説明

ウォータージェットガン装着用ノズルヘッド

【課題】除去能力を簡便に向上できると共に、従来より低水量でも同程度以上の除去能力を確保できるウォータージェットガン装着用ノズルヘッドの提供。
【解決手段】ウォータージェットガン装着用ノズルヘッドにおいて、ウォータージェットガンの回転軸に装着されるメインヘッダと、噴射ノズルを有し、メインヘッダの回転中心軸を含む垂直面を挟んだ左右側面の少なくとも一方に取りつけられてメインヘッダに対して回転面に直交する方向に回動可能なサブヘッダとを備え、サブヘッダは、該回動によって噴射ノズルの噴射軸線の前記回転中心軸に対する前記垂直面に沿った傾斜角度を任意に変更可能に固定する角度調整機構を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォータージェットを活用した除去作業に用いるウォータージェットガンに装着されるノズルヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ウォータージェットは、外壁の洗浄や塗装剥離、またアスベスト撤去等の各種除去作業への活用が検討されている。
【0003】
特に、高効率で確実にウォータージェットによる除去作業を行う方式として、超高圧ウォータージェトガンを用いるものがある。これは、タンクから超高圧ポンプを介して供給されてくる超高圧水を、先端部に装着されたノズルヘッドを回転させながら該ノズルヘッドの噴射ノズルから噴射させるものである。
【0004】
このウォータージェットガンの管状砲身部内に回転軸と超高圧水供給流路とが配置され、ノズルヘッドが回転軸先端に装着されると同時にノズルヘッド内の流路入口が前記供給流路の出口に連通される。作業者は、回転軸が被処理壁面に対して略垂直方向となるようにノズルヘッドを該壁面に向けてガンを構え、手元のスイッチを操作することにより、超高圧水の噴射・停止を切り替えながら作業を進めるものである。
【0005】
ノズルヘッドは、先端前面に複数個の噴射ノズルが配置され、ウォータージェットガンからの超高圧水がヘッド内の流路によって分岐され、各噴射ノズルから噴射されるものである。ノズルヘッドには、例えば、図6や図7に示すような各噴射ノズルの噴射方向が回転軸に対して平行で円柱状にジェットが噴射されるものや、噴射角度が回転軸に対して所定の傾斜角を持ち円錐状にジェットが噴射されものなど、種々のものが用意されている(例えば、特許文献1,2,3参照)。このようなノズルヘッドは、実際の対象物に応じて適宜選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2668696号公報
【特許文献2】特開平11−200639号公報
【特許文献3】特開平9−173916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来のウォータージェットガン装着用ノズルヘッドでは、噴射ノズルが固定状態で形成されており、用途、対象物によって適した噴射角度のものを選択し、その都度ヘッドごと取り替えるという煩雑な手間が必要であった。これは、ウォータージェットの処理対象面に対する衝突角度が垂直から傾斜するほど、衝突力にジェットの抉るように食い込む切削力が増して除去能力が向上するため、除去対象物の壁面への付着強度が大きいものほど、また厚みが大きいもの物ほど、回転軸に対する噴射角度が大きいノズルヘッドの使用が必要となるためである。
【0008】
一方、除去能力を上げるのに、噴射水をより高圧、大流量とする場合もある。この場合、水量の増加に伴って大量の廃水も発生し、環境によっては排水処理と漏水対策が必要となる。しかし、これらの対策を講じるのは困難であるため、現状では、排水の回収が問題とならない建物外部の工事のみに活用されており、主に建物内部で行われる改修(リニューアル)工事では活用事例がない。
【0009】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、ウォータージェットガンでの除去作業において除去能力を簡便に向上できると共に、従来より低水量でも同程度以上の除去能力を確保できるウォータージェットガン装着用ノズルヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係るウォータージェットガン装着用ノズルヘッドは、内部に回転軸を備えたウォータージェットガンの先端で前記回転軸に着脱可能に装着され、外部の供給源から前記ウォータージェットガンを介して供給される超高圧水を噴射ノズルから噴射するウォータージェットガン装着用ノズルヘッドにおいて、
前記回転軸との装着部と、ウォータージェットガンから供給される超高圧水を流通させる内部流路とを有するメインヘッダと、
前記超高圧水を噴射するための噴射ノズルを有し、初期設定状態における前記メインヘッダの、回転軸の回転中心軸を含む垂直面を挟んだ左右の側面の少なくとも一方に取りつけられたサブヘッダと、を備え、
前記サブヘッダは、前記初期設定状態のメインヘッダに対して前記回転軸の回転面に直交する方向に回動可能であり、該回動によって前記噴射ノズルの噴射軸線の前記回転中心軸に対する該回転中心軸を含む垂直面に沿った傾斜角度を任意の角度に変更可能に固定する角度調整機構と、全回動範囲に亘って前記メインヘッダの内部流路と噴射ノズルとを連通させる噴射流路と、を備えているものである。
【0011】
請求項2に記載の発明に係るウォータージェットガン装着ノズルヘッドは、請求項1に記載のウォータージェットガン装着用ノズルヘッドにおいて、前記メインヘッダの左右側面の一方に着脱可能に且つ回動可能に取り付けられた第1のサブヘッダと、前記左右側面の他方に着脱可能に且つ回動可能に取り付けられた第2のサブヘッダとを備え、
前記第1のサブヘッダと第2のサブヘッダの一方に、噴射軸線が前記回転中心軸を含む水平面上で該回転中心軸と平行な平行噴射型の噴射ノズルを少なくとも1つ備え、他方のサブヘッダに、噴射軸線が前記回転中心軸を含む水平面上で該回転中心軸に対して予め定められた角度だけメインヘッダ側に傾斜した内向き噴射型の噴射ノズルを少なくとも1つ備えているものである。
【0012】
請求項3に記載の発明に係るウォータージェットガン装着用ノズルヘッドは、請求項2に記載のウォータージェットガン装着用ノズルヘッドにおいて、前記第1のサブヘッダと第2のサブヘッダは、それぞれ平行噴射型の第1噴射ノズルと内向き噴射型の第2噴射ノズルとを備え、
これら第1噴射ノズルと第2噴射ノズルは、互いの噴射軸方向が、サブヘッダの回動中心を含む垂直面上の直径に沿って互いに反対方向に延び、
前記角度調整機構は、第1噴射ノズルと第2噴射ノズルとを選択的に被処理物への高圧水噴射用ノズルとしてメインヘッダの前方側へ噴射方向を向けて前記サブヘッダをメインヘッダに位置固定するものである。
【0013】
請求項4に記載の発明に係るウォータージェットガン装着用ノズルヘッドは、請求項3に記載のウォータージェトガン装着用ノズルヘッドにおいて、前記角度調整機構は、高圧水噴射ノズルとして選択された噴射ノズルの噴射軸線を、前記回転中心軸に対して0〜45度の仰角度の範囲内又は前記回転中心軸に対して0〜45度の俯角度の範囲内で変更可能にサブヘッダを回動及び位置固定するものである。
【0014】
請求項5に記載の発明に係るウォータージェットガン装着用ノズルヘッドは、請求項4に記載のウォータージェットガン装着用ノズルヘッドにおいて、前記角度調整機構は、メインヘッダにサブヘッダを解除可能にネジ固定するボルト部材と、サブヘッダに設けられたボルト孔とを備え、
前記ボルト孔は、予め定められた角度間隔に亘って円弧状に延びるスリット形状を有し、前記ボルト部材は、固定解除状態にて該スリット形状のボルト孔内を全幅領域に亘って相対移動可能であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に記載の発明に係るウォータージェットガン装着用ノズルヘッドは、請求項2または請求項5に記載のウォータージェットガン装着用ノズルヘッドにおいて、同一サブヘッダにおける第1噴射ノズルと第2噴射ノズルは、前記回転中心軸を含む垂直面上でサブヘッダ回動中心から噴射方向に延びる互いの噴射軸線同士が45度以内の角度を形成する配置であることを特徴とするものである。
【0016】
請求項7に記載の発明に係るウォータージェットガン装着用ノズルヘッドは、請求項2〜6のいずれか1項に記載のウォータージェットガン装着用ノズルヘッドにおいて、第1のサブヘッダの噴射ノズルと第2のサブヘッダの噴射ノズルとの間の前記回転軸に直交する水平方向に沿った間隔が20〜30mmであることを特徴とするものである。
【0017】
請求項8に記載の発明に係るウォータージェットガン装着用ノズルヘッドは、請求項7に記載のウォータージェットガン装着用ノズルヘッドにおいて、前記内向き噴射型の噴射ノズルは、その噴射軸線の前記回転中心軸を含む水平面上での該回転中心軸に対するメインヘッダ側への内向き傾斜角度が5度であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明のウォータージェットガン装着用ノズルヘッドにおいては、ウォータージェットガンの回転軸に装着された初期設定状態のメインヘッダの、回転軸の中心軸を含む垂直面を挟んだ左右側面の少なくとも一方に、噴射ノズルを有するサブヘッダが回転面の直交方向に回動可能に取り付けられ、ウォータージェットガンを介して供給されメインヘッダの内部流路を流通する超高圧水が、サブヘッダの全回動範囲に亘って前記内部流路に連通される噴射流路を経て噴射ノズルから噴射されるものであり、角度調整機構によって噴射ノズルの噴射軸線の前記回転中心軸に対する該回転中心軸を含む垂直面に沿った傾斜角度をサブヘッダの回動によって任意の角度に変更可能に固定されるため、メインヘッダに対してサブヘッダを回動させるという簡便な操作だけで、ノズルヘッドの交換も使用水量を増加することもなく、回転軸に対する噴射角度を大きくして除去能力を高めることができると共に、同一ノズルヘッドのままで噴射水量を減らして同じ除去能力を得ることができ、また、噴射角度に応じて除去能力を変更することができるため、同一ノズルヘッドで、除去対象物、用途に応じた所望の除去能力を得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施例によるウォータージェットガン装着用ノズルヘッドを示す構成図であり、(a)は本ノズルヘッドの概略側面図、(b)は概略正面図、(c)は上方から見た概略透過図である。
【図2】図1のノズルヘッドの初期設定状態におけるウォータージェットガンへの装着状態を示す側面図である。
【図3】図1のノズルヘッドを装着したウォータージェットガンによる除去試験の結果を示す棒グラフであり、各タイプのノズルヘッドごとの除去率(m/h)を示す。
【図4】本発明の第2の実施例によるウォータージェットガン装着用ノズルヘッドを示す構成図であり、(a)は本ノズルヘッドの概略側面図、(b)は概略正面図、(c)は上方から見た概略透過図である。
【図5】本発明の第3の実施例によるウォータージェットガン装着用ノズルヘッドを示す構成図であり、(a)は本ノズルヘッドの概略斜視図、(b)は上方から見た概略透過図である。
【図6】従来のノズルヘッドの一例を示す概略構成図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図7】従来のノズルヘッドの他の例を示す概略構成図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のウォータージェットガン装着用ノズルヘッドは、ウォータージェットガンの回転軸に装着された初期設定状態のメインヘッダの、回転軸の中心軸を含む垂直面を挟んだ左右側面の少なくとも一方に、回転面に直交する方向に回動可能に取り付けられたサブヘッダを備え、このサブヘッダに、ウォータージェットガンを介して供給される超高圧水を噴射するための噴射ノズルと、回転軸装着状態にて外部供給源からウォータージェットガンを介して供給される超高圧水を流通させるためのメインヘッダの内部流路に対して全回動範囲に亘って連通する噴射流路が設けられており、角度調整機構によって、この噴射ノズルの噴射軸線の前記回転中心軸に対する該回転中心軸を含む垂直面に沿った傾斜角度をサブヘッダの回動によって任意の角度に変更可能に固定するものである。前記傾斜角度は、回転中心軸を含む水平面に対して直交する上下方向の傾斜角度とも言える。
【0021】
このような本発明の構成においては、噴射ノズルの噴射軸線は回転軸上に重なることはなく、回転軸から距離を持った位置でウォータージェットが噴射されるため、噴射軸線の回転中心軸に対する該回転中心軸を含む垂直面に沿った噴射角度を0として、噴射方向を回転軸に平行にしても、メインヘッダの回転に伴ってウォータージェットに回転力が付与され、その噴射軌跡は螺旋状となる。このため、水平な回転軸の延長線が直角に交叉するに被処理壁面へのウォータージェットの衝突は、壁面に対して垂直ではなく常に傾斜した入射角度で衝突するため、衝突力に抉るよう食い込む切削力が加わり高い除去能力が得られる。
【0022】
しかも、メインヘッダに対してサブヘッダを回動させるという簡便な操作だけで噴射ノズルからの回転軸に対するウォータージェット噴射角度を任意に変更できるため、ノズルヘッドの交換も使用水量を増加することもなく、回転軸に対する噴射角度を大きくして除去能力を高めることができる。即ち、同一ノズルヘッドのままで噴射水量を減らして同じ除去能力を得ることができる。また、噴射角度に応じて除去能力を変更することができるため、同一ノズルヘッドで、除去対象物、用途に応じた所望の除去能力を得ることもできる。
【0023】
なお、本発明で云う初期設定状態とは、回転軸を水平にしてガンのハンドル等を垂直下方に向けると共にガン先端部のノズルヘッドを垂直面である被処理面にノズルヘッドを向けてウォータージェットガンが構えられる初期姿勢を想定した状態である。
【0024】
また、サブヘッダは、メインヘッダの左右側面の一方に着脱可能に取り付けられる第1のサブヘッダと他方に着脱可能の取り付けられる第2のサブヘッダとの2つのサブヘッダを備える構成とすれば、各サブヘッダに設けられた噴射ノズルの少なくとも計2個の噴射ノズルで2つのウォータージェットを同時に噴射することができ、除去能力を更に増加させることができる。この場合、第1と第2のサブヘッダに噴射ノズル同士で回転軸に対する噴射角度を同じにしても、互いの噴射ノズルはメインヘッダを挟んで間隔を持っているため、両ウォータージェットの噴射軌跡は互いに交わることなくツイスト状に進むため、ジェット同士が干渉してその威力が阻害されることなく、高い切削能力が得られる。
【0025】
もちろん第1のサブヘッダの噴射ノズルと第2のサブヘッダの噴射ノズルとで、互いに異なる噴射方向、噴射角度に設定して異なる2種類のウォータージェットを噴射することができる。この場合、相対的に回転軸に対する噴射角度が小さい一方のウォータージェットが相対的に回転軸に対する噴射角度が大きい他方のウォータージェットの内側で噴射されるため、被処理面上では径の異なる同心円が描かれることになる。よって両者を1つのジェットとして見ると、外側円周内の衝突領域が密となり、全体的にな処理効率は高いものとなる。
【0026】
なお、噴射ノズルの基本構成としては、その噴射軸線が回転軸の回転中心軸を含む水平面上で該回転中心軸と平行となる平行噴射型といえる噴射ノズルが想定される。従って、サブヘッダの回動により設定された回転中心軸に対する噴射軸線の角度が0の場合、ノズルヘッドの回転に伴って形成されるウォータージェット全体の輪郭形状は円柱状であるが、前記噴射軸線が回転中心軸に対して仰角度あるいは俯角度を持って傾斜する噴射角度に設定されると、回転時のウォータージェット全体の輪郭形状は円錐状となる。このとき、ウォータージェットが外周方向へ拡散して衝突力も分散してしまう。
【0027】
そこで、第1のサブヘッダと第2のサブヘッダとで、一方に平行噴射型の噴射ノズルを少なくとも1つ備え、他方に噴射軸線が前記回転中心軸を含む水平面上でメインヘッダ側に傾斜した内向き噴射型の噴射ノズルを少なくとも1つ備える構成にすれば、この内向き噴射型の噴射ノズルから噴射されるウォータージェットは、サブヘッダの回動による噴射軸線の回転中心軸に対する傾斜角度が0であれば、回転中心軸の延長線に向かって収束する逆円錐形状となり、ウォータージェットノズル全体としてみると、他方の噴射ノズルからのウォータージェットの拡散を相殺してジェット威力の低減を抑えることができる。
【0028】
また、第1のサブヘッダと第2のサブヘッダに、それぞれ平行噴射型の第1噴射ノズルと内向き噴射型の第2噴射ノズルとの両方を設ける構成とすれば、組立時に偶々一方のサブヘッダをメインヘッダに取り付ける際に第1噴射ノズルあるいは第2噴射ノズルを噴射用ノズルとして選択してしまった場合、後にメインヘッダに取り付ける他方のサブヘッダにおいては異なる第2噴射ノズルあるいは第1噴射ノズルを噴射用ノズルとして選択すれば良いため、最初にメインヘッダに取り付けるサブヘッダにおいて噴射ノズルの選択に自由度があり、その分組立工程が簡便となる。
【0029】
さらに、各サブヘッダにおいて、第1噴射ノズルと第2噴射ノズルとを、互いの噴射軸方向がサブヘッダの回動中心を含む垂直面上の直径に沿って互いに反対方向に延びるものとし、角度調整機構によって、第1噴射ノズルと第2噴射ノズルとを選択的に被処理物への高圧水噴射用ノズルとしてメインヘッダの前方側へ噴射方向を向けて前記サブヘッダをメインヘッダに位置固定する構成とすれば、第1のサブヘッダと第2のサブヘッダのどちらでもメインヘッダの左右両側面に取り付けることができ、高圧水噴射用ノズルとしての第1噴射ノズルと第2噴射ノズルをどちら側のサブヘッダからでも選択でき、組立時の自由度がさらに増し、簡便な設計ながらも組立ミスが生じ難い。
【0030】
また、角度調整機構による高圧水噴射ノズルとして選択された噴射ノズルの噴射軸線の前記回転中心軸に対する変更可能な調整角度は、0〜45度の仰角度の範囲内及び/又は0〜45度の俯角度の範囲内とするのが好ましい。
【0031】
これは、回転中心軸からの噴射角度が大きすぎては、ウォータージェットが拡散しすぎて良好な除去能力が得られなくなるため、良好な除去能力が確保できる上限角度以上に調整されることがないよう角度調整範囲内に抑えるものである。
【0032】
従来から、例えば圧力250MPaでの超高圧ウォータージェットによる除去処理では、ノズルヘッドから被処理壁面までに約10cm前後の距離を持って噴射が行われている。噴射距離において、良好な除去能力が確保できる噴射角度の上限は、回転中心軸に対して45度である。従って、前記初期設定状態にて、サブヘッダの1つの噴射ノズルに対して角度調整機構が行える角度調整範囲を回転中心軸に対して0〜40度の仰角度または俯角度とすればよい。より確実な除去能力の確保のためには上限を30度とするのがより望ましい。
【0033】
また、角度調整機構の具体的構成としては、サブヘッダの対応位置に予め定められた角度間隔に亘って円弧状に延びるスリット形状を有するボルト孔を設け、該ボルト孔を介してサブヘッダを解除可能にメインヘッダにボルト部材でネジ固定する構成が簡便なものとして好ましい。ボルト部材は、ネジ固定を緩めた状態で該スリット形状のボルト孔内を全幅領域に亘って相対移動可能とする。
【0034】
この構成において、メインヘッダに対するボルト部材の位置を固定し、該ボルト部材に対してスリット形状のボルト孔を相対移動させることによってサブヘッダがメインヘッダに対して回動する。そこで、サブヘッダの噴射ノズルが所望の噴射角度に達した時点で相対移動を止め、ボルト部材でネジ固定すれば、噴射ノズルの噴射角度が固定される。円弧状スリット形状の角度間隔は、所望の噴射角度調節範囲に応じたサブヘッダの回動範囲に相当するもので良い。従って、例えば角度調整範囲の上限を45度にしたい場合は、ボルト孔のスリット形状を45度の角度間隔に亘って円弧状に形成すればよい。
【0035】
なお、同一サブヘッダにおける第1噴射ノズルと第2噴射ノズルとが、サブヘッダの回動中心を通る直径方向に沿って互いに反対方向に噴射方向を持つ場合、一方の噴射ノズルを高圧水噴射用としてノズルヘッダの前方側に位置付けると、他方の噴射ノズルの噴射方向は、後方の作業者側に向くため、塞いで噴射不可状態にする。
【0036】
そこで、同一サブヘッダにおける第1噴射ノズルと第2噴射ノズルとを、前記回転中心軸を含む垂直面上でサブヘッダ回動中心から噴射方向に延びる互いの噴射軸線同士が45度以内の角度を形成する互いに近接する配置とすれば、第1と第2の噴射ノズル双方を高圧水噴射用として活用することができる。この場合、第1のサブヘッダと第2のサブヘッダとで最大4つの噴射ノズルからのウォータージェットを活用でき、除去能力を格段に高めることができる。
【0037】
一方、第1のサブヘッダの噴射ノズルと第2のサブヘッダの噴射ノズルとの間の回転軸に直交する方向に沿った間隔が大きいほど、回転するウォータージェットで処理面上に描かれる円の径は大きくなるが、この間隔があまり大きすぎると処理が均一に進みにくくなるため、該間隔は適度に狭い方が好ましい。また、超高圧水の圧力に対する機械的強度を確保するため、必要なメインヘッダの内部流路やサブヘッダの噴射流路とノズル口径に応じてメインヘッダとサブヘッダの厚みにも下限が生じる。これらを鑑み、実用に適した設計として、第1のサブヘッダの噴射ノズルと第2のサブヘッダの噴射ノズルとの回転軸に直交する水平方向に沿った間隔は20〜30mmとするのが好適である。
【0038】
また、前記内向き噴射型の噴射ノズルは、その噴射軸線の前記回転中心軸を含む水平面上での該回転中心軸に対するメインヘッダ側への内向き傾斜角度が大きすぎると、回転中心軸に向かって収束していたウォータージェットが回転中心軸から離れる方向へ拡散した状態で被処理面に衝突することになる。一般的に被処理面とノズルヘッドとの距離が10cm前後で行われている実際の作業状況においては、ウォータージェットの良好な収束状での衝突を確保するには、前記内向き角度は5度とするのが好適である。
【実施例1】
【0039】
本発明の一実施例によるウォータージェットガン装着用ノズルヘッドを図1、2に示す。図1(a)は本ノズルヘッドの概略側面図、(b)は概略正面図、(c)は上方から見た概略透過図である。図2は、本ノズルヘッドの初期設定状態におけるウォータージェットガンへの装着状態を示す側面図である。
【0040】
本ヘッドノズル1は、主に、ウォータージェットガン10の管状砲身部13の先端で砲身部内に配置された回転軸14に装着される装着部3を備えたメインヘッダ2と、該メインヘッダ2の、回転軸14の回転中心軸を含む垂直面Xを挟んだ左右の側面にそれぞれに角度調整機構によって回動可能に取り付けられた第1のサブヘッダ5Aと第2のサブヘッダ5Bとから構成される。
【0041】
メインヘッダ2には、ウォータージェットガン10から供給される超高圧水を各サブヘッダ(5A,5B)へ流通させる内部流路4を備え、該内部流路4は、装着部3の回転軸14への装着と同時にウォータージェットガン側の超高圧水供給路と接続されるものである。
【0042】
一方、第1と第2のサブヘッダ(5A,5B)は、それぞれ回転軸14による回転面と直交する方向、即ち、前記垂直面Xに沿った方向に回動可能であるが、超高圧水を噴射するための噴射ノズル(7A,7B)をそれぞれ1つずつ備えており、サブヘッダの全回動範囲に亘ってメインヘッダ2の内部流路4と噴射ノズル(7A,7B)とを連通させる噴射流路(6A,6B)が形成されている。本実施例において、噴射ノズル(7A,7B)は、その噴射軸線が回転軸の回転中心軸を含む水平面上で該回転中心軸と平行となる平行噴射型である。
【0043】
本実施例の角度調整機構は、各サブヘッダ(5A,5B)の対応位置に設けられた、予め定められた角度間隔に亘って円弧状に延びるスリット形状を有する2個ずつのボルト孔8と、該ボルト孔8を介してサブヘッダ(5A,5B)を解除可能にメインヘッダ2にネジ固定するボルト部材9とで構成されるものである。
【0044】
各ボルト部材9は、ネジ固定を緩めた状態にて対応する該スリット形状のボルト孔8内をその全幅領域に亘って相対移動可能とするものである。よって、メインヘッダ2に対して位置固定されたボルト部材9に対してスリット形状のボルト孔8を移動させればサブヘッダ(5A,5B)がメインヘッダ2に対して回動する。そこで、該回動において、噴射ノズルが所望の噴射角度に達した時点で相対移動を止め、ボルト部材9でネジ固定すれば、噴射ノズルの噴射角度が固定される。この角度調整を第1のサブヘッダ5Aの噴射ノズル7Aと第2のサブヘッダ5Bの噴射ノズル7Bとについてそれぞれ行えば良い。
【0045】
ボルト孔8の円弧状スリット形状の角度間隔は、所望の噴射角度調節範囲に応じたサブヘッダの回動範囲に相当するもので良い。本実施例では、第1のサブヘッダ5Aの噴射ノズル7Aの噴射角度調整を回転中心軸に対して0〜30度の仰角度範囲、第2のサブヘッダ5Bの噴射ノズル7Bの噴射角度調整を回転中心軸に対して0〜30度の俯角度範囲に設定し、各ボルト孔8のスリット形状を30度の角度間隔に亘る円弧状に形成した。
【0046】
以上の構成を備えたノズルヘッド1をウォータージェットガン10に装着した。ウォータージェットガン10は、本体11から水平方向に延びる管状の砲身部13の後端部に超高圧ホース接続口12を持ち、該接続口12に外部の超高圧ポンプから送り出されてくる超高圧水を供給するためのホースが接続されている。また本体11には、超高圧水噴射のON・OFFスイッチとなるレバー16と、該レバー16に連動して砲身部13内の回転軸を回転駆動させるモータとを備えた握り部15が取り付けられている。砲身部13の先端側には、前方に開口を有するノズルカバー18が取り付けられており、このノズルカバー内でノズルヘッド1が回転軸14に装着された状態となる。さらに、砲身部13には、作業者が砲身部13を安定させるための防振ハンドル17が取り付けられている。
【0047】
以上のウォータージェットガン10を用いて、ノズルヘッド1を、第1のサブヘッダ5Aの噴射ノズル7Aの噴射角度は30度の仰角に、第2のサブヘッダ5Bの噴射角度は30度の俯角としてウォータージェット噴射による除去試験を行った。試験は、湿式耐火被覆模擬サンプル(0.2m、厚み5cm)と、屋根折板フェルトン除去後の剥離剤塗布後の接着剤(0.48m)を除去対象とした。
【0048】
本実施例のノズルヘッド1としては、噴射ノズル(7A,7B)が口径0.2mmである場合(実施例1−1)と、口径0.25mmの場合(実施例1−2)との2種類とし、加えて、図6及び図7に示した噴射ノズルが固定されて噴射軸線が互いに平行な従来タイプのノズルヘッドを用いた場合を対照とした。対照ノズルヘッドは、まず図6に示した噴射ノズルを3個備えたものでノズル口径が0.2mmのもの(対照1)と、図7に示した噴射ノズルを2個備えたもので、ノズル口が径0.2mmのもの(対照2)と、ノズル口径が0.25mmのもの(対照3)である。
【0049】
以上5種のノズルヘッドにおいて、上記2種の対象物に対する除去試験を行い、試験結果を以下の表1にまとめた。また、各ノズルヘッドによる除去率(m/h)を図3の棒グラフで表した。なお、いずれの場合も、除去対象物の被処理面とノズルヘッドとの距離を5〜10cmとしてウォータージェットを噴射した。
【0050】
【表1】

【0051】
以上の結果から、特に湿式耐火被覆を除去対象とした場合をみると、本実施例によるノズルヘッドでは、同じ口径噴射ノズルを同じ個数だけ備えた対照のノズルヘッドに対して2倍の除去率を示し、また同じ吐出水量の条件では対照1に対して実施例1−2は5倍の除去率となっている。おり、従来タイプより格段に高い除去能力が確認された。これによって、同じ除去能力であれば、従来タイプよりも使用水量を低減できることも確認できた。この同一ノズルヘッドにおける除去能力の変更は、第1と第2のサブヘッダ(5A,5B)をメインヘッダ2に対して回動させるという簡単な操作で噴射ノズル(7A,7B)の噴射角度を変更するだけで実現できる。
【実施例2】
【0052】
以上の実施例1では、各サブヘッダに噴射ノズルを1個ずつ設けた場合をしめしたが、本発明の実施例2として、各サブヘッダに、第1噴射ノズルと第2噴射ノズルの2個ずつ設けて噴射ノズルを計4個とした場合を図4に示す。図4(a)は、本ノズルヘッドの概略側面図、(b)は概略正面図、(c)は上方から見た概略透過図である。
【0053】
本実施例によるノズルヘッド21は、各サブヘッダの噴射ノズルと噴射流路以外のメインヘッダおよび角度調整機構は実施例1と基本的に共通する構成を備えたものである。即ち、本ノズルヘッド21は、主に、ウォータージェットガン10の回転軸14に装着される装着部23を備えたメインヘッダ22と、該メインヘッダ22の前記垂直面Xを挟んだ左右の側面にそれぞれに角度調整機構によって前記垂直面Xに沿って回動可能に取り付けられた第1のサブヘッダ25Aと第2のサブヘッダ25Bとから構成される。
【0054】
メインヘッダ22には、ウォータージェットガン10から供給される超高圧水を各サブヘッダ(25A,25B)へ流通させる内部流路24を備え、該内部流路24は、装着部23の回転軸14への装着と同時にウォータージェットガン側の超高圧水供給路と接続されるものである。本実施例における角度調整機構は、各サブヘッダ(25A,25B)の対応位置に設けられた所定の角度間隔に亘って円弧状に延びるスリット形状を有する2個ずつのボルト孔28と、該ボルト孔28を介してサブヘッダ(25A,25B)を解除可能にメインヘッダ22にネジ固定するボルト部材29とで構成されている。
【0055】
第1のサブヘッダ25Aは、第1噴射ノズル27A1と第2噴射ノズル27A2とを備え、サブヘッダの全回動範囲に亘ってメインヘッダ25の内部流路24と両噴射ノズルとをそれぞれ連通させる噴射流路(26A1,26A2)が形成されている。同様に第2のサブヘッダ25Bは、第1噴射ノズル27B1と第2噴射ノズル27B2とを備え、サブヘッダの全回動範囲に亘ってメインヘッダ25の内部流路24と両噴射ノズルとをそれぞれ連通させる噴射流路(26B1,26B2)が形成されている。
【0056】
なお、第1と第2のサブヘッダ(25A,25B)で共に第1噴射ノズル(27A1、27B1)を前記平行噴射型とし、第2噴射ノズル(27A2、27B2)を、噴射軸線が前記回転中心軸を含む水平面上でメインヘッダ側に傾斜した内向き噴射型とした。本実施例では、この内向き傾斜角度を5度とした。また、中心軸に直交する水平方向での第1と第2のサブヘッダ(25A,25B)の噴射ノズル間の間隔を30mmとした。
【0057】
この内向き噴射型の噴射ノズルから噴射されるウォータージェットは、サブヘッダの回動による噴射軸線の回転中心軸に対する傾斜角度が0であれば、回転中心軸の延長線に向かって収束する逆円錐形状となり、ウォータージェットノズル全体としてみると、他方の噴射ノズルからのウォータージェットの拡散を相殺してジェット威力の低減を抑えることができる。よって、本実施例では、第1と第2のサブヘッダ(25A,25B)のそれぞれから高圧水噴射用として噴射ノズルを1つずつ選択するが、一方のサブヘッダから平行噴射型である第1噴射ノズルと選択し、他方のサブヘッダから内向き噴射型の第2噴射ノズルを選択して2種のウォータージェットの組み合わせを得るものとする。
【0058】
また、本実施例では、第1及び第2のサブヘッダ(25A,25B)共に、第1噴射ノズルと第2噴射ノズルが、互いの噴射軸方向がサブヘッダの回動中心Yを含む垂直面上の直径に沿って互いに反対方向に延びるものとした。第1と第2の噴射ノズルのうち、高圧水噴射用として前方に位置付けられる一方の噴射ノズルに対して反対向きになる他方の噴射ノズルは、蓋手段等により噴射不可状態とする。
【0059】
従って、角度調整機構によって、第1噴射ノズルと第2噴射ノズルとを選択的に被処理物への高圧水噴射用ノズルとしてメインヘッダ22の前方側へ噴射方向を向けて前記サブヘッダをメインヘッダ22に位置固定する際に、第1のサブヘッダ25Aと第2のサブヘッダ25Bのどちらでもメインヘッダ22の左右両側面に取り付けることができ、高圧水噴射用ノズルとしての第1噴射ノズルと第2噴射ノズルをどちら側のサブヘッダからでも選択できる。従って、本実施例によるノズルヘッド21では、異なる2種のウォータージェットを得る設定であるが、組立時の自由度が大きく、簡便な設計ながらも組立ミスが生じ難いものである。
【実施例3】
【0060】
以上の実施例2では、平行噴射型の第1噴射ノズルと内向き噴射型の第2噴射ノズルとを、互いに互いの噴射軸方向がサブヘッダの回動中心Yを含む垂直面上の直径に沿って互いに反対方向に延びるものとしたが、本発明の実施例3として、第1噴射ノズルと第2噴射ノズルとを近接して設け、両ノズルを高圧水噴射用に活用できる構成敏場合を図5に示す。図5(a)は本ノズルヘッドの概略斜視図で、部分的に内部を透過状態で示すものであり、(b)は上方から見た概略透過図である。
【0061】
本実施例によるノズルヘッド31は、第1と第2の噴射ノズルおよびその噴射流路の配置以外のメインヘッダおよび角度調整機構は実施例2のノズルヘッド21と基本的に共通する構成を備えたものである。即ち、本ノズルヘッド31は、主に、ウォータージェットガン10の回転軸14に装着される装着部33を備えたメインヘッダ32と、該メインヘッダ32の前記垂直面Xを挟んだ左右の側面にそれぞれに角度調整機構によって前記垂直面Xに沿って回動可能に取り付けられた第1のサブヘッダ35Aと第2のサブヘッダ35Bとから構成される。
【0062】
メインヘッダ32には、ウォータージェットガン10から供給される超高圧水を各サブヘッダ(35A,35B)へ流通させる内部流路34を備え、該内部流路34は、装着部33の回転軸14への装着と同時にウォータージェットガン側の超高圧水供給路と接続されるものである。本実施例における角度調整機構は、各サブヘッダ(35A,35B)の対応位置に設けられた所定の角度間隔に亘って円弧状に延びるスリット形状を有する2個ずつのボルト孔38と、該ボルト孔38を介してサブヘッダ(35A,35B)を解除可能にメインヘッダ32にネジ固定するボルト部材39とで構成されている。
【0063】
第1のサブヘッダ35Aは、平行噴射型の第1噴射ノズル37A1と内向き噴射型の第2噴射ノズル37A2とが、前記垂直面X上でサブヘッダ回動中心Yから噴射方向に延びる互いの噴射軸線同士が45度の角度を形成する配置で備えられており、該サブヘッダ35Aの全回動範囲に亘ってメインヘッダ32の内部流路34と両噴射ノズルとをそれぞれ連通させる噴射流路(36A1,36A2)が形成されている。
【0064】
同様に、第2のサブヘッダ35Bも、第1噴射ノズル37B1と第2噴射ノズル37B2とが、前記垂直面X上でサブヘッダ回動中心Yから噴射方向に延びる互いの噴射軸線同士が45度の角度を形成する配置で備えられており、該サブヘッダ35Bの全回動範囲に亘ってメインヘッダ32の内部流路34と両噴射ノズルとをそれぞれ連通させる噴射流路(36B1,36B2)が形成されている。
【0065】
以上の構成により、本実施例によるノズルヘッド31では、同一サブヘッダにおける第1噴射ノズルと第2噴射ノズルとが互いに近接して配置されているため、両噴射ノズルをウォータージェット噴射用に活用でき、第1と第2のサブヘッダ(35A,35B)とで最大4つの噴射ノズルを活用して、除去能力を格段に高めることができる。
【符号の説明】
【0066】
1,21,31:ノズルヘッド
2,22,32:メインヘッダ
3,23,33:装着部
4,24,34:内部流路
5A,25A,35A:第1のサブヘッダ
5B,25B,35B:第2のサブヘッダ
6A,6B,26A1,26A2,26B1,26B2,36A1,36A2,36B1,36B2:噴射流路
7A,7B:噴射ノズル
27A1,27B1,37A1,37B1:第1噴射ノズル
27A2,27B2,37A2,37B2:第2噴射ノズル
8,28,38:ボルト孔
9,29,39:ボルト部材
10:ウォータージェットガン
11:本体
12:超高圧ホース接続口
13:砲身部
14:回転軸
15:握り部
16:レバー
17:防振ハンドル
18:ノズルカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に回転軸を備えたウォータージェットガンの先端で前記回転軸に着脱可能に装着され、外部の供給源から前記ウォータージェットガンを介して供給される超高圧水を噴射ノズルから噴射するウォータージェットガン装着用ノズルヘッドにおいて、
前記回転軸との装着部と、ウォータージェットガンから供給される超高圧水を流通させる内部流路とを有するメインヘッダと、
前記超高圧水を噴射するための噴射ノズルを有し、初期設定状態における前記メインヘッダの、回転軸の回転中心軸を含む垂直面を挟んだ左右の側面の少なくとも一方に取りつけられたサブヘッダと、を備え、
前記サブヘッダは、前記初期設定状態のメインヘッダに対して前記回転軸の回転面に直交する方向に回動可能であり、該回動によって前記噴射ノズルの噴射軸線の前記回転中心軸に対する該回転中心軸を含む垂直面に沿った傾斜角度を任意の角度に変更可能に固定する角度調整機構と、全回動範囲に亘って前記メインヘッダの内部流路と噴射ノズルとを連通させる噴射流路と、を備えていることを特徴とするウォータージェットガン装着用ノズルヘッド。
【請求項2】
前記メインヘッダの左右側面の一方に着脱可能に且つ回動可能に取り付けられた第1のサブヘッダと、前記左右側面の他方に着脱可能に且つ回動可能に取り付けられた第2のサブヘッダとを備え、
前記第1のサブヘッダと第2のサブヘッダの一方に、噴射軸線が前記回転中心軸を含む水平面上で該回転中心軸と平行な平行噴射型の噴射ノズルを少なくとも1つ備え、他方のサブヘッダに、噴射軸線が前記回転中心軸を含む水平面上で該回転中心軸に対して予め定められた角度だけメインヘッダ側に傾斜した内向き噴射型の噴射ノズルを少なくとも1つ備えていることを特徴とする請求項1に記載のウォータージェットガン装着用ノズルヘッド。
【請求項3】
前記第1のサブヘッダと第2のサブヘッダは、それぞれ平行噴射型の第1噴射ノズルと内向き噴射型の第2噴射ノズルとを備え、
これら第1の噴射ノズルと第2の噴射ノズルは、互いの噴射軸方向がサブヘッダの回動中心を含む垂直面上の直径に沿って互いに反対方向に延び、
前記角度調整機構は、第1噴射ノズルと第2噴射ノズルとを選択的に被処理物への高圧水噴射用ノズルとしてメインヘッダの前方側へ噴射方向を向けて前記サブヘッダをメインヘッダに位置固定することを特徴とする請求項2に記載のウォータージェットガン装着用ノズルヘッド。
【請求項4】
前記角度調整機構は、高圧水噴射ノズルとして選択された噴射ノズルの噴射軸線を、前記回転中心軸に対して0〜45度の仰角度の範囲内または前記回転中心軸に対して0〜45度の俯角度の範囲内で変更可能にサブヘッダを回動及び位置固定することを特徴とする請求項3に記載のウォータージェトガン装着用ノズルヘッド。
【請求項5】
前記角度調整機構は、メインヘッダにサブヘッダを解除可能にネジ固定するボルト部材と、サブヘッダに設けられたボルト孔とを備え、
前記ボルト孔は、予め定められた角度間隔に亘って円弧状に延びるスリット形状を有し、前記ボルト部材は、固定解除状態にて該スリット形状のボルト孔内を全幅領域に亘って相対移動可能であることを特徴とする請求項4に記載のウォータージェットガン装着用ノズルヘッド。
【請求項6】
同一サブヘッダにおける第1噴射ノズルと第2噴射ノズルは、前記回転中心軸を含む垂直面上でサブヘッダ回動中心から噴射方向に延びる互いの噴射軸線同士が45度以内の角度を形成する配置であることを特徴とする請求項2または請求項5に記載のウォータージェットガン装着用ノズルヘッド。
【請求項7】
第1のサブヘッダの噴射ノズルと第2のサブヘッダの噴射ノズルとの間の前記回転軸と直交する水平方向に沿った間隔が20〜30mmであることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のウォータージェットガン装着用ノズルヘッド。
【請求項8】
前記内向き噴射型の噴射ノズルは、その噴射軸線の前記回転中心軸を含む水平面上での該回転中心軸に対するメインヘッダ側への内向き傾斜角度が5度であることを特徴とする前請求項7に記載のウォータージェットガン装着用ノズルヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−173064(P2011−173064A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38788(P2010−38788)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000132161)株式会社スギノマシン (144)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】