説明

エアゾールボタンおよびエアゾールキャップ

【課題】部品点数、組立工数を削減できるとともに、消臭に好適な下側噴射角度の小さい長方形状の噴霧パターンが得られるエアゾールボタンを提供する。
【解決手段】一端がステム挿入孔として開口する第1流出路の形成されたボタン本体5と、ボタン本体5の側面に突設され第1流出路の中心軸に交差する軸線で穿設された第2流出路を先端面で開口させて噴口3とする柱体とを具備し、柱体下部の先端面を、柱体上部の先端面より前方に所定長さだけ突出させた。エアゾールボタン100は、柱体上部と柱体下部の先端面に亘って設けられ先端が柱体下部の先端面より前方に突出するとともに第2流出路にて左右に分断されて対向内面で第2流出路を挟む突出片29を、備えることが好ましい。エアゾールボタン100は、ボタン本体5に突設される一対の補強板33,33に、突出片29の両側部を一体固定することがより好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広角な噴霧パターンを得るエアゾールボタンおよびエアゾールキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
エアゾール用ノズルには、ストレート噴射仕様のものに比べ、広角な噴霧パターンで噴霧するワイド噴射ノズルがある。従来のワイド噴射ノズルは、所謂、渦巻き噴射弁のように内容物の流れに旋回力を与えることによって広角な噴霧パターンを得ようとするものであったが、噴霧パターンが円形となるため、網戸等の角形の塗布部にエアゾール内容物を塗布するには適さなかった。
【0003】
このような不具合を解消するものとして、例えば特許文献1に開示されるエアゾール用ノズル500は、図8に示す押釦501にノズル体503を設け、ステム505の押圧時にエアゾール容器507の内部とノズル体503を連通可能とし、ノズル体503にエアゾール内容物の流出路509を軸方向に形成し、この流出路509の図9に示す流出先端部511を円形に形成する。流出先端部511には、流出路509と直交する拡散割溝513をノズル体503の外面から形成し、拡散割溝513の底部515を流出先端部511に切り込んで形成することで、拡散割溝513と流出路509の流出先端部511を連通し、噴口517を形成する。
【0004】
押釦501を押圧してエアゾール容器507のバルブ機構(図示せず)を開弁すると、エアゾール内容物がノズル体503の流出路509に流入し、流出先端部511に到達すると、円形に形成した流出先端部511の内面で拡散し、流出先端部511から外部に噴出する。その噴出方向は、拡散割溝513によって両側が規制され、上下方向のみに拡散し、左右方向に一定の厚みを有する扇形に噴射される。これにより、長方形状に近似した噴霧パターンを得ることができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−205145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のワイド噴射ノズルであるエアゾール用ノズル500は、流出路509の流出先端部511を円形に絞って形成するため、射出成形の際に金型の中子を流出路509の流出方向で離型することができず、中子離型方向が流出方向と逆方向(図9中、矢印K方向)となった。このため、流出路509と直交するステム挿入孔519の形成される押釦501では中子が離型できないため、押釦501とノズル体503を一体で射出成形することができなかった。したがって、押釦501とノズル体503を別体で成形した後、組み立てなければならず、部品点数、組立工数が増える問題があった。また、従来のエアゾール用ノズル500は、拡散割溝513によって噴出を上下方向に拡散させていたので、消臭に好適な下側噴射角度の小さい長方形状の噴霧パターンを得にくい問題があった。さらに、従来のエアゾール用ノズル500は、拡散割溝513の両端が開放されるため、拡散方向の噴射が規制されず、内部の流出路509の内径まで変えなければ噴射範囲の調整ができない問題があった。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、噴口をボタン本体に一体化でき、部品点数、組立工数を削減できるとともに、消臭に好適な下側噴射角度の小さい長方形状の噴霧パターンが得られ、しかも、容易に噴射範囲を設計調整できるエアゾールボタンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1)一端がステム挿入孔として開口する第1流出路の形成されたボタン本体と、該ボタン本体の側面に突設され前記第1流出路の中心軸に交差する軸線で穿設された第2流出路を先端面で開口させて噴口とする柱体とを具備し、柱体下部の前記先端面が、柱体上部の前記先端面より前方に所定長さだけ突出することを特徴とするエアゾールボタン。
【0009】
このエアゾールボタンによれば、先端突出位置の異なる柱体上部と柱体下部の境に、軸線に沿う同一径の第2流出路が形成され、従来構造のように流出方向に絞られる縮径形状部分がなく、第2流出路に対し流出方向の中子の離型が可能となる。これにより、従来、別部品で設けていたワイド噴口が、ボタン本体に一体成形可能となる。また、噴射した際に、下側への噴射範囲が広がり過ぎないように、所定長さ突出させた柱体下部によって拡散に規制がかけられ、しかも、柱体下部の突出長さを設計調整することによって下側への噴射範囲の変更が容易に可能となる。
【0010】
(2)(1)のエアゾールボタンであって、
前記柱体上部と前記柱体下部の先端面に亘って設けられ先端が前記柱体下部の先端面より前方に突出するとともに前記第2流出路にて左右に分断されて対向内面で該第2流出路を挟む突出片と、を具備したことを特徴とするエアゾールボタン。
【0011】
このエアゾールボタンによれば、第2流出路が左右の対向内面に挟まれ、噴射した際に噴射範囲が左右に広がり過ぎないように規制され、左右一定厚の扇形噴射による長方形状の噴霧パターンが得られる。また、対向内面が、軸線を挟む平行な内壁面からなるので、第2流出路の流出方向への中子の離型も可能となる。
【0012】
(3)(2)のエアゾールボタンであって、
前記ボタン本体に突設され前記突出片の両側部に一体固定される一対の補強板を具備したことを特徴とするエアゾールボタン。
【0013】
このエアゾールボタンによれば、ボタン本体の側面に突設された薄厚の突出片が、同じくボタン本体に突設された補強板にて両側部で支持される。これにより、噴射精度に対し影響の大きい薄厚低強度の小突出片が高強度に固定でき、高精度な噴射が持続する。また、補強板が防護板となり、異物との接触による突出片の破損が防止される。
【0014】
(4)(1)〜(3)の何れかに記載のエアゾールボタンと、キャップ本体とが一体形成されていることを特徴とするエアゾールボタンキャップ。
【0015】
このエアゾールキャップによれば、ノズル体と押釦を一体にしたエアゾールボタンに、さらにキャップ本体が一体形成されることで、従来別部材であったノズル体、押釦及びキャップ本体の三部品が一部品となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るエアゾールボタンによれば、第1流出路を形成したボタン本体の側面に、第1流出路と連通する第2流出路を先端面で開口させて噴口とする柱体を設け、この柱体下部の先端面を、柱体上部の先端面より前方に所定長さだけ突出させたので、第2流出路の流出方向の離型が可能となる。したがって、従来、別部品で設けていたワイド噴口をボタン本体に一体化した一部品として成形できる。また、左右方向に一定の厚みを有する扇形に噴射しながら、柱体下部の突出長さを変えるのみの設計調整により、内部の流出路を変えずに容易に下側の噴射範囲を変更できる。この結果、部品点数、組立工数を削減できるとともに、消臭に好適な下側噴射角度の小さい長方形状の噴霧パターンを得ることができる。
【0017】
本発明に係るエアゾールキャップによれば、エアゾールボタンとキャップ本体を一体に形成したので、従来別体であった三部品を一部品にでき、さらに部品点数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るエアゾールボタンキャップの外観斜視図である。
【図2】図1に示したエアゾールボタンキャップの平面図である。
【図3】図1に示した噴口の拡大図である。
【図4】図3に示した噴口の正面図である。
【図5】図1に示した噴口を縦に切断した拡大斜視図である。
【図6】図5の側面図である。
【図7】縦に切断したエアゾールボタンキャップの斜視図である。
【図8】従来のワイド噴射ノズルを備えたエアゾール容器の要部断面図である。
【図9】図8に示したノズル体の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るエアゾールボタンキャップの外観斜視図、図2は図1に示したエアゾールボタンキャップの平面図である。
本実施の形態によるエアゾールボタン100は、キャップ本体1と一体に形成される。エアゾールボタン100とキャップ本体1は、後述するエアゾールボタンキャップ200を構成する。エアゾールボタン100は、図8に示したエアゾール容器507のステム505に装着して使用される。
【0020】
エアゾール容器507は、原液と噴射剤の混合内容物を収容する。ステム505に装着されたエアゾールボタン100は、図1に示す矢印P方向に押し下げられると、ステム下方のバルブ機構が開弁し、噴射剤の圧力で混合内容物がステム内を押し上げられ、噴口3から噴射される。放出された混合内容物は、減圧による噴射剤の急激な膨張によって細かい霧や泡になる。本実施の形態によるエアゾールボタン100は、このようにして得られる噴霧パターンが、一平面に沿う方向(例えば上下方向)のみに拡散し、左右方向に一定の厚みを有する扇形に噴射される。すなわち、エアゾールボタン100は、長方形状に近似した広角な噴霧パターンを得ることのできるワイド噴射ノズルを構成している。
【0021】
図3は縦に切断したエアゾールボタンキャップの斜視図である。
エアゾールボタン100は、ボタン本体5が、図1,図2に示すように円柱状に形成され、図3に示す軸線方向一端側の下面7に、ステム挿入孔9を開口する。ステム挿入孔9の入り口部は先細りのテーパ11となり、ステム505の挿入を容易とする。ステム挿入孔9の終端(上端)には第1流出路13の基端が接続され、第1流出路13はステム挿入孔9の延長方向に延在し先端が閉塞部15となって閉塞する。
【0022】
本実施の形態において、ステム挿入孔9は、同一内径の直線孔で形成される。第1流出路13は、後部内壁が傾斜した先細孔で形成される。これにより、噴出時の流体の流れを効率良く噴口3へ導けるようになされている。これらステム挿入孔9と第1流出路13は、同一軸で配置されている。ステム挿入孔9と第1流出路13は、途中に拡径部が存在しないことで、金型(図示せず)の下方向J(図3参照)への離型が可能となる。ステム挿入孔9は、第1流出路13より大径で形成されることで、第1流出路13との境に段部17が形成される。この段部17は、挿入されるステム505のストッパとなる。
【0023】
図4は図1に示した噴口を縦に切断した拡大斜視図である。
ボタン本体5には第1流出路13に直交して基端を接続し、先端をボタン本体5の側面19に開口する第2流出路21が形成される。本実施の形態において、この側面19は、後述する柱体23の突出面となる。第2流出路21は、同一内径の直線孔で形成される。図3に示すように、第2流出路21は、閉塞部15よりも下方で第1流出路13に連通する。
【0024】
図5は図1に示した噴口の拡大図、図6は図5に示した噴口の正面図である。
一端がステム挿入孔9として開口する第1流出路13の形成されたボタン本体5には柱体23が突設され、柱体23は第1流出路13の中心軸C(図4参照)に交差(本実施の形態では直交)する軸線G(図5参照)で穿設された第2流出路21を先端面25で開口させて噴口3としている。なお、本実施の形態では、柱体23を図6に示す円柱として例示するが、柱体23は、この他、楕円柱、長円柱、角柱、六角柱、八角柱等であってもよい。
【0025】
本実施の形態において、柱体23は、柱体下部23aの先端面25aが、柱体上部23bの先端面25bより前方に所定長さLだけ突出している。柱体下部23aと柱体上部23bの境界線は、柱体23の直径線と一致する。第2流出路21の軸線Gは、その直径線を通る。つまり、第2流出路21は、柱体下部23aと柱体上部23bの双方に、半円柱形状の孔として形成されている。柱体上部23bの先端面25bよりも前方に突出した柱体下部23aは、仮想の矩形上面27の中央に、第2流出路21が半円柱形状の溝として位置する。なお、本実施の形態では、柱体下部23aと柱体上部23bの境界に後述の突出片29が介在するので、矩形上面27は実際に表出せず、第2流出路21の下側半円内面21aのみが表出する。
【0026】
柱体下部23aと柱体上部23bの境界部の側面19には突出片29が、軸線Gに沿う方向に突出して設けられる。突出片29は、柱体上部23bと柱体下部23aの先端面25b,25aに亘って設けられ、先端31が柱体下部23aの先端面25aより前方に突出する。また、突出片29は、第2流出路21にて左右の突片29a,29bに分断されて、対向内面21b,21cで第2流出路21を挟む。したがって、柱体下部23aの先端面25aよりも前方の第2流出路21は、突出片29を突片29a,29bに分断する溝により上下に開放されてなる。
【0027】
これにより、第2流出路21は、左右の対向内面21b,21cに挟まれ、噴射した際に噴射範囲が左右に広がり過ぎないように規制され、左右一定厚の扇形噴射による長方形状の噴霧パターンが得られる。また、対向内面21b,21cが、軸線Gを挟む平行な内壁面からなるので、第2流出路21の流出方向への中子の離型も可能となる。
【0028】
図7は図4の側面図である。
噴口3の諸寸法は、具体的に下記のように設定できる。
柱体23の直径Dは1.5mm、第2流出路21の直径dは0.5mm、側面19の厚みTは0.6mm、第2流出路21の全長Aは2.6mm、先端面25bから突出片29の先端までの寸法bは1.5mm、先端面25aから突出片29の先端までの寸法eは0.5mmとすることができる。したがって、先端面25bから先端面25aまでの所定長さLは1.0mmとなる。また、突出片29の板厚tは、上下で第2流出路21が開放される必要があることから、第2流出路21の直径dよりも僅かに小さく(t<d)設定される。
【0029】
また、ボタン本体5には突出片29を左右から挟む図4〜図6に示す一対の補強板33,33が突設され、補強板33,33は突出片29の両側部に一体固定される。ボタン本体5の側面19に突設された薄厚の突出片29は、同じくボタン本体5に突設された補強板33,33にて両側部で支持される。これにより、噴射精度に対し影響の大きい薄厚低強度の小突出片29が高強度に固定でき、高精度な噴射が持続する。また、補強板33,33が防護板となり、異物との接触による突出片29の破損も防止されるようになされている。
【0030】
次に、上記のように構成されるエアゾールボタン100の作用を説明する。
エアゾール容器507のステム505にステム挿入孔9が挿入されたエアゾールボタン100を押し、エアゾール容器507のバルブ機構を開弁すると、エアゾール容器内の混合内容物が第1流出路13に流入する。流入した混合内容物は閉塞部15に衝突し不規則な渦運動を生じさせ、第2流出路21へ流入する。第2流出路21に流入した混合内容物は、先ず、柱体上部23bの先端面25bで開口する第2流出路21から噴射される。
【0031】
先端面25bより前方の第2流出路21は、対向内面21b,21cにて挟まるが、上方が開放していることで、流路断面積が増大する。これにより、流入した混合内容物が減圧されるとともに膨張し、開口縁からの剥離も作用し、細かい霧になって拡散される。この拡散された混合内容物は、噴口3から上側に噴出するが、その噴出方向は対向内面21b,21cによって両側を規制され、一定の厚みを有する扇形に噴射される。
【0032】
第2流出路21は、先端面25bにて上方が開放されているのに対し、下方が所定長さLの下側半円内面21a(図5参照)で塞がれている。そのため、噴射は、先ず上方へ拡散された後、柱体下部23aの先端面25aに到達することで、初めて下側が開放されて、上下へと拡散される。つまり、柱体上部23bの先端面25bでの噴射は、下方向への拡散が抑制される。これにより、従来、上側の拡散角度θ1(図7参照)と等しい角度で拡散されていた下側への噴射が、それよりも小さい拡散角度θ2である消臭に好適な扇形状の噴射となる。
【0033】
このように、エアゾールボタン100では、先端突出位置の異なる柱体上部23bと柱体下部23aの境に、軸線Gに沿う同一径の第2流出路21が形成され、従来構造のように流出方向に絞られる縮径形状部分がなく、第2流出路21に対し流出方向の中子の離型が可能となる。これにより、従来、別部品で設けていたワイド噴口が、ボタン本体5に一体成形可能となる。また、噴射した際に、下側への噴射範囲が広がり過ぎないように、所定長さLだけ突出させた柱体下部23aによって拡散に規制がかけられ、柱体下部23aの突出長さLを変える設計調整で下側の噴射範囲を変更できる。これに加え、先端面25aから突出片29の先端までの寸法e、或いは先端面25bから突出片29の先端までの寸法bを設計調整することによって上下への噴射範囲の変更が容易に可能となる。
【0034】
したがって、上記構成のエアゾールボタン100によれば、第1流出路13を形成したボタン本体5の側面19に、第1流出路13と連通する第2流出路21を先端面25で開口させて噴口3とする柱体23を設け、この柱体下部23aの先端面25aを、柱体上部23bの先端面25bより前方に所定長さLだけ突出させたので、第2流出路21の流出方向の離型が可能となり、従来、別部品で設けていたワイド噴口をボタン本体5に一体化した一部品として成形できる。また、左右方向に一定の厚みを有する扇形に噴射しながら、柱体下部23aの突出長さLを変えるのみの設計調整により、内部の流出路を変えずに容易に下側の噴射範囲を変更できる。この結果、部品点数、組立工数を削減できるとともに、消臭に好適な下側噴射角度θ2の小さい長方形状の噴霧パターンを得ることができる。
【0035】
次に、本発明に係るエアゾールボタンキャップについて説明する。
エアゾールボタンキャップ200は、エアゾールボタン100とキャップ本体1が一体形成されてなる。キャップ本体1は、上部中央が図2に示す収容空間43となって開口した冠着部45の中央に配置される。冠着部45は、下面が図3に示す開口部47となり、この開口部47をエアゾール容器507(図8参照)の上部に蓋のように被せて着けられる(冠着される)。開口部47の内周には、エアゾール容器507の上部周縁に弾性係止する複数の係止突起49が設けられている。冠着部45には収容空間43を挟んで一対の側壁部51,51がエアゾールボタン100よりも高く対峙して設けられ、側壁部51,51は上方の離間空間からエアゾールボタン100を押下可能としている。
【0036】
収容空間43を開口した冠着部45の内側縁部には薄肉ヒンジ53の一端が連設され、薄肉ヒンジ53の他端はボタン本体5の側面19に連設されている。つまり、エアゾールボタン100とキャップ本体1とは、薄肉ヒンジ53を介して一体に形成される。これにより同じ金型による同時成形を可能とする。薄肉ヒンジ53は、冠着部45側から、平板部53a、段部53b、斜壁部53cを連設してなることで、弾性変形が容易となり、耐久性を有しエアゾールボタン100の押下動作を許容する。
【0037】
このエアゾールボタンキャップ200によれば、従来のノズル体と押釦を一体にしたエアゾールボタン100に、さらにキャップ本体1が一体形成されることで、従来別部材であったノズル体、押釦及びキャップ本体の三部品が一部品となる。これにより、従来の三部品を一部品にして、さらに部品点数を削減できる。
【符号の説明】
【0038】
1…キャップ本体
3…噴口
5…ボタン本体
9…ステム挿入孔
13…第1流出路
19…ボタン本体の側面
21…第2流出路
21b,21c…対向内面
23…柱体
25…先端面
25a…柱体下部の先端面
25b…柱体上部の先端面
29…突出片
33…補強板
100…エアゾールボタン
200…エアゾールボタンキャップ
C…第1流出路の中心軸
G…交差する軸線
L…所定長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端がステム挿入孔として開口する第1流出路の形成されたボタン本体と、該ボタン本体の側面に突設され前記第1流出路の中心軸に交差する軸線で穿設された第2流出路を先端面で開口させて噴口とする柱体と、を具備し、
柱体下部の前記先端面が、柱体上部の前記先端面より前方に所定長さだけ突出することを特徴とするエアゾールボタン。
【請求項2】
請求項1記載のエアゾールボタンであって、
前記柱体上部と前記柱体下部の先端面に亘って設けられ先端が前記柱体下部の先端面より前方に突出するとともに前記第2流出路にて左右に分断されて対向内面で該第2流出路を挟む突出片を具備したことを特徴とするエアゾールボタン。
【請求項3】
請求項2記載のエアゾールボタンであって、
前記ボタン本体に突設され前記突出片の両側部に一体固定される一対の補強板を具備したことを特徴とするエアゾールボタン。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のエアゾールボタンと、キャップ本体と、が一体形成されていることを特徴とするエアゾールボタンキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−167364(P2010−167364A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12090(P2009−12090)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000141118)株式会社丸一 (47)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】