説明

ウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物

本発明は、ウデナフィルを含有する徐放性製剤を製造するための制御放出組成物に関し、具体的には、(A)ウデナフィルおよび薬学的に許容される塩、(B)溶解度調節剤、(C)吸着剤、および(D)親水性ポリマーを含んでなる、ウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物に関する。本発明に係るウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物は、胃・腸管でpHに関係なく一定に薬物を放出して薬物の放出時間を3〜24時間内で自由に調節することができ、個体間の薬効のバラツキを減らすことができるうえ、ウデナフィルによって治療される肺動脈高血圧や肝門脈高血圧、前立腺肥大症などの長期薬物服用を必要とする疾患の治療に薬効発現のための最適条件を持つ徐放性製剤を製造することができ、生体への適用の際に適切な吸収時間に応じて放出を調節して勃起不全の予防および治療にも有用に利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウデナフィル(udenafil)を含有する徐放性製剤を製造するための制御放出組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
下記化学式1で表されるピラゾロピリミジノン化合物(3-(1-methyl-7-oxo-3-propyl-4,7-dihydro-1H-pyrazolo[4,3-d]pyrimidin-5-yl)-N-[2-(1-
methylpyrrolidin-2-yl)ethyl]-4-propoxybenzenesulfonamide、以下「ウデナフィル」という)は、ホスホジエステラーゼ5型阻害剤(以下、「PDE−5阻害剤」という)の一種であって、勃起不全治療剤として市販されている製品である。
〈化学式1〉
【化1】

【0003】
ウデナフィルは、PDE−5に対する阻害活性が強力でありながら選択性にも優れるうえ、吸収が速く、生体利用率および体内分布容積が大きく、同じメカニズムを持つ薬物たるシルデナフィル(sildenafil)またはバルデナフィル(vardenafil)に比べて半減期が3倍程度長い薬物である。
PDE−5阻害剤は、その薬理メカニズムによって顔面紅潮や頭痛、眼球充血、鼻充血などの副作用を持っている。それらの中でも、ウデナフィルは、第1床臨床試験(韓国人およびコーカシアン)で薬物による重大な異常反応は全く発生しておらず、大部分が軽症を示した 。また、第2床臨床試験と第3臨床試験で得られた副作用の類型をみても、副作用の度合いおよび頻度が既存の経口用勃起不全治療剤に比べて低かった。また、PDE−5阻害剤は、臨床試験中の投薬中断率も最も低いため、安全な薬物として判断される。
韓国特許登録第792126号および同第496372号などには、PDE−5阻害剤系列の薬物の新しい医薬用途として、胚動脈高血圧や肝門脈高血圧、前立腺肥大症などの治療に関する用途が開示されている。
ところが、これらの疾患は大部分が慢性疾患であるため、ここに適用する治療剤の大部分はその薬理メカニズムによって長期投与が不可避な薬物である。
ウデナフィルは、PDE−5阻害剤系列の他の薬物に比べて安全な薬物であって、必要なときに服用する勃起不全治療用途で使用するためには特別な製剤形態を必要としないが、毎日服用すべき前記適応症治療用途で長期服用する場合には副作用が発生するおそれがある。よって、ウデナフィルを前記適応症に適用するための製剤として開発するためには、薬物投与剤形におけるウデナフィルの放出を制御し、初期過多放出を減らし、生体内で吸収可能な時間の間に持続的に放出することにより、1日1回服用でも十分な薬物効果を示すうえ、発生可能な副作用を最小化することのできる製剤として開発することが重要である。
また、前記疾患に関連した階層は主に老人層であり、制酸剤などを服用する患者はそのpHが高く、胃潰瘍やゾリンガーエリソン症候群などの患者は胃内のpHが低い。これらの患者が胚動脈高血圧、肝門脈高血圧または前立腺肥大症の症状がある場合、ウデナフィル含有徐放性製剤は、胃・腸管でpHに関係なく一定に薬物を放出して薬物の放出時間を3〜24時間内で自由に調節することができることが要求される。
従来、ウデナフィルの制御放出型製剤は全く開示されていない。但し、同じメカニズムの薬物であるシルデナフィルの場合、幾つかの制御放出型製剤が開示されているばかりである。
韓国公開特許公報第2004−83492号には浸透性伝達システムが開示されており、韓国公開特許公報第2002−70330号にはヒドロゲル系薬物投与形態が開示されており、国際公開特許公報第2007/057762号には制御放出型剤形が開示されているが、前記制御放出型製剤は、多数回の打錠圧縮工程を経るうえ、不溶性透水性コーティングを施さなければならず、最後にレーザー穿孔を施さなければならないなど、製造工程が非常に複雑でややこしいという欠点がある。また、韓国公開特許公報第2001−36527号および同第2007−100023号には、シルデナフィルが殆ど数分内に放出される速効剤形のみが開示されている。
そこで、本発明者は、ウデナフィルを含有する徐放性製剤を製造するために研究したところ、本発明に係るウデナフィル含有組成物が制御放出の効果を示すうえ、生体内のいずれのpHにも影響されることなく自由に薬物が放出制御されることを確認し、前記ウデナフィル含有制御放出組成物から、胚動脈高血圧、肝門脈高血圧または前立腺肥大症の治療用途並びに勃起不全の予防および治療を目的として長期投与しても副作用発生可能性を減らすことが可能なウデナフィルの徐放性製剤を容易に製造することのできる、ウデナフィル含有制御放出組成物を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国特許登録第792126号
【特許文献2】韓国特許登録第496372号
【特許文献3】韓国公開特許公報第2004−83492号
【特許文献4】韓国公開特許公報第2002−70330号
【特許文献5】国際公開特許公報第2007/057762号
【特許文献6】韓国公開特許公報第2001−36527号
【特許文献7】韓国公開特許公報第2007−100023号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、胚動脈高血圧、肝門脈高血圧または前立腺肥大症の治療並びに勃起不全の予防および治療用途で使用するために、ウデナフィルの生体内放出を胃・腸管でpHに関係なく調節して効果を持続することのできる、ウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物に関する。
ウデナフィルは、胚動脈高血圧、肝門脈高血圧または前立腺肥大症の治療並びに勃起不全の予防および治療に有用に使用できる。
【0007】
ところが、前記適応症の治療を目的とする製剤は、長期服用による副作用が発生するおそれがあって、ウデナフィルを前記適応症に適用するための製剤として開発するためには、生体内放出を延長または延長調節させることが必要であるうえ、前記疾患に関連した階層は主に老人層であり、制酸剤などを服用する患者はそのpHが高く、胃潰瘍やゾリンガーエリソン症候群などの患者は胃内のpHが低い。それらの患者の前記疾患を治療するためには、ウデナフィル含有徐放性製剤は、胃・腸管でpHに関係なく一定に薬物放出を行うことができなければならず、通常の製造方法を用いても徐放性制御放出用製剤を製造することができなければならない。
【0008】
したがって、本発明に係るウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物は、
1)胃・腸管でpHに関係なく一定に薬物放出を行うことが可能な組成物でなければならず、
2)通常の製造方法を用いても徐放性制御放出用製剤を製造することができるように設計されなければならない。
上記目的を達成するために、本発明によれば、ウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物は、(A)ウデナフィルおよび薬学的に許容される塩、(B)溶解度調節剤、(C)吸着剤、および(D)親水性ポリマーを含んでなる、ウデナフィル含有制御放出組成物を提供する。
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、ウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物を製造するにあたり、ウデナフィル含有制御放出組成物に溶解度調節剤を含有させることを特徴とする。本発明に係る溶解度調節剤としては、クエン酸やリンゴ酸、アジピン酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、酒石酸などの有機酸が好ましく、最も好ましくはクエン酸である。
【0010】
PDE−5阻害剤は、大部分が弱塩基性薬物であって、酸性では溶解度が高く、塩基性に近づけるほど溶解度が低くなる。弱塩基性薬物たるウデナフィルも酸性で投与用量の大部分が溶解する優れた溶解度を持っており、速放性製剤の製造の際に何らの制約もなく製剤を製造することができるが、PDE−5阻害剤は、徐放性放出制御型製剤に製造する場合、pHによる溶解度の違いに起因して放出制御膜における溶出速度が異なる。
【0011】
よって、本発明は、pHに影響されることなく、胃だけでなく腸管でも薬物が持続的に放出できるように水和したゲルマトリックス内に溶解度調節剤を含有させ、水和したゲルマトリックスを可溶化してウデナフィルを高濃度で存在させる。
【0012】
本発明の活性成分であるウデナフィルなどの弱塩基性薬物に対して有機酸を可溶化剤として使用することは、国際公開特許公報第2001/47500号および国際公開特許公報第97/18814号などに既に公知になっている技術である。ところが、前記公知の技術によって弱塩基性のウデナフィルに有機酸を混ぜて顆粒を製造すると、顆粒の粘着性が非常に激しいため、これを顆粒化および錠剤化することができないという問題点が生ずる。
【0013】
したがって、本発明は、上述した問題点を解決するために、ウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物には結合剤を使用せず吸着剤を含むことを特徴とする。
【0014】
通常の賦形剤を用いてある程度粘着性を解決するためには賦形剤の使用量を大きく増やさなければならず、この場合には、投与形態の大きさがあまり大きくなって、患者が服用することを難しく感じるおそれがある。
【0015】
したがって、本発明では、小さい錠剤のサイズを維持し且つ顆粒の粘着性を改善することができるようにするために、吸着剤として二酸化ケイ素、珪酸カルシウム、タルクおよびアルミニウムマグネシウムメタシリケートを使用し、顆粒自体の粘着性が結合剤の役目をして、結合剤を使用しなくても乾燥後にも優れた顆粒性状を維持することができる。
また、本発明は、ウデナフィルの放出を制御するために、ウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物に高粘度の親水性ポリマーを使用することを特徴とする。本発明に係る高粘度の親水性ポリマーとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウムなどがあり、特に好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシドである。
本発明において、前記高粘度の親水性ポリマーは、活性成分たるウデナフィルが水分と接触するときにゲルを形成して、活性成分が剤形の外に出ていくのに障壁として作用する。前記ポリマーの種類、重量比および粘度を用いて、本発明の薬学的組成物はその溶出時間を3〜24時間内で自由に調節することができる。
【0016】
本発明に係るウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物は、胃・腸管でpHに関係なく一定に溶解して胃・腸管の全領域にわたっての吸収を一定にすることができる。よって、本発明に係る組成物は、pH依存性を有する患者、例えば老人層、制酸剤などを服用する患者、胃潰瘍やゾリンガーエリソン症候群などの患者などでも、胃・腸管でpHに関係なく一定に溶解して胃・腸管の全領域で吸収を一定にすることができるので、個体間のバラツキを減らすことができ、薬物放出における初期過多放出(initial burst)を防止して必要以上の血中最大濃度(Cmax)を減らすことにより薬物関連副作用を減少させることができる。
【0017】
本発明の組成物は孔隙形成剤もさらに含むことができる。本発明で使用される孔隙形成剤としては、ラクトース、スクロース、マンニトール、エリトリトールなどの糖類、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの水溶性塩、またはポリエチレンオキシドなどのポリマーがあり、好ましくはポリエチレンオキシドである。前記孔隙形成剤は、高粘度の親水性ポリマーがゲルを形成するときに水分の移動可能な孔隙を提供して薬物の放出をさらに調節することができる。
【0018】
また、本発明の組成物は膨張化剤をさらに含むことができる。本発明で使用される膨張化剤は、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸澱粉ナトリウムなどがあり、好ましくはグリコール酸澱粉ナトリウムである。膨張化剤は、水分と接触すると、速い速度で水を吸収して水溶性ポリマーを内部まで速くゲル化させると同時に、錠剤を膨張化させて剤形から持続的かつ一定な薬物放出に役立てることができる。
【0019】
本発明の制御放出組成物にはさらに希釈剤または滑沢剤を含むことができる。本発明の希釈剤としては、ラクトース、マンニトール、微細結晶質セルロースなどがあり、これらの混合物であってもよく、代表的な商品としてセラクトースなどがある。前記希釈剤は、一定サイズの製剤形状を作るようにし、打錠の際に十分な結合力を提供する。また、滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、エーロゲル、ヒマシ油、フマル酸ステアリルナトリウムなどが使用でき、これらは打錠の際に十分な流動性を提供し、パンチとダイ間の結合を防止する役目をする。
また、本発明は、ウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物の製造方法を提供する。
【0020】
本発明に係るウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物の製造方法は、ウデナフィルまたはその塩と溶解度調節剤とが混合された溶液を吸着剤の表面に吸着させて顆粒を製造する段階と、前記製造された吸着顆粒を水溶性ポリマーと混合して制御放出製剤を製造する段階とを含んでなる。
本発明に係るウデナフィル含有徐放性制御放出薬学的組成物の製造方法において、吸着顆粒とポリマーとを混合して制御放出製剤を製造する段階では、孔隙形成剤、膨張化剤、希釈剤または滑沢剤がさらに混合できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るウデナフィルを含有する徐放性製剤を製造するための制御放出組成物は、pHに関係なく薬物放出を一定にすることにより、胃・腸管の全領域で吸収を一定にすることができるうえ、薬物の放出時間を3〜24時間内で自由に調節することができ、特に、個体間のバラツキを減らすことができ、薬物放出における初期過多放出を防止して必要以上の血中最大濃度(Cmax)を減らすことにより薬物関連副作用を減少させることができる。
【0022】
また、本発明に係るウデナフィルを含有する徐放性製剤を製造するための制御放出組成物は、製造過程中に主成分と有機酸により発生する顆粒の粘着性を改善することができるため、錠剤の投与形態を減らすことができ、製造が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は実施例1〜4の方法で製造された制御放出製剤の溶出試験結果を示す図である。
【図2】図2は実施例4および比較例3〜6の方法で製造された製剤の溶出試験結果を比較して示す図である。
【図3】図3は実施例4の制御放出製剤を多様なpHで溶出試験した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
但し、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容を限定するものではない。
【0025】
〈実施例1〜4〉本発明に係るウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物および製剤の製造
1)制御放出組成物を製造するための吸着顆粒の製造
下記表1に記載されている実施例1〜4の組成でウデナフィル制御放出組成物を製造するための吸着顆粒を製造した。
まず、適量の水にウデナフィルとクエン酸を溶かした後、高速混合機に二酸化ケイ素を入れ、前記で製造したウデナフィル−クエン酸溶液をゆっくり滴加して二酸化ケイ素の表面に前記成分が均一に吸着されるようにした。吸着した顆粒は、高速乾燥機に入れて60℃で30分間乾燥させた後で粉砕した。
【0026】
【表1】

【0027】
2)吸着顆粒を用いた徐放性制御放出組成物の製造
前記1段階で製造されたそれぞれの吸着顆粒を有し、下記表2に記載された実施例1〜実施例4の組成で水溶性ポリマーとしてのヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび希釈剤としてのセラクトース80を入れて混合機内で混合した後、フマル酸ステアリルナトリウムを入れてさらに5分間混合してウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物を製造した。
【0028】
【表2】

【0029】
3)制御放出組成物を用いた徐放性製剤の製造
前記2)で製造された徐放性製剤を製造するための制御放出組成物を1錠当たり主成分量が75mgとなるように打錠成型機で10KPに成型して徐放型錠剤を製造した。
【0030】
〈実施例5〜12〉本発明に係る多様なポリマーを用いたウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物および製剤の製造
実施例1〜4の1)と同様の方法で吸着顆粒を製造した後、下記表3に記載された組成で実施例1〜4の2)および3)と同様の方法でウデナフィル制御放出製剤を製造して実施例5〜12にした。
【0031】
【表3】

【0032】
〈比較例1〜2〉通常の顆粒化剤を用いたウデナフィル顆粒の製造
本発明に係る顆粒と顆粒流動性を比較するために、下記表4の組成にして実施例1〜4と同様の方法の顆粒を製造し、これをそれぞれ比較例1および2にした。
【0033】
【表4】

【0034】
〈比較例3〜6〉有機酸が吸着していないウデナフィル制御放出製剤の製造
下記表5に示した組成でウデナフィル、ラクトースおよび微細結晶質セルロースを入れて高速混合機で混合した後、上記の粉末にHPC−LFをエタノールに溶かして滴加して顆粒化し、生成された顆粒を60℃の高速乾燥機で乾燥させた後、篩過した。こうして製造された顆粒物をもって水溶性放出制御物質としてのヒドロキシプロピルメチルセルロース4000SRをそれぞれ錠剤1錠当たり7.5、10、15、20%となるように入れ、セラクトース80を入れて混合した後、1.9重量部のフマル酸ステアリルナトリウムを入れてさらに混合して1錠当たり主成分量が75mgとなるように打錠成型機で10KPに成型して錠剤を製造し、これをそれぞれ比較例3〜比較例6にした。
【0035】
【表5】

【0036】
〈実験例1〉顆粒流動性の観察
制御放出製剤の製造に適した顆粒が形成されるかを調べるために、実施例1〜4の1)で製造された顆粒と比較例1および2で製造された顆粒の顆粒化度合いを肉眼で評価し、乾燥後の顆粒の流動性をPharmatest社のPTG−S3を用いて顆粒100mLが一定サイズの孔を通過する時間を測定して評価した。
【0037】
表6に示すように、本発明に係るウデナフィル−クエン酸溶液を二酸化ケイ素を用いて吸着顆粒化した実施例1〜4は、顆粒性状が良好であり、乾燥後にも良好な流動性を持っていたが、比較例1〜2のような通常の顆粒用賦形剤で顆粒化する場合には、粘着性により顆粒化が難しく、乾燥後にも流動性が不良であるという問題点を示した。
【0038】
【表6】

【0039】
〈実験例2〉溶出評価
USP2007 Dissolution testの第2装置を用いてDelayed−Release dosage formのmethodAの方法を用いて実施例1〜4と比較例3〜6で製造された錠剤の溶出をpH1.2で2時間、pH6.8で22時間評価した。その評価結果を図1および図2に示した。
【0040】
図1に示すように、本発明に係る有機酸と吸着顆粒を用いた実施例1〜4の場合、驚くべきことに、溶解度調節剤の量に関係なくpH変化による溶出の遅延現象がなく、初期放出も制御可能であることが分かる。
【0041】
ところが、図2に示すように、有機酸を使用していない比較例3〜6の溶出を実施例4の溶出パターンと比較して考察すると、初期放出を制御するために水溶性ポリマー量を増やした比較例5、6の場合は、pH1.2条件からpH6.8条件に変換するときに溶出の遅延が起こった。これを解決するために、水溶性ポリマー量を減らした比較例3、4は、溶出初期にあまり速い放出が起こって徐放性制御放出製剤として適しないことが分かった。
【0042】
〈実験例3〉多様なpHにおける溶出評価
実施例4の徐放性制御放出製剤を大韓薬典の方法とおりにpH1.2、pH4.0、pH6.8および蒸留水でpaddle法(50rpm)にて溶出評価を行った。その結果を図3に示した。図3に示すように、実施例4の制御放出製剤は広いpH範囲でpHに関係なく一定の速度でウデナフィルを放出することを確認することができた。
【0043】
〈実験例4〉薬物の80%溶出時点の測定
ポリマー種類、重量比および粘度が本発明の組成物の溶出に及ぼす影響を調べるために、実験例2と同様の方法で溶出評価をしながら全体薬物の80%が溶出された時点を測定した。下記表7に示すように、多様な投与用量に対してポリマーの粘度および重量比に応じて80%放出時間を3〜24時間内で自由に調節することができることを確認することができた。
【0044】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウデナフィルおよび薬学的に許容される塩と、
クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸および酒石酸の有機酸の中から選ばれる溶解度調節剤と、
二酸化ケイ素、珪酸カルシウム、タルクおよびアルミニウムマグネシウムメタシリケートの中から選ばれる吸着剤と、
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガムおよびアルギン酸ナトリウムの中から選ばれる親水性ポリマーとを含んでなることを特徴とする、ウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物。
【請求項2】
溶解度調節剤がグエン酸であることを特徴とする、請求項1に記載のウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物。
【請求項3】
吸着剤が二酸化ケイ素であることを特徴とする、請求項1に記載のウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物。
【請求項4】
親水性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリエチレンオキシドの中から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物。
【請求項5】
孔隙形成剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物。
【請求項6】
膨張化剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物。
【請求項7】
希釈剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物。
【請求項8】
滑沢剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物。
【請求項9】
ウデナフィルおよび薬学的に許容される塩と、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸および酒石酸の有機酸の中から選ばれる溶解度調節剤とが混合された溶液を、二酸化ケイ素、珪酸カルシウム、タルクおよびアルミニウムマグネシウムメタシリケートの中から選ばれる吸着剤の表面に吸着させて顆粒を製造する段階と、
前記製造された吸着顆粒をヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガムおよびアルギン酸ナトリウムの中から選ばれる親水性ポリマーと混合してウデナフィル含有徐放性製剤を製造するための制御放出組成物の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−512242(P2012−512242A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542002(P2011−542002)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/KR2009/007382
【国際公開番号】WO2010/071320
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(508165157)ドン−エー ファーム.カンパニー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】