ウエハース
渦巻状ウエハース・リボン(80)から形成される波状ウエハース(90)であって、ウエハース・リボン(80)の方向における少なくとも45度の変化であるターンを平均で少なくとも12ターン/cm2有する波状ウエハース(90)およびこのようなウエハースを含む菓子製品。また、ウエハース・リボンの方向における少なくとも45度の変化であるターンが波状ウエハースの横断面に実質的に均一に分布している、渦巻状ウエハース・リボン(80)から形成される波状ウエハース(90)を含む菓子製品、および単一工程で形成される3次元の波状ウエハース(90)を含む菓子製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は波状ウエハースおよび波状ウエハースを含む菓子製品に関する。
【背景技術】
【0002】
可食性焼きウエハースは当技術分野で既知である。たとえば、国際公開WO98/25474は、ウエハース・ロールを製造するための方法と装置を開示しており、そこでは、砂糖ベースのウエハース練生地から作られたエンドレスなウエハースの帯を、回転している焼成面の上で焼いて回転している円筒の回りに巻きつけて、連続し折り重なったウエハースのチューブを製造している。次にこのチューブを断片に切断して、冷却し、食べる時に特徴的な「ポキッ」と折れる硬い円筒状の個々のウエハース・ロールを製造する。既知のウエハースの別のタイプは、焼いたウエハースの個々のシートを、クリームまたは他の接着材と一緒に積み重ねて形成し、3次元の本型ウエハースを作る。焼いたウエハース・シートから形成される扇型のアイスクリーム・ウエハースもまた既知である。このようなウエハースは、通例波型が付けられるが、この波型は、焼成した後まだ柔らかいうちにシートを圧縮して形成する。既知のウエハースのまた別のタイプは、焼いたウエハースの断片を切断して分離した長片物または帯状物とし、それらを巻いてゆるいチューブとすることによって形成する。このゆるいチューブを平板化して平板状の巻きウエハースを作ってもよいし、平板化してそれらを互いに折り込んだり折り上げたりして、折り重ね渦巻状ウエハースを形成してもよい。このようなウエハースを組み込んだ菓子製品もまた既知である。
【0003】
【特許文献1】国際公開WO98/25474
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、食感のよい波状ウエハースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、渦巻状のウエハース・リボンから形成される波状ウエハースが提供される。この波状ウエハースは、下記に規定するターンを平均で少なくとも12ターン/cm2有する。
【0006】
明細書全体にわたって使用される用語「波状ウエハース」は、複数の非同心円状の渦巻を含むウエハースを意味する。
【0007】
本明細書で使用される用語「ターン」は、ウエハース・リボンの方向における、少なくとも45度、より好ましくは少なくとも90度、もっとも好ましくは少なくとも135度の変化を意味する。
【0008】
1cm2あたりの平均ターン数は、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも20、もっとも好ましくは少なくとも25である。
【0009】
本発明の波状ウエハースとは対照的に、上記に記載の既知の折り重ねられた渦巻状のウエハースは、比較的ターンの少ないウエハース・リボンの平らまたは直線的部分から主に構成されている。
【0010】
好ましくは、波状ウエハースは、2/reより大きな平均横断面面積(下記に規定)に対する横断面エッジ長(下記に規定)の比を有する。
【0011】
より好ましくは、波状ウエハースは、少なくとも4/reの平均横断面面積に対する横断面エッジ長の比を有する。
【0012】
本明細書で使用される横断面エッジ長は、形成されたウエハースをウエハースの主軸に垂直に切断した横断面に露出した切断エッジの長さ、または形成されたウエハースのどちらか一方の末端に露出されたエッジの長さと規定する。1層または複数の層のウエハースが密接な接触をしている場合、露出エッジは、それらの層が密接な接触をしている間は、一度は横断面エッジ長にだけ寄与する。
【0013】
所与の横断面面積における横断面エッジ長および平均ターン数は、形成されたウエハースの渦巻の程度を表す。
【0014】
従来の円柱状の巻きウエハースでは、横断面エッジ長は、実質的には形成されたウエハースの円周である、すなわち、横断面エッジ長は2πr(rは円柱の半径である)に等しい。平均横断面面積(πr2)に対する横断面エッジ長の標準的値、すなわち、このようなウエハースの比は、つまり2/rとなる。
【0015】
横断面エッジ長の最大値は、ウエハースを形成するウエハース・リボンの長さである。本発明の波状ウエハースでは、横断面エッジ長はこの値に近似する。上記に記載の既知の折り重ね渦巻状ウエハースでは、横断面エッジ長は、理論上の最大値より著しく小さい。
【0016】
形成されたウエハースの平均横断面面積は、(形成されたウエハースのウエハース・リボンの容積よりもむしろ)形成されたウエハースの容積を測定し、これを形成されたウエハースの長さで割り算することによって得られる。
【0017】
本発明の波状ウエハースは、横断面が円形である必要はない。波状ウエハースの平均横断面面積は、半径reの円の面積と等しいとみなし得る。ここでreは、(平均横断面面積/π)1/2である。本発明の波状ウエハースでは、reは通常約5mmと約10mmの間にある。
【0018】
本発明の第2の態様によると、渦巻ウエハース・リボンから形成される波状ウエハースを含む菓子製品が提供され、この菓子製品では、ウエハース・リボンにおける少なくとも45度の変化であるターンが、波状ウエハースの横断面にわたり実質的に均一に分布している。
【0019】
本発明の第3の態様によると、単一工程で形成される3次元の波状ウエハースからなる菓子製品が提供される。好ましくは、波状ウエハースは、2/reより大きい平均横断面面積に対する横断面エッジ長の比を有する。
【0020】
より好ましくは、波状ウエハースは、少なくとも4/reの平均横断面面積に対する横断面エッジ長の比を有する。
【0021】
本発明はまた、本発明による波状ウエハースを含む菓子製品を提供する。
【0022】
好ましくは、この菓子製品は、波状ウエハースを少なくとも部分的に囲む軟質層および硬質シェルをさらに含む。好ましくは、この軟質層が脂肪ベースのクリームである。
【0023】
好ましくは、硬質シェルが、砂糖ベースのシェルまたはキャラメルまたはタフィー・コーティングなどの菓子製品に使用される他の硬質コーティングであってもよい。好ましくは硬質シェルがチョコレートである。
【0024】
この脂肪ベースのクリームは、チョコレート・クリームまたはキャラメル・クリームなどの菓子製品に使用されるいかなるクリームであってもよい。
【0025】
本発明の菓子製品は、従来のチョコレート・バーの味の特質を模倣または取り入れて作ることができる。しかしながら、本発明による菓子製品中に、歯に挟まれることもなく、また「ポキッ」っと折れにくくもなくすばやく溶け出す、低密度でなかなか飽きのこない波状ウエハースを取り込むと、既知の菓子製品には見られないテクスチャーの軽さおよび変化が提供される。
【0026】
本発明の波状ウエハースは、菓子製品の主要または副次的成分を構成していてもよい。
【0027】
上記記載の既知の3次元の本型ウエハースは、クリームの層で分離された複数のウエハースの平板層を含む。対照的に、本発明による波状ウエハースは、エアーポケットによって分離された複数の渦巻を含む。少なくとも部分的にクリームで囲まれた本発明の波状ウエハースを含む菓子製品は、本型ウエハースを含む既知の菓子製品には見られないテクスチャーを提供する。
【0028】
既知の3次元の本型ウエハースの製造には、その間にクリームおよび/またはウエハースが無くなってしまうかもしれない一連の工程が含まれる。このような本型ウエハースを製造する時はまた、ウエハース層の間に平らなクリーム層を適用することも難しい。対照的に本発明の3次元の波状ウエハースは、単一の処理工程で作られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明を、添付の図面を参照して実施例によってさらに詳しく説明する。
【0030】
図1および2の装置は、中心軸の周りに載置され図1に矢印で示されるように時計回りに回転するヒート・ドラム20を有する回転ウエハース・オーブン10を含む。その円周周りに複数のキャビティ40が配置されている旋回式成形機30が、ドラム20に隣接して載置され、その回転はその中心軸の周りに反時計方向である。ドクター・ブレード50をドラム20と旋回式成形機30との間に載置する。テイクオフ・ベルト60が、ドラム20から離れた側面側の旋回式成形機30の下に位置している。
【0031】
使用する際、ウエハース・バッターを回転ウエハース・オーブン10の回転しているドラム20の加熱表面に塗る。このウエハース・バッターは、ドラムが回転するにつれ焼けてウエハース70の連続した焼成層を形成し、焼成層はドラム20の表面から、ドクター・ブレード50によって連続したリボン80として取り外される。ドラム20から取り外されるにつれ、ウエハース・リボン80は旋回式成形機30のキャビティ40に集まる。ドラム20と旋回式成形機30の逆回転を続けると、ドクター・ブレード50およびキャビティ40と時計方向に隣接するキャビティとの間の分割部が協調して働き、はさみのような作用をし、ウエハース・リボン80を切断して分離した波状ウエハース90をキャビティ40に形成する。次にウエハース・リボン80は隣接したキャビティに集まり始め、この処理が繰り返される。波状ウエハース90はエアー・ジェットなどの除去手段(表示せず)によって旋回式成形機30からテイクオフ・ベルト60上に排出され、旋回式成形機の下流へと運ばれ、そこで従来手段によって菓子製品中に取り込まれることになる。
【0032】
ドラム20の表面に形成されたウエハース・リボン80の幅によって、形成された波状ウエハース90の最大長が決められるが、旋回式成形機30上の各キャビティ40に集まったウエハース・リボン80の長さは、波状ウエハース90の渦巻密度、よってその全体の密度に影響を与える。
【0033】
ウエハース・リボン80の幅が一定であると、形成された波状ウエハース90の形状は、旋回式成形機30上のキャビティ40の寸法で部分的に決まり、形成された波状ウエハース90の密度は、旋回式成形機30とドラム20との相対スピードで部分的に決まり、これによって各キャビティ40に集められるウエハース・リボン80の長さが決まる。キャビティのサイズおよびドラムのスピードが一定であると、旋回式成形機30の回転スピードが増加すると、各キャビティ40に集められるウエハース・リボン80の長さが減少し、したがって形成された波状ウエハース90の密度が減少する結果となる。同様に、キャビティ・サイズおよびドラム・スピードが一定であると、旋回式成形機30の回転スピードが減少すると、各キャビティ40に集められるウエハース・リボン80の長さが増加し、したがって形成された波状ウエハース90の密度が増加する結果となる。
【0034】
旋回式成形機内の波状ウエハースの温度および滞留時間は、ウエハースを冷却してガラス転移温度未満とするのに十分なものとすべきであり、これによって旋回式成形機から出た際に形成された形状が確実に維持される、もし、波状ウエハースが、旋回式成形機からはずされる前に十分に冷却されないと、柔軟なまま残り、膨張するかまたは形成された形状から元の形状へと緩んでしまうこともある。
【0035】
旋回式成形機の各キャビティへと導入されるウエハースの量が減少すると、製造した波状ウエハースの密度が減少し、波状ウエハース(ウエハースおよび空気)の比熱容量が増加するにつれ冷却有効性が劣化する結果となる。しかし、冷却すべきウエハースの量は減少する。反対に、旋回式成形機の各キャビティへと導入されるウエハースの量が増加すると、製造された波状ウエハースの密度が増加し、より有効な冷却がもたらされる。しかし、冷却すべきウエハースの量もまた増加する。
【0036】
次に、本発明による波状ウエハースの製造を下記実施例を参照してさらに説明する。
【0037】
[実施例1]
表1に列記した成分を混合してウエハース・バッターを作った。
【表1】
【0038】
バッターの連続層をガスで加熱した直径2mのドラムオーブンのドラム表面に付着して形成し、32秒間155℃から165℃の温度で焼成し、柔軟なウエハース層を形成した。1回焼成し、熱い柔軟なウエハース層をドラム表面からドクター・ブレードによりウエハース・リボンとして取り外し、サーボモータ制御により指示され、主要水冷ジャケットによって囲まれた水冷旋回式形成機ユニット中に直接波状に入れた。旋回式成形機ユニットのキャビティはそれぞれ約9mm×9mm×300mmであった。得られた波状ウエハースを旋回式成形機中で80℃未満約10秒間冷却した後、エアー・ジェットを、ホースの下の旋回式成形機チャネルに沿って水平に、収集チャネルへと吹き入れた。
実施例1で得られた波状ウエハースの長さ、厚さ、重さおよび密度を表2に挙げる。
【0039】
[実施例2〜5]
長さの異なる波状ウエハースを実施例1と同様の方法で製造した。実施例2〜5で得られた波状ウエハースの長さ、厚さ、重さおよび密度は表2に挙げる。
【0040】
[実施例6]
脱脂粉乳を麦芽ミルク粉に変更した以外は表1に掲載した成分を有するウエハース・バッターを使用して、波状ウエハースを実施例1と同様の方法で製造した。
【0041】
[実施例7]
粉末ココアの含有量を0.4重量%から1.1重量%に増加させたウエハース・バッターを使用して、実施例1と同様の方法で波状ウエハースを製造した。
【0042】
実施例1〜7では、ウエハースは旋回式成形機から取り外した際、形成された波状型を保持していた。
【0043】
【表2】
【0044】
[実施例8〜13]
本発明による波状ウエハースの硬さおよびサクサク感に与えるウエハース密度の影響を評価するために、様々な密度の波状ウエハースを実施例1と同様の方法で製造した。波状ウエハースの密度を、幅を一定とし、旋回式成形機の指示スピードを変えて旋回式成形機の各キャビティに収集されたウエハースの量を変えることによって変更した。つまり、指示スピードを増加させて密度の低い波状ウエハースとし、指示スピードを減少させて密度の高い波状ウエハースとした。
【0045】
硬度
波状ウエハースの硬度を、マイクロ・ステーブル・システム・テクスチャー・アナライザーで、3ポイント曲げ試験によって測定した。結果を、実施例1と同様の処方の一般に知られている円柱状巻きウエハースの結果と共に表3に挙げる。
【0046】
表3からわかるように、単位長さあたりの重量、0.33kg/mを有する実施例9の波状ウエハースを破壊するには、約10Nの力を必要とした。対照的に、一般に知られる円柱状巻きウエハースを破壊するには18Nの力を必要とした。したがって、本発明による波状ウエハースは、既知の円柱状巻きウエハースとは異なるテクスチャーを提供する。同じ重量のウエハースと比較した場合、本発明の波状ウエハースは、既知の円柱状巻きウエハースよりも、より軽い噛み心地およびより早い溶け易さを提供する。
【0047】
【表3】
【0048】
テクスチャー
製造された波状ウエハースのテクスチャーをマイクロ・ステーブル・システム・テクスチャー・アナライザーで、平板ディスク圧縮テストによって分析した。多くの個々のテストを平均した結果を、既知の円柱状巻きウエハース、既知の折り重ね渦巻状ウエハース、および既知の平板巻きウエハースの結果(全て、実施例1の処方で、単位長さあたりの重量は同じ)と共に表4に挙げる。
【0049】
円柱状巻きウエハース、折り重ね渦巻状ウエハース、平板巻きウエハースおよび実施例11から13の波状ウエハースの個々の圧縮テストの結果を、それぞれ図5〜10にグラフで示す。
【0050】
表4に列記した力は、さまざまなウエハースを初めに破壊するのに必要な力であって、圧縮テストで最初一番高いピークで測定されるものであり、ウエハースの硬度を表したものである。
【0051】
表4に列記したピーク・カウントは、平板ディスク圧縮テスト中に検出した別個のピーク数であり、ウエハースのサクサク感を表すものである。
【0052】
表4からわかるように、実施例11〜13の波状ウエハースを初めに破壊するに必要な力は多少違いがあるが、全ての場合で、必要とされる力は、既知の円柱状巻きウエハースを初めて破壊するに必要な力よりも著しく低い。これは食べる際に、「ポキッ」と折れる円柱状巻きウエハースの比較的硬い性質を反映している。
【0053】
【表4】
【0054】
先に論じたこれらの圧縮テストおよび硬度テストから、円柱状巻きウエハースを取り込んだ菓子製品は、本発明による菓子製品の軽いサクサクしたテクスチャーを持たないことが明らかである。
【0055】
既知の折り重ね渦巻状ウエハースおよび既知の平板巻きウエハースを初めて破砕するに必要な力は、実施例11〜13の波状ウエハースを破砕するに必要な力に匹敵する。しかし表4および図5〜10からわかるように、本発明の波状ウエハースは、3種類の既知のウエハースすべてよりもより高いピーク数を有する。加えて、図8〜10にそれぞれ示した実施例11、12、および13の波状ウエハースのピークは、図5〜7に示した既知のウエハースのピークよりもよりはっきりしている(各ピークの間の谷間がより大きい)。既知の折り重ね渦巻状および平板巻きウエハースは、硬くなく繊細なテクスチャーであるが、本発明の波状ウエハースと同程度のサクサク感を示さない。その結果、このような既知のウエハースを取り込んだ菓子製品は、本発明による菓子製品と同様のテクスチャー性を有することはない。
【0056】
[実施例14〜16]
実施例1と同様の方法で製造する3つの波状ウエハースの横断面の10カ所の25mm2部分において、波状ウエハースを形成するウエハース・リボン中のターン(方向が少なくとも45度変わる)数を測定した。これらの測定から、1cm2あたりの平均ターン数を計算した。この結果を表5に、既知の折り重ね渦巻状ウエハースの結果と共に挙げる。
【表5】
【0057】
表5からわかるように、実施例14〜16の波状ウエハースの平均ターン数/cm2は、多少違いがあるが、全ての場合で、平均ターン数は、その既知の折り重ね渦巻状ウエハースよりもはるかに大きい。
【0058】
所与の横断面面積あたりの平均ターン数は、横断面エッジ長と同様に、形成されたウエハースの渦巻の程度およびサクサク感を表す。上記に論じたように、既知の折り重ね渦巻状ウエハースは、硬くなく繊細なテクスチャーを有するが、本発明の波状ウエハースと同程度の渦巻およびサクサク感を示さない。
【0059】
図11は、下層チョコレート・クリーム層110およびこのチョコレート・クリーム層110の上に載った上層キャラメル層120を含む本発明による層状の菓子製品100の実施態様を示す。下層チョコレート・クリーム層110および上層キャラメル・クリーム層120は、チョコレートの外層130に被覆されている。波状ウエハース140は、下層チョコレート・クリーム層110および上層キャラメル層120の界面に、波状ウエハース140の上表面が、キャラメル・クリーム層120に囲まれるように、また波状ウエハース140の下表面がチョコレート・クリーム層110に囲まれるように配置されている。波状ウエハース140は、軽くサクサクした均一なテクスチャーを菓子製品100に提供する。
【0060】
上記記載の実施例には、本発明の波状ウエハースがガス加熱型回転ウエハース・オーブンを使用して形成されたが、赤外線または誘導加熱型オーブンなどの他のオーブンも使用可能であることが理解されよう。
【0061】
記載された実施例では、旋回式成形機から波状ウエハースを排出する手段は、エアー・ジェットを含むが、吸引手段、重力的手段、またはロッド・プッシャーなどの物理的手段を含む他の除去手段を使用してもよい。
【0062】
異なる香味、および/またはテクスチャー性を提供するために、本発明による波状ウエハースの製造に別種の砂糖および/またはベース処方を使用して、甘いまたは香ばしいウエハースを作製してもよい。
【0063】
焼成処理中、詰め物または他の製品層を付加した波状ウエハースも本発明による菓子製品に含み得る。本発明の波状ウエハースはまた、ペットフードなどの他の製品中に構成物として取り込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の波状ウエハースの製造装置の概略図である。
【図2】図1の回転形成ユニットの一部の拡大概念図である。
【図3】図1および2に示す装置を使用して製造された波状ウエハースの端面図である。
【図4】図3の波状ウエハースの平面図である。
【図5】既知の円筒状巻きウエハースに対する圧縮テストの結果を示すグラフである。
【図6】既知の折り重ね渦巻状ウエハースに対する圧縮テストの結果を示すグラフである。
【図7】既知の平板状巻きウエハースに対する圧縮テストの結果を示すグラフである。
【図8】本発明の第1の波状ウエハースに対する圧縮テストの結果を示すグラフである。
【図9】本発明の第2の波状ウエハースに対する圧縮テストの結果を示すグラフである。
【図10】本発明の第3の波状ウエハースに対する圧縮テストの結果を示すグラフである。
【図11】本発明による菓子製品の実施の形態の横断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は波状ウエハースおよび波状ウエハースを含む菓子製品に関する。
【背景技術】
【0002】
可食性焼きウエハースは当技術分野で既知である。たとえば、国際公開WO98/25474は、ウエハース・ロールを製造するための方法と装置を開示しており、そこでは、砂糖ベースのウエハース練生地から作られたエンドレスなウエハースの帯を、回転している焼成面の上で焼いて回転している円筒の回りに巻きつけて、連続し折り重なったウエハースのチューブを製造している。次にこのチューブを断片に切断して、冷却し、食べる時に特徴的な「ポキッ」と折れる硬い円筒状の個々のウエハース・ロールを製造する。既知のウエハースの別のタイプは、焼いたウエハースの個々のシートを、クリームまたは他の接着材と一緒に積み重ねて形成し、3次元の本型ウエハースを作る。焼いたウエハース・シートから形成される扇型のアイスクリーム・ウエハースもまた既知である。このようなウエハースは、通例波型が付けられるが、この波型は、焼成した後まだ柔らかいうちにシートを圧縮して形成する。既知のウエハースのまた別のタイプは、焼いたウエハースの断片を切断して分離した長片物または帯状物とし、それらを巻いてゆるいチューブとすることによって形成する。このゆるいチューブを平板化して平板状の巻きウエハースを作ってもよいし、平板化してそれらを互いに折り込んだり折り上げたりして、折り重ね渦巻状ウエハースを形成してもよい。このようなウエハースを組み込んだ菓子製品もまた既知である。
【0003】
【特許文献1】国際公開WO98/25474
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、食感のよい波状ウエハースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、渦巻状のウエハース・リボンから形成される波状ウエハースが提供される。この波状ウエハースは、下記に規定するターンを平均で少なくとも12ターン/cm2有する。
【0006】
明細書全体にわたって使用される用語「波状ウエハース」は、複数の非同心円状の渦巻を含むウエハースを意味する。
【0007】
本明細書で使用される用語「ターン」は、ウエハース・リボンの方向における、少なくとも45度、より好ましくは少なくとも90度、もっとも好ましくは少なくとも135度の変化を意味する。
【0008】
1cm2あたりの平均ターン数は、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも20、もっとも好ましくは少なくとも25である。
【0009】
本発明の波状ウエハースとは対照的に、上記に記載の既知の折り重ねられた渦巻状のウエハースは、比較的ターンの少ないウエハース・リボンの平らまたは直線的部分から主に構成されている。
【0010】
好ましくは、波状ウエハースは、2/reより大きな平均横断面面積(下記に規定)に対する横断面エッジ長(下記に規定)の比を有する。
【0011】
より好ましくは、波状ウエハースは、少なくとも4/reの平均横断面面積に対する横断面エッジ長の比を有する。
【0012】
本明細書で使用される横断面エッジ長は、形成されたウエハースをウエハースの主軸に垂直に切断した横断面に露出した切断エッジの長さ、または形成されたウエハースのどちらか一方の末端に露出されたエッジの長さと規定する。1層または複数の層のウエハースが密接な接触をしている場合、露出エッジは、それらの層が密接な接触をしている間は、一度は横断面エッジ長にだけ寄与する。
【0013】
所与の横断面面積における横断面エッジ長および平均ターン数は、形成されたウエハースの渦巻の程度を表す。
【0014】
従来の円柱状の巻きウエハースでは、横断面エッジ長は、実質的には形成されたウエハースの円周である、すなわち、横断面エッジ長は2πr(rは円柱の半径である)に等しい。平均横断面面積(πr2)に対する横断面エッジ長の標準的値、すなわち、このようなウエハースの比は、つまり2/rとなる。
【0015】
横断面エッジ長の最大値は、ウエハースを形成するウエハース・リボンの長さである。本発明の波状ウエハースでは、横断面エッジ長はこの値に近似する。上記に記載の既知の折り重ね渦巻状ウエハースでは、横断面エッジ長は、理論上の最大値より著しく小さい。
【0016】
形成されたウエハースの平均横断面面積は、(形成されたウエハースのウエハース・リボンの容積よりもむしろ)形成されたウエハースの容積を測定し、これを形成されたウエハースの長さで割り算することによって得られる。
【0017】
本発明の波状ウエハースは、横断面が円形である必要はない。波状ウエハースの平均横断面面積は、半径reの円の面積と等しいとみなし得る。ここでreは、(平均横断面面積/π)1/2である。本発明の波状ウエハースでは、reは通常約5mmと約10mmの間にある。
【0018】
本発明の第2の態様によると、渦巻ウエハース・リボンから形成される波状ウエハースを含む菓子製品が提供され、この菓子製品では、ウエハース・リボンにおける少なくとも45度の変化であるターンが、波状ウエハースの横断面にわたり実質的に均一に分布している。
【0019】
本発明の第3の態様によると、単一工程で形成される3次元の波状ウエハースからなる菓子製品が提供される。好ましくは、波状ウエハースは、2/reより大きい平均横断面面積に対する横断面エッジ長の比を有する。
【0020】
より好ましくは、波状ウエハースは、少なくとも4/reの平均横断面面積に対する横断面エッジ長の比を有する。
【0021】
本発明はまた、本発明による波状ウエハースを含む菓子製品を提供する。
【0022】
好ましくは、この菓子製品は、波状ウエハースを少なくとも部分的に囲む軟質層および硬質シェルをさらに含む。好ましくは、この軟質層が脂肪ベースのクリームである。
【0023】
好ましくは、硬質シェルが、砂糖ベースのシェルまたはキャラメルまたはタフィー・コーティングなどの菓子製品に使用される他の硬質コーティングであってもよい。好ましくは硬質シェルがチョコレートである。
【0024】
この脂肪ベースのクリームは、チョコレート・クリームまたはキャラメル・クリームなどの菓子製品に使用されるいかなるクリームであってもよい。
【0025】
本発明の菓子製品は、従来のチョコレート・バーの味の特質を模倣または取り入れて作ることができる。しかしながら、本発明による菓子製品中に、歯に挟まれることもなく、また「ポキッ」っと折れにくくもなくすばやく溶け出す、低密度でなかなか飽きのこない波状ウエハースを取り込むと、既知の菓子製品には見られないテクスチャーの軽さおよび変化が提供される。
【0026】
本発明の波状ウエハースは、菓子製品の主要または副次的成分を構成していてもよい。
【0027】
上記記載の既知の3次元の本型ウエハースは、クリームの層で分離された複数のウエハースの平板層を含む。対照的に、本発明による波状ウエハースは、エアーポケットによって分離された複数の渦巻を含む。少なくとも部分的にクリームで囲まれた本発明の波状ウエハースを含む菓子製品は、本型ウエハースを含む既知の菓子製品には見られないテクスチャーを提供する。
【0028】
既知の3次元の本型ウエハースの製造には、その間にクリームおよび/またはウエハースが無くなってしまうかもしれない一連の工程が含まれる。このような本型ウエハースを製造する時はまた、ウエハース層の間に平らなクリーム層を適用することも難しい。対照的に本発明の3次元の波状ウエハースは、単一の処理工程で作られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明を、添付の図面を参照して実施例によってさらに詳しく説明する。
【0030】
図1および2の装置は、中心軸の周りに載置され図1に矢印で示されるように時計回りに回転するヒート・ドラム20を有する回転ウエハース・オーブン10を含む。その円周周りに複数のキャビティ40が配置されている旋回式成形機30が、ドラム20に隣接して載置され、その回転はその中心軸の周りに反時計方向である。ドクター・ブレード50をドラム20と旋回式成形機30との間に載置する。テイクオフ・ベルト60が、ドラム20から離れた側面側の旋回式成形機30の下に位置している。
【0031】
使用する際、ウエハース・バッターを回転ウエハース・オーブン10の回転しているドラム20の加熱表面に塗る。このウエハース・バッターは、ドラムが回転するにつれ焼けてウエハース70の連続した焼成層を形成し、焼成層はドラム20の表面から、ドクター・ブレード50によって連続したリボン80として取り外される。ドラム20から取り外されるにつれ、ウエハース・リボン80は旋回式成形機30のキャビティ40に集まる。ドラム20と旋回式成形機30の逆回転を続けると、ドクター・ブレード50およびキャビティ40と時計方向に隣接するキャビティとの間の分割部が協調して働き、はさみのような作用をし、ウエハース・リボン80を切断して分離した波状ウエハース90をキャビティ40に形成する。次にウエハース・リボン80は隣接したキャビティに集まり始め、この処理が繰り返される。波状ウエハース90はエアー・ジェットなどの除去手段(表示せず)によって旋回式成形機30からテイクオフ・ベルト60上に排出され、旋回式成形機の下流へと運ばれ、そこで従来手段によって菓子製品中に取り込まれることになる。
【0032】
ドラム20の表面に形成されたウエハース・リボン80の幅によって、形成された波状ウエハース90の最大長が決められるが、旋回式成形機30上の各キャビティ40に集まったウエハース・リボン80の長さは、波状ウエハース90の渦巻密度、よってその全体の密度に影響を与える。
【0033】
ウエハース・リボン80の幅が一定であると、形成された波状ウエハース90の形状は、旋回式成形機30上のキャビティ40の寸法で部分的に決まり、形成された波状ウエハース90の密度は、旋回式成形機30とドラム20との相対スピードで部分的に決まり、これによって各キャビティ40に集められるウエハース・リボン80の長さが決まる。キャビティのサイズおよびドラムのスピードが一定であると、旋回式成形機30の回転スピードが増加すると、各キャビティ40に集められるウエハース・リボン80の長さが減少し、したがって形成された波状ウエハース90の密度が減少する結果となる。同様に、キャビティ・サイズおよびドラム・スピードが一定であると、旋回式成形機30の回転スピードが減少すると、各キャビティ40に集められるウエハース・リボン80の長さが増加し、したがって形成された波状ウエハース90の密度が増加する結果となる。
【0034】
旋回式成形機内の波状ウエハースの温度および滞留時間は、ウエハースを冷却してガラス転移温度未満とするのに十分なものとすべきであり、これによって旋回式成形機から出た際に形成された形状が確実に維持される、もし、波状ウエハースが、旋回式成形機からはずされる前に十分に冷却されないと、柔軟なまま残り、膨張するかまたは形成された形状から元の形状へと緩んでしまうこともある。
【0035】
旋回式成形機の各キャビティへと導入されるウエハースの量が減少すると、製造した波状ウエハースの密度が減少し、波状ウエハース(ウエハースおよび空気)の比熱容量が増加するにつれ冷却有効性が劣化する結果となる。しかし、冷却すべきウエハースの量は減少する。反対に、旋回式成形機の各キャビティへと導入されるウエハースの量が増加すると、製造された波状ウエハースの密度が増加し、より有効な冷却がもたらされる。しかし、冷却すべきウエハースの量もまた増加する。
【0036】
次に、本発明による波状ウエハースの製造を下記実施例を参照してさらに説明する。
【0037】
[実施例1]
表1に列記した成分を混合してウエハース・バッターを作った。
【表1】
【0038】
バッターの連続層をガスで加熱した直径2mのドラムオーブンのドラム表面に付着して形成し、32秒間155℃から165℃の温度で焼成し、柔軟なウエハース層を形成した。1回焼成し、熱い柔軟なウエハース層をドラム表面からドクター・ブレードによりウエハース・リボンとして取り外し、サーボモータ制御により指示され、主要水冷ジャケットによって囲まれた水冷旋回式形成機ユニット中に直接波状に入れた。旋回式成形機ユニットのキャビティはそれぞれ約9mm×9mm×300mmであった。得られた波状ウエハースを旋回式成形機中で80℃未満約10秒間冷却した後、エアー・ジェットを、ホースの下の旋回式成形機チャネルに沿って水平に、収集チャネルへと吹き入れた。
実施例1で得られた波状ウエハースの長さ、厚さ、重さおよび密度を表2に挙げる。
【0039】
[実施例2〜5]
長さの異なる波状ウエハースを実施例1と同様の方法で製造した。実施例2〜5で得られた波状ウエハースの長さ、厚さ、重さおよび密度は表2に挙げる。
【0040】
[実施例6]
脱脂粉乳を麦芽ミルク粉に変更した以外は表1に掲載した成分を有するウエハース・バッターを使用して、波状ウエハースを実施例1と同様の方法で製造した。
【0041】
[実施例7]
粉末ココアの含有量を0.4重量%から1.1重量%に増加させたウエハース・バッターを使用して、実施例1と同様の方法で波状ウエハースを製造した。
【0042】
実施例1〜7では、ウエハースは旋回式成形機から取り外した際、形成された波状型を保持していた。
【0043】
【表2】
【0044】
[実施例8〜13]
本発明による波状ウエハースの硬さおよびサクサク感に与えるウエハース密度の影響を評価するために、様々な密度の波状ウエハースを実施例1と同様の方法で製造した。波状ウエハースの密度を、幅を一定とし、旋回式成形機の指示スピードを変えて旋回式成形機の各キャビティに収集されたウエハースの量を変えることによって変更した。つまり、指示スピードを増加させて密度の低い波状ウエハースとし、指示スピードを減少させて密度の高い波状ウエハースとした。
【0045】
硬度
波状ウエハースの硬度を、マイクロ・ステーブル・システム・テクスチャー・アナライザーで、3ポイント曲げ試験によって測定した。結果を、実施例1と同様の処方の一般に知られている円柱状巻きウエハースの結果と共に表3に挙げる。
【0046】
表3からわかるように、単位長さあたりの重量、0.33kg/mを有する実施例9の波状ウエハースを破壊するには、約10Nの力を必要とした。対照的に、一般に知られる円柱状巻きウエハースを破壊するには18Nの力を必要とした。したがって、本発明による波状ウエハースは、既知の円柱状巻きウエハースとは異なるテクスチャーを提供する。同じ重量のウエハースと比較した場合、本発明の波状ウエハースは、既知の円柱状巻きウエハースよりも、より軽い噛み心地およびより早い溶け易さを提供する。
【0047】
【表3】
【0048】
テクスチャー
製造された波状ウエハースのテクスチャーをマイクロ・ステーブル・システム・テクスチャー・アナライザーで、平板ディスク圧縮テストによって分析した。多くの個々のテストを平均した結果を、既知の円柱状巻きウエハース、既知の折り重ね渦巻状ウエハース、および既知の平板巻きウエハースの結果(全て、実施例1の処方で、単位長さあたりの重量は同じ)と共に表4に挙げる。
【0049】
円柱状巻きウエハース、折り重ね渦巻状ウエハース、平板巻きウエハースおよび実施例11から13の波状ウエハースの個々の圧縮テストの結果を、それぞれ図5〜10にグラフで示す。
【0050】
表4に列記した力は、さまざまなウエハースを初めに破壊するのに必要な力であって、圧縮テストで最初一番高いピークで測定されるものであり、ウエハースの硬度を表したものである。
【0051】
表4に列記したピーク・カウントは、平板ディスク圧縮テスト中に検出した別個のピーク数であり、ウエハースのサクサク感を表すものである。
【0052】
表4からわかるように、実施例11〜13の波状ウエハースを初めに破壊するに必要な力は多少違いがあるが、全ての場合で、必要とされる力は、既知の円柱状巻きウエハースを初めて破壊するに必要な力よりも著しく低い。これは食べる際に、「ポキッ」と折れる円柱状巻きウエハースの比較的硬い性質を反映している。
【0053】
【表4】
【0054】
先に論じたこれらの圧縮テストおよび硬度テストから、円柱状巻きウエハースを取り込んだ菓子製品は、本発明による菓子製品の軽いサクサクしたテクスチャーを持たないことが明らかである。
【0055】
既知の折り重ね渦巻状ウエハースおよび既知の平板巻きウエハースを初めて破砕するに必要な力は、実施例11〜13の波状ウエハースを破砕するに必要な力に匹敵する。しかし表4および図5〜10からわかるように、本発明の波状ウエハースは、3種類の既知のウエハースすべてよりもより高いピーク数を有する。加えて、図8〜10にそれぞれ示した実施例11、12、および13の波状ウエハースのピークは、図5〜7に示した既知のウエハースのピークよりもよりはっきりしている(各ピークの間の谷間がより大きい)。既知の折り重ね渦巻状および平板巻きウエハースは、硬くなく繊細なテクスチャーであるが、本発明の波状ウエハースと同程度のサクサク感を示さない。その結果、このような既知のウエハースを取り込んだ菓子製品は、本発明による菓子製品と同様のテクスチャー性を有することはない。
【0056】
[実施例14〜16]
実施例1と同様の方法で製造する3つの波状ウエハースの横断面の10カ所の25mm2部分において、波状ウエハースを形成するウエハース・リボン中のターン(方向が少なくとも45度変わる)数を測定した。これらの測定から、1cm2あたりの平均ターン数を計算した。この結果を表5に、既知の折り重ね渦巻状ウエハースの結果と共に挙げる。
【表5】
【0057】
表5からわかるように、実施例14〜16の波状ウエハースの平均ターン数/cm2は、多少違いがあるが、全ての場合で、平均ターン数は、その既知の折り重ね渦巻状ウエハースよりもはるかに大きい。
【0058】
所与の横断面面積あたりの平均ターン数は、横断面エッジ長と同様に、形成されたウエハースの渦巻の程度およびサクサク感を表す。上記に論じたように、既知の折り重ね渦巻状ウエハースは、硬くなく繊細なテクスチャーを有するが、本発明の波状ウエハースと同程度の渦巻およびサクサク感を示さない。
【0059】
図11は、下層チョコレート・クリーム層110およびこのチョコレート・クリーム層110の上に載った上層キャラメル層120を含む本発明による層状の菓子製品100の実施態様を示す。下層チョコレート・クリーム層110および上層キャラメル・クリーム層120は、チョコレートの外層130に被覆されている。波状ウエハース140は、下層チョコレート・クリーム層110および上層キャラメル層120の界面に、波状ウエハース140の上表面が、キャラメル・クリーム層120に囲まれるように、また波状ウエハース140の下表面がチョコレート・クリーム層110に囲まれるように配置されている。波状ウエハース140は、軽くサクサクした均一なテクスチャーを菓子製品100に提供する。
【0060】
上記記載の実施例には、本発明の波状ウエハースがガス加熱型回転ウエハース・オーブンを使用して形成されたが、赤外線または誘導加熱型オーブンなどの他のオーブンも使用可能であることが理解されよう。
【0061】
記載された実施例では、旋回式成形機から波状ウエハースを排出する手段は、エアー・ジェットを含むが、吸引手段、重力的手段、またはロッド・プッシャーなどの物理的手段を含む他の除去手段を使用してもよい。
【0062】
異なる香味、および/またはテクスチャー性を提供するために、本発明による波状ウエハースの製造に別種の砂糖および/またはベース処方を使用して、甘いまたは香ばしいウエハースを作製してもよい。
【0063】
焼成処理中、詰め物または他の製品層を付加した波状ウエハースも本発明による菓子製品に含み得る。本発明の波状ウエハースはまた、ペットフードなどの他の製品中に構成物として取り込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の波状ウエハースの製造装置の概略図である。
【図2】図1の回転形成ユニットの一部の拡大概念図である。
【図3】図1および2に示す装置を使用して製造された波状ウエハースの端面図である。
【図4】図3の波状ウエハースの平面図である。
【図5】既知の円筒状巻きウエハースに対する圧縮テストの結果を示すグラフである。
【図6】既知の折り重ね渦巻状ウエハースに対する圧縮テストの結果を示すグラフである。
【図7】既知の平板状巻きウエハースに対する圧縮テストの結果を示すグラフである。
【図8】本発明の第1の波状ウエハースに対する圧縮テストの結果を示すグラフである。
【図9】本発明の第2の波状ウエハースに対する圧縮テストの結果を示すグラフである。
【図10】本発明の第3の波状ウエハースに対する圧縮テストの結果を示すグラフである。
【図11】本発明による菓子製品の実施の形態の横断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
渦巻状のウエハース・リボンから形成される波状ウエハースであって、ウエハース・リボンの方向における少なくとも45度の変化であるターンを平均で少なくとも12ターン/cm2有する波状ウエハース。
【請求項2】
平均で少なくとも15ターン/cm2を有する、請求項1に記載の波状ウエハース。
【請求項3】
平均で少なくとも20ターン/cm2を有する請求項1または2に記載の波状ウエハース。
【請求項4】
平均で少なくとも25ターン/cm2を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の波状ウエハース。
【請求項5】
ターンがウエハース・リボンの方向における少なくとも90度の変化である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の波状ウエハース。
【請求項6】
ターンがウエハース・リボンの方向における少なくとも135度の変化である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の波状ウエハース。
【請求項7】
明細書に規定された平均横断面面積に対する明細書に規定された横断面エッジ長の比が2/reより大きい、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の波状ウエハース。
【請求項8】
平均横断面面積に対する横断面エッジ長の比が少なくとも4/reである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の波状ウエハース。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の波状ウエハースを含む菓子製品。
【請求項10】
ウエハース・リボンの方向における少なくとも45度の変化であるターンが波状ウエハースの横断面にわたって実質的に均一に分布している渦巻状ウエハース・リボンから形成される波状ウエハースを含む菓子製品。
【請求項11】
単一工程で形成される3次元の波状ウエハースを含む菓子製品。
【請求項12】
明細書に規定された波状ウエハースの平均横断面面積に対する明細書に規定された横断面エッジ長の比が2/reより大きい、請求項10または11に記載の菓子製品。
【請求項13】
波状ウエハースの平均横断面面積に対する横断面エッジ長の比が少なくとも4/reである、請求項10、11または12に記載の菓子製品。
【請求項14】
前記波状ウエハースが平均で少なくとも12ターン/cm2を有する、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の菓子製品。
【請求項15】
前記波状ウエハースが平均で少なくとも14ターン/cm2を有する、請求項14に記載の菓子製品。
【請求項16】
前記波状ウエハースが平均で少なくとも20ターン/cm2を有する、請求項14または15に記載の菓子製品。
【請求項17】
前記波状ウエハースが平均で少なくとも25ターン/cm2を有する、請求項14乃至16のいずれか1項に記載の菓子製品。
【請求項18】
ターンがウエハース・リボンの方向における少なくとも90度の変化である、請求項10乃至17のいずれか1項に記載の菓子製品。
【請求項19】
ターンがウエハース・リボンの方向における少なくとも135度の変化である、請求項10乃至18のいずれか1項に記載の菓子製品。
【請求項20】
波状ウエハースを少なくとも部分的に囲む軟質層および硬質シェルをさらに含む、請求項9乃至19のいずれか1項に記載の菓子製品。
【請求項21】
前記軟質層が、脂肪ベースのクリームである請求項20に記載の菓子製品。
【請求項22】
前記硬質シェルが、チョコレートである、請求項20または21に記載の菓子製品。
【請求項23】
請求項9乃至22のいずれか1項に記載の成型菓子製品。
【請求項24】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の波状ウエハースを含むペットフード。
【請求項25】
添付図面を参照して実質的に記載される波状ウエハース。
【請求項26】
添付図面の図11を参照して実質的に記載される菓子製品。
【請求項1】
渦巻状のウエハース・リボンから形成される波状ウエハースであって、ウエハース・リボンの方向における少なくとも45度の変化であるターンを平均で少なくとも12ターン/cm2有する波状ウエハース。
【請求項2】
平均で少なくとも15ターン/cm2を有する、請求項1に記載の波状ウエハース。
【請求項3】
平均で少なくとも20ターン/cm2を有する請求項1または2に記載の波状ウエハース。
【請求項4】
平均で少なくとも25ターン/cm2を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の波状ウエハース。
【請求項5】
ターンがウエハース・リボンの方向における少なくとも90度の変化である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の波状ウエハース。
【請求項6】
ターンがウエハース・リボンの方向における少なくとも135度の変化である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の波状ウエハース。
【請求項7】
明細書に規定された平均横断面面積に対する明細書に規定された横断面エッジ長の比が2/reより大きい、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の波状ウエハース。
【請求項8】
平均横断面面積に対する横断面エッジ長の比が少なくとも4/reである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の波状ウエハース。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の波状ウエハースを含む菓子製品。
【請求項10】
ウエハース・リボンの方向における少なくとも45度の変化であるターンが波状ウエハースの横断面にわたって実質的に均一に分布している渦巻状ウエハース・リボンから形成される波状ウエハースを含む菓子製品。
【請求項11】
単一工程で形成される3次元の波状ウエハースを含む菓子製品。
【請求項12】
明細書に規定された波状ウエハースの平均横断面面積に対する明細書に規定された横断面エッジ長の比が2/reより大きい、請求項10または11に記載の菓子製品。
【請求項13】
波状ウエハースの平均横断面面積に対する横断面エッジ長の比が少なくとも4/reである、請求項10、11または12に記載の菓子製品。
【請求項14】
前記波状ウエハースが平均で少なくとも12ターン/cm2を有する、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の菓子製品。
【請求項15】
前記波状ウエハースが平均で少なくとも14ターン/cm2を有する、請求項14に記載の菓子製品。
【請求項16】
前記波状ウエハースが平均で少なくとも20ターン/cm2を有する、請求項14または15に記載の菓子製品。
【請求項17】
前記波状ウエハースが平均で少なくとも25ターン/cm2を有する、請求項14乃至16のいずれか1項に記載の菓子製品。
【請求項18】
ターンがウエハース・リボンの方向における少なくとも90度の変化である、請求項10乃至17のいずれか1項に記載の菓子製品。
【請求項19】
ターンがウエハース・リボンの方向における少なくとも135度の変化である、請求項10乃至18のいずれか1項に記載の菓子製品。
【請求項20】
波状ウエハースを少なくとも部分的に囲む軟質層および硬質シェルをさらに含む、請求項9乃至19のいずれか1項に記載の菓子製品。
【請求項21】
前記軟質層が、脂肪ベースのクリームである請求項20に記載の菓子製品。
【請求項22】
前記硬質シェルが、チョコレートである、請求項20または21に記載の菓子製品。
【請求項23】
請求項9乃至22のいずれか1項に記載の成型菓子製品。
【請求項24】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の波状ウエハースを含むペットフード。
【請求項25】
添付図面を参照して実質的に記載される波状ウエハース。
【請求項26】
添付図面の図11を参照して実質的に記載される菓子製品。
【図1】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図3】
【図4】
【図11】
【図2】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図3】
【図4】
【図11】
【公表番号】特表2006−517098(P2006−517098A)
【公表日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500178(P2006−500178)
【出願日】平成16年1月7日(2004.1.7)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000028
【国際公開番号】WO2004/062374
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(390037914)マーズ インコーポレイテッド (80)
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月7日(2004.1.7)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000028
【国際公開番号】WO2004/062374
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(390037914)マーズ インコーポレイテッド (80)
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]