説明

ウレタン基を含有するシリル化ポリマーを含む硬化性物質、ならびに封止剤、接着剤、結合剤および/または表面改変剤におけるその使用

【課題】表面改変および表面コーティングのため、封止剤、接着剤および結合剤の製造のため、およびポリウレタン系のための、革新的な硬化性物質の使用およびそれを作製するための方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ウレタン基を含有するシリル化ポリマーを含む硬化性物質、ならびに封止剤、接着剤、結合剤および/または表面改変剤におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面改変および表面コーティングのため、封止剤、接着剤および結合剤の製造のため、およびポリウレタン系のための、ウレタン基を含有し、シリルポリエーテルおよびイソシアネート基を担持する化合物から得ることができる反応生成物を含む革新的な硬化性物質の使用に関し、また、それを作製するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
当業者には、特定の分野の用途に合わせた多くの既知の種類の硬化性物質または反応性プレポリマーが知られている。すべての場合、例えばエポキシド、アミノ、ヒドロキシル、イソシアネート、アクリレート、ビニル、アリルまたはシリル基などの反応性、硬化性および/または架橋性の官能基を含む化合物が関係する。これらの様々な種類のプレポリマーの中で、シリル基および/またはイソシアネート基を担持する水分硬化性の系は、顕著な経済的重要性を有している。
【0003】
反応性の硬化性物質の最も重要な用途には、接着剤、封止剤、結合剤または表面の改質剤としてのそれらの使用がある。
【0004】
本発明の目的のための改変は、表面コーティングを含み、これは一般に、例えばペンキやインクおよび/または撥水剤の場合のような全面コーティングである。
【0005】
同様に、表面改変の影響を受けやすい基材も様々である。金属、コンクリート、プラスチック、木材またはガラスなどのかなり平らなキャリア材料の他に、固体粒子、繊維、および例えば薄層を塗布して表面改変した織布もある。
【0006】
したがって、例えば金属酸化物、混合酸化物、窒化物、水酸化物、炭化物、カーボネート、シリケート、顔料、カーボンブラック、元素または合金からなるものなどの無機粒子、巨視的な無機表面および無機繊維の表面を改変することは従来からの技術である。同様に、例えばシリコーン樹脂、有機的に改変したシリコーン、有機ポリマーまたはバイオポリマーからなるものなどの有機粒子、小粒子形態の天然材料、巨視的な有機表面および繊維の改変も当業者に周知である。
【0007】
その硬化性物質が、改変させる表面と共有結合、イオン結合もしくは配位結合または水素結合を結ぶことができる少なくとも1つの官能基を含む場合、特に有利である。これらの官能基は、例えば、カルボン酸基、OH基、SH基、エポキシド基、アミノ基、SiOH基、イソシアネート基または加水分解性アルコキシシランであってもよい。
【0008】
同時に、基材の表面上に、例えばヒドロキシル基、SH基、アミノ基またはカルボン酸基などの官能基が存在し、その結果、強い物理的相互作用がもたらされるか、または、硬化性物質の反応性官能基と基材表面上の官能基との間に化学反応が起こる場合、特に有利である。こうして、硬化性物質は、対象の基材に恒久的に固着される。
【0009】
硬化性物質のアンカー基の種類は、それぞれの場合で、基材表面の反応性官能基の特性および種類に正確に合わせなければならない。最も適した硬化性物質の選択のためのさらなる重要な選択基準は、対象基材のpH、水分含量または空隙率である。
【0010】
したがって、すべての種類の表面に広く使用できる1つの化学系よりはむしろ、反応基を担持しかつ表面改変用に用いられる非常に多くのタイプの化合物が存在する。従来技術によれば、例えば反応性モノマーおよびポリマーのイソシアネート−、エポキシド−、アクリレート−、シラン−、カルボキシレート−、アミン−、ヒドロキシル−およびメルカプト−官能性化合物が挙げられ、これらは、その基材に応じて異なる化学的/物理的仕方で基材上にそれぞれ固定される。
【0011】
封止剤、接着剤、結合剤および/またはコーティング構成要素としての重要な部分は、反応性の硬化性物質、より特定すれば水分架橋性イソシアネート官能基および/またはアルコキシシラン官能基を含むものによって果たされる。
【0012】
ヒドロキシル−またはアミノ−官能性化合物と反応させることによって、イソシアネート基を担持する化合物から調製されるポリマーおよびオリゴマーは広範な化学的多様性をもって知られている。反応の化学量論および出発化合物の特性に応じて、これは、ウレタンおよび/または尿素基を含有し、末端に反応性イソシアネート、ヒドロキシルまたはアミン基を担持し、かつ、合成において、後続の工程でさらに反応することができるか、あるいは、接着剤および封止剤用の架橋性基礎材料としてまたはコーティング材料としてしばしば用いることができるプレポリマーをもたらす。
【0013】
特に広範囲に及びかつ経済的に重要なものは、ポリエーテルポリオールとモル過剰の有機ジイソシアネートモノマーとの反応によって形成され、所望により、過剰ジイソシアネートモノマーが蒸留によって除去されるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーである。そうしたプレポリマーに基づくものは、例えば、英国特許第1,101,410号ならびに米国特許第5,703,193号、同第4,061,662号、同第4,182,825号、同第4,385,171号、同第4,888,442号および同第4,288,577号明細書である。
【0014】
プレポリマー構造にウレタン基を導入すると、溶媒、薬品および風化作用に対するポリウレタンの周知の高い耐性、およびその高い機械的柔軟性が、イソシアネートベースの封止剤および接着剤に持ち込まれる(transpose)。NCO基を担持するポリウレタンプレポリマーの他に、従来技術で知られている、遊離NCO基を全く含まないシラン末端ポリウレタンも存在する。イソシアネートプレポリマーを、例えばアミノ基を担持するアルコキシシランと反応させると、プレポリマーと実際の所望の硬化性末端アルコキシシリル基との間の結合として尿素基が得られる。
【0015】
アルコキシシラン官能性ポリウレタンは、米国特許第3,627,722号または同第3,632,557号に従って、例えば、ポリエーテルポリオールを過剰のポリイソシアネートと反応させてNCO含有プレポリマーを生成し、次いでこれをアミノ官能性アルコキシシランとさらに反応させることによって調製することができる。
【0016】
ドイツ特許出願公開第10 2005 041954 A1号は、アルコキシシリル基を含有し、アロハネートで改変されており、そのアロハネート構造が水分硬化性シラン官能性基を含むウレタンプレポリマーを記載している。
【0017】
ドイツ特許出願公開第10 2006 054 155号の教示によれば、コポリマー構造中にすでに含まれているトリアルコキシシリル単位に、追加の成分として遊離シランを加えることが提示されており、これらの遊離シランは、例えば水分捕捉剤(保存寿命を改善する)、架橋剤、反応性希釈剤または接着促進剤の機能を有する。
【0018】
Dow Chemicalは、米国特許第6,162,862号において、イソシアネート官能基に加えて、表面コーティング材料およびペンキ構成要素としてシリル官能基も含むことができる多官能性の液体ウレタン含有付加体を記載している。
【0019】
例えば接着ボンド、封止剤または表面コーティング材料の良好な基材付着という意味での欠点は、シリル基がα、ω位だけに末端配置される従来技術プレポリマーの官能化密度の低さである。既知のイソシアネートプレポリマーも鎖末端だけに架橋性NCO基を有する。
【0020】
シラン架橋性硬質フォームおよび軟質フォーム、特にイソシアネートフリーの噴霧可能なアセンブリーフォームを調製するためのアルコキシシラン官能性プレポリマーの使用は知られており、例えば欧州特許第1 098 920 B1号または同第1 363 960 E1号に記載されている。これらの噴霧フォームは一般に、加圧缶から供給され、通常、構造物中の空隙を満たして密封する働きをする。
【0021】
ドイツ特許出願公開第10 2006 054 155号は、シラン末端プレポリマーと発泡剤の発泡性混合物を用いる、表面を接着剤で結合させる方法を教示している。
【0022】
アルコキシシラン末端の水分硬化性の一成分型ポリウレタンは、建設業界や自動車業界においてフレキシブルコーティング剤、封止および結合用組成物としてますます使用されるようになってきている。
【0023】
シラン基を担持する化合物を含む表面改変剤または硬化性物質、封止剤および接着剤は、純粋な形態、有機溶媒中の溶液、配合物で、あるいは水性乳化物として塗布することができる。シリル化プレポリマーの乳化物は多くの明細書の対象である。ドイツ特許第2558653号明細書は、シリル基を担持する自己乳化性ポリウレタンを含む乳化物、および表面をコーティングするためのその使用を記載している。明細書日本国特許第1318066号は、コロイド状シリカをさらに含むシリル化ポリエーテルの水性乳化物を記載している。ドイツ特許第4215648号は、カチオン改変したアルコキシシラン末端ポリウレタンの溶液または乳化物をベースとした貯蔵安定性のあるコンタクト接着剤を開示している。
【0024】
次の式(1)の低粘性モノマーアルコキシシラン化合物が広範に使用されている。
SiV(4−X) (1)
(式中、Uは、水および場合により触媒の存在下で非加水分解性である、同一または異なる基を表し、Vは、水および場合により触媒の存在下で加水分解性である、同一または異なる基、あるいはヒドロキシル基を表し、xは1、2、3または4を表す)
そうした化合物には、例えば、トリメトキシシリルおよびトリエトキシシリル基を担持したものが含まれる。
【0025】
その反応性アルコキシシリル基が1つのメチレン単位だけでウレタン基と分離されている、いわゆるα−シラン末端ポリマーがWO2005/100482および欧州特許出願第A1−1 967 550号に記載されている。
【0026】
シラン基が、それにポリマー主鎖が結合しているウレタン基からプロピレン単位によって末端で分離されているシランポリマーも知られている。この関連では、欧州特許出願第A1−1 824 904号に記載されているようにポリアルキレンオキシド、特に2つの鎖末端のそれぞれにシラン官能基を有するポリプロピレングリコールが好ましい。
【0027】
同様に、ジイソシアネートと反応させ、続いてアミノ官能性アルコキシシランと反応させることによりポリオールから調製されるシラン末端ポリウレタンが知られており、これは、例えば米国特許第7,365,145号、同第3,627,722号または同第3,632,557号に記載されている。この場合の連結基は、ウレタン基と尿素基を担持する基である。
【0028】
米国特許第3,971,751号に記載されているような、末端アルコキシシリル基が、エーテル官能基を介してポリマー主鎖と直接結合しているウレタンフリーおよび尿素フリーのシリル末端ポリエーテルも当業者に周知である。これらは好ましくはポリエーテル主鎖を含むものであり、KanekaからMSポリマー(登録商標)という製品名で市販されている。例えば、WO2007/061847に記載されているアルコキシシリル基を担持するポリシロキサンもある。
【0029】
さらに、未公開のドイツ特許出願第10 2008 000360.3号明細書によれば、アルコキシシリル基を担持しており、二重金属シアニド(DMC)触媒を用いてエポキシ官能性アルコキシシランをアルコキシ化することによって調製されるヒドロキシル化合物も知られている。場合により発泡性のある接着剤および封止剤として、またコーティング材料としてのその使用は、未公開ドイツ特許出願第10 2008 043218.0号明細書に記載されている。未公開ドイツ特許出願第10 2009 022628.1号明細書は、シリル基を担持するヒドロキシル化合物を用いてシートや粒子表面を改変する方法を開示している。未公開ドイツ特許出願第10 2009 022627.3号明細書は、特に耐熱材料を作製するためのセラミック結合剤として、エポキシ官能性アルコキシシランから得られるポリエーテルの使用を記載している。また、未公開ドイツ特許出願第10 2009 022630.3号明細書に開示されているように、水性乳化物の調製、ならびに、例えばペンキ、接着剤、化粧品、コーティング剤、建築用の保存剤および封止剤のための原材料としてのその応用も知られている。未公開ドイツ特許出願第10 2009 022631.1号明細書に示されているように、ドイツ特許出願第10 2008 000360.3号に従って調製されるシリルポリエーテルの硬化性組成物も知られており、接着剤および封止剤の調製のため、表面コーティングおよび表面改変のための基礎材料として、反応性架橋剤、接着促進剤、展着剤(spreader)、例えば下塗剤としての用途も知られている。
【0030】
高分子量の構造物を考慮すると、ポリマーのシリル改変は、所望の良好な基材接着を確実に得るのには不十分である。したがって、ドイツ特許出願公開第10 2006 054 155号の教示は、最初に論じられている所望の効果(接着、乾燥、架橋の促進等)を得るために、遊離シランをPUマトリックスに加える選択に言及している。これは、好ましい効果を必要とするポリマー中のこれらの位置での目的とするシランアンカー基の導入を確実にするものでは全くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
したがって、技術的に簡単で信頼性があり、特に再現性のある方法が必要とされている。公知の方法は、既知のα,ω−官能化の原理から離れて、2つを超える硬化性部分(すなわち、分子当たりのイソシアナト官能基とシリル官能基の合計)の分子を有するプレポリマー構造へのアクセス、さらに、合成化学者の要望に応じて、硬化性部分の比(イソシアナト/アルコキシシリル官能基)を、互いに、広い範囲内で目的とする性能要件に合わせる選択のための機会を提供する自由度に欠けている。
【0032】
さらに、米国特許第7,365,145号において強調されているように、その化学的構成の結果として有する高粘性のため、従来のシリル末端ポリウレタンは、その適用可能性が限られていることは当業者に知られている欠点である。これは、封止剤および接着剤の系の分野で、30〜50重量%の従来量の炭酸カルシウムまたはケイ酸カルシウムなどの無機充填剤が添加される場合に、特にあることである。したがって、従来技術によれば、希釈剤がこの種のポリマーに添加される。これらは、粘度を低下させるだけではなく同時に架橋密度も高くする、モノマー性アルコキシシランなどの反応性希釈剤であっても、また、可塑化特性をさらに有することができる非反応性希釈剤または溶媒であってもよい。このタイプのシリル末端ポリウレタンの1つの代表的なものは、例えば約40000mPas(23℃)の粘度を有するBayer Material ScienceからのDesmoseal(登録商標)S XP2636である。
【0033】
標的化されたアロハネート化を用いて、従来技術は、強い分子間水素結合、ならびにウレタンと、存在する場合、尿素単位の間の双極子相互作用によってもたらされる高粘度に対抗しようと試みているが、低い架橋密度によって代表される欠点を排除することができていない。
【0034】
WO2007/025667は、アルコキシシラン基を含み、かつ著しく低い粘度を有するとされる改変型ポリウレタンプレポリマーを記載している。しかし欠点は、架橋性シリル基の密度が比較的低いということである。
【0035】
本明細書で示した従来技術の状態を確認すると、解決すべき技術的問題点は、比較的低い粘度によって、上述したアルコキシシラン改変ポリウレタンプレポリマーの欠点を回避する、ウレタン基を含有するシリル化プレポリマーを含む革新的な封止剤および接着剤、結合剤および改変剤(modifier)を提供することと規定される。
【0036】
この問題は、アルコキシシリル化合物とイソシアネートの反応生成物を含む革新的な硬化性物質によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0037】
したがって、本発明は、
a)1つまたは複数のイソシアネート基を含む少なくとも1つの化合物を、
b)1つまたは複数のアルコキシシリル基を担持し、追加的に少なくとも1つのヒドロキシル基を担持する少なくとも1つの化合物と、
c)場合により1つまたは複数の触媒の存在下、
d)場合により、反応生成物に対して反応性のさらなる成分、より特定すれば例えばアルコール、アミン、チオール、有機フッ素ヒドロキシ化合物、アルコキシシランおよび/または水などのプロトン性水素を有する官能基を保有する成分の存在下、
e)場合により、例えば溶媒、プロセス補助剤および/または懸濁物などの反応生成物および反応物に対して反応性のないさらなる化合物の存在下で、
反応して得ることができるウレタン基含有(プレ)ポリマーおよび/または反応生成物を含む革新的な硬化性物質を提供し、また、
これらの硬化性物質を含む調製物も提供する。
【0038】
したがって、本発明は、イソシアネート基を含有する1つまたは複数の化合物を、アルコキシシリル基およびヒドロキシル基を担持する1つまたは複数の化合物と反応させることによって得ることができるウレタン基含有ポリマー調製物を含む硬化性物質を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】式(2)のシリルポリエーテル1を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
好ましい実施形態では、成分(a)を含有するイソシアネート基は、アルコキシシリルおよび/またはアルキルシリル基を担持しない。
【0041】
好ましい硬化性物質は、反応生成物の個別分子を基にして、ウレタン基またはその反応誘導体、例えば、アロハネートおよび/またはビウレット基、あるいは尿素基当たり平均して1個を超えるアルコキシシリル基が存在することを特徴とするアルコキシシリル改変ウレタン基含有反応生成物を含む。
【0042】
成分b)としては、1以上の指数dを有する式1のシリルポリエーテルを使用することが好ましい。
【0043】
本発明は、硬化性封止剤および接着剤、結合剤および改変剤の構成要素としてのウレタン基含有硬化性物質の使用、ならびにそうして調製した封止剤および接着剤、結合剤および改変剤自体を提供するが、そのアルコキシシリル基は、場合により、1つかまたは複数、末端かまたはポリマー鎖内に存在することが可能であり、また、場合により、追加のイソシアネート基が末端に存在していてもよい。
【0044】
反応性、架橋密度、接着性、機械的特性、例えば粘度などのその適用性のため、得られる革新的な封止剤および接着剤、結合剤および改変剤は、ポリマー構造を介した、改変される特定の基材、または結合もしくは封止される表面との柔軟な結合を可能にする。
【0045】
これらの革新的な封止剤および接着剤、結合剤および改変剤の具体的な特徴は、それらが、場合により、それらが含むイソシアネート基および/またはヒドロキシル基によってだけではなく、その中に組み込まれているアルコキシシリル基によってもさらに改変することができることである。
【0046】
本発明のさらなる態様は、これらの新規な封止剤および接着剤、結合剤および改変剤を調製するための技術的に簡単で経済的な方法を提供することを含む。本発明は、イソシアネート基を含有する1つまたは複数の化合物を、アルコキシシリルおよびヒドロキシル基、特にシリルポリエーテル1(式2)を担持する1つまたは複数の化合物と反応させることによって得られるウレタン基含有の革新的な封止剤および接着剤、結合剤および改変剤を提供する。
【0047】
本発明のためのシリル基は、少なくとも1つのアルコキシ官能基の他に、ケイ素原子上に1つもしくは2つのアルキル官能基または1つもしくは2つのさらなるアルコキシ官能基を有し、これらの基の中に存在する有機もしくはオキシ有機基が同様なものでも異なっていてもよいことを特徴とする。
【0048】
シリルポリエーテル1の調製、および使用できるエポキシド構造の種類は、本明細書の優先日で未公開であるドイツ特許出願第10 2008 000360.3号に包括的に記載されており、したがって、例えば二重金属シアニド触媒を用いて、エポキシ官能性アルコキシシランをアルコキシ化することによって調製することができる。ドイツ特許出願第10 2008 000360.3号の説明および特許請求の範囲の内容を全体として参照により本明細書に組み込む。上記明細書は本開示の一部であるものとする。
【0049】
したがって、本発明は、成分(b)として式2の1つまたは複数のシリルポリエーテル1を含む硬化性物質をさらに提供する:
【0050】
【化1】

(式中、
aは1〜3の整数、好ましくは3であり、
bは0〜2、好ましくは0〜1の整数、より好ましくは0であり、aとbの合計は3であり、
cは0〜22、好ましくは0〜12、より好ましくは0〜8、非常に好ましくは0〜4より特定すれば1または3の整数であり、
dは1〜500、好ましくは1〜100、より好ましくは2〜20、特に好ましくは2〜10の整数であり、
eは0〜10000、好ましくは1〜2000、より好ましくは2〜2000、より特定すれば2〜500の整数であり、
fは0〜1000、好ましくは0〜100、より好ましくは0〜50、より特定すれば0〜30の整数であり、
gは0〜1000、好ましくは0〜200、より好ましくは0〜100、より特定すれば0〜70の整数であり、
h、iおよびjは互いに独立に、0〜500、好ましくは0〜300、より好ましくは0〜200、より特定すれば0〜100の整数であり、
nは2〜8の整数であり、
但し、指数d〜jを有するフラグメントは互いに自由に順序を変えることができる、すなわち、ポリエーテル鎖内の配列中で互いに交換可能であり、
Rは、1〜20個、より特定すれば1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐状飽和の単一もしくは多数不飽和アルキル基、または1〜20個の炭素原子を有するハロアルキル基から選択される同じかまたは異なる1つまたは複数の基である。好ましくは、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチルおよびsec−ブチル基に対応し、また、
は、ヒドロキシル基あるいは1〜1500個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の直鎖状、分岐状もしくは環状またはさらに置換されたオキシ有機基(その鎖はO、S、Siおよび/またはNなどのヘテロ原子が割り込んでもよい)、あるいは、オキシ芳香族系、好ましくはアルコキシ、アリールアルコキシもしくはアルキルアリールアルコキシ基を含む基、より特定すればポリエーテル基(その炭素鎖は酸素原子が割り込んでもよい)、あるいは、1つもしくは複数の縮合オキシ芳香基または任意により分岐状のシリコーン含有有機基であり、
またはR、さらにRまたはRは、同様にかまたは互いに独立に、H、および/または飽和または単一もしくは場合により多数不飽和の、さらに置換されたものを含む、場合により一価もしくは多価の炭化水素基であり、その基RまたはRは一価炭化水素基である。炭化水素基はフラグメントYを介して脂環的に架橋されていてもよく;Yは存在しないか、また1つまたは2つのメチレン単位を有するメチレン架橋であってもよく;Yが存在しない場合、RまたはRは互いに独立に、1〜20個、好ましくは1〜10個の炭素原子直鎖状または分岐状基であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピルもしくはブチル、ビニル、アリル基またはフェニル基である。好ましくは、2つの基RまたはRのうちの少なくとも1つは水素である。R−Rは−CHCHCHCH基であってもよく、したがってYは−(CHCH−)基である。炭化水素基RおよびRはさらに置換されていてもよく、ハロゲン、ヒドロキシル基またはグリシジルオキシプロピル基などの官能基を担持することができる。
はその出現ごとに独立に、1〜24個の炭素原子の直鎖状または分岐状アルキル基、または場合により同様にアルキル基を担持していてもよい芳香族もしくは脂環式基であり、
およびRは互いに独立に、水素であるかまたはアルキル、アルコキシ、アリールもしくはアラルキル基であり、
、R10、R11およびR12は互いに独立に、水素であるかまたはアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールもしくはアラルキル基である。炭化水素基はフラグメントZを介して脂環的または芳香族的に架橋されていてもよく、Zは二価アルキレン基またはアルケニレン基を表すことも可能であり、但し、指数d、e、fおよび/またはhを有するフラグメントは互いに自由に順序を変えることができる、すなわち、ポリエーテル鎖内で互いに交換可能であり、統計的分布かまたはブロック様配列で選択的に存在することができ、したがって、ポリマー鎖内の配列中で互いに交換可能である。
【0051】
好ましいシリルポリエーテル1は、Rが1つのモノマーまたはオリゴマーだけを含む場合、フラグメントd〜jの合計が3以上のものである。
【0052】
その組成を具体的に記述する名称が存在しないもとでは、式(2)の化合物を、その構造が慣用的な意味でポリマー性エーテルの特徴をもたない場合でも、以後、シリルポリエーテル1と称する。しかし、当業者には、シリルポリエーテル1のそれとのポリエーテル構造要素の構造的一致は明瞭であり、明らかである。
【0053】
本発明の関連では、「ポリエーテル」という用語は、ポリエーテル、ポリエーテルオール(polyetherol)、ポリエーテルアルコールおよびポリエーテルエステルだけではなく、適切な場合、互いに同意語として用いられるポリエーテルカーボネートも包含する。そうした場合、「ポリ」という表現は、分子またはポリマー中に複数のエーテル官能基またはアルコール官能基が存在することを必ずしも意味するものではない。むしろ、この表現は、少なくとも、個別モノマー構成ブロックの繰り返し単位が存在することを単に指すか、あるいは、比較的大きいモル質量、さらには特定の多分散性を有する組成物を指す。
【0054】
本発明の関連で、単語のフラグメント「ポリ」は、分子中に1つまたは複数のモノマーの少なくとも3つの繰り返し単位を有する化合物のみではなく、具体的に、分子量分布を有し、かつ少なくとも200g/モルの平均分子量を有する化合物の組成物も包含する。この定義は、当技術分野においては、OECDまたはREACHの指針の線に沿ったポリマーの定義を満足するものではないように見える場合でも、この種の化合物を慣用的にポリマーと称する事情を考慮に入れたものである。
【0055】
は、式(3)で示す通り、アルコキシ化反応のためのスターター、すなわち出発化合物からくるフラグメントであり、
−H(3)
(このHはアルコールまたはフェノール化合物のOH基に属する)、式(3)の出発化合物は単独で使用しても、少なくとも1つの反応性ヒドロキシル基を有するものを互いに混合して使用してもよい;したがって出発化合物は水であってもよい。
【0056】
使用するOH官能性出発化合物R−H(3)は、18(水)〜10 000 g/モル、より特定すれば50〜2000g/モルのモル質量を有し、1〜8個、好ましくは1〜4個のヒドロキシル基を有する化合物であることが好ましい。
【0057】
使用する式(3)の好ましい出発化合物は、Rが、ヒドロキシル基あるいは1〜1500個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の直鎖状、分岐状もしくは環状またはさらに置換されたオキシ有機基(所望により、その鎖はO、S、SiまたはNなどのヘテロ原子が割り込んでもよい)、あるいは、オキシ芳香族系を含む基であり、好ましくはRがアルコキシ、アリールアルコキシまたはアルキルアリールアルコキシ基、より特定すればポリエーテル基(その炭素鎖は酸素原子が割り込んでもよい)、あるいは単一もしくは多数縮合のオキシ芳香基または場合により分岐したシリコーン含有有機基である。
【0058】
さらに、R−Hはオキシアルキル官能性シロキサンまたはオキシ官能性ポリエーテルシロキサンを表すことができる。出発化合物として使用できる、アルコキシ、アリールアルコキシまたはアルキルアリールアルコキシ基を含有するポリエーテル基の鎖長は任意である。ポリエーテル、アルコキシ、アリールアルコキシまたはアルキルアリールアルコキシ基は、好ましくは1〜1500個の炭素原子、より好ましくは2〜300個の炭素原子、より特定すれば2〜100個の炭素原子を含む。
【0059】
式(3)の化合物は、好ましくはアルコール、ポリエーテルオールまたはフェノールの群から選択される。出発化合物としては、一価もしくは多価ポリエーテルアルコールまたはアルコールR−H(このHはアルコールまたはフェノールのOH基に属する)あるいは水を用いることが好ましい。
【0060】
出発化合物(3)としては、DMC触媒によるアルコキシ化によって予め調製される、1〜8個のヒドロキシル基および50〜2000g/モルのモル質量を有する低分子量ポリエーテルオールを用いることが有利である。式(3)の化合物の例には、水、アリルアルコール、ブタノール、オクタノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ−、トリ−およびポリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジ−およびポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチルオールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、セルロースシュガー、リグニン、または天然物をベースとした他のヒドロキシル担持化合物が含まれる。
【0061】
脂肪族および脂環式OH基を有する化合物の他に、1〜20個のフェノールOH官能基を有する任意の化合物も適している。これらには、例えばフェノール、アルキルフェノールおよびアリールフェノール、ビスフェノールAおよびノボラックが含まれる。
【0062】
このようにして調製される化合物は、アルコキシシリル官能基を、末端か、孤立するか、ブロック様の集積か、あるいはポリオキシアルキレン鎖中に統計的に分散した形で含むアルコキシシリル基を含有する、ポリオキシアルキレン化合物から選択するという、合成における自由度を提供する。
【0063】
式(2)のシリルポリエーテル1の特徴は、目的とし、かつ再現性よく調製することができる構造およびモル質量に関するものである。モノマー単位の配列は広い範囲で変えることができる。エポキシドモノマーは、所望により、ブロック様の配列かまたはランダムにポリマー鎖の中に組み込むことができる。反応成分の開環を伴う反応の結果として生成するポリマー鎖中に挿入されるフラグメントは、環状無水物および二酸化炭素がポリエーテル構造中にランダムに挿入されている、言い換えれば、同種のブロックではないという限定のもとで、その配列に関しては互いに自由に順序を変えることができる。
【0064】
式(2)のシリルポリエーテルは、アルコキシシリル基置換された鎖を含み、その鎖は、反応成分の開環を伴う反応の結果として生成するポリマー鎖中に挿入されるフラグメントに対応するフラグメントd〜jの選択の結果として、特に高度に官能化されており、したがって、種々の分野の用途に合わせるようにすることができる。
【0065】
したがって、本明細書で示す式における指数、および指定した指数の値の範囲は、実際に存在する構造および/または混合物の可能な統計的分布の平均値と理解されるべきである。同じことは、それ自体、例えば式(2)および/または(3)に正確に再現される構造式にも適用される。
【0066】
使用するエポキシド官能性アルコキシシランおよびさらなる任意のモノマーに応じて、またおそらく二酸化炭素にも応じて、エステルで改変されるかまたはカーボネートで改変されたシリルポリエーテルを得ることが可能である。式(2)の化合物中のアルコキシシリル単位は、好ましくはトリアルコキシシリル単位である。
【0067】
29Si−NMRおよびGPCによる試験で示されるように、鎖末端位置でのOH基の、プロセスに関連した存在は、DMC触媒による調製の際だけではなく、例えば下流の操作段階においても、ケイ素原子でのエステル交換反応の可能性を提供する。そうした反応では、基本的には(formally)、酸素原子を介してケイ素と結合したアルキル基Rは、長鎖の改変アルコキシシリルポリマー基で置き換えられる。二峰性および多峰性のGPC曲線は、アルコキシ化生成物が、式(2)に示すようなエステル交換されていない種だけではなく、2倍、場合によっては3倍、さらには4倍ものモル質量を有するものを含むことを実証している。したがって、式(2)は、複雑な化学的実態を非常に簡略化した形で示している。
【0068】
したがって、ORのいくつかは、シリルポリエーテル基で置き換えることができるので、シリルポリエーテル1は、式(2)の指数(a)+(b)の合計が平均して3未満である化合物も含む組成物を表す。したがって、その組成物は、R−OHを排除し、式(2)のさらなる分子の反応性OH基と縮合反応し、ケイ素原子上に形成される種を含む。この反応は、ケイ素上のすべてのRO基が式(2)のさらなる分子で置き換えられるまで何回も行われる。これらの化合物の典型的な29Si−NMRスペクトルでの1つより多いシグナルの存在が、異なる置換パターンでのシリル基の出現を明確に示している。
【0069】
したがって、指数(a)〜(j)について指定される好ましい値および範囲は、異なる個々に不確定な種にわたる平均値に過ぎないことも理解すべきである。化学構造およびモル質量の多様性は、シリルポリエーテル1において典型的であり、従来のDMCをベースとしたポリエーテルについて、通常≧1.5であるモル質量分布M/Mに対して、全く異常である広いモル質量分布に反映されている。
【0070】
従来技術の方法の場合、シリル基末端プレポリマーだけを形成させることができる。反応性成分として用いられるシリルポリエーテル1は、よく考えられた鎖構築、およびブロック様と孤立した仕様の両方での官能基の可変的挿入の結果として、一方で、鎖全体にわたってブロック中に分散または分配されたシリル官能基を有し、他方で、(必ずというわけではないが)末端にもシリル官能基を担持できる構造が形成されるという点で、従来の方法で改変されたオリゴマーまたはポリマーと異なる。
【0071】
未公開ドイツ特許出願第10 2008 000360.3号明細書に示されているエポキシ官能性アルコキシシランをアルコキシ化するための方法と密接に関連していることは、それぞれの場合、成長する鎖のOH官能基末端と結合しながら、最後のエポキシドモノマーのエポキシド開環に由来するOH官能基が、末端に常に存在するという特徴である。イソシアネート基を含有する化合物を用い、ウレタン結合を生成させて、そのさらなる官能化への道を開くのは、ここで反応性成分として用いられるシリルポリエーテルのこの同じ末端OH官能性である。
【0072】
適切なイソシアネート基含有化合物には、既知のすべてのイソシアネートが含まれる。本発明による教示という意味で好ましいのは、例えば、800g/モル未満の数平均モル質量を有する芳香族、脂肪族および脂環式ポリイソシアネートである。したがって、適切な例には、2,4−/2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、メチルジフェニルジイソシアネート(MDI)、トリイソシアナトノナン(TIN)、ナフチルジイソシアネート(NDI)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、3−イソ−シアナトメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソ−ホロンジイソシアネート=IPDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサ−メチレンジイソシアネート(THDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)プロパン、3−イソシアナトメチル−1−メチル−1−イソシアナトシクロヘキサン(MCI)、1,3−ジイソオクチル−シアナト−4−メチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアネート−2−メチル−シクロヘキサンおよびα,α,α’,α’−テトラメチル−m−または−p−キシリレンジイソシアネート(TMXDI)からなる一連のジイソシアネートおよびこれらの化合物の混合物が含まれる。
【0073】
ウレタン基を含有する化合物の調製のための好ましい出発原材料は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)および/または4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンである。
【0074】
イソシアネート含有出発成分として同様に適しているものは、上記イソシアネートと、それ自体または互いとの反応で生成するウレトジオンまたはイソシアヌレートである。その例には、Desmodur(登録商標)N3300、Desmodur(登録商標)N3400またはDesmodur(登録商標)N3600(すべてBayer MaterialScience、Leverkusen、DE)が含まれる。
【0075】
さらに、やはり適切なものは、アロハネートまたはビウレットなどのイソシアネートの誘導体である。その例には、Desmodur(登録商標)N100、Desmodur N75MPA/BAまたはDesmodur(登録商標)VPLS2102(すべてBayer MaterialScience、Leverkusen、DE)が含まれる。この種のポリイソシアネートを、分子中に2つ以上の反応性OH基を有するシリルポリエーテルと反応させると、シリルポリエーテルフラグメントとイソシアネートフラグメントがウレタン基を介して互いに交互に結合している直鎖状または分岐状コポリマーが形成される。シリルポリエーテル成分に対してイソシアネート成分が過剰モル使用される場合、その生成物は、末端にNCO基を担持し、追加のアルコキシシリル官能基を有する反応性プレポリマーである。ウレタン基とイソシアネートの反応の過程で、さらに、アロハネート構造を組み立て、プレポリマーの主鎖中に追加の分鎖を構築することが可能である。
【0076】
他の場合で、シリルポリエーテル1を過剰に用いると、アルコキシシリル基を担持し末端OH基を有するウレタン化ポリオールが形成される。
【0077】
シリルポリエーテル1は、単官能性イソシアネートで改変させることもできる。最も簡単な場合では、アルキル、アリールおよび/またはアリールアルキルイソシアネートを、シリルポリエーテルのOH基と反応させ、それぞれの付加体を形成させ、同時に、用いたシリルポリエーテルの反応性鎖末端を末端キャッピングする。この目的に適しているものは、例えば、メチル、エチル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシルおよびステアリルイソシアネートである。
【0078】
特に適切な単官能性イソシアネートは、分子中に架橋性アルコキシシリル基を担持するものである。それらには、好ましくは、イソシアナトアルキルトリアルコキシシランおよびイソシアナトアルキルアルキルジアルコキシシランが含まれる。
【0079】
使用できるアルコキシシラン官能性モノイソシアネートには、イソシアナトトリメトキシシラン、イソシアナトメチルトリエトキシシラン、(イソシアナトメチル)メチルジメトキシシラン、(イソシアナトメチル)メチルジエトキシシラン、3−イソシアナト−プロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランおよび3−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシランが含まれる。ここでは、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシランおよび−トリエトキシシランを使用することが好ましい。
【0080】
この化学的経路によって、それぞれの場合、1つの追加アルコキシシリル基を末端に付与された改変シリルポリエーテルを得ることができる。アルコキシシラン官能性モノイソシアネートの反応は、これまで、それ自体はアルコキシシリル基を含まないポリエーテルなどの従来のOH官能性ポリマーについてだけで知られている。この種のプロセスおよび生成物は、例えば以下の出版物に記載されている。
【0081】
“Prepolymers:Products and Applications”という表題を有するBayer MaterialScienceのカタログ(http://www.bayercoatings.de/BMS/DB-RSC/BMS_RSC_CAS.nsf/-files/Broschueren/$file/MS00030480-E_ECS_prepolymer_04_08.pdf、18頁)にあるDesmoseal(登録商標)という製品について開示されているような類似の分子量を有する従来技術の化合物と直接比較して、本発明の硬化性物質中に存在するウレタン基を含む硬化性プレポリマーがかなり低い粘度を有するということは、当業者にとって全く驚くべきことである。そこでは35000mPasの粘度が報告されている。
【0082】
本発明の接着剤および封止剤、結合剤および改変剤は、硬化性プレポリマーの特定の特性を生み出すかまたはそれを強化するために、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、グリセロール、トリメチルオールプロパン、2−エチルヘキシルアルコールなどの単官能性もしくは多官能性アルコール、または2,2,2−トリフルオロエタノールなどのフッ素化アルコール、またはヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレートもしくはヒドロキシブチルアクリレートなどのアクリレート化アルコール、またはポリエーテルジオールもしくはポリエステルジオール、またはポリテトラヒドロフランとの反応によって、また、OH官能性ポリエーテル基を有するシリコーンポリエーテルコポリマー、ポリエーテルおよびポリシロキサンなどのアミノ官能性ポリマー、または3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、一般にアミン、アルコキシシラン、有機酸塩化物、有機フッ素化合物等との反応によっても、NCOおよび/またはアルコキシシリル官能基での反応に従って化学的に改変することができる。この仕方で、所望により、さらなる官能基を分子中に導入することができる。
【0083】
この方法で、生成物のモル質量および/または粘度に目的をもって影響を及ぼすことも可能である。したがって、500g/モルから100000g/モルを超える広い範囲の平均モル質量を実現することが可能である。
【0084】
本発明のウレタン基含有接着剤、封止剤、結合剤および改変剤は、1つまたは複数のイソシアネートを1つまたは複数のシリルポリエーテル1と反応させて調製する。調製工程において、シリルポリエーテル1のOH官能基の一部またはそのすべてをイソシアネート基と反応させて(出発原材料および化学量論によって)、任意によりOH官能性もしくはNCO官能性、または末端キャッピングされたウレタン化硬化性プレポリマーを生成する。二元硬化系(dual-cure system)もこの方法で得ることができ、これは2つの種類の反応基上で同時かまたは逐次的に架橋反応させることによって硬化させることができる。
【0085】
例えばアロハネートの生成の場合のように、NCO官能基のいくつかは副反応で反応することも考慮に入れることが必要である。
【0086】
ウレタン化およびシリル化されたポリマーを含む本発明の硬化性物質は、反応基を担持するさらなる成分を含むことができる。そうした成分には、少なくとも1つのイソシアネート、ヒドロキシル、アミノ、エポキシおよび不飽和C=C基、例えばアクリレート、メタクリレート、ビニル化合物およびアリル化合物を有するすべての化合物が含まれる。
【0087】
加水分解感受性が高く、容易に架橋するアルコキシシリルおよび場合によりイソシアネート基をベースとして、本発明の接着剤、封止剤、結合剤および改変剤は、硬化性ポリマーを構成する。固体最終製品へのその架橋は、水の存在下で、場合により反応促進剤として酸または塩基を加えた簡単な仕方で実施され、そのポットライフは、硬化手順の際の温度を高めることによって制御することができる。生成物における性能特性を特定の最終用途に合わせるために、これらの架橋性ウレタンポリマーのポリマー構成を、多くの仕方で変えることができる。
【0088】
したがって、ポリマー鎖中のアルコキシシラン単位の割合を変えることによって架橋密度に影響を及ぼし、その結果、広い限度内で、硬化したポリマーの特性の機械的および物理化学的プロファイルに影響を及ぼすことが可能である。ここで、驚くべきことに、相当な密度のアルコキシシリル官能基を備えた生成物でも一般に取扱いが容易な液体であり、したがって、高度に架橋されている場合でも、十分に接着性のある接着結合が狙え、これらの成分の用途に制約は全くない。この観察によって、低い加工粘度との関連で必要な架橋密度を確実に達成するため、遊離シランモノマーを製剤構成成分として最終製剤に導入することをもとにしたドイツ特許出願公開第10 2006 054 155号に示されている手順と、本発明の教示との違いが分かる。その構造多様性に関して実質的に限界がないことを前提として、アルコキシシリル基を含有する硬化性ウレタン化ポリマーは、シリルポリエーテル1中に、例えばエステル、カーボネートおよび芳香族構造要素を取り込むことによって、またイソシアネート成分を変化させることによって、ポリマー化学技術者に、実質的にどんな性能ニーズにも対処する設計の自由度への道を開くものである。
【0089】
当業者が承知しているように、アルコキシシリル基の架橋すなわち硬化は2段階の化学的過程で起こる。第1の工程では、水の存在下(大気水分でも十分である)、ケイ素と結合したアルコキシ基は対応するアルコールの形態で排除されSiOH基が形成される。後者は、続いて自己縮合する場合、互いに縮合してSi−0−Si架橋を生成し、ポリマー材料を形成する。あるいは、SiOH官能性中間体は、反応基を含む基材と反応し(それらはOH官能性ケイ酸質(silicatic)表面と特によく反応する)、対象基材への優れた化学的アンカー形成をもたらす。触媒を添加するかまたは温度を変えることによって、多様な仕方で硬化速度に影響を及ぼすことができる。
【0090】
シランプレポリマーがNCO基を追加的に含む場合、例えば、水、アルコール、ジオール、ポリオール、ポリエーテルオール、芳香族ヒドロキシル化合物および/またはアミン、ジアミン、ポリアミンなどのOH官能性化合物の存在下で、その硬化をさせることができる。
【0091】
さらなる反応性成分として、一方では、硬化に関与して尿素基を形成し、他方では、アルコキシシリル基の架橋に関連して触媒的作用を有することができる、アミンを使用することが可能である。
【0092】
ウレタン基を担持するアルコキシシリルプレポリマーを架橋および/または硬化させ、また、粒子表面および巨視的な表面上に化学的に固定させるための触媒として、それ自体当業者に知られている既知のポリウレタン化、アロハネート化またはビウレット化触媒、および/または文献で知られており、アルコキシシランの加水分解や縮合に通常用いられる触媒を使用することができる。それらには、例えば、亜鉛塩、オクチル酸亜鉛、アセチルアセトン酸亜鉛およびエチカプリル酸亜鉛(II)、またはテトラアルキルアンモニウム化合物、例えばN,N,N−トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムヒドロキシド、N,N,N−トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートまたはコリン2−エチルヘキサノエートなどの化合物が含まれる。オクチル酸亜鉛(エチルヘキサン酸亜鉛(II))およびテトラアルキルアンモニウム化合物を用いることが好ましく、オクチル酸亜鉛を用いることがより好ましい。例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジブチルスズジアセテートまたはジブチルスズジオクトエートなどの通常使用される有機スズ化合物を触媒として使用することがさらに可能である。さらに、ビスマス触媒、例としてはBor−chi触媒、チタン化合物、例えばチタン(IV)イソプロピレートまたはチタニルアセチルアセトネート、鉄(III)化合物、例えば鉄(III)アセチルアセトネート、アルミニウム化合物、例えばアルミニウムトリイソプロピレート、アルミニウムトリ−sec−ブチレートおよび他のアルコレート、またアルミニウムアセチルアセトネート、カルシウム化合物、例えばカルシウム二ナトリウムエチレンジアミンテトラアセテートまたはカルシウムジアセチルアセトネート、あるいはアミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、N,N−ビス−(N,N−ジメチル−2−アミノエチル)メチルアミン、N,N−ジメチルシクロ−ヘキシルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、N−エチルモルホリン等を用いることも可能である。酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸または塩化ベンゾイル、塩酸、リン酸などの有機または無機ブレンステッド酸も、また、ブチルホスフェート、(イソ)プロピルホスフェート、ジブチルホスフェートなどのそのモノエステルおよび/またはジエステルも適切な触媒である。2つ以上の触媒の組合せを使用することももちろん可能である。
【0093】
本発明の改変剤および組成物は、触媒として、WO2005/100482に記載されているような光潜在性塩基(photolatent base)と称されるものも含むことができる。光潜在性塩基は、好ましくは1個または複数の塩基性窒素原子を有する有機塩基であり、それは、最初はブロック化された形態で存在し、紫外線、可視光線またはIR放射線で照射されて初めて、分子が分裂することによってその塩基性形態を解放する。
【0094】
触媒または光潜在性塩基は、改変剤に対して0.001%〜10.0重量%、好ましくは0.01%〜1.0重量%、より好ましくは0.05%〜0.5重量%の量で使用する。触媒または光潜在性塩基は、一括して加えても、複数に分割して加えても、また連続的に加えてもよい。全量を一括して加えることが好ましい。
【0095】
さらに、本発明の接着剤および封止剤、結合剤および改変剤は他の反応性シラン、好ましくはアルコキシシランを含むことができる。
【0096】
これらのアルコキシシランは、式(4)のようなモノマー系シランであっても、またポリマー結合シランであってもよい。
SiV(4−X) (4)
(式中、Uは、最大100℃までの温度で、水および触媒量のブレンステッド酸の存在下で非加水分解性である、同一であっても異なっていてもよい基を表し、
Vは、最大100℃までの温度で、水および触媒量のブレンステッド酸の存在下で加水分解性である、同一であっても異なっていてもよい基を表すか、またはヒドロキシル基を表し、xは1、2、3または4である)
【0097】
本発明の関連では、加水分解性であるということは、選択した条件下で、その基の少なくとも80%を加水分解する、したがって、除去することができることを意味する。
【0098】
アルキル鎖は0〜50個、好ましくは0〜22個の炭素原子を有することができ、酸素、窒素またはイオウなどのヘテロ原子が割り込んでもよく、あるいはシリコーン基であってもよい。芳香族基は、複素芳香族であってもよい。基AおよびBは、例えばハロゲンまたはアルコキシなどの1つもしくは複数の慣用的な構成成分を有することができる。
【0099】
官能基を有する式(4)による非加水分解性基Uは、グリシジルまたはグリシジルオキシアルキレン基、例えばβ−グリシジルオキシエチル、γ−グリシジルオキシプロピル、δ−グリシジルオキシプロピル、ε−グリシジルオキシペンチル、ω−グリシジルオキシヘキシルまたは2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル、メタクリロイルオキシアルキレンおよびアクリロイルオキシアルキレン基、例えばメタクリロイルオキシメチル、アクリロイルオキシメチル、メタクリロイルオキシエチル、アクリロイルオキシエチル、メタクリロイルオキシ−プロピル、アクリロイルオキシプロピル、メタクリロイルオキシブチルまたはアクリロイルオキシブチル、および3−イソシアナトプロピル基、および/または環状および/または直鎖状(ポリ)ウレタン基含有および/または尿素含有および/または(ポリ)アミノ基含有基の分野から選択することができる。
【0100】
トリメトキシシリルおよびトリエトキシシリル基を担持し、大気水分および適切な触媒の存在下で、通常室温でも、縮合を受けてアルコキシ基を排除し、互いにSi−O−Si結合を形成することができる低粘度モノマー化合物を使用することが特に広く知られている。この種の有機官能性モノマー系シランは、例えば、N−シクロヘキシルアミノメチルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ−エトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、3−イソシアナト−プロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシ−シラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランおよびヘキサデシルトリメトキシシランである。その手順は基本的には当業者に知られている。
【0101】
ウレタン基を含有するシリル化ポリマーは同様に、ポリマー主鎖と化学的に結合した少なくとも1つのアルコキシシリル基を有するすべてのシリル官能性化合物との混合物で用いることができる。
【0102】
この種のシラン改変ポリマーは、式(5)のタイプ
【0103】
【化2】

(式中、
、XおよびXは互いに独立に、1〜8個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基であり、
Aは、カルボキシル、カルバメート、アミド、カーボネート、ウレイドまたはスルホネート基含有基を表すか、または酸素原子を表し、
wは1〜8の整数であり、
vは1〜20、好ましくは1〜15、より特定すれば1〜5の整数である)
のシラン化合物である。
【0104】
ポリマー基は、アルキド樹脂、油変性アルキド樹脂、飽和もしくは不飽和のポリエステル、天然油、エポキシド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドおよびそれらの塩、フェノール樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリスルフィドゴム、ニトロセルロース、酪酸ビニル、ビニルポリマー、エチルセルロース、酢酸セルロースおよび/または酪酸セルロース、レーヨン、セラック、ワックス、エチレンコポリマー、有機ゴム、ポリシロキサン、ポリエーテルシロキサン、シリコーン樹脂、ポリエーテル、ポリエーテルエステルおよび/またはポリエーテルカーボネートからなる群から選択される。
【0105】
ウレタン基を含有するシリルポリマーと混合して使用することが好ましい式(5)のポリマーには、WO2005/100482および欧州特許出願第A1−1 967 550号に記載されているような、その反応性アルコキシシリル基が、1つだけのメチレン単位(v=1)によって窒素含有のポリマー結合基Aから分離された、いわゆるα−シラン末端ポリマーが含まれる。
【0106】
本発明によって硬化性組成物において使用できる式(5)の他のシランポリマーは、シラン基が、プロピレン単位(v=3)を介してポリマー主鎖と末端で結合しており、Aがウレタン基を表すものである。欧州特許出願第A1−1 824 904号に記載されているような、2つの鎖末端のそれぞれにシラン官能基を有するポリアルキレンオキシド、特にポリプロピレングリコール(w=2)が好ましい。
【0107】
混合物構成要素としてやはり適している式(5)の化合物は、シラン末端ポリウレタンである。ジイソシアネートと反応し、続いてアミノ官能性アルコキシシランと反応させることによるポリオールからのその調製は、例えば米国特許第7,365,145号、同第3,627,722号または同第3,632,557号に記載されている。この場合、連結基Aは、ウレタンおよび尿素基を担持する基である。本発明のために使用できる他のポリマーは、式(5)のウレタンフリーでかつ尿素フリーのシリル末端ポリエーテルである。ここで、Aは酸素であり、その末端アルコキシシリル基は、エーテル官能基を介してポリマー主鎖と直接結合している。この種のシリルポリマーは米国特許第3,971,751号に記載されている。これらは、式(5)のvが好ましくは3の値を有し、wが好ましくは2の値を有するポリエーテル主鎖を含むことが好ましい。これらはKanekaからMSポリマー(登録商標)製品として入手することができる。
【0108】
例えばWO2007/061847に記載されているようなアルコキシシリル基を担持するポリシロキサンも、本発明のウレタン化およびシリル化ポリマーと組み合わせることができる。
【0109】
本発明は、接着剤、封止剤、結合剤または改変剤として、ウレタン基含有アルコキシシリルプレポリマー、および任意により少なくとも1つの式(4)または(5)のさらなるアルコキシシラン成分を含む硬化性物質を使用することを提供する。
【0110】
さらに、硬化性混合物は、1つまたは複数のイソシアネート、ヒドロキシルおよび/またはアミン化合物を含むことができる。
【0111】
最適の適合性を有するコポリマー系を作製するための、特性の所望プロファイルに適した成分の選択は一般に専門家に任されている。したがって、本発明による組成物によって、特性の異なるプロファイルの構成キットを入手することができ、それによって、その用途に適合するように最適の選択を行うことができる。
【0112】
本発明による、ウレタン基のプレポリマー構造中への導入により、様々な基材に対する良好な接着特性、溶媒、薬品および風化作用への高い耐性、ならびにその高い機械的柔軟性を含む純粋なポリウレタンの既知の特性を、硬化性シリルポリエーテルの利点と組み合わせることが可能になる。
【0113】
ここで、驚くべきことに、相当な密度のアルコキシシリル官能基を備えたウレタン化シリルポリエーテルイソシアネート付加体でも、一般に取扱いが容易な液体であり、したがって、高度に架橋されている場合でも、十分に接着性のある接着結合が狙え、この成分を測るのに制約は全くない。この観察によって、低い加工粘度との関連で必要な架橋密度を確実に達成するため、遊離シランモノマーを構成要素として最終化学式に導入することをもとにしたWO2008/058955に示されている手順と、本発明の教示との違いが分かる。その構造多様性に関して実質的に限界がないことを前提として、アルコキシシリル基を含有するプレポリマーは、例えばエステル、カーボネートおよび芳香族構造要素を取り込むことによって、ポリマー化学技術者に、実質的に任意の性能ニーズに対処する設計の自由度への道を開くものである。
【0114】
本発明の方法によって得られる硬化性物質およびプレポリマー、ならびにそれを含む組成物は、多くの工業的に応用可能な製品の製造用の基礎材料として適している。
【0115】
したがって、本発明は、例えば接着剤、封止剤、封止用コンパウンド、結合剤、表面コーティング材料、反応性架橋剤、接着促進剤、撥水剤、湿潤剤、下塗剤および/または表面改変剤、建築用撥水剤、ラッカー配合の際の添加剤またはマニキュア液配合品として、またはこれらを製造するためのウレタン基含有硬化性組成物の使用をさらに提供する。
【0116】
硬化性物質は、例えば以下の群、すなわち:金属および/または金属酸化物、ガラスおよびガラス繊維/ガラス織物、木材、木材をベースとした材料、天然繊維、ならびに、例えばコルクおよび/または一般に、ケイ酸質材料、コンクリート、モルタル、しっくい、メーソンリー(masonry)、および/または粒子、酸化物(oxidic)粒子、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、石英粒子および他の無機酸化物粒子、ガラス粒子、二酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化セリウム、酸化鉄、酸化銅、カオリン、珪灰石、タルク、雲母、長石、水酸化物、三水酸化アルミニウム、二水酸化マグネシウム、ベーマイト、ハイドロタルサイトおよび水酸化鉄顔料、FeO(OH)、カーボネート、炭酸カルシウムおよび/またはドロマイト、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、金属合金および/または炭素含有材料、グラファイトおよび/またはカーボンブラック、有機微粒子基材、シリコーン樹脂、有機的に改変したシリコーン、有機ポリマーおよび/またはバイオポリマー、革、薄織物、紙および/またはその混合物から選択される広範囲の巨視的または微視的な基材に適している。
【0117】
したがって、加水分解過程を介してそれ自体がメーソンリー、コンクリート、モルタル等に固着するアルコキシシリル部分の標的化導入は、この仕方で備えた系を建設業界の分野で、例えば、建築外郭構造(construction shell)の窓や扉用のフレームの接合および断熱シーリングを含む用途に用いた場合、非常に有利であることが証明される。
【0118】
本発明の硬化性物質およびそれを含む組成物は、溶液、あるいは乳化物、懸濁物またはフォームの形態で使用することができる。溶媒または懸濁/乳化媒体は、その用途によって選択することができる。水の他に、アルコール、炭化水素等を含む芳香族および非芳香族溶媒も適している。
【0119】
しかし、環境意識を高めることとの関連では、表面改変配合物の粘度を低下させるための有機溶媒の添加は最近ますます攻撃の的となってきている。その代替オプションは、ウレタン基含有シリルポリエーテルを水性乳化物の形態で塗布することである。
【0120】
アルコキシシリル基を担持するウレタン化硬化性物質のさらなる使用は、未公開ドイツ特許出願第10 2009 022630.3号明細書に開示されている方法で調製される水性乳化物である。想定されかつ構造的に決まってくる反応性プレポリマーの加水分解への敏感性にもかかわらず、驚くべきことに、それを安定した乳化物に転換させることができることがここに判明した。乳化物は、好ましくは室温で1か月保存した後、少なくとも室温で1週間保存した後、目視で乳化物の破壊の兆候が認められないとき安定であると称される。乳化物の破壊はここでは、それが巨視的に油相と水相に分離することと定義する。室温で1か月保存した後、少なくとも室温で1週間保存した後、乳化物の遊離アルコール含量が乳化したアルコキシシリル基の10重量%以下の分離に相当する場合、乳化物は加水分解に対して安定であると称される。
【0121】
水とポリマーの最適質量割合はその用途によって変わる。特定の応用分野のための反応性ポリマーの最適質量割合を見出すのは当業者に委ねられる。しかし、当業者は、そうした乳化物における好ましい水の割合が、10重量%〜97重量%、より好ましくは20重量%〜90重量%、より特定すれば30重量%超であることをよく知っているであろう。
【0122】
そうした乳化物に適した乳化剤には、基本的にはすべてのアニオン性、非イオン性、カチオン性および両性乳化剤が含まれ、また乳化剤の混合物も含まれる。そうした乳化剤の好ましい例は、アルコールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、エトキシ化エステルおよび(エトキシ化)ソルビタンエステルである。
【0123】
乳化物の水相は、本発明のコーティング物の機械的特性を改変するための親水性の無機充填剤を含むことができる。但し、これらの親水性充填剤は、すでに安定化されている乳化物に続いて添加される。使用する充填剤の表面が少なくとも1つの官能基を有していて、乳化物が乾燥しかつ/または破壊された後、ウレタン基含有シリルポリエーテルの反応性官能基と充填剤表面上の官能基との間に化学反応が起こるようにすると有利である。そうした充填剤の例は、ヒュームドシリカおよび沈降シリカ、酸化アルミニウム、二酸化チタンおよび酸化ジルコニウムなどの無機酸化物、ガラスおよび石英、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムなどの水酸化物、珪灰石、雲母、カオリンおよびタルク、炭酸カルシウムなどのケイ酸塩および他のカーボネート、銅、亜鉛およびニッケルなどの金属および金属合金ならびにグラファイトおよびカーボンブラックである。
【0124】
乳化物は、上記したような低分子量の有機官能性の水不溶性シランをさらに含むことができる。乳化物は、ウレタン基含有シリルポリエーテルを表面に固定するための触媒も含むことができる。
【0125】
他の機能性物質を乳化物に加えることもできる。そうした物質には、例えば、レオロジー添加剤、消泡剤、脱気剤(deaerating agent)、皮膜形成ポリマー、抗菌剤および保存剤、酸化防止剤、染料、着色剤および顔料、凍結防止剤、殺菌剤、接着促進剤および/または反応性希釈剤ならびに可塑剤および錯化剤が含まれる。さらに、噴霧助剤、湿潤剤、ビタミン、成長物質、ホルモン、香料、光安定剤、フリーラジカル捕捉剤、UV吸収剤および他の安定剤を混合物に添加することができる。
【0126】
本発明は、本発明の硬化性物質を含む乳化物および/または懸濁物の使用であって、その乳化物および/または懸濁物が、触媒、光潜在性塩基、レオロジー特性を改変するための添加剤、親水性充填剤、有機官能性および/または部分的に可溶性および/または水不溶性のシランおよび/またはシロキサン、助剤、被膜剤、抗菌剤および保存剤、分散剤、消泡剤および脱気剤、染料、着色剤および顔料、凍結防止剤、殺菌剤、接着促進剤および/または反応性希釈剤、可塑剤および錯化剤、噴霧助剤、湿潤剤、ビタミン、成長物質、ホルモンおよび/または香料、光安定剤、フリーラジカル捕捉剤、UV吸収剤および/または安定剤の群から選択される化合物を含む使用をさらに提供する。
【0127】
本発明は、ワニス、インク、離型剤、接着剤、化粧品、傷防止コーティング剤、建築用保存剤、腐食防止剤および/または封止剤のため、紙、粒子、織物繊維およびガラス繊維をコーティングするため、紙用充填剤をコーティングするため、帯電防止表面を得るための基礎材料として、および/または、ポリプロピレンオキシドをベースとしたゴム部品の製造のための出発原材料としての硬化性物質、および/または乳化物および/または懸濁物の使用をさらに提供する。
【0128】
本発明の硬化性物質は、結合剤として、すなわち、同じかまたは異なった種類の物質を互いに接合させるために使用することができる。接着させるかまたは互いに接合させる材料は、例えばガラス、金属、プラスチック、木材、あるいはコンクリート、リンカー、セラミックまたは石などの建築材料であってもよい。
【0129】
例えばボール紙、OSBまたはMDFボードなどの木材ベースの材料の製造において、それらは、木材粒子またはコルク粒子(木材チップまたは木材繊維を含む)を結合させるように働き、したがって、アミノ樹脂またはイソシアネート結合組成物を代替するものとして、木材ブロック床張りを含む床張り、および積層板用途にも利用することができる。
【0130】
本発明の硬化性物質は熱可塑性も有しており、したがって温度依存性の流動挙動が必要とされる成形品を製造するためにも役に立つ。成形化合物は、例えば射出成形、押出または加熱加圧成形などの工程で使用することができる。本発明のポリマーは、好ましくは触媒なしで使用され、したがって、成形操作の際にさらなる架橋や硬化を防止することができる。架橋に続いて、シリル基および場合によりNCO基を担持するポリマーは、熱硬化製品への転換を施される。
【0131】
本発明の硬化性物質には、ポリウレタン分野と同様の用途がある。末端ヒドロキシル基またはイソシアネート基を有しているかどうかによって、それらは、当業者に知られているポリウレタン系におけるポリオール成分および/またはイソシアネート成分の機能を果たすことができる。この種の系においては、水分硬化性アルコキシシリル基を備えたプレポリマーは、他の通常のポリオールおよび/またはイソシアネート化合物と混合して使用することが好ましい。PU系におけるこの種のアルコキシシリル担持成分の使用は、ポリウレタンとの反応結合を可能にして、様々な基材表面のポリウレタンフォームが得られるようにする。
【0132】
したがって、本発明は、ポリウレタン系における成分を含む接着剤、結合材および/またはコーティング材として使用できる組成物の構成要素として、少なくとも1つのシリルポリエーテル1を、少なくとも1つのイソシアネート化合物と反応させることによって得られる硬化性物質を提供する。
【0133】
コーティングする表面は、吹き付け、塗布(spreading)、浸し塗りなどの既知の方法でコーティングすることができる。接着させる表面はプロセスの過程で一緒に押圧することが好ましい。接着結合を得るための、場合により発泡性の混合物(組成物)の塗布は、好ましくは加圧缶から、混合物で存在し化学反応によっても放出させることができる発泡剤を用いてフォームを形成させて実施する。
【0134】
接着させる表面を一緒に押圧したとき、そのフォームの構造は少なくともほとんど破壊されていることが好ましい。したがって、接着させる表面間で押圧された場合、そのフォームは、そのボリュームの60%未満、より好ましくはその40%未満、特に好ましくはその20%未満の気泡含有率を有することが好ましい。
【0135】
好ましい実施形態では、接合させる表面の少なくとも1つは、本発明のフォームを塗布する前に湿潤させておく。接合させる表面の一方を湿潤させ、他方の表面にフォームを塗布することが特に好ましい。次いで、2つの表面間でフォームを押圧する。
【0136】
このフォームの最初の大きな力は、当業者にとって驚くべき現象に起因すると考えられる。したがって、従来のシラン架橋性接着剤の場合とは対照的に、フォームの結合強度は、化学的シラン架橋の結果としてだけではなく促進される。それよりむしろ、化学的硬化過程と同時に、他では、強度の促進が、加えた溶媒の蒸発によってのみ起こる接触接着剤でだけで知られているような、著しい物理的効果も明らかである。フォームの場合、これらの溶媒の機能は、発泡剤または発泡剤混合物に取って代わられる。非常にゆっくりしか硬化しない接触接着剤の場合とは対照的に、発泡剤は、ゆっくりした蒸発の代わりに、発泡性混合物が発泡している間でも大部分は急速に蒸発する。それらは、フォームを形成するまで泡立ち、発泡剤の蒸発に続く非常な高粘度にもかかわらず、(驚くべきことに)非常に流動性のまま保たれ、その結果、接着させる表面を一緒に押圧することによって、問題なくフォームを崩壊させることができる。フォームが押圧されると、接着させる表面間に薄く均一な接着剤の層が形成され、それらの表面はよく湿潤し、したがって、最適の接着効果を実現することができる。この効果は、続いて起こる化学的硬化反応によって強化される。
【0137】
したがって、本発明は、接着剤で表面を接着させる方法であって、発泡性硬化性物質が提供され、これを、接着させる表面間で発泡させてフォームを形成するか、または、混合物から調製することができるフォームを、発泡させた後、接着させる表面の1つかもしくは接着させる表面間に塗布し、続いてそのフォームを、接着させる表面間で押圧する方法をさらに提供する。
【0138】
本発明は、表面を接合させる方法であって、硬化性物質を接合させる表面の少なくとも一方、または接合させる表面間に塗布し、次いでこれを硬化させながら結合させる方法をさらに提供する。
【0139】
本発明は、表面、割れ目またはすき間を封止するか架橋するか充填するための類似の方法であって、硬化性物質を封止する表面に塗布し、続いて、不浸透性を確認しながらこれを硬化させる方法をさらに提供する。
【0140】
類似したこの両方の方法では、硬化性物質を、フォームの形態で塗布することができる。
【0141】
本発明のこれらの組成物を発泡性とする場合、それらは、場合により化学的および/または物理的に生成された1つまたは複数の発泡剤を含む。
【0142】
したがって、本発明は、化学的および/または物理的にフォームを生成することができる、1つまたは複数の発泡剤を含む硬化性物質およびそれにより得られるフォームを提供する。
【0143】
本発明は、硬化性物質をフォームの形態で塗布することによって表面を接合さる方法をさらに提供する。
【0144】
フォームの最初の高い結合強度は、非常に高い泡密度によって促進される。したがって、
(A)ウレタン化されたシリル基担持プレポリマー、および
(B)全混合物に対して15重量%未満の発泡剤
を含む発泡性組成物を調製することができる。
【0145】
上記混合物は、全混合物に対して15重量%未満の発泡剤を含むことが好ましい。
【0146】
適切な発泡剤は、比較的低い圧力でも凝縮可能であり、噴霧可能なアセンブリフォームを作製するのにも用いることができる気体である。一般的な発泡剤の例には、それぞれの場合1〜5個、より特定すれば3〜5個の炭素原子を有する炭化水素、特にプロパン/ブタン混合物もしくはイソブタン、1〜5個の炭素原子を有するヒドロフルオロカーボン、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1−ジフルオロエタンまたはジメチルエーテルおよび対応する混合物が含まれる。発泡剤含量は、好ましくは全混合物に対して<10重量%、より好ましくは<7%または<5重量%である。
【0147】
全混合物に対する発泡剤含量は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下である。
【0148】
好ましくは加熱硬化または加温硬化の場合、純粋に化学的ベースだけで、発泡剤を加えなくてもフォームを発生させることもできる。そうした場合、接着剤混合物を加熱すると、例えば、アルコキシシリル基の加水分解に由来するメタノールまたはエタノールなどのアルコールを含む低揮発性発泡剤が生成する。水または不活性溶媒も、高温で発泡剤としての役割を果たすことができる。
【0149】
基材のコーティングを望む場合、発泡剤を除外し、適切な場合、溶媒または他の添加剤および助剤を加えて、コーティングに要求される物理的特性を特定の仕方で設定することも可能である。
【0150】
反応性のウレタン化されたシラン官能性硬化性物質も、シート様表面および/または粒子表面の改変に非常に適している。
【0151】
ここで、改変とは、対象の固体表面への改変剤の化学的または物理的結合を指す。固体表面を基にしたこの改変は場合により、部分的であっても全体的であってもよく、その固体の表面を不浸透性の単層または多層で覆うことができる。この定義の意味での改変は、例えば、ペンキ、インクおよび/または疎水化剤の場合のように、通常全領域を覆う表面コーティングも含む。
【0152】
表面を改変するための領域または粒子の改変は、様々な理由のため、様々な方法で行われるが、当業者は文献からそれを周知であろう。一般的に言えば、改変の目的は、キャリア材料の表面の化学的および物理的特性の特定の所望用途への目的にかなった適合を、前記表面に、改変剤の層(通常薄層)を塗布することによって実現することである。例えば、改変剤は、接着促進剤、下塗剤、ワニス、撥水剤または湿潤剤として重要な機能を果たす。コーティングのすべての変形体に共通していることは、しばしば液体または粉体である、使い方が簡単な改変剤の適用によって、対象の基材に非常によく付着する層を塗布することである。このことは、好ましい効果を必要とするポリマー上の部位での、シリルアンカー基の目的にかなった取り込みを確実にするものではない。
【0153】
改変させる表面の性質、対象改変剤の物理化学的性質、および所望の表面改変の性能目標に応じて、その層を施すために非常に様々な方法が用いられる。例えば、熱および電気化学的方法に加えて、特に化学的改変方法は顕著な役割を果たす。
【0154】
様々な基材への効果的な接着は、ウレタン基と、それぞれの基材表面上のOH基などの極性化学基との強い物理的相互作用と併せて、適切な場合、プレポリマーのNCO官能基と基材表面上の反応基との追加的な反応に支援された、シランアンカー基の密度の高さに基づいている。ベースポリマー鎖内に、ドイツ特許出願公開第10 2004 018548号の構造の他のシリル基が、例えば側基の形態で存在しないことは、硬化させた後の架橋密度および接着を限られたものにする。
【0155】
固体の最終製品を形成させるための架橋、または、例えば粒子表面のような反応性表面へのその化学的/物理的結合は、任意により反応促進剤として水、酸もしくは塩基または金属化合物を加えて、簡単な方法で実施される。その硬化時間は、硬化操作の際の温度を上げることによって制御することができる。表面は、微視的に、例えば粒子または粒子凝集体の形態で、かつ/または巨視的に、シート様構造または繊維もしくは同様の三次元物体の形態で形成させることができる。
【0156】
中身の詰まった(solid)粒子または多孔性粒子の粒子表面は、当業者に周知の方法で本発明に従って表面コーティングすることができる。その方法には、混合、混練および/または加熱をしながら、場合により適切な架橋触媒の存在下で、ウレタン化シリルポリエーテルを粒子上に噴霧することが含まれる。純粋な本発明の改変剤または適切な有機および/または無機溶媒からの本発明の改変剤を、粒子表面に塗布し、次いでこれを、共有結合で反応させることができる。適切な媒体中に本発明の改変剤を含む乳化物を、適切な場合、助剤、さらには改変剤および乳化剤および/または湿潤剤を加えて、粒子表面に塗布することも可能である。十分に混合しながら、適切な場合、加熱しかつ/または適切な触媒を加えて、対応する系に改変剤を加えることによって、例えば、ポリマーまたはペンキ中に(事前)分散させた機能性粒子または微粒子充填剤のような、(事前)分散粒子のマトリックス中での粒子表面の改変も可能である。それぞれの場合、ウレタン基含有シリルポリエーテルを、例えばモノマー系、オリゴマー系もしくはポリマー系のシランなどの他の成分、または反応基を担持する他の成分、および、例えばアクリレート、エポキシド、イソシアネート、カルボキシレート、水酸化物、ラクトン、ラクタムなどの異なった機構で結合または硬化させる材料と混合することができる。また、2つ以上のウレタン基含有シリルポリエーテルを互いに混合したものも使用することができる。
【0157】
改変させる表面は、微視的であっても巨視的であってもよく、したがって個々の粒子または凝集粒子からなってもよい。
【0158】
改変させる粒子または基材は、様々な由来、サイズおよび粒径分布のものであってもよく、また異なる形態(球形、血小板状(異なる縦横比で)および繊維状、一部凝集状、立方体状または立方形状等の)を有していてもよく、異なる状態の凝集であってもよい。そうした系には、例えば、酸化物粒子、例えばヒュームドシリカ、例としてはEVONIK Degussa GmbHからのAEROSIL(登録商標)、沈降シリカ、例としてはEVONIK Degussa GmbHからのSIPERNAT(登録商標)、石英粒子および他の無機酸化物粒子、例えばガラス粒子、二酸化チタン、例えばEVONIK Degussa GmbHからのAEROXIDE(登録商標)TiO P25およびAEROXIDE(登録商標)TiO P90、酸化アルミニウム、例えばEVONIK Degussa GmbHからのAEROXIDE(登録商標)Alu C、酸化ジルコニウムおよび/または二酸化セリウム、酸化鉄、酸化銅等、ケイ酸質粒子、例えばカオリン粒子、珪灰石、タルク、雲母、長石等、水酸化物、例えば三水酸化アルミニウムおよび/または二水酸化マグネシウム、ベーマイト、ハイドロタルサイト、ケイ酸質材料全般、コンクリート、モルタル、石こう、メーソンリー、酸化物粒子、水酸化鉄顔料、例えばFeO(OH)、カーボネート、例えば炭酸カルシウムおよび/またはドロマイト、金属、例えば鉄、銅、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム等、金属合金および/または炭素含有材料、例えばグラファイトおよび/またはカーボンブラック等が含まれる。
【0159】
有機微粒子基材としては、例えば、シリコーン樹脂、有機的に改変したシリコーン、有機ポリマーおよび/またはバイオポリマー等を含む粒子を使用することができる。
【0160】
様々な粒子を混合物として表面改変することもできる。
【0161】
粒子物質と硬化性物質の比は、利用できる粒子表面積、所望改変度合いおよび改変剤の分子量によって変わる。改変させる粒子質量をベースとして、本発明の改変剤または硬化性物質は、粒子物質:硬化性物質の質量比で1:10〜1000000:1、好ましくは1:1〜10000:1の範囲、より好ましくは2:1〜1000:1の範囲にあってもよい。
【0162】
粒子重量を、本発明の1つもしくは複数の硬化性物質または1つもしくは複数の改変剤、場合により触媒、溶媒、さらなるシラン化合物および他の助剤を含む組成物を含む表面改変のために使用される全混合物に対して見た場合、粒子重量:改変用混合物の質量比は、1:1000〜100000:1の範囲、好ましくは1:100〜1000:1の範囲、より好ましくは2:1〜1000:1の範囲にあってもよい。
【0163】
当業界で知られている方法により、巨視的な表面を、ウレタン基含有シリルポリエーテルでコーティングすることもできる。その場合、改変剤の例は、純粋な形態かまたはさらなる成分とのブレンドとして、無機および/または有機溶媒、モノマー系、オリゴマー系またはポリマー系シラン、アクリレート、エポキシド、ヒドロキシ化合物、アミンなどの反応性成分であり、また、さらなるコーティング成分または助剤を表面改変に用いることもできる。
【0164】
この場合、ウレタン基含有シリルポリエーテルの塗布は、全く純粋な形態で、有機もしくは無機溶媒中で、水性乳化物として、ウレタン基含有シリルポリエーテルとシリル基を担持する他の化合物の混合物として、あるいは、様々に官能化された改変剤、例えばイソシアネート、ヒドロキシル化合物、エポキシド、アクリレートおよびアミンと組み合わせて行うことができる。
【0165】
説明した物質を用いた巨視的な表面の改変は、例えば、浸漬コーティング、吹き付けコーティングまたはスピンコーティング、流しコーティング、ミスティング、はけ塗り、ローリング、プリント、スクリーンプリント、スタンピング、および(表面改変に用いられる本発明の配合物との適切な一致を前提とした)粉末コーティング法などの従来技術による周知の方法によっても実施することができる。さらに、適切な場合、さらなる物質、例えばコーティング成分、助剤、例えば湿潤剤、乳化剤および/またはレオロジー添加剤、ならびに表面改変用の充填剤および/または機能性粒子を加えて、適切な有機および/または無機溶媒中にウレタン基含有シリルポリエーテルを含む乳化物を用いることも可能である。
【0166】
そうした表面の例は、巨視的および微視的な表面、例えばガラス、ペンキ、金属、半導体物質、酸化物材料、例えば石、コンクリートまたはモルタル、木材、有機および無機繊維、織物および粒子、ポリマー、バイオポリマー、コルク、革、紙、薄織物等の表面である。
【0167】
このように改変した表面または粒子表面への適用の可能性は多様である。したがって、例えば、こうして処理した粒子を、ポリマー用の充填剤として、または、ポリマー化合物、ナノコンポジットおよびマスターバッチの調製用に使用することができる。本発明のウレタン基担持シリルポリエーテルの使用は、改変させる粒子を予備的操作で改変し、次いでポリマー中に分散させる形をとることができるが、充填剤を対象のポリマー中に分散させる過程で、例えば、その後に効果的分散部を備えた押出機へ液をフィードすることによって、ウレタン基担持シリルポリエーテルを添加することも可能である。驚くべきことに、プレポリマーの多官能性の特性にもかかわらず、ウレタン基担持シリルポリエーテルを用いた粒子表面の改変は一般に、改変させる微粒子物質の凝結または凝集を伴わずに実施される。
【0168】
さらに、本発明によって表面を改変された粒子は、例えば、反応性希釈剤、乳化物、湿潤剤、ペンキ、接着促進剤、結合剤、可塑剤、チキソトロープ剤、殺菌剤、燃焼遅延剤(flame retardant)、顔料、充填剤、プラスチック中への機能性添加剤、ポリマー系フォーム、有機樹脂またはシリコーン樹脂(適切な場合、対象マトリックスへの反応性結合で)、射出成形用途におけるメルトフローインデックス改良剤、布地または繊維用のスリップ剤、滑剤、つや消し剤、吸着剤または吸収剤、自己分散性粒子、微粒子乳化剤、消泡剤、セラミック塊用の結合剤、建築用保存剤、封止材(encapsulant)、シーリング系、帯電防止添加剤、フリーフロー助剤、殺菌性添加剤、蛍光マーカー、効果顔料(effect pigment)、つや消し剤、離型剤、低温耐久性ケーブルコーティング、導電コーティング、導体トラック、帯電防止コーティング、電子および/または電気部品、ゴム部品および膜、織物およびガラス繊維産業におけるサイズ剤、紙、トナー用の添加剤、化粧品中の研磨剤またはライン充填剤、配合剤またはキャリア材料、着色剤および保存剤、コーティング、腐食防止剤、インクおよび/またはワニス、建造物、繊維の織物の固体表面での汚れ付着(dirt pick-up)挙動および汚れ落とし(soil release)挙動、また、本発明によりコーティングした表面および粒子への凝縮物および氷の付着に影響を及ぼす、例えば超疎水性、温度依存性の湿潤性、ビーズ化効果(beading effect)などの表面に対する物理的効果を得るためのトライボロジーおよび/または触覚コーティング(haptic coating)の構成要素として、触覚効果、例えばシルクのような手触り(ソフトタッチ表面)または表面粗さもしくはグリップを得るためのシーリング系におけるスリップ剤または滑剤として、つや消し剤として、他の材料、例えば他のコーティング材料のための結合点として、例えば、紙材、フィルター材または布地等における吸着剤または吸収剤として、分散物を得るための自己分散性粒子として、微粒子乳化剤(いわゆる「ピカリング(Pickering)乳化物」のため、“Emulsions”、Spencer Umfreville Pickering、Journal of the Chemical Society、Transactions(1907年)、91、2001〜2021頁も参照されたい)として、適切な場合、液媒体の分散液中の反応性および/または架橋性粒子として、消泡剤、建築用保存剤における活性成分として、例えば材料の全体的(integral)疎水化のための活性成分として、表面疎水化のための構造化疎水性成分として、または活性液体成分のためのキャリアとして、例えばコアシェル粒子のため、液体系のマイクロカプセルのため、または膜材料の改変のための(場合により反応性の)封止材として、例えば、規定された調節可能な空隙率、選択率または透過率を得るため、例えば、親水性または吸湿性の粒子表面改変後の帯電防止添加剤として、フリーフロー助剤として、粒子を備えた表面または材料側の引っかき抵抗性を獲得するかまたはそれを高めるための添加剤として、または他の官能基を有する微粒子添加剤として、例えば殺菌性添加剤として、蛍光標識としてもしくは効果顔料として、離型剤として、低温耐久性ケーブルコーティング用の構成要素として、ゴム部品および膜の製造用成分として、織物およびガラス繊維産業、紙用におけるサイズ剤、またはサイズ剤用の成分として、トナー用添加剤として、化粧品中の研磨剤またはライン充填剤として、長時間かけて助剤または活性物質を放出するキャリア材料または配合成分(粒子中に存在しており、放出されることになるその物質は、例えば、化粧品用のオイルおよび活性成分、香料、活性薬剤成分、例えば銀および銀含有化合物を含む活性抗菌剤成分ならびに染料および保存剤等である)として使用することができる。
【0169】
したがって、本発明は、コーティングされ、かつ、ウレタン基を担持する硬化性物質を用いて作製される上記した材料、布地および物質をさらに提供する。
【0170】
反応性の硬化性物質は、表面改変のため、または、コーティングとして、バルク材として、また(例えば懸濁重合によって)微粒子物質を調製するために使用することができる。固体の熱硬化性最終製品を得るためのその架橋、および反応基、より特定すればヒドロキシル基を有する基材への固定は、水の存在下、場合により酸もしくは塩基または他の反応促進剤を加えて簡単な仕方で実施され、硬化工程で温度を上げることによって硬化速度を制御することができる。
【0171】
これによって、例えば、金属酸化物、混合酸化物、窒化物、水酸化物、炭化物、カーボネート、シリケート、顔料、カーボンブラック、元素または合金からなる様々な表面、および有機材料の表面の改変が可能になる。もちろん、さらに、シリコーン樹脂、有機的に改変したシリコーン、有機ポリマーまたはバイオポリマーのものなどの有機粒子の表面も表面改変しやすい。
【0172】
したがって、硬化性物質は、例えば、接着剤調製用の基礎材料として、反応性架橋剤として、金属、ガラスおよびガラス繊維/ガラス織物、木材、木材をベースとした材料、天然繊維のための結合剤、接着促進剤および下塗剤として、天然および/または合成および鉱物原材料、また、例えばコルク、革、紙、薄織物、ケイ酸質および酸化物材料でできた織物または非織物シート様構造物および繊維の仕上げおよび処理のために役に立つことができる。
【0173】
メーソンリー、コンクリート、モルタル等に、加水分解過程を介して固着されたアルコキシシリル部分を注意深く組み込むと、建設業界の分野において、建築外郭構造の窓や扉用のフレームの接合および断熱シーリングを含む用途でこの仕方で装備された系を使用したとき、非常に有利であることが分かる。
【0174】
本発明は、撥水剤の構成要素として硬化性物質を用いた建物の疎水化、および、結果として、対象とする用途に従って確実かつ調節することができ、また、まず表面が湿潤するのを防止するが、次に、水蒸気が通過できるようにする表面疎水性をさらに提供する。
【0175】
特に、疎水性基または高いPO、BOもしくはSO含量(プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよび/またはスチレンオキシド含量)を有するウレタン基含有シリルポリエーテルの場合、高い疎水化速度を実現することができる。SOを含有するポリエーテルは、例えばグラファイトおよび/またはカーボンブラックなどの炭素材を改変するのに特に適している。その理由は、後者が例えばより簡単に分散可能であるからである。
【0176】
シート様構造を提供するかまたはそれを処理すると、一方では、表面または繊維を保護してその特性を改善し、かつ/またはその特性を変え、あるいは、新たな特性プロファイルを獲得するように働く。
【0177】
したがって、いわゆる低摩擦コーティングを得るために、例えばグラファイトや六方晶窒化ホウ素を、ウレタン基含有シリルポリエーテル中に混ぜ込むことができる。これらの低摩擦コーティングは、非常に「グリッピー(grippy)」に感じられるAEROSIL(登録商標)200で満たしたコーティングと比べて、触覚効果として「滑らかさ」を有している。
【0178】
本発明は、この方法で作製した、グラファイトまたは窒化ホウ素を含むトライボロジーおよび/または触覚コーティングをさらに提供する。
【0179】
本発明は、表面コーティングがそれ自体すでに封止または接着を提供できる場合でも、本発明の硬化性物質を含む封止剤および/または接着剤をさらに提供する。これらの封止剤および/または接着剤は、具体的には、潤滑添加剤を含み、また例えばMoSまたはPTFE粒子も含むことができる。
【0180】
さらに、硬化性物質は、例えばOLEDや太陽電池パネルなどの電気および/または電子部品の製造でも用途を見出すことができる。この場合の添加剤として、導電性粒子またはイオン液体が存在していてもよく、したがって、導体トラックにおいて、例えば、コンタクティング処理(contacting)および/または帯電防止コーティングのために、導電性コーティングおよび導電性接着剤で使用することができる。
【0181】
硬化性物質は、上述したシート様構造および繊維の処理のために、単独でも、また、水溶液系の添加剤としても使用することができ、したがって、そのように処理したシート様構造および繊維を、衛生、医療、建築、自動車、家財道具、織物アパレル、スポーツおよび農業部門で使用することができる。
【0182】
したがって、そのように表面改変した粒子またはシート様構造は、例えば、柔軟性、潤滑性、水分輸送/吸収、撥水性/撥油性、UV保護、オーニング用のセルフクリーニング(ロータス効果)、例えば難燃性、優れた柔軟性、帯電防止特性、および細菌、ウイルスおよび薬品への耐性が合わさったその強度の増大の関連などの新規な特性または最適化された特性を有する。
【0183】
したがって、本発明は、硬化性物質を、適切な架橋触媒と混合し、かつ/またはその存在下、純粋な形態かまたは適切な有機および/または無機溶媒、または乳化物から、粒子表面に塗布し、次いで共有結合で反応するかまたは物理的に結合することができる、粒子またはシート様構造を表面改変する方法も提供する。
【0184】
改変させる表面として、有機および/または無機粒子もしくはシート様構造、および/または有機的に改変した粒子もしくはシート様構造および/またはその互いの混合物を用いることが好ましい。
【0185】
本発明は、ワニスまたはマニキュア液配合品における添加剤として、化粧品用途で硬化性物質を使用することをさらに提供する。
【0186】
硬化性物質を用いると、さらに、例えば疎水性または親水性の表面特性などの固体基材上に特異的な物理的効果をもたらすことも可能である。この関連では、さらに、この種の効果のために、追加的な刺激、例えば温度環境(prevailing temperature)による刺激にかけることも可能である。文献で知られているように、ポリエーテルは水の中で、温度の関数であるいわゆる雲り点を有し、これは、温度の上昇とともに、周囲媒質との相溶性の喪失がもたらされることによるものである。ウレタン基を含有するシリルポリエーテルの異なる表面との結合を介して、種々の液体、例えば水に対する接触角を温度の関数とすることができることが分かっている。
【0187】
本発明は、本発明の硬化性物質を含み、さらに燃焼防止剤(flame-preventing substance)および/または燃焼遅延剤、例えばATH(アルミニウム三水和物=水酸化アルミニウム=三水酸化アルミニウム)またはMDH(二水酸化マグネシウム)などを含む燃焼遅延性の熱可塑性ポリマー化合物または熱硬化性成形用化合物の製造をさらに提供する。この種のポリマー化合物は、ケーブルおよびケーブル外被用のポリプロピレン、ポリエチレンまたはエチレンビニルアセテートをベースとしたケーブル絶縁材を作製するために使用され、また、特に厳しい要件を前提とされる、例えばスポーツ会館などの公共建物内の燃焼防止パーティションは、ポリプロピレンをベースとして製造される。
【0188】
そのように処理された燃焼遅延剤組成物、コンパウンドまたは電気ケーブルは、微粒子添加剤(例えばタルク、炭酸カルシウム等)を高レベルで充填した場合でも、改善された機械的安定性、さらなる添加剤の良好な分散、良好な押し出し特性を有し、強力な加熱下での改善された燃焼防止性および低い発煙性を有することができる。特に、シロキサン基を含むシリルポリエーテルを用いた場合、含有ケイ素により、燃焼した後、追加的に安定化させ、燃焼を遅延させるSiO成分が残留し、火災の際のさらなる安定性が提供され得る。さらに、燃焼中でも、スキニング(skinning)として知られる現象が早い時点で引き起こされ、材料のさらなる温度上昇が抑えられ、それによって燃焼の進行が抑制される。これは、例えば、1つの部屋から隣の部屋につながるケーブルの場合に特に関係する要素である。
【0189】
本発明は、硬化性物質を用いて製造される複合材料、例えば木材−プラスチック複合材料(WPC)をさらに提供する。WPCは、木材、プラスチックおよび添加剤を様々な割合で含み、例えば押出、射出または圧縮成形法などの熱可塑性成形技術により加工される熱可塑的に加工可能な複合材料である、革新的なシリルポリエーテル複合材料は、ポリプロピレン−無水マレイン酸グラフト化コポリマーと比べて、これらの複合材料の木材または繊維下部構造との強い結合を示す。硬化性物質は、木材、ココナツまたは他の天然由来の繊維産物をベースとした繊維と結合し、同時にこの表面に撥水性を付与し、それによって、木材繊維ペレットの乾燥時間の短縮を確実にする(エネルギー節減)。
【0190】
本発明は、さらに粉体塗装用硬化剤を提供する。
【0191】
本発明は、例えば一般に追加的な分散剤の使用を必要とする慣用的なポリエーテルポリオール(PPG1000)の代わりに、硬化性物質を単独で使用する液状ペーストをさらに提供する。それは、ウレタン化シリルポリエーテルが両方の材料の特性を兼ね備えているからである。着色剤として顔料を含むか、またはさらに染料や他の添加剤を含むこの種のペーストは、例えばPUフォーム、熱可塑性ウレタンなどのポリオールをベースとした系を着色するのに使用される。
【0192】
さらに、本発明の硬化性物質は、セラミック粉末からセラミック製品、特に耐火性セラミック製品を製造するために、セラミック粒子を結合させる結合剤として使用することができる。本発明は、結合剤の使用、および、上記セラミック製品を製造するための方法、また、セラミック製品それ自体をさらに提供するが、本発明では耐火性セラミック製品が特に好ましい。
【0193】
耐火性セラミック製品は、多くの工場で高温に対する保護用に使用される。
【0194】
したがって、褐色体(brown body)製造時、さらには白体(white body)製造時よりすでに高い温度での、素地(green body)製造時あっても、高い架橋密度と機械的強度を後で獲得するための基礎として、最初に調製相中のすべてのセラミック粒子を完全かつ均一に包み込むことができるようにする、<10000mPasの低粘度から中程度の粘度の結合剤を用いることが好ましい。
【0195】
非常に驚くべきことに、例えば100℃〜1000℃、好ましくは200℃〜800℃の範囲の温度で、本発明の反応性の硬化性物質をセラミック結合剤として使用すると、材料強度、すなわち低温圧縮強度[MPa]が低下しないかまたは僅かしか低下しない(より低温で処理された素地と比較して)ことが確認された。
【0196】
本発明のためには、セラミック製品は、乾燥し、加熱処理し、かつ/または焼成したセラミック製品を含む。「セラミック製品」という用語は素地も包含する。具体的には、「セラミック製品」という用語は、耐熱性および/または耐火性セラミック製品を包含し、また、いわゆるコンポジットを構成する、すなわち、セラミック材料と少なくとも1つの他の材料および/または他の相でできた成形体および材料も包含する。
【0197】
硬化性物質を含む本発明の反応性セラミック結合剤は、セラミック粉末の全重量に対して0.01%〜70重量%、好ましくは0.1%〜50重量%、より好ましくは0.5%〜30重量%、特に好ましくは0.5%〜5重量%の重量割合で、セラミック粉末に添加することができる。
【0198】
本発明によれば、これらの硬化性物質の量は、それぞれの場合、セラミック粉末の量に対して、0.05〜<10重量%、より特定すれば0.1%〜5重量%の範囲が好ましい。加えられた硬化性物質の量が0.01重量%未満である場合、高い強度の焼成品を得ることは非常に困難である。
【0199】
本発明によれば、反応性の硬化性物質は、セラミック粉末から、セラミック製品、特に成形および非成形され、焼成および非焼成された耐火性セラミック製品を製造するのに使用することができる。
【0200】
したがって、本発明は、本発明のセラミック結合剤およびセラミック粉末を含むセラミック硬化性物質をさらに提供する。セラミック材料は、直接使用することも、また、最初に処理して粉末または顆粒にすることもできる。本発明は、本発明のウレタン化硬化性物質を、反応性希釈剤、乳化物、湿潤剤、ワニス、接着促進剤、可塑剤、チキソトロープ剤、殺菌剤、燃焼遅延剤、顔料、充填剤、ポリマー系フォーム、有機樹脂またはシリコーン樹脂、建築保存におけるメルトフローインデックス改良剤、織物または繊維のためのスリップ剤として、滑剤、つや消し剤、吸着剤または吸収剤、自己分散性粒子、微粒子乳化剤、消泡剤、建築用保存剤、シーリング系における封止材、帯電防止 添加剤として、フリーフロー助剤、殺菌性添加剤、蛍光マーカー、効果顔料、離型剤、低温耐久性ケーブルコーティング、導電コーティング、導体トラック、帯電防止コーティング、電子および/または電気部品、ゴム部品および膜、織物およびガラス繊維産業におけるサイズ剤、紙添加剤、トナー用の添加剤、化粧品中の研磨剤またはライン充填剤、配合剤またはキャリア材料、染料および保存剤、コーティング、腐食防止剤、ペンキ、トライボロジーおよび/または触覚コーティングとして使用することも提供する。
【0201】
適切なセラミック粒子は、すべての一般的酸化物、非酸化物、酸性または塩基性セラミック原材料およびその混合物を含むことができる。Alをベースとしたセラミック製品が特に好ましい。これらの原材料の混合物であってもよい。
【0202】
使用するのに特に適したセラミック粉末、特にセラミック粉末の混合物、またその原材料には以下のもの、すなわち:
酸化物、例えばBeO、MgO、Al、SiO、CaO、TiO、Cr、MnO、Fe、ZnO、ZrO、SrO、Y、BaO、CeO、UO、および/または、
炭化物、例えばBC、BeC、BeC、Al、SiC、TiC、Cr、MnC、FeC、SrC、YC、ZrC、NbC、MoC、BaC、CeC、HfC、TaC、WC、UC、例えばグラファイト、カーボンブラックまたは黒鉛化炭素材の形態の炭素、および/または、
窒化物、例えばBe、BN、Mg、AlN、Si、Ca、TiN、VN、CrN、Mn、Sr、ZrN、NbN、Mo、HfN、TaN、WN、UN、および/または、
ホウ化物、例えばAlB、CaB、TiB、VB、CrB、MnB、FeB、CoB、NiB、SrB、YB、ZrB、NbB、MoB、BaB、LaB、CoB、HfB、TaB、WB、TUB、および/またはケイ化物、例えばCaSi、TiSi、VSi、CrSi、FeSi、CoSi、ZrSi、NbSi、MoSi、TaSi、WSi、および/または上記セラミック物質の混合物が含まれる。
【0203】
使用できるさらなるセラミック粒子には、酸化物および非酸化性化合物、混合相等、例えば、ムライト(AlSi13)、Al−Cr、MgSiO、CaSiO、ZrSiO、MgAl、CaZrO、SIALON、ALONおよび/またはBC−TiB系を含む混合結晶が含まれる。
【0204】
本発明によれば、非化学量論的組成を有するセラミック粒子、例えばTiOxシリケート、ガラスおよび金属相を有するセラミック材料をさらに使用することができる。
【0205】
本発明により使用できるセラミック粒子は、焼成アルミナ、反応性アルミナ、非常に微細に粉砕した耐火性原材料、例えばマイクロシリカ、耐火クレイおよび/または結合剤クレイも含むことができる。
【0206】
高いスチレンオキシド含量を有するウレタン化プレポリマーも、成形用化合物を形成するための加工において、特に有利な特性を示すことができる。具体的には、例えばカーボンブラックまたはグラファイトなどの炭素材を、高スチレンオキシド含量のシリルポリエーテル1中に効果的に分散させ、成形用化合物に関して有利な結果/特性をもたらすことができる。
【0207】
セラミック塊は、触媒、慣用的なアジュバント、結合剤および/または添加剤をさらに含むことができる。セラミック塊は特に少量の成形用離型剤、安定剤および/または顔料も含むことができる。
【0208】
さらに、セラミック結合剤を高アルミナセメント、ポルトランドセメントなどの水硬性結合剤と一緒に含むセラミック塊を、場合により様々な量の水を用いて使用することも同様に有利である。
【0209】
本発明の反応性セラミック結合剤は、成形用化合物またはセラミック塊中に、セラミック粉末の総重量に対して0.01%〜70重量%、好ましくは0.1%〜50重量%、より好ましくは0.5%〜30重量%の重量割合で存在することができる。
【0210】
結合に関与する反応、すなわち、セラミック粉末と、本発明の反応性セラミック結合剤のアルコキシシリル基担持、ウレタン基担持プレポリマーとの反応は、おそらく室温でも起こる。温度が増大するに従って、結合は強くなる。400℃〜1000℃、またはいくつかの場合200℃〜600℃の中間温度での熱処理後でも、セラミック製品は高い強度を達成することができ、それによって、>1000℃での高温焼成が不要となる。
【0211】
驚くべきことに、ウレタン基含有アルコキシシリルプレポリマーを含む本発明のセラミック結合剤を用いると、
− 同一焼成温度で比較的短い時間で、および/または
− 同様の時間で比較的低い焼成温度で
優れた物理的および機械的特性を有する、割れのないセラミック製品の焼成が可能であることがここに分かった。
【0212】
効果の程度はセラミック製品の形状によって変わる。いずれにしろ、焼成プロセスの間に形状が変化するのを避けるのに必要な強度が得られるまで、成形したセラミック体を硬化させる。
【0213】
本発明のさらなる対象を特許請求の範囲により説明するが、その開示内容はすべて本説明の一部である。
【0214】
本発明による方法および硬化性物質の使用を、以下の実施例により説明するが、本発明は、これらの例示の実施形態に限定されるべきものではない。
【0215】
化合物の範囲、一般式またはタイプが以下に指定されている場合、それらは、明示された化合物の対応する範囲または群だけではなく、個々の値(範囲)または化合物から得られる化合物のすべての下位範囲および下位の群も包含するものとする。
【実施例】
【0216】
未公開ドイツ特許出願第10 2008 000360.3号明細書に従って、Evonik Degussa GmbHからの3−グリシジルオキシプロピル−トリエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)GLYEO)のDMC触媒によるアルコキシ化のプロセス原理によって、トリアルコキシシリル基を含有するシリルポリエーテル1を含む以下の硬化性物質を用いて、以下の実施例を実施した。POはプロピレンオキシドを表す。
【0217】
多分散性および平均モル質量を測定するためのGPC測定を以下の条件のもとで実施した:カラム組合せSDV1000/10000Å(長さ65cm)、温度30℃、移動相としてTHF、流量1ml/分、試料濃度10g/l、RI検出器、ポリプロピレングリコール標準品に対する評価。
【0218】
粘度は、DIN53019をもとにした方法で、Brookfield型回転式粘度計(モデルLVT)を用いて25℃で測定した。
【0219】
NCO含量%はDIN EN ISO11909による、ブチルアミンを用いた反応に続いて、塩酸0.1モルで逆滴定して測定した。
【0220】
トリアルコキシシリルポリエーテルSP−1:
4倍のトリアルコキシシラン官能基を有する実質的に無色の高粘度シリルポリエーテル
モノマー付加による化学的構築(construction):ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル(400g/モル)+2モルPO+(21モルPO/4モルGLYEOランダム)+2モルPO 平均モル質量M2760g/モル、多分散性M/M1.38、粘度(25℃)365mPas。
【0221】
トリアルコキシシリルポリエーテルSP−2:
4倍のトリアルコキシシラン官能基を有する実質的に無色の高粘度シリルポリエーテル
モノマー付加による化学的構築:ポリプロピレングリコール(2000g/モル)+17モルPO+(103モルPO/4モルGLYEOランダム)
平均モル質量M10900g/モル、多分散性M/M2.16、粘度(25℃)5050mPas。
【0222】
ウレタン化シリルポリエーテルUSP−1を含む硬化性物質:
NCO−およびウレタン基含有シリルポリエーテルの調製
シリルポリエーテルSP−1 150.2g(49ミリモル、OH官能基49ミリモルに対応する)を、還流冷却器、温度計およびKPGスターラーを備えた250ml三つ口フラスコにチャージした。次いで、イソホロンジイソシアネートIPDI 10.8g(49ミリモル、NCO官能基98ミリモルに対応する)を室温で徐々に量り込み、混合物をジブチルスズジラウレート0.08gと混合した。反応混合物を60℃に加熱し、この温度で1時間攪拌した。これにより、室温で透明であり、760MPasの粘度とw(NCO)=1.26%のNCO値を有する生成物を得た。
【0223】
イソホロンジイソシアネートの最初の質量を、シリルポリエーテルSP−1のOH基に対してNCO基が過剰になるように選択し、アルコキシシリル基に加えて遊離NCO基も担持する生成物を得た。
【0224】
ウレタン化シリルポリエーテルUSP−2を含む硬化性物質:
ウレタン基含有シリルポリエーテルの調製
シリルポリエーテルSP−1 100g(32ミリモル、OH官能基32ミリモルに対応する)を、還流冷却器、温度計およびKPGスターラーを備えた250ml三つ口フラスコにチャージした。次いで、イソホロンジイソシアネート3.6g(16ミリモル、NCO官能基32ミリモルに対応する)を室温で徐々に量り込み、混合物をジブチルスズジラウレート0.05gと混合した。反応混合物を60℃に加熱し、この温度で2時間攪拌した。これにより、室温で透明であり、880mPasの粘度とw(NCO)=0%のNCO値を有する生成物を得た。
【0225】
シリルポリエーテルOH基がNCO官能基と等モルになり、それにより、ポリエーテルを互いに結合させて、相対的に高分子量のポリエーテルを形成するよう、イソホロンジイソシアネートの最初の質量を選択した。
【0226】
ウレタン化シリルポリエーテルUSP−3を含む硬化性物質:
トリエトキシシリル末端基を有するウレタン基含有シリルポリエーテルの調製
シリルポリエーテルSP−1 100g(32ミリモル、OH官能基32ミリモルに対応する)を、還流冷却器、温度計およびKPGスターラーを備えた250ml三つ口フラスコにチャージした。次いで、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン8.0g(32ミリモル、NCO官能基32ミリモルに対応する)を室温で徐々に量り込んだ。混合物を80℃に加熱し、ジブチルスズジラウレート0.05gと混合した。反応混合物をこの温度で1時間攪拌した。これにより、室温で透明であり、800mPasの粘度とw(NCO)=0%のNCO値を有する生成物を得た。
【0227】
シリルポリエーテルのOH基がNCO官能基と等モルになり、それによってOH基をできるだけ完全に消費させ、ポリエーテルをトリエトキシシリル基でさらに改変するよう、イソシアナトプロピルトリエトキシシランの最初の質量を選択した。
【0228】
ウレタン化シリルポリエーテルUSP−4を含む硬化性物質:
Desmodur(登録商標)N3300を用いたウレタン基含有シリルポリエーテルの調製
シリルポリエーテルSP−1 100g(32ミリモル、OH官能基32ミリモルに対応する)を、還流冷却器、温度計およびKPGスターラーを備えた250ml三つ口フラスコにチャージした。次いで、BayerからのDesmodur(登録商標)(脂肪族ポリイソシアネート、HDIトリマー)N3300 6.25g(w(NCO)=21.8%、NCO官能基32ミリモルに対応する)を室温で徐々に量り込んだ。混合物を80℃に加熱し、ジブチルスズジラウレート0.05gと混合した。発熱反応が始まり、その過程で反応混合物は105℃に加熱された。続いて反応混合物を80℃で1時間攪拌した。これにより、室温で透明であり、1665mPasの粘度とw(NCO)=0%のNCO値を有する生成物を得た。
【0229】
シリルポリエーテルのOH基がNCO官能基と等モルになり、それによってOH基をできるだけ完全に消費し、ポリエーテルを互いに結合し、分岐状シリルポリエーテルを生成させるよう、Desmodur(登録商標)N3300の最初の質量を選択した。
【0230】
ウレタン化シリルポリエーテルUSP−5を含む硬化性物質:
IPDIを用いたウレタン基含有シリルポリエーテルの調製
シリルポリエーテルSP−2 100g(10ミリモル、OH官能基20ミリモルに対応する)を、還流冷却器、温度計およびKPGスターラーを備えた250ml三つ口フラスコにチャージした。次いで、Evonik Degussa GmbHからのVestanat(登録商標)IPDI(脂肪族イソシアネート)1.48g(6.7ミリモル、NCO官能基13.4ミリモルに対応する)を室温で徐々に量り込んだ。混合物を80℃に加熱し、ジブチルスズジラウレート0.05gと混合した。続いて反応混合物を80℃で1時間攪拌した。これにより、室温で透明であり、21750mPasの粘度とw(NCO)=0%のNCO値を有する生成物を得た。
【0231】
シリルポリエーテルのOH基がNCO官能基に対して過剰になり、その結果、複数のポリエーテルを互いに結合させ、それによって高分子量ブロックポリエーテルを生成するよう、Vestanat(登録商標)IPDIの最初の質量を選択した。
【0232】
ウレタン化シリルポリエーテルUSP−6を含む硬化性物質:
IPDIを用いたウレタンおよびイソシアネート基含有シリルポリエーテルの調製
シリルポリエーテルSP−2 150g(15ミリモル、OH官能基30ミリモルに対応する)を、還流冷却器、温度計およびKPGスターラーを備えた250ml三つ口フラスコにチャージした。次いで、Evonik Degussa GmbHからのVestanat(登録商標)IPDI(脂肪族イソシアネート)6.67g(30ミリモル、NCO官能基60ミリモルに対応する)を室温で徐々に量り込んだ。混合物を60℃に加熱し、ジブチルスズジラウレート0.08gと混合した。続いて反応混合物を60℃で1時間攪拌した。これにより、室温で透明であり、16000mPasの粘度とw(NCO)=0.68%のNCO値を有する生成物を得た。
【0233】
シリルポリエーテルのOH基がNCO官能基に対して不足し、その結果NCO官能基の一部が過剰になるようにし、それによって、NCO基とアルコキシシリル基の両方を担持したポリマーを得るよう、Vestanat(登録商標)IPDIの最初の質量を選択した。
【0234】
コーティング物の作製:
ウレタン化シリルポリエーテル20g、水0.4gおよびジブチルスズジアセチルアセトネート0.4gをビーカーに量りとり、溶解機を用いて1000rpmで20秒間完全に混合した。この硬化性混合物10gを室温でアルミニウム製トレーに注加した。硬化が始まったら、ピペットの先端で短い時間間隔で固まり具合を試験した。試料がそれ以上くっつかないようになった時点で、被膜が形成された。硬化速度の測定として、以下の被膜形成時間が得られた:
【0235】
【表1】

【0236】
アミンを添加することによって、NCO基を担持するウレタン化シリルポリエーテルの硬化速度を加速することができる。USP−1を用いた上記硬化実験の変形では、エチレンジアミン17gをさらに硬化性混合物に加えた:
【0237】
【表2】

【0238】
硬化が始まった後、アルミニウム製トレー中に得られたコーティングは約2mmの厚さであった。
【0239】
水性乳化物の調製:
TEGO(登録商標)アルカノールS100P(ステアリルアルコール12.0g、ポリオキシエチレン(100)エーテル、Evonik Goldschmidt GmbH)、TEGO(登録商標)アルカノールTD6(イソトリデカノール3.0g、ポリオキシエチレン(6)エーテル、Evonik Goldschmidt GmbH)および水15.0gを、ガラス容器中で60℃に加熱し、Mizerディスクを用いて1000rpmで均一な、粘性ペーストが得られるまで攪拌した。攪拌しながら滴下漏斗を用いてウレタン化シリルポリエーテルUSP−1 100.0gを、ペースト中に滴下して30分間かけて混ぜ込んだ。完了したら、ペーストを1000rpmで10分間攪拌した。続いて、ペーストを残りの水200gで希釈した。これによって乳化物を得た。
【0240】
液滴粒度分布を動的光散乱法(Malvern HPPS 633nm HeNeレーザー)で測定した。CONTINアルゴリズムを用いた相関関数の評価により、単峰性の液滴粒度分布、115nmの平均半径が示された。
【0241】
耐熱材料の製造の際にセラミック結合剤として使用する方法:
ALMATIS GmbH(Ludwigshafen)から入手できる、以下の粒子分布を有する高純度の焼結α−アルミナ、T60:
【0242】
【表3】

をウレタン化シリルポリエーテル4重量部のそれぞれと均一に混合した。混合物を用いて、100MPaの加圧下で、36mmの直径の円筒試験片を作製し、続いてこれを、200℃および1500℃で2時間焼成した。
【0243】
焼成が開始された後、セラミック試験片の低温圧縮強度[MPa、BIN EN993−1]は以下の通りであった。
ウレタン化シリルポリエーテルUSP−1:
焼成温度200℃:13.5MPa
焼成温度1500℃:96.3MPa
ウレタン化シリルポリエーテルUSP−4:
焼成温度200℃:14.7MPa
焼成温度1500℃:106.1MPa
ガラス板のワニスコーティング:
ピペットを用いて、ジブチルスズジアセチルアセトネート1.00mlをウレタン化シリルポリエーテルUSP−6 50mlに加えた。2つの成分を、Mizerディスクを用いて1000rpmでホモジナイズした。バー塗布器(bar applicator)を用いて、厚さ150ミクロンのプレポリマーの層を、イソプロパノールで清浄にした乾燥ガラス板に塗布した。塗布したウレタン化プレポリマーは室温で硬化し、約60%の相対大気湿度で透明皮膜を形成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1つまたは複数のイソシアネート基を含む少なくとも1つの化合物を、
b)1つまたは複数のアルコキシシリル基を担持し、追加的に少なくとも1つのヒドロキシル基を担持する少なくとも1つの化合物と、
c)場合により1つまたは複数の触媒の存在下、
d)場合により、反応生成物に対して反応性のさらなる成分、より特定すればプロトン性水素を有する官能基を保有する成分の存在下、
e)場合により、反応生成物および反応物に対して反応性ではないさらなる化合物の存在下で、
反応させることによって得ることができるウレタン基含有反応生成物を含む硬化性物質。
【請求項2】
イソシアネート基を含む成分(a)が、アルコキシシリルおよび/またはアルキルシリル基を担持しないことを特徴とする、請求項1に記載の硬化性物質。
【請求項3】
反応生成物の個々の分子をベースとして、ウレタンもしくはその反応生成物、例えばアロハネートおよび/またはビウレット基または尿素基当たり、平均して2個以上のアルコキシシリル基が存在することを特徴とする、請求項1または2に記載の硬化性物質。
【請求項4】
請求項1に記載の成分(b)として、式(2)
【化3】

(式中、
aは1〜3の整数であり、
bは0〜2の整数であり、aとbの合計は3であり、
cは0〜22の整数であり、
dは1〜500の整数であり、
eは0〜10000の整数であり、
fは0〜1000の整数であり、
gは0〜1000の整数であり、
h、iおよびjは互いに独立に、0〜500の整数であり、
nは2〜8の整数であり、
Rは出現ごとに独立に、直鎖状または分岐状、飽和、単一もしくは多数不飽和の1〜20個の炭素原子を有するアルキル基または1〜20個の炭素原子を有するハロアルキル基から選択される1つもしくは複数の同一または異なる基を表し、
は、ヒドロキシル基、または飽和もしくは不飽和の、直鎖状、分岐状もしくは環状またはさらに置換された1〜1500個の炭素原子を有するオキシ有機基(前記鎖はO、S、Siおよび/またはNなどのヘテロ原子が割り込んでもよい)、あるいは、オキシ芳香族系を含む基であり、
またはR、さらにRまたはRは、同様にかまたは互いに独立に、H、および/または飽和および/または単一および/または多数不飽和の、さらに置換されたものを含む、場合により一価もしくは多価の炭化水素基であり、前記基RまたはRが一価炭化水素基であるとき、前記炭化水素基はフラグメントYを介して脂環的に架橋されていてもよく;Yは存在しないか、または1つもしくは2つのメチレン単位を有するメチレン架橋であってもよく;Yが存在しない場合、RまたはRは互いに独立に、1〜20個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の基であり、
は出現ごとに独立に、1〜24個の炭素原子の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、または場合により同様にアルキル基を有する芳香族もしくは脂環式基であり、
およびRは互いに独立に、水素であるかまたはアルキル、アルコキシ、アリールもしくはアラルキル基であり、
、R10、R11およびR12は互いに独立に、水素であるかまたはアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールもしくはアラルキル基であり、前記炭化水素はフラグメントZを介して脂環的または芳香族的に架橋されていてもよく、そしてZは二価のアルキレン基またはアルケニレン基であってもよく、
但し、指数d、e、fおよび/またはhを有するフラグメントは互いに自由に順序を変えることができる、すなわち、そのポリエーテル鎖内で互いに交換可能であり、統計的分布またはブロック様配列で選択的に存在することができ、したがって、ポリマー鎖内の配列中で互いに交換可能である)
の1つまたは複数のシリルポリエーテル1を使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性物質。
【請求項5】
少なくとも1つの、イソシアネート、ヒドロキシル、アミノ、エポキシおよび不飽和C=C基、アクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、アリル化合物および/または反応性シランまたはシリル官能性化合物を有するさらなる化合物を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性物質。
【請求項6】
使用するシランが次式(4)の化合物
SiV(4−X) (4)
(式中、Uは、最大100℃までの温度で、水および触媒量のブレンステッド酸の存在下で非加水分解性である、同一または異なる基を表し、Vは、最大100℃までの温度で、水および触媒量のブレンステッド酸の存在下で加水分解性である、同一または異なる基、またはヒドロキシル基を表し、xは1、2、3または4である)
であり、
かつ/または使用するシリル官能性化合物が次式(5)の化合物
【化4】

(式中、
、XおよびXは互いに独立に、1〜8個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基であり、
Aは、カルボキシル、カルバメート、アミド、カーボネート、ウレイドもしくはスルホネート基含有基を表すか、または酸素原子を表し、
wは1〜8の整数であり、
vは1〜20、好ましくは1〜15、より特定すれば1〜5の整数であり、
前記ポリマー基は、アルキド樹脂、油変性アルキド樹脂、飽和もしくは不飽和のポリエステル、天然油、エポキシド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドおよびそれらの塩、フェノール樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリスルフィドゴム、ニトロセルロース、酪酸ビニル、ビニルポリマー、エチルセルロース、酢酸セルロースおよび/または酪酸セルロース、レーヨン、セラック、ワックス、エチレンコポリマー、有機ゴム、ポリシロキサン、ポリエーテルシロキサン、シリコーン樹脂、ポリエーテル、ポリエーテルエステルおよび/またはポリエーテルカーボネートからなる群から選択される)
であることを特徴とする、請求項5に記載の硬化性物質。
【請求項7】
場合により化学的および/または物理的に形成された1つまたは複数の発泡剤を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性物質。
【請求項8】
硬化性組成物、接着剤、封止剤、封止用コンパウンド、結合剤、表面コーティング材料、反応性架橋剤、接着促進剤、撥水剤、湿潤剤、下塗剤および/または表面改変剤、建築用撥水剤、ラッカー配合の際の添加剤またはマニキュア液配合品としてかあるいはそれを調製するための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性物質の使用。
【請求項9】
金属および/または金属酸化物、ガラスおよびガラス繊維/ガラス織物、木材、木材ベースの材料、天然繊維、ならびに、例えばコルクおよび/または一般に、ケイ酸質材料、コンクリート、モルタル、しっくい、メーソンリー、および/または粒子、酸化物粒子、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、石英粒子および他の無機酸化物粒子、ガラス粒子、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、二酸化セリウム、酸化鉄、酸化銅、カオリン、珪灰石、タルク、雲母、長石、水酸化物、三水酸化アルミニウム、二水酸化マグネシウム、ベーマイト、ハイドロタルサイトおよび水酸化鉄顔料、FeO(OH)、カーボネート、炭酸カルシウムおよび/またはドロマイト、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、金属合金および/または炭素含有材料、グラファイトおよび/またはカーボンブラック、有機微粒子基材、シリコーン樹脂、有機的に改変されたシリコーン、有機ポリマーおよび/またはバイオポリマー、革、薄織物、紙および/またはその混合物の群から選択される様々な巨視的または微視的な基材上へのまたはその基材のための、請求項8に記載の硬化性物質の使用。
【請求項10】
乳化物もしくは懸濁物の溶液またはフォームの形態での、請求項8または9に記載の使用。
【請求項11】
反応性希釈剤、乳化物、湿潤剤、ペンキ、接着促進剤、結合剤、可塑剤、チキソトロープ剤、殺菌剤、燃焼遅延剤、顔料、充填剤、プラスチック中への機能性添加剤、ポリマー系フォーム、有機樹脂またはシリコーン樹脂、メルトフローインデックス改良剤、布地または繊維用のスリップ剤、滑剤、つや消し剤、吸着剤または吸収剤、自己分散性粒子、微粒子乳化剤、消泡剤、セラミック組成物用の結合剤、建築用保存剤、封止材、シーリング系、帯電防止添加剤、フリーフロー助剤、殺菌性添加剤、蛍光マーカー、効果顔料、つや消し剤、離型剤、低温耐久性ケーブルコーティング、導電コーティング、導体トラック、帯電防止コーティング、電子および/または電気部品、ゴム部品および膜、織物およびガラス繊維産業におけるサイズ剤、紙、トナー用の添加剤、化粧品中の研磨剤またはライン充填剤、配合剤またはキャリア材料、染料および保存剤、コーティング、腐食防止剤、インクおよび/またはワニス、トライボロジーおよび/または触覚コーティングの構成要素としての、請求項8〜10のいずれか一項に記載の硬化性物質の使用。
【請求項12】
表面を接合させる方法であって、請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性物質を提供し、それを接合する表面の少なくとも1つかまたは接合する表面間に塗布し、次いでそれを硬化させながら接着により結合する方法。
【請求項13】
表面、割れ目またはすき間を封止するか架橋するか充填する方法であって、請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性物質を提供し、それを封止する表面間に塗布し、続いて、不浸透性を確認しながら硬化させる方法。
【請求項14】
前記硬化性物質をフォームの形態で塗布することを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性物質を、混合しながら、かつ/または適切な架橋触媒の存在下で、そのままでかまたは適切な有機もしくは無機溶媒から、粒子表面またはシート様構造に、または乳化物から、塗布し、次いで、その上で共有結合または物理的結合で反応させることを特徴とする、粒子またはシート構造を表面改変するための方法。
【請求項16】
使用する改変させる表面が、無機および/または有機の粒子またはシート様構造ならびに/あるいか有機的に改変された粒子またはシート様構造ならびに/あるいはそれらの互いの混合物であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記乳化物剤および/または懸濁物が、触媒、光潜在性塩基、レオロジー特性を改変するための添加剤、親水性充填剤、有機官能性および/または部分的に可溶性および/または水不溶性のシランおよび/またはシロキサン、助剤、被膜剤、抗菌剤および保存剤、分散剤、消泡剤および脱気剤、染料、着色剤および顔料、凍結防止剤、殺菌剤、接着促進剤および/または反応性希釈剤、可塑剤および錯化剤、噴霧助剤、湿潤剤、ビタミン、成長物質、ホルモンおよび/または香料、光安定剤、フリーラジカル捕捉剤、UV吸収剤および/または安定剤の群から選択される化合物を含むことを特徴とする、請求項10に記載の乳化物および/または懸濁物の使用。
【請求項18】
ワニス、インク、離型剤、接着剤、化粧品、傷防止コーティング、建築用保存剤、腐食防止剤および/または封止剤のため、紙、粒子、織物繊維およびガラス繊維をコーティングするため、紙用充填剤をコーティングするため、帯電防止表面を得るための基礎材料として、および/またはポリプロピレンオキシドをベースとしたゴム部品の製造のための出発原材料としての、請求項8〜11のいずれか一項に記載の硬化性物質および/または請求項17に記載の乳化物および/または懸濁物の使用。

【図1】
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【公開番号】特開2011−42788(P2011−42788A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−182005(P2010−182005)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】