説明

ウシの乳房炎抵抗性の遺伝子診断法

【課題】 ウシの乳房炎抵抗性を簡便に、確実かつ迅速に検出し、診断するための手段を提供すること。
【解決手段】 ウシの乳房炎抵抗性遺伝子の変異部位を含むDNA;ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域を遺伝子増幅反応により増幅するための10個以上のヌクレオチドからなることを特徴とするオリゴヌクレオチドプライマー;工程(a):診断対象であるウシの核酸試料を得る工程、工程(b):工程(a)にて得られた核酸試料を遺伝子増幅反応に付して、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域が増幅された核酸断片を得る工程、及び工程(c):工程(b)で得られる核酸断片について変異の存在を調べる工程を含むことを特徴とするウシの乳房炎抵抗性の遺伝子診断法;該診断法に用いられるキット;乳房炎抵抗性診断用遺伝子診断試薬;乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異の存在を調べるためのプローブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウシの乳房炎抵抗性の遺伝子診断法に関し、詳しくは、ウシの乳房炎抵抗性の遺伝子を診断する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳房炎は、ホルスタイン種等の搾乳牛に見られる感染症で、Streptococcus aureusなどの常在細菌がウシ乳頭より侵入して乳腺組織に炎症をもたらすものである。一般に、感染症に対する感受性・抵抗性は遺伝的な側面が少なくないが、乳房炎に関するDNA情報は明らかになっていないため、専ら飼養管理面から対策がとられている。
【0003】
乳房炎に罹患したウシのミルクは、多数の細菌を含むため、商品とならず廃棄される。更に、いったん乳房炎に罹患した搾乳牛は、繰り返し乳房炎を発症することから、経済的な損失は大きい。我が国では、乳房炎による損害は年間600億円と算定されている。
乳房炎の診断については、非特許文献1に記載された診断法によって行われているが、抵抗性を診断する手段は知られていない。
そこで、今後の乳房炎の発生を減らすべく、乳房炎抵抗性のあるウシを簡便に、確実かつ迅速に検出(スクリーニング)し、診断するための手段の開発が望まれていた。
【0004】
【非特許文献1】「牛の乳房炎:臨床と効果的な治療」有田 忠義著(チクサン出版社)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、ウシの乳房炎抵抗性を簡便に、確実かつ迅速に検出し、診断するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するためには、ウシの乳房炎を遺伝子工学的に診断する手法(検出方法)の確立が必要であると考えた。
そこで、研究を重ねた結果、ウシの乳房炎と密接に関連する遺伝子である乳房炎抵抗性遺伝子(FEZL遺伝子)を同定することに成功した。乳房炎抵抗性は複数の遺伝子が関わっている量的形質であり、このFEZL遺伝子はそのうちの一つである。
このFEZL遺伝子について解析を進めた結果、zinc fingerドメインを含む転写因子をコードしていることが明らかとなった。また、FEZL遺伝子の翻訳領域への3bpの挿入という変異により、該遺伝子が転写され翻訳されて精製したタンパク質FEZLの107番目にアミノ酸残基のグリシンの挿入が生じ、その結果、FEZLの転写活性が低下することから、このアミノ酸挿入変異が乳房炎抵抗性低下の原因であることを見出した。
そして、これらの知見から、FEZL遺伝子上に設定した特定のオリゴヌクレオチドプライマーを含むオリゴヌクレオチドプライマーを用いるPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法により、FEZL遺伝子における3bp挿入変異の有無を検出すれば、乳房炎抵抗性を、簡便に、確実かつ迅速に診断することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明並びにその態様を以下に示す。
(1)配列表の配列番号1に示される塩基配列からなるDNA。
(2)DNAが、ゲノミックDNA配列、及びcDNA配列のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のDNA。
(3)DNAが、合成配列、及び半合成配列のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2記載のDNA。
【0008】
(4)以下の(a)、(b)又は(c)で表され、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域を遺伝子増幅反応により増幅するための10個以上のヌクレオチドからなることを特徴とするオリゴヌクレオチドプライマー。
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列又はその相補鎖の全体又はその一部からなるオリゴヌクレオチドプライマー。
(b)配列表の配列番号1に示される塩基配列又はその相補鎖と50〜60℃でハイブリッド形成し、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域を遺伝子増幅反応により増幅するのに利用できる一切の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー。
(c)遺伝子コードの縮退のために前記配列(a)及び(b)から派生した塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー。
(5)(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列のうちの任意の領域に相当する塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、及び
(b)配列表の配列番号1に示された塩基配列のうちの任意の領域に対する相補塩基配列を有するオリゴヌクレオチド
からなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項4記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
(6)(a)配列表の配列番号1に示された塩基配列のうちの5’端側の領域に相当する塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、及び
(b)配列表の配列番号1に示された塩基配列のうちの3’端側の領域に対する相補塩基配列を有するオリゴヌクレオチド
からなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項4又は5記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
(7)10〜50個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドからなるものであることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
(8)15〜35個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドからなるものであることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
(9)配列表の配列番号2に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド及び配列表の配列番号3に示された塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなる群から選ばれたものである請求項4〜8のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
【0009】
(10)工程(a):診断対象であるウシの核酸試料を得る工程、
工程(b):工程(a)にて得られた核酸試料を遺伝子増幅反応に付して、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域が増幅された核酸断片を得る工程、及び
工程(c):工程(b)で得られる核酸断片について変異の存在を調べる工程
を含むことを特徴とするウシの乳房炎抵抗性の遺伝子診断法。
(11)ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域が、配列表の配列番号1に示される塩基配列を含む領域である請求項10記載の遺伝子診断法。
(12)遺伝子増幅反応が、ポリメラーゼ連鎖反応法によって行われる請求項10又は11記載の遺伝子診断法。
(13)変異の存在を、遺伝子連鎖反応により増幅される核酸断片長型を検出して調べることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の遺伝子診断法。
(14)核酸試料が、ゲノミックDNA、cDNA、又はmRNAを含む試料である請求項10〜13のいずれか1つに記載の遺伝子診断法。
(15)請求項4〜9のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて遺伝子増幅反応を行う請求項10〜14のいずれかに記載の遺伝子診断法。
【0010】
(16)請求項4〜9のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプライマーを含有することを特徴とするウシの乳房炎抵抗性を診断するためのキット。
(17)請求項4〜9のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプライマーを含有することを特徴とするウシの乳房炎抵抗性診断用遺伝子診断試薬。
【0011】
(18)ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域を含み、56〜79個のヌクレオチドからなり、末端が標識されてなるウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異の存在を調べるためのプローブ。
(19)請求項18記載のプローブを使用して、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域の塩基配列の解明、及び/又は、該領域の単離を行う方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、乳房炎抵抗性低下に関係する変異部位を有する乳房炎抵抗性遺伝子が提供されると共に、該遺伝子を利用して乳房炎抵抗性を簡便に、確実かつ迅速に遺伝子的に診断し検出するためのオリゴヌクレオチド、遺伝子診断法、及びプローブが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
〔1〕ウシの乳房炎抵抗性遺伝子(FEZL遺伝子)
本発明者らは、ウシの乳房炎抵抗性に関連する遺伝子を調べるために、乳房炎抵抗性ウシと感受性ウシとを含む家系のゲノム連鎖解析を行い、ポジショナルクローニング法と云われる手法を用いてウシの乳房炎抵抗性遺伝子(FEZL遺伝子)を単離した。ここでポジショナルクローニング法とは、連鎖地図上に原因遺伝子座のマッピングを行った後、その染色体領域より原因遺伝子を単離する方法であり、その詳細は動物遺伝育種学事典(社団法人 畜産技術協会発行)に記載されている。
【0015】
ウシFEZL遺伝子をコードするcDNAの全塩基配列は、配列表の配列番号1に示す通りである。この塩基配列の決定(シークエンシング)は、化学分解法(Maxam & Gilbert法)、チェーンターミネーター法(Sangerジデオキシ法)などにより行うことができる。
この配列表の配列番号1に示される塩基配列からなるDNAは、ウシFEZL遺伝子のうち、翻訳領域、ウシのタンパク質FEZLをコードする領域である。乳房炎感受性ウシの場合、配列表の配列番号1に示される塩基配列のうち319位に3bp部分が挿入される変異が見出された(図1)。
【0016】
配列表の配列番号1に示される塩基配列からなるDNAは、乳房炎抵抗性低下の原因となる遺伝子上のゲノミックDNAの一部であることから、該DNA上の変異を利用して、ウシの組織からFEZL遺伝子の塩基配列を比較することによって乳房炎抵抗性か感受性かを明らかにすることができる。
また、下記〔2〕で説明するように、配列表の配列番号1に示される塩基配列からなるDNAは、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域を遺伝子増幅反応により増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーとして利用することができる。
更に、下記〔3〕で説明するように、配列表の配列番号1に示される塩基配列からなるDNA上の変異に基く乳房炎抵抗性の遺伝子診断法(検出方法)に利用することもできる。
この場合、DNAは、ゲノミックDNA配列、及びcDNA配列のいずれであっても良いし、合成配列、及び半合成配列のいずれであっても良い。
【0017】
〔2〕オリゴヌクレオチドプライマー
本発明においては、上記配列表の配列番号1に示される塩基配列からなるDNAは、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域を遺伝子増幅反応により増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーの設計に利用することができる。
このようなオリゴヌクレオチドプライマーとして、以下の(a)、(b)又は(c)で表され、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域を遺伝子増幅反応により増幅するための10個以上のヌクレオチドからなることを特徴とするオリゴヌクレオチドプライマーを挙げることができる。
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列又はその相補鎖の全体又はその一部からなるオリゴヌクレオチドプライマー。
(b)配列表の配列番号1に示される塩基配列又はその相補鎖と50〜60℃でハイブリッド形成し、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域を遺伝子増幅反応により増幅するのに利用できる一切の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー。
(c)遺伝子コードの縮退のために前記配列(a)及び(b)から派生した塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー。
【0018】
このようなオリゴヌクレオチドプライマーとして、より好ましくは、(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列のうちの任意の領域、望ましくは5’端側の領域に相当する塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、及び(b)配列表の配列番号1に示された塩基配列のうちの任意の領域、望ましくは3’端側の領域に対する相補塩基配列を有するオリゴヌクレオチドからなる群から選ばれたもの、特に上記(a)及び(b)のそれぞれから少なくとも1種類ずつ用いることができる。
【0019】
ここで、本明細書中、「オリゴヌクレオチド」とは、比較的短い一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチド、好ましくはポリデオキシヌクレオチドを意味し、既知の方法、例えば、トリエステル法、ホスファイト法、ホスホアミダイト法、ホスホネート法などの方法により化学合成されることができる。合成は、通常、修飾された固体支持体上で便利に行うことができることが知られており、例えば、市販されている自動化された合成装置を用いて行うことができる。また、該オリゴヌクレオチドの合成は、他者に外注して行わせることもできる。該オリゴヌクレオチドは、1つ、又はそれ以上の修飾された塩基を含有していてよく、例えば、イノシンなどの天然においては普通でない塩基、あるいはトリチル化された塩基などを含有していてよい。
【0020】
本発明において、オリゴヌクレオチドプライマーのヌクレオチド数は、10個以上、好ましくは15個以上とすることができる。ヌクレオチド数の上限については、長いほど特異性が高まるため望ましいが、合成コスト等の点を考慮すると50個以下、より好ましくは35個以下とすることができる。
このようなオリゴヌクレオチドプライマーとしては、具体的には例えば、配列表の配列番号2に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド及び配列表の配列番号3に示された塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなる群から選ばれたもの、より具体的には、配列表の配列番号2に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(FEZL−F)及び配列表の配列番号3に示された塩基配列からなるオリゴヌクレオチド(FEZL−R)の両者の組み合わせを挙げることができる。FEZL−Fは配列表の配列番号1に示される塩基配列の5’端側の領域(図1の上段の四角で囲った部分)からなる塩基配列に相当するオリゴヌクレオチドであり、FEZL−Rは、配列表の配列番号1に示された塩基配列のうちの3’端側の領域(図1の下段の四角で囲った部分)に対する相補塩基配列からなる塩基配列に相当するオリゴヌクレオチドである。
【0021】
〔3〕ウシの乳房炎抵抗性の遺伝子診断法(検出方法)
配列表の配列番号1に示される塩基配列からなるDNA上の変異を利用して、ウシの乳房炎抵抗性を遺伝子的に診断及び検出に利用することができる。
このようなウシの乳房炎抵抗性の遺伝子診断法(検出方法)としては、
工程(a):診断対象であるウシの核酸試料を得る工程、
工程(b):工程(a)にて得られた核酸試料を遺伝子増幅反応に付して、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域が増幅された核酸断片を得る工程、及び
工程(c):工程(b)で得られる核酸断片について変異の存在を調べる工程
を含む様体が例示される。
【0022】
第1に、工程(a)について述べる。工程(a)においては、診断対象であるウシの核酸試料を得る。
本発明に用いられるウシの核酸試料としては、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子(FEZL遺伝子)が転写され翻訳されて精製したタンパク質FEZLをコードする塩基配列を有するものであれば、特に限定されるものではなく、適当な細胞、又は組織由来の核酸(全ゲノミックDNA、及び細胞の全RNAから転写されたcDNAを包含する)、例えば、ゲノミックDNA、cDNA(細胞の全RNAから転写されたDNA)、mRNAなどが挙げられる。ウシの核酸試料の調製は、公知の方法、例えば、Molecular cloning,a laboratory manual(3rd edition),J.Sambrook & D.W.Russell(Ed.),Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,New York(2001)に記載の方法に従って行うことができる。
【0023】
第2に、工程(b)について述べる。工程(b)においては、工程(a)にて得られた核酸試料を遺伝子増幅反応に付して、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域が増幅された核酸断片を得る。
本工程(b)において用いられる遺伝子増幅反応としては、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域を増幅することができる方法であれば特に限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)、RNAポリメラーゼを利用した核酸増幅法や鎖置換増幅法のような核酸増幅法を利用することができ、中でもPCR法が好ましく用いられる。
増幅の対象となるウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域としては、ウシFEZL遺伝子の塩基配列のうち、ウシの乳房炎抵抗性低下の原因となる変異を含む領域、具体的には、配列表の配列番号1に示される塩基配列からなるDNAを含む領域であれば、タンパク質FEZLコードしている翻訳領域のエクソン部分、隣接している非翻訳領域のエクソン部分、それらのイントロン部分、該遺伝子の発現の制御に関わる領域を含んでいても良い。
【0024】
本明細書中、「ポリメラーゼ連鎖反応」又は「PCR法」とは、一般的に、米国特許第4683195号明細書に記載されたような方法を指し、例えば、所望の塩基配列をインビトロで酵素的に増幅するための方法を指す。一般に、PCR法は、鋳型核酸と優先的にハイブリダイズすることのできる2個のプライマーを使用して、プライマー伸長合成を行うところのサイクルを繰り返し行うことを含む。典型的には、PCR法では、鋳型内部の増殖されるべき領域の塩基配列に対して相補的なプライマーを利用することができ、例えば、該増幅されるべきヌクレオチド配列とその両端において相補的であるか、あるいは該増幅されるべきヌクレオチド配列に隣接しているものが好ましく使用され得る。
【0025】
PCR法は、R.K.Saiki et al.,Science,239,487-491(1988);M.A.Frohman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85,8998-9002(1988)などに記載の方法、あるいはその修飾又は改変法により行うことができる。また、PCR法は、それに適した市販のキットを用いて行うことができ、その場合、キット製造業者あるいはキット販売業者により明らかにされているプロトコールに従って実施することもできる。
【0026】
PCR法等の遺伝子増幅反応において、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域を遺伝子増幅反応により増幅するために用いるプライマーとしては、上記〔2〕において説明したオリゴヌクレオチドプライマーを利用することが好ましい。
また、PCR法等の遺伝子増幅反応の条件としては、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域を増幅できる条件であれば特に限定されず、通常行われる公知の条件で良く、例えば上記した文献の記載を参考に選択することができる。例えば、PCR法においては、DNA鎖の熱変性、プライマーのアニーリング、及びポリメラーゼによる相補鎖の合成からなる1つのサイクルを複数回、通常は10〜80回、好ましくは20〜35回繰り返して行う。
【0027】
第3に、工程(c)について述べる。工程(c)においては、工程(b)で得られる核酸断片について変異の存在を調べる。
変異の存在の検出方法は、特に限定されないが、前述の工程(b)での遺伝子増幅反応により増幅される核酸断片そのものを鋳型としてその塩基配列を決定する方法や、あるいは増幅された核酸を適当なベクターにクローニングして塩基配列を決定する方法、核酸断片長型を調べる検出法が使用でき、特に、核酸断片長型を検出して調べる検出法が好ましい。
核酸断片長を調べる方法としては、ポリアクリルアミドゲル、又はアガロースゲル上の電気泳動により核酸断片を分離し、例えば既知分子量のマーカーDNAフラグメントの移動度に対してのそれの移動度に基づいて、目的のDNA断片を同定する方法が好まれる。さらに、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域を含む、または該領域に対応するmRNAと、好ましくは50〜60℃の条件でハイブリッド形成できる適当なDNA断片をプローブに用いるハイブリダイゼーション法のような公知の変異検出方法を使用することもできる。
【0028】
オリゴヌクレオチドプライマーやプローブなどは、検出を容易にするためのラベル成分により標識されていることができる。該ラベル成分は、分光学的手段、光学的手段、生化学的手段、免疫学的手段、酵素化学的手段、放射化学的手段などにより検出できるものであることができる。ラベル成分の例としては、ペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼなどの酵素、32Pなどのアイソトープ、ビオチン、蛍光色素、発光物質、発色物質などが挙げられる。
このようなプローブとしては、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域を含み、56〜79個のヌクレオチドからなり、末端(両端または片方の末端)が上記のラベル成分により標識されてなるものを用いることができる。
尚、このようなプローブは、本発明の遺伝子診断法とは別に、FEZL遺伝子に存在し得る変異を含む配列を明らかにしたり、また該変異を含む領域を単離するためにも利用することが可能である。
【0029】
本発明のウシの乳房炎抵抗性の遺伝子診断法(検出方法)により、乳房炎抵抗性や感受性の程度を迅速かつ正確に診断することができる。
また,上記〔2〕で説明したオリゴヌクレオチドプライマーは、上記工程(c)において例示したプローブなどと併せてウシの乳房炎抵抗性を診断するためのキットや、ウシの乳房炎抵抗性診断用遺伝子診断試薬として実用化することができる。
尚、本発明で云うウシの乳房炎抵抗性とは、遺伝子的に乳房炎に抵抗性であることを意味し、症状の有無を問わず、キャリアも含める意味で広義に解釈するものとする。
【0030】
以下、本発明を実施例、実験例をもってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
尚、実施例において、特に説明がない場合には、J.Sambrook & D.W.Russell(Ed.),Molecular cloning,a laboratory manual(3rd edition),Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,New York(2001)に記載の方法、あるいはそれを修飾及び/又は改変した方法により行われたものとする。また、市販の試薬キットや測定装置を用いている場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコールの指示に従って行われたものとする。
【0031】
実施例1
本実施例1では、ウシFEZL遺伝子の塩基配列を決定すると共に、該遺伝子を発現させて疾病との関係を考察した。
(1)乳房炎抵抗性ウシと感受性ウシのFEZL遺伝子の塩基配列の決定
まず、ホルスタイン種の特定種雄牛の孫娘に当たる搾乳牛の集団から乳房炎抵抗性ウシ(297頭)及び感受性ウシ(181頭)からなる家系について、ポジショナルクローニング法に基き多型性DNAマーカーを用いて乳房炎抵抗性と連鎖するウシ染色体の領域(乳房炎抵抗領域)を調べた。
すなわち、まず、連鎖地図上にあるDNAマーカーのうち乳房炎抵抗性と最も強く連鎖するマーカーを分離した結果、乳房炎抵抗性領域は第22番染色体であると決定された。
別に調製したウシの人工細菌染色体(BAC)ライブラリーから、上記乳房炎抵抗性領域に存在するBACクローンを35個分離した。Genome Analysis:Genetic and Physical Mapping" Kay E.Davis & Shirley M.Tilghman editors(Cold Spring Harbor Laboratory Press)によりDNAマーカーを多数開発し、Terwilliger,J.D.(1995).A powerful likelihood method for the analysis of linkage disequilibrium between trait loci and one or more polymorphic marker loci.Am.J.Hum.Genet.56,777-787の方法により、乳房炎抵抗性に最も強く連鎖するDNAマーカーを探索した。これにより、乳房炎抵抗性領域を狭めることができ、候補遺伝子を5種まで絞ることができた。
【0032】
これらの候補遺伝子のタンパク質をコードする領域の塩基配列を解読するため、当該領域を含むBACクローンの配列を読むことにより全塩基配列を決定した。これを乳房炎抵抗性ウシと感受性ウシの間で比較したところ、候補遺伝子のうちFEZL遺伝子のcDNAの一部(配列表の配列番号1に記載される塩基配列中319位)に、感受性ウシに特異的なアミノ酸をコードする3bpが挿入される変異が見出された。以下、アミノ酸挿入変異を有する遺伝子を感受性遺伝子型、変異を有しない遺伝子を抵抗性遺伝子型と呼ぶことがある。
【0033】
(2)FEZL遺伝子の発現
FEZL遺伝子がどの組織で発現しているか、乳房炎抵抗性ウシのホモ個体(感受性遺伝子型ホモ個体)と乳房炎感受性・抵抗性ウシのヘテロ個体(感受性・抵抗性遺伝子型ヘテロ個体)との間で遺伝子の発現量に差があるかについて、調べた。
ウシ(感受性遺伝子型ホモ個体1頭)より採取した新鮮な脳、腎臓、肺及び乳腺の各組織を材料とし、RNA調製用試薬であるトリゾール(インビトロジェン社製)を使用して全RNAを調製した。この全RNA画分を鋳型に用い、FEZL遺伝子の発現について定量的なPCRを、TaqMan試薬(アプライドバイオシステムズ社製)により、ジェネティックアナライザーHT−7900(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて行った。
その結果、FEZL遺伝子は脳、腎臓、及び乳腺で発現していることが分かった。特に、乳腺での発現が見られたことから、乳房炎抵抗性との関係が示唆された。
また、感受性遺伝子型ホモ個体と感受性・抵抗性遺伝子型ヘテロ個体の乳腺組織におけるFEZL遺伝子の発現量を調べたところ、両者の間に差は認められなかった。
【0034】
(3)FEZL遺伝子機能とアミノ酸挿入変異の効果
FEZL遺伝子の機能、及びアミノ酸挿入変異によりFEZL遺伝子の発現に相違があるかどうかを調べた。
まず、FEZL遺伝子(感受性遺伝子型・抵抗性遺伝子型のそれぞれ)のcDNAにHISタグを連結させたコンストラクトを、ベクター(インビトロジェン社製)に入れ、ヒト乳ガン由来の細胞株OCUB−Mとミドリザル腎由来細胞株COS−7に導入して発現させた。FEZL遺伝子が導入された各細胞を、定法に従ってホルマリン固定し、クロマチン免疫沈降アッセイをCHIPアッセイキット(アップステート社製)で行い、FEZLの認識するゲノム上の塩基配列であるFEZLコンセンサスエレメントを決定した。このエレメントを含むゲノム断片をつないだルシフェラーゼ遺伝子のコンストラクトを、FEZL遺伝子の抵抗性遺伝子型と感受性遺伝子型それぞれのcDNAコンストラクトと共に、上記の細胞株に導入し、ルシフェラーゼ遺伝子の発現をルシフェラーゼ酵素の活性測定で定量した。
その結果、FEZLの感受性遺伝子型では、抵抗性遺伝子型と比べ有意に転写活性が低下していることが分かった。このことから、FEZL遺伝子へのアミノ酸挿入変異により、転写活性が低下し、その結果乳房炎抵抗性の低下がもたらされると考えられた。
【0035】
実施例2
ウシのゲノミックDNA上のFEZL遺伝子上に挿入変異があるかどうか確認した。
まず、乳房炎感受性のウシに認められた3bpの挿入部位を含むDNA断片を増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーFEZL−F及びFEZL−Rを合成した。プライマーFEZL−F及びFEZL−Rの塩基配列は、配列表の配列番号2及び配列番号3にそれぞれ示される通りであり、いずれもFEZL遺伝子の一部から設計されたものである(図1参照)。
【0036】
一方、診断対照であるウシ(感受性遺伝子型ホモ個体220頭及び抵抗性遺伝子型ホモ個体92頭、及び感受性・抵抗性遺伝子型へテロ個体)の核酸試料として、各ウシの血液(抗擬固剤としてEDTA、ヘパリンを含む)より、自動核酸分離装置Na−1000(クラボウ社製)を用いてそれぞれのゲノミックDNAを調製した。DNAの調製は、Molecular cloning,a laboratory manual(3rd edition),J.Sambrook & D.W.Russell(Ed.),Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,New York(2001)に記載の方法に従って行った。
【0037】
これらのゲノミックDNAを鋳型とし、プライマーFEZL−FとFEZL−Rとを用いたPCR法を行った。すなわち、La Taq(タカラバイオ社製)を使用して、94℃で30秒、60℃で30秒、及び72℃で1分間からなる工程を1サイクルとした60サイクルの反応を行った。
PCRにより得られる核酸断片(PCR生成物)の塩基配列を、3700蛍光DNAシークエンサー(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて比較し、変異の存在を調べた。各PCR生成物の変異部分の結果を図2に示す。
【0038】
図2から明らかなように、抵抗性ウシ(抵抗性遺伝子型ホモ個体)に由来するFEZL遺伝子の抵抗性遺伝子型を鋳型にPCRで増幅させたDNA断片の69番目の塩基は、アデニン(A、抵抗性遺伝子型)であったのに対し、感受性ウシ(感受性遺伝子型ホモ個体)に由来する感受性遺伝子型を鋳型とした場合は、67番目に3bp挿入しているため、69番目の塩基はシトシン(C、感受性遺伝子型)であった。
このことから、FEZL遺伝子に存在し得る変異部位(69番目の塩基)を比較することで、FEZL遺伝子の抵抗性遺伝子型と感受性遺伝子型を見分けることができることが明らかとなった。
また、前述した:診断対象であるウシの核酸試料を得る工程(a)、工程(a)にて得られた核酸試料を遺伝子増幅反応に付して、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域が増幅された核酸断片を得る工程(b)、及び工程(b)で得られる核酸断片について変異の存在を調べる工程(c)により、遺伝子診断を正確に行うことができることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、乳房炎抵抗性低下に関係する変異部位を有する乳房炎抵抗性遺伝子が提供されると共に、該遺伝子を利用して乳房炎抵抗性を簡便に、確実かつ迅速に遺伝子的に診断し検出するためのオリゴヌクレオチド、遺伝子診断法、及びプローブが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】乳房炎抵抗性遺伝子(FEZL遺伝子)の変異部分及びプライマーの設計例を示す図である。
【図2】FEZL遺伝子における挿入変異の存在を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
図1中、四角で囲った部分は、プライマー(上段はFEZL−F、下段はFEZL−R)設計の基礎となった部分を示す。矢印は、プライマーの5´から3´への方向を示す。
図2中、上段(a)は抵抗性遺伝子型のPCR生成物を、下段(b)は感受性遺伝子型のPCR生成物を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列表の配列番号1に示される塩基配列からなるDNA。
【請求項2】
DNAが、ゲノミックDNA配列、及びcDNA配列のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のDNA。
【請求項3】
DNAが、合成配列、及び半合成配列のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2記載のDNA。
【請求項4】
以下の(a)、(b)又は(c)で表され、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域を遺伝子増幅反応により増幅するための10個以上のヌクレオチドからなることを特徴とするオリゴヌクレオチドプライマー。
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列又はその相補鎖の全体又はその一部からなるオリゴヌクレオチドプライマー。
(b)配列表の配列番号1に示される塩基配列又はその相補鎖と50〜60℃でハイブリッド形成し、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域を遺伝子増幅反応により増幅するのに利用できる一切の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー。
(c)遺伝子コードの縮退のために前記配列(a)及び(b)から派生した塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項5】
(a)配列表の配列番号1に示される塩基配列のうちの任意の領域に相当する塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、及び
(b)配列表の配列番号1に示された塩基配列のうちの任意の領域に対する相補塩基配列を有するオリゴヌクレオチド
からなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項4記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項6】
(a)配列表の配列番号1に示された塩基配列のうちの5’端側の領域に相当する塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、及び
(b)配列表の配列番号1に示された塩基配列のうちの3’端側の領域に対する相補塩基配列を有するオリゴヌクレオチド
からなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項4又は5記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項7】
10〜50個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドからなるものであることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項8】
15〜35個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドからなるものであることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項9】
配列表の配列番号2に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド及び配列表の配列番号3に示された塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなる群から選ばれたものである請求項4〜8のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプライマー。
【請求項10】
工程(a):診断対象であるウシの核酸試料を得る工程、
工程(b):工程(a)にて得られた核酸試料を遺伝子増幅反応に付して、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域が増幅された核酸断片を得る工程、及び
工程(c):工程(b)で得られる核酸断片について変異の存在を調べる工程
を含むことを特徴とするウシの乳房炎抵抗性の遺伝子診断法。
【請求項11】
ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域が、配列表の配列番号1に示される塩基配列を含む領域である請求項10記載の遺伝子診断法。
【請求項12】
遺伝子増幅反応が、ポリメラーゼ連鎖反応法によって行われる請求項10又は11記載の遺伝子診断法。
【請求項13】
変異の存在を、遺伝子連鎖反応により増幅される核酸断片長型を検出して調べることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の遺伝子診断法。
【請求項14】
核酸試料が、ゲノミックDNA、cDNA、又はmRNAを含む試料である請求項10〜13のいずれか1つに記載の遺伝子診断法。
【請求項15】
請求項4〜9のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて遺伝子増幅反応を行う請求項10〜14のいずれかに記載の遺伝子診断法。
【請求項16】
請求項4〜9のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプライマーを含有することを特徴とするウシの乳房炎抵抗性を診断するためのキット。
【請求項17】
請求項4〜9のいずれかに記載のオリゴヌクレオチドプライマーを含有することを特徴とするウシの乳房炎抵抗性診断用遺伝子診断試薬。
【請求項18】
ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域を含み、56〜79個のヌクレオチドからなり、末端が標識されてなるウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異の存在を調べるためのプローブ。
【請求項19】
請求項18記載のプローブを使用して、ウシの乳房炎抵抗性遺伝子に存在しうる変異部位を含む領域の塩基配列の解明、及び/又は、該領域の単離を行う方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−67928(P2006−67928A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−256487(P2004−256487)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(301029403)独立行政法人家畜改良センター (12)
【出願人】(595038556)社団法人畜産技術協会 (10)
【出願人】(591190955)北海道 (121)
【出願人】(504335851)
【Fターム(参考)】