説明

ウレタン発泡成形用補強材

【課題】ウレタン発泡成形品とバネとの摩擦音発生を防止し、補強効果があり、かつ取り扱い性に優れる長繊維不織布を積層したウレタン発泡成形補強材を提供する。
【解決手段】長繊維不織布を2層以上積層し、ニードルパンチにより交絡させてなる積層不織布であって、積層不織布の上下両表面の耐摩耗性が5級であることを特徴とする発泡成形用補強材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等のシート材のポリウレタンフォームと、ポリウレタンフォームの下部に設置されているバネ材との間の摩擦により発生する摩擦音の発生を防止し、静粛性に優れ、補強効果にも優れたウレタン発泡成形用補強材に関するものである。さらに、発泡成形工程までの工程において、取扱性に優れたウレタン発泡成形用補強材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用等のシートは、シート材として軟質ポリウレタンフォーム型内発泡成形品が主流として用いられている。そして、シートに良好なクッション性を付与するために、シート材の下部にはバネが設置されている。しかし、シート材とバネとが接する箇所では振動などによりシート材が摩擦され、異音が発生し、さらに局部的応力を受けシート材が損傷する問題があった。
【0003】
これまでに、摩擦音発生を防止し、シート材であるポリウレタンフォームの補強を目的とした長繊維不織布は多数提案されており、例えば特許文献1に記載されているように空隙率の異なる不織布層を積層し一体化させた積層構造ウレタン発泡成形用補強材が開示されている。この不織布はウェッブを重ねニードルパンチにより機械的に交絡させることで得ることができる。
【0004】
この積層構造不織布は、一方向からのニードルパンチにより積層されているため、ニードルの貫出面では、貫入面側の繊維がループ状に突出され繊維がほぐれ難くなっているおり、取扱時にも繊維が作業者の手にまとわりつくことはないが、ニードルの貫入面では、貫出面に比べ交絡が少なく、作業者の手、特に軍手など手袋を装着した状態で取扱うと繊維がまとわりつき、作業効率を大幅に悪化させる問題があった。
【0005】
また複雑なウレタン発泡形状に使用するために、縫製して使用されることがある同製品において、作業性、コストを削減するために、2枚以上重ねた状態で打抜きにより積層構造不織布をカットする方法が従来から取られている。しかし、重ねた状態において、交絡が不十分な貫入面の繊維と、重ねた他の不織布の繊維とが絡み、1枚ずつ取り上げることが困難となり、作業性を大幅に悪化させる問題もあった。
【0006】
また、例えば特許文献2には、長繊維が交絡した不織布であり、少なくとも一面側に撥水加工を施した発泡成形用補強材が開示されている。この補強材は、一層の長繊維不織布の保形のためにニードルパンチを上下から施し、その後に撥水加工を行うものであり、乾燥工程など余分な工程が増えるだけでなく、撥水処理に斑が生じるとウレタン発泡成形時にウレタンの透過が起こり、異音の原因となっていた。
【0007】
さらに、例えば特許文献3には、エンボス加工による部分熱圧着を備えた不織布からなり、部分熱圧着部の表裏両側の深さが異なるシート用パッドが開示されている。エンボス溝の浅い側を軟質フォーム側とし、軟質フォームが染み出してもエンボス溝の深い側の凹部で軟質フォームを確保し、取付鋼材と接触し難くすることで異音発生を低減している。しかし、エンボスにより保形しているため、ウレタン発泡成形時の型への追随性が悪く、複雑な構造の発泡が困難であるという問題があった。
【0008】
上述の如く、摩擦音発生防止ができるウレタン補強材において、取扱性まで考慮されたウレタン発泡成形補強材である長繊維不織布は提案されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−171003号公報
【特許文献2】特開2006−104603号公報
【特許文献3】特開2005−238675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記従来技術の課題を解決し、ウレタン発泡成形品とバネとの摩擦音発生を防止し、補強効果があり、かつ取り扱い性に優れる長繊維不織布を積層したウレタン発泡成形補強材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、ついに本発明を完成するに至った。即ち本発明は以下の構成を採用するものである。
1.長繊維不織布を2層以上積層し、ニードルパンチにより交絡させてなる積層不織布であって、積層不織布の上下両表面の耐摩耗性が5級であることを特徴とする発泡成形用補強材。
2.積層不織布の目付が150g/m以下である上記1に記載の発泡成形用補強材。
3.積層不織布の上下両表面層の両表面上に、両表面層に積層されている他層の繊維が貫通し突出している上記1または2に記載の発泡成形用補強材。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、ウレタン発泡成形品とバネとの摩擦音発生を防止し、補強効果があり、かつ取り扱い性に優れる、長繊維不織布を積層したウレタン発泡成形補強材を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1サンプルの耐摩耗性評価後のサンプル写真である。
【図2】実施例2サンプルの耐摩耗性評価後のサンプル写真である。
【図3】実施例3サンプルの耐摩耗性評価後のサンプル写真である。
【図4】比較例1サンプルの耐摩耗性評価後のサンプル写真である。
【図5】比較例2サンプルの耐摩耗性評価後のサンプル写真である。
【図6】比較例3サンプルの耐摩耗性評価後のサンプル写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の長繊維不織布に使用される樹脂は、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの汎用樹脂や、耐熱、耐薬品性に優れているポリフェニレンサルファイドなど公知の溶融紡糸設備で繊維化が可能な樹脂であることが好ましい。コストの面から、特にポリエステル、ポリオレフィンが好ましい。ポリエステルにおける、酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、複素環族ジカルボン酸などが挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジカルボキシルベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシルフェニル)エタン及びそれらの誘導体があり、脂環族ジカルボン酸としてはシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸及びその誘導体等があり、脂肪族ジカルボン酸としてはアジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、エイコサンジオン酸、ダイマー酸及びそれらの誘導体等があり、複素環族ジカルボン酸としてはピリジンカルボン酸及びその誘導体が挙げられる。このようなジカルボン酸成分以外にp−オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸類、トリメリット酸、ピロメリット酸及びその誘導体等の多官能酸を含むことも可能である。グリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン6/10、ナイロン6/12等の樹脂が好ましい。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂が好ましい。
また、異なる樹脂よりなる長繊維不織布を積層してもよい。特に空隙率を変更する場合などは比重の異なる樹脂を用いると目的の積層体を得られやすい。
【0015】
積層する長繊維不織布の少なくとも1層は緻密層とし、少なくとも1層は嵩高層とすることが好ましい。
【0016】
緻密層に用いる不織布としては、繊維径は10〜20μmであることが好ましい。繊維径が10μmより小さくなると生産性が悪くなり、従来のスパンボンドの設備では生産が困難となる。また、20μmより大きくなるとウレタンの染み出し防止の効果が低くなる。目付は10〜60g/mであることが好ましい。目付が10g/mより小さくなるとウレタンの染み出し防止の効果が低くなる。また、60g/mより大きくなると成型性が悪くなり、複雑な形状の発泡が困難となる。見かけ密度は0.05〜0.2g/cmであることが好ましい。見かけ密度が0.05g/cmより小さくなるとウレタンの染み出し防止の効果が低くなる。また0.2g/cmより大きくなると不織布が硬くなり、ニードルパンチによる交絡がし難くなり、剥離の問題が発生するばかりでなく、成型性への悪化が問題となる。
緻密層として、上記不織布を用いることにより、ウレタン発泡時のウレタンの染み出しを防止することができ、結果バネとの摩擦による異音発生を防止することができる。
【0017】
嵩高層に用いる不織布としては、繊維径は14〜30μmであることが好ましい。繊維径が14μmより小さくなると嵩保持が困難になり、ウレタンとバネとの距離を取ることが難しくなり、異音発生の原因となる。また、30μmより大きくなると繊維の交絡性が悪くなり剥離の問題が生じやすくなる。目付は10〜90g/mであることが好ましい。目付が10g/mより小さくなるとウレタンとバネとの距離を取ることが難しくなり、異音発生の原因となる。また、90g/mより大きくなると成型性が悪くなり、複雑な形状の発泡が困難となる。見かけ密度は0.01〜0.15g/cmであることが好ましい。見かけ密度が0.01g/cmより小さくなると圧縮による嵩保持性が悪くなり、嵩高層としての役割を果たし難くなる。また0.15g/cmより大きくなると不織布が硬くなり、ニードルパンチによる交絡がし難くなり、剥離の問題が発生するばかりでなく、成型性への悪化が問題となる。
【0018】
見かけ密度を変える方法は特に限定はされないが、以下の方法が好ましく用いられる。例えば、通常紡糸延伸後、移動する捕集装置に捕集されその後一旦巻き取られ、ニードルパンチ工程に搬送されるが、この工程を通過させる程度にエンボスロールあるいはフラットロール等により熱圧着させる。この時の熱圧着条件を変更することで見かけ密度を変えることができる。見かけ密度を高くするためには温度を高く設定したり、圧力を高く設定することで達成でき、見かけ密度を低くするためには温度を低く設定したり、圧力を低く設定することで達成できる。この温度、圧力は使用する樹脂により異なるが、目安として樹脂の融点をTm、ガラス転移点をTgとすると以下の式で得られる温度となる。
緻密層を得る温度(T1)
(Tm−Tg)×0.7+Tg≦T1≦(Tm−Tg)×0.95+Tg
嵩高層を得る温度(T2)
(Tm−Tg)×0.5+Tg≦T2≦(Tm−Tg)×0.9+Tg
この温度は目安であり、圧力によって適宜変更させる必要がある。
【0019】
また、繊維の断面を変更させる方法もある。緻密層に使用する繊維を扁平断面やY断面などの異型断面繊維とすることにより、見かけ密度を高くすることができる。嵩高層に使用する繊維を中空繊維とすることにより、見かけ密度を低くすることができる。またサイドバイサイド複合繊維を使用することにより、立体捲縮を繊維に付与することにより見かけ密度を低くする方法もある。
【0020】
さらには、圧着にエンボスロールを使用する場合に、圧着面積を変更することでも見かけ密度を変更することができる。緻密層は圧着面積を8〜40%、嵩高層は圧着面積を5〜30%とすることにより、見かけ密度の異なる層を得ることが出来る。
【0021】
以上のようにして得られる長繊維不織布を積層し、ニードルパンチ加工により交絡させることにより積層不織布を得ることができる。得られた積層不織布は、目付は20〜150g/mであることが好ましく、厚さは0.5〜2.0mmであることが好ましい。また、通気度は20〜300cc/cm/秒であることが好ましい。
【0022】
得られる積層不織布に耐摩耗性を付与するには、上下両表面層の両表面上に、両表面層に積層されている他層の繊維を貫通させ、突出させることで達成できる。すなわち、例えば2層積層不織布であれば、上層の表面上に、上層と積層されている下層の繊維が、上層を貫通し、上層の表面上に突出しているとともに、下層の表面上には、下層と積層されている上層の繊維が、下層を貫通し、下層の表面上に突出している状態をいう。また、3層積層不織布であれば、上層の表面上に、上層と積層されている中間層および/または下層の繊維が、上層を貫通し、上層の表面上に突出しているとともに、下層の表面上には、下層と積層されている中間層および/または上層の繊維が、下層を貫通し、下層の表面上に突出している状態をいう。
このような積層不織布を得るためには、一方向からだけでなく、両面からニードルパンチ加工し、不織布を積層することが必要となる。通常短繊維不織布の場合は、繊維が脱落しやすく、強力が得られにくいためニードルパンチ加工を上下両面から施すことが一般的に行なわれるが、強力が得られやすい長繊維不織布の場合、一方向からのみニードルパンチを施すことが通常行なわれる。
また、土木用途などに用いられる特に強力が必要な製品では、長繊維不織布の場合であっても、上下両面からニードルパンチを施す例もあるが、ウレタン発泡成形用補強材用途で用いられる不織布では、一方向からのみニードルパンチ加工が行なわれている。
【0023】
両面からニードルパンチ加工して得られた積層不織布の耐摩耗性は、JIS L 1906 5.6a(2000)記載の方法に準拠し、500g荷重にて摩擦回数を10回転として、耐摩耗性を測定すると5級となる。そのため、積層不織布を縫製する際や、発泡型へセットする際に、繊維のほつれや毛羽立ちがなく、取扱性に優れた積層不織布となる。
【0024】
ニードルパンチの方法は一般的に開示されている技術を用いることができる。ニードル密度は不織布の得たい強力によるが、30〜100ヶ/cm、好ましくは40〜70ヶ/cmである。
【実施例】
【0025】
以下に本発明の実施例を示す。本発明は実施例に限定されるものではない。
次に実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが実施例及び比較例中の物性値は以下の方法で測定した。
【0026】
<単繊維の繊度>
得られた仮接着前の長繊維フリースの任意部位10箇所からサンプリングした試験片の切断面が観察できるように蒸着セットして、視差走査型電子顕微鏡にて繊維軸を横切る方向にほぼ直角に切断されている任意の繊維50本について写真撮影し、写真を拡大して各繊維の断面から直径を求め、それら値を平均して繊維の直径を算出する。使用樹脂の固形密度と長さ10000mでの重量を計算して求める。
【0027】
<不織布の厚さ>
JIS L 1906 5.1(2000)記載の方法に準拠し、0.196N/cm(20gf/cm)の荷重下にてn=10で測定した。
【0028】
<不織布の目付>
JIS L 1906 5.2(2000)記載の方法に準拠し、20cm×20cmのサイズで測定した。
【0029】
<不織布の見かけ密度>
上記で測定した厚さと目付を用い以下の式で算出した。
見かけ密度(g/cm)=目付÷(厚さ×1,000)
【0030】
<融点およびガラス転移点温度>
JIS K7121に準じて上記同様にPERKIN−ELMER社製DSC7にて試料を5mg秤量し、20℃から340℃まで20℃/分にて昇温させ、得られる示差熱分析曲線から融解ピーク(吸熱ピーク)の頂点の温度とする。尚、ピークが複数存在する場合は、最もピークエリアの広い即ち、主成分の結晶融解ピークの頂点の温度とする。試料より、5点採取して得られたピーク頂点の温度の平均値を求める。
【0031】
<耐磨耗性>
両面からニードルパンチ加工した積層不織布ではサンプルの嵩高層側で、一方向からニードルパンチ加工した積層不織布ではサンプルのニードル貫入面側で、JIS L 1906 5.6a(2000)記載の方法に準拠し、500g荷重にて10回転後のサンプルにおける外観変化から以下の基準で判断した。
○:ほつれほとんどなし。JIS L 1906 5.6aの判定で5級
△:ほつれが見られる。JIS L 1906 5.6aの判定で4級
×:ほつれが目立つ。JIS L 1906 5.6aの判定で3級以下
【0032】
<取扱性>
不織布を10枚重ねてA4サイズに打抜き、1枚づつ剥がした時の各積層不織布間での絡み性を以下の基準で判断した。
○:絡みなし
△:絡みついているが自然に剥がれる
×:絡みつき引き離さなければ剥がれない
【0033】
(実施例1)
常法により得られたポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.63、融点256℃、ガラス転移点80℃)を、スパンボンド法によりシート化し、圧着面積10%のエンボスロールにより210℃、線圧40kN/cmにより仮圧着した緻密層Aを得た。緻密層Aの繊維の繊度は1.7dtex、目付は40g/m、厚さは0.24mmであった。同じポリエチレンテレフタレートを用い、スパンボンド法によりシート化し、圧着面積10%のエンボスロールにより185℃、線圧40kN/cmにより仮圧着した嵩高層Bを得た。嵩高層Bの繊維の繊度は2.0dtex、目付は40g/m、厚さは0.3mmであった。緻密層Aと嵩高層Bを積層し、フォスター製の40番手ニードルにて針深8mm、ペネ数50ヶ/cmで嵩高層B側からニードルパンチ処理を行った。さらに緻密層A側から同じくフォスター製の40番手ニードルにて針深8mm、ペネ数50ヶ/cmでニードルパンチ処理を行った。得られた2層積層不織布の目付は80g/m、厚さは0.75mm、見かけ密度は0.11g/cmであった。
【0034】
(実施例2)
常法により得られたポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.63、融点256℃、ガラス転移点80℃)を、スパンボンド法によりシート化し、圧着面積10%のエンボスロールにより210℃、線圧40kN/cmにより仮圧着した嵩高層Cを得た。嵩高層Cの繊維の繊度は1.7dtex、目付は80g/m、厚さは0.5mmであった。実施例1で得られた緻密層Aと嵩高層Cを積層し、フォスター製の40番手ニードルにて針深8mm、ペネ数50ヶ/cmで嵩高層C側からニードルパンチ処理を行った。さらに緻密層A側から同じくフォスター製の40番手ニードルにて針深8mm、ペネ数50ヶ/cmでニードルパンチ処理を行った。得られた2層積層不織布の目付は120g/m、厚さは1.15mm、見かけ密度は0.10g/cmであった。
【0035】
(実施例3)
実施例1で得られた緻密層Aの上下に実施例1で得られた嵩高層Bを積層し、フォスター製の40番手ニードルにて針深8mm、ペネ数50ヶ/cmで一方向からニードルパンチ処理を行った。さらにもう一方向から同じくフォスター製の40番手ニードルにて針深8mm、ペネ数50ヶ/cmでニードルパンチ処理を行った。得られた3層積層不織布の目付は120g/m、厚さは1.09mm、見かけ密度は0.11g/cmであった。
【0036】
(比較例1)
実施例1で得られた緻密層Aと実施例1で得られた嵩高層Bを積層し、フォスター製の40番手ニードルにて針深8mm、ペネ数50ヶ/cmで嵩高層B側からニードルパンチ処理を行った。得られた2層積層不織布の目付は80g/m、厚さは0.74mm、見かけ密度は0.11g/cmであった。
【0037】
(比較例2)
実施例1で得られた緻密層Aと実施例2で得られた嵩高層Cを積層し、フォスター製の40番手ニードルにて針深8mm、ペネ数50ヶ/cmで嵩高層C側からニードルパンチ処理を行った。得られた2層積層不織布の目付は120g/m、厚さは1.13mm、見かけ密度は0.11g/cmであった。
【0038】
(比較例3)
実施例1で得られた緻密層Aの上下に実施例1で得られた嵩高層Bを積層し、フォスター製の40番手ニードルにて針深8mm、ペネ数50ヶ/cmで一方向からニードルパンチ処理を行った。得られた3層積層不織布の目付は120g/m、厚さは1.15mm、見かけ密度は0.10g/cmであった。
【0039】
実施例1〜3、比較例1〜6および参考例1の結果を表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
以上のように、ウレタン発泡成形品とバネとの摩擦音発生を防止し、補強効果があり、かつ取り扱い性に優れる長繊維不織布を積層したウレタン発泡成形補強材を提供することが可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明により、ウレタン発泡成形品とバネとの摩擦音発生を防止し、補強効果があり、かつ取り扱い性に優れる長繊維不織布を積層したウレタン発泡成形補強材として適しており、産業上の利用価値が大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長繊維不織布を2層以上積層し、ニードルパンチにより交絡させてなる積層不織布であって、積層不織布の上下両表面の耐摩耗性が5級であることを特徴とする発泡成形用補強材。
【請求項2】
積層不織布の目付が150g/m以下である請求項1に記載の発泡成形用補強材。
【請求項3】
積層不織布の上下両表面層の両表面上に、両表面層に積層されている他層の繊維が貫通し突出している請求項1または2に記載の発泡成形用補強材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−168923(P2011−168923A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34589(P2010−34589)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】