説明

エアウェイアダプタおよび呼吸ガス検出用センサ

【課題】可及的に小さな力で呼吸ガス検出用センサの着脱が可能なエアウェイアダプタを提供する。
【解決手段】エアウェイアダプタ10は、エアウェイケース11と、嵌合部21と、凸部24とを備える。エアウェイケース11には生体の呼吸気が通過可能とされた通路12が形成されている。嵌合部21は、エアウェイケース11に形成され、センサに対して取外し可能に嵌合可能とされている。凸部24は、嵌合部21内に設けられると共に接触部24aと非接触部24bとを有し、エアウェイアダプタ10がセンサに装着された際に、接触部24aがセンサと当接し、非接触部分24bがセンサと対向かつ離間するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガス(二酸化炭素、酸素、笑気、揮発性麻酔ガス等)を検出可能なセンサ、および当該センサに対して取外し可能に装着され、前記生体の呼吸気が通過可能な通路が形成されたエアウェイアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
エアウェイアダプタには被検者の呼吸器が通過可能な通路が形成されている。被検者の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガス(例えば二酸化炭素)の濃度を測定する場合、センサに設けられた発光部と受光部を結ぶ光軸がこの通路を横切るように配置される。発光部から出射された赤外光は受光部において受光され、受光強度に応じた信号がセンサより出力される(二酸化炭素の検出)。呼吸気中の二酸化炭素濃度が高いほど赤外光が強く吸収され、受光強度が弱まる。よってセンサより出力される信号強度をモニタすることにより被検者の呼吸気に含まれる二酸化炭素濃度を測定可能となる。このようなエアウェイアダプタおよびセンサの例は特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−233699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図13に示す特許文献1に記載のエアウェイアダプタ1の外周には弾性を有する爪11aを有する係止部材11が設けられている。一方、センサ2の側面には係止突起12が形成されている。エアウェイアダプタの嵌合部1eをセンサ2に形成された凹部2aに挿入すると、爪11aが係止突起12と弾性的に係合し、エアウェイアダプタ1が所定の位置に位置決めされる。この状態において凹部2aを挟んで対向するセンサ2の発光部および受光部を結ぶ光軸が嵌合部1eに形成された窓部1c、1dを通過するように配置される。
【0005】
従来より医療の現場において、センサ及びエアウェイアダプタは患者の口元で使用されるため、小型かつ軽量であることが望まれる。しかし、特許文献1に示すエアウェイアダプタ1は、爪11aを嵌合部1eの外側に備えるため構造が大型化し、その分重量も増すだけでなく、爪11aが破損しやすい。爪11aが破損した場合、センサ2の嵌合部1eへの装着が適切に為されず、正確な測定が実行できない虞がある。
【0006】
また、嵌め入れの際に強い力を加える必要があるため、エアウェイアダプタ1とセンサ2の少なくとも一方に破損が生ずる虞がある。また凹部2aの内壁が窓部1c、1dと接触して傷がつき、正確な測定が実行できない虞がある。
【0007】
更に隙間なく嵌め入れられたエアウェイアダプタ1を交換目的でセンサ2から取り外す際に、やはり強い力を加える必要がある。交換の度にこのような力がセンサ2に加えられることにより、センサ2の筐体に疲労破壊が生じてしまう虞がある。使い捨てのエアウェイアダプタ1よりも高価なセンサ2の損傷に伴う交換は、使用者にとって深刻な負担となる。
【0008】
現在の医療の現場においては、小型かつ軽量のセンサ及びエアウェイアダプタが使用されるものの、小型かつ軽量である分、筐体の強度が弱くなる。使用者の取り扱い方によってはセンサとエアウェイアダプタの着脱時に過剰な力が加わり、センサ又はエアウェイアダプタが破損する虞がある。特に使用者がセンサを着脱する際にセンサをねじるようにして力を加えると、センサにひびが入ったり、エアウェイアダプタを傷つけることがある。
【0009】
よって本発明の目的は、可及的に小さな力で相互に着脱が可能とされたエアウェイアダプタおよび呼吸ガス検出用センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明によれば以下に列挙するものが提供される。
【0011】
(1):生体の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガスを検出可能なセンサに装着されるエアウェイアダプタであって、
前記呼吸気が通過可能とされた通路が形成されたエアウェイケースと、
前記エアウェイケースに形成され、前記センサに対して取外し可能に嵌合可能とされた嵌合部と、
前記嵌合部内に設けられ、前記エアウェイアダプタが前記センサに装着された際に、前記センサと当接する接触部と前記センサと対向かつ離間する非接触部とを有する凸部とを備えている、エアウェイアダプタ。
【0012】
(1)に記載の構成によれば、凸部の接触部のみがセンサに接触しており、非接触部はセンサから離間している。従ってセンサに外力が加わっていない状態においては接触部とセンサの接触によりセンサの位置規制機能が確保される。一方、センサの着脱時において外力が加えられた場合、接触部は梃子の支点の役割を果たし、センサが非接触部に接近するような変位を許容する。従ってセンサを装着する際には、エアウェイアダプタの嵌合部に対してセンサがある程度傾いた状態で挿入されても、センサは凸部の非接触部に案内されて接触部と接触する位置へ導かれる。よってセンサに過剰な力を加えずとも円滑にエアウェイアダプタに装着可能であり、センサの疲労破壊を回避できる。センサを取り外す際にも同様の変位許容性が確保されるため、過剰な力を加えずともエアウェイアダプタからセンサを取外し可能である。
【0013】
(2):(1)に記載のエアウェイアダプタであって、
前記嵌合部は、前記エアウェイアダプタが前記センサに装着された際に、前記センサの発光部と受光部を結ぶ光軸が通過可能とされた窓部が形成された第1の面を有し、
前記凸部は、前記第1の面から突出している、エアウェイアダプタ。
【0014】
(2)に記載の構成によれば、センサの着脱時において、窓部がセンサの一部により損傷されたり、逆に発光部や受光部がエアウェイケースの一部により損傷される事態を回避できる。従って不適切な条件下で呼吸ガスの検出および濃度測定が行なわれる事態が回避される。
【0015】
(3):(2)に記載のエアウェイアダプタであって、
前記窓部を封止する防曇膜を更に備えている、エアウェイアダプタ。
【0016】
(3)に記載の構成によれば、センサの検出精度を向上させるために可及的に薄い構造の防曇膜を用いつつも、センサの着脱時において防曇膜がセンサの一部により損傷される事態を回避できる。
【0017】
(4):(2)または(3)に記載のエアウェイアダプタであって、
前記第1の面は、前記エアウェイアダプタが前記センサに装着された際に、前記センサに形成された凹部内に配置されるように構成され、
前記嵌合部は、前記エアウェイアダプタが前記センサに装着された際に、前記凹部の底部に対向するように構成された第2の面を有し、
前記第1の面と前記第2の面は、斜面により接続されており、
前記斜面は、前記エアウェイアダプタが前記センサに装着された際に、前記センサと離間するように構成されているエアウェイアダプタ。
【0018】
(4)に記載の構成によれば、嵌合部においてセンサが最初に当接する傾向にある箇所を斜面とすることにより、嵌合部に進入するセンサの姿勢が適正な状態に正され、第1の面と第2の面が直交する場合と比較すると、センサを凸部の位置規制面へ円滑に導くことができる。センサの取外し時においても同様にしてセンサの一部が斜面により案内され得る。従ってセンサとエアウェイアダプタの着脱操作を円滑に遂行することが可能である。またセンサのエアウェイアダプタへの装着時において斜面はセンサから離間するため、窓部や防曇膜がセンサの一部により損傷されたり、逆にエアウェイケースの一部によってセンサが損傷される事態を回避できる。
【0019】
(5):(1)から(4)の何れか1つに記載のエアウェイアダプタであって、
前記凸部は、前記エアウェイアダプタが前記センサと嵌合する向きに延設されて第1の端部と第2の端部とを備え、
前記第1の端部は、前記第2の端部よりも前記センサと先に嵌合を開始する側に近く、
前記接触部は、前記第1の端部よりも前記第2の端部寄りに位置している、エアウェイアダプタ。
【0020】
(5)に記載の構成によれば、センサを引き抜こうとする際に加えられる外力に対し、引き抜こうとする側においてより大きな変位が許容される。よって過剰な力を加えることなくセンサをエアウェイアダプタから円滑に取外し可能であり、センサの疲労破壊を回避できる。また第2端部側に位置するセンサの一部は、センサを引き抜こうとする際にエアウェイケースに衝突しやすいが、この部分の変位が可及的に抑制されることにより、衝突を避けることが可能である。
【0021】
(6):(1)から(5)の何れか1つに記載のエアウェイアダプタであって、
前記非接触部は、平面と曲面の少なくとも一方を含んでいる、エアウェイアダプタ。
【0022】
接触部による位置規制機能と非接触部による変位許容機能がセンサに対して担保されていれば、任意の構成を採ることが可能である。
【0023】
(7):エアウェイアダプタに対して取外し可能に装着され、かつ生体の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガスを検出するセンサであって、
対向する第1内壁および第2内壁と、これらの間に配置された第3内壁とにより画成され、かつ前記エアウェイアダプタに対して嵌合可能とされた凹部と、
前記第1内壁に設けられた受光部と、
前記第2内壁に設けられた発光部と、
前記第1内壁と前記第2内壁に隣接するように形成され、前記センサが前記エアウェイアダプタに装着された際に、前記アダプタと当接する接触部と前記アダプタと対向かつ離間する非接触部とを有する凸部とを備えている、センサ。
【0024】
(7)に記載の構成によれば、凸部の接触部のみが嵌合部に接触しており、非接触部は嵌合部に対向かつ離間している。従ってセンサに外力が加わっていない状態においては接触部と嵌合部の接触によりセンサの位置規制機能が確保される。一方、センサの着脱時において外力が加えられた場合、接触部は梃子の支点の役割を果たし、嵌合部が非接触部に接近するような変位を許容する。従ってセンサを装着する際には、エアウェイアダプタの嵌合部に対してセンサがある程度傾いた状態で挿入されても、嵌合部は凸部の非接触部に案内されて接触部と接触する位置へ導かれる。よってセンサに過剰な力を加えずとも円滑にエアウェイアダプタに装着可能であり、センサの疲労破壊を回避できる。センサを取り外す際にも同様の変位許容性が確保されるため、過剰な力を加えずともエアウェイアダプタからセンサを取外し可能である。
【0025】
(8):(7)に記載のセンサであって、
前記凸部は、前記センサが前記エアウェイアダプタと嵌合する向きに延設されて第1の端部と第2の端部とを備え、
前記第1の端部は、前記第2の端部よりも前記センサと先に嵌合を開始する側に近く、
前記接触部は、前記第2の端部よりも前記第1の端部寄りに位置している、センサ。
【0026】
(8)に記載の構成によれば、センサを引き抜こうとする際に加えられる外力に対し、引き抜こうとする側においてより大きな変位が許容される。よって過剰な力を加えることなくセンサをエアウェイアダプタから円滑に取外し可能であり、センサの疲労破壊を回避できる。また第1端部側に位置するセンサの一部は、センサを引き抜こうとする際にエアウェイアダプタに衝突しやすいが、この部分の変位が可及的に抑制されることにより、衝突を避けることが可能である。
【0027】
(9):(7)または(8)に記載のセンサであって、
前記非接触部は平面と曲面の少なくとも一方を含んでいる、センサ。
【0028】
接触部による位置規制機能と非接触部による変位許容機能が嵌合部に対して担保されていれば、任意の構成を採ることが可能である。
【0029】
(10):エアウェイアダプタに対して取外し可能に装着され、かつ生体の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガスを検出するセンサであって、
対向する第1内壁および第2内壁と、これらの間に配置された第3内壁とにより画成され、かつ前記エアウェイアダプタに対して嵌合可能とされた凹部と、
前記第1内壁に設けられた受光部と、
前記第2内壁に設けられた発光部と、
前記第1内壁と前記第2内壁に隣接するように形成され、前記センサが前記エアウェイアダプタに装着された際に、少なくとも一部が前記エアウェイアダプタと接触する第1凸部と、
前記第1内壁および前記第2内壁と前記第3内壁とを接続する角部に隣接するように前記側面に形成された第2凸部とを備えている、センサ。
【0030】
センサを着脱する際に生ずる応力は角部の周辺に集中する傾向がある。(10)に記載の構成によれば、この部位の厚みを増す突起を設けることによりセンサ本体の剛性を向上させることが可能である。従ってセンサの着脱時に繰り返し加えられる力によってセンサ本体が疲労破壊する事態を回避できる。
【0031】
(11):(10)に記載のセンサであって、
前記第3内壁に隣接するように形成され、前記センサが前記エアウェイアダプタに装着された際に、前記エアウェイアダプタに設けられた係止部材と係合可能とされた第3凸部を更に備え、
前記第2凸部と前記第3凸部は一体に形成されている、センサ。
【0032】
(11)に記載の構成によれば、嵌合方向におけるセンサのエアウェイアダプタに対する位置規制を行なう部材に補強機能を具備させることが可能であり、(10)の構成による剛性向上効果が更に高まる。
【0033】
(12):(10)または(11)に記載のセンサであって、
前記第1凸部と前記第2凸部は一体に形成されている、センサ。
【0034】
(12)に記載の構成によれば、センサの発光部と受光部を結ぶ方向の位置規制を行なう部材に補強機能を具備させることが可能であり、(10)の構成による剛性向上効果が更に高まる。
【0035】
(13):エアウェイアダプタに対して取外し可能に装着され、かつ生体の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガスを検出するセンサであって、
対向する第1内壁および第2内壁と、これらの間に配置された第3内壁とにより画成され、かつ前記エアウェイアダプタに対して嵌合可能とされた凹部と、
前記第1内壁に設けられた受光部と、
前記第2内壁に設けられた発光部と、
前記第1内壁および前記第2内壁と前記第3内壁とを接続する角部は曲面とされている、センサ。
【0036】
センサを着脱する際に生ずる応力は角部の周辺に集中する傾向がある。(13)に記載の構成によれば、第3内壁と第1内壁および第2内壁が直交している場合と比較すると、角部への応力集中を緩和することが可能であり、センサ本体の剛性が向上する。よってセンサの着脱時に繰り返し加えられる力によってセンサ本体が疲労破壊する事態を回避できる。
【0037】
(14):エアウェイアダプタに対して取外し可能に装着され、かつ生体の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガスを検出するセンサであって、
対向する第1内壁および第2内壁と、これらの間に配置された第3内壁とにより画成され、かつ前記エアウェイアダプタに対して嵌合可能とされた凹部と、
前記第1内壁に設けられた受光部と、
前記第2内壁に設けられた発光部と、
外側面の一つと前記第1内壁および前記第2内壁を接続する角部は各々曲面とされている、センサ。
【0038】
角部は、センサをエアウェイアダプタに装着しようとする際に、嵌合部と最初に当接する箇所である。(14)に記載の構成によれば、当該部分を曲面とすることにより嵌合時の摺接が滑らかになり、第1内壁および第2内壁と側面が直交する場合と比較すると、センサ本体を嵌合部へ円滑に導くことができる。センサの取外し時においても、角部の嵌合部の一部への引っ掛かりを防止可能であり、従ってセンサとエアウェイアダプタの着脱操作を円滑に遂行することが可能である。
【0039】
(15):生体の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガスを検出する装置であって、
前記所定の呼吸ガスを検出可能とされたセンサと、
前記センサに対して取外し可能に装着されたエアウェイアダプタとを備え、
前記エアウェイアダプタは、
前記呼吸気が通過可能とされた通路が形成されたエアウェイケースと、
前記エアウェイケースに形成され、前記センサに嵌合された嵌合部とを備え、
前記センサと前記嵌合部の少なくとも一方は、他方に当接する接触部と他方に対向かつ離間する非接触部とを有する凸部を備えている、装置。
【0040】
(16)に記載の構成によれば、(1)および(7)について説明したものと同様の機能および効果を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係るエアウェイアダプタを示す斜視図である。
【図2】図1のエアウェイアダプタの前面図である。
【図3】図1のエアウェイアダプタの上面図である。
【図4】図2の線IV−IVに沿う断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る呼吸ガス検出用センサを示す前面図である。
【図6】図5のセンサの底面図である。
【図7】図5のセンサを図1のエアウェイアダプタに装着した状態を示す斜視図である。
【図8】図5のセンサを図1のエアウェイアダプタに装着した状態を示す上面図である。
【図9】図8の線IX−IXに沿う断面図である。
【図10】図9の部分Xを示す拡大図である。
【図11】エアウェイアダプタにおける係止凸部の変形例を示す模式図である。
【図12】エアウェイアダプタおよびセンサの変形例を示す拡大断面図である。
【図13】従来のエアウェイアダプタおよび呼吸ガス検出用センサを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の実施形態を添付の図面を参照しつつ以下詳細に説明する。本明細書中で使用されている「上」「下」「右」「左」「前」「後」という語は、部材同士の位置関係を示すために便宜上用いるものであり、実際の使用状態における方向を限定するものではない。
【0043】
本発明の一実施形態に係るエアウェイアダプタ10を図1から図5に示す。エアウェイアダプタ10は使い捨て可能な硬質樹脂製のエアウェイケース11として提供される。エアウェイケース11は、第1接続部11a、第2接続部11b、および嵌合部21を備えている。前面側と後面側とは対称な構成を有しており、後面図は省略する。
【0044】
第1接続部11aは円筒形状を呈しており、エアバッグや人工呼吸器といった外部機器にチューブ等の呼吸回路を介して接続される。第2接続部11bは、第1接続部11aよりも径大の円筒形状を呈しており、気管チューブやマスクといった被検者側の機器に接続される。嵌合部21は、第1接続部11bと第2接続部11aの間に位置している。
【0045】
エアウェイケース11の内部には通路12が形成されており、第1接続部11aと第2接続部11bを連通すると共に、各接続部の円筒軸方向端部において開口している。被検者の呼吸気が第2接続部11bの開口部から進入して嵌合部21の内部を通過し、第1接続部11aの開口部へと至るように構成されている。
【0046】
略円筒形状を呈するエアウェイケース11の中間部における外周面の一部が、上下方向(図2における上下方向)および前後方向(図3における上下方向)について内側へ凹んで窪み部を形成しており、これが嵌合部21の一部を構成している。図3に示されるように、窪み部は2箇所形成されており、その形状はエアウェイケース11の左右方向(図2および3における左右方向)に延びる通路12の中心軸を挟んで前後方向に対称とされている。
【0047】
嵌合部21は、第1端面21a、第2端面21b、第3端面21c、斜面部21d、および第4端面21eを備えている。第1端面21aは、各窪み部においてエアウェイケース11の左右方向に対向する一対の側壁を画成している。第2端面21b(第1の面)は、各窪み部においてエアウェイケース11の前後方向における最も内側の側壁を画成している。図3および図4に示されるように、第2端面21bはエアウェイケース11の左右方向に平行な面とされる。第3端面21c(第2の面)は、嵌合部21の上面を画成しており、一対の第2端面21bの間に位置している。斜面部21dは、第3端面21cを挟んでエアウェイケース11の前後方向に対称に形成されており、各々第3端面21cと一対の第2端面21bの一方とを接続している。第4端面21eは、各窪み部におけるエアウェイアダプタ10の上下方向の最も内側の面(底面)を画成している。
【0048】
第2端面21bの各々には、通路12と連通する開口として窓部22が形成されている。図2および図4に示されるように、通路12は、窓部22が形成されている箇所12aにおいては、一対の第2端面21bによりエアウェイケース11の前後方向に狭められた断面形状を呈する。窓部22は透明な封止部材23により封止されている。封止部材は可及的に薄いフィルム状あるいは膜状の部材であることが好ましく、防曇加工が施されていることがより好ましい。窓部22は、透明性が確保されていれば、第2端面21bを可及的に薄くすることによっても形成可能である。この場合、封止部材23は不要であるが、窓部22自体に防曇加工を施すことが好ましい。本実施形態では、封止部材23として防曇膜を用いている。
【0049】
嵌合部21は、更に係止凸部24を備えている。係止凸部24は本発明の凸部に対応し、各窪み部において第1端面21aおよび第2端面21bの各々から突出する形状とされている。図2および図3に示されるように、各窪み部において窓部22の左右方向(エアウェイケース11の軸方向)に隣接して一対の係止凸部24が形成されている。係止凸部24の機能については後に詳述する。
【0050】
嵌合部21は、更に係止突起25を備えている。図1ないし図3に示されるように、一対の係止突起25(係止部材)がエアウェイケース11の上面から突出しており、第3端面21cは一対の係止突起25の間に位置している。係止突起25の機能については、後に詳述する。
【0051】
次に本発明に係る呼吸ガス検出用センサ40を図5および図6に示す。センサ40を構成する樹脂製のセンサ本体41は、上面41a、前面41b、後面41c、底面41d、右側面41e、および左側面41fを有している。前面41b側と後面41c側は対称な構成を有しており、後面図は省略する。
【0052】
図5に示されるように、センサ本体41には、前面41b、後面41c、および底面41dの3つの側面において開口するように、凹部42が形成されている。凹部42は、第1内壁42a、第2内壁42b、および第3内壁42cを含むように画成されている。第1内壁42aおよび第2内壁42bはセンサ本体41の左右方向(図5における左右方向)に対向し、第3内壁42cは第1内壁42aと第2内壁42bの間に位置している。
【0053】
角部42dは、凹部42の底部において第3内壁42cと第1内壁42aおよび第2内壁42bの各々を接続している。角部42dは曲面とされている。
【0054】
角部42eは、凹部42の開放側において第1内壁42aと底面41dを接続している。角部42fは、凹部42の開放側において第2内壁42bと底面41dを接続している。角部42eと角部42fは曲面とされており、角部42eの曲率半径は角部42fの曲率半径よりも大きく設定されている。
【0055】
前面41b、後面41c、および左側面41fには突条群41gおよび41hが形成されており、ユーザがセンサ40をエアウェイアダプタ10に装着あるいは取外しするためにセンサ本体41を掴む際の滑り止めとして機能する。
【0056】
センサ本体41には赤外光を出射可能なLED等の発光素子および赤外光を検出可能な受光素子が内蔵されている。発光素子の発光部44は第2内壁42bに設けられており、受光素子の受光部43は第1内壁42aにおいて発光部44に対向する位置に設けられている。発光部44から出射された赤外光は凹部42を横切って受光部43に至り、受光素子に検出される。受光素子は検出した赤外光の強度に応じた信号を出力する。右側面41eにはケーブル等に接続される信号出力部が設けられており、受光素子の出力信号は当該ケーブル等を通じて外部機器へ伝送される。
【0057】
前面41bおよび後面41cには、凹部42を包囲するように膨出部が形成されている。膨出部は、位置規制部47、補強部48、および係止部49を備えている。
【0058】
位置規制部47は、凹部42の左右方向に隣接して設けられた凸部(第1凸部)であり、第1内壁42aおよび第2内壁42bに平行な向き(センサ本体41の上下方向;図5における上下方向)に延設されている。位置規制部47の機能については後に詳述する。
【0059】
補強部48は、角部42dに隣接して設けられた凸部(第2凸部)である。係止部49は、第3内壁42cに隣接して設けられた凸部(第3凸部)である。補強部48および係止部49の機能については後に詳述する。
【0060】
本実施形態では、位置規制部47、補強部48、および係止部49は連続体として膨出部を構成しているが、上記の位置関係を満足すれば、これらの少なくとも一つは独立した部材として設けてもよい。
【0061】
次に、センサ40のエアウェイアダプタ10への装着の仕方について説明する。ユーザは例えば親指および中指を突条41gに、人差し指を突条41hに掛けてセンサ本体41を掴み、エアウェイアダプタ10の嵌合部21とセンサ40の凹部42が嵌合するようにセンサ本体41をエアウェイケース11に装着する。装着された状態を図7ないし図9に示す。センサ本体41の底面41dが嵌合部21の第4端面21eと当接した状態で、エアウェイアダプタ10の係止突起25とセンサ40の係止部49が係合し、センサ40の上下方向の位置決めが為されると共に、上方向への離脱が防止される。センサ40を取り外す際には、同様にしてセンサ本体41を掴み、一定以上の上向きの力を加えることにより、係止突起25と係止部49の係合が解除され、センサ40を上方に引き抜くことができる。
【0062】
図1、図2および図4に示されるように、エアウェイアダプタ10の前後方向に面する係止凸部24の端面は、エアウェイアダプタ10の上下方向に延設され、第2端面21bからの突出高さが最も高い頂部24a(接触部)と、これに連なる斜面部24b(非接触部)を有している。頂部24aは第3端面21cよりも第4端面21e寄り(凹部42と後から嵌合する側)に位置している。斜面部24bは頂部24aから第3端面21cおよび第4端面21eに向かって徐々に第2端面21bからの突出高さが低くなる形状とされている。
【0063】
図10に示されるように、センサ40がエアウェイアダプタ10に装着された状態において、係止凸部24の頂部24aが位置規制部47の内側端面47a(凹部42を挟んで対向する側)に当接し、センサ40の左右方向(エアウェイアダプタ10の前後方向)における位置規制が為される。具体的には、凹部42の第1内壁42aおよび第2内壁42bが、封止部材23に封止された窓部22が設けられた嵌合部21の第2端面21bから離間するように頂部24aの高さ寸法が設定されている。なお同図から明らかなように、この状態において斜面部24bは位置規制部47の内側端面47aから離間している。
【0064】
更にこの状態において、嵌合部21の第1端面21aが位置規制部47の上端面47b(センサ40の前後方向において前面41bもしくは後面41cから最も離間した面)と対向して当接あるいは近接する。また係止凸部24の内側端面24c(第1端面21aから最も離間した面)がセンサ本体41の前面41bおよび後面41cに対向して当接あるいは近接する。これにより、センサ40の前後方向(エアウェイアダプタ10の左右方向)における位置規制が為される。
【0065】
この状態において発光素子の発光部44と受光素子の受光部43を結ぶ光軸が嵌合部21に設けられた窓部22を通過して通路12を横切る。発光素子の発光部44から赤外光が出射されると、通路12を通る被検者の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガス(例えば二酸化炭素)の濃度に応じて吸収される赤外光の量に変化が生じ、受光部43において受光される赤外光の強度に反映される。この受光強度に応じた出力信号を信号出力部を介してモニタすることにより、被検者の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガスを検出し、その濃度を正確に測定することができる。
【0066】
所定の呼吸ガスの検出および濃度測定中に発光部と受光部を結ぶ光軸がブレるのを防止するため、従来のエアウェイアダプタとセンサの嵌合は両者の隙間を可及的に少なくするように構成されている。この場合、ユーザは図7に矢印で示される向きの強い力を加えながら隙間なく嵌合したセンサをエアウェイアダプタの嵌合部から引き抜こうとする傾向がある。センサをエアウェイアダプタの嵌合部にこじ入れる際にも同様の力を加えて押し込む傾向がある。このような状況下において次に示すような問題が発生し得る。
【0067】
例えばセンサをねじるようにしてエアウェイアダプタの嵌合部から引き抜こうとすると、無理な姿勢で嵌合部から離脱するセンサの発光部あるいは受光部にエアウェイアダプタの一部が衝突し、これらが破損する虞がある。逆にセンサに形成された凹部の開放側の角部(本実施形態における角部42eおよび42fに対応する位置)が窓部に形成された封止部材を破損する虞がある。
【0068】
特に装着時に封止部材に破損が生じた場合は、センサとエアウェイアダプタとが嵌合している状態では、窓部がセンサにより完全に覆われるため外部からそれを視認することができず、不適切な条件下で所定の呼吸ガスの検出および濃度測定が行なわれる。またセンサとエアウェイアダプタとが嵌合していない状態では、密閉されるべき呼吸回路に穴が開くことになり、患者に供給すべき呼吸ガスが漏れる可能性もあり、適切な呼吸管理ができない虞もある。さらにセンサの装着時および取外し時において過剰な力が繰り返し加えられることにより、センサ本体にひびが入ったり、疲労破壊が生じてしまう。
【0069】
本発明によれば、これらの問題に対処すべく以下に示す観点から対策を講じている。

(A) センサの位置規制機能を維持しつつ、円滑な着脱操作を可能にする
(B) センサ本体の剛性を向上させる

以下、エアウェイアダプタとセンサの各々について各対策の詳細を説明する。
【0070】
(A−1−1)係止凸部24の位置規制面
本実施形態に係るエアウェイアダプタ10においては、エアウェイアダプタ10の前後方向に面する係止凸部24の端面(第2端面21bより突出している端面)は図10に示されるような形状を有しており、センサ40がエアウェイアダプタ10に装着された状態において、係止凸部24の頂部24aのみがセンサ40の位置規制部47の内側端面47aに接触しており、斜面部24bは内側端面47aから離間している。従ってセンサ本体41に外力が加わっていない状態においては頂部24aと内側端面47aの接触によりセンサ40の左右方向における位置規制が為される。一方、図7において矢印で示されるような外力(センサの着脱時において最も支配的な力)が加えられた場合、頂部24aは梃子の支点の役割を果たし、頂部24aの上下に位置する斜面部24bに沿うような位置へ位置規制部47の内側端面47aが変位することを許容する。
【0071】
従ってセンサ40を装着する際には、エアウェイアダプタ10の嵌合部21に対して鉛直上方から挿入せずとも(鉛直軸に対してセンサ本体41がある程度傾いた状態で挿入されても)、位置規制部47の内側端面47aは上側の斜面部24bにより案内されて頂部24aと接触する位置へ導かれる。逆にセンサ40を取り外す際には、頂部24aと接触する位置規制部47の内側端面47aは上側の斜面部24bへ案内され、嵌合部21から円滑に離脱する。よってセンサ本体41に過剰な力を加えずともセンサ40を円滑にエアウェイアダプタ10に着脱可能であり、センサ本体41の疲労破壊を回避できる。
【0072】
また頂部24aは、嵌合部21の第3端面21c(上側の端面)よりも第4端面21e(下側の端面)寄りに位置しているため、梃子動作の支点位置が下がり、角部42eおよび42fが設けられた箇所の可動範囲を可及的に抑えることが可能である。従ってセンサ40をエアウェイアダプタ10に着脱する際に、角部42eおよび42fにより窓部22や封止部材(防曇膜)23が破損される事態を回避できる。
【0073】
更に頂部24aと斜面部24bの何れも窓部22および封止部材23が設けられた嵌合部21の第2端面21bから突出しており、これらの突出高さは凹部42の第1内壁42aおよび第2内壁42bが第2端面21bから離間するように設定されている。従って窓部22や封止部材23が凹部42の一部により損傷されたり、逆に発光部44や受光部43がエアウェイケース11の一部により損傷される事態を回避できる。
【0074】
本実施形態では、係止凸部24の位置規制面が平坦な頂部24aと平面からなる斜面部24bとで構成されている。しかしながら図11の(A)から(C)に示される断面形状としても同様の機能と効果が得られる。(A)は頂部24aが位置規制部47に対して線接触するような形状とされている。斜面部24bは本実施形態と同様に平面のみから形成されている。(B)は斜面部24bを曲面で形成した例である。頂部24aは本実施形態と同様に位置規制部47に対して面接触が可能な形状としてもよいし、(A)と同様に線接触が可能な形状としてもよい。斜面部24bを平面と曲面の組合せとすることも可能である。また本実施形態では頂部24aと斜面部24bが連続した面として形成されている。しかしながら位置規制部47の案内機能と変位許容機能が担保されていれば、(C)に示されるように頂部24aと斜面部24bが非連続な面として形成されてもよい。
【0075】
(A−1−2)斜面部21d
本実施形態においては、嵌合部21の第2端面21bと第3端面21cとが斜面部21dにより接続されている。エアウェイアダプタ10の前後方向における第3端面21cの両端部は、センサ40をエアウェイアダプタ10に装着しようとする際に、センサ本体41の角部42eおよび42f(凹部42の開放側における角部)が最初に当接する箇所である。当該部分を斜面とすることにより嵌合部21に進入するセンサ本体41の姿勢が適正な状態に正され、第2端面21bと第3端面21cが直交する場合と比較すると、位置規制部47の内側端面47aを係止凸部24の斜面部24bへ円滑に導くことができる。センサ40の取外し時においても同様にして角部42eおよび42fが斜面部21dにより案内され得る。従ってセンサ40とエアウェイアダプタ10の着脱操作を円滑に遂行することが可能である。またセンサ40のエアウェイアダプタ10への装着時において、斜面分21dは凹部42の内側から離間するように構成されているため、窓部22や封止部材23が凹部42の一部により損傷されたり、逆に発光部44や受光部43がエアウェイケース11の一部により損傷される事態を回避できる。
【0076】
(A−2−1)角部42eおよび42f
本実施形態に係るセンサ40においては、凹部42の開放側において第1内壁42aとセンサ本体41の底面41dを接続している角部42e、および凹部42の開放側において第2内壁42bとセンサ本体41の底面41dを接続している角部42fの各々が曲面とされている。角部42eおよび42fは、センサ40をエアウェイアダプタ10に装着しようとする際に、嵌合部21と最初に当接する箇所である。当該部分を曲面とすることにより嵌合時の摺接が滑らかになり、第1内壁42aおよび第2内壁42bと底面41dが直交する場合と比較すると、センサ本体41を嵌合部21へ円滑に導くことができる。センサ40の取外し時においても、角部42eおよび42fの嵌合部21の一部への引っ掛かりを防止可能であり、従ってセンサ40とエアウェイアダプタ10の着脱操作を円滑に遂行することが可能である。また窓部22や封止部材23が角部42eや42fにより損傷される事態も回避され得る。
【0077】
本実施形態においては、突条41hが形成されたセンサ本体41の左側面41fに近い側の角部42eの曲率半径が角部42fの曲率半径よりも大きく設定されている。ユーザがセンサ40をエアウェイアダプタ10から引き抜く場合、突条41hに人差し指を掛けて右側面41eの側が先に引き上げられる際に、角部42fの引っ掛かりが防止されてセンサ40の円滑な離脱を促すことができる。
【0078】
(A−2−2)位置規制部47に頂部と斜面部を形成
(A−1−1)で述べたように、本実施形態のエアウェイアダプタ10においては、係止凸部24に頂部24aと斜面部24bを設けて位置規制機能と着脱案内機能を具備させている。同様の構造をセンサ40の側に設けることが可能であり、この構成を採用したエアウェイアダプタ110とセンサ140を変形例として図12に示す。
【0079】
センサ140の位置規制部147(凸部)は、内側(凹部42に対向する側)に向かう突出高さが最も高い頂部147a(接触部)と、これに連なる斜面部147b(非接触部)を有している。頂部147aは位置規制部147の上側端部147cよりも下側端部147d寄り(嵌合部21と先に嵌合する側)に位置している。斜面部147bは頂部147aから上側端部147cおよび下側端部147dに向かって徐々に凹部42側への突出高さが低くなる形状とされている。
【0080】
一方、エアウェイアダプタ110の嵌合部21に設けられた係止凸部124は、第2端面21bから突出した端面124aを備えている。この例では、エアウェイアダプタ110の上下方向に延設された係止凸部124の全体に亘って平坦な面とされている。
【0081】
センサ140がエアウェイアダプタ110に装着された状態において、位置規制部147の頂部147aが係止凸部124の端面124aに当接し、センサ140の左右方向(エアウェイアダプタ110の前後方向)における位置規制が為される。具体的には、凹部42の第1内壁42aおよび第2内壁42bが、封止部材23に封止された窓部22が設けられた嵌合部21の第2端面21bから離間するように頂部147aの高さ寸法が設定されている。なお同図から明らかなように、この状態において斜面部147bは係止凸部124の端面124aから離間している。
【0082】
その他の構成は上記の実施形態と同様であるため、説明を割愛する。この構成においても(A−1−1)において説明した機能および作用効果を得ることが可能である。
【0083】
頂部147aおよび斜面部147bの形状については、図11を用いて説明した例と同様の変形が可能である。
【0084】
図12に示されたセンサ140を、上記実施形態に係るエアウェイアダプタ10に適用することも可能である。この場合、位置規制部147の頂部147aの位置を係止凸部24の頂部24aと一致させる必要がある。
【0085】
(B−1)補強部48
本実施形態に係るセンサ40においては、凹部42の底部において第3内壁42cと第1内壁42aおよび第2内壁42bの各々を接続している角部42dに隣接して補強部48が設けられている。図7において矢印で示される向きの力による応力は角部42dの周辺に集中する傾向があり、この部位の厚みを増す突起を設けることによりセンサ本体41の剛性を向上させている。従ってセンサ40の着脱時に繰り返し加えられる力によってセンサ本体41が疲労破壊する事態を回避できる。補強部48を位置規制部47と係止部49の少なくとも一方と連続体として形成することにより、剛性向上効果が更に高まる。
【0086】
(B−2)角部42d
本実施形態においては、上記の角部42dは曲面とされている。第3内壁42cと第1内壁42aおよび第2内壁42bが直交している場合と比較すると、角部42dへの応力集中を緩和することが可能であり、センサ本体41の剛性が向上する。よってセンサ40の着脱時に繰り返し加えられる力によってセンサ本体41が疲労破壊する事態を回避できる。
【0087】
以上説明したように、本発明の実施形態に係るエアウェイアダプタおよびセンサによれば、発光部と受光部を結ぶ光軸をエアウェイケースに対してブレなく固定することが可能でありながら、可及的に小さな力で両者の着脱を行なうことができる。また着脱操作に伴うエアウェイケースとセンサ本体の少なくとも一方における破損を効果的に防止可能である。
【0088】
上記の対策(A−1−1)から(B−2)に係る構成の全てをエアウェイアダプタおよびセンサが備えている必要はなく、少なくとも一つが備わっていればよい。例えば、対策(A−2−2)を施したセンサに、対策(A−2−1)、(B−1)、(B−2)の少なくとも一つを施しても良い。
【0089】
上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる事は勿論である。
【符号の説明】
【0090】
10 エアウェイアダプタ
11 エアウェイケース
12 通路
21 嵌合部
21b 第2端面(第1の面)
21c 第3端面(第2の面)
21d 斜面部(斜面)
22 窓部
23 封止部材(防曇膜)
24 係止凸部(凸部)
24a 頂部(接触部)
24b 斜面部(非接触部)
25 係止突起(係止部材)
40 センサ
42 凹部
42a 第1内壁
42b 第2内壁
42c 第3内壁
42d 角部
42e 角部
42f 角部
43 受光部
44 発光部
47 位置規制部(凸部、第1凸部)
48 補強部(第2凸部)
49 係止部(第3凸部)
110 エアウェイアダプタ
140 センサ
147 位置規制部(凸部)
147a 頂部(接触部)
147b 斜面部(非接触部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガスを検出可能なセンサに装着されるエアウェイアダプタであって、
前記呼吸気が通過可能とされた通路が形成されたエアウェイケースと、
前記エアウェイケースに形成され、前記センサに対して取外し可能に嵌合可能とされた嵌合部と、
前記嵌合部内に設けられ、前記エアウェイアダプタが前記センサに装着された際に、前記センサと当接する接触部と前記センサと対向かつ離間する非接触部とを有する凸部とを備えている、エアウェイアダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載のエアウェイアダプタであって、
前記嵌合部は、前記エアウェイアダプタが前記センサに装着された際に、前記センサの発光部と受光部を結ぶ光軸が通過可能とされた窓部が形成された第1の面を有し、
前記凸部は、前記第1の面から突出している、エアウェイアダプタ。
【請求項3】
請求項2に記載のエアウェイアダプタであって、
前記窓部を封止する防曇膜を更に備えている、エアウェイアダプタ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のエアウェイアダプタであって、
前記第1の面は、前記エアウェイアダプタが前記センサに装着された際に、前記センサに形成された凹部内に配置されるように構成され、
前記嵌合部は、前記エアウェイアダプタが前記センサに装着された際に、前記凹部の底部に対向するように構成された第2の面を有し、
前記第1の面と前記第2の面は、斜面により接続されており、
前記斜面は、前記エアウェイアダプタが前記センサに装着された際に、前記センサと離間するように構成されているエアウェイアダプタ。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載のエアウェイアダプタであって、
前記凸部は、前記エアウェイアダプタが前記センサと嵌合する向きに延設されて第1の端部と第2の端部とを備え、
前記第1の端部は、前記第2の端部よりも前記センサと先に嵌合を開始する側に近く、
前記接触部は、前記第1の端部よりも前記第2の端部寄りに位置している、エアウェイアダプタ。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載のエアウェイアダプタであって、
前記非接触部は、平面と曲面の少なくとも一方を含んでいる、エアウェイアダプタ。
【請求項7】
エアウェイアダプタに対して取外し可能に装着され、かつ生体の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガスを検出するセンサであって、
対向する第1内壁および第2内壁と、これらの間に配置された第3内壁とにより画成され、かつ前記エアウェイアダプタに対して嵌合可能とされた凹部と、
前記第1内壁に設けられた受光部と、
前記第2内壁に設けられた発光部と、
前記第1内壁と前記第2内壁に隣接するように形成され、前記センサが前記エアウェイアダプタに装着された際に、前記アダプタと当接する接触部と前記アダプタと対向かつ離間する非接触部とを有する凸部とを備えている、センサ。
【請求項8】
請求項7に記載のセンサであって、
前記凸部は、前記センサが前記エアウェイアダプタと嵌合する向きに延設されて第1の端部と第2の端部とを備え、
前記第1の端部は、前記第2の端部よりも前記センサと先に嵌合を開始する側に近く、
前記接触部は、前記第2の端部よりも前記第1の端部寄りに位置している、センサ。
【請求項9】
請求項7または8に記載のセンサであって、
前記非接触部は平面と曲面の少なくとも一方を含んでいる、センサ。
【請求項10】
エアウェイアダプタに対して取外し可能に装着され、かつ生体の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガスを検出するセンサであって、
対向する第1内壁および第2内壁と、これらの間に配置された第3内壁とにより画成され、かつ前記エアウェイアダプタに対して嵌合可能とされた凹部と、
前記第1内壁に設けられた受光部と、
前記第2内壁に設けられた発光部と、
前記第1内壁と前記第2内壁に隣接するように形成され、前記センサが前記エアウェイアダプタに装着された際に、少なくとも一部が前記エアウェイアダプタと接触する第1凸部と、
前記第1内壁および前記第2内壁と前記第3内壁とを接続する角部に隣接するように前記側面に形成された第2凸部とを備えている、センサ。
【請求項11】
請求項10に記載のセンサであって、
前記第3内壁に隣接するように形成され、前記センサが前記エアウェイアダプタに装着された際に、前記エアウェイアダプタに設けられた係止部材と係合可能とされた第3凸部を更に備え、
前記第2凸部と前記第3凸部は一体に形成されている、センサ。
【請求項12】
請求項10または11に記載のセンサであって、
前記第1凸部と前記第2凸部は一体に形成されている、センサ。
【請求項13】
エアウェイアダプタに対して取外し可能に装着され、かつ生体の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガスを検出するセンサであって、
対向する第1内壁および第2内壁と、これらの間に配置された第3内壁とにより画成され、かつ前記エアウェイアダプタに対して嵌合可能とされた凹部と、
前記第1内壁に設けられた受光部と、
前記第2内壁に設けられた発光部と、
前記第1内壁および前記第2内壁と前記第3内壁とを接続する角部は曲面とされている、センサ。
【請求項14】
エアウェイアダプタに対して取外し可能に装着され、かつ生体の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガスを検出するセンサであって、
対向する第1内壁および第2内壁と、これらの間に配置された第3内壁とにより画成され、かつ前記エアウェイアダプタに対して嵌合可能とされた凹部と、
前記第1内壁に設けられた受光部と、
前記第2内壁に設けられた発光部と、
外側面の一つと前記第1内壁および前記第2内壁を接続する角部は各々曲面とされている、センサ。
【請求項15】
生体の呼吸気に含まれる所定の呼吸ガスを検出する装置であって、
前記所定の呼吸ガスを検出可能とされたセンサと、
前記センサに対して取外し可能に装着されたエアウェイアダプタとを備え、
前記エアウェイアダプタは、
前記呼吸気が通過可能とされた通路が形成されたエアウェイケースと、
前記エアウェイケースに形成され、前記センサに嵌合された嵌合部とを備え、
前記センサと前記嵌合部の少なくとも一方は、他方に当接する接触部と他方に対向かつ離間する非接触部とを有する凸部を備えている、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−159386(P2012−159386A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18935(P2011−18935)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】