説明

ウェブ張力付与装置

【課題】本発明は、包装機械のシャトルから供給されるプラスチックウェブのようなウェブに張力を付与する装置を提供する。
【解決手段】包装機械は、被包装物体の回りに配置された無端軌道を有し、シャトルは移動しながらウェブを供給しつつその無端軌道を動く。ウェブが供給される速度は、シャトルが機械の回りを進むにつれて変動し、軌道の形状と被包装物体の形状とによって左右される。ウェブ張力付与装置は、ウェブにおいて一定の張力を維持するようにし、弾性材料で被われた一対のローラを有する。ローラは互いに押し付けられてニップを形成し、弾性材料がニップの中に圧入される。ウェブは、ローラのニップの間に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、供給された包装ウェブを収容すると共に閉循環路を画成する軌道の回りを移動するシャトルを使用して、包装ウェブを略螺旋形に巻付ける機械のためのウェブ張力付与装置に関する。この発明は特に、軌道の閉循環路が被包装物体の開口を通過する包装ウェブの軸方向巻き付けに関する。
【背景技術】
【0002】
上述した型の機械において、被包装物体と閉循環路の回りを動くシャトルとの間に相対運動が行われる。この様な装置は、細長い物品や細長物品の束に包装を施すために使用することが出来るが、特に鋼板コイルのような環状又はドーナツ形の製品を包装するために使用できる。このケースにおいて、軌道がコイルの中心を通過してコイルの外側の回りを通るようにコイルを位置決めできるように、軌道はUS−A−5755083に記載されているように2個の半体として、或いはUS−A−5282347に記載されるように門を有するものとして形成される。軌道は通常空間内に固定されるように配置されると共にコイルがその軸芯の回りに回転するように配置され、その結果、シャトルがその軌道の回りを動くと軸方向の包装が行われて、包装ウェブの略螺旋状の巻き付けが環状コイルの外側の回りに且つその中心開口を通過して施される。
【0003】
シャトルからのウェブの取出し速度は、シャトルが軌道の回りを移動するにつれて変動し、且つ物体の大きさに依存する。再び鋼板コイルのケースを取り上げると、これらは通常標準的な中心開口を有しているが、薄鋼板の幅及び鋼板の長さ(そして従ってコイルの直径)が屡々コイル毎に変わり、このため包装されているコイルの略矩形断面がコイル毎に変動する。これらの変動を吸収するために、殆どのシャトルは、ウェブ供給リールの巻き戻しを制動するある種の制動機構と不規則な速度で取り出されるのを許容するようにウェブの供給を保持するアキュムレータとを有する。鋼板コイルの中心を通してシャトルを取り付けることを可能とするために、シャトルと軌道は合理的な範囲で小さく作らなければなければならず、それはシャトルのアキュムレータを避けるために望ましい。例えば、US−A−5829234において、これを行うために幾つかのアプローチがなされたが、その中ではシャトルからのウェブの略一様な速度での取出しを行い、シャトルにアキュムレータを設ける必要性を回避するために軌道の形状が変えられた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シンプルなリールブレーキを使用してウェブに張力がかけられると、ウェブの張力はそのとき、供給リールの半径と共に変動し、従って包装の張力はウェブが供給リールから引き出されるにつれて変化する。EP−A−0936141において、供給リール用の可変ブレーキ、供給リールの下流のウェブの張力を感知する張力センサ、及び張力を実質的に一定に維持するために感知張力に応答して供給リールのブレーキを制御する帰還手段を設けることが提案されている。同様な帰還装置は、印刷機及びフィルム巻き取り装置と一緒に使用される大型固定ウェブ供給装置に使用されるが、そのような技術を閉循環路の回りを動くシャトルに使用するのは困難である。典型的には、シャトルをそのような閉循環路の回りに駆動するための動力は、軌道の回りに配置された導体レールに係合するシャトルのワイパー形接点から取られる。そのようなワイパー形接点に依存する精密な回路構成品の使用は、実際に実現するのは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の第1の態様によれば、略螺旋状の巻付けを行うシャトルのためのウェブ張力付与装置は、弾性材料によって被覆され、そして互いに押しつけられてニップを形成しそのニップの中に弾性被覆材を押し入れられる実質的に剛な一対のローラを有し、ウェブはそのローラのニップの間に供給される。
【0006】
そのようなシンプルな構成が、供給ロールの半径と共に変化せず、又は包装ウェブの巻き戻し速度とは有意には変化しない実質的に一定の張力を包装ウェブに発生させることを我々は見出した。この構成は、シンプルな供給リールブレーキのそれよりも非常に良好な結果を確実に生じ、供給リールについての種々のブレーキ作用を含むその装置よりも実施が容易で且つ低コストである。
【0007】
そのようなウェブ張力付与装置は、EP−A−0936141に記載されている機械と共に使用することが出来るが、そこでは包装ウェブの実質的に一定の巻き戻し速度を実現するために軌道の形状が変えられ、そのため関連するウェブアキュムレータを必要としない。しかしながら、そこからのウェブ供給の瞬間的な速度の変化にシャトルが対処出来るようにするためにウェブ張力付与装置の下流側にウェブアキュムレータをシャトルが又持つのが好ましい。
【0008】
好ましくは、ローラはゴム又はゴム状エラストマー材料の被覆を持つ中空又は中実の鉄芯を持ち、そしてそのゴム又はゴム状エラストマー材料は、加硫された天然又は合成ゴム又はポリウレタンのような熱可塑性エラストマーである。高いウェブ貫通速度の下でローラ内にかなりの量の熱が蓄積されるから、好ましくはその弾性被覆は耐熱性である。好ましくは、被覆は70乃至75の間のショア硬さと1.14と1.20の間の比重を持つ。ローラの芯は25乃至100mmの直径と8乃至4mmの範囲の被覆厚さをそれぞれ持つことができる。
【0009】
好ましくは、ローラは箱形フレーム構造体の中に設けられるが、これは2枚の側板と控え部材とを持ってシャトルの本体を形成し、1方のローラ用ジャーナル軸受は側板内部の摺動手段上に支承され、そして一方のローラを他方に押しつけるためのジャッキねじのような調節部材を有している。好ましくは、ロールからのウェブの巻き戻しを制御するために、ウェブ供給リール上のウェブ供給ロールは、上流側のローラに押しつけられ、又は上流側のローラがウェブ供給ロールに押し付けられ、そしてそれは供給ロールが自由回転するのを許さない。
【0010】
第2の態様において、本発明は、第1の態様によるウェブ張力付与装置を有し、略螺旋状の巻き付けを施すようになっているウェブ材料を搬送するシャトルにある。
【0011】
第3の態様において、この発明は、被包装物品の回りに配置されると共に、第2の態様によるシャトルが少なくとも1基その上を移動する無端軌道を有していて、物品を包装材で包むための包装装置にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第一に図3を参照するに、包装シャトル3がその回りを移動する無端環状軌道2を含んで包装装置1が示されている。無端ラック8が無端軌道2の内側面に設けられている。被包装物品例えば薄鋼板のコイル5が包装のために位置決めされるようにし、又包装シャトル3の取り外し又は取り替えに備えて、その軌道の一部4が軌道の残りの部分から離れるように動かすことが出来る。軌道2の一部を取り囲むその中心穴にコイルを位置決めするために、そして又包装中にコイルを回転するために、コイル5は可動プラットフォーム6の上に供給される。環状軌道2の高さは又、種々の大きさのコイルに応えるために支柱7の上で調節可能である。
【0013】
図3の包装装置は、以下に説明される本発明によるウェブ張力付与装置と一緒に使用するに適した包装装置の単なる一例である。互いに離隔接近可能な2つの対称的なU字形の部分で形成されている無端軌道が使用されているUS−A−5755083に記載されているような他の型式の包装装置も本ウェブ張力付与装置を代替的に組み入れることが出来る。更に包装装置は、薄鋼板のコイルを包装するために使用するとして示されているが、管の束、材木や押し出し金属材等の中心開口を有しない他の物品も真に容易に包装される。
【0014】
図2を参照すれば、シャトル3の特定の実施例の作動が示されている。シャトル3は、供給リール9に巻かれたプラスチック製ストレッチウェブ又はフィルムのロールのような包装材21のロール10を含み、例えば、US−A−5755083に記載されているものと同様のものである。特に、包装材は、イリノイツール会社(Illinois Tools Works Inc.)から商標VALCROSSで売られており、本来的に実質的に非伸縮性で交差ラミネートされた強度フィルムであるようなフィルムからなっている。
【0015】
包装材21のロール10は、控え材によって隔てられた2枚の側板を持つ箱形フレームからなるシャトル本体11の一端から突出している。電動機12はシャトルの中に設けられてラック8と噛み合う小歯車13を駆動する。電動機12は、シャトル上のワイパー形接点によって給電されるが、これは包装装置の中に設けられていて、軌道2の面の下側で外周の回りに沿っている剛な給電導体に接触している。自由回転する側車14−17が、シャトルを軌道上に保持している。
【0016】
アキュムレータ18がシャトル3内に設けられて、ロール10からの供給速度が包装されている物品の回りに巻き付ける速度よりも一時的に大きい場合に、過剰な包装材21をシャトル内に効果的に蓄える。アキュムレータはローラ列を有し、その内の一部(19、20)は、従来より知られているばねの張力を受けて移動可能である。しかしながら上述したように、アキュムレータ18は本発明の運転にとって本質的なものではない。
【0017】
ウェブ張力付与装置22が又、シャトル3の中に含まれている。張力付与装置は図1において、明確化のためにシャトルの外側で示されていて、実質的に剛な一対のローラ23、24を有している。ローラ23、24の両端はカセットホルダ25、26の中に支承されていて、このため両ローラの軸芯は平行である。ローラ23は、カセットホルダ25、26内のローラ軸受の中で回転自在ではあるが、カセットホルダに対して他の仕方では可動ではない。ローラ軸受は又、カセット25、26の中でローラ24を回転自在に支持しているが、ローラ軸受は摺動手段チャネル27の中に取り付けられていて、ローラ24の軸芯はローラ23の軸芯に対して離隔接近するように可動である。ジャッキねじ28のような調節手段がカセットホルダの自由端内に設けられていて、ローラ23、24の軸間距離を使用者が調節することを可能としている。
【0018】
包装材21はローラ23、24の間でローラ23の下側に巻かれ、その後アキュムレータ18に接し、又はシャトルから出て被包装物品に直接接触する。ローラ23、24は、例えば長さが260mmで直径が45mmであり、中空又は中実の鉄芯を被って天然ゴム材の約5mmの外側コーティングを有している。従って、ローラ24は、包装材21を介して、そのコーティング外面が、ローラ23の被覆表面に接触するように調整される。そして2個のコーティングは変形し、包装材21がそこを通って供給されるニップ29を形成する。両ローラは、大きな蓄熱に耐えることが要求されることが予想される。蓄熱の放散を促進するためにローラ全体の直径が増大されるのであれば、弾性材料からなるローラ被覆の厚さは、減少されるであろう。
【0019】
包装材21の自由端が被包装物品に固定されたら、引き続いて軌道の回りをシャトルが動いて、ロール10から包装材を引き出す。ニップ29が回転抵抗を生じて、供給される包装材に張力を発生する。ジャッキねじ28の調整が、種々の包装材仕様に適合するように包装材の張力を調節する。ロール10が自由回転したり、巻き戻ししたりするのを防止するため、僅かな抵抗力が供給リール9に作用されるのが望ましい。これは、その表面がロール10の包装材の供給されない表面に接触するようにローラ23を位置決めすることによって実現される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】包装ウェブについて使用されている、本発明によるウェブ張力付与装置の斜視図である。
【図2】図1のウェブ張力付与装置を有しているシャトルの立断面図である。
【図3】図2のシャトルを有し、鋼板コイルを包装するために使用される包装装置の側面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 包装装置
2 環状軌道
3 包装シャトル
5 コイル
6 プラットフォーム
7 支柱
8 無端ラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略螺旋状の巻付けられるようにされたシャトル(3)のためのウェブ張力付与装置(22)であって、前記ウェブ張力付与装置(22)は、複数のローラ軸受内に回転可能に支持されている、制動されていない略剛体の一対のローラ(23、24)を有し、前記一対のローラ(23、24)の各々は、使用時に、ウェブ(21)が前記一対のローラ(23、24)の間に形成されたニップ(29)の間に供給される時に前記ニップ(29)内で被覆が圧縮変形され、それにより、前記ウェブ(21)に張力を付与するために前記一対のローラ(23、24)に回転抵抗を与えるように、弾性変形可能な被覆を有しかつ互いに押し付けられるように配置されている、ウェブ張力付与装置(22)。
【請求項2】
前記ローラ(23、24)は、中空又は中実の鋼製芯を有し、前記被覆はゴム又はゴム状のエラストマー材料からなり、前記ゴム又はゴム状のエラストマー材料は、加硫された天然ゴム、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーである請求項1に記載されたウェブ張力付与装置。
【請求項3】
前記弾性被覆は耐熱性である請求項1又は2に記載されたウェブ張力付与装置。
【請求項4】
前記弾性被覆は、70から75の間のショア硬さと、1.14から1.20の間の比重とを有する請求項1〜3のいずれか1項に記載されたウェブ張力付与装置。
【請求項5】
前記ローラ(23、24)の芯は、25mmから100mmの間の直径と、8mmから4mmの範囲の被覆厚さとをそれぞれ有する請求項1〜4のいずれか1項に記載されたウェブ張力付与装置。
【請求項6】
前記ウェブ(21)は、ウェブ供給リール(9)上のウェブ供給ロール(10)から略剛体の一対のローラの上流側ローラ(23)周りにウェブが供給され、前記上流側ローラ(23)を前記ウェブ供給ロール(10)に押付けて前記ウェブ供給ロールから(10)の前記ウェブ(21)の巻き戻しを制御する手段をさらに有する請求項1〜5のいずれか1項に記載されたウェブ張力付与装置。
【請求項7】
前記ローラ(23、24)は、2枚の側板と控え部材とからなり前記シャトル(3)の本体(11)を形成する箱形フレーム構造体の中に支承され、前記ローラ(23、24)の一つ用の軸受が前記側板内の摺動手段(27)上に支承されたジャーナル軸受であり、
一方のローラ(24)を他方のローラ(23)に押し付けるために調節部材(28)が設けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載されたウェブ張力付与装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のウェブ張力付与装置(22)を有し、略螺旋状に巻付けられるようにされたウェブ材料(21)を搬送するシャトル(3)。
【請求項9】
包装ウェブ(21)を被包装物品(5)に付与する包装装置(1)であって、被包装物品(5)の周りに配置され且つ少なくとも1つの請求項8に記載のシャトル(3)が走行する無端軌道を有する包装装置(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−145608(P2007−145608A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13969(P2007−13969)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【分割の表示】特願2002−117857(P2002−117857)の分割
【原出願日】平成14年4月19日(2002.4.19)
【出願人】(594017282)アイティーダブリュ リミティド (4)
【Fターム(参考)】