説明

エアゾールボタン、エアゾールキャップおよびエアゾールボタンの噴射用ノズルチップ

【課題】噴射口から噴射される内容物が、噴射口の下部前方に付着することが効果的に防止できるエアゾールボタン、エアゾールキャップ、およびエアゾールボタンの噴射用ノズルチップを提供する。
【解決手段】エアゾールキャップは、エアゾールボタンとキャップ本体とを備える。エアゾールボタンは、エアゾール容器の内容物を噴射可能な噴射口4と、噴射口4およびバルブステムを連通する流路と、噴射口4の周縁部から噴射方向に延びるように設けられ、噴射口4から噴射される内容物を横方向に拡散させる上下一対の突出片5とを備える。両突出片4は、垂直方向の縦断面視で、両突出片5の間に形成された水平方向に延びる間隙50の噴射口4の中心Oを通る水平面G2より上方領域の面積S1が前記水平面G2より下方領域の面積S2よりも大きくなるように、形状が決められている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤などの噴射を行なうエアゾール容器のためのエアゾールボタン、エアゾールキャップおよびエアゾールボタンの噴射用ノズルチップに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤などの内容物が充填された一般的なエアゾール容器は、上面にバルブステムが設けられ、このバルブステムを押圧することで、内容物が噴射される構造となっている。このバルブステムの押圧を容易にするため、通常、バルブステムにはエアゾールボタンが取り付けられている。エアゾールボタンは、噴射口と、噴射口およびバルブステムを連通する流路とを有しており、エアゾールボタンを押すと、バルブステムが押圧されて、内容物が流路を通って噴射口から噴射される。
【0003】
汎用されているエアゾール容器には、バルブステムに取り付けられたエアゾールボタンをキャップで脱着自在にカバーし、使用時にエアゾール容器からキャップを取り外して、エアゾールボタンを押すタイプ(脱着式)のものと、エアゾールボタンが一体に設けられたキャップ(以下、「エアゾールキャップ」という。)をエアゾール容器に装着し、エアゾールキャップをエアゾール容器に装着したままで、エアゾールボタンを押すタイプ(ワンタッチ式)のものとが用いられている。これらの内、ワンタッチ式のものは、使用の都度、キャップを取り外す必要がないので噴射操作が簡便であり、また、キャップの紛失のおそれもないため、近年広く用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
図17および図18は、特許文献1に記載されたワンタッチ式のエアゾールボタンを示している。このエアゾールボタン100は、合成樹脂製のエアゾールキャップ101のキャップ本体102に一体に設けられている。キャップ本体102は、エアゾール容器に装着される装着部103と、装着部103の両側部から起立する左右一対の側壁部104とを備えている。エアゾールボタン100は、両側壁部104の間に位置し、エアゾールボタン100の下部前方に位置する装着部103の上壁部103Aにヒンジ片105を介して上下方向に回動可能に支持されている。エアゾールボタン100は、噴射口106と、噴射口106およびバルブステムを連通する流路107と、噴射口106側の端面から噴射方向に延びる上下一対の突出片108とを備え、流路107は、バルブステムに連通する第1流路107Aと、第1流路107Aと直交して噴射口106まで延びる第2流路107Bとを有している。噴射口106の中心Oは、両突出片108の間の間隙の垂直方向における中央を通る水平面G上に位置している。バルブステムから流路107を介して噴射口106から噴射された内容物は、両突出片108の間の間隙109を通過することにより、縦方向への拡散が制限されたうえで横方向への拡散が許容されて、水平方向に広角に噴射される。
【0005】
この特許文献1に記載のエアゾールボタン100では、噴射口106がキャップ本体102の略中央部(バルブステムの近傍)に位置しており、その分、第2流路107Bは、噴射口106がキャップ本体102の周縁部付近に位置する場合と比べて、その長さが短くなっている。ここで、エアゾールキャップ101を樹脂成形する場合、第1流路107Aに沿って型抜きされる第1流路成形用の第1金型と、第1流路107Aから遠ざかる方向へ第2流路107Bに沿って型抜きされる第2流路成形用の第2金型とが使用される。第2金型は、噴射口106および第2流路107Bを成形するための細い針状部分を備えた形状のものであるが、噴射口106をキャップ本体102の略中央部に位置させることにより、第2金型の針状部分の寸法を短くすることができる。これにより、特許文献1に記載のエアゾールボタン100では、エアゾールキャップ101の樹脂成形時において、第2金型の針状部分が曲がったり折れたりするなどの破損を防止することができ、安全確実な成形が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4680321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した特許文献1に記載のエアゾールボタン100において、噴射口106から内容物が勢いよく噴射されると、一般に、噴射口106付近では、噴射口106からの噴射流により圧力低下が発生し、この圧力低下により、噴射口106の周囲から噴射口106付近へと向かう空気の流れが生じる結果、噴射口106付近に生ずる圧力低下状態が緩和される。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のエアゾールボタン100では、噴射口106がエアゾールキャップ101の略中央部に位置しており、噴射口106の上方は開放されている一方で、噴射口106の下方には、エアゾール容器上面の一部を覆う装着部103の上壁部103Aが設けられている。そのため、噴射口106からの内容物の噴射時において、噴射口106の上方では、周囲から噴射口106付近に向かう下向きの空気の流れがスムーズに発生するのに対して、噴射口106の下方では、装着部103の上壁部103Aの存在により、周囲から噴射口106付近に向かう上向きの空気の流れが阻害される。その結果、噴射口106付近に向かう下向きの空気の流れのほうが、噴射口106付近に向かう上向きの空気の流れよりも強くなることにより、噴射口106の上方と下方とで、上記した空気の流れにより噴射流に作用する力に差が生じる。そのため、噴射口106から噴射される噴射流は、上記した下向きの空気の流れの影響を受けて、水平方向よりも下方に向かって流れ、これにより、内容物が、噴射口106の下部前方の上壁部103Aに付着して液ダレが発生するおそれがあるという課題があった。
【0009】
本発明は、上記した課題に着目してなされたもので、噴射口がバルブステムの近傍位置に設けられるとともに、内容物を広角に噴射させるために、噴射口に噴射方向に延びる一対の突出片が設けられたエアゾールボタン、エアゾールキャップおよびエアゾールボタンの噴射用ノズルチップにおいて、噴射口から噴射される内容物が、噴射口の下部前方に付着することを効果的に防止できるエアゾールボタン、エアゾールキャップおよびエアゾールボタンの噴射用ノズルチップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、エアゾール容器のバルブステムに接続可能なエアゾールボタンにおいて、エアゾール容器の内容物を噴射可能な噴射口と、前記噴射口およびバルブステムを連通する流路と、前記噴射口の周縁部から噴射方向に延びるように設けられ、前記噴射口から噴射される内容物を横方向に拡散させる上下一対の突出片とを備え、前記両突出片は、垂直方向の縦断面視で、前記両突出片の間に形成された水平方向に延びる間隙の前記噴射口の中心を通る水平面より上方領域の面積が前記水平面より下方領域の面積よりも大きくなるように、形状が決められていることを特徴とするエアゾールボタンにより達成される。
【0011】
上記構成のエアゾールボタンによれば、両突出片の間隙の噴射口の中心を通る水平面より上方領域の面積が前記水平面より下方領域の面積よりも大きいので、噴射口から噴射される内容物は、間隙を通過する際に、下方向への拡散が制限されるのに対して、その分、上方向への拡散が許容される。これにより、両突出片の間隙からの噴射は水平方向よりも上方に向かって流れるので、噴射された内容物が噴射口の下部前方のエアゾール容器のマウンテンキャップまたはエアゾールキャップ本体の上壁部に付着するのが防止される。
【0012】
本発明に係るエアゾールボタンの好ましい実施態様においては、前記両突出片は、垂直方向の縦断面視における外形が上下対称形状であり、前記両突出片の間の間隙の垂直方向における中央を通る水平面が、前記噴射口の中心を通る水平面よりも上方に位置するように、前記噴射口に対して位置決めされていることを特徴としている。
【0013】
上記構成のエアゾールボタンによれば、従来品の製造用金型において、両突出部の位置を噴射口に対して上にずらすだけで、上記構成のエアゾールボタンの製造用金型を容易に製造することができる。
【0014】
本発明に係るエアゾールボタンのさらに好ましい実施態様においては、前記流路は、エアゾール容器のバルブステムと連通する第1流路と、一端が前記第1導入路と連通し他端に前記噴射口を有する第2流路とを備え、前記第2流路は、前記噴射口が前記第1流路の近傍に位置するように形成されていることを特徴としている。
【0015】
上記構成のエアゾールボタンによれば、噴射口が前記第1流路の近傍に位置するように形成されているので、エアゾールキャップの樹脂成形時において、噴射口を成形するための金型の針状部分が曲がったり折れたりするなどの破損を防止することができ、安全確実な成形が可能となる。
【0016】
一般に、噴射口を前記第1流路の近傍に位置するように形成した場合、前記噴射口からエアゾール容器の外周縁部(巻締め部)までの距離が長くなり、噴射口の下部前方への内容物の付着のリスクが大きくなる。しかしながら、上記構成のエアゾールボタンによれば、両突出片の間隙からの噴射は水平方向よりも上方に向かって流れ、噴射口の下部前方に内容物が付着するのが防止されているので、金型の破損を防止することができ、かつ、噴射口の下部前方への内容物の付着が防止されたエアゾールボタンを提供することができる。
【0017】
本発明の上記目的は、上記構成のエアゾールボタンと、キャップ本体とが一体に設けられていることを特徴とするエアゾールキャップによっても達成される。
【0018】
また、本発明の上記目的は、エアゾールボタンの噴射口に挿入される噴射用ノズルチップにおいて、エアゾールボタンの噴射口に挿入される挿入部と、前記挿入部と一体に設けられたチップ本体とからなり、前記チップ本体は、前記噴射口と連通する噴出口と、前記噴出口の周縁部から噴射方向に延びるように設けられ、前記噴出口から噴射される内容物を横方向に拡散させる上下一対の突出片とを備え、前記両突出片は、垂直方向の縦断面視で、前記両突出片の間に形成された水平方向に延びる間隙の前記噴出口の中心を通る水平面より上方領域の面積が前記水平面より下方領域の面積よりも大きくなるように、形状が決められていることを特徴とするエアゾールボタンの噴射用ノズルチップによっても達成される。
【0019】
上記構成の噴射用ノズルチップによれば、これをエアゾールボタンの噴射口に装着するだけで、両突出片の間隙からの噴射は水平方向よりも上方に向かって流れるので、噴射された内容物が噴射口の下部前方のエアゾール容器のマウンテンキャップまたはエアゾールキャップ本体の上壁部に付着するのが防止される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るエアゾールボタン、エアゾールキャップ、および、エアゾールボタンの噴射用ノズルチップによると、噴射口から噴射される内容物が、噴射口の下部前方に付着することを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るエアゾールキャップをエアゾール容器に装着した状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すエアゾールキャップを斜め上前方から見た斜視図である。
【図3】図1に示すエアゾールキャップを斜め上後方から見た斜視図である。
【図4】図1に示すエアゾールキャップを斜め下前方から見た斜視図である。
【図5】図1に示すエアゾールキャップの側面図である。
【図6】図1に示すエアゾールキャップの底面図である。
【図7】図1に示すエアゾールキャップのエアゾールボタンを拡大して示す斜視図である。
【図8】図7に示すエアゾールボタンの中心面に沿う断面とともに示す斜視図である。
【図9】図7に示すエアゾールボタンの縦断面図である。
【図10】突出片の構成を示す縦断面図である。
【図11】本実施形態のエアゾールキャップを用いたエアゾール容器の内容物の噴射状態を示す写真である。
【図12】従来技術のエアゾールキャップを用いたエアゾール容器の内容物の噴射状態を示す写真である。
【図13】他の実施形態の突出片の構成を示す縦断面図である。
【図14】他の実施形態の突出片の構成を示す縦断面図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る噴射用ノズルの外観を示す斜視図である。
【図16】図15に示す噴射用ノズルをエアゾールボタンに装着した状態の縦断面図である。
【図17】従来技術のエアゾールキャップをエアゾール容器に装着した状態を示す斜視図である。
【図18】図17に示すエアゾールボタンの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。図面中の同一または同種の部分については、同じ番号を付して説明を一部省略する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るエアゾールボタンを備えたエアゾールキャップをエアゾール容器に装着した状態の外観構成を示している。また、図2〜図6は、図1のエアゾールキャップの外観構成および内部構成を示している。なお、以下では、エアゾールボタンにおける内容物の噴射方向側を前側、噴射方向と反対側を後側として説明する。
【0024】
エアゾール容器10は、有底円筒状の缶体11の上部をマウティングカップ12で閉じ、その中央にバルブステム13を設けた一般的な形態のものである。缶体11の上部の外周縁部は、缶体11とマウティングカップ12との巻締め部14となっており、この巻締め部14にエアゾールキャップ1が装着される。エアゾールキャップ1は、通常、エアゾール容器10に装着した状態で使用される。
【0025】
エアゾールキャップ1は、合成樹脂からなり、エアゾール容器10に装着可能な装着部20および装着部20から上方へ延びる左右一対の側壁部21,21を有するキャップ本体2と、キャップ本体2に一体に設けられ、エアゾール容器10のバルブステム13に接続されるエアゾールボタン3とを備えている。エアゾールボタン3は、エアゾール容器の内容物を噴射可能な円状の噴射口4を有しており、エアゾールボタン3の押し下げにより、バルブステム13を押圧して、内容物を噴射口4から噴射させる。本実施形態では、噴射口4は、エアゾールキャップ1の略中央位置でバルブステム13の近傍位置に設けられている。
【0026】
キャップ本体2の装着部20は、円筒状をなし、下端部を弾性変形させることにより、エアゾール容器10の巻締め部14に脱着可能である。キャップ本体2の両側壁部21は、外壁21Aと、外壁21Aの上端部から径方向内方へ延びる天壁21Bと、天壁21Bから下方へ延びる内壁21Cと、前端壁21Dとを備えている。各前端壁21Dは、エアゾール容器10上面の一部を覆う装着部20の上壁部20Aと接続されている。各側壁部21は、噴射方向側(前側)の端部および噴射方向と反対側(後側)の端部が相互に離間し、端部間にそれぞれ間隙22A,22Bを有している。後側の間隙22Bは、使用に際して使用者がエアゾールボタン3を押し操作するときに、エアゾールボタン3上に使用者の指を到達させるためのものであり、指を挿入可能な大きさに形成されている。前側の間隙22Aには、エアゾールボタン3の噴射口4が設けられている。各側壁部21の前端壁21Dは、内壁21Cから外壁21Aに向かうに従って相互に離間しており、噴射口4を中心に放射状に延びている。これにより、噴射口4から噴射される内容物が、後述するように、両突出片5を介して横方向に広角な扇状に噴射されたとしても、内容物が前端壁21Dに接触して付着するのが防止されている。
【0027】
各前端壁21Dの相互に離反している外端部間の距離L(図2に示す)は、20mm以上とするのが好ましく、より好ましくは43mm以上である。距離Lが20mmより小さいと、噴射口4から噴射される内容物の前端壁21Dへの接触防止効果が十分に得られない。一方、距離Lが43mm以上であれば、噴射口4から噴射される内容物の横方向の噴射角を特に大きくした場合であっても、内容物の前端壁21Dへの接触防止効果を十分に得ることができる。
【0028】
両側壁部21には、庇部23が一体に設けられている。庇部23は、両側壁部21の前側の間隙22A上を円弧状に延びており、両端が各側壁部21の上端部に接続されている。この庇部23により、両側壁部21の前端壁21Dが、噴射口4から噴射される内容物との接触防止のために相互に離間していても、使用者が誤って噴射方向側から指をエアゾールボタン3上に到達させることを規制している。なお、庇部23とエアゾールボタン3との間には、噴射方向と反対側から使用者が正規に指をエアゾールボタン3上に到達させる際に、庇部23が邪魔とならないように、間隙24が設けられている。
【0029】
庇部23の下面には、補強リブ25が一体に設けられている。補強リブ25は、庇部23に沿って円弧状に延びており、両端部が各側壁部21と接続されている。この補強リブ25は、庇部23に作用する外力への対抗力を強めている。特に、庇部23は、側壁部21間の延在方向に長く延びるので、この方向に延びる補強リブ25は、外力に対する対抗力を効率的に付与する。また、補強リブ25の両端部が側壁部21に接続されていることにより、補強リブ25に作用する外力は側壁部21によっても支持され、補強効果がより高くなる。さらに、エアゾール容器をシュリンクフィルムで包装する場合に、シュリンクフィルムは側壁部21間において庇部23によって支持されるので、皺や破損などの発生が防止される。
【0030】
また、庇部23の裏面の長さ方向の中央部には、隆起部26が一体に設けられている。この庇部23の中央部は、樹脂成形の際に金型に流入する樹脂が両側壁部21側から出会う箇所であるため、ウェルドラインを発生し易く、ウェルドラインが発生しなくても局部的な強度低下を招くことがある。この隆起部26は、ここに樹脂を集中することにより、強度を確保する作用をなしている。
【0031】
エアゾールボタン3は、キャップ本体20の両側壁部21の間に設けられており、装着部20の上壁部20Aから延びるヒンジ片27にエアゾールボタン3の前端下部が連結されている。これにより、エアゾールボタン3は、ヒンジ片27を中心に上下方向に回動可能になっており、指で押し下げることにより下方へ回動してバルブステム13を押圧する。一方、指によるエアゾールボタン3の押し下げを解除することにより、エアゾールボタン3は、上方へ回動して元の位置へ復帰し、バルブステム13の押圧を解除する。
【0032】
エアゾールボタン3は、図7〜図9に示すように、上壁30、前壁31、後壁32、および左右一対の側壁33を備え、下面は開放されている。エアゾールボタン3の後壁32には、凹部38(図3に示す)が形成されている。これに対応して、キャップ本体2の装着部20の後側には、凹部38に嵌合可能な凸部28が一体に設けられている。エアゾールボタン3を押し下げたとき、凸部28が凹部38に嵌合することにより、エアゾールボタン3はガイドされて下方に回動するようになっている。
【0033】
エアゾールボタン3の前壁31は厚肉とされ、厚肉部にバルブステム挿入孔34が形成されている。バルブステム挿入孔34の下端部は、下方へ広がるテーパ状に形成されており、バルブステム13の挿入が容易となっている。バルブステム挿入孔34の上端は、バルブステム13から噴出される内容物を通過させる第1流路35の下端と連続している。第1流路35は、垂直方向に延び、上端は閉塞した閉塞部39となっている。第1流路35は、先細り状に形成されており、これにより、バルブステム13から噴出される内容物を効率良く噴射口4へと導くことが可能になっている。
【0034】
バルブステム挿入孔34と第1流路35との間には、段部36が設けられている。この段部36は、挿入されるバルブステム13のストッパとして機能する。バルブステム挿入孔34および第1流路35は、途中に拡径部が存在しないことで、第1流路形成用の第1金型(図示せず)の下方向(図8に示す矢印Jの方向)への離型が可能となっている。
【0035】
また、エアゾールボタン3には、第1流路35と直交するように第2流路37が形成されている。第2流路37は、一端が第1流路35と連通しているとともに、他端は水平に延びて前壁31を貫通している。本実施形態では、前壁31には、柱体40が一体に突設されており、第2流路37の他端が柱体40を貫通して開口することで、内容物の噴射口4を構成している。この柱体40は、第2流路37の長さを確保して噴射口4からの内容物の噴射を安定させている。本実施形態では、柱体40を円柱状としているが、その他、楕円柱、長円柱、角柱、六角柱、八角柱などの各種の柱状とすることもできる。なお、この柱体40は省略することが可能であり、その場合には、前壁31の端面に内容物の噴射口4が形成される。
【0036】
第2流路37は、噴射口4がキャップ本体2の中央部、つまりは、第1流路35(バルブステム13)の近傍に位置するようにその長さが設定されている。エアゾールキャップ1を樹脂成形する場合、第1流路35に沿って型抜きされる第1流路成形用の第1金型(図示せず)と、第1流路35から遠ざかる方向へ第2流路37に沿って型抜きされる第2流成形用の第2金型(図示せず)とが使用される。前記第2金型は、噴射口4および第2流路37を成形するための細い針状部分を備えた形状のものであるが、噴射口4を第1流路35の近傍に位置させることにより、前記第2金型の針状部分の寸法を短くすることができる。これにより、前記第2金型の針状部分が曲がったり折れたりするなどの破損を防止することができ、安全確実な成形が可能となっている。
【0037】
前壁31の端面には、噴射口4の周縁部に、噴射方向に延びる上下一対の突出片5,5が一体に設けられている。両突出片5は、所定の間隔をあけて対向配備されており、両突出片5の間には、水平方向に延びる間隙50が形成されている。両突出片5は、噴射口4から噴射される内容物が両突出片5の間の間隙50を通過するに際して、縦方向への拡散を制限しかつ横方向への拡散を許容する。これにより、噴射口4から噴射される内容物は、横方向に広角な扇状の噴射流F(図2に示す)として両突出片5から噴射される。両突出片5は、噴射方向の突出長さ、または、垂直方向の対向間隔を適宜設定することにより、噴射流Fの横方向の広がりを調整することができる。
【0038】
本実施形態では、両突出片5は、図10に示すように、噴射方向と直交する垂直方向の縦断面視における外形が上下で対称形状であり、各突出片5の対向縁部51間に間隙50が形成されている。各突出片5の対向縁部51の中央部分は、相対する円状の噴射口4の外形に沿うように円弧状に切り欠かれている。両突出片5は、両突出片5間の間隙50の垂直方向における中央を通る水平面G1が、噴射口4の中心Oを通る水平面G2よりも上方に位置するように、噴射口4に対して位置決めされている。これにより、垂直方向の縦断面視において、両突出片5間に形成された間隙50の噴射口4の中心を通る水平面G2より上方領域の面積S1が前記水平面G2より下方領域の面積S2よりも大きくなっている。
【0039】
従来技術では、両突出片5間の間隙50の垂直方向における中央を通る水平面G1と、噴射口4の中心Oを通る水平面G2とが一致している、つまり、間隙50の噴射口4の中心を通る水平面G2より上方領域の面積S1が前記水平面G2より下方領域の面積S2と同じであり、噴射口4から噴射されるエアゾール容器の内容物は、間隙50を通過する際に、上下方向への拡散が均等に制限されるため、両突出片5から噴射される噴射流Fは主に水平方向に向かって流れる。そのため、噴射流Fがキャップ本体2の上壁部20A上を通過する際に、空気の流れ(気流)の影響を受けることで、水平方向よりも下方に向かって流れ、その結果、噴射された内容物がキャップ本体2の上壁部20Aに付着することがあった。
【0040】
一方、本実施形態のように、両突出片5間の間隙50の噴射口4の中心を通る水平面G2より上方領域の面積S1が前記水平面G2より下方領域の面積S2よりも大きいと、噴射口4から噴射されるエアゾール容器の内容物は、間隙50を通過する際に、下方向への拡散が制限されるのに対して、その分、上方向への拡散が許容されるため、両突出片5から噴射される噴射流Fは水平方向よりも上方に向かって流れる。そのため、噴射流Fがキャップ本体2の上壁部20A上を通過する際に、空気の流れ(気流)の影響を受けたとしても、噴射流Fは水平方向、あるいは、水平方向よりも上方に向かって流れるので、噴射された内容物がキャップ本体2の上壁部20Aに付着するのが防止される。
【0041】
なお、上記した構成のエアゾールキャップ1において、キャップ本体2が仮に上壁部20Aを備えていない場合には、エアゾール容器10のマウンテンカップ12が上壁部20Aと同様に、噴射口4からの内容物の噴射時に、噴射口4の周囲から噴射口4付近に向かう空気の流れを阻害する。従って、本発明のエアゾールボタン3を使用すれば、キャップ本体2が上壁部20Aを備えていない場合においても、内容物が噴射口4の下部前方に位置するマウンテンカップ12に付着して液だれが発生するのを防止できる。
【0042】
上記した構成のエアゾールキャップ1を用いるには、装着部20をエアゾール容器10の缶体11上部の巻締め部14に装着する。これにより、バルブステム挿入孔34にエアゾール容器10のバルブステム13が挿入される。そして、両側壁部21間の後側の間隙22Bからエアゾールボタン3上に指を載置してエアゾールボタン3を押すことにより、バルブステム13が押圧される。これにより、エアゾール容器10の内容物が、第1流路35から第2流路37を経て噴射口4から水平方向に噴射され、両突出片5間の間隙50を通過することによって、横方向に広角に拡散した噴射流Fとして噴射される。その後、エアゾールボタン3の押し下げを解除すれば、エアゾールボタン3は弾性的に元の位置に復帰し、バルブステム13に対する押圧が解除されて内容物の噴射が停止する。
【0043】
図11は、上記した構成のエアゾールキャップ1を備えたエアゾール容器の実施例を示す。図示例のエアゾールキャップ1では、キャップ本体2は外径が60mm、高さが50mmであり、エアゾールボタン3は前後の長さが30mm、左右の幅が22mm、高さが12mmである。柱体40は直径が1.5mm、噴射方向の突出長さが0.5mmであり、噴射口4および第2流路37は直径が0.75mmであり、突出片5は幅が1.2mm、噴射方向の突出長さが2.5mm、対向縁部51間の最大距離l(図10を参照)が1.4mmとなっている。また、図10のエアゾールキャップ1では、両突出片5間の間隙50の垂直方向の中央を通る水平面G1が、噴射口4の中心Oを通る水平面G2よりも0.05mm上方に位置している(図10を参照)。図12は、比較例として、従来技術のエアゾールキャップ101を備えたエアゾール容器を示している。図12のエアゾールキャップ101では、両突出片間の間隙の垂直方向の中央を通る水平面G1と、噴射口の中心Oを通る水平面G2とが同じ高さに位置している。
【0044】
図11から分かるように、本実施形態のエアゾールキャップ1をエアゾール容器10に装着すると、図12に示す従来技術のエアゾールキャップ101をエアゾール容器に装着した場合と比較して、噴射される内容物の噴射流Fは、水平方向よりも下方に向かってはほとんど流れておらず、水平方向、あるいは、水平方向よりも上方に向かって流れているために、キャップ本体2の上壁部21Aには内容物がほとんど付着していないことが確認された。なお、上記したエアゾールキャップ1およびエアゾールボタン3の寸法値は、エアゾール容器10またはエアゾールキャップ1の機能や用途に応じて適宜変更可能である。
【0045】
以上のように、本実施形態のエアゾールキャップ1およびエアゾールボタン3によれば、 内容物の横方向への広角な噴射を可能にしながら、内容物を水平方向よりも上方に向けて噴射させることができるので、多量の内容物を遠くまで噴射させることができ、また、内容物が噴射口4の下部前方に付着することによる液だれを効果的に防止することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、従来技術のエアゾールキャップ(エアゾールボタン)の成形用金型において、両突出部5の位置を噴射口4に対して上にずらすだけで、上記構成のエアゾールキャップ1(エアゾールボタン3)の成形用金型を容易に製造することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、噴射口4が第1流路35の近傍に位置するように形成されているので、エアゾールキャップ1の樹脂成形時において、噴射口4を成形する前記第2金型の針状部分が曲がったり折れたりするなどの破損を防止することができ、安全確実な成形が可能となる。一般に、噴射口4を第1流路35の近傍に位置するように形成した場合、噴射口4からエアゾール容器10の巻締め部14までの距離が長くなり、噴射口4の下部前方への内容物の付着のリスクが大きくなる。しかしながら、本実施形態のエアゾールキャップ1およびエアゾールボタン3によれば、両突出片5の間隙50からの噴射は水平方向よりも上方に向かって流れ、噴射口4の下部前方に内容物が付着するのが防止されているので、金型の破損を防止することが可能であり、しかも、噴射口4の下部前方への内容物の付着を防止することが可能なエアゾールキャップ1およびエアゾールボタン3を提供することができる。
【0048】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明に係るエアゾールボタンおよびエアゾールキャップの具体的な態様は上記した実施形態に限定されない。例えば、上記した実施形態においては、両突出片5の外形を上下で対称形状としているが、両突出片5の外形を上下で異なる形状としてもよい。図13は両突出片5の他の実施形態を示している。この実施形態の突出片5は、下方の突出片5の対向縁部51Aが水平状に形成されているのに対して、上方の突出片5の対向縁部51Bが下方に向けて突き出た凸状に形成されている。なお、図示例では、凸状に湾曲しているが必ずしもこれに限られるものではない。各突出片5の対向縁部51A,51Bの中央部分は、相対する円状の噴射口4の外形に沿うように円弧状に切り欠かれている。
【0049】
この実施形態においては、上方の突出片5の対向縁部51Bが下方に向けて突き出ている分、少なくとも、噴射口4の外形を描く仮想線Pおよび上方の突出片5の対向縁部51Bの交点Xと、噴射口4の仮想線Pおよび下方の突出片5の対向縁部51Aの交点Yとの中心Zが、噴射口4の中心Oを通る水平面G2よりも上方に位置していれば、垂直方向の縦断面視において、両突出片5間に形成された間隙50の噴射口4の中心を通る水平面G2より上方領域の面積S1が前記水平面G2より下方領域の面積S2よりも大きくなる。そのため、この実施形態においても、噴射口4から噴射されるエアゾール容器の内容物は、間隙50を通過する際に、下方向への拡散が制限されるのに対して、その分、上方向への拡散が許容されるため、両突出片5から噴射される噴射流Fは水平方向に対して上方に向かって流れる。その結果、噴射流Fがキャップ本体2の上壁部20A上を通過する際に、空気の流れ(気流)の影響を受けたとしても、噴射流Fは水平方向、あるいは、水平方向よりも上方に向かって流れる。よって、内容物の横方向への広角な噴射を可能にしながら、内容物を水平方向あるいは水平方向よりも上方に向けて噴射させることができるので、多量の内容物を遠くまで噴射させることができ、また、内容物がエアゾールキャップ1の噴射口4の下部前方に付着することによる液だれを効果的に防止することができる。
【0050】
図14は両突出片5のさらに他の実施形態を示している。この実施形態の突出片5は、上側の突出片5の対向縁部51Cが下方に突き出た形状を有しており、下側の突出片5の対向縁部51Dが下方に凹んだ形状を有している。なお、図示例では、各対向縁部51C,51Dにより形成された間隙50は略V字状となっているが、略U字状に湾曲していてもよい。各突出片5の対向縁部51C,51Dの中央部分は、相対する円状の噴射口4の外形に沿うように円弧状に切り欠かれている。
【0051】
この実施形態においては、上側の突出片5の対向縁部51Cは下方に突き出ており、下側の突出片5の対向縁部51Dは下方に凹んでいるので、垂直方向の縦断面視において、両突出片5間に形成された間隙50の噴射口4の中心を通る水平面G2より上方領域の面積S1が前記水平面G2より下方領域の面積S2よりも大きくなる。そのため、この実施形態においても、噴射口4から噴射されるエアゾール容器の内容物は、間隙50を通過する際に、下方向への拡散が制限されるのに対して、その分、上方向への拡散が許容されるため、両突出片5から噴射される噴射流Fは水平方向に対して上方に向かって流れる。その結果、噴射流Fがキャップ本体2の上壁部20A上を通過する際に、空気の流れ(気流)の影響を受けたとしても、噴射流Fは水平方向、あるいは、水平方向よりも上方に向かって流れる。よって、内容物の横方向への広角な噴射を可能にしながら、内容物を水平方向あるいは水平方向よりも上方に向けて噴射させることができるので、多量の内容物を遠くまで噴射させることができ、また、内容物がエアゾールキャップ1の噴射口4の下部前方に付着することによる液だれを効果的に防止することができる。
【0052】
なお、両突出片5の外形は、上記した実施形態に限られるものではなく、垂直方向の縦断面視において、両突出片5間に形成された間隙50の噴射口4の中心を通る水平面G2より上方領域の面積S1が前記水平面G2より下方領域の面積S2よりも大きくなるように、その形状が決められていれば、種々の形状に形成することができる。
【0053】
また、上記した実施形態においては、エアゾール容器10のバルブステム13を押し下げるために、バルブステム13に取り付けられるエアゾールボタン3は、エアゾール容器10に装着されるキャップ本体2に一体設けられてエアゾールキャップ1を構成しているが、エアゾールボタン3だけを単独に設けてエアゾール容器10のバルブステム13に取り付けるようにしてもよい。この場合、バルブステム13に取り付けられたエアゾールボタン3をカバーするキャップを、エアゾール容器10に脱着自在に装着するのが望ましい。この実施形態においても、両突出片5から噴射される内容物の噴射流Fは、水平方向、あるいは、水平方向よりも上方に向かって流れるために、エアゾール容器10上部のマウティングカップ12に内容物が付着するのを効果的に防止することができる。
【0054】
また、図15および図16は、本発明の一実施形態に係るエアゾールボタンの噴射用ノズルチップ(以下、単に「ノズルチップ」という。)を示している。このノズルチップ6は、エアゾールボタン3の噴射口4に装着することにより、噴射口4から噴射された内容物を横方向へ広角に拡散させることが可能なものであり、この実施形態においては、エアゾールボタン3の噴射口4の周縁部には突出片が設けられていない。
【0055】
ノズルチップ6は、エアゾールボタン3の噴射口4に挿入される筒状の挿入部60と、挿入部60と一体に設けられる板状のチップ本体61とを備えている。チップ本体61には、挿入部60の内部空間を介して、エアゾールボタン3の噴射口4と連通する噴出口62が形成されている。チップ本体61の挿入部60が設けられている板面と反対側の板面には、噴射方向に延びる上下一対の突出片5,5が一体に設けられている。両突出片5は、所定の間隔をあけて対向配備されており、両突出片5の間には、水平方向に延びる間隙50が形成されている。図示例では、両突出片5は、噴射方向と直交する垂直方向の縦断面視における外形が上下で対称形状であり、各突出片5の対向縁部51間に間隙50が形成されている。各突出片5の対向縁部51の中央部分は、相対する円状の噴出口62の外形に沿うように円弧状に切り欠かれている。
【0056】
このノズルチップ6においても、両突出片5は、両突出片5間の間隙50の垂直方向における中央を通る水平面G1が、噴出口62の中心Oを通る水平面G2よりも上方に位置するように、噴出口62に対して位置決めされている(図10参照)。これにより、垂直方向の縦断面視において、両突出片5間に形成された間隙50の噴出口62の中心を通る水平面G2より上方領域の面積S1が前記水平面G2より下方領域の面積S2よりも大きくなっている。
【0057】
上記構成のノズルチップ6をエアゾールボタン3の噴射口4に装着することで、噴射口4から噴射される内容物は、間隙50を通過する際に、下方向への拡散が制限される一方で、その分、上方向への拡散が許容されるため、両突出片5の間隙30からの噴射は水平方向よりも上方に向かって流れる。よって、噴射された内容物がエアゾールボタン3のキャップ本体2の上壁部20Aなどに付着するのを効果的に防止することができる。
【0058】
なお、ノズルチップ6に設けられた両突出片5の外形は、図示例に限られるものではなく、上記したエアゾールボタン3に設けられた両突出片5と同様に、垂直方向の縦断面視において、両突出片5間に形成された間隙50の噴射口4の中心を通る水平面G2より上方領域の面積S1が前記水平面G2より下方領域の面積S2よりも大きくなるように、その形状が決められていれば、図11および図12に示す形状の他、種々の形状に形成することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 エアゾールキャップ
2 キャップ本体
3 エアゾールボタン
4 噴射口
5 突出片
6 噴射用ノズルチップ
10 エアゾール容器
13 バルブステム
35 第1流路
37 第2流路
50 間隙
60 挿入部
61 チップ本体
62 噴出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器のバルブステムに接続可能なエアゾールボタンにおいて、
エアゾール容器の内容物を噴射可能な噴射口と、前記噴射口およびバルブステムを連通する流路と、前記噴射口の周縁部から噴射方向に延びるように設けられ、前記噴射口から噴射される内容物を横方向に拡散させる上下一対の突出片とを備え、
前記両突出片は、垂直方向の縦断面視で、前記両突出片の間に形成された水平方向に延びる間隙の前記噴射口の中心を通る水平面より上方領域の面積が前記水平面より下方領域の面積よりも大きくなるように、形状が決められていることを特徴とするエアゾールボタン。
【請求項2】
前記両突出片は、垂直方向の縦断面視における外形が上下対称形状であり、前記両突出片の間の間隙の垂直方向における中央を通る水平面が、前記噴射口の中心を通る水平面よりも上方に位置するように、前記噴射口に対して位置決めされていることを特徴とする請求項1に記載のエアゾールボタン。
【請求項3】
前記流路は、エアゾール容器のバルブステムと連通する第1流路と、一端が前記第1導入路と連通し他端に前記噴射口を有する第2流路とを備え、前記第2流路は、前記噴射口が前記第1流路の近傍に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエアゾールボタン。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のエアゾールボタンと、キャップ本体とが一体に設けられていることを特徴とするエアゾールキャップ。
【請求項5】
エアゾールボタンの噴射口に挿入される噴射用ノズルチップにおいて、
エアゾールボタンの噴射口に挿入される挿入部と、前記挿入部と一体に設けられたチップ本体とからなり、
前記チップ本体は、前記噴射口と連通する噴出口と、前記噴出口の周縁部から噴射方向に延びるように設けられ、前記噴出口から噴射される内容物を横方向に拡散させる上下一対の突出片とを備え、
前記両突出片は、垂直方向の縦断面視で、前記両突出片の間に形成された水平方向に延びる間隙の前記噴出口の中心を通る水平面より上方領域の面積が前記水平面より下方領域の面積よりも大きくなるように、形状が決められていることを特徴とするエアゾールボタンの噴射用ノズルチップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−18540(P2013−18540A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155693(P2011−155693)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】