説明

ウフェナマート含有皮膚外用剤

【課題】水難溶性のウフェナマートを安定に配合した皮膚外用剤において、乳化粒子を微細化せずとも、製剤の安定性に極めて優れ、さらには優れた使用感をも有する、水中油型乳化組成物からなるウフェナマート含有皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】下記成分(a)〜(f)を含有することを特徴とする、水中油型乳化組成物からなるウフェナマート含有皮膚外用剤である。
(a)ウフェナマート
(b)高級アルコール
(c)ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル
(d)アニオン界面活性剤
(e)グリセリン脂肪酸エステル
(f)水

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ステロイド系抗炎症剤のウフェナマートを含有する皮膚外用剤に関する。さらに詳しくは、水難溶性のウフェナマートを安定に配合した水中油型乳化組成物からなる皮膚外用剤であって、乳化粒子を微細化せずとも、製剤の安定性に極めて優れ、さらには優れた使用感を有するウフェナマート含有皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ウフェナマート(別名:フルフェナム酸ブチル)は、医薬品の非ステロイド系抗炎症剤として皮膚疾患の治療に用いられている。
【0003】
しかしながら、ウフェナマートは水難溶性の薬剤のため、皮膚外用剤等の製剤中に安定に配合することは困難であった。
【0004】
これに対して、特許文献1にはウフェナマート含有乳化製剤の発明が開示されている。特許文献1記載の発明は、ウフェナマート及びをHLBが8〜15である乳化剤を含む油相中に水を加えて乳化させ、そのエマルジョン(乳化粒子)の平均粒子径が0.5μm以下の微細エマルジョンからなるO/W型乳化製剤を提供することによって、ウフェナマートを含有する製剤の安定化を図り、さらに患部に負担をかけることなく塗擦可能な良好な使用感を発揮させることを目的とするものである。
【0005】
また、特許文献1には、「乳化型製剤の安定性を向上させる方法として、エマルジョン粒子を微細化することが知られている。しかしながら、一般に知られている微細エマルジョン粒子の製造方法は、物理的圧力をかける工程や高速撹拌を行う工程を長時間継続する必要があった(特開平1−143826号公報、特開平1−249716号公報)。この様な製造方法においては、大規模な設備を必要とし、製剤に配合されている成分の変質を生じる可能性が高まる等の不都合があった。」との記載もなされている(段落番号0003)。
【0006】
一方、特許文献2には、乳化粒子を微細化して水難溶性薬剤を配合する技術として、「(a)水難溶性薬剤と、(b)経皮吸収促進剤と、(c)乳化剤とを含み、油滴の平均粒子径が0.1μm以下であることを特徴とする水難溶性薬剤含有水中油型エマルジョン。」なる発明が開示されている。この発明は、水難溶性薬剤の吸収性を向上させると共に、有機溶媒をほとんど使用しない低刺激性となる水難溶性薬剤含有水中油型エマルジョンを提供するものであり、(a)水難溶性薬剤の一例としてウフェナマートが例示されている(段落番号0009)。
【0007】
しかしながら、乳化粒子の微細化に伴う上記の不都合を克服しつつ、水中油型乳化組成物(すなわちO/W型乳化製剤や水中油型エマルジョン)の乳化粒子を微細化することによって、ウフェナマートを配合する製剤の安定化が達成できたとしても、微細化された乳化粒子では皮膚上で乳化が壊れにくいため、いつまでも皮膚になじまず、皮膚を覆うような感じがしたり、みずみずしさやさっぱり感がなくべたついたりして、塗布した際に良好な使用感が得難いという問題が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−97859号公報
【特許文献2】特開2002−193790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、上述した事情に鑑み、ウフェナマートを含有する皮膚外用剤について鋭意研究を重ねた結果、特定の水中油型乳化組成物にウフェナマートを配合すると、乳化粒子を微細化するまでもなく、製剤の安定化が図れ、また使用感についても、微細化された乳化粒子では皮膚上で乳化が壊れにくいため、いつまでも皮膚になじまず、塗布した際に良好な使用感が得にくいという従来技術の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の目的は、乳化粒子を微細化することなく、微細化に伴う欠点を取り除いた通常の大きさの乳化粒子を有する水中油型乳化組成物において、ウフェナマートを安定に配合できて、かつ、皮膚上に塗布する際の使用感にも優れるウフェナマート含有皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、下記成分(a)〜(f)を含有することを特徴とする、水中油型乳化組成物からなるウフェナマート含有皮膚外用剤を提供するものである。
(a)ウフェナマート
(b)高級アルコール
(c)ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル
(d)アニオン界面活性剤
(e)グリセリン脂肪酸エステル
(f)水
【0012】
また、本発明は、前記アニオン界面活性剤が、アルキル硫酸塩であることを特徴とする上記のウフェナマート含有皮膚外用剤を提供するものである。
【0013】
さらに、本発明は、前記アルキル硫酸塩が、セチル硫酸ナトリウムであることを特徴とする上記のウフェナマート含有皮膚外用剤を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、前記アニオン界面活性剤が、ステアロイルメチルタウリンナトリウムであることを特徴とする上記のウフェナマート含有皮膚外用剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、水中油型乳化組成物において、乳化粒子を微細化することなく、ウフェナマートを安定に配合できて、製剤の安定化を図ることが出来る。
また、乳化粒子を微細化することがないので、微細化に伴う不都合(物理的圧力をかける工程や高速撹拌を行う工程を長時間継続する必要があるため、その製造において、大規模な設備を必要とし、製剤に配合されている成分の変質を生じる可能性が高まる等の不都合)が全くない。
さらに、本発明の皮膚外用剤は、乳化粒子の微細化に伴う、皮膚上に塗布した際に良好な使用感が得にくいという問題を解決でき、塗布する際の使用感(例えば、みずみずしさ、さっぱり感等の使用感)にも極めて優れている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明を詳述する。
【0017】
「(a)ウフェナマート」
本発明に用いる(a)ウフェナマートは、非ステロイド系抗炎症剤として公知の医薬品であり、水難溶性の薬剤として知られている。
本発明の水中油型乳化組成物からなる皮膚外用剤においては、(a)ウフェナマートは、(b)高級アルコール、(c)ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、(e)グリセリン脂肪酸エステル、その他の任意配合成分の(g)油分とともに、油相成分として混合される。そして、(a)ウフェナマートを含有する油相成分が(d)アニオン界面活性剤、(f)水を含む水相成分と乳化混合され、常法により、水中油型乳化組成物からなるウフェナマート含有皮膚外用剤が製造される。
なお、本発明においては、水難溶性の薬剤として公知である、リドカイン(局所麻酔薬)、クロタミン(鎮痒薬)、ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン薬)、dl−カンフル、l−メントール(清涼化薬)、トコフェロール酢酸エステルやビタミンA油などの油溶性薬物等の有効成分を、(a)ウフェナマートと共に配合することが可能である。
【0018】
<配合量>
(a)ウフェナマートの配合量は、皮膚外用剤全量に対して、1〜20質量%配合することが可能であり、好ましくは、1〜6質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。
【0019】
「(b)高級アルコール」
本発明に用いる(b)高級アルコールは、炭素数14〜22の非分枝高級アルコールが好ましく、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコールなどが挙げられ、その中でも直鎖非分岐であるセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが1種以上含まれていることが好ましい。(b)高級アルコールは、本発明の水中油型乳化組成物の油相成分として機能する。
【0020】
<配合量>
(b)高級アルコールの配合量は、皮膚外用剤全量に対して、0.01〜30質量%配合することが可能であり、好ましくは、0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。
【0021】
「(c)ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル」
本発明に用いる(c)ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステルは、脂肪酸部分が単結合直鎖脂肪酸を由来とするものが好ましく、具体的には、POE(20)ステアリン酸ソルビタン(例えばNIKKOL TS−10MV、日光ケミカルズ社製)、POE(20)ミリスチン酸ソルビタン、POE(20)パルミチン酸ソルビタン(例えばNIKKOL TP−10EX、日光ケミカルズ社製)、POE(20)オレイン酸ソルビタン(例えばNIKKOL TO−10MV、日光ケミカルズ社製)、POE(20)ヤシ油脂肪酸ソルビタンもしくはPOE(20)ラウリン酸ソルビタン(例えばNIKKOL TL−10、日光ケミカルズ社製)、POE(6)ステアリン酸ソルビタン(例えばNIKKOL TS−106V、日光ケミカルズ社製)、POE(6)ミリスチン酸ソルビタン、POE(6)パルミチン酸ソルビタン等が好ましい。脂肪酸部分に分枝を有するものは、増粘性や長期保管下での安定性に劣るため好ましくない。
本発明において、(c)ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステルは、水中油型乳化組成物を安定化する乳化剤として機能する。
【0022】
<配合量>
(c)ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステルの配合量は、皮膚外用剤全量に対して、0.01〜30質量%配合することが可能であり、好ましくは、0.1〜20質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。
【0023】
「(d)アニオン界面活性剤」
本発明に用いる(d)アニオン界面活性剤は、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホン酸塩等があげられるが、好ましくは、アルキル硫酸塩であり、具体的にはセチル硫酸ナトリウム、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウムである。特に好ましくは、セチル硫酸ナトリウムである。
また、ステアロイルメチルタウリンナトリウムを用いることも好ましい。
【0024】
<配合量>
(d)アニオン界面活性剤の配合量は、皮膚外用剤全量に対して、0.01〜10質量%配合することが可能であり、好ましくは、0.01〜5質量%、さらに好ましくは0.01〜2質量%である。
【0025】
「(e)グリセリン脂肪酸エステル」
本発明に用いる(e)グリセリン脂肪酸エステルは、具体的には、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸ジグリセリル等である。モノステアリン酸グリセリルが特に好ましい。
本発明においては、(e)グリセリン脂肪酸エステルは水中油型乳化組成物を安定化する乳化剤として機能する。
【0026】
<配合量>
(d)アニオン界面活性剤の配合量は、皮膚外用剤全量に対して、0.01〜30質量%配合することが可能であり、好ましくは、0.05〜20質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。
【0027】
「(f)水」
本発明に用いる(f)水は、水性成分と共に水中油型乳化組成物の水相を構成する。
本発明においては、水性成分として、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリクオタニウム−51、エタノール等を適宜配合することが出来る。
【0028】
(f)水の配合量は適宜決定されるが、皮膚外用剤全量に対して、10〜98.97質量%配合することが可能であり、好ましくは、20〜95質量%、さらに好ましくは30〜90質量%である。
なお、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリクオタニウム−51、エタノール等の水相成分の配合量は適宜決定される。
【0029】
「(g)油分」
本発明においては、上記した(b)高級アルコール以外の油分を任意配合成分として適宜配合することが好ましい。具体的には、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウ等の固形油分、白色ワセリン、黄色ワセリン等の半固形油分、流動パラフィン、スクワラン、各種シリコーン油等の非極性流動油分、ミリスチン酸イソプロピルやトリイソオクタン酸グリセリンなどの極性油分等が配合可能である。
【0030】
<配合量>
高級アルコール以外の(g)油分の配合量は、適宜決定されるが、皮膚外用剤全量に対して、0〜89質量%配合することが可能であり、好ましくは、0.01〜50質量%、さらに好ましくは0.05〜40質量%である。
【0031】
<水中油型乳化組成物>
本発明の皮膚外用剤は、水中油型乳化組成物からなるウフェナマート含有皮膚外用剤である。本発明の水中油型乳化組成物の製造は特に限定されず、常法により製造することができる。例えば、水難溶性の(a)ウフェナマートを、(b)高級アルコール、(c)ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、(e)グリセリン脂肪酸エステル、その他の任意配合成分の(g)油分とともに、均一に混合して油相成分を得る。そして、(a)ウフェナマートを含有する油相成分を、(d)アニオン界面活性剤、(f)水を含む水相成分と、高速乳化機にて乳化混合し、常法により、水中油型乳化組成物からなるウフェナマート含有皮膚外用剤が製造される。
本発明で提供されるウフェナマート含有皮膚外用剤は、乳化粒子径が1〜5μm程度の通常の乳化粒子を有する水中油型乳化組成物である。しかしながら、本発明では、特許文献1や2のように、乳化粒子を1μm未満に微細化しなくても、製剤の安定性を図ることが出来るので、水難溶性の(a)ウフェナマートを安定に配合することが可能である。
さらに本発明では、乳化粒子を微細化することに伴う使用感の悪化の問題点、すなわち、微細化した乳化粒子の乳化組成物では、皮膚上での乳化が壊れにくいため、いつまでも皮膚になじまず、皮膚を覆うような感じがしたり、みずみずしさやさっぱり感がなく、べたついたりして、塗布した際に良好な使用感が得難いという問題点を解決出来る。
【0032】
本発明の水中油型乳化組成物からなるウフェナマート含有皮膚外用剤において、各必須成分の配合量の好ましいモル比は以下である。
本発明においては、上記した(c)成分(ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル)と(d)成分(アニオン界面活性剤)の配合量が、それぞれの成分をモル数に換算したときのモル比率が、(c):(d)=1:0.05〜1:1.5を満たすことが好ましい。
(c)の比率がこれより高い場合には乳化不良となる、もしくは適当な粘性が得られず、水中油型乳化組成物の安定性が劣り、これより低い場合には適用時のぬめりが生じ感触が悪い。
また、本発明においては、(b)成分(高級アルコール)と(e)成分(グリセリン脂肪酸エステル)も関与した配合量が、それぞれの成分をモル数に換算したときの比率が、(c)+(d):(b)+(e)=1:3〜1:6を満たすものであり、より好ましくは、(c)+(d):(b)+(e)=1:4〜1:6である。(c)+(d)の比率が低い場合には、のびが重く浸透感が得られず、比率が高い場合には、増粘効果が低く乳化化粧料の状態を維持することが困難となる。
【0033】
本発明においては、水中油型乳化化粧料の配合成分として、水溶性増粘剤を配合しないか、配合しても0.15質量%未満であるようにすることが好ましい。このことにより、みずみずしさ、ぬめりのなさやよれのなさ、浸透感といった本発明の効果をより顕著に得ることが可能である。
【0034】
本発明のウフェナマート含有皮膚外用剤には、上記必須成分の他に、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ、各種有効成分、粉末、保湿剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、酸化防止剤、防腐剤、香料等を適宜配合することができる。
【実施例】
【0035】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限り質量%で示す。
【0036】
「表1」及び「表2」に示す処方にて、油相成分と水相成分とを乳化して常法により水中油型乳化組成物からなるウフェナマート含有皮膚外用剤を製造し、製剤としての安定性と使用感を検討した。
【0037】
「乳化粒子の測定」
実施例及び比較例における乳化粒子の粒子径は、光学顕微鏡および専用スケールを用いて測定した。結果を表中に示す。例えば「1〜3(5)」と記載されている場合、これは「おもな乳化粒子径は1〜3μm、5μm程度の大きな粒子も散見された」ということを示す。
【0038】
「製剤の安定性」
試料をガラス瓶に充填し、50℃で2週間放置した後、試料の状態を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
○:分離が認められない。
×:分離が認められる。
【0039】
「使用感」
パネル5名により、試料を肌(腕)に塗布する実使用試験を行い、以下の基準で評価した。
<みずみずしさ、さっぱり感>
◎:パネル 5名がみずみずしさ及びさっぱり感を感じると答えた。
○:パネル 4〜3名がみずみずしさ及びさっぱり感を感じると答えた。
△:パネル 2〜1名がみずみずしさ及びさっぱり感を感じると答えた。
×:パネル 0名がみずみずしさ及びさっぱり感を感じると答えた。
<べたつきのなさ、肌を覆う感じがしないこと>
◎:パネル 5名がべたつきを感じず、かつ、肌を覆う感じがしないと答えた。
○:パネル 4〜3名がべたつきを感じず、かつ、肌を覆う感じがしないと答えた。
△:パネル 2〜1名がべたつきを感じず、かつ、肌を覆う感じがしないと答えた。
×:パネル 0名がべたつきを感じず、かつ、肌を覆う感じがしないと答えた。
【0040】
【表1】

【0041】
<本発明の効果>
実施例1及び2の乳化粒子は、おもに1〜3μmと通常の大きさの乳化粒子を有する水中油型乳化組成物ではあるが、乳化粒子を1μm未満で微細化した比較例1と同程度の優れた製剤安定性を有することが分かる。
すなわち、本発明によれば、乳化粒子を1μm未満に微細化しなくても、(a)ウフェナマートを水中油型乳化組成物からなる皮膚外用剤に安定に配合可能である。
【0042】
【表2】

【0043】
<本発明の顕著な効果>
乳化粒子径がおもに1〜3μmの実施例3の本発明は、乳化粒子径が1μm未満に微細化された比較例2と比べて、格別顕著な使用感(みずみずしさ、さっぱり感、べたつきのなさ、肌を覆う感じがない点)を発揮するウフェナマート含有皮膚外用剤である。
【0044】
以下に本発明のその他の実施例を挙げる。いずれも、安定性に優れ、使用感にも優れた水中油型乳化組成物(乳化粒子が1μm未満に微細化されてはいない)からなるウフェナマート含有皮膚外用剤である。
【0045】
〔実施例4:湿疹皮膚炎用クリーム〕
配合成分 質量%
(a)ウフェナマート 1.0
アラントイン 0.5
パンテノール 1.0
塩酸ピリドキシン 0.1
(g)流動パラフィン 5.0
(g)シリコーン油 2.0
(g)トリイソオクタン酸グリセリン 3.0
(c)モノステアリン酸POE(20)ソルビタン 1.0
(e)ステアリン酸ジグリセリル 1.0
(d)ステアロイルメチルタウリンナトリウム 0.5
(b)ステアリルアルコール 1.5
エチルパラベン 0.15
グリセリン 5.0
1,3ブチレングリコール 6.0
コラーゲン 0.1
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
水酸化ナトリウム 0.05
(f)水 残余
【0046】
〔実施例5:かゆみ止めクリーム〕
配合成分 質量%
(a)ウフェナマート 2.5
リドカイン(水難溶性薬剤) 2.5
クロタミトン(水難溶性薬剤) 10.0
ジフェンヒドラミン(水難溶性薬剤) 1.0
dl−カンフル(水難溶性薬剤) 0.1
dl−メントール(水難溶性薬剤) 0.1
(g)白色ワセリン 2.0
(g)マイクロクリスタリンワックス 0.5
(g)スクワラン 7.0
(g)ミリスチン酸イソプロピル 1.5
(c)モノオレイン酸POE(20)ソルビタン 1.5
(e)モノステアリン酸グリセリル(自己乳化型) 1.0
(d)硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム 1.0
(b)ベヘニルアルコール 5.0
(b)ステアリルアルコール 5.0
ポリエチレングリコール1500 3.0
プロピレングリコール 5.0
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.15
EDTA−2Na 0.05
メチルパラベン 0.05
フェノキシエタノール 0.5
ポリクオタニウム−51 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.05
水酸化カリウム 0.01
(f)水 残余
【0047】
〔実施例6:抗炎症用乳液〕
配合成分 質量%
(a)ウフェナマート 3.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
トコフェロール酢酸エステル(水難溶性薬剤) 1.0
アラントイン 1.0
ビタミンA油(水難溶性薬剤) 0.5
酸化亜鉛(水難溶性薬剤) 10.0
(g)オリーブ油 3.0
(g)軽質流動パラフィン 2.0
(c)モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン 0.5
(c)モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン 0.1
(e)モノステアリン酸グリセリル 1.0
(d)ミリスチル硫酸ナトリウム 1.0
ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体
0.5
(g)環状シリコーン 5.0
(b)セタノール 2.0
グリセリン 7.0
ポリエチレングリコール20000 0.5
フェノキシエタノール 0.3
エチルパラベン 0.2
酒石酸 0.05
酒石酸ナトリウム 0.1
セラミド 0.01
カルボキシビニルポリマー 0.5
トリエタノールアミン 0.1
(f)水 残余
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明によれば、非ステロイド系抗炎症剤である水難溶性のウフェナマートを、微細化した乳化粒子を有する水中油型乳化組成物によらなくても、安定に配合可能な水中油型乳化組成物からなるウフェナマート含有皮膚外用剤を提供できる。
また、水難溶性のウフェナマートを微細化した乳化粒子を有する水中油型乳化組成物に安定に配合する技術に比べて、本発明の皮膚外用剤は極めて顕著にその使用感に優れているので、産業上の利用可能性は高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(a)〜(f)を含有することを特徴とする、水中油型乳化組成物からなるウフェナマート含有皮膚外用剤。
(a)ウフェナマート
(b)高級アルコール
(c)ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル
(d)アニオン界面活性剤
(e)グリセリン脂肪酸エステル
(f)水
【請求項2】
前記アニオン界面活性剤が、アルキル硫酸塩であることを特徴とする請求項1記載のウフェナマート含有皮膚外用剤。
【請求項3】
前記アルキル硫酸塩が、セチル硫酸ナトリウムであることを特徴とする請求項2記載のウフェナマート含有皮膚外用剤。
【請求項4】
前記アニオン界面活性剤が、ステアロイルメチルタウリンナトリウムであることを特徴とする請求項1記載のウフェナマート含有皮膚外用剤。

【公開番号】特開2012−31116(P2012−31116A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173251(P2010−173251)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】