説明

ウエットティッシュロール用容器

【課題】ウエットティッシュロール用容器において、従来のものではウエットティッシュロールのウエットティッシュ先端部を蓋体に設けたウエットティッシュ絞り込み用の穴に挿通させる作業が非常に面倒であった。
【解決手段】ウエットティッシュロール用容器において、蓋体2に設けたウエットティッシュ挿通穴24を閉塞する面積を有した弾性材からなり且つ該弾性材の中央付近にウエットティッシュSをミシン目で切断し得る小孔41を設けたウエットティッシュ取出口部材4を蓋体2の下面に着脱自在に取付け、ウエットティッシュ取出口部材4にその外端面から小孔41に達する1つの分断部42を形成して、該ウエットティッシュ取出口部材4を蓋体から取外した状態で分断部42を弾性的に開閉し得るようにし、ウエットティッシュ先端部Saを開放させた分断部42から小孔41内に進入させ得るようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、帯状ウエットティッシュをロール状に巻回してなるウエットティッシュロールを収容するためのウエットティッシュロール用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のウエットティッシュロール用容器に使用されるウエットティッシュロールは、帯状ウエットティッシュに所定長さ間隔(使用する1枚当たりの長さ間隔)をもって切り離し用のミシン目を入れたものをロール状に巻回したものである。そして、このウエットティッシュロールは、乾燥を防止するために密閉容器(容器本体のロール出し入れ口を蓋体で密閉したもの)に収容して使用される。尚、この種のウエットティッシュロール用容器は、内部のウエットティッシュがなくなると、新しいウエットティッシュロールを補充して再使用される。
【0003】
この種のウエットティッシュロール用容器には、蓋体にウエットティッシュを細棒状に絞り込んでミシン目で切断するためのウエットティッシュ取出穴が形成されている。このウエットティッシュ取出穴には、ウエットティッシュ引き抜き時にミシン目で切断する機能と、切断された後続のウエットティッシュ先端部を保持しておく(下方に抜け出すのを防止する)機能が必要である。そして、該ウエットティッシュ取出穴は、一般的なものとして、蓋体の一部を薄板部とし、該薄板部分に十字状のスリットを入れたものがある。
【0004】
ところで、十字状のスリットからなるウエットティッシュ取出穴では、ウエットティッシュ抜き出し時に該取出穴部分の薄板が撓み、該取出穴部分でウエットティッシュ先端部を保持した状態ではスリット部分の隙間が大きくなって、容器内のウエットティッシュロールの水分が該スリット部分の隙間から外気中に蒸発し易くなるという問題がある。
【0005】
他方、公知のウエットティッシュロール用容器の中には、図5に示すように蓋体102に設けられるウエットティッシュ取出穴として小孔141としたものが知られている。尚、図5のウエットティッシュロール用容器は、実公平7−12310号公報(特許文献1)に示されるものである。
【0006】
図5に示す公知のウエットティッシュロール用容器は、容器本体101の上部に蓋体102を密閉状態で取付けている一方、蓋体102の中央部に設けた穴124に弾性材からなるウエットティッシュ取出口部材104を取付けている。このウエットティッシュ取出口部材104には、ウエットティッシュロールRのウエットティッシュSを抜き出す際にウエットティッシュSを細棒状に絞り込む(ミシン目で切断する)ための小孔141が形成されている。尚、ウエットティッシュ取出口部材104の上方には、小孔141から上部に露出するウエットティッシュ先端部Saが乾燥するのを防止するキャップ103を被せている。
【0007】
そして、この容器内にウエットティッシュロールRを収容(セット)する際には、蓋体102を開き、図6に示すようにウエットティッシュロールRの始端側ウエットティッシュSの先端部Saを蓋体102の下面側からウエットティッシュ取出口部材104の小孔141に通した後、ウエットティッシュロールRを容器本体101(図5)内に収容するとともに、蓋体102を容器本体101に螺合する(図5の状態となる)。
【0008】
図5に示す公知のウエットティッシュロール用容器では、ウエットティッシュ取出口部材104に形成しているウエットティッシュ取出し用の小孔141が小径であるので、該小孔141にウエットティッシュ先端部Saが挿通された状態では、該ウエットティッシュ先端部Saが該小孔141をほぼ気密状態で閉塞しており、該小孔141から容器内の水分が蒸発することはない。尚、ウエットティッシュ取出口部材104には弾性材が使用されているので、その小孔141の径は若干ではあるが拡縮するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実公平7−12310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記した図5(公知)のウエットティッシュロール用容器では、ウエットティッシュロールRを容器にセットする際に、ウエットティッシュ先端部Saをウエットティッシュ取出口部材104の小孔141に挿通させる作業が非常に面倒であるあるという問題がある。即ち、該小孔141を通して抜き出されるウエットティッシュSのミシン目を該小孔との摩擦力で切断する必要から、小孔141の内径をかなり小径にする必要があり、該小孔141が弾性により若干拡縮できるものであっても、ウエットティッシュ先端部Saを小孔141に通すには、該ウエットティッシュ先端部Saを例えば極細の押込み棒で小孔141内に押し込む必要がある。従って、容器内にウエットティッシュロールRを補充するたびに、極細の押込み棒が必要でしかも面倒な作業(ウエットティッシュ先端部の小孔内への押込み作業)を行う必要があった。
【0011】
そこで、本願発明は、ウエットティッシュロールのウエットティッシュ先端部を容器蓋体のウエットティッシュ取出穴に挿通させる際の作業を、押込み棒なしで且つ比較的簡単に行えるようにしたウエットティッシュロール用容器を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、ウエットティッシュロールを収容して、ウエットティッシュを1枚の長さずつ抜き出して使用できるようにしたウエットティッシュロール用容器を対象としている。
【0013】
本願のウエットティッシュロール用容器で使用されるウエットティッシュロールは、所定長さ間隔(1枚のウエットティッシュ長さ間隔)をもって順次切断用のミシン目を有した帯状ウエットティッシュをロール状に巻回したものである。尚、この種のウエットティッシュには、一般に不織布が採用されている。
【0014】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明のウエットティッシュロール用容器は、容器本体と蓋体を有し、ウエットティッシュロールを容器本体内に収容した状態で蓋体を気密的に開閉し得るようにしたものである。
【0015】
蓋体の上面部には、ウエットティッシュを挿通させるウエットティッシュ挿通穴を設けている。尚、このウエットティッシュ挿通穴は、抜き出されるウエットティッシュを棒状に絞り込むものではなく、適度の大きさ(例えば10〜20mm弱)のものでよい。
【0016】
蓋体の下面には、弾性材からなるウエットティッシュ取出口部材がウエットティッシュ挿通穴を閉塞する状態で装着されている。又、このウエットティッシュ取出口部材は、蓋体に対して着脱自在に取付けられている。
【0017】
ウエットティッシュ取出口部材に使用される弾性材としては、例えばシリコンゴムのような適度に可撓性を有したものが採用される。又、このウエットティッシュ取出口部材の形状・大きさは、特に限定するものではないが平面視円形で外径が20〜25mm程度のものが使用できる。そして、このウエットティッシュ取出口部材を蓋体下面(ウエットティッシュ挿通穴に対応する部分)に装着した状態では、該ウエットティッシュ取出口部材でウエットティッシュ挿通穴を気密的に閉塞し得るようになっている。尚、蓋体下面におけるウエットティッシュ取出口部材の装着位置には、該ウエットティッシュ取出口部材を嵌め込む下向き開口の凹室を設けておき、該凹室内にウエットティッシュ取出口部材を圧入することで、該ウエットティッシュ取出口部材が不用意に脱落しないようにするとよい。
【0018】
ウエットティッシュ取出口部材には、その中央付近にウエットティッシュを細棒状に絞り込んでミシン目で切断し得る小孔を設けている。この小孔の内径は、ウエットティッシュを棒状に引き出し得るとともにミシン目が通過した直後に該ミシン目で切断し得る摩擦力(引き出し抵抗)が働く程度のものであり、例えば2〜4mm程度が適当である。
【0019】
又、このウエットティッシュ取出口部材には、その外端面から中央付近にある小孔に達する1つの分断部(スリット)を形成している。そして、このウエットティッシュ取出口部材は、蓋体から取外した状態で該分断部を弾性的に開放できるようにしている。即ち、ウエットティッシュ取出口部材を蓋体下面に装着した状態では、分断部の端面同士が接合している(小孔のみが上下に貫通している)が、ウエットティッシュ取出口部材を蓋体から取外した状態で分断部の両側を左右(又は上下)反対方向に撓ませることによって該分断部の端面同士の間隔(隙間)を広げ得るようになっている。
【0020】
本願請求項1のウエットティッシュロール用容器内にウエットティッシュロールをセットするには、蓋体を容器本体から分離し、ウエットティッシュ取出口部材を蓋体から取外しておく一方、ウエットティッシュロールの始端側ウエットティッシュの先端部を所定小長さだけ引き出しておく。そして、ウエットティッシュ取出口部材の分断部の両側を摘まんで左右(又は上下)反対方向に撓ませて該分断部の端面同士の間隔(隙間)を広げ、上記ウエットティッシュ先端部を分断部端面間の隙間からその中央付近の小孔内に進入させる。その後、ウエットティッシュ取出口部材に対する撓ませ力を解除すると、分断部の両端面が弾性復帰して接合し、ウエットティッシュ先端部が小孔内に圧迫状態(安定状態)で保持される。その状態(ウエットティッシュ先端部を小孔で保持した状態)でウエットティッシュ取出口部材を蓋体下面の装着位置に装着した後、ウエットティッシュロールを容器本体内に収容し、さらに蓋体を容器本体に装着することによって、ウエットティッシュロールのセット作業は完了する。
【0021】
このセット状態では、始端側ウエットティッシュの先端部が若干高さだけウエットティッシュ取出口部材の上面から突出しており、該ウエットティッシュ先端部(突出部)を摘まんで上方に引っ張ることで、ウエットティッシュが小孔内面に摩擦しながら棒状に抜き出されるとともに、次のミシン目部分が小孔から若干高さだけ露出した時点で小孔部分での摩擦力により該ミシン目部分が切断される(1枚のウエットティッシュが切り離される)。このとき、次のウエットティッシュ先端部が若干高さだけウエットティッシュ取出口部材の上面から突出した状態で小孔により保持されている(次のウエットティッシュ抜き出し時に該ウエットティッシュ突出部を摘まむことができる)。尚、ウエットティッシュ取出口部材が弾性材製であるので、ウエットティッシュの抜き出し時の摩擦力によって小孔が若干拡径されるようになり、ウエットティッシュ抜き出し後には該小孔によりウエットティッシュ先端部を圧迫状態で保持するようになる(保持状態が確実となる)。
【0022】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1のウエットティッシュロール用容器において、ウエットティッシュ取出口部材に小孔の内面から分断部とは反対に向けて所定小長さの切込部を形成したものである。
【0023】
ウエットティッシュ取出口部材に形成した上記切込部は、上記請求項1で説明したようにウエットティッシュ取出口部材における分断部の両側を摘まんで左右(又は上下)反対方向に撓ませたときに、該分断部の両端面間の間隔(隙間)を一層大きく広げ得るようにするためのものである。即ち、分断部の両側を撓ませると、該分断部の対向位置にある切込部もV形に開くことにより、分断部の両端面間の間隔を一層大きく広げることができる(ウエットティッシュ先端部を小孔内まで進入させ易くなる)。
【発明の効果】
【0024】
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1のウエットティッシュロール用容器では、蓋体下面に着脱自在に装着されるウエットティッシュ取出口部材として、弾性材からなり且つその外端面から小孔(中央付近にある)に達する1つの分断部を形成たものを使用している。そして、ウエットティッシュロールを容器にセットする際に、ウエットティッシュ取出口部材を蓋体から取外した状態で、分断部の両側を左右(又は上下)反対方向に撓ませることで該分断部の端面同士の間隔(隙間)を広げることができるので、ウエットティッシュロールのウエットティッシュ先端部を分断部端面間の隙間を通して小孔内に進入させることができる。
【0025】
従って、本願請求項1のウエットティッシュロール用容器では、ウエットティッシュロールのセット時において、ウエットティッシュ取出口部材の小孔が小径であってもウエットティッシュ先端部の挿通作業が容易に行えるという効果がある。
【0026】
又、ウエットティッシュ取出口部材が弾性材製であるので、小孔が若干ではあるが拡縮するので、該小孔でウエットティッシュ先端部を保持した状態では該ウエットティッシュ先端部を側周部から圧迫しており、該ウエットティッシュ先端部の保持機能が良好となるという効果もある。
【0027】
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2発明は、上記請求項1のウエットティッシュロール用容器において、ウエットティッシュ取出口部材に小孔の内面から分断部とは反対に向けて所定小長さの切込部を形成しているので、ウエットティッシュ取出口部材の分断部の両側を相互に左右(又は上下)反対方向に撓ませたときに、該分断部の延長方向にある切込部がV形に開くので、分断部の両端面間の間隔(隙間)を一層大きく広げることができる。
【0028】
従って、この請求項2のウエットティッシュロール用容器では、上記請求項1の効果に加えて、ウエットティッシュロールのセット時において、請求項1の場合よりウエットティッシュ先端部を小孔内まで進入させる作業が一層容易になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本願実施例のウエットティッシュロール用容器の斜視図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】図1のウエットティッシュロール用容器における蓋体とウエットティッシュ取出口部材の下方から見た斜視図である。
【図4】図1のウエットティッシュロール用容器に使用しているウエットティッシュ取出口部材をウエットティッシュ先端部に装着する際の説明図である。
【図5】公知(特許文献1)のウエットティッシュロール用容器の縦断面図である。
【図6】ウエットティッシュ先端部をウエットティッシュ取出口部材の小孔に挿通させる際の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0030】
図1〜図4を参照して本願実施例のウエットティッシュロール用容器を説明する。
【0031】
このウエットティッシュロール用容器は、図1及び図2に示すように、ウエットティッシュロールRを収容し得る容器本体1と、該容器本体1のロール出し入れ口11を開閉し得る蓋体2とを有したものである。尚、容器本体1と蓋体2とは、それぞれプラスチック成型品である。
【0032】
容器本体1は、縦長の円筒容器状に形成されている。蓋体2は、上面部21と周壁部22とを有している。そして、このウエットティッシュロール用容器は、蓋体2を容器本体1の上部に螺合することによって、容器本体1内を気密状態に維持し得るようになっている。
【0033】
このウエットティッシュロール用容器に使用されるウエットティッシュロールRは、図2に示すように所定長さ間隔(1枚のウエットティッシュ長さ間隔)をもって順次切断用のミシン目Tを有した帯状ウエットティッシュSをロール状に巻回したものである。尚、ウエットティッシュロールRのウエットティッシュSには、予め化粧水やアルコール成分を含む薬液を含浸させているが、容器内に収容している状態ではウエットティッシュSに含浸させている水分が外気中に蒸発しないようにすることが必要である。
【0034】
蓋体2の上面部21には、そのほぼ中央位置に若干高さだけ段下げした段下げ部23を設けている。この段下げ部23の中央部には、ウエットティッシュSを挿通させるウエットティッシュ挿通穴24を設けている。尚、このウエットティッシュ挿通穴24は、抜き出されるウエットティッシュSを棒状に絞り込むものではなく、適度の大きさ(例えば10〜20mm弱)のものでよい。
【0035】
段下げ部23におけるウエットティッシュ挿通穴24の外側を囲う位置の上下各面には、上向き環状壁26と下向き環状壁25が形成されている。上向き環状壁26内の空所27は、後述するようにウエットティッシュ抜き出し穴となる小孔41から若干高さだけ突出するウエットティッシュ先端部Saを収容するためのスペースとなるものである。
【0036】
蓋体2には、上記上向き環状壁26内の空所27を閉塞するためのキャップ3が上下揺動自在に連設されている。このキャップ3には、上向き環状壁26の外周面に嵌合する環状壁31が形成されていて、図2に鎖線図示するように該キャップ3′を下方に揺動させた状態では上向き環状壁26内の空所27を密閉し得るようになっている。
【0037】
蓋体2の下面(段下げ部23の下向き環状壁25内)には、ウエットティッシュ取出口部材4が着脱自在に嵌め込まれている。このウエットティッシュ取出口部材4は、シリコンゴムのような適度に可撓性を有した弾性材で円盤状(下面側に段差がある)に成形されている。
【0038】
このウエットティッシュ取出口部材4は、外径が下向き環状壁25の内径とほぼ同径の大きさ(例えば20〜25mm程度の外径)を有している。そして、このウエットティッシュ取出口部材4は、下向き環状壁25内に蓋体下面側から着脱自在に圧入できるようになっている。尚、ウエットティッシュ取出口部材4を下向き環状壁25内に圧入した状態(図2)では、下向き環状壁25の内面との摩擦力によって安定状態で保持される(不用意に脱落しない)とともに、該ウエットティッシュ取出口部材4でウエットティッシュ挿通穴24を気密的に閉塞し得るようになっている。
【0039】
ウエットティッシュ取出口部材4には、その中央付近にウエットティッシュSを細棒状に絞り込んでミシン目Tで切断し得る小孔41を設けている。この小孔41の内径は、ウエットティッシュSを棒状に引き出し得るとともにミシン目Tが通過した直後に該ミシン目で切断し得る摩擦力(引き出し抵抗)が働く程度のものであり、例えば2〜4mm程度が適当である。
【0040】
ところで、ウエットティッシュ取出口部材4の小孔41には、ウエットティッシュSを絞り込んだ状態で挿通させるが、該小孔41のままであるとウエットティッシュ先端部Saを挿通させる作業が非常に面倒となる。
【0041】
そこで、このウエットティッシュ取出口部材4には、図1、図3、図4に示すように、その外端面から小孔41に達する1つの分断部42を形成して、該ウエットティッシュ取出口部材4を蓋体2から取外した状態で該分断部42を弾性的に開放できるようにしている(図3の鎖線図示状態又は図4の実線図示状態)。即ち、ウエットティッシュ取出口部材4を図3の実線図示状態から、分断部42の両側を摘まんで左右に広げると、該ウエットティッシュ取出口部材4が図3に鎖線図示(符号4′)するように変形して、分断部を符号42′で示すように広げ得るようになっている(分断部42′の両端面間の隙間が小孔41′まで達している)。尚、このウエットティッシュ取出口部材4は、分断部42の両側を上下反対方向に撓ませても該分断部42を開放できる。
【0042】
又、この実施例では、ウエットティッシュ取出口部材4に小孔41の内面から分断部42とは反対に向けて所定小長さの切込部43(図1及び図4参照)を形成している。このように分断部42の反対側に切込部43を設けていると、上記したように分断部42の両側を摘まんで左右(又は上下)反対方向に撓ませたときに、図4に実線図示するウエットティッシュ取出口部材4のように切込部43がV形に開くことにより、分断部42の両端面間の間隔を一層大きく広げることができる。
【0043】
この実施例のウエットティッシュロール用容器内にウエットティッシュロールRをセットするには、次のように行う。
【0044】
まず、蓋体2を容器本体1から分離した状態で、図3に示すようにウエットティッシュ取出口部材4を蓋体2から取外しておく一方、図4に示すようにウエットティッシュロールRの始端側ウエットティッシュSの先端部Saを所定小長さだけ引き出しておく。次に、ウエットティッシュ取出口部材4の分断部42の両側を摘まんで左右(又は上下)反対方向に撓ませて該分断部の端面同士の隙間を広げ(図3の鎖線図示状態又は図4の実線図示状態)、図4に示すようにウエットティッシュ先端部Saを分断部端面間の隙間を通して小孔41内に進入させる。その後、ウエットティッシュ取出口部材4に対する撓ませ力を解除すると、図4に鎖線図示するように分断部42′の両端面が弾性復帰して接合し、小孔41′内にウエットティッシュ先端部Saが圧迫状態で保持される。そして、図3に示すようにウエットティッシュ取出口部材4がウエットティッシュ先端部Saを保持したままで、該ウエットティッシュ取出口部材4を蓋体2下面の下向き環状壁25内に嵌め込んだ後、ウエットティッシュロールRを容器本体1内に収容し、さらに蓋体2を容器本体1に螺合させることによって、ウエットティッシュロールRのセット作業は完了する。
【0045】
このセット状態では、図2に示すように、始端側ウエットティッシュSの先端部Saが若干高さだけウエットティッシュ取出口部材4の上面から突出しており、該ウエットティッシュ突出部Saを摘まんで上方に引っ張ることで、ウエットティッシュSが小孔41内面に摩擦しながら棒状に抜き出される。そして、次のミシン目T部分が小孔41から若干高さだけ露出した時点で、小孔部分での摩擦力により該ミシン目T部分が切断される(1枚のウエットティッシュが切り離される)。このとき、次のウエットティッシュ先端部Saが若干高さだけウエットティッシュ取出口部材4の上面から突出した状態で保持されている(次のウエットティッシュ抜き出し時に該ウエットティッシュ突出部Saを摘まむことができる)。
【0046】
又、ウエットティッシュ先端部Saがウエットティッシュ取出口部材4の小孔41部分で保持されている状態では、ウエットティッシュ取出口部材4が弾性材製であるので、該小孔41の内面によりウエットティッシュ先端部Saを側周部から圧迫しており、該ウエットティッシュ先端部Saの保持機能が良好となっている(該ウエットティッシュ先端部Saが不用意に下方に抜け出さない)。
【0047】
尚、容器内のウエットティッシュロールを使い切ると、新しいウエットティッシュロールRをからの容器に対して上記同様にセットすればよい。
【0048】
この実施例のウエットティッシュロール用容器では、ウエットティッシュロールRのセット時において、ウエットティッシュ抜き出し穴(小孔41)が小径であっても、上記のように分断部42を開放させることでウエットティッシュ先端部Saの挿通作業が容易に行えるという機能を有している。
【0049】
又、この実施例のように、ウエットティッシュ取出口部材4に小孔41の内面から分断部42とは反対に向けて所定小長さの切込部43を形成していると、ウエットティッシュ取出口部材4の分断部42の両側を左右(又は上下)反対方向に撓ませたときに、分断部42の両端面間の間隔(隙間)を一層大きく広げることができ、ウエットティッシュ先端部Saを小孔41内まで進入させる作業が一層容易になるという機能もある。
【符号の説明】
【0050】
1は容器本体、2は蓋体、3はキャップ、4はウエットティッシュ取出口部材、21は蓋体の上面部、24はウエットティッシュ挿通穴、25は下向き環状壁、41は小孔、42は分断部、43は切込部、Rはウエットティッシュロール、Sはウエットティッシュ、Saウエットティッシュ先端部、Tはミシン目である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長さ間隔をもって切断用のミシン目(T)を有した帯状ウエットティッシュ(S)をロール状に巻回してなるウエットティッシュロール(R)を出し入れ自在に収容する容器であって、容器本体(1)と蓋体(2)とを有したウエットティッシュロール用容器において、
前記蓋体(2)の上面部にウエットティッシュ挿通穴(24)を設け、
該ウエットティッシュ挿通穴(24)を閉塞する面積を有した弾性材からなり且つ該弾性材の中央付近にウエットティッシュ(S)を細棒状に絞り込んで前記ミシン目(T)で切断し得る小孔(41)を設けたウエットティッシュ取出口部材(4)を、前記蓋体(2)の下面における前記ウエットティッシュ挿通穴(24)が位置する部分に着脱自在に取付けているとともに、
前記ウエットティッシュ取出口部材(4)にその外端面から前記小孔(41)に達する1つの分断部(42)を形成して、該ウエットティッシュ取出口部材(4)を蓋体(2)から取外した状態で前記分断部(42)を弾性的に開閉し得るようにしている、
ことを特徴とするウエットティッシュロール用容器。
【請求項2】
上記請求項1において、
前記ウエットティッシュ取出口部材(4)に前記小孔(41)の内面から前記分断部(42)とは反対方向に向けて所定小長さの切込部(43)を形成している、
ことを特徴とするウエットティッシュロール用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−280431(P2010−280431A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137222(P2009−137222)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(596106249)株式会社本田洋行 (6)
【Fターム(参考)】