説明

ウォッシャノズルおよびその製造方法

【課題】洗浄面の縦方向に対する洗浄液の拡散範囲をより広くし、より大きな洗浄面にも適用可能とする。
【解決手段】ノズル30を第1ノズル体31および第2ノズル体32から形成し、第1ノズル体31と第2ノズル体32との間に仕切部材33を設け、第1ノズル体31と仕切部材33との間に、ウォッシャ液が流通する第1流路40およびウォッシャ液を噴射する第1噴射口43を設け、第2ノズル体32と仕切部材33との間に、ウォッシャ液が流通する第2流路50およびウォッシャ液を噴射する第2噴射口53を設けた。これにより、仕切部材33の第1流路40側と第2流路50側とでウォッシャ液の流通を分離して、各流路40,50に対応した第1噴射口43および第2噴射口53からそれぞれウォッシャ液を噴射させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄面に向けて洗浄液を噴射するノズルと、ノズルを保持するノズル保持部材とを備えたウォッシャノズルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両には、ウィンドシールド(洗浄面)の表面に付着した埃等の汚れを落とすためのウォッシャ装置が設けられている。ウォッシャ装置は、車室内等に設けたワイパスイッチの操作により作動するポンプを備え、ポンプの作動によりウォッシャタンク内のウォッシャ液(洗浄液)が、ホースおよびウォッシャノズルを介して洗浄面に向けて噴射される。そして、洗浄液の噴射とともにワイパブレードを往復払拭動作させることで、洗浄面に付着した汚れを落とすことができる。
【0003】
ウォッシャノズルは、洗浄液を噴射するノズルを備えており、当該ノズルとしては、洗浄面の広範囲に亘って洗浄液を噴射できるようにした、所謂、拡散式のノズルが知られている。この拡散式のノズルは、少量の洗浄液で効率良く洗浄面を洗浄できるようにしており、このような拡散式のノズルとしては、例えば、特許文献1に記載された技術が知られている。
【0004】
特許文献1に記載されたノズルは、それぞれ同じ形状に形成された半球状の第1分割体および第2分割体を備え、各分割体の内側には自己振動流路を形成する一対の壁部が一体に設けられている。そしてノズルは、各分割体を互いに突き合わせて接着することで球状に形成されている。これにより、自己振動流路を形成する別部材をノズル内に組み込む等の手間を省き、組み立て作業性の向上等を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−227209号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年のノズルのニーズとしては、より大きな洗浄面により広範囲で満遍なく洗浄液を噴射できるようにすることが望まれており、これを実現することでより大きな洗浄面を有する大型トラックや大型バス等にも適用できるようになる。しかしながら、上述の特許文献1に記載されたノズルによれば、洗浄面の幅方向(左右方向)に対する洗浄液の拡散範囲は比較的広いが、洗浄面の縦方向(上下方向)に対する洗浄液の拡散範囲は比較的狭くなっていた。
【0007】
本発明の目的は、洗浄面の縦方向に対する洗浄液の拡散範囲をより広くし、より大きな洗浄面にも適用し得るウォッシャノズルおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のウォッシャノズルは、洗浄面に向けて洗浄液を噴射するノズルと、前記ノズルを保持するノズル保持部材とを備えたウォッシャノズルであって、前記ノズルを形成する第1ノズル体および第2ノズル体と、前記第1ノズル体と前記第2ノズル体との間に設けられる仕切部材と、前記第1ノズル体と前記仕切部材との間に設けられ、前記洗浄液が流通する第1流路および前記洗浄液を噴射する第1噴射口と、前記第2ノズル体と前記仕切部材との間に設けられ、前記洗浄液が流通する第2流路および前記洗浄液を噴射する第2噴射口と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明のウォッシャノズルは、前記各ノズル体および前記仕切部材のうちの少なくとも何れか一方に、前記各流路を形成する流路形成凸部を一体に設けることを特徴とする。
【0010】
本発明のウォッシャノズルの製造方法は、洗浄面に向けて洗浄液を噴射するノズルと、前記ノズルを保持するノズル保持部材とを備えたウォッシャノズルの製造方法であって、第1ノズル体と第2ノズル体とを仕切部材を介して突き合わせ、前記第1ノズル体と前記仕切部材との間に前記洗浄液が流通する第1流路および前記洗浄液を噴射する第1噴射口を形成しつつ、前記第2ノズル体と前記仕切部材との間に前記洗浄液が流通する第2流路および前記洗浄液を噴射する第2噴射口を形成する突き合わせ工程と、前記突き合わせ工程を経た前記各ノズル体および前記仕切部材を、互いに接着して前記ノズルを形成する接着工程と、前記接着工程を経て形成された前記ノズルを、前記ノズル保持部材に形成された装着凹部に装着する装着工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明のウォッシャノズルの製造方法は、前記各ノズル体および前記仕切部材のうちの少なくとも何れか一方に、前記各流路を形成する流路形成凸部を一体に設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ノズルを第1ノズル体および第2ノズル体から形成し、第1ノズル体と第2ノズル体との間に仕切部材を設け、第1ノズル体と仕切部材との間に、洗浄液が流通する第1流路および洗浄液を噴射する第1噴射口を設け、第2ノズル体と仕切部材との間に、洗浄液が流通する第2流路および洗浄液を噴射する第2噴射口を設けている。これにより、仕切部材の第1流路側と第2流路側とで洗浄液の流通を分離して、各流路に対応した第1噴射口および第2噴射口からそれぞれ洗浄液を噴射させることができる。よって、例えば、第1噴射口を洗浄面の縦方向上方側に向けて、第2噴射口を洗浄面の縦方向下方側に向けることで、洗浄面の縦方向に対する洗浄液の拡散範囲をより広くすることができ、ひいては大きな洗浄面にも適用できるようになる。
【0013】
本発明によれば、各ノズル体および仕切部材のうちの少なくとも何れか一方に、各流路を形成する流路形成凸部を一体に設けるので、各ノズル体および仕切部材を突き合わせることで、各ノズル体の内側に各流路を形成することができる。よって、流路を形成するための別部材を準備して組み込んだりする等の手間を省略でき、ウォッシャノズルの組み立て作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るウォッシャノズルを装着した車両の一部を示す図である。
【図2】図1のウォッシャノズルを拡大して示す斜視図である。
【図3】図2のウォッシャノズルの断面図である。
【図4】ノズル単体を拡大して示す斜視図である。
【図5】図4のノズルを分解して下方から見た分解斜視図である。
【図6】図4のノズルを分解して上方から見た分解斜視図である。
【図7】(a),(b)は、ノズルの接着工程を説明する説明図である。
【図8】第2実施の形態に係るノズルの仕切部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明に係るウォッシャノズルを装着した車両の一部を示す図を、図2は図1のウォッシャノズルを拡大して示す斜視図を、図3は図2のウォッシャノズルの断面図を、図4はノズル単体を拡大して示す斜視図を、図5は図4のノズルを分解して下方から見た分解斜視図を、図6は図4のノズルを分解して上方から見た分解斜視図をそれぞれ表している。
【0017】
図1に示すように、自動車等の車両10の前方側には、ウィンドシールドとしてのフロントガラス(洗浄面)11が設けられている。フロントガラス11上には、DR側(運転席側)ワイパ部材12およびAS側(助手席側)ワイパ部材13が揺動自在に設けられている。
【0018】
DR側ワイパ部材12は、DR側ワイパブレード12aとDR側ワイパアーム12bとを備え、DR側ワイパブレード12aはDR側ワイパアーム12bの先端側に回動自在に装着されている。AS側ワイパ部材13は、AS側ワイパブレード13aとAS側ワイパアーム13bとを備え、AS側ワイパブレード13aはAS側ワイパアーム13bの先端側に回動自在に装着されている。
【0019】
各ワイパアーム12b,13bの基端側には、ワイパモータ(図示せず)の回転運動を揺動運動に変換するリンク機構(図示せず)が設けられ、ワイパモータを回転駆動させることにより、各ワイパブレード12a,13aは、フロントガラス11上の各払拭範囲11a,11bを往復払拭動作するようになっている。
【0020】
車両10の前方側には、ボンネット10aが設けられている。ボンネット10aのフロントガラス11寄りには、一対のウォッシャノズル14が取り付けられている。各ウォッシャノズル14には、ホース(図示せず)の一端側が取り付けられ、ホースの他端側はポンプ(図示せず)を介してウォッシャタンク(図示せず)に接続されている。各ウォッシャノズル14は、所謂、拡散式のウォッシャノズルであって、ワイパスイッチ(図示せず)を操作することで、フロントガラス11上の比較的広範囲な各噴射範囲15a,15bに向けてウォッシャ液(洗浄液)を噴射するようになっている。
【0021】
各ウォッシャノズル14は、何れも同様に構成されており、図2および図3に示すように、プラスチック等の樹脂材料により所定形状に形成されたノズル保持部材20とノズル30とを備えている。
【0022】
ノズル保持部材20は頭部21と脚部22とを備え、これらの頭部21および脚部22はそれぞれ一体となるよう固定されている。頭部21は、ボンネット10a(図1参照)への固定状態においてフロントガラス11に向けて開口し、ノズル30が装着される装着凹部21aを備えている。装着凹部21aの内側は球状に形成され、これにより球状のノズル30を回動自在に保持するようになっている。
【0023】
脚部22は円筒状に形成され、その内側にはウォッシャ液が流通する流路22aが形成されている。流路22aの一端側(図中上側)は、頭部21の装着凹部21aに接続され、流路22aを流通するウォッシャ液は、装着凹部21aに装着されたノズル30に導かれるようになっている。
【0024】
脚部22の他端側(図中下側)には、ホースの一端側が取り付けられるテーパ肩部22bが一体に設けられ、テーパ肩部22bはホースの脱落を防止するようになっている。また、頭部21の脚部22側には、一対の係合爪部21bが一体に設けられ、各係合爪部21bを弾性変形させつつボンネット10aの装着孔(図示せず)に挿通することで、ノズル保持部材20(ウォッシャノズル14)をボンネット10aに固定できるようになっている。
【0025】
ノズル30は、図4ないし図6に示すように、それぞれ同一形状に形成された半球状の第1ノズル体31および第2ノズル体32を備え、第1ノズル体31と第2ノズル体32との間には板状の仕切部材33が設けられている。ノズル30は、各ノズル体31,32を、仕切部材33を介して突き合わせて一体化することで球状に形成されている。ここで、各ノズル体31,32および仕切部材33は、何れもプラスチック等の樹脂材料により所定形状に形成されている。
【0026】
球状のノズル30は、図3に示すように、装着凹部21aに向けて所定圧で押圧することで装着凹部21aに嵌め込まれている。また、ノズル30は、装着凹部21aに装着した状態で回動するようになっており、これによりノズル30のノズル保持部材20に対する傾斜角度を調整、つまりウォッシャ液のフロントガラス11(図1参照)に対する噴射位置を調整するようにしている。
【0027】
ノズル30の内側には、図5および図6に示すように、仕切部材33を挟んで、ウォッシャ液がそれぞれ流通する第1流路40および第2流路50が設けられている。第1流路40は仕切部材33の第1ノズル体31側に設けられ、第2流路50は仕切部材33の第2ノズル体32側に設けられている。
【0028】
第1流路40は、第1流入部41および第1自己振動流路42によって形成され、第1流路40の第1自己振動流路42側には、ウォッシャ液を噴射する第1噴射口43が接続されている。第1流路40および第1噴射口43は、第1ノズル体31と仕切部材33との間に設けられている。また、第2流路50は、第2流入部51および第2自己振動流路52によって形成され、第2流路50の第2自己振動流路52側には、ウォッシャ液を噴射する第2噴射口53が接続されている。第2流路50および第2噴射口53は、第2ノズル体32と仕切部材33との間に設けられている。
【0029】
ここで、第1噴射口43はフロントガラス11の上方側に向けられ、第2噴射口53はフロントガラス11の下方側に向けられている。これにより、第1噴射口43から噴射されたウォッシャ液はフロントガラス11の上方側に届き、第2噴射口53から噴射されたウォッシャ液はフロントガラス11の下方側に届くようになっている。
【0030】
各流入部41,51は、その出口側の開口面積が、入口側の開口面積よりも小さく設定されており、各流入部41,51の出口側においてウォッシャ液の流通を絞るようになっている。つまり、各流入部41,51は、各自己振動流路42,52に向けてウォッシャ液の流速を高めるようになっている。
【0031】
各噴射口43,53は、その入口側の開口面積が、出口側の開口面積よりも小さく設定されており、各噴射口43,53の出口側においてウォッシャ液の流通を絞るようになっている。これにより、各噴射口43,53は、フロントガラス11に向けてウォッシャ液の噴射速度を高めるようになっている。
【0032】
各自己振動流路42,52は、各流入部41,51と各噴射口43,53との間を略真っ直ぐに連通する各主流路44,54と、各主流路44,54を挟んでそれぞれ対向した一対の副流路45,55とを備えている。主流路44,54と各副流路45,55とは、一対の壁部46,56によって区切られている。ここで、各壁部46,56は、本発明における流路形成凸部を構成している。
【0033】
各流入部41,51から各自己振動流路42,52に流入したウォッシャ液は、図中実線矢印で示す主流れMSと、図中破線矢印で示す副流れSSとに分離される。分離された副流れSSは、各流入部41,51の出口側(各自己振動流路42,52の入口側)に戻って主流れMSと合流するようになっている。これにより、主流れMSに振動(自己振動)が付加されるようになっている。
【0034】
このように、副流れSSがフィードバック流れとして主流れMSと合流することで、各噴射口43,53から噴射されるウォッシャ液が振動し、その結果、各噴射口43,53からフロントガラス11に向けて、ウォッシャ液が広範囲に拡散するようになっている。ここで、第1ノズル体31側の主流れMSと第2ノズル体32側の主流れMSとは、それぞれ仕切部材33により仕切られているため、互いに影響し合うことが無い。つまり、例えば、一方の主流れMSが他方の主流れMSを減衰させるように作用するようなことが無く、各噴射口43,53からはウォッシャ液がそれぞれ勢い良く噴射される。これにより、フロントガラス11の縦方向(上下方向)に対するウォッシャ液の拡散範囲が広くなる。
【0035】
次に、以上のように形成したウォッシャノズル14の製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。
【0036】
図7(a),(b)はノズルの接着工程を説明する説明図を表している。
【0037】
[部品成形工程]
まず、図5および図6に示すように、第1ノズル体31,第2ノズル体32および仕切部材33(部品)を成形する。各ノズル体31,32および仕切部材33の成形においては、それぞれに対応した所定の金型(図示せず)を用い、当該金型の内部に溶融樹脂を流し込むことで所定形状に成形(射出成形)する。ここで、第1ノズル体31および第2ノズル体32は、何れも同じ形状であるため、共通の金型により成形することができる。
【0038】
[突き合わせ工程]
次に、部品成形工程で成形した第1ノズル体31,第2ノズル体32および仕切部材33を準備し、各ノズル体31,32の各流路40,50側を互いに対向させ、各ノズル体31,32の間に仕切部材33を介在させるようにする。その後、各ノズル体31,32を互いに近接移動させて、各ノズル体31,32の間に仕切部材33を挟持させるようにする。これにより、第1ノズル体31と仕切部材33との間に第1流路40と第1噴射口43とが形成され、第2ノズル体32と仕切部材33との間に第2流路50と第2噴射口53とが形成される。このように突き合わせ工程を経ることで、図7(a)に示すように、各ノズル体31,32の間および仕切部材33の外周部分には、ノズル30の周囲を囲むようにして溝部Gが形成される。
【0039】
[接着工程]
次いで、突き合わせ工程を経て形成された溝部Gに、対向配置された一対の溶融樹脂供給ノズル(図示せず)から、高温の溶融樹脂MRを矢印に示すように所定圧で供給する。すると、図7(b)の矢印に示すように溝部Gの内部に溶融樹脂MRが行き渡り、各ノズル体31,32および仕切部材33の溶融樹脂MRとの接触部分が溶融される。これにより、溶融樹脂MRの周辺の各ノズル体31,32および仕切部材33が組織的に一体化し、各ノズル体31,32および仕切部材33は互いに強固に接着され、図4に示すようなノズル30が完成する。
【0040】
[装着工程]
次に、接着工程を経て完成したノズル30を準備するとともに、別の作業工程で組み立てたノズル保持部材20を準備する。そして、図3に示すように、ノズル保持部材20の装着凹部21aに、ノズル30を所定圧で押圧して嵌め込む(装着する)。ここで、各噴射口43,53が装着凹部21aの開口側を向くように嵌め込むようにする。また、図2に示すように、第1ノズル体31を図中上方側(脚部22側とは反対側)に位置させ、第2ノズル体32を図中下方側(脚部22側)に位置させるようにする。これにより、ウォッシャノズル14が完成する。
【0041】
以上詳述したように、第1実施の形態によれば、ノズル30を第1ノズル体31および第2ノズル体32から形成し、第1ノズル体31と第2ノズル体32との間に仕切部材33を設け、第1ノズル体31と仕切部材33との間に、ウォッシャ液が流通する第1流路40およびウォッシャ液を噴射する第1噴射口43を設け、第2ノズル体32と仕切部材33との間に、ウォッシャ液が流通する第2流路50およびウォッシャ液を噴射する第2噴射口53を設けた。
【0042】
これにより、仕切部材33の第1流路40側と第2流路50側とでウォッシャ液の流通を分離して、各流路40,50に対応した第1噴射口43および第2噴射口53からそれぞれウォッシャ液を噴射させることができる。よって、例えば、第1噴射口43をフロントガラス11の縦方向上方側に向けて、第2噴射口53をフロントガラス11の縦方向下方側に向けることで、フロントガラス11の縦方向に対するウォッシャ液の拡散範囲をより広くすることができ、ひいては大きなフロントガラスにも適用できるようになる。
【0043】
また、第1実施の形態によれば、各ノズル体31,32の内側に各流路40,50を形成する壁部46,56を一体に設けたので、各ノズル体31,32および仕切部材33を突き合わせることで、各ノズル体31,32の内側に各流路40,50を形成することができる。よって、各流路40,50を形成するための別部材を準備して組み込んだりする等の手間を省略でき、ウォッシャノズル14の組み立て作業性を向上させることができる。
【0044】
次に、本発明の第2実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した第1実施の形態と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0045】
図8は第2実施の形態に係るノズルの仕切部材を示す斜視図を表している。
【0046】
第2実施の形態では、第1実施の形態に比して、各ノズル体31,32の各壁部46,56(図5および図6参照)を省略するとともに、図8に示すように、各壁部46,56と同じ形状の各壁部61,62を仕切部材60の図中上下面に対向させて一体成形した点が異なっている。ここで、各壁部61は第1ノズル体31の内側に入り込んで第1流路40(図5参照)を形成し、各壁部62は第2ノズル体32の内側に入り込んで第2流路50(図6参照)を形成するようになっている。つまり、各壁部46,56を省略した各ノズル体31,32と、仕切部材60とを一体化することにより、第1実施の形態におけるノズル30と同じ形状のノズル(図示せず)が形成されるようになっている。
【0047】
以上のように形成した第2実施の形態においても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0048】
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、第1ノズル体31,第2ノズル体32および仕切部材33(60)を、溝部G(図7参照)に溶融樹脂MRを供給して接着したものを示したが、本発明はこれに限らず、各ノズル体31,32および仕切部材33(60)を、接着剤による接着,超音波溶着,ホットメルト溶着等、他の接着手段により接着しても良い。
【0049】
また、上記各実施の形態においては、各ノズル体31,32の双方に各壁部46,56をそれぞれ設けたもの(第1実施の形態)、および仕切部材60の両側面に各壁部61,62をそれぞれ設けたもの(第2実施の形態)を示したが、本発明はこれに限らず、一方のノズル体のみに各壁部を設け、仕切部材の片側面のみに各壁部を設け、組み付け性を持たせて両者を接着するようにしても良い。
【0050】
さらに、上記各実施の形態においては、ウォッシャノズル14を、車両10のフロントガラス11を洗浄するものに適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、車両10のリヤガラス,航空機,鉄道車両等のウィンドシールドを洗浄するものにも適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 車両
10a ボンネット
11 フロントガラス(洗浄面)
11a,11b 払拭範囲
12 DR側ワイパ部材
12a DR側ワイパブレード
12b DR側ワイパアーム
13 AS側ワイパ部材
13a AS側ワイパブレード
13b AS側ワイパアーム
14 ウォッシャノズル
15a,15b 噴射範囲
20 ノズル保持部材
21 頭部
21a 装着凹部
21b 係合爪部
22 脚部
22a 流路
22b テーパ肩部
30 ノズル
31 第1ノズル体
32 第2ノズル体
33 仕切部材
40 第1流路
41 第1流入部
42 第1自己振動流路
43 第1噴射口
44 主流路
45 副流路
46 壁部(流路形成凸部)
50 第2流路
51 第2流入部
52 第2自己振動流路
53 第2噴射口
54 主流路
55 副流路
56 壁部(流路形成凸部)
60 仕切部材
61,62 壁部(流路形成凸部)
G 溝部
MR 溶融樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄面に向けて洗浄液を噴射するノズルと、前記ノズルを保持するノズル保持部材とを備えたウォッシャノズルであって、
前記ノズルを形成する第1ノズル体および第2ノズル体と、
前記第1ノズル体と前記第2ノズル体との間に設けられる仕切部材と、
前記第1ノズル体と前記仕切部材との間に設けられ、前記洗浄液が流通する第1流路および前記洗浄液を噴射する第1噴射口と、
前記第2ノズル体と前記仕切部材との間に設けられ、前記洗浄液が流通する第2流路および前記洗浄液を噴射する第2噴射口と、
を有することを特徴とするウォッシャノズル。
【請求項2】
請求項1記載のウォッシャノズルにおいて、前記各ノズル体および前記仕切部材のうちの少なくとも何れか一方に、前記各流路を形成する流路形成凸部を一体に設けることを特徴とするウォッシャノズル。
【請求項3】
洗浄面に向けて洗浄液を噴射するノズルと、前記ノズルを保持するノズル保持部材とを備えたウォッシャノズルの製造方法であって、
第1ノズル体と第2ノズル体とを仕切部材を介して突き合わせ、前記第1ノズル体と前記仕切部材との間に前記洗浄液が流通する第1流路および前記洗浄液を噴射する第1噴射口を形成しつつ、前記第2ノズル体と前記仕切部材との間に前記洗浄液が流通する第2流路および前記洗浄液を噴射する第2噴射口を形成する突き合わせ工程と、
前記突き合わせ工程を経た前記各ノズル体および前記仕切部材を、互いに接着して前記ノズルを形成する接着工程と、
前記接着工程を経て形成された前記ノズルを、前記ノズル保持部材に形成された装着凹部に装着する装着工程と、
を有することを特徴とするウォッシャノズルの製造方法。
【請求項4】
請求項3記載のウォッシャノズルの製造方法において、前記各ノズル体および前記仕切部材のうちの少なくとも何れか一方に、前記各流路を形成する流路形成凸部を一体に設けることを特徴とするウォッシャノズルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−1246(P2013−1246A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134366(P2011−134366)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】