説明

ウレタンオリゴマー及び樹脂組成物、並びにこれらを用いた硬化物

【課題】微細な形状であっても転写性に優れ、成型後の硬化物が外的要因によって変形せず、また、低反り性、耐擦過傷性に優れる、ウレタンオリゴマーを提供すること。
【解決手段】下記化学式(a)で表されるウレタンオリゴマー。


(式中、RおよびRはアルキレン基であり、Rは水素またはメチル基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタンオリゴマー、及び前記ウレタンオリゴマーを含有する樹脂組成物に関する。また、本発明は、前記ウレタンオリゴマー及び前記樹脂組成物を用いて形成された硬化物、特に回折型集光フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話や液晶などのバックライト部材の輝度を向上させるための集光フィルムとしては、図1に示すような、いわゆるプリズム型シートが用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。また、プリズム型シートは、図1のように1枚用いられる場合だけでなく、図2のように2枚用いられる場合(2枚方式)もある。このような2枚方式は、2枚のプリズム型シートを、ある角度を持って重ね合わせることで、その輝度が増加するようにして使用されるものである(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
しかし、プリズム型シートは、幾何光学的に出射光を曲げることにより集光フィルムとして機能するものであり、上記のように1枚のプリズム型シートのみを集光フィルムとする場合、凹凸の高さを大きくする必要がある。その結果、シートの膜厚が厚くなり、薄型化しにくくなる。また、個々のプリズムが光を曲げる機能を果たしているため、プリズム欠陥や異物があるとそのプリズムを通過する光は、異常光線となり輝点などの表示異常を引き起こしてしまう。さらに、プリズム型シートには、組立の際、脆くて扱い難いという課題がある。一方、2枚方式では、原価が高くなり、厚みが増大するという課題がある。そこで、これらの課題を一挙に解決する集光フィルムが求められている。
【0004】
上記課題を解決するために、発明者らは、回折型集光フィルムを開発した。回折型集光フィルムとは、光源から出て導光板で約60度曲げられた光を、使用者正面方向に曲げる機能を持つ光学フィルムである。その一例において、回折型集光フィルムは、表面に微細な山形の繰り返し形状を有している(例えば、図3参照)。回折型集光フィルムは、光の波動的性質に基づく回折・干渉現象を利用することにより、通常の幾何光学を利用した集光フィルムより、高輝度と薄型化を同時に実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2739730号公報
【特許文献2】特公平1−37801号公報
【特許文献3】国際公開第2004/099833号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回折型集光フィルムを製造する方法として、例えば、次のような方法が知られている。まず、ウレタンオリゴマーを主成分とし、(メタ)アクリロイル基含有化合物などの反応性モノマー、及び光開始剤を含む樹脂組成物を基材フィルムに塗工する。次いで、得られた樹脂組成物層に回折格子溝を設けた金型を用いて格子溝を転写し、その後、樹脂組成物層を硬化させる。
【0007】
ここで、集光フィルムを、従来の幾何光学的屈折を利用したプリズム型シートから回折型の集光フィルムに変更するためには、例えば図4で示すように、三角形状のピッチ幅、および高さを、プリズム型シートの約10分の1またはそれ以下に小さくすることが望まれる。従来のプリズム型シートの一例においては、三角形状のピッチ幅が50μmで、頂角が63°であったのに対し、回折型の集光フィルムの一例においては、三角形状のピッチ幅が5μmで、頂角が45°である。しかし、そのような微細形状を金型からの離型により形状転写することは非常に困難なことである。それゆえ、回折型集光フィルムの材料には、公知のプリズム型シートの材料に要求される特性に加え、さらに、微細な形状に対する転写性が要求されている。
【0008】
また、一般的に、回折型集光フィルムは、成型の最終工程において、幅広で長尺の光学フィルムとして、ロール巻き状態にされる。あるいは、必要に応じ、塗工面に傷が付かないよう回折型集光フィルムにカバーシートが貼り合わせられ、一本のロールに巻き取られる。その後、回折型集光フィルムは、所望の形状に裁断される。
【0009】
ところが、ロール巻き状態から裁断までに時間をおいた回折型集光フィルムをバックライトに組み込んだ時、表示面全体にムラ模様が発生する外観不具合が起こる場合があった。これは、微細形状部分が、ロール巻き状態時に変形したためであると考えられる。そこで、成型後に変形することのない回折型集光フィルムが必要とされている。
【0010】
さらに、回折型集光フィルムは、最終製品であるバックライトへ組み込む際の作業性の観点から、反りが起こらない、回折型集光プリズム面が傷付きにくい光学フィルムであることも求められる。
【0011】
したがって、本発明は、微細な形状であっても転写性に優れ、成型後の硬化物が外的要因によって変形せず、また、低反り性、耐擦過傷性に優れる、ウレタンオリゴマー及び樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、外的要因によって変形せず、低反り性、耐擦過傷性に優れる硬化物、特に回折型集光フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定のウレタンオリゴマーにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を為すに至った。
本発明は、下記化学式(a)で表されるウレタンオリゴマーに関する。
【化1】

(式中、RおよびRはアルキレン基であり、Rは水素またはメチル基である。)
前記ウレタンオリゴマーは、例えば、
下記化学式(I)で表されるイソシアネート化合物と、
【化2】

(式中、RおよびRはアルキレン基である。)
下記化学式(II)で表されるヒドロキシル基含有化合物と、
【化3】

(式中、Rは水素またはメチル基である。)
を反応させて得ることができる。本発明のウレタンオリゴマーの重量平均分子量Mwは、好ましくは400〜4,000である。
また、本発明は、(A)下記化学式(a)で表されるウレタンオリゴマー、
【化4】

(式中、RおよびRはアルキレン基であり、Rは水素またはメチル基である。)
(B)二官能モノマー、及び(C)開始剤、を含むことを特徴とする樹脂組成物に関する。
本発明の樹脂組成物の態様として、前記(A)ウレタンオリゴマーの重量平均分子量Mwが400〜4,000である樹脂組成物、前記(A)ウレタンオリゴマーと前記(B)二官能モノマーとの配合比が質量比で1:9〜9:1の範囲である樹脂組成物、前記(C)開始剤が光開始剤である樹脂組成物、前記(C)開始剤が前記(A)ウレタンオリゴマー及び前記(B)二官能モノマーの合計量100質量部に対して0.01〜5質量部含まれる樹脂組成物、前記(A)ウレタンオリゴマーのRが−C12−である樹脂組成物、前記(B)二官能モノマーが下記化学式(III)で表される化合物である樹脂組成物、
【化5】

(式中、Rは水素またはメチル基であり、nは1以上の整数である。)
などが挙げられる。
また、本発明は、上記樹脂組成物を硬化させてなる硬化物に関し、さらに、本発明は、上記樹脂組成物を硬化させてなる回折型集光フィルムに関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のウレタンオリゴマー及びこれを含む樹脂組成物は、微細形状転写性に優れ、また、これらを硬化して得られる硬化物は、微細形状維持性、低反り性、及び耐擦過傷性に優れる。また、本発明の硬化物及び回折型集光フィルムは、微細形状維持性、低反り性、及び耐擦過傷性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1aは、1枚のプリズム型シートの一例を示す模式斜視図であり、図1bは、1枚のプリズム型シートを使用したバックライトの一例を示す模式側面図である。
【図2】図2aは、2枚のプリズム型シートの一例を示す模式斜視図であり、図2bは、2枚のプリズム型シートを使用したバックライトの一例を示す模式側面図である。
【図3】図3aは、回折型集光フィルムの一例を示す模式斜視図であり、図3bは、回折型集光フィルムを使用したバックライトの一例を示す模式側面図である。
【図4】図4は、回折型集光フィルムの山形微細形状の一例と、プリズム型シートの山形微細形状の一例とを比較する模式側面図である。
【図5】図5は、回折型集光フィルムの製造工程の一例を示す模式図である。
【図6】図6は、山形繰り返し単位の形状の一例を示す断面模式図である。
【図7】図7aは、反射フィルムの一例を示す模式側面図であり、図7bは、反射フィルムの一例を示す模式斜視図である。
【図8】図8は、液晶表示装置用スペーサーの製造工程の一例を示す模式図である。
【図9】図9は、ナノインプリントの製造工程の一例を示す模式図である。
【図10】図10は、液晶表示装置用配向膜の一例を示す模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のウレタンオリゴマーは、特定の化学式で表されるウレタンオリゴマーであり、例えば、二官能プレポリマーイソシアネートと、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとを反応させることにより得ることができる。また、本発明の樹脂組成物は、(A)成分として前記のウレタンオリゴマー、(B)成分として二官能モノマー、(C)成分として開始剤を、必須成分として含有してなる樹脂組成物である。以下、本発明のウレタンオリゴマー、及び、樹脂組成物に含有される成分について詳細に説明する。
【0016】
本発明の(A)ウレタンオリゴマーは、下記化学式(a)で表される。
【化6】

(式中、RおよびRはアルキレン基であり、Rは水素またはメチル基である。)
化学式(a)で表されるウレタンオリゴマーは、例えば、
二官能プレポリマーイソシアネートとして下記化学式(I)
【化7】

(式中、RおよびRはアルキレン基である。)
で表されるイソシアネート化合物と、
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとして下記化学式(II)
【化8】

(Rは水素またはメチル基である。)
で表されるヒドロキシル基含有化合物とを、反応させることにより得ることができる。
【0017】
化学式(a)中、RおよびRは、アルキレン基であり、2つのRは同一でも異なっていてもよく、RおよびRも同一でも異なっていてもよい。アルキレン基は、直鎖状アルキレン基、又は分岐状アルキレン基であることが好ましい。化学式(a)で表されるウレタンオリゴマーとしては、Rが炭素数1〜14のアルキレン基であり、Rが炭素数2〜12のアルキレン基である化合物が好ましく、Rが炭素数4〜9のアルキレン基であり、Rが炭素数3〜6のアルキレン基である化合物がより好ましく、Rが炭素数6のアルキレン基であり、Rが炭素数4のアルキレン基である化合物がさらに好ましい。R及びRの炭素数が、上記の範囲より小さいと反りが発生し、また耐擦過傷性が劣る傾向があり、上記範囲より大きいと硬化物が軟化し、回折型集光フィルムをロール巻状態にしたときに変形する傾向がある。
また、化学式(a)中、3つのRは同一でも異なっていてもよい。
【0018】
化学式(I)中のRおよびRは、化学式(a)中のRおよびRと同様である。化学式(I)で表されるイソシアネート化合物は、ジイソシアネートとジオールとを公知の方法に従い反応させて得ることができる。
【0019】
ジイソシアネートは、2つのイソシアネート基を含む化合物である。ジイソシアネートとしては、直鎖状又は分岐状のアルキレンジイソシアネートを用いることができる。アルキレンジイソシアネートのアルキレン基の炭素数は、1〜14であることが好ましく、4〜9であることがより好ましい。アルキレンジイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ウンデカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、ペンタデカメチレンジイソシアネート、ヘキサデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、などが挙げられる。これらのジイソシアネートは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
ジオールは、2つのアルコール性水酸基を含む化合物である。本発明においては、直鎖状又は分岐状のアルキレンジオールを用いることができ、アルキレン基の炭素数は、2〜12であることが好ましく、3〜6であることがより好ましい。アルキレンジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1、11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、などが挙げられる。これらのジオールは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
化学式(II)中、3つのRは同一でも異なっていてもよい。化学式(II)で表される化合物として、具体的には、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレートなどが挙げられる。
【0022】
また、(A)ウレタンオリゴマーを合成する際には、上記原料成分の他に、公知の重合禁止剤や触媒を添加することもできる。
【0023】
上記(A)ウレタンオリゴマーの重量平均分子量Mwは、400〜4,000の範囲であることが好ましく、1,000〜3,000の範囲であることがより好ましく、2,000〜2,500の範囲であることが特に好ましい。重量平均分子量が400より小さいと充分な柔軟性が得られにくくなる傾向があり、4,000より大きくなると(B)二官能モノマーとの相溶性が悪くなる傾向がある。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー法(GPC)により、標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定できる。
【0024】
上記(A)ウレタンオリゴマーの合成方法の一例を以下に示す。まず撹拌機、温度計、冷却管および空気ガス導入管を三口フラスコに取り付け、空気ガスを導入した後、化学式(II)で表されるヒドロキシル基含有化合物、重合禁止剤、触媒を適量入れ、80℃に昇温後、80〜85℃で撹拌しつつ化学式(I)で表されるジイソシアネート化合物を均一滴下し、反応を行う。滴下終了後、約1時間反応させたところで、IR測定の結果、イソシアネート基が消失したことを確認して反応を終了させる。反応温度、反応時間などは上記に限定されず、適宜調節することができる。重合禁止剤としては、公知の重合禁止剤が使用でき、例えば、p−メトキシキノン、p−メトキシフェノール、p−t−ブチルカテコールなどが挙げられる。また、触媒としては、ウレタンオリゴマー合成に用いる公知の触媒が使用でき、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、トリエチレンジアミンなどが挙げられる。
【0025】
また、上記(A)ウレタンオリゴマー合成の際に、分子量調整剤として、メルカプタン系化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマーなどを必要に応じて添加することができる。
【0026】
本発明において、上記化学式(I)で表されるイソシアネート化合物と、上記化学式(II)で表されるヒドロキシル基含有化合物とは、イソシアネート基と水酸基との当量比がイソシアネート基1に対し水酸基1〜2となる割合で反応させることが好ましい。当量比は、より好ましくはイソシアネート基1に対し水酸基1〜1.5である。当量比が1未満であると未反応のイソシアネート化合物が残留し、作業環境が悪化する傾向があり、当量比が2を超えると回折型集光フィルムにしたとき、反りが発生し、傷付きやすくなる傾向がある。
【0027】
上記化学式(I)で表されるイソシアネート化合物と、上記化学式(II)で表されるヒドロキシル基含有化合物とを反応させる際には、イソシアネート基と水酸基とが上記の当量比となるように、それぞれの配合量を決めることができる。
【0028】
上記(A)ウレタンオリゴマー合成の際には、原料である上記化学式(I)で表されるイソシアネート化合物又は上記化学式(II)で表されるヒドロキシル基含有化合物、あるいはこれらの両方が反応せずに残ることがある。このような場合、(A)ウレタンオリゴマーは、未反応の上記化学式(I)で表されるイソシアネート化合物及び/又は上記化学式(II)で表されるヒドロキシル基含有化合物を含む混合物として得られることになる。
【0029】
混合物に含まれる上記(A)ウレタンオリゴマーと、上記化学式(II)で表されるヒドロキシル基含有化合物とのモル比は、(A)ウレタンオリゴマー1に対しヒドロキシル基含有化合物0〜2となる割合であることが好ましい。モル比は、より好ましくは(A)ウレタンオリゴマー1に対しヒドロキシル基含有化合物0〜1である。ヒドロキシル基含有化合物の割合が2を超えると回折型集光フィルムにしたとき、大きく反りが発生し、傷付きやすくなる傾向がある。
【0030】
本発明の樹脂組成物は、(B)二官能モノマーを必須成分として有する。(B)二官能モノマーは、(A)ウレタンオリゴマーの反応性希釈剤としての役割を果たすものであることが好ましい。二官能モノマーとして、二官能の(メタ)アクリレート化合物を用いることが可能であり、例えば、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウンデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ドデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカプロピレングリコールジ(メタ)クリレート、ペンタデカプロピレングリコールジ(メタ)クリレート、ヘキサデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナデカプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、メタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−エタンジオールジ(メタ)クリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、カプロラクトン変性トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどの二官能(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」という記載は、メタクリレートとアクリレートの両方を意味する。
【0031】
本発明の樹脂組成物においては、微細形状転写性、低反り性、および耐擦過傷性の観点から、(B)二官能モノマーとして、下記化学式(III)で表される化合物を用いることが特に好ましい。
【0032】
【化9】

(式中、Rは水素またはメチル基であり、nは1以上の整数であり、n=1〜19が好ましく、n=4〜9がより好ましい。)
【0033】
上記式(III)で表される二官能モノマーは、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウンデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ドデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0034】
以上の二官能モノマーの中で、金型との離型性、支持基材フィルムとの密着性、および作業性などを考慮すると、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0035】
二官能モノマーは、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。二官能モノマーを用いることは、特に、低反り性、耐擦過傷性の点で好ましい。また、単官能、および三官能以上のモノマーを金型との離型性、基材フィルムとの密着性、作業性などを考慮して併用することもできる。
【0036】
本発明の樹脂組成物は、(C)開始剤を必須成分として含有する。本発明の樹脂組成物は、光開始剤を用いて光硬化させることも、また、ラジカル重合開始剤を用いて熱硬化させることもできる。したがって、本発明においては、(C)開始剤として、光開始剤又はラジカル重合開始剤を用いることが可能である。
【0037】
光開始剤は、特に限定されないが、工業的UV照射装置の紫外線を効率良く吸収して活性化し、硬化樹脂を黄変させないものであることが好ましい。例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン、およびオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ)−エチルエステルとオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルエステルの混合物などが挙げられる。
【0038】
上記紫外線照射に用いる光源は、ケミカルランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンランプなどを使用することができ、照射雰囲気は、大気中などでよく、特に限定されない。
【0039】
また、ラジカル重合開始剤としても、特に限定されないが、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイルなどのアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性触媒および過酸化物あるいは過硫酸塩と還元剤の組み合わせによるレドックス触媒など、通常のラジカル重合に使用できるものはいずれも使用することができる。
【0040】
上記(A)ウレタンオリゴマーと上記(B)二官能モノマーとの配合比は、質量比で1:9〜9:1の範囲であることが好ましく、2:8〜8:2の範囲であることがより好ましく、3:7〜7:3の範囲であることが特に好ましい。(A)成分を、(A)成分と(B)成分との合計に対し10質量%以上とすることにより、粘度が低くなりすぎて作業性が低下しまうことを防止でき、また、フィルムに亀裂が入る不具合を防止又は低減することができる。また、(A)成分を、(A)成分と(B)成分の合計に対し90質量%以下とすることで粘度が高くなりすぎて作業性が低下することを防止できる。
【0041】
また、上記(C)開始剤として光開始剤を用いる場合、光開始剤は、上記(A)ウレタンオリゴマーと上記(B)二官能モノマーの合計量100質量部に対して0.01〜5質量部含まれることが好ましく、0.1〜3質量部含まれることがより好ましい。光開始剤が、0.01質量部未満になると、活性光線に対する活性が低下する傾向にあり、5質量部を超えて添加しても効果はあまり期待できず、コスト的に好ましくない。
【0042】
上記(C)開始剤としてラジカル重合開始剤を用いる場合、ラジカル重合開始剤は、上記(A)と上記(B)二官能モノマーの合計量100質量部に対して0.1〜5.0質量部含まれることが好ましく、0.5〜2.0質量部含まれることがより好ましい。ラジカル重合開始剤が、0.1質量部未満になると、活性光線に対する活性が低下する傾向にあり、5.0質量部を超えて添加しても効果はあまり期待できず、コスト的に好ましくない。
【0043】
本発明の樹脂組成物に、分子量調整剤として、メルカプタン系化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマーなどを必要に応じて添加することができる。
【0044】
また、本発明の樹脂組成物には、劣化防止、熱的安定性、成形性および加工性などの観点から、フェノール系、チオエーテル系などの酸化防止剤、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、フタル酸エステル、トリグリセライド類、フッ素系界面活性剤、高級脂肪酸金属塩などの離型剤、その他滑剤、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、重金属不活性化剤などを添加してもよい。
【0045】
本発明の樹脂組成物は、バックライト部材などに使用される回折型集光フィルム用の材料として好適に使用することができる。この回折型集光フィルムは、支持基材フィルムの少なくとも一方の表面に、微細形状パターンを有する本発明の樹脂組成物の硬化物を形成してなるものである。以下、本発明の回折型集光フィルムについて説明する。
【0046】
本発明の樹脂組成物を用いて回折型集光フィルムを作製する方法としては、特に限定されない。例えば、図5に示すような回折型集光フィルム製造装置を用いて作製することができる。回折型集光フィルム製造装置には、金型ロール14、樹脂組成物を供給する供給ヘッド12が配置されており、金型ロールの両側にニップロール15、下段に紫外線照射装置16が設けられている。
【0047】
金型ロール14には、その周面に回折格子溝が形成されている。回折格子溝は、金型ロールの表面にダイヤモンドバイトと精密加工機によって施されている。この金型ロールは、例えば真鍮の素材で製作され、ダイヤモンドバイトで加工後、速やかにクロム無電解メッキを行うことにより、表面の酸化、光沢、機械強度保護がなされている。
【0048】
樹脂組成物13は、樹脂組成物タンク10から圧力制御装置11、供給ヘッド12を介して支持基材フィルム9上に供給される。供給の際には、樹脂組成物13の供給圧力が、圧力センサで検知され、圧力制御装置で制御され、樹脂組成物13を支持基材フィルム9に塗布する圧力が調整されている。支持基材フィルム9に塗布された樹脂組成物13は、ニップロール15により膜厚が一定に調整され、樹脂組成物層が形成される。
【0049】
ニップロール15と金型ロール14との間に、表面に樹脂組成物層が設けられた支持基材フィルム9が供給され、支持基材フィルム9をニップロール15と金型ロール14とで挟み込んで、樹脂組成物層に回折格子溝を転写すると共に、樹脂組成物層を支持基材フィルム9に密着させる。樹脂組成物層が密着した支持基材フィルム9が紫外線照射装置に到達すると、紫外線照射装置から発せられた紫外線により樹脂組成物層が硬化するとともに、支持基材フィルムに接着し、樹脂組成物層の硬化物である回折型集光フィルムと、支持基材フィルムとが一体となった一体型フィルムが得られる。一体型フィルムは、金型ロールから剥離され、回折型集光フィルム面の保護のためカバーシート17が貼り合わされる。得られた支持基材フィルム、回折型集光フィルム、及びカバーシートからなるフィルムシート17’は、その後、ロール巻き状態で巻き取られる。
【0050】
このようにして製造したフィルムシートは、さらに、所定の寸法に裁断され、回折型集光フィルムとして用いられる。
【0051】
上記金型の材質としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、これらの合金などが挙げられる。また、金型に形成される回折格子溝のパターン、すなわち回折型集光フィルムの微細形状パターンとしては、特に限定されないが、例えば、その断面が、山形(三角)形状、凸凹形状、階段形状、台形形状、正弦波状形状などの繰り返し単位を有する繰り返しパターンを挙げることができる。また、繰り返し単位の寸法としては、回折型の集光フィルムとするために、支持基材フィルム面に対する水平方向および垂直方向の寸法を共に10μm以下とすることが好ましい。また、その下限は、微細形状転写性を考慮すると、水平方向3μm以上、垂直方向2.5μm以上とすることが好ましい。図6は、繰り返し単位の断面形状が山形である場合の水平方向および垂直方向を示す図である。また、同図における頂角(図6の角α+角β)は、45°以上60°以下であることが好ましく、図6における角αは、20°以下、角βは25°以上40°以下であることがより好ましい。
【0052】
樹脂組成物層の厚さは、7.5〜25.5μmが好ましく、10.5〜15.5μmがより好ましい。樹脂組成物層の厚さが厚くなり過ぎると、使用する材料が増加し、製造原価が上がりコスト的に好ましくなく、薄過ぎると形成するときの異物混入等による変形を抑えることができず、表示品質の低下につながる。
【0053】
上記支持基材フィルムとしては、光透過性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリメタクリルアミド樹脂フィルムなどの透明合成樹脂フィルムなどを用いることができる。支持基材フィルムの厚さは、25〜200μmが好ましく、50〜150μmがより好ましい。支持基材フィルムの厚さが厚くなり過ぎると、集光フィルムの重さが重くなり、薄過ぎると硬化時に反りが発生する傾向がある。
【0054】
上記カバーシートとしては、回折型集光フィルム面を保護することができるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂フィルムなどの合成樹脂フィルムなどを用いることができる。カバーシートの厚さは、例えば、5〜250μmとすることができる。
【0055】
樹脂組成物層の硬化物である回折型集光フィルムと、支持基材フィルムとが一体となった一体型フィルムの最大厚さは、57.5〜225.5μmが好ましく、60.5〜215.5μmがより好ましい。一体型フィルムの厚さが厚くなり過ぎると、液晶バックライトモジュール全体の総厚みが増大し、薄型ディスプレイに求められる特性に合わず、薄過ぎると液晶バックライトモジュールに組み込んだ時にたわみが発生する場合がある。
【0056】
また、本発明のウレタンオリゴマー及び樹脂組成物は、微細形状転写性に優れる特徴があり、回折型集光フィルムのような山形の繰り返し形状に限らず、水平方向1nm以上、垂直方向1nm以上までの形状が転写できる。また、本発明のウレタンオリゴマー及び樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は、微細形状維持性、低反り性、及び耐擦過傷性に優れる特徴がある。これらの特性を活かして、本発明のウレタンオリゴマー及び樹脂組成物を、例えば、反射フィルム(図7)、液晶表示装置用スペーサー(図8)、ナノインプリント(図9)、液晶表示装置用配向膜(図10)、導波路のクラッド材、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズシート、ディヒューザー、モスアイ無反射構造、光学レンズシートなどに使用することができる。また、硬化物の光学特性が優れていることから、ウレタンオリゴマー及び樹脂組成物を微細な部品、装置などにも使用することができ、例えば、マイクロレンズ、光配線などのインクジェット用光学部品、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などにも使用することができる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲を限定するものではない。
【0058】
ウレタンオリゴマーのGPCによる重量平均分子量の測定条件は次のとおりである。
〈GPC条件〉
使用機器:日立L−6000型〔(株)日立製作所製〕
カラム :ゲルパックGL−R420+ゲルパックGL−R430+ゲルパックGL−R440(計3本)〔いずれも日立化成工業(株)製〕
溶離液 :テトラヒドロフラン
測定温度:25℃
流量 :1.75ml/min.
検出器 :L−3300RI〔(株)日立製作所製〕
【0059】
<ウレタンオリゴマーの合成>
(ウレタンオリゴマー1)
まず、イソシアネート化合物のイソシアネート基当量を、下記(式1)により算出したところ213.2g/molであった。そこで、イソシアネート化合物の配合量を213.2gとした。
次に、イソシアネート化合物の配合量が213.2gの場合に、当量比がイソシアネート基1に対し水酸基1.25(X=1.25)となるペンタエリスリトールトリアクリレートの配合量を、下記(式2)により算出した。イソシアネート化合物の配合量が213.2gの場合、ペンタエリスリトールトリアクリレートの配合量は594.3gとなった。
なお、イソシアネート基含有率はJIS K1603−1、水酸基価はJIS K0070に従い測定することができる。
以下のウレタンオリゴマーの合成においても、ウレタンオリゴマー1の合成と同様に、イソシアネート化合物とペンタエリスリトールトリアクリレートの配合量を算出した。
【0060】
【数1】

【数2】

【0061】
撹拌機、温度計、冷却管および空気ガス導入管を500mLの三口フラスコに取り付け空気ガスを導入した。フラスコに、ペンタエリスリトールトリアクリレート(Double Bond Chemical(株)製 商品名PETA 式(II)においてR=H、水酸基価=118mgKOH/g)594.3g、重合禁止剤としてp−メトキシキノン0.4g、触媒としてジブチルチ錫ジラウレート(東京ファインケミカル(株)製、商品名L101)0.4gを加え、80℃に昇温後、80〜85℃で撹拌しつつ、化学式(I)で表されるイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ(株)製 商品名D−101 式(I)においてR=C12、=C、NCO含有率=19.7%)213.2gを3時間かけて均一滴下し、反応を行った(当量比=イソシアネート基1に対し水酸基1.25)。滴下終了後、約1時間反応させたところで、IR測定の結果、イソシアネート基が消失したことを確認して反応を終了し、ウレタンオリゴマー1(UA1)を含む反応物を得た。ウレタンオリゴマー1(UA1)の重量平均分子量は2,000であった。
【0062】
(ウレタンオリゴマー2)
撹拌機、温度計、冷却管および空気ガス導入管を500mLの三口フラスコに取り付け、空気ガスを導入した。フラスコに、ペンタエリスリトールトリアクリレート(Double Bond Chemical(株)製 商品名PETA 式(II)においてR=H、水酸基価=118mgKOH/g)950.9g、重合禁止剤としてp−メトキシキノン0.58g、触媒としてジブチルチ錫ジラウレート(東京ファインケミカル(株)製、商品名L101)0.58gを加え、80℃に昇温後、80〜85℃で撹拌しつつ、化学式(I)で表されるイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ(株)製 商品名D−101 式(I)においてR=C12、=C、イソシアネート含有率=19.7%)213.2gを3時間かけて均一滴下し、反応を行った(当量比=イソシアネート基1に対し水酸基2.0)。滴下終了後、約1時間反応させたところで、IR測定の結果、イソシアネート基が消失したことを確認して反応を終了し、ウレタンオリゴマー2(UA2)を含む反応物を得た。ウレタンオリゴマー2(UA2)の重量平均分子量は2,000であった。
【0063】
(ウレタンオリゴマー3)
撹拌機、温度計、冷却管および空気ガス導入管を500mLの三口フラスコに取り付け、空気ガスを導入した。フラスコに、ペンタエリスリトールトリアクリレート(Double Bond Chemical(株)製 商品名PETA 式(II)においてR=H、水酸基価=118mgKOH/g)1188.67g、重合禁止剤としてp−メトキシキノン0.70g、触媒としてジブチルチ錫ジラウレート(東京ファインケミカル(株)製、商品名L101)0.70gを、80℃に昇温後、80〜85℃で撹拌しつつ、化学式(I)で表されるイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ(株)製 商品名D−101 式(I)においてR=C12、=C、イソシアネート含有率=19.7%)213.2gを3時間かけて均一滴下し、反応を行った(当量比=イソシアネート基1に対し水酸基2.5)。滴下終了後、約1時間反応させたところで、IR測定の結果、イソシアネート基が消失したことを確認して反応を終了し、ウレタンオリゴマー3(UA3)を含む反応物を得た。ウレタンオリゴマー3(UA3)の重量平均分子量は2,000であった。
【0064】
(ウレタンオリゴマー4)
撹拌機、温度計、冷却管および空気ガス導入管を500mLの三口フラスコに取り付け、空気ガスを導入した。フラスコ内に、ペンタエリスリトールトリアクリレート(Double Bond Chemical(株)製 商品名PETA 式(II)においてR=H、水酸基価=118mgKOH/g)594.33g、重合禁止剤としてp−メトキシキノン0.35g、触媒としてジブチルチ錫ジラウレート(東京ファインケミカル(株)製、商品名L101)0.35gを入れ、80℃に昇温後、80〜85℃で撹拌しつつ、イソホロンジイソシアネート(住化バイエルウレタン(株)製 商品名デスモジュールI、イソシアネート含有率=37.8%)111.16gを3時間かけて均一滴下し、反応を行った(当量比=イソシアネート基1に対し水酸基1.25)。滴下終了後、約4時間反応させたところで、IR測定の結果、イソシアネート基が消失したことを確認して反応を終了し、ウレタンオリゴマー4(UA4)を含む反応物を得た。ウレタンオリゴマー4(UA4)の重量平均分子量は2,500であった。
【0065】
(ウレタンオリゴマー5)
撹拌機、温度計、冷却管および空気ガス導入管を200mLの三口フラスコに取り付け、空気ガスを導入した。フラスコに、ペンタエリスリトールトリアクリレート(Double Bond Chemical(株)製 商品名PETA 式(II)においてR=H、水酸基価=118mgKOH/g)594.3g、重合禁止剤としてp−メトキシキノン0.34g、触媒としてジブチルチ錫ジラウレート(東京ファインケミカル(株)製、商品名L101)0.34gを入れ、80℃に昇温後、80〜85℃で撹拌しつつ、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(デグサジャパン(株)製 商品名TMHDI、イソシアネート含有率=39.8%)105.6gを3時間かけて均一滴下し、反応を行った(当量比=イソシアネート基1に対し水酸基1.25)。滴下終了後、約3時間反応させたところで、IR測定の結果、イソシアネート基が消失したことを確認して反応を終了し、ウレタンオリゴマー5(UA5)を含む反応物を得た。ウレタンオリゴマー5(UA5)の重量平均分子量は2,500であった。
【0066】
(ウレタンオリゴマー6)
撹拌機、温度計、冷却管および空気ガス導入管を2Lの三口フラスコに取り付け、空気ガスを導入した。フラスコに、ポリテトラメチレングリコール(保土ヶ谷化学(株)製 商品名PTG850SN)520.80g、ジエチレングリコール1.06g、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε−カプロラクトン(ダイセル化学工業(株)製 商品名FA2D(II))275.20g、重合禁止剤としてp−メトキシキノン0.5g、触媒としてジブチルチ錫ジラウレート(東京ファインケミカル(株)製、商品名L101)0.3gを入れ、70℃に昇温後、70〜75℃で撹拌しつつ、イソホロンジイソシアネート(住化バイエルウレタン(株)製 商品名デスモジュールI)222gを2時間かけて均一滴下し、反応を行った(当量比=イソシアネート基1に対し水酸基1.0)。滴下終了後、約5時間反応させたところで、IR測定の結果、イソシアネート基が消失したことを確認して反応を終了し、ウレタンオリゴマー6(UA6)を含む反応物を得た。ウレタンオリゴマー6(UA6)の重量平均分子量は7,000であった。
【0067】
(実施例1〜6および比較例1〜6)
表1に示すとおりの成分を混合して、実施例1〜6および比較例1〜6の各光硬化型樹脂組成物を調製した。
【0068】
<樹脂組成物の評価>
まず、図5に示す装置を用い、評価用サンプルを作製した。
金型ロールとしては、材質Ni−P、山形形状のピッチ幅5μm、高さ5.7μm、頂角45度、格子パターンサイズ、ロール外周408mmの(株)日立製作所製ロール金型を用いた。まず、樹脂組成物を樹脂組成物タンクから圧力制御装置、供給ヘッドを介して支持基材フィルム面に塗布し、樹脂組成物層(膜厚10.7μm)を設けた。次いで、ニップロールと金型ロールとの間に、樹脂組成物層と支持基材フィルムとを挟み込んで、樹脂組成物層に山形形状を転写し、かつ、樹脂組成物層と支持基材フィルム(東洋紡(株)社製、商品名A4300、膜厚50μm)とを密着させた。樹脂組成物に支持基材フィルムが密着した状態で、支持基材フィルム側から、紫外線照射装置から発せられた紫外線を照射し、樹脂組成物層を硬化させ、樹脂組成物層の硬化物である回折型集光フィルムと支持基材フィルムとが一体となった一体型フィルム(最大膜厚60.7μm)とした。次いで、金型ロールから一体型フィルムシートを剥離し、さらに、一体型フィルムに塗工面の保護のためカバーシートを貼り合わせ、フィルムシートとした。その後、フィルムシートをロール巻き状態で巻き取った。
このようにして製造したフィルムシートを5.0cm×7.0cmに裁断して、これを評価用サンプルとした。
上記のようにして得られた各実施例および比較例のサンプルについて、この樹脂組成物及び硬化物の特徴である微細形状転写性、微細形状維持性、低反り性、耐擦過傷性について評価し、その結果を表1にまとめて示した。また、支持基材フィルムへの密着性についても評価を行った。
なお、比較例1の樹脂組成物は粘度が高く、取り扱いが困難であったため、サンプルを作製することができなかった。また、比較例2の樹脂組成物から作製されたサンプルは亀裂が生じたため以下の評価を行うことができなかった。
【0069】
(微細形状転写性)
転写性は、金属顕微鏡にて、サンプルからカバーシートを剥離した後の回折型集光フィルムの山形形状の頂角を確認することで評価した。評価基準は以下のとおりである。
○・・・良好(頂角45度)
△・・・転写不十分(頂角40〜44度、または金型側への樹脂付着)
×・・・転写不可
【0070】
(微細形状維持性)
微細形状維持性は、成型後ロール状に巻き取ったフィルムシートを巻いた状態のまま24時間放置し、その後、カバーシートを剥離し、目視により回折型集光フィルムの外観に変形がないか確認した。
○・・・良好
△・・・外観に小さな変形が数箇所ある。
×・・・外観に大きな変形がある。
【0071】
(低反り性)
所定の寸法に裁断したフィルムシートからカバーシートを剥離して得た一体型フィルムを、水平な面上に置き、四隅の端部とフィルムシートを置いた面との距離を測定(4箇所)し、最大距離を反り量とした。評価基準は以下の通りである。
○・・・反り量0.0mm以上2.5mm未満
△・・・反り量2.5mm以上5.0mm未満
×・・・反り量5.0mm以上
【0072】
(耐擦過傷性)
所定の寸法に裁断したフィルムシートからカバーシートを剥離し、回折型集光フィルムの表面を、指サック(藤本科学(株)社製天然ゴム指サック)を装着した指で5往復擦り、その後目視により擦過面に傷がないか確認した。
○・・・良好
△・・・外観に浅い傷が数本ある。
×・・・外観に深い傷がある。
【0073】
(支持基材フィルムとの密着性)
支持基材フィルム(PETフィルム)と樹脂組成物の密着性を評価した。すなわち、フィルムシートからカバーシートを剥離し、回折型集光フィルムを貫通して、支持基材フィルムに達するX状の切傷をカッターナイフで付け、その上にセロハンテープをはり付けて引き剥がし、回折型集光フィルムと支持基材フィルム間との密着性の優劣を調べた。評価基準は以下のとおりである。
○・・・剥がれが全くない。
×・・・支持基材フィルムより回折型集光フィルムが剥離する。
【0074】
表1に示すとおり、ウレタンオリゴマーの合成にイソホロンジイソシアネートまたはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを用いた比較例3、4サンプルは、反りが大きく、また傷付きやすかった。
【0075】
ウレタンオリゴマーの合成にイソホロンジイソシアネートおよびポリテトラメチレングリコールなどを用いた比較例5、およびウレタンオリゴマーに換えエポキシアクリレートオリゴマーを用いた比較例6のサンプルは、ロール状態で24時間巻いておくと、形状の変形が起き外観に不良がみられた。また、比較例5のサンプルは密着性に劣り、比較例6のサンプルは、製造工程において金型から離型が困難であり、金型側に樹脂が部分的に残り、また、傷付きやすかった。
【0076】
【表1】

【0077】
以上より、本発明のウレタンオリゴマーを用いて作製した回折型集光フィルムは、微細形状転写性、微細形状維持性、低反り性、耐擦過傷性に優れていた。さらに、本発明のウレタンオリゴマーを用いて作製した回折型集光フィルムは、金型からの離型性および支持基材フィルムとの密着性にも優れていた。
【符号の説明】
【0078】
1 プリズム型シート
2 LED
3 導光体
4 反射フィルム
5 拡散フィルム
6 上向き縦プリズム型シート
7 下向き横プリズム型シート
8 回折型集光フィルム
8’ 支持基材フィルム付き回折型集光フィルム(一体型フィルム)
9 支持基材フィルム
10 樹脂組成物タンク
11 圧力制御装置
12 供給ヘッド
13 樹脂組成物
14 金型ロール
15 ニップロール
16 紫外線照射装置
17 カバーシート
17’ フィルムシート
18 反射フィルム
19 液晶表示用スペーサーの金型
20 ガラス
21 ナノ粘着剤インプリントの金型
22 液晶分子
23 液晶配表示用配向膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(a)で表されるウレタンオリゴマー。
【化1】

(式中、RおよびRはアルキレン基であり、Rは水素またはメチル基である。)
【請求項2】
下記化学式(I)で表されるイソシアネート化合物と、
【化2】

(式中、RおよびRはアルキレン基である。)
下記化学式(II)で表されるヒドロキシル基含有化合物と、
【化3】

(式中、Rは水素またはメチル基である。)
を反応させて得られる請求項1記載のウレタンオリゴマー。
【請求項3】
重量平均分子量Mwが400〜4,000である請求項1又は2に記載のウレタンオリゴマー。
【請求項4】
(A)下記化学式(a)で表されるウレタンオリゴマー、
【化4】

(式中、RおよびRはアルキレン基であり、Rは水素またはメチル基である。)
(B)二官能モノマー、及び
(C)開始剤、
を含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A)ウレタンオリゴマーの重量平均分子量Mwが、400〜4,000である請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A)ウレタンオリゴマーと前記(B)二官能モノマーとの配合比が、質量比で1:9〜9:1の範囲である請求項4又は5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記(C)開始剤が、光開始剤である請求項4〜6いずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記(C)開始剤が、前記(A)ウレタンオリゴマー、及び前記(B)二官能モノマーの合計量100質量部に対して、0.01〜5質量部含まれる請求項7に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記化学式(a)のRが、−C12−である請求項4〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記(B)二官能モノマーが、下記化学式(III)で表される化合物である請求項4〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【化5】

(式中、Rは水素またはメチル基であり、nは1以上の整数である。)
【請求項11】
請求項4〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
【請求項12】
請求項4〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物を硬化させてなる回折型集光フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−149178(P2012−149178A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9185(P2011−9185)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】