説明

ウレトジオン構造を有するオリゴマー、その製造方法、それを被覆する被覆組成物、及びそれらの硬化被覆

オリゴマーは、構造(I)[式中、それぞれR1は独立して炭素原子1〜12個を有するアルキレン基、炭素原子5〜12個を有するアリーレン基、並びに炭素原子6〜15個を有するアリールアルキレン基及びアルキルアリーレン基から選択され、その際アルキレン基、アリールアルキレン基のアルキレン位、及びアルキルアリーレン基のアルキル位は、直鎖、分枝鎖又は環状であってよい]のウレトジオン化合物を、活性水素を有しかつカルバメート基又は環状カルボネート基を有する化合物でキャッピングすることによって製造されてよく、その際その反応を、ウレトジオン基ではない化合物(I)のイソシアネート基が反応する条件下で実施して化合物(III)を形成し、その際化合物(III)を、ポリオール、第一級アミン基及び第二級アミン基から選択される少なくとも2つのアミン基を有するポリアミン、並びに第一級アミン基又は第二級アミン基である少なくとも1つのアミン基を有するアミノアルコールから選択される少なくとも2つの水素含有基を有する反応物と反応させて、オリゴマーを得る。あらゆる環状カルボネート基は、カルバメート基に転化されてよい。繰り返しモノマー単位の構造を有するオリゴマーが開示されており、その際nは1〜4の整数であり、かつR1は前記で定義されている。また、少なくとも1つの開示したオリゴマー及び少なくとも1つのアミノプラスト樹脂を含有する硬化性被覆組成物、該被覆組成物で基材を被覆する方法、該被覆組成物由来の硬化した被覆、及び硬化した被覆を有する被覆した基材も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載されている発明は、オリゴマー、オリゴマーを製造する方法、かかるオリゴマーを含有する被覆組成物、及びかかる被覆組成物から由来する硬化被覆に関する。
【0002】
発明の背景
この段落は、先行技術に含まれてよい、又は含まれてはいけない、本発明の開示に関する背景技術を提供する。
【0003】
オリゴマーは、硬化性組成物、例えば被覆組成物における有用な成分である。オリゴマーは、被覆系において、例えば硬化させた、架橋させたフィルムを形成するための硬化条件下で反応を受ける希釈液又は硬化剤として使用されうる。オリゴマーを製造する際の1つの問題は、多官能価反応物を使用する場合に形成されうる種々のオリゴマーによる、一定した同一性、分子量又は双方のオリゴマーを製造することである。二官能価反応物から形成される直鎖のオリゴマーの本質的に過度に単純化されたシステムは、克服されている。三官能性又はさらに高い官能性の反応物を使用する実施は、他の多官能価材料でゲル化した材料を製造している。多官能性反応物を使用する場合に同時に生じうる多数の反応を制御することである固有の困難さによって、バッチ間からの一定した製造でオリゴマー組成物を製造することは難しい。保護群は、問題点、例えば前記を扱うための1つの方法であってよいが、しかしそれらの除去が、一般に、追加の反応工程、及び多くの場合に追加の精製工程を要求するさらに、キャッピング化合物に対する種々の官能基の中の選択性の欠如は、全ての官能基がブロックされるもの、及び官能基の不十分な量がブロックされるものを含み、結果として最終生成物における種類の分布をもたらす、避けられない生成物の混合物をもたらす。
【0004】
従って、より一定した同一性のオリゴマーを容易にかつ一定して形成する方法に関する技術が要求されているままである。さらに、オリゴマーは、オリゴマーの同一性及び分子量が、被覆組成物の特性、例えば揮発性有機含分、硬化温度及び物理的に硬化したフィルム特性がオリゴマーを包含することによって改良される場合に、被覆組成物において有用であってよい。
【0005】
概要
前記欠点及び不都合は、少なくとも部分的に、以下:
式(I)
【化1】

[式中、それぞれR1は、独立して、炭素原子1〜12個を有するアルキレン基、炭素原子5〜12個を有するアリーレン基、並びに炭素原子6〜15個を有するアリールアルキレン基及びアルキレンアリーレン基から選択され、その際アルキレン基、アリールアルキレン基のアルキレン位、及びアルキルアリーレン基のアルキル位は、直鎖、分枝鎖又は環状であってよい]で示されるウレトジオン化合物の1モルと、
イソシアネートと反応する活性水素を有する1つの基及び第一級カルバメート基(例えば式(IIa)の化合物)又は環状カルボネート基(例えば式(IIb)の化合物):
【化2】

[式中、Xは、O又はNR2であり、R2は、H又は炭素原子1〜6個を有するアルキルであり;nは、1〜4であり、ある実施態様においては1又は2であり;かつRは、炭素原子12個までを有し、かつ場合により1つ以上のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキルであり、その際いくつかの特定の実施態様におけるヘテロ原子は、エーテル、エステル、アミド、第三級アミン、尿素及びウレタン基から選択される一部であってよい]から選択される式(II)の2モルとを反応することを含む方法によって取り組まれ、その際、前記反応は、化合物(I)のウトレジオン基ではなくイソシアネート基が反応して、少なくとも1つの式(IIIa)、(IIIb)及び(IIIc):
【化3】

[式中、X、R1、R2及びnは、前記で定義されているものである]を含む化合物(III)を形成する条件下で実施される。
【0006】
ある実施態様において、構造(IIIb)又は(IIIc)を有する化合物(III)は、さらに、ウトレジオン構造を保存する反応条件下でアンモニアと反応して、構造(IIIb)の化合物を有する反応生成物として構造(IIId)
【化4】

[式中、X、R及びR1は、前記で定義されているものであり、かつそれぞれR3は、独立して、構造
【化5】

を有する]を有する化合物を製造するか、又は、構造(IIIc)の化合物を有する反応生成物として構造(IIIe)
【化6】

[式中、X、R、R1及びR3は、前記で定義されているものである]を有する化合物を製造する。
【0007】
硬化可能なオリゴマーは、化合物(III)(その構造(IIIa)〜(IIIb)の1つ以上として)は、さらに、ポリオール、第一級アミン基及び第二級アミン基から選択される少なくともとも2つのアミンを有するポリアミン、並びに第一級又は第二級アミン基である少なくとも1つのアミン基を有するアミノアルコールから選択される少なくとも2つの活性水素含有基を有する反応物と反応して、オリゴマーである生成物を形成してよい。少なくとも2つの活性水素を含有する反応物は、式P(XH)m、[式中、Xは前記で定義されたとおりであり、mは、XがNHである場合に1以上である整数であり、又はXがNH出ない場合に2以上であり、かつPは反応物のm価のコアを示す]によって示されてよい。ある実施態様において、mは、2〜約40の整数であり、mは、2〜約40、又は2〜約10の整数であってよい。反応物P(XH)mは単純な多官能価化合物であってよいが、一方で、ある実施態様において、反応物P(XH)mは、それ自体オリゴマー又はポリマーであってよく、かかる実施態様において、アルコール及び/又はアミン基は、オリゴマーもしくはポリマー骨格、又は双方に沿って位置する末端位であってよい。構造(IIIa)を有する化合物を反応物P(XH)mと反応させる場合に、その生成物は、構造(IVa)
【化7】

[式中、R、X、R1、P及びmは、前記で定義されたものである]を有する材料を含む。構造(IIIb)を有する化合物を反応物P(XH)mと反応させる場合に、その生成物は、構造(IVb)
【化8】

[式中、R、X、R1、P、n及びmは、前記で定義されたものである]を有する材料を含む。構造(IIIc)を有する化合物(III)を反応物P(XH)mと反応させる場合に、その生成物は、構造(IVa)を有する材料と構造(IVb)を有する材料との混合物である。
【0008】
構造(IIId)を有する化合物(III)は、ウレトジオン環を、触媒、熱又は双方で開口することによって塊状重合されてよく、得られたモノイソシアネート、モノヒドロキシ化合物は、自己縮合して、構造(IVc)
【化9】

の繰り返しモノマー単位を有するオリゴマーを形成する。少量のモノヒドロキシ化合物又は単一のイソシアネート反応基を有する他の化合物は、生成物に関して所望の質量平均分子量で重合を停止させるために導入されてよい。
【0009】
構造(IIIe)を有する化合物(III)は、ウレトジオン環を開口する条件下で、多官能価の及び一官能価の活性水素含有化合物の混合物と反応し、塊状重合生成物と共重合生成物との混合物を提供してよく、ウレトジオン化合物の一方は構造(IVc)のモノマー単位に前駆体を製造し、一方は一官能価イソシアネート化合物を製造する。
【0010】
(a)少なくとも1つのオリゴマー(IV)及び(b)少なくとも1つのアミノプラスト樹脂架橋剤を含む硬化性被覆組成物も開示されている。前記被覆組成物は、基材、例えば自動車体又は自動車部品に被覆され、そして硬化されてよい。
【0011】
被覆組成物から分けられた硬化被覆も開示する。
【0012】
本願明細書において使用される場合に単数形は、この項目の"少なくとも1つ"が存在することを意味し、この項目の複数は、可能な場合には存在することができる。"約"は、数値に対して適用される場合には、計算又は測定により、値においていくらかのささいな不正確性が生じる可能性があることを意味する(前記値における正確さに幾らか近づいて;おおよそ又はこの数値にかなり近い;ほぼ)。幾つかの理由から、"約"により提供される正確性が、この通常の意味合いを有した様式で理解されない限りは、本出願において使用される"約"は、少なくとも、かかるパラメータを測定又は使用する通常の方法から生じてよい偏差を示唆する。さらに、開示の範囲は、全ての値、及びさらに全体位の範囲内で分割された範囲の開示を含む。
【0013】
詳細な明細書及び実施の実施態様
適用性及び利点のさらなる範囲は、次の明細書から明らかになる。明細書及び特定の実施例は、本発明の種々の実施態様を例示する一方で、説明の目的のために意図され、かつ本発明の範囲を制限することを意図しないことを理解すべきである。
【0014】
前記のように、特にそれらが反応物の反応基の中で反応性における違いがない場合に、多官能性反応物を使用する場合に同時に生じうる多数の反応を制御することである固有の困難さによって、バッチ間からの一定した製造でオリゴマー組成物を製造することが困難であってよい。保護群は、問題点、例えば前記を扱うための1つの方法であってよいが、しかしそれらの除去が、一般に、追加の反応工程、及び多くの場合に追加の精製工程を要求する本発明において、オリゴマーの形成における反応物として、自己保護されたジイソシアネート(構造(I)のウレトジオン化合物)の当量を使用するオリゴマーの形成方法を記載している。ウレトジオン基が化合物(II)との反応を受けないように、ウレトジオン基を後で開裂して、反応物P(XH)mとの反応のために2つのモノイソシアネート化合物を提供する。
【0015】
オリゴマー(IV)を製造するための方法の第一工程において、構造(I)
【化10】

[式中、それぞれR1は、独立して、炭素原子1〜12個を有するアルキレン基、炭素原子5〜12個を有するアリーレン基、及び炭素原子6〜15個を有するアリールアルキレン基及びアルキルアリーレン基から選択され、その際アルキレン基、アリールアルキレン基のアルキレン位、及びアルキルアリーレン基のアルキル位は直鎖、分枝鎖又は感情であってよい]を有する化合物(I)は、活性水素基及びカルバメート基又は環状カルボナート基の双方を有する化合物(II)と反応され、その際化合物(II)は、構造(IIa)、構造(IIb)
【化11】

[式中、XはO又はNR2であり、R2はH又は炭素原子1〜6を有するアルキルであり、ある実施態様においてXはPであり、nは1〜4であり、ある実施態様においては1又は2であり、かつRは、炭素原子12個までを有し、場合により1つ以上のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキルであり、その際いくつかの特定の実施態様におけるヘテロ原子は、エーテル、エステル、アミド、第三級アミン、尿素及びウレタン基から選択される群の一部であってよい]、又は双方の構造の組合せを有してよい。いくつかの実施態様において、それぞれR1は、独立して、炭素原子4〜6個の二価のヒドロカルビレン、イソホロニレンの二価の遊離基
【化12】

、シクロヘキシレンの二価の遊離基、又はトリレンの二価の遊離基であり、かつある実施態様において、Rは、メチレン又は二価のポリアセトン基
【化13】

[式中、nは3〜6の整数であり、かつmは1〜約10の整数であり、ある実施態様においてmは1〜約4の整数である]である。構造(I)及び(II)の化合物は、市販されている。構造(I)のウレトジオンは、例えば米国特許出願番号US 2007/0032594において記載されているような公知の方法に従ったジイソシアネートのジメチル化によって製造されてよく、参照をもって本明細書に組み込まれたものとする。ジイソシアネートのいくつかのトリメチル化(イソシアヌレートを形成するため)が生じてもよい。ウレトジオンの工業源は、ジイソシアネートのイソシアヌレートに対応する5〜30質量%を含んでよい。好まれる必要性がない一方で、トリマー化合物の存在が、最初の反応工程における又は後の反応工程における問題を一般に生じず、しかし、ウレトジオンと、ジイソシアネートのイソシアヌレートとの混合物を使用する場合に、オリゴマー生成物は、イソシアヌレートの反応生成物及び化合物(II)も含有することが期待されている。一実施例において、化合物(I)は、ウレトジオンと、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートとの混合物である、Bayer CorporationのPittsburgh PA社製のDESMODUR(登録商標)N3400、又はDESMODUR(登録商標)XP−2730として市販されている、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオンを含有する。
【0016】
制限されることなく、第一の反応工程において使用されてよい化合物(II)の例証は、ヒドロキシプロピルカルバメート、ヒドロキシブチルカルバメート、グリセリンカルバメート、2−ヒドロキシエチル−N−メチルカルバメート、ヒドロキシアルキル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−プロパンジオールモノカルバメート、それらのアルコールのポリカプロラクトン伸張(Bammel et al.において期さされた米国特許5,760,127において記載されているように製造されてよく、参照をもって本発明に組み込まれたものとする)、及びそれらの混合物を含む。
【0017】
前記方法の第一工程の反応において、ウレトジオン化合物(I)は、化合物(I)1モル毎に、約2モル以上の化合物(II)を反応することによって、化合物(II)でキャップされて、その結果、化合物(I)の双方の末端のイソシアネート基が反応する。前記第一工程の反応は、イソシアネート基と、構造(IIa)の−XH基又は構造(IIb)の−OH基との反応のための典型的な条件下で実施されてよく、但し、ウレトジオン基は、選択された反応条件下で反応しない。ある実施態様において、前記第一工程の反応は、約20℃〜100℃の温度で、場合により触媒の存在で実施される。ある実施態様においては、前記反応は、約20℃〜約80℃の温度で、又は約50℃〜約80℃の温度で、場合により触媒の存在で実施されてよい。100℃を超える温度は一般に実施されず、かかる温度は、反応条件下で選択された化合物(I)のウレトジオン基があらゆる測定可能な伸張に対して開環しない(及び有利には全く開環しない)場合に使用されてよい。
【0018】
制限されることなく、前記第一工程の反応中に使用されてよい、適した触媒の例証は、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、DABCO、並びに有機スズ化合物及び有機ビスマス化合物、例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキシド、ビスマスオクトエート、並びにそれらの組合せ物を含む。触媒の量は、使用される場合に、一般に、化合物(I)及び(II)の全質量に対して、約0.01〜約5質量%である。ある実施態様における触媒は、化合物(I)及び(II)の全質量に対して、約0.05〜約2質量%であってよく、又は化合物(I)及び(II)の全質量に対して、約0.1〜約1質量%であってよい。
【0019】
前記第一工程の反応は、ストレートで、又は1つ以上の非プロトン(及び従って非反応性)溶剤の存在で実施されてよい。適した溶剤の制限されない例として、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン及びAromatic100(例えばSOLVESSO 100としてExxonMobilから入手可能);ケトン、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びメチルプロピルケトン;エステル、例えばプロピルアセテート、ブチルアセテート、アミルアセテート、エチルプロピオネート及びプロピルプロピオネート;並びにグリコールジエーテル及びエーテルエステル、例えばエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等を含む。適した溶剤は組合せで使用されてもよい。
【0020】
前記反応は、例えば滴定(過剰の第二級アミンとの反応、及び残りのアミンの酸での滴定)によって、又は赤外分光光度法によって測定されてよい、遊離イソシアネート基の消滅に従ってよい。前記反応は、大気圧で実施されてよいが、高圧が使用されetもよい。前記第一工程の反応生成物、化合物(III)を、第二反応工程において使用される前に分離してよく、又は第二反応工程において分離又は生成無しに使用されてよい。完成までの反応時間は、このような反応を実施する当業者が予期すべき要因、例えば触媒の存在又は不在、触媒の種類、反応温度、特定の選択された反応物、及び反応媒体中の反応物の濃度に依存して変動する。
【0021】
前記生成化合物(III)は、少なくとも1つの構造(IIIa)、(IIb)及び(IIIc)
【化14】

[式中、X、R、R1及びnは前記で定義されたものである]を含む。
環状カルボネート基を有する化合物(II)が第一反応工程における反応物として使用される場合に、前記生成化合物(III)は、構造(IIIb)及び(IIIc)において示されるような環状カルボネート基を有する。構造(IIIc)は、第一工程において反応させた化合物(II)が環状カルボネート基を有する少なくとも1つ、及びカルバメート基を有する少なくとも1つを含む場合に、生じる。
【0022】
ある実施態様において、構造(IIIb)又は(IIIc)を有する化合物(III)は、さらに、未反応のウレトジオン環を保存する穏やかな条件下で(水酸化アンモニウムの水溶液型中であってよい)アンモニアと反応して、構造(IIIb)の化合物の反応生成物として構造(IIId)
【化15】

[式中、X、R及びR1は、前記で定義されているものであり、かつそれぞれR3は、独立して、構造
【化16】

を有する]の化合物を製造するか、又は、構造(IIIc)の化合物の反応生成物として構造(IIIe)
【化17】

[式中、X、R、R1及びR3は、前記で定義されているものである]を有する化合物を製造する。環状カルボネート基とアンモニアとの反応は、穏やかな条件下で、ウレトジオン環が保存される温度で、例えば室温以下、特に10℃以下、及びより詳述すれば0℃以下で実施されてよい。前記反応は、有機溶剤、例えばメタノール中で実施されてよく、又は前記反応は水中で、又は水と有機溶剤の混合物中で実施されてよい。水を唯一の溶剤として又は溶剤ブレンドの一部として使用する場合に、水酸化アンモニウムを、アンモニアの代わりに使用してよい。代わりに、液体化アンモニアを溶剤として使用してよい。
【0023】
前記化合物(III)は、少なくとも2つの活性水素を有する反応物と反応される。少なくとも2つの活性水素を含有する反応物は、式P(XH)m、[式中、Xは前記で定義されたとおりであり、mは、XがNHである場合に1以上である整数であり、又はXがNH出ない場合に2以上であり、かつPは反応物のm価のコアを示す]によって示されてよい。ある実施態様において、mは、2〜約40の整数であり、mは、2〜約40、又は2〜約10の整数であってよい。反応物P(XH)mは単純な多官能価化合物であってよいが、一方で、ある実施態様において、反応物P(XH)mは、それ自体オリゴマー又はポリマーであってよく、かかる実施態様において、アルコール及び/又はアミン基は、開裂する4員環のウレトジオン環を生じて活性水素と反応する反応条件下でオリゴマー(V)を形成するための多数の活性水素を有する、オリゴマー骨格に沿って位置する末端位であってよい。
【0024】
すぐに認識されるべきでように、ウレトジオン環の開裂によって形成される化合物(III)の2つの断片が異なる場合、又は異なる構造の多数の化合物(III)を反応させる場合に、1より多くのオリゴマー(V)が形成されうる。いくつかの実施態様において、ウレトジオン環が開裂する場合に同一の断片を生じる対称化合物(III)は、オリゴマー(V)分子は全て同様の構造のものであるように使用される。
【0025】
制限されることなく、少なくとも2つの活性水素を有する反応物の活性水素基の例証は、ヒドロキシル基、第一級アミン基、第二級アミン基及びチオール基である。ある実施態様における少なくとも2つの活性水素を有する反応物は、直前で挙げられたかかる基の例から選択されてよい活性水素を含有する2〜約40、又は2〜約20、又は2〜約10個を有してよい(及び従ってmであってよい)。例えば、反応物P(XH)mは、ポリオール(より高い官能性(P(OH)m)のジオール、チオール及びポリオールを含む)、ポリアミン(より高い官能性(P(NR2H)m)のジオール、チオール及びポリオールを含む)、アミノアルコール(P(OH)n(NRH)m-n、[式中、nは少なくとも1つの整数でありm未満である])、並びにそれらの組合せから選択されてよい。特に、適した材料(IV)の例証は、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、3,3,5−トリメチル−2,2−ジヒドロキシメチルヘキサン−1−オール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオールグリセリン、ペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセロール及びジトリメチロールエタン;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、ヘキサメチレンジアミン、1,8−ジアミンオクタン、ジアミノシクロヘキサン2,5−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサンの異性体、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシクロヘキサン、ナノントリアミン、1−メチルシクロヘキサンジアミンの異性体、他のアルキル置換したシクロヘキサンジアミン、例えばイソプロピル−2,4−ジアミノシクロヘキサン及び/又はイソプロピル−2,6−ジアミノシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタン−メチルアミン、2,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)及び4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、3,3’−ジメチル−4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、主な置換基としてメチル基を含有するジアミノジシクロヘキシルメタン(モノメチルジアミノジシクロヘキシルメタン)の異性体、2(4)−アミノメチル−1−メチルシクロヘキシルアミン、及び架橋したシクロヘキサンジアミン;並びにアミノアルコール、例えばエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−2,−ジメチルエタノール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール(AEPD)、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、1−アミノ−1−メチル−2−ヒドロキシシクロエキサン、及び2−アミノ−2−メチル−1−ブタノール;並びにそれらの組合せを含む。
【0026】
活性水素の機能性反応物がオリゴマーである例は、制限されることなく、ラクトン、例えばイプシロン−カプロラクトン;低分子量のヒドロキシ官能性ポリエステル、ポリ尿素、又はポリウレタン;並びに二量体脂肪酸ジオールとの縮合によって伸張されるあらゆる前記のポリオールを含む。特定の化合物の例証は、イプシロン−カプロラクトン(イプシロン−カプロラクトン3〜12モルに対してトリメチロールプロパン1モルの反応比で製造されてよい)で伸張したトリメチロールプロパン、イソホロンジイソシアネートの三量体と2−エチル−1,3−ヘキサンジオールとの反応生成物、及びVertellus社製のPolycin M−365を含む。
【0027】
化合物(III)の反応は、少なくとも2つの活性水素有する反応物と反応され、化合物(III)のウレトジオン環を開裂することが公知の条件下で、及び得られたイソシアネート基が少なくとも2つの活性水素を有する反応物の活性水素と反応する条件下で実施されてよい。適した反応温度は、触媒を使用する場合に、使用した触媒に部分的に依存してよい。典型的な反応温度は、ウレトジオン環を開口するために触媒を使用する場合に、約20℃〜約115℃である。他の実施態様において、前記反応は、約20℃〜約110℃の温度で、又は約50℃〜約110℃の温度で、又は約80℃〜約110℃の温度で実施されてよい。制限されることなく、ウレトジオン環を開口するために適した触媒の例証は、米国特許番号6,914,115の2段落50〜60行目及び5段落47行目〜6段落34行目(参照をもって本発明に組み込まれたものとする)において記載されている第四級アンモニウム水酸化物又はフッ化物;米国特許明細書番号US 2004/0219367の段落番号[0016]〜[0021]、[0050]〜[0053]及び[0073]〜[0075](参照をもって本発明に組み込まれたものとする)において記載されている有機基属化合物;米国特許明細書番号US 2005/0003206の段落番号[0017]〜[0019]及び[0060]〜[0061](参照をもって本発明に組み込まれたものとする)において記載されているテトラアルキルアンモニウムカルボキシレート化合物;米国特許明細書番号US 2005/0096450の段落番号[0023]〜[0026]、[0038]〜[0041]及び[0056]〜[0071](参照をもって本発明に組み込まれたものとする)において記載されている触媒;金属アセチルアセトネート、金属ヒドロキシド及び金属アルコキシド、例えば亜鉛(II)アセチルアセトネート、カルシウムアセチルアセトネート、マグネシウムアセチルアセトネート、アルミニウム(III)アセチルアセトネート、ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート、アルミニウム(III)アセチルアセトネート等;米国特許明細書番号US 2007/0266897の段落番号[0015]及び[0028]〜[0031](参照をもって本発明に組み込まれたものとする)において記載されているリン含有触媒;米国特許明細書番号US 2005/0239992の段落番号[0015]−[0018]、[0060]−[0063]及び[0088]において記載されている有機金属触媒、並びに段落番号[0100]において挙げられエチル触媒(それぞれの段落番号は参照をもって本発明に組み込まれたものとする);米国特許明細書番号US 2005/00239956の段落番号[0015]〜[0033]、[0039]〜[0057]、[0067]〜[0084]、[0101]〜[0105]及び[0128]〜[0136](参照をもって本発明に組み込まれたものとする)において記載されている触媒;米国特許明細書番号US 2008/0097025の段落番号[0025]〜[0029]及び[0043]〜[0050](参照をもって本発明に組み込まれたものとする)において記載されている触媒;並びに米国特許明細書番号US 2008/0139753の段落番号[0014]〜[0018]及び[0030]〜[0042](参照をもって本発明に組み込まれたものとする)において期さされている触媒であり、これらを所望される場合に組み合わせて使用してよい。化合物(III)と材料(IV)との反応を、ウレトジオン環を開口するための触媒の不在下で、高温で実施することもできる。一般に、前記反応を、約100℃〜約180℃の温度で実施することができる。ある実施態様において、約120℃〜約160℃の温度が使用される。
【0028】
前記反応は、溶剤の存在又は不在で実施することができる。前記反応は、化合物(I)及び(II)の反応において使用されるのと同一の反応溶剤を使用して、及び触媒の存在で実施されうる。溶剤の例は、反応に対して不活性である有機溶剤であり、かつキシレン、トルエン、芳香族S−100、メチルアミルケトン、ブチルアセテート、アミルアセテート等を含む。所望される場合に、前記反応は、大気圧より高い圧力で実施されうる。前記反応の延長は、赤外分光光度法を使用するウレトジオン基と関連するピークの消失に従ってよい。
【0029】
化合物(III)と、少なくとも2つの活性水素を有する反応物との反応は、オリゴマー(IV)を製造する。構造(IIIa)を有する化合物を反応物P(XH)mと反応させる場合に、その生成物は、構造(IVa)
【化18】

[式中、R、X、R1、P及びmは、前記で定義されたものである]を有する材料を含む。構造(IIIb)を有する化合物を反応物P(XH)mと反応させる場合に、その生成物は、構造(IVb)
【化19】

[式中、R、X、R1、P、n及びmは、前記で定義されたものである]を有する材料を含む。構造(IIIc)を有する化合物(III)を反応物P(XH)mと反応させる場合に、その生成物は、構造(IVa)を有する材料と構造(IVb)を有する材料との混合物である。
【0030】
構造(IIId)を有する化合物(III)は、ウレトジオン環を、触媒、熱又は双方で開口することによって塊状重合されてよく、得られたモノイソシアネート、モノヒドロキシ化合物は、自己縮合して、構造(IVc)
【化20】

[式中、nは1〜4の整数であり、かつR1は前記で定義されたものである]の繰り返しモノマー単位を有するオリゴマーを形成する。少量のモノヒドロキシ化合物又は単一のイソシアネート反応基を有する他の化合物は、生成物に関して所望の質量平均分子量で重合を停止させるために導入されてよい。
【0031】
構造(IIIe)を有する化合物(III)は、ウレトジオン環を開口する条件下で、多官能価の及び一官能価の活性水素含有化合物の混合物と反応し、塊状重合生成物と共重合生成物との混合物を提供してよく、ウレトジオン化合物の一方は構造(IVc)のモノマー単位に前駆体を製造し、一方は一官能価イソシアネート化合物を製造する。
【0032】
化合物(III)が構造(IIIb)又は(IIIc)を含む場合に、オリゴマー(IV)は1つ以上の環状カルボネート基を有する。構造(IIId)及び(IIIe)を有する化合物(III)の製造に関する前記のように、あらゆる環状カーボネート環を、アンモニア(水酸化アンモニウムの水溶液型であってよい)と反応させて、環状カルボネート環を、正当に評価される構造
【化21】

のカルバメート基に変換してよく、一般にいくつかの組合せで存在する。
【0033】
(a)少なくとも1つのオリゴマー(IV)及び(b)少なくとも1つのアミノプラスト樹脂架橋剤を含む硬化性被覆組成物も開示されている。本発明の目的のためのアミノプラストは、活性化窒素と、低分子量アルデヒドとの反応によって得られた材料であり、場合によりアルコール(有利には炭素原子1〜4個を有するモノアルコール)とさらに反応してエーテル基を形成する。活性化窒素の好ましい例は、アミン、例えばメラミン、ベンゾグアナミン、シクロヘキシルカルボグアナミン及びアセトグアナミン;尿素自体、チオ尿素、エチレン尿素、ジヒドロキシエチレン尿素及びグアニル尿素;グリコールウリル;アミド、例えばジシアンジアミド;並びに少なくとも1つの第一級カルバメート基又は少なくとも1つの第二級カルバメート基を有するカルバメート官能化合物である。アミノプラスト樹脂は、ある実施態様において、アミン/ホルムアルデヒド濃縮物であるが、しかし他のアルデヒド、例えばアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド及びベンズアルデヒドも使用してよい。適したアミノプラスト樹脂の制限されない例として、典型的に炭素原子1〜6個、有利には1〜4個を有するアルコールを使用して部分的に又は完全にアルキル化したメラミン樹脂、例えばヘキサメトキシメチル化メラミンを含むモノマーの又はポリマーのメラミンホルムアルデヒド樹脂;メチロール尿素及びシロキシ尿素を含む尿素−ホルムアルデヒド樹脂、例えばブチル化尿素ホルムアルデヒド樹脂、アルキル化ベンゾグアナミン、グアニル尿素、グアニジン、ビグアニジン、ポリグアニジン等を含む。
【0034】
適した被覆組成物は、一成分系、二成分系又は他成分系の被覆組成物であってよく、かつ粉末の被覆組成物の形で、粉末スラリー被覆組成物、水系被覆/水性分散液、又は溶剤系被覆組成物であってよい。
【0035】
ある実施態様において、硬化性被覆組成物は、クリアコート被覆組成物である。本明細書で使用されているように、"クリアコート"という用語は、ベースコート又はクリアコート層の上に配置される一般に透明な被覆層を意味する。さらに、クリアコートは、一般に基材上の最も外側の被覆である。オリゴマー(IV)及びアミノプラスト樹脂架橋剤に加えて、硬化性クリアコート被覆組成物が、さらにアミノプラスト樹脂架橋剤と反応もするポリマー及びオリゴマーを含んでよい。さらにポリマー又はオリゴマーは、平均分子量600〜10000を有してよく、かつ活性水素基に対して、32〜2000の当量を有してよい。かかるポリマー及びオリゴマーを含有する活性水素基は、例えばアクリルポリマー、改質アクリルポリマー、ポリラクトン、ポリウレタン及びポリシロキサンを含むポリエステル、スター(star)エステルオリゴマー、ポリウレタンオリゴマー、並びに天然生成物のオリゴマー、例えばダイマー脂肪ジカルバメート又はジオール化合物を含む。
【0036】
本発明の方法において使用される被覆組成物は、オリゴマー(IV)とアミノプラスト樹脂架橋剤との硬化反応を高めるために触媒を含んでよい。制限されることなく、適した例は、パラ−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェニル酸ホスフェート、モノブチルマレエート、ブチルホスフェート及びヒドロキシホスフェートエステルを含む。 強酸触媒は、しばしば、ブロック化、例えばアミンでブロック化されている。硬化性組成物中で使用可能であるその他の触媒は、ルイス酸、亜鉛塩、及びスズ塩を含む。
【0037】
溶媒を、前記コーティング組成物中で含んでよい。一般に、溶媒は、任意の有機溶媒及び/又は水であることができる。1つの好ましい実施態様において、溶媒は、極性の有機溶媒を含む。より有利には、溶媒は、極性の脂肪族溶媒又は極性の芳香族溶媒から選択された1つ以上の有機溶媒を含む。なおより有利には、溶媒は、ケトン、エステル、アセテート又はそれらのあらゆる組合せを含む。使用可能である溶媒の例は、制限されることなく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、m−アミルアセタート、エチレングリコールブチルエーテル−アセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、キシレン、N−メチルピロリドン、芳香族炭化水素のブレンド、及びそれらの混合物を含む。別の好ましい実施態様において、溶媒は、水又は水と少量の補助溶媒との混合物である。一般に、プロトン性溶剤、例えばアルコール及びグリコールエーテルは、被覆組成物が任意のポリイソシアネート架橋剤を含有する場合に避けられてよいが、しかし少量のプロトン性溶剤は、イソシアネート基とのある反応が被覆の硬化中に生じてよいことが予期されているにもかかわらず使用されうる。
【0038】
付加的な作用剤は、例えば立体障害アミン光安定剤、紫外光吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、安定剤、湿潤剤、レオロジー制御剤、分散剤、付着促進剤等が、前記コーティング組成物中に組み込まれていてよい。かかる添加剤は公知であり、かつコーティング組成物のために使用される典型的な量で含有されていてよい。
【0039】
前記被覆組成物は、スプレー塗工によって基材上に被覆されることができる。静電吹付けが好ましい方法である。前記被覆組成物は、典型的には約20〜約100ミクロンの硬化後のフィルム厚さを提供すべく、1つ又は複数の段階で適用されてよい。
【0040】
前記コーティング組成物は、種々のタイプの基材上に設けられてよく、前記基材は金属基材、例えば裸鋼、ホスファート処理鋼、亜鉛メッキ鋼、又はアルミニウムを含み、かつ非金属基材、例えばプラスチック及び複合材料を含む。前記基材は、上に既に他のコーティングの層を有する前記材料の任意のものであってもよく、例えば電着したプライマー、プライマーサーフェイサー、及び/又はベースコートの層であり、これらは硬化又は未硬化であってもよい。
【0041】
前記コーティング組成物の基材への適用後に、前記コーティングを硬化させ、有利にはこの反応物に非溶解性のポリマーネットワークを形成させるために十分な時間で被覆層を熱に曝すことによって硬化させる。この硬化温度は通常は、約105℃〜約175℃であり、この硬化期間は通常は、約15分間〜約60分間である。有利には前記コーティングを約120℃〜約150℃、約20分間〜約30分間硬化させる。
【0042】
前記の一実施態様において、前記被覆組成物は、複合体のカラープラスクリアーコーティングのクリアーコートとして使用される。クリアーコートがその上に塗布される顔料着色されたベースコート組成物は、任意の数多くの、この分野でよく知られた種類であることができ、本明細書中で詳細な説明は不要である。ベースコート組成物中で有用である、この分野で公知のポリマーは、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、アルキド及びポリシロキサンを含む。好ましいポリマーは、アクリル樹脂及びポリウレタンを含む。ベースコートポリマーは、熱可塑性であってよいが、しかし、好ましくは架橋性であり、1つ以上の種類の架橋性官能基を有する。このような基は、例えばヒドロキシ基、イソシアネート基、アミン基、エポキシ基、アクリレート基、ビニル基、シラン基およびアセトアセテート基を含む。前記基は、この前記基がブロック化されず、望ましい硬化条件下、一般に高められた温度で架橋反応に使用可能であるようにマスク化又はブロック化されていてよい。有利な架橋可能である官能基は、ヒドロキシ官能基及びアミノ官能基を含む。
【0043】
ベースコートポリマーは、自己架橋性であってもよいし、ポリマーの官能基と反応する別個の架橋剤を必要としてもよい。ポリマーがヒドロキシ官能基を有する場合には、例えば架橋剤は、アミノプラスト樹脂、イソシアネート及びブロック化されたイソシアネート(イソシアヌレートを含む)、ならびに酸又は無水物官能性架橋剤であることができる。
【0044】
クリアーコート被覆組成物は、一般的に、工業界で広範囲に行なわれているようにベースコート被覆組成物上にウェット・オン・ウェット塗布される。本出願において説明されるコーティング組成物は、有利には、前記コーティング層を硬化させるための条件に曝される。
【0045】
前記被覆組成物は、1層のトップコートとして又はベースコート被覆として使用されてもよい。被覆組成物を被覆する1層のトップコート又はベースコートは、前記の1つ以上の含量を含み、かつ色及び/又は金属効果を提供する。オリゴマー(IV)を含有する硬化性ベースコート被覆は、クリアコート被覆組成物、例えば先行技術に記載のもの、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシド基及び/又はカルバメート基を有する膜形成材料を含有するもの、並びにアミノプラスト、ポリイソシアネート、ポリエポキシド及びポリカルボキシル酸を含む架橋剤と使用されてよい。
【0046】
硬化性被覆組成物が適用される基材は、自動車車体又は自動車部品であってよい。そして適用される被覆組成物を硬化して、硬化した自動車車体又は自動車部品に提供する。
【0047】
本発明を以下の実施例により更に説明する。実施例は単に例証するものであって、記載し請求した本発明の範囲を限定するものではない。全ての部は特に記載がない限りは質量部である。
【0048】
実施例
本発明の実施例1。
【0049】
ヒドロキシプロピルカルバメート(HPC、0.493モル、58.7g)、ジブチルスズジラウレート(DBTL、Fastcat 4202、0.00025モル、0.16g)、及びメチルプロピルケトン(MPK、200ml)を、窒素下でフラスコに装填した。撹拌しながら、その混合物を60℃に加熱した。ヘキサメチレンジイソシアネートのホモポリマーの溶液(DESMODUR N 3400、0.298モル、100g)を、MPK(50ml)中で、HPC溶液に1.5時間に渡って滴加した。その反応の温度を60〜80℃で維持し、そしてその反応をIRによって監視した。その反応を、5時間後に、IRによるイソシアネートピークの消失によって終了と考えた。
【0050】
ヒドロキシプロピルカルバメートでキャップしたDESMODUR N3400溶液(47.39%不揮発性、7.87g)、Polycin M−365(多数のヒドロキシ官能樹脂、2.20g)、及び亜鉛アセチルアセトネート水和物(0.03g)の一部を、窒素下でフラスコに装填し、そして撹拌した。その混合物を還流まで加熱し(106℃)、窒素流を取り除き、そして4時間撹拌した。材料は、ゲル形成の兆候を示さなかった。IRは、1764cm-1でウレトジオンピークの微量の出現のみを示す。
【0051】
本発明の実施例2。
【0052】
ヒドロキシプロピルカルバメート(HPC、0.493モル、58.7g)、ジブチルスズジラウレート(DBTL、Fastcat 4202、0.00025モル、0.16g)、及びメチルプロピルケトン(MPK、200ml)を、窒素下でフラスコに装填した。撹拌しながら、その混合物を60℃に加熱した。ヘキサメチレンジイソシアネートのホモポリマーの溶液(DESMODUR N 3400、0.298モル、100g)を、MPK(50ml)中で、HPC溶液に1.5時間に渡って滴加した。その反応の温度を60〜80℃で維持し、そしてその反応をIRによって監視した。その反応を、5時間後に、IRによるイソシアネートピークの消失によって終了と考えた。
【0053】
ヒドロキシプロピルカルバメートでキャップしたDESMODUR N3400溶液(47.39%不揮発性、7.87g)及びPolycin M−365(多数のヒドロキシ官能樹脂、2.20g)の一部を、窒素下でフラスコに装填し、そして撹拌した。その混合物を還流まで加熱し(109℃)、窒素流を取り除き、そして3.5時間撹拌した。材料は、ゲル形成の兆候を示さなかった。IRは、1764cm-1でウレトジオンピークの微量の出現のみを示す。
【0054】
本発明の実施例3。
【0055】
ヒドロキシプロピルカルバメート(HPC、0.493モル、58.7g)、ジブチルスズジラウレート(DBTL、Fastcat 4202、0.00025モル、0.16g)、及びメチルプロピルケトン(MPK、200ml)を、窒素下でフラスコに装填した。撹拌しながら、その混合物を60℃に加熱した。ヘキサメチレンジイソシアネートのホモポリマーの溶液(DESMODUR N 3400、0.298モル、100g)を、MPK(50ml)中で、HPC溶液に1.5時間に渡って滴加した。その反応の温度を60〜80℃で維持し、そしてその反応をIRによって監視した。その反応を、5時間後に、IRによるイソシアネートピークの消失によって終了と考えた。
【0056】
ヒドロキシプロピルカルバメートでキャップしたDESMODUR N3400溶液(43.34%不揮発性、13.41g)、エチレングリコール(0.91g)、及び亜鉛アセチルアセトネート水和物(0.41g)の一部を、窒素下でフラスコに装填し、そして撹拌した。その混合物を還流まで加熱し(104℃)、窒素流を取り除き、そして4時間撹拌した。材料は、ゲル形成の兆候を示さなかった。IRは、1764cm-1でウレトジオンピークの消失を示す。
【0057】
本発明の実施例4:被覆。
【0058】
実施例4A。実施例1(61.94%不揮発性、5.02g)を、Resimene HM 2608(メラミン架橋剤、0.58g)及びp−トルエンスルホン酸(0.07g)と共に合した。その混合物を全ての材料が溶解するまで撹拌した。その材料のドローダウンを、#4ギャップを使用して、ドローダウンバー状で実施し、そして材料パネル上に適用した。そしてそのパネルを、1時間にわたって110℃に置き、パネル上で硬化した被覆層を提供した。
【0059】
実施例4B。実施例1(61.94%不揮発性、4.99g)を、Resimene HM 2608(メラミン架橋剤、0.75g)及びp−トルエンスルホン酸(0.06g)と共に合した。その混合物を全ての材料が溶解するまで撹拌した。その材料のドローダウンを、#4ギャップを使用して、ドローダウンバー状で実施し、そして材料パネル上に適用した。そしてそのパネルを、1時間にわたって110℃に置き、パネル上で硬化した被覆層を提供した。
【0060】
本発明は、この有利な実施態様を参照して詳細に説明されてきた。しかしながら、変動及び修飾が、本発明の意図及び範囲及び次の特許請求の範囲内において為されることができることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴマーを製造する方法であって、
(a)ウレトジオン化合物(I)
【化1】

[式中、それぞれR1は、独立して炭素原子1〜12個を有するアルキレン基、炭素原子5〜12個を有するアリーレン基、並びに炭素原子6〜15個を有するアリールアルキレン基及びアルキルアリーレン基から選択され、その際アルキレン基、アリールアルキレン基のアルキレン位、及びアルキルアリーレン基のアルキル位は、直鎖、分枝鎖又は環状であってよい]の1モルと、イソシアネート基と反応する活性水素を有する1つの基を有し、さらに第一級カルバメート基又は環状カルボナート基を有する化合物から選択される化合物(II)の2モルとを反応させて、化合物(III)を得ること、並びに
(b)化合物(III)と、ポリオール、第一級アミン基及び第二級アミン基から選択される少なくとも2つのアミン基を有するポリアミン、並びに第一級アミン基又は第二級アミン基である少なくとも1つのアミン基を有するアミノアルコールからなる群から選択される少なくとも2つの活性水素含有基を有する反応物とを反応させて、オリゴマーを得ること
を含む、オリゴマーを製造する方法。
【請求項2】
前記化合物(II)が、構造(IIa)又は構造(IIb)
【化2】

[式中、XはO又はNR2であり、R2はH又は炭素原子1〜6個を有するアルキルであり、nは1〜4であり、ある実施態様においては1又は2であり、かつRは、炭素原子12個までを有し、場合により1つ以上のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキルである]を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記Rが、エーテル基、エステル基、アミド基、第三級アミン基、尿素基及びウレタン基から選択される基において、1つ以上のヘテロ原子を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物(III)が、構造(IIIa)、(IIIb)及び(IIIc)
【化3】

[式中、XはO又はNR2であり、R2はH又は炭素原子1〜6個を有するアルキルであり、nは1〜4であり、かつRは、炭素原子12個までを有し、場合により1つ以上のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキルである]からなる群から選択される構造を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記Rが、エーテル基、エステル基、アミド基、第三級アミン基、尿素基及びウレタン基から選択される基において、1つ以上のヘテロ原子を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物(III)が、構造(IIIb)を有し、かつさらにアンモニア、第一級アミン、又はアンモニアと第一級アミンとの組合せ物と反応させて、構造(IIId)
【化4】

[式中、X、R及びR1は前記で定義されたものであり、かつそれぞれR3は独立して、構造
【化5】

を有する]を含む化合物を製造する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物(III)が、構造(IIId)を有し、かつさらにアンモニア、第一級アミン、又はアンモニアと第一級アミンとの組合せ物と反応させて、構造(IIIe)
【化6】

[式中、X、R及びR1は前記で定義されたものであり、かつそれぞれR3は独立して、構造
【化7】

を有する]を含む化合物を製造する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記オリゴマーが、
【化8】

と、構造(IVc)
【化9】

の繰り返しモノマー単位を有するオリゴマーと、それらの組合せとからなる群から選択される構造を有し、その際、それぞれR1は独立して炭素原子1〜12個を有するアルキレン基、炭素原子5〜12個を有するアリーレン基、並びに炭素原子6〜15個を有するアリールアルキレン基及びアルキルアリーレン基から選択され、その際アルキレン基、アリールアルキレン基のアルキレン位、及びアルキルアリーレン基のアルキル位は、直鎖、分枝鎖又は環状であってよく、XはO又はNR2であり、R2はH又は炭素原子1〜6個を有するアルキルであり、nは1〜4であり、かつRは、炭素原子12個までを有し、場合により1つ以上のヘテロ原子を含むアルキル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキルであり、mは、XがNHである場合に1以上であり、XがNH出はない場合は2以上である整数であり、Pは少なくとも2つの活性水素含有基を有する反応物の残りであるm価のコアを示し、かつそれぞれR3は、構造
【化10】

を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記オリゴマーが、さらに環状カルボネート基と、アンモニア、第一級アミン、又はアンモニア及び第一級アミンの組合せ物とを反応して、カルバメート基を提供する工程を含む、環状カルボネート基を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
オリゴマーを製造する方法であって、
(a)ウレトジオン化合物(I)
【化11】

[式中、それぞれR1は独立して炭素原子1〜12個を有するアルキレン基、炭素原子5〜12個を有するアリーレン基、並びに炭素原子6〜15個を有するアリールアルキレン基及びアルキルアリーレン基から選択され、その際アルキレン基、アリールアルキレン基のアルキレン位、及びアルキルアリーレン基のアルキル位は、直鎖、分枝鎖又は環状であってよい]の1モルと、イソシアネートと反応活性水素を有する1つの基を有し、かつ環状カルボネート基をさらに有する化合物(II)の2モルとを反応させて、化合物(III)を形成し、
(b)化合物(III)と、アンモニア、第一級アミン、又はアンモニア及び第一級アミンの組合せ物とを反応させて、基
【化12】

を有する生成物を製造し、
(c)ウレトジオン環を開口する反応条件下で前記生成物を自己縮合させて、オリゴマーを形成すること
を含む、オリゴマーを製造する方法。
【請求項11】
以下、
(a)請求項1又は請求項10のいずれか1項に記載のオリゴマー、及び
(b)アミノプラスト樹脂
を含有する、硬化性被覆組成物。
【請求項12】
前記組成物が顔料を有さない、請求項11に記載の硬化性被覆組成物。
【請求項13】
請求項11に記載の硬化性被覆組成物の層を物品に適用し、そして適用した層を硬化することによって製造した、被覆した物品。

【公表番号】特表2012−527516(P2012−527516A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511883(P2012−511883)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/034041
【国際公開番号】WO2010/135093
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】