角度になったときにその場所で固定されるように開ストッパや閉ストッパを設けることが望ましい。
【0056】
図13は本発明のウェハ収納容器における連結部に形成された開ストッパの作用を説明するための説明図であり、図13(a)はウェハ支持体が開いているときを示す説明図、図13(b)はウェハ支持体が閉じているときを示す説明図である。図13において、4は固定部、6aはウェハ支持体、23は弾性的ひっかけ部、24は固定部側近接端部、25はヒンジである。図13において、ウェハ支持体6aは固定部4とヒンジ25で連結されており開閉自在となっている。一方、固定部4のウェハ支持体6a側には弾性的ひっかけ部23が形成されている。図13(a)では、ウェハ支持体6aの固定部側近接端部24が固定部4の弾性的ひっかけ部23にひっかかって固定されている。ウェハ支持体6aが開いて図13(a)で示される位置にくると弾性的ひっかけ部23が変形してウェハ支持体6aの固定部側近接端部24がひっかかるようになっている。
【0057】
一方、ウェハ支持体6aが閉じると図13(b)に示すように弾性的ひっかけ部23は変形してウェハ支持体6aの固定部側近接端部24がはずれてウェハ支持体6aはヒンジ25の回りに自在に開閉できるようになる。このようにして、図13に示す連結部においては、ウェハ支持体6aが開いた所定の角度位置で固定され、それ以外の角度位置では開閉自在になるようにされている。
【0058】
図14は本発明のウェハ収納容器における開ストッパと閉ストッパの作用を説明するための説明図であり、図14(a)はウェハ支持体が閉じているときを示す説明図、図14(b)はウェハ支持体が開いているときを示す説明図である。図14において、4は固定部、5aと5bは連結部、6aと6bはウェハ支持体、26aと26bは閉ストッパ、27aと27bは開ストッパである。
【0059】
図14(a)に示すようにウェハ支持体が閉じているときは、ウェハ支持体6a、6bの端部は閉ストッパ26a、26bの止め溝に係合されて固定されている。そのため、ウェハ支持体6a、6bがこの閉ストッパから外れるような大きな外力が作用しない限り、ウェハを安定して支持・固定することができる。
【0060】
次に、閉ストッパ26a、26bから強制的にウェハ支持体6a、6bを外して、連結部5a、5bに設けられたヒンジを中心にしてウェハ支持体6a、6bを開き、その端部を開ストッパ27aに係合させて固定した状態を示したのが図14(b)である。このように、ウェハ支持体6a、6bの端部を開ストッパ27a、27bに固定することによって、図示しないロボットハンドで図示しないウェハを取り出す操作を行っている動作中に、外部からの何らかの影響を受けてウェハ支持体6aまたは6bが取り出し操作に干渉するような事故を起こすことはなくなる。
【0061】
図14に示されている閉ストッパ26a、26bや開ストッパ27a、27bは、図示しない収納容器本体の開口部近傍に取り付けられている。しかし、ウェハ支持体26a、26bの閉ストッパ26a、26bや開ストッパ27a、27bへの係合部が、収納容器本体のより内部に設けられている場合は、これら閉ストッパや開ストッパをそれに対応させて収納容器本体の内部に取り付けても構わない。
【0062】
これら閉ストッパや開ストッパは、ウェハ支持体と確実に係合できるようにウェハ支持体を形成する材料との摩擦係数や弾性力や硬度に関する最適化を行って選定された高分子材料を用いるのが望ましい。
【0063】
以上説明したように、本発明のウェハ収納容器は、少なくとも1つの容器開口を有する収納容器本体と、前記収納容器本体内部に設けられたウェハ支持構造を有するウェハ収納容器であって、前記ウェハ支持構造は、当該ウェハ支持構造を前記収納容器本体に取り付けて固定する固定部と、前記固定部を中央にして連結され開閉自在に構成された一対のウェハ支持体とからなり、前記一対のウェハ支持体には当該ウェハ支持体を閉じることによってウェハの端部を挿入して支持・固定するスリット状開口が互いに対向して等間隔に形成されており、前記固定部は当該固定部を前記収納容器本体に取り付けるための固定部側取り付け部を有しており、前記収納容器本体の内面には前記固定部を取り付ける収納容器側取り付け部が設けられている構造とした。これによって、300mmを超える大口径ウェハや0.3mm程度以下の薄いウェハを、これらのタワミを最小限に抑えて安全に収納することが可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、半導体ウエハを搬送あるいは保管するために用いられるウエハ収納容器を使用する半導体産業に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、本発明のウェハ収納容器に係わる1実施形態の構成を示す模式的斜視透視図である。
【図2】図2は、ウェハ支持構造の1実施例を示した模式的斜視図である。
【図3】図3は、ウェハ支持構造の1実施例を示した模式的斜視図である。
【図4】図4は、ウェハ支持構造の1実施例を示した模式的斜視図である。
【図5】図5は、本発明のウェハ収納容器に係わる他の実施形態を示す斜視図である。
【図6】図6は、従来のウェハ収納容器の構成を示す一部破断斜視図である。
【図7】図7は、本発明のウェハ収納容器におけるウェハ支持体に形成されたスリット状開口の位置に関する説明図である。図7(a)はスリット状開口位置が収納容器本体の容器開口に近い場合の説明図であり、図7(b)はスリット状開口位置が収納容器本体の容器開口から遠い場合の説明図である。
【図8】図8は、本発明のウェハ収納容器にウェハを入れる方法を示した説明図である。図8(a)は初期状態を示した説明図であり、図8(b)はウェハ支持体を開いた状態を示した説明図であり、図8(c)はウェハを容器に入れた状態を示した説明図であり、図8(d)はウェハを入れ終わった状態を示した説明図である。
【図9】図9は、本発明のウェハ収納容器にウェハを入れる方法を示した説明図である。図9(a)はウェハ支持体が閉じた初期状態を示した説明図であり、図9(b)はウェハ支持体を開いた状態を示した説明図であり、図9(c)はウェハを容器に入れた状態を示した説明図であり、図9(d)はウェハを入れ終わった状態を示した説明図である。
【図10】図10は、スリット状開口の端部で保持されているウェハの状態を模式的に示した断面図である。
【図11】図11は、本発明のウェハ収納容器に形成されているスリット状開口形状の基本構成を示した模式図である。図11(a)は第一の形状を示した模式図であり、図11(b)は第二の形状を示した模式図である。
【図12】図12は、本発明のウェハ収納容器に形成されているスリット状開口の種々の代表的な形状を示した説明図である。図12(a)はスリット状開口の第一詳細形状を示した説明図であり、図12(b)はスリット状開口の第二詳細形状を示した説明図であり、図12(c)はスリット状開口の第三詳細形状を示した説明図であり、図12(d)はスリット状開口の第四詳細形状を示した説明図である。
【図13】図13は、本発明のウェハ収納容器における連結部に形成された開ストッパの作用を説明するための説明図である。図13(a)はウェハ支持体が開いているときを示す説明図であり、図13(b)はウェハ支持体が閉じているときを示す説明図である。
【図14】図14は、本発明のウェハ収納容器における開ストッパと閉ストッパの作用を説明するための説明図である。図14(a)はウェハ支持体が閉じているときを示す説明図であり、図14(b)はウェハ支持体が開いているときを示す説明図である。
【符号の説明】
【0066】
1・・・収納容器本体、2・・・容器開口、3・・・ウェハ支持構造、4・・・固定部、5a、5b・・・連結部、6、6a、6b・・・ウェハ支持体、
7、7a、7b・・・スリット状開口、10a、10b・・・サブ支持体、
12・・・蓋体、13・・・シール、14・・・ウェハ
【技術分野】
【0001】
本発明はシリコン半導体や化合物半導体などからなるウェハを収納するためのウェハ収納容器であるウェハ洗浄容器、ウェハ保管容器、ウェハ工程内容器あるいはウェハ出荷容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコン半導体や化合物半導体などからなるウェハを収納するためのウェハ収納容器としては、ウェハを一括して洗浄するときに用いるウェハ洗浄容器、加工中または加工済みウェハを一時保管するためのウェハ保管容器、クリーンルーム内のウェハプロセスのため工程内搬送に用いるウェハ工程内容器、さらにはウェハを工場間で搬送するウェハ出荷容器などが良く知られていた。
【0003】
これらのウェハを収納するウェハ収納容器に対しては、表面に形成されている素子の破壊や不純物粒子の発生を最小限に抑えるために、ウェハの周縁部のみを保持するような工夫がなされてきた。
【0004】
例えば、ウェハを多段にかつ等間隔に支持するための多数のリブ片を多段に配設して支持用リブを構成したウェハ収納容器が開示されている(特許文献1と特許文献2)。図6に特許文献1と2に示された支持用リブの構成を示す。図6に示すように、従来のウェハ収納容器においては、収納容器本体100の内側面に沿って多数のリブ片101が形成されており、その結果ウェハの周縁部のみを支持してウェハを収納できるようになっている。
【特許文献1】特開平9−64161
【特許文献2】登録実用新案公報第3020287号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では素子の収率を向上させるために300mmの大口径ウェハが量産投入されたり、さらには次世代ウェハとしてさらに大口径の450mmウェハが検討されたりするようになった。また、素子の小型化・薄型化に伴い化合物半導体においてはウェハの薄型化が進展するようになった。そのため、従来の方法を用いて周縁部を支持するウェハ収納容器では、ウェハの自重によるタワミが大きくなり、多数枚のウェハを効率良く収納することが困難になってきた。
【0006】
そのため、簡便かつ安価な方法で、従来以上に広い間隔でウェハ周縁部を保持したり、ウェハの裏面を保持したりして、ウェハのタワミを最小限に抑えて効率良く収納することができるウェハ収納容器を提供する必要性が生じてきた。
すなわち、従来のウェハ収納容器は、300mm以上の大口径ウェハや0.3mm以下の薄型ウェハなどのタワミを最小限に抑えて、多数枚のウェハを効率良く収納することができないという課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のウェハ収納容器は、少なくとも1つの容器開口を有する収納容器本体と、前記収納容器本体内部に設けられたウェハ支持構造を有するウェハ収納容器であって、前記ウェハ支持構造は、当該ウェハ支持構造を前記収納容器本体に取り付けて固定する固定部と、前記固定部を中央にして連結され開閉自在に構成された一対のウェハ支持体とからなり、前記一対のウェハ支持体には当該ウェハ支持体を閉じることによってウェハの端部を挿入して支持・固定するスリット状開口が互いに対向して等間隔に形成されており、前記固定部は当該固定部を前記収納容器本体に取り付けるための固定部側取り付け部を有しており、前記収納容器本体の内面には前記固定部を取り付ける収納容器側取り付け部が設けられている構造とした。これによって、前記スリット状開口の長さを変えるだけで任意に広い周縁位置で前記ウェハを保持することが可能となり、ウェハのタワミを最小に抑えてスリット状開口の数に対応する任意の枚数のウェハを収納することが可能となり上記課題を解決することができた。
【0008】
上記ウェハ支持体は複数のサブ支持体に分割されており、前記サブ支持体には上記スリット状開口が少なくとも1つ形成されており、前記サブ支持体は上記固定部との連結部で各々独立に開閉自在となるように構成した。あるいはまた、前記ウェハ支持体は弾性材料からなる複数のサブ支持体に分割されており、前記サブ支持体には上記スリット状開口が少なくとも1つ形成されており、前記サブ支持体は各々独立に弾性的に変形して開閉自在となるように構成した。この結果、個々のウェハの収納と取り出しを1枚ずつ容易に行うことができるようになった。
【0009】
上記ウェハ支持体は所定の開位置または閉位置またはその両方で開き角度を保持できるように構成した。これには例えば、前記ウェハ支持体を開いた位置を固定するための開ストッパを有した構造にした。具体的には、上記固定部と上記ウェハ支持体はヒンジで連結し、前記ウェハ支持体における前記固定部側近接端部には弾性的ひっかけ部を形成し、前記ウェハ支持体が開状態のとき当該ウェハ支持体における前記固定部側近接端部が前記弾性的ひっかけ部にひっかけて固定し、この状態で前記ウェハ支持体を閉じようとするときは前記弾性的ひっかけ部が変形して前記固定側近接端部が外れる構造とした。さらにまた、前記収納容器本体に、前記ウェハ支持体を閉じて前記ウェハを支持・固定する位置を固定するための閉ストッパを形成した。このようにすることによって、前記ウェハ支持体の開閉を確実に行うことができるようになった。
【0010】
さらに、上記スリット状開口の平面形状はウェハ面方向に略平行な二辺からなる上下辺と、当該二辺と鈍角で交わる二辺で形成される一対の側辺、または長軸側の半楕円で形成される一対の側辺とから形成される形状とした。そして、前記スリット状開口の側辺を形成する二辺が交わって形成する頂角は、鋭角となるようにした。このようにすることによって、前記ウェハを前記スリット状開口に挿入したときに脱落することなく安定してウェハを保持することが可能となった。
【0011】
そして、上記スリット状開口を構成する上下辺の各々は上記ウェハの最近接表面から0.5〜24mm離間して形成した。このようにすることで、前記ウェハを前記スリット状開口に挿入して保持したときに、前記ウェハの自重によるタワミや、外部衝撃によるタワミが発生しても前記ウェハの表面および裏面が前記上下辺に当って損傷を受けたり、汚染されたりすることがなくなった。
【0012】
特に、上記スリット状開口を構成する上下辺における下辺の少なくとも一か所を凸状戴置部を形成することにより、上記ウェハの裏面を最小面積で支持することが可能とすることができ、よりタワミの少ないウェハ支持を可能とすることができた。
【0013】
さらにまた、上記収納容器本体と、前記収納容器本体の上記容器開口を塞ぐ蓋体と、当該蓋体と前記収納容器本体との間にあって前記容器開口を前記蓋体で塞いだときに当該収納容器本体の内部を外部環境から気密に保持するシールを少なくとも有する構造とすることにより、外部環境からの粒子等による汚染を回避したウェハ収納を可能とした。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明のウェハ収納容器は、収納容器本体内部に取り付けられたウェハ支持構造に形成された開閉自在なウェハ支持体を閉じて、そのウェハ支持体に形成されたスリット状開口に収納するウェハの周縁部を挿入してこのウェハを挟持することで、300mmを超える大口径のウェハや、0.3mmよりも薄いウェハであっても、そのタワミを最小限に抑えて安全に効率良く収納することが可能となるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明のウェハ収納容器について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は本発明のウェハ収納容器に係わる1実施形態の構成を示す模式的斜視透視図である。図1において、1は収納容器本体、2は容器開口、3はウェハ支持構造、4は固定部、5aと5bは連結部、6aと6bはウェハ支持体、7aと7bはスリット状開口、8は固定部側取り付け部、9は収納容器側取り付け部である。
【0017】
図1に示したウェハ収納容器は1枚のウェハを収納して用いるためのものである。図1において示される収納容器本体は、図を見やすくするために収納容器本体1が破線で描画されている。
【0018】
収納容器本体1は図面手前側に容器開口2を有しており、ウェハの洗浄や一時保管に用いられる収納容器である。そのため、収納容器本体1はポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトンあるいはフッ素樹脂などの耐薬品性の大きな高分子材料で形成される場合が多い。
【0019】
ウェハ支持構造3は、固定部4とウェハ支持体6a、6bが連結部5a、5bで連結された構造を有している。この連結部5a、5bは、ウェハ支持体6a、6bが連結部5a、5bで開閉自在となるように、一体型ヒンジ構造となっていてもよいし、固定部4にウェハ支持体6a、6bをはめ込んで形成されたヒンジ構造となっていてもよい。また、後述するように、ウェハ支持体6a、6bが弾性的に変形して開閉可能な場合は、連結部5a、5bはウェハ支持体6a、6bを固定部4に固定して連結してもよい。
【0020】
固定部4には固定部側取り付け部8が形成されており、収納容器本体1の内面に設けられた収納容器側取り付け部9と協働して固定部4を収納容器本体1の内部に固定して取り付けられるようになっている。本実施形態では、固定部側取り付け部8は4つの開口で形成されており、収納容器側取り付け部9は固定部側取り付け部8に挿入されて係合するひっかけ構造となっている。言うまでもなく、例えば固定部側取り付け部8を嵌合穴とし収納容器側取り付け部9をその嵌合穴に圧入して取り付けるなどの、この実施形態以外の固定方法を用いても良い。また、固定部側取り付け部8と収納容器側取り付け部9の数は、図1に示した4箇所である必要はなく、両者が充分な機械的強度を保持して取り付けられる数およびその配置関係であればこれ以外の数量でも問題はない。
【0021】
ウェハ支持体6a、6bには一対のスリット状開口7aと7bが対向して形成されている。この開口7a、7bは細長いスリット状の形状をしており、図示していないウェハの周縁部を挿入してウェハ支持体7a、7bを閉じることによってウェハを支持固定する機能を有している。このスリット状開口7a、7bにウェハを挿入して支持するために、ウェハ支持体6a、6bはウェハを損傷せず滑らかに出し入れすることができるように、滑り性に優れた柔らかい材料で構成するのが望ましい。このウェハ支持体6a、6bを構成する材料としては、収納容器と同じ高分子材料であるポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトンあるいはフッ素樹脂に加えて、ポリエチレン、ポリエチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマーなどを用いることができる。
【0022】
図7は本発明のウェハ収納容器におけるウェハ支持体に形成されたスリット状開口の位置に関する説明図であり、図7(a)はスリット状開口位置が収納容器本体の容器開口に近い場合、図7(b)はスリット状開口位置が収納容器本体の容器開口から遠い場合を示している。図7(a)と(b)において、2は容器開口、3はウェハ支持構造、7aと7bはスリット状開口、14はウェハである。図7(a)に示すように、スリット状開口7a、7bが容器開口2に近い場合は、ウェハ14の容器開口2側の一部が容器開口2からはみだして図示しない蓋体と干渉する場合が生じる。図7(b)に示すように、スリット状開口7a、7bが容器開口2から遠い場合は、ウェハ14の容器開口2側の一部が容器開口2からはみだすことなく図示しない蓋体と干渉することはない。このどちらの場合においても、スリット状開口7a、7bの長さが同じ場合はこれらがウェハ14を支持する位置はおおよそ同じ位置で安定して支持することが可能となる。
【0023】
図1に示す実施形態においては、ウェハを1枚しか収納することはできないが、ウェハ支持体6a、6bにスリット状開口7a、7bを複数対形成することによって、複数のウェハを収納することが可能となる。図5に複数のウェハを収納可能な本発明のウェハ収納容器に関わる他の実施形態を示す。
【0024】
図5は本発明のウェハ収納容器に係わる他の実施形態を示す斜視図であり、1は収納容器本体、2は容器開口、3はウェハ支持構造、12は蓋体、13はシールである。図5に示すウェハ収納容器は、複数枚のウェハを収納容器本体1の内部に収納して、シール13を介して蓋体12で収納容器本体1の容器開口2を気密に塞ぐことによって、収納されたウェハを外部環境から気密に隔離して収納することが可能なミニエンバイロメントを構成できるようになっている。このようなウェハ収納容器としては、ウェハを工場間で輸送するために用いられるウェハ出荷容器やウェハをクリーンルーム工程内で搬送するために用いられるウェハ工程内容器が良く知られている。
【0025】
図5に示すウェハ収納容器に用いられているウェハ支持構造3は複数のスリット状開口を有するウェハ支持体を有しているために、複数のウェハを収納することができる。図5に示されている実施形態では13枚のウェハを収納できる構成が示されているが、収納できるウェハの枚数は、2枚、6枚、11枚、25枚あるいはそれ以外の枚数であってもよい。
【0026】
これらのウェハ収納容器における収納容器1や蓋体12を構成する材料としては、不純物ガス発生が少ない高純度なポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、およびフッ素樹脂などの高分子材料が用いられる。特に、ウェハ工程内容器では前記高分子材料にカーボンファイバーやカーボンパウダーあるいはカーボンナノチューブなどの導電性フィラーを混合して非帯電性または導電性を付与したものを用いるのが一般的である。もちろん、ウェハ工程内容器として用いる場合は、ウェハ支持構造3に用いる材料として、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリエチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマーなどの高分子材料にカーボンファイバーやカーボンパウダーあるいはカーボンナノチューブなどの導電性フィラーを混合して非帯電性または導電性を付与したものを用いるのが望ましい。
【0027】
次に、図5に示したような複数のウェハを支持することが可能なウェハ支持構造について説明する。図2は本発明のウェハ収納容器に用いたウェハ支持構造の1実施例を示した模式的斜視図である。図2において、図1と同様の作用を有する要素には同一の符号を付し、その説明を省略した。
【0028】
図2に示すウェハ支持構造3が図1に示すウェハ支持構造と異なっている点は、ウェハ支持体6aと6bには複数対のスリット状開口7a、7bが形成されている点である。ウェハ支持体6aに形成されているスリット状開口7aとウェハ支持体6bに形成されている開口7bとは互いに1対1に対向して形成されており、これらウェハ支持体6aと6bとを互いに閉じるときに、これら対向したスリット状開口7a、7bには1枚のウェハの周縁部が両側から挿入され挟持されてそのウェハを保持する。
【0029】
図2において、スリット支持体6aと6bは連結部5aと5bで固定部4に連結されている。この連結部5a、5bは、ウェハ支持体6a、6bが連結部5a、5bで開閉自在となるように一体型ヒンジ構造となっているか、固定部4にウェハ支持体6a、6bをはめ込んで形成されたヒンジ構造となっている。したがって、図2に示すウェハ支持体6a、6bは連結部5a、5bで自在に開閉することができる。
【0030】
図2に示す実施形態では、片側1枚のウェハ支持体6aおよび6bに複数のスリット状開口7aおよび7bが形成されているために、ウェハの挿入または取り出し操作は処理したいウェハ全てに対して同時に行う。すなわち、支持体6aおよび6bが開いた状態にしておき、複数のウェハを同時に戴置ハンドで掴んだ状態で、全てのウェハの周縁部が各開口7aおよび7bに挿入可能な位置にこれらウェハを移動させ、その後ウェハ支持体6aと6bを同時に閉じて複数のウェハを同時に挟持して支持および保持し、その後戴置ハンドを抜き出して行う。一方、ウェハを容器から取り出すときは、全てのウェハを戴置ハンドで同時に掴み、その後ウェハ支持体6aと6bを開いて全てのウェハの周縁部をスリット状開口7aと7bから抜き取ってから、戴置ハンドを引き抜いて全てのウェハを同時に取り出す。このようにして、図2に示したウェハ支持構造3は、ウェハの同時出し入れという操作に適したものとなっている。
【0031】
しかしながら、図2に示したように全てのウェハを同時にウェハ収納容器に出し入れする場合は限られており、多くの場合はウェハを1枚ずつ出し入れする(図2に示した本発明のウェハ支持構造においても個別に動作する戴置ハンドを用いる場合には、ウェハを1枚ずつ出し入れすることが可能であるが、戴置ハンドの構造が複雑になるなどの問題点がある)。そこで、複数枚のウェハを収納可能なウェハ収納容器に用いられるウェハ支持構造において、ウェハを1枚ずつ出し入れ可能なものの実施形態について説明する。
【0032】
図3は本発明のウェハ収納容器に用いたウェハ支持構造の1実施例を示した模式的斜視図である。図3において、10aと10bはサブ支持体である。なお、図1と同様の作用を有する要素には同一の符号を付し、その説明を省略した。
【0033】
図3に示すウェハ支持構造3が図2に示すウェハ支持構造と異なっている点は、ウェハ支持体6aおよび6bが各々サブ支持体10aおよび10bに分割されており、サブ支持体10aおよび10bの各々に対してスリット状開口7aおよび7bが形成されている点である。このようにウェハ支持体6a、6bをサブ支持体10a、10bに分割して、その各々にスリット状開口7a、7bを形成することによって、これらサブ支持体10a、10bを各々独立に開閉させることが可能となり、その結果、任意のサブ支持体10a、10bにウェハを1枚ずつ独立に出し入れすることが可能となる。
【0034】
次に、図2と図3に示したウェハ支持体を用いた場合にウェハを出し入れするときの、ウェハ支持体の動作を説明する。図8は本発明のウェハ収納容器にウェハを入れる方法を示した説明図であり、図8(a)は初期状態を示した図であり、図8(b)はウェハ支持体を開いた状態を示した図であり、図8(c)はウェハを容器に入れた状態を示した図であり、図8(d)はウェハを入れ終わった状態を示した図である。図8において14はウェハである。なお、図8において、図2と図3と同じ作用を有する要素には同一の符号を付し、その説明を省略した。
【0035】
図8(a)に示す初期状態においては、ウェハ支持体6aと6b(サブ支持体10a、10b)は閉じた状態にある。このとき連結部5a、5bはヒンジで構成されており、ウェハ支持体6a、6b(サブ支持体10a、10b)は連結部5a、5bを回転中心として図8(b)の矢印で示される方向に開くことができる。次に、図8(c)で示されるようにウェハ支持体6a、6b(サブ支持体10a、10b)を開いた状態でスリット状開口7a、7bと同じ高さ位置にウェハ14を入れ、図8(d)のようにウェハ支持体6a、6b(サブ支持体10a、10b)を閉じるとウェハ14の周縁部の一部がスリット状開口7a、7bに挿入され、さらにウェハ支持体6a、6b(サブ支持体10a、10b)を閉じることによってウェハ14はスリット状開口7a、7bの両端部分で挟持されて支持・保持される。
【0036】
図10はスリット状開口の端部で保持されているウェハ14の状態を模式的に示した断面図であり、6(6a、6b)はウェハ支持体、7(7a、7b)はスリット状開口、14はウェハ、15はウェハ表面、16はウェハ裏面、17はウェハベベル面、18はウェハ端面である。
【0037】
図10に示されるように、ウェハ14はその周縁部をスリット状開口7に挿入されると同時にウェハ支持体6で挟持されることによって、上下のウェハベベル17がスリット状開口7の端部で押し付けられて支持および保持される。このとき支持および保持されるウェハベベル17の領域はウェハ支持体6の厚み程度の小さな面積領域である。また、支持および保持されるときのウェハベベル17に印加される力は、V溝で押し付けて保持する場合と同程度に均一である。
【0038】
一方、図8からも分かるように、図10のウェハベベル17が押え付けられる位置は、スリット状開口7を円形ウェハ17の弦とみなすと、その弦の中心角として90度近傍とすることができる。すなわち、ウェハ14の全周をほぼ4等分できる程度の広い角度分布で支持および保持することが可能となるため、保持されるウェハのタワミを最小にすることが可能となる。
【0039】
図4は本発明のウェハ収納容器に用いたウェハ支持構造に係る他の実施形態を示す斜視図である。図4において、11aと11bは固定連結部である。なお、図4では、図3と同様の作用を有する要素には同一の符号を付しその説明を省略した。
【0040】
図4に示したウェハ支持構造3が図3に示したウェハ支持構造3と異なっている点は、ウェハ支持体6a、6bをサブ支持体10a、10bに分割する切り込みが連結部11a、11bにまで達しておらず、また固定連結部11a、11bは開閉自在なヒンジ構造を持っておらず固定して連結ざれていることである。
【0041】
サブ支持体10a、10bすなわちウェハ支持体6a、6bは弾性的に変形可能な材料で形成されている。このような材料としては、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、あるいはポリエチレンなどの高分子材料や、ステンレス鋼やリン青銅などのバネ性を持った金属材料の表面を前記高分子材料やポリエチレンエラストマーあるいはオレフィンエラストマーなどで被覆した構造のもので形成することができる。
【0042】
図4に示したウェハ支持構造を用いた本発明のウェハ収納容器にウェハを出し入れする方法について説明する。図9は、本発明のウェハ収納容器にウェハを入れる方法を示した説明図であり、図9(a)は初期状態を示した図であり、図9(b)はウェハ支持体を開いた状態を示した図であり、図9(c)はウェハを容器に入れた状態を示した図であり、図9(d)はウェハを入れ終わった状態を示した図である。なお、図9において、図8と同じ作用を有する要素には同一の符号を付しその説明を省略した。
【0043】
図9(a)に示す初期状態においては、ウェハ支持体6aと6b(サブ支持体10a、10b)は閉じた状態にある。このとき連結部11a、11bは固定して構成されている。ウェハ支持体6a、6b(サブ支持体10a、10b)は弾性的に上記の変形可能な材料で形成されているために、図9(b)の矢印で示される方向に変形して開くことができる。この変形はウェハ支持体6a、6bが形成されている切り込みの根元まで連続的に発生する。次に、図9(c)で示されるようにウェハ支持体6a、6b(サブ支持体10a、10b)を開いた状態でスリット状開口7a、7bと同じ高さ位置にウェハ14を入れ、図9(d)のようにウェハ支持体6a、6b(サブ支持体10a、10b)にかける外力を解除して矢印の方向に閉じるとウェハ14の周縁部の一部がスリット状開口7a、7bに挿入され、さらにウェハ支持体6a、6b(サブ支持体10a、10b)を閉じることによってウェハ14はスリット状開口7a、7bの両端部分で挟持されて支持・保持される。
【0044】
図3や図9に示す実施形態におけるウェハ14の保持状態も図10に示したものと同様となる。
【0045】
次に、ウェハ支持体6aと6bに形成されているスリット状開口7a、7bの開口形状について説明する。図11は本発明のウェハ収納容器に形成されているスリット状開口形状の基本構成を示した模式図で、図11(a)は第一の形状を示した模式図であり、図11(b)は第二の形状を示した模式図である。図11において、7はスリット状開口、19は上下辺、19aは上辺、19bは下辺、20は第一側辺、20aは第一側辺上辺、20bは第一側辺下辺、21は第二側辺、21aは第二側辺上辺、21bは第二側辺下辺である。
【0046】
図11(a)に示すスリット状開口の第一の形状は、開口全周が直線で形成されている。すなわち、ウェハの径方向に平行な上辺19aと下辺19bとで形成される上下辺19、第一側辺上辺20aと第一側辺下辺20bとで形成される第一側辺20、および第二側辺上辺21aと第二側辺下辺21bとで形成される第二側辺21とで囲繞された領域が開口となって形成されている。第一側辺上辺20aと第一側辺下辺20bとはスリット状開口7の頂角が鋭角になるように互いに交わっている。また、第二側辺上辺21aと第二側辺下辺21bとはスリット状開口7の頂角が鋭角になるように互いに交わっている。
これら第一側辺20および第二側辺21が形成する頂角が鈍角となると図10に示したウェハべベル面17に対する押圧力が小さくなるため、安定してウェハを保持することができなくなってしまう。
【0047】
また、第一側辺上辺20aと第二側辺上辺21aは上辺19aに対して鈍角で交わってスリット状開口7を形成している。さらに、第一側辺下辺20bと第二側辺下辺21bは下辺19bに対して鈍角で交わってスリット状開口7を形成している。これらの交わり角が鋭角になると、第一側辺20と第二側辺21が形成する頂角は180度以上となってしまい、ウェハを全く支持および保持できなくなってしまう。
【0048】
一方、図11(b)に示すスリット状開口の第二の形状は、ウェハの径方向に平行な二直線と一対の長軸側の半楕円で形成されている。ここで、長軸側の半楕円とは、楕円長軸の半分と短軸とで構成される楕円の半領域のことを意味している。この場合も半楕円と上下辺との交点は鈍角で交じっている。また、この場合に、ウェハをしっかりと支持および保持するためには、前記半楕円の楕円率はより小さな値の方がよい。具体的には2/3程度以下であることが望ましい。
【0049】
次に、スリット状開口の形状に関してより詳細な説明をする。図12は本発明のウェハ収納容器に形成されているスリット状開口の種々の代表的な形状を示した説明図であり、図12(a)は第一詳細形状を示した説明図であり、図12(b)は第二詳細形状を示した説明図であり、図12(c)は第三詳細形状を示した説明図であり、図12(d)は第四詳細形状を示した説明図である。図12において、22は突状載置部である。なお、図12において、図10および図11と同様の作用を有する要素には同一の符号を付しその説明を省略した。なお、図12では、図11(b)で示した第二の形状のスリット状開口を基本としたときの種々の代表形状を示したものであるが、図11(a)で示した第一の形状を基本としても本質的に変わることはない。
【0050】
まず、図12(a)の第一詳細形状は図11(b)に示した第二の形状と同等であり、図10に示されるようにスリット状開口7の半楕円部分でウェハべベル面が押えられることによってウェハを支持および保持する。この第一詳細形状は、ウェハ14の表面と上辺19aとの距離、およびウェハ14の裏面と下辺19bとの距離を最小に保つことが可能であり、収納時のウェハピッチを最小にすることが可能な形状である。このとき、ウェハ14の表面と上辺19aとの距離、およびウェハ14の裏面と下辺19bとの距離をおよそ0.5mm程度に狭くしても、開口の長さにも依存するがスリット状開口7の両端でのタワミ量は最大でも0.5mm以下に押えることができるため、特にウェハ工程内容器のように外部から加わる機械的衝撃力が小さな環境で用いる場合は、ウェハ収納時のピッチを7mm程度に狭くすることが可能となる。
【0051】
図12(b)に示した第二詳細形状は、図12(a)に示した第一詳細形状におけるスリット状開口7の上辺19aをウェハ14の表面から遠ざけて形成したものである。ウェハ出荷容器など輸送時の外部衝撃力が大きな用途においては、その外部衝撃によってウェハ14が弾性的に大きく撓んでしまう場合がある。そのタワミは、100Gの外部衝撃力がウェハ14に作用した場合、最大で18〜23mm程度となる。その衝撃力でウェハ14が変形してその表面がスリット状開口7の上辺19aに当たり損傷を受けないように、ウェハ14の表面と上辺19aとの間隔を最大で25mm程度離間させて形成している。この場合は、外部衝撃によってはウェハ14の裏面は下辺19bに当ってしまうことが課題となる。
【0052】
図12(c)の第三詳細形状は、図12(b)の第二詳細形状の下辺をも最大で25mm程度離間させて形成したものである。このようにすることで、例え100Gの外部衝撃力がウェハ14に作用したとしても、ウェハ14の表面と裏面の両方ともスリット状開口7に当って損傷を受けることがなくなる。
【0053】
図12(d)に示した第四詳細形状は、特に450mmウェハなどの超大口径ウェハ用の工程内容器などに用いられるものであって、最初からウェハ14の裏面を突状載置部22で支持した状態で、ウェハ14の周縁部(ウェハべベル面)を保持している。このようにすることで、ウェハ14のタワミを最小に抑えることが可能となる。このウェハ14のタワミが最小になるスリット状開口7の最適長さがあることは言うまでもない。また、この第四詳細形状においては、上辺19aとウェハ14の表面との距離を空けて、表面の損傷生じないようになっている。450mmウェハ工程内容器として用いる場合に、工程内で発生する加速度は最大でも4G程度であり、このとき必要なウェハ表面とスリット状開口7の上辺19aとの間隙は1mm程度以下でよい。このようにすることによって、450mmという超大口径ウェハであっても、ウェハ収納容器への収納ピッチを従来の300mmウェハ収納容器の収納ピッチと同程度の10mmとすることが可能となる。
【0054】
以上説明してきたウェハ支持体は、所定の開位置または閉位置またはその両方で開き角度を保持できるように構成されていることが望ましい。それは、ウェハ支持体を確実に開位置や閉位置で固定することによって、ウェハ収納容器から安全にウェハを出し入れすることができるようにするためである。特に、図4や図9で説明したようなウェハ支持体においては、少なくともウェハ支持体またはサブ支持体が開位置で開き角の保持ができるようになっていないと、ウェハ支持体が弾性的にもとの位置に戻ってしまうためにウェハの収納が困難になってしまう。もちろん、ウェハを出し入れするためのロボットハンドによってウェハ支持体の開位置や閉位置の開き角を保持することも可能である。
【0055】
このようにウェハ支持体の開位置や閉位置の開き角を保持するために、ウェハ支持体が所定の角度になったときにその場所で固定されるように開ストッパや閉ストッパを設けることが望ましい。
【0056】
図13は本発明のウェハ収納容器における連結部に形成された開ストッパの作用を説明するための説明図であり、図13(a)はウェハ支持体が開いているときを示す説明図、図13(b)はウェハ支持体が閉じているときを示す説明図である。図13において、4は固定部、6aはウェハ支持体、23は弾性的ひっかけ部、24は固定部側近接端部、25はヒンジである。図13において、ウェハ支持体6aは固定部4とヒンジ25で連結されており開閉自在となっている。一方、固定部4のウェハ支持体6a側には弾性的ひっかけ部23が形成されている。図13(a)では、ウェハ支持体6aの固定部側近接端部24が固定部4の弾性的ひっかけ部23にひっかかって固定されている。ウェハ支持体6aが開いて図13(a)で示される位置にくると弾性的ひっかけ部23が変形してウェハ支持体6aの固定部側近接端部24がひっかかるようになっている。
【0057】
一方、ウェハ支持体6aが閉じると図13(b)に示すように弾性的ひっかけ部23は変形してウェハ支持体6aの固定部側近接端部24がはずれてウェハ支持体6aはヒンジ25の回りに自在に開閉できるようになる。このようにして、図13に示す連結部においては、ウェハ支持体6aが開いた所定の角度位置で固定され、それ以外の角度位置では開閉自在になるようにされている。
【0058】
図14は本発明のウェハ収納容器における開ストッパと閉ストッパの作用を説明するための説明図であり、図14(a)はウェハ支持体が閉じているときを示す説明図、図14(b)はウェハ支持体が開いているときを示す説明図である。図14において、4は固定部、5aと5bは連結部、6aと6bはウェハ支持体、26aと26bは閉ストッパ、27aと27bは開ストッパである。
【0059】
図14(a)に示すようにウェハ支持体が閉じているときは、ウェハ支持体6a、6bの端部は閉ストッパ26a、26bの止め溝に係合されて固定されている。そのため、ウェハ支持体6a、6bがこの閉ストッパから外れるような大きな外力が作用しない限り、ウェハを安定して支持・固定することができる。
【0060】
次に、閉ストッパ26a、26bから強制的にウェハ支持体6a、6bを外して、連結部5a、5bに設けられたヒンジを中心にしてウェハ支持体6a、6bを開き、その端部を開ストッパ27aに係合させて固定した状態を示したのが図14(b)である。このように、ウェハ支持体6a、6bの端部を開ストッパ27a、27bに固定することによって、図示しないロボットハンドで図示しないウェハを取り出す操作を行っている動作中に、外部からの何らかの影響を受けてウェハ支持体6aまたは6bが取り出し操作に干渉するような事故を起こすことはなくなる。
【0061】
図14に示されている閉ストッパ26a、26bや開ストッパ27a、27bは、図示しない収納容器本体の開口部近傍に取り付けられている。しかし、ウェハ支持体26a、26bの閉ストッパ26a、26bや開ストッパ27a、27bへの係合部が、収納容器本体のより内部に設けられている場合は、これら閉ストッパや開ストッパをそれに対応させて収納容器本体の内部に取り付けても構わない。
【0062】
これら閉ストッパや開ストッパは、ウェハ支持体と確実に係合できるようにウェハ支持体を形成する材料との摩擦係数や弾性力や硬度に関する最適化を行って選定された高分子材料を用いるのが望ましい。
【0063】
以上説明したように、本発明のウェハ収納容器は、少なくとも1つの容器開口を有する収納容器本体と、前記収納容器本体内部に設けられたウェハ支持構造を有するウェハ収納容器であって、前記ウェハ支持構造は、当該ウェハ支持構造を前記収納容器本体に取り付けて固定する固定部と、前記固定部を中央にして連結され開閉自在に構成された一対のウェハ支持体とからなり、前記一対のウェハ支持体には当該ウェハ支持体を閉じることによってウェハの端部を挿入して支持・固定するスリット状開口が互いに対向して等間隔に形成されており、前記固定部は当該固定部を前記収納容器本体に取り付けるための固定部側取り付け部を有しており、前記収納容器本体の内面には前記固定部を取り付ける収納容器側取り付け部が設けられている構造とした。これによって、300mmを超える大口径ウェハや0.3mm程度以下の薄いウェハを、これらのタワミを最小限に抑えて安全に収納することが可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、半導体ウエハを搬送あるいは保管するために用いられるウエハ収納容器を使用する半導体産業に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、本発明のウェハ収納容器に係わる1実施形態の構成を示す模式的斜視透視図である。
【図2】図2は、ウェハ支持構造の1実施例を示した模式的斜視図である。
【図3】図3は、ウェハ支持構造の1実施例を示した模式的斜視図である。
【図4】図4は、ウェハ支持構造の1実施例を示した模式的斜視図である。
【図5】図5は、本発明のウェハ収納容器に係わる他の実施形態を示す斜視図である。
【図6】図6は、従来のウェハ収納容器の構成を示す一部破断斜視図である。
【図7】図7は、本発明のウェハ収納容器におけるウェハ支持体に形成されたスリット状開口の位置に関する説明図である。図7(a)はスリット状開口位置が収納容器本体の容器開口に近い場合の説明図であり、図7(b)はスリット状開口位置が収納容器本体の容器開口から遠い場合の説明図である。
【図8】図8は、本発明のウェハ収納容器にウェハを入れる方法を示した説明図である。図8(a)は初期状態を示した説明図であり、図8(b)はウェハ支持体を開いた状態を示した説明図であり、図8(c)はウェハを容器に入れた状態を示した説明図であり、図8(d)はウェハを入れ終わった状態を示した説明図である。
【図9】図9は、本発明のウェハ収納容器にウェハを入れる方法を示した説明図である。図9(a)はウェハ支持体が閉じた初期状態を示した説明図であり、図9(b)はウェハ支持体を開いた状態を示した説明図であり、図9(c)はウェハを容器に入れた状態を示した説明図であり、図9(d)はウェハを入れ終わった状態を示した説明図である。
【図10】図10は、スリット状開口の端部で保持されているウェハの状態を模式的に示した断面図である。
【図11】図11は、本発明のウェハ収納容器に形成されているスリット状開口形状の基本構成を示した模式図である。図11(a)は第一の形状を示した模式図であり、図11(b)は第二の形状を示した模式図である。
【図12】図12は、本発明のウェハ収納容器に形成されているスリット状開口の種々の代表的な形状を示した説明図である。図12(a)はスリット状開口の第一詳細形状を示した説明図であり、図12(b)はスリット状開口の第二詳細形状を示した説明図であり、図12(c)はスリット状開口の第三詳細形状を示した説明図であり、図12(d)はスリット状開口の第四詳細形状を示した説明図である。
【図13】図13は、本発明のウェハ収納容器における連結部に形成された開ストッパの作用を説明するための説明図である。図13(a)はウェハ支持体が開いているときを示す説明図であり、図13(b)はウェハ支持体が閉じているときを示す説明図である。
【図14】図14は、本発明のウェハ収納容器における開ストッパと閉ストッパの作用を説明するための説明図である。図14(a)はウェハ支持体が閉じているときを示す説明図であり、図14(b)はウェハ支持体が開いているときを示す説明図である。
【符号の説明】
【0066】
1・・・収納容器本体、2・・・容器開口、3・・・ウェハ支持構造、4・・・固定部、5a、5b・・・連結部、6、6a、6b・・・ウェハ支持体、
7、7a、7b・・・スリット状開口、10a、10b・・・サブ支持体、
12・・・蓋体、13・・・シール、14・・・ウェハ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの容器開口を有する収納容器本体と、前記収納容器本体内部に設けられたウェハ支持構造を有するウェハ収納容器であって、
前記ウェハ支持構造は、
当該ウェハ支持構造を前記収納容器本体に取り付けて固定する固定部と、
前記固定部を中央にして連結され開閉自在に構成された一対のウェハ支持体とからなり、
前記一対のウェハ支持体には当該ウェハ支持体を閉じることによってウェハの端部を挿入して支持・固定するスリット状開口が互いに対向して等間隔に形成されており、
前記固定部は、当該固定部を前記収納容器本体に取り付けるための固定部側取り付け部を有しており、
前記収納容器本体の内面には、前記固定部を取り付ける収納容器側取り付け部が設けられていることを特徴とするウェハ収納容器。
【請求項2】
上記ウェハ支持体は複数のサブ支持体に分割されており、前記サブ支持体には上記スリット状開口が少なくとも1つ形成されており、前記サブ支持体は上記固定部との連結部で各々独立に開閉自在となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のウェハ収納容器。
【請求項3】
上記ウェハ支持体は弾性材料からなる複数のサブ支持体に分割されており、前記サブ支持体には上記スリット状開口が少なくとも1つ形成されており、前記サブ支持体は各々独立に弾性的に変形して開閉自在となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のウェハ収納容器。
【請求項4】
上記ウェハ支持体は所定の開位置または閉位置またはその両方で開き角度を保持できるように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のウェハ収納容器。
【請求項5】
前記ウェハ支持体を開いた位置を固定するための開ストッパを有していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のウェハ収納容器。
【請求項6】
上記固定部と上記ウェハ支持体はヒンジで連結されており、前記ウェハ支持体における前記固定部側近接端部には弾性的ひっかけ部が形成されており、前記ウェハ支持体が開状態のとき当該ウェハ支持体における前記固定部側近接端部が前記弾性的ひっかけ部にひっかかり固定され、この状態で前記ウェハ支持体を閉じようとするときは前記弾性的ひっかけ部が変形して前記固定側近接端部が外れる構造となっていることを特徴とする請求項5に記載のウェハ収納容器。
【請求項7】
上記収納容器本体は、上記ウェハ支持体を閉じて上記ウェハを支持・固定する位置を固定するための閉ストッパを有していることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のウェハ収納容器。
【請求項8】
上記スリット状開口の平面形状はウェハ面方向に略平行な二辺からなる上下辺と、当該上下辺と鈍角で交わる二辺で形成される一対の側辺、または長軸側の半楕円で形成される一対の側辺とから形成される形状をしてなることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のウェハ収納容器。
【請求項9】
上記スリット状開口の側辺を形成する二辺が交わって形成する頂角は鋭角となっていることを特徴とする請求項8に記載のウェハ収納容器。
【請求項10】
上記スリット状開口を構成する上下辺の各々は上記ウェハの最近接表面から0.5〜25mm離間して形成されていることを特徴とする請求項8と9に記載のウェハ収納容器。
【請求項11】
上記スリット状開口を構成する上下辺における下辺の少なくとも一か所に凸状戴置部を形成することにより、上記ウェハの裏面を最小面積で支持することが可能であることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載のウェハ収納容器。
【請求項12】
上記収納容器本体と、前記収納容器本体の上記容器開口を塞ぐ蓋体と、当該蓋体と前記収納容器本体との間にあって前記容器開口を前記蓋体で塞いだときに当該収納容器本体の内部を外部環境から気密に保持するシールを少なくとも有することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のウェハ収納容器。
【請求項1】
少なくとも1つの容器開口を有する収納容器本体と、前記収納容器本体内部に設けられたウェハ支持構造を有するウェハ収納容器であって、
前記ウェハ支持構造は、
当該ウェハ支持構造を前記収納容器本体に取り付けて固定する固定部と、
前記固定部を中央にして連結され開閉自在に構成された一対のウェハ支持体とからなり、
前記一対のウェハ支持体には当該ウェハ支持体を閉じることによってウェハの端部を挿入して支持・固定するスリット状開口が互いに対向して等間隔に形成されており、
前記固定部は、当該固定部を前記収納容器本体に取り付けるための固定部側取り付け部を有しており、
前記収納容器本体の内面には、前記固定部を取り付ける収納容器側取り付け部が設けられていることを特徴とするウェハ収納容器。
【請求項2】
上記ウェハ支持体は複数のサブ支持体に分割されており、前記サブ支持体には上記スリット状開口が少なくとも1つ形成されており、前記サブ支持体は上記固定部との連結部で各々独立に開閉自在となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のウェハ収納容器。
【請求項3】
上記ウェハ支持体は弾性材料からなる複数のサブ支持体に分割されており、前記サブ支持体には上記スリット状開口が少なくとも1つ形成されており、前記サブ支持体は各々独立に弾性的に変形して開閉自在となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のウェハ収納容器。
【請求項4】
上記ウェハ支持体は所定の開位置または閉位置またはその両方で開き角度を保持できるように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のウェハ収納容器。
【請求項5】
前記ウェハ支持体を開いた位置を固定するための開ストッパを有していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のウェハ収納容器。
【請求項6】
上記固定部と上記ウェハ支持体はヒンジで連結されており、前記ウェハ支持体における前記固定部側近接端部には弾性的ひっかけ部が形成されており、前記ウェハ支持体が開状態のとき当該ウェハ支持体における前記固定部側近接端部が前記弾性的ひっかけ部にひっかかり固定され、この状態で前記ウェハ支持体を閉じようとするときは前記弾性的ひっかけ部が変形して前記固定側近接端部が外れる構造となっていることを特徴とする請求項5に記載のウェハ収納容器。
【請求項7】
上記収納容器本体は、上記ウェハ支持体を閉じて上記ウェハを支持・固定する位置を固定するための閉ストッパを有していることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のウェハ収納容器。
【請求項8】
上記スリット状開口の平面形状はウェハ面方向に略平行な二辺からなる上下辺と、当該上下辺と鈍角で交わる二辺で形成される一対の側辺、または長軸側の半楕円で形成される一対の側辺とから形成される形状をしてなることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のウェハ収納容器。
【請求項9】
上記スリット状開口の側辺を形成する二辺が交わって形成する頂角は鋭角となっていることを特徴とする請求項8に記載のウェハ収納容器。
【請求項10】
上記スリット状開口を構成する上下辺の各々は上記ウェハの最近接表面から0.5〜25mm離間して形成されていることを特徴とする請求項8と9に記載のウェハ収納容器。
【請求項11】
上記スリット状開口を構成する上下辺における下辺の少なくとも一か所に凸状戴置部を形成することにより、上記ウェハの裏面を最小面積で支持することが可能であることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載のウェハ収納容器。
【請求項12】
上記収納容器本体と、前記収納容器本体の上記容器開口を塞ぐ蓋体と、当該蓋体と前記収納容器本体との間にあって前記容器開口を前記蓋体で塞いだときに当該収納容器本体の内部を外部環境から気密に保持するシールを少なくとも有することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のウェハ収納容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−206258(P2009−206258A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46175(P2008−46175)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【Fターム(参考)】
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