説明

ウォータージュエリーを総合的に作るためのファウンティンジュエリー装置、及び、その制御方法

【課題】 ウオーター ジュエリー装置を改良して、該噴水の環境条件に適応した制御を行ない、演出効果を向上させる。
【解決手段】 噴水ノズル1Aの圧力水送給を制御する電磁弁制御回路12と、LED投光器7の投射方向を制御する投光方向制御回路10と、LED投光器7ようの発光色調制御回路8と、風向風速検出回路9とを設け、かつ、ファウンティン ジュエリー総合制御回路17によって演奏回路4と連携しつつ前記の「電磁弁制御回路12、投光方向制御回路10および発光色調制御回路8」を、「音楽や風の状態」に合わせて総合的に制御することにより、噴水の噴射流量や、水のジュエリー6の発生や、LED投光器7の照射方向を、演奏回路4のテーマミュージックに合わせて制御し、演出効果を上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴水を制御することによって、そのパフォーマンス効果を向上させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
噴水の制御については、従来一般に、その噴射水量をリズミカルに変化させることによって行なわれていた。
古典的には、いわゆる「踊る噴水」が有る。これは多数の噴水ノズルを配列しておいて、互いに連携させながら順次に噴射水量を変化させるものである。しかし、この踊る噴水は既に「目新しさ」を失っている。
そこで、新しい型式の噴水として、ウオーター ジュエリーが提案されている。(図4参照)
水ポンプPの吐出管路に何らかの弁手段Vが介挿されていて、水流を断続させる。
噴水ノズル1から短時間の噴射が行われると、小さい水塊が噴き上げられるが、噴き上げられた水塊は上昇した後、矢印aのように落下する水塊Fとなる。
次の瞬間、後続の上昇水流Uが矢印bのように噴き上げられ、両者が衝突して飛び散り、水のジュエリー(6)と呼ばれる現象を呈する。
【特許文献1】特開平2−135173号公報
【非特許文献1】日刊工業新聞社発行、油圧教本(昭和48年増補改定版)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来例の踊る噴水や水のジュエリーには、当該噴水装置の環境に適合させた総合的な制御という技術的思想を欠いていた。
すなわち、テーマミュージックと、踊りと、ジュエリーと、照明とが調和されないので、総合的な芸術効果が得られない。
さらに、重要な環境に風が有る。従来例の噴水装置は風速計を備えていて「強風に吹き流された噴水が観客に降りかかる虞れ」が認められると噴水を停止するようになっていた。しかし、観客に降りかからない程度の偏りを生じたとき、照明手段が順応せず、噴水ノズルの鉛直上方を空しく照らしている。
本発明は以上に述べた事情に鑑みて為されたものであって、その目的とするところは、
噴水環境(音楽・風)と、水の踊りと、ジュエリーと、照明とを総合的に制御して芸術的効果を奏する技術を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記の目的を達成するために創作した請求項1に係る発明装置の構成は、(図1参照)
噴水ノズルと、該噴水ノズルに圧力水を送給する水ポンプと、圧力水送給管路に介挿接続された弁手段と、前記噴水ノズルから噴射された水を照明する投光器とを備えて成る水のジュエリー装置において、
該投光器の投光方向を制御する投光方向制御回路(10)と、
前記投光器の発光色調を制御する発光色調制御回路(8)と、
前記圧力水送給管路に介挿接続された電磁弁(11)及び電磁弁制御回路(12)と、
当該水のジュエリー装置の設置箇所付近の風向風速を検出する風向風速検出回路(9)と、
当該水のジュエリー装置の設置箇所付近に向けたスピーカー(3)に対して音楽出力を送る演奏回路(4)とを具備しており、
かつ、前記風向風速検出回路(9)の出力信号を入力されるとともに、前記演奏回路(4)と連携して、「投光方向制御回路(10)、発光色調制御回路(8)、電磁弁制御回路(12)、及び基本流量制御回路(5)」を総合的に制御するファウンティン ジュエリー総合制御回路(17)が設けられていることを特徴とする。
【0005】
以上に説明した請求項1の発明装置によれば、「投光器の発光色調の制御回路と、投光方向を制御する回路と、噴水用圧力水の制御回路と、風向風速検出回路と、演奏回路と」を制御するファウンティン ジュエリー総合制御回路を具備しているので、テーマミュージックに調和させて
水の踊りと、ジュエリーと、照明とを変化させて芸術的効果を奏することができる。
【0006】
請求項2に係る発明装置の構成は、前記請求項1の発明装置の構成要件に加えて、(図2(A)参照)前記の投光器がLEDを光源とし、その投光方向を変化せしめ得る構造であって、複数条の光束を投射し得る構造であり、
かつ、前記のファウンティン ジュエリー総合制御回路(17)が、風向風速検出回路(9)の検出データに基づいて、投光器(7A,7B)を「噴水ノズルから噴射された水流が風に流されて偏る方向」に向けるように、投光方向制御回路(10)を制御する機能を有していることを特徴とする。
【0007】
以上に説明した請求項2の発明装置によると、LEDを光源としているので色彩制御が容易であり、かつ発光効率が良い。その上、複数条の光束を投射するので噴水が立体的に照明され、水の踊りやジュエリーの発生を、周囲の観衆全部に対して明瞭に感知させることができる。
特に、風のために水のジュエリーが流されてその位置が偏っても、投光器が追随して正確な照明をすることができる。
【0008】
請求項3に係る発明装置の構成は、前記請求項2の発明装置の構成要件に加えて、(図2(C)参照)
前記のLEDを光源とする投光器が、放射状に配列された多数のLED発光体を有していて、拡散光束(立体角φ)を投射する構造であり、
かつ前記の投光方向制御回路は、多数のLED発光体の内で所望の方向に出射するものを選択的に発光させることによって投光方向を変化せしめ得る構造であることを特徴とする。
【0009】
以上に説明した請求項3の発明装置を請求項2の発明装置に併用すると、投光器を機械的に傾動させることなく、LEDの点滅を電気的に制御して投射方向を任意に、かつ極めて迅速に変化せしめることができる。
【0010】
請求項4に係る発明装置の構成は、前記請求項1ないし請求項3の発明装置の構成要件に加えて、(図3参照)前記圧力水送給管路に介挿接続された電磁弁は、空気を作動流体とするパイロット弁であって、
噴水ノズル(1)の圧力水送給管路中に介挿接続された水流制御パイロット弁(15)と、該水流制御パイロット弁にパイロット管路(16a)で接続された電磁作動空気制御弁(16)とから成るものであることを特徴とする。
【0011】
以上に説明した請求項4の発明装置によると、比較的大容量の水流制御弁を、遠隔的に空気パイロット管路を介して操作することができる。このため、水に浸され易い水流制御弁に電気配線をする必要が無く、工期が短縮されて設備工事費用が嵩まない上に、漏電の虞れが無くて安全である。
【0012】
請求項5に係る発明装置の構成は、前記請求項1ないし請求項4の発明装置の構成要件に加えて、(図1参照)
前記噴水ノズルに圧力水を送給する水ポンプが可変水ポンプ(2)でって、基本流量制御回路(5)をそなえており、
前記ファウンティン ジュエリー総合制御回路(17)は、演奏回路(4)とタイミングを合わせて基本流量制御回路(5)を制御し、瞬間的に作動する水のジュエリーだけでなく、噴水の水量を長時間に亙って環境音楽に調和させて変化せしめる機能を有していることを特徴とする。
【0013】
以上に説明した請求項5の発明装置によると、テーマミュージックに合わせて水を踊らせながら、その要所、要所でジュエリーを発生させて演出効果を発揮させることができる。
単に水のジュエリーを発生させるだけでなく、音楽に合わせた水の踊りの中で、所望の箇所に、所望のタイミングで水のジュエリーを発生させるところに本請求項5の発明装置の真価が有る。
【0014】
請求項6に係る発明方法の構成は、(図1参照)噴水ノズルと、該噴水ノズルに圧力水を送給する水ポンプと、圧力水送給管路に介挿接続された弁手段と、前記噴水ノズルから噴射された水を照明する投光器とを備えて成る水のジュエリー装置において、
ファウンティン ジュエリー総合制御回路(17)を設け、この総合制御回路に「当該水のジュエリー装置の設置箇所付近の風向風速を検出する風向風速検出回路(9)の出力信号」を入力せしめて、
イ.該投光器の投光方向を制御する投光方向制御回路(10)と、
ロ.前記投光器の発光色調を制御する発光色調制御回路(8)と、
ハ.前記圧力水の送給管路に介挿された電磁弁(11)及び電磁弁制御回路(12)と、
ニ.水のジュエリー装置付近に向けたスピーカー(3)に対し音楽出力を送る演奏回路(4)と、
を総合的に制御して、
音楽演奏に調和させて水のジュエリーを発生させ、かつ、風で流される水のジュエリーを追って投光器で照明することを特徴とする。
【0015】
以上に説明した請求項6の発明方法によると、噴水設備の噴水流の踊りと、水のジュエリーと
、噴水照明とを調和させて合理的に制御することができ、芸術性に富んだ演出をすることができ、
しかも、風に流される噴水流を追って連続的に照明しながら、風に流された水のジュエリーに照準して瞬時的に有効な照明をすることができる。
【0016】
請求項7に係る発明方法の構成は、請求項6の発明方法の構成要件に加えて、(図1参照)前記の水ポンプを、予め可変水ポンプ(2)で構成するとともに、該可変水ポンプの吐出水量を制御する基本流量制御回路(5)を設けておき、
前記ファウンティン ジュエリー総合制御回路(17)によって、瞬間的な水のジュエリーだけでなく、噴水の流量を長期的に音楽演奏に調和させることを特徴とする
【0017】
以上に説明した請求項7の発明方法によると、噴水流量の制御手段を区分して、瞬時的な断続制御を必要とする「水のジュエリーを咲かせるための流量制御」は弁手段で行ない、
長期間の連続制御を必要とする「水を踊らせるための流量制御」を可変水ポンプで行なうことにより、合理的に、信頼性の高い水流制御を行なうことができる。
すなわち、水のジュエリーを発生させるには、水流をデジタル的に断続制御しなければない。一方、水を踊らせるには、水流をアナログ的に長時間に亙って増減制御しなければならない。
本請求項7の発明方法は、上記の特性に着目して、デジタル的な断続制御を電磁弁でおこなわせる一方、アナログ的な増減制御を可変水ポンプで行なうものである。
上記の構成は、「電磁弁は可動部材が小さいので応答性が良いけれども、連続繰り返し作動の信頼性が万全ではなく、これに対して可変水ポンプは可動部材が大きく慣性を有しているから応答性は良くないが、長時間の作動信頼性が高い」という本発明者の永年の経験に由来する知見に基づく創作である。
【0018】
請求項8に係る発明方法の構成は、前記請求項6の発明方法の構成要件に加えて、(図2(C)参照)
前記の投光器を、予め「放射状に配列された多数のLED発光体を光源とする広角LED投射器(14)」で構成しておき、
投光方向制御回路により「前記多数のLED発光体の内で、所望の方向に出射するLED発光体」を選択的に発光させることによって投光器の照射方向を制御することを特徴とする。
【0019】
以上に説明した請求項8の発明方法によると、投光器を機械的に駆動して動かすことなく、LED発光体を電気的に点滅制御して投射方向を変化させることができる。
機械的作動をしないので慣性に因る作動遅れが無く、風による水のジュエリーの流れに対して迅速に追従することができる上に、装置の機械的作動部分に異物が噛み込まれて作動を妨げられたりする虞れが無く、定期的な点検清掃などのメンティナンス工数が少なくて済む。
【0020】
請求項9に係る発明方法の構成は、前記請求項6ないし請求項8の発明方法の構成要件に加えて、(図3参照)前記圧力水の送給管路に介挿される電磁弁を予め、「空気を作動流体とするパイロット弁で構成しておき、
噴水ノズル(1)の圧力水送給管路中に介挿接続された水流制御パイロット弁(15)を、該水流制御パイロット弁にパイロット管路で接続された電磁作動空気制御弁(16)によって制御することを特徴とする。
【0021】
以上に説明した請求項9の発明方法によると、「水に浸され易い噴水流制御弁」に電気配線をする必要が無く、従って漏電トラブルの虞れが無いので、施工の工期が短く、設備費用も低減される。
同様の理由により、設備の作動信頼性が高い。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明装置によれば、「投光器の発光色調の制御回路と、投光方向を制御する回路と、噴水用圧力水の制御回路と、風向風速検出回路と、演奏回路と」を制御するファウンティン ジュエリー総合制御回路を具備しているので、テーマミュージックに調和させて
水の踊りと、ジュエリーと、照明とを変化させて芸術的効果を奏することができる。
【0023】
請求項2の発明装置によると、LEDを光源としているので色彩制御が容易であり、かつ発光効率が良い。その上、複数条の光束を投射するので噴水が立体的に照明され、水の踊りやジュエリーの発生を、周囲の観衆全部に対して明瞭に感知させることができる。
特に、風のために水のジュエリーが流されてその位置が偏っても、投光器が追随して正確な照明をすることができる。
【0024】
請求項3の発明装置を請求項2の発明装置に併用すると、投光器を機械的に傾動させることなく、LEDの点滅を電気的に制御して投射方向を任意に、かつ極めて迅速に変化せしめることができる。
【0025】
請求項4の発明装置によると、比較的大容量の水流制御弁を、遠隔的に空気パイロット管路を介して操作することができる。このため、水に浸され易い水流制御弁に電気配線をする必要が無く、工期が短縮されて設備工事費用が嵩まない上に、漏電の虞れが無くて安全である。
【0026】
請求項5の発明装置によると、テーマミュージックに合わせて水を踊らせながら、その要所、要所でジュエリーを咲かせて演出効果を発揮させることができる。
単に水のジュエリーを発生させるだけでなく、音楽に合わせた水の踊りの中で、所望の箇所に、所望のタイミングで水のジュエリーを発生させることの実用的価値は多大である。
【0027】
請求項6の発明方法によると、噴水設備の噴水流の踊りと、水のジュエリーと
、噴水照明とを調和させて合理的に制御することができ、芸術性に富んだ演出をすることができ、
しかも、風に流される噴水流を追って連続的に照明しながら、風に流された水のジュエリーに照準して瞬時的に有効な照明をすることができる。
【0028】
請求項7の発明方法によると、噴水流量の制御手段を区分して、瞬時的な断続制御を必要とする「水のジュエリーを発生させるための流量制御」は弁手段で行ない、
長期間の連続制御を必要とする「水を踊らせるための流量制御」を可変水ポンプで行なうことにより、合理的に、信頼性の高い水流制御を行なうことができる。
すなわち、水のジュエリーを発生させるには、水流をデジタル的に断続制御しなければない。一方、水を踊らせるには、水流をアナログ的に長時間に亙って増減制御しなければならない。
本請求項7の発明方法は、上記の特性に着目して、デジタル的な断続制御を電磁弁でおこなわせる一方、アナログ的な増減制御を可変水ポンプで行なうものである。
【0029】
請求項8の発明方法によると、投光器を機械的に駆動して動かすことなく、LED発光体を電気的に点滅制御して投射方向を変化させることができる。
機械的作動をしないので慣性に因る作動遅れが無く、風による水のジュエリーの流れに対して迅速に追従することができる上に、装置の機械的作動部分に異物が噛み込まれて作動を妨げられたりする虞れが無く、定期的な点検清掃などのメンティナンス工数が少なくて済む。
【0030】
請求項9の発明方法によると、「水に浸され易い噴水流制御弁」に電気配線をする必要が無く、従って漏電トラブルの虞れが無いので、施工の工期が短く、設備費用も低減される。
同様の理由により、設備の作動信頼性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1は本発明に係る水のジュエリー制御装置の1実施形態を模式的に描いた制御系統図である。
可変水ポンプ2の吐出管路に、多数の噴水ノズル1A,1B…1Eが並列に接続連通されていて、それぞれの噴水ノズルに直列に個別制御機構Inが設けられている。
本図1では、噴水ノズル1Aに設けられている個別制御機構Inについて詳細な構成を図示した。その他の噴水ノズル1B,1C…1Eにも、同様な詳細構造の個別制御機構Inが設けられている。
【0032】
噴水ノズル1Aの圧力水送給管路pに電磁弁11が介挿接続されていて、この電磁弁11を開閉制御する電磁弁制御回路12が設けられている。
前記噴水ノズル1Aの傍らに2個のLED投光器7(本図1において1個のみ図示す、図2を参照して後に詳述)が設けられている。
このLED投光器7に、電磁駆動エレメントmを介して投光方向制御回路10が接続されるとともに、
該噴水ノズル1Aに発光色調制御回路8が接続されている。
当該噴水設備付近にスピーカー3が設けられ、演奏回路4が接続されている。
【0033】
前記可変水ポンプ2に基本流量制御回路5が接続されていて、吐出水流をアナログ的に増減調節するようになっている(水流変化パターンの1例を仮想線で付記してある)。
符号9を付して示したのは、当該噴水設備の付近に設けられた風向風速検出回路である(従来例では一般に風速計が設けられていた。しかし、本発明においては単に風速だけでは足りず、風向の検出も重要である)。
【0034】
符号17を付して示したのは、本発明に特有の、本発明を特徴づけるファウンティン ジュエリー総合制御回路である。
このファウンティン ジュエリー総合制御回路は、前記演奏回路4と連携して作動し、音楽の進行状態を認識する機能を有している。
前記風向風速検出回路9の出力信号は、このファウンティン ジュエリー総合制御回路17に入力される。
このファウンティン ジュエリー総合制御回路は、予めプログラムを与えられているが、時々刻々に変化する情報として入力されるのは、音楽の進行状態と風向風速とである。
【0035】
前記ファウンティン ジュエリー総合制御回路17の制御作動の主たるものは
イ.長期的な「噴水の踊り」およびこれに伴う「照明の色調・明暗」制御と、
ロ.要所,要所で「水のジュエリー発生」およびこれに伴う「照明の色調・点滅」制御と、
ハ.風で流された水流および水のジュエリーに追随する「照明の照射方向制御」とである。
以下に、それぞれの制御の実施形態を順次に説明する。
【0036】
イ.長期的な「噴水の踊り」およびこれに伴う「照明の色調・明暗」制御について、
ファウンティン ジュエリー総合制御回路17は、演奏回路4からの信号により音楽の進行状態を認識し、
これに合わせて基本流量制御回路5を制御し、可変水ポンプ2の吐出水量を、付記した水流変化パターンのように変化させる(水圧変化もこのパターンと同様である)。
このようにしてファウンティン ジュエリー総合制御回路17は、後に詳述する水のジュエリーとは独立に、噴水流量(水圧)を制御して水を踊らせるとともに、
音楽、および噴水高さに応じて発光色調制御回路8を作動させて、LED投光器7の発光色調および明暗変化を制御する。
【0037】
ロ.要所,要所の「水のジュエリー開花」およびこれに伴う「照明の色調・点滅」制御について、
ファウンティン ジュエリー総合制御回路17は前述のようにして音楽の進行状態を認識し、予め与えられたプログラムに従って電磁弁制御回路12を制御し、電磁弁11を開閉作動させて噴水流を断続させる。矢印dのように噴き上げられた後続の水流は、落下しつつある水塊(図4で述べた符号F)と衝突して水のジュエリー6を咲かせる。
LED投光器7は矢印eのように該水のジュエリー6を照明する(その色調もプログラムに従って適正に変化せしめられる)。
【0038】
ハ.風で流された水流および水のジュエリーに追随する「照明の照射方向制御」について、
当該噴水設備付近でやや強い風が吹くと、上昇水流(矢印d)および水のジュエリー6が風下方向に偏る。
これとともに、ファウンティン ジュエリー総合制御回路17は風向風速検出回路9から風向風速情報を入力される。
該ファウンティン ジュエリー総合制御回路は、予め与えられた計算式によって「水流および水のジュエリー6の偏り量」を算出し、これに対応させて投光方向制御回路10を作動させ、LED投光器7の照射方向を制御して、上昇水流および/または水のジュエリーに追随させて、これに向けて照明光を投射させる。。
規定風速を越えて、噴水が観衆に降りかかる虞れを生じたとき、噴水を停止させるのは従来例におけると同様である。
噴水を停止させなくても良い程度の風速では、「上昇水流や水のジュエリーの偏り量」と風速との関係は(実用上の必要範囲内において)簡単であるから、前記の計算式は難しいものではない。本実施形態においては、実験的に得られた値を記憶させるだけで十分な効果を奏した。
【0039】
図2(A)は、本発明に係るLED投光器、および、その制御機構の詳細を示した系統図である。
1個の噴水ノズル1に対して複数個(本例では2個)のLED投光器7A,7Bが設置されている。このようにして、1方向だけでなく複数方向から立体的に照射すると、噴水の周りにいる総べての観衆にとって好適な照明が為され、噴水が立体的に浮き上がって見える。
それぞれのLED投光器7A,7Bは、電磁駆動エレメントmを介して投光方向制御回路10により照射方向を制御されるとともに、発光色調制御回路8を介して色調・点滅を制御される。
【0040】
前掲の図2(A)に示した実施形態では、かなりの重量(質量)を有するLED投光器を機械的に動かさねばならないので大きい駆動力を必要とし、敏速な方向調節がやや困難である。
可動部分の重量を軽減させた改良例を図2(B)に示す。
この例では、2個の傾動ミラー13を設けて、矢印f,hの光束をそれぞれ矢印g,iのように反射させて噴水や水のジュエリーを照明する。図示を省略したが、それぞれの傾動ミラー13には電磁駆動エレメント(図2(A)における符号m)が設けられていて、投光方向制御回路10によって駆動制御される。
公知の技術に係るハーフミラー(図示省略)を利用すると、単一のLED投光器によって複数条の照明光束を得ることができ、LED投光器の設置個数を削減して立体的な照明をすることができる。
【0041】
図2(C)は、更に敏速な方向制御を可能にした改良例の模式図である。
符号14を付して示したのは広角LED投射器であって、多数のLED発光体の出射方向を放射状に配列して、立体角φの拡散光束が投射されるようになっている。
これら多数のLED発光体の中で、所望の方向に出射するLED発光体を選択的に発光させることによって投射方向を調節することができる。
本例によると、機械的に傾動することなく、電気的に制御されるので、きわめて鋭敏に照射方向を制御することができる。
【0042】
図3は、噴水ノズル1の噴射水量を断続的に制御する手段(図1における電磁弁11)
の詳細を示した系統図である。
噴水ノズル1の圧力水送給管路pの途中に、水流制御パイロット弁15が介挿接続されている。
上記水流制御パイロット弁15のパイロット管路16aと高圧空気源との間に電磁作動空気制御弁16が設けられている。
このように構成すると、水流制御弁に電気配線を施さなくても良いので、設備工事が容易である。該水流制御弁は水に浸され易い部材であるから、電気配線に十分の配慮を必要とする。従って、水流制御弁に電気配線を要しないことの実用的効果は多大である。
水流制御パイロット弁だけに着目すると公知の部材であるが、先に述べたファウンティン ジュエリー総合制御回路17により、音楽や風に応じて制御される電磁作動空気制御弁16によって水流制御パイロット弁15を自動的に操作するところに、この実施形態(図3)の特許性が有る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るファウンティン ジュエリー制御装置の1実施形態を示す系統図
【図2】本発明のファウンティン ジュエリー制御装置におけるLED投光器の照射方向制御機構の改良例の3例を示す模式図
【図3】本発明のファウンティン ジュエリー制御装置における噴射水流量制御機構の改良例を示す系統図
【図4】従来例の説明図
【符号の説明】
【0044】
1,1A,1B〜1E…噴水ノズル
2…可変水ポンプ
3…スピーカー
4…演奏回路
5…基本流量制御回路
6…水のジュエリー
7,7A,7B…LED投光器
8…発光色調制御回路
9…風向風速検出回路
10…投光方向制御回路
11…電磁弁
12…電磁弁制御回路
13…傾動ミラー
14…広角LED投射器
15…水流制御パイロット弁
16…電磁作動空気制御弁
16a…電磁作動空気圧制御弁
17…ファウンティン ジュエリー総合制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴水ノズルと、該噴水ノズルに圧力水を送給する水ポンプと、圧力水送給管路に介挿接続された弁手段と、前記噴水ノズルから噴射された水を照明する投光器とを備えて成る水のジュエリー装置において、
該投光器の投光方向を制御する投光方向制御回路(10)と、
前記投光器の発光色調を制御する発光色調制御回路(8)と、
前記圧力水送給管路に介挿接続された電磁弁(11)及び電磁弁制御回路(12)と、
当該水のジュエリー装置の設置箇所付近の風向風速を検出する風向風速検出回路(9)と、
当該水のジュエリー装置の設置箇所付近に向けたスピーカー(3)に対して音楽出力を送る演奏回路(4)とを具備しており、
かつ、前記風向風速検出回路(9)の出力信号を入力されるとともに、前記演奏回路(4)と連携して、「投光方向制御回路(10)、発光色調制御回路(8)、電磁弁制御回路(12)、及び基本流量制御回路(5)」を総合的に制御するファウンティン ジュエリー総合制御回路(17)が設けられていることを特徴とする、ウォータージュエリーを総合的に作るためのファウンティン ジュエリー装置。
【請求項2】
前記の投光器がLEDを光源とし、その投光方向を変化せしめ得る構造であって、複数条の光束を投射し得るように構成されており、
かつ、前記のファウンティン ジュエリー総合制御回路(17)が、風向風速検出回路(9)の検出データに基づいて、投光器を「噴水ノズルから噴射された水流が風に流されて偏る方向」に向けるように、前記投光方向制御回路(10)を制御する機能を有していることを特徴とする、請求項1に記載したウォータージュエリーを総合的に作るためのファウンティン ジュエリー装置。
【請求項3】
前記のLEDを光源とする投光器が、放射状に配列された多数のLED発光体を有していて、拡散光束を投射する構造であり、
かつ前記の投光方向制御回路(10)は、多数のLED発光体の内で所望の方向に出射するものを選択的に発光させることによって投光方向を変化せしめ得る構造であることを特徴とする、請求項2に記載したウォータージュエリーを総合的に作るためのファウンティン ジュエリー装置。
【請求項4】
前記圧力水送給管路に介挿接続された電磁弁は、空気を作動流体とするパイロット弁であって、
噴水ノズル(1)の圧力水送給管路中に介挿接続された水流制御パイロット弁(15)と、該水流制御パイロット弁にパイロット管路で接続された電磁作動空気制御弁(16)とから成るものであることを特徴とする、請求項1ないし請求項3に記載したウォータージュエリーを総合的に作るためのファウンティン ジュエリー装置。
【請求項5】
前記噴水ノズルに圧力水を送給する水ポンプが可変水ポンプ(2)でって、基本流量制御回路(5)をそなえており、
前記ファウンティン ジュエリー総合制御回路17は、演奏回路(4)にタイミングを合わせて基本流量制御回路(5)を制御し、瞬間的に作動する水のジュエリーだけでなく、噴水の水量を長時間に亙って環境音楽に調和させて変化せしめる機能を有していることを特徴とする、請求項1ないし請求項4の何れかに記載したウォータージュエリーを総合的に作るためのファウンティン ジュエリー装置。
【請求項6】
噴水ノズルと、該噴水ノズルに圧力水を送給する水ポンプと、圧力水送給管路に介挿接続された弁手段と、前記噴水ノズルから噴射された水を照明する投光器とを備えて成る水のジュエリー装置において、
ファウンティン ジュエリー総合制御回路(17)を設け、この総合制御回路に「当該水のジュエリー装置の設置箇所付近の風向風速を検出する風向風速検出回路(9)の出力信号」を入力せしめて、
イ.該投光器の投光方向を制御する投光方向制御回路(10)と、
ロ.前記投光器の発光色調を制御する発光色調制御回路(8)と、
ハ.前記圧力水の送給管路に介挿された電磁弁(11)及び電磁弁制御回路(12)と、
ニ.水のジュエリー装置付近に向けたスピーカー(3)に対し音楽出力を送る演奏回路(4)と、
を総合的に制御して、
音楽演奏に調和させて水のジュエリーを発生させ、かつ、風で流される水のジュエリーを追って投光器で照明することを特徴とする、ウォータージュエリーを総合的に作るためのファウンティンジュエリー装置の制御方法。
【請求項7】
前記の水ポンプを、予め可変水ポンプ(2)で構成するとともに、該可変水ポンプの吐出水量を制御する基本流量制御回路(5)を設けておき、
前記ファウンティン ジュエリー総合制御回路(17)によって、瞬間的な水のジュエリーだけでなく、噴水の流量を長期的に音楽演奏に調和させることを特徴とする、請求項6に記載したウォータージュエリーを総合的に作るためのファウンティン ジュエリー装置の制御方法。
【請求項8】
前記の投光器を、予め「放射状に配列された多数のLED発光体を光源とする機器」で構成しておき、
投光方向制御回路(10)により「多数のLED発光体の内で、所望の方向に出射するLED発光体」を選択的に発光させることによって投光器の照射方向を制御することを特徴とする、請求項6に記載したウォータージュエリーを総合的に作るためのファウンティン ジュエリー装置の制御方法。
【請求項9】
前記圧力水の送給管路に介挿された電磁弁(11)を予め、「空気を作動流体とするパイロット弁で構成しておき、
噴水ノズル(1)の圧力水送給管路中に介挿接続された水流制御パイロット弁(15)を、該水流制御パイロット弁にパイロット管路で接続された電磁作動空気制御弁(16)によって制御することを特徴とする、請求項6ないし請求項8に記載したウォータージュエリーを総合的に作るためのファウンティン ジュエリー装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−116464(P2006−116464A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308312(P2004−308312)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(504359949)パラダイスリゾート株式会社 (1)
【Fターム(参考)】