エアコンユニットを備えた建設機械
【課題】 標準エアコンユニット以外にも、運転室外に設置及び取り外しを可能に構成され、運転室内の内圧を高める機能も有して、コンパクトに構成された副エアコンユニットを備えることができる建設機械を提供する。
【解決手段】 エアクリーナーからの外気と運転室2内の内気とを切替えるダンパの内気導入面に内気フィルタ18a,18bを配設し、シール部材21aを介して内気フィルタ18aを蓋11に形成した内気フィルタ押え部材21で押圧し、シール部材22aを介して内気フィルタ18bを側壁13aに形成した内気フィルタ押え部材22で押圧する。蓋11と内気フィルタ押え部材21及び側壁13aと内気フィルタ押え部材22によって、内気フィルタ18a,18bの外周に内気通路25,25’を気密状態に形成する。
【解決手段】 エアクリーナーからの外気と運転室2内の内気とを切替えるダンパの内気導入面に内気フィルタ18a,18bを配設し、シール部材21aを介して内気フィルタ18aを蓋11に形成した内気フィルタ押え部材21で押圧し、シール部材22aを介して内気フィルタ18bを側壁13aに形成した内気フィルタ押え部材22で押圧する。蓋11と内気フィルタ押え部材21及び側壁13aと内気フィルタ押え部材22によって、内気フィルタ18a,18bの外周に内気通路25,25’を気密状態に形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、運転室用のエアコンディショナユニット(以下では、エアコンユニットという。)を備えた建設機械に関する。本願においてエアコンユニットとは、蒸発器からなる熱交換部と送風装置とを備えた室内機と、コンデンサ、コンプレッサ等を備えた室外機と、清浄した外気を室内機に供給するエアクリーナーと、を備え、室内機と室外機とを配管、配線等で接続した構成をいう。また、本願においては、装置の設置場所が運転室内の場合であっても、運転室の室外の場合であっても、熱交換部と送風装置等を備えた装置を室内機といい、コンデンサ、コンプレッサ等を備えた装置を室外機という。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、ホイルローダ、油圧ショベル、ダンプトラック等の建設機械では、運転室内の空調を行うエアコンユニットとして、運転室内に室内機を標準装備した構成が多数採用されている。また、運転室内に設けた標準装備の室内機とは別に、二台目の室内機を設けた構成も採用されている。
【0003】
特許文献1には、エアコンユニットを2セット設けた建設機械が提案されている。特許文献1に記載された建設機械を本願発明の従来例として、図12を用いて説明する。図12には、運転室の側方から見た配置構成を示している。
【0004】
図12に示すように、建設機械には、2セットのエアコンユニット50a,50bが設けられている。各エアコンユニット50a,50bの各蒸発器52a,52bには、それぞれコンプレッサ53a,53b、凝縮器54a,54b等が接続した構成になっている。運転室51内にはブロワファンを共用した単一の内気導入口55が設けられており、運転室51内の空気は、内気導入口55を介して各蒸発器52a,52bに供給される構成になっている。
【0005】
また、図示例は省略するが、一台のエアコンユニットが標準装備される建設機械において、二台目のエアコンユニットを後付けで設置した構成も採用されている。後付けで取り付けるエアコンユニットの機能としては、運転室内の内気を循環させながら冷気又は暖気に変換するだけの構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−62690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の建設機械では、2セットのエアコンユニット50a,50bが設けられているが、2セットのエアコンユニット50a,50bは、図示せぬブロワファンが設けられた一つの内気導入口55を共通に使用する構成になっている。ブロワファンを共用しているため、2セットのエアコンユニット50a,50bは、完全に独立したエアコンユニットとしては構成されていない。
【0008】
このため、故障した共用の装置の修理を行っている間は、エアコンユニットを用いた運転室の空調を行わせることはできない。また、室内機における蒸発器52a,52bの構成としては、特別にコンパクトに構成する工夫がなされていないため、室内機をコンパクトに構成しておくことができない。更に、運転室51の下部には、蒸発器52a,52b、コンプレッサ5
3a,53b、凝縮器54a,54b等を配設しておくスペースを確保しなければならない。
【0009】
特許文献1の発明は上述したように構成されているため、仮に、共用の装置が故障したときには、建設機械での作業を中止しておくか、あるいは空調が効いていない運転室での操縦を運転者に強いることになる。特に、鉱山等の作業現場では、大型の建設機械が用いられているが、エアコンユニットの修理のために大型の建設機械を休車状態にしておくことはできない。
【0010】
また、鉱山等の作業現場で用いられている大型の建設機械、例えば、大型のホイルローダでは、運転室の下方には2セットのエアコンユニットを配設する設置スペースを確保することができない構成になっている。
【0011】
また、一般に建設機械は、粉塵等が多い場所での作業が多く行われる。そのため、運転室内の内圧を高めに設定しておき、粉塵等が運転室内に侵入するのを防止している。しかし、後付けのエアコンユニットでは、運転室内の内気を循環させるだけの機能しか備えていない。
【0012】
本願発明は、従来からの標準装備のエアコンユニットと副エアコンユニットとを備えた建設機械における上述した問題を解決するとともに、運転室の室外に設置する副エアコンユニットを極力コンパクトな構成にすることができ、副エアコンユニットでも運転室内における内圧の保持を効率的に行えるエアコンユニットを備えた建設機械の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明の課題は、請求項1〜5に記載された各発明により達成することができる。
即ち、本願発明に係わるエアコンユニットを備えた建設機械は、運転室内に配され熱交換部を内蔵した標準室内機及びコンデンサ、コンプレッサ等の標準室外機からなる標準エアコンユニットと、前記標準室内機とは別に前記運転室の外に配設可能で、熱交換部を内蔵した副室内機及びコンデンサ、コンプレッサ等の副室外機からなる副エアコンユニットと、を備えた建設機械であって、
前記標準室内機と前記副室内機との兼用であるエアクリーナーは、前記標準室内機及び前記副室内機に対してそれぞれ清浄した外気を供給し、前記標準室内機は、前記運転室内の内気を前記運転室内で循環させながら空調する機能と、前記エアクリーナーからの外気を空調して前記運転室内に供給する機能を備え、前記副室内機は、前記運転室内の内気を導入して空調した後に前記運転室内に戻す機能と前記エアクリーナーからの外気を空調して前記運転室内に供給する機能を備え、
前記副室内機は、前記運転室内からの内気と前記エアクリーナーからの外気とを切替えるダンパ、及び前記ダンパから導入した空気を前記副室内機内の熱交換部を介して空調し、空調した空気を前記運転室に吐出する供給部を有し、
前記ダンパは、前記エアクリーナーからの外気が供給される外気導入面と前記運転室内からの内気が導入される内気導入面とを有し、前記内気導入面には内気フィルタが配設され、前記内気導入面の外周側はカバーによって気密状態に塞がれており、前記カバーには、前記運転室内に連通した内気導入用開口が形成され、前記内気フィルタと前記カバーとの間には、前記内気導入用開口に連通した内気通路が形成されてなることを最も主要な特徴としている。
【0014】
また、本願発明では、前記ダンパの内気導入面は、少なくとも前記内気導入用開口に対向する面を含む二面以上の面から構成され、前記内気フィルタは、前記内気導入面における少なくとも二面以上の各面に配設され、前記内気通路は前記各内気フィルタの外周部間を連通してなることを主要な特徴としている。
【0015】
更に、本願発明では、前記副室内機は、蓋付きで固定及び搬送可能な箱状体内に収納され、前記カバーが、前記蓋及び前記箱状体の一部によって構成されてなることを主要な特徴としている。
【0016】
更にまた、本願発明では、前記標準室内機用の室外機及び前記副室内機用の室外機が、それぞれ前記標準室内機及び前記副室内機とは別体に構成され、かつ前記運転室外における前記建設機械の部位に配設されてなることを主要な特徴としている。
【0017】
また、本願発明では、前記エアクリーナーと前記副室内機と前記運転室との間における相互の接続部には、それぞれ柔軟なエアホースが設けられ、前記カバーに形成された前記内気導入用開口は、前記エアホースを介して前記運転室内に連通してなることを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本願発明では、副室内機を運転室の室外において配設可能に構成しており、しかも、副室内機用の副室外機と標準室内機用の標準室外機とをそれぞれ別構成にしている。そして、副室内機におけるダンパの構成によって、副室内機をコンパクトな構造を達成している。
【0019】
特に、ダンパの内気導入面の外周側はカバーによって気密状態に塞がれた構成にしており、ダンパの内気導入面に設けた内気フィルタとカバーとの間には、カバーに形成した内気導入用開口に連通した内気通路を形成しておくことができる。
【0020】
このように内気フィルタとダンパの内気導入面の外周側を覆ったカバーとを用いて内気通路を構成しているので、ダクトのような別部品を用いることなく、簡単な構成で、しかもダンパをコンパクトに構成することができる。
【0021】
これによって副室内機をコンパクトに構成することができるので、例えば、運転室の後方に副室内機を設置したとしても、運転室からの後方視界に対して影響を与えることのない高さ位置に副室内機を配設しておくことができる。そして、副室内機は運転室の室外に設置されているので、副室内機だけを単独で建設機械から取外したり搭載したりすることができる。しかも、この搭載作業及び取り外し作業は、簡単に行うことができ、標準室内機に影響されることなく自由に行うことができる。
【0022】
また、標準エアコンユニット又は副エアコンユニットが故障したときには、故障した一方のエアコンユニットを修理のために建設機械から取外しても、建設機械の残した他方のエアコンユニットで運転室内の空調を行うことができる。
【0023】
これによって、一方のエアコンユニットが故障しても、建設機械を休車状態にさせることなく、故障したエアコンを取外して修理することができる。しかも、残った他方のエアコンユニットを作動させることで、運転室内での空調を効かすことができ、良好の作業環境下で運転者に作業を行わせることができる。
【0024】
更に、副室内機からは、エアクリーナーを介して導入した外気を空調して、運転室内に供給することができるので、運転室内における内圧を高めた状態に維持しておくことができる。このように、外気を導入しながら副エアコンユニットを作動させることで、運転室内の内圧を高めた状態に維持しておくことができ、粉塵等が運転室内に流入するのを防止しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ホイルローダの側面図である。(実施例)
【図2】エアコンユニットの配置構成を示すブロック図である。(実施例)
【図3】副室内機の配置構成を示す要部斜視図である。(実施例)
【図4】箱状体内に収納された副室内機の正面側からの斜視図である。(実施例)
【図5】箱状体から蓋及び側壁を外した状態を示す斜視図である。(実施例)
【図6】箱状体内に収納された副室内機の後面側からの斜視図である。(実施例)
【図7】箱状体内に収納された副室内機の底面側からの斜視図である。(実施例)
【図8】ダンパにおける内気通路を示す断面図である。(実施例)
【図9】配管構成を示す側面図である。(実施例)
【図10】蓋の内部構成を示す斜視図である。(実施例)
【図11】内気導入用開口を示す斜視図である。(実施例)
【図12】運転室側方におけるエアコンユニットの配置図である。(従来例)
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本願発明に係わるエアコンユニットを備えた建設機械の構成として、ホイルローダに適用した構成例を用いて、以下において説明を行う。しかし、以下で説明する形状、配置構成以外にも本願発明の課題を解決することができる形状、配置構成であれば、それらの形状、配置構成を採用することができるものである。このため、本願発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【0027】
また、副エアコンユニットをホイルローダに適用した構成例を用いて、以下において説明を行うが、運転室の室外に副室内機を配設するスペースを構成することができる建設機械であれば、建設機械としてはホイルローダに限定されるものではなく、油圧ショベル、ダンプトラック等に対しても好適に適用することができる。
【実施例】
【0028】
図1に示すホイルローダ36は、鉱山等において使用される大型のホイルローダ36を示しており、前後輪を備え、先頭部には回動及び昇降自在のバケット39が設けられている。また、運転室2は、梯子40a,40bを登っていく高さに構成されている。
【0029】
運転室2内には、標準装備の標準室内機20が配設されており、運転室2の後方には、副室内機3、エアクリーナー4や標準室外機、副室外機等が配設されている。副室内機3は、後述する箱状体10内に収納されている。標準室内機20用のコンデンサ及び副室内機3用のコンデンサは、ホイルローダ36の通路から離れた側であって、Aで示す矢印の先の部位の辺りに配設しておくことができる。また、標準室内機20用のコンプレッサ及び副室内機3用のコンプレッサ等は、ホイルローダ36の梯子40bの側方側であって、Bで示す矢印の先の部位の辺りに配設しておくことができる。
【0030】
ホイルローダ36に配設した標準エアコンユニット45及び副エアコンユニット45’の配置構成としては、図2に示すような配置構成になっている。即ち、標準エアコンユニット45は、運転室2内に配設した標準室内機20と、運転室2の外側に配設した標準室内機20用の標準室外機43と、エアクリーナー4とから構成されている。また、副エアコンユニット45’は、運転室2の後方に配設した副室内機3と、運転室2の外側に配設した副室内機3用の副室外機44と、エアクリーナー4とから構成されている。そして、エアクリーナー4は、標準室内機20と副室内機3との兼用に構成されている。
【0031】
標準室内機20用の標準室外機43は、コンデンサ38、コンプレッサ37等を備えた構成になっており、標準室内機20と配線、配管等を介して接続している。また、副室内機3用の副
室外機44は、コンデンサ38’、コンプレッサ37’等を備えた構成になっており、副室内機3と配線、配管等を介して接続している。配線、配管等は、プラットホーム9の下面側に配されている。
【0032】
標準室内機20は、運転室2内から導入した内気あるいはエアクリーナー4から導入した外気を、標準室内機20内の図示せぬ蒸発器において熱交換を行って冷却した空気とし、冷却した空気を運転室2内に供給する構成になっている。副室内機3は、運転室2内から導入した内気あるいはエアクリーナー4から導入した外気を、蒸発器27(図5参照)において熱交換を行って冷却した空気とし、冷却した空気を運転室2内に供給する構成になっている。
【0033】
標準室内機20及び副室内機3の蒸発器では、液化した冷媒を気化させることで、外気から熱を奪う熱交換を行う。蒸発器において気化した冷媒は、コンプレッサ37,37’に吸入・圧縮されて、高温・高圧の気体になる。コンプレッサ37,37’で高温・高圧の気体にされた冷媒は、コンデンサ38,38’で冷やされて液化する。そして、コンデンサ38,38’で液化された冷媒は、蒸発器に導入されることになる。このように、冷媒は、蒸発器とコンプレッサ37,37’とコンデンサ38,38’との間で循環することになる。
【0034】
図3には、建設機械1における運転室2の後方側の配置構成を示している。即ち、図3に向かって右側が、建設機械の前進方向であり、運転室2の後方2a側にあたるプラットホーム9上のスペースには、副室内機3及びエアクリーナー4が配設されている。また、図示せぬ標準室内機20は、図1に示したように運転室2内に配設されている。
【0035】
副室内機3の配置構成としては、図3に示す配置構成に限定されるものではなく、運転室2の近傍で、通行の妨げにならず、しかも、運転室2からの視界を妨げない場所であれば、適宜の場所に配置して措くことができる。
プラットホーム9の下面側には、標準エアコンユニット45及び副エアコンユニット45’のコンデンサ38,38’や、コンプレッサ37,37’等が配設されている。
【0036】
例えば、プラットホーム9に設けた開閉扉9aの下方に上述したコンデンサ38,38’を収納しておくことができる。そして、開閉扉9aを開くことによって、コンデンサ38,38’に対する修理点検作業を容易に行うことができる。副室内機3は、蓋11付きの箱状体10内に収納しておくことができるので、粉塵等が副室内機3内に侵入するのを箱状体10によって防御しておくことができる。
【0037】
副室内機3は、エアホース6cを介して運転室2内の内気を導入することができ、副室内機3で空調した空気は、エアホース6dを介して運転室2内に供給することができる。副室内機3で空調した空気の運転室2内における噴出し口、及び運転室2内の内気の取り入れ口等の構成は、図示していないが、噴出し口や取り入れ口等の構成は、必要に応じた適宜の配置構成にしておくことができる。
【0038】
プリクリーナー4’から取り入れられプリクリーナー4’及びエアクリーナー4で清浄された外気は、外気分配部5を介して標準室内機20と副室内機3にそれぞれ供給される。エアクリーナー4と外気分配部5とは、エアホース6aを介して接続されており、外気分配部5と運転室2とはエアホース6bを介して接続されている。エアホース6bの接続先には標準室内機20が配されている。
【0039】
エアホース6a〜6dは、柔軟なホースとして構成されており、エアクリーナー4と副室内機3と運転室2とにおけるそれぞれの振動モードが異なっていても、エアホース6a〜6dによって振動モードの違いを吸収させることができる。これによって、建設機械の作動中など
にエアクリーナー4が振動することによって生じる影響、副室内機3が振動することによって生じる影響、運転室2が振動することによって生じる影響が、各エアホース6a〜6dの接続先における機器に対して及ぶのを防止できる。
【0040】
次に、図4〜図11を用いて、副室内機3の構成について説明する。図4〜図6では、箱状体10の内部構成を分かり易く説明するため、副室内機3を収納している箱状体10を透明な構成として示している。
【0041】
図4〜図6に示すように、箱状体10は直方体形状に構成されており、着脱自在の蓋11で上部を覆った構成になっている。箱状体10の四隅及び運転室2側に面する側面の中央部近傍には、土台16から立設した支柱12が設けられている。各支柱12の先端部及び箱状体10の周囲を取り囲む側壁13a,13b、14a,14b、15を取り付ける部位には、先端部に雌ネジが形成された突起部12aが形成されている。
【0042】
各支柱12は、箱状体10の周囲を取り囲む側壁13a,13b、14a,14b、15よりも突出した長さに構成されており、蓋11は各側壁13a,13b、14a,14b、15よりも突出した各支柱12を収納できる凹部を裏面側に形成した構成になっている。また、蓋11の両側辺側には、一対の把手31が構成されており、蓋11の持ち上げを把手31によって容易にしている。
【0043】
そして、各側壁13a,13b、14a,14b、15には、各支柱12に形成した突起部12aを貫通させる貫通孔34が形成されている。貫通孔34から突出した突起部12aの雌ネジにボルト35を螺合させることで、蓋11及び各側壁13a,13b、14a,14b、15を各支柱12に対してそれぞれ着脱自在に固定することができる。
また、土台16には、一対の取付部16aが設けられており、取付部16aを介して箱状体10をプラットホーム9(図3参照)に対して着脱自在に固定することができる。
【0044】
図5に示すように、箱状体10内に収納した副室内機3は、ダンパ3a、蒸発器27、ブロワー28a、駆動モータ28b、ダクト28c等の各機器を備えた構成になっている。そして、図6に示すように、ダンパ3a、蒸発器27、ブロワー28a等の機器は、土台16に対して着脱自在に固定されている。ダンパ3aは、連通部材24を介して外気分配部5に接続するとともに、内気フィルタ押え部材22、エアホース6cを介して運転室2内の内気を取り入れる空気取り入れ口に接続している。
【0045】
ダンパ3aでは、外気分配部5から導入する外気とエアホース6cを介して導入する運転室2内の内気とを切替えて、選択した空気を蒸発器27に供給することができる。ダンパ3a内における切替え機構の構成としては、従来から公知の構成を採用することができる。また、図5には、符号47aを用いてダンパ3aにおける外気導入面を示している。ダンパ3aにおける内気導入面47b(図8参照)は、内気フィルタ18a,18bを取り付けているダンパ3aの面として構成されている。
【0046】
蒸発器27とブロワー28aと駆動モータ28bとダクト28c等によって、供給部3bを構成している。蒸発器27は、コンデンサ38’(図2参照)で液化された冷媒を用いて、ダンパ3aを介して導入された空気との間で熱交換を行い、空調された空気を作成する。
【0047】
駆動モータ28bにより回転駆動されるブロワー28aによって、蒸発器27で空調された空気は、ダクト28cから吐出される。ダクト28cから吐出した空気は、エアホース6dを介して運転室2内の吹き出し口から吹き出されることになる。
【0048】
エアクリ−ナー4に接続した外気分配部5からダンパ3a内に導入される外気は、外気分配部5に接続した連通部材24を介して導入されることになる。連通部材24は、箱状体10を構
成する側壁14aに取り付けられており、連通部材24とダンパ3aとの間には、スポンジ体などによって構成された枠状のシール部材24aが介在されている。
【0049】
シール部材24aは、側壁14aを支柱12に取り付けたときに、連通部材24とダンパ3aとの間で圧縮することができ、連通部材24とダンパ3aとの間を気密状態に接続することができる。そして、この気密状態は、側壁14aに形成した貫通孔34から突出した支柱12の先端部に形成した雌ネジに対してボルト35を螺合させることで、保持固定しておくことができる。
【0050】
エアホース6cを介して、運転室2内の内気をダンパ3a内に導入する導入部における構成について説明する。側壁13aには、内気導入用開口22cが形成されており、内気導入用開口22cにはエアホース6cの一端部が接続している。エアホース6cの他端部は運転室2内に設けた空気取り入れ口に接続している。
【0051】
図4、図5、図11に示すように、内気導入用開口22cを形成した側壁13aの内面側には、シール部材22aを介して内気フィルタ18bを押える内気フィルタ押え部材22が構成されており、シール部材22aに当接する内気フィルタ押え部材22の面は、側壁13aよりも内気フィルタ18b側に離間している。内気フィルタ押え部材22の内気フィルタ18bを押える側は、周囲に押圧面を有する中空形状に構成されている。
【0052】
内気フィルタ18bは、周囲に補強用の枠を備えた構成になっており、図8に示すようにダンパ3aの内気導入面47bに対して上下方向への摺動が可能に設けられている。図8では、内気導入面47bの側縁を図示している。また、内気フィルタ18bにおける補強用の枠に、スポンジ体などによって構成された枠状のシール部材22aが当接することになる。内気フィルタ18bの着脱は、内気フィルタ18bを上下方向に摺動させることにより行うことができる。
【0053】
図8に示すように、内気フィルタ押え部材22と側壁13aの内面との間には、内気通路25が形成されている。シール部材22aは、側壁13aを支柱12に取り付けたときに、内気フィルタ18bと内気フィルタ押え部材22との間で圧縮することができ、側壁13aと内気フィルタ18bとの間を気密状態に接続することができる。このとき、内気通路25は、内気フィルタ押え部材22と側壁13aとの間に形成した開口25’cを介して、後述する蓋11に形成した内気通路25’に連通している。蓋11及び前面側の側壁13aは、内気フィルタ18a,18bの外周部を覆い、前記内気フィルタ18a,18bの外周側に気密の内気通路25,25’を形成するカバーとして構成されている。
【0054】
図8に示すように、運転室2から導入された内気は、白抜きの矢印で示しているように、内気フィルタ18bに直接当接してダンパ3a内に流入することになる。内気通路25に導入された内気の一部は、屈折して示した白抜きの矢印のように、内気通路25から開口25’cを通って内気通路25’内に流入する。そして、内気フィルタ18aからダンパ3a内に流入することになる。
【0055】
図4、図5、図10に示すように、蓋11の内面には、シール部材21aを介して内気フィルタ18aを押える内気フィルタ押え部材21が構成されており、シール部材21aに当接する内気フィルタ押え部材21の面は、蓋11の内面よりも内気フィルタ18a側に離間している。そして、図8に示すように、内気フィルタ押え部材21と蓋11の内面との間には、内気通路25に連通する内気通路25’が形成されている。また、内気フィルタ押え部材21の内気フィルタ18aを押える側は、周囲に押圧面を有する中空形状に構成されている。
【0056】
側壁13a側の内気通路25と蓋11側の内気通路25’とを連通した一つの内気通路として構成するため、蓋11側の内気通路25’は、蓋11の内面に沿って逆L字状に屈折した通路とし
て構成されている。そのため、蓋11の側面に沿った筒状部26が形成されており、筒状部26は、蓋11の開放側には開口25’cが形成され、蓋11の内面側には内気通路25’に連通する開口が形成されている。
【0057】
そして、蓋11を箱状体10に被せたときには、ダンパ3aにおける内気通路25,25’を連通させた状態に構成することができる。内気通路25,25’を連通させた状態は、図8の断面図に示している。蓋11を箱状体10に被せることにより、シール部材21aを介して内気フィルタ18aを内気フィルタ押え部材21で押圧することができ、スポンジ体などによって構成された枠状のシール部材25aを介して側壁13a側の内気通路25における開口25cを押圧することができる。
そして、蓋11の内面に設けた筒状部26の開口25’cと側壁13aに設けた内気フィルタ押え部材22の開口25cとを気密状態で連通させることができる。
【0058】
これにより、内気フィルタ18aの外側と内気フィルタ18bの外側間を連通する内気通路25,25’を気密状態で連通させることができる。そして、この気密状態は、側壁13aに形成した貫通孔34から突出した支柱12の先端部に形成した雌ネジに対してボルト35を螺合させることと、蓋11に形成した貫通孔34から突出した支柱12の先端部に形成した雌ネジに対してボルト35を螺合させることで保持固定しておくことができる。
【0059】
内気フィルタ18aは、周囲に補強用の枠を備えた構成になっており、ダンパ3aの内気導入面47bに対して水平方向への摺動が可能に設けられている。図8では、内気導入面47bの側縁を図示している。そして、内気フィルタ18aにおける補強用の枠に、スポンジ体などによって構成された枠状のシール部材21aが当接することになる。内気フィルタ18aの着脱は、内気フィルタ18aを水平方向に摺動させることにより行うことができる。
【0060】
内気フィルタ18aを水平方向に摺動させるときの高さ位置は、側壁13aの高さよりも高い位置に構成されているので、側壁13aに干渉することなく内気フィルタ18aを水平方向に摺動させて取外すことができる。
このように、エアホース6cを介して運転室2内から導入した内気を、副室内機3における他の部位に流出させることなく、内気通路25,25’を介して内気フィルタ18a及び内気フィルタ18bを通してダンパ3a内に導入することができる。これによって、運転室2内からダンパ3a内に導入する内気の流入量を増大させることができる。
しかも、内気導入用開口22c(図4参照)から流入した内気を内気導入用開口22cに対向して配した内気フィルタ18bでダイレクトに清浄することができる。
【0061】
このように、ダンパー3aにおける構成をコンパクトに構成することができるので、副室内機3をコンパクトに構成することができ、副室内機3を設置する場所に対する規制条件を少なくできる。
【0062】
次に、蒸発器27で空調された空気を、エアホース6dを介して運転室2内に供給する構成について説明する。蒸発器27で空調された空気は、ブロワー28aによって加速され、ダクト28cから吐出される。ダクト28cの吐出口は、スポンジ体などによって構成された枠状のシール部材23bを介してエアホース6dに気密状態に接続している。エアホース6dの一端部は、側壁13bに形成した開口23aに接続しており、エアホース6dの他端部は、運転室2内に配設した空気吹き出し口に接続している。
【0063】
側壁13bの内面にはシール部材23bを押圧する吐出用押え部材23が構成されており、吐出用押え部材23のシール部材23bを押える側は、周囲に押圧面を有する中空形状に構成されている。側壁13bを支柱12に取り付けることにより、シール部材23bをダクト28cの吐出口と吐出用押え部材23との間で圧縮し、ダクト28cの吐出口からエアホース6dまでを気密状
態で連通させることができる。
そして、この気密状態は、側壁13bに形成した貫通孔34から突出した支柱12の先端部に形成した雌ネジに対してボルト35を螺合させることで固定保持しておくことができる。
【0064】
図7に示すように、土台16の裏面側は空間部が形成されており、土台16の裏面側からは、冷媒を供給・排出する冷媒用配管7bや必要に応じて適宜配設した暖気用の媒体を供給・排出する配管8aやドレイン用配管30等の配管や配線が接続している。冷媒用配管7bは、図9に示すように、プラットホーム9の下方側において配管されており、運転室2内に設けた標準室内機20に接続した冷媒用配管7aと共に、コンプレッサ37’(図2参照)に接続している。
【0065】
コンデンサ38,38’及びコンプレッサ37,37’、接続用の配管・配線等をプラットホーム9の下方側の部位に配設しておくことにより、建設機械上での作業者の通行を妨げない。また、コンデンサ38,38’をプラットホーム9の下方側の部位に配設しておくことにより、コンデンサ38,38’によって生じる発熱を効率よく外気によって冷却・拡散させることができる。
【0066】
また、側壁14aの周縁と支柱12及び土台16との当接部、側壁13aの周縁と支柱12及び土台16との当接部、側壁13bの周縁と支柱12及び土台16との当接部、側壁15の周縁と支柱12及び土台16との当接部、及び蓋11の下端側の周縁は、図6に示すように、それぞれシール材32が介在されており、シール材32を介在させることによって箱状体10内の気密性を向上させている。
【0067】
本願発明では、副室内機3が故障したときには、副室内機3と運転室2内との間で空気の出し入れを行うエアホース6c,6dを外すと共に、エアホース6c,6dを外した開口部を蓋等によって封止しておき、エアホース6c,6dを外した後の開口部から運転室2内の空気が外部に漏れでないようにする。また、外気分配部5を副室内機3から外し、外した後の外気分配部5側の開口部を蓋等によって封止しておく。また、冷媒用配管7bを副室内機3から外し、冷媒用配管7bの開口端部を封止部材で封止しておく。その後、副室内機3を収納している箱状体10を建設機械1から搬出することで、副室内機3を建設機械1から取外すことができ、副室内機3の修理を行うことができる。
【0068】
副室内機3の修理が終了した後には、副室内機3に冷媒用配管7b、外気分配部5、エアホース6c,6dを接続することによって、副室内機3を建設機械に装着させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本願発明は、デュアルタイプにエアコンユニットを構成することが求められる建設機械に対して、好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1・・・建設機械、2・・・運転室、3・・・副室内機、3a・・・ダンパ、3b・・・供給部、4・・・エアクリーナー、6a〜6d・・・エアホース、10・・・箱状体、11・・・蓋、18a,18b・・・内気フィルタ、20・・・標準室内機、21・・・内気フィルタ押え部材、21a・・・シール部材、22・・・内気フィルタ押え部材、22a・・・シール部材、22c・・・内気導入用開口、23・・・吐出用押え部材、23a・・・開口、23b・・・シール部材、24・・・連通部材、24a・・・シール部材、25,25’・・・内気通路、25a・・・シール部材、36・・・ホイルローダ、45・・・標準エアコンユニット、45’・・・副エアコンユニット、47a・・・外気導入面、47b・・・内気導入面、50a,50b・・・エアコンユニット、51・・・運転室、52a,52b・・・蒸発器。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、運転室用のエアコンディショナユニット(以下では、エアコンユニットという。)を備えた建設機械に関する。本願においてエアコンユニットとは、蒸発器からなる熱交換部と送風装置とを備えた室内機と、コンデンサ、コンプレッサ等を備えた室外機と、清浄した外気を室内機に供給するエアクリーナーと、を備え、室内機と室外機とを配管、配線等で接続した構成をいう。また、本願においては、装置の設置場所が運転室内の場合であっても、運転室の室外の場合であっても、熱交換部と送風装置等を備えた装置を室内機といい、コンデンサ、コンプレッサ等を備えた装置を室外機という。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、ホイルローダ、油圧ショベル、ダンプトラック等の建設機械では、運転室内の空調を行うエアコンユニットとして、運転室内に室内機を標準装備した構成が多数採用されている。また、運転室内に設けた標準装備の室内機とは別に、二台目の室内機を設けた構成も採用されている。
【0003】
特許文献1には、エアコンユニットを2セット設けた建設機械が提案されている。特許文献1に記載された建設機械を本願発明の従来例として、図12を用いて説明する。図12には、運転室の側方から見た配置構成を示している。
【0004】
図12に示すように、建設機械には、2セットのエアコンユニット50a,50bが設けられている。各エアコンユニット50a,50bの各蒸発器52a,52bには、それぞれコンプレッサ53a,53b、凝縮器54a,54b等が接続した構成になっている。運転室51内にはブロワファンを共用した単一の内気導入口55が設けられており、運転室51内の空気は、内気導入口55を介して各蒸発器52a,52bに供給される構成になっている。
【0005】
また、図示例は省略するが、一台のエアコンユニットが標準装備される建設機械において、二台目のエアコンユニットを後付けで設置した構成も採用されている。後付けで取り付けるエアコンユニットの機能としては、運転室内の内気を循環させながら冷気又は暖気に変換するだけの構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−62690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の建設機械では、2セットのエアコンユニット50a,50bが設けられているが、2セットのエアコンユニット50a,50bは、図示せぬブロワファンが設けられた一つの内気導入口55を共通に使用する構成になっている。ブロワファンを共用しているため、2セットのエアコンユニット50a,50bは、完全に独立したエアコンユニットとしては構成されていない。
【0008】
このため、故障した共用の装置の修理を行っている間は、エアコンユニットを用いた運転室の空調を行わせることはできない。また、室内機における蒸発器52a,52bの構成としては、特別にコンパクトに構成する工夫がなされていないため、室内機をコンパクトに構成しておくことができない。更に、運転室51の下部には、蒸発器52a,52b、コンプレッサ5
3a,53b、凝縮器54a,54b等を配設しておくスペースを確保しなければならない。
【0009】
特許文献1の発明は上述したように構成されているため、仮に、共用の装置が故障したときには、建設機械での作業を中止しておくか、あるいは空調が効いていない運転室での操縦を運転者に強いることになる。特に、鉱山等の作業現場では、大型の建設機械が用いられているが、エアコンユニットの修理のために大型の建設機械を休車状態にしておくことはできない。
【0010】
また、鉱山等の作業現場で用いられている大型の建設機械、例えば、大型のホイルローダでは、運転室の下方には2セットのエアコンユニットを配設する設置スペースを確保することができない構成になっている。
【0011】
また、一般に建設機械は、粉塵等が多い場所での作業が多く行われる。そのため、運転室内の内圧を高めに設定しておき、粉塵等が運転室内に侵入するのを防止している。しかし、後付けのエアコンユニットでは、運転室内の内気を循環させるだけの機能しか備えていない。
【0012】
本願発明は、従来からの標準装備のエアコンユニットと副エアコンユニットとを備えた建設機械における上述した問題を解決するとともに、運転室の室外に設置する副エアコンユニットを極力コンパクトな構成にすることができ、副エアコンユニットでも運転室内における内圧の保持を効率的に行えるエアコンユニットを備えた建設機械の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明の課題は、請求項1〜5に記載された各発明により達成することができる。
即ち、本願発明に係わるエアコンユニットを備えた建設機械は、運転室内に配され熱交換部を内蔵した標準室内機及びコンデンサ、コンプレッサ等の標準室外機からなる標準エアコンユニットと、前記標準室内機とは別に前記運転室の外に配設可能で、熱交換部を内蔵した副室内機及びコンデンサ、コンプレッサ等の副室外機からなる副エアコンユニットと、を備えた建設機械であって、
前記標準室内機と前記副室内機との兼用であるエアクリーナーは、前記標準室内機及び前記副室内機に対してそれぞれ清浄した外気を供給し、前記標準室内機は、前記運転室内の内気を前記運転室内で循環させながら空調する機能と、前記エアクリーナーからの外気を空調して前記運転室内に供給する機能を備え、前記副室内機は、前記運転室内の内気を導入して空調した後に前記運転室内に戻す機能と前記エアクリーナーからの外気を空調して前記運転室内に供給する機能を備え、
前記副室内機は、前記運転室内からの内気と前記エアクリーナーからの外気とを切替えるダンパ、及び前記ダンパから導入した空気を前記副室内機内の熱交換部を介して空調し、空調した空気を前記運転室に吐出する供給部を有し、
前記ダンパは、前記エアクリーナーからの外気が供給される外気導入面と前記運転室内からの内気が導入される内気導入面とを有し、前記内気導入面には内気フィルタが配設され、前記内気導入面の外周側はカバーによって気密状態に塞がれており、前記カバーには、前記運転室内に連通した内気導入用開口が形成され、前記内気フィルタと前記カバーとの間には、前記内気導入用開口に連通した内気通路が形成されてなることを最も主要な特徴としている。
【0014】
また、本願発明では、前記ダンパの内気導入面は、少なくとも前記内気導入用開口に対向する面を含む二面以上の面から構成され、前記内気フィルタは、前記内気導入面における少なくとも二面以上の各面に配設され、前記内気通路は前記各内気フィルタの外周部間を連通してなることを主要な特徴としている。
【0015】
更に、本願発明では、前記副室内機は、蓋付きで固定及び搬送可能な箱状体内に収納され、前記カバーが、前記蓋及び前記箱状体の一部によって構成されてなることを主要な特徴としている。
【0016】
更にまた、本願発明では、前記標準室内機用の室外機及び前記副室内機用の室外機が、それぞれ前記標準室内機及び前記副室内機とは別体に構成され、かつ前記運転室外における前記建設機械の部位に配設されてなることを主要な特徴としている。
【0017】
また、本願発明では、前記エアクリーナーと前記副室内機と前記運転室との間における相互の接続部には、それぞれ柔軟なエアホースが設けられ、前記カバーに形成された前記内気導入用開口は、前記エアホースを介して前記運転室内に連通してなることを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本願発明では、副室内機を運転室の室外において配設可能に構成しており、しかも、副室内機用の副室外機と標準室内機用の標準室外機とをそれぞれ別構成にしている。そして、副室内機におけるダンパの構成によって、副室内機をコンパクトな構造を達成している。
【0019】
特に、ダンパの内気導入面の外周側はカバーによって気密状態に塞がれた構成にしており、ダンパの内気導入面に設けた内気フィルタとカバーとの間には、カバーに形成した内気導入用開口に連通した内気通路を形成しておくことができる。
【0020】
このように内気フィルタとダンパの内気導入面の外周側を覆ったカバーとを用いて内気通路を構成しているので、ダクトのような別部品を用いることなく、簡単な構成で、しかもダンパをコンパクトに構成することができる。
【0021】
これによって副室内機をコンパクトに構成することができるので、例えば、運転室の後方に副室内機を設置したとしても、運転室からの後方視界に対して影響を与えることのない高さ位置に副室内機を配設しておくことができる。そして、副室内機は運転室の室外に設置されているので、副室内機だけを単独で建設機械から取外したり搭載したりすることができる。しかも、この搭載作業及び取り外し作業は、簡単に行うことができ、標準室内機に影響されることなく自由に行うことができる。
【0022】
また、標準エアコンユニット又は副エアコンユニットが故障したときには、故障した一方のエアコンユニットを修理のために建設機械から取外しても、建設機械の残した他方のエアコンユニットで運転室内の空調を行うことができる。
【0023】
これによって、一方のエアコンユニットが故障しても、建設機械を休車状態にさせることなく、故障したエアコンを取外して修理することができる。しかも、残った他方のエアコンユニットを作動させることで、運転室内での空調を効かすことができ、良好の作業環境下で運転者に作業を行わせることができる。
【0024】
更に、副室内機からは、エアクリーナーを介して導入した外気を空調して、運転室内に供給することができるので、運転室内における内圧を高めた状態に維持しておくことができる。このように、外気を導入しながら副エアコンユニットを作動させることで、運転室内の内圧を高めた状態に維持しておくことができ、粉塵等が運転室内に流入するのを防止しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ホイルローダの側面図である。(実施例)
【図2】エアコンユニットの配置構成を示すブロック図である。(実施例)
【図3】副室内機の配置構成を示す要部斜視図である。(実施例)
【図4】箱状体内に収納された副室内機の正面側からの斜視図である。(実施例)
【図5】箱状体から蓋及び側壁を外した状態を示す斜視図である。(実施例)
【図6】箱状体内に収納された副室内機の後面側からの斜視図である。(実施例)
【図7】箱状体内に収納された副室内機の底面側からの斜視図である。(実施例)
【図8】ダンパにおける内気通路を示す断面図である。(実施例)
【図9】配管構成を示す側面図である。(実施例)
【図10】蓋の内部構成を示す斜視図である。(実施例)
【図11】内気導入用開口を示す斜視図である。(実施例)
【図12】運転室側方におけるエアコンユニットの配置図である。(従来例)
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本願発明に係わるエアコンユニットを備えた建設機械の構成として、ホイルローダに適用した構成例を用いて、以下において説明を行う。しかし、以下で説明する形状、配置構成以外にも本願発明の課題を解決することができる形状、配置構成であれば、それらの形状、配置構成を採用することができるものである。このため、本願発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【0027】
また、副エアコンユニットをホイルローダに適用した構成例を用いて、以下において説明を行うが、運転室の室外に副室内機を配設するスペースを構成することができる建設機械であれば、建設機械としてはホイルローダに限定されるものではなく、油圧ショベル、ダンプトラック等に対しても好適に適用することができる。
【実施例】
【0028】
図1に示すホイルローダ36は、鉱山等において使用される大型のホイルローダ36を示しており、前後輪を備え、先頭部には回動及び昇降自在のバケット39が設けられている。また、運転室2は、梯子40a,40bを登っていく高さに構成されている。
【0029】
運転室2内には、標準装備の標準室内機20が配設されており、運転室2の後方には、副室内機3、エアクリーナー4や標準室外機、副室外機等が配設されている。副室内機3は、後述する箱状体10内に収納されている。標準室内機20用のコンデンサ及び副室内機3用のコンデンサは、ホイルローダ36の通路から離れた側であって、Aで示す矢印の先の部位の辺りに配設しておくことができる。また、標準室内機20用のコンプレッサ及び副室内機3用のコンプレッサ等は、ホイルローダ36の梯子40bの側方側であって、Bで示す矢印の先の部位の辺りに配設しておくことができる。
【0030】
ホイルローダ36に配設した標準エアコンユニット45及び副エアコンユニット45’の配置構成としては、図2に示すような配置構成になっている。即ち、標準エアコンユニット45は、運転室2内に配設した標準室内機20と、運転室2の外側に配設した標準室内機20用の標準室外機43と、エアクリーナー4とから構成されている。また、副エアコンユニット45’は、運転室2の後方に配設した副室内機3と、運転室2の外側に配設した副室内機3用の副室外機44と、エアクリーナー4とから構成されている。そして、エアクリーナー4は、標準室内機20と副室内機3との兼用に構成されている。
【0031】
標準室内機20用の標準室外機43は、コンデンサ38、コンプレッサ37等を備えた構成になっており、標準室内機20と配線、配管等を介して接続している。また、副室内機3用の副
室外機44は、コンデンサ38’、コンプレッサ37’等を備えた構成になっており、副室内機3と配線、配管等を介して接続している。配線、配管等は、プラットホーム9の下面側に配されている。
【0032】
標準室内機20は、運転室2内から導入した内気あるいはエアクリーナー4から導入した外気を、標準室内機20内の図示せぬ蒸発器において熱交換を行って冷却した空気とし、冷却した空気を運転室2内に供給する構成になっている。副室内機3は、運転室2内から導入した内気あるいはエアクリーナー4から導入した外気を、蒸発器27(図5参照)において熱交換を行って冷却した空気とし、冷却した空気を運転室2内に供給する構成になっている。
【0033】
標準室内機20及び副室内機3の蒸発器では、液化した冷媒を気化させることで、外気から熱を奪う熱交換を行う。蒸発器において気化した冷媒は、コンプレッサ37,37’に吸入・圧縮されて、高温・高圧の気体になる。コンプレッサ37,37’で高温・高圧の気体にされた冷媒は、コンデンサ38,38’で冷やされて液化する。そして、コンデンサ38,38’で液化された冷媒は、蒸発器に導入されることになる。このように、冷媒は、蒸発器とコンプレッサ37,37’とコンデンサ38,38’との間で循環することになる。
【0034】
図3には、建設機械1における運転室2の後方側の配置構成を示している。即ち、図3に向かって右側が、建設機械の前進方向であり、運転室2の後方2a側にあたるプラットホーム9上のスペースには、副室内機3及びエアクリーナー4が配設されている。また、図示せぬ標準室内機20は、図1に示したように運転室2内に配設されている。
【0035】
副室内機3の配置構成としては、図3に示す配置構成に限定されるものではなく、運転室2の近傍で、通行の妨げにならず、しかも、運転室2からの視界を妨げない場所であれば、適宜の場所に配置して措くことができる。
プラットホーム9の下面側には、標準エアコンユニット45及び副エアコンユニット45’のコンデンサ38,38’や、コンプレッサ37,37’等が配設されている。
【0036】
例えば、プラットホーム9に設けた開閉扉9aの下方に上述したコンデンサ38,38’を収納しておくことができる。そして、開閉扉9aを開くことによって、コンデンサ38,38’に対する修理点検作業を容易に行うことができる。副室内機3は、蓋11付きの箱状体10内に収納しておくことができるので、粉塵等が副室内機3内に侵入するのを箱状体10によって防御しておくことができる。
【0037】
副室内機3は、エアホース6cを介して運転室2内の内気を導入することができ、副室内機3で空調した空気は、エアホース6dを介して運転室2内に供給することができる。副室内機3で空調した空気の運転室2内における噴出し口、及び運転室2内の内気の取り入れ口等の構成は、図示していないが、噴出し口や取り入れ口等の構成は、必要に応じた適宜の配置構成にしておくことができる。
【0038】
プリクリーナー4’から取り入れられプリクリーナー4’及びエアクリーナー4で清浄された外気は、外気分配部5を介して標準室内機20と副室内機3にそれぞれ供給される。エアクリーナー4と外気分配部5とは、エアホース6aを介して接続されており、外気分配部5と運転室2とはエアホース6bを介して接続されている。エアホース6bの接続先には標準室内機20が配されている。
【0039】
エアホース6a〜6dは、柔軟なホースとして構成されており、エアクリーナー4と副室内機3と運転室2とにおけるそれぞれの振動モードが異なっていても、エアホース6a〜6dによって振動モードの違いを吸収させることができる。これによって、建設機械の作動中など
にエアクリーナー4が振動することによって生じる影響、副室内機3が振動することによって生じる影響、運転室2が振動することによって生じる影響が、各エアホース6a〜6dの接続先における機器に対して及ぶのを防止できる。
【0040】
次に、図4〜図11を用いて、副室内機3の構成について説明する。図4〜図6では、箱状体10の内部構成を分かり易く説明するため、副室内機3を収納している箱状体10を透明な構成として示している。
【0041】
図4〜図6に示すように、箱状体10は直方体形状に構成されており、着脱自在の蓋11で上部を覆った構成になっている。箱状体10の四隅及び運転室2側に面する側面の中央部近傍には、土台16から立設した支柱12が設けられている。各支柱12の先端部及び箱状体10の周囲を取り囲む側壁13a,13b、14a,14b、15を取り付ける部位には、先端部に雌ネジが形成された突起部12aが形成されている。
【0042】
各支柱12は、箱状体10の周囲を取り囲む側壁13a,13b、14a,14b、15よりも突出した長さに構成されており、蓋11は各側壁13a,13b、14a,14b、15よりも突出した各支柱12を収納できる凹部を裏面側に形成した構成になっている。また、蓋11の両側辺側には、一対の把手31が構成されており、蓋11の持ち上げを把手31によって容易にしている。
【0043】
そして、各側壁13a,13b、14a,14b、15には、各支柱12に形成した突起部12aを貫通させる貫通孔34が形成されている。貫通孔34から突出した突起部12aの雌ネジにボルト35を螺合させることで、蓋11及び各側壁13a,13b、14a,14b、15を各支柱12に対してそれぞれ着脱自在に固定することができる。
また、土台16には、一対の取付部16aが設けられており、取付部16aを介して箱状体10をプラットホーム9(図3参照)に対して着脱自在に固定することができる。
【0044】
図5に示すように、箱状体10内に収納した副室内機3は、ダンパ3a、蒸発器27、ブロワー28a、駆動モータ28b、ダクト28c等の各機器を備えた構成になっている。そして、図6に示すように、ダンパ3a、蒸発器27、ブロワー28a等の機器は、土台16に対して着脱自在に固定されている。ダンパ3aは、連通部材24を介して外気分配部5に接続するとともに、内気フィルタ押え部材22、エアホース6cを介して運転室2内の内気を取り入れる空気取り入れ口に接続している。
【0045】
ダンパ3aでは、外気分配部5から導入する外気とエアホース6cを介して導入する運転室2内の内気とを切替えて、選択した空気を蒸発器27に供給することができる。ダンパ3a内における切替え機構の構成としては、従来から公知の構成を採用することができる。また、図5には、符号47aを用いてダンパ3aにおける外気導入面を示している。ダンパ3aにおける内気導入面47b(図8参照)は、内気フィルタ18a,18bを取り付けているダンパ3aの面として構成されている。
【0046】
蒸発器27とブロワー28aと駆動モータ28bとダクト28c等によって、供給部3bを構成している。蒸発器27は、コンデンサ38’(図2参照)で液化された冷媒を用いて、ダンパ3aを介して導入された空気との間で熱交換を行い、空調された空気を作成する。
【0047】
駆動モータ28bにより回転駆動されるブロワー28aによって、蒸発器27で空調された空気は、ダクト28cから吐出される。ダクト28cから吐出した空気は、エアホース6dを介して運転室2内の吹き出し口から吹き出されることになる。
【0048】
エアクリ−ナー4に接続した外気分配部5からダンパ3a内に導入される外気は、外気分配部5に接続した連通部材24を介して導入されることになる。連通部材24は、箱状体10を構
成する側壁14aに取り付けられており、連通部材24とダンパ3aとの間には、スポンジ体などによって構成された枠状のシール部材24aが介在されている。
【0049】
シール部材24aは、側壁14aを支柱12に取り付けたときに、連通部材24とダンパ3aとの間で圧縮することができ、連通部材24とダンパ3aとの間を気密状態に接続することができる。そして、この気密状態は、側壁14aに形成した貫通孔34から突出した支柱12の先端部に形成した雌ネジに対してボルト35を螺合させることで、保持固定しておくことができる。
【0050】
エアホース6cを介して、運転室2内の内気をダンパ3a内に導入する導入部における構成について説明する。側壁13aには、内気導入用開口22cが形成されており、内気導入用開口22cにはエアホース6cの一端部が接続している。エアホース6cの他端部は運転室2内に設けた空気取り入れ口に接続している。
【0051】
図4、図5、図11に示すように、内気導入用開口22cを形成した側壁13aの内面側には、シール部材22aを介して内気フィルタ18bを押える内気フィルタ押え部材22が構成されており、シール部材22aに当接する内気フィルタ押え部材22の面は、側壁13aよりも内気フィルタ18b側に離間している。内気フィルタ押え部材22の内気フィルタ18bを押える側は、周囲に押圧面を有する中空形状に構成されている。
【0052】
内気フィルタ18bは、周囲に補強用の枠を備えた構成になっており、図8に示すようにダンパ3aの内気導入面47bに対して上下方向への摺動が可能に設けられている。図8では、内気導入面47bの側縁を図示している。また、内気フィルタ18bにおける補強用の枠に、スポンジ体などによって構成された枠状のシール部材22aが当接することになる。内気フィルタ18bの着脱は、内気フィルタ18bを上下方向に摺動させることにより行うことができる。
【0053】
図8に示すように、内気フィルタ押え部材22と側壁13aの内面との間には、内気通路25が形成されている。シール部材22aは、側壁13aを支柱12に取り付けたときに、内気フィルタ18bと内気フィルタ押え部材22との間で圧縮することができ、側壁13aと内気フィルタ18bとの間を気密状態に接続することができる。このとき、内気通路25は、内気フィルタ押え部材22と側壁13aとの間に形成した開口25’cを介して、後述する蓋11に形成した内気通路25’に連通している。蓋11及び前面側の側壁13aは、内気フィルタ18a,18bの外周部を覆い、前記内気フィルタ18a,18bの外周側に気密の内気通路25,25’を形成するカバーとして構成されている。
【0054】
図8に示すように、運転室2から導入された内気は、白抜きの矢印で示しているように、内気フィルタ18bに直接当接してダンパ3a内に流入することになる。内気通路25に導入された内気の一部は、屈折して示した白抜きの矢印のように、内気通路25から開口25’cを通って内気通路25’内に流入する。そして、内気フィルタ18aからダンパ3a内に流入することになる。
【0055】
図4、図5、図10に示すように、蓋11の内面には、シール部材21aを介して内気フィルタ18aを押える内気フィルタ押え部材21が構成されており、シール部材21aに当接する内気フィルタ押え部材21の面は、蓋11の内面よりも内気フィルタ18a側に離間している。そして、図8に示すように、内気フィルタ押え部材21と蓋11の内面との間には、内気通路25に連通する内気通路25’が形成されている。また、内気フィルタ押え部材21の内気フィルタ18aを押える側は、周囲に押圧面を有する中空形状に構成されている。
【0056】
側壁13a側の内気通路25と蓋11側の内気通路25’とを連通した一つの内気通路として構成するため、蓋11側の内気通路25’は、蓋11の内面に沿って逆L字状に屈折した通路とし
て構成されている。そのため、蓋11の側面に沿った筒状部26が形成されており、筒状部26は、蓋11の開放側には開口25’cが形成され、蓋11の内面側には内気通路25’に連通する開口が形成されている。
【0057】
そして、蓋11を箱状体10に被せたときには、ダンパ3aにおける内気通路25,25’を連通させた状態に構成することができる。内気通路25,25’を連通させた状態は、図8の断面図に示している。蓋11を箱状体10に被せることにより、シール部材21aを介して内気フィルタ18aを内気フィルタ押え部材21で押圧することができ、スポンジ体などによって構成された枠状のシール部材25aを介して側壁13a側の内気通路25における開口25cを押圧することができる。
そして、蓋11の内面に設けた筒状部26の開口25’cと側壁13aに設けた内気フィルタ押え部材22の開口25cとを気密状態で連通させることができる。
【0058】
これにより、内気フィルタ18aの外側と内気フィルタ18bの外側間を連通する内気通路25,25’を気密状態で連通させることができる。そして、この気密状態は、側壁13aに形成した貫通孔34から突出した支柱12の先端部に形成した雌ネジに対してボルト35を螺合させることと、蓋11に形成した貫通孔34から突出した支柱12の先端部に形成した雌ネジに対してボルト35を螺合させることで保持固定しておくことができる。
【0059】
内気フィルタ18aは、周囲に補強用の枠を備えた構成になっており、ダンパ3aの内気導入面47bに対して水平方向への摺動が可能に設けられている。図8では、内気導入面47bの側縁を図示している。そして、内気フィルタ18aにおける補強用の枠に、スポンジ体などによって構成された枠状のシール部材21aが当接することになる。内気フィルタ18aの着脱は、内気フィルタ18aを水平方向に摺動させることにより行うことができる。
【0060】
内気フィルタ18aを水平方向に摺動させるときの高さ位置は、側壁13aの高さよりも高い位置に構成されているので、側壁13aに干渉することなく内気フィルタ18aを水平方向に摺動させて取外すことができる。
このように、エアホース6cを介して運転室2内から導入した内気を、副室内機3における他の部位に流出させることなく、内気通路25,25’を介して内気フィルタ18a及び内気フィルタ18bを通してダンパ3a内に導入することができる。これによって、運転室2内からダンパ3a内に導入する内気の流入量を増大させることができる。
しかも、内気導入用開口22c(図4参照)から流入した内気を内気導入用開口22cに対向して配した内気フィルタ18bでダイレクトに清浄することができる。
【0061】
このように、ダンパー3aにおける構成をコンパクトに構成することができるので、副室内機3をコンパクトに構成することができ、副室内機3を設置する場所に対する規制条件を少なくできる。
【0062】
次に、蒸発器27で空調された空気を、エアホース6dを介して運転室2内に供給する構成について説明する。蒸発器27で空調された空気は、ブロワー28aによって加速され、ダクト28cから吐出される。ダクト28cの吐出口は、スポンジ体などによって構成された枠状のシール部材23bを介してエアホース6dに気密状態に接続している。エアホース6dの一端部は、側壁13bに形成した開口23aに接続しており、エアホース6dの他端部は、運転室2内に配設した空気吹き出し口に接続している。
【0063】
側壁13bの内面にはシール部材23bを押圧する吐出用押え部材23が構成されており、吐出用押え部材23のシール部材23bを押える側は、周囲に押圧面を有する中空形状に構成されている。側壁13bを支柱12に取り付けることにより、シール部材23bをダクト28cの吐出口と吐出用押え部材23との間で圧縮し、ダクト28cの吐出口からエアホース6dまでを気密状
態で連通させることができる。
そして、この気密状態は、側壁13bに形成した貫通孔34から突出した支柱12の先端部に形成した雌ネジに対してボルト35を螺合させることで固定保持しておくことができる。
【0064】
図7に示すように、土台16の裏面側は空間部が形成されており、土台16の裏面側からは、冷媒を供給・排出する冷媒用配管7bや必要に応じて適宜配設した暖気用の媒体を供給・排出する配管8aやドレイン用配管30等の配管や配線が接続している。冷媒用配管7bは、図9に示すように、プラットホーム9の下方側において配管されており、運転室2内に設けた標準室内機20に接続した冷媒用配管7aと共に、コンプレッサ37’(図2参照)に接続している。
【0065】
コンデンサ38,38’及びコンプレッサ37,37’、接続用の配管・配線等をプラットホーム9の下方側の部位に配設しておくことにより、建設機械上での作業者の通行を妨げない。また、コンデンサ38,38’をプラットホーム9の下方側の部位に配設しておくことにより、コンデンサ38,38’によって生じる発熱を効率よく外気によって冷却・拡散させることができる。
【0066】
また、側壁14aの周縁と支柱12及び土台16との当接部、側壁13aの周縁と支柱12及び土台16との当接部、側壁13bの周縁と支柱12及び土台16との当接部、側壁15の周縁と支柱12及び土台16との当接部、及び蓋11の下端側の周縁は、図6に示すように、それぞれシール材32が介在されており、シール材32を介在させることによって箱状体10内の気密性を向上させている。
【0067】
本願発明では、副室内機3が故障したときには、副室内機3と運転室2内との間で空気の出し入れを行うエアホース6c,6dを外すと共に、エアホース6c,6dを外した開口部を蓋等によって封止しておき、エアホース6c,6dを外した後の開口部から運転室2内の空気が外部に漏れでないようにする。また、外気分配部5を副室内機3から外し、外した後の外気分配部5側の開口部を蓋等によって封止しておく。また、冷媒用配管7bを副室内機3から外し、冷媒用配管7bの開口端部を封止部材で封止しておく。その後、副室内機3を収納している箱状体10を建設機械1から搬出することで、副室内機3を建設機械1から取外すことができ、副室内機3の修理を行うことができる。
【0068】
副室内機3の修理が終了した後には、副室内機3に冷媒用配管7b、外気分配部5、エアホース6c,6dを接続することによって、副室内機3を建設機械に装着させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本願発明は、デュアルタイプにエアコンユニットを構成することが求められる建設機械に対して、好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1・・・建設機械、2・・・運転室、3・・・副室内機、3a・・・ダンパ、3b・・・供給部、4・・・エアクリーナー、6a〜6d・・・エアホース、10・・・箱状体、11・・・蓋、18a,18b・・・内気フィルタ、20・・・標準室内機、21・・・内気フィルタ押え部材、21a・・・シール部材、22・・・内気フィルタ押え部材、22a・・・シール部材、22c・・・内気導入用開口、23・・・吐出用押え部材、23a・・・開口、23b・・・シール部材、24・・・連通部材、24a・・・シール部材、25,25’・・・内気通路、25a・・・シール部材、36・・・ホイルローダ、45・・・標準エアコンユニット、45’・・・副エアコンユニット、47a・・・外気導入面、47b・・・内気導入面、50a,50b・・・エアコンユニット、51・・・運転室、52a,52b・・・蒸発器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転室内に配され熱交換部を内蔵した標準室内機及びコンデンサ、コンプレッサ等の標準室外機からなる標準エアコンユニットと、前記標準室内機とは別に前記運転室の外に配設可能で、熱交換部を内蔵した副室内機及びコンデンサ、コンプレッサ等の副室外機からなる副エアコンユニットと、を備えた建設機械であって、
前記標準室内機と前記副室内機との兼用であるエアクリーナーは、前記標準室内機及び前記副室内機に対してそれぞれ清浄した外気を供給し、
前記標準室内機は、前記運転室内の内気を前記運転室内で循環させながら空調する機能と、前記エアクリーナーからの外気を空調して前記運転室内に供給する機能を備え、
前記副室内機は、前記運転室内の内気を導入して空調した後に前記運転室内に戻す機能と前記エアクリーナーからの外気を空調して前記運転室内に供給する機能を備え、
前記副室内機は、前記運転室内からの内気と前記エアクリーナーからの外気とを切替えるダンパ、及び前記ダンパから導入した空気を前記副室内機内の熱交換部を介して空調し、空調した空気を前記運転室に吐出する供給部を有し、
前記ダンパは、前記エアクリーナーからの外気が供給される外気導入面と前記運転室内からの内気が導入される内気導入面とを有し、
前記内気導入面には内気フィルタが配設され、前記内気導入面の外周側はカバーによって気密状態に塞がれており、
前記カバーには、前記運転室内に連通した内気導入用開口が形成され、
前記内気フィルタと前記カバーとの間には、前記内気導入用開口に連通した内気通路が形成されてなることを特徴とするエアコンユニットを備えた建設機械。
【請求項2】
前記ダンパの内気導入面は、少なくとも前記内気導入用開口に対向する面を含む二面以上の面から構成され、前記内気フィルタは、前記内気導入面における少なくとも二面以上の各面に配設され、前記内気通路は前記各内気フィルタの外周部間を連通してなることを特徴とする請求項1記載のエアコンユニットを備えた建設機械。
【請求項3】
前記副室内機は、蓋付きで固定及び搬送可能な箱状体内に収納され、前記カバーが、前記蓋及び前記箱状体の一部によって構成されてなることを特徴とする請求項2記載のエアコンユニットを備えた建設機械。
【請求項4】
前記標準室外機及び前記副室外機が、それぞれ前記標準室内機及び前記副室内機とは別体に構成され、かつ前記運転室外における前記建設機械の部位に配設されてなることを特徴とする請求項2又は3に記載のエアコンユニットを備えた建設機械。
【請求項5】
前記エアクリーナーと前記副室内機と前記運転室との間における相互の接続部には、それぞれ柔軟なエアホースが設けられ、
前記カバーに形成された前記内気導入用開口は、前記エアホースを介して前記運転室内に連通してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエアコンユニットを備えた建設機械。
【請求項1】
運転室内に配され熱交換部を内蔵した標準室内機及びコンデンサ、コンプレッサ等の標準室外機からなる標準エアコンユニットと、前記標準室内機とは別に前記運転室の外に配設可能で、熱交換部を内蔵した副室内機及びコンデンサ、コンプレッサ等の副室外機からなる副エアコンユニットと、を備えた建設機械であって、
前記標準室内機と前記副室内機との兼用であるエアクリーナーは、前記標準室内機及び前記副室内機に対してそれぞれ清浄した外気を供給し、
前記標準室内機は、前記運転室内の内気を前記運転室内で循環させながら空調する機能と、前記エアクリーナーからの外気を空調して前記運転室内に供給する機能を備え、
前記副室内機は、前記運転室内の内気を導入して空調した後に前記運転室内に戻す機能と前記エアクリーナーからの外気を空調して前記運転室内に供給する機能を備え、
前記副室内機は、前記運転室内からの内気と前記エアクリーナーからの外気とを切替えるダンパ、及び前記ダンパから導入した空気を前記副室内機内の熱交換部を介して空調し、空調した空気を前記運転室に吐出する供給部を有し、
前記ダンパは、前記エアクリーナーからの外気が供給される外気導入面と前記運転室内からの内気が導入される内気導入面とを有し、
前記内気導入面には内気フィルタが配設され、前記内気導入面の外周側はカバーによって気密状態に塞がれており、
前記カバーには、前記運転室内に連通した内気導入用開口が形成され、
前記内気フィルタと前記カバーとの間には、前記内気導入用開口に連通した内気通路が形成されてなることを特徴とするエアコンユニットを備えた建設機械。
【請求項2】
前記ダンパの内気導入面は、少なくとも前記内気導入用開口に対向する面を含む二面以上の面から構成され、前記内気フィルタは、前記内気導入面における少なくとも二面以上の各面に配設され、前記内気通路は前記各内気フィルタの外周部間を連通してなることを特徴とする請求項1記載のエアコンユニットを備えた建設機械。
【請求項3】
前記副室内機は、蓋付きで固定及び搬送可能な箱状体内に収納され、前記カバーが、前記蓋及び前記箱状体の一部によって構成されてなることを特徴とする請求項2記載のエアコンユニットを備えた建設機械。
【請求項4】
前記標準室外機及び前記副室外機が、それぞれ前記標準室内機及び前記副室内機とは別体に構成され、かつ前記運転室外における前記建設機械の部位に配設されてなることを特徴とする請求項2又は3に記載のエアコンユニットを備えた建設機械。
【請求項5】
前記エアクリーナーと前記副室内機と前記運転室との間における相互の接続部には、それぞれ柔軟なエアホースが設けられ、
前記カバーに形成された前記内気導入用開口は、前記エアホースを介して前記運転室内に連通してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエアコンユニットを備えた建設機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−62624(P2012−62624A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205399(P2010−205399)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
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