説明

ウレトジオンと他の官能基を有する化合物を含有する硬化可能な塗料組成物および硬化した塗膜

硬化可能な組成物は、1個のウレトジオン基と、架橋可能な基および塗膜特性を改質する基から選択された複数個の官能基を有するウレトジオン化合物を含む。開示された塗料組成物は、複数個の活性水素含有基を有するバインダ成分を有するものを含む。ウレトジオン化合物が架橋可能な基である官能基を有する場合には、塗料組成物は、硬化条件下で、架橋可能な基と反応性の複数個の官能基を有する架橋剤をさらに含む。さらに、1個のウレトジオン基および少なくとも1個の他の官能基を有するウレトジオン化合物の製造を含む、硬化可能な塗料組成物の製造方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示中に記載された1個または複数個の発明は、ウレトジオン化合物を含有する硬化可能な塗料組成物およびこのような塗料組成物により導かれる硬化した塗膜に関する。
【0002】
背景技術
この記載は、先行技術に含みうるかあるいは含まれ得ない背景技術を記載する。
【0003】
イソシアネートオリゴマー、たとえばウレトジオン、ビウレット、およびイソシアヌレートは、硬化可能な塗料組成物中で架橋剤を使用するものである。たとえば、このようなイソシアネートオリゴマーであってブロック型のものかまたは非ブロック型のものは、活性水素含有バインダ系を架橋するのに使用されている。イソシアヌレート、ビウレットまたはウレトジオン環の一部ではないイソシアネート基は、非ブロック型の場合にはバインダの活性水素基と反応するか、あるいはブロック型の場合には、この反応が非ブロッキング条件下で生じる。通常、非ブロッキングは、高められた温度で行われる。触媒は、遊離イソシアネート基または非ブロック型イソシアネート基と、バインダの活性水素基との反応を容易にするために添加することができる。
【0004】
Spyrouら(Degussa AG)は、米国特許7,307,135号公報、同7,300,997号公報および同6,914,115号公報ならびに米国特許出願公開2008/0269415号公報、同2008/0139753号公報、同2008/0097025号公報、同2007/0266897号公報、同2005/0239956号公報、同2005/0239992号公報、同2005/0119437号公報、同2005/0096450号公報、同2005/0003206号公報および同2004/0219367号公報中で、ウレトジオン基を含有するポリウレタン組成物を記載している。
【0005】
塗料バインダは、極めて低い遊離イソシアネート含量を有する脂肪族ポリイソシアネートと、ヒドロキシル含有化合物をベースとするウレトジオン硬化剤を含み、触媒を加えることでウレトジオン基の切断を促進する。ウレトジオンを切断しながら生じたイソシアネート基は、ヒドロキシル含有化合物を硬化する。ウレトジオン硬化剤は、二量化触媒の存在下でポリイソシアネートと反応することによって、所望の変換率、たとえば触媒毒が添加される時点において5質量%未満のイソシアネート(NCO)含量の変換率を生じる。硬化されたヒドロキシル含有化合物は、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリウレタン、またはポリカーボネートのポリマーであってもよい。Mazanekらは、米国特許出願公開2007/0032594号公報において、ウレトジオン基、カルボン酸基またはカルボキシレート基、およびアミン基またはヒドロキシル基を含有する自己架橋性ポリウレタンの水性分散液を記載している。
【0006】
いくつかの特許は、1種以上の反応を介して硬化する塗料組成物を記載しており、この場合、これはたとえばMeisenburgらによる米国特許7,446,142号公報、Neimeierらによる米国特許7,416,781号公報、Baumgartらによる米国特許7,129,280号公報、Rameshらによる米国特許6,569,956号公報、Decemberらによる米国特許6,048,443号公報およびOhrbomらによる米国特許5,945,499号公報である。いくつかの特許は、バインダポリマーと共有結合された塗料添加剤を記載しており、これはたとえばBoisseauらによる米国特許6391390号公報、St. Aubinらによる米国特許6,180,240号公報、Ohrbomらによる米国特許6,166,148号公報、Ohrbomらによる米国特許6,037,441号公報、Obergらによる米国特許5,872,165号公報およびJohnsonによる米国特許4,504,628号公報である。しかしながら、これらの特許および記載されたウレトジオン特許は、本願で開示され、かつ記載された組成物および方法から得られる予測できない効果および利点を示唆または推測されるものではない。
【0007】
発明の詳細な説明
本発明の開示は、1個のウレトジオン基、ならびに架橋可能な基および塗膜特性を改質する基から選択された複数個の官能基を有するウレトジオン化合物を含む、塗料組成物である。「架橋可能な基」とは、硬化条件下で、塗料中の別の官能基と反応し、共有結合を形成する官能基を意味する。「塗膜特性を改質する基」とは、それ自体架橋可能な基でないが硬化した塗膜の性能を改善する官能基を意味する。制限のない例によれば、塗膜特性を改質する基は、塗膜の耐候性または耐久性、塗膜の耐引掻性および耐傷性、ならびに塗膜に対する後続材料(たとえば、修復塗膜、またはたとえばガラス取り付けのための接着剤)の接着性を改善する基を含む。
【0008】
開示された塗料組成物は、複数個の活性水素含有基を有するバインダ成分を有するものを含む。いくつかの実施態様において、活性水素含有基は、ヒドロキシル基、第1級および第2級アミン基、活性メチレンのプロトン(たとえば、2,4−アルカンジオンまたはアルキルアセトアセテートのプロトン)、およびこれらの組合せ物からなる群から選択される。複数個の活性水素含有基を有する材料は、化合物、オリゴマーまたはポリマーであってもよい。「バインダ」は、総括的に、塗料中の有機塗膜形成剤に関する。
【0009】
ウレトジオン化合物が、架橋可能な基である官能基を有する場合には、さらに塗料組成物は、硬化条件下で架橋可能な基と反応する複数個の架橋基を有する架橋剤を含む。
【0010】
さらに、構造(I)
【化1】

[式中、それぞれRは独立して1〜12個の炭素原子を有するアルキレン基、5〜12個の炭素原子を有するアリーレン基、および6〜15個の炭素原子を有するアリールアルキレン基およびアルキルアリーレン基から選択され、その際、アルキレン基、アリールアルキレン基のアルキレン部分、およびアルキルアリーレン基のアルキル部分は直鎖、分枝または環状であってもよい]のウレトジオン前駆体化合物1モルと、イソシアネートと反応性の活性水素を有する1個の基、ならびに架橋可能な基および塗膜特性を改質する基から選択された少なくとも1個の官能基を有する化合物から選択された化合物(II)2モルを反応させることにより、架橋可能な基および塗膜特性を改質する基から選択された複数個の官能基を有するウレトジオン化合物を形成し、その際、反応は、化合物(I)のウレトジオン基ではないイソシアネート基が、化合物(II)の活性水素と反応する条件下で実施されている、1個のウレトジオン基を有し、かつ少なくとも1個の官能基を有するウレトジオン化合物を製造すること;ならびに、架橋可能な基および塗膜特性を改質する基から選択された官能基を有する前記ウレトジオン化合物と、複数個の活性水素基を有する材料を、硬化可能な塗料組成物中で組み合わせることを含む、硬化可能な塗料組成物の製造方法が開示されている。ウレトジオン化合物が、官能基として1個またはそれ以上の架橋可能な基を有する場合には、架橋可能な塗料組成物のバインダは、共有結合を形成するために、硬化条件下で架橋可能な基と反応性の官能基を有する別の材料を含むことが有利である。
【0011】
一の実施態様において、ウレトジオン化合物は、架橋可能な基、たとえばカルバメート、環状カーボネート、活性アルケン、F−Si−(式中、Fはヒドロキシル、RO−またはRCOであり、かつRは1〜6個の炭素を有するアルキル基である)、エポキシド、酸、アミノプラスト(活性アミンとアルデヒドとの反応および場合により引き続いてのアルコールとの反応によって生じる基)、あるいはこれらの組合せである、1個またはそれ以上の官能基を有する。いくつかの実施態様において、ウレトジオン化合物は、塗膜特性を改質し、かつ架橋可能な基ではない基、たとえばシリル基、12個を上回る炭素鎖の脂肪族アルキル基、ヒンダードアミン光安定化剤(HALS)基、紫外線吸収剤(UVA)基、およびこれらの組合せである、1個またはそれ以上の官能基を有する。この方法の特別な例において、化合物(II)は、構造(IIa)または(IIIb)
【化2】

[式中、XはOまたはNRであり、その際、RはHまたは1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、nは1〜4であり、特に1または2であり、かつRは12個までの炭素原子を有し、かつ場合によっては1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む、アルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルであり、この場合、ヘテロ原子は一の特別な実施態様においてエーテル、エスエル、アミド、第3級アミン、尿素およびウレタン基から選択された基の一部であってもよい]の1個の架橋可能な基を有する化合物、ならびに構造の塗膜特性を改質する基を有する化合物、および/または塗膜の耐引掻性および耐傷性を改質する、構造(IIc1)または(IIc2)
【化3】

[式中、それぞれRは独立して、1〜10個の炭素原子を有し、かつ場合によってはヘテロ原子結合基を含んでいてもよく、かつRは前記意味を示す]を有する基を有する化合物から選択されてもよい。他の例は、ヒドロキシル基、ならびにリペアコーティングの接着性を改善するか、および/またはガラス接着のために使用される材料(たとえばウインドシールド)との結合を、米国自動車安全基準(MVSS212)クラッシュバリア試験(これは特に、ウインドシールドおよび他の固定のガラス取り付け物のクラッシュ耐性を試験するもの)で試験されたように改善する基を有する化合物を含む。このような基の例はエポキシド基および酸基であり;このような基を含む化合物(II)の例は、グリシドールおよびヒドロキシプロピオンを含む。さらなる例は、屋外暴露における塗料耐久性を改善させる基、たとえばHAL基およびUVA基である。このような基を有する化合物(II)の制限のない例は、ヒドロキシル官能性ベンゾトリアゾール、たとえばCGL−104((3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロピル−3−[3’−(2’’−ベンゾトリアゾリル)−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチル]フェニルプロピオネート、CAS# 325817-05-8、Cytec社)および構造(IId)および(IIe):
【化4】

【0012】
【化5】

[式中、構造(IIe)のR基は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基である]の化合物である。
【0013】
一の実施態様において、架橋可能な基および塗膜特性を改質する基から選択された官能基を有するウレトジオン化合物は、構造(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId1)および(IIId2):
【化6】

【0014】
【化7】

[式中、X、R、R、R、およびnは前記に示すとおりである]から選択された構造を有していてもよい。同様に、ヒドロキシル基またはアミン基と、塗膜特性を改質する基を有する他の化合物と、化合物(I)とを反応させることによって生じた化合物(III)は、ヒドロキシル基またはアミン基と、塗膜特性を改質する基とウレトジオン基を結合する化合物(I)のイソシアネート基との反応により生じるウレタン結合または尿素結合を有していてもよい。さらに塗料組成物は、複数個の活性水素基を有する材料、たとえばポリオール化合物、ポリオールオリゴマーまたはポリオールポリマー、および構造(IIIa)または(IIIc)の化合物の場合には、共有結合を形成するために、硬化条件下でカルバメート基、環状カーボネート基または(構造(IIIc)の場合には)その双方と反応性の複数個の基を有する材料を含む。
【0015】
一の実施態様において、構造(IIIb)または(IIIc)を有する架橋可能な基から選択された官能基を有するウレトジオン化合物は、さらにウレトジオン環を保存する条件下でアンモニアと反応して、構造(IIIb)の化合物の反応生成物として構造(IIIe):
【化8】

[式中、X、R、およびRは前記に示したとおりであり、かつそれぞれのRは独立して構造
【化9】

を有する]を含有する化合物を製造するか、あるいは構造(IIIc)の化合物の反応生成物として構造(IIIf):
【化10】

[式中、X、R、R、およびRは前記に示したとおりである]を含有する化合物を生じる。
【0016】
さらに、塗料組成物を支持体、たとえば自動車ボデーまたは部品に塗布し、かつ塗布された塗膜を硬化させる方法が開示されている。
【0017】
さらに、塗料組成物から誘導された硬化した塗膜が開示されている。
【0018】
本明細書中で使用された"a"および"an"とは、対象物が「少なくとも1個」存在し、可能な場合には複数個存在していてもよいことを示す。値に「約」を付す場合には、計算値または測定値がその値において幾分か厳密性に欠くものであってよいことを示す(値における正確性のためのいくつかのアプローチを含み;概算的または適度にその値に近いもの;ほぼ)。いくつかの理由から、「約」によりもたらされた不正確性は、別記しない限りにおいて一般的意味の範囲であると理解され、したがって、ここで使用される「約」は、少なくとも、このようなパラメータを測定または使用する一般的な方法からもたらされてもよいバリエーションを示す。さらに、範囲の開示は、全範囲内のすべての値およびさらに分割した範囲の開示を含む。
【0019】
発明の詳細な説明および実施態様
さらなる適用分野および利点は、以下の記載により明らかとなる。この記載および特別な例は、本発明の種々の実施態様を例証する限りにおいて、例証目的を意図するものであり、かつ本発明の範囲を何ら制限するものではない。
【0020】
硬化可能な組成物は、1個のウレトジオン基、ならびに架橋可能な基および塗膜特性を改質する基から選択された複数個の官能基を有するウレトジオン化合物を含む。硬化可能な塗料組成物の製造において、ウレトジオン基は、自己保護されたジイソシアネートの等価物として作用し、これにより、ウレトジオン化合物とさらなる官能基と合成の間に、ウレトジオンジイソシアネート二量体(I)と、さらなる官能基を有する化合物(II)との付加反応、および塗料硬化の間において、活性水素含有基との後続の反応のために、イソシアネート官能性の保存を可能にする。
【0021】
塗料組成物を製造するための第1工程において、構造(I)
【化11】

[式中、それぞれRは独立して1〜12個の炭素原子を有するアルキレン基、5〜12個の炭素原子を有するアリーレン基、および6〜15個の炭素原子を有するアリールアルキレン基およびアルキルアリーレン基から選択され、その際、アルキレン基、アリールアルキレン基のアルキレン部分、およびアルキルアリーレン基のアルキル部分は直鎖、分枝または環状であってもよい]を有するウレトジオンジイソシアネート二量体化合物前駆体(I)は、1個の活性水素基を有し、かつ架橋可能な基および塗膜特性を改質する基から選択された少なくとも1個の官能基を有する化合物(II)と反応させて、架橋可能な基および塗膜特性を改質する基から選択された複数個の官能基を有するウレトジオン化合物を形成し、その際、反応は、化合物(I)のウレトジオン基ではないイソシアネート基が、化合物(II)の活性水素と反応する条件下で実施される。
【0022】
方法の特別な例において、化合物(II)は、構造(IIa)または(IIb)
【化12】

[式中、XはOまたはNRであり、その際、Rは、Hまたは1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、nは1〜4個、特に1または2個であり、かつRは12個までの炭素原子を有し、かつ場合によっては1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基であり、その際、ヘテロ原子は、特に、エーテル、エステル、アミド、第3級アミン、尿素およびウレタン基から選択された基の一部分であってもよい]の1個の架橋可能な基を有する化合物、および構造の塗膜特性を改質する基を有する化合物、および/または構造(IIc1)または(IIc2)
【化13】

[式中、それぞれRは独立して1〜10個の炭素原子を有し、かつRは前記に示すとおりである]を有する塗膜特性を改質する基を有する化合物から選択されてもよい。
【0023】
化合物(II)の他の例は、ヒドロキシル基とグリシジル基を有する化合物、たとえばグリシドール、あるいはカルボキシル基を有する化合物、たとえばヒドロキシプロピオン酸を含む。化合物(II)のさらなる例は、ヒドロキシル基を有し、かつUVA基、たとえばベンゾトリアゾール基、ベンゾフェノン基、トリアジン基、シンナメート基、シアノアクリレート基、ジシアノエチレン基、またはパラアミノベンゾエート基を有する化合物であるか;あるいはヒドロキシル基およびHALs基(これは、第3級アミンおよび完全置換されたα炭素を有する環である)を有する化合物、たとえば構造(IId)および(IIe):
【化14】

[式中、構造(IIe)のR基は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基である]の化合物を含む。
【0024】
いくつかの実施態様において、それぞれRは独立して4または6個の炭素の二価のヒドロカルビレン、イソホロニレン二価ラジカル
【化15】

シクロヘキシレン二価ラジカル、またはトリレン二価ラジカルであり;かつ、任意の実施態様において、Rはメチレンまたは二価のポリラクトンラジカル
【化16】

[式中、nは3〜6であり、かつmは1〜約10の整数であり、かつ随意にmは1〜約4である]である。
【0025】
構造(I)および(II)の化合物は、商業的に入手可能である。構造(I)のウレトジオンは、たとえば公知方法によるジイソシアネートの二量化(たとえば、米国特許出願公開US 2007/0032594参照)によって製造されてもよい。ジイソシアネートの(イソシアヌレートを形成するための)任意の三量化もさらに生じてもよい。商業的に入手可能なウレトジオンは、ジイソシアネートの相当するイソシアヌレートを5〜30質量%を含有するものであってもよい。必ずしも好ましいものではないが、三量体化合物の存在は、一般には、第1反応段階またはそれ以降の反応段階における問題を生じさせることはないが、しかしながら、ウレトジオンとジイソシアネートのイソシアヌレートとの混合物を使用する場合には、オリゴマー生成物は、さらにイソシアヌレートと化合物(II)との反応生成物を含有することが予想されうる。一つの例において、化合物(I)はヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオンを含有し、これは、DESMODUR(登録商標)N3400(ウレトジオンとヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートとの混合物)としてBayer Corporation, Pittsburgh PAから商業的に入手可能であるか、あるいはDESMODUR(登録商標)XP-2730として入手可能である。
【0026】
第一の工程段階において使用されてもよい少なくとも1個の架橋可能な基を有する化合物(II)の制限のない例は、ヒドロキシプロピルカルバメート、ヒドロキシブチルカルバメート、グリセリンカーボネート、2−ヒドロキシエチル−N−メチルカルバメート、ヒドロキシアルキル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−プロパンジオールモノカルバメート、これらアルコールの相当するポリカプロラクトン伸長部(この場合、これはBammelら、米国特許5,760,127号公報に記載されているようにして製造することができる、ここでは参考のために示す)およびこれらの組合せを含む。第一の工程段階において使用されてもよい塗膜特性を改質する少なくとも1個の基を有する化合物(II)の制限のない例は、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、1−オクタデカノール、グリシドール、ヒドロキシプロピオン酸、および前記構造(IId)および(IIe)の化合物を含む。
【0027】
この方法の反応において、ウレトジオン化合物(I)を、化合物(I)1モルあたり約2モルまたはそれ以上の化合物(II)を、化合物(I)の双方の末端イソシアネート基が反応するようにして反応させることによって化合物(II)と結合させる。第1工程の反応は、イソシアネート基と、構造(IIa)の−XH基または構造(IIb)の−OH基との反応のための一般的条件下で実施されてもよいが、但し、ウレトジオン基は、選択された反応条件下で反応しない。一の実施態様において、第1段階の反応は、約20℃〜約100℃の温度で、場合によっては触媒の存在下で実施される。他の実施態様において、反応は約20℃〜約80℃の温度でか、あるいは約50℃から約80℃の温度で、再度場合によっては触媒の存在で実施することができる。100℃を上回る温度が一般に好ましくない場合には、このような温度は、反応条件下で、選択された化合物(I)のウレトジオン基が、任意の相当程度に開環しない(かつ、好ましくは全く開環しない)場合に使用してもよい。
【0028】
第一段階の反応の間に使用することができる、適した触媒の制限のない例は、第3級アミン、たとえばトリエチレンアミン、DABCO、およびオルガノ錫化合物およびオルガノビスマス化合物、たとえばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキシド、ビスマスオクトエート、およびこれらの組合せを含む。使用する場合の触媒の量は、一般に化合物(I)および(II)の全質量に対して、一般に約0.01〜約5質量%である。一の実施態様における触媒は、化合物(I)および(II)の全質量に対して約0.05〜約2質量%であってもよいか、あるいは化合物(I)および(II)の全質量に対して約0.1〜約1質量%であってもよい。
【0029】
ウレトジオン前駆体化合物(I)と、イソシアネートと反応性の活性水素を有する1個の基、および架橋可能な基および塗膜特性を改質する基から選択された少なくとも1個の官能基を有する化合物(II)との反応はそのままか、あるいは1種またはそれ以上の非プロトン性(かつそれにより非反応性の)溶剤の存在下で実施されてもよい。適した溶剤の制限のない例は、脂肪族および芳香族炭化水素、たとえばトルエン、キシレンおよびAromatic 100(たとえばExxonMobilより、SOLVESSO 100として入手可能)、ケトン、たとえばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、およびメチルプロピルケトン、エステル、たとえばプロピルアセテート、ブチルアセテート、アミルアセテート、エチルプロピオネートおよびプロピルプロピオネート;およびグリコールジエーテルおよびエーテルエステル、たとえばエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート;等である。適した溶剤は、組み合わせて使用することができる。
【0030】
反応は、遊離イソシアネート基の消失に引き続いておこなってもよく、これは、たとえば滴定(たとえば、過剰量の第2級アミンと反応させ、かつ残留アミンを酸で滴定する)によってか、あるいは赤外分光分析法によって測定することができる。反応は、大気圧下で実施することができるが、しかしながらより高い圧力を使用してもよい。第一段階の反応生成物である化合物(III)は、第二段階で使用される前に単離されてもよいか、あるいは第二反応段階で単離または精製することなしに使用されてもよい。完了までの反応時間はファクターに応じて可変であり、反応の実施に関して熟練した者であれば、このファクターが、たとえば触媒の存在または不在、触媒の型、反応温度、選択された特定の反応体、および反応媒体中の反応体濃度であることを予測すべきである。
【0031】
化合物(I)と(II)との反応は、化合物(I)のウレトジオン基ではないイソシアネート基が反応して、構造(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および(IId):
【化17】

【0032】
【化18】

[式中、X、R、R、Rおよびnは前記に示すとおりである]の少なくとも1個を含有する化合物(III)を形成する条件下で実施する。さらに塗料組成物は、複数個の活性水素基を有する材料、たとえばポリオール化合物、ポリオールオリゴマーまたはポリオールポリマーを有する材料を含み、かつ構造(IIIa)〜(IIIc)の化合物の場合には、共有結合を形成するために、カルバメート基、環状カーボネート基、または(構造(IIIc)の場合には)双方の基と硬化条件下で反応性の官能基を有する材料を含む。
【0033】
構造(I)および(II)の化合物は、商業的に入手可能である。構造(I)のウレトジオンは、たとえば公知方法によるジイソシアネートの二量化によって製造されてもよい(たとえば米国特許出願公開US2007/0032594号公報参照)。ジイソシアネートの任意の三量化(イソシアヌレートを形成するための)がさらに生じてもよい。商業的に入手可能なウレトジオンは、ジイソシアネートの相当するイソシアヌレートを5〜30質量%を含有していてもよい。必ずしも好ましいものではないが、三量体化合物の存在は、一般には、第1反応段階またはそれ以降の反応段階における問題を生じさせることはないが、しかしながら、ウレトジオンとジイソシアネートのイソシアヌレートとの混合物を使用する場合には、オリゴマー生成物は、さらにイソシアヌレートと化合物(II)との反応生成物を含有することが予想されうる。
【0034】
環状カーボネート基を有する化合物(II)が、第一反応段階中の反応体として使用される場合には、生成物である化合物(III)は、構造(IIIb)および(IIIc)に示すような環状カーボネート基を有していてもよい。構造(IIIc)は、第一段階中で反応した化合物(II)が、環状カーボネートを含む少なくとも1種の基およびカルバメートを含む少なくとも1種の基の双方を含む場合に生じる。いくつかの実施態様において、構造(IIIb)または(IIIc)を含有する化合物(III)は、さらに、未反応のウレトジオン環を維持する適度な条件下でアンモニア(水酸化アンモニウムのその水系であってもよい)と反応し、構造(IIIb)の化合物の反応生成物として構造(IIIe):
【化19】

[式中、X、RおよびRは前記に示すとおりであり、かつそれぞれのRは独立して以下の構造
【化20】

を有する]の化合物を製造するか、あるいは
構造(IIIc)の反応生成物として構造(IIIf):
【化21】

[式中、X、R、R、およびRは上記に示すとおりである]を含有する化合物を製造する。環状カーボネートとアンモニアとの反応は、適度な条件下で、ウレトジオン環が保維持される温度;たとえば室温またはそれ未満、特に10℃またはそれ未満、およびより好ましくは0℃またはそれ未満で実施されてもよい。これは有機溶剤、たとえばメタノール中で実施することができるか、あるいは反応は水、または水および有機溶剤の混合物中で実施することができる。水を単独の溶剤として、あるいは溶剤ブレンドの一部として使用する場合には、水酸化アンモニウムをアンモニアの代わりに使用することができる。代替的に、液体アンモニアを溶剤として使用することができる。
【0035】
架橋可能な基および塗膜特性を改質する基から選択された官能基を有するウレトジオン化合物は、硬化可能な塗料組成物中で、複数個の活性水素基を有する材料と組み合わせるが、但し、ウレトジオン化合物が官能基として1個またはそれ以上の架橋可能な基を有する場合には、それにより硬化可能な塗料組成物は、共有結合を形成するために、硬化条件下で架橋可能な基と反応性である他の官能基を含む。一の実施態様において、少なくとも2個の活性水素を有する基は、式P(XH)[式中、Xは前記に示すとおりであるか、あるいは硫黄原子であり、mは、XがNHである場合には1またはそれ以上の整数であるか、あるいはXがNHでない場合には2またはそれ以上の整数であり、かつPは反応体のm−価の核(core)を示す]によって示されてもよい。一の実施態様において、mは2〜約40の整数であり;mはさらに2〜約20の整数であってもよいか、あるいは2〜約10の整数であってもよい。式P(XH)の材料が、単純な多官能性化合物であってもよい場合には、一の実施態様において式P(XH)の材料がオリゴマーまたはポリマーであり;このような実施態様において、活性水素基は、末端位でか、オリゴマー骨格に沿ってか、あるいはその双方に存在していてもよく、好ましくは複数個の活性水素を用いて、4員のウレトジオン環が切断され、かつ活性水素と反応する硬化条件下で、硬化または架橋された網を形成する。
【0036】
複数個の活性水素を有する材料の活性水素基の制限のない例は、ヒドロキシル基、第1級アミン基、第2級アミン基、およびチオール基である。複数個の活性水素を有する材料は、一の実施態様において、活性水素を含有する基を2〜約40個であるか、あるいは2〜約20個、あるいは2〜約10個有していてもよく(したがって、mが前記数であってもよい)、これは、前記に示すこのような基の例から選択されてもよい。たとえば、式P(XH)の材料は、ポリオール(ジオール、トリオールおよび多官能性ポリオールP(OH)を含む)、ポリアミン(ジアミン、トリアミン、および多官能性ポリアミンP(NRH)を含む)、アミノアルコール(P(OH)(NRH)m−n、(式中、nは少なくとも1であり、かつm未満の整数である))、およびこれらの組合せから選択することができる。特に、複数個の活性水素を有する適した材料の例は、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、3,5,5−トリメチル−2,2−ジヒドロキシメチルヘキサン−1−オール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオールグリセリン、ペンタエリトリット、ジトリメチロールプロパン、ジグリセロールおよびトリメチロールエタン;エチレンジアミン、ジエチレントリエミン、トリエチレンテトラアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、ヘキサメチレンジアミン、1,8−ジアミノオクタン、ジアミノシクトヘキサン2,5−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサンの異性体、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、ノナントリアミン、1−メチルシクロヘキサンジアミンの異性体、他のアルキル置換シクロヘキサンジアミン、たとえばイソプロピル−2,4および/または−2,6−ジアミノシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサンビズ(メチルアミン)、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタン−メチルアミン、2,4’−および4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、3,3’−ジメチル−4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、主な置換基としてメチル基を有するジアミノジシクトヘキシルメタンの異性体(モノメチルジアミノジシクロヘキシルメタン)、3(4)−アミノメチル−1−メチルシクロヘキシルアミン、および架橋したシクロヘキサンジアミン;およびアミノアルコール、たとえばエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−2,2−ジメチルエタノール、2−アミノ−2−エチル、1,3−プロパンジオール(AEPD)、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、1−アミノ−1−メチル−2−ヒドロキシシクロヘキサン、および2−アミノ−2−メチル−1−ブタノール;およびこれらの組合せを含む。
【0037】
活性水素官能性材料がオリゴマーである例は、これに制限されることはないが、ラクトン、たとえばε−カプロラクトンとの縮合によって伸長される前記ポリオールのいずれか;低分子量のヒドロキシ官能性ポリエステル、ポリ尿素、またはポリウレタン;およびダイマー脂肪酸ジオールである。このような材料の特別な例は、ε−カプロラクトンで伸長されたトリメチロールプロパン(これは、トリメチロールプロパン1モルと3〜12モルのε−カプロラクトンとの反応体比で製造することができる)、イソホロンジイソシアネートトリマーと2−エチル−1,3−ヘキサンジオールとの反応生成物、およびPolycin M-365(Vertellus社)を含む。複数個の活性水素を有する材料がポリマーである例は、ヒドロキシル基、第1級アミン基および第2級アミン基を含有するビニルポリマー(特にアクリル酸ポリマー、ポリエステル、ポリ尿素、またはポリウレタン)およびポリシロキサン、スターエステルオリゴマー、ウレタンオリゴマー、およびダイマー脂肪族カルバメート化合物である。
【0038】
ポリマーまたはオリゴマーは、600〜10000の数平均分子量を有していてもよく、かつ活性水素基に対して114〜2000の当量を有していてもよい。ウレトジオン化合物が官能基として1個またはそれ以上の架橋可能な基を有する場合には、架橋可能な塗料組成物は、通常、共有結合を形成するために、硬化条件下で架橋可能な基と反応性の他の官能基を含む。硬化条件下で架橋可能な基と反応性の前記官能基は化合物、オリゴマー、またはポリマーの一部であってもよく;好ましくは、前記化合物、オリゴマー、またはポリマーは、複数個の前記官能基を含むか、および/または複数個の前記官能基に加えて1個またはそれ以上の活性水素基を含む。
【0039】
架橋可能な塗料組成物は、化合物(III)のウレトジオン環を切断することが知られた条件下であって、かつ生じるイソシアネート基が活性水素と反応しうる条件下で硬化されてもよい。適した反応温度は、触媒を使用する場合には、部分的には使用された触媒に依存するものであってもよい。ウレトジオン環の開環のための触媒を使用する場合の典型的な反応温度は、約20℃〜約115℃である、他の実施態様において、反応は約20℃〜約110℃の温度で実施されるか、あるいは約50℃〜約110℃の温度で実施されるか、あるいは約80℃〜約110℃の温度で実施される。硬化可能な塗料組成物中に含まれてもよいウレトジオン環を開環するための適した触媒の制限のない例は、四級化アンモニウムの水酸化物またはフッ化物(米国特許6,914,115、第2欄、第50〜60行および第5欄、第47行〜第6欄、第34行参照);オルガノ金属化合物(米国特許出願公開公報US 2004/0219367、[0016]-[0021]、[0050]-[0053]および[0073]-[0075]参照);テトラアルキルアンモニウムカルボキシレート化合物(米国特許出願公開公報US 2005/0003206、[0017]-[0019]および[0060]-[0061]参照);米国特許出願公開公報US 2005/0096450、[0023]-[0026]、[0038]-[0041]および[0056]-[0071]に記載されたような触媒(参考のために示す);金属アセチルアセトネート、金属水酸化物、および金属アルコキシド、たとえば亜鉛(II)アセチルアセトネート、カルシウムアセチルアセトネート、マグネシウムアセチルアセトネート、アルミニウム(III)アセチルアセトネート、ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート、およびアルミニウム(III)アセチルアセトネート;リン含有触媒(米国特許出願公開公報US 2007/0266897、[0015]および[0028]-[0031]参照);米国特許出願公開公報US 2005/0239992、[0015]-[0018]、[0060]-[0063]および[0088]に記載されたようなオルガノ金属触媒および[0100]に挙げられた触媒(各段落は参考のために示す);米国特許出願公開公報US 2005/00239956、[0015]-[0033]、[0039]-[0057]、[0067]-[0084]、[0101]-[0105]および[0128]-[0136]に記載されたような触媒(参考のために示す);米国特許出願公開公報US 2008/0097025、[0025]-[0029]および[0043]-[0050]に記載されたような触媒(参考のために示す);および米国特許出願公開公報US 2008/0139753、[0014]-[0018]および[0030]-[0042]に記載されたような触媒(参考のために示す)を含んでいてもよく、これらは望ましい場合には組み合わせて使用してもよい。さらに塗料組成物を、ウレトジオン環の開環のための触媒の不在下でより高い温度で硬化することも可能である。一般に、ウレトジオン基と活性水素基との間の硬化反応は、約100℃〜約180℃の温度で実施することができる。一の実施態様において、約120℃〜約160℃の温度が使用される。
【0040】
さらに、(a)少なくとも1種のアミノプラスト樹脂架橋剤を含む硬化可能な塗料組成物が開示される。本発明の目的のためのアミノプラストは、活性窒素と低分子量のアルデヒドとの反応により得られる材料であって、場合によってはさらにアルコール(好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する一価のアルコール)との反応によって、エーテル基を形成する。活性窒素の好ましい例は活性アミン、たとえばメラミン、ベンゾグアナミン、シクロヘキシルカルボグアナミン、およびアセトグアナミン;尿素類、これは、尿素自体、チオ尿素、エチレン尿素、ジヒドロキシエチレン尿素、およびグアニル尿素を含む;グリコールウリル;アミド類、たとえばジシアンジアミド;および少なくとも1個の第1級カルバメート基または少なくとも2個の第2級カルバメート基を有するカルバメート官能性化合物である。アミノプラスト樹脂は、一の実施態様において、アミン/ホルムアルデヒド縮合物であるが、しかしながら他のアルデヒド、たとえばアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、およびベンズアルデヒドを使用してもよい。適したアミノプラスト樹脂の制限のない例は、メラミンホルムアルデヒド樹脂のモノマーまたはポリマー、これは、典型的には1〜6個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルコールを用いて部分的にかまたは完全にアルキル化されたメラミン樹脂を含むもの、たとえばヘキサメトキシメチル化メラミン;メチロール尿素およびシロキシ尿素を含む尿素−ホルムアルデヒド樹脂、たとえばブチル化尿素ホルムアルデヒド樹脂、アルキル化ベンゾグアニミン、グアニル尿素、グアニジン、ビグアニジン、ポリグアニジン、等を含む。
【0041】
適した塗料組成物は、一成分、二成分又は多成分系塗料組成物であってもよく、かつ粉体塗料組成物、粉体スラリー塗料組成物、水系塗料/水性分散液、または溶剤系塗料組成物の形であってもよい。
【0042】
一の実施態様において、硬化可能な組成物はクリアコート塗料組成物である。本明細書中で使用されているように、用語「クリアコート」は、一般には、ベースコートまたはカラーコート層上に塗布される透明なコーティング層に関する。さらに、クリアコートは、一般に支持体上の最外層である。ウレトジオン化合物および活性水素含有材料に加えて、硬化可能なクリアコート塗料組成物はさらに、アミノプラスト樹脂架橋剤と反応性のポリマーまたはオリゴマーを含むものであってもよい。本発明の方法において使用される塗料組成物は、アミノプラスト樹脂架橋剤を含む場合に、硬化反応を増強させるための触媒を含むものであってもよい。制限のない、適した例は、パラトルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェニル酸ホスフェート、モノブチルマレエート、ブチルホスフェート、およびヒドロキシホスフェートエステルである。強酸触媒は、しばしばアミンによりブロックされる。硬化可能な組成物中で使用されてもよい他の触媒はルイス酸、亜鉛塩、および錫塩を含む。
【0043】
1種または複数の溶剤は、塗料組成物中に含まれていてもよい。一般に、溶剤は、架橋反応と干渉しない任意のものであってもよい。一の好ましい実施態様において、溶剤は極性有機溶剤を含む。より好ましくは、溶剤は、極性脂肪族溶剤または極性芳香族溶剤から選択された1種またはそれ以上の有機溶剤を含む。しかしながらさらに好ましくは、溶剤はケトン、エステル、アセテートまたはこれら任意の組合せを含む。有用な溶剤の例は、これに制限されることはないがメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、m−アミルアセテート、エチレングリコールブチルエーテル−アセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、キシレン、N−メチルピロリドン、芳香族炭化水素のブレンド、およびこれらの混合物を含む。もう一つの実施態様において、溶剤は水または水と少量の補助溶剤との混合物である。一般に、プロトン性溶剤、たとえばアルコールおよびグリコールエーテルは、塗料組成物が、場合によるポリイソシアネート架橋剤を含む場合には回避されるが、しかしながら少量のプロトン性溶剤は、イソシアネート基との任意の反応が塗料硬化中で生じることが予測される場合であっても、使用することができる。
【0044】
添加剤、たとえばヒンダードアミン光安定化剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、表面活性剤、安定化剤、湿潤剤、レオロジー調節剤、分散剤、定着剤、等は、塗料組成物中に配合されてもよい。このような添加剤はよく知られており、かつ、塗料組成物に使用されるのに一般的な量で含まれていてもよい。
【0045】
塗料組成物は、吹付塗装によって支持体上に被覆することができる。静電吹付は好ましい方法である。塗料組成物は、硬化後に一般に約20〜約100μmの層厚を提供するために、1回または複数回塗布することができる。
【0046】
塗料組成物は、多くの異なる型の支持体上に塗布することができ、これは金属支持体、たとえば無塗装鋼板、リン酸塩処理された鋼板、亜鉛めっき鋼板、またはアルミニウム;および非金属支持体、たとえばプラスチックおよび複合材料を含む。さらに支持体は、その上にすでに硬化または未硬化のもう一つの塗膜層、たとえば電着プライマー、プライマーサーフェイサー、および/またはベースコートの層を有する、任意の材料であってもよい。
【0047】
支持体に対して塗料組成物を塗布した後に、塗膜は、好ましくは、反応体が不溶性のポリマー網を形成するのに十分な時間に亘り、コーティング層を熱に暴露することによって硬化する。硬化温度は、通常は約105℃〜約175℃であり、かつ硬化時間は、通常は約15分〜約60分である。好ましくは、塗膜は約120℃〜約150℃で、約20分〜約30分で硬化する。
【0048】
一の実施態様において、前記に示すように、塗料組成物は、自動車用複合材料カラープラスクリアコーティングのクリアコートとして使用される。ここで塗布される着色ベースコート組成物は、数多くの公知のものを任意に適用することができ、かつここで詳細な説明は要求されない。ベースコート組成物中で有用であるとして公知のポリマーはアクリル酸ポリマー、ビニルポリマー、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、アルキドおよびポリシロキサンを含む。好ましいポリマーは、アクリル酸ポリマーおよびポリウレタンを含む。ベースコートポリマーは熱可塑性であるが、しかしながら好ましくは架橋可能であり、かつ架橋可能な官能基を1種またはそれ以上の型を含む。このような基は、たとえばヒドロキシ基、イソシアネート基、アミン基、エポキシ基、アクリレート基、ビニル基、シラン基およびアセトアセトネート基を含む。これらの基は、これらがブロックされず、かつ一般的には高められた温度で好ましい硬化条件下で架橋反応な可能な程度にマスキングされるか、あるいはブロッキングされてもよい。好ましい架橋可能な官能基は、ヒドロキシ官能基およびアミノ官能基を含む。
【0049】
ベースコートポリマーは自己架橋性であってもよいか、あるいはポリマーの官能基と反応性の別個の架橋剤を必要としてもよい。ポリマーがヒドロキシ官能基を含む場合には、たとえば架橋剤はアミノプラスト樹脂、イソシアネートおよびブロックトイソシアネート(イソシアヌレートを含む)、および酸または酸無水物官能性架橋剤であってもよい。
【0050】
クリアコート塗料組成物は、一般に工業的に広範囲に実施されるようなベースコート組成物上にウエット・オン・ウエット法により塗布される。塗料組成物は、前記に示すように塗料層が硬化するような条件に暴露される。
【0051】
さらに塗料組成物は、単層のトップコートとしてか、あるいはベースコートとして使用することができる。単層トップコートまたはベースコート組成物は、前記に示すような1種またはそれ以上の顔料を含み、かつ着色および/または金属効果を提供する。オリゴマー(IV)を含む硬化可能なベースコート塗料は、たとえば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシド基、および/またはカルバメート基を有する塗膜形成材料およびアミノプラスト、ポリイソシアネート、ポリエポキシドおよびポリカルボン酸を含む架橋剤を含有する、従来のクリアコート塗料組成物と一緒に使用されてもよい。
【0052】
硬化可能な塗料組成物を塗布する支持体は、自動車のボデーまたは部品であってもよい。塗布された塗料組成物は、その後に硬化してコーティングされた自動車のボデーまたは部品を提供する。
【0053】
さらに本発明を、以下の実施例において詳説する。実施例は単に例証するに過ぎず、かつ、記載および請求されているように本発明の範囲を何ら制限するものではない。すべての部は、別記しない限りにおいて質量部である。
【0054】
実施例
本発明による例1
ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン(Dynasylan 1124、0.519mol)および150mlのキシレンを、窒素下でフラスコに装填し、かつ攪拌した。ヘキサメチレンジイソシアネートのホモポリマー溶液(DESMODUR N3400、0.519当量の遊離NCO、キシレン中67質量%)を、1.5時間に亘ってアミン溶液に滴加した。反応温度を20〜40℃に維持した。反応の程度を、赤外線分光分析装置によりモニタリングし、かつ反応を3〜4時間後のイソシアネートピークの消失時に完全とみなした。
【0055】
2Kの低温焼き付け組成物を、以下のようにして生成物から製造した。ヒドロキシ官能性アクリル酸ポリマーを含むA成分(E222CM001L、BASF Corporationから入手可能、8.35g)をフラスコに装填した。イソシアネート官能基を含むB成分(N52CD063、BASF Corporationから入手可能、2.96g)をフラスコ中に装填し、引き続いてこの実施例中で製造したDynasylan 1124結合したウレトジオン(0.59g、65.28%の非揮発性成分)を装填した。混合物を攪拌し、かつ2分に亘って静置した。ドローダウン(draw down)を金属パネル上で#6ギャップを用いて実施した。このパネルを周囲温度で10分に亘って放置し、かつその後に1時間に亘って232゜Fに置いた。
【0056】
第2の2K低温焼き付け組成物を、A成分(E222CM001L、8.32g)およびB成分(N52CD063、2.99g)およびこの実施例中で製造したDynasylan 1124結合ウレトジオン(1.14g、65.28%の非揮発性成分)から同様にして製造した。この混合物を攪拌し、かつ2分に亘って静置した。ドローダウンを金属パネル上で#6ギャップを用いて実施した。このパネルを周囲温度で10分に亘って放置し、かつその後に1時間に亘って232゜Fで置いた。
【0057】
第3の2K低温焼き付け組成物を、A成分(E222CM001L、8.31g)およびB成分(N52CD063、2.98g)およびこの実施例中で製造したDynasylan 1124結合ウレトジオン(1.17g、65.28%の非揮発性成分)から同様にして製造した。この混合物を攪拌し、かつ2分に亘って静置した。ドローダウンを金属パネル上で#6ギャップを用いて実施した。このパネルを周囲温度で10分に亘って放置し、かつその後に1時間に亘って232゜Fで置いた。
【0058】
第4の2K低温焼き付け組成物を、A成分(E222CM001L、8.35g)およびB成分(N52CD063、3.00g)およびこの実施例中で製造したDynasylan 1124結合ウレトジオン(2.85g、65.28%の非揮発性成分)から同様にして製造した。この混合物を攪拌し、かつ2分に亘って静置した。ドローダウンを金属パネル上で#6ギャップを用いて実施した。このパネルを周囲温度で10分に亘って放置し、かつその後に1時間に亘って232゜Fで置いた。
【0059】
本発明による例2
N−(n−ブチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシリルプロピル)アミン(Dynasylan 1189、0.519mol)および250mlのキシレンを、窒素の存在下でフラスコに装填し、かつ攪拌した。ヘキサメチレンジイソシアネートのホモポリマー溶液(DESMODUR N3400、0.519当量の遊離NCO、キシレン中67質量%)を、アミン溶液に2.5時間に亘って滴加した。反応温度を20〜40℃に維持した。反応の程度を、赤外分光分析装置によりモニタリングし、かつ反応を、3〜4時間後にイソシアネートピークの消失により完了とみなした。
【0060】
2Kの低温焼き付け組成物を、以下のようにして生成物から製造した。A成分(E222CM001L、8.33g)を、フラスコに装填した。B成分(N52CD063、3.00g)をフラスコ中に装填し、引き続いてこの実施例中で製造したDynasylan 1189結合したウレトジオン(0.58g、53.65%の非揮発性成分)を装填した。混合物を攪拌し、かつ2分に亘って静置した。ドローダウンを金属パネル上で#6ギャップを用いて実施した。このパネルを周囲温度で10分に亘って放置し、かつその後に1時間に亘って232゜Fで置いた。
【0061】
第2の2K低温焼き付け組成物を、A成分(E222CM001L、8.32g)およびB成分(N52CD063、2.99g)およびこの実施例中で製造したDynasylan 1189結合ウレトジオン(1.17g、53.65%の非揮発性成分)から同様にして製造した。この混合物を攪拌し、かつ2分に亘って静置した。ドローダウンを金属パネル上で#6ギャップを用いて実施した。このパネルを周囲温度で10分に亘って放置し、かつその後に1時間に亘って232゜Fで置いた。
【0062】
第3の2K低温焼き付け組成物を、A成分(E222CM001L、8.35g)およびB成分(N52CD063、2.99g)およびこの実施例中で製造したDynasylan 1189結合ウレトジオン(1.70g、53.65%の非揮発性成分)から同様にして製造した。この混合物を攪拌し、かつ2分に亘って静置した。ドローダウンを金属パネル上で#6ギャップを用いて実施した。このパネルを周囲温度で10分に亘って放置し、かつその後に1時間に亘って232゜Fで置いた。
【0063】
第4の2K低温焼き付け組成物を、A成分(E222CM001L、8.38g)およびB成分(N52CD063、3.00g)およびこの実施例中で製造したDynasylan 1189結合ウレトジオン(2.86g、53.65%の非揮発性成分)から同様にして製造した。この混合物を攪拌し、かつ2分に亘って静置した。ドローダウンを金属パネル上で#6ギャップを用いて実施した。このパネルを周囲温度で10分に亘って放置し、かつその後に1時間に亘って232゜Fで置いた。
【0064】
本発明による例3
ヒドロキシプロピルカルバメート(HPC、0.493mol、58.7g)、ジブチル錫ジラウレート(DBTL、Fastcat 4202、0.00025mol、0.16g)、およびメチルプロピルケトン(MPK、200ml)を、窒素下でフラスコに装填した。攪拌しながら、この混合物を60℃に加熱した。MPK(50ml)中のヘキサメチレンジイソシアネート(DESMODUR N 3400、0.298mol、100g)の溶液をHPC溶液に1.5時間に亘って滴加した。反応温度を60〜80℃に亘って維持し、かつ反応をIRによりモニタリングした。反応を、IRによるイソシアネートピークの消失により5時間後に完了したとみなした。
【0065】
塗料を、この実施例中で製造したヒドロキシプロピルカルバメート結合ウレトジオンと一緒に製造した。この実施例のヒドロキシプロピルカルバメート結合ウレトジオン(8.90g、43.34%非揮発性成分)、Polycin M-365(ポリオール、2.04g、OH#365)、Resimene HM 2608(0.26g、イソブタノール中90%)、および亜鉛アセチルアセトネート水和物(0.09g)をフラスコに装填し、かつ亜鉛アセチルアセトネート水和物が溶解するまで攪拌した。ドローダウンを金属パネル上で#8ギャップを用いて実施した。このパネルを110℃で1時間に亘って置いた。
【0066】
第2の塗料を製造した。この実施例のヒドロキシプロピルカルバメート結合ウレトジオン(8.90g、43.34%非揮発性成分)、Polycin M-365(ポリオール、2.04g、OH#365)、Resimene HM 2608 (0.26g、イソブタノール中90%)、および亜鉛アセチルアセトネート水和物(0.09g)をフラスコに装填し、かつ亜鉛アセチルアセトネート水和物が溶解するまで攪拌した。ドローダウンを金属パネル上で#8ギャップを用いて実施した。このパネルを周囲温度で20分に亘って置いた。このパネルを110℃で1時間に亘って置いた。
【0067】
第3の塗料を製造した。この実施例のヒドロキシプロピルカルバメート結合ウレトジオン(8.92g、43.34%非揮発性成分)、Polycin M-365(ポリオール、2.02g、OH#365)、Resimene HM 2608 (0.25g、イソブタノール中90%)をフラスコに装填し、かつ攪拌した。ドローダウンを金属パネル上で#8ギャップを用いて実施した。このパネルを110℃で1時間に亘って置いた。
【0068】
本発明は、これらの好ましい実施態様に関して詳説される。しかしながら、本発明および以下の請求項に記載の発明の趣旨および範囲を逸脱することなしにその変更および改変はなされうると理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1個のウレトジオン基、ならびに架橋可能な基および塗膜特性を改質する基から選択された複数個の基を含有する化合物、および
(b)複数個の活性水素含有基を有する材料
を含む、硬化可能な塗料組成物。
【請求項2】
活性水素含有基がヒドロキシル基、第1級アミン基、第2級アミン基、活性メチレンのプロトン(たとえば2,4−アルカンジオンまたはアルキルアセトアセテートのプロトン)、およびこれらの組合せから選択される、請求項1に記載の硬化可能な塗料組成物。
【請求項3】
化合物(a)が架橋可能な基を含有し、かつ塗料組成物が、硬化条件下で架橋可能な基と反応性の架橋剤をさらに含む、請求項1に記載の硬化可能な塗料組成物。
【請求項4】
架橋可能な基がカルバメート、環状カーボネート、活性アルケン、F−Si−(式中、Fはヒドロキシル、RO−、またはRCOであり、かつRは1〜6個の炭素を有するアルキル基である)、エポキシド、酸、アミノプラスト、およびこれらの組合せから成る群から選択される、請求項3に記載の硬化可能な塗料組成物。
【請求項5】
化合物(a)が、シリル基、12個を上回る炭素鎖の脂肪族アルキル基、ヒンダードアミン光安定化剤(HALS)基、紫外線吸収剤(UVA)基、およびこれらの組合せからなる群から選択された基を含有する、請求項1に記載の硬化可能な塗料組成物。
【請求項6】
材料(b)が、ポリオール化合物、ポリオールオリゴマー、ポリオールポリマー、およびこれらの組合せから成る群から選択されたものを含む、請求項1に記載の硬化可能な塗料組成物。
【請求項7】
化合物(a)が以下:
【化1】

【化2】

[式中、XはOまたはNRであり、その際、RはHまたは1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり;nは1〜4であり、特に1または2であり;かつRは12個までの炭素原子および場合によっては1個または複数個のヘテロ原子を有するアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルであり、それぞれのRは独立して1〜12個の炭素原子を有するアルキレン基、5〜12個の炭素原子を有するアリーレン基、および6〜15個の炭素原子を有するアリールアルキレン基およびアルキルアリーレン基であり、かつそれぞれRは独立して以下の構造:
【化3】

を有する]から成る群から選択された構造を含む、請求項1に記載の硬化可能な組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の硬化可能な塗料組成物の層を製品に塗布し、かつ塗布された層を硬化させることによって製造された、コーティングされた製品。
【請求項9】
(a)ウレトジオン化合物(I)
【化4】

[式中、それぞれRは独立して1〜12個の炭素原子を有するアルキレン基、5〜12個の炭素原子を有するアリーレン基、および6〜15個の炭素原子を有するアリールアルキレン基およびアルキルアリーレン基から選択され、その際、アルキレン基、アリールアルキレン基のアルキレン部分、およびアルキルアリーレン基のアルキル部分は直鎖、分枝または環状であってもよい]と、1個の活性水素基、ならびに架橋可能な基および塗膜特性を改質する基から選択された少なくとも1個の官能基の双方を有する化合物(II)とを反応させて、架橋可能な基および塗膜特性を改質する基から選択された複数個の官能基を有するウレトジオン化合物を形成し;かつ、
(b)複数個の官能基を有するウレトジオン化合物と複数個の活性水素基を有する材料を、硬化可能な塗料組成物中で組合せる、
ことを含む、塗料組成物を製造する方法。
【請求項10】
化合物(II)が、以下:
【化5】

[式中、XはOまたはNRであり、その際、RはHまたは1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり;nは1〜4であり、特に1または2であり、かつRは12個までの炭素原子および場合によっては1個またはそれ以上のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルである]からなる群から選択されたものを含む、請求項9に記載の塗料組成物を製造する方法。
【請求項11】
化合物(II)が、以下:
【化6】

[式中、Rは1〜12個の炭素原子を有するアルキル基である]から成る群から選択されたものを含む、請求項9に記載の塗料組成物を製造する方法。
【請求項12】
複数個の活性水素基を有する材料がポリオールである、請求項9に記載の塗料組成物を製造する方法。
【請求項13】
複数個の活性水素基を有する材料が、ポリオールオリゴマーまたはポリオールポリマーである、請求項12に記載の塗料組成物を製造する方法。

【公表番号】特表2012−527513(P2012−527513A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511830(P2012−511830)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/028308
【国際公開番号】WO2010/135021
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】