説明

ウエハ受渡装置、ウエハ受渡装置のウエハ着座検出方法及びポリッシング装置

【課題】トップリング(ウエハ保持機構)に保持されたウエハが離脱してプッシャー機構(ウエハ受渡機構)に着座するまでのウエハ受渡工程の所要時間を短縮できるウエハ受渡装置を提供する。
【解決手段】ウエハWを保持するトップリング60と、トップリング60との間でウエハWの受け渡しを行うプッシャー機構10とを備えたウエハ受渡装置において、プッシャー機構10は、ウエハWを載置するウエハトレイ40を備え、トップリング10の下端面から離脱したウエハWがウエハトレイ40に着座するように構成し、プッシャー機構10に、ウエハWがウエハトレイ40に適正に着座したことを検知するセンサ機構50を備えた。センサ機構50は、投光装置51から投光されたセンサ光が、ウエハトレイ40に着座したウエハWによって遮断されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ(以下、「ウエハ」という。)等の基板を保持するウエハ保持機構と該ウエハ保持機構との間でウエハの受け渡しを行うウエハ受渡機構とを備えたウエハ受渡装置、及び該ウエハ受渡装置を備えたポリッシング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ウエハを保持するトップリング(ウエハ保持機構)と該トップリングとの間でウエハの受け渡しを行うプッシャー機構(ウエハ受渡機構)とを備えたウエハ受渡装置がある(特許文献1等)。図1は、この種のウエハ受渡装置の概略構成例を示す図であり、同図(a)は、ウエハWがトップリング60から離脱する直前の状態を示す図で、同図(b)はウエハWがトップリング60から離脱してプッシャー機構10のウエハ載置部(ウエハトレイ)40に着座した状態を示す図である。トップリング60は、その下端面に設けたウエハ保持面60aに複数の穴65が形成され、該複数の穴65は、気体又は液体又はその混合物を供給・排気する加圧・排気源(図示せず)に連通接続されている。これによりウエハ吸着・離脱機構が構成されている。
【0003】
プッシャー機構10は、シャフト11を具備し、該シャフト11にコイルスプリング16及び調芯機構14を介してガイドステージ15が支持され、ガイドステージ15の上面外周にトップリングガイド20が取り付けられている。トップリングガイド20の内側に配置されたウエハトレイ40は、シャフト11の上端に支持されたプッシュステージ30で押し上げられるようになっている。シャフト11を図示しないシリンダにより上昇させることにより、同図(a)、(b)に示すように、トップリングガイド20をトップリング60の下面外周に当接させる。
【0004】
図1(a)に示す状態で、トップリング60において加圧・排気源から流体(気体又は液体又はその混合物)を供給することで、図1(b)に示すように、ウエハ保持面60aの複数の穴65から流体66を噴出させ、ウエハWをウエハ保持面60aから離脱させてウエハトレイ40に着座させる。以下、トップリング60の下端面からウエハWを離脱させて、プッシャー機構10のウエハ載置部であるウエハトレイ40に着座させる上記の一連の工程を、ウエハ受取工程という。
【0005】
一方、トップリング60にウエハWを保持させるには、図1(b)の状態から、プッシャー機構10のシャフト11を上昇させてウエハトレイ40を押し上げ、載置されているウエハWをトップリング60のウエハ保持面60aに当接させる。そして加圧・排気源によりウエハ保持面60aの複数の穴65を負圧にすることで、ウエハWをウエハ保持面60aに吸着保持する。
【0006】
従来、ウエハ受取工程に要する実時間、即ちウエハが実際にトップリング60から離脱してウエハトレイ40に着座するまでの所要時間は、各ウエハごとに異なり一定ではない。多くのウエハは工程開始から数秒間で離脱が完全に終了するが、一方で5秒〜10秒程度を要する場合や、10秒以上を要する場合も少なからずあり、多数のウエハを処理すると各ウエハごとにその離脱時間にバラツキがあるのが現状である。この離脱時間は、ウエハの処理プロセスやトップリング60の種類などによっても異なり、また、同一ロッドの複数のウエハを同一条件で処理した場合でもウエハごとに異なるのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−135604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら従来は、ウエハ受取工程を開始した後、予め設定された所定の時間(離脱予想時間)が経過するのを待ってウエハの受け取りが完了したとみなし、プッシャー機構10を降下させると共にトップリング60をプッシャー機構10の直上位置から退避させて、次の工程に移行する運転を行っていた。ところが、この運転方法では、離脱予想時間が経過するまではウエハ受取工程が終了しないので、実際にウエハが短時間で離脱した場合、無駄な待ち時間が生じていた。
【0009】
また従来は、離脱予想時間が経過したらウエハ受取工程を強制的に終了し、実際にトップリング60からウエハが適正に離脱したか否かを確認せず次の工程に移行していた。そのため、時間内にウエハが適正に離脱しないとウエハの破損などの事故が起こる場合があった。この種の事故を防ぐには、十分に余裕を持った離脱予想時間を設定して、すべてのウエハで一律に離脱予想時間の経過を待ってから次の工程に移行する必要があり、それによっても無駄な待ち時間が生じていた。
【0010】
近年、ポリッシング装置などの半導体製造装置においては、装置のスループット向上の要請が非常に厳しくなっており、特に、ウエハ搬送工程の所要時間の短縮は重要な課題になっている。このため、ウエハ受取工程における無駄な待ち時間は極力削減して装置のスループットを向上させる必要がある。また、コストダウンも非常に重要であるため、ウエハ受取工程における高価なウエハの破損事故を極力抑える必要もある。
【0011】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、ウエハ保持機構に保持されたウエハが離脱してウエハ受渡機構のウエハ載置部に適正に着座したことを検知して、適正に着座したことを確認したら次の工程に移ることで、ウエハ受取工程の所要時間を短縮できると共に、ウエハの破損などの事故を防ぐことができるウエハ受渡装置、及び該ウエハ受渡装置を備えたポリッシング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本願発明は、下端面にウエハを保持するウエハ保持機構と、該ウエハ保持機構との間でウエハの受け渡しを行うウエハ受渡機構とを備えたウエハ受渡装置において、ウエハ受渡機構は、ウエハを載置するウエハ載置部を備え、ウエハ保持機構によるウエハの離脱動作で該ウエハ保持機構の下端面から離脱したウエハが前記ウエハ載置部に着座するように構成し、ウエハ受渡機構は、ウエハが前記ウエハ載置部に着座したことを検知する着座検知手段を備え、着座検知手段は、前記ウエハ載置部に着座したウエハの外周端部の少なくとも3個所をそれぞれ検知するセンサ機構と、センサ機構によるウエハの着座検知から前記ウエハが前記ウエハ載置部に適正に着座したかを判断する制御手段と備え、センサ機構は、ウエハ載置部に適正に着座したウエハの外周端より外側と内側のいずれか一方に配置された投光部から光を投光する投光装置と、外側と内側のいずれか他方に配置された受光部で投光装置から投光された光を受光する受光装置とを備え、ウエハがウエハ載置部に適正に着座した場合、すべてのセンサ機構の投光装置の投光部から投光された光が、ウエハで遮断されて受光装置の受光部に受光されないようにすると共に、ウエハが前記ウエハ載置部に傾いた状態で着座した場合、少なくとも1つのセンサ機構の投光装置の投光部から投光された光がウエハで遮断されず受光装置の受光部に受光されるように各投光装置の投光部及び各受光装置の受光部を配置し、制御手段は、すべてのセンサ機構の受光装置の受光部が受光しない場合は、ウエハが適正に着座したと判断し、センサ機構のうちいずれか1つの受光装置の受光部でも受光した場合、ウエハが傾いた状態で着座していると判断することを特徴とする。
【0013】
また、本願発明は、上記ウエハ受渡装置において、各々の検知位置が、鉛直方向において互いに同一の高さ位置になるように、投光装置の投光部及び受光装置の受光部が、鉛直方向において互いに同一の高さ位置になるように設置されていることを特徴とする。
【0014】
また、本願発明は、上記ウエハ受渡装置において、ウエハ受渡機構は、ウエハ保持機構の下端外周に係合するガイド部材を備えると共に、ウエハ載置部を該ガイド部材に対して相対的に昇降移動させる昇降機構を具備し、ガイド部材側に着座検知手段を設置し、ウエハ載置部に着座したウエハを検知できるように構成したことを特徴とする。
【0015】
また、本願発明は、上記ウエハ受渡装置において、着座検知手段がウエハの着座又は適正な着座を検知しない場合に警報を発する警報手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本願発明は、上記ウエハ受渡装置において、着座検知手段がウエハの適正な着座を検知しない場合に、再度前記ウエハ保持機構から下端面からのウエハの離脱を試みる再離脱手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本願発明は、上記ウエハ受渡装置において、再離脱手段で前記ウエハ保持機構の下端面からのウエハの再度の離脱を試みても、着座検知手段がウエハの適正な着座を検知しない場合に、ウエハ受渡装置を停止させる装置停止手段を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本願発明は、研磨テーブルとトップリングを具備し、前記トップリングに保持されたウエハを回転させつつ前記研磨テーブルの回転する研磨面に押圧接触させて該ウエハを研磨する研磨ユニットと、前記ウエハを洗浄する洗浄ユニットとを備えるポリッシング装置において、トップリングを前記ウエハ保持機構とし、該トップリングとの間でウエハの受け渡しを行うウエハ受渡機構を備え、該ウエハ受渡機構を上記ウエハ受渡装置のいずれかとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本願発明によれば、センサ機構は、ウエハ載置部に適正に着座したウエハの外周端より外側と内側のいずれか一方に配置された投光部から光を投光する投光装置と、外側と内側のいずれか他方に配置された受光部で投光装置から投光された光を受光する受光装置とを備え、ウエハがウエハ載置部に適正に着座した場合、すべてのセンサ機構の投光装置の投光部から投光された光が、ウエハで遮断されて受光装置の受光部に受光されないようにすると共に、ウエハが前記ウエハ載置部に傾いた状態で着座した場合、少なくとも1つのセンサ機構の投光装置の投光部から投光された光がウエハで遮断されず受光装置の受光部に受光されるように各投光装置の投光部及び各受光装置の受光部を配置し、制御手段は、すべてのセンサ機構の受光装置の受光部が受光しない場合は、ウエハが適正に着座したと判断し、センサ機構のうちいずれか1つの受光装置の受光部でも受光した場合、ウエハが傾いた状態で着座していると判断するで、簡単な構成で、ウエハ載置部にウエハが適正に着座したことを確実に検知することができる。
【0020】
また、本願発明によれば、ウエハ保持機構の下端外周に係合するガイド部材を備えると共に、ウエハ載置部を該ガイド部材に対して相対的に昇降移動させる昇降機構を具備し、ガイド部材側に着座検知手段を設置し、ウエハ載置部に着座したウエハを検知できるように構成したので、ウエハ受け渡しの際のウエハ保持機構に対する着座検知手段の検知位置に正確に合わせることが可能となり、ウエハが適正に着座したことを同じ条件で検知できるので、着座検知の信頼性が向上する。
【0021】
また、本願発明によれば、着座検知手段がウエハの着座又は適正な着座を検知しない場合に警報を発する警報手段を備えたので、ウエハ受渡装置にウエハが着座又は適正に着座しないことを操作者に知らせることができ、ウエハの破損などの事故を未然に防ぐことができる。
【0022】
また、本願発明によれば、着座検知手段がウエハの適正な着座を検知しない場合に、再度前記ウエハ保持機構から下端面からのウエハの離脱を試みる再離脱手段を備えたので、ウエハをより高い確率でウエハ載置部に適正に着座させることができ、ウエハ受渡装置の運転効率を向上させることができる。
【0023】
また、本願発明によれば、再離脱手段で前記ウエハ保持機構の下端面からのウエハの再度の離脱を試みても、着座検知手段がウエハの適正な着座を検知しない場合に、ウエハ受渡装置を停止させる装置停止手段を備えたので、ウエハが適正に着座しない場合にウエハ受渡装置を停止させることができ、ウエハの破損などの事故を未然に防ぐことができる。。
【0024】
また、本願発明によれば、ポリッシング装置において、トップリングをウエハ保持機構とし、該トップリングとの間でウエハの受け渡しを行うウエハ受渡機構を備え、該ウエハ受渡機構を上記ウエハ受渡装置のいずれかとしたので、ウエハ受渡機構でトップリングからウエハを受け取るウエハ受け取り工程の所要時間を短縮することが可能となり、ポリッシング装置のスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来のウエハ受渡装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態(第1実施形態)にかかるウエハ受渡装置の側断面図である。
【図3】プッシャー機構の上部の構成を示す斜視図である。
【図4】図4のA−A部分に対応する位置におけるウエハ受渡装置の断面図である。
【図5】プッシャー機構でトップリングにウエハを渡す手順を説明する図である。
【図6】トップリングに保持されたウエハをプッシャー機構で受け取る手順を説明する図である。
【図7】ウエハ受渡装置の運転手順の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施形態(第2実施形態)にかかるウエハ受渡装置の概略側面図である。
【図9】ウエハ受渡装置を備えたポリッシング装置の平面構成例を示す図である。
【図10】ポリッシング装置における研磨ユニットの各装置の配置関係を示す概略側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各図及び各実施形態の説明においては、図1に示す従来例と共通する部分には同一の符号を付す。
【0027】
〔第1実施形態〕
図2は、本発明の一実施形態(第1実施形態)にかかるウエハ受渡装置を示す側断面図である。また図3は、ウエハ受渡装置のプッシャー機構10の上部の構成を示す斜視図であり、図4は、図3のA−A部分に対応するプッシャー機構10とトップリング60の概略断面図である。トップリング60は、下端面にウエハを保持するウエハ保持機構であり、プッシャー機構10は、トップリング60との間でウエハWの受け渡しを行なうウエハ受渡機構である。このプッシャー機構10は、トップリング60の下面外周に係合するガイド部材であるトップリングガイド20を支持するガイドステージ15と、上面がウエハWを載置するウエハ載置部であるウエハトレイ40を押し上げるプッシュステージ30とが、鉛直に設置されたシャフト11の上端部に取り付けられている。
【0028】
即ちプッシャー機構10は、シャフト11の上部にスライド軸受12を介して昇降自在に軸受ケース13が取り付けられ、該軸受ケース13に調芯機構14を介してガイドステージ15が設置されている。軸受ケース13とシャフト11の間にはコイルスプリング16が介されており、軸受ケース13はシャフト11に対して上方に付勢されている。調芯機構14は、トップリングガイド20の位置合わせ機構であり、トップリングガイド20を水平方向(X軸、Y軸方向)に移動可能になっている。また、シャフト11の上端部からプッシュロッド21が突出している。プッシュロッド21は、ガイドステージ15の中央部を貫通して上方に突出し、その上端部にプッシュステージ30が設置されている。プッシュロッド21は、ガイドステージ15に対してスライド軸受22を介して昇降自在に支持されている。一方、シャフト11は、固定側部材17に取り付けられた軸受ケース18に対してスライド軸受19により昇降自在に支持されている。
【0029】
シャフト11の下端部はシリンダ(エアシリンダ)23に連結されている。シリンダ23は、シャフト11を介してプッシュステージ30を昇降させる。シリンダ23には、プッシュステージ30の昇降時の位置確認を行うリミットセンサ24,25が設置されている。また、シリンダ23の下端部にはシャフト26が連結され、該シャフト26の下端部は、固定側部材17に取り付けられたシリンダ(エアシリンダ)27に連結されている。シリンダ27は、シャフト26を介してシリンダ23を昇降させることで、ガイドステージ15、トップリングガイド20及びプッシュステージ30を一体に昇降させる。シリンダ27には、シャフト26の昇降時の位置確認を行うリミットセンサ28,29が設置されている。また、軸受ケース18の下端部にクッション部材31が設けられると共に、シリンダ23の上端部に板状のストッパー部材32が設置され、これらで衝撃緩和機構33が構成されている。この衝撃緩和機構33により、トップリングガイド20が上昇してトップリング60にアクセスする際の高さ方向の位置決めと衝撃の吸収が行われる。
【0030】
ガイドステージ15は、図3に示すように、平板状の部材で、中心部から外側に向かって放射状に延伸する複数本(図では4本)の腕部15a〜15dを具備している。腕部15a〜15dは等間隔に配置されており、各腕部15a〜15dの先端部の上面にトップリングガイド20(20−1〜20−4)が設置されている。各々のトップリングガイド20−1〜20−4は、その内周側面20−1a〜20−4aが下記するウエハトレイ40の外周部に沿った形状に形成されると共に、その上端部には、ウエハWの呼び込み用のテーパ部20−1b〜20−4bが形成されている。また、各トップリングガイド20−1〜20−4の上面には、トップリング60の下面外周に係合する段部20−1c〜20−4cが設けられ、段部20−1c〜20−4cの外側にはトップリング60の下面外周を呼び込むためのテーパ部20−1d〜20−4dが形成されている。
【0031】
プッシュステージ30は、図3に示すように、ガイドステージ15の上方に配置された平板状の部材で、中心部から外側に向かって放射状に延伸する複数本(図では4本)の腕部30a〜30dを具備し、各腕部30a〜30dがガイドステージ15の各腕部15a〜15dの真上に位置して配置されている。各腕部30a〜30dの先端部は、下記するウエハトレイ40を押し上げる押上部35a〜35dになっており、その内側には、貫通穴からなる開口部36a〜36dが設けられている。
【0032】
プッシュステージ30上には、ウエハトレイ40が載置される。ウエハトレイ40は、トップリングガイド20−1〜20−4の内周より若干小さい外径寸法を備えたリング状の平板部材で、その上面外周がウエハWを載置するウエハ載置部40aになっている。なお、図2において、38はトランスポータであり、ウエハトレイ40を他所からプッシャー機構10の位置まで水平に搬送して、プッシュステージ30に渡すものである。また、37はプッシュステージ30の昇降を支持するストロークピンである。
【0033】
一方、図2に示すように、軸受ケース18の上端にはセンタスリーブ41が固定され、ガイドステージ15の下端にはセンタスリーブ41の外周に摺動自在に係合するガイドスリーブ42が固定されている。このガイドスリーブ42は、防水機能及びガイドステージ15の案内機能を有している。
【0034】
ガイドステージ15とトップリングガイド20に、着座検知手段であるセンサ機構(光学式センサ)50が設置されている。本実施形態では、センサ機構50として一対の投光装置51及び受光装置52を備えた透過型の光ファイバーセンサ50を用いている。図3及び図4に示すように、投光装置51がトップリングガイド20(20−1〜20−4)内に設置され、受光装置52がガイドステージ15の腕部15a〜15dに設置されている。そして、投光装置51の投光部51aがトップリングガイド20−1〜20−4の内周側面20−1a〜20−4aから露出し、受光装置52の受光部52aがプッシュステージ30の開口部36a〜36dから上方に露出しており、投光部51から投光されたセンサ光が受光装置52で受光されるように設置されている。このセンサ機構50は、プッシュステージ30及びウエハトレイ40が下記するウエハ受取り位置に配置された状態で、ウエハトレイ40のウエハ載置部40aにウエハWが着座すると、ウエハWの外周部が投光部51aと受光部52aを結ぶ直線上に位置して投光装置51からのセンサ光が遮断されて、ウエハWの着座を検知するようになっている。なお、上記とは逆に、トップリングガイド20に受光装置52を設置し、ガイドステージ15に投光装置51を設置してもよい。
【0035】
センサ機構50は、ガイドステージ15の4個の腕部15a〜15dのそれぞれに設置されており、ウエハW外周部の等間隔を隔てた4箇所の位置を検知できるようになっている。またこの4個のセンサ機構50は、各々の検知位置が、鉛直方向において互いに同一の高さ位置になるように設置されている。このように、本実施形態では4個のセンサ機構50でウエハWの外周部の4箇所を検知するので、ウエハWがウエハ載置部40aに適正に着座したことを検知できる。
【0036】
ここでいうウエハWが適正に着座した状態とは、ウエハWがトップリング60から完全に離脱し、ウエハ載置部40aの全体に着座した状態をいう。この場合、4個のセンサ機構50のすべてにおいて投光部50aから投光されたセンサ光が遮光された状態になる。センサ光が適正に着座したウエハWで遮光された場合には、受光部52aによる受光量が、全く遮光されない場合の受光量(最大受光量)の0.3%程度になる。そこで、着座する前の受光状態と、適正に着座した際の遮光状態とを区別する受光量の閾値を、上記の最大受光量の1.5%程度に設定するとよい。そして、4個のセンサ機構50すべての受光量が上記の閾値以下になった場合は、ウエハWが適正に着座したと判断する。なお、これら受光量や閾値の設定例は一例であり、閾値を設定するには、実際のウエハWの着座時の受光量を測定して、着座を判断する受光量や閾値を適宜決定すればよい。
【0037】
一方、ウエハWが適正に着座しない状態とは、ウエハWがトップリング60から離脱する際にトップリング60の下面に貼り付いてしまい、ウエハ載置部40aの全体に着座できない状態をいう。即ち、ウエハWの一部がトップリング60の下面に貼り付いてウエハWが斜めに剥がれ落ちた場合、トップリング60からウエハWの一部のみが離脱してウエハWが傾いた状態で落下し、ウエハ載置部40aの一部にのみ着座した状態になる。この場合、4個のセンサ機構50のうちのいずれかのセンサ機構50では適正に着座した際の遮光状態(閾値を超えた遮光量)になるが、残りのセンサ機構50では全く遮光されていないか、またはその受光量が十分に低下せず閾値に達していない状態になる。
【0038】
このように、ウエハWがウエハ載置部40aに適正に着座したことを検知するには、ウエハWの外周部の少なくとも3箇所を検知することが望ましく、それには、センサ機構50を少なくとも3組設置するとよい。センサ機構50を3組設置する場合は、ガイドステージ15の腕部の数、及びトップリングガイド20の数を3個ずつとすることができる。
【0039】
一方、ウエハ保持機構であるトップリング60は、図2に示すようにトップリングヘッド61から垂下する回転軸62の下端部に取り付けられた円形の板状部材であり、その下端面にウエハWを吸着保持するウエハ保持面60aを備えている。ウエハ保持面60aには、トップリング60によって保持されるウエハWに当接するメンブレン(弾性膜)64が設置されている。メンブレン64は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコンゴム等の強度及び耐久性に優れたゴム材によって形成されている。また、トップリング60の下面外周(メンブレン64の外周)には、環状のリテーナリング63が取り付けられている。
【0040】
そしてトップリング60には、ウエハ保持面60aに開口する複数の穴(図示せず)が形成されている。該穴は、図示しない加圧・排気源に連通しており、この加圧・排気源により穴を負圧にすることで、ウエハ保持面60aにウエハWを吸着保持するようになっている。一方、該穴からクリーンエアや窒素ガスを噴出させてウエハWに吹き付けることで、ウエハWをトップリング60から離脱させてウエハトレイ40のウエハ載置部40aに落下させるようになっている。この場合、より確実にウエハWを離脱させるために、噴出させるエアやガスなどの気体に純水などの液体を混合することも可能になっている。なおウエハWの研磨時には、これらの穴を介してウエハ保持面60aにクリーンエアや窒素ガスを供給することで、ウエハWの所定領域を選択的に研磨テーブルに対して押圧接触させることもできるようになっている。
【0041】
またこのウエハ受渡装置は、図示しない制御手段を備えており、プッシャー機構10及びトップリング60の各種動作や、センサ機構50によるウエハWの検知などの動作は、この制御手段によって制御されており、プッシャー機構10及びトップリング60の起動・停止や、各種動作を行う時間及びその回数などが制御されている。また、センサ機構50でウエハWの着座又は適正な着座を検知しない場合に、警報を発してその旨を操作者に知らせる警報機構(図示せず)が設置されている。
【0042】
次に、上記構成のウエハ受渡装置において、プッシャー機構10がトップリング60との間でウエハWを受け渡す手順を説明する。まず、図5を用いて、ウエハトレイ40に載置されたウエハWをトップリング60に渡す手順を説明する。図5(a)は、ウエハWをトップリング60へ渡す前の状態を示す図である。このとき、プッシャー機構10のトップリングガイド20が最も下降した位置に配置されると共に、プッシュステージ30が最も下降した位置に配置されている。この状態をプッシャー機構10のホームポジション(HP)とする。また、同図に示す状態では、ウエハW及びウエハトレイ40を搭載したトランスポータ38がプッシャー機構10の位置にあり、トップリング60がプッシャー機構10の直上に位置している。
【0043】
図5(a)の状態において、シリンダ27を駆動してシャフト26を押し上げる。これにより、図5(b)に示すように、トップリングガイド20及びプッシュステージ30が一体に上昇し、プッシュステージ30によりトランスポータ38に搭載されたウエハトレイ40とウエハWが押し上げられる。そして、同図(c)に示すように、トップリングガイド20がトップリング60の下面外周に当接すると、衝撃緩和機構33によりトップリングガイド20の上昇が停止される。その状態からシリンダ23を駆動すると、同図(d)に示すようにプッシュステージ30だけが上昇し、ウエハトレイ40上に載置されたウエハWの上面がトップリング60のウエハ保持面60aに当接する。以下、この図5(d)に示すプッシャー機構10の各部の配置をウエハ渡し位置という。その状態で、トップリング60において、図示しない加圧・排気源で穴を負圧にし、ウエハWをウエハ保持面60aに吸着させて保持する。ウエハWがトップリング60に保持されたら、プッシャー機構10の各部をホームポジションに戻す。
【0044】
次に、図6を用いて、トップリング60に保持されたウエハWをプッシャー機構10で受け取るウエハ受取工程の手順を説明する。図6(a)に示す状態では、プッシャー機構10の各部がホームポジション(HP)にあり、ウエハトレイ40を載置したトランスポータ38がプッシャー機構10の位置にあり、ウエハWを保持したトップリング60がプッシャー機構10の直上に位置している。この状態から、シリンダ27を駆動してシャフト26を押し上げ、図6(b)に示すようにトップリングガイド20を上昇させる。これによりプッシュステージ30も一体に上昇し、トランスポータ38上に載置されたウエハトレイ40が押し上げられる。そして、同図(c)に示すように、トップリングガイド20がトップリング60に当接する。このとき、ウエハトレイ40はトップリング60の下側であってウエハ保持面60aから所定の距離だけ離間した位置に配置されている。以下、この図6(c)に示すプッシャー機構10の各部の配置を、ウエハ受取り位置という。
【0045】
この状態で、トップリング60において、図示しない加圧・排気源から流体(気体、液体又は両者の混合体)を供給して穴から噴射し、トップリング60のウエハ保持面60aに密着しているウエハWの上面に向けてこの流体を吹き付ける。以下、この動作をトップリング60によるウエハWの離脱動作という。このトップリング60によるウエハWの離脱動作を、予め設定された所定回数繰り返して実行する。その間にウエハWがトップリング60から正常に離脱すると、同図(d)に示すように、ウエハWが落下してウエハトレイ40のウエハ載置部40a(図3参照)に着座する。これにより、センサ機構50の投光装置51から照射されたセンサ光がウエハWで遮られるため、センサ機構50によってウエハWの着座が検知される。ウエハWが適正に着座した場合は、4個のセンサ機構50のすべてがウエハWを検知するが、ウエハWが傾いた状態で落下してその一部のみが着座した場合などは、4個のセンサ機構50のうちのいずれかがウエハWの着座を検知するので、ウエハWの着座のみならず、ウエハWが適正に着座したことを検知できる。
【0046】
次に、上記のウエハ受取工程におけるプッシャー機構10及びトップリング60の運転方法の詳細を、図7に示すフローチャートを用いて説明する。まず、ウエハ受取工程を開始したら、プッシャー機構10の各部を、ウエハ受取り位置に配置する(ステップST1)。その状態で、トップリング60におけるウエハ離脱動作を開始し(ステップST2)、センサ機構50でウエハトレイ40へのウエハWの着座を検知する(ステップST3)。その結果、ステップST4で、すべてのセンサ機構50でウエハWの着座を検知した場合は、ウエハWが適正に着座したと判断し、着座確認タイマーの設定時間が経過したことを待った後で(ステップST5)、トップリング60におけるウエハ離脱動作を停止する(ステップST6)。その後、プッシャー機構10の各部をホームポジションに配置する(ステップST7)。これにより、ウエハ受取工程が終了する。
【0047】
一方、ステップST4において、センサ機構50のうち、いずれか一つでもウエハWの着座を検知していないものがある場合は、ウエハWが適正に着座していないと判断し、トップリング60によるウエハ離脱動作を予め設定された回数実行したかを確認する(ステップST8)。その結果、まだ設定回数実行していなければ、トップリング60によるウエハ離脱動作を再度実行してウエハWの離脱を試みる(ステップST2)。一方、ステップST8で、トップリング60によるウエハ離脱動作を既に設定回数実行した場合は、ウエハ受取工程自体の実行回数が予め設定されたリトライ設定回数に達しているかを判断し(ステップST9)、ウエハ受取工程の実行回数がリトライ設定回数に達していなければ、プッシャー機構10の各部を再度ウエハ渡し位置に配置し(ステップST10)、トップリング60の穴を負圧にしてウエハ保持面60aにウエハWを保持し直す(ステップST11)。その後、プッシャー機構10の各部をウエハ受取り位置に配置し(ステップST1)、ウエハ受取工程を最初からやり直す。これにより、先のウエハ受取工程の実行によって、ウエハWの一部のみが着座するなど適正でない状態で着座している場合でも、再度ウエハWをトップリング60に正常に保持させてから、ウエハ受取工程をやり直すことができる。
【0048】
一方、ステップST9で、ウエハ受取工程の実行回数がリトライ設定回数に達している場合は、プッシャー機構10やトップリング60の各部に何らかの異常や故障が発生している可能性があるため、ウエハ受取装置を停止してウエハ受取工程を中止する(ステップST12)。またこの際に、警報機構で警報を発し、操作者にウエハの受け取りが正常に行なわれなかったことを知らせるようにしても良い。
【0049】
このように、ウエハWの着座を検知してウエハ受取工程を終了させるので、ウエハWが短時間でトップリング60から離脱してウエハトレイ40に適正に着座した場合、ウエハ受取工程を早期に終了させて、ウエハ受取工程の所要時間を短縮することができる。したがって、単位時間のウエハWの処理枚数を多くすることができ、装置のスループットを向上させることができる。また、ウエハWが適正に着座しない場合は、トップリング60によるウエハ離脱動作を再度実行してウエハWの離脱を試みるので、ウエハWをより高い確率で適正に着座させることができ、ウエハ受渡装置の運転効率を向上させることができる。また、トップリング60によるウエハ離脱動作を再度実行してもウエハWが適正に着座しない場合は、ウエハ受取工程を最初からやり直すので、ウエハWをより確実に着座させることができる。また、最終的にウエハWが適正に着座しなければ、ウエハ受渡装置を停止させるので、ウエハWの破損などの事故を未然に防ぐことができる。
【0050】
〔第2実施形態〕
図8は、本発明の他の実施形態(第2実施形態)にかかるウエハ受渡装置の一部を示す概略側面図である。本実施形態のウエハ受渡装置においては、図示する以外の部分の構成及びその動作は、第1実施形態のウエハ受渡装置と共通である。また、図示する部分においても第1実施形態と共通する部分には、同一の符号を付しその詳細な説明は省略する。本実施形態にかかるウエハ受渡装置は、第1実施形態のプッシャー機構10にかえてプッシャー機構10−2を備えている。このプッシャー機構10−2は、センサ機構50にかえてセンサ機構50−2を設置している点においてのみプッシャー機構10とその構成が異なる。センサ機構50−2は、投光部50−2a及び受光部50−2bを同一面に備えてなる反射型のセンサであり、トップリングガイド20内に取り付けられている。センサ機構50−2の投光部50−2a及び受光部50−2bは、トップリングガイド20の内周側面20a(20−1a〜20−4a)から露出しており、投光部50−2aからウエハトレイ40に着座したウエハWの側面(外周側面)にセンサ光を投光し、該側面で反射した反射光を受光部50−2bで受光することで、ウエハWの着座を検知するようになっている。本実施形態においても、センサ機構50−2を複数(3個以上)設置すれば、ウエハWがウエハ載置部40aに適正に着座したことを検知できる。
【0051】
〔第3実施形態〕
図9は、上記の第1,第2実施形態にかかるウエハ受渡装置を備えたポリッシング装置100の平面構成例を示す図である。このポリッシング装置100は、装置全体を収容するハウジング101を備えると共に、該ハウジング101内に複数の隔壁102を備えており、ハウジング101内は、隔壁102によって搬送領域A、洗浄領域B、研磨領域C及び研磨領域Dの各領域に区画されている。
【0052】
搬送領域Aの外側には、多数のウエハを収容したウエハカセット110を載置するロードアンロードステージ111が複数(図では4個)並列に設置されている。そして搬送領域Aには、直線状の走行レール120が敷設され、該走行レール120上を移動する搬送ロボット(第1搬送ロボット)121が設置されている。また、搬送領域Aの隣に設置された洗浄領域Bの中心部には、搬送ロボット(第2搬送ロボット)130が配置され、該搬送ロボット130の周囲を囲むように4台の洗浄機131,132,133,134が配置され、洗浄機131、133の間にはウエハ載置台135が設置されている。第2搬送ロボット130のハンドは、これら洗浄機131〜134及びウエハ載置台135に到達可能になっている。4台の洗浄機131〜134のうち、2台の洗浄機131、133は走行レール120と隣り合う位置に配置されている。したがって、第1搬送ロボット121のハンドは、ウエハカセット110及び洗浄機131,133、ウエハ載置台135に到達可能となっている。
【0053】
搬送領域Aと洗浄領域Bの間には隔壁102Bが設置されて、これら領域のクリーン度が分けられている。隔壁102Bには互いの領域の間でウエハを搬送する開口部103が設けられ、開口部103にはシャッター103aが設置されている。また、洗浄領域B内の気圧は搬送領域A内の気圧よりも低い気圧に調整されている。
【0054】
洗浄領域Bの隣には2つの研磨領域C,Dが区画され、これら研磨領域C,Dは隔壁102C及び隔壁102Dによって洗浄領域Bと分けられている。研磨領域Cと研磨領域D内は、互いの間の中心線(図示せず)を境として対称に配置された同一種類の構成部を備えた研磨ユニット140−1,140−2になっており、該研磨ユニット140−1,140−2は、各々の略中心位置に研磨テーブル141−1,141−2を配置し、研磨テーブル141−1,141−2の周囲に、ウエハWを保持し研磨テーブル141−1,141−2の研磨面に押圧接触させるトップリング142−1,142−2と、研磨テーブル141−1,141−2の研磨面の目立てを行うドレッサー143−1,143−2が配置されている。また研磨テーブル141−1,141−2には、研磨砥液を供給する砥液ノズル145−1,145−2が設置されている。
【0055】
隔壁102C、102Dには、ウエハ搬送用の開口部104,105が設けられ、該開口部104,105にはそれぞれシャッター104a,105aが設置されている。そして、研磨領域C,D内の第2搬送ロボット130のハンドが到達する位置に、ウエハを保持し反転させる反転機146−1,146−2が配置されている。
【0056】
図10は、研磨ユニット140−1の各装置の配置関係を示す概略側面図である。なお、以下では、研磨ユニット140−1を説明するが、研磨ユニット140−2も研磨ユニット140−1と共通する構成である。図9及び図10に示すように、反転機146−1の下方にリフタ機構147−1が設置され、該リフタ機構147−1に隣接する位置にウエハ受渡機構であるプッシャー機構148−1が設置されている。さらに、プッシャー機構148−1の位置とリフタ機構147−1の位置との間で直線移動可能に設置された搬送機構であるリニアトランスポータ149−1が配置されている。
【0057】
トップリング142−1は回転軸150−1によりトップリングヘッド151−1から吊下げられている。トップリングヘッド151−1は、位置決め可能な揺動軸152−1に支持されており、トップリング142−1が研磨テーブル141−1の上部とプッシャー機構148−1の上部の間で揺動移動可能に設置されている。また、ドレッサー143−1は回転軸153−1によってドレッサーヘッド154−1から吊下げられている。ドレッサーヘッド154−1は、位置決め可能な揺動軸155−1に支持されており、ドレッサー143−1がドレッサー洗浄部156−1と研磨テーブル141−1上のドレッサー位置との間で揺動移動可能になっている。
【0058】
このポリッシング装置100において、トップリング142−1,142−2、プッシャー機構148−1,148−2には、それぞれ本発明の第1又は第2実施形態にかかるトップリング60、及びプッシャー機構10又は10−2が用いられる。また、リニアトランスポータ149−1,149−2は、トランスポータ38に対応するものである。
【0059】
上記構成のポリッシング装置100におけるポリッシング工程の概略を説明する。ウエハが収容されたウエハカセット110が、ロードアンロードステージ111に載置されると、第1搬送ロボット121により該ウエハカセット110からウエハが取り出されてウエハ載置台135へ搬送される。第2搬送ロボット130は、ウエハ載置台135からウエハを取り、反転機146−1又は146−2に渡す。反転機146−1又は146−2は、受け取ったウエハを反転させる。該ウエハはリフタ機構147−1又は147−2により、リニアトランスポータ149−1又は149−2に搭載されているウエハトレイ40(図2参照)上に移載される。この状態で、リニアトランスポータ149−1又は149−2がリフタ機構147−1又は147−2の位置からプッシャー機構148−1又は148−2の位置へ移動する。その後、プッシャー機構148−1又は148−2(プッシャー機構10)とトップリング142−1又は142−2(トップリング60)との間で、図5及びその説明で示した動作が行なわれることで、ウエハWがトップリング142−1又は142−2に渡され、該トップリング142−1又は142−2によって保持される。
【0060】
ウエハを吸着保持したトップリング142−1又は142−2が、研磨テーブル141−1又は141−2上まで揺動移動する。そしてトップリング142−1又は142−2を回転させることでウエハを回転させると共に、研磨テーブル141−1又は141−2を回転させる。その状態で、砥液ノズル145−1又は145−2から研磨砥液を供給しながら、ウエハを研磨テーブル141−1又は141−2の研磨面に押圧して摺接させることでウエハの研磨が行なわれる。
【0061】
ウエハの研磨が終了したら、トップリング142−1又は142−2を、研磨テーブル141−1又は141−2上からプッシャー機構148−1又は148−2の直上位置へ移動させる。そして、トップリング142−1又は142−2(トップリング60)とプッシャー機構148−1又は148−2(プッシャー機構10)との間で、図6あるいは図7及びそれらの説明で示した動作を行なうことで、トップリング142−1又は142−2からウエハWを離脱させてウエハトレイ40に載置する。その後、ウエハWが載置されたウエハトレイ40がリニアトランスポータ149−1又は149−2に搭載されたら、リニアトランスポータ149−1又は149−2がプッシャー機構148−1又は148−2の位置からリフタ機構147−1又は147−2の位置まで移動する。リフタ機構147−1又は147−2によりウエハWが反転機146−1又は146−2に渡されて、該反転機146−1又は146−2で反転される。その後、ウエハWは第2搬送ロボット130に渡される。第2搬送ロボット130は受け取ったウエハを洗浄機131〜134のいずれかに搬送し、該洗浄機131〜134でウエハの洗浄処理が行われる。洗浄機131〜134で洗浄されたウエハは、必要に応じて第2搬送ロボット130で他のいずれかの洗浄機131〜134に搬送されて2次洗浄・乾燥処理が施される。洗浄・乾燥処理を終えたウエハは、第1搬送ロボット121で元のウエハカセット110に戻される。このポリッシング装置100は、同一の構成である2個の研磨ユニット140−1,140−2を具備しているので、該研磨ユニット140−1,140−2で並行して異なるウエハを同時に研磨するパラレル処理を行うことが可能である。
【0062】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
【0063】
例えば、上記各実施形態のセンサ機構50やセンサ機構50−2は着座検知手段の一例であり、ウエハの着座を検知する手段は、光学式のセンサ機構に限定されない。これ以外にも着座検知手段として、例えば、着座したウエハによりウエハ載置部(ウエハ載置面)にかかる圧力を検知する圧力検知機構を設けたり、ウエハ載置部にウエハの着座により作動するスイッチ機構を設けたりしても良い。
【0064】
また、上記実施形態では、ウエハ受渡機構であるプッシャー機構に着座検知手段を設置する例を示したが、これ以外にも、ウエハ保持機構であるトップリングからウエハが正常に離脱してプッシャー機構に着座したことを検知する手段としては、トップリングにウエハの離脱を検知するウエハ離脱検知機構を設置することも可能である。このウエハ離脱検知機構としては、光学式のセンサ機構を設けることもできるし、あるいは、トップリングの穴を負圧にしてウエハを吸着保持する場合、この圧力を測定する機構を設置し、圧力の値が変化したことでウエハがトップリングから離脱したことを検知する機構などとすることもできる。
【0065】
また、ポリッシング装置100は、第1,第2実施形態にかかるウエハ受渡装置を備えたポリッシング装置の一例であり、本発明にかかるポリッシング装置は、プッシャー機構10又は10−2、トップリング60を備え、これらプッシャー機構10又は10−2とトップリング60との間でウエハを受け渡すウエハ受渡装置を構成していれば、その他の構成部の種類や数及びその配置などは、上記実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、センサ機構が、ウエハ載置部に適正に着座したウエハの外周端より外側と内側のいずれか一方に配置された投光部から光を投光する投光装置と、外側と内側のいずれか他方に配置された受光部で投光装置から投光された光を受光する受光装置とを備え、ウエハがウエハ載置部に適正に着座した場合、すべてのセンサ機構の投光装置の投光部から投光された光が、ウエハで遮断されて受光装置の受光部に受光されないようにすると共に、ウエハが前記ウエハ載置部に傾いた状態で着座した場合、少なくとも1つのセンサ機構の投光装置の投光部から投光された光がウエハで遮断されず受光装置の受光部に受光されるように各投光装置の投光部及び各受光装置の受光部を配置し、制御手段は、すべてのセンサ機構の受光装置の受光部が受光しない場合は、ウエハが適正に着座したと判断し、センサ機構のうちいずれか1つの受光装置の受光部でも受光した場合、ウエハが傾いた状態で着座していると判断するで、簡単な構成で、ウエハ載置部にウエハが適正に着座したことを確実に検知することができるウエハ受渡機構としてポリッシング装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
10 プッシャー機構(ウエハ受渡機構)
10−2 プッシャー機構
11 シャフト
12 スライド軸受
13 軸受ケース
14 調芯機構
15 ガイドステージ
16 コイルスプリング
17 固定側部材
18 軸受ケース
19 スライド軸受
20 トップリングガイド
21 プッシュロッド
22 スライド軸受
23 シリンダ(エアシリンダ)
24 リミットセンサ
25 リミットセンサ
26 シャフト
27 シリンダ(エアシリンダ)
28 リミットセンサ
29 リミットセンサ
30 プッシュステージ
31 クッション部材
32 ストッパー部材
33 衝撃緩和機構
38 トランスポータ
40 ウエハトレイ
40a ウエハ載置部
41 センタスリーブ
42 ガイドスリーブ
50 センサ機構
50−2 センサ機構
51 投光装置
52 受光装置
60 トップリング(ウエハ保持機構)
60a ウエハ保持面
61 トップリングヘッド
62 回転軸
63 リテーナリング
64 メンブレン(弾性膜)
65 穴
66 流体
100 ポリッシング装置
101 ハウジング
102 隔壁
110 ウエハカセット
111 ロードアンロードステージ
120 走行レール
121 第1搬送ロボット
130 第2搬送ロボット
131,132,133,134 洗浄機
135 ウエハ載置台
140 研磨ユニット
141 研磨テーブル
142 トップリング
143 ドレッサー
145 砥液ノズル
146 反転機
147 リフタ機構
148 プッシャー機構
149 リニアトランスポータ
150 回転軸
151 トップリングヘッド
152 揺動軸
153 回転軸
154 ドレッサーヘッド
155 揺動軸
156 ドレッサー洗浄部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端面にウエハを保持するウエハ保持機構と、該ウエハ保持機構との間で前記ウエハの受け渡しを行うウエハ受渡機構とを備えたウエハ受渡装置において、
前記ウエハ受渡機構は、前記ウエハを載置するウエハ載置部を備え、前記ウエハ保持機構による前記ウエハの離脱動作で該ウエハ保持機構の下端面から離脱したウエハが前記ウエハ載置部に着座するように構成し、
前記ウエハ受渡機構は、前記ウエハが前記ウエハ載置部に着座したことを検知する着座検知手段を備え、
前記着座検知手段は、前記ウエハ載置部に着座した前記ウエハの外周端部の少なくとも3個所をそれぞれ検知するセンサ機構と、前記センサ機構による前記ウエハの着座検知から前記ウエハが前記ウエハ載置部に適正に着座したかを判断する制御手段と、備え、
前記センサ機構は、前記ウエハ載置部に適正に着座した前記ウエハの外周端より外側と内側のいずれか一方に配置された投光部から光を投光する投光装置と、前記外側と内側のいずれか他方に配置された受光部で前記投光装置から投光された光を受光する受光装置とを備え、
前記ウエハが前記ウエハ載置部に適正に着座した場合、すべての前記センサ機構の前記投光装置の投光部から投光された光が、前記ウエハで遮断されて前記受光装置の受光部に受光されないようにすると共に、前記ウエハが前記ウエハ載置部に傾いた状態で着座した場合、少なくとも1つの前記センサ機構の前記投光装置の投光部から投光された光が前記ウエハで遮断されず前記受光装置の受光部に受光されるように各前記投光装置の投光部及び各前記受光装置の受光部を配置し、
前記制御手段は、すべての前記センサ機構の前記受光装置の受光部が受光しない場合は、前記ウエハが適正に着座したと判断し、前記センサ機構のうちいずれか1つの前記受光装置の受光部でも受光した場合、前記ウエハが傾いた状態で着座していると判断することを特徴とするウエハ受渡装置。
【請求項2】
請求項1に記載のウエハ受渡装置において、
各前記センサ機構は、各々の検知位置が、鉛直方向において互いに同一の高さ位置になるように、前記投光装置の投光部及び前記受光装置の受光部が、鉛直方向において互いに同一の高さ位置になるように設置されていることを特徴とするウエハ受渡装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のウエハ受渡装置において、
前記ウエハ受渡機構は、前記ウエハ保持機構の下端外周に係合するガイド部材を備えると共に、前記ウエハ載置部を該ガイド部材に対して相対的に昇降移動させる昇降機構を具備し、
前記ガイド部材側に前記着座検知手段を設置し、前記ウエハ載置部に着座した前記ウエハを検知できるように構成したことを特徴とするウエハ受渡装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のウエハ受渡装置において、
前記着座検知手段が前記ウエハの着座又は適正な着座を検知しない場合に警報を発する警報手段を備えたことを特徴とするウエハ受渡装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のウエハ受渡装置において、
前記着座検知手段が前記ウエハの適正な着座を検知しない場合に、再度前記ウエハ保持機構から下端面からの前記ウエハの離脱を試みる再離脱手段を備えたことを特徴とするウエハ受渡装置。
【請求項6】
請求項5に記載のウエハ受渡装置において、
前記再離脱手段で前記ウエハ保持機構の下端面からの前記ウエハの再度の離脱を試みても、前記着座検知手段が前記ウエハの適正な着座を検知しない場合に、前記ウエハ受渡装置を停止させる装置停止手段を備えたことを特徴とするウエハ受渡装置。
【請求項7】
研磨テーブルとトップリングを具備し、前記トップリングに保持されたウエハを回転させつつ前記研磨テーブルの回転する研磨面に押圧接触させて該ウエハを研磨する研磨ユニットと、前記ウエハを洗浄する洗浄ユニットとを備えるポリッシング装置において、
前記トップリングを前記ウエハ保持機構とし、該トップリングとの間で前記ウエハの受け渡しを行うウエハ受渡機構を備え、該ウエハ受渡機構を請求項1乃至6のいずれか1項に記載のウエハ受渡装置としたことを特徴とするポリッシング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−178608(P2012−178608A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115280(P2012−115280)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2005−124093(P2005−124093)の分割
【原出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】