説明

ウエハ関連データ管理方法及びウエハ関連データ作成装置

【課題】オフラインでダイ供給装置の突き上げピンの突き上げ動作や吸着ノズルのダイ吸着動作に関するデータをセットアップできるようにする。
【解決手段】ウエハパレットをセットするセット台と、該セット台にセットしたウエハパレットのダイシングシート34上のダイ31を吸着するテスト用吸着ノズル51と、ダイシングシート34のうちのテスト用吸着ノズル51で吸着しようとするダイ31の貼着部分を突き上げるテスト用突き上げピン53と、ダイシングシート34上のダイ31を撮像するテスト用カメラ54とを備えたウエハ関連データ作成装置47を使用し、ウエハ関連データの作成対象となるウエハパレットをウエハ関連データ作成装置47のセット台にセットし、テスト用カメラ54で撮像した画像の処理、テスト用突き上げピン53の突き上げ動作及びテスト用吸着ノズル51のダイ吸着動作を実行してウエハ関連データを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイ供給装置で使用するウエハ関連データを管理するウエハ関連データ管理方法及びウエハ関連データ作成装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、特許文献1(特開2010−129949号公報)に記載されているように、ダイを供給するダイ供給装置を部品実装機にセットして、部品実装機でダイを回路基板に実装するようにしたものがある。ダイ供給装置は、複数のダイに分割するようにダイシングされたウエハが貼着された伸縮可能なダイシングシートを張ったウエハパレットと、前記ダイシングシートの下方に配置された突き上げポットとを備え、吸着ノズルを下降させてダイシングシート上のダイを吸着してピックアップする際に、突き上げポットをダイシングシートの下面に接触する所定の吸着位置まで上昇させて該ダイシングシートを該突き上げポットの上面に吸着した状態で、該突き上げポット内の突き上げピンを該突き上げポットの上面から上方に突出させることで、該ダイシングシートのうちの吸着しようとするダイの貼着部分を該突き上げピンで突き上げて該ダイの貼着部分を該ダイシングシートから部分的に剥離させながら、該吸着ノズルで該ダイを吸着して該ダイシングシートからピックアップするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−129949号公報
【特許文献2】特許第4262232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吸着ノズルを下降させてダイシングシート上のダイを吸着する際に、突き上げピンの突き上げ量が大きくなり過ぎたり、突き上げ速度が速くなり過ぎると、吸着ノズルの下端がダイシングシート上のダイに強く当たり過ぎてダイが傷付いたり、割れてしまう可能性があり、反対に、突き上げピンの突き上げ量が小さくなり過ぎると、吸着ノズルにダイを安定して吸着できない。また、突き上げピンの突き上げ速度が遅くなり過ぎると、生産性が低下する。従って、生産性を確保しながら、吸着ノズルにダイを傷付けずに安定して吸着するためには、突き上げピンの突き上げ量や突き上げ速度等の突き上げ条件やダイ吸着条件を適正に管理する必要がある。また、微小なダイを突き上げピンで突き上げる場合は、ダイシングシート上の各ダイの位置を画像処理で精度良く認識して、突き上げピンの水平方向(XY方向)の位置を精密に管理する必要がある。
【0005】
そこで、生産開始前に、生産に使用するウエハパレットをダイ供給装置にセットして、カメラで撮像した画像の処理、突き上げピンの突き上げ動作及び吸着ノズルのダイ吸着動作を実行して、ウエハ関連データ(例えば、突き上げ条件、ダイ吸着条件、画像処理条件、吸着開始位置等に関するデータ)をセットアップするようにしている。
【0006】
しかし、この方法では、ウエハ関連データのセットアップのために、必ずダイ供給装置を使用する必要があるため、新たな種類のウエハに対応しようとする毎に、その都度、部品実装ラインを停止させる必要があり、段取り替えの多い生産形態では効率が悪い。
【0007】
また、ダイ供給装置にウエハパレットをセットした後、吸着開始位置の確認等の作業を行う必要があり、作業者が介在せざるを得ず、ウエハパレットの無停止補給を行うことができないという欠点もある。
従って、効率の良い段取り替えを行うためには、生産をしている最中に次の段取り替えの準備(ウエハ関連データのセットアップ)を実行できる機能が必要となる。
【0008】
尚、特許文献2(特許第4262232号公報)には、オフライン(機外)でダイの間隔を画像処理により測定する測定装置が記載されているが、この測定装置には、突き上げピンや吸着ノズルが装備されていないため、突き上げピンの突き上げ動作や吸着ノズルのダイ吸着動作に関するデータをセットアップするには、部品実装ライン中の実際のダイ供給装置を使用する必要があり、段取り替えの多い生産形態では効率が悪いという事情は変わらない。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、オフラインでダイ供給装置の突き上げピンの突き上げ動作や吸着ノズルのダイ吸着動作に関するデータをセットアップすることができるウエハ関連データ管理方法及びウエハ関連データ作成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、複数のダイに分割するようにダイシングされたウエハが貼着された伸縮可能なダイシングシートを張ったウエハパレットをセットし、前記ダイシングシート上のダイをカメラで撮像して該ダイの位置を画像認識し、吸着ノズルを下降させて前記ダイシングシート上のダイを吸着してピックアップする際に、該ダイシングシートのうちの吸着しようとするダイの貼着部分を突き上げピンで突き上げて該ダイの貼着部分を該ダイシングシートから部分的に剥離させながら、該吸着ノズルで該ダイを吸着して該ダイシングシートからピックアップするダイ供給装置で使用するウエハ関連データを管理するウエハ関連データ管理方法において、前記ウエハ関連データの作成対象となるウエハパレットをセットするセット台と、前記セット台にセットしたウエハパレットのダイシングシート上のダイを吸着するテスト用吸着ノズルと、前記ダイシングシートのうちの前記テスト用吸着ノズルで吸着しようとするダイの貼着部分を突き上げるテスト用突き上げピンと、前記ダイシングシート上のダイを撮像するテスト用カメラとを備えたウエハ関連データ作成装置を使用し、前記ウエハ関連データの作成対象となるウエハパレットを前記ウエハ関連データ作成装置のセット台にセットし、前記テスト用カメラで撮像した画像の処理、前記テスト用突き上げピンの突き上げ動作及び前記テスト用吸着ノズルのダイ吸着動作を実行して前記ウエハ関連データを作成(セットアップ)することを特徴とするものである。
【0011】
本発明のように、テスト用吸着ノズルとテスト用突き上げピンとテスト用カメラを装備したウエハ関連データ作成装置を用いてウエハ関連データを作成すれば、オフラインで突き上げピンの突き上げ動作や吸着ノズルのダイ吸着動作に関するデータをセットアップすることができ、生産をしている最中に次の段取り替えの準備(ウエハ関連データのセットアップ)を実行でき、生産性を向上できる。
【0012】
この場合、請求項2のように、ウエハ関連データは、画像処理に関するデータ(ウエハやダイのサイズ、ダイの行列数等)、突き上げピンの突き上げ動作に関するデータ(突き上げ量、突き上げプロファイル、突き上げピンの形状、ピン配置等の突き上げ関連データ)、吸着ノズルのダイ吸着動作に関するデータ(ダイシングシート上のダイの吸着開始位置等)のうちの少なくとも1つを含むようにすれば良い。
【0013】
また、請求項3のように、ウエハパレットには、該ウエハパレットの識別情報(以下「パレットID」という)を記録又は記憶したパレットID記録部を設け、ダイ供給装置を配置した部品実装ラインには、ウエハ関連データ作成装置で作成したウエハ関連データをパレットIDと関連付けて記憶する情報管理サーバをネットワーク接続し、部品実装ライン又はダイ供給装置には、ウエハパレットのパレットID記録部からパレットIDを読み取るパレットID読取り手段を設け、該パレットID読取り手段で読み取ったパレットIDに対応するウエハ関連データを情報管理サーバの記憶データから検索してダイ供給装置に送信して該ダイ供給装置を制御するようにしても良い。
【0014】
ここで、パレットID記録部は、バーコード、2次元コード等のコードを記録したものでも良いし、電子的に記憶するRFタグ(電子タグ、ICタグ、電波タグ、無線タグとも呼ばれる)や、磁気的に記録する磁気テープ等を用いても良い。請求項3のように、ウエハ関連データ作成装置で作成したウエハ関連データをパレットIDと関連付けて情報管理サーバに記憶すれば、部品実装ライン中のダイ供給装置にセットしたウエハパレットのパレットIDに対応するウエハ関連データを情報管理サーバの記憶データから検索してダイ供給装置に自動的にダウンロードすることができて、パレットIDに対応したウエハ関連データをダイ供給装置に入力する作業を自動化でき、省力化の要求を満たすことができる。
【0015】
この場合、情報管理サーバを1つの部品実装ラインのみにネットワーク接続しても良いが、請求項4のように、情報管理サーバを複数の部品実装ラインにネットワーク接続しても良い。このようにすれば、ウエハ関連データ作成装置で作成したウエハ関連データを複数の部品実装ラインで共用することが可能となり、各部品実装ライン毎に別々にウエハ関連データ作成装置でウエハ関連データを作成する必要がなく、ウエハ関連データのセットアップ時間を削減することができる。
【0016】
或は、請求項5のように、ウエハパレットには、ウエハ関連データ作成装置で作成したウエハ関連データを記憶するデータ記憶手段を設け、部品実装ライン又はダイ供給装置には、ウエハパレットのデータ記憶手段からウエハ関連データを読み出すデータ読出し手段を設け、該データ読出し手段で読み出したウエハ関連データを用いてダイ供給装置を制御するようにしても良い。このようにしても、パレットIDに対応したウエハ関連データをダイ供給装置に入力する作業を自動化でき、省力化の要求を満たすことができる。
【0017】
尚、請求項6に係る発明は、上記請求項1に記載のウエハ関連データ管理方法の発明で使用するウエハ関連データ作成装置の発明である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の実施例1におけるウエハ関連データ管理システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図2はダイ供給装置の外観斜視図である。
【図3】図3は突き上げユニットとその周辺部分の外観斜視図である。
【図4】図4はウエハパレットの外観斜視図である。
【図5】図5は突き上げ動作時に突き上げポットを吸着位置まで上昇させた状態を示す一部破断拡大図である。
【図6】図6は突き上げ動作時に突き上げポットから突き上げピンを突出させた状態を示す一部破断拡大図である。
【図7】図7(a)はウエハ関連データ作成装置の吸着ヘッドとテスト用カメラを保持するXY移動機構とウエハパレットとの位置関係を示す平面図、同図(b)はダイの行列数の自動カウント方法を説明するウエハパレットの平面図である。
【図8】図8(a)〜(d)は突き上げピンの突き上げ動作に関する突き上げ関連データのチューニング方法を説明する図である。
【図9】図9は突き上げプロファイルの設定例を示す図である。
【図10】図10(a)〜(c)は吸着開始位置の設定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した2つの実施例1,2を説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明の実施例1を図1乃至図10を参照して説明する。
まず、図1を用いて実施例1のウエハ関連データ管理システムの構成を説明する。
図1には、3本の部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3が図示されている。
各部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3には、それぞれダイ供給装置11をセットした装着機12や、テープフィーダ13をセットした装着機14が1台又は複数台配置されている。各部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3には、装着機の他に、半田印刷機、検査機、リフロー炉等が配置されていても良い。
【0021】
部品実装ラインLine#1,Line#2の各装置は、ライン管理コンピュータ16とネットワーク接続され、該ライン管理コンピュータ16によって生産管理される。部品実装ラインLine#3の各装置は、ライン管理コンピュータ17とネットワーク接続され、該ライン管理コンピュータ17によって生産管理される。ライン管理コンピュータ16,17は、ホストコンピュータ18とネットワーク接続され、各部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3の生産が管理される。
【0022】
次に、図2を用いてダイ供給装置11の構成を概略的に説明する。
ダイ供給装置11は、マガジン保持部22(トレイタワー)、パレット引き出しテーブル23、XY移動機構25、突き上げユニット28(図3参照)等を備え、パレット引き出しテーブル23を装着機12(図1参照)に差し込んだ状態にセットされる。
【0023】
ダイ供給装置11のマガジン保持部22内に上下動可能に収納されたマガジン(図示せず)には、ダイ31(ウエハ部品)を載せたウエハパレット32が多段に積載され、生産中にマガジンからウエハパレット32がパレット引き出しテーブル23上に引き出されるようになっている。図4に示すように、ウエハパレット32は、ウエハを碁盤目状にダイシングして形成したダイ31を貼着した伸縮可能なダイシングシート34を、円形の開口部を有するウエハ装着板33にエキスパンドした状態で装着し、該ウエハ装着板33をパレット本体35にねじ止め等により取り付けた構成となっている。
【0024】
突き上げユニット28(図3参照)は、ウエハパレット32のダイシングシート34下方の空間領域をXY方向に移動可能に構成されている。そして、ダイシングシート34のうちのピックアップ(吸着)しようとするダイ31の貼着部分をその下方から突き上げポット37の突き上げピン39(図5、図6参照)で局所的に突き上げることで、当該ダイ31の貼着部分をダイシングシート34から部分的に剥離させてダイ31をピックアップしやすい状態に浮き上がらせるようにしている。
【0025】
この突き上げユニット28は、サーボモータ(図示せず)を駆動源として突き上げユニット28全体が上下動するように構成されている。ダイピックアップ動作時には、突き上げユニット28が上昇して突き上げポット37の上面がウエハパレット32のダイシングシート34にほぼ接触する所定のシート吸着位置まで上昇すると、ストッパ機構(図示せず)によって突き上げユニット28の上昇が止まり、更に上昇動作を続けると、突き上げポット37の上面から突き上げピン39(図5、図6参照)が上方に突出して、ダイシングシート34のうちのピックアップしようとするダイ31の貼着部分を突き上げるようになっている。この場合、駆動源となるサーボモータの回転量を調整することで、突き上げピン39の突き上げ高さ位置(突き上げ量)を調整できるようになっている。
【0026】
図2に示すように、XY移動機構25には、吸着ヘッド41とカメラ42とが組み付けられ、該XY移動機構25によって吸着ヘッド41とカメラ42が一体的にXY方向に移動するように構成されている。吸着ヘッド41には、ダイシングシート34上のダイ31を吸着する吸着ノズル43(図5、図6参照)が上下動するように設けられている。カメラ42は、ダイシングシート34上のダイ31を上方から撮像してその撮像画像を画像処理することで、吸着ノズル43で吸着するダイ31の位置を確認できるようになっている。
【0027】
図4に示すように、ウエハパレット32には、該ウエハパレット32の識別情報(以下「パレットID」という)を記録又は記憶したパレットID記録部45が設けられている。このパレットID記録部45は、バーコード、2次元コード等のコードを記録したものでも良いし、電子的に記憶するRFタグ(電子タグ、ICタグ、電波タグ、無線タグとも呼ばれる)や、磁気的に記録する磁気テープ等を用いても良い。
【0028】
一方、図1に示すように、各部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3を接続するネットワークには、ウエハ関連データ作成装置47と情報管理サーバ48が接続されている。ウエハ関連データ作成装置47は、ダイ供給装置11で使用するウエハ関連データをオフライン(機外)で作成する装置であり、図7及び図8に示すように、ウエハ関連データの作成対象となるウエハパレット32をセットするセット台(図示せず)と、このセット台にセットしたウエハパレット32のダイシングシート34上のダイ31を吸着するテスト用吸着ノズル51を保持する吸着ヘッド52と、ダイシングシート34のうちのテスト用吸着ノズル51で吸着しようとするダイ31の貼着部分を突き上げるテスト用突き上げピン53と、ダイシングシート34上のダイ31を撮像するテスト用カメラ54とを備えた構成となっている。吸着ヘッド52とテスト用カメラ54は、XY移動機構55によって一体的にXY方向に移動するように構成されている。
【0029】
ウエハ関連データ作成装置47のテスト用吸着ノズル51、テスト用突き上げピン53及びテスト用カメラ54は、ダイ供給装置11の吸着ノズル43、突き上げピン39及びカメラ42と実質的に同じ仕様のものが用いられ、それぞれ、ダイ供給装置11の吸着ノズル43、突き上げピン39及びカメラ42に合わせて取り替え可能となっている。ウエハ関連データ作成装置47のテスト用突き上げピン53の本数も、ダイ供給装置11の突き上げピン39の本数に合わせて変更可能となっている。
【0030】
次に、ウエハ関連データ作成装置47を使用してウエハ関連データを作成(セットアップ)する手順を説明する。
まず、ウエハ関連データ作成装置47を動作させるのに必要なウエハ関連データの初期値(チューニング前の暫定値)をウエハ関連データ作成装置47の制御装置(図示せず)に入力する。
【0031】
この後、画像処理データを作成して画像処理のテストを行う。画像処理データの作成方法は、ウエハ関連データの作成対象となるウエハパレット32をセット台にセットし、そのウエハパレット32のダイシングシート34上のウエハ(ダイ31)をその上方からテスト用カメラ54で撮像し、ウエハの画像を取り込んで画像処理して、画像処理データの初期値(チューニング前の暫定値)を用いてウエハ(ダイ31)の形状を認識して、画像処理データ(ウエハやダイ31のサイズ等)を作成する。そして、作成した画像処理データを用いて、テスト用カメラ54のウエハの撮像画像からダイ31の形状を認識する画像処理のテストを行い、ダイ31の形状を安定して認識できるようになるまで画像処理データをチューニングする。
【0032】
この後、ダイシングシート34上のダイ31の行列数を自動的にカウントする。この際、ダイシングシート34上のウエハ円の中心を通る直線に沿ってダイ31を1個ずつ画像処理しながらダイ31の数をカウントしてダイ31の行列数を求める。このカウントは、横方向(X方向)と縦方向(Y方向)の列でそれぞれ行い、横方向と縦方向の行列数を求める。
【0033】
この後、ウエハ関連データ作成装置47のテスト用突き上げピン53の突き上げ動作及びテスト用吸着ノズル51のダイ吸着動作を実行して突き上げ関連データを作成する。この際、テスト用吸着ノズル51で吸着しようとするダイ31の位置を検出するために、まず、図8(a)に示すように、テスト用吸着ノズル51で吸着しようとするダイ31をその上方からテスト用カメラ54で撮像し、ダイ31の画像を取り込んで画像処理して、ダイ31の位置を検出する。
【0034】
この後、図8(b)に示すように、テスト用吸着ノズル51を下降させてダイ31を吸着する。この後、図8(c)に示すように、テスト用突き上げピン53を上昇させて、ダイの貼着部分を突き上げピン53で突き上げて該ダイ31の貼着部分をダイシングシート34から部分的に剥離させながら、テスト用吸着ノズル51を上昇させる。これにより、図8(d)に示すように、ダイシングシート34からダイ31が剥離されてから、テスト用突き上げピン53を下降させて元の位置に戻す。これらの動作により、突き上げ関連データをチューニングする。
【0035】
ここで、チューニングする突き上げ関連データは、突き上げピン39(テスト用突き上げピン53)の突き上げ量、突き上げプロファイル等である。突き上げプロファイルは、図9に示すように、突き上げピン39(テスト用突き上げピン53)の突き上げ速度又は加速度の経時変化を指定するテーブルであり、突き上げ動作の途中で突き上げ速度(加速度)を切り換えるようにしている。この突き上げプロファイルによって突き上げピン39(テスト用突き上げピン53)の突き上げ動作の挙動(速度又は加速度)が指定される。突き上げ動作の途中で突き上げ速度(加速度)を切り換えるようにすれば、例えば、突き上げ動作の初めはゆっくりと突き上げ速度を上げ、途中から更に突き上げ速度を上げたり、或は、その反対に、突き上げ動作の途中から突き上げ速度を下げるようにしても良い。突き上げ速度(加速度)を切り換える高さ位置を指定できるようにしても良い。
【0036】
その他、突き上げ関連データとして、突き上げポット37の種類(形状、径)、突き上げピン39の形状、ピン配置等を指定できるようにしても良い。
また、ダイシングシート34上のダイ31の吸着開始位置を次のようにして設定する。まず、図10(a)に示すように、ウエハパレット32のダイシングシート34上の基準位置となるリファレンスダイRをその上方からテスト用カメラ54で撮像し、画像処理によりリファレンスダイRの位置を検出して、2本の位置決めピン61,62の位置を基準にしてウエハの中心位置を求める。
【0037】
この後、図10(b)に示すように、ウエハ関連データ作成装置47のモニタ画面上でウエハの生画像又はイメージ図を見ながら、吸着開始位置をマウス等の操作でセットする。この後、図10(c)に示すように、ウエハの中心位置を原点とする吸着開始位置の座標を演算する。
【0038】
以上のようにしてウエハ関連データ作成装置47で作成したウエハ関連データ(画像処理データ、ダイ31の行列数、突き上げ関連データ、ダイ31の吸着開始位置等)は、情報管理サーバ48に転送され、該ウエハ関連データがパレットIDと関連付けて記憶される。尚、生産中に部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3のいずれかを停止させて、従来と同じ方法でダイ供給装置11を使用してウエハ関連データを作成した場合は、このウエハ関連データもパレットIDと関連付けて情報管理サーバ48に記憶するようにすれば良い。
【0039】
この情報管理サーバ48は、各部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3で使用するウエハ関連データを一元管理するサーバであり、該情報管理サーバ48で起動するウエハマップコンバータ57にウエハマッピングデータを登録すると共に、該ウエハマップコンバータ57によってウエハマップファイルを読取り可能なファイルにコンバートして情報管理サーバ48に保管する。
【0040】
各部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3又はダイ供給装置11には、ウエハパレット32のパレットID記録部45からパレットIDを読み取るリーダ(パレットID読取り手段)が設けられている。各部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3の生産中は、ダイ供給装置11にセットするウエハパレット32のパレットID記録部45からパレットIDをリーダで読み取り、該パレットIDに対応するウエハ関連データとマップデータを情報管理サーバ48の記憶データから検索して該ダイ供給装置11に自動的にダウンロードし、該ウエハ関連データを使用して該ダイ供給装置11を制御する。尚、ダイ供給装置11から使いかけのウエハパレット32が取り出された場合は、当該ダイ供給装置11からマップデータを情報管理サーバ48にアップロードする。
【0041】
以上説明した本実施例1では、テスト用吸着ノズル51とテスト用突き上げピン53とテスト用カメラ54を装備したウエハ関連データ作成装置47を用いてウエハ関連データを作成するようにしたので、オフラインで突き上げピン39の突き上げ動作や吸着ノズル51のダイ吸着動作に関するデータをセットアップすることができ、生産をしている最中に次の段取り替えの準備(ウエハ関連データのセットアップ)を実行でき、生産性を向上できる。
【0042】
しかも、ウエハ関連データ作成装置47で作成したウエハ関連データをパレットIDと関連付けて情報管理サーバ48に記憶するようにしたので、部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3のダイ供給装置11にセットしたウエハパレット32のパレットIDに対応するウエハ関連データを情報管理サーバ48の記憶データから検索してダイ供給装置11に自動的にダウンロードすることができる。これにより、パレットIDに対応したウエハ関連データをダイ供給装置11に入力する作業を自動化でき、省力化の要求を満たすことができる。
【0043】
更に、本実施例1では、情報管理サーバ48を複数の部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3にネットワーク接続してウエハ関連データを一元管理するようにしたので、ウエハ関連データ作成装置47で作成したウエハ関連データを複数の部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3で共用することが可能となり、各部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3毎に別々にウエハ関連データ作成装置47でウエハ関連データを作成する必要がなく、ウエハ関連データのセットアップ時間を削減することができ、部品実装ラインの段取り替えによるダウンタイムを減少させることができる。また、事前にウエハ関連データのセットアップを全て行っておくことで、ウエハパレット32の無停止補給が可能となる。
【0044】
尚、本発明は、情報管理サーバ48を1つの部品実装ラインのみにネットワーク接続しても良い。
【実施例2】
【0045】
上記実施例1では、ウエハ関連データ作成装置47で作成したウエハ関連データを情報管理サーバ48に記憶するようにしたが、本発明の実施例2では、ウエハ関連データ作成装置47で作成したウエハ関連データを記憶するデータ記憶手段をウエハパレット32に設け、部品実装ライン又はダイ供給装置11には、ウエハパレット32のデータ記憶手段からウエハ関連データを読み出すリーダ(データ読出し手段)を設け、該リーダで読み出したウエハ関連データを用いてダイ供給装置11を制御するようにしている。ウエハ関連データを記憶するデータ記憶手段としては、電子的に記憶するRFタグ(電子タグ、ICタグ、電波タグ、無線タグとも呼ばれる)等を用いれば良い。その他の事項は、前記実施例1と同じである。
【0046】
以上説明した本実施例2でも、パレットIDに対応したウエハ関連データをダイ供給装置11に入力する作業を自動化でき、省力化の要求を満たすことができる。
尚、本発明は、上記各実施例1,2に限定されず、ウエハ関連データ作成装置47で作成するウエハ関連データの内容を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
Line#1,Line#2,Line#3…部品実装ライン、11…ダイ供給装置、12…装着機、13…テープフィーダ、14…装着機、16,17…ライン管理コンピュータ、18…ホストコンピュータ、31…ダイ、32…ウエハパレット、33…ウエハ装着板、34…ダイシングシート、37…突き上げポット、39…突き上げピン、41…吸着ヘッド、42…カメラ、43…吸着ノズル、45…パレットID記録部、47…ウエハ関連データ作成装置、48…情報管理サーバ、51…テスト用吸着ノズル、52…吸着ヘッド、53…テスト用突き上げピン、54…テスト用カメラ、55…XY移動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のダイに分割するようにダイシングされたウエハが貼着された伸縮可能なダイシングシートを張ったウエハパレットをセットし、前記ダイシングシート上のダイをカメラで撮像して該ダイの位置を画像認識し、吸着ノズルを下降させて前記ダイシングシート上のダイを吸着してピックアップする際に、該ダイシングシートのうちの吸着しようとするダイの貼着部分を突き上げピンで突き上げて該ダイの貼着部分を該ダイシングシートから部分的に剥離させながら、該吸着ノズルで該ダイを吸着して該ダイシングシートからピックアップするダイ供給装置で使用するウエハ関連データを管理するウエハ関連データ管理方法において、
前記ウエハ関連データの作成対象となるウエハパレットをセットするセット台と、前記セット台にセットしたウエハパレットのダイシングシート上のダイを吸着するテスト用吸着ノズルと、前記ダイシングシートのうちの前記テスト用吸着ノズルで吸着しようとするダイの貼着部分を突き上げるテスト用突き上げピンと、前記ダイシングシート上のダイを撮像するテスト用カメラとを備えたウエハ関連データ作成装置を使用し、前記ウエハ関連データの作成対象となるウエハパレットを前記ウエハ関連データ作成装置のセット台にセットし、前記テスト用カメラで撮像した画像の処理、前記テスト用突き上げピンの突き上げ動作及び前記テスト用吸着ノズルのダイ吸着動作を実行して前記ウエハ関連データを作成することを特徴とするウエハ関連データ管理方法。
【請求項2】
前記ウエハ関連データは、画像処理に関するデータ、前記突き上げピンの突き上げ動作に関するデータ、前記吸着ノズルのダイ吸着動作に関するデータのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のウエハ関連データ管理方法。
【請求項3】
前記ウエハパレットには、該ウエハパレットの識別情報(以下「パレットID」という)を記録又は記憶したパレットID記録部を設け、
前記ダイ供給装置を配置した部品実装ラインには、前記ウエハ関連データ作成装置で作成した前記ウエハ関連データを前記パレットIDと関連付けて記憶する情報管理サーバをネットワーク接続し、
前記部品実装ライン又は前記ダイ供給装置には、前記ウエハパレットのパレットID記録部から前記パレットIDを読み取るパレットID読取り手段を設け、
前記パレットID読取り手段で読み取った前記パレットIDに対応する前記ウエハ関連データを前記情報管理サーバの記憶データから検索して前記ダイ供給装置に送信して該ダイ供給装置を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のウエハ関連データ管理方法。
【請求項4】
前記情報管理サーバは、複数の部品実装ラインにネットワーク接続されていることを特徴とする請求項3に記載のウエハ関連データ管理方法。
【請求項5】
前記ウエハパレットには、前記ウエハ関連データ作成装置で作成した前記ウエハ関連データを記憶するデータ記憶手段を設け、
前記部品実装ライン又は前記ダイ供給装置には、前記ウエハパレットのデータ記憶手段から前記ウエハ関連データを読み出すデータ読出し手段を設け、
前記データ読出し手段で読み出した前記ウエハ関連データを用いて前記ダイ供給装置を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のウエハ関連データ管理方法。
【請求項6】
複数のダイに分割するようにダイシングされたウエハが貼着された伸縮可能なダイシングシートを張ったウエハパレットをセットし、前記ダイシングシート上のダイをカメラで撮像して該ダイの位置を画像認識し、吸着ノズルを下降させて前記ダイシングシート上のダイを吸着してピックアップする際に、該ダイシングシートのうちの吸着しようとするダイの貼着部分を突き上げピンで突き上げて該ダイの貼着部分を該ダイシングシートから部分的に剥離させながら、該吸着ノズルで該ダイを吸着して該ダイシングシートからピックアップするダイ供給装置で使用するウエハ関連データを作成するウエハ関連データ作成装置において、
前記ウエハ関連データの作成対象となるウエハパレットをセットするセット台と、
前記セット台にセットしたウエハパレットのダイシングシート上のダイを吸着するテスト用吸着ノズルと、
前記ダイシングシートのうちの前記テスト用吸着ノズルで吸着しようとするダイの貼着部分を突き上げるテスト用突き上げピンと、
前記ダイシングシート上のダイを撮像するテスト用カメラとを備え、
前記ウエハ関連データの作成対象となるウエハパレットを前記セット台にセットし、前記テスト用カメラで撮像した画像の処理、前記テスト用突き上げピンの突き上げ動作及び前記テスト用吸着ノズルのダイ吸着動作を実行して前記ウエハ関連データを作成することを特徴とするウエハ関連データ作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−110182(P2013−110182A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252307(P2011−252307)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】