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ウミホタルルシフェリン発光基質及びその製造法
説明

ウミホタルルシフェリン発光基質及びその製造法

【課題】ウミホタル系生物発光測定を行う際のバックグラウンドを低下し、S/N比を改善する。
【解決手段】本発明は、ウミホタルルシフェリンとアスコルビン酸またはその塩、エリソルビン酸またはその塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む、ウミホタルルシフェラーゼとウミホタルルシフェリンを用いた生物発光系に使用するためのウミホタルルシフェリン安定化組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ウミホタルルシフェラーゼと反応するルシフェリン(発光基質)の製造法と、新規なウミホタルルシフェリン化合物とその製造技術の確立に関する。
【0002】
また、本発明は、天然のウミホタルルシフェリンと発光波長が異なる誘導体、バックグラントが低い誘導体、組成物、発光測定方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発光性甲殻類ウミホタル及びその類縁種は分泌性の発光酵素(ルシフェラーゼ)と発光基質(ルシフェリン)を持ち、ウミホタルルシフェリンはウミホタルルシフェラーゼを触媒とした酸化反応により最大発光波長460nmの青色の光を発する。
【0004】
ウミホタルルシフェラーゼは細胞外に分泌される特徴をもつことから、クローン化されたcDNAをレポータ遺伝子として利用すると、哺乳類、酵母細胞でも合成されたタンパクは細胞外に分泌される。よって、細胞を破壊することなくウミホタルルシフェラーゼの発光活性を測定できることから、例えば細胞外で哺乳類細胞内での遺伝子転写活性の測定が可能である(非特許文献1〜2、特許文献1〜3)。また、酵母細胞でのレポータアッセイ用分泌型ルシフェラーゼとして用いられている(特許文献4)
【0005】
この発光酵素を利用した報告には、この分泌型発光酵素を画像解析することで細胞からの蛋白質の分泌を可視化した例(非特許文献3)および、成長ホルモン遺伝子の転写活性領域を挿入したウミホタルレポータ遺伝子を導入した哺乳類細胞を使用することで、生細胞における転写活性の変化を連続的に測定した例(非特許文献4)がある。また、ウミホタルルシフェラーゼと蛍光タンパクの融合体により蛋白質からの活性ペプチドのプロセッシングを定量化した例もある(特許文献5)。
【0006】
創薬分野ではタンパク発現阻害剤や分泌阻害剤などの開発及び探索が重要であり、細胞内におけるターゲットタンパク質の遺伝子転写活性の変化を指標としてスクリーニングが行われている。阻害剤の効果に伴う遺伝子転写活性の変化を伝えるのがレポータ遺伝子(タンパク質)の役目である。レポータタンパク質としては、単に遺伝子のON/OFFを知らせるだけでなく、阻害剤効果の経時変化が解析できること(高い時間分解能)やレポータタンパク質自体に阻害効果を持たない、或いは細胞内機能を撹乱しない(無細胞毒性)などの特性を持つ事が要求される。高い時間分解能を達成し且つ細胞毒性がないレポータ遺伝子としては、細胞内で作られたレポータタンパク質が速やかに分泌されるか、代謝される必要がある。
【0007】
ウミホタルルシフェラーゼは分泌され、細胞外で転写活性の変化を速やかに測定できることから、その用途範囲は広い。これだけ有用なレポータ酵素であるが、ウミホタルルシフェラーゼの実用化・汎用化は見送られてきた。これは、基質であるルシフェリンが充分に供給されていないという大きな問題を抱えているためである。
【0008】
また、ウミホタルルシフェリンの問題点として、ルシフェリンの安定供給の難しさ、ルシフェリンとアルブミン蛋白質等との自家発光、発光波長が他の発光系と重なるなどが挙げられる。
【0009】
これまで、報告されたウミホタルルシフェリンの合成はいずれも前駆体であるエチオルシフェリンを中間体とするものである。エチオルシフェリンの合成については最短でも7工程が必要である(非特許文献5〜7)。最終工程であるエチオルシフェリンからウミホタルルシフェリンまでの工程の収率が悪いと、原料を大量に調製することが必要となるため、ルシフェリンの製造コストを著しく上げることになる。先行文献に記載された方法によると、3-methyl-2-oxovaleric acidとエチオルシフェリンとの縮合反応での光学活性なルシフェリンの合成の収率が3段階で2%である(非特許文献5、図1)。このように、最終工程の収率は極めて低いため、現状では有機合成による光学活性なウミホタルルシフェリンの工業化は困難である。
【0010】
ラミセ体ルシフェリン(非特許文献7)は天然ルシフェリンの約半分の活性しか示さないことや、非天然型ルシフェリンのルシフェラーゼに依存しない発光バックグランドがあることから、光学活性なルシフェリンの合成がバイオアッセイにおいてきわめて重要な課題である。
【0011】
一方、ウミホタルルシフェリンとウミシイタケルシフェリンは基本骨格がイミダゾピラジノン骨格であることから、最大発光波長が近く、ルシフェラーゼ構造によって多少異なるがいずれも460-480nm前後である。この二つの発光系の同時測定が難しい。
【0012】
また、ウミホタルルシフェラーゼと蛍光タンパクの融合体により蛋白質からの活性ペプチドのプロセッシングを定量化した例があるが、ウミホタルルシフェラーゼの発光極大(460nm)と蛍光タンパクの発光極大(525nm)の差(stokes shift)が60nmと少ないので、ウミホタルルシフェラーゼの発光が蛍光タンパクの蛍光への干渉が見られる。この光干渉は蛍光タンパクによるペプチドのプロセッシングの定量化において、高いバックグランドとなっている。最大発光波長が異なるウミホタルルシフェリンアナログの開発が望まれている。
【0013】
さらに、ウミホタルルシフェリンは培養液中のアルブミン等により化学発光を起こし、低い量子収率ながら発光する。自家発光はルシフェラーゼ量に依存しない発光のため、細胞内でのウミホタルルシフェラーゼのイメージングや転写活性の測定などにおけるバックグラウンドとして観察される。バックグラウンドの少ないウミホタルルシフェリンアナログの開発が望まれている。
【0014】
ウミホタルルシフェリン誘導体が合成されスーパーオキシドアニオン定量等に用いられる化学発光試薬が発明されている。しかしながら、ウミホタルルシフェラーゼの基質となる誘導体は開発されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】WO90/01542
【特許文献2】特開平3-30678
【特許文献3】特開2004-187652
【特許文献4】特願2005-169768
【特許文献5】PCT/JP03/15828
【特許文献6】特開平5-60697号公報
【特許文献7】特開平5-286976号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Thompson, E. M., Nagata, S. & Tsuji, F. I. Vargula hilgendorfii luciferase: a secreted reporter enzyme for monitoring gene expression in mammalian cells. Gene 96, 257-62 (1990)
【非特許文献2】Nakajima Y, Kobayashi K, Yamagishi K, Enomoto T and Ohmiya Y: cDNA cloning and characterization of a secreted luciferase from the luminous Japanese ostracod, Cypridina noctiluca. Biosci. Biotechnol. Biochem. 68, 565-70, 2004
【非特許文献3】Inouye, S., Ohmiya, Y., Toya, Y. & Tsuji, F. Imaging of luciferase secretion from transformed Chinese hamster ovary cells. Proc Natl Acad Sci U S A 89, 9584-7 (1992)
【非特許文献4】Tanahashi, Y., Ohmiya, Y., Honma, S., Katsuno, Y., Ohta, H., Nakamura, H., Honma, K. Continuous measurement of targeted promoter activity by a secreted bioluminescence reporter, Vargula hilgendorfii luciferase. Anal Biochem. 289, 260-6 (2001)
【非特許文献5】Kishi, Y.; Goto, T.; Inoue, S.; Sugiura, S.; Kishimoto, H. Tetrahedron Lett. 1966, 3445-3450
【非特許文献6】Karpetsky, T. P.; White, E. H. J. Am. Chem. Soc. 1971, 93, 2333-2334
【非特許文献7】Nakamura, H. Aizawa, M. Takeuchi, D. Murai, A. Shimomura O. Tetrahedron lett. 2000, 41, 2185.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、従来の光学活性なルシフェリンの製造法における工程の多さと低収率の問題を解決すると共に、発光波長の異なるルシフェリンやルシフェリンの供給を確立することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は,以下のウミホタルルシフェラーゼと反応する新規なルシフェリン(発光基質)およびその製造法を提供するものである。
【0019】
1. 一般式(1)で表される化合物をジアゾメタン化合物と反応させ、次いで酸化剤とアルコール類及びグリコール類からなる群から選ばれる少なくとも1種を反応させることを特徴とする、一般式(2)で表される化合物の製造法:
【0020】
【化1】

【0021】
(式中、XはCl又はBrを示す。
【0022】
とRは、同一又は異なって、低級アルコキシ基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基を表すか、RとRはそれらが結合している炭素原子と一緒になってカルボニル基、RとRが一緒になってアルキレンジオキシ基を表す。)
【0023】
2. 一般式(2)で表される化合物:
【0024】
【化2】

【0025】
(式中、RとRは、同一又は異なって、低級アルコキシ基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基を表すか、RとRはそれらが結合している炭素原子と一緒になってカルボニル基、RとRが一緒になってアルキレンジオキシ基を表す。)
【0026】
3. 一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物を反応させることを特徴とする、一般式(4)で表されるウミホタルルシフェリン又はその誘導体の製造法:
【0027】
【化3】

【0028】
(式中、RとRは、同一又は異なって、低級アルコキシ基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基を表すか、RとRはそれらが結合している炭素原子と一緒になってカルボニル基、RとRが一緒になってアルキレンジオキシ基を表す。
【0029】
は、置換されていてもよいアリール基、あるいは置換されていてもよい複素環基を表す。
【0030】
は、置換されていてもよい低級アルキレン基または低級アルケニレン基を示す。
【0031】
は、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、グアニジノ基またはアミジノ基または保護基で保護されたアミノ基、グアニジノ基またはアミジノ基を表す。)
【0032】
4. 一般式(5)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物を反応させることを特徴とする、一般式(7)で表すウミホタルルシフェリンアナログの製造法。
【0033】
【化4】

【0034】
(式中、RとRは、同一又は異なって、低級アルコキシ基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基を表すか、RとRはそれらが結合している炭素原子と一緒になってカルボニル基、RとRが一緒になってアルキレンジオキシ基を表す。
【0035】
は、置換されていてもよいアリール基あるいは置換されていてもよい複素環基を表す。
【0036】
は、フッ素原子で置換されていてもよい低級アルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいシクロアルキル基、5員または6員の芳香環基または複素環基、アラルキル基を示す。
【0037】
は、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、グアニジノ基またはアミジノ基または保護基で保護されたアミノ基、グアニジノ基またはアミジノ基を表す。)
【0038】
5. 一般式(7)で表される化合物:
【0039】
【化5】

【0040】
(式中、Rは、置換されていてもよいアリール基あるいは置換されていてもよい複素環基を表す。
【0041】
は、フッ素原子で置換されていてもよい低級アルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいシクロアルキル基、5員または6員の芳香環基または複素環基、アラルキル基を示す。
【0042】
は、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、グアニジノ基またはアミジノ基または保護基で保護されたアミノ基、グアニジノ基またはアミジノ基を表す。)
【0043】
6. 一般式(3)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物を反応させることを特徴とする一般式(8)で表されるウミホタルルシフェリン誘導体の製造法:
【0044】
【化6】

【0045】
(式中、RとRは、同一又は異なって、低級アルコキシ基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基を表すか、RとRはそれらが結合している炭素原子と一緒になってカルボニル基、RとRが一緒になってアルキレンジオキシ基を表す。
【0046】
は、置換されていてもよいアリール基あるいは置換されていてもよい複素環基を表す。
【0047】
は、フッ素原子で置換されていてもよい低級アルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいシクロアルキル基、5員または6員の芳香環基または複素環基、アラルキル基を示す。
【0048】
は、置換されていてもよい低級アルキレン基または低級アルケニレン基を示す。
【0049】
は、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、グアニジノ基またはアミジノ基または保護基で保護されたアミノ基、グアニジノ基またはアミジノ基を表す。)
【0050】
7. 一般式(8)で表される化合物又はその塩
【0051】
【化7】

【0052】
(式中、Rは、置換されていてもよいアリール基あるいは置換されていてもよい複素環基を表す。
【0053】
は、フッ素原子で置換されていてもよい低級アルキル基、フッ素原子で置換されていてもよいシクロアルキル基、5員または6員の芳香環基または複素環基、アラルキル基を示す。
【0054】
は、置換されていてもよい低級アルキレン基または低級アルケニレン基を示す。
【0055】
は、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、グアニジノ基またはアミジノ基または保護基で保護されたアミノ基、グアニジノ基またはアミジノ基を表す。
【0056】
但し、Rがインドリル基又はフェニル基、Yがプロピレン基、Zがグアニジノ基の場合、Rはsec-ブチル基ではない)。
【0057】
8. 天然ウミホタルルシフェリンよりも低いバックグラントの特性を有する項5または7に記載の化合物又はその塩。
【0058】
9. ウミホタルルシフェラーゼと反応させたときの最大発光波長が天然型ウミホタルルシフェリンと異なることを特徴とする、項5または7に記載の化合物又はその塩。
【0059】
10. 下記式で表される化合物又はその塩:
【0060】
【化8】

【0061】
11. 下記式で表される化合物又はその塩:
【0062】
【化9】

【0063】
12. 下記式で表される化合物又はその塩:
【0064】
【化10】

【0065】
13. 下記式で表される化合物又はその塩:
【0066】
【化11】

【0067】
14. 下記式で表される化合物又はその塩:
【0068】
【化12】

【0069】
15. ウミホタルルシフェリン又はそのアナログと酸化防止剤を含むウミホタルルシフェリン安定化組成物。
【0070】
16. ウミホタルルシフェリン又はそのアナログを酸化防止剤の存在下に保存することを特徴とする、ウミホタルルシフェリンまたはそのアナログの保存方法。
【0071】
17. ウミホタル生物発光系に使用するためのキットであって、ウミホタルルシフェリン又はそのアナログと酸化防止剤を含むキット。
【0072】
18. 少なくとも1種の酸化防止剤のウミホタル生物発光系のバックグラウンドを低減するための使用。
【0073】
19. ウミホタルルシフェラーゼとウミホタルルシフェリン又はそのアナログの生物発光測定系において酸化防止剤の存在下に生物発光を測定することを特徴とする、ウミホタル系生物発光の測定方法。
【0074】
20. 酸化防止剤が、アスコルビン酸またはその塩、エリソルビン酸またはその塩、亜ジチオン酸又はその塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、システイン、チオグリセロール、ブチルヒドロキシアニソール、ポリフェノール類、 チオ硫酸又はその塩、水素化ホウ素アルカリ金属からなる群から選ばれる、項15〜20に記載の方法、組成物又はキット。
【発明の効果】
【0075】
本発明によれば、光学活性なウミホタルルシフェリンを簡便な方法で製造できるようになった。これは一般式(2)の化合物を一般式(3)の化合物と縮合させることで、1段階の反応で目的とする一般式(4)の光学活性体が高収率で得られるようになったためである(図1)。
【0076】
本発明の一般式(7)、(8)の化合物は、ウミホタルルシフェラーゼによる発光波長をシフトさせることができた。
【0077】
例えば、本発明の化合物36は、最大発光波長が390nmまでシフトしており、紫外域の光を発光することができる。化合物36のアナログを作製することにより、最大発光波長が380〜400nm程度のアナログを容易に合成できる。このような波長域の光は種々の化合物によって吸収され、種々の化学物質(例えば抗ガン剤やロドプシンなど)を活性化することが可能になる。
【0078】
さらに酸化防止剤、特にアスコルビン酸またはその塩、エリソルビン酸またはその塩をルシフェリン又はその誘導体の存在下にウミホタル系生物発光測定を行うと、バックグラウンドが低下し、S/N比が改善される。
【0079】
ウミホタルルシフェラーゼ(酵素)、あるいはウミホタルルシフェラーゼ遺伝子を細胞内に含む発現系には、ルシフェラーゼの安定化のためにBSAなどのアルブミンを配合することが多いが、アスコルビン酸、亜硫酸塩(例えばNa2SO3)などの酸化防止剤は、アルブミンによるバックグラウンドの上昇を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】天然ウミホタルルシフェリンの従来の合成法と本発明の合成法の比較を示す。
【図2】本発明のウミホタルルシフェリンの最大発光波長を示す。
【図3】本発明のウミホタルルシフェリン誘導体の応用例を示す。図3Aウミホタルルシフェラーゼとウミホタルルシフェラーゼ・蛍光タンパク融合体の発光原理(A1はウミホタルルシフェラーゼ・ルシフェリンアナログ36、A2はウミホタルルシフェラーゼ・緑色蛍光蛋白質融合体・ルシフェリンアナログ36を各々表す)、図3Bデュアルレポーターアッセイ(2つのプロモーター配列A,Bの遺伝子転写活性を測定する遺伝子構築体)、図3Cデュアルレポーターアッセイによる発光スペクトルの変化(I:プロモーターAが活性化されたスペクトル(プロモーターAのみ発現)、II:プロモーターBが活性化前のスペクトル、III:プロモーターBが活性化後のスペクトル、↑:プロモーターBの活性化と共に相対発光活性(B/A)が増加。)
【発明を実施するための形態】
【0081】
本明細書において、アルキレンジオキシ基としては、エチレンジオキシ、プロピレンジオキシ、ブチレンジオキシ、ペンチレンジオキシ、ヘキシレンジオキシなどの炭素数2〜6、好ましくは炭素数2〜4のアルキレンジオキシ基が挙げられる。
【0082】
ジアゾメタン化合物としては、ジアゾメタン、トリメチルシリルジアゾメタン、などが挙げられる。
【0083】
低級アルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル(Rの場合、光学活性なsec-ブチル基が好ましい)、t-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分枝を有するアルキル基が挙げられる。
【0084】
フッ素原子で置換された低級アルキル基としては、フッ素原子と水素原子と炭素原子からなるフルオロ低級アルキル基、及び、フッ素原子と炭素原子からなるパーフルオロ低級アルキル基が挙げられる、フルオロ低級アルキル基としては、上記低級アルキル基のうち、1個以上(全てではない)の水素原子がフッ素原子で置換された低級アルキル基が挙げられる。パーフルオロ低級アルキル基としては、上記低級アルキル基のうち、全ての水素原子がフッ素原子で置換された低級アルキル基が挙げられる。Rで表されるパーフルオロ低級アルキルとして、CF3、CF2CF3、CF2CF2CF3、CF(CF3)2、CF2CF2CF2CF3、CF2CF(CF3)2、CF(CF3)CF2CF3、C(CF3)3、CF2CF2CF2CF2CF3、CF2CF(CF3)CF2CF3、CF(CF2CF3)2、C(CF3)2CF2CF3 CF2CF2CF2CF2CF2CF3、CF2CF(CF3)CF2CF2CF3、CF(CF2CF3)(CF2CF2CF3)、C(CF3)2CF2CF2CF3、C(CF3)(CF2CF3)2などの炭素数1〜6の直鎖又は分枝を有するパーフルオロアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数3〜6の分枝を有するパーフルオロアルキル基が挙げられる。
【0085】
フルオロアルキル基は、上記パーフルオロ低級アルキル基のうち、1個以上(全てではない)の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜6の直鎖又は分枝を有するフルオロアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数3〜6の分枝を有するフルオロアルキル基が挙げられる。
【0086】
シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの炭素数3〜8,好ましくは炭素数5〜6のシクロアルキル基が挙げられる。
【0087】
フッ素原子で置換されたシクロアルキル基としては、フッ素原子と水素原子と炭素原子からなるフルオロシクロアルキル基、及び、フッ素原子と炭素原子からなるパーフルオロシクロアルキル基が挙げられる、フルオロシクロアルキル基としては、上記シクロアルキル基のうち、1個以上(全てではない)の水素原子がフッ素原子で置換されたシクロアルキル基が挙げられる。パーフルオロシクロアルキル基としては、上記シクロアルキル基のうち、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたシクロアルキル基が挙げられる。
【0088】
で表される5員または6員の芳香環又は複素環基としては、フェニル基、ピリジル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、チエニル基、フリル基、ピリダジニル基が挙げられる。
【0089】
低級アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分枝を有するアルコキシ基が挙げられる。
【0090】
モノ低級アルキルアミノ基としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、イソブチルアミノ、sec-ブチルアミノ、tert-ブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノなどの炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分枝を有するアルキル基でモノ置換されたアミノ基が挙げられる。
【0091】
ジ低級アルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジn-プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジn-ブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジsec-ブチルアミノ、ジtert-ブチルアミノ、ジペンチルアミノ、ジヘキシルアミノなどの炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖または分枝を有するアルキル基でジ置換されたアミノ基が挙げられる。
【0092】
で表される複素環基としては、3−インドリル、1−イソインドリル、3H−インドール−2−イル、1H−インダゾール−3−イル、3−イソキノリニル、1−イソキノリニル、(2−、3−または4−)キノリニル、1−フタラジニル、2−ナフチリジル、2−キナゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、(2−または3−)ベンゾフラン、1−イソベンゾフラン、(2−または3−)ベンゾチオフェン、1−イソベンゾチオフェン、1つの6員の芳香環(ヘテロ環であってもよい)と1つの5員または6員の環の縮合した複素環基が挙げられる。
【0093】
複素環基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、アリール基の置換基としては、ハロゲン原子(特に塩素原子またはフッ素原子)、メチル基、エチル基、アセチル基、メトキシ基、OH、SH、COOH,アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基などが挙げられ、1〜3個のこれらの置換基で置換されていても良い。
【0094】
で表されるアリール基としては、ナフチル基、フェニル基、ビフェニル基、アントラニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、フェナレニル基、アセナフチレニル基、ピレニル基などが挙げられる。
【0095】
アラルキル基としては、ベンジル、1−フェネチル、2−フェネチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、ナフチルメチルなどの炭素数7〜12のアラルキル基が挙げられる。
【0096】
アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ、1−フェネチルオキシ、2−フェネチルオキシ、1-フェニルプロピルオキシ、2-フェニルプロピルオキシ、3−フェニルプロピルオキシ、ナフチルメチルオキシなどの炭素数7〜12のアラルキルオキシ基が挙げられる。
【0097】
で表されるアミノ基、グアニジノ基またはアミジノ基の保護基としては、tert-ブトキシカルボニル(BOC)基、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)基、Fmoc基等の通常の保護基が広く例示できる。
【0098】
で表される低級アルキレン基としては、CH2,CH(CH3),CH2CH2,CH2CH(CH3),CH(CH3)CH2、CH2CH2CH2,CH2CH(CH3)CH2,CH2CH2CH2CH2などの炭素数1〜6,好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基が挙げられ、低級アルケニレン基としては、CH=CH,CH=C(CH3),C(CH3)=CH、CH=CHCH2,CH=C(CH3)CH2,CH2CH=CH,CH=CHCH2CH2などの炭素数1〜6,好ましくは炭素数1〜4のアルケニレン基が挙げられる。
【0099】
次に、スキーム1で示している化合物2の製造法について説明する。
<スキーム1>
【0100】
【化13】

【0101】
(式中、R及びRは、前記に定義される通りである。)
本製造法はArndt-Eistert反応を鍵反応とする三工程である。まず、(+)−2−メチル酪酸(1A)の1モルに対し、1モル程度から過剰量の塩化チオニルを使用し、室温で1〜24時間反応させることで酸クロライドが得られる。次に、得られた酸クロライドを2当量のトリメチルシリルジアゾメタンまたはジアゾメタンを使用し、0〜4℃で1〜4時間を反応させると、ジアゾケトン化合物が得られる。得られたジアゾケトン化合物は1当量程度の酸化剤(特にtert-butyl hypochlorite)を使用し、当量又は過剰のアルコールまたはグリコールの存在下に0〜4℃で1〜2時間反応させることで、新規の光学活性な化合物(2)を得ることができる。また、R1とRはベンジルオキシ基である場合、触媒量の酸化白金の存在下に、加水素分解で一般式(2)の化合物(アルデヒド体)を得ることができる。
【0102】
酸化剤としては、tert-butyl hypochloriteなどが挙げられる。
【0103】
R1とRは、酸化剤と併用させるアルコール(メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノールなどの炭素数1〜6の直鎖又は分枝を有する低級アルコール、或いは、ベンジルアルコールなどの置換基を有してもよいアラルキルアルコール)又はグリコール(エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコールなどの炭素数2〜6のグリコール)に従い導入され、例えばメタノールを使用した場合には、R1とRはともにメトキシ基であり、ベンジルアルコールを使用した場合には、R1とRはともにベンジルオキシ基である。また、メタノールとエタノールを併用すれば、R1とRが各々メトキシとエトキシである化合物が得られる。
【0104】
本発明の1つの実施形態において、置換基を有するアラルキルオキシ基としては、例えば、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、低級アルキル基、SH,アルキルチオ基(S-低級アルキル基)、エチレンジオキシ基等の置換基で、1〜3置換されたアラルキルオキシ基が挙げられる。
<スキーム2>
【0105】
【化14】

【0106】
(式中、R、R、R、Y及びZは、前記に定義される通りである。)
反応は、一般式(3)の化合物1モルに対して、一般式(2)の化合物を1〜4モル程度使用し、酸の存在下または非存在下に65〜100℃程度の温度で1〜2時間反応させることで有利に進行する。
【0107】
一般式(3)の化合物の製造法は次のスキーム3で説明する。
<スキーム3>
【0108】
【化15】

【0109】
(式中、R及びZは、前記に定義される通りである。
【0110】
1aはCH2CH2CH2を示す。
【0111】
は、ハロゲン原子、特にBrまたはClを表す。)
スキーム3で示している一般式(5)または一般式(3)の化合物の製造法について説明する。
【0112】
は、アミノ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、グアニジノ基またはアミジノ基または保護基で保護されたアミノ基、グアニジノ基またはアミジノ基を表し、上記の中間体の製造法においては、好ましくは保護されたアミノ基、グアニジノ基またはアミジノ基である。
【0113】
一般式(5)または一般式(3)の製造法は鈴木カップリング反応を鍵反応とするものである。公知の2−アミノ−3,5−ジハロゲン化アミノピラジン(9A)の1モルに対して、1モルのvinylboronic acid試薬(9B)1モルを使用し、パラジウム触媒と塩基の存在下に、1〜2時間反応させるとオレフィン化合物(一般式(9))が得られる。得られる一般式(9)の化合物からRB(OH)を使用した鈴木カップリング反応で一般式(5)の化合物を得ることができる。
【0114】
一方、オレフィン化合物(9)の1モル対して、10%モルの酸化白金の存在下に水素添加でオレフィンを還元した後、同様にRB(OH)を使用した鈴木カップリング反応で一般式(3a)の化合物を得ることができる。
【0115】
下記スキーム4で一般式(7)の化合物の製造法について説明する。
<スキーム4>
【0116】
【化16】

【0117】
(式中、R、R、R、R及びZは前記に定義される通りである。)
一般式(5)の化合物1モルに対して、一般式(6)の化合物を1〜4モル程度使用し、酸の存在下または非存在下に65〜100℃の温度で1〜2時間反応させることで一般式(7)の化合物が得られる。
<スキーム5>
【0118】
【化17】

【0119】
(式中、R、R、R、R、Y及びZは、前記に定義される通りである。)
一般式(3)の化合物1モルに対して、一般式(6)の化合物を1〜4モル程度使用し、酸の存在下または非存在下に65〜100℃の温度で1〜2時間反応させることで一般式(8)の化合物が得られる。
【0120】
本発明の化合物は、ウミホタルルシフェリンとして有用である。
【0121】
1つの好ましい実施形態において、本発明の化合物は、ウミホタルルシフェラーゼと反応させたときの最大発光波長が天然型ウミホタルルシフェリンと、15 nm以上、長波長側または短波長側にシフトするため、ウミシイタケルシフェリンと区別して測定可能である。
【0122】
さらに、1つの好ましい実施形態において、本発明の化合物は、安定な化合物であり、低いバックグラントの特性を有するものである。本発明の化合物は、具体的には天然型ルシフェリンと比較して、約5%以上バックグラウンドが減少している。
【0123】
本発明において、ウミホタルルシフェリン又はそのアナログと酸化防止剤を併用することで、ウミホタルルシフェリン又はそのアナログを安定化することができる。さらにウミホタルルシフェラーゼとウミホタルルシフェリン又はそのアナログを含むウミホタル系生物発光の測定を酸化防止剤の存在下に行うことで、発光シグナルを増強し、発光バックグラウンドを低減することができ、S/N比を大幅に改善することができる。
【0124】
酸化防止剤としては、アスコルビン酸またはその塩、エリソルビン酸またはその塩、亜ジチオン酸又はその塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、システイン、チオグリセロール、ブチルヒドロキシアニソール、ポリフェノール類、 チオ硫酸又はその塩、水素化ホウ素アルカリ金属などが挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせて使用できる。好ましくはアスコルビン酸、エリソルビン酸又はその塩が挙げられる。2種以上の酸化防止剤を組み合わせる場合には、アスコルビン酸と少なくとも1種の他の酸化防止剤を組み合わせるのが好ましい。
【0125】
アスコルビン酸塩、エリソルビン酸塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、チオ硫酸塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩などが挙げられる。また、水素化ホウ素アルカリ金属としては、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウムなどが挙げられる。
【0126】
アスコルビン酸をウミホタル生物発光系に添加する場合、0.05〜1M程度の濃度で添加するのが好ましい。
【0127】
ウミホタルルシフェリン又はそのアナログと酸化防止剤を含む組成物は、ウミホタルルシフェリン又はそのアナログ(溶液、あるいは粉末、顆粒、結晶などの固形物)を安定化するのに好適である。該組成物において、ウミホタルルシフェリン又はそのアナログ1重量部あたり、酸化防止剤を40000〜800000重量部程度配合する。
【0128】
本発明のウミホタルルシフェリン又はそのアナログは、ウミホタルルシフェリンを含む系に添加されるが、このような系では、0.1〜1%程度のアルブミン(HASまたはBSA、特にBSA)の存在下にルシフェラーゼアッセイを行うことが多い。このアルブミンは、測定系におけるバックグラウンドを顕著に上昇させるが、この測定系にアスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を存在させると、アルブミンによるバックグラウンドの上昇を顕著に抑制することができる。
【0129】
従って、ウミホタルルシフェリン又はそのアナログと酸化防止剤(特にアスコルビン酸、亜硫酸塩)を含む組成物は、ウミホタルルシフェリン又はそのアナログの室温での保存安定性のみならず、測定時のアルブミンによるバックグラウンドの上昇を抑制できるため、特に好ましい。
【実施例】
【0130】
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明する。
【0131】
実施例1:一般式(2A)の化合物(光学活性な1,1-Diethoxy-3-methyl-pentan-2-one)の製造
【0132】
【化18】

【0133】
光学活性なS-2-methylbutyric acid(1g)のCH2Cl2溶液(10 ml)に Thionyl chloride(1.2 ml)を滴下した。そのまま室温で24時間攪拌した。反応液を濃縮し、酸クロライドが得られた。酸クロライドを1:1 THF-Acetonitrile (15 ml)で溶かし、0℃で2M TMSCHN2 (10 ml)を加え、一時間後溶液を濃縮した。その溶液をエタノール(10 ml)で溶かし、0℃で tert-BuOCl(1ml)を滴下した。反応液を0℃で1時間攪拌した。反応液を濃縮し、シリカゲルカラムにて精製した(0.6 g, 39%)S-1,1-Diethoxy-3-methyl-pentan-2-one: 1H NMR (500 MHz, CD3Cl) 0.86 (3H, t, J=7 Hz), 1.08 (3H, d, J=7 Hz), 1.24 (6H, t, J=7 Hz), 1.31-1.73 (2H, m), 2.93 (1H, q, J=7 Hz) 3.51-3.71 (4H, m), 4.63 (1H, s); IR (KBr) 2955, 2871, 1727, 1486, 1367, 1120, 1063 cm-1, [α]D24 = + 22 (c 1.0 dichloromethane).
【0134】
実施例2:一般式(2A)と一般式(10)の化合物を用いた、一般式(11)の化合物(光学活性なウミホタルルシフェリン)の製造
【0135】
【化19】

【0136】
ナスフラスコ(5mL)の中に化合物(10)(10 mg)、水(0.1 ml)、1,1-Diethoxy-3-methyl-pentan-2-one(0.02 ml)、エタノール(0.1 ml)、80℃で30分間加熱した。48%HBr(0.02 ml)を加え、さらに10分間加熱したのち、減圧濃縮した。残渣をエタノールで溶かし、LH-20カラムにて精製し、化合物(11)が(7.1 mg, 50%)で得られた。1H NMR (500 MHz, CD3OD) 0.96 (3H, t, J=7 Hz), 1.45 (3H, d, J=7 Hz), 1.81-1.99 (2H, m), 2.33 (2H, quintet, J=7 Hz), 3.17 (1H, sextet, J=7 Hz), 3.41 (2H, q, J=7 Hz), 3.44 (2H, q, J=7 Hz), 7.18-7.21 (2H, m), 7.50 (1H, d, J=7 Hz), 8.01 (1H, s), 8.07 (1H, d, J=7 Hz), 8.44 (1H, s), [α]D24= +22 (0.046, Acetonitril-Water-10% TFA:39-60-1), 得られた化合物(11)は天然ルシフェリンと同等の活性を示した(試験例1)。
【0137】
実施例3:一般式(12)と一般式(10)の化合物による一般式(11)の化合物(光学活性なウミホタルルシフェリン)の製造
【0138】
【化20】

【0139】
ナスフラスコ(5 ml)の中に化合物(10)(11 mg)、水(0.2 ml)、(+)-sec-Butylglyoxal(0.01 ml)、メタノール(0.1 ml)を加え、1時間65℃で加熱した。反応液を室温に戻したのち、48%のHBrを一滴加え、減圧濃縮した。残渣をエタノールで溶かし、LH-20カラムにて精製し、4 mgの化合物(11)(31%)が得られた。1H NMR (500 MHz, CD3OD) 0.96 (3H, t, J=7 Hz), 1.45 (3H, d, J=7 Hz), 1.81-1.99 (2H, m), 2.33 (2H, quintet, J=7 Hz), 3.17 (1H, sextet, J=7 Hz), 3.41 (2H, q, J=7 Hz), 3.44 (2H, q, J=7 Hz), 7.18-7.21 (2H, m), 7.50 (1H, d, J=7 Hz), 8.01 (1H, s), 8.07 (1H, d, J=7 Hz), 8.44 (1H, s);
【0140】
実施例4:一般式(13)〜(16)の化合物の製造
【0141】
【化21】

【0142】
化合物(13)の合成。
【0143】
2−アミノ−3,5−ジブロモアミノピラジン(1g、4mmol)およびvinylboronic acid試薬(0.8g)のジオキサン72ml−飽和 Na2CO3(24ml)溶液にPd(PPh3)4(50 mg)を加えた。混合物を1時間80℃で加熱した。冷却後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過後、濃縮して粗抽出物が得られた。粗抽出物はクロマトグラフィーで精製されて所望の生成物を得た(450 mg, 34%)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) 1.44 (9H, s), 3.96 (2H, br), 4.69 (2H, br), 4.82 (1H, br), 6.40 (1H, d, J=15 Hz), 6.87 (1H, br), 7.95(1H, s).
【0144】
【化22】

【0145】
化合物(14)の合成
化合物(13)(0.4g, 1 mmol)および1-(phenylsulfonyl)3-indoleboronic acid (0.73 g, 2 mmol)のジオキサン50 ml-飽和Na2CO3(24ml)溶液にPd(PPh3)4(30 mg)を加えた。混合物を1時間80℃で加熱した。冷却後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過後、濃縮して粗抽出物が得られた。粗抽出物はクロマトグラフィーにて精製されて所望の生成物を得た。所望の生成物を8ml Methanol-Dioxane溶液で溶かし、5N 水酸化ナトリウム(2ml)を加えた。室温で一晩攪拌した。後処理した後、混合物をクロマトグラフィーにて精製し、化合物(14)(170mg, 46%)が得られた。1H NMR (500 MHz, CDCl3) 1.45 (9H, s), 4.04 (2H, br), 4.55 (2H, br), 4.80 (1H, br), 6.61 (1H, d, J=15 Hz), 6.94 (1H, br), 7.21−7.27(2H, m), 7.41 (1H, d, J =7 Hz), 7.66 (1H, d, J =2.5 Hz) 8.41(1H, br), 8.35(1H, s).
【0146】
【化23】

【0147】
化合物(15)の合成。
【0148】
化合物(14)をTFA(トリフルオロ酢酸)溶液で溶かし、1時間で攪拌して濃縮した。濃縮得られた混合液をクロマトグラフィーにて精製し、化合物(15)(170mg)が得られた
1H NMR (500 MHz, CD3OD) 3.85 (2H, d, J =7 Hz), 6.98-7.17(4H, m), 7.41 (1H, d, J =7 Hz), 7.77 (1H, s), 8.28 (1H, d, J =7 Hz), 8.34(1H, s).
【0149】
【化24】

【0150】
化合物(15)(150mg, 0.6 mmol)、Pyrazole-1-carboxamidine(175 mg), DIEA (303 mg)のDMF溶液を室温で1晩攪拌した。エーテルを加え、沈殿が得られた。沈殿をメタノールで溶かし、再結晶にて化合物(16)(95 mg, 53%)が得られた。1H NMR (500 MHz, CD3OD) 4.20 (2H, d, J =7 Hz), 7.05-7.17(4H, m), 7.43 (1H, d, J =7 Hz), 7.87 (1H, s), 8.12(1H, d, J=7 Hz), 8.08(1H, s).
【0151】
実施例5:一般式(16)と一般式(12)の化合物を反応させる、一般式(17)の化合物の製造
【0152】
【化25】

【0153】
化合物(17)の合成。
【0154】
ナスフラスコの中に化合物(16)(7mg, 22mmol)、水(0.1ml)、化合物(12)(0.02 ml)、エタノール(0.05 ml)、100℃で30分間加熱した。48%HBr(0.02 ml)を加え、さらに10分間加熱したのち、減圧濃縮した。残渣をエタノールで溶かし、LH-20カラムにて精製し、化合物(17)が(3.5 mg, 39%)で得られた。1H NMR (500 MHz, CD3OD) 0.96 (3H, t, J=7 Hz), 1.44 (3H, d, J=7 Hz), 1.81-1.99 (2H, m), 4.20 (2H, d, J=7 Hz), 7.18-7.21 (4H, m), 7.42 (1H, d, J=7 Hz), 7.94 (1H, s), 8.07 (1H, d, J=7 Hz), 8.11 (1H, s).
【0155】
実施例6:一般式(10)の化合物の合成
【0156】
【化26】

【0157】
化合物(18)の合成。
【0158】
化合物(13)(1g, 0.3 mmol)をエタノール(50 ml)に溶かし、この中に酸化白金(100 mg)を加えた。水素雰囲気下で24時間激しく攪拌した。反応液をセライトで敷いたガラスフィルターで吸引ろ過した。ろ過液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物(18)が得られた。(800 mg, 79%)化合物(18)の物性:1H NMR (500 MHz, CDCl3) 1.44 (9H, s), ), 2.03 (2H, d, J=7 Hz), 2.80 (2H, d, J=7 Hz), 3.28 (2H, d, J=7 Hz), 7.95(1H, s).
化合物(10)は実施例4で示した化合物(16)の製造法と同じ方法で製造された。
化合物(10)の物性:1H NMR (500 MHz, CDCl3) 2.03 (2H, d, J=7 Hz), 2.80 (2H, d, J=7 Hz), 3.28 (2H, d, J=7 Hz), 7.08-7.16 (2H, m), 7.41(1H, d, J =7Hz) 7.90(1H, s), 8.30 (1H, s).
【0159】
実施例7:一般式(10)の化合物と、一般式(6)に含まれる化合物(19)、(20)、(21)、(22)、(23)を反応させ、化合物(24)、(25)、(26)、(27),(28)を各々合成した。
【0160】
【化27】

【0161】
化合物(24)の合成:ナスフラスコの中に化合物(10)(30 mg)、水(0.4 ml)、19 (0.030 ml)、エタノール(0.2 ml)、49% HBr (0.03 ml) 1時間100℃で加熱した。反応液を室温に戻したのち、減圧濃縮した。残渣をエタノールで溶かし、LH-20カラムにて精製し、化合物(24)(15 mg, 38%)が得られた。1H NMR (500 MHz, CD3OD) 2.33 (2H, quintet, J=7 Hz), 2.54 (3H, s), 3.31 (2H, t, J=7 Hz), 3.43 (2H, t, J=7 Hz), 7.17-7.22 (2H, m), 7.47 (1H, d, J=7 Hz), 7.98 (1H, s), 8.01 (1H, d, J=7 Hz), 8.31 (1H, s); IR (KBr) 3376, 3175, 1661, 1550, 1454 cm-1.
【0162】
化合物(25)は化合物(24)の製造方法と同じ方法で得られた。化合物(25)の物性: 1H NMR (500 MHz, CD3OD) 1.41 (3H, t, J=7 Hz), 2.33 (2H, quintet, J=7 Hz), 2.95 (2H, q, J=7 Hz), 3.35 (2H, t, J=7 Hz), 3.43 (2H, t, J=7 Hz), 7.16-7.22 (2H, m), 7.47 (1H, d, J=7 Hz), 7.99 (1H, s), 8.02 (1H, d, J=7 Hz), 8.35 (1H, s); IR (KBr) 3376,3175,1661, 1550, 1454 cm-1.
【0163】
化合物(26)は化合物(24)の製造方法と同じ方法で得られた。化合物(26)の物性: 1H NMR (500 MHz, CD3OD) 1.50 (6H, t, J=7 Hz), 2.29 (2H, quintet, J=7 Hz), 3.32 (1H, sextet, J=7 Hz), 3.37 (2H, q, J=7 Hz), 3.43 (2H, q, J=7 Hz), 7.11-7.14 (2H, m), 7.40 (1H, d, J=7 Hz), 7.96 (1H, s), 7.94 (1H, d, J=7 Hz), 8.22 (1H, s); IR (KBr) 3376, 3175, 1655, 1548, 1452 cm-1.
【0164】
化合物(27)は化合物(24)の製造方法と同じ方法で得られた。化合物(27)の物性: 1H NMR (500 MHz, CD3OD) 1.03 (6H, d, J=7 Hz), 2.18 (1H, m), 2.33 (2H, quintet, J=7 Hz), 2.78 (2H, d, J=7 Hz), 3.35 (2H, t, J=7 Hz), 3.43 (2H, t, J=7 Hz), 7.16-7.22 (2H, m), 7.47 (1H, d, J=7 Hz), 7.99 (1H, s), 8.04 (1H, d, J=7 Hz), 8.36 (1H, s); IR (KBr) 3376, 3175, 1661, 1550, 1454 cm-1.
【0165】
化合物(28)は化合物(24)の製造方法と同じ方法で得られた。化合物(28)の物性:1H NMR (500 MHz, CD3OD) 2.27 (2H, quintet, J=7 Hz), 2.99(2H, t, J=7 Hz), 3.41 (2H, t, J=7 Hz), , 7.14-7.22 (2H, m), 7.43 (1H, d, J=7 Hz), 7.87 (1H, s), 8.02 (1H, s), 8.06 (1H, d, J=7 Hz).
【0166】
実施例8
化合物(30)の合成:ナスフラスコの中に化合物(10)(10 mg)、水(0.1 ml)、29 (0.020 ml)、エタノール(0.1 ml)、49% HBr (0.01 ml) 1時間100℃で加熱した。反応液を室温に戻したのち、減圧濃縮した。残渣をエタノールで溶かし、LH-20カラムにて精製し、化合物(30)(6 mg, 42%)が得られた。1H NMR (500 MHz, CD3OD) 2.24 (2H, quintet, J=7 Hz), 3.25 (2H, t, J=7 Hz), 3.39 (2H, t, J=7 Hz), 4.27 (2H, s), 7.10 (2H, dd, J=7 Hz), 7.24 (1H, t, J=7 Hz), 7.30-7.45 (5H, m), 7.93(1H, dd, J=7 Hz), 7.96 (1H, s), 8.27 (1H, s).
【0167】
【化28】

【0168】
化合物(32)の合成:ナスフラスコの中に化合物(10)(10 mg)、水(0.1 ml)、31 (0.020 ml)、エタノール(0.1 ml)、49% HBr (0.01 ml) 1時間100℃で加熱した。反応液を室温に戻したのち、減圧濃縮した。残渣をエタノールで溶かし、LH-20カラムにて精製し、化合物(32)(5.0 mg, 34%)が得られた。1H NMR (500 MHz, CD3OD) 1.84 (3H, d, J =7 Hz), 2.29 (2H, quintet, J=7 Hz), 3.38 (2H, t, J=7 Hz), 3.42 (2H, t, J=7 Hz), 4.60 (1H, q, J =7 Hz), 7.16 (2H, dd, J=7 Hz), 7.24 (1H, t, J=7 Hz), 7.32 (2H, t, J=7 Hz), 7.40 (2H, d, J=7 Hz), 7.43(1H, dd, J=7 Hz) 7.97(1H, dd, J=7 Hz), 7.98 (1H, s), 8.27 (1H, s).
【0169】
【化29】

【0170】
化合物(34)の合成:ナスフラスコの中に化合物(10)(10 mg)、水(0.1 ml)、33 (0.020 ml)、エタノール(0.1 ml)、49% HBr (0.01 ml) 1時間100℃で加熱した。反応液を室温に戻したのち、減圧濃縮した。残渣をエタノールで溶かし、LH-20カラムにて精製し、化合物(32)(5.2 mg, 35%)が得られた。1H NMR (500 MHz, CD3OD) 0.99 (3H, t, J =7 Hz) 1.84 (3H, d, J =7 Hz), 2.32 (4H, m), 3.41 (2H, t, J=7 Hz), 3.44 (2H, t, J=7 Hz), 4.29 (1H, t, J =7 Hz), 7.16-7.23 (3H, m), 7.30 (2H, t, J=7 Hz), 7.44 (2H, d, J =7 Hz), 7.47(1H, dd, J=7 Hz) 7.95(1H, dd, J=7 Hz), 7.97 (1H, s), 8.34 (1H, s).
【0171】
【化30】

【0172】
化合物(35)の合成:化合物(13)(0.2g, 0.6 mmol)および2-Naphthyl-boronic acid (103 mg, 0.6 mmol)のジオキサン50 ml-飽和Na2CO3(24ml)溶液にPd(PPh3)4(40 mg)を加えた。混合物を1時間80℃で加熱した。冷却後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過後、濃縮して粗抽出物が得られた。粗抽出物はクロマトグラフィーにて精製されて所望の生成物を得た。得られた化合物を1mlのTFA(トリフルオロ酢酸)溶液で溶かし、1時間攪拌して濃縮した。さらにトリフルオロ酢酸塩化合物を3.5 mlのDMFで溶かし、Pyrazole-1-carboxamidine (280 mg), DIEA (301 mg)を加え、室温で1晩攪拌した。エーテルを加え、沈殿が得られた。沈殿をメタノールで溶かし、再結晶にて化合物(35)(135 mg, 70 %)が得られた。1H NMR (500 MHz, CD3OD) 2.21 (2H, quintet, J=7 Hz), 2.90 (2H, t, J=7 Hz), 3.37 (2H, t, J=7 Hz), 7.46 (2H, d, J =7 Hz), 7.50 (1H, d, J =7 Hz), 7.86 (2H, d, J =7 Hz), 8.01(1H, d, J =7 Hz), 8.30 (1H, s), 8.37(1H, s).
【0173】
【化31】

【0174】
化合物(36)の合成: ナスフラスコの中に化合物(35)(10 mg)、水(0.1 ml)、化合物(2A)(0.020 ml)、エタノール(0.1 ml)、49% HBr (0.01 ml) 1時間100℃で加熱した。反応液を室温に戻したのち、減圧濃縮した。残渣をエタノールで溶かし、LH-20カラムにて精製し、化合物(36)(3.5 mg, 27%)が得られた。1H NMR (500 MHz, CD3OD) 0.96 (3H, t, J =7 Hz),1.47 (3H, d, J =7 Hz) 1.86 (2H, m), 2.35 (2H, quintet, J=7 Hz), 3.19 (1H, m),3.43 (2H, t, J=7 Hz), 3.48 (2H, t, J=7 Hz),7.55(2H, d, J =7 Hz), 7.90 (1H, d, J =7 Hz), 8.01 (2H, d, J =7 Hz), 8.14(1H, d, J =7 Hz), 8.60 (1H, s), 8.78(1H, s).
【0175】
【化32】

【0176】
化合物(37)の合成:ナスフラスコの中に化合物(16)(10 mg)、水(0.1 ml)、化合物33 (0.020 ml)、エタノール(0.1 ml)、49% HBr (0.01 ml) 1時間100℃で加熱した。反応液を室温に戻したのち、減圧濃縮した。残渣をエタノールで溶かし、LH-20カラムにて精製し、化合物(37)(4.4 mg, 30%)が得られた。1H NMR (500 MHz, CD3OD) 1.83 (3H, d, J =7 Hz), 4.20 (2H, d, J=7 Hz), 4.60 (1H, q, J =7 Hz), 7.18-7.32 (8H, m), 7.42 (1H, d, J=7 Hz), 7.94 (1H, s), 8.07 (1H, d, J=7 Hz), 8.11 (1H, s).
【0177】
【化33】

【0178】
試験例1:ウミホタルルシフェリン類の発光スペクトル性測定
0.1ml の50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)の中に、ウミホタルルシフェラ−ゼ(終濃度100 ng/ml)とウミホタルルシフェリンまたはオレフィン基を有する新規ウミホタルルシフェリンアナログ(化合物(17))を混合し、30秒間積算した発光スペクトルを計測した結果、化合物(17)の発光最大波長は天然ルシフェリンに比べて、約15 nmほど長波長側へシフトした。
【0179】
試験例2:ウミホタルルシフェリン類の発光スペクトルの測定
0.1ml の50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)の中に、ウミホタルルシフェラ−ゼ(終濃度100 ng/ml)と新規ウミホタルルシフェリンアナログ(化合物(30),(32),(34),(36),(37))を混合し、発光スペクトルを計測した(図2)。
【0180】
その結果、ウミホタルルシフェリンの2位にベンジル基を持つ化合物(30)と2位に2級ブチル基と6位にナフタレンを有する化合物(36)場合、生物発光波長が天然ルシフェリン(11)より短波長へシフトし、2位に枝分かれのベンジル基を含んだ化合物(32),(34)は、天然ルシフェリン(11)より長波長へシフトすることがわかった。従来できていなかったウミホタルルシフェラーゼの発光波長の制御が可能となった。特に、化合物(36)の発光極大波長は顕著に紫外線領域へ(390nm)シフトし、従来の発光系と異なる発光色を示すことができる。その発光極大波長390nmにおいて、ウミシイタケルシフェラーゼ(青)やホタルルシフェラーゼ(黄緑から赤まで)による発光の光干渉は殆ど受けないので、光フィルターを使用することなく、発光を計測できる。また、この化合物(36)の発光極大波長は緑色蛍光タンパク、黄色蛍光タンパク質の蛍光極大波長との差(stokes shift)が大きいので、この基質を利用すれば、ウミホタルルシフェラーゼの発光による蛍光タンパクの蛍光極大波長への光干渉が低減するので、ウミホタルルシフェラーゼ・蛍光タンパク質の融合体による蛋白質からの活性ペプチドのプロセッシングの定量化に適している。
【0181】
実施例9
0.3M アスコルビン酸ナトリウムを含むまたは含まない0.1 ml の100mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)または0.1 ml の100mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)・0.3M NaClの中に、ウミホタルルシフェリン(終濃度1μM)を混合し、10秒間の発光値(バックグランド)を測定したのちに、ウミホタルルシフェラ−ゼ(終濃度5 ng/ml)を加え、10秒間のルシフェラーゼによる発光値を測定した。
結果を表1に示す。
【0182】
さらに、室温で24時間後のルシフェリンの活性を測定した。結果を表2に示す。
【0183】
表1に示されるように、アスコルビン酸ナトリウム塩を含んだバッファ系はS/Nが少なくとも16倍以上改善された。
【0184】
また、表2に示されるように、ルシフェリンは0.3M アスコルビン酸ナトリウム塩を含む0.1 ml の100mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)において室温でも安定であることがわかった。
【0185】
【表1】

【0186】
【表2】

【0187】
実施例10:24時間を越える室温でのウミホタルルシフェリンの保存
0.3M アスコルビン酸ナトリウムと0.02M 亜硫酸ナトリウムを含む100mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)の中に、ウミホタルルシフェリン(終濃度1μM)とウミホタルルシフェラ−ゼ(終濃度5 ng/ml)を混合し、10秒間のルシフェラーゼによる発光値を測定した。さらに、室温で放置したルシフェリンの24時間後の生物発光活性を測定した。結果を表3に示す。
【0188】
【表3】

【0189】
表3に示されるように、ルシフェリンと0.3M アスコルビン酸ナトリウム塩と0.02M Na2SO3を含む0.1 ml の100mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)は0.3M アスコルビン酸ナトリウム塩の単独(実施例9の24時間後、表2)に比べて、室温での安定性がさらに向上することがわかった。
【0190】
実施例11:酸化防止剤であるアスコルビン酸ナトリウムと亜硫酸ナトリウムによるBSAのバックグランドの低減
酸化防止剤が無い条件、0.3M アスコルビン酸ナトリウム、0.3M アスコルビン酸ナトリウムと0.02M Na2SO3を含む100mM Tris-HCl緩衝液/1% BSA(pH7.5)の中に、ウミホタルルシフェリン(終濃度1μM)を混合し、10秒間の発光値(バックグランド)を測定したのちに、ウミホタルルシフェラ−ゼ(終濃度5 ng/ml)を加え、10秒間のルシフェラーゼによる発光値を測定した。結果を表4に示す。
【0191】
【表4】

【0192】
表4に示されるように、ルシフェリンと0.3M アスコルビン酸ナトリウム塩と0.02M Na2SO3を含む0.1 ml の100mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)はBSAによる発光バックグランドが凡そ10倍低下し、S/Nの比が14倍ぐらい改善されることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0193】
本発明のウミホタルルシフェリン発光基質は、ウミホタルルシフェラーゼ・ウミホタルルシフェリンアナログ(発光波長の異なる)によるデュアルレポーターアッセイ法など応用が可能である。具体的には、
1.発光最大波長が390〜620nmであって、発光波長が測定条件に依存しない光を発光する2つのウミホタルルシフェラーゼ及びウミホタルルシフェラーゼ・蛍光タンパク質融合体遺伝子による2つの遺伝子転写活性を、細胞外に分泌されたタンパク質で計測するシステム。
2.ウミホタルルシフェラーゼ・ウミホタルルシフェリンアナログ反応により発光最大波長が390-520nmとなる発光反応。ウミホタルルシフェリンアナログ36なら最大発光波長およそ390nm(図3A)
3.ウミホタルルシフェラーゼ・蛍光タンパク質融合体・ウミホタルルシフェリンアナログ反応により発光最大波長が500-620nmとなる発光反応。例えば、ウミホタルルシフェラーゼ・GFPならおよそ510nm(図3A)
4.2,3の組み合わせは最大発光波長が100nm以上離れていることが望ましいが、30nmなら色分割可能であり、その組み合わせでデュアルレポーターアッセイを行う。
5.ウミホタルルシフェラーゼ遺伝子上流にプロモ−ターAを、ウミホタルルシフェラーゼ・蛍光タンパク質融合体上流にプロモ−ターBを挿入(図3B)、2つの遺伝子構築体を細胞内にトランスフェクション、トランスフェクション後、一定時間培養後、回収した培養液か、或いは培養プレートに直接、ウミホタルルシフェリンアナログを加え、色フィルターで分離、2つの発光量を測定、プロモーターA、Bの活性量を測定する(細胞破砕する必要がないことから、生きた細胞のまま、遺伝子転写活性を測定できる)(図3C)。プロモーターAのみが活性化している場合、最大発光波長390nmの発光のみ観察されるが、プロモーターBの活性化と共に510nm付近にピークが観察され、これが増大する。発光スペクトルはフィルターによって簡単に分離可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウミホタルルシフェリンとアスコルビン酸またはその塩、エリソルビン酸またはその塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含む、ウミホタルルシフェラーゼとウミホタルルシフェリンを用いた生物発光系に使用するためのウミホタルルシフェリン安定化組成物。
【請求項2】
ウミホタルルシフェリンをアスコルビン酸またはその塩、エリソルビン酸またはその塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上の存在下に保存することを特徴とする、ウミホタルルシフェラーゼとウミホタルルシフェリンを用いた生物発光系に使用されるウミホタルルシフェリンの保存方法。
【請求項3】
ウミホタル生物発光系に使用するためのキットであって、ウミホタルルシフェリンと、アスコルビン酸またはその塩、エリソルビン酸またはその塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含むキットであって、ウミホタル生物発光系はウミホタルルシフェラーゼとウミホタルルシフェリンを用いた生物発光系である、キット。
【請求項4】
アスコルビン酸またはその塩、エリソルビン酸またはその塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上の酸化防止剤のウミホタル生物発光系のバックグラウンドを低減するための使用であって、ウミホタル生物発光系はウミホタルルシフェラーゼとウミホタルルシフェリンを用いた生物発光系である、使用。
【請求項5】
ウミホタルルシフェラーゼとウミホタルルシフェリンの生物発光測定系においてアススコルビン酸またはその塩、エリソルビン酸またはその塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上の存在下に生物発光を測定することを特徴とする、ウミホタル系生物発光の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−95649(P2012−95649A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234649(P2011−234649)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【分割の表示】特願2007−536587(P2007−536587)の分割
【原出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、経済産業省「地域中小企業支援型研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】