説明

ウリジン3リン酸の製造方法及びヒアルロン酸の製造方法

【課題】効率よくウリジン3リン酸及びヒアルロン酸を製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ヒアルロン酸シンターゼ(D)、ヒアルロン酸及びウリジン2リン酸を含む組成物(Z)とリン酸基含有化合物(A)とにウリジン3リン酸合成酵素(B)を作用させてウリジン3リン酸を製造する方法において、下記ミカエリス定数Kmが下記阻害濃度IC50の100倍未満であるウリジン3リン酸の製造方法。
ミカエリス定数Km:ウリジン2リン酸を基質とし、(B)を酵素とし、リン酸基含有化合物を作用させてウリジン3リン酸を合成する反応におけるミカエリス定数。
阻害濃度IC50:基質としてウリジン2リン酸−グルクロン酸及びウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンを用いて、阻害剤としてウリジン2リン酸を用いて求めた、(D)の酵素活性が半減するときのウリジン2リン酸の濃度。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウリジン3リン酸の製造方法及びヒアルロン酸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸は牛の眼球、鶏冠、動物の緩衝組織、胎盤、癌細胞及び皮膚などの生体組織に多量に含まれているもので、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンとがβ1,3結合とβ1,4結合で交互に結合した直鎖状の多糖であり、分子量が105〜106Daの高分子量のグルコサミノグリカンである。ヒアルロン酸は、粘度が高く、高い保湿効果を有し、物理的摩擦に対する潤滑効果及び細菌などの侵入に対する保護効果が優れているという性質を持つ。
ヒアルロン酸はこれらの性質を持つので、化粧品添加剤だけでなく、関節炎治療剤、創傷被覆剤、眼科手術用手術補助剤及び外科手術後の癒着阻止剤などの医薬品としても広範囲に使用される。
【0003】
ヒアルロン酸の生産方法としては、(1)前記の生体組織から抽出する方法(特許文献1及び特許文献2)、(2)グルコース等の糖の存在下で、ヒアルロン酸を生成する能力を有する微生物を培養してヒアルロン酸を生産し、回収する方法(微生物培養方法)(特許文献3及び特許文献4)が多く知られている。
しかしながら、(1)の抽出方法により得られたヒアルロン酸には、コンドロイチンサルフェート及びグリコサミノグリカンサルフェート等の不純物が含まれており、これらを除去するには複雑な精製過程を要するという問題がある。
【0004】
また、(2)の微生物培養方法によるヒアルロン酸の生産では、ヒアルロン酸が生産されるのに伴って、培養溶液の粘度が上昇するため、通気攪拌が困難になる。さらに、通気攪拌が困難になることにより、ヒアルロン酸の生産が停止する。したがって、微生物培養方法は、ヒアルロン酸の生産効率が非常に低い問題がある。また、用いた微生物の除去に複雑な精製過程を要する問題がある。さらに、微生物の有するヒアルロン酸分解酵素により、生産されたヒアルロン酸が分解されるため、ヒアルロン酸の分子量が大きくならない及び分子量の不均一性が高くなる等の問題もある。
【0005】
そこで、生体組織からの抽出や微生物培養によらない第3のヒアルロン酸の生産方法として、(3)ヒアルロン酸合成酵素であるヒアルロン酸シンターゼを用いた方法(非特許文献1)が検討されている。ヒアルロン酸シンターゼを用いた方法では、原料として、ウリジン2リン酸−グルクロン酸及びウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンを用いる。また、ウリジン2リン酸−グルクロン酸は、ウリジン2リン酸から合成されたウリジン3リン酸を用いて1−ホスホ−グルクロン酸と反応させることにより得られる。
【0006】
ヒアルロン酸シンターゼを用いてヒアルロン酸を合成する際、副生成物としてウリジン2リン酸が生成する。この生成したウリジン2リン酸は、ヒアルロン酸シンターゼに対して阻害剤として作用することが知られている(非特許文献2)。また、生成したウリジン2リン酸を利用して、ウリジン3リン酸合成酵素による酵素反応によりウリジン3リン酸を合成しようとする場合、ヒアルロン酸シンターゼが存在すると、ウリジン3リン酸を合成する酵素がうまく作用せず、ウリジン3リン酸を少量しか生成できない問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】The Journal of Biochemistry,1998,Vol.273,No.14,P8454−8458
【非特許文献2】Biochemistry,2004,Vol43,No28,P9234−9242
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,141,973号明細書
【特許文献2】米国特許第4,303,676号明細書
【特許文献3】特開昭58−056692号公報
【特許文献4】国際公開第86/8604355号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ヒアルロン酸シンターゼを用いてヒアルロン酸を製造した際に得られるヒアルロン酸シンターゼとウリジン2リン酸とを含む組成物から、ウリジン2リン酸を効率よく利用して、ウリジン3リン酸を製造する方法を提供することを目的とする。さらに、ヒアルロン酸を製造した際に得られるウリジン2リン酸を効率よく利用してヒアルロン酸を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のウリジン3リン酸の製造方法は、ヒアルロン酸シンターゼ(D)、ヒアルロン酸及びウリジン2リン酸を含む組成物(Z)とリン酸基含有化合物(A)とにウリジン3リン酸合成酵素(B)を作用させてウリジン3リン酸を製造する方法において、下記ミカエリス定数Kmが下記阻害濃度IC50の100倍未満であるウリジン3リン酸の製造方法である。
ミカエリス定数Km:ウリジン2リン酸を基質とし、(B)を酵素とし、リン酸基含有化合物(A)を作用させてウリジン3リン酸を合成する反応におけるミカエリス定数。
阻害濃度IC50:(D)をウリジン2リン酸−グルクロン酸及びウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンに作用させる際の(D)の濃度において、基質としてウリジン2リン酸−グルクロン酸及びウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンを用いて、阻害剤としてウリジン2リン酸を用いて求めた、(D)の酵素活性が半減するときのウリジン2リン酸の濃度。
【0011】
また、本発明のヒアルロン酸の製造方法は、下記工程(1)〜(3)を含んでなり、工程(1)、(2)、(3)及び(1)の順に含む又は工程(1)〜(3)のうち2つを同時に行う工程を含む製造方法であり、下記ミカエリス定数Kmが下記阻害濃度IC50の100倍未満であるヒアルロン酸の製造方法である。
工程(1):ウリジン2リン酸−グルクロン酸とウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンとにヒアルロン酸シンターゼ(D)を作用させて(D)、ヒアルロン酸及びウリジン2リン酸を含む組成物(Z’)を得る工程。
工程(2):組成物(Z’)とリン酸基含有化合物(A)とにウリジン3リン酸合成酵素(B)を作用させてウリジン3リン酸を得る工程。
工程(3):ウリジン3リン酸と1−ホスホ−グルクロン酸とにウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)を作用させてウリジン2リン酸−グルクロン酸を得る工程。
ミカエリス定数Km:ウリジン2リン酸を基質とし、(B)を酵素とし、リン酸基含有化合物(A)を作用させてウリジン3リン酸を合成する反応におけるミカエリス定数。
阻害濃度IC50:(D)をウリジン2リン酸−グルクロン酸及びウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンに作用させる際の(D)の濃度において、基質としてウリジン2リン酸−グルクロン酸及びウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンを用いて、阻害剤としてウリジン2リン酸を用いて求めた、(D)の酵素活性が半減するときのウリジン2リン酸の濃度。
【発明の効果】
【0012】
本発明のウリジン3リン酸の製造方法は、ヒアルロン酸シンターゼを用いてヒアルロン酸を製造した際に副生成するウリジン2リン酸を効率よく用いて、ウリジン3リン酸を多く得ることができるという効果を奏する。
また、本発明のヒアルロン酸の製造方法は、ヒアルロン酸シンターゼを用いてヒアルロン酸を製造した際に副生成するウリジン2リン酸を効率よく利用して、ウリジン3リン酸を製造することができ、さらに、このウリジン3リン酸を使用してヒアルロン酸を製造することで、ヒアルロン酸の製造において、ウリジン3リン酸の合計使用量を低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ウリジン2リン酸を基質とし、ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)を酵素とし、アデノシン3リン酸を作用させてウリジン3リン酸を合成する反応におけるミカエリス定数Kmを求めるために作成したHanes−Woolfプロットであり、縦軸を基質濃度を反応初速度で除した値([S]/v)、横軸をウリジン2リン酸の濃度[S]としてプロットしたグラフである。
【図2】ヒアルロン酸シンターゼ(D)の酵素活性が半減するときのウリジン2リン酸の濃度である阻害濃度IC50を求めるために作成したグラフであり、横軸(x軸)にそれぞれのウリジン2リン酸濃度[I]、縦軸(y軸)にウリジン2リン酸の濃度が異なるバッファー2〜7での酵素反応初速度のウリジン2リン酸の濃度が0mMであるバッファー3の結果を100とした場合の相対値をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、ウリジン2リン酸−グルクロン酸とは、ウリジン2リン酸のリン酸基にグルクロン酸が結合した化合物である。ウリジン2リン酸−グルクロン酸は、例えば、ウリジン3リン酸とグルクロン酸1リン酸から合成することができる。また、ウリジン2リン酸−グルコースの酸化によって得ることができる。さらに、ウリジン2リン酸−グルコースの酸化を行うウリジン2リン酸デヒドロゲナーゼを過剰発現した微生物を用いた微生物培養方法によっても生産可能である。
【0015】
本発明において、ウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンとは、ウリジン2リン酸のリン酸基にN−アセチルグルコサミンが結合した化合物である。ウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンは、例えば、ウリジン3リン酸とN−アセチルグルコサミン1リン酸からウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼによって合成することができる。また、N−アセチルグルコサミンからアセチルグルコサミン1リン酸ウリジルトランスフェラーゼ、ホスホアセチルグルコサミンムターゼ又はアセチルグルコサミンキナーゼ等の酵素を用いても生産可能である。
【0016】
本発明のヒアルロン酸シンターゼ(D)は、ウリジン2リン酸−グルクロン酸とウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンとを基質として、ヒアルロン酸を合成する活性を有する酵素であれば特に限定されない。(D)には、動物起源の動物ヒアルロン酸シンターゼ(D−1)、微生物起源の微生物ヒアルロン酸シンターゼ(D−2)、(D−1)〜(D−2)が化学的に修飾された変異体(D−3)及び(D−1)〜(D−2)が遺伝子的に修飾された変異体(D−4)が含まれる。
【0017】
動物ヒアルロン酸シンターゼ(D−1)としては、例えば、ラット由来及びアフリカツメガエル由来のもの等が挙げられる。
【0018】
微生物ヒアルロン酸シンターゼ(D−2)としては、例えば、ストレプトコッカス(Streptoccus)属由来及びパスツレラ(Pasteurella属由来のもの等が挙げられる。
【0019】
化学的に修飾したヒアルロン酸シンターゼ(D−3)としては、例えば上記(D−1)〜(D−2)にカルボジイミド化合物、無水コハク酸、ヨード酢酸及びイミダゾール化合物等を作用させて化学修飾したもの等が挙げられる。
【0020】
遺伝子的に修飾したアルロン酸シンターゼ(D−4)としては、Smithらの方法(The Journal of Biochemistry,1998,Vol.253,No.18,P6551−6560)で上記ヒアルロン酸シンターゼの遺伝子を改変してアミノ酸を置換したもの等が挙げられる。
【0021】
上記ヒアルロン酸シンターゼ(D)のうち、入手しやすさの観点から、微生物ヒアルロン酸シンターゼ(D−2)が好ましい。また、(D)のうち、ヒアルロン酸合成活性の高さの観点から、ストレプトコッカス属由来ヒアルロン酸シンターゼが好ましい。
ヒアルロン酸シンターゼ(D)としては、2種以上を用いてもいい。
【0022】
本発明のウリジン3リン酸の製造方法は、ウリジン2リン酸−グルクロン酸とウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンとにヒアルロン酸シンターゼ(D)を作用させて得られた、(D)、ヒアルロン酸及びウリジン2リン酸を含む組成物(Z)とリン酸基含有化合物(A)とにウリジン3リン酸合成酵素(B)を作用させる製造方法である。
上記組成物(Z)は、(D)、ヒアルロン酸及びウリジン2リン酸を含んでいればよく、ヒアルロン酸を生産した際の反応溶液をそのままを(Z)として用いてもいい。
また、本発明のウリジン3リン酸の製造方法は、上記反応を含んでいればよく、ウリジン2リン酸−グルクロン酸、ウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン及び(A)を含む溶液中で、(D)及び(B)を同時に作用させてもいい。
【0023】
本発明において、ウリジン2リン酸は、ヌクレオチドの1種であり、ウリジンヌクレオシドのピロリン酸エステル化物である。
【0024】
本発明において、リン酸基含有化合物(A)は、リン酸基を有する化合物である。(A)としては、ウリジン3リン酸合成酵素(B)との親和性の観点から、ウリジン2リン酸にリン酸基を供与し得る化合物が好ましい。(A)として、例えば、トリアミノホスフィンオキシド、リン酸化したアミノ酸(例えばω−ホスホノ−L−アルギニン等)、ポリリン酸、ホスホエノールピルビン酸、カルバモイルリン酸、3−ホスホグリセロールリン酸、ホスホクレアチン及びヌクレオチド(例えば、グアノシン3リン酸及びアデノシン3リン酸等のヌクレオシド3リン酸等)等が挙げられる。
【0025】
本発明において、ウリジン3リン酸合成酵素(B)は、ウリジン2リン酸及びリン酸基含有化合物(A)から、ウリジン3リン酸を合成するウリジン3リン酸合成活性を有する酵素である。ウリジン3リン酸合成活性は、具体的には、リン酸基含有化合物(A)をリン酸基供与体として、ウリジン2リン酸にリン酸基を供与し、ウリジン3リン酸を合成する能力をいう。
(B)には、ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)、ポリリン酸キナーゼ(B−2)、アルギニンキナーゼ(B−3)、ピルビン酸キナーゼ(B−4)、カルバミン酸キナーゼ(B−5)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(B−6)、及びホスホクレアチンキナーゼ(B−7)が含まれる。
【0026】
本発明において、ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)は、ウリジン2リン酸とヌクレオシド3リン酸からウリジン3リン酸とヌクレオシド2リン酸を生成する活性を有する酵素である。(B−1)には、動物起源の動物ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1−1)、植物起源の植物ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1−2)、微生物起源の微生物ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1−3)、(B−1−1)〜(B−1−3)が化学的に修飾された変異体(B−1−4)及び(B−1−1)〜(B−1−3)が遺伝子的に修飾された変異体(B−1−5)が含まれる。
(B)として(B−1)を用いる場合、リン酸基含有化合物(A)としては、反応性の観点から、ヌクレオシド3リン酸を用いることが好ましい。
【0027】
動物ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1−1)としては、例えば、ヒト由来、ウシ由来及びラット由来のもの等が挙げられる。
【0028】
植物ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1−2)としては、例えば、シロイヌナズナ由来及びコメ由来のもの等が挙げられる。
【0029】
微生物ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1−3)としては、例えばエシェリヒア(Escherichia)属由来、サッカロマイセス(Saccharomyces)属由来、バシルス(Bacillus)属由来及びサーマス(Thermus)属由来のもの等が挙げられる。
【0030】
化学的に修飾したヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1−4)としては、上記(B−1−1)〜(B−1−3)に化学反応する化合物{カルボジイミド化合物、無水コハク酸、ヨード酢酸及びイミダゾール化合物等、1種でも2種以上でもいい}を作用させて化学修飾したもの等が挙げられる。
【0031】
遺伝子的に修飾したヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1−5)としては、Smithらの方法(参考文献1;The Journal of Biochemistry,1998,Vol.253,No.18,P6551−6560に記載の方法、以下同じ)で上記ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼの遺伝子を改変してアミノ酸を改変したもの等が挙げられる。
【0032】
上記ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)のうち、入手しやすさの観点から、微生物ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1−3)が好ましい。また、(B−1)のうち、ウリジン3リン酸合成活性の高さの観点から、ラット由来ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼが好ましい。
【0033】
本発明においてポリリン酸キナーゼ(B−2)は、ウリジン2リン酸とポリリン酸とから、ウリジン3リン酸と、重合度の1つ少ないポリリン酸とを生成する活性を有する酵素である。(B−2)には、植物起源の植物ポリリン酸キナーゼ(B−2−1)、微生物起源の微生物ポリリン酸キナーゼ(B−2−2)、(B−2−1)〜(B−2−2)が化学的に修飾された変異体(B−2−3)及び(B−2−1)〜(B−2−2)が遺伝子的に修飾された変異体(B−2−4)が含まれる。
(B)として(B−2)を用いる場合、リン酸基含有化合物(A)としては、反応性の観点から、ポリリン酸を用いることが好ましい。
【0034】
植物ポリリン酸キナーゼ(B−2−1)としては、例えば、タバコ由来のもの等が挙げられる。
【0035】
微生物ポリリン酸キナーゼ(B−2−2)としては、例えばエシェリヒア(Escherichia)属由来、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属由来、シュードモナス(Pseudomonas)属由来及びサーマス(Thermus)属由来のもの等が挙げられる。
【0036】
化学的に修飾したポリリン酸キナーゼ(B−2−3)として、例えば上記(B−2−1)〜(B−2−2)に化学反応する化合物{カルボジイミド化合物、無水コハク酸、ヨード酢酸及びイミダゾール化合物等、1種でも2種以上でもいい}を作用させて化学修飾したもの等が挙げられる。
【0037】
遺伝子的に修飾したポリリン酸キナーゼ(B−2−4)として、Smithらの方法で上記ポリリン酸キナーゼの遺伝子を改変してアミノ酸を置換したもの等が挙げられる。
【0038】
上記ポリリン酸キナーゼ(B−2)のうち、入手しやすさの観点から、微生物ポリリン酸キナーゼ(B−2−3)が好ましい。また、(B−2)のうち、ウリジン3リン酸合成活性の高さの観点から、シュードモナス属由来のリン酸キナーゼが好ましい。
【0039】
本発明においてアルギニンキナーゼ(B−3)は、ウリジン2リン酸とω−ホスホノ−L−アルギニンからウリジン3リン酸とL−アルギニンを生成する活性を有する酵素である。(B−3)には、動物起源の動物アルギニンキナーゼ(B−3−1)、植物起源の植物アルギニンキナーゼ(B−3−2)、微生物起源の微生物アルギニンキナーゼ(B−3−3)、(B−3−1)〜(B−3−3)が化学的に修飾された変異体(B−3−4)及び(B−3−1)〜(B−3−3)が遺伝子的に修飾された変異体(B−3−5)が含まれる。
(B)として(B−3)を用いる場合、リン酸基含有化合物(A)としては、反応性の観点から、ω−ホスホノ−L−アルギニンを用いることが好ましい。
【0040】
動物アルギニンキナーゼ(B−3−1)としては、例えば、ショウジョウバエ由来、エビ由来及びノミ由来のもの等が挙げられる。
【0041】
植物アルギニンキナーゼ(B−3−2)としては、例えば、ケヤリ由来のもの等が挙げられる。
【0042】
微生物アルギニンキナーゼ(B−3−3)としては、例えばバシルス(Bacillus)属由来のもの等が挙げられる。
【0043】
化学的に修飾したアルギニンキナーゼ(B−3−4)として、例えば上記(B−3−1)〜(B−3−3)に化学反応する化合物{カルボジイミド化合物、無水コハク酸、ヨード酢酸及びイミダゾール化合物等、1種でも2種以上でもいい}を作用させて化学修飾したもの等が挙げられる。
【0044】
遺伝子的に修飾したアルギニンキナーゼ(B−3−5)として、Smithらの方法で上記アルギニンキナーゼの遺伝子を改変してアミノ酸を置換したもの等が挙げられる。
【0045】
上記アルギニンキナーゼ(B−3)のうち、入手しやすさの観点から、微生物アルギニンキナーゼ(B−3−3)が好ましい。また、(B−3)のうち、ウリジン3リン酸合成活性の高さの観点から、トノサマバッタ由来アルギニンキナーゼが好ましい。
【0046】
本発明においてピルビン酸キナーゼ(B−4)は、ウリジン2リン酸とホスホエノールピルビン酸とからウリジン3リン酸とピルビン酸とを生成する活性を有する酵素である。(B−4)には、動物起源の動物ピルビン酸キナーゼ(B−4−1)、植物起源の植物ピルビン酸キナーゼ(B−4−2)、微生物起源の微生物ピルビン酸キナーゼ(B−4−3)、(B−4−1)〜(B−4−3)が化学的に修飾された変異体(B−4−4)及び(B−4−1)〜(B−4−3)が遺伝子的に修飾された変異体(B−4−5)が含まれる。
(B)として(B−4)を用いる場合、リン酸基含有化合物(A)としては、反応性の観点から、ホスホエノールピルビン酸を用いることが好ましい。
【0047】
動物ピルビン酸キナーゼ(B−4−1)としては、例えば、ヒト由来、ウシ由来及びラット由来のもの等が挙げられる。
【0048】
植物ピルビン酸キナーゼ(B−4−2)としては、例えば、シロイヌナズナ由来及びトウゴマ由来のもの等が挙げられる。
【0049】
微生物ピルビン酸キナーゼ(B−4−3)としては、例えばエシェリヒア(Escherichia)属由来及びサッカロマイセス(Saccharomyces)属由来のもの等が挙げられる。
【0050】
化学的に修飾したピルビン酸キナーゼ(B−4−4)として、例えば上記(B−4−1)〜(B−4−3)に化学反応する化合物{カルボジイミド化合物、無水コハク酸、ヨード酢酸及びイミダゾール化合物等、1種でも2種以上でもいい}を作用させて化学修飾したもの等が挙げられる。
【0051】
遺伝子的に修飾したピルビン酸キナーゼ(B−4−5)として、Smithらの方法で上記ピルビン酸キナーゼの遺伝子を改変してアミノ酸を置換したもの等が挙げられる。
【0052】
上記ピルビン酸キナーゼ(B−4)のうち、入手しやすさの観点から、微生物ピルビン酸キナーゼ(B−4−3)が好ましい。また、(B−4)のうち、ウリジン3リン酸合成活性の高さの観点から、ラット由来ピルビン酸キナーゼが好ましい。
【0053】
本発明において、カルバミン酸キナーゼ(B−5)は、カルバモイルリン酸とウリジン2リン酸からウリジン3リン酸、二酸化炭素、及びアンモニアを生成する活性を有する酵素である。(B−5)には、動物起源の動物カルバミン酸キナーゼ(B−5−1)、微生物起源の微生物カルバミン酸キナーゼ(B−5−2)、(B−5−1)〜(B−5−2)が化学的に修飾された変異体(B−5−3)、及び(B−5−1)〜(B−5−2)が遺伝子的に修飾された変異体(B−5−4)が含まれる。
(B)として(B−5)を用いる場合、リン酸基含有化合物(A)としては、反応性の観点から、カルバモイルリン酸を用いることが好ましい。
【0054】
動物カルバミン酸キナーゼ(B−5−1)としては、例えばラット由来のもの等が挙げられる。
【0055】
微生物カルバミン酸キナーゼ(B−5−2)としては、例えばピロコッカス(Pyrococcus)属由来、及びラクトバチルス(Lactobacillus)属由来のもの等が挙げられる。
【0056】
化学的に修飾したカルバミン酸キナーゼ(B−5−3)としては、上記(B−5−1)〜(B−5−2)に化学反応する化合物{カルボジイミド化合物、無水コハク酸、ヨード酢酸及びイミダゾール化合物等、1種でも2種以上でもいい}を作用させて化学修飾したもの等が挙げられる。
【0057】
遺伝子的に修飾したカルバミン酸キナーゼ(B−5−4)としては、Smithらの方法で上記カルバミン酸キナーゼの遺伝子を改変してアミノ酸を改変したもの等が挙げられる。
【0058】
上記カルバミン酸キナーゼ(B−5)のうち、入手しやすさの観点から、微生物カルバミン酸キナーゼ(B−5−2)が好ましい。また、(B−5)のうち、ウリジン3リン酸合成活性の高さの観点から、ラクトバチルス(Lactobacillus)属由来カルバミン酸キナーゼが好ましい。
【0059】
本発明において、ホスホグリセリン酸キナーゼ(B−6)は、3−ホスホグリセロールリン酸とウリジン2リン酸からウリジン3リン酸及び3−ホスホグリセリン酸を生成する活性を有する酵素である。(B−6)には、動物起源の動物ホスホグリセリン酸キナーゼ(B−6−1)、微生物起源の微生物ホスホグリセリン酸キナーゼ(B−6−2)、(B−6−1)〜(B−6−2)が化学的に修飾された変異体(B−6−3)、及び(B−6−1)〜(B−6−2)が遺伝子的に修飾された変異体(B−6−4)が含まれる。
(B)として(B−6)を用いる場合、リン酸基含有化合物(A)としては、反応性の観点から、3−ホスホグリセロールリン酸を用いることが好ましい。
【0060】
動物ホスホグリセリン酸キナーゼ(B−6−1)としては、例えばラット由来のもの等が挙げられる。
【0061】
微生物起源の微生物ホスホグリセリン酸キナーゼ(B−6−2)としては、例えばサッカロマイセス(Saccharomyces)属由来のもの等が挙げられる。
【0062】
化学的に修飾したホスホグリセリン酸キナーゼ(B−6−3)としては、上記(B−6−1)〜(B−6−2)に化学反応する化合物{カルボジイミド化合物、無水コハク酸、ヨード酢酸及びイミダゾール化合物等、1種でも2種以上でもいい}を作用させて化学修飾したもの等が挙げられる。
【0063】
遺伝子的に修飾したホスホグリセリン酸キナーゼ(B−6−4)としては、Smithらの方法で上記ホスホグリセリン酸キナーゼの遺伝子を改変してアミノ酸を改変したもの等が挙げられる。
【0064】
上記ホスホグリセリン酸キナーゼ(B−6)のうち、入手しやすさの観点から、微生物ホスホグリセリン酸キナーゼ(B−6−2)が好ましい。また、(B−6)のうち、ウリジン3リン酸合成活性の高さの観点から、サッカロマイセス(Saccharomyces)属由来ホスホグリセリン酸キナーゼが好ましい。
【0065】
本発明において、クレアチンキナーゼ(B−7)は、ホスホクレアチンとウリジン2リン酸からウリジン3リン酸及びクレアチンを生成する活性を有する酵素である。(B−7)には、動物起源の動物クレアチンキナーゼ(B−7−1)、(B−7−1)が化学的に修飾された変異体(B−7−2)、及び(B−7−1)が遺伝子的に修飾された変異体(B−7−3)が含まれる。
(B)として(B−7)を用いる場合、リン酸基含有化合物(A)としては、反応性の観点から、ホスホクレアチンを用いることが好ましい。
【0066】
動物クレアチンキナーゼ(B−7−1)としては、例えばラット由来のもの等が挙げられる。
【0067】
化学的に修飾したクレアチンキナーゼ(B−7−2)としては、上記(B−7−1)に化学反応する化合物{カルボジイミド化合物、無水コハク酸、ヨード酢酸及びイミダゾール化合物等、1種でも2種以上でもいい}を作用させて化学修飾したもの等が挙げられる。
【0068】
遺伝子的に修飾したクレアチンキナーゼ(B−7−3)としては、Smithらの方法で上記クレアチンキナーゼの遺伝子を改変してアミノ酸を改変したもの等が挙げられる。
【0069】
上記クレアチンキナーゼ(B−7)のうち、入手しやすさの観点から、動物クレアチンキナーゼ(B−7−1)が好ましい。また、(B−7−1)のうち、ウリジン3リン酸合成活性の高さの観点から、ラット由来ホスホグリセリン酸キナーゼが好ましい。
【0070】
ウリジン3リン酸合成酵素(B)のうち、ウリジン3リン酸合成活性の高さの観点から、ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)、ポリリン酸キナーゼ(B−2)及びカルバミン酸キナーゼ(B−5)が好ましい。
また、ウリジン3リン酸合成酵素(B)は、1種でもよく、2種以上を用いてもいい。
【0071】
本発明の製造方法において、下記ミカエリス定数Kmは下記阻害濃度IC50の100倍未満である。
ミカエリス定数Km:ウリジン2リン酸を基質とし、(B)を酵素とし、リン酸基含有化合物を作用させてウリジン3リン酸を合成する反応におけるミカエリス定数。
阻害濃度IC50:(D)をウリジン2リン酸−グルクロン酸及びウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンに作用させる際の(D)の濃度において、基質としてウリジン2リン酸−グルクロン酸及びウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンを用いて、阻害剤としてウリジン2リン酸を用いて求めた、(D)の酵素活性が半減するときのウリジン2リン酸の濃度。
本発明において、2種以上の(B)を用いる場合は、それぞれの(B)についてKmを求め、全ての(B)についてKmがIC50の100倍未満であるとする。
また、2種以上の(D)を用いる場合は、それぞれの(D)についてIC50を求め、Kmが、求めたIC50の中で最も大きいIC50の100倍未満であるとする。
【0072】
ミカエリス定数Kmは、Agarwalらによって報告された方法(参考文献2;Methods of enzymology,1978,Vol.51,P483−491に記載の方法)で酵素反応初速度の基質濃度依存性を求めることによって求められる。ミカエリス定数Kmの測定に用いる(B)の形態としては、精製酵素を用いる。
【0073】
阻害濃度IC50は、酵素反応初速度の阻害濃度依存性を求めることによって求められる。具体的には、下記阻害濃度IC50の測定法によって求めたものである。阻害濃度IC50の測定に用いる(D)の形態としては、精製酵素を用いる。
【0074】
阻害濃度IC50は、本発明の製造方法において、(D)を作用させる際の濃度と同様の(D)の濃度、温度及びpHの条件下において、下記測定方法によって求められる。
<(D)の酵素活性が半減するときのウリジン2リン酸の濃度である阻害濃度IC50の測定方法>
一定量のヒアルロン酸シンターゼ(D)、ウリジン2リン酸、ウリジン2リン酸−グルクロン酸、ウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、pH調整剤(K)及び水を含む一定の温度及びpHに調製した液量1mL以下の酵素反応溶液(F)を作成する。
酵素反応溶液(F)の温度は、ウリジン3リン酸及び/又はヒアルロン酸を製造する際に(D)を作用させる温度と同じの温度を選ぶ。
酵素反応溶液(F)のpHは、ウリジン3リン酸及び/又はヒアルロン酸を製造する際に(D)を作用させるpHと同じのpHを選ぶ。
酵素反応溶液(F)中のヒアルロン酸シンターゼ(D)のモル濃度は、ウリジン3リン酸及び/又はヒアルロン酸を製造する際に(D)を作用させる濃度に調整する。
酵素反応溶液(F)中のウリジン2リン酸の含有量(モル濃度)は、ウリジン2リン酸が0Mの酵素反応溶液と、ウリジン2リン酸の濃度が0Mより大きくヒアルロン酸シンターゼ(D)の活性が0になる(ヒアルロン酸の生成が観測できなくなる)ウリジン2リン酸の濃度以下の濃度でウリジン2リン酸の濃度が異なる4種類以上の酵素反応溶液とを、すなわち、合計5種類以上の酵素反応溶液(F)を作成すればいい。また、類似のヒアルロン酸シンターゼに対するウリジン2リン酸の阻害定数Kiが分かっている場合は、ウリジン2リン酸の濃度が0Mのもの、類似ヒアルロン酸シンターゼの0より大きくKi未満の濃度範囲で2種類以上、Ki以上及びKiの10倍以下の濃度範囲で2種類以上、合計5種類以上作成すればいい。
酵素反応溶液(F)中のウリジン2リン酸−グルクロン酸及びウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンの含有量は、経時的なピーク面積変化を観測できる点を1点選べばよい。測定に使用する(D)と類似のヒアルロン酸シンターゼのミカエリス定数Kmが分かっている場合は、Km以上及びKmの5倍以下の濃度範囲の間で選べばよい。
酵素反応溶液(F)に用いるpH調整剤(K)は、扱いやすさ及び酵素の安定性の観点から、リン酸塩、ホウ酸塩、HEPESバッファー及びMESバッファー等のGoodバッファーが好ましい。酵素反応溶液(F)中の(K)の含有量(モル濃度)は、100〜500mMである。
酵素反応溶液(M)について、(F)を作成直後及び一定時間(例えば5分)ごとに溶液の一部(例えば100μL)を取り出し、取り出したものを100℃で1分間熱処理し、酵素反応を停止する。液体クロマトグラフィーを用いて取り出した反応溶液中のヒアルロン酸の量を定量する。酵素反応溶液(F)を作成直後のピーク面積をP0、h時間後のピーク面積をPhとし、ピーク面積の変化ΔP(ΔP=Ph−P0)とヒアルロン酸のピーク面積に対する検量線を用いて酵素反応初速度v(M/s)を算出する。
さらに、ウリジン2リン酸の濃度が異なる酵素反応溶液(F)を用いて、同様に測定し、酵素反応初速度vを算出する。
阻害濃度IC50は、横軸に(x軸)にそれぞれのウリジン2リン酸の濃度、縦軸(y軸)にウリジン2リン酸濃度が0の時の酵素反応初速度vを100(%)としたときの相対活性をプロットする。プロットを直線でつなぎ、y=50(%)となるときのウリジン2リン酸濃度を阻害濃度IC50とする。
【0075】
本発明において、ミカエリス定数Kmは、阻害濃度IC50の100倍未満である。ウリジン2リン酸を効率よくウリジン3リン酸に変換する及びヒアルロン酸を効率よく生産する観点から、60倍以下が好ましく、さらに好ましくは10倍以下である。
ウリジン2リン酸の(B)に対するミカエリス定数Kmが、ウリジン2リン酸のヒアルロン酸シンターゼ(D)に対する阻害濃度IC50の100倍以上では、ウリジン2リン酸がウリジン3リン酸合成酵素(B)に触媒されてウリジン3リン酸を合成する活性が低く、効率よくウリジン3リン酸を合成することができない。また、ウリジン2リン酸がヒアルロン酸シンターゼ(D)との結合で消費され、ウリジン2リン酸を効率よく再利用できない。100倍未満であることで、(D)との結合により消費されるウリジン2リン酸とウリジン3リン酸合成酵素(B)に触媒されるウリジン2リン酸とのバランスがよく、効率よくウリジン3リン酸を合成することができる。
例えば、無精製のウリジン2リン酸−グルクロン酸とウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンとにヒアルロン酸シンターゼ(D)を作用させる際に、KmがIC50の100倍(Km=100×IC50)であるウリジン3リン酸合成酵素(B)とヒアルロン酸シンターゼ(D)とが等モル量存在している場合、ウリジン3リン酸合成酵素(B)に触媒されるウリジン2リン酸のモル量は、ヒアルロン酸シンターゼ(D)と結合するウリジン2リン酸のモル量のおよそ100分の1程度であると推察される。
【0076】
本発明のウリジン3リン酸の製造方法において、ミカエリス定数Kmが阻害濃度IC50の100倍未満であることにより、ヒアルロン酸シンターゼの存在下でもウリジン2リン酸を効率よくウリジン3リン酸に変換することができ、ウリジン3リン酸の生産量が多くなる。
【0077】
本発明のウリジン3リン酸の製造方法の一例は、下記工程(a)及び(b)を含むウリジン3リン酸の製造方法である。下記工程(a)及び(b)において、組成物(Z)は工程(a)で反応を行った後の反応溶液(I)である。
工程(a):所定量のウリジン2リン酸−グルクロン酸、ウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、ヒアルロン酸シンターゼ(D)及び溶剤を含む反応溶液(I)を、所定の温度、所定のpHに調整し、反応を行う。
工程(b):工程(a)の反応溶液(I)、所定量のリン酸基含有化合物(A)及びウリジン3リン酸合成酵素(B)を混合して反応溶液(II)とし、所定の温度、所定のpHに調整し、反応を行う。
【0078】
本発明において、溶剤としては、水、有機溶剤及びこれらの混合物が含まれる。
【0079】
本発明において、水としては、特に限定されるものではなく、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水及び逆浸透水等が挙げられる。また、水中に、後述するpH調整剤(K)を含むバッファー水溶液等が挙げられる。
【0080】
本発明において、有機溶剤としては、アルコール(炭素数1〜18のアルコールが挙げられ、具体的には、メタノール、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等)、ケトン(アセトン及びメチルエチルケトン等)、エーテル(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル及び環状エーテル等)、スルホキシド(ジメチルスルホキシド等)、脂肪族または脂環式炭化水素(n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット及びシクロヘキサン等)及びふっ素含有化合物(テトラフルオロエチレン等)等が挙げられる。これらの有機溶剤のうち、タンパク質の安定性の観点からスルホキシドが好ましい。
【0081】
本発明において、溶剤としては、酵素の安定性の観点から、スルホキシド及び水が好ましく、さらに好ましくは水であり、特に好ましくはpH調整剤(K)を含むバッファー水溶液である。
【0082】
本発明において、pH調整剤(K)としては、ホウ酸バッファー、リン酸バッファー、酢酸バッファー、Trisバッファー、HEPESバッファー、硫酸、塩酸、クエン酸、乳酸、ピルビン酸、蟻酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、モノエタノールアミン及びジエタノールアミン等が挙げられる。
【0083】
上記工程(a)において、反応溶液(I)中のウリジン2リン酸−グルクロン酸の含有量(モル濃度)は、ヒアルロン酸を効率よく製造する観点から、0.0001mM〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.001mM〜500mMである。
反応溶液(I)中のウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンの含有量(モル濃度)は、ヒアルロン酸を効率よく製造する観点から、0.0001mM〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.001mM〜500mMである。
反応溶液(I)中のヒアルロン酸シンターゼ(D)の含有量(ユニット/mL)は、反応効率の観点から、0.00001ユニット/mL〜10,000ユニット/mLが好ましく、さらに好ましくは0.001ユニット/mL〜1,000ユニット/mLである。
1ユニットとは、1分間に1μmolのウリジン2リン酸−グルクロン酸及び1μmolのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンをヒアルロン酸にする酵素量である。
反応溶液(I)の温度は、ヒアルロン酸シンターゼ(D)の酵素活性の安定性の観点から、0℃〜100℃が好ましく、さらに好ましくは30℃〜70℃である。
反応溶液(I)のpHは、ヒアルロン酸シンターゼ(D)の酵素活性の安定性の観点から、pH2〜12が好ましく、さらに好ましくはpH4〜9である。
反応溶液(I)において、ヒアルロン酸シンターゼ(D)を作用させる時間は、(D)の酵素活性の安定性の観点から、1分〜1,000時間が好ましい。
【0084】
上記工程(b)において、反応溶液(II)中のリン酸基含有化合物(A)の含有量(モル濃度)は、反応しやすさの観点から、0.0001mM〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.001mM〜500mMである。
反応溶液(II)において、(B)が(B−1)である場合は、ウリジン3リン酸合成酵素(B)との結合しやすさの観点から、(A)としてヌクレオシド3リン酸を用いることが好ましい。また、(B)が(B−2)である場合は、ウリジン3リン酸合成酵素(B)との結合しやすさの観点から、(A)としてポリリン酸を用いることが好ましい。また、(B)が(B−3)である場合は、ウリジン3リン酸合成酵素(B)との結合しやすさの観点から、ω−ホスホノ−L−アルギニンを用いることが好ましい。また(B)が(B−4)である場合は、ウリジン3リン酸合成酵素(B)との結合しやすさの観点から、ホスホエノールピルビン酸を用いることが好ましい。(B−1)〜(B−4)以外の(B)を用いる場合は、その(B)が作用する(A)を適宜選択する。
反応溶液(II)中のウリジン3リン酸合成酵素(B)の含有量(ユニット/mL)は、ウリジン3リン酸を合成する反応を触媒しやすさの観点から、0.00001ユニット/mL〜10,000ユニット/mLが好ましく、さらに好ましくは0.001ユニット/mL〜1,000ユニット/mLである。
1ユニットとは、1分間に1μmolのウリジン2リン酸及び1μmolのリン酸基含有化合物(A)をウリジン3リン酸にする酵素量である。
反応溶液(II)の温度は、(B)の酵素活性の安定性の観点から、0℃〜100℃が好ましく、さらに好ましくは30℃〜70℃である。
反応溶液(II)のpHは、(B)の酵素活性の安定性の観点から、pH2〜12が好ましく、さらに好ましくはpH4〜9である。
反応溶液(II)において、ウリジン3リン酸合成酵素(B)を作用させる時間は、(B)の酵素活性の安定性の観点から、10分〜1,000時間が好ましい。
【0085】
反応溶液(II)中には、ピロリン酸分解酵素を含有してもいい。工程(b)では副生成物としてピロリン酸が生成し、ピロリン酸が(B)の活性を阻害してしまう場合がある。本発明の製造方法でピロリン酸分解酵素を用いると、ピロリン酸を分解し、ピロリン酸が(B)の酵素活性を阻害することを緩和することができる。
ピロリン酸分解酵素としては、EC3.1.3及びEC3.6.1に分類される酵素が挙げられ、具体的にはアルカリホスファターゼ、アピラーゼ、フィターゼ及びジホスファターゼ等が挙げられる。
ピロリン酸分解酵素としては、反応生成物(ウリジン3リン酸及びヒアルロン酸)を分解しにくいという観点から、ジホスファターゼが好ましい。
反応溶液(II)中のピロリン酸分解酵素の含有量(ユニット/mL)は、反応生成物(ウリジン3リン酸)を分解せずにピロリン酸を分解する観点から、0.00001〜100ユニット/mLが好ましい。
ピロリン酸分解酵素において、ユニットは、1分間に1μmolのピロリン酸を分解する酵素量である。
【0086】
また、反応溶液(II)及び(I)には、上記以外に、酵素の安定化及び酵素の活性化の観点から、脂質(M)、糖類(N)及びオリゴ糖(O)を用いてもよい。
脂質(M)としては、例えば、カルディオトロピン及びオレイン酸等が挙げられる。
糖類(N)としては、例えば、グリセリン等が挙げられる。
オリゴ糖(O)としては、例えば、オリゴヒアルロン酸等が挙げられる。
【0087】
反応溶液(II)及び(I)中の脂質(M)の含有量(重量%)は、酵素の安定化及び酵素の活性化の観点から、0〜1重量%が好ましい。
反応溶液(II)及び(I)中の糖類(N)の含有量(重量%)は、酵素の安定化及び酵素の活性化の観点から、0〜30重量%が好ましい。
反応溶液(II)及び(I)中のオリゴ糖(O)の含有量(重量%)は、酵素の安定化及び酵素の活性化の観点から、0〜1重量%が好ましい。
【0088】
本発明のウリジン3リン酸の製造方法において、上記工程(a)及び(b)は何回含んでもいい。また、(a)及び(b)の間に別の工程が入ってもいい。本発明の製造方法では、上記工程(a)及び(b)を工程(a)及び(b)の順に含んでいればいい。
【0089】
また、本発明のウリジン3リン酸の製造方法は、上記工程(a)及び(b)を同時に行ってもいい。
本発明のウリジン3リン酸の製造方法の別の一例は、リン酸基含有化合物(A)、ウリジン3リン酸合成酵素(B)、ウリジン2リン酸−グルクロン酸、ウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、ヒアルロン酸シンターゼ(D)及び溶剤を仕込んで反応溶液(X)として、ウリジン3リン酸を製造する方法である。反応溶液(X)には、上記以外に、酵素の安定化及び酵素の活性化の観点から、脂質(M)、糖類(N)及びオリゴ糖(O)を用いてもよい。反応溶液(X)中の(M)、(N)及び(O)の好ましい含有量は、(II)と同様である。
本発明の製造方法においては、反応溶液(X)中でウリジン2リン酸−グルクロン酸とウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンとにヒアルロン酸シンターゼ(D)が作用し、ヒアルロン酸及びウリジン2リン酸が生成するので、反応溶液(X)中には組成物(Z)を含むことになる。
【0090】
反応溶液(X)中のウリジン2リン酸−グルクロン酸の含有量(モル濃度)は、ヒアルロン酸の合成効率の観点から、0.0001mM〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.01mM〜1mMである。
反応溶液(X)中のウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンの含有量(モル濃度)は、ヒアルロン酸の合成効率の観点から、0.0001mM〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.01μM〜1mMである。
反応溶液(X)中のヒアルロン酸シンターゼ(D)の含有量(ユニット/mL)は、ヒアルロン酸を効率よく製造する観点から、0.00001ユニット/mL〜10,000ユニット/mLが好ましく、さらに好ましくは0.001ユニット/mL〜1,000ユニット/mLである。
反応溶液(X)中のリン酸基含有化合物(A)の含有量(モル濃度)は、ウリジン3リン酸合成酵素(B)との結合しやすさの観点から、0.0001mM〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.01mM〜100mMである。
反応溶液(X)中のウリジン3リン酸合成酵素(B)の含有量(ユニット/mL)は、ウリジン2リン酸を効率よくウリジン3リン酸に変換するの観点から、0.00001ユニット/mL〜10,000ユニット/mLが好ましく、さらに好ましくは0.001ユニット/mL〜1,000ユニット/mLである。
(B)として、(B−1)〜(B−4)を用いる際に用いる好ましい(A)は、反応溶液(II)と同様である。
反応溶液(X)の温度は、酵素{(B)及び(D)}の安定性の観点から、0℃〜100℃が好ましく、さらに好ましくは30℃〜70℃である。
反応溶液(X)のpHは、酵素{(B)及び(D)}の安定性の観点から、pH2〜12が好ましく、さらに好ましくはpH4〜9である。
【0091】
反応溶液(X)を作成する場合、上記原料{ウリジン2リン酸−グルクロン酸、ウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン及び(A)}並びに酵素{(B)及び(D)}を同時に仕込んで反応溶液(X)を作成してもよく、逐次的に投入して反応溶液(X)としてもいい。
【0092】
反応溶液(X)中にはピロリン酸分解酵素を用いてもいい。本発明の製造方法では、副生成物としてピロリン酸が生成し、ピロリン酸が酵素{(B)及び(D)}の活性を阻害してしまう場合がある。本発明の製造方法でピロリン酸分解酵素を用いると、ピロリン酸を分解し、ピロリン酸が(B)及び(D)の酵素活性を阻害することを緩和することができる。。
好ましいピロリン酸分解酵素としては、上記反応溶液(II)に用いるピロリン酸分解酵素と同様である。
反応溶液(X)中のピロリン酸分解酵素の含有量(ユニット/mL)は、反応生成物(ウリジン3リン酸及びヒアルロン酸)を分解せずにピロリン酸を分解する観点から、0.00001〜100ユニット/mLが好ましい。
【0093】
反応溶液(X)において、ウリジン3リン酸合成酵素(B)及びヒアルロン酸シンターゼ(D)を作用させる時間は、それぞれの酵素活性、反応溶液(X)の温度、原料の量比等によって異なる。反応溶液(X)の温度を、全て酵素の活性が高く、反応速度が速い温度に調整すれば、反応時間を短くすることができる。また、反応溶液(X)中のそれぞれの基質に対する酵素の量が多いほど、反応は早くなり、反応時間は短くなる。
反応溶液(X)において、反応時間は、酵素の安定性の観点から、10分〜1,000時間が好ましい。
【0094】
本発明のヒアルロン酸の製造方法は、下記工程(1)〜(3)を含んでなり、工程(1)、(2)、(3)及び(1)の順に含む又は工程(1)〜(3)のうち2つを同時に行う工程を含む製造方法であり、下記ミカエリス定数Kmが下記阻害濃度IC50の100倍未満であるヒアルロン酸の製造方法である。
工程(1):ウリジン2リン酸−グルクロン酸とウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンとにヒアルロン酸シンターゼ(D)を作用させて(D)、ヒアルロン酸及びウリジン2リン酸を含む組成物(Z’)を得る工程。
工程(2):工程(1)で得られた(D)、ヒアルロン酸及びウリジン2リン酸を含む組成物(Z’)とリン酸基含有化合物(A)とにウリジン3リン酸合成酵素(B)を作用させてウリジン3リン酸を得る工程。
工程(3):工程(2)で得られたウリジン3リン酸と1−ホスホ−グルクロン酸とにウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)を作用させてウリジン2リン酸−グルクロン酸を得る工程。
ミカエリス定数Km:基質としてウリジン2リン酸を用いて求めたウリジン2リン酸の(B)に対するミカエリス定数。
阻害濃度IC50:作用させる際の(D)の濃度において、基質としてウリジン2リン酸−グルクロン酸及びウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンを用いて、阻害剤としてウリジン2リン酸を用いて求めた、(D)の酵素活性が半減するときのウリジン2リン酸の濃度。
【0095】
本発明のヒアルロン酸の製造方法において、工程(1)で用いるヒアルロン酸シンターゼ(D)として好ましい(D)は、上記ウリジン3リン酸の製造方法における好ましい(D)と同様である。
また、工程(2)で用いるウリジン3リン酸合成酵素(B)として好ましい(B)は、上記ウリジン3リン酸の製造方法における好ましい(B)と同様である。
また、本発明において、ミカエリス定数Kmは、阻害濃度IC50の100倍未満である。ウリジン2リン酸を効率よくウリジン3リン酸に変換する及びヒアルロン酸を効率よく生産する観点から、60倍以下が好ましく、さらに好ましくは10倍以下である。
【0096】
本発明のヒアルロン酸の製造方法において、ミカエリス定数Kmが阻害濃度IC50の100倍未満であることにより、ヒアルロン酸シンターゼの存在下でもウリジン2リン酸がウリジン3リン酸に効率よく変換されるので、ヒアルロン酸を効率よく生産することができ、ヒアルロン酸の生産量が多くなる。また、ウリジン2リン酸がウリジン3リン酸に効率よく変換されるので、ウリジン3リン酸の添加量を低減できる。
【0097】
本発明のヒアルロン酸の製造方法において、工程(3)で用いる1−ホスホ−グルクロン酸は、グルクロン酸の1位のヒドロキシル基がリン酸でリン酸エステル化されたものである。
【0098】
工程(3)で用いるウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)は、ウリジン3リン酸と1−ホスホ−グルクロン酸からウリジン2リン酸−グルクロン酸を生成する活性を有する酵素であれば特に限定されない。例えば、動物起源の動物ウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C−1)、植物起源の植物ウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C−2)、微生物起源の微生物ウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C−3)及び(C−1)〜(C−3)が化学的に修飾された変異体(C−4)及び(C−1)〜(C−3)が遺伝子的に修飾された変異体(C−5)が含まれる。
【0099】
動物ウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C−1)としては、例えば、ブタ由来のもの等が挙げられる。
【0100】
植物ウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C−2)としては、例えば、シロイヌナズナ由来、エンドウマメ由来、オオムギ由来のもの等が挙げられる。
【0101】
微生物ウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C−3)としては、例えば、サーマス(Thermus)属由来のもの等が挙げられる。
【0102】
化学的に修飾したウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C−4)として、例えば、上記ウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼに化学反応する化合物{カルボジイミド化合物、無水コハク酸、ヨード酢酸及びイミダゾール化合物等、1種でも2種以上でもいい}を作用させて化学修飾したもの等が挙げられる。
【0103】
遺伝子的に修飾したウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C−5)として、Smithらの方法で上記ウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼの遺伝子を改変してアミノ酸を置換したもの等が挙げられる。
【0104】
上記ウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)のうち、ウリジン2リン酸−グルクロン酸を合成する活性の高さの観点から、(C−2)が好ましく、さらに好ましくはシロイヌナズナ由来のヌクレオシド−2−リン酸キナーゼである。
また、ウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)は、2種以上を用いてもいい。
【0105】
本発明のウリジン3リン酸及び/又はヒアルロン酸の製造方法に使用する(B)、(C)及び(D)の酵素は、前記の活性を有するものであれば、どのような形態であっても良い。具体的には、酵素を含む細胞(細胞には菌体を含む)を、破砕(ホモジナイザー、フレンチプレス、ワーリングブレンダー及び乳鉢等)、凍結融解、自己消化、乾燥、酵素処理、超音波処理若しくは化学処理(酸、アルカリ及び海面活性剤等)等の一般的処理法に従って処理して得られる処理物、精製酵素(処理物を、塩析、等電点沈殿、有機溶媒沈殿、透析又は各種クロマトグラフィー等により精製した酵素)、膜結合型タンパク(細胞の細胞壁若しくは細胞膜の変性物)及び固定化触媒(酵素を一般的な包括法、架橋法、担体結合法等で固定化したもの。固定化する際の固定化担体の例としては、ガラスビーズ、シリカゲル、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カラギーナン、アルギン酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。)等が挙げられる。
【0106】
本発明のヒアルロン酸の製造方法において、上記工程(1)〜(3)を含んでなり、工程(1)、(2)、(3)及び(1)の順に含む場合、上記工程(1)は、ウリジン2リン酸−グルクロン酸とウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンとにヒアルロン酸シンターゼ(D)を作用させて、ヒアルロン酸及びウリジン2リン酸を含む組成物(Z’)を得ることができれば制限なく実施できる。工程(1)の具体的な一例としては、ウリジン2リン酸−グルクロン酸、ウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、ヒアルロン酸シンターゼ(D)及び溶剤を混合して反応溶液(I’)とし、所定の温度、所定のpHに調整し、反応を行うものである。反応溶液(I’)における、好ましい原料及び酵素の含有量、好ましい温度、好ましいpH及び好ましい反応時間は、上記ウリジン3リン酸の製造方法における工程(a)での反応溶液(I)と同様である。また反応溶液(I’)には、(I)と同様に、脂質(M)、糖類(N)及びオリゴ糖(O)を含有してもいい。
【0107】
上記工程(2)は、組成物(Z’)とリン酸基含有化合物(A)とにウリジン3リン酸合成酵素(B)を作用させてウリジン3リン酸を得ることができれば制限なく実施できる。工程(2)の具体的な一例としては、工程(1)での反応後の反応溶液(I’)、リン酸基含有化合物(A)及びウリジン3リン酸合成酵素(B)を混合して反応溶液(II’)とし、所定の温度、所定のpHに調整し、反応を行うものである。反応溶液(II’)における、好ましい原料及び酵素の含有量、好ましい温度、好ましいpH及び好ましい反応時間は、上記ウリジン3リン酸の製造方法における工程(b)での反応溶液(II)と同様である。また反応溶液(II’)には、(II)と同様に、ピロリン酸分解酵素、脂質(M)、糖類(N)及びオリゴ糖(O)を含有してもいい。
【0108】
上記工程(3)は、ウリジン3リン酸と1−ホスホ−グルクロン酸とにウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)を作用させてウリジン2リン酸−グルクロン酸を得ることができれば制限なく実施できる。工程(3)の具体的な一例としては、工程(2)での反応後の反応溶液(II’)、1−ホスホ−グルクロン酸及びウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)を混合して反応溶液(III’)とし、所定の温度、所定のpHに調整し、反応を行うものである。(III’)には、ピロリン酸分解酵素、脂質(M)、糖類(N)及びオリゴ糖(O)を含有してもいい。(M)、(N)及び(O)の好ましい含有量は(II)と同様である。
【0109】
反応溶液(III’)中の1−ホスホ−グルクロン酸の含有量(モル濃度)は、ウリジン2リン酸−グルクロン酸を効率よく製造する観点から、0.0001mM〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.001mM〜500mMである。
反応溶液(III’)中のウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)の含有量(ユニット/mL)は、ウリジン2リン酸−グルクロン酸を効率よく製造する観点から、0.00001ユニット/mL〜10,000ユニット/mLが好ましく、さらに好ましくは0.001ユニット/mL〜1,000ユニット/mLである。
反応溶液(III’)の温度は、(C)の酵素活性の安定性の観点から、0℃〜100℃が好ましく、さらに好ましくは30℃〜70℃である。
反応溶液(III’)のpHは、(C)の酵素活性の安定性の観点から、pH2〜12が好ましく、さらに好ましくはpH4〜9である。
反応溶液(III’)において、ウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)を作用させる時間は、(C)の酵素活性の安定性の観点から、10分〜1,000時間が好ましい。
【0110】
反応溶液(III’)中には、ピロリン酸分解酵素を含有してもいい。工程(3)では副生成物としてピロリン酸が生成し、ピロリン酸が(C)の活性を阻害してしまう場合がある。本発明の製造方法でピロリン酸分解酵素を用いると、ピロリン酸が分解され、ピロリン酸が(C)の酵素活性の阻害することを緩和することができる。
好ましいピロリン酸分解酵素としては、上記反応溶液(II)に用いるピロリン酸分解酵素と同様である。
反応溶液(III’)中のピロリン酸分解酵素の含有量(ユニット/mL)は、反応生成物(ウリジン2リン酸−グルクロン酸)を分解せずにピロリン酸を分解する観点から、0.00001〜100ユニット/mLが好ましい。
【0111】
反応後の反応溶液(III’)に、必要により、ウリジン2リン酸−グルクロン酸、ウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン及びヒアルロン酸シンターゼ(D)等を追加して、反応溶液(I’)とし、工程(1)の反応を行う。
工程(1)、(2)、(3)及び(1)の順に含む含む製造方法である場合、上記工程(1)〜(3)は、(1)、(2)、(3)及び(1)の順に含んでいれば、それぞれ何回含んでもよく{例えば(1)、(2)、(2)、(3)、(1)}、間に別の工程を含んでいてもいい{例えば(1)、(2)、(1)、(3)、(1)}。
【0112】
また、本発明のヒアルロン酸の製造方法は、上記工程(1)〜(3)を含んでなり、工程(1)〜(3)のうち2つを同時に行う工程を含む製造方法である。具体的な一例としては、
(i)工程(1)及び(2)を同時に行い、次に工程(3)、(1)を行う方法
(ii)工程(1)を行い、次に工程(2)及び(3)を同時に行い、さらに工程(1)を行う方法
(iii)工程(1)の後、工程(2)を行い、次に工程(3)及び(1)を同時に行う方法
(iv)工程(1)及び(2)を同時に行い、次に工程(3)及び(1)を同時に行う方法
上記のうち、ウリジン2リン酸の(D)への活性阻害を少なくする観点から(i)及び(iv)が好ましい。また、ウリジン2リン酸が効率よくウリジン3リン酸に変換される観点から、(ii)及び(iii)が好ましい。
【0113】
上記(i)の方法としては、上記反応溶液(III’)において、「工程(2)での反応後の反応溶液(II’)」に変えて「ウリジン3リン酸の製造方法における反応後の反応溶液(X)」を用いてもいい。この場合は、反応溶液(X)、1−ホスホ−グルクロン酸及びウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)を混合して反応溶液(III’)とし、所定の温度、所定のpHに調整し、反応を行う。
【実施例】
【0114】
以下の実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0115】
<製造例1>
ラットすい臓由来の配列番号1のアミノ酸配列をコードする遺伝子(MSテクノシステムズ社に人工合成を依頼したもの)を制限酵素MscIとBamHIで処理後、pET−22bプラスミド(Novagen社)のMscI制限酵素サイトとBamHI制限酵素サイトに結合した。そのBL21(DE3)大腸菌株にこのプラスミドを形質転換して、ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)発現株を作成した。
【0116】
<製造例2>
「ラットすい臓由来の配列番号1のアミノ酸配列をコードする遺伝子」に変えて、「シュードモナス由来の配列番号2のアミノ酸配列をコードする遺伝子」を用いる以外は同様にして、ポリリン酸キナーゼ(B−2)発現株を作成した。
【0117】
<製造例3>
「ラットすい臓由来の配列番号1のアミノ酸配列をコードする遺伝子」に変えて、「トノサマバッタ由来の配列番号3のアミノ酸配列をコードする遺伝子」を用いる以外は同様にして、アルギニンキナーゼ(B−3)発現株を作成した。
【0118】
<製造例4>
「ラットすい臓由来の配列番号1のアミノ酸配列をコードする遺伝子」に変えて、「ラット由来の配列番号4のアミノ酸配列をコードする遺伝子」を用いる以外は同様にして、ピルビン酸キナーゼ(B−4−1)発現株を作成した。
【0119】
<製造例5>
「ラットすい臓由来の配列番号1のアミノ酸配列をコードする遺伝子」に変えて、「トキソプラズマ属由来の配列番号7のアミノ酸配列をコードする遺伝子」を用いる以外は同様にして、ピルビン酸キナーゼ(B−4−2)発現株を作成した。
【0120】
<製造例6>
「ラットすい臓由来の配列番号1のアミノ酸配列をコードする遺伝子」に変えて、「シロイヌナズナ由来の配列番号5のアミノ酸配列をコードする遺伝子」を用いる以外は同様にしてウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)発現株を作成した。
【0121】
<製造例7>
「ラットすい臓由来の配列番号1のアミノ酸配列をコードする遺伝子」に変えて、「ストレプトコッカス属由来の配列番号6のアミノ酸配列をコードする遺伝子」を用いる以外は同様にして、ヒアルロン酸シンターゼ(D)発現株を作成した。
【0122】
<製造例8〜14>
製造例1〜7で得られた酵素発現株をそれぞれLB培養液(アンピシリン 100mg/L含有)1mLに植菌して30℃で12時間培養を行い、終夜培養液を作成し、0.5mlをLB培養液(アンピシリン 100mg/L含有)5mlに植菌して30℃3時間振とう培養を行い7種類の前培養液を作成した。7種類の前培養液をそれぞれ50mLの培養液{水50mL中のそれぞれの成分の含有量は、酵母エキス(日本製薬社製)1.2g、ポリペプトン(日本製薬社製)0.6g、リン酸2カリウム0.47g、リン酸1カリウム0.11g、硫酸アンモニウム0.35g、リン酸2ナトリウム12水和物0.66g、クエン酸ナトリウム2水和物0.02g、グリセロール0.2g、ラクトアルブミン水解物1.5g、消泡剤(信越シリコーン製、「KM−70」)0.3g、1mM硫酸マグネシウム、微量金属溶液(塩化カルシウム18.9μg、塩化鉄(III)500μg、硫酸亜鉛7水和物9.0μg、硫酸銅5.1μg、塩化マンガン4水和物6.7μg、塩化コバルト4.9μg、エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム200μg)、100mg/Lアンピシリン}に植菌し微生物培養装置(エイブル社製、製品名「BioJr.8」)を用いてpH6.8、30℃を維持したまま培養を行った。培養開始後1M IPTG溶液を0.15mLを加えた。培養開始14時間後から、グリセリン/タンパク質溶液(50% グリセリン、50g/L ラクトアルブミン水解物、33g/L 消泡剤(信越シリコーン製、「KM−70」)、100mg/L アンピシリン)の滴下を開始した。培養開始後、48時間目に培養液(K−1)〜(K−7)を回収した。
得られた培養液(K−1)〜(K−7)をHis−tag精製用担体(GEヘルスケア社製 Ni Sepharose 6 Fast Flow)で分離し、配列番号1〜7の酵素(B−1)〜(B−4−1)、(B−4−2)、(C)及び(D)の水溶液を得た。
【0123】
<製造例8〜14で得られた酵素水溶液中の酵素濃度の測定>
製造例8〜14で得られた(B−1)〜(B−4−1)、(B−4−2)、(C)及び(D)の水溶液を1μLと、クマシーブリリアントブルーとSDSを含むSDS−PAGEサンプル処理液1μL(アトー社製「イージーステイン・アクア」を混合し、ポリアクリルアミドゲル(アトー社製、e・パジェル 5〜20%)を用いて20mAで60分間電気泳動した。同様に処理した1μg、3μgおよび5μLのウシ血清アルブミン(和光純薬工業社製)とのバンドの濃さの比較から、(B−1)〜(B−4−1)、(B−4−2)、(C)及び(D)の水溶液中の酵素の濃度を決定しところ、全て1μg/μLであった。
【0124】
<製造例8〜12で得られた酵素の比活性の測定>
製造例8〜12で得られた酵素(B−1)〜(B−4−1)及び(B−4−2)の比活性の測定は、後述する「ミカエリス定数Kmの測定」において算出される酵素反応初速度Vmax(mM/s)を用いて以下の数式(2)に当てはめることにより算出した。
比活性(ユニット/mg)=Vmax×60×100(2)
その結果、それぞれの比活性は下記の通りであった。
(B−1):130(ユニット/mg)
(B−2):130(ユニット/mg)
(B−3):46(ユニット/mg)
(B−4−1):104(ユニット/mg)
(B−4−2):30(ユニット/mg)
【0125】
<製造例13で得られた(C)の比活性の測定>
製造例13で得られた(C)10μLを、1.5mLのチューブ中で890μLのバッファー1[5mM塩化マグネシウム、3mMウリジン3リン酸、3mM1−ホスホ−グルクロン酸を含む50mMリン酸Naバッファー(pH7.5、25℃)水溶液]に溶解し、その直後及び5分おきに100μL取り出し、100℃で2分間加熱して酵素反応を停止した。遠心分離器(KUBOTA社製「5922」、4℃、12,000×g、10分)を用いて遠心し、不純物を沈殿させ、上清80μLを液体クロマトグラフィー(日本ウォーターズ社製 Acquity BEH300 C18カラム、ACQUITY UPLCシステム及びACQUITY UPLC TUV検出器)に供し、ウリジン2リン酸−グルクロン酸のピーク面積を記録した。
ウリジン2リン酸−グルクロン酸をバッファー1に溶解し、0.005mM、0.1mM、1mM及び5mMの濃度にしたものを作成し、80μLを上記と同条件の液体クロマトグラフィー(日本ウォーターズ社製 Acquity
BEH300 C18カラム、ACQUITY UPLCシステム及びACQUITY UPLC TUV検出器)に供し、ウリジン2リン酸−グルクロン酸のピーク面積をそれぞれ記録した。横軸(x軸)にそれぞれのウウリジン2リン酸−グルクロン酸(mM)、縦軸(y軸)にそれぞれのピーク面積Pをプロットし、直線の傾きsを算出した。
作成直後のウリジン2リン酸−グルクロン酸のピーク面積をP0、m分後のピーク面積をPhとし、それぞれピーク面積の変化ΔP(ΔP=Ph−P0)と上記直線の傾きsを用いて下記数式(3)から比活性(ユニット/mg)を算出した。
比活性(ユニット/mg)=ΔP/s×60×100/(s×m×60)(3)
その結果、(C)の比活性は62(ユニット/mg)であった。
【0126】
<製造例14で得られた(D)の比活性の測定>
製造例14で得られた酵素の比活性の測定は、以下に記述する阻害濃度IC50の測定において、バッファー3を用いて測定した酵素反応初速度vを用いて以下の数式(4)に当てはめることにより算出した。
比活性(ユニット/mg)=(バッファー3を用いて測定した酵素反応初速度v)×60×100(4)
その結果、(D)の比活性は62(ユニット/mg)であった。
【0127】
<ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)を用いてウリジン3リン酸を合成する反応におけるミカエリス定数Kmの測定>
製造例8で得られた(B−1)10μLを、1.5mLのチューブ中で890μLのバッファー1[5mM塩化マグネシウム、5mMアデノシン3リン酸(シグマ社製)を含む50mM リン酸Naバッファー(pH7.5、25℃)水溶液]に溶解し、恒温水槽を用いてチューブを40℃で3分静置した。ここに、40℃に温調した基質溶液(1)(ウリジン2リン酸ナトリウムをバッファー1に溶解して10mMの濃度にしたもの)を100μL添加し、酵素反応溶液(E−1−1)とした。(E−1−1)を作成直後及び5分おきに100μL取り出し、100℃で2分間加熱して酵素反応を停止した。遠心分離器(KUBOTA社製「5922」、4℃、12,000×g、10分)を用いて遠心し、不純物を沈殿させ、上清80μLを液体クロマトグラフィー(日本ウォーターズ社製 Acquity BEH300 C18カラム、ACQUITY UPLCシステム及びACQUITY UPLC TUV検出器)に供し、ウリジン3リン酸のピーク面積を記録した。
基質溶液(1)において、ウリジン2リン酸ナトリウムのバッファー1中のモル濃度を5mM(基質溶液(2))、2mM(基質溶液(3))、1mM(基質溶液(4))および0.3mM(基質溶液(5))とした溶液を作成した。基質溶液(1)に変えて基質溶液(2)〜(5)を用いる以外は同様にして酵素反応溶液(E−1−2)〜(E−1−5)を作成した。(E−1−2)〜(E−1−5)を作成直後及び5分おきに100μL取り出し、100℃で2分間加熱して酵素反応を停止した。遠心分離器(KUBOTA社製「5922」、4℃、12,000×g、10分)を用いて遠心し、不純物を沈殿させ、上清80μLを液体クロマトグラフィー(日本ウォーターズ社製 Acquity BEH300 C18カラム、ACQUITY UPLCシステム及びACQUITY UPLC TUV検出器)に供し、ウリジン3リン酸のピーク面積を記録した。
ウリジン3リン酸ナトリウムをバッファー1に溶解し、0.005mM、0.1mM、1mM及び5mMの濃度にしたものを作成し、ウリジン3リン酸標準溶液(M−1)〜(M−4)とした。(M−1)〜(M−4)の80μLを上記と同条件の液体クロマトグラフィー(日本ウォーターズ社製 Acquity BEH300 C18カラム、ACQUITY UPLCシステム及びACQUITY UPLC TUV検出器)に供し、ウリジン3リン酸のピーク面積をそれぞれ記録した。横軸(x軸)にそれぞれのウリジン3リン酸濃度(mM)、縦軸(y軸)にそれぞれのピーク面積Pをプロットし、直線の傾きsを算出した。
(E−1−1)〜(E−1−5)を作成直後のウリジン3リン酸のピーク面積をP0、m分後のピーク面積をPhとし、それぞれピーク面積の変化ΔP(ΔP=Ph−P0)と上記直線の傾きsを用いて下記数式(5)からそれぞれの酵素反応初速度v(mM/s)を算出した。
v=ΔP/(s×m×60)(5)
算出した酵素反応初速度vを用いて、横軸(x軸)にそれぞれの基質濃度[S]、縦軸(y軸)にそれぞれの基質濃度での酵素反応初速度の逆数[S]/vをプロットし、Hanes−Woolfプロットを作成した(図1)。プロットの近似直線とx軸との交点(−Km)から、ミカエリス定数Kmは0.25mMであった。Vmaxは0.022mM/sであった。
【0128】
<ポリリン酸キナーゼ(B−2)を用いてウリジン3リン酸を合成する反応におけるミカエリス定数Km測定>
「ウリジン2リン酸のヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)に対するミカエリス定数Kmの測定」において、「製造例8で得られたヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)」に変えて「製造例9で得られたポリリン酸キナーゼ(B−2)」を用いて、「アデノシン3リン酸」に変えて、「ポリリン酸(ナカライテスク社製、「テトラポリりん酸ナトリウム」)」を用いる以外は同様にして、酵素反応溶液(E−2−1)〜(E−2−5)を作成し、酵素反応させ、酵素反応溶液(E−2−1)〜(E−2−5)を作成直後及び5分ごとに、ウリジン3リン酸をHPLCにより定量し、酵素反応初速度v(mM/s)を算出した。上記Hanes−Woolfプロットによりミカエリス定数Kmを求めたところ、0.42mMであった。Vmaxは0.022mM/sであった。
【0129】
<アルギニンキナーゼ(B−3)を用いてウリジン3リン酸を合成する反応におけるミカエリス定数Kmの測定>
「ウリジン2リン酸のヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)に対するミカエリス定数Kmの測定法」において、「製造例8で得られたヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)」に変えて「製造例10で得られたアルギニンキナーゼ(B−3)」を用いて、「アデノシン3リン酸」に変えて、「ω−ホスホノ−L−アルギニン(シグマ社製)」を用いること以外は同様にして、酵素反応溶液(E−3−1)〜(E−3−5)を作成し、酵素反応させ、(E−3−1)〜(E−3−5)を作成直後及び5分ごとに、ウリジン3リン酸をHPLCにより定量し、酵素反応初速度v(mM/s)を算出した。上記Hanes−Woolfプロットによりミカエリス定数Kmを求めたところ、0.71mMであった。Vmaxは0.0077mM/sであった。
【0130】
<ピルビン酸キナーゼ(B−4−1)を用いてウリジン3リン酸を合成する反応におけるミカエリス定数Km測定>
「ウリジン2リン酸のヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)に対するミカエリス定数Kmの測定法」において、「製造例8で得られたヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)」に変えて「製造例11で得られたピルビン酸キナーゼ(B−4−1)」を用いて、「アデノシン3リン酸」に変えて「ホスホエノールピルビン酸(シグマ社製)」を用いる以外は同様にして、酵素反応溶液(E−4−1)〜(E−4−5)を作成し、酵素反応させ、(E−4−1)〜(E−4−5)を作成直後及び5分ごとに、ウリジン3リ
ン酸をHPLCにより定量し、酵素反応初速度v(mM/s)を算出した。上記Hanes−Woolfプロットによりミカエリス定数Kmを求めたところ、6mMであった。Vmaxは0.017mM/sであった。
【0131】
<ピルビン酸キナーゼ(B−4−2)を用いてウリジン3リン酸を合成する反応におけるミカエリス定数Km測定>
「ウリジン2リン酸のヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)に対するミカエリス定数Kmの測定法」において、「製造例8で得られたヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)」に変えて「製造例12で得られたピルビン酸キナーゼ(B−4−2)」を用いて、「アデノシン3リン酸」に変えて「ホスホエノールピルビン酸(シグマ社製)」を用いる以外は同様にして、酵素反応溶液(E−5−1)〜(E−5−5)を作成し、酵素反応させ、(E−5−1)〜(E−5−5)を作成直後及び5分ごとに、ウリジン3リン酸をHPLCにより定量し、酵素反応初速度v(mM/s)を算出した。上記Hanes−Woolfプロットによりミカエリス定数Kmを求めたところ、12mMであった。Vmaxは0.005mM/sであった。
【0132】
<(D)の酵素活性が半減するときのウリジン2リン酸の濃度である阻害濃度IC50の測定>
1.5mLのチューブ中で940μLのバッファー2[5mM塩化マグネシウム、0.0.05mMウリジン2リン酸ナトリウムを含む50mM リン酸Naバッファー(pH7.5、25℃)水溶液]に製造例14で得られたヒアルロン酸シンターゼ(D)を0.1ユニット/mLとなるように溶解し、恒温水槽を用いてチューブを40℃で20分静置した。ここに、40℃に温調した基質溶液(1)(ウリジン2リン酸−グルクロン酸ナトリウム塩、ウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンをバッファー1に溶解してそれぞれ20mMの濃度にしたもの)を50μL添加し、酵素反応溶液(F−1)とした。(F−1)を作成直後及び5分おきに100μL取り出し、100℃で2分間加熱して酵素反応を停止した。遠心分離器(KUBOTA社製「5922」、4℃、12,000×g、10分)を用いて遠心し、不純物を沈殿させ、上清80μLを液体クロマトグラフィー(日本ウォーターズ社製 Acquity BEH300 C18カラム、ACQUITY UPLCシステム及びACQUITY UPLC TUV検出器)に供し、ヒアルロン酸のピーク面積を記録した。
バッファー2において、ウリジン2リン酸ナトリウムのバッファー2中のモル濃度を0mM(バッファー3)、0.15mM(バッファー4)、3mM(バッファー5)、1mM(バッファー6)及び3mM(バッファー7)とした溶液を作成した。バッファー2に変えてバッファー3〜6を用いる以外は同様にして酵素反応溶液(F−2)〜(F−6)を作成した。(F−2)〜(F−6)を作成直後及び5分おきに100μL取り出し、100℃で2分間加熱して酵素反応を停止した。
遠心分離器(KUBOTA社製「5922」、4℃、12,000×g、1R分)を用いて遠心し、不純物を沈殿させ、上清80μLを液体クロマトグラフィー(日本ウォーターズ社製 Acquity BEH300 C18カラム、ACQUITY UPLCシステム及びACQUITY UPLC TUV検出器)に供し、ヒアルロン酸のピーク面積を記録した。
ヒアルロン酸ナトリウム(フナコシ社製 ヒアロース、〜175kDa)をバッファー1に溶解し、0.001μg/mL、0.01μg/mL、0.1μg/mL及び5μg/mLの濃度にしたものを作成し、ヒアルロン酸標準溶液(G−1)〜(G−4)とした。(G−1)〜(G−4)の80μLを上記と同条件の液体クロマトグラフィー(日本ウォーターズ社製 Acquity BEH300 C18カラム、ACQUITY UPLCシステム及びACQUITY UPLC TUV検出器)に供し、ヒアルロン酸のピーク面積をそれぞれ記録した。横軸(x軸)にそれぞれのヒアルロン酸濃度(μg)、縦軸(y軸)にそれぞれのピーク面積Pをプロットし、直線の傾きsを算出した。
(F−1)〜(F−6)を作成直後のウリジン3リン酸のピーク面積をP0、m分後のピーク面積をPhとし、それぞれピーク面積の変化ΔP(ΔP=Ph−P0)と上記直線の傾きsを用いて下記数式(1)からそれぞれの酵素反応初速度v(μg/s)を算出した。
v=ΔP/(s×m×60)(1)
バッファー3を用いて測定した酵素反応初速度vを100%とし、バッファー2及び3〜7を用いて測定した酵素反応初速度の相対値(%)を算出した。算出した相対値を用いて、横軸(x軸)にそれぞれのウリジン2リン酸濃度[S]、縦軸(y軸)にバッファー2〜7での酵素反応初速度の相対値をプロットした。(図2)。プロットの近似曲線と直線y=50(%)との交点から、阻害濃度IC50は0.11mMであった。
【0133】
上記ミカエリス定数Km及び阻害濃度IC50の測定結果から、それぞれのKmとIC50は以下の関係であることがわかった。
ウリジン2リン酸の(B−1)に対するミカエリス定数Kmは(D)の阻害濃度IC50の2.27倍
ウリジン2リン酸の(B−2)に対するミカエリス定数Kmは(D)の阻害濃度IC50の3.82倍
ウリジン2リン酸の(B−3)に対するミカエリス定数Kmは(D)の阻害濃度IC50の6.45倍
ウリジン2リン酸の(B−4−1)に対するミカエリス定数Kmは(D)の阻害濃度IC50の54.5倍
ウリジン2リン酸の(B−4−2)に対するミカエリス定数Kmは(D)の阻害濃度IC50の109倍
【0134】
<実施例1>
50mM リン酸Naバッファー(pH7.5、25℃)水溶液中に、1mMのウリジン2リン酸−グルクロン酸、1mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、製造例14で得られた(D)を0.1ユニット/mL、ピロリン酸分解酵素を0.2ユニット/mL、5mMの塩化マグネシウムを含む反応溶液(I−1)を1mL調整した。すべて混合してから2時間、40℃の恒温水槽で温調し、酵素反応させた。
その後、反応溶液(I−1)に製造例9で得られた(B−2)を0.1ユニット/mL及びポリリン酸を1mMとなるように添加して反応溶液(II−1)とし、2時間、40℃の恒温水槽で温調し、酵素反応させた。その後、反応溶液(II−1)を液体クロマトグラフィー(日本ウォーターズ社製 Acquity BEH300 C18カラム、ACQUITY UPLCシステム及びACQUITY UPLC TUV検出器、以下同じ)に供し、ウリジン3リン酸を定量したところ、0.3μgであった。
【0135】
<実施例2>
実施例1において、「製造例9で得られた(B−2)を0.1ユニット/mL」に変えて「製造例8で得られた(B−1)を0.1ユニット/mL」とし、「ポリリン酸を1mM」に変えて「アデノシン3リン酸を5mM」とする以外は実施例1と同様にして反応溶液(II−2)を作成し、酵素反応させた。反応後の反応溶液(II−2)中のウリジン3リン酸を定量したところ、0.3μgであった。
【0136】
<実施例3>
実施例1において、「製造例9で得られた(B−2)を0.1ユニット/mL」に変えて「製造例10で得られた(B−3)を0.1ユニット/mL」とし、「ポリリン酸を1mM」に変えて「ω−ホスホノ−L−アルギニンを5mM」とする以外は実施例1と同様にして反応溶液(II−3)を作成し、酵素反応させた。反応後の反応溶液(II−3)中のウリジン3リン酸を定量したところ、0.05μgであった。
【0137】
<実施例4>
実施例1において、「製造例9で得られた(B−2)を0.1ユニット/mL」に変えて「製造例11で得られた(B−4−1)を0.1ユニット/mL」とし、「ポリリン酸を1mM」に変えて「ホスホエノールピルビン酸を5mM」とする以外は実施例1と同様にして反応溶液(II−4)を作成し、酵素反応させた。反応後の反応溶液(II−4)中のウリジン3リン酸を定量したところ、0.03μgであった。
【0138】
<比較例1>
実施例1において、「製造例9で得られた(B−2)を0.1ユニット/mL」に変えて「製造例12で得られた(B−4−2)を0.1ユニット/mL」とし、「ポリリン酸を1mM」に変えて「ホスホエノールピルビン酸を5mM」とする以外は実施例1と同様にして反応溶液(HII−1)を作成し、酵素反応させた。反応後の反応溶液(HII−1)中のウリジン3リン酸を定量したところ、0.01μgであった。
【0139】
<実施例5>
50mMのリン酸Naバッファー(pH7.5、25℃)水溶液中に、製造例8で得られた(B−1)を0.01ユニット/mL、製造例14で得られた(D)を0.1ユニット/mL、ピロリン酸分解酵素(ロシュアプライドサイエンス社製)を0.2ユニット/mL、1mMのウリジン2リン酸−グルクロン酸、1mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、5mMの塩化マグネシウム及び5mMのアデノシン3リン酸を含む反応溶液(X−1)を1mL調整した。すべて混合してから1時間、40℃の恒温水槽で温調し、酵素反応させた。
その後、反応溶液(X−1)を液体クロマトグラフィーに供し、ウリジン3リン酸を定量したところ、0.1μgであった。
【0140】
<実施例6>
実施例5において、「製造例8で得られた(B−1)を0.01ユニット/mL」に変えて「製造例9で得られた(B−2)を0.01ユニット/mL」とし、「5mMのアデノシン3リン酸」に変えて「5mMのポリリン酸(ナカライテスク社「テトラポリりん酸ナトリウム」、重合度4)」とする以外は実施例5と同様にして反応溶液(X−2)を作成し、酵素反応させた。反応後の反応溶液(X−2)中のウリジン3リン酸を定量したところ、0.05μgであった。
【0141】
<実施例7>
実施例5において、「製造例8で得られた(B−1)を0.01ユニット/mL」に変えて「製造例10で得られた(B−3)を0.1ユニット/mL」とし、「5mMのアデノシン3リン酸」に変えて「5mMのω−ホスホノ−L−アルギニン」とする以外は実施例5と同様にして反応溶液(X−3)を作成し、酵素反応させた。反応後の反応溶液(X−3)中のウリジン3リン酸を定量したところ、0.02μgであった。
【0142】
<実施例8>
実施例5において、「製造例8で得られた(B−1)を0.01ユニット/mL」に変えて「製造例11で得られた(B−4−1)を0.1ユニット/mL」とし、「5mMのアデノシン3リン酸」に変えて「5mMのホスホエノールピルビン酸」とする以外は実施例5と同様にして反応溶液(X−4)を作成し、酵素反応させた。反応後の反応溶液(X−4)中のウリジン3リン酸を定量したところ、0.015μgであった。
【0143】
<比較例2>
実施例5において、「製造例8で得られた(B−1)を0.01ユニット/mL」に変えて「製造例12で得られた(B−4−2)を0.1ユニット/mL」とし、「5mMのアデノシン3リン酸」に変えて「5mMのホスホエノールピルビン酸」とする以外は実施例5と同様にして反応溶液(HX−1)を作成し、酵素反応させた。反応後の反応溶液(HX−1)中のウリジン3リン酸を定量したところ、0.009μgであった。
【0144】
実施例1〜4と比較例1との比較及び実施例5〜8と比較例2との比較から、ミカエリス定数Kmが下記阻害濃度IC50の100倍未満である酵素を用いた本発明の製造方法の実施例1〜4及び実施例5〜8の方が、ミカエリス定数Kmが下記阻害濃度IC50の100倍以上である酵素を用いた比較例1及び2よりも、ウリジン3リン酸の生産量が非常に多かった。特に、ミカエリス定数Kmが下記阻害濃度IC50の10倍以下である実施例1〜3及び実施例5〜7で得られたウリジン3リン酸は、比較例に比べて生産量が極めて多かった。
したがって、本発明のウリジン3リン酸の製造方法では、ヒアルロン酸シンターゼを用いてヒアルロン酸を製造した際に副生成するウリジン2リン酸を効率よく用いてウリジン3リン酸を多く製造することができることが分かる。
【0145】
<実施例9>
50mM リン酸Naバッファー(pH7.5、25℃)水溶液中に、1mMのウリジン2リン酸−グルクロン酸、1mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、製造例14で得られた(D)を0.1ユニット/mLを含む反応溶液(I’−1)を1mL調整した。すべて混合してから2時間、40℃の恒温水槽で温調し、酵素反応させた。
その後、反応溶液(I’−1)に、ピロリン酸分解酵素を0.2ユニット/mLとなるように加え、ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)を0.1ユニット、10mMのアデノシン−3−リン酸を0.1mL添加し、反応溶液(II’−1)とした。反応溶液(II’−1)を40℃の恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(II’−1)に、製造例13で得られたウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)を0.2ユニット(1.3μL)及び5mMの1−ホスホ−グルクロン酸を200μL加え、反応溶液(III’−1)とした。反応溶液(III’−1)を40℃の恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(III’−1)に、10mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンを100μL、製造例14で得られた(D)を反応溶液(III’−1)に対して0.1ユニット/mL追加し、反応溶液(I’−2)とし、40℃の恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(I’−2)を液体クロマトグラフィーに供し、ヒアルロン酸を精製した。得られたヒアルロン酸の量を定量したところ、120μgであった。
【0146】
<実施例10>
50mM リン酸Naバッファー(pH7.5、25℃)水溶液中に、1mMのウリジン2リン酸−グルクロン酸、1mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、製造例14で得られた(D)を0.1ユニット/mL、ピロリン酸分解酵素を0.2ユニット/mL、製造例9で得られたヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)を0.1ユニット/mL、1mMのアデノシン−3−リン酸及び5mMの塩化マグネシウムを含む反応溶液(X−5)を1mL調整した。すべて混合してから2時間、40℃の恒温水槽で温調し、酵素反応させた。
その後、反応溶液(X−5)に製造例13で得られたウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)を0.2ユニット(1.3μL)及び5mMの1−ホスホ−グルクロン酸を200μL加え、反応溶液(III’−2)とした。反応溶液(III’−2)をの恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(III’−2)に製造例14で得られたヒアルロン酸シンターゼ(D)を0.2ユニット、5mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン200μL及び製造例9で得られたヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)を0.1ユニット、10mMのアデノシン−3−リン酸を0.1mL添加し、反応溶液(X’−1)とした。反応溶液(X’−1)を40℃の恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(X’−1)を液体クロマトグラフィーに供し、ヒアルロン酸を精製した。得られたヒアルロン酸の量を定量したところ、104μgであった。
【0147】
<実施例11>
50mM リン酸Naバッファー(pH7.5、25℃)水溶液中に、1mMのウリジン2リン酸−グルクロン酸、1mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、製造例14で得られた(D)を0.1ユニット/mLを含む反応溶液(I’−3)を1mL調整した。すべて混合してから2時間、40℃の恒温水槽で温調し、酵素反応させた。
その後、反応溶液(I’−3)に、ピロリン酸分解酵素を0.2ユニット/mLとなるように加え、ポリリン酸キナーゼ(B−2)を0.1ユニット、10mMのポリリン酸を0.1mL添加し、反応溶液(II’−3)とした。反応溶液(II’−3)を40℃の恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(II’−3)に、製造例13で得られたウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)を0.2ユニット(1.3μL)及び5mMの1−ホスホ−グルクロン酸を200μL加え、反応溶液(III’−3)とした。反応溶液(III’−3)を40℃の恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(III’−3)に、10mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンを100μL、製造例14で得られた(D)を反応溶液(III’−3)に対して0.1ユニット/mL追加し、反応溶液(I’−4)とし、40℃の恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(I’−4)を液体クロマトグラフィーに供し、ヒアルロン酸を精製した。得られたヒアルロン酸の量を定量したところ、89μgであった。
【0148】
<実施例12>
50mM リン酸Naバッファー(pH7.5、25℃)水溶液中に、1mMのウリジン2リン酸−グルクロン酸、1mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、製造例14で得られた(D)を0.1ユニット/mLを含む反応溶液(I’−5)を1mL調整した。すべて混合してから2時間、40℃の恒温水槽で温調し、酵素反応させた。
その後、反応溶液(I’−5)に、ピロリン酸分解酵素を0.2ユニット/mLとなるように加え、アルギニンキナーゼ(B−3)を0.1ユニット、10mMのω−ホスホノ−L−アルギニンを0.1mL添加し、反応溶液(II’−4)とした。反応溶液(II’−4)を40℃の恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(II’−4)に、製造例13で得られたウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)を0.2ユニット(1.3μL)及び5mMの1−ホスホ−グルクロン酸を200μL加え、反応溶液(III’−4)とした。反応溶液(III’−4)を40℃の恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(III’−4)に、10mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンを100μL、製造例14で得られた(D)を反応溶液(III’−4)に対して0.1ユニット/mL追加し、反応溶液(I’−6)とし、40℃の恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(I’−6)を液体クロマトグラフィーに供し、ヒアルロン酸を精製した。得られたヒアルロン酸の量を定量したところ、70μgであった。
【0149】
<実施例13>
50mM リン酸Naバッファー(pH7.5、25℃)水溶液中に、1mMのウリジン2リン酸−グルクロン酸、1mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、製造例14で得られた(D)を0.1ユニット/mLを含む反応溶液(I’−7)を1mL調整した。すべて混合してから2時間、40℃の恒温水槽で温調し、酵素反応させた。
その後、反応溶液(I’−7)に、ピロリン酸分解酵素を0.2ユニット/mLとなるように加え、ピルビン酸キナーゼ(B−4−1)を0.1ユニット、10mMのホスホエノールピルビン酸を0.1mL添加し、反応溶液(II’−5)とした。反応溶液(II’−5)を40℃の恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(II’−5)に、製造例13で得られたウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)を0.2ユニット(1.3μL)及び5mMの1−ホスホ−グルクロン酸を200μL加え、反応溶液(III’−5)とした。反応溶液(III’−5)を40℃の恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(III’−5)に、10mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンを100μL、製造例14で得られた(D)を反応溶液(III’−5)に対して0.1ユニット/mL追加し、反応溶液(I’−8)とし、40℃の恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(I’−8)を液体クロマトグラフィーに供し、ヒアルロン酸を精製した。得られたヒアルロン酸の量を定量したところ、35μgであった。
【0150】
<実施例14>
50mM リン酸Naバッファー(pH7.5、25℃)水溶液中に、1mMのウリジン2リン酸−グルクロン酸、1mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、製造例14で得られた(D)を0.1ユニット/mLを含む反応溶液(I’−9)を1mL調整した。すべて混合してから2時間、40℃の恒温水槽で温調し、酵素反応させた。
その後、反応溶液(I’−9)に、ピロリン酸分解酵素を0.2ユニット/mLとなるように加え、ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)を0.1ユニット、10mMのアデノシン−3−リン酸を0.1mL、製造例13で得られたウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)を0.2ユニット(1.3μL)及び5mMの1−ホスホ−グルクロン酸を200μL加え、反応溶液(III’−6)とした。すべて混合してから2時間、40℃の恒温水槽で温調し、酵素反応させた。
その後、反応溶液(III’−6)に、10mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンを100μL、製造例14で得られた(D)を反応溶液(III’−6)に対して0.1ユニット/mL追加し、反応溶液(I’−10)とし、40℃の恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(I’−10)を液体クロマトグラフィーに供し、ヒアルロン酸を精製した。得られたヒアルロン酸の量を定量したところ、90μgであった。
【0151】
<実施例15>
50mM リン酸Naバッファー(pH7.5、25℃)水溶液中に、1mMのウリジン2リン酸−グルクロン酸、1mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、製造例14で得られた(D)を0.1ユニット/mL、ピロリン酸分解酵素を0.2ユニット/mL、ヌクレオシド−2−リン酸キナーゼ(B−1)を0.1ユニット、10mMのアデノシン−3−リン酸を0.1mL含む反応溶液(X−6)を1mL調整した。すべて混合してから2時間、40℃の恒温水槽で温調し、酵素反応させた。
その後、反応溶液(X−6)に、製造例13で得られたウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)を0.2ユニット(1.3μL)、5mMの1−ホスホ−グルクロン酸を200μL、10mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンを100μL、製造例14で得られた(D)を反応溶液(X−6)に対して0.1ユニット/mL、加え、反応溶液(III’−7)とした。すべて混合してから2時間、40℃の恒温水槽で温調し、酵素反応させた。
その後、反応溶液(III’−7)を液体クロマトグラフィーに供し、ヒアルロン酸を精製した。得られたヒアルロン酸の量を定量したところ、93μgであった。
【0152】
<比較例3>
50mM リン酸Naバッファー(pH7.5、25℃)水溶液中に、1mMのウリジン2リン酸−グルクロン酸、1mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、製造例14で得られた(D)を0.1ユニット/mL、ピロリン酸分解酵素を0.2ユニット/mL、5mMの塩化マグネシウムを含む反応溶液(HI’−1)を1mL調整した。すべて混合してから2時間、40℃の恒温水槽で温調し、酵素反応させた。反応後、液体クロマトグラフィーにより、反応溶液(HI’−1)中のヒアルロン酸の量を定量したところ、5.7μgであった。
【0153】
<比較例4>
50mM リン酸Naバッファー(pH7.5、25℃)水溶液中に、1mMのウリジン2リン酸−グルクロン酸、1mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、製造例14で得られた(D)を0.1ユニット/mLを含む反応溶液(HI’−2)を1mL調整した。すべて混合してから2時間、40℃の恒温水槽で温調し、酵素反応させた。
その後、反応溶液(HI’−2)にピロリン酸分解酵素を0.2ユニット/mL、製造例12で得られた(B−4−2)を0.1ユニット/mL、5mMのω−ホスホノ−L−アルギニン、及び5mMの塩化マグネシウムを加えて反応溶液(HII’−1)とした。すべて混合してから2時間、40℃の恒温水槽で温調し、酵素反応させた。
その後、反応溶液(HII’−1)に製造例13で得られたウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)を0.2ユニット(1.3μL)及び5mM1−ホスホ−グルクロン酸を200μL加え、反応溶液(HIII’−1)とした。反応溶液(HIII’−1)をの恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(HIII’−1)に製造例14で得られたヒアルロン酸シンターゼ(D)を0.2ユニット、5mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン200μL、製造例12で得られた(B−4−2)を0.1ユニット及び5mMのω−ホスホノ−L−アルギニンを添加して反応溶液(HI’−2)とした。反応溶液(HI’−2)を40℃の恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(HI’−2)を液体クロマトグラフィーに供し、ヒアルロン酸を精製した。得られたヒアルロン酸の量を定量したところ、10μgであった。
【0154】
<比較例5>
50mM リン酸Naバッファー(pH7.5、25℃)水溶液中に、1mMのウリジン2リン酸−グルクロン酸、1mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン、製造例14で得られた(D)を0.1ユニット/mL、ピロリン酸分解酵素を0.2ユニット/mL、5mMの塩化マグネシウムを含む反応溶液(HI’−3)を1mL調整した。すべて混合してから2時間、40℃の恒温水槽で温調し、酵素反応させた。その後、反応溶液(HI’−3)に、ウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)を0.2ユニット(1.3μL)及び5mM1−ホスホ−グルクロン酸を200μL、ウリジン3リン酸を1mMとなるように加え、反応溶液(HIII’−2)とした。反応溶液(HIII’−2)を恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。
その後、反応溶液(HIII’−2)に製造例14で得られたヒアルロン酸シンターゼ(D)を0.2ユニット、5mMのウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミン200μLを加えて(HI’−4)とし、反応溶液(HI’−4)を40℃の恒温水槽で温調し、2時間酵素反応させた。その後、(HI’−4)を液体クロマトグラフィーにより、反応溶液(HI’−4)中のヒアルロン酸の量を定量したところ、7μgであった。
【0155】
酵素としてヒアルロン酸シンターゼ(D)のみを用いた比較例3では、得られたヒアルロン酸量が5.7μgと少なかった。また、ウリジン3リン酸合成酵素(B)とヒアルロン酸シンターゼ(D)を用いた場合においても、(B)のミカエリス定数Kmが(D)の阻害濃度IC50の100倍以上である酵素を用いる以外は実施例13と同様に実施した比較例4は、得られたヒアルロン酸量が10μgと少なかった。
一方、ウリジン3リン酸合成酵素(B)のミカエリス定数Kmがヒアルロン酸シンターゼ(D)の阻害濃度IC50の100倍未満である本発明の製造方法である実施例9〜15で得られたヒアルロン酸は35μg〜120μgであり、得られたヒアルロン酸量が比較例3及び4と比較して極めて多かった。
したがって、本発明のヒアルロン酸の製造方法では、ヒアルロン酸を大量に得られることが分かる。
また、比較例5ではウリジン3リン酸を添加することで、比較例3よりもヒアルロン酸の生産量は増加しているものの、実施例9〜15よりも少なかった。一方、実施例9〜15では、ウリジン3リン酸を添加することなくヒアルロン酸を大量に製造できた。これは、実施例1〜8で実証されている通り、副生成したウリジン2リン酸をウリジン3リン酸に効率よく変換できているため、ウリジン3リン酸を添加しなくても、ウリジン2リン酸−グルクロン酸を生成することができるためである。さらに、ウリジン2リン酸がウリジン3リン酸に変換されるため、ヒアルロン酸シンターゼ(D)の活性阻害を少なくすることができ、ヒアルロン酸を大量に得ることができている。
したがって、本発明のヒアルロン酸の製造方法では、ヒアルロン酸の製造において、ウリジン3リン酸の使用量を低減できることがわかる。
以上のことから、本発明のヒアルロン酸の製造方法は、ヒアルロン酸を製造した際に副生成するウリジン2リン酸を利用して効率よくウリジン3リン酸を生成し、ウリジン3リン酸の使用量を減らしてもヒアルロン酸を製造することができ、ヒアルロン酸の生産量が多いことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明のウリジン3リン酸の製造方法によれば、ウリジン3リン酸を高効率で生産でき、生産したウリジン3リン酸はヒアルロン酸の製造に用いることができる。また、本発明のヒアルロン酸の製造方法によれば、副生成するウリジン2リン酸を再利用して使用するウリジン3リン酸の量を減らすことができ、ヒアルロン酸を高効率で生産でき、ヒアルロン酸の生産量が多い。また、本発明の製造方法により得られたヒアルロン酸は、化粧品、医薬部外品、医薬品、医療機器だけでなく、食品等にも用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒアルロン酸シンターゼ(D)、ヒアルロン酸及びウリジン2リン酸を含む組成物(Z)とリン酸基含有化合物(A)とにウリジン3リン酸合成酵素(B)を作用させてウリジン3リン酸を製造する方法において、下記ミカエリス定数Kmが下記阻害濃度IC50の100倍未満であるウリジン3リン酸の製造方法。
ミカエリス定数Km:ウリジン2リン酸を基質とし、(B)を酵素とし、リン酸基含有化合物(A)を作用させてウリジン3リン酸を合成する反応におけるミカエリス定数。
阻害濃度IC50:(D)をウリジン2リン酸−グルクロン酸及びウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンに作用させる際の(D)の濃度において、基質としてウリジン2リン酸−グルクロン酸及びウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンを用いて、阻害剤としてウリジン2リン酸を用いて求めた、(D)の酵素活性が半減するときのウリジン2リン酸の濃度。
【請求項2】
下記工程(1)〜(3)を含んでなり、
工程(1)、(2)、(3)及び(1)の順に含む又は工程(1)〜(3)のうち2つを同時に行う工程を含む製造方法であり、
下記ミカエリス定数Kmが下記阻害濃度IC50の100倍未満であるヒアルロン酸の製造方法。
工程(1):ウリジン2リン酸−グルクロン酸とウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンとにヒアルロン酸シンターゼ(D)を作用させて(D)、ヒアルロン酸及びウリジン2リン酸を含む組成物(Z’)を得る工程。
工程(2):組成物(Z’)とリン酸基含有化合物(A)とにウリジン3リン酸合成酵素(B)を作用させてウリジン3リン酸を得る工程。
工程(3):ウリジン3リン酸と1−ホスホ−グルクロン酸とにウリジン3リン酸−モノサッカリド−1−リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ(C)を作用させてウリジン2リン酸−グルクロン酸を得る工程。
ミカエリス定数Km:ウリジン2リン酸を基質とし、(B)を酵素とし、リン酸基含有化合物(A)を作用させてウリジン3リン酸を合成する反応におけるミカエリス定数。
阻害濃度IC50:(D)をウリジン2リン酸−グルクロン酸及びウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンに作用させる際の(D)の濃度において、基質としてウリジン2リン酸−グルクロン酸及びウリジン2リン酸−N−アセチルグルコサミンを用いて、阻害剤としてウリジン2リン酸を用いて求めた、(D)の酵素活性が半減するときのウリジン2リン酸の濃度。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−75884(P2013−75884A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−128721(P2012−128721)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】