説明

エアアシスト自転車

【課題】
ペダル9へ加えられる踏力に応じてアシストすると共に、自転車を後退させた場合にも、運転者に負荷をかけずにスムーズな後退ができるエアアシスト自転車を提供する。
【解決手段】
本願発明は、ペダルギヤ8に加わる踏力に応じて作動するレギュレータ30により踏力に応じたアシスト力を発生させるとともに、アシストギヤ50とペダルギヤ8との間に設けた逆入力遮断クラッチ55により、自転車をバックさせた場合に、ペダルギヤ8からアシストギヤ軸53への回転の伝達を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気により駆動をアシストするエアアシスト自転車に関し、特には、自転車をバックさせた場合に、運転者に負荷を生じさせないエアアシスト自転車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、踏力に応じたエアを供給するエアアシスト自転車が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、チェーン10の張りを一定に保つテンショナ18を駆動力センサとして用いることによって、テンショナ18の変位量に応じてエアバルブ17を開き、ペダル9へ加えられる踏力に応じたアシスト力を発生させ、そのアシスト力を、ワンウェイクラッチ23によって、アシスト駆動時にのみペダル9に伝動するエアアシスト自転車が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-126002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のエアアシスト自転車は、ワンウェイクラッチ23をペダルクランク7と補助伝動機構16の補助駆動ベルト15及びプーリ22の間に設けることによって、アシスト駆動時にのみ、プーリ22の回転をペダルクランク7に伝動するものである。
しかし、この特許文献1に記載のエアアシスト自転車に記載のワンウェイクラッチ23及び21は、自転車を前進させる場合には、前記のように、アシスト力を遮断するだけでなく、ペダルクランク7の空回転を許容するなどの機能を持つものであるが、自転車を後退させた場合には、逆に、後輪6の回転駆動力が、チェーン10、駆動スプロケット8、プーリ22、ベルト15等を介して、ペダルクランク7やエアモータ14に伝わる。
従って、自転車を後退させた時には、運転者に負荷をかけ、スムーズな後退ができない場合がある。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、ペダル9へ加えられる踏力に応じてアシストすると共に、自転車を後退させた場合にも、運転者に負荷をかけずにスムーズな後退ができるエアアシスト自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、車体フレームと、前記車体フレームに回転可能に支持された駆動輪と、前記車体フレームに支持され前記駆動輪の回転をアシストするアクチュエータと、前記アクチュエータに接続され前記アクチュエータにより回転するアシストギヤと、前記車体フレームに支持され圧縮空気を貯蔵するタンクと、前記アクチュエータと前記タンクの間に設けられ圧縮空気を送る管路と、前記車体フレームに回転可能に支持され踏力により回転するペダルギヤと、前記ペダルギヤに係合し前記駆動輪に駆動力を伝達するチェーンと、前記ペダルギヤに支持され前記ペダルギヤに加わる踏力に応じて作動する第1バルブと、前記ペダルギヤに支持され前記ペダルギヤの所定の回転位置に応じて作動する第2バルブと、前記アクチュエータと前記アシストギヤとの間に設けられたクラッチ機構とを備え、前記クラッチ機構は、前記ペダルギヤに接続するアシストギヤと、ワンウェイクラッチと、逆入力遮断クラッチと、前記アクチュエータに接続するアシストギヤ軸とを備えることである。
【0007】
前記の課題を解決するため、請求項2に係る発明の特徴は、前記逆入力遮断クラッチは、前記アシストギヤから前記アシストギヤ軸への回転の伝達を遮断することである。
【0008】
前記の課題を解決するため、請求項3に係る発明の構成上の特徴は、前記第1バルブは、前記ペダルギヤの前記車体フレームに対する上下方向の相対移動量に応じて作動することである。
【0009】
前記の課題を解決するため、請求項4に係る発明の構成上の特徴は、前記第2バルブは、前記ペダルギヤの前記車体フレームに対する回転方向の相対移動量に応じて作動することである。
【0010】
前記の課題を解決するため、請求項5に係る発明の構成上の特徴は、前記アクチュエータは、シリンダと、前記シリンダ内で摺動可能に設置され前記アシストギヤを回転駆動するピストンとを備え、前記ワンウェイクラッチは前記ピストンが後退する場合に前記アシストギヤ軸から前記アシストギヤへの回転の伝達を遮断することである。
【発明の効果】
【0011】
前記のように構成した請求項1乃至請求項5に係る発明によれば、ペダル9へ加えられる踏力に応じてアシストすると共に、自転車を後退させた時にも、運転者に負荷をかけずにスムーズな後退ができるエアアシスト自転車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明のエアアシスト自転車の全体構成を示す構成図である。(実施例1)
【図2】図2は、本発明の概要を示す模式図である。
【図3】図3は、図1に示すディストリビュータの詳細図である。
【図4】図4は、図3に示すディストリビュータの更なる詳細図である。
【図5】図5は、本発明のディストリビュータの作動範囲を示す説明図である。
【図6】図6は、図1に示すクラッチ機構の模式図である。
【図7】図7は、図6に示すクラッチ機構の構成図である。
【図8】図8は、図7に示す逆入力遮断クラッチの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1は、本発明のエアアシスト自転車の全体構成を示す構成図である。車体フレーム1の前部には、フロントフォーク2を介して前輪3が支持され、ハンドル4により操向自在となっている。車体フレーム1の後部には、後輪6が支持されている。車体フレーム1の中央下部には、ペダル9及びペダルクランク7が支持され、同軸でペダルギヤ8が設けられている。ペダルギヤ8は、ペダル9へ加えられる踏力により回転駆動され、チェーン10を介して、後輪ギヤ12に駆動力が伝えられる。ペダルクランク7、ペダルギヤ8、チェーン10及び後輪ギヤ12は、主伝動機構13を構成する。
【0014】
車体フレーム1の中央下部には、詳細は後述するレギュレータ30及びディストリビュータ70が設けられ、また、車体フレーム1の中央部には、アシストギヤ50、ピストン60及びシリンダ61が設けられている。車体フレーム1の中央上部には、圧縮空気を貯蔵するエアタンク40及びエアを所定圧まで減圧する減圧レギュレータ80が取り付けられている。ピストン60により回転駆動されるアシストギヤ50の駆動力は、チェーン51を介してペダルギヤ8に伝えられる。このレギュレータ30、ディストリビュータ70、アシストギヤ50、ピストン60、シリンダ61、チェーン51、エアタンク40及び減圧レギュレータ80は、補助伝動機構16を構成する。なお、シリンダ61は、図示しない内部のバネによって、ピストン60を元に戻す機構を内蔵している。
【0015】
図2は、本発明の概要を示す模式図であり、特に、補助伝動機構16が踏力に応じたエアアシスト力を発生するしくみを説明する図である。
車体フレーム1の中央下部には、レギュレータ30のレギュレータボディ31が固定され、レギュレータボディ31には、エアタンク40に連通する入口ポート32、弁座34、ディストリビュータ70を介してシリンダ61に連通する出口ポート33が設けられている。また、レギュレータボディ31には、ペダルギヤ8のペダル軸20のサポート軸受21を支持するロッド22が、上下方向に移動可能にスプリング23により上方に付勢された状態で支持されている。
ロッド22の下端部に設けられた逆テーパ形状のポペット弁24と、レギュレータボディ31の弁座34とで、バルブ部が形成されている。
【0016】
従って、ペダル9(右ペダル9R及び左ペダル9L)を踏む踏力に応じて、ロッド22が下降して、ポペット弁24と弁座34とで形成されるバルブ部が開き、その開度に応じたエアが、エアタンク40から入口ポート32、弁座34、出口ポート33を介して、シリンダ61に供給される。エアを供給されてピストン60は左進し、後述するクラッチ機構17及びクランク機構52を介してアシストギヤ50を回転させ、その駆動力は、チェーン51を介して、ペダルギヤ8に伝動される。なお、出口ポート33とシリンダ61の間の管路41には、ディストリビュータ70が設けられているが、その詳細は後述する。
【0017】
クランク機構52は、ピストン60に接続する連結棒62及びピストンクランク63から構成される。また、ペダルギヤ8は、図示しない同軸に配置された2枚のギヤを有し、その一方のギヤはチェーン10と噛合して後輪ギヤ12へ駆動力を伝え、他方のギヤはアシストギヤ50のチェーン51と噛合してピストン60のアシスト力を受ける。
【0018】
図3は、図1に示すディストリビュータ70の詳細図である。図2では、このディストリビュータ70は、模式的にレギュレータ30の出口ポート33とシリンダ61の間の管路41上に描画しているが、ペダルギヤ8と同軸に配置されている。
即ち、このディストリビュータ70は、ペダル軸20のサポート軸受21に固定された固定プレート71と、ペダル軸20に固定されペダルギヤ8と連動して回転する回転プレート72から構成される。固定プレート71には、入口ポート73、出口ポート74及び排気ポート91が設けられている。入口ポート73はレギュレータ30の出口ポート33に接続され、出口ポート74はシリンダ61に接続され、排気ポート91は大気に開放されている。
【0019】
図4は、図3に示すディストリビュータ70の更なる詳細図であり、図4(a)は、図4(b)のD-D断面であり、右ペダル9Rが最上部にある状態を示している。図4(b)は、図4(a)のC-C断面であり、図4(C)は、右ペダル9Rが時計方向に約60°回転した状態を示している。固定プレート71には、入口ポート73、出口ポート74及び排気ポート91が形成されている。固定プレート71と対向する回転プレート72の面には、凹部75及び「エの字」状の溝77が形成されている。また、この固定プレート71と対向する回転プレート72の間には、エアの漏れを無くす為に液体シール(グリース)が塗布されている。
【0020】
図4(a)の状態、即ち、右ペダル9Rが最上部にある状態では、「エの字」状の溝77により、出口ポート74が排気ポート91に連通する。また、ペダル9の踏み込みにより、ペダルギヤ8が回転すると、回転プレート72が連動して回転し、固定プレート71との間で相対回転する。その結果、図4(C)の状態、即ち、右ペダル9Rが時計方向に約60°回転した状態では、凹部75により、入口ポート73が出口ポート74に連通する。従って、この位置では、レギュレータ30からのエアがシリンダ61に流れる。なお、図4(a)と図4(C)の間の中間の状態では、凹部75と溝77の間の平坦な面が、入口ポート73及び出口ポート74に一致するため、両者の間の連通は遮断される。
【0021】
図5は、本発明のディストリビュータ70の作動範囲を示す説明図である。図2の右ペダル9Rを例に説明している。右ペダル9Rが上、左ペダル9Lが下にくる状態を0度とし、時計回りに角度を進めている。図2の右ペダル9Rの角度は約100°となる。
図5で、約60°から約100°が、ディストリビュータ70の作動範囲である。この範囲は、自転車が駆動力を最も必要とするペダル9を踏み込む範囲であり、この範囲でディストリビュータ70のバルブが開き、エアタンク40からのエアをシリンダ61方向に流すように作動する。この範囲以外では、ディストリビュータ70のバルブは作動せず、従って、エアタンク40のエアは消費されない。
なお、左ペダル9Lが同様の位置に来たときも、ディストリビュータ70は作動するため、右ペダル9Rの位置で示す約240度から約280度でも、ディストリビュータ70は作動する。
【0022】
図6は、図2に示すクラッチ機構17の模式図である。
図7は、図6に示すクラッチ機構17の詳細図であり、図8は、図7に示す逆入力遮断クラッチ55の構成図である。このクラッチ機構17は、ワンウェイクラッチ54、逆入力遮断クラッチ55及び中間軸56等から構成され、アシストギヤ50のアシストギヤ軸53と同軸に設けられている。また、アシストギヤ軸53には、クランク機構52を構成する連結棒62及びピストンクランク63を介して、ピストン60の左右移動により生じた回転力が伝達される。
【0023】
ワンウェイクラッチ54は、一方向のみに回転力を伝達する機能部品である。また、逆入力遮断クラッチ55は、フリー型逆入力遮断クラッチであり、正転及び逆転のいずれにおいても、入力軸から出力軸へ回転力を伝達するが、出力軸が駆動される場合は、出力軸から入力軸へ回転力が伝達されない機能部品であり、特開2004-286225等に記載されている。
【0024】
図8に示すように、逆入力遮断クラッチ55は、アシストギヤ軸53に接続する内輪82、中間軸56に接続する外輪83、内輪82と外輪83の間に設けられたロック部材84、ロック部材84を内側に引き込むバネ86、内輪82に設けられたカム面85等から構成される。
この実施例においては、逆入力遮断クラッチ55は、アシストギヤ軸53と中間軸56との間に組み込まれ、ピストン60の前進(図2で左進)では、入力側であるアシストギヤ軸53の回転を、出力側である中間軸56に伝達する。一方、出力側である中間軸56の回転は遮断して、入力側であるアシストギヤ軸53には伝達しないように作用する。なお、便宜上、このピストン60の前進(図2で左進)に基づいた中間軸56及びアシストギヤ軸53の回転方向(図2で時計方向回転)を正転と称する。
【0025】
ワンウェイクラッチ54は、中間軸56とアシストギヤ50との間に組み込まれ、中間軸56の正転方向の回転をアシストギヤ50に伝達して、アシストギヤ50を回転させる。しかし、ピストン60の後退(図2で右進)で生じる中間軸56の逆転方向の回転は、アシストギヤ50に伝達しないように作用する。
従って、ピストン60が後退するときには、アシストギヤ軸53の回転は、アシストギヤ50側に伝わらないため、ペダル9に何らの負荷をかけることはない。
【0026】
さて、自転車が後退した場合、後輪6が逆転し、その回転力はチェーン10を介して、ペダルギヤ8に伝達され、更にチェーン51を介して、アシストギヤ50を逆転(図2で反時計方向回転)させ、ワンウェイクラッチ54を経由して、中間軸56を逆転させる。
しかし、本発明では、逆入力遮断クラッチ55が作用する為に、出力軸側である中間軸56の回転は遮断されて、入力軸側であるアシストギヤ軸53に伝達されない。
【0027】
このように、ピストン60の前進(図2で左進)に基づき、アシストギヤ軸53が正転した場合は、アシストギヤ50が正転(図2で時計方向回転)し、アシストギヤ50の回転力は、ペダルギヤ8に伝達され、アシスト力として働く。
一方、ペダルギヤ8が逆回転しても、逆入力遮断クラッチ55により、その回転力は遮断され、入力軸に接続されたアシストギヤ軸53側に伝わらない。
【0028】
次に、図2を中心にして本発明の動作を説明する。
まず、前進する場合であるが、ペダル9を踏む踏力が小さい場合、レギュレータ30は作動しない。スプリング23による上方向の力があるため、ロッド22は下がらず、ポペット弁24と弁座34から構成されるバルブは作動しない。この場合には、自転車は、ペダル9を踏む踏力だけがペダルギヤ8に作用し、その駆動力は、チェーン10を介して後輪6に伝達されて自転車は前進する。
【0029】
坂道などで、ペダル9を踏む踏力が大きい場合、レギュレータ30は作動する。即ち、スプリング23による上方向の力に抗して、ロッド22が下がり、ポペット弁24と弁座34から構成されるバルブが作動して、エアタンク40からのエアをシリンダ61方向に流す。この場合には、自転車は、ペダル9を踏む踏力に加え、シリンダ61のクランク機構52によって生じた回転力がペダルギヤ8に作用し、その駆動力は、チェーン10を介して後輪6に伝達されて自転車は前進する。
【0030】
一方、ディストリビュータ70は、ペダル9の所定の回転位置、即ち、図5に示す約60度から約100度及び約240度から約280度で作動する。
また、レギュレータ30とディストリビュータ70は、管路41内で直列に接続されているため、レギュレータ30及びディストリビュータ70の両方のバルブが作動した場合にだけ、エアタンク40からのエアをシリンダ61に導いて、シリンダ61のピストン60を前進させる方向に作動する。一方、レギュレータ30又はディストリビュータ70のいずれかのバルブが閉じている場合には、エアタンク40からのエアをシリンダ61に導くことはない。
【0031】
このディストリビュータ70は、前記の約60度から約100度及び約240度から約280度の作動範囲以外の範囲で、特に、図4(a)で示す排気ポート91が回転プレート72に形成された溝77と係合する位置では、排気ポート91を通じて、シリンダ61内を大気に開放するように働く。従って、この範囲では、シリンダ61に内蔵の図示しないバネによって、ピストン60を元に戻す際の内圧は大気に逃がされ、ペダルギヤ8及びペダル9側になんらの負荷も及ぼさない。
なお、ピストン60の後退(図2で右進)で生じるアシストギヤ軸53及び中間軸56の逆方向の回転では、ワンウェイクラッチ54により遮断されアシストギヤ50側に伝わらない為、ピストン60が後退するときに、ペダル9に何らの負荷をかけることはない。
【0032】
このように、レギュレータ30及びディストリビュータ70の両方のバルブが作動した場合にだけ、即ち、ペダル9を踏む踏力が所定値以上で、且つ、ペダル9が所定の回転角度範囲にある場合にのみアシストが働き、自転車には、ペダル9を踏む踏力に加え、シリンダ61のクランク機構52によって生じた回転力がペダルギヤ8に加えられ、その駆動力は、チェーン10を介して後輪6に伝達されて自転車は前進する。従って、ペダルクランクの回転位置に応じて、必要な時にだけエアを供給してアシストを行うため、エア消費量を抑えることができる。
【0033】
次に、図2を中心にして本発明の動作を、自転車が後退する場合を中心に説明する。
自転車が後退した場合、後輪6が逆転し、その回転力はチェーン10を介して、ペダルギヤ8に伝わる。これは、通常のアシストの無い自転車でも同様である。
本発明においては、アシスト用の補助伝動機構16が備えられているため、自転車の後退による回転力が作用した場合、補助伝動機構16を構成するシリンダ61やピストン60が、逆の効果、即ち、自転車の後退の負荷にならないかが問題になる。しかしながら、本発明においては、逆入力遮断クラッチ55を設けている為、ペダル8の回転は、アシストギヤ軸53側には伝わらず、前記のような運転者に負荷を生じさせるようなことは生じない。
【0034】
従って、以上の構成により、本発明では、ペダル9に加えられる踏力に応じてアシストすると共に、自転車をバックさせた場合に、運転者に負荷を生じさせないエアアシスト自転車を提供することができる。
【0035】
<第1実施形態の変形態様>
次に、第1実施例の変形態様について説明する。本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、図2にペダルギヤ8とアシストギヤ50の伝動はチェーン51を用いて行ったが、両者を歯車として、歯車のかみ合いにより伝動するようにすることも可能である。また、チェーン51やチェーン10の代わりにベルトを使用することも可能である。なお、図2に示すピストン60のクランク機構52は、ピストン60の左右移動により、アシストギヤ50を所定角度範囲で揺動させるものであるが、アシストギヤ50を1回転以上させるものであってもよい。
また、図3及び図4に示すクラッチ機構17では、ワンウェイクラッチ54と逆入力遮断クラッチ55の位置をそれぞれ入れ替えてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1:車体フレーム
2:フロントフォーク
3:前輪
4:ハンドル
6:後輪
7:ペダルクランク
8:ペダルギヤ
9:ペダル
9L:左ペダル
9R:右ペダル
10:チェーン
12:後輪ギヤ
13:主伝動機構
16:補助伝動機構
17:クラッチ機構
20:ペダル軸
21:サポート軸受
22:ロッド
23:スプリング
24:ポペット弁
30:レギュレータ
31:レギュレータボディ
32:入口ポート
33:出口ポート
34:弁座
40:エアタンク
41:管路
50:アシストギヤ
51:チェーン
52:クランク機構
53:アシストギヤ軸
54:ワンウェイクラッチ
55:逆入力遮断クラッチ
56:中間軸
60:ピストン
61:シリンダ
62:連結棒
63:ピストンクランク
70:ディストリビュータ
71:固定プレート
72:回転プレート
73:入口ポート
74:出口ポート
75:凹部
77:溝
80:減圧レギュレータ
82:内輪
83:外輪
84:ロック部材
85:カム面
86:バネ
91:排気ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームに回転可能に支持された駆動輪と、
前記車体フレームに支持され前記駆動輪の回転をアシストするアクチュエータと、
前記アクチュエータに接続され前記アクチュエータにより回転するアシストギヤと、
前記車体フレームに支持され圧縮空気を貯蔵するタンクと、
前記アクチュエータと前記タンクの間に設けられ圧縮空気を送る管路と、
前記車体フレームに回転可能に支持され踏力により回転するペダルギヤと、
前記ペダルギヤに係合し前記駆動輪に駆動力を伝達するチェーンと、
前記ペダルギヤに支持され前記ペダルギヤに加わる踏力に応じて作動する第1バルブと、
前記ペダルギヤに支持され前記ペダルギヤの所定の回転位置に応じて作動する第2バルブと、
前記アクチュエータと前記アシストギヤとの間に設けられたクラッチ機構と、
を備え、
前記クラッチ機構は、前記ペダルギヤに接続するアシストギヤと、ワンウェイクラッチと、逆入力遮断クラッチと、前記アクチュエータに接続するアシストギヤ軸と、
を備えることを特徴とするエアアシスト自転車。
【請求項2】
前記逆入力遮断クラッチは、前記アシストギヤから前記アシストギヤ軸への回転の伝達を遮断することを特徴とする請求項1に記載のエアアシスト自転車。
【請求項3】
前記第1バルブは、前記ペダルギヤの前記車体フレームに対する上下方向の相対移動量に応じて作動することを特徴とする請求項2に記載のエアアシスト自転車。
【請求項4】
前記第2バルブは、前記ペダルギヤの前記車体フレームに対する回転方向の相対移動量に応じて作動することを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載のエアアシスト自転車。
【請求項5】
前記アクチュエータは、シリンダと、前記シリンダ内で摺動可能に設置され前記アシストギヤを回転駆動するピストンとを備え、前記ワンウェイクラッチは前記ピストンが後退する場合に前記アシストギヤ軸から前記アシストギヤへの回転の伝達を遮断することを特徴とする請求項4に記載のエアアシスト自転車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−30777(P2012−30777A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69691(P2011−69691)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)