説明

ウォレット型パッケージ用RFIDタグシステム

【課題】 RFIDタグ付きのウォレット型パッケージの提供。
【解決手段】 凸形状の樹脂シート内に錠剤またはカプセル剤を格納し、背面をアルミ箔によりコートして格納する薬剤格納部104を含むPTP包装体103と、該PTP包装体103を収納するための背表紙202を含む3面から成る札入れ形状を成し、且つアルミ箔がコートされたウォレット型パッケージ102と、該ウォレット型パッケージ102の背表紙202に、アンテナを含み且つウォレット型パッケージ102の背表紙202にRFIDタグ101を設け、該RFIDタグ101が取り付けられたウォレット型パッケージの背表紙の幅Wmが、前記アンテナの幅Waの1倍乃至1.5倍に設定したRFIDシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤、カプセル剤等をアルミ箔等の金属材料を含む包装体により梱包し且つ非金属製容器、特にウォレット型(札入れ型)の容器に収納した製品に対して、RFID(Radio Frequency IDentification、無線周波の電磁波を用いた非接触個別識別技術)タグを付したRFIDタグシステムに係り、特にウォレット型パッケージに取り付けたRFIDタグからの情報を高精度で読み取ることができるウォレット型パッケージ用RFIDタグシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にRFIDタグは、RFIDチップと呼ばれる集積回路にID番号もしくはそれと同等な識別情報を内蔵し、RFIDチップに接続されたアンテナを経由して、外部から無線手段によりその情報を読み取るものである。このRFIDタグの用途の一つとしては、製品のトレースシステムが知られている。このトレースシステムは、例えば製造工程または流通過程の必要時にRFIDタグと通信装置が交信し、得られたIDコード/日時/交信場所からRFIDタグが添付されている製品の製造履歴や流通履歴を追跡し、管理するものである。
【0003】
特に医薬品の分野においては、製造工程での品質管理、流通過程での真贋判定、薬局での誤販売防止、市場での不良発生時のフィードバック等、前記トレースシステムを用いた製品の履歴を個別に管理することが望まれている。
【0004】
前記RFIDタグを用いたトレースシステムの従来技術としては、例えば下記特許文献が挙げられ、特許文献1には、薬品に取り付けられたRFIDタグの情報を販売の際に読み取ってその薬品名を端末に表示し、また処方箋データと比較することにより、誤った薬品がユーザーに渡るのを防止するシステムが記載され、特許文献2には、薬品に取り付けられたRFIDタグの情報を薬品棚から入出庫する際に読み取り、薬品棚の在庫管理を行うシステムが記載されている。
【0005】
また、これらのシステムを信頼性良く稼働させるためには、添付されたRFIDタグの情報を確実に読み取る必要があり、この読取手法に関する文献としては、建設資材であるコンクリート製のヒューム管に対し、添付するRFIDタグの読み取り精度向上のため、RFIDタグのアンテナを読み取りに適した方向性を持って埋め込む治具が記載されている特許文献3や、同じく読み取り精度向上のため、製品の姿勢に関わらずRFIDタグのアンテナの姿勢を読み取りに適した一定の方向に保つ機構が記載されている特許文献4や、箱の外側に表示を設けて箱の内側に貼られたRFIDタグの位置を示し、読み取り精度が高くなる読み取り箇所を指定する方式が記載された特許文献5及び6が挙げられる。
【0006】
【特許文献1】特開2003−233673号公報
【特許文献2】特開2003−292123号公報
【特許文献3】特開2000−91963号公報
【特許文献4】特開2003−58843号公報
【特許文献5】特開2004−115057号公報
【特許文献6】特開2004−191481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に医薬品の主要な形態としては錠剤及びカプセル剤があり、これら錠剤及びカプセル剤の個別梱包の代表的な例としてPTP(Press Through Package)包装体が知られている。このPTP包装体は、PVC(Poly Vinyl Chloride、ポリ塩化ビニール)、PP(Poly Propylene、ポリプロピレン)等の樹脂と金属材料(アルミ箔)と樹脂とを積層形成し、凸形状に突出したの格納部の中にこれらの医薬品を入れ、背面をアルミ箔で封印し、使用者が凸形状の格納部を指で押すことにより、アルミ箔を破って錠剤等を取り出すように構成されている。現在市販されている錠剤やカプセル剤の包装形態としては90%以上が当該PTP包装体である。また、このPTP包装体は、樹脂シート側部分の防湿性がアルミ箔側と比較して劣るため、PTP包装体の背面(取り出し面)だけでなく、凸部側にもアルミ箔をコートした両面アルミPTP包装体を形成しているものもある。前記PTP包装体は、樹脂と金属材料(アルミ箔)とを積層形成したものであって、例えば樹脂とアルミ泊とを加熱圧着することによって製造されるものである。
【0008】
更に、医薬品の他の形態としては、前記PTP包装体をウォレット型と呼ばれる背表紙を含む札入れ形状をした紙パッケージに収納するものが知られている。
【0009】
前述の従来技術による錠剤またはカプセル剤を梱包したPTP包装体を収納するウォレット型パッケージは、前記パッケージにRFIDタグを付した場合、アルミ箔等の金属材料が用いられているため、RFIDタグの通信に使われる電磁波に影響を及ぼし、データの読み取り精度を著しく悪化させると言う不具合があった。
一方、書き込み可能なRFIDタグの場合、医薬品を服用している患者の情報などを書き込み、現物の医薬品と併せて管理できる等のメリットがある。しかし、離れた位置から無線式でその情報を読み取れるRFIDタグの特徴の故に、患者やその治療データといった個人情報が、関係者の意図とは無関係に読み取られ、流出してしまう危険性があった。
【0010】
本発明の目的は、前述の従来技術による不具合や危険性を除去することであり、アルミ箔等の金属材料を用いたPTP包装体を収納するウォレット型パッケージであっても、通信装置側と良好に交信を行うことができ、また、容易にその内部の情報を保護することができるウォレット型パッケージ用RFIDタグシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために本発明は、樹脂単体で、又は樹脂と金属材料が積層形成され、物体を格納する格納部を含むPTP包装体と、該PTP包装体を収納するための表紙と背表紙と裏表紙を含む札入れ形状を成し、且つ少なくとも背表紙に沿って金属材料が設置されたウォレット型パッケージと、長尺状のアンテナを含むRFIDタグとから構成されるRFIDタグシステムにおいて、前記ウォレット型パッケージの背表紙の長手方向に沿ってRFIDタグを設け、該RFIDタグが取り付けられたウォレット型パッケージの背表紙の幅Wmを、前記アンテナの幅Waの1倍乃至1.5倍に設定したことを第1の特徴とする。
【0012】
また本発明は、少なくとも一面を金属材料によりコートして物体を格納する格納部を含むPTP包装体と、該PTP包装体を収納するための表紙と背表紙と裏表紙を含む札入れ形状を成すウォレット型パッケージと、長尺状のアンテナを含むRFIDタグとから構成されるRFIDタグシステムにおいて、 前記ウォレット型パッケージの表紙または裏表紙と連続して前記パッケージの他の面を閉じ且つ非導電性の材料から成る第1フリップ面を設け、該第1フリップ面の長手方向に沿って該RFIDタグを取り付けたことを第2の特徴とする。
【0013】
更に本発明は、少なくとも一面を金属材料によりコートして物体を格納する格納部を含むPTP包装体と、該PTP包装体を収納するための表紙と背表紙と裏表紙を含む札入れ形状を成すウォレット型パッケージと、長尺状のアンテナを含むRFIDタグとから構成されるRFIDタグシステムにおいて、前記ウォレット型パッケージの裏表紙と連続して前記パッケージの他の面を閉じる第1フリップ面と、該第1フリップ面と連続して前記表紙を被う金属材料が設置された第2フリップ面とを設け、前記第2フリップ面と対向する表紙に第1のRFIDタグを設けたことを第3の特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記第3の特徴のRFIDタグシステムにおいて、前記背表紙に金属材料を設置すると共に、該背表紙の金属材料上に第2のRFIDタグを設け、該背表紙の幅Wmを、前記アンテナの幅Waの1倍乃至1.5倍に設定したことを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるウォレット型パッケージ用RFIDタグシステムは、例えばアルミ箔を含むPTP包装体が形成する平面(表紙及び裏表紙)と、該平面と直交する平面(背表紙)にRFIDタグを設置し、前記背表紙の幅Wmを、前記アンテナの幅Waの1倍乃至1.5倍に設定したことにより、RFIDタグと通信装置間の情報の送受信を確保することができる。更に本発明によるウォレット型パッケージ用RFIDタグシステムは、前記表紙または裏表紙と連続して前記パッケージの他の面を閉じ且つ非導電性の材料から成る第1フリップ面と、該第1フリップ面と連続して前記表紙を被う導電性の材料が配置された第2フリップ面を設け、前記第2フリップ面の表紙と向かい合う面にRFIDタグを取り付けたことによって、前記第2フリップの開閉状態によってRFIDタグとの交信を有効か無効かに制御することができる。この制御により、意図しないRFIDタグ上のデータの流出を阻止することが出来る。この様に本発明によるRFIDタグシステムは、パッケージに添付されたRFIDタグとの交信を低廉なコストで精度良く読み取り、書き込みを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態によるウォレット型パッケージ用RFIDタグシステムを図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施形態によるRFIDタグシステムを構成するパッケージの概略構成を示す図、図2は図1に示す実施形態によるパッケージの部分断面図、図3はRFIDタグの構成を示す正面図、図4はアルミ箔上に設置されたRFIDタグを示す正面図、図5はアルミ箔上に設置されたRFIDタグとの最大交信可能距離を、アルミ箔の幅WmとRFIDタグのアンテナの幅Waとの比を変化させて測定した結果を示すグラフ、図6は本発明の第2の実施形態によるRFIDタグシステムを構成するパッケージの概略構成を示す部分断面図、図7は本発明の第3の実施形態によるRFIDタグシステムを構成するパッケージの概略構成を示す部分断面図、図8は理想的な状態で電磁波を受信した時のインレット上に流れる電流分布Iを示すグラフである。尚、本願においては、RFIDチップと該RFIDチップと接続されるアンテナと該RFIDチップ及びアンテナとを一体的に搭載する基材とを組み合わせたものをインレットと呼び、このインレットに保護フィルムや取り付け用の接着剤等のユーティリティを付したものをRFIDタグと呼び、このRFIDタグが取り付けられた最小単位の製品(例えばウォレット型パッケージ)をRFIDシステムと呼ぶ。
【0017】
また、本願発明の対象となるウォレット型パッケージは、表紙/背表紙/裏表紙と金属材料とを積層形成する一例として、表紙/背表紙/裏表紙へアルミ箔をコートしたものがある。後述する実施形態中では、状況を具体的に理解しやすくする目的で、表紙/背表紙/裏表紙の面に金属材料が設置された状況を「アルミ箔によりコートされた」と記述する箇所もあるが、この記述により本願特許請求の範囲における金属材料がアルミに限定されるものではない。また、本願特許請求の範囲における金属材料の形状が箔に限定されることはなく、金属材料の設置方式がコートに限定されることもない。
【0018】
<第1の実施形態>
本発明の一実施形態によるウォレット型パッケージ用RFIDタグシステムは、図1及び図2に示す如く、凸形状の樹脂シート内に錠剤またはカプセル剤を格納し、背面をアルミ箔によりコートして格納する薬剤格納部104を含むPTP包装体103と、該PTP包装体103を収納する札入れ形状、即ち裏表紙201と背表紙202と表紙203とから成るウォレット型のパッケージ102と、同パッケージ102の背表紙部分に設置されたRFIDタグ101とから構成される。
【0019】
前記ウォレット型のパッケージ102は、その断面を図2に示す如く、裏表紙201/背表紙202/表紙203の各内面にはアルミ箔がコートされたPTPシートが存在し、前記RFIDタグ101は、図3に示す如く、長尺直線状のRFIDタグ基材(ポリイミド等)303上に、長尺状のRFIDタグアンテナ部302と長方形のRFIDチップ301とを搭載して構成される。
【0020】
本実施形態によるRFIDタグシステムは、ウォレット型のパッケージ102の背表紙202にRFIDタグ101を配置したものであって、図4に示す如く、幅Wmのアルミ箔401上に、幅Waのアンテナ部302を有するRFIDタグを長手方向に沿って貼り付けて成り、前記幅WmがRFIDタグ101のアンテナ部分の幅Waの1.5倍乃至1倍(「1倍」は同一幅であることを意味する)になる様に設定されている。換言すれば、アンテナ部302の短手方向の幅Waがアルミ箔401の幅Wmの2/3乃至1倍(上限値の「1倍」は同一幅であることを意味する)になる様に設定している。
【0021】
ここで、一般に金属材料上にRFIDタグを設置した状態では、金属材料の影響によりRFIDタグの感度が低下し、RFIDタグの最大交信可能距離が短くなることが知られているが、本願発明者らは、金属材料上にRFIDタグを設置した場合であっても、その金属材料が及ぼす影響度が、当該金属材料とRFIDアンテナの幅の比率により異なることを発見した。
【0022】
これを説明すると、発明者らは、厚さ0.5mmのアルミ薄板を金属材料として用い、RFIDタグのアンテナ部分の幅Waに対するアルミ薄板の幅Wmとの幅比(Rw=Wm/Wa)[横軸]を変化させ(長手方向寸法は変化させない)、最大交信可能距離[縦軸]を測定した。その結果は、図5に示す如く、幅比Rwがゼロ(アルミ薄板が存在しない状態)において最大交信可能距離が最も大きくなり、幅比Rwが大きくなるに従い緩やかに低下、幅比Rw≒1.5で約20%の感度低下となった後、幅比Rwのさらなる増加に伴い急激に感度が低下することを発見した。換言すれば、幅比Rw≦1.5とすることで、急激な感度の低下を避けることが出来ることを発見した。
【0023】
発明者らは、前述の実験結果を基に本願発明の対象となるウォレット型パッケージにRFIDタグを設けるRFIDタグシステムを検討した結果、前述の図4に示す如く、前述のアンテナ部分の幅Waに対してウォレット型パッケージの背表紙202部分の幅Wmが1.5倍程度に抑える様に設計することによって、アルミ箔(金属材料)上であっても急激な最大交信距離の低下を避けてRFIDタグの交信に支障が生じない本願発明を成した。
【0024】
尚、前述した実験に用いた通信装置は、株式会社日立超LSIシステムズ製RFIDリーダ/ライタ装置MS6502RWEA(定格出力300mW)及び同装置専用4パッチアンテナ(円偏波、利得14dBi)を使用した。また、今回の実験における通信プロトコルは、ISO18000−4ドラフト版準拠を用い、転送レート40kbpsにて測定を行った。
【0025】
また、前述の図5に示した実験は、アンテナ部分の幅Waとウォレット型パッケージの背表紙部分幅Wmの比に対する最大交信可能距離の変化を検証するために行ったものである。これら両幅の検証の実験を行った理由は、RFIDタグシステム側のアンテナに対してアンテナ長手方向に沿って存在する金属材料が、受信感度に主に影響することを本願発明者らが発見したことに基づくものである。この理由を次に説明する。
まず、理想的な状態で電磁波を受信した時のインレット上に流れる電流分布Iは、横軸にインレットの長尺方向の位置、縦軸に電流値Iを座標軸801に示すXの方向の位置とした図8に示す如く、RFIDチップ301の位置(グラフ上C点)で最大となり、この状態のとき、インレットは最大感度で受信を行うことができる。この状態を共振状態という。
【0026】
RFIDタグが最大感度で交信を行うためには、共振状態を維持することが重要であり、そのためには、インレット上のX方向の電流分布を維持しなくてはならない。図示の如くインレットと平行な位置(図中X方向の位置)に金属材料802を配置した場合、金属材料がアンテナに沿って存在するため、金属材料のX方向の各地点がインレットのアンテナ302上の電流分布に対して連続的に影響を及ぼし、その影響が積分されて感度が大きく低下する特性がある。一方、インレットの延長線上(図中Y方向)に金属材料803を配置した場合は、金属材料とアンテナとの距離が大きくなるため、共振状態にとって重要なインレットのアンテナ上の電流分布に連続的な影響を及ぼせず、感度が大きく低下しない特性があることが判明した。
そこで、発明者らは図中Y方向に配置された金属材料802の大きさ(Y方向の幅)に着目し、配置された金属材料の影響が、その幅によってどの程度変化するかを検証するために前述の図5にて説明した実験を行ったものである。
【0027】
この様に本願発明の第1の実施形態によるウォレット型パッケージ用RFIDタグシステムは、ウォレット型パッケージの背表紙部分のアンテナ部分の幅Waに対する金属材料の幅Wmとの幅比(Rw=Wm/Wa)を1.5以下(下限値は、例えば両幅が同一な「1」)にすることによって、RFIDタグがRFIDリーダ/ライタのアンテナ(図示せず)と良好に交信を行うことができる。
【0028】
<第2の実施形態>
前記第1の実施形態においては、ウォレット型パッケージの背表紙部分にRFIDタグを配置する例を説明したが、本願発明はこれに限られず、ウォレット型パッケージの他の部分にRFIDタグを配置することもでき、この他の実施形態を次に説明する。
【0029】
この第2の実施形態によるウォレット型パッケージ用RFIDタグシステムは、図6に示す如く、凸形状の樹脂内に錠剤またはカプセル剤を格納し、裏面をアルミ箔によりコートして格納する薬剤格納部104を含むPTP包装体103と、裏表紙201/背表紙202/表紙203並びに表紙203から連続して延びて前記パッケージのもう一つの面を閉じ、且つ非導電性の材料から成る第1フリップ面601を持つパッケージ102と、該パッケージ102の第1フリップ面601上に設置されたRFIDタグ101とから構成される。尚、前記フリップ面とは、裏表紙201/背表紙202/表紙203の各紙葉類に追加して設けられた紙葉類を言うが、紙に限られるものではない。
【0030】
本実施形態によるウォレット型パッケージ用RFIDタグシステムは、基本が3面から成るウォレット型パッケージに紙等の非導電性材料で作られた第1フリップ面601を追加し、この第1フリップ面601にRFIDタグ101をその長手方向に沿って搭載した。これにより、RFIDタグ101が背面のアルミ箔からの影響を受けることなく、RFIDタグがRFIDリーダ/ライタのアンテナ(図示せず)と良好に交信を行うことができる。尚、この第1フリップ面601に搭載したRFIDタグ101近傍に表紙203及び裏表紙201にコートされたアルミ箔が存在するが、これらアルミ箔によるRFIDタグへの影響は、アンテナが形成する平面と平行な平面に沿った面をもつアルミ箔からの影響に比べて著しく小さいため、良好な感度を維持することができる様に構成されている。
<第3の実施形態>
【0031】
また本発明の他の実施形態によるウォレット型パッケージ用RFIDタグシステムは、図7に示す如く、凸形状に樹脂シートを形成した格納部内に錠剤またはカプセル剤を格納し裏面をアルミ箔によりコートして格納する薬剤格納部104を含むPTP包装体103と、裏表紙201/背表紙202/表紙203/第1フリップ面205/第2フリップ面701とを持つパッケージ102と、該パッケージ102の前記表紙203上に設置されたRFIDタグ702と、前記背表紙202に搭載したRFIDタグ101とから構成される。前記背表紙202/裏表紙201/第1フリップ面205/第2フリップ面701は、アルミ箔がコートされ、前記表紙203は非導電性材料(例えば紙)だけから成る様に構成されている。
【0032】
前記背表紙202に搭載したRFIDタグ101は、図4に示した第1の実施形態の背表紙同様に、幅Wmのアルミ箔401上に、幅Waのアンテナ部302を有するRFIDタグを貼り付けて構成され、前記幅WmがRFIDタグ101のアンテナ部分の幅Waの1倍乃至1.5倍になる様に設定されている。
【0033】
本実施形態によるウォレット型パッケージ用RFIDタグシステムは、ウォレット型パッケージの非導電性の表紙203にRFIDタグ702を搭載すると共に、アルミ箔がコートされた第1フリップ面205及び第2フリップ面701を設け、該第2フリップ面701が表紙203に重なる様に構成されている。このウォレット型パッケージ用RFIDタグシステムは、PTP包装体103の周囲をアルミ箔がコートされた背表紙202/裏表紙201/第1フリップ面205/第2フリップ面701で被うことによって防湿性を確保している。
【0034】
このウォレット型パッケージ用RFIDタグシステムは、第2フリップ面701を開いた状態においてはRFIDタグ702を用いた安定した交信を行うことができ、第2フリップ面701を閉じた状態においてはRFIDタグ702上を第2フリップ面701のアルミ箔が覆うことにより交信を行うことができない状態になる。即ち、本実施形態によるRFIDタグシステムは、第2フリップ面701の開け閉めにより、RFIDタグの動作を制御することが可能となる。また前記RFIDタグ101は、図4に示した実施形態同様に、常に外部との交信を行うことができる。これにより、製造データや流通データのような常時トレースが好ましいデータに対してはRFID101からデータが容易に読み取れ、保護が必要なデータに関しては、RFIDタグ702に書き込むなど、用途や情報の性格に応じた使い分けが出来るようになる。
尚、本実施形態によるRFIDタグシステムは、表紙203をアルミ箔でコートすると共に第2フリップ面701を非伝導性材料で形成し、該第2フリップ面701側にRFIDタグ701を搭載する様に構成しても良い。また、前述のPTP包装体は、樹脂単体シートに凸形状の格納部を形成し、この収納部をアルミ箔により封止したものであっても良い。
【0035】
また、前記各実施形態においては、凸形状の樹脂シート内に錠剤またはカプセル剤を格納し、背面をアルミ箔によりコートして格納する薬剤格納部104を含むPTP包装体103を例にとって説明したが、前記凸形状の樹脂部分までアルミ箔によりコートしたPTP包装体にも適用することができる。
【0036】
この様に本発明によるRFIDタグシステムでは、防湿性を確保しつつ、アルミ箔(金属材料)を含む梱包体を収納するパッケージに対しても、安定な交信と確実な制御を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
前述の実施形態においては医薬品である錠剤やカプセル剤等を梱包するウォレット型のパッケージを例にとって説明したが、本発明によるRFIDタグシステムは医薬品用に限られるものではなく、PTP包装体とウォレット型のパッケージとを組み合わせた他のパッケージ、例えば菓子類等の食品にも広く適用することができる。また、PTP包装体に限らず、アルミ箔等の金属材料を含む包装体材料により梱包されたパッケージ製品全般に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態によるRFIDタグシステムを構成するパッケージの概略構成を示す図。
【図2】図1に示す実施形態によるパッケージの部分断面図。
【図3】RFIDタグの構成を示す正面図。
【図4】アルミ箔上に設置されたRFIDタグを示す正面図。
【図5】アルミ箔上に設置されたRFIDタグとの最大交信可能距離を、アルミ箔の幅WmとRFIDタグのアンテナの幅Waとの比を変化させて測定した結果を示すグラフ。
【図6】本発明の第2の実施形態によるRFIDタグシステムを構成するパッケージの概略構成を示す部分断面図。
【図7】本発明の第3の実施形態によるRFIDタグシステムを構成するパッケージの概略構成を示す部分断面図。
【図8】理想的な状態で電磁波を受信した時のインレット上に流れる電流分布Iを示すグラフ。
【符号の説明】
【0039】
101:RFIDタグ、102:ウォレット型パッケージ、103:PTP包装体、104:薬剤格納部、201乃至203:面、301:RFIDチップ、302:タグアンテナ部、303:RFIDタグ基材、401:アルミ箔、601:第1フリップ面、205:第1フリップ面、701:第2フリップ面、702:RFIDタグ702、801:座標軸、802:金属材料、803:金属材料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂単体で、又は樹脂と金属材料が積層形成され、物体を格納する格納部を含むPTP包装体と、該PTP包装体を収納するための表紙と背表紙と裏表紙を含む札入れ形状を成し、且つ少なくとも背表紙に沿って金属材料が設置されたウォレット型パッケージと、長尺状のアンテナを含むRFIDタグとから構成されるRFIDタグシステムであって、
前記ウォレット型パッケージの背表紙の長手方向に沿ってRFIDタグを設け、該RFIDタグが取り付けられたウォレット型パッケージの背表紙の幅Wmを、前記アンテナの幅Waの1倍乃至1.5倍に設定したことを特徴とするRFIDタグシステム。
【請求項2】
少なくとも一面を金属材料によりコートして物体を格納する格納部を含むPTP包装体と、該PTP包装体を収納するための表紙と背表紙と裏表紙を含む札入れ形状を成すウォレット型パッケージと、長尺状のアンテナを含むRFIDタグとから構成されるRFIDタグシステムであって、
前記ウォレット型パッケージの表紙または裏表紙と連続して前記パッケージの他の面を閉じ且つ非導電性の材料から成る第1フリップ面を設け、該第1フリップ面の長手方向に沿って該RFIDタグを取り付けたことを特徴とするRFIDタグシステム。
【請求項3】
少なくとも一面を金属材料によりコートして物体を格納する格納部を含むPTP包装体と、該PTP包装体を収納するための表紙と背表紙と裏表紙を含む札入れ形状を成すウォレット型パッケージと、長尺状のアンテナを含むRFIDタグとから構成されるRFIDタグシステムであって、
前記ウォレット型パッケージの裏表紙と連続して前記パッケージの他の面を閉じる第1フリップ面と、該第1フリップ面と連続して前記表紙を被う金属材料が設置された第2フリップ面とを設け、前記第2フリップ面と対向する表紙に第1のRFIDタグを設けたことを特徴とするRFIDタグシステム。
【請求項4】
前記背表紙に金属材料を設置すると共に、該背表紙の金属材料上に第2のRFIDタグを設け、該背表紙の幅Wmを、前記アンテナの幅Waの1倍乃至1.5倍に設定したことを特徴とする請求項3記載のRFIDタグシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−84026(P2008−84026A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263504(P2006−263504)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000152985)株式会社日立情報システムズ (409)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】