説明

エアウェイアダプタ

【課題】炭酸ガス測定用鼻マスクないしはフェースマスクと、呼気誘導部およびエアウェイケースとの着脱操作が容易であって、エアウェイケースを前記マスクの外部に突出する構成とし、さらにエアウェイケース内を通過する呼気の導入と排出とを、前記マスクの外側にエアリークすることなくその内側において確実に行うことができる気密な構成とし、前記エアウェイケースに対して炭酸ガス測定用センサを容易に着脱操作することができるエアウェイアダプタを提供する。
【解決手段】エアウェイケース10と、前記エアウェイケースと連通接続し、呼吸気を前記エアウェイケースへ案内導入するための呼気誘導部20とからなり、前記エアウェイケースにおいて、第一の呼吸気流路(24)と第二の呼吸気流路(26)とが形成され、前記第一の呼吸気流路と第二の呼吸気流路を流れる呼吸気の流れを逆方向に設定した構成からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の鼻孔又は口から排出される呼吸気中の炭酸ガスの有無や濃度等を検出測定するための炭酸ガス測定において、生体の鼻孔又は口から排出される呼気を誘導して呼気中の炭酸ガスに関する測定を有効に行うためのエアウェイアダプタの形状に関するものである。また、炭酸ガス測定用センサをエアウェイアダプタに取付ける場合において、その着脱操作を簡便かつ容易に行うことができるように構成したものである。
【背景技術】
【0002】
従来において、生体の鼻孔又は口から排出される呼気中の炭酸ガスの有無や濃度等を検出測定するための炭酸ガス測定用センサとして、例えば、筒状ないし箱状に形成された気密ケースの左右両側面に、光を透過する透過窓をそれぞれ設けると共に、上下面等に呼気を案内導入して外部へ導出させるための開口部をそれぞれ形成したエアウェイケースを設け、このエアウェイケースの前記透過窓を設けた両側面に対して、発光素子と受光素子とを対向させて配置するように支持部材により支持する構成のエアウェイアダプタ内を通過する呼気に対する透過光を検出測定するように構成した炭酸ガス測定用センサが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
なお、前述した炭酸ガス測定用センサを取付けるためのエアウェイケースに対しては、生体の鼻孔から排出される呼気を有効に導入するため、一方の側には生体の2つの鼻孔にそれぞれ挿入する鼻チューブを有し、他方の側を前記エアウェイケースに設けた孔部に接続するように構成される。そして、前記炭酸ガス測定用センサは、前記エアウェイケースに対して、着脱可能に装着し得るよう構成されている。
【0004】
このように構成される炭酸ガス測定用センサは、生体の鼻孔から排出される呼気を測定対象とすることから、エアウェイアダプタを使用して鼻孔に鼻チューブ装着するため、鼻マスクシェルを備えた炭酸ガス測定用鼻マスクとして構成したものにも応用可能である。
【0005】
このような観点から、本出願人は、外部からマスク内に高流量のガスが供給されても、正確な炭酸ガス濃度測定が可能であり、しかも強制的に酸素等を送り込むことも可能に構成した、炭酸ガス測定用鼻マスクを開発し、特許出願を行った(特許文献2参照)。
【0006】
すなわち、この特許文献2に記載の炭酸ガス測定用鼻マスクは、鼻を覆うように顔面に密着される密封縁を有し、内部が密封空間を構成する鼻マスクシェルと、鼻マスクシェルの一部に形成され、鼻マスクシェルが装着された状態において鼻孔直下に位置して鼻孔からの呼気が導入され、この導入された呼気を排出するための呼気排出口を有すると共に、鼻マスクシェル外に炭酸ガス測定用センサを着脱可能に取り付けるためのエアウェイケースと、外部から酸素や空気などの気体を鼻マスクシェル内に導入するための導入口と、鼻孔から前記エアウェイケースへ導入される呼気を、前記導入口から到来する気体によって希釈されることなく、前記鼻マスクシェル内において前記エアウェイケースへ導く経路を確保するための鼻チューブと、を具備する構成からなる。
【0007】
従って、前記構成からなる炭酸ガス測定用鼻マスクにおいて、呼気は鼻チューブを介してエアウェイケースに到来し、適宜呼気排出口から鼻マスクシェル内に抜けるので、酸素等が鼻マスクシェルに設けた導入口へ到来しても、鼻からの呼気が導入口から流れ込む酸素等に希釈されることなく正確な炭酸ガス濃度測定を可能とする。また、鼻マスクシェルは、その密着縁部において顔面に密着されるため、前記導入口へ到来する酸素等を陽圧として使用することができ、睡眠時無呼吸症候群や呼吸不全の患者の治療に用いられるCPAP(持続的気道陽圧法)やNPPV(非侵襲的陽圧換気法)の機器に適用可能であり、従来まで困難であった陽圧換気下における炭酸ガス濃度測定を可能とした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−315264号公報
【特許文献2】特開2008−200061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した特許文献2において、炭酸ガス測定用鼻マスクに設けられている炭酸ガス測定用センサを取り付けるためのエアウェイケースは鼻マスクの一部として形成され、エアウェイケースの一端には鼻孔に挿入し得るY字形状の鼻チューブが設けられ、他端はエアウェイケースに設けた開放口に対向するように設けられている。そして、このように構成されたエアウェイケースに対して呼気の入口と出口とがそれぞれ対向するように設けられており、しかも呼気の導入気流を流れ易くするために、エアウェイケース全体を炭酸ガス測定用鼻マスクの内側に収める構成配置とする必要があった。
【0010】
このように、炭酸ガス測定用鼻マスクは、複雑なデザインを有することから、複数の部品による組立て作業やメンテナンス等の作業を行う必要から、前記マスクとエアウェイケースとの間で、エアリークが起こらずに着脱可能とするためには、構造が複雑となる問題があった。また、炭酸ガス測定用センサをエアウェイケースに装着する場合においても、前記センサを前記鼻マスクの内側に入り込ませる必要があり、着脱操作が面倒になる難点も有していた。
【0011】
さらに、前記炭酸ガス測定用鼻マスクは、複雑なデザインを有する特殊な形状であるため、製造が困難であり、製造技術やコストの点で課題が残った。
【0012】
そこで、本発明の目的は、炭酸ガス測定用鼻マスク(又は炭酸ガス測定用フェースマスク)と、呼気誘導部およびエアウェイケースとの着脱操作が容易であって、エアウェイケースを前記鼻マスク(又は前記フェースマスク)の外部に突出する構成とし、さらにエアウェイケース内を通過する呼気の導入と排出とを、前記鼻マスク(又は前記フェースマスク)の外側にエアリークすることなくその内側において確実に行うことができる気密な構成とし、前記エアウェイケースに対して炭酸ガス測定用センサを容易に着脱操作することができるように構成した、エアウェイアダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するため、本発明の請求項1に記載のエアウェイアダプタは、エアウェイケースと、前記エアウェイケースと連通接続し、呼吸気を前記エアウェイケースへ案内導入するための呼気誘導部とからなり、前記エアウェイケースにおいて、第一の呼吸気流路と第二の呼吸気流路とが形成され、前記第一の呼吸気流路と第二の呼吸気流路を流れる呼吸気の流れを逆方向に設定してなることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項2に記載のエアウェイアダプタは、前記エアウェイケースと前記呼気誘導部とが、着脱可能に構成されることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項3に記載のエアウェイアダプタは、前記エアウェイケースが、対向する両側面に炭酸ガス測定用センサを装着可能とすることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項4に記載のエアウェイアダプタは、前記エアウェイケースにおいて、第一の呼吸気流路と第二の呼吸気流路は併置されることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項5に記載のエアウェイアダプタは、前記エアウェイケースにおいて、第一の呼吸気流路と第二の呼吸気流路のいずれか一方が、他方を囲繞することを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項6に記載のエアウェイアダプタは、前記呼気誘導部とエアウェイケースのいずれかに、鼻孔周囲を囲繞するための鼻カップを固定配置したことを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項7に記載のエアウェイアダプタは、陽圧換気可能な鼻マスクの鼻マスクシェルに前記エアウェイアダプタの一部を固定配置し、前記鼻マスクシェルの外側にエアウェイケースが突出するように接続配置可能とすることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項8に記載のエアウェイアダプタは、前記呼気誘導部が、生体の鼻孔に挿入される鼻チューブであることを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項9に記載のエアウェイアダプタでは、前記呼気誘導部は、生体の鼻孔からの呼吸気を誘導する第一の誘導部と、生体の口からの呼吸気を誘導する第二の誘導部から構成されることを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項10に記載のエアウェイアダプタでは、前記第一の誘導部より誘導された呼吸気と前記第二の誘導部より誘導された呼吸気は前記エアウェイケース内、又はエアウェイケースよりも上流側において合流することを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項11に記載のエアウェイアダプタは、陽圧換気可能なフェースマスクに前記エアウェイアダプタの一部を固定配置し、前記フェースマスクシェルの外側にエアウェイケースが突出するように接続配置可能とすることを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項12に記載のエアウェイアダプタでは、前記第一の誘導部は、生体の鼻孔に挿入される鼻チューブであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るエアウェイアダプタによれば、エアウェイケース内を通過する呼気の導入と排出とを、エアウェイケースの上部面に設けた開口部において、呼気を案内導入するための呼気誘導部と連通する第一の呼吸気流路としての呼気導入通路と、呼気を外部へ排出するための第二の呼吸気流路としての呼気排出通路とが相互に隣接配置された構成とすることにより、呼気誘導部およびエアウェイケース並びに炭酸ガス測定用センサとの着脱操作を容易にし、さらには炭酸ガス測定用鼻マスクへの取り付けに際しても、炭酸ガス測定用センサの着脱操作を容易に行うことができる。
【0026】
本発明に係るエアウェイアダプタによれば、呼気誘導部とエアウェイケースの着脱可能な構成を、比較的簡単な構成とすることができると共に、炭酸ガス測定用鼻マスクへの取り付けに際しても、エアウェイアダプタの一部だけが鼻マスクに固定配置されるだけなので、エアウェイケース内を通過する呼気の導入と排出とを、前記鼻マスクの外側にエアリークすることなく鼻マスクの内側において確実に行うことができる気密な構成とすることができる。
【0027】
本発明に係るエアウェイアダプタによれば、エアウェイケース内に設けられる呼気導入通路を形成する一部に、生体の鼻孔周囲の顔面部分を囲繞するための鼻カップを固定配置することによって、睡眠時無呼吸症候群や呼吸不全の患者の治療に用いられるCPAPやNPPV治療における陽圧換気下においても、鼻カップにより、鼻マスク内に陽圧吸入される酸素等による鼻からの呼気の希釈を防ぐことができる。
【0028】
本発明に係るエアウェイアダプタによれば、炭酸ガス測定用鼻マスクの鼻マスクシェルの外縁部に前記エアウェイケースを固定配置して前記鼻マスクシェルの外側にエアウェイケースを接続配置することによって、エアウェイケース内を通過する呼気の導入と排出とを、前記鼻マスクの外側にエアリークすることなくその内側において確実に行うことができる気密な構成とすることができ、睡眠時無呼吸症候群や呼吸不全の患者の治療に用いられるCPAPやNPPVの機器への適用を容易化することができる。
【0029】
本発明に係るエアウェイアダプタによれば、鼻マスクから突出したエアウェイケースを有するため、被験者が鼻マスクを装着中であっても、容易に炭酸ガス測定用センサの着脱が可能である。
【0030】
本発明に係るエアウェイアダプタによれば、エアウェイケースの上部面に設けた開口部において、呼気導入通路と呼気排出通路とが相互に隣接配置された構造であるため、鼻マスクからエアウェイケースのみが突出できれば良く、既存の鼻マスクの構造に殆ど影響を与えることなく適用可能である。これに伴い、同時に使用される鼻マスクの製造コストを抑え、さらに様々な種類の鼻マスクに適用可能である。
【0031】
本発明に係るエアウェイアダプタによれば、呼気誘導部が、生体の鼻孔からの呼吸気を誘導する第一の誘導部と、生体の口からの呼吸気を誘導する第二の誘導部から構成されるため、生体の鼻と口の両方からの呼吸気を管理可能とする。さらに、呼吸療法などでも広く用いられるフェースマスクにおいても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るエアウェイアダプタの典型的な一構成例を示す正面図である。
【図2】図1に示すエアウェイアダプタのA−A線断面図である。
【図3】本発明に係るエアウェイアダプタを炭酸ガス測定用鼻マスクに適用した実施例を示す斜視図である。
【図4】図3に示す炭酸ガス測定用鼻マスクに適用した本発明に係るエアウェイアダプタの正面図である。
【図5】本発明に係るエアウェイアダプタの詳細な構成を示す図4のB−B線要部断面図である。
【図6】本発明に係るエアウェイアダプタのエアウェイケースにおける第一および第二の呼吸気流路の構成と呼吸気の流れの関係を説明するものであって、(a)は第一および第二の呼吸気流路が併置される構成を示す説明図、(b)は第一と第二の呼吸気流路の一方が他方を囲繞する構成を示す説明図である。
【図7】本発明に係るエアウェイアダプタの炭酸ガス測定用鼻マスクに適用した場合の使用状態を示す説明図である。
【図8】本発明に係るエアウェイアダプタの炭酸ガス測定用フェースマスクに適用した場合の概観図である。
【図9】本発明に係るエアウェイアダプタの炭酸ガス測定用フェースマスクに適用した場合の鼻および口からの呼吸気の流れを示す説明図である。
【図10】本発明に係るエアウェイアダプタの炭酸ガス測定用フェースマスクに適用した場合の炭酸ガス測定用センサの取り付けを示す説明図である。
【図11】本発明に係るエアウェイアダプタの炭酸ガス測定用フェースマスクに適用した場合の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明に係るエアウェイアダプタの実施例につき、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。各図において、同一の構成要素には、同一の符号を付し重複する説明を省略する。
【0034】
図1および図2は、本発明に係るエアウェイアダプタの典型的な一構成例を示すものであり、図1は正面図、図2は断面図を示すものである。
【0035】
図1および図2において、本発明に係るエアウェイアダプタは、エアウェイケース10と、前記エアウェイケース10と連通接続し、呼吸気を前記エアウェイケース10へ案内導入するための呼気誘導部20とから構成されている。上記エアウェイケース10と呼気誘導部20とが、着脱可能に構成されている。
【0036】
エアウェイケース10は、呼気誘導部20と連通接続するための接合部22を備えると共に、筒状ないし箱状に形成された気密ケースの左右両側面に、光を透過する透過窓12をそれぞれ設け、さらに上部面14に呼気を案内導入して外部へ排出させるための開口部15を形成した構成からなる。
【0037】
呼気誘導部20は、一方の側に生体の鼻孔へそれぞれ挿入するY字形状の鼻チューブ23が設けられ、他方の側は前記エアウェイケース10の上部面14に形成した開口部15に連通接続して前記エアウェイケース10内に呼気を案内導入するように形成された接合部22と連通接続されている。
【0038】
そして、エアウェイケース10は、前記呼気誘導部20から案内導入される呼気を導入するための、第一の呼吸気流路としての呼気導入通路24と、この呼気導入通路24と隣接してエアウェイケース10内に導入された呼気を外部へ排出するように形成された第二の呼吸気流路としての呼気排出通路26とを設けた構成からなる。なお、参照符号27は、前記呼気排出通路26の排出口を示す。
【0039】
図3ないし図5は、前記構成からなる本発明に係るエアウェイアダプタを、鼻マスクを構成する鼻マスクシェルの外縁部に適用した場合の一実施例を示すものであって、図3は斜視図、図4は正面図、図5は断面図をそれぞれ示す。
【0040】
図3ないし図5において、エアウェイアダプタの呼気誘導部20には、鼻孔に挿入される鼻チューブ23を例示している。この場合、呼気誘導部20は、鼻孔からの呼気を適切に接合部22へ誘導できる形状であればよく、必ずしも鼻チューブ23である必要はなく、例えば鼻孔を覆うお椀(カップ)型の形状であってもよい。
【0041】
なお、エアウェイケース10は、上部面14に設けた開口部15側において、仕切壁25を介して少なくとも2つの通路を画設し、この画設した一方の通路を呼気導入通路24として形成すると共に他方の通路を呼気排出通路26として形成することができる(図5参照)。
【0042】
例えば、エアウェイケース10は、呼気導入通路24を流れる呼気が、エアウェイケース10内にて折り返され、呼気排出通路26を流れる構造であってもよい〔図6の(a)参照〕。また、呼気導入通路24と呼気排出通路26とのうち、いずれか一方の周囲を、他方が所要の仕切壁25′により画設して配置される構成であってもよい〔図6の(b)参照〕。このように、第一の呼吸気流路である呼気導入通路24と第二の呼吸気流路である呼気排出通路26のいずれか一方が、他方を囲繞する構成とすることができる。この図6(a)とは逆に、呼気導入通路24が呼気排出通路26を囲繞するものであっても良い。以上の通り、第一の呼吸気流路としての呼気導入通路24と第二の呼吸気流路としての呼気排出通路26を流れる呼吸気の流れが逆方向となるように構成(設定)されている。
【0043】
本実施例において、前記構成からなるエアウェイアダプタは、炭酸ガス測定用鼻マスクMを構成する鼻マスクシェル30の外縁部32に、エアウェイケース10の一部が固定配置され、前記鼻マスクシェル30の外縁部32の外側に、前記エアウェイケース10が図示のように鼻マスクシェル30から突出して接続配置される(図3ないし図5参照)。また、エアウェイケース10の呼気導入通路24を形成する一部に、生体の鼻孔周囲を囲繞するための鼻カップ34が図示のように固定配置される(図3ないし図5参照)。
【0044】
さらに、本実施例において、エアウェイケース10の呼気排出通路26の排出口27は、鼻マスクシェル30の内側に開口されている。そして、このように構成配置されたエアウェイアダプタの前記エアウェイケース10に対しては、透過窓12を設けた両側面に対向するように、炭酸ガス測定用センサ40を、図4に示すように、着脱可能に装着することができる。
【0045】
図7は、本実施例に係るエアウェイアダプタを適用して構成した炭酸ガス測定用鼻マスクMの被験者に対する使用状態を示すものである。すなわち、この場合、炭酸ガス測定用鼻マスクMの鼻マスクシェル30の外縁部32を、被験者の顔面の鼻の周囲を囲むようにして当接すると共に、鼻カップ34が鼻孔の周囲部分を囲繞するように配置して、呼気誘導部20の先端を鼻孔内にそれぞれ挿入する。鼻マスクシェル30は外縁部32により顔面に密着されるため、導入口2へ到来する酸素などを陽圧として使用することができる。
【0046】
このようにして、被験者の鼻孔から排出される呼気は、呼気誘導部20よりエアウェイケース10の呼気導入通路24を介して前記エアウェイケース10へ案内導入される。そして、エアウェイケース10内に導入された呼気は、呼気排出通路26を介して、鼻マスクシェル30の内側に開口された排出口27より、鼻マスクシェル30内に排出される(図5参照)。従って、このようにして前記エアウェイケース10内を通過する呼気は、炭酸ガス測定用センサ40によって、呼気中の炭酸ガス濃度等を検出測定することができる。
【0047】
更に、本発明に係るエアウェイアダプタの別の実施例として、フェースマスクに適用した場合について、図8から図11を参照しながら説明する。
【0048】
図8は、本発明に係るエアウェイアダプタを、鼻及び口を覆うフェースマスクに適用した炭酸ガス測定用フェースマスクM2の概観図を示すものである。炭酸ガス測定用フェースマスクM2は、被験者の口及び鼻を含んで覆うことができる開口部を構成する外縁部61を備えたフェースマスクシェル60を具備する。フェースマスクシェル60内には、エアウェイケース10に連通する呼気誘導部20が備えられている。呼気誘導部20は、鼻孔からの呼吸気を誘導する第一の誘導部50と、口からの呼吸気を誘導する第二の誘導部52とから構成される。第一の誘導部50の一例として、鼻チューブを図示したが、鼻を覆うカップ状の鼻カップであってもよい。またエアウェイアダプタの一部が、フェースマスクシェル60の外縁部61により構成される開口部からテ―パ状に細径とされた先端部62に固定配置され、フェースマスクシェル60の外側にエアウェイケース10が突出する。上記において、フェースマスクシェル60を備える構成もまた除いたフェースマスクシェル60を構成も、エアウェイアダプタとして流通可能である。
【0049】
図9は、本発明に係るエアウェイアダプタのフェースマスクに適用した場合の呼吸気の流れを示すものである。鼻からの呼吸気70は、第一の誘導部50から誘導され、エアウェイケース10よりも上流(呼気の流れの上流)側の接合部22において、口からの呼吸気72と混合されるように構成されている。混合された呼吸気は、呼気導入通路24を通過しエアウェイケース10に誘導され、呼気排出通路26よりフェースマスク内に排出される構成となっている。なお鼻からの呼吸気70と口からの呼吸気72は、エアウェイケース10内で混合されても良い。
【0050】
図10は、本発明に係るエアウェイアダプタのフェースマスクに適用した場合における、炭酸ガス測定用センサの装着を示すものであり、図11は被験者に対する使用状態を示すものである。図10に明らかなように、エアウェイアダプタのエアウェイケース10に対しては、炭酸ガス測定用センサ40を着脱可能に装着することができる。フェースマスクシェル60の外縁部61が、図11の如く被験者の顔に適切に密着して使用される。これにより、生体の鼻孔又は口から排出される呼気中の炭酸ガスの有無や濃度等を適切に検出測定することができる。フェースマスクシェル60は外縁部61により顔面に密着されるため、導入口2へ到来する酸素などを陽圧として使用することができる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は前述した実施例に限定されることなく、例えばエアウェイケース10に設ける第一の呼吸気流路としての呼気導入通路24と、第二の呼吸気流路としての呼気排出通路26との形成については、実施例のような仕切壁25を設けることに代えて、前記各通路が相互に隣接して配置されるものであれば、他の公知の種々の構成とすることが可能であり、その他本発明の精神を逸脱しない範囲内において多くの設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0052】
10 エアウェイケース
12 透過窓
14 上部面
15 開口部
20 呼気誘導路
22 接合部
23 鼻チューブ
24 呼気導入通路(第一の呼吸気流路)
25、25′ 仕切壁
26 呼気排出通路(第二の呼吸気流路)
27 排出口
30 鼻マスクシェル
32 外縁部
34 鼻カップ
40 炭酸ガス測定用センサ
M 炭酸ガス測定用鼻マスク
M2 炭酸ガス測定用フェースマスク
50 第一の誘導部
52 第二の誘導部
60 フェースマスクシェル
62 外縁部
70 鼻からの呼気
72 口からの呼気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアウェイケースと、
前記エアウェイケースと連通接続し、呼吸気を前記エアウェイケースへ案内導入するための呼気誘導部とからなり、
前記エアウェイケースにおいて、第一の呼吸気流路と第二の呼吸気流路とが形成され、前記第一の呼吸気流路と第二の呼吸気流路を流れる呼吸気の流れを逆方向に設定してなることを特徴とするエアウェイアダプタ。
【請求項2】
前記エアウェイケースと呼気誘導部とは、着脱可能に構成されることを特徴とする請求項1記載のエアウェイアダプタ
【請求項3】
前記エアウェイケースは、対向する両側面に炭酸ガス測定用センサを装着可能とすることを特徴とする請求項1または2に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項4】
前記エアウェイケースにおいて、第一の呼吸気流路と第二の呼吸気流路は併置されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のエアウェイアダプタ。
【請求項5】
前記エアウェイケースにおいて、第一の呼吸気流路と第二の呼吸気流路のいずれか一方が、他方を囲繞することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のエアウェイアダプタ。
【請求項6】
前記呼気誘導部とエアウェイケースのいずれかに、鼻孔周囲を囲繞するための鼻カップを固定配置したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のエアウェイアダプタ。
【請求項7】
陽圧換気可能な鼻マスクの鼻マスクシェルに前記エアウェイアダプタの一部を固定配置し、前記鼻マスクシェルの外側にエアウェイケースが突出するように接続配置可能とすることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のエアウェイアダプタ。
【請求項8】
前記呼気誘導部は、生体の鼻孔に挿入される鼻チューブであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のエアウェイアダプタ。
【請求項9】
前記呼気誘導部は、生体の鼻孔からの呼吸気を誘導する第一の誘導部と、生体の口からの呼吸気を誘導する第二の誘導部から構成されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のエアウェイアダプタ。
【請求項10】
前記第一の誘導部より誘導された呼吸気と前記第二の誘導部より誘導された呼吸気は前記エアウェイケース内、又はエアウェイケースよりも上流側において合流することを特徴とする請求項9に記載のエアウェイアダプタ。
【請求項11】
陽圧換気可能なフェースマスクに前記エアウェイアダプタの一部を固定配置し、前記フェースマスクシェルの外側にエアウェイケースが突出するように接続配置可能とすることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載のエアウェイアダプタ。
【請求項12】
前記第一の誘導部は、生体の鼻孔に挿入される鼻チューブであることを特徴とする請求項9ないし11のいずれかに記載のエアウェイアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−36643(P2011−36643A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47589(P2010−47589)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】