説明

ウォーターサーバー

【課題】第1の課題は、老人や子供等であっても、ボトルをウォーターサーバーに容易に設置することができて、災害時においても大きな役割を発揮することができるウォーターサーバーを提供することである。第2の課題は、災害時における情報を容易に入手することができるウォーターサーバーを提供することである。
【解決手段】上部タンクを備えたケーシング本体と、段ボール入り貯水タンクを収容するために、前記ケーシング本体下部の床面に近接した位置に形成された収容部と、前記収容部に収容された前記段ボール入り貯水タンクから天然水を汲み上げて前記上部タンクに供給する汲み上げ手段とを備えている、ことを特徴としているウォーターサーバー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害発生時においても天然水を安定的に提供することができるウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
水は生命の維持に不可欠であるため、災害発生時における水の確保は極めて大きな問題である。そのため、一般利用者に美味しい天然水を提供するために設置箇所が増加しているウォーターサーバーを災害発生時においても有効に利用できるようにすることが望まれている。
【0003】
ウォーターサーバーが普及している理由として、次のようなことが考えられる。近年、都市化や地球温暖化等により慢性的な水不足の深刻化、また、農薬、合成洗剤等の化学物質による水質汚染が進んで、そのため水道水は消毒のために使用する塩素臭が強く、飲料水としてはとても安心して美味しく飲めるものではなくなった。
【0004】
このため近年、全国各地の有名な湧水や海洋深層水等の名水が、「〇〇〇のおいしい天然水」等と命名されてペットボトルや各種容器に入れられてお茶、コーヒー等の飲料水と共に販売されている。これらは、インターネットやスーパーマーケット、コンビニエンスストア等の店頭でも買うことができるし、また自動販売機でも購入することができる。
【0005】
さらに、近年になり成人病発症の予防や健康維持管理には多量の水分摂取が必須であるとの情報がマスメディア等によって喧伝され、例えば成人が必要とされる水分摂取量は1日、約2Lであるといわれている。したがって、多くの人は、家庭や職場、学校等にあっても常に意識的に水分の補給を行っている。
【0006】
したがって、上記の社会状況のもとで、設置箇所が増加しつつあるウォーターサーバーを災害発生時においても有効に利用できるようにすることは、被災者にとって極めて重要な問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−210667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、災害発生時においてウォーターサーバーを使用する場合、大きな問題があった。
【0009】
すなわち、ウォーターサーバーに飲料水を補給する場合には、飲料水の入った重量の大きなボトルを持ち上げてウォーターサーバーの上部に設置しなければならない。図4は従来のウォーターサーバーを示す図である。図4に示す従来のウォーターサーバーは、硬質樹脂製のボトルに飲料水を入れて、ウォーターサーバーの設置者に配布し、設置者又は飲料水販売業者(配送業者)は飲料水の入ったボトルをウォーターサーバーの上部にセットする(例えば、特許文献1)。
【0010】
しかしながら、人手が不足して老人や子供等の力に頼らざる得ない災害発生時においては、老人や子供が飲料水の入った重量の大きなボトルを持ち上げてウォーターサーバーの上部に設置しなければならない。そのため、災害時での利用が困難になるという問題があった。
【0011】
そこで本願発明が解決しようとする第1の課題は、
飲料水の入った重量の大きなボトルを持ち上げてウォーターサーバー(ケーシング本体)の上部に設置する必要がなく、老人や子供等であっても、ボトルをウォーターサーバーに容易に設置することができて、災害時においても大きな役割を発揮することができるウォーターサーバーを提供することである。
【0012】
本願発明が解決しようとする第2の課題は、
飲料水を提供するだけでなく、災害時における情報を容易に入手することができるウォーターサーバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明者は、上記の従来技術が有する、各種の問題点に鑑み、鋭意検討を重ね、災害時において、力のない者でも飲料水の入った重量の大きなボトルをウォーターサーバーに容易に設置することができ、情報の入手も容易になるウォーターサーバーを完成させたものである。
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本願の明細書、特許請求の範囲等に記載の用語についての解釈上の疑義を解消すべく、以下本願明細書、特許請求の範囲等に記載する用語の説明を行うこととする。
<用語の説明>
●「天然水」とは、ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム等の天然ミネラルを多量に含む水道法に定められた水質基準に適合した飲用水をいう。地下数百メートルから電動ポンプで汲み上げられたり、又は湧水を採水し、ろ過処理等を経て飲用に供せられる。
●「ウォーターサーバー」とは、天然水を密封した貯水タンク、これを収納するホルダーと天然水を冷却する冷水タンク及び天然水を温める温水タンクを内蔵し、冷水タンク及び温水タンクから天然水を供給する供給口が設けられたケーシング本体とを主な構成部材とし、ケーシング本体の正面パネル又は/及び左側面パネル、右側面パネルにはスピーカー付きの液晶ディスプレイが装着され、美味しい天然水の冷水又は温水を利用者に無料提供すると共に、ウォーターサーバーの利用者に天然水の宣伝、商品広告やイベント情報等を提供する。
●「利用者」とは、例えば、職場、学校、病院又は公共施設内等に設置されたウォーターサーバーから冷水又は温水を無料で飲用できる人をいう。
●「ケーシング本体」とは、正面パネル、左側面パネル、右側面パネル及び底面パネルから構成された上下方向に長手とした中空のほぼ直方体状の筐体をいう。
●「上部タンク」とは、ケーシング本体の上部に備えられたタンクをいう。
●「貯水タンク」とは、柔軟な軟質樹脂材、例えばポリエチレンシートや塩化ビニール等からなる中空扁平状袋体で、当該袋体の中央に天然水の注入口が形成され、所定量の天然水を注入後、前記注入口は熱溶着により密封される。
●「冷却手段」とは、貯水タンクからニードルユニットより流入した冷水タンク内の天然水を所定の温度に冷却する冷却器をいう。
●「加熱手段」とは、貯水タンクからニードルユニットより流入した温水タンク内の天然水を所定の温度に加温するヒーターをいう。
●「制御装置」とは、各種センサー、電磁弁、注水レバー、冷水タンク及び温水タンク内の天然水の水温を所定温度に維持するための作動機器等に接続され、その起動〜停止等を制御するマイクロコンピュータ等をいう。
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【0014】
課題を解決するための手段(第1発明〜第5発明)は、本願、特許請求の範囲の各請求項に記載の発明であり、具体的には、
第1発明は、請求項1に記載の発明であり、
第2発明は、請求項2に記載の発明であり、
第3発明は、請求項3に記載の発明であり、
第4発明は、請求項4に記載の発明であり、
第5発明は、請求項5に記載の発明である。
具体的な課題を解決するための手段は、以下の通りである。
【0015】
請求項1に記載の発明は、上部タンクを備えたケーシング本体と、
段ボール入り貯水タンクを収容するために、前記ケーシング本体下部の床面に近接した位置に形成された収容部と、前記収容部に収容された前記段ボール入り貯水タンクから天然水を汲み上げて前記上部タンクに供給する汲み上げ手段とを備えている、ことを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のウォーターサーバーにあって、前記汲み上げ手段は、ポンプと、前記ポンプに接続される汲み上げ用配管と、前記汲み上げ用配管に前記段ボール入り貯水タンクを接続するための接続手段とを備えている、ことを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のウォーターサーバーにあって、前記接続手段は、前記汲み上げ用配管に接続され、前記収容部から出し入れ自在に配置される可撓性を有する接続管と、前記接続管の先端に設けられ、前記段ボール入り貯水タンクの注水口に接続される接続アタッチメントとを備えている、ことを特徴としている。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3の何れかに記載のウォーターサーバーにあって、充電器を介してバッテリーに充電され、電源遮断時には切り替えて前記バッテリーから電力を供給するように構成されている、ことを特徴としている。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4の何れかに記載のウォーターサーバーにあって、携帯電話の接続端子、ラジオ、タブレットコンピュータ(例えば、アップルのiPad(登録商標))のいずれか一つが装着されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本願発明に係る、ウォーターサーバーは、上記のような特徴的構成要件から構成され、特徴的構成要件に応じた、以下のような本願発明特有の効果を奏する。また、上記のような特徴的構成要件から構成されたウォーターサーバーによれば、本願発明の課題を十分解消することができた。
すなわち、第1の発明によれば、
「上部タンクを備えたケーシング本体と、
段ボール入り貯水タンクを収容するために、前記ケーシング本体下部の床面に近接した位置に形成された収容部と、前記収容部に収容された前記段ボール入り貯水タンクから天然水を汲み上げて前記上部タンクに供給する汲み上げ手段とを備えている」という特徴的構成要件により、
また、第2の発明によれば、
「前記汲み上げ手段は、ポンプと、前記ポンプに接続される汲み上げ用配管と、前記汲み上げ用配管に前記段ボール入り貯水タンクを接続するための接続手段とを備えている」という特徴的構成要件により、
また、第3の発明によれば、
「前記接続手段は、前記汲み上げ用配管に接続され、前記収容部から出し入れ自在に配置される可撓性を有する接続管と、前記接続管の先端に設けられ、前記段ボール入り貯水タンクの注水口に接続される接続アタッチメントとを備えている」という特徴的構成要件により、
また、第4の発明によれば、
「充電器を介してバッテリーに充電され、電源遮断時には切り替えて前記バッテリーから電力を供給するように構成されている」という特徴的構成要件により、
飲料水の入った重量の大きなボトルを持ち上げてウォーターサーバー(ケーシング本体)の上部に設置する必要がなく、老人や子供等であっても、ボトルをウォーターサーバーに容易に設置することができて、災害時においても大きな役割を発揮することができるウォーターサーバーを提供するという、第1の課題を解決することができた。
【0021】
第5の発明によれば、
「携帯電話の接続端子、ラジオ、タブレットコンピュータ(例えば、アップルのiPad(登録商標))のいずれか一つが装着されている」という特徴的構成要件により、
飲料水を提供するだけでなく、災害時における情報を容易に入手することができるウォーターサーバーを提供するという、第2の課題を解決することができた。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態のウォーターサーバーを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態のウォーターサーバーの下部を示す側面である。
【図3】本発明の実施の形態のウォーターサーバーの構成図である。
【図4】従来のウォーターサーバーを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明の実施の形態のウォーターサーバーを示す斜視図である。図2は本発明の実施の形態のウォーターサーバーの下部を示す側面である。図3は本発明の実施の形態のウォーターサーバーの構成図である。
【0024】
ウォーターサーバーWSは、天然水Wを冷却する冷水タンク60及び天然水Wを温める温水タンク70を内蔵し、冷水タンク60及び温水タンク70から天然水Wを供給する供給口60a、70aが設けられたケーシング本体100と、ケーシング本体100の上部に装着される天然水Wが密封された上部タンク20とから構成されている。冷水タンク60では内蔵された冷却器61によって天然水Wが所定の温度、例えば15℃〜18℃に冷やされ、温水タンク70では内蔵されたヒーター71によって天然水Wが所定の温度、例えば50℃〜70℃に温められる。
【0025】
図1において、101、102は操作レバー、103は操作レバーのストッパー、104はコンプレッサーである。また、ケーシング本体100に設けられる天然水の流路は、適宜UV管等により形成されて雑菌の除去、脱臭が行われるようになっている。図3において、26は開閉弁である。
【0026】
ケーシング本体100は、正面パネル、左側面パネル、右側面パネル及び底面パネルから構成された上下方向を長手とした中空のほぼ直方体状であり、供給口60a、70aは、ケーシング本体100のほぼ中央部に形成されている。またケーシング本体100の内部には冷水タンク60及び温水タンク70内の天然水Wを冷却する冷却手段である冷却器61及び/又は天然水Wを加熱する加熱手段のヒーター71が設けられると共に、冷却器61及び/又はヒーター71を制御する制御装置CTが設置されている。
【0027】
ケーシング本体100の下部には、前面側が開口した収容スペースを有する収容部が形成されている。収容部200は、段ボール301入り貯水タンク300を収容するために、ケーシング本体100の下部の床面に近接した位置に形成されている。
【0028】
ケーシング本体100には、汲み上げ手段が設けられている。汲み上げ手段は、収容部200に収容された段ボール301入り貯水タンク300から天然水Wを汲み上げて冷水タンク61及び温水タンク70に供給する手段であって、ポンプPと、ポンプPに接続される汲み上げ用配管400と、汲み上げ用配管400に段ボール301入り貯水タンク300を接続するための接続手段とを備えている。
【0029】
接続手段は、汲み上げ用配管400に接続され、収容部200から出し入れ自在に配置される可撓性を有する接続管500と、接続管500の先端に設けられ、段ボール30入り貯水タンク300の注水口302に接続される接続アタッチメント501とを備えている。
【0030】
また、ケーシング本体100は、充電器600を介してバッテリーに充電され、電源遮断時には切り替えてバッテリーから電力を供給するように構成されている。
【0031】
さらに、ケーシング本体100には、携帯電話の接続端子A、ラジオ(オーディオ)B、タブレットコンピュータ(例えば、アップルのiPad(登録商標))のいずれか一つが装着されており、これらはバッテリーから電力を供給するバッテリーから電力を供給するバッテリーから電力が供給される。
【0032】
このようにして構成されるウォーターサーバーWSは、以下のようにして段ボール301入り貯水タンク300が収容部200にセットされる。
【0033】
(1)図1に示すように、段ボール301入り貯水タンク300を床面上をスライドさせてウォーターサーバーWSの収容部200の前に位置させる。
【0034】
(2)次に、図1に示すように、段ボール301の開口孔を通じて貯水タンク300の注水口302を段ボール301から引き出す。
【0035】
(3)次に、貯水タンク300の注水口302と収容部200から引き出された接続管500のアタッチメント501とを接続する。
【0036】
(4)次に、段ボール301入り貯水タンク300を反転させてウォーターサーバーWSの収容部200に収容する。このとき、段ボール301入り貯水タンク300は収容部200に設けられた図外のスペーサーの上に載置される。
【0037】
(5)このようにしてウォーターサーバーWSの収容部200にセットされた段ボール301入り貯水タンク300の天然水は、汲み上げ手段によって汲み上げられて冷水タンク60及び温水タンク70に供給される。
【符号の説明】
【0038】
W 天然水
WS ウォーターサーバー
100 ケーシング本体
20 上部タンク
60 冷水タンク
61 冷却器
62 冷水レバー
63 温度センサー
70 温水タンク
72 温水レバー
CT 制御装置
80 電磁弁
81 排水弁
200 収容部
300 貯水タンク
301 段ボール
P ポンプ
400 汲み上げ用配管
500 接続管
600 充電器
A 携帯電話の接続端子
B ラジオ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部タンクを備えたケーシング本体と、
段ボール入り貯水タンクを収容するために、前記ケーシング本体下部の床面に近接した位置に形成された収容部と、
前記収容部に収容された前記段ボール入り貯水タンクから天然水を汲み上げて前記上部タンクに供給する汲み上げ手段と
を備えている、ことを特徴としているウォーターサーバー。
【請求項2】
前記汲み上げ手段は、
ポンプと、
前記ポンプに接続される汲み上げ用配管と、
前記汲み上げ用配管に前記段ボール入り貯水タンクを接続するための接続手段と
を備えている、ことを特徴としている請求項1に記載のウォーターサーバー。
【請求項3】
前記接続手段は、
前記汲み上げ用配管に接続され、前記収容部から出し入れ自在に配置される可撓性を有する接続管と、
前記接続管の先端に設けられ、前記段ボール入り貯水タンクの注水口に接続される接続アタッチメントと
を備えている、ことを特徴としている請求項2に記載のウォーターサーバー。
【請求項4】
充電器を介してバッテリーに充電され、電源遮断時には切り替えて前記バッテリーから電力を供給するように構成されている、ことを特徴としている請求項1ないし請求項3の何れかに記載のウォーターサーバー。
【請求項5】
携帯電話の接続端子、ラジオ、タブレットコンピュータのいずれか一つが装着されていることを特徴としている請求項1ないし請求項4の何れかに記載のウォーターサーバー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−95491(P2013−95491A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240709(P2011−240709)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(507011378)
【Fターム(参考)】