説明

ウレタンフォームおよびそれを用いたトナー搬送ローラ

【課題】トナー帯電量(Q/M)を高め、トナー搬送ローラの表層にトナーを十分に吸着して十分なトナー搬送性が得られ、低コストで良好な画像を得ることができるウレタンフォームおよびそれを用いたトナー搬送ローラを提供する。
【解決手段】シリコーン粉体およびシリカ粉体から選ばれる一種以上の粉体を基材ウレタンフォームに含浸してなるウレタンフォームおよびそれを用いたトナー搬送ローラである。かかる粉体が、バインダーを介して基材ウレタンフォームと結合しているウレタンフォームおよびそれを用いたトナー搬送ローラであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタンフォームおよびそれを用いたトナー搬送ローラ(以下、単に「ローラ」とも称する)に関し、詳しくは、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、感光体や紙等の画像形成体にトナー(現像剤)を搬送してその表面に可視画像を形成する現像ローラに対しトナーを供給するために用いられるトナー搬送ローラに用いられるウレタンフォームおよびそれを用いたトナー搬送ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置等における現像部には、図2に示すように、静電潜像を保持する感光体等の画像形成体11と、この画像形成体11に当接して表面に担持したトナー20を付着させることにより静電潜像を可視画像化する現像ローラ12と、この現像ローラ12にトナーを供給するためのトナー搬送ローラ(トナー供給ローラおよび不要トナー剥ぎ取りのためのクリーニングローラを含む)13とが設けられており、トナー20を、トナー収容部14からトナー搬送ローラ13および現像ローラ12を介して画像形成体11まで搬送する一連のプロセスにより、画像形成が行われる。なお、図中の符号15は転写ローラ、16は帯電部、17は露光部、18はトナー掻き取り用のブレードを示す。
【0003】
このうち、トナー搬送ローラ13は、現像ローラ12との接触により相手を傷つけないこと、および、ローラの接触面積を増してグリップ性を確実にする等の観点から、軸の外周に、接着層を介してウレタンフォーム等の導電性弾性体を担持させた構成にて形成されている。トナー搬送ローラ13に要求される機能としては、トナー搬送性、トナー帯電性、トナー掻き取り性等があり、これらの機能を満足させるために、種々の方策がとられている。
【0004】
例えば、トナー搬送ローラ13を構成するポリウレタン発泡体に導電性カーボンブラック等の導電性処理液を含浸させる方法(特許文献1〜3参照)、または導電性カーボンを混練する方法によって、電気抵抗を下げ、トナー帯電量(Q/M)を落としてトナー搬送量(M/A)を高め、耐久画像評価中の画像カスレ不具合を発生させないようにしていた。
【0005】
また、カーボン等の導電性材料を使用せずに、トナー搬送ローラ13の表面に凹凸形状を付し、物理的にトナー搬送量(M/A)を高め、耐久画像評価中の画像カスレ等の不具合を発生させないようにしていた(特許文献4参照)。
【0006】
一方、良好なトナーの搬送性等を目的として、ウレタンフォーム表面にシリコーンを介在させる方法が提案されている。例えば、特許文献5には、シリコーン樹脂表層を備えた現像剤担持体が開示され、特許文献6には、金型塗布シリコーン樹脂を表層に纏うトナー搬送ローラが開示されている。また、特許文献7には、液状のシリコーンを含浸させたトナー搬送ローラが開示されている。
【特許文献1】特開昭57―115433号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開2002―319315号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献3】特開2003―215905号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献4】特開平11―38749号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献5】特開2000―122416号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献6】特開2002―341642号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献7】特開2003―262997号公報(特許請求の範囲等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3記載の方法は、いずれもウレタンフォームに導電材を含浸することでトナー帯電量(Q/M)を落としているため、トナー搬送ローラの表層にトナーを十分に吸着する方法の場合、十分なトナー搬送性が得られず、耐久画像評価中の画像カスレ等の不具合を発生していた。また、特許文献1記載の方法は、ウレタンフォームにカーボンを含浸するため、カラーレーザープリンタに使用する黒色以外のトナー(マゼンダ、シアン、イエロー)において、カーボンが脱離してトナーに混入し、画像に黒点が混ざるという不具合および懸念点があった。
【0008】
さらに、ウレタンフォームにカーボンを混練する方法では、カーボンの脱離がないため画像不具合の心配はないが、ウレタンフォーム成型工程でカーボンを分散し且つ金型による成型が強いられ、バッチ式による小ロット生産となることで、コストアップにつながっていた。
【0009】
さらにまた、特許文献4記載の方法では、カーボンを使用しないで抵抗の高いトナー搬送ローラを使用し、ローラ表面に凹凸形状を付ける必要があるため、金型(キャビティ)内面に凹凸を付けたものに成型することが一般的であり、金型費、金型メンテナンス、金型内面の離型性処理(離型剤、フッ素コーティング)等、ローラ1本毎の成型に付随する様々なコストアップ要因が存在していた。
【0010】
さらにまた、特許文献5〜7記載の方法は、いずれもウレタンフォーム表面にシリコーンを介在させる方法であり、シリコーンがウレタンフォーム表面をコーティングしているためトナー帯電量(Q/M)が低く、そのため、トナー搬送ローラの表層にトナーを十分に吸着することができず、トナー搬送性に関してはさらなる改良の余地があった。特に、特許文献7では、シリコーンを含浸させているものの、液状のシリコーンを含浸させているためウレタンフォーム表面が平滑になり、比表面積が小さいことからトナー帯電量(Q/M)が十分に上昇せず、改良が望まれていた。
【0011】
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、トナー帯電量(Q/M)を高め、トナー搬送ローラの表層にトナーを十分に吸着して十分なトナー搬送性が得られ、低コストで良好な画像を得ることができるウレタンフォームおよびそれを用いたトナー搬送ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、特定のSiを有する粉体を含浸することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明のウレタンフォームは、シリコーン粉体およびシリカ粉体から選ばれる一種以上の粉体を基材ウレタンフォームに含浸してなることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明のウレタンフォームは、前記粉体が、バインダーを介して前記基材ウレタンフォームと結合していることが好ましい。
【0015】
本発明のトナー搬送ローラは、軸の外周に前記ウレタンフォームが担持されてなることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明のトナー搬送ローラは、負帯電性トナー用であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記構成としたことにより、トナー帯電量(Q/M)を高め、トナー搬送ローラの表層にトナーを十分に吸着して十分なトナー搬送性が得られ、低コストで良好な画像を得ることができるウレタンフォームおよびそれを用いたトナー搬送ローラを実現することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明のウレタンフォームは、シリコーン粉体およびシリカ粉体から選ばれる一種以上の粉体(以下、「シリコーン粉体等」とも称する)を基材ウレタンフォームに含浸してなるものであり、所期の効果が得られるものであれば、シリコーン粉体等の含浸は、基材ウレタンフォーム表層でも、基材ウレタンフォーム全体でもよく、好ましくは、基材ウレタンフォーム表層である。ここで、表層とは、シリコーン粉体等が基材ウレタンフォームの全体に含浸せずに、シリコーン粉体等の含浸量が少なくても十分に本発明の効果を得ることができる範囲を示す。これにより、シリコーン粉体等のエッジで摩擦帯電性を発現することができ、特開2003−262997号公報記載のような液状シリコーン油を含浸した場合と比較して、帯電特性に与える効果が大きく、トナー帯電量(Q/M)を高めることができ、トナー搬送ローラの表層にトナーを十分に吸着して十分なトナー搬送性が得られ、良好な画像を得ることができる。また、シリコーンゴム製のトナー搬送ローラと比較して、同等のトナー搬送量(M/A)を得ることができ、さらにシリコーンゴム製のトナー搬送ローラより低コストで良好な画像を得ることができる。
【0019】
また、本発明のウレタンフォームは、シリコーン粉体等が、後述のバインダーを介して基材ウレタンフォームと結合していることが好ましい。練りこみと比較して、シリコーン粉体等のエッジをウレタンフォームの表面に露出させることができ、さらに露出部を増加させることができる。
【0020】
本発明で使用できるシリコーン粉体としては、所期の効果が得られるシリコーン粉体であれば限定されないが、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製の商品名:トレフィルE−500、E−600、E−601、E−606、信越化学工業(株)製の商品名:KMP−590・701、X−52−854、X−52−1621、旭化成ワッカーシリコーン(株)製の商品名:SILRES MK POWDER、SILRES H44、Wacker−Belsil TMS803、WACKER MQ803 TF等を挙げることができ、好ましくは、ポリジメチルシルセスキオキサン等のポリオルガノシルセスキオキサン等を主成分としたものであり、さらに好ましくはエポキシ基を含有したものであり、トレフィルE−601等を挙げることができる。
【0021】
また、本発明で使用できるシリカ粉体としては、所期の効果が得られるシリカ粉体であれば限定されないが、例えば、旭化成ワッカーシリコーン(株)製の商品名:HDK V15、HDK N20、HDK H15、HDK H20、HDK H18等を挙げることができる。
【0022】
本発明において、基材ウレタンフォーム中に上記シリコーン粉体等を含浸してなるものであれば含浸方法は特に限定されず、例えば、溶液に含浸しても、塗布することにより含浸してもよい。
【0023】
本発明において、上記シリコーン粉体等を含浸することで、常法に従って基材ウレタンフォームに帯電性を具備させることができるが、特に上記シリコーン粉体等とバインダーを含む含浸液に基材ウレタンフォームを含浸させて帯電性を具備させることが好ましい。これにより、シリコーン粉体等が、バインダーを介して基材ウレタンフォームと結合することができる。
【0024】
上記バインダーとしては、アクリル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、アクリル酸−スチレン共重合体樹脂、アクリル酸−酢酸ビニル共重合体樹脂等のアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、クロロプレンゴム等を例示することができる。特に好ましいのは、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、クロロプレンゴムであり、例えば、エネックス社製の商品名:SEバインダー、東洋インキ製造(株)製の商品名:TOCRYL BC−X6131、TOCRYL S744、TOCRYL X4402等がある。これらバインダーは、単独で、または2種以上の混合物として用いることができる。シリコーン粉体等単独では、ウレタンフォーム気泡壁に強固に結合し得ないが、バインダーを配合することにより、シリコーン粉体等はウレタンフォームの気泡壁に強固に付着し、安定なシリコーン粉体層等をウレタンフォーム気泡内に形成する。
【0025】
本発明において、シリコーン粉体等とバインダーの配合比は、バインダーの固形分100質量部に対して、シリコーン粉体等が10〜110質量部、特に30〜50質量部であることが好ましい。シリコーン粉体等が110質量部を超えると基材ウレタンフォームへの接着力が不十分になる傾向があり、一方、10質量部未満であると、トナー供給ローラの表面抵抗が安定しない傾向がある。
【0026】
なお、このシリコーン粉体等とバインダーとを含む含浸液には、適量の水およびトルエン、酢酸エチル等の有機溶媒を添加することができる。これらの溶媒は、含浸液の粘度が5〜300cps(25℃)程度となるように添加することが好ましい。粘度をこの範囲内とすることにより含浸付着作業がさらに容易になる。
【0027】
また、本発明において、含浸液に後述の導電材、荷電制御剤を配合していてもよい。かかる導電材としては、カーボンブラックやグラファイト等の炭素質粒子、銀やニッケル等の金属粉、酸化スズ、酸化チタンまたは酸化亜鉛等の導電性金属酸化物の単体、あるいは硫酸バリウム等の絶縁性微粒子を芯体にして上記導電性金属酸化物を湿式的に被覆したもの、導電性金属炭化物、導電性金属窒化物、導電性金属ホウ化物等から選ばれる1種または複数種類の組み合わせで用いられる。なお、コスト面からカーボンブラックが好ましく、他方、導電性制御のしやすさからは導電性金属酸化物が好ましい。
【0028】
さらに、本発明において、含浸液には必要に応じて他の添加剤、例えば、鉱物油系消泡剤、シリコーン系消泡剤、界面活性剤等を添加することができる。これらは、含浸液100質量部に対して、0.001〜10質量部、特に0.001〜0.1質量部程度添加することが好ましい。
【0029】
上記鉱物油系消泡剤としては、例えば、信越化学工業(株)製の自己乳化型シリコーン系の商品名:KS−508、KS−537、オイル型シリコーン系の商品名:KF−96、オイルコンパウンド型シリコーン系の商品名:KF−66等が挙げられる。
【0030】
本発明のトナー搬送ローラは、軸の外周に上記ウレタンフォームが担持されてなるものであり、画像形成装置に好適に適用されるものである。図1に、本発明の好適実施形態に係るトナー搬送ローラの幅方向断面図を示す。図示する本発明のトナー搬送ローラは、軸1の外周に、接着層2を介してウレタンフォーム3が担持されてなる。また、本発明のトナー搬送ローラは、負帯電性トナー用であることが好ましい。
【0031】
このようにシリコーン粉体等を基材ウレタンフォームに含浸することにより、基材ウレタンフォームへのカーボンの付与やローラ表面への凹凸等を必要とせずに、トナーの帯電量(Q/M)を高め、トナー搬送量(M/A)を高めることが可能であり、さらに、低コストで良好な画像を得ることができる。
【0032】
かかるトナー搬送ローラのウレタンフォームにおけるシリコーン粉体等の配合量としては、基材ウレタンフォーム100質量部に対して、0.1〜50質量部の範囲が好ましい。0.1質量部以上であると、トナー帯電量(Q/M)を高めて、トナー搬送量(M/A)が十分に高められ、シリコーン粉体等の効果を発現することができる。一方、50質量部以下であるとシリコーン粉体等の脱離を抑制することができる。以上の観点から、シリコーン粉体等の含有量は、基材ウレタンフォーム100質量部に対して、5〜15質量部であることがさらに好ましい。
【0033】
本発明においては、上記基材ウレタンフォーム中に、シリコーン粉体等を含浸してなること以外の点については特に制限されるものではなく、ローラ構成の詳細や他のローラ材料等については所望に応じ適宜決定することができる。
【0034】
本発明において、基材として用いられるウレタンフォームは、特許第3480028号公報に記載の手法により、2個以上の活性水素を有する化合物と2個以上のイソシアネート基を有する化合物を触媒、発泡剤、整泡剤等の添加剤と共に攪拌混合して発泡・硬化させることにより製造でき、また、発泡剤として水を用いて形成する方法、例えば、あらかじめイソシアネート成分とポリオール成分を反応させてなるプレポリマー、水分散カーボン、ウレタン反応触媒等を含む発泡体形成材料を、所定形状にて発泡させたのち、加熱硬化させる等、プレポリマー法、ワンショット法、部分プレポリマー法等の方法により製造できる。例えば、800〜3600の平均分子量差を有する2種類の単一ジオールを含む単一ジオールの混合物を、ポリオール成分に対して総量で50質量%以上含むポリエーテルポリオール、イソシアネート、水、触媒および発泡剤を混合し、発泡させ、放置することにより製造することができる。
【0035】
ここで、「単一のジオール」とは、1種のジオールまたは平均分子量の差が400以内の2種以上のジオール群を総称する意味に用いられる。また、「平均分子量差」とは、対象となるジオールが各々有する平均分子量の差分を表し、組み合わせが多種類ある場合には、特に、最大の差分を表す意味に用いられる。
【0036】
プレポリマーの製造に用いられるポリオール成分としては、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、酸成分とグリコール成分とを縮合したポリエステルポリオール、カプロラクトンを開環重合したポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール等を用いることができる。
【0037】
本発明において、基材ウレタンフォームを製造する際に用いられるポリエーテルポリオールとしては、(1)例えば、ジエチレングリコールにプロピレンオキサイドのみを付加させたタイプのポリエーテルポリオール、(2)例えば、ジエチレングリコールにプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドをブロックまたはランダムに付加させたタイプのポリエーテルポリオール、(3)上記(1)または(2)に例えばアクリルニトリルやスチレンをグラフトしたタイプのポリエーテルポリオール、等を含み、特に制限されないが、より効果を発揮するためには、好ましくは(1)タイプのポリエーテルポリオールである。
【0038】
上記ポリエーテルポリオールを製造するために用いられる開始剤としては、多価アルコール、多価フェノール、モノ若しくはポリアミン、その他のものが挙げられるが、好ましくは多価アルコールおよび多価フェノールであり、さらに好ましくは多価アルコールであり、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等が含まれ、この中でもジエチレングリコールが特に好ましい。
【0039】
また、上記ポリエーテルポリオール成分には、ジオール以外のポリオール成分も含み得る。このようなポリオール成分としては、通常、基材ウレタンフォームの製造に使用される3官能の、例えば、グリセリンベースにプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたもの、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイド等の2種のアルキレンオキサイドをランダム若しくはブロックで付加させたもの等が挙げられ、多官能のものとしては、例えば、サッカロースベースに上記と同様のものを付加させたポリエーテルポリオール、等が挙げられる。
【0040】
エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとしては、例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、メチルグルコシド、芳香族ジアミン、ソルビトール、ショ糖、リン酸等を出発物質とし、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したものを挙げることができるが、特に、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールを出発物質としたものが好適である。付加するエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの比率やミクロ構造については、エチレンオキサイドの比率が好ましくは2〜95質量%、より好ましくは5〜90質量%であり、末端にエチレンオキサイドが付加しているものが好ましい。また、分子鎖中のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの配列は、ランダムであることが好ましい。
【0041】
なお、かかるポリエーテルポリオールの分子量としては、水、プロピレングリコール、エチレングリコールを出発物質とする場合は2官能となり、重量平均分子量で300〜6000の範囲のものが好ましく、3000〜5000の範囲のものがより好ましい。また、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールを出発物質とする場合は3官能となり、重量平均分子量で900〜9000の範囲のものが好ましく、4000〜8000の範囲のものがより好ましい。さらに、2官能のポリオールと3官能のポリオールとを適宜ブレンドして用いることもできる。
【0042】
また、ポリテトラメチレンエーテルグリコールは、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合によって得ることができ、重量平均分子量が400〜4000の範囲、特には、650〜3000の範囲にあるものが好ましく用いられる。また、分子量の異なるポリテトラメチレンエーテルグリコールをブレンドすることも好ましい。さらに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを共重合して得られたポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いることもできる。
【0043】
さらに、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとを、ブレンドして用いることも好ましい。この場合、これらのブレンド比率が、質量比で95:5〜20:80の範囲、特には90:10〜50:50の範囲となるように用いることが好適である。
【0044】
また、上記ポリオール成分とともに、ポリオールをアクリロニトリル変性したポリマーポリオール、ポリオールにメラミンを付加したポリオール、ブタンジオール等のジオール類、トリメチロールプロパン等のポリオール類やこれらの誘導体を併用することもできる。
【0045】
本発明において用いられるポリイソシアネート成分としては、芳香族イソシアネートまたはその誘導体、脂肪族イソシアネートまたはその誘導体、脂環族イソシアネートまたはその誘導体が用いられる。これらの中でも芳香族イソシアネートまたはその誘導体が好ましく、特に、トリレンジイソシアネート(TDI)またはその誘導体、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)またはその誘導体、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートまたはその誘導体が好適に用いられ、単体若しくは混合して使用される。
【0046】
トリレンジイソシアネートまたはその誘導体としては、粗製トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、これらのウレア変性物、ビュレット変性物、カルボジイミド変性物、ポリオール等で変性したウレタン変性物等が用いられる。ジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体としては、例えば、ジアミノジフェニルメタンまたはその誘導体をホスゲン化して得られたジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体が用いられる。ジアミノジフェニルメタンの誘導体としては多核体等があり、ジアミノジフェニルメタンから得られた純ジフェニルメタンジイソシアネート、ジアミノジフェニルメタンの多核体から得られたポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネート等を用いることができる。ポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートの官能基数については、通常、純ジフェニルメタンジイソシアネートと様々な官能基数のポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物が用いられ、平均官能基数が好ましくは2.05〜4.00、より好ましくは2.50〜3.50のものが用いられる。また、これらのジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体を変性して得られた誘導体、例えば、ポリオール等で変性したウレタン変性物、ウレチジオン形成による二量体、イソシアヌレート変性物、カルボジイミド/ウレトンイミン変性物、アロハネート変性物、ウレア変性物、ビュレット変性物等も用いることができる。また、数種類のジフェニルメタンジイソシアネートやその誘導体をブレンドして用いることもできる。
【0047】
本発明において、プレポリマー化の方法としては、ポリオールとイソシアネートを適切な容器に入れて十分に攪拌し、30〜90℃、より好ましくは40〜70℃で、6〜240時間、より好ましくは24〜72時間保温する方法が挙げられる。この場合、ポリオールとイソシアネートとの分量の比率は、得られるプレポリマーのイソシアネート含有率が4〜30質量%となるように調節することが好ましく、より好ましくは6〜15質量%である。イソシアネートの含有率が4質量%未満であると、プレポリマーの安定性が損なわれ、貯蔵中にプレポリマーが硬化してしまい、使用に供することができなくなるおそれがある。また、イソシアネートの含有率が30質量%を超えると、プレポリマー化されていないイソシアネートの含有量が増加し、このポリイソシアネートは、後のポリウレタン硬化反応において用いるポリオール成分と、プレポリマー化反応を経ないワンショット製法に類似の反応機構により硬化するため、プレポリマー法を用いる効果が薄れる。
【0048】
基材ウレタンフォームには、上記ポリオール成分およびイソシアネート成分に加え、所望に応じてカーボンブラック等の導電材、荷電制御剤、架橋剤、界面活性剤、触媒、整泡剤等を添加することができ、これにより所望に応じた層構造とすることができる。また、難焼剤や充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を適宜使用することも可能である。
【0049】
イオン導電材の例としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム(例えば、ステアリルトリメチルアンモニウム)、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。
【0050】
また、カーボン導電材としては、例えば、デンカブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のガスブラック、インクブラックを含むオイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック等が挙げられ、本発明の基材ウレタンフォームは、かかるカーボン導電材が含浸されたもの、またはカーボン導電材が内部添加されたものであることが好ましい。
【0051】
さらに、電子導電材の例としては、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属等を挙げることができる。これらの導電材は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。その配合量には特に制限はなく、所望に応じ適宜選定可能であるが、通常は、ポリオールとイソシアネートとの総量100質量部に対し、0.1〜40質量部、好ましくは0.3〜20質量部の割合である。
【0052】
荷電制御剤としては、基材ウレタンフォームよりも帯電列において負側または正側にあるものであり、一般にトナーの荷電制御剤または帯電制御剤として用いられる物質を使用できる。ここで、負側の帯電列に位置する荷電制御剤であるか、または正側の帯電列に位置する荷電制御剤であるかは、具体的には以下の方法によって判別できる。
【0053】
(帯電列の位置の判別方法)
測定対象材料を23℃、相対湿度55%の雰囲気下に4時間放置する。測定対象材料を除電ブロアSJ−F300(キーエンス社製)にて静電気を除去する。基材として使用するウレタンフォーム(ポリウレタン発泡体)と測定対象材料を擦り、表面電位計(トレック・ジャパン(株)製「MODEL 347」)で測定する。ポリウレタン発泡体および測定対象材料がプラス(正)、マイナス(負)のいずれに帯電するかで判別する。
【0054】
本発明で用いることのできる基材ウレタンフォームよりも帯電列において負側にある荷電制御剤(以下、「負帯電荷電制御剤」と称す)の具体例としては、(A)ホウ素酸塩、(B)ホウ酸エステル化合物、(C)ポリヒドロキシアルカノエート、(D)サリチル酸誘導体の金属化合物、(E)オキシナフトエ酸誘導体の金属化合物、(F)アゾ系金属錯体化合物、(G)芳香族オキシカルボン酸の金属化合物、(H)スルホン酸基を有するモノマーを共重合成分として重合した共重合体、(I)カルボキシル基を有するモノマーを共重合成分として重合した共重合体、(J)ジルコニウムまたはアルミニウムと、亜鉛と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族モノカルボン酸および芳香族ポリカルボン酸からなる群から選択される芳香族化合物とが、配位および/または結合している有機金属化合物、(K)ホウ素またはアルミニウムとベンジル酸誘導体の錯体、(L)含イオウ樹脂等が挙げられる。これらの負帯電荷電制御剤は、一種を単独または二種以上を組み合せて用いることができる。また、バインダーとして使用するポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル樹脂は、使用するトナー種とバインダー量によりバインダー単独でも負帯電荷電制御剤相当の作用をする場合がある。
【0055】
(A)ホウ素酸塩としては、特に限定されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が好ましく、特に、カリウム塩がより好ましい。
【0056】
(B)ホウ酸エステル化合物としては、下記一般式(1)、

(上記一般式(1)中、RおよびRは、水素原子、アルキル基またはアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよく、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を示し、nは、整数である)で表されるものが好適に使用できる。
【0057】
上記一般式(1)において、RおよびRで表されるアルキル基としては、特に制限はないが、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基であり、特に好ましくは、ブチル基、ペンチル基である。
【0058】
また、上記一般式(1)において、RおよびRで表されるアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられ、これらのうちフェニル基が好ましい。
【0059】
さらに、上記一般式(1)において、Mで表されるアルカリ金属またはアルカリ土類金属としては、リチウム、カリウム、カルシウム、ナトリウム等が挙げられ、特に、リチウム、カリウムが好ましい。
【0060】
(C)ポリヒドロキシアルカノエートとしては、下記一般式(2)、

(上記一般式(2)中、Rは−A−(SOを表し、Rは、OH、ハロゲン原子、ONa、OK、OR3aであり、R3a、Aは置換または未置換脂肪族炭化水素基、置換または未置換の芳香族基、置換または未置換の複素環基を表し、mおよびxは1〜8から選ばれた整数であり、複数のユニットが存在する場合、R、R、R3a、A、m、xは、各ユニットで独立して上記の意味を表す)で表されるものが好適に使用される。
【0061】
(D)サリチル酸誘導体の金属化合物としては、ジアルキルサリチル酸の金属化合物が好ましく、特には、ジ−tert−ブチルサリチル酸の金属化合物が好ましい。また、金属元素としては、アルミニウム、ガリウム、マグネシウム、カルシウム、チタン、クロム、亜鉛、ジルコニウム、ハフニウム等が好ましく、特にアルミニウム化合物が好ましい。
【0062】
(E)オキシナフトエ酸誘導体の金属化合物としては、下記一般式(3)、

(上記一般式(3)中、Rは、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アラルキル基、フェニル基、ベンジル基またはハロゲン原子を示し、nは0〜4の整数を示す)で表されるオキシナフトエ酸誘導体と、アルミニウム、クロム、コバルト、鉄、チタン、亜鉛等の金属からなる有機金属化合物が挙げられる。
【0063】
(F)アゾ系金属錯体化合物としては、下記一般式(4)、

(上記一般式(4)中、Mは、配位中心金属(クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄、チタン、アルミニウム等)を示し、Arは、各種置換基を有してもよいアリール基を示し、X、X、YおよびYは、それぞれO、CO、NHまたはNR(Rは、炭素数1〜4のアルキレン基)を示し、Aは、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオンを示し、Aはこれらのイオンが混合されていてもよい)で表されるものが好適に使用される。
【0064】
(G)芳香族オキシカルボン酸の金属化合物を構成する芳香族オキシカルボン酸としては、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシカルボン酸、没食子酸、マンデル酸、トロパ酸等が挙げられる。これらの中でも、2価以上の芳香族カルボン酸を用いることが好ましく、特にイソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ナフタレンジカルボン酸が好ましい。これらの芳香族カルボン酸と金属化合物を形成する金属種としては、2価以上の金属が好ましく、具体的には、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、鉛、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、クロム等が挙げられる。
【0065】
(H)スルホン酸基を有するモノマーを共重合成分として重合した共重合体において、スルホン酸基を有するモノマーとしては、特にスルホン酸含有アクリルアミド系単量体が好ましく、例えば、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ドデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2,2,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(2−ピリジル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸等を挙げることができる。これらのうち、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が好適に挙げられる。
【0066】
共重合成分としては、スチレン系モノマー、オレフィン系モノマー、ジエン系モノマー、ハロゲン化ビニル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸等のビニル系モノマー等が挙げられる。
【0067】
(I)カルボキシル基を有するモノマーを共重合成分として重合した共重合体において、カルボキシル基を有するモノマーとしては、下記一般式(5)、

(上記一般式(5)中、Rは、炭素数2〜6のアルキレン基、Rは、水素原子またはメチル基であり、nは、0〜10の整数を表す)
または、下記一般式(6)、

(上記一般式(6)中、Rは、水素原子またはメチル基、Rは、炭素数2〜4のアルキレン基、R10は、エチレン基、ビニレン基、1,2−シクロヘキシレン基、または1,2−フェニレン基を示す)で表されるものが好適に使用される。
【0068】
上記一般式(5)で表されるカルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0069】
また、上記一般式(6)で表されるカルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フマル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,2−ジカルボキシシクロヘキサンモノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0070】
さらに、共重合成分としては、上記(H)共重合体と同様に、スチレン系モノマー、オレフィン系モノマー、ジエン系モノマー、ハロゲン化ビニル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸等のビニル系モノマー等が挙げられる。
【0071】
(J)ジルコニウムまたはアルミニウムと、亜鉛と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族モノカルボン酸および芳香族ポリカルボン酸からなる群から選択される芳香族化合物とが、配位および/または結合している有機金属化合物とは、芳香族化合物が配位子となって、ジルコニウムまたはアルミニウムおよび亜鉛と金属錯体または金属錯塩を形成したものをいう。
【0072】
(K)ホウ素またはアルミニウムとベンジル酸誘導体の錯体としては、下記一般式(7)、

(上記一般式(7)中、Mは、ホウ素またはアルミニウムであり、Xは、リチウム、ナトリウムまたはカリウムであり、R11、R12、R13およびR14は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子を示し、R11、R12、R13およびR14は複数存在してもよく、これらが複数存在する場合、各々が異なっていても同一であってもよく、nは、1〜5の整数を示す)で表されるものが好適に使用できる。
【0073】
(L)含イオウ樹脂としては、スルホン酸基を有する重合体または共重合体であることが好ましく、スルホン酸基含有アクリルアミドモノマーを構成成分とする含イオウ重合体または共重合体が特に好ましい。
【0074】
スルホン酸基含有アクリルアミドモノマーとしては、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ドデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2,2,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(2−ピリジル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸等が挙げられ、これらのうち、特に2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が好ましい。
【0075】
上記スルホン酸基含有アクリルアミドモノマーとの共重合成分としては、スチレン系モノマーおよびアクリル系モノマーが好ましく、スチレンとアクリル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルとの組合せが好適に挙げられる。
【0076】
本発明で用いることのできる基材ウレタンフォームよりも帯電列において正側にある荷電制御剤(以下、「正帯電荷電制御剤」と称す)の具体例としては、(a)(メタ)アクリル酸エステルモノマーを共重合成分として重合した共重合体、(b)アミノ基含有モノマーを共重合成分として重合した共重合体、(c)水酸基含有アミノ化合物、(d)イミダゾリウム塩類を構成単位として有する重合体、(e)第4級アンモニウム塩化合物、(f)ニグロシン系化合物、(g)トリフェニルメタン系化合物等が挙げられる。これらの正帯電荷電制御剤は、一種を単独または二種以上を組み合せて用いることができる。また、バインダーとして使用するポリアクリルアミド、ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、クロロプレンゴムは、使用するトナー種とバインダー量によりバインダー単独でも正帯電荷電制御剤相当の作用をする場合がある。
【0077】
(a)(メタ)アクリル酸エステルモノマーを共重合成分として重合した共重合体としては、下記一般式(8)、

(上記一般式(8)中、R15は、炭素数4以上のアルキル基を表し、R16は、水素原子またはメチル基を表し、R15は、炭素数6以上のアルキル基であることがより好ましく、炭素数8以上のアルキル基であることがさらに好ましく、さらにまたR15は、炭素数20以下のアルキル基であることが好ましく、R15は直鎖でも分岐していてもよく、環状構造を有していてもよい)で表される(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするものが好適に使用できる。
【0078】
具体的には、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリレート」は、メタクリレートあるいはアクリレートを意味する。
【0079】
共重合成分としては、特に限定されず、炭素数1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、スチレン系モノマー、オレフィン系モノマー、ジエン系モノマー、ハロゲン化ビニル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸等のビニル系モノマーが挙げられる。また、後述する(b)アミノ基含有モノマーとの共重合体も好ましい態様である。
【0080】
(b)アミノ基含有モノマーを共重合成分として重合した共重合体として、下記一般式(9)、

(上記一般式(9)中、R17は、水素原子またはメチル基を示し、R18は、炭素数1〜7の二価の有機基を示し、R19およびR20は、各々独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機基、特には炭素数2〜4の有機基が好ましく、あるいは、R19およびR20が化学的に結合した炭素数4〜20の環状構造、またはR19およびR20が化学的に結合した、窒素原子、酸素原子、イオウ原子の少なくとも一種を含む炭素数4〜19の環状構造であってもよい)で表されるアミノ基含有モノマーを主成分とするものが好適に使用できる。
【0081】
具体的には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジメチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジエチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジプロピルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジブチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N−ラウリルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N−ステアリルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジメチルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジエチルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジプロピルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジブチルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N−ラウリルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N−ステアリルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド等が例示される。一般式(9)で示されるアミノ基を有するモノマーは、単独で、または二種以上のモノマーを組み合せて用いることができる。なお、「(メタ)アクリルアミド」は、メタクリルアミドあるいはアクリルアミドを意味する。
【0082】
共重合成分としては、上記(a)成分が好ましく、その他、炭素数1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、スチレン系モノマー、オレフィン系モノマー、ジエン系モノマー、ハロゲン化ビニル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸等のビニル系モノマー等が挙げられる。
【0083】
(c)水酸基含有アミノ化合物としては、下記一般式(10)、

または下記一般式(11)、

(上記一般式(10)および(11)中、R21、R24およびR26は、炭素数1〜8のアルキレン基または繰り返し数が1〜4のエチレンオキシド基であり、R22,R2325,R27,R28は、それぞれ炭素数1〜8のアルキル基であり、R22およびR23、R24〜R28は、互いに同一でも異なっていてもよい)で表されるものが好適に使用できる。
【0084】
上記一般式(10)および(11)で表される水酸基含有アミノ化合物の具体例としては、ジメチルエタノールアミン、市販品として、花王(株)製「カオーライザーNo.25(商品名)」、三共エアプロダクツ社製「POLYCAT 17(商品名)」等が挙げられる。
【0085】
(d)イミダゾリウム塩類を構成単位として有する重合体としては、下記一般式(12)、

(上記一般式(12)中、R29は、水素原子または炭素数1〜17の炭化水素基、R30およびR31は、各々独立に、水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基、あるいはR30およびR31は、相互に連結されて環構造を形成していてもよく、R32は、エーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、Xは、アニオン、nは2〜100の整数を示す)で表されるイミダゾリウム塩を主成分とするものが好適に使用できる。
【0086】
上記一般式(12)において、R29における炭素数1〜17の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基等のアルキル基;ウンデセニル基、トリデセニル基、ヘプタデセニル基等のアルケニル基;ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基等のアルキルフェニル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。これらのうち、水素原子および炭素数11〜17のアルキル基が好ましく、特にウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基が好ましい。
【0087】
上記一般式(12)において、R30およびR31における炭素数1〜8の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。また、R30およびR31が相互に連結された環構造としては、ベンゾ基等が挙げられる。これらのうち、水素原子、メチル基、エチル基およびベンゾ基が好ましく、特に水素原子およびベンゾ基が好ましい。
【0088】
上記一般式(12)において、R32の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタンメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCHOCHCH−、−CHCHOCHCHOCHCH−等の基が挙げられる。これらのうちエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、−CHCHOCHCH−、および−CHCHOCHOCHCH−が好ましく、特にトリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基および−CHCHOCHCH−が好ましい。
【0089】
上記一般式(12)において、Xのアニオンとしては、ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、スルホン酸イオン(p−トルエンスルホン酸イオン、メチルスルホン酸イオン、ヒドロキシナフトスルホン酸イオン等)、カルボン酸イオン(蟻酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン等)、ホウ酸イオン(ホウ酸イオン、メタホウ酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン等)および金属オキソ酸イオン(モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン等)等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、ホウ酸イオンおよびオキソ酸イオンである。
【0090】
(e)第4級アンモニウム塩化合物としては、下記一般式(13)、

(上記一般式(13)中、R33、R34、R35およびR36は、各々独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい環状アルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアリール基を示し、Xは、アニオンを示す)で表されるものが好適に使用できる。
【0091】
上記一般式(13)において、R33、R34、R35およびR36におけるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜8の直鎖または分岐を有するアルキル基が挙げられ、置換基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、フェニル基等を挙げることができる。
【0092】
上記一般式(13)において、R33、R34、R35およびR36における環状アルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基を挙げることができ、また、置換基としては、上述のアルキル基で示すものと同様のものを挙げることができる。
【0093】
上記一般式(13)において、R33、R34、R35およびR36におけるアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、a,a−ジメチルベンジル基、トルイル基、フェネチル基等を挙げることができ、また、置換基としては、上述のアルキル基で示すものと同様のものを挙げることができる。
【0094】
上記一般式(13)において、R33、R34、R35およびR36におけるアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができ、また、置換基としては、上述のアルキル基で示すものと同様のものを挙げることができる。
【0095】
上記一般式(13)において、Xで示されるアニオンとしては、有機または無機のアニオンがあり、具体例としては、ナフトールスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸のアニオン、ハロゲンイオン等を挙げることができる。
【0096】
(f)ニグロシン系化合物としては、ニグロシン系染料として公知の化合物を用いることができ、例えば、「ニグロシンベースEX(商品名)」、「オイルブラックBS(商品名)」、「オイルブラックSO(商品名)」、「ボントロンN−01(商品名)」、「ボントロンN−07(商品名)」、「ボントロンN−09(商品名)」、「ボントロンN−11(商品名)」(以上、オリエント化学工業社製)等が市販されている。
【0097】
(g)トリフェニルメタン系化合物としては、例えば、下記一般式(14)、

(上記一般式(14)中、R37およびR38は、各々独立して、アミノ基、炭素数1〜4のアルキル基を有するモノまたはジアルキルアミノ基、炭素数2〜4のアルキル基を有するモノまたはジ−ω−ヒドロキシアルキルアミノ基、無置換またはN−アルキル置換のフェニルアミノ基から選ばれる基であり、R38は、水素原子またはR37およびR38で示した基であり、R40およびR41は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、スルホン酸基であるか、または両者が縮合したフェニル環を形成し、R42、R43、R45およびR46は、各々独立して、水素原子、メチル基またはエチル基であり、R44は、水素原子またはハロゲン原子であり、Xは、ハロゲンイオン、サルフェート、モリブデート、ホスホロモリブデート、ホウ素アニオンであり、これらのうち、R37およびR39がフェニルアミノ基であり、R38がm−メチルフェニルアミノ基であり、R40〜R46が水素原子である化合物が好ましい)で表されるものが好適に使用できる。
【0098】
また、基材ウレタンフォーム中には、シリコーン整泡剤や各種界面活性剤を配合することが、フォーム材のセルを安定させるために好ましい。シリコーン整泡剤としては、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合物等が好適に用いられ、分子量350〜15000のジメチルポリシロキサン部分と分子量200〜4000のポリオキシアルキレン部分とからなるものが特に好ましい。ポリオキシアルキレン部分の分子構造は、エチレンオキサイドの付加重合物やエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共付加重合物が好ましく、その分子末端をエチレンオキサイドとすることも好ましい。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性等のイオン系界面活性剤や各種ポリエーテル、各種ポリエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。シリコーン整泡剤や各種界面活性剤の配合量は、ポリオール成分とイソシアネート成分との総量100質量部に対して0.1〜10質量部とすることが好ましく、0.5〜5質量部とすることがさらに好ましい。
【0099】
本発明において、発泡剤として用いられる化合物としては、その種類および使用量に特に制限はなく、公知のものが使用できる。発泡剤としては、例えば、メチレンクロライド、フロン123、フロン141b等が用いられる。
【0100】
基材ウレタンフォームの硬化反応に用いる触媒としては、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン等のトリアミン類、トリエチレンジアミン、ジメチルピペラジン、メチルエチルピペラジン、メチルモルホリン、ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルイミダゾール等の環状アミン類、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、メチルヒドロキシエチルピペラジン、ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マーカプチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫マーカプチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート、フェニル水銀プロピオン酸塩、オクテン酸鉛等の有機金属化合物等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0101】
なお、本発明において、ウレタンフォームの通気量は、100〜700cm/cm/secであることが好ましく、特に、150〜400cm/cm/sec程度であることがより好ましい。通気量が700cm/cm/secを超えると濃度過多によりトナー燃費が低下する場合があり、一方、100cm/cm/sec未満であると含浸液に基材ウレタンフォームを含浸させる際に含浸しにくくなり、シリコーン粉体等およびバインダーの付着量が一定になりにくい場合がある。また、その影響で生産性が低下する場合もある。なお、上記通気量は、JIS K 6400に準じて測定したものである。
【0102】
また、本発明において、ウレタンフォームのセル数は、20〜80個/inch(25.4mm)であることが好ましく、特に、30〜60個/inchであることがより好ましい。セル数が20個/inchより少ないとトナーの付着するスペースが減ってしまうため現像に影響が出やすく、一方、セル数が80個/inchより多いと含浸液に基材ウレタンフォームを含浸させる際に含浸しにくくなり、シリコーン粉体等およびバインダーの付着量が一定になりにくい場合がある。また、含浸速度も遅くなり、コスト高になる場合もある。
【0103】
さらに、ウレタンフォームの平均セル径は、50〜1000μmであることが好ましく、特に、100〜400μm程度であることがより好ましい。平均セル径が1000μmを超えると濃度過多によりトナー燃費が低下する場合があり、一方、50μm未満であると含浸液に基材ウレタンフォームを含浸させる際に含浸しにくくなり、シリコーン粉体等およびバインダーの付着量が一定になりにくい場合がある。
【0104】
本発明において、ウレタンフォームの密度は、10〜100kg/mであることが好ましく、特に、10〜50kg/m程度であることがより好ましい。密度が100kg/mを超えるとコスト高になる場合があり、一方、密度が10kg/m未満であると圧縮残留歪みが悪化する傾向にあり、追随性がなくなりカスレの原因となることがある。
【0105】
また、ポリウレタンフォームの硬度は、アスカーF硬度で30〜90°であることが好ましい。硬度が90°より大きいとトナーを劣化させる場合があり、30°より小さいと研磨不良になりやすく、好ましくない。
【0106】
また、本発明のローラに用いる軸1としては、特に制限はなく、いずれのものも使用し得るが、例えば、硫黄快削鋼等の鋼材にニッケルや亜鉛等のめっきを施したものや、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等の金属製の中実体からなる芯金、内部を中空にくりぬいた金属製円筒体等の金属製シャフトを用いることができる。なお、本発明においては、かかる軸1の径をφ6mm未満、例えば、5.0mmとし、かつ、ウレタンフォーム3の厚みを4.5mm未満、例えば、4.0mmとすることが好適である。これにより、ローラの軽量化を図ることができるとともに、ウレタンフォーム3の薄層化によりマクロで見た時のウレタンフォームの弾性率が上がり、トナー掻き取り性が向上する。また、ウレタンフォーム3の薄層化によるウレタンフォームの体積減少により、印字耐久時にウレタンフォーム3が含むトナー量が減少し、トナー燃費を抑制することができる。
【0107】
さらに、本発明のローラにおいては、図示するように、軸1とウレタンフォーム3との間に、接着層2を設けることが好ましい。接着層2に用いる接着剤としては、融点120℃以上、特には130℃以上200℃以下のアジペート系ポリウレタン樹脂を主成分とする熱溶融型高分子接着剤を好適に用いることができる。
【0108】
かかる接着剤の性状としては、フィルムやペレット等、いかなる形態であってもよい。また、接着層2の厚みは、好適には20〜300μmであり、薄すぎると接着不良が発生し、厚すぎると好適なローラ抵抗が得られないため、いずれも好ましくない。なお、接着時における接着剤の溶融温度は、100℃以上、特には130℃以上200℃以下であって、接着剤の融点よりも低い温度とすることが好ましい。これにより、接着層2が半溶融状態となり、5V印加時のローラ抵抗を10〜10Ω、100V印加時のローラ抵抗を10〜10Ωと電圧依存性をコントロールすることがより容易になり、印字耐久初期の濃度を上げることが可能となる。
【0109】
本発明のトナー搬送ローラは、軸1の外周に、所望に応じ接着剤を介してウレタンフォーム3を担持させた後、軸1とウレタンフォーム3とを所定の温度で加熱接着することにより製造することができる。
【0110】
具体的にはまず、スラブ状等の任意の形状にてウレタンフォーム3を成形する。本発明においては、このウレタンフォーム3の成形に際し、低圧発泡機を用いて、プレポリマーとそれ以外の成分の混合物とをメカニカルヘッド部で攪拌ロータにて混合し、混合物を型温40〜80℃の金型に注入して加熱硬化させる方法を好適に用いることができる。この方法により成形できるウレタンフォーム3は、機械的なガス封入により得られるものと比べて低硬度、例えば、アスカーF硬度で30〜90°の発泡体となる。
【0111】
また、軸1の外周には、フィルム状接着剤を巻回するか、またはペレット状接着剤を溶融、塗布することにより、接着剤の膜を形成する。その後、ウレタンフォーム3に孔をあけて、この孔に接着剤付きの軸1を挿入する。その後、所定温度で加熱を行って、軸1とウレタンフォーム3とを接着層2を介して一体化させ、ウレタンフォーム3の表面を研磨して所望の円筒形状とし、さらに、ウレタンフォーム3の端部を裁断して所定形状とすることで、本発明のトナー搬送ローラを得ることができる。
【実施例】
【0112】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0113】
<材料>
以下に、実施例および比較例で用いた材料を示す。
ウレタンフォームA 株式会社ブリヂストン製(除膜処理なし)
密度 29kgf/m
通気量 196cm/cm/sec
硬度 10kgf
平均セル径 280μm
バインダーa エネックス社製「SEバインダー」ウレタン樹脂水分散体
固形分50%
シリコーン粉体 東レ・ダウコーニング(株)製
「トレフィルE−E−601」
消泡剤 自己乳化型シリコーン系消泡剤
【0114】
<実施例1>
上記バインダーa、シリコーン粉体(2.6g/L)、消泡剤を混合し、含浸液を調整した。この含浸液を満たした浴中に、ブロック状(16mm×1000mm×2000mm)の除膜処理を施していないウレタンフォームAを浸漬し、2本のロール間で圧縮した後、開放して含浸液にウレタンフォームAを含浸させた。これを浴上に導いて、ニップロールに通して余分な含浸液を絞り、除去した後110℃の熱風炉にて10分間加熱乾燥し、本発明のウレタンフォームを得た。このウレタンフォームの含浸液の付着量は乾燥質量で8g/Lであった。
【0115】
なお、上記含浸液の付着量は、ブロック状ウレタンフォームAを含浸液から取り出した後の圧縮の際の圧力によって調節するか、または含浸液中のシリコーン粉体およびバインダーaの濃度を変更することにより調節することができる。
【0116】
このようにして得られたシリコーン粉体とバインダーaを含浸させたブロック状の本発明のウレタンフォームにシャフト挿通用の穴を打ち抜き、接着剤を塗布したシャフト(直径:6.0mm、長さ:250mm)をその穴に挿通した後、ブロック状ウレタンフォームを研削して均一な厚さの発泡弾性体とし、本発明のトナー搬送ローラを作製した。
【0117】
<比較例1>
シリコーン粉体を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にしてトナー搬送ローラを作製した。
【0118】
<比較例2>
本発明のウレタンフォームをシリコーンゴムに代えた以外は、実施例1と同様の方法で、トナー搬送ローラを作製した。
【0119】
<評価>
上記実施例および比較例で得られたトナー搬送ローラの物性を以下の通り評価した。結果を表1に併記する。
【0120】
(1)密度
体積と質量を測定して、密度(g/cm)を求めた。
【0121】
(2)100%濃度画像の評価
市販のプリンタに上記実施例および比較例で得られたトナー搬送ローラをセットし、下記条件で印刷を行い、印字性能を評価した。
A4用紙に対して4%の印字パターンで20000枚の印刷を行う。20000枚の印刷を行う際に、1000枚おきに3枚連続黒100%パターン印刷を行う。合計20回の3枚連続黒100%パターン印刷を行い、各回下記3段階で評価を行い、20回の平均を算出する。
(評価基準)
3枚中1〜2枚目でカスレが生じた場合を×とする。
3枚中3枚目でカスレが生じた場合を△とする。
3枚ともカスレが生じなかった場合を○とする。
【0122】
(3)トナー搬送量(M/A)による評価
実施例および比較例で作製されたトナー搬送ローラのトナー搬送量(M/A)を、以下の方法で評価した(図2参照)。
ADVANTEC 86Rの円筒ろ紙を装着した吸引ポンプを用いて、現像ローラ12上にあって、トナー搬送ローラ13とブレード18の間に存在するトナーを約14.4cm分吸引し、ろ紙上に溜まったトナーを秤量して、単位面積あたりのトナー量(g/cm)を測定した。
【0123】
【表1】

【0124】
表1より、実施例1では、トナー帯電量(Q/M)を高く、十分なトナー搬送性を有し、低コストで良好な画像を得ることができた。これに対し、比較例1では、十分なトナー搬送性を得られず、良好な画像を得ることができなかった。また、比較例2では、実施例1と比較してトナー搬送性が若干劣り、シリコーンゴム製であるためコストも高かった。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の一実施の形態に係るトナー搬送ローラを示す幅方向断面図である。
【図2】画像形成装置の一例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0126】
1 軸
2 接着層
3 ウレタンフォーム
11 画像形成体
12 現像ローラ
13 トナー搬送ローラ
14 トナー収容部
15 転写ローラ
16 帯電部
17 露光部
18 ブレード
20 トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン粉体およびシリカ粉体から選ばれる一種以上の粉体を基材ウレタンフォームに含浸してなることを特徴とするウレタンフォーム。
【請求項2】
前記粉体が、バインダーを介して前記基材ウレタンフォームと結合している請求項1記載のウレタンフォーム。
【請求項3】
軸の外周に請求項1または2記載のウレタンフォームが担持されてなることを特徴とするトナー搬送ローラ。
【請求項4】
負帯電性トナー用である請求項3記載のトナー搬送ローラ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−298851(P2009−298851A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152250(P2008−152250)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】