説明

ウェブページを生成するシステム及び方法

ウェブページを生成する方法及びシステム。好ましくは、該方法及びシステムは、リアルタイム状況に基づいてウェブページを構成する。例示的な方法においては、複数のデータオブジェクトを含むウェブページを受取る。該複数のデータオブジェクトの各々に対して、コンテンツ重要度が評価される。所望の待ち時間目標を満たすように、通信チャネルの現在の回線容量の下で送信することができる使用可能なバイトが推定され、該使用可能な送信バイトは、評価されたコンテンツ重要度に基づいて、該複数のデータオブジェクトの異なるものに配分される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、データ通信である。本発明のより具体的な用途は、無線データ通信である。本発明の別のより具体的な用途は、ワールド・ワイド・ウェブ(“ウェブ”)ページの送信である。
【背景技術】
【0002】
インターネットアクセスは、無線接続を介して、様々な公的及び私的環境において提供される。ワールド・ワイド・ウェブ(“ウェブ”)利用、ファイル転送、マルチメディアアプリケーション及び他の人気のあるアプリケーションは、無線データ通信に対して高度な要求を出す。ユーザは、そのような幅広いアクセスに依存するようになってきている。しかし、それらの経験は、長く、予測不能な待ち時間は、無線接続の共通の特性であるため、職場及び家庭環境で提供される経験とは異なる場合がある。
【0003】
従来の技術は、無線ネットワークを通じて送信する前に、ウェブページの全てのイメージを(静的に決められた要素により)圧縮することにより、無線ウェブブラウジングをより速くしようとするものである。このことは、送信すべきデータの容量を低減し、また、適用した(静的)圧縮の量に依存する一定の要素により、ウェブブラウジング待ち時間を低減する。しかし、このことは、無線ウェブブラウジングにおける根本的な問題、すなわち、ネットワークの回線容量及びエラー状態の変化に関する無線ネットワークの予測不能な性質に対応できず、予測不能で、恒常的に遅い無線ウェブブラウジング速度をもたらす。
【0004】
また、静的圧縮は、品質の悪いイメージをユーザに配信することになる可能性がある。すなわち、そのようなウェブページを配信する無線サービスは、ユーザにとってあまり望ましくなく、無線サービスプロバイダに対しては無駄なビジネスをおよび/またはユーザには不便さをもたらす可能性がある。
【0005】
無線データ通信を改善する他の方法は、無線端末のダイバーシティ及び限界に対応するトランスコーディング技術を含む。トランスコーディング技術は、端末のブラウザ及び表示能力に関して、異なる端末に有効にマップするように、ウェブコンテンツを再フォーマットしようとするものである。しかし、トランスコーディング技術は、ネットワークの状態の変動性には対応せず、その結果、無線ネットワークの速度の変化に直面して、速くかつ一貫した無線ウェブブラウジング体験を提供しようとすることができない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施形態は、ウェブページを生成する方法及びシステムを提供する。例示的な方法においては、複数のオブジェクトを有するウェブページを受信する。該複数のオブジェクトの各々に対して、コンテンツ重要度が評価される。所望の待ち時間目標に合う通信チャネルの現在の回線容量の下で送信することができる使用可能なバイトが推定され、この使用可能な送信バイトは、評価されたコンテンツ重要度に基づいて、該複数のデータオブジェクトの異なるものの間に分散される。1つ以上の該データオブジェクトは、各オブジェクトに対して割当てられたバイトに従って、動的にオブジェクトに固有に形成される。この動的にオブジェクトに固有のシェーピングによって形成された該オブジェクトを含む新たなウェブページが生成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明による好ましい方法及びシステムは、特に、ユーザへのウェブページの改善された配信を提供する。該ユーザにより配信を要求されるウェブページは、例えば、テキスト及びイメージオブジェクト等のデータオブジェクトの収集を含む。好ましい実施形態は、所望の待ち時間目標(ターゲット待ち時間)に合う通信チャネルの現在の回線容量の下で送信することができる使用可能なバイトを推定し、各データオブジェクトに対する特定の評価基準に基づいて、該データオブジェクトの異なるものの間に該使用可能な送信バイトを割当てて、生成されるウェブページへの包含のためのデータオブジェクトを選択し、個々のウェブページオブジェクトのためのサイズを選定することによって、配信を改善する。生成されるウェブページの品質を最大化するため、好ましい方法は、当該オブジェクトのための割当てバイトに基づいて、1つ以上のデータオブジェクトのサイズを選択的に低減する。低減されたデータオブジェクトのセットは、新たなウェブページを生成するために、動的に(すなわち、リアルタイムで)構成される。このようにして、該ウェブページは、リアルタイム状況に基づいて変更される。
【0008】
上記オブジェクトを評価するための2つの好ましい基準は、該オブジェクトに対するコンテンツ重要度と、該オブジェクト間の関係である。該ウェブページの要求時、好ましい方法は、データ収集内の特定のデータオブジェクトの重要度(コンテンツ重要度)および該オブジェクト間の関係(コンテンツ意味論)のために該データオブジェクトの各々を評価する。コンテンツ重要度を評価することは、例えば、コンテンツ重要度のためにオブジェクトを評価する学習アルゴリズムを用いることにより、または、(例えば、第三者によって)提供されるコンテンツパラメータを受取って評価することにより、行うことができる。これらの基準の考慮は、目標とするオブジェクト選択および/またはオブジェクトサイズの低減を可能にする。このことは、要求されたウェブページのための所要の全体的な回線容量を低減し、ターゲット待ち時間を満たすとともに、該ウェブページの品質を最大化する送信を可能にする。
【0009】
例えば、ウェブページに対する要求を前提とすると、好ましい方法及びシステムは、本明細書において、ウェブシェーピングと呼ぶ、リアルタイムでユーザに配信される該ウェブページを再構成する動的技術を提供する。このような方法を実行するデバイスまたはシステムは、本明細書において、ウェブシェーパー(web shaper)と呼ぶ。好ましい実施形態において、ウェブシェーパーは、ターゲット待ち時間内でウェブ要求を果たすと共に、現在のネットワーク状況の下で、ウェブページ品質を最大化する。該ウェブシェーパーは、該ターゲット待ち時間に違反することなく使用可能な現在のネットワーク回線容量の下で送信することができる情報の最大量に近づくかまたは合うように、該ウェブページのコンテンツを動的にシェーピングすることにより、該ターゲット待ち時間を満たす。所要量の情報を送信している間、該好ましいウェブシェーパーは、該ウェブページの表示品質を最大化しようとし、該表示品質は、一般に、該ウェブページに対する重要度によって重み付けられた全てのオブジェクトの品質の総計を指す。
【0010】
表示品質は、例示的な実施形態において、データオブジェクトの重要度および/またはコンテンツ意味論により導かれる該ウェブページ内のデータオブジェクトからなるサブセットを選択し、使用可能なバイトを各選択されたデータオブジェクトに割当てることによって最大化される。具体的には、各オブジェクトの重要度、および該オブジェクト間の関係を考慮することにより、好ましいウェブシェーパーは、特定の制約下で、最高のコンテンツ品質を有するウェブページの生成を可能にする。
【0011】
好ましい方法は、上記ターゲット待ち時間に合う通信チャネルの現在の回線容量の下で送信することができる使用可能なバイトを推定する。例えば、好ましい方法は、推定されたネットワークデータ速度を受取りまたは提供し、使用可能な送信バイトの総数を決める提供された所望の待ち時間制約を有する情報を用いる。この使用可能な送信バイトは、好ましくは、評価されたコンテンツ重要度および/またはコンテンツ意味論基準に従って、異なるデータオブジェクト間に配分される。本発明の実施形態によるウェブページを再構成することは、生成されるウェブページへの包含のためのオブジェクトを選択することと、各オブジェクトのための割当てバイトに合うように該ウェブページ内の1つ以上のデータオブジェクトを動的にオブジェクト固有シェーピングすることとを含む。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によるウェブシェーパーは、一貫した、予め指定されたウェブブラウジング待ち時間を実現できるように、現在経験するネットワーク回線容量により、ウェブページを動的に構成することができる。静的要素に従ってイメージを圧縮することの代わりに、好ましい方法は、該ウェブコンテンツをリアルタイムで解析し、優先度、意味論、および該ウェブページ内の全てのオブジェクトの関係を重んじて、かつネットワーク回線容量の推定及び予め選定された待ち時間制約を考慮して、配信されるウェブページの品質を最大化するために、新たなウェブページを再構成する。初期の研究は、任意の無線ネットワークを超える無線ウェブブラウジング速度の最大10倍までの改善を示し、現在の静的イメージ圧縮ベースの技術と比較して、最大で4倍のウェブブラウジング速度の改善を示す。
【0013】
無線ネットワークの場合、無線ウェブシェーパーの実施形態は、そのような実施形態が、(元のコンテンツから、テキストのみのコンテンツへ、および中間の何らかのバージョンに)どのようなネットワーク及びネットワーク状況にもリアルタイムで適合するように、ウェブコンテンツを増減することができるため、コンテンツプロバイダ及び無線キャリヤの両方に著しく価値のある提案を提供する。好ましいウェブシェーパーの場合、コンテンツプロバイダは、様々な無線ネットワークアクセス技術及び無線端末をサポートするために、ウェブコンテンツの1つのバージョンを維持することのみを必要とする。
【0014】
また、上記ウェブシェーパーは、無線キャリヤが、より低いデータ速度で、より高い収益を伴って、無線ウェブサービスを提供すること、および異なるサービス品質保証制度(Service Level Agreements;SLA)に従ってコンテンツの差別化を提供することを可能にすることができる。本発明の好ましい実施形態は、細い/雑音性の回線を含むどのような種類の無線回線にもウェブコンテンツを最適に適合させることができるため、本発明の実施形態は、1つのセル内のデータ加入者の数を著しく増加させることができると共に、データユーザの満足感の許容レベルを確保できるので、キャリヤのデータARPU(単位あたりまたはユーザあたりの平均収益(average revenue per unit or user))を途方もなく高めることができる。また、好ましいウェブシェーピング方法を用いれば、キャリヤは、例えば、SLAによりコンテンツを増減させることにより、差別化したサービスを提供することが可能である。
【0015】
次に、図面について説明すると、例示的な無線ネットワーク10が図1に示されており、好ましいウェブシェーパー12の実施形態が図2に示されており、例示的なウェブシェーピング方法が図3に示されている。一般的に、ウェブシェーパー12は、ユーザによるデータ通信に対する要求に応じて、データオブジェクトの収集物を含むウェブページコンテンツ14を受取る。非限定的な実施例としてのユーザは、無線GPRSクライアント16、EDGEクライアント18、W−CDMAクライアント20または802.11xクライアント22を含んでもよい。クライアント16、18、20、22は、キャリヤゲートウェイ26を介してインターネット24にアクセスする。基地局制御装置28は、好ましくは、キャリヤ設備の一部として設けられる。一般的な実施例として、好ましい実施形態は、第3世代(3G)の無線データネットワークに適用することができる。
【0016】
ウェブシェーパー12は、例えば、キャリヤゲートウェイ26上に存在するサーバソフトウェアとして具体化することができる。別法として、または追加的に、該サーバソフトウェアは、コンテンツプロバイダ30にあってもよい。コンテンツプロバイダ30は、コンテンツアグリゲータ32および/または無線ウェブホスト34と共に、ウェブページをインターネット24を介してクライアント16、18、20、22へ供給することができる。しかし、本発明の好ましい実施形態の利益は、該コンテンツを、コンテンツプロバイダ30から直接受取ったウェブページ、コンテンツアグリゲータ32から集めたコンテンツ、または無線ウェブホスト34からの無線用とのために既に変更されたコンテンツとすることができるという実施の柔軟性である。
【0017】
ウェブシェーパー12は、サーバへの要求に応じてコンテンツを受取り、該コンテンツをカスタマイズするプロキシサーバとして機能することができる。図2及び図3に示す好ましい方法においては、クライアント16、18、20、22からの要求に応じて、ウェブページコンテンツを含むコンテンツ14が供給される(ステップ100)。このコンテンツは、例えば、関連のあるオブジェクト(例えば、イメージ、テキスト、ジャバスクリプト、CSSファイル等)に構文解析されるHTMLページの形態をとることができる。コンテンツ14は、コンテンツプロバイダ30、コンテンツアグリゲータ32および/または無線ウェブホスト34等のコンテンツサーバからのものであってもよく、該コンテンツは、複数のデータオブジェクトを含む。該ウェブページが該コンテンツサーバ上で更新されない場合、ウェブシェーパー12に対して局所的なキャッシュ(図示せず)は、該ウェブシェーパーによる読取りのために、検索したコンテンツを格納することができる。
【0018】
ウェブシェーパー12が受取ったコンテンツ14は、例えば、イメージ及びHTMLオブジェクトを含む、該ウェブページを形成するオブジェクトの収集物を含む。また、コンテンツパラメータ36も、好ましくは、コンテンツプロバイダ30から該ウェブシェーパーに供給される(ステップ102)。これらのパラメータ36は、例えば、供給された優先度または特定のオブジェクトの重要度を含むことができ、このことは、ウェブシェーパー12によって実行されるコンテンツ重要度の評価を、コンテンツプロバイダ30または他の相手方によってカスタマイズできるようにすることができる。
【0019】
特定のネットワーク状況の下で、クライアント16、18、20、22に使用できるバイト(回線容量)を決定するために、ネットワークデータ速度38及び所望の待ち時間40が、好ましくは、該ウェブシェーパーへ入力として供給される(ステップ102)。該データ速度及び所望の待ち時間を提供することにより、ウェブシェーパー12は、待ち時間制限を破ることなく、動的ネットワーク状況の下で、ウェブページを送信するのに使用可能なバイトの数を判断することができる。
【0020】
所望の待ち時間40は、好ましくは、例えば、コンテンツプロバイダ30、無線ウェブホスト34、キャリヤ26等によって供給される所定の値である。所望の待ち時間とは、一般に、受信すべき要求されたウェブページを待つのにクライアント16、18、20、22が許容可能な時間の量のことを指す。この時間の量は、初期デフォルト値、選択した値、または、1つ以上の様々な方法で決めた値とすることができる(例えば、所望の待ち時間は、特定の無線サービスプランに基づいて、または、特定のコンテンツプロバイダに基づいて、選定することができる)。該待ち時間は、例えば、提供されたまたは推定された使用可能なバイトが、遅いまたは頻繁に中断するデータ通信の可能性を低減するように決定されるように、予め決めることができる。
【0021】
ネットワークデータ速度38は、ネットワーク状況の変化により動的にカスタマイズされるウェブページを生成するために、リアルタイムで上記ウェブシェーパーに供給される。例えば、ビット/秒の数で表すことができるデータ速度38またはネットワーク速度は、様々な方法のうちのいずれかで決めることができる。データ速度38を決める例示的な方法は、キャリヤゲートウェイ26、コンテンツプロバイダ30または無線ウェブホスト34にインストールされたウェブスニファを含む。しかし、プロキシサーバは、これを使用した場合には、接続を中断する可能性がある。該データ速度を推定する別の方法は、イーサリアル(Ethereal)、または、クライアント16、18、20、22にダウンロードされるパケットをモニタリングし、該クライアントが見た、経験データ速度を測定する他の適当なクライアントベースのソフトウェアを用いる。当業者は、ネットワークデータ速度を推定する様々な方法があること、および何らかの適当な方法を、該データ速度38をウェブシェーパー12に供給するために用いることができることを正しく認識するであろう。
【0022】
好ましい実施形態において、データ速度38は、ウェブスクリプト言語(例えば、ジャバスクリプトまたはパール)を、クライアント16、18、20、22によってデータが最初に受信されたとき、および該データが該クライアントに全て受信されたときのためのタイムスタンプを生成するウェブページに挿入することにより、推定される。該ウェブページは、大量のデータを該クライアントに送信することなく、時間情報が望まれた場合に、コンテンツプロバイダ30によって生成されたページとすることができる。別法として、該ウェブページは、現在のネットワーク状況に関する演繹的知識が使用可能でない場合、または、一定量の時間が経過した場合に回線容量の可用性を推定するために、単に該データ速度をテストするために生成されたウェブページであってもよい。新たなウェブページが生成された場合、データ速度を決定する方法の選択は、アプリケーション要件ならびに観測されたネットワーク変動性に基づいて、動的にカスタマイズすることができる。さらに、この選択は、回線容量の推定精度と、費やす時間及び使用する追加的なトラヒックに関する潜在的な諸経費との間に生じるトレードオフを意識して行うことができる。諸経費の特定の制限下で、好ましい方法は、ベストエフォート型ネットワーク回線容量の推定を実現しようと努める。この方法は、好ましくは、(ウェブブラウザを越えて)クライアント16、18、20、22による追加的なソフトウェアダウンロードを回避する。
【0023】
図2及び図3に示すように、供給されたネットワークデータ速度38(例えば、バイト/秒)は、通信チャネルにおける現在の回線容量の下で送信することができると共に、所望の待ち時間を満たすことができる使用可能なバイト41の推定値を計算するために、単純に所望の待ち時間(例えば、秒)が乗じられる(ステップ104)。そして、使用可能なバイト41は、好ましくは、ウェブページの様々なオブジェクトに割当てられ、最終的な変更済みウェブページが(少数の使用可能なバイトに対して)よりテキスト中心になるか、または、(より多くの使用可能なバイトに対して)より多くのイメージを含むことができるかどうかを判断するのに用いることができる。
【0024】
好ましい実施形態において、ジャバスクリプト等のウェブスクリプト言語は、クライアント16、18、20、22に関するデバイス情報を判断するのに用いられ、該デバイス情報もウェブシェーパー12に送られる(ステップ102)。スクリプト言語は、ウェブシェーパー12から該クライアントに送信され、これは、該デバイス情報を送り返すために、該クライアントのウェブブラウザを用いて実施される。このようなデバイス情報は、該クライアントのデバイスの表示サイズ42とデバイス能力44とを含む。表示サイズ42及びデバイス能力は、特定のクライアント16、18、20、22に対する最終的なカスタマイズされたウェブページを最適化するのに有用である。
【0025】
上記デバイス情報は、特定のクライアント16、18、20、22のためのウェブページの最適化を可能にする。カスタマイズ化したコンテンツの品質を最大化するために、コンテンツ14は、コンテンツアナライザ50及びコンテンツ意味論(関連性)アナライザ52を含む1つ以上の解析ステップを通る。一般的に、例示的なコンテンツアナライザ50は、該ウェブページ内の各オブジェクトの相対重要度(すなわち、コンテンツ重要度)を評価して(ステップ106)オブジェクト間の優先度を判断する。
【0026】
例示的な実施形態において、コンテンツアナライザ50は、元のウェブページを入力として採用し、該ウェブページを構文解析して個々のオブジェクトを生成し、該コンテンツ(すなわち、各データオブジェクト)を解析して、関連性のあるアプリケーションレベルのデータ特性、特に、コンテンツ重要度を調べる。好ましくは、該コンテンツアナライザは、該オブジェクトの場合のコンテンツ重要度の態様に対して、該ウェブページを形成する個々のデータオブジェクトの各々を解析し、数として表される優先度を割当て、これは、該ウェブページのためのマークアップ言語に組み込まれる。また、コンテンツアナライザ50は、好ましくは、マークアップ言語で、該ウェブページ上の各オブジェクトのサイズをバイトで生成する。
【0027】
例えば、コンテンツアナライザ50は、ウェブページデータオブジェクトに関する予め特性化された情報を用いて重要度を判断することができる。例示的な実施形態において、ウェブページ(例えば、マークアップ言語)のためのコーディングは、1つ以上のデータオブジェクトの相対重要度をデータ特性化することを含む。より具体的には、コンテンツ重要度は、上記コンテンツサービスプロバイダによって、該コンテンツと共に、タグとして明確に提供することができる。
【0028】
別法として、コンテンツアナライザ50の実施形態は、学習アルゴリズムを用いてコンテンツを分析し、該コンテンツの異なるオブジェクトの重要度を推定することができる。例示的な実施形態において、コンテンツアナライザ50は、各オブジェクトの相対重要度を識別する。好ましい実施形態において、コンテンツアナライザ50は、該ウェブページ内のオブジェクトの物理的位置、該オブジェクトの表示サイズ、HTMLフォーマット化タグ等の個々のデータオブジェクトのいくつかの特性を考慮する発見的アルゴリズムを利用する。
【0029】
コンテンツアナライザ50の場合の上記発見的アルゴリズムの背後の直観は、該ページ上の他のオブジェクトと比較して、各個別のオブジェクトがユーザに対して生成する視覚的影響を識別することである。異なるオブジェクトは、コンテンツ品質全体に対して異なるレベルの重要度で寄与し、例えば、ウェブページ内のナビゲーション目的に用いられるイメージは、他のイメージよりも低い重要度を有することができる。さらに、中央のヘッドラインまたはイメージは、他のテキストまたはイメージよりも高い重要度を有することができる。
【0030】
コンテンツアナライザ50の出力は、HTML及びイメージオブジェクトの各々に割当てられた優先度を有するウェブページである。供給された(または、デフォルトの)コンテンツパラメータ36は、ウェブシェーパー12または相手方により提供される優先度のいずれかのカスタマイズに組み込むために、コンテンツアナライザ50の出力と(好ましくは、排他的論理和がとられて)結合される51。この結果、コンテンツ重要度の評価は、上記コンテンツアナライザを用いて、および/または供給されるコンテンツパラメータを用いて実行することができる。該出力は、コンテンツ意味論(関連性)モジュール52へ送られて、該ウェブページ内の様々なオブジェクトの中の各オブジェクトの関連性が評価され(ステップ108)、それに応じて、決定された優先度を変更し、分析されたコンテンツ54を判断する。
【0031】
好ましくは、コンテンツ意味論ステップ52は、該ウェブページ上の全てのデータオブジェクト間の関連性を考慮して、各オブジェクトの重要度を評価し、個々のウェブページオブジェクト間の関連性に基づいて、コンテンツアナライザ50および/またはコンテンツパラメータ36によって決定された優先度を変更する。このことは、再構成されたウェブページ内の情報の意味論を保存するために行われる。例えば、トップイメージ、ヘッドライン及び添付テキストを含む中心記事を有するニュースウェブページにおいては、該トップイメージ、ヘッドライン及び添付テキストがまとめて最終的なウェブページ内に保持されることが好ましい。従って、コンテンツ意味論ステップ52は、該トップイメージに関連するヘッドライン及びテキストの優先度を上げることになる。
【0032】
また、好ましい実施形態において、使用可能なバイト41の量は、コンテンツ意味論モジュール52へ供給されて、回線容量に基づいて、オブジェクトの優先度が変更される。コンテンツ意味論ステップ52は、好ましくは、該ウェブページ内のイメージオブジェクトの場合の重要度を変更することにより、使用可能なバイト41のために調整する。例えば、使用可能なバイト41の数が小さすぎる場合、該コンテンツ意味論ステップは、この情報を考慮して、イメージの優先度を下げることにより、イメージの数を低減することができる。同様に、使用可能な回線容量が大きい場合には、いくつかのイメージを、イメージの優先度を上げることによって供給することができる。
【0033】
その結果、コンテンツ意味論ステップ52は、好ましくは、ウェブページ内の各オブジェクトにマークアップ言語で割当てられた優先度情報(例えば、変更された優先度を表す数字)を伴う変更されたウェブページの形態で、サーバの記憶装置に解析されたコンテンツ54を出力する(ステップ110)。また、上述したように、各オブジェクトのサイズが(例えば、バイトで)該変更されたウェブページに与えられる。
【0034】
解析されたコンテンツ54、使用可能なバイト41及び好ましくは、表示サイズ42及びデバイス能力44に基づいて、コンテンツ/品質セレクタ56は、使用可能な送信バイトを、データ収集物中の異なるオブジェクト(例えば、ウェブページ内のデータオブジェクト)に配分する(ステップ112)。コンテンツ/品質セレクタ56は、好ましくは、コンテンツ意味論ステップ52からの変更された優先度を優先度値として用いる優先度ベースのアルゴリズムを用いて、使用可能な送信バイトを、該ウェブページの異なるデータオブジェクトに配分する。この結果、各データオブジェクトには、例えば、配分されたバイトのターゲットサイズが与えられる。
【0035】
好ましい実施形態において、コンテンツ/品質セレクタ56は、ウェブページを構成するデータオブジェクトの収集物の各々にバイトを配分する。好ましくは、これは、まず、解析されたコンテンツ54によって供給されたウェブページ内の全てのオブジェクトを、並べ替え順序で、最も好ましくは、各オブジェクトの場合の優先度及びサイズによって決まる昇順で配列することによって行われる(ステップ114)。例えば、この並べ替え順序は、オブジェクトの優先度とオブジェクトのサイズの比によって決めることができる。このようにして、一定のバイトを要求する各オブジェクトに、該オブジェクト内の各バイトに対する優先度が与えられ、該オブジェクトが、それに応じてランク付けされる。
【0036】
オブジェクトは、並べ替えられたリストから1つずつ選択される(ステップ116)。好ましい実施形態において、使用可能なオブジェクトの中から選択された第1のオブジェクトは、最低の優先度/バイト比を有するオブジェクトである。該選択されたオブジェクトに対して、使用可能な送信バイトが、好ましくは、式(重要度の総数で割って、使用可能なバイトを掛けた重み付けされた重要度)に従って割当てられる(ステップ118)。選択されたオブジェクトの場合の割当てられたバイトの数が、該オブジェクトにより必要とされるバイトの最小数よりも小さい場合には(ステップ120)、該オブジェクトを削除することが決定される(ステップ122)。これまでにこのオブジェクトに割当てられたバイトは、該ページ上の他のオブジェクトが利用できるように、使用可能なバイトのプールに戻される。
【0037】
割当てられたバイトの数が、必要とされる最小数よりも大きい場合には、圧縮比が、好ましくは、割当てられたバイトと、圧縮されない場合の該オブジェクトによって必要とされる総バイト数との比として計算される(ステップ124)。計算された圧縮比を前提とすると、選択されたオブジェクトがイメージである場合に(ステップ126)、イメージシェーパー60が起動されて(ステップ128)、先のステップで決定された圧縮比に従って該イメージが圧縮される。イメージシェーパー60が完了した後に、いくらかのバイトが残った場合には、それらのバイトは、他のオブジェクトによる使用のために、使用可能なバイトのプール62に戻される。並び替えされたリスト内により多くのオブジェクトがある場合には(ステップ130)、次のオブジェクトが、昇順で選択され(ステップ116)、上記のプロセスが、この選択されたオブジェクトに対して繰り返される。
【0038】
好ましい実施形態において、表示サイズ42及びデバイス能力44に対して責任を負うために、クライアント16、18、20、22へ転送するために選択されるイメージは、デバイス要件を満たすように(例えば、イメージシェーパー60によって)変更することができる。例えば、白黒またはグレーのディスプレイのみを有するデバイスの場合、選択されたカラーイメージを白黒またはグレーにすることができる。特定のデバイスに対して大きすぎるイメージは、サイズを変更してもよい。また、追加的なバイトが、未利用のバイトプール62に配置される。このことが、送信バイトが割当てられているシェーピングされたデータオブジェクトを有するウェブページを含む最終的な、カスタマイズされたコンテンツ64をもたらす。
【0039】
並べ替えリスト内の全てのオブジェクトが、一旦、考慮されると(ステップ130)、HTMLページがシェーピングされる(ステップ132)。例えば、該オブジェクトがHTMLコンテンツ(HTMLボディテキスト)である場合、HTMLシェーパー58は、該ページが、コンテンツ/品質セレクタ16に従って、割当てられたバイト内に収まるように、除去のために選択されたオブジェクトを除去することにより、または、選択された圧縮比に従ってオブジェクトを切り捨てることにより、該HTMLを再生成または変更する(ステップ132)。
【0040】
このようにして、ウェブシェーパー12は、新たなHTMLウェブページ及びイメージ等の新たなデータ収集物の形態で、カスタマイズしたコンテンツ64を生成する。この新しいウェブページにおいて、該HTMLは、ここで、リアルタイムのネットワーク状況に基づく比に従って選択的に圧縮された、包含のために選択されたオブジェクトを含む。該ウェブページの場合、圧縮レベルをマークアップで提供することができる。好ましくは、該マークアップ言語は、ウェブシェーパー40が存在するサーバ内に蓄積されている、シェーピングされた(圧縮された)イメージを要求する。新たなウェブページ64及びシェーピングされたイメージは、クライアント16、18、20、22に配信される。
【0041】
好ましい実施形態の方法は、クライアント側において、何らかの追加的なソフトウェアを必要としない。また、それらの実施形態は、全てのウェブブラウザで現在使用可能なプログラム性を利用することができ、そのため、何らかの変更を伴うことなく、様々なクライアントをサポートすることができる。本発明によるネットワークモニタリングは、費やす時間またはオーバヘッドトラヒックに関する特定のモニタリング諸経費の下で、最適なネットワーク状況の推定を実行できるように構成可能である。有利には、本発明の実施形態は、過去の通信から認められる受動的なネットワーク関連情報を利用して、将来のネットワーク状況を予測し、それによって該モニタリング諸経費を著しく低減する。
【0042】
本発明の好ましい実施形態は、インターネットに対して予測可能なブロードバンド接続を有しないデバイスに、改善されたウェブサービスを潜在的に提供することができる。本発明の実施形態は、ウェブアクセスのための現存するまたは未開発の無線アクセス技術と共に用いることができる。
【0043】
本発明の様々な実施形態を示しかつ説明してきたが、当業者には、他の変更、置換及び代替が明白であることを理解すべきである。そのような変更、置換及び代替は、添付クレームに記載されているような本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実行できる。
本発明の様々な特徴は、添付クレームに記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態による、リアルタイム状況に基づいてウェブページを構成するシステムを含む例示的な無線ネットワークアーキテクチャを示す。
【図2】本発明の好ましい実施形態による、リアルタイム状況に基づいてウェブページを構成する例示的なシステムアーキテクチャを示す。
【図3】本発明の実施形態による、リアルタイム状況に基づいてウェブページを構成する例示的な方法を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブページを生成する方法であって、
複数のデータオブジェクトを含む要求されたウェブページを受取るステップと、
前記複数のデータオブジェクトの各々に対して、コンテンツ重要度を評価するステップと、
所望の待ち時間目標を満たすように、通信チャネルの現在の回線容量の下で送信することができる使用可能なバイトを推定するステップと、
前記評価されたコンテンツ重要度に基づいて、前記複数のデータオブジェクトの異なるものに前記使用可能な送信バイトを配分するステップと、
前記各オブジェクトに対して配分されたバイトに合うように、前記複数のデータオブジェクトを動的にオブジェクト指定シェーピングするステップと、
前記通信チャネルに配信すべき、前記動的オブジェクト指定シェーピングによってシェーピングされた前記オブジェクトを含む変更されたウェブページを構成するステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
割当てられた送信バイトに基づいて、前記変更されたウェブページにおける包含または削除のために、前記複数のデータオブジェクトのうちの少なくとも1つを選択するステップをさらに備え、
前記動的オブジェクト指定シェーピングが、前記選択されたデータオブジェクトに対して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
評価されたコンテンツ重要度と、前記複数のデータオブジェクトの各々の場合のサイズとの比を判断するステップと、
包含または削除のための選択のために、前記評価されたコンテンツ重要度と、前記サイズとの最低の比を有するオブジェクトを選定するステップと、
をさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記動的オブジェクト指定シェーピングは、オブジェクトがイメージである場合に、前記オブジェクトをイメージ圧縮することと、前記オブジェクトがテキストベースのオブジェクトである場合に、前記オブジェクトを切り捨てることとを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記構成することがリアルタイムで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のデータオブジェクトに対して、それぞれのデータオブジェクト間の関連性を評価することをさらに備え、
前記割当てることが、前記評価された関連性に基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記評価された関連性に基づいて、前記評価されたコンテンツ重要度を変更することをさらに備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記推定された使用可能なバイトに基づいて、イメージオブジェクトに対する前記評価されたコンテンツ重要度を変更することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記評価されたコンテンツ重要度と、前記複数のデータオブジェクトの各々のサイズとの比を判断することと、
前記判断された比に従って、前記複数のデータオブジェクトを配列することと、
前記評価されたコンテンツ重要度とサイズの最低の比を有する前記複数のデータオブジェクトのうちの1つを選定することと、
前記割当てられた送信バイトに基づいて、前記変更されたウェブページにおける包含または削除のために、前記選定されたデータオブジェクトを選択することと、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記選定されたデータオブジェクトが、削除のために選択された場合、前記選定されたデータオブジェクトに割当てられたバイトを、前記使用可能な送信バイトに付加することと、
前記選定されたデータオブジェクトが、包含のために選択された場合、前記選定されたデータオブジェクトに対して、前記動的オブジェクト指定シェーピングを実行し、追加的バイトが残っている場合、前記残っているバイトを前記使用可能な送信バイトに付加することと、
前記送信バイトを前記残っているデータオブジェクトに再割当てすることと、
をさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
データ通信に所定のデータ速度を与える方法であって、
複数のデータオブジェクトを含むデータ収集物の通信に対する要求を受取ることと、
前記データオブジェクトを検索することと、
コンテンツ重要度のために、前記検索したデータオブジェクトの各々を評価することと、
前記データ速度及び所望の待ち時間を用いて、使用可能なバイトを推定することと、
前記検索したデータオブジェクトの各々を、それぞれ、少なくとも、前記オブジェクトの評価されたコンテンツ重要度及び推定された使用可能なバイトに基づいている量だけ低減することと、
を備える、方法。
【請求項12】
前記評価することが、前記データオブジェクトの各々の相対重要度のうちの少なくとも1つを評価することと、前記データオブジェクトの各々の間の関連性を評価することとを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記低減する量はさらに、クライアントのディスプレイのサイズ及びクライアントの能力のうちの少なくとも一方に基づいている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
受取った要求から、リアルタイムでウェブページを変更する装置であって、
前記要求に基づいて検索されるデータオブジェクトの収集物を含むウェブページを格納する記憶装置と、
前記キャッシュに格納された前記データオブジェクトの各々に対して、少なくともコンテンツ重要度を評価するコンテンツ重要度評価モジュールと、
前記評価されたコンテンツ重要度と、所定の全体の使用可能な回線容量とに基づいて、前記データオブジェクトの各々に送信バイトを配分するコンテンツ/品質セレクタと、
前記配分された送信バイトに従って、前記記憶装置に格納された前記データオブジェクトを動的にオブジェクト指定シェーピングし、前記動的にオブジェクト指定シェーピングしたデータオブジェクトを含む新たなウェブページを生成するシェーパーと、
を備える、装置。
【請求項15】
前記データオブジェクト間の関連性を評価し、前記評価された関連性に基づいて、前記評価されたコンテンツ重要度を変更するコンテンツ意味論モジュールをさらに備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記コンテンツ意味論モジュールがさらに、前記推定された使用可能な回線容量に基づいて、前記評価されたコンテンツ重要度を変更する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記シェーパーが、
1つ以上のオブジェクトを削除するHTMLシェーパーと、
前記割当てられた送信バイトに依存する量だけ、イメージを圧縮するイメージシェーパーとを備える、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記コンテンツ重要度を評価することが、コンテンツ重要度のために、1つ以上のデータオブジェクトを解析することと、前記1つ以上のデータオブジェクトに対するコンテンツ重要度を与えるコンテンツパラメータを受取ることのうちの少なくとも一方を備える、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−521100(P2008−521100A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541494(P2007−541494)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/041802
【国際公開番号】WO2006/055769
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(505088684)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (18)