説明

エアコン制御装置

【課題】車両用エアコンの消費エネルギーの低減を図るとともに、より快適に車両用エアコンの切替制御を行う。
【解決手段】車両が停車した地点を目的地候補地点として記憶手段に記憶させ、車両が記憶手段に記憶された特定の目的地候補地点までの距離が一定値以内となる一定領域に位置することを判定した場合、車両用エアコンの運転状態を停止状態に切り替え(S204)、車両用エアコンの運転状態を停止状態に切り替えた後、車両が特定の目的地候補地点周辺から逸脱したことを推定した場合、車両用エアコンの運転状態を通常状態に切り戻す(S208)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用エアコンの運転制御を行うエアコン制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、出発地から目的地までの探索経路を探索し、自車が目的地に到着するまでの所定のタイミングで運転モードの切替条件が成立したことを判定した場合、エアコンを標準モードから省エネモードに切り替えるようにしてエアコンの消費エネルギーを低減するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−269275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたような装置は、走行途中で目的地が変更となり先に設定した目的地を通過して別の目的地に向かうような場合、エアコンの運転モードが元の標準モードに切り替わられないため、快適性が損なわれてしまうといった問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みたもので、車両用エアコンの消費エネルギーの低減を図るとともに、より快適に車両用エアコンの切替制御を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車両に搭載され、車両用エアコンの運転制御を行うエアコン制御装置であって、車両の現在位置を特定する現在位置特定手段と、車両の現在位置に基づいて、車両が、目標とする地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、車両用エアコンの運転状態を通常状態よりも消費電力の少ない低消費電力状態に切り替える第1の運転状態切替手段と、第1の運転状態切替手段により車両用エアコンの運転状態が低消費電力状態に切り替えられた後、車両の行き先が、目標とする地点と異なることを推定した場合、車両用エアコンの運転状態を低消費電力状態から通常状態に切り戻す第2の運転状態切替手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
このような構成によれば、車両の現在位置に基づいて、車両が、目標とする地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、車両用エアコンの運転状態が通常状態よりも消費電力の少ない低消費電力状態に切り替えられるので、車両用エアコンの消費エネルギーの低減を図ることができる。更に、車両用エアコンの運転状態が低消費電力状態に切り替えられた後、車両の行き先が、目標とする地点と異なることを推定した場合、車両用エアコンの運転状態が低消費電力状態から通常状態に切り戻されるので、例えば、走行途中で目的地が変更となり先に設定した目的地を通過して別の目的地に向かうような場合であっても、車両用エアコンの運転状態を通常状態に戻す操作が不要であり、より快適に車両用エアコンの切替制御を行うことができる。
【0008】
なお、第2の運転状態切替手段は、請求項2に記載の発明のように、車両が、案内経路から離脱したことを判定した場合に、車両の行き先が、目標とする地点と異なると推定することができ、また、請求項3に記載の発明のように、経路案内の中止を指示する操作が行われたことを判定した場合に、車両の行き先が、目標とする地点と異なると推定することもできる。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、車両が停車したことを特定するための車両停車特定情報を取得する車両停車特定情報取得手段と、車両の現在位置および車両停車特定情報に基づいて車両が停車した地点を特定し、当該車両が停車した地点を目的地候補地点として記憶手段に記憶させる停車地点記憶手段と、を備え、第1の運転状態切替手段は、車両の現在位置および記憶手段に記憶された目的地候補地点に基づいて、車両が、特定の目的地候補地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、車両用エアコンの運転状態を通常状態よりも消費電力の少ない低消費電力状態に切り替え、第2の運転状態切替手段は、車両の行き先が、特定の目的地候補地点と異なることを推定した場合、車両用エアコンの運転状態を低消費電力状態から通常状態に切り戻すことを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、車両が停車した地点を目的地候補地点として記憶手段に記憶させ、車両の現在位置および記憶手段に記憶された目的地候補地点に基づいて、車両が、特定の目的地候補地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合に、車両用エアコンの運転状態が通常状態よりも消費電力の少ない低消費電力状態に切り替えられるので、車両用エアコンの消費エネルギーの低減を図ることができる。更に、車両の行き先が、特定の目的地候補地点と異なることを推定した場合に、車両用エアコンの運転状態が低消費電力状態から通常状態に切り戻されるので、目的地を設定するための操作を必要とすることなく、車両用エアコンの消費エネルギーの低減を図りつつ、より快適に車両用エアコンの切替制御を行うことができる。
【0011】
なお、第2の運転状態切替手段は、請求項5に記載の発明のように、車両が、特定の目的地候補地点までの間隔が一定値以内となる一定領域から逸脱したことを推定した場合、車両の行き先が、特定の目的地候補地点と異なると推定することができ、また、請求項6に記載の発明のように、車両が、特定の目的地候補地点から離れる方向に走行していることを判定した場合、車両の行き先が、特定の目的地候補地点と異なると推定することもできる。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、第1の運転状態切替手段は、第2の運転状態切替手段により車両用エアコンの運転状態が低消費電力状態から通常状態に切り戻された後、再度、車両が、特定の目的地候補地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、車両用エアコンの運転状態を通常状態よりも消費電力の少ない低消費電力状態に切り替えることを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、車両用エアコンの運転状態が低消費電力状態から通常状態に切り戻された後、再度、車両が、特定の目的地候補地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、車両用エアコンの運転状態を通常状態よりも消費電力の少ない低消費電力状態に切り替えられるので、運転者の操作を必要とすることなく、車両用エアコンの消費エネルギーを低減することが可能である。
【0014】
また、請求項8に記載の発明は、第1の運転状態切替手段は、車両が、目標とする地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、車両用エアコンのエアコンスイッチをオンして送風している状態から当該エアコンスイッチをオフして送風している状態に切り替え、第2の運転状態切替手段は、車両用エアコンのエアコンスイッチをオフして送風している状態から当該エアコンスイッチをオンして送風している状態に切り替えることを特徴としている。
【0015】
このような構成によれば、車両が、目標とする地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、車両用エアコンのエアコンスイッチをオンして送風している状態から当該エアコンスイッチをオフして送風している状態に切り替えられる。エアコンスイッチをオフして送風している状態に切り替えても、しばらくの間、冷風が吹き出されるため、車両用エアコンの消費電力の低減を図りつつ、比較的長い時間、車室内の快適性を維持することが可能である。
【0016】
また、請求項9に記載の発明は、第1の運転状態切替手段は、車両が、目標とする地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、車両用エアコンのエアコンスイッチをオフして送風している状態から当該エアコンスイッチをオフして送風を停止している状態に切り替え、第2の運転状態切替手段は、車両用エアコンのエアコンスイッチをオフして送風を停止している状態から当該エアコンスイッチをオンして送風している状態に切り替えることを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、車両が、目標とする地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、車両用エアコンのエアコンスイッチをオフして送風している状態から当該エアコンスイッチをオフして送風を停止している状態に切り替えられる。エアコンスイッチをオフして送風を停止している状態にしても、しばらくの間、車室内の温度は維持されるため、車両用エアコンの消費電力の低減を図りつつ、比較的長い時間、車室内の快適性を維持することが可能である。
【0018】
また、請求項10に記載の発明のように、第1の運転状態切替手段は、目標とする地点までの距離が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、車両用エアコンの運転状態を通常状態よりも消費電力の少ない低消費電力状態に切り替えることができる。
【0019】
また、請求項11に記載の発明のように、第1の運転状態切替手段は、目標とする地点までの所要時間が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、車両用エアコンの運転状態を通常状態よりも消費電力の少ない低消費電力状態に切り替えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係るエアコン制御装置の構成を示す図である。
【図2】制御部による目的地候補記憶処理のフローチャートである。
【図3】近辺マップについて説明するための図である。
【図4】制御部による運転状態切替処理のフローチャートである。
【図5】車両の目的地候補地点周辺からの逸脱判定について説明するための図である。
【図6】変形例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るエアコン制御装置の構成を図1に示す。本エアコン制御装置は、車両に搭載され、車両用エアコン2の運転制御を行うものであり、ナビゲーション装置1として構成されている。ナビゲーション装置1は、車両用エアコン2のエアコン制御部20と接続ケーブル3を介して接続されている。
【0022】
ナビゲーション装置1は、位置検出器10、地図データ取得部11、表示装置12、操作部13および制御部14を備えている。
【0023】
位置検出器10は、地磁気センサ、ジャイロスコープ、距離センサおよびGPS受信機等(いずれも図示せず)を有しており、これらから入力される現在位置を特定するための情報を制御部15に出力する。
【0024】
地図データ取得部11は、ハードディスクドライブ、DVD、CD等の記憶媒体に記憶された地図データを取得するための装置である。地図データには、各リンクの識別情報、距離、道路種別、道路幅員、道路形状、道路名、車線数等を表す道路データ、位置検出精度を向上するためのいわゆるマップマッチングデータ、川、湖、海、鉄道、施設などの位置、形状、名称を表す背景データ、各地の施設の名称、所在位置、施設種類、電話番号等を示す施設データ等が含まれる。
【0025】
表示装置12は、液晶等のディスプレイを有し、制御部14より入力される映像信号に応じた映像をディスプレイに表示させる。
【0026】
操作部13は、表示装置12のディスプレイの前面に重ねて設けられたタッチスイッチ、表示装置12のディスプレイの周囲に配置されたメカニカルスイッチ等により構成され、ユーザのスイッチ操作に応じた信号を制御部14へ出力する。
【0027】
制御部14は、CPU、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUは、ROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0028】
制御部14の処理としては、位置検出器10より入力される現在位置を特定するための情報に基づいて自車位置を特定する自車位置特定処理、ユーザ操作に応じて目的地を検索する目的地検索処理、出発地から目的地に至る案内経路を探索する経路探索処理、案内経路に従って経路案内を行う経路案内処理、車両が案内経路から離脱したか否かを判定する離脱判定処理、操作部13に対するエアコン操作に応じた信号を車両用エアコン2へ送出して車両用エアコン2を制御するエアコン制御処理等がある。
【0029】
エアコン制御部20は、ナビゲーション装置1より入力されるエアコン操作に応じた信号に応じて車室内の空調制御を行う。具体的には、設定温度調整スイッチ、吹き出し風量調整スイッチ、エアコン(A/C)スイッチ、内外気切り替えスイッチ等の各スイッチ操作に応じた空調制御を行う。
【0030】
エアコン制御部20は、吹き出し風量調整スイッチの操作に応じた信号に応じて送風機(図示せず)を制御することにより送風(吹き出し風量)を調整し、エアコン(A/C)スイッチの操作に応じてコンプレッサを制御し、エアコンのオンオフ切り替えを行う。
【0031】
本実施形態において、ナビゲーション装置1の制御部14は、車両の自車位置および車両停車特定情報に基づいて車両が停車した地点を特定し、この車両が停車した地点を、次回以降の走行時における目的地候補としてハードディスクドライブに記憶させる目的地候補記憶処理を実施する。
【0032】
図2に、この目的地候補記憶処理のフローチャートを示す。車両のイグニッションスイッチがオン状態になると、本ナビゲーション装置1は動作状態となり、制御部14は、図2に示す処理を実施する。
【0033】
まず、車両停車特定情報を取得する(S100)。本実施形態では、車両停車特定情報として車速情報を取得する。
【0034】
次に、目的地条件を満たすか否かを判定する(S102)。本実施形態では、S100にて取得した車速情報に基づいて車両が停車した状態(時速0キロメートルの状態)が一定時間(例えば、5分)以上継続した場合に、目的地条件を満たすと判定する。
【0035】
ここで、車両が停車した状態が一定時間以上継続していない場合、S102の判定はNOとなり、S100に戻る。また、車両が停車した状態が一定時間以上継続すると、S102の判定はYESとなり、車両が停車した地点の位置情報(緯度経度情報)を目的地候補地点の位置情報としてハードディスクドライブに記憶させる(S104)。具体的には、図3に示すような、目的地候補地点Aからの距離が一定値以内となる一定領域を規定した近辺マップを作成し、この近辺マップをハードディスクドライブに記憶させ、S100へ戻る。
【0036】
上記した目的地候補記憶処理により、順次、車両が停車した地点の位置情報が目的地候補地点の位置情報としてハードディスクドライブに記憶される。
【0037】
また、本実施形態において、制御部14は、車両がハードディスクドライブに記憶された特定の目的地候補地点に近づくと、この特定の目的地候補地点に到達する手前で車両用エアコン2の運転状態を通常状態から停止状態に切り替え、更に、車両用エアコン2の運転状態を通常状態から停止状態に切り替えられた後、車両の目的地が特定の目的地候補地点でないことを推定した場合、車両用エアコン2の運転状態を通常状態に切り替える運転状態切替処理を実施する。
【0038】
図4に、この運転状態切替処理のフローチャートを示す。車両のイグニッションスイッチがオン状態となり、本ナビゲーション装置1が動作状態になると、制御部14は、図2に示した目的地候補記憶処理と並行して、図4に示す処理を周期的に実施する。
【0039】
まず、車両の最も近くに存在する目的地候補地点を特定する(S200)。具体的には、ハードディスクドライブから車両との直線距離が最も短い目的地候補地点を抽出する。
【0040】
次に、車両が目的地候補地点周辺に到達したか否かを判定する(S202)。本実施形態では、車両が、S200にて特定した目的地候補地点を目標とする地点として、この特定した目的地候補地点からの直線距離が一定値以内となる一定領域に位置するか否かに基づいて車両が目的地候補地点周辺に到達したか否かを判定する。具体的には、図3に示した近辺マップを用いて車両が目的地候補地点周辺に到達したか否かを判定する。
【0041】
車両が目的地候補地点周辺に到達してない場合、S202の判定はNOとなり、S202の判定を繰り返し実施する。
【0042】
また、車両が目的地候補地点周辺に到達すると、S202の判定はYESとなり、車両用エアコンの運転を停止させる(S204)。具体的には、車両用エアコン2の運転停止を指示する信号をエアコン制御部20へ送出し、運転状態を停止状態とする。これにより、車両用エアコン2のエアコンスイッチがオフして送風も停止する。
【0043】
次に、車両が目的地候補地点周辺から逸脱したか否かを判定する(S206)。本実施形態では、図5に示すように、車両が、目的地候補地点Aからの直線距離が一定値以内となる一定領域から逸脱したことを判定した場合に、車両が目的地候補地点周辺から逸脱したと判定する。
【0044】
ここで、車両が目的地候補地点周辺から逸脱してない場合、S206の判定はNOとなり、次に、目的地に到着したか否かを判定する(S210)。本実施形態では、車両のシフトレバーがパーキング(P)に位置することを示す信号が入力されたか否かに基づいて目的地に到着したと判定する。
【0045】
車両のシフトレバーがパーキング(P)に位置していない場合、S210の判定はNOとなり、S206へ戻る。
【0046】
そして、車両が目的地に到着する前に車両が目的地候補地点周辺から逸脱すると、S206の判定はNOとなり、次に、車両用エアコン2の運転を再開させ(S208)、S200へ戻る。具体的には、車両用エアコン2の運転を指示する信号をエアコン制御部20へ送出する。これにより、車両用エアコン2のエアコンスイッチがオンして送風も開始され、車両用エアコン2の運転状態は、動作状態となる。
【0047】
そして、再度、車両がハードディスクに記憶された別の目的地候補地点までの間隔が一定値以内となる一定領域に位置すると、S202の判定はYESとなり、車両用エアコンの運転を停止させる。
【0048】
そして、車両が目的地候補地点周辺から逸脱することなく、車両のシフトレバーがパーキング(P)に位置することを示す信号が入力されると、S206、S210の各判定はYESとなり、本処理を終了する。
【0049】
上記した構成によれば、車両が停車した地点を目的地候補地点としてハードディスクドライブに記憶させ、車両の現在位置および記憶手段に記憶された目的地候補地点に基づいて、車両が、特定の目的地候補地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合に、車両用エアコンの運転が停止されるので、車両用エアコンの消費エネルギーの低減を図ることができる。更に、車両の行き先が、特定の目的地候補地点と異なることを推定した場合に、車両用エアコンの運転が再開されるので、例えば、走行途中で目的地が変更となり先に設定した目的地を通過して別の目的地に向かうような場合であっても、車両用エアコンの運転を再開させる操作が不要であり、より快適に車両用エアコンの切替制御を行うことができる。
【0050】
また、車両の現在位置および記憶手段に記憶された目的地候補地点に基づいて、車両が、特定の目的地候補地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合に、車両用エアコンの運転が停止されるので、目的地を設定するための操作を必要とすることなく、車両用エアコンの消費エネルギーの低減を図りつつ、より快適に車両用エアコンの切替制御を行うことができる。
【0051】
また、車両用エアコンの運転が再開された後、再度、車両が記憶手段に記憶された特定の目的地候補地点までの間隔が一定値以内となる一定領域に位置することを判定した場合、車両用エアコンの運転が停止されるので、新たな目的地の設定操作を実施することなく、車両用エアコンの運転が自動的に停止され、車両用エアコンの消費エネルギーを低減することが可能である。
【0052】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、S206にて、車両が、目的地候補地点Aからの距離が一定値以内となる一定領域から逸脱したことを判定した場合に、車両が目的地候補地点周辺から逸脱したと判定したが、本実施形態では、車両の走行軌跡に基づいて、図6に示すように、車両が目的地候補地点Aから離れる方向に走行していることを判定した場合、車両が特定の目的地候補地点周辺から逸脱したと推定する。なお、車両が目的地候補地点Aから離れる方向に走行するとは、目的地候補地点Aに接続された道路を逆方向に走行することを意味する。
【0053】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、S202にて車両が目的地候補地点周辺に到達したと判定されると、S204にて車両用エアコンの運転を停止させたが、必ずしも停止させる必要はなく、例えば、車両用エアコンの運転状態を通常状態よりも消費電力の少ない低消費電力状態に切り替えるようにしてもよい。同様に、S206にて車両が目的地に到着する前に車両が目的地候補地点周辺から逸脱したと判定した場合、S208にて、車両用エアコンの運転状態を低消費電力状態から通常状態に切り戻すようにしてもよい。すなわち、「エアコンスイッチをオンして送風している状態からエアコンスイッチをオフして送風も停止させた状態にする」、「エアコンスイッチをオンして送風している状態からエアコンスイッチをオフして送風している状態にする」、「エアコンスイッチをオフして送風している状態からエアコンスイッチをオフしたまま送風を停止させた状態にする」など、より消費電力が少なくなる状態にして、通常状態よりも消費電力の少ない低消費電力状態とすることができる。なお、冷房時に、エアコンスイッチをオンして送風している状態から当該エアコンスイッチをオフして送風している状態に切り替えても、しばらくの間、冷風が吹き出されるため、車両用エアコンの消費電力の低減を図りつつ、比較的長い時間、車室内の快適性を維持することが可能である。また、暖房時には、エアコンスイッチをオンして送風している状態から当該エアコンスイッチをオフして送風している状態に切り替えても、しばらくの間、車室内の温度は維持されるため、車両用エアコンの消費電力の低減を図りつつ、比較的長い時間、車室内の快適性を維持することが可能である。
【0054】
また、上記第1実施形態では、車両の現在位置および車両停車特定情報に基づいて車両が停車した地点を特定し、当該車両が停車した地点を目的地候補地点としてハードディスクドライブに記憶させ、S202にて、車両が、ハードディスクドライブに記憶された特定の目的地候補地点までの直線距離が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、車両用エアコンの運転を停止させ、S206にて、車両が、目的地候補地点周辺から逸脱したか否かに基づいて、車両の行き先が目標とする地点と異なると推定した場合、車両用エアコンの運転を再開させる構成を示したが、このように車両が過去に停車した地点を学習することなく、車両の行き先が目標とする地点と異なることを推定した場合に、車両用エアコンの運転を再開させるようにしてもよい。例えば、車両の現在位置から目的地に至る案内経路を探索し、S206にて、車両が、案内経路から離脱したことを判定した場合、車両の行き先が、目標とする地点と異なると推定してもよく、また、案内経路に従って走行案内を実施している途中で、経路案内の中止を指示する操作が行われたことを判定した場合に、車両の行き先が、目標とする地点と異なると推定してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、S202にて、車両がハードディスクドライブに記憶された特定の目的地候補地点までの直線距離が一定値以内となる一定領域に位置するか否かに基づいて車両が特定の目的地周辺に到達したか否かを判定したが、例えば、車両がハードディスクドライブに記憶された特定の目的地候補地点までの道なり距離が一定値以内となる一定領域に位置するか否かに基づいて車両が特定の目的地周辺に到達したか否かを判定してもよい。また、車両がハードディスクドライブに記憶された特定の目的地候補地点までの所要時間が一定値以内となる一定領域に位置するか否かに基づいて車両が特定の目的地周辺に到達したか否かを判定してもよい。
【0056】
また、上記第1、第2実施形態では、一般的な車両用エアコンを例に、車両用エアコンの運転制御を行うエアコン制御装置について説明したが、例えば、走行中に蓄冷材を冷却し、エンジン停止時でも冷風を供給して車室内の温度を快適に保つことが可能な蓄冷式エアコンの運転制御を行うエアコン制御装置として構成してもよい。
【0057】
また、上記第1実施形態では、S206にて、車両が、目的地候補地点Aからの距離が一定値以内となる一定領域から逸脱したことを判定した場合に、車両が目的地候補地点周辺から逸脱したと判定したが、車両の現在位置から目的地に至る案内経路を探索し、車両の自車位置が案内経路から離脱したことを判定した場合、車両が特定の目的地候補地点周辺から逸脱したと推定するようにしてもよい。また、車両の現在位置から目的地に至る案内経路を探索するとともに、案内経路に従って経路案内を行うようにし、経路案内の中止を指示する操作が行われたことを判定した場合、車両が特定の目的地候補地点周辺から逸脱したと推定するようにしてもよい。
【0058】
また、上記第1実施形態では、S100にて車両停車特定情報として車速情報を取得し、S102にて車速情報に基づいて車両が停車した状態(時速0キロメートルの状態)が一定時間(例えば、5分)以上継続した場合に、目的地条件を満たすと判定したが、例えば、S100にて車両停車特定情報として車両の自車位置を取得し、S102にて車両の自車位置が一定時間(例えば、5分)以上変化しない状況が継続した場合に、目的地条件を満たすと判定してもよく、また、ユーザ操作により目的地設定された場所、あるいはETCカードが抜去された場所を目的地とし、目的地条件を満たすと判定してもよい。また、車両のシフトレバーがRレンジに位置することを示す信号、サイドブレーキが操作されたことを示す信号等を車両停車特定情報として取得し、この取得した車両停車特定情報に基づいて目的地条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0059】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、位置検出器10より入力される現在位置を特定するための情報に基づいて自車位置を特定する自車位置特定処理が現在位置特定手段に相当し、S100が車両停車特定情報取得手段に相当し、S104が目的地候補地点記憶手段に相当し、S202、S204が第1の運転状態切替手段に相当し、S206、S208が第2の運転状態切替手段に相当し、出発地から目的地に至る案内経路を探索する経路探索処理が経路探索手段に相当し、案内経路に従って経路案内を行う経路案内処理が経路案内手段に相当する。
【符号の説明】
【0060】
1 ナビゲーション装置
2 車両用エアコン
10 位置検出器
11 地図データ取得部
12 表示装置
13 操作部
14 制御部
20 エアコン制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、車両用エアコンの運転制御を行うエアコン制御装置であって、
前記車両の現在位置を特定する現在位置特定手段と、
前記車両の現在位置に基づいて、前記車両が、目標とする地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、前記車両用エアコンの運転状態を通常状態よりも消費電力の少ない低消費電力状態に切り替える第1の運転状態切替手段と、
前記第1の運転状態切替手段により前記車両用エアコンの運転状態が低消費電力状態に切り替えられた後、前記車両の行き先が、前記目標とする地点と異なることを推定した場合、前記車両用エアコンの運転状態を低消費電力状態から通常状態に切り戻す第2の運転状態切替手段と、を備えたことを特徴とするエアコン制御装置。
【請求項2】
前記車両の現在位置から目的地に至る案内経路を探索する経路探索手段を備え、
前記第2の運転状態切替手段は、前記車両が、前記案内経路から離脱したことを判定した場合、前記車両の行き先が、前記目標とする地点と異なると推定することを特徴とする請求項1に記載のエアコン制御装置。
【請求項3】
前記車両の現在位置から目的地に至る案内経路を探索する経路探索手段と、
前記案内経路に従って経路案内を行う経路案内手段と、を備え、
前記第2の運転状態切替手段は、前記経路案内の中止を指示する操作が行われたことを判定した場合、前記車両の行き先が、前記目標とする地点と異なると推定することを特徴とする請求項1に記載のエアコン制御装置。
【請求項4】
前記車両が停車したことを特定するための車両停車特定情報を取得する車両停車特定情報取得手段と、
前記車両の現在位置および前記車両停車特定情報に基づいて前記車両が停車した地点を特定し、当該車両が停車した地点を目的地候補地点として記憶手段に記憶させる目的地候補地点記憶手段と、を備え、
前記第1の運転状態切替手段は、前記車両の現在位置および前記記憶手段に記憶された前記目的地候補地点に基づいて、前記車両が、特定の目的地候補地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、前記車両用エアコンの運転状態を通常状態よりも消費電力の少ない低消費電力状態に切り替え、
前記第2の運転状態切替手段は、前記車両の行き先が、前記特定の目的地候補地点と異なることを推定した場合、前記車両用エアコンの運転状態を低消費電力状態から通常状態に切り戻すことを特徴とする請求項1に記載のエアコン制御装置。
【請求項5】
前記第2の運転状態切替手段は、前記車両が、前記特定の目的地候補地点までの間隔が一定値以内となる一定領域から逸脱したことを推定した場合、前記車両の行き先が、前記特定の目的地候補地点と異なると推定することを特徴とする請求項4に記載のエアコン制御装置。
【請求項6】
前記第2の運転状態切替手段は、前記車両が、前記特定の目的地候補地点から離れる方向に走行していることを判定した場合、前記車両の行き先が、前記特定の目的地候補地点と異なると推定することを特徴とする請求項4に記載のエアコン制御装置。
【請求項7】
前記第1の運転状態切替手段は、前記第2の運転状態切替手段により前記車両用エアコンの運転状態が低消費電力状態から通常状態に切り戻された後、再度、前記車両が、特定の目的地候補地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、前記車両用エアコンの運転状態を通常状態よりも消費電力の少ない低消費電力状態に切り替えることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1つに記載のエアコン制御装置。
【請求項8】
前記第1の運転状態切替手段は、前記車両が、前記目標とする地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、前記車両用エアコンのエアコンスイッチをオンして送風している状態から当該エアコンスイッチをオフして送風している状態に切り替え、
前記第2の運転状態切替手段は、前記車両用エアコンのエアコンスイッチをオフして送風している状態から当該エアコンスイッチをオンして送風している状態に切り替えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のエアコン制御装置。
【請求項9】
前記第1の運転状態切替手段は、前記車両が、前記目標とする地点までの間隔が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、前記車両用エアコンのエアコンスイッチをオフして送風している状態から当該エアコンスイッチをオフして送風を停止している状態に切り替え、
前記第2の運転状態切替手段は、前記車両用エアコンのエアコンスイッチをオフして送風を停止している状態から当該エアコンスイッチをオンして送風している状態に切り替えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のエアコン制御装置。
【請求項10】
前記第1の運転状態切替手段は、前記目標とする地点までの距離が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、前記車両用エアコンの運転状態を通常状態よりも消費電力の少ない低消費電力状態に切り替えることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載のエアコン制御装置。
【請求項11】
前記第1の運転状態切替手段は、前記目標とする地点までの所要時間が一定値以内となる一定領域内に位置することを判定した場合、前記車両用エアコンの運転状態を通常状態よりも消費電力の少ない低消費電力状態に切り替えることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載のエアコン制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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