説明

ウレタンコーティングを形成するための反応を触媒する方法及びこの方法において使用される錯体

ウレタンコーティングは、ヒドロキシ官能性樹脂とブロックトイソシアナート架橋剤の反応から形成される。この反応を触媒する方法は、樹脂及び/又は架橋剤からポリマー状リガンドを形成することを含む。この方法はまた、金属触媒をポリマー状リガンドに組み込んで、金属触媒をポリマー状リガンドと錯化することも含む。この方法は更に、樹脂と架橋剤と反応させて、ウレタンコーティングを形成することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、ヒドロキシ官能性樹脂とブロックトイソシアナート架橋剤とを反応させてウレタンコーティングを形成する反応を触媒する方法に一般的に関する。より特異的には、本発明は、ポリマー状リガンドと前記ポリマー状リガンドと錯形成される金属触媒との反応生成物である錯体を、この反応を触媒するために使用する。ポリマー状リガンドは、ヒドロキシ官能性樹脂及び/又はブロックトイソシアナート架橋剤から形成される。
【0002】
発明の背景
ブロックトイソシアナート架橋剤が、コーティング組成物において、ヒドロキシ官能性樹脂と関連して、基材上のウレタンコーティングを形成するための化合物として使用されることが知られている。このウレタンコーティングは、このコーティング組成物が十分に硬化されると生じる。説明的なウレタンコーティングは、ウレタン粉末コーティング、ウレタン自動車ベースコーティング、ウレタン自動車クリアーコーティング、ウレタン電着コーティング、ウレタンプライマーコーティング、ウレタンコイル及びワイヤーコーティング及び類似物を含む。
【0003】
ブロックトイソシアナート架橋剤が、高められた温度(例えば320°Fより高い、かつ更には、350°Fより高い)での硬化を必要とすることも公知であり、というのも、高められた温度では、架橋剤と関連したブロッキング基は、架橋剤からブロック解除し、即ち、自体を除去し、かつ、遊離イソシアナート(NCO)官能基が残存するからである。遊離NCO官能基は、次いで、樹脂のヒドロキシ官能基と反応し、架橋した網目をウレタンコーティングとして形成することができる。
【0004】
高められた温度を用いてすら、架橋剤のブロック解除は緩慢であり、かつ、触媒無しでは、典型的には、乏しい硬化応答を有するウレタンコーティングを生じ、この結果、生じるコーティングは、「ベーキング不十分」又は「硬化不十分」である。従って、金属触媒が利用され、高められた温度で、架橋剤のブロック解除を促進するため、及び、このコーティングの硬化応答を改善するために、機能する。このような触媒の使用は、また、硬化温度における変動の原因ともなり、これはしばしば、ベーキングが不十分な条件において生じ、これにより、ウレタンコーティングの硬化のための目標温度が達成されない。
【0005】
金属触媒は典型的には、金属酸化物、例えば酸化スズ、ジブチルスズ酸化物、及び、酸化ビスマス、及び、有機−金属塩、例えばビスマスカルボキシラート及びジブチルスズジラウラートを含む。金属酸化物又は有機−金属塩であろうと、これらの金属触媒は、変性されていない形態で、ウレタンコーティングを生じる組成物中に直接的に添加される。このような慣用的な金属触媒の例及び金属触媒の慣用的な添加は、米国特許公報5,554,700; 5,670,441; 5,908,912; 5,972,189; 6,174,422; 6,190,524; 6,265,079; 6,333,367; 6,353,057; 6,436,201; 6,617,030;及び 6,624,215中に開示されている。
【0006】
金属触媒の直接的な添加と関連した幾つかの欠点が存在する。金属酸化物をこの組成物中に直接的に添加することは困難である。金属酸化物は、コーティング組成物中に効率的に組み込まれるためには強力な機械的なプロセス、例えば粉砕をしばしば必要とする。有機−金属塩に関しては、多くの場合において、有機−金属塩の一部は、コーティング組成物中で可溶化し、かつ、結果として、一定の物理的な欠損、例えばクレーター及び/又は乏しいフィルム合体(不所望な「乏しい流動」性のクラッキングのような現象として理解される)が、硬化したコーティング中に生じる。しばしば、有機−金属塩の一部が、単に、コーティングと相容性でない。また、これらの種類の金属触媒、例えば、米国特許公報No. 6,353,057中に開示される特別化した金属カルボキシラートは低分子量のカルボン酸から形成される、脂肪酸リガンドを基礎とする。前記の057特許公報のリガンドが、金属、例えばビスマスとの錯形成のために十分である一方で、これらは、最終的な、即ち、硬化したコーティングに対して有害性の作用を有することができることが知られている。
【0007】
例えば、特許公報056号中において使用される特定のカルボン酸が、低分子量である、例えば、約200ダルトンよりも少ないMnであり、かつまた、少なくとも部分的に水中に溶解性でもある場合には、このカルボン酸は、硬化したコーティング中でクレーターとして実現される汚染を生じることができる。より特異的には、基材の電着の手法において、e−coatが、コーティング組成物を含有する「浴」を、ウルトラフィルターを介してフィルター処理され、後に、この基材をすすぐために使用される水性媒体を提供することは典型的である。この浴が、ウルトラフィルターを通じてフィルター処理される場合には、このウルトラフィルター処理されたもの、即ち、このフィルターを通過するこの浴の一部は、水性媒体である、低分子量カルボン酸、例えば特許057号の低分子量カルボン酸は、このウルトラフィルターを通過し、この水性媒体を汚染することが考えられる。これは不所望であり、というのは、特定の基材、例えば、車両の車体成分の調整においては、この基材をすすぐために、この基材は、水性媒体で噴霧されるからである。噴霧の間に、この水性媒体を汚染する低分子量カルボン酸は、基材上に吹付けられることもでき、これにより、基材上には、クレーターを生じる可能性のある材料を導入する。
【0008】
他方では、特許公報057号において使用される特定のカルボン酸が、高分子量、例えば、約500ダルトンよりも大きいMnのものである場合には、これは、硬化したコーティング中に残存することができ、かつ、硬化したコーティングの形成の間に、即ち、フィルム形成の間に、問題を生じ、かつまた、金属に対するこの硬化したコーティングの付着に関連した問題を生じる。第057号のこの特別化された、低分子量の、金属カルボキシラートはまた、水性の酸性媒体に対する金属カルボキシラート、例えばビスマスカルボキシラートの付加に由来する、貧しい安定性を示す傾向がある。この状況においては、加水分解する可能性が存在し、かつ、この可能性は不所望である。
【0009】
従って、ウレタンコーティングを形成する反応の触媒を改善する必要性が残っている。
【0010】
発明の要旨および利点
ウレタンコーティングを形成する反応を触媒作用する方法が開示される。ウレタンコーティング組成物を触媒するための錯体もまた開示される。硬化すると、このウレタンコーティング組成物は架橋して、ウレタンコーティングを形成する。本発明においてウレタンコーティングを形成する反応は、より特異的には、ヒドロキシ官能性樹脂とブロックトイソシアナート架橋剤との反応である。
【0011】
この方法は、樹脂及び/又は架橋剤からポリマー状リガンドを形成する工程を含む。金属触媒は、ポリマー状リガンドと組み込まれ、前記金属触媒はポリマー状リガンドと錯形成する。従って、この錯体は、ポリマー状リガンドとポリマー状リガンドと複合化される金属触媒との反応生成物である。この樹脂及び架橋剤は、ウレタンコーティングを生じるべく反応される。
【0012】
上で説明したとおり、金属触媒と複合化するポリマー状リガンドは、共にウレタンコーティングの「骨格」である樹脂及び/又は架橋剤に由来する。この樹脂及び/又は架橋剤は実質的に金属触媒のために形成される「リガンド」である。本発明のポリマー状リガンドは、効果のない技術水準において使用される単純な、低分子量カルボン酸を置換する。
【0013】
ポリマー状リガンドが自体で、樹脂及び/又は架橋剤から形成されるので、ポリマー状リガンドは、樹脂及び/又は架橋剤に対して自身を共有結合により連結、即ち、攻撃又は結合することができるように統合される。この共有結合による連結を用いると、ポリマー状リガンド、そして従って、ポリマー状リガンドと複合化される金属触媒は、超濾過プロセスの間に超濾過物中へ抽出されない。結果として、ウレタンコーティング組成物中でのこの錯体の最大の相容性が達成され、かつ、ウレタンコーティング、即ち、最終的な硬化したフィルム中でのポリマー状リガンドの性能が改善される。最終的なウレタンコーティング中でのポリマー状リガンドを用いて、物理的な特性が改善される。
【0014】
また、上で示唆されたとおり、金属触媒は、技術水準の変性されていない金属触媒の直接的な添加と比較して容易かつより効率的に、カスタマイズされたポリマー状リガンドを介してウレタンコーティング中に組み込まれる。更に、改善された硬化応答、特に低温硬化応答は、本発明の方法及び錯体と関連した改善された触媒効率及び反応性のために達成される。理論により制限されること無しに、ポリマー状リガンドとの会合のために、金属触媒は、反応する官能基、即ち、樹脂のヒドロキシ官能基及びブロック解除されていない架橋剤の遊離のNCO官能基により近位である。本発明に関連した利点は、特に、ウレタンコーティングの物理学的な特性、例えば耐溶剤性、チップ抵抗性及び腐食防止において実現される。
【0015】
図面の簡単な説明
本発明の別の利点は容易に理解され、また本発明の別の利点は、添付図面と関連して考慮される場合に以下の詳細な説明を参照してより良好に理解できる通りである。
【0016】
図1は、2つの異なる温度での実施例A〜Jの50回のMEK二重摩擦性能を要約する棒グラフである。
【0017】
図2は、CRSパネル上での実施例A〜Jのペイント損失の%を要約する棒グラフである(リン酸亜鉛処理あり)。
【0018】
図3は、Zn/Feパネル上での実施例A〜Jのペイント損失の%を要約する棒グラフである。
【0019】
図4は、腐食試験Gにおける実施例A〜Jの平均的な腐食直径(mm)を要約する棒グラフである。
【0020】
図5は、腐食試験Lにおける実施例A〜Jの平均的な腐食直径(mm)を要約する棒グラフである。
【0021】
発明の詳細な説明
本発明による方法は、ウレタンコーティングを形成するための反応を触媒する。ウレタンコーティングを形成するための反応は、より特異的には、ヒドロキシ官能性樹脂とブロックトイソシアナート架橋剤(硬化剤とも呼称される)の反応である。ヒドロキシ官能性樹脂及びブロックトイソシアナート架橋剤は、ウレタン連結基(−NH−CO−O−)をウレタンコーティング中で確立するための架橋剤のブロック解除後に、反応するか又は架橋する。説明する目的のためだけに、ヒドロキシ官能性樹脂及びブロックトイソシアナート架橋剤は、樹脂及び架橋剤それぞれとして、簡潔に以下において説明される。この方法はより特異的には、ウレタンコーティングを形成するためのウレタンコーティング組成物を触媒するために錯体を利用する。樹脂及び架橋剤は、ウレタンコーティング組成物の成分である。
【0022】
直前で示唆されたとおり、ウレタンコーティングはまた、この分野においてウレタンフィルム又はウレタン層としても呼称され、ウレタンコーティング組成物を基材へ適用し、そしてウレタンコーティング組成物が硬化すると、ウレタンコーティング組成物から形成される。ウレタンコーティングは、ウレタンコーティング組成物が十分に硬化されると生じる。説明的なウレタンコーティングは、ウレタン粉末コーティング、ウレタン自動車ベースコーティング、ウレタン自動車クリアーコーティング、ウレタン電着コーティング、ウレタンプライマーコーティング、ウレタンコイル及びワイヤーコーティング及び類似物を含む。これらの及び他のウレタンコーティングは、溶媒性の系又は水性の系であるウレタンコーティング組成物から形成されることができる。
【0023】
本発明のための有利な適用は、ウレタン電着コーティング又はe−coatにあり、その際ウレタンコーティング組成物は、カソード電着コート組成物又はアノード電着コート組成物である。ウレタン電着コーティングを用いると、ウレタンコーティング組成物は、基材を、ウレタンコーティング組成物を含む浴中に浸漬することにより、電気泳動式に基材、例えば自動車両の構造体上に堆積する。電位が、基材と、逆のチャージのポール、通常はステンレス鋼の電極との間に適用される。これにより、基材上の比較的軟質なコーティングが生じる。この比較的軟質なコーティングは、当業者に知られているとおり、高められた温度へ暴露すると、樹脂及び架橋剤の架橋により、本発明のウレタンコーティングへと変換される。
【0024】
ヒドロキシ官能性、即ち、1つ以上の活性のある水素含有基の他に、樹脂は、有利には、1種以上のイオン性基又はイオン性基に変換可能な基を有する。イオン性基又はイオン性基に変換可能な基は、アニオン性基又はアニオン性基に変換されることができる基、例えば酸性基、例えば−COOH基、又はカチオン性基又はカチオン性基に変換されることができる基、例えば塩基性基、例えばアミノ基及びアンモニウム基、例えば第四級アンモニウム基、又は、ホスホニウム及び/又はスルホニウム基であってよい。窒素を含有する塩基性基は、特に有利である。これらの基は、四級化された形態にあってよく、又は、少なくとも部分的に、慣用の中和剤、例えば酸、例えば有機モノカルボン酸、例えばギ酸又は酢酸を用いて、イオン性基に変換される。例えば、樹脂が酸、例えばギ酸を用いて、樹脂及び架橋剤の反応前に中和されることが理想的である。中和されると、この樹脂は、水中に分散されるべくより導電性である。
【0025】
ウレタン電着コーティングの有利な適用では、樹脂はより有利には、エポキシ化合物に由来するアミン変性された樹脂、最も有利にはカチオン性樹脂である。しかしながら、上で示唆されたとおり、アニオン性樹脂もまた使用されてよい。このようなエポキシ樹脂は、ウレタン電着コーティング産業を通じて一般的であり、かつ、典型的には、(A)ポリエポキシド、(B)第1級及び/又は第2級アミン又はその塩及び/又は第3級アミン、及び、選択的に(C)多官能性アルコール、ポリカルボン酸、ポリアミド、及び/又はポリスルフィドの反応生成物である。エポキシ化合物に由来する適したアミン変性された樹脂は、米国特許公報4,882,090 及び 4,988,420号に説明された樹脂を含むが、これに限定されず、この開示は、参照することにより本願に組み込まれ、かつ、これらは、商品名CathoGuard(R)のもとで、BASF Corporation、Southfield, Michiganからの樹脂として市販されてもいる。
【0026】
架橋剤は、上で示したとおり、ブロックトイソシアナート架橋剤であり、かつ、米国特許公報4,882,090 及び 4,988,420号に開示された種類のものであり、この開示は、参照することにより、既に本願に組み込まれている。架橋剤は有利には、樹脂のヒドロキシ官能基と反応性である1つ以上の官能基を有する。架橋剤は、より特異的には、平均して1つより多いイソシアナート(NCO)官能基を1分子につき有し、これは、ウレタンコーティング組成物が高められた温度で硬化するときに、ブロック解除された状態になる。より特異的には、ウレタンコーティング組成物中で使用される特定の樹脂では、任意の架橋剤が可能であり、ここで、1つ又は複数のNCO官能基はブロッキング基又は化合物と反応していて、この結果、形成される架橋剤は、室温で樹脂のヒドロキシ官能基に対して抵抗性であるが、しかしながら、樹脂のヒドロキシ官能基と、高められた温度で反応し、これは一般的には約200〜約400°Fの範囲内にある。
【0027】
架橋剤の調製において、任意の所望される有機イソシアナートを使用することが可能であり、典型的にはポリイソシアナートが、架橋のために適している。約3〜36個の、特に約8〜約15個の炭素原子を含有するイソシアナートが有利である。適したジイソシアナートの例は、トリメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ペンタメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、プロピレンジイソシアナート、エチルエチレンジイソシアナート、2,3−ジメチルエチレンジイソシアナート、1−メチルトリメチレンジイソシアナート、1,3−シクロペンチレンジイソシアナート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアナート、1,2−シクロヘキシレンジイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナート、2,4−トルイレンジイソシアナート、2,6−トルイレンジイソシアナート、4,4−ジフェニレンジイソシアナート(例えば4,4′−メチレンビスジフェニルジイソシアナート)、1,5−ナフチレンジイソシアナート、1,4−ナフチレンジイソシアナート、1−イソシアナトメチル−5−イソシアナト−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、4,4′−ジイソシアナトジフェニルエーテル及び2,3−ビス(8−イソシアナトオクチル)−4−オクチル−5−ヘキシルシクロヘキサンを含むが、これに限定されない。より高級イソシアナート官能性のポリイソシアナートを使用することも可能である。この例は、トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、1,3,5−トリス(6−イソシアナトヘキシルビウレット)、ビス(2,5−ジイソシアナト−4−メチルフェニル)メタン、及び、ポリマー状のポリイソシアナート、例えばダイマー及びトリマーのジイソシアナトトリエンを含むが、これに限定されない。ポリイソシアナートの混合物を使用することも更に可能である。本発明において架橋剤として使用されることが考慮されるイソシアナートは、例えば、ポリオール、例えばポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールに由来するプレポリマーであることもできる。
【0028】
架橋剤のブロッキング基のためには、脂肪族、脂環式、又は、芳香族のアルキルアルコールが適している。ブロッキング基のために適した脂肪族アルコールの例は、メチル、エチル、クロロエチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、3,3,5−トリメチルヘキシル、デシル又はラウリルアルコールを含むが、これらに限定されない。ブロッキング基のために適した脂環式アルコールの例は、シクロペンタノール及びシクロヘキサノールを含むが、これらに限定されない。ブロッキング基のために適した芳香族アルキルアルコールの例は、フェニルカルビノール及びメチルフェニルカルビノールを含むが、これらに限定されない。他の適したブロッキング基は、ヒドロキシルアミン、例えばエタノールアミン、オキシム、例えばメチルエチルケトンオキシム、アセトンオキシム及びシクロヘキサノンオキシム、又は、アミン、例えばジブチルアミン及びジイソプロピルアミンである。様々なカプロラクタム、例えば、e−カプロラクタムも、架橋剤のためのブロッキング基として適している。前述のイソシアナート及びブロッキング基は、これらの成分が、適した比で混合される場合には、部分的にブロッキングした架橋剤の調製のためにも使用されることができる。前述の高められた温度では、ブロッキング基はブロック解除し、即ち、架橋剤から離脱するか又は化学的に脱会合する。
【0029】
この方法は、ポリマー状リガンドを樹脂及び/又は架橋剤から形成する工程を含む。即ち、ポリマー状リガンドは、樹脂のみから、架橋剤のみから、又は、樹脂及び架橋剤の両者から形成されることができる。樹脂及び/又は架橋剤は、以下説明する金属触媒のためのリガンドとして機能する。いかなる場合にも、ポリマー状リガンドを形成する場合には、樹脂及び/又は架橋剤が、ポリマー状リガンドを形成すべくカルボキシル化されることが有利である。樹脂から形成される場合には、ポリマー状リガンドは、有利には約1000ダルトンよりも多い、より有利には約2000ダルトンよりも多い分子量Mnを有する。架橋剤から形成される場合には、ポリマー状リガンドは、有利には約800ダルトンよりも多い、より有利には約1000ダルトンよりも多い分子量Mnを有する。
【0030】
有利には、ポリマー状リガンドは、樹脂から形成される。この特定の実施態様において、この樹脂は、無水物とリガンドとを反応させることによりポリマー状リガンドを形成すべくカルボキシル化されている。従って、ポリマー状リガンドは、以下の化学的な提示において一般的に示されるように、樹脂及び無水物の反応生成物を含有する。無水物は、カルボン酸無水物と一般的には呼称もされ、芳香族又は非芳香族の環式無水物であってよい。当業者により理解されるのは、この無水物は、樹脂のヒドロキシ官能性と反応し、これにより、無水物の環式環構造が開環することである。
【0031】
【表1】

【0032】
[ここで、R′及びR″は、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、又は、水素原子を含有し、かつ、脂肪族又は芳香族であってよい同じ環の一部であることができ(例えば、無水フタル酸を例とする)、ここで、X及びYは、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、又は、アルキニル基、芳香族基、水素原子、アルキルアルコール、又はアルキルアミンを含む]。一般的には、無水物の約4当量が、約96当量の樹脂のヒドロキシ官能性と反応する。前述の一般的な化学的な提示においても、樹脂は、カチオン性樹脂であり、カチオン性樹脂のカルボキシル化は、同じアニオン性特性を樹脂中に導入し、従って樹脂は、以下説明するとおり、全体的に、金属触媒からの金属とより良好に配位することができる。
【0033】
有利な樹脂と有利な無水物とのカルボキシル化を説明するより特定的な化学的な提示を以下に示す。
【0034】
【表2】

【0035】
ヒドロキシ官能性樹脂のX及びYは、一般的に上で説明したものと同じである。直前の、特定の化学的な提示において使用される無水物は、ドデセニルスルホン酸無水物(DDSA)であり、ここで無水物のR′は水素原子であり、かつ、無水物のR″は、12個の炭素原子を有するアルケニル基である。他の適した無水物は、無水マレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチル−ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、無水フタル酸、無水コハク酸、トリメリット酸無水物、及び、これらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0036】
ポリマー状リガンドの前述の特定の化学的な提示において、無水物1モルが、樹脂の各1モルについて反応される。更に以下において強調されるとおり、上述の化学的な提示が、ポリマー状リガンドに関する理想的な構造であり、かつ、従って、単に説明的なものに過ぎないことが理解されるべきである。前記ポリマーの全ての骨格が、無水物で変性されることが必ずしも必要でないことが理解されるべきである。実際、大抵のポリマー骨格は、無水物により変性されないままである。金属触媒と配位するために十分なリガンドを提供するために、十分なポリマー骨格を変性することのみが必要であり、これは、十分な効果が、実現されることができるように導入される。無水物による変性の程度を説明するための1つの手法は、1つの無水物がポリマー骨格につき、ポリマー状リガンドを形成するためにグラフト化されることである。当業者により理解されるのは、ポリマー骨格との述語が、当分野における他の用語、例えばポリマーストランド、ポリマー分子及びポリマー断片と、相互に交換可能に使用されることである。
【0037】
別の一実施態様において、ポリマー状リガンドは、樹脂よりはむしろ架橋剤から形成される。典型的には、架橋剤は、ポリマー状リガンドを形成するためにヒドロキシル官能性カルボン酸と架橋剤とを反応させることにより、カルボキシル化される。ヒドロキシ官能性カルボン酸は、少なくとも1つのヒドロキシ基を有する程度にヒドロキシ官能性でなくてはならない。有利には、ヒドロキシ官能性カルボン酸は、2つのヒドロキシ基を有する。従って、ヒドロキシ官能性カルボン酸は1つのヒドロキシ基及びカルボキシ酸基を有するモノオールカルボン酸、又は、2つのヒドロキシ基及びカルボン酸基を有するジオールカルボン酸であることができる。
【0038】
1つのヒドロキシ基及びカルボン酸基を有するヒドロキシ官能性カルボン酸のための適した一般式は、以下に示される
【化1】

[R1及びR2は、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族基、アルキルエーテル基、又は水素原子を含む]。このようなヒドロキシ官能性カルボン酸の例は、乳酸及び12−ヒドロキシステアリン酸を含むが、これらに限定されない。
【0039】
2つのヒドロキシ基及びカルボン酸基を有するヒドロキシ官能性カルボン酸のための適した一般式は、以下に示される。
【化2】

[R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、1〜8個の炭素原子を有する有機鎖である]。このようなヒドロキシ官能性カルボン酸の例は、2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(ジメチロールプロピオン酸(DMPA)とも呼ばれる)、2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、及びジメチルビス(ヒドロキシメチル)マロナートを含むが、これらに限定されない。
【0040】
架橋剤と、モノオールカルボン酸とのカルボキシル化は、一般的には、以下の化学的な提示において開示され、ここで、例示的な架橋剤は、4,4′−メチレンビスジフェニルジイソシアナート(MDI)であり、これは、純粋なMDI異性体であり、商品名Lupranate(R) Mで、BASF Corporationから市販されている。ここで使用される純粋なMDI異性体が、原則的には、説明の目的のためのみであることが理解されるべきである。この終わりに、ポリマー状のグレートの架橋剤、例えばポリマー状MDIは、関連する3,5−においてより一般的に使用されることが理解されるべきである。適したポリマー状MDIの1つの例は、BASF Corporationから、商品名Lupranate(R) M20Sで、市販されている。
【0041】
【表3】

【0042】
上の化学的な提示において、R″′は、脂肪族基、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルエーテル基、及び類似物、脂環式基、又は、芳香族アルキル基である。[R1及びR2は、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族基、アルキルエーテル基、又は水素原子を含む]。更に、最初の反応は、架橋剤とブロッキング剤としてのアルコールとのブロッキングを示し、かつ、第2の反応は、架橋剤とモノオールカルボン酸とのカルボキシル化を示す。1つの典型的なブロッキング基アルコールは、ジエチレングリコールブチルエーテルアルコール(Bu−O−CH2CH2−O−CH2CH2−OH)(ここで、R″′は、Bu−O−CH2CH2−O−CH2CH2−O−である)。ポリマー状リガンドは、架橋剤とヒドロキシ官能性カルボン酸との反応生成物を含み、この場合に、モノオールカルボン酸である。この特定の化学的な提示において、1モルのヒドロキシ官能性カルボン酸が、架橋剤各1モルについて反応される。
【0043】
架橋剤とジオールカルボン酸とのカルボキシル化は、一般的には、以下の化学的な提示において示され、ここで、上で説明したとおり、例示的なヒドロキシ官能性カルボン酸は、DMPAであり、かつ、例示的な架橋剤は、4,4′−メチレンビスジフェニルジイソシアナート(MDI)である。この化学的な提示、また同様に、本願に含まれる他の一般的な化学的な提示は、単に、成分及び反応の突出した特徴部を一般的に説明することが意図されていることが理解されるべきである。これらは正確な提示を意図していない。
【0044】
【表4】

【0045】
前述の化学的な提示において、R″′は、前述のとおりに定義される。最初の反応は、架橋剤とブロッキング基としてのアルコールとのブロッキングを示し、かつ、第2の反応は、架橋剤とジオールカルボン酸、特異的にはDMPAとのカルボキシル化を示す。ポリマー状リガンドは、架橋剤とヒドロキシ官能性カルボン酸との反応生成物を含み、この場合に、ジオールカルボン酸である。この特定の化学的な提示において、1モルのヒドロキシ官能性カルボン酸が、架橋剤各1モルについて反応される。ポリマー状リガンド中の残りのヒドロキシル基は、イソシアナートと反応されることもでき、鎖がこの構造を伸長させる。これは、ポリマー鎖の真ん中でのカルボキシル基を生じるものである。
【0046】
本発明の方法は、金属触媒をポリマー状リガンドに組み込み、金属触媒をポリマー状リガンドと錯化させ、そして、樹脂と架橋剤を反応させて、ウレタンコーティングを形成する工程をも含む。この錯体は、前述のポリマー状リガンド、及び、ポリマー状リガンドと複合化される金属触媒との反応生成物を含む。この関連において、反応生成物は金属カルボキシラートである。
【0047】
金属触媒が、樹脂及び架橋剤とが反応して、ウレタンコーティングを形成する前に、ポリマー状リガンドに組み込まれることが理想的である。しかしながら、理論においては、反応前よりはむしろ、樹脂及び架橋剤が反応して、ウレタンコーティングを形成するにつれ、金属触媒が、ポリマー状リガンドに、組み込まれることができることも、理解されるべきである。
【0048】
有利には、一般式MO又はM(OH)n又はR4xMO[式中、Mは、Bi、Sn、Sb、Zn、Y、Al、Pb、Zr、Ce、Cu及びこれらの混合物の群から選択された金属であり、Oは、酸素原子を示し、OHは、ヒドロキシドイオンを示し、nは、Mの原子価を満たす整数であり、R4は、有機基、有利には4〜15個の炭素原子を有するアルキルであり、かつxは1〜6の整数である]の金属触媒である。このようにして、この有利なシナリオにおいて、金属触媒をポリマー状リガンドに組み込む工程は、一般式MO又はM(OH)n又はR4xMOの金属触媒を組み込むことを含む。ジブチルスズ酸化物及び金属酸化物、例えば酸化亜鉛又は酸化ビスマスは、組み合わされるか又は独立して、本発明における使用のための有利な金属触媒である。式MO又はM(OH)n又はR4xMOの様々な金属触媒が、単独で又は相互に組み合わせて使用されることができることも理解されるべきである。言い換えると、1つの金属触媒又は金属触媒の組み合わせが使用されることができる。他の可能性のある金属触媒は、他の様々な亜鉛又はビスマスの酸化物、SnO、SnO2、Y23及びCuOを含むが、これらに限定されない。有利には、金属触媒、例えば、上で例示的に示した酸化物は、低い粒径(例えば20ミクロン未満、より典型的には10ミクロン未満)を有する破砕された形態で供給され、この結果、金属触媒をポリマー状リガンドと共に効率的に組み込むための金属触媒の粒径を減少させるための更なる粉砕は、必要でない。
【0049】
有利な実施態様の関連において、ポリマー状リガンドは、樹脂のカルボキシル化により形成され、金属触媒は、カルボキシル化された樹脂に組み込まれ、金属触媒はカルボキシル化された樹脂と錯化し、これは、以下の化学的な提示において一般的に開示されるとおりである。
【0050】
【表5】

【0051】
[ここで、X、Y、R′、R″は上で定義したとおりである]。上の化学的な提示において、錯体は一般的には、式M(L)nにより示されることができ、ここでMは金属、Lはポリマー状リガンド、そしてnは、Mの原子価を満たす整数である。従って、Mが+2の原子価を有する場合には、n=2であり、そして、ポリマー状リガンドの2つの当量が存在し、Mが+3の原子価を有する場合には、n=3であり、ポリマー状リガンドの3つの当量が存在し、等である。また、上の化学的な提示において、金属触媒からの金属M(I)+、M(II)++、又はM(III)+++、MO又はM(OH)n又はR4xMOが、ポリマー状リガンドに対して配位して、錯体を確立する。提示されてはいないものの、金属触媒が、直前で説明したとおり、樹脂とよりはむしろ架橋剤と錯化されることもできることが、理解されるべきである。
【0052】
金属触媒は、ポリマー状リガンドに様々な時間点で組み込まれることができる。一実施態様において、金属触媒は、実際には、樹脂及び/又は架橋剤からのポリマー状リガンドを形成する工程と同時に、即ち、ポリマー状リガンド自体が形成されるにつれ、ポリマー状リガンドに組み込まれる。又は、金属触媒は、ポリマー状リガンドが形成される後、かつ、ウレタンコーティングを生じるべく樹脂と架橋剤とを反応させる前に、ポリマー状リガンドに組み込まれることができる。例えば、顔料含有組成物は、樹脂と架橋剤とを反応させる工程前に組み込まれて良い。この分野において知られているとおり、このような顔料含有組成物は、上で説明した電着コート組成物について一般的である。これらの顔料含有組成物は、顔料ペーストとも呼ばれて良い。金属触媒は、顔料含有組成物中に組み込まれ、金属触媒とポリマー状リガンドとが錯化することができる。いかなる場合にも、金属触媒、例えば単純な金属酸化物は、ポリマー状リガンドと、ウレタンコーティングを生じるべく樹脂と架橋剤とが反応する前に錯形成される。全ての前述の化学的な提示は、2次元の化学的な提示に過ぎず、かつ、これらの化学的な提示の構造は、示されたのと異なっていてよいことが理解されるべきである。
【0053】
本願で示した、本発明の主題によるウレタンコーティング組成物及び錯体及びウレタンコーティングの形成におけるその使用に関連した種類を説明する以下の実施例は、本発明を説明する意図で示され、本発明を限定しない。
【0054】
実施例
20個の実施例、特異的には実施例A〜Tは、以下に説明するとおり調製され、かつ、第1A表、第1B表、第2A表及び第2B表において示される。実施例A〜Jは、エマルション1を使用し、かつ、実施例K〜Tはエマルション2を使用する。実施例A〜F、I、J〜P、S及びTは、本発明による実施例である。実施例G及びQは、対照例の1形態であり、ここでは、DDSAが、ウレタンコーティング中に含有され、金属触媒が含有されない。実施例H及びRは、対照例の他の形態であり、ここでは、金属触媒がウレタンコーティング組成物中に含有されるが、樹脂をカルボキシル化するための無水物が含有されない。実施例は全てウレタンコーティング組成物であり、特異的にはウレタンカチオン電着コーティングである。
【0055】
この実施例において、ヒドロキシ官能性樹脂は、無水物、特異的にはドデセニルコハク酸無水物(DDSA)でカルボキシル化される。この実施例のために適したヒドロキシ官能性樹脂は、カソード電着樹脂である。DDSAは、Dixie Chemical of Pasadena, TXから得られる。以下においてより詳細に説明されるとおり、反応生成物は、エマルション、エマルション1及び2の形態にある。更に、顔料含有組成物(顔料ペーストとしても当業者に公知である)が使用される。実施例J及びTを除く全ての実施例のためには、金属触媒が、顔料ペースト中に組み込まれ、次いで金属触媒を含有する顔料ペーストが、エマルション中に組み込まれ、電着塗料浴を確立し、ここで、金属触媒は、ヒドロキシ官能性樹脂と錯形成する。
【0056】
エマルションタイプ1は、より特異的には以下のとおりに製造される。
【0057】
連結した加熱ジャケットを有する3Lのフラスコ中で、
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、DGEBA、(17.94g、0.095eq.エポキシ)、
ビスフェノールA、BPA、(4.08g、0.036eq.OH)、
フェノール又は置換したフェノール(0.015eq、OH)(例えば、ドデシルフェノール、p−クレゾール、フェノール又はこれらの組み合わせ)及び
キシレン(0.357g)を組み合わせる。
【0058】
撹拌しながら、温度を125℃に上昇させる。引き続き、キシレン(0.07g)中のトリフェニルホスフィン(0.032g)を添加し、発熱を記録する(189℃)。この混合物を次いで132℃に冷却し、WPE決定(目標=525+/−25)を実施し、529である。82℃への冷却及びこの加熱ジャケットのスイッチを切った後に、0.016eq.Nのアミン、例えばジエタノールアミン、メチルエチルアノールアミン、又はこれらの組み合わせを導入し、発熱を記録する(107℃)。この混合物を、発熱に達した後に更に30分間撹拌する。30分間の撹拌後に、3−ジメチルアミノプロピルアミンを105℃で添加し、発熱を記録する(144℃)。この混合物を更に1時間撹拌する。DDSA(1.13g、0.004eq.)のトルエン(0.344g)溶液を、引き続き、105℃で導入し、この混合物を、約1.5時間撹拌させる。更なる50gのトルエンを添加する。Pluracol P710R ポリオール(2.5413g)を次いで添加し、架橋剤(13.53g、0.051eq.)及びDowanol PnB(0.344g)が引き続く。この架橋剤は、ポリマー状MDI及び一官能性アルコール、例えばジエチレングリコールブチルエーテルをベースとするブロックトイソシアナートである。均質な混合物を得てから、このカルボキシル化した樹脂を、一定の撹拌下で、脱イオン水(31.095g)、ギ酸(85%)(0.588g)及び硝酸(0.050g)を含む酸混合物に添加する。金属スパチュラを用いた混合による全ての成分の十分な混合後に、この理論的な固形物を更に、水の添加(20.0g)により減少させる。助剤(0.4g)を、独立して、又は、助剤パッケージにおいて、酸混合物及び水20.0gに添加する。上で使用される様々な溶媒を含む全ての原料は、工業的グレードであり、更なる精製は使用されない。
【0059】
エマルションタイプ2は、より特異的には以下のとおりに製造される。
【0060】
撹拌機、還流凝縮器、内部温度計及び不活性ガス入口を備えた反応器中に、エポキシ当量質量(EEW)188を有するビスフェノールAをベースとするエポキシ樹脂6150部を、125℃に、窒素雰囲気下で、ビスフェノールA1400部、ドデシルフェノール335部、p−クレゾール470部及びキシレン441部と共に、加熱し、この混合物を10分間撹拌する。引き続き130℃に加熱し、N,N−ジメチルベンジルアミン23部を添加する。この反応混合物をこの温度で、EEWが、880g/eq.のレベルに達するまで維持する。DDSA(389g、1.377eq.)のトルエン(118g)溶液を引き続き、105℃で導入し、カルボキシル化した樹脂を形成させ、この混合物を、約1.5時間の間撹拌させる。架橋剤7079部及び流動助剤90部の混合物を次いで添加し、この生じる混合物を100℃に維持する。この架橋剤は、ポリマー状MDI及び一官能性アルコール、例えばジエチレングリコールブチルエーテル及び/又はブチルジグリコールをベースとするブロックトイソシアナートである。約30分間後に、ブチルグリコール211部及びイソブタノール1210部を添加する。
【0061】
この添加の直ぐ後に、前駆体(ジエチレントリアミンジケチミン、メチルイソブチルケトン中)467部及びメチルエタノールアミン520部の混合物を、反応器中に津遠敷し、このバッチを、100℃の温度にする。更なる30分間後に、この温度を105℃に上昇させ、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン159部を添加する。
【0062】
アミン添加75分後に、Plastilit(R) 3060(プロプレングリコール化合物、BASF、ドイツ国)903部を添加し、この混合物をプロピレングリコールフェニルエーテル(1−フェノキシ−2−プロパノール及び2−フェノキシ−1−プロパノールの混合物、BASF、ドイツ国)522部で希釈し、この経過の途中に、95℃に迅速に冷却する。
【0063】
10分間後に、反応混合物14821部を、分散容器中に移す。脱イオン水7061部中に溶解させた乳酸474部(水中88%)を、撹拌しながら少量づつ添加する。この混合物を引き続き、少量ずつの脱イオン水更に12600部で更に希釈する前に、20分間均質化する。この揮発性溶媒を、真空蒸留により除去し、かつ、等じ体積の脱イオン水で置換する。
【0064】
以下のペースト中に含有される金属触媒は、顔料ペースト中に添加される。金属触媒のための原料、金属塩は、一般的には、ZnO、Bi23,Bu2SnO、SnO2、ZrO2、Y23及びCuOの形で、Aldrich Chemical Co.から入手可能である。当業者に知られているとおり、ウレタンベースの電着コーティングのための顔料ペーストは、顔料、充填剤及び助剤も含有する。金属触媒を含有する顔料ペーストは、前記エマルション中に組み込まれ、電着コート浴を確立し、ここで金属触媒は、ポリマー状リガンドと錯体形成し、この実施例においては、カルボキシル化したヒドロキシ官能性樹脂を形成し、これは硬化の際のウレタン形成反応を触媒するためである。
【0065】
実施例A〜J
【表6】

【0066】
実施例K〜T
【表7】

【0067】
第1A表〜第2B表中に含まれる上付文字は、次のとおり定義される:
1=19%の非揮発性成分及びP/B=0.16を有する約6500g;
2=(DDSAのg)/(エマルション固形物のg)X100%;樹脂の調製の間にエマルション中に添加される(実施例Jを除く);
3=(DDSAのmmol)/(エマルションの固形物のg)×100%;
4=エマルション固形物に対して相対的に約0.50%のDBTO(ジブチルスズ酸化物)を含有する顔料ペースト;
5=酸化物の形態で顔料ペースト中に添加:
6=(金属のmmol)/(エマルションの固形物のg)×100%;及び
7=(金属のmmol)/(エマルションの固形物のg)×100%;
8=顔料ペーストの代わりにエマルションに直接的に添加された(DDSAでのカルボキシル化及び架橋剤の後に)金属触媒。
【0068】
形成される実施例の形態のウレタンコーティング組成物を用いて、実施例A〜Jのみに関連する特定の試験(詳しくは以下説明)のためにパネルを調製する。この試験は、MEK二重摩擦溶媒抵抗性試験(MEK Double Rub Solvent Resistance Test)、チップ抵抗性試験及び腐食試験G及びLである。2種類のパネル基材、リン酸亜鉛処理した冷間ロール処理した鋼(CRS)、亜鉛−鉄(Zn/Fe)処理したパネルを、その特定の試験に依存して利用する。全てのパネルは、4″×6″の寸法にあり、かつ、ACTから購入する。このパネルを、当業者に公知の技術により、フィルム塗り厚0.40ミル及び0.80ミルに電着コートする。これはやはり、特定の試験に依存する。
【0069】
MEK二重摩擦溶媒抵抗性試験:
硬化を評価するための最初のスクリーニング道具として、メチルエチルケトン(MEK)二重摩擦を実施する。パネルはリン酸亜鉛処理を有するCRSであり、ウレタンコーティング組成物を被覆し、様々な時間及び温度で硬化させ、約0.80ミルのウレタンコーティングを形成する。
【0070】
MEKに浸漬し、人差し指の周りにまいたチーズクロスの一片を用いて、合計で20、50及び100回の二重摩擦を、わずかな圧力を用いて実施する。二重摩擦後に、このパネルを評価する:0(変化無し)、1(わずかに変化)、3(適度に変化)、及び5(深刻な変化、金属暴露、欠損)。
【0071】
実施例A〜JのMEK二重摩擦試験のための完全なデータは、第3表中に見出される。説明の目的のために、実施例A〜Jの2つの異なる温度での50回のMEK二重摩擦性能を要約するグラフを、図1中に含める。
【0072】
第3表
【表8】

【0073】
290°Fでベーキングした全てのパネルは、完全な欠損を示し、但し、20分間のベーキング後の20回の摩擦でのZn及びSnを含有するものを除く。良好な溶媒抵抗性が、300°Fでのベーキング後に気づかれる。Sn、Bi、Zr及びZnを含有する浴が、適度な溶媒抵抗性(即ち、3の評価)をこのベーキングで示すことが見出され、その一方で、Cu及びYを含有するものは完全に欠損を示す。いかなる触媒又がDDSAも添加しないと、乏しい結果を同様に生じる。焼き付け温度を325及び350F°に増加させると、溶媒抵抗性の増加を生じ、また全てのパネルは、Cuを含有する浴で被覆されたもの及びいかなる触媒又はDDSAも組み込まないものを除き変化を示さない。
【0074】
チップ抵抗性試験:
リン酸亜鉛処理を有するCRSパネル及びZn/Feパネルを、実施例A〜Jのウレタンコーティング組成物で被覆し、約0.8ミルのウレタンコーティングを形成する。これらのパネルを、約325°Fで、約15分間硬化させる。
【0075】
これらの電着被覆したパネルに、プライマー、ベースコート及びクリアーコートをまず設ける。プライマーは、アクリル/ポリエステル−メラミン化学−を基礎とする灰色のプライマーである。このベースコートは、アクリル−メラミン化学−を基礎とする白色のベースコートである。クリアーコートは、高い固形物の溶媒性のクリアーコートであり、これも、アクリル−メラミン化学−を基礎とする。この相応するフィルム厚さは、プライマー、ベースコート及びクリアーコートについて、それぞれ0.9〜1.0、1.0〜1.1、及び1.7〜2.0ミルである。プライマーを用いて、5分間のフラッシュをブース中で使用し、この後に20分間325°Fで焼き付けした。プライマーを設けた後、10分間のフラッシュをブース中でベースコートのために使用し、この後更なる焼き付けはなく、かつ、クリアーコートが引き続き噴霧され、10分間のフラッシュ及び20分間の280°Fでの焼き付けが引き続く。
【0076】
Multi-Test Gravelometer(Q-Panel Lab Productsにより製造)を用いて、チップ抵抗性を最初にそれぞれのパネルをフリーザー(約−20℃)中に、約4時間配置し、次いでこのパネルを、個々に、砂利2パイントに対して70psiで、90度の衝撃に曝すことにより実施する。それぞれのパネルの粉塵を洗浄した後に、標準的なテープ剥離を2インチの幅を有するScotch Filament Tape 898を用いて実施し、VIEW Digital Image Analyzer 5.0(ATLAS Analytical Instrumentsにより製造)を、パーセンテージとしての塗料損失を決定するために使用する。結果は、図2及び3中に示されている。
【0077】
図2を参照すると、CRSに関する最良の性能は、Sn、Bi及びZrを触媒として使用する際に観察される。適度な性能結果は、Zn、Cuを用いたもので、かつ、触媒及び高いDDSA顔料を使用しないもので認められる。Yは、チップ抵抗性において比較的乏しい性能を示す。図3を参照すると、類似の傾向が、Zn/Feパネルを用いて観察され、Sn、Bi及びZrはYよりもより良好なチップ抵抗性を示し、かつ、DDSAを使用しないものは乏しい性能を生じる。全体として、両方の図2及び3を参照すると、DDSAの添加は、改善された性能を示す。
【0078】
腐食試験G(単一肌傷(Scab));
リン酸亜鉛処理を有するCRSパネルを、実施例A〜Jのウレタンコーティング組成物で被覆し、約0.8ミルのウレタンコーティングを形成する。これらのパネルを、約325°Fで、約15分間硬化させる。これらのパネルを戦略的に350°Fに対して325°Fで焼き付けし、これは、性能をより良好に認識するためである。
【0079】
被覆後に、それぞれのパネルを、直接的に、垂直の線の形状「l」でもって真ん中に刻みつける。暴露サイクルは次のとおりである。月曜日にそれぞれのパネルを60℃に1時間半空気循環炉中に維持し、かつ次いで、−25℃の冷たい棚にかけ、30分間維持した。その後で、このパネルを15分間5%(質量)のNaCL溶液(食塩水)中に浸漬する。除去及びこれらを1時間15分室温で自然乾燥させた後、このパネルを、60℃、かつ、パネルを介して15m/ftを超えない空気流れを有する85%の湿度にセットした湿度棚に移す。火曜日から金曜日は、このパネルをもう一度15分間食塩水中に浸漬し、かつ、前に説明したとおりに自然乾燥させる。これらを次いで、前記湿度棚に移し、週末を通して維持する。このサイクルを次いで全部で5サイクル繰り返す。終了後にそれぞれのパネルを水で洗浄し、かつ金属スパチュラを用いてはがす。平均的な腐食直径を次いで、この肌傷に沿った点をランダムに選択することにより得る。
【0080】
この腐食試験Gの結果を、図4にまとめる。亜鉛及び低レベルのDDSAで被覆したパネルは、希望のもてる腐食防止を示す。より高いレベルのDDSAを添加することは決定的であるように見え、というのは平均的な腐食の直径5.15mmがDDSAの存在なしで得られるからである。最良の性能系(実施例D)は、高いレベルのDDSA及び0.50%の亜鉛を含有し、かつ、腐食直径2.51nmを有する。
【0081】
実施例Jを参照すると、触媒(亜鉛)の樹脂への添加もまた、腐食防止の同様のレベルを示す。更に、DDSAの料を半分に減少させることも、良好な腐食防止を同じ量の亜鉛の存在下において生じる。上で示唆したとおり、いかなるDDSAをも添加しないのは、完全な欠損を示すパネルを亜鉛の存在下ですら生じる。いかなる更なる触媒無しにDDSAを添加することはしかしながら、満足のいく腐食防止を生じ、これは、DBTOの活性化のせいにされてよく、これは、顔料ペースト中に存在する。比較的良好な性能を有する他の金属は、Sn、Bi、Zr及びYである。
【0082】
腐食試験L(二重肌傷):
リン酸亜鉛処理を有するCRSパネルを、実施例A〜Jのウレタンコーティング組成物で被覆し、約0.4ミルのウレタンコーティングを形成する。これらのパネルを、約325°Fで、約15分間硬化させる。これらのパネルを戦略的に350°Fに対して325°Fで焼き付けし、これは、性能をより良好に認識するためである。
【0083】
被覆後にそれぞれのパネルを「X」との外見を有する肌傷でもって刻みつける。初期付着及びショットブラストを、腐食試験Lにおいて除く。この日毎の試験順列及び試験サイクルを、このパネルを火曜日から金曜日の間の任意の週日に試験することにより実施する。全部で36試験サイクルを実施し、それぞれのサイクルは1日に等しい。サイクルを最初に、それぞれのパネルを、60℃の炉温度でもって60分間の焼き付けに曝すことにより開始し、この後に、室温までの勾配的な冷却を30分間実施する。試験の塩浸漬及び湿度部分は、最初にそれぞれのパネルを5%(質量)NaClの水溶液中に15分間配置し、その後に周囲温度で75分間乾燥させることにより引き続く。これは、週に一度実施される。浸漬後にこのパネルを、60℃に設定された湿度棚(85%湿度)中に22.5時間配置する(注意:週末には、このパネルは湿度棚中に残存させる。)。36日のサイクル後にこのパネルを試験から取り除き、十分に洗浄しかつ金属スパチュラを用いて削り落とし、ゆるい塗料を除去する。平均の腐食直径を次いで、キャリパーを用いかつこの肌傷のそれぞれの側に沿ってランダムに測定することにより得られる。
【0084】
腐食試験Lの結果は、図5中にまとめられている。亜鉛及び高いレベルのDDSAの組み合わせは、最良の腐食防止を示し、イットリウム及びビスマスもまた、4mmよりも少ない平均腐食直径を有する。腐食試験Gの結果と一致して、酸化亜鉛の樹脂への直接的添加(実施例J)は、適度な腐食防止を示す。
【0085】
本発明を詳解するように記載したが、使用された用語は本発明を限定するのではなく、本質的には、説明のための言葉であることを理解すべきである。明らかに、前記の教示を踏まえて、本発明の多くの改変又は変更をすることができ、そして本発明は特に明示的に示されたもの以外も行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、2つの異なる温度での実施例A〜Jの50回のMEK二重摩擦性能を要約する棒グラフを示す図である。
【図2】図2は、CRSパネル上での実施例A〜Jのペイント損失の%を要約する棒グラフを示す図である(リン酸亜鉛処理あり)。
【図3】図3は、Zn/Feパネル上での実施例A〜Jのペイント損失の%を要約する棒グラフを示す図である。
【図4】図4は、腐食試験Gにおける実施例A〜Jの平均的な腐食直径(mm)を要約する棒グラフを示す図である。
【図5】図5は、腐食試験Lにおける実施例A〜Jの平均的な腐食直径(mm)を要約する棒グラフを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシ官能性樹脂とブロックトイソシアナート架橋剤とが反応してウレタンコーティングを形成する反応を触媒する方法であって、前記方法が、
前記樹脂及び/又は前記架橋剤からのポリマー状リガンドを形成する工程、
金属触媒を前記ポリマー状リガンドに組み込んで、金属触媒をポリマー状リガンドと錯化する工程、及び、
前記樹脂及び前記架橋剤を反応させて、ウレタンコーティングを形成する工程
を含む、ヒドロキシ官能性樹脂とブロックトイソシアナート架橋剤とが反応してウレタンコーティングを形成する反応を触媒する方法。
【請求項2】
前記樹脂及び/又は前記架橋剤からポリマー状リガンドを形成する工程が、前記樹脂及び/又は前記架橋剤のカルボキシル化を含む、請求項1記載の触媒する方法。
【請求項3】
金属触媒をポリマー状リガンドに組み込む工程が、金属触媒をカルボキシル化した樹脂及び/又はカルボキシル化した架橋剤に組み込み、金属触媒をカルボキシル化した樹脂及び/又はカルボキシル化した架橋剤と錯化することを含む、請求項2記載の触媒する方法。
【請求項4】
ポリマー状リガンドが、樹脂から形成され、かつ、カルボキシル化する工程が、無水物と前記樹脂との反応を含む、請求項1記載の触媒する方法。
【請求項5】
無水物が、ドデセニルコハク酸無水物、無水マレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチル−ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、無水フタル酸、無水コハク酸、ドデセニルコハク酸無水物、トリメリット酸無水物、及び、これらの混合物の群から選択されている、請求項1記載の触媒する方法。
【請求項6】
ポリマー状リガンドが、架橋剤から形成され、かつ、カルボキシル化する工程が、ヒドロキシ官能性カルボン酸と前記架橋剤との反応を含む、請求項1記載の触媒する方法。
【請求項7】
ヒドロキシル官能性カルボン酸が、モノオールカルボン酸、ジオールカルボン酸及びこれらの混合物の群から選択されている、請求項6記載の触媒する方法。
【請求項8】
ヒドロキシ官能性カルボン酸が、乳酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジメチロールプロピオン酸(DMAP)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)マロン酸及びこれらの混合物からなる群から選択されている、請求項7記載の触媒する方法。
【請求項9】
金属触媒をポリマー状リガンドに組み込む工程が、樹脂と架橋剤とを反応させる前にこの金属をポリマーリガンドに組み込むことを含む、請求項1記載の触媒する方法。
【請求項10】
金属触媒をポリマー状リガンドに組み込む工程が、一般式MO又はM(OH)n又はR4xMO[式中、Mは、Bi、Sn、Sb、Zn、Y、Al、Pb、Zr、Ce、Cu及びこれらの混合物の群から選択された金属であり、Oは、酸素原子を示し、OHは、ヒドロキシドイオンを示し、nは、Mの原子価を満たす整数であり、R4は、4〜15個の炭素原子を有する有機基であり、かつxは1〜6の整数である]の金属触媒を組み込むことを含む、請求項1記載の触媒する方法。
【請求項11】
金属触媒をポリマー状リガンドに組み込む工程が、樹脂及び/又は架橋剤からポリマー状リガンドを形成する工程と同時に実施される、請求項1記載の触媒する方法。
【請求項12】
更に、顔料含有組成物を組み込む工程を、樹脂及び/又は架橋剤を反応させる工程の前に含む、請求項1記載の触媒する方法。
【請求項13】
金属触媒が顔料含有組成物中に組み込まれ、金属触媒がポリマー状リガンドと錯化する、請求項12記載の触媒する方法。
【請求項14】
ヒドロキシ官能性樹脂が、アミン変性されたエポキシ樹脂を含有する、請求項1記載の触媒する方法。
【請求項15】
更に、酸を用いて樹脂を中和する工程を、樹脂と架橋剤とを反応させる工程の前に含む、請求項1記載の触媒する方法。
【請求項16】
ウレタンコーティングが、カソード電着コートである、請求項1記載の触媒する方法。
【請求項17】
ウレタンコーティングが、アノード電着コートである、請求項1記載の触媒する方法。
【請求項18】
樹脂から形成されたポリマー状リガンドが、約1000ダルトンよりも大きい分子量Mnを有する、請求項4記載の触媒する方法。
【請求項19】
架橋剤から形成されたポリマー状リガンドが、約800ダルトンよりも大きい分子量Mnを有する、請求項6記載の触媒する方法。
【請求項20】
ポリマー状リガンド及び前記ポリマー状リガンドと錯化される金属触媒の反応生成物を含む、ウレタンコーティング組成物を触媒するための錯体。
【請求項21】
ポリマー状リガンドが、ヒドロキシ官能性樹脂及び/又はブロックトイソシアナート架橋剤から形成される、請求項20記載の錯体。
【請求項22】
前記ポリマー状リガンドが、ヒドロキシ官能性樹脂と無水物との反応生成物を含む、請求項21記載の錯体。
【請求項23】
ヒドロキシ官能性樹脂が、アミン変性されたエポキシ樹脂を含有する、請求項22記載の錯体。
【請求項24】
無水物が、ドデセニルコハク酸無水物、無水マレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチル−ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、無水フタル酸、無水コハク酸、ドデセニルコハク酸無水物、トリメリット酸無水物、及び、これらの混合物の群から選択されている、請求項22記載の錯体。
【請求項25】
前記ポリマー状リガンドが、ブロックトイソシアナート架橋剤とヒドロキシ官能性樹脂との反応生成物を含む、請求項21記載の錯体。
【請求項26】
ヒドロキシル官能性カルボン酸が、モノオールカルボン酸、ジオールカルボン酸及びこれらの混合物の群から選択されている、請求項25記載の錯体。
【請求項27】
ヒドロキシ官能性カルボン酸が、乳酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、ジメチルビス(ヒドロキシメチル)マロン酸及びこれらの混合物からなる群から選択されている、請求項26記載の錯体。
【請求項28】
金属触媒が、一般式MO又はM(OH)n又はR4xMO[式中、Mは、Bi、Sn、Sb、Zn、Y、Al、Pb、Zr、Ce、Cu及びこれらの混合物の群から選択された金属であり、Oは、酸素原子を示し、OHは、ヒドロキシドイオンを示し、nは、Mの原子価を満たす整数であり、R4は、4〜15個の炭素原子を有する有機基であり、かつxは1〜6の整数である]で示される、請求項20記載の錯体。
【請求項29】
ウレタンコーティング組成物が、カソード電着コート組成物である、請求項20記載の錯体。
【請求項30】
ウレタンコーティング組成物が、アノード電着コート組成物である、請求項20記載の錯体。
【請求項31】
ヒドロキシ官能性樹脂と無水物から形成されるポリマー状リガンドが、約1000ダルトンよりも大きい分子量Mnを有する、請求項22記載の錯体。
【請求項32】
ブロックトイソシアナート架橋剤とヒドロキシ官能性樹脂とから形成されるポリマー状リガンドが、約800ダルトンよりも大きい分子量Mnを有する、請求項25記載の錯体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−532525(P2009−532525A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503152(P2009−503152)
【出願日】平成19年3月21日(2007.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/064470
【国際公開番号】WO2007/117900
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(591020700)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (53)
【氏名又は名称原語表記】BASF Corporation
【住所又は居所原語表記】100 Campus Drive, Florham Park, New Jersey 07932, USA
【Fターム(参考)】