エアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップ
【課題】トリガーレバー部材を操作してエアゾール容器の内部の内容物を噴射する際、管部材を真っ直ぐ下側に移動させることのできるエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップを提供する。
【解決手段】上部にステム３を設けたエアゾール容器２の上部に装着するようになるキャップカバー１１を備え、このキャップカバー１１に、エアゾール容器２のステム３に嵌合するステム嵌合部１２から先端側となる噴射口１３までつながる流路１４を形成した管部材１５を備えると共に、この管部材１５を下側に移動させて管部材１５におけるステム嵌合部１２を押し下げ可能とするトリガーレバー部材１６を前後に向けて備えたエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップにおいて、トリガーレバー部材１６は、その後部においてキャップカバー１１に上下回動自在に枢着すると共に、その略中間部において管部材１５の側部に設けた突起体２０に前後摺動自在に係合するようにしたエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップである。
【解決手段】上部にステム３を設けたエアゾール容器２の上部に装着するようになるキャップカバー１１を備え、このキャップカバー１１に、エアゾール容器２のステム３に嵌合するステム嵌合部１２から先端側となる噴射口１３までつながる流路１４を形成した管部材１５を備えると共に、この管部材１５を下側に移動させて管部材１５におけるステム嵌合部１２を押し下げ可能とするトリガーレバー部材１６を前後に向けて備えたエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップにおいて、トリガーレバー部材１６は、その後部においてキャップカバー１１に上下回動自在に枢着すると共に、その略中間部において管部材１５の側部に設けた突起体２０に前後摺動自在に係合するようにしたエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、エアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップに関する。
【背景技術】
【０００２】
エアゾール噴射器としては、内部に薬剤等の内容物を収容した缶状のエアゾール容器を備えると共に、このエアゾール容器の上部にトリガー式ヘッドキャップを装着したものが知られている。
【０００３】
このエアゾール容器にあっては、内部にガスを密閉して、このガスにより内部圧力をかけた状態で薬剤等の内容物を収容する。そして、上部にステムを備えて、このステムは上方付勢されており、押し下げた際、エアゾール容器の内部の内容物が内部圧力によって噴出するようになっている。
【０００４】
一方、トリガー式ヘッドキャップにあっては、エアゾール容器の上部に装着するキャップカバーを備えて、このキャップカバーには、エアゾール容器のステムに嵌合するステム嵌合部から先端側となる噴射口までつながる流路を形成したＬ字形の管部材を備える。さらに、キャップカバーには、管部材を下側に移動させて管部材におけるステム嵌合部を押し下げ可能とするトリガーレバー部材も前後に向けて備える。
【０００５】
そして、このトリガーレバー部材にあっては、前端が下方に折れ曲がった形状となる引金部を形成すると共に、その後部をキャップカバーに軸によって枢着する第１枢着部とし、さらに、その略中間部を管部材に当該管部材の側部に設けたピンによって枢着する第２枢着部としている（例えば、特許文献１参照）。
【０００６】
このような構成とすることで、トリガーレバー部材の引金部を引くと、トリガーレバー部材が第１枢着部を中心に下方に回動し、トリガーレバー部材の第２枢着部を介して管部材が下側に移動して管部材におけるステム嵌合部を押し下げる。これにより、エアゾール容器のステムが押し下げられて、エアゾール容器の内部の内容物がステムから噴出し、噴出した内容物がトリガー式ヘッドキャップにおける管部材の流路を経て噴射口から噴射されるようになっている。
【０００７】
【特許文献１】特許第３７７０４３９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
かかる従来のエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップにあっては、トリガーレバー部材を操作してエアゾール容器の内部の内容物を噴射する際、トリガーレバー部材は第１枢着部を中心に回動するようになるが、このとき、トリガーレバー部材の第２枢着部は第１枢着部を中心とした円弧状に移動する。このため、この第２枢着部においてピンによって枢着する管部材は、そのピンを設けた箇所がトリガーレバー部材の第１枢着部を中心とした円弧状に移動するようになり、管部材が真っ直ぐ下方に移動しなくなる。これにより、噴射時、管部材の先端側となる噴射口の向きが変化したり、あるいは管部材のステム嵌合部におけるエアゾール容器のステムとの嵌合がずれて、ここより内容物が漏れ出すといった問題が発生するおそれがあった。また、トリガーレバー部材の第２枢着部において管部材とトリガーレバー部材とが咬んでしまって、ここでの動きが悪くなるといった問題が生じる可能性もあった。
【０００９】
本発明は、これらの問題を鑑み、トリガーレバー部材を操作してエアゾール容器の内部の内容物を噴射する際、管部材を真っ直ぐ下側に移動させることのできるエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップを提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
第一の発明は、上部にステムを設けたエアゾール容器の上部に装着するようになるキャップカバーを備え、このキャップカバーに、エアゾール容器のステムに嵌合するステム嵌合部から先端側となる噴射口までつながる流路を形成した管部材を備えると共に、この管部材を下側に移動させて管部材におけるステム嵌合部を押し下げ可能とするトリガーレバー部材を前後に向けて備えたエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップにおいて、トリガーレバー部材は、その後部においてキャップカバーに上下回動自在に枢着すると共に、その略中間部において管部材の側部に設けた突起体に前後摺動自在に係合するようにしたエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップである。
【００１１】
第二の発明は、第一の発明において、キャップカバーに、トリガーレバー部材を回動させたとき、管部材を垂直方向に真っ直ぐ移動させるための垂直ガイドを備えたエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップである。
【発明の効果】
【００１２】
本発明によれば、トリガーレバー部材の後部においてキャップカバーに上下回動自在に枢着すると共に、トリガーレバー部材の略中間部において管部材の側部に設けた突起体に前後摺動自在に係合するようにしたことで、トリガーレバー部材を操作してエアゾール容器の内部の内容物を噴射する際、トリガーレバー部材が下方に回動しても、管部材は真っ直ぐ下側に移動するようになり、これにより、管部材の先端側となる噴射口の向きが変化するのをなくすことができる。また、管部材のステム嵌合部におけるエアゾール容器のステムとの嵌合がずれるのもなくすことができ、ここより内容物が漏れ出すといった問題をなくすことができる。さらに、管部材とトリガーレバー部材とが咬んでしまって、ここでの動きが悪くなるといった問題も解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
本発明によるエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップの一実施形態について説明する。
【００１４】
まず、図１に示すように、エアゾール噴射器１としては、従来と同様、缶状のエアゾール容器２を備えると共に、このエアゾール容器２の上部にトリガー式ヘッドキャップを装着した構成とし、エアゾール容器２にあっては、殺虫剤、害虫防除剤、忌避剤、防菌防黴剤等の薬剤、また、洗浄剤、消臭剤、芳香剤、制汗剤等の薬剤、さらには塗料等の内容物を内部に収容すると共に、ガスを密閉して、このガスにより内部圧力をかけた状態で薬剤等の内容物を収容する。そして、このエアゾール容器２の上部にはステム３を備えて、このステム３は上方付勢されており、押し下げた際、エアゾール容器２の内部の内容物が内部圧力によって噴出するようにしている。
【００１５】
次に、図２、図３に示すように、トリガー式ヘッドキャップとしては、エアゾール容器２の上部に装着するキャップカバー１１を備える。このキャップカバー１１は、上部側を前後に向かう円筒形状にすると共に、下部側を上下に向かう略円錐台筒形状にする。そして、このキャップカバー１１の内部に、エアゾール容器２のステム３に嵌合するステム嵌合部１２から先端側となる噴射口１３までつながる流路１４を形成したＬ字形の管部材１５を備えると共に、この管部材１５におけるステム嵌合部１２を押し下げ可能とする上下回動自在となるトリガーレバー部材１６を前後に向けて備える。このトリガーレバー部材１６としては、前端が下方に折れ曲がって形成される引金部１７にすると共に、略中間において管部材１５が縦に貫通するための孔１８を形成している。
【００１６】
そして、図４に示すように、このトリガーレバー部材１６は、その後部をキャップカバー１１に横軸１９によって上下回動自在となるように枢着すると共に、その略中間において管部材１５の両側面に設けた突起体２０に前後に摺動自在に係合するようにしている。
【００１７】
ここについて具体的に説明すると、トリガーレバー部材１６の後部である後端には左右に向く横軸１９を左右それぞれ設けて、この横軸１９がキャップカバー１１の内側に設けた軸受け２１に嵌り込むことにより、トリガーレバー部材１６がキャップカバー１１に横軸１９を中心にして上下回動自在に枢着するようになる。一方、管部材１５における左右両側面には突起体２０を左右それぞれ設け、この突起体２０は上部を曲面にして下部を平らな面にしたものである。そして、この管部材１５の突起体２０を嵌め入れるようになる係合部２２をトリガーレバー部材１６の略中間に設け、この係合部２２は下向き凹状とし、その下側の一部に前方に突き出るようになるつめ２３を設けている。そして、この係合部２２に管部材１５の突起体２０を嵌め入れて、係合部２２の上面に沿って管部材１５の突起体２０の上部が接触状態で前後にすり動くことで、トリガーレバー部材１６の係合部２２が管部材１５の突起体２０に前後に摺動自在に係合するようようになる。なお、トリガーレバー部材１６の係合部２２のつめ２３によって、嵌め入れた管部材１５の突起体２０が係合部２２より容易に外れないようにしている。
【００１８】
これにより、図５に示すように、トリガーレバー部材１６の引金部１７を引くと、図６に示すように、トリガーレバー部材１６はその後端の横軸１９を中心に下方に回動し、トリガーレバー部材１６の略中間の係合部２２も横軸１９を中心とした円弧状に移動する（図６中の線Ａで示す）。しかしながら、管部材１５の突起体２０にあっては、トリガーレバー部材１６の係合部２２が突起体２０に対して前後に摺動することによって、突起体２０が円弧状に移動することなく、真っ直ぐ下側に移動する（図６中の線Ｂで示す）。これにより、管部材１５も真っ直ぐ下側に移動するようになっている。要するに、トリガーレバー部材１６の引金部１７を引いて、トリガーレバー部材１６を下方に回動しても、管部材１５は真っ直ぐ下側に移動するようになる。
【００１９】
なお、キャップカバー１１の前部には、トリガーレバー部材１６の引金部１７の前方に位置するようになるガード体２４を備えて、トリガーレバー部材１６の引金部１７をガードするようにしている。
【００２０】
また、キャップカバー１１の内部には、トリガーレバー部材１６の上面を押し付けて管部材１５におけるステム嵌合部１２を押し下げた状態で保持するカム方式の卵形形状の回転式ストッパー２５を備えると共に、キャップカバー１１の側面に、回転式ストッパー２５の回転を操作するための操作レバー２６を備えて、この回転式ストッパー２５によって、エアゾール噴射器１使用終了時（廃棄時）における残留ガスの排出を行えるようにしている。
【００２１】
このように構成することで、トリガーレバー部材１６の引金部１７を引くことによって、トリガーレバー部材１６がその後端の横軸１９を中心に下方に回動する。そして、トリガーレバー部材１６の係合部２２が管部材１５の突起体２０に対して前後に摺動することによって、管部材１５の突起体２０が真っ直ぐ下側に移動し、管部材１５も真っ直ぐ下側に移動する。これにより、管部材１５におけるステム嵌合部１２を押し下げて、エアゾール容器２のステム３も押し下げることで、エアゾール容器２の内部の内容物がステム３から噴出し、噴出した内容物が管部材１５の流路１４を経て噴射口１３から前方に向かって噴射されるようになる。
【００２２】
なお、トリガーレバー部材１６の略中間における管部材１５の突起体２０との係合にあっては、前述したようなトリガーレバー部材１６に下向き凹状となる係合部２２を設けているが、これに限定されるものではなく、例えば、図７に示すように、係合部２２を下向き凹状にすることなく、単なる平らな面状に、すなわちトリガーレバー部材１６の下面そのままにして、そこを管部材１５の突起体２０に前後に摺動自在に係合させるようにしても良い。このようにすることにより、トリガーレバー部材１６を単純な形にすることができ、トリガーレバー部材１６の製作を極めて容易に行うことができる。また、トリガーレバー部材１６の係合部２２と管部材１５の突起体２０とにあっては、前後に摺動自在に係合するのであれば、その他の形態のものでも良い。
【００２３】
以上のように、このトリガーレバー部材１６において、その後部をキャップカバー１１に横軸１９によって上下回動自在となるように枢着すると共に、その略中間において管部材１５の両側面に設けた突起体２０に前後に摺動自在に係合するようにしたことにより、トリガーレバー部材１６を操作してエアゾール容器２の内部の内容物を噴射する際、トリガーレバー部材１６が下方に回動しても、管部材１５は真っ直ぐ下側に移動するようになり、これにより、管部材１５の先端側となる噴射口１３の向きが変化するのをなくすことができ、噴射時の目標物に確実に内容物を噴射することができる。また、管部材１５のステム嵌合部１２におけるエアゾール容器２のステム３との嵌合がずれるのをなくして、ここより内容物が漏れ出すといった問題もなくすことができ、使用時の安全性を高めることができる。さらに、従来生じていた管部材１５とトリガーレバー部材１６とが咬んで、ここでの動きが悪くなるといった問題も解消することができる。
【００２４】
また、前述した実施形態のエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップの変形例として、図８に示すように、キャップカバー１１の内部に管部材１５を上下に移動自在に保持する垂直ガイド２７を備えるようにしても良い。この垂直ガイド２７としては、筒体状となり、その内周側が管部材１５を保持するようにしている。なお、この垂直ガイド２７にあっては、筒体状に限定されるものではなく、半リング状である略Ｃ字形の形状、あるいはコ字形の形状、さらには、単なる平板二枚で管部材１５の前後をガイドするもの等、管部材１５をガイドできるものであればどのような形状のものでも良い。
【００２５】
このように、キャップカバー１１の内部に管部材１５を上下に移動自在に保持する垂直ガイド２７を備えるようにしたことにより、エアゾール容器２の内部の内容物を噴射する際、トリガーレバー部材１６の引金部１７を引いて、トリガーレバー部材１６を回動させても、管部材１５を確実に垂直方向に真っ直ぐ移動させることができ、管部材１５における噴射口１３の向きが変化するのをなくして、噴射時の目標物に極めて確実に内容物を噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２６】
【図１】エアゾール噴射器の説明図である。
【図２】エアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップの斜視図である。
【図３】エアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップの断面図である。
【図４】エアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップの一部断面説明図である。
【図５】エアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップの一部断面説明図である。
【図６】トリガーレバー部材及び管部材の動作状態を示す概略説明図である。
【図７】別形状のトリガーレバー部材の説明図である。
【図８】エアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップにおける変形例の一部断面説明図である。
【符号の説明】
【００２７】
１…エアゾール噴射器、２…エアゾール容器、３…ステム、１１…キャップカバー、１２…ステム嵌合部、１３…噴射口、１４…流路、１５…管部材、１６…トリガーレバー部材、１７…引金部、１８…孔、１９…横軸、２０…突起体、２１…軸受け、２２…係合部、２３…つめ、２４…ガード体、２５…回転式ストッパー、２６…操作レバー、２７…垂直ガイド
【技術分野】
【０００１】
本発明は、エアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップに関する。
【背景技術】
【０００２】
エアゾール噴射器としては、内部に薬剤等の内容物を収容した缶状のエアゾール容器を備えると共に、このエアゾール容器の上部にトリガー式ヘッドキャップを装着したものが知られている。
【０００３】
このエアゾール容器にあっては、内部にガスを密閉して、このガスにより内部圧力をかけた状態で薬剤等の内容物を収容する。そして、上部にステムを備えて、このステムは上方付勢されており、押し下げた際、エアゾール容器の内部の内容物が内部圧力によって噴出するようになっている。
【０００４】
一方、トリガー式ヘッドキャップにあっては、エアゾール容器の上部に装着するキャップカバーを備えて、このキャップカバーには、エアゾール容器のステムに嵌合するステム嵌合部から先端側となる噴射口までつながる流路を形成したＬ字形の管部材を備える。さらに、キャップカバーには、管部材を下側に移動させて管部材におけるステム嵌合部を押し下げ可能とするトリガーレバー部材も前後に向けて備える。
【０００５】
そして、このトリガーレバー部材にあっては、前端が下方に折れ曲がった形状となる引金部を形成すると共に、その後部をキャップカバーに軸によって枢着する第１枢着部とし、さらに、その略中間部を管部材に当該管部材の側部に設けたピンによって枢着する第２枢着部としている（例えば、特許文献１参照）。
【０００６】
このような構成とすることで、トリガーレバー部材の引金部を引くと、トリガーレバー部材が第１枢着部を中心に下方に回動し、トリガーレバー部材の第２枢着部を介して管部材が下側に移動して管部材におけるステム嵌合部を押し下げる。これにより、エアゾール容器のステムが押し下げられて、エアゾール容器の内部の内容物がステムから噴出し、噴出した内容物がトリガー式ヘッドキャップにおける管部材の流路を経て噴射口から噴射されるようになっている。
【０００７】
【特許文献１】特許第３７７０４３９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
かかる従来のエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップにあっては、トリガーレバー部材を操作してエアゾール容器の内部の内容物を噴射する際、トリガーレバー部材は第１枢着部を中心に回動するようになるが、このとき、トリガーレバー部材の第２枢着部は第１枢着部を中心とした円弧状に移動する。このため、この第２枢着部においてピンによって枢着する管部材は、そのピンを設けた箇所がトリガーレバー部材の第１枢着部を中心とした円弧状に移動するようになり、管部材が真っ直ぐ下方に移動しなくなる。これにより、噴射時、管部材の先端側となる噴射口の向きが変化したり、あるいは管部材のステム嵌合部におけるエアゾール容器のステムとの嵌合がずれて、ここより内容物が漏れ出すといった問題が発生するおそれがあった。また、トリガーレバー部材の第２枢着部において管部材とトリガーレバー部材とが咬んでしまって、ここでの動きが悪くなるといった問題が生じる可能性もあった。
【０００９】
本発明は、これらの問題を鑑み、トリガーレバー部材を操作してエアゾール容器の内部の内容物を噴射する際、管部材を真っ直ぐ下側に移動させることのできるエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップを提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
第一の発明は、上部にステムを設けたエアゾール容器の上部に装着するようになるキャップカバーを備え、このキャップカバーに、エアゾール容器のステムに嵌合するステム嵌合部から先端側となる噴射口までつながる流路を形成した管部材を備えると共に、この管部材を下側に移動させて管部材におけるステム嵌合部を押し下げ可能とするトリガーレバー部材を前後に向けて備えたエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップにおいて、トリガーレバー部材は、その後部においてキャップカバーに上下回動自在に枢着すると共に、その略中間部において管部材の側部に設けた突起体に前後摺動自在に係合するようにしたエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップである。
【００１１】
第二の発明は、第一の発明において、キャップカバーに、トリガーレバー部材を回動させたとき、管部材を垂直方向に真っ直ぐ移動させるための垂直ガイドを備えたエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップである。
【発明の効果】
【００１２】
本発明によれば、トリガーレバー部材の後部においてキャップカバーに上下回動自在に枢着すると共に、トリガーレバー部材の略中間部において管部材の側部に設けた突起体に前後摺動自在に係合するようにしたことで、トリガーレバー部材を操作してエアゾール容器の内部の内容物を噴射する際、トリガーレバー部材が下方に回動しても、管部材は真っ直ぐ下側に移動するようになり、これにより、管部材の先端側となる噴射口の向きが変化するのをなくすことができる。また、管部材のステム嵌合部におけるエアゾール容器のステムとの嵌合がずれるのもなくすことができ、ここより内容物が漏れ出すといった問題をなくすことができる。さらに、管部材とトリガーレバー部材とが咬んでしまって、ここでの動きが悪くなるといった問題も解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
本発明によるエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップの一実施形態について説明する。
【００１４】
まず、図１に示すように、エアゾール噴射器１としては、従来と同様、缶状のエアゾール容器２を備えると共に、このエアゾール容器２の上部にトリガー式ヘッドキャップを装着した構成とし、エアゾール容器２にあっては、殺虫剤、害虫防除剤、忌避剤、防菌防黴剤等の薬剤、また、洗浄剤、消臭剤、芳香剤、制汗剤等の薬剤、さらには塗料等の内容物を内部に収容すると共に、ガスを密閉して、このガスにより内部圧力をかけた状態で薬剤等の内容物を収容する。そして、このエアゾール容器２の上部にはステム３を備えて、このステム３は上方付勢されており、押し下げた際、エアゾール容器２の内部の内容物が内部圧力によって噴出するようにしている。
【００１５】
次に、図２、図３に示すように、トリガー式ヘッドキャップとしては、エアゾール容器２の上部に装着するキャップカバー１１を備える。このキャップカバー１１は、上部側を前後に向かう円筒形状にすると共に、下部側を上下に向かう略円錐台筒形状にする。そして、このキャップカバー１１の内部に、エアゾール容器２のステム３に嵌合するステム嵌合部１２から先端側となる噴射口１３までつながる流路１４を形成したＬ字形の管部材１５を備えると共に、この管部材１５におけるステム嵌合部１２を押し下げ可能とする上下回動自在となるトリガーレバー部材１６を前後に向けて備える。このトリガーレバー部材１６としては、前端が下方に折れ曲がって形成される引金部１７にすると共に、略中間において管部材１５が縦に貫通するための孔１８を形成している。
【００１６】
そして、図４に示すように、このトリガーレバー部材１６は、その後部をキャップカバー１１に横軸１９によって上下回動自在となるように枢着すると共に、その略中間において管部材１５の両側面に設けた突起体２０に前後に摺動自在に係合するようにしている。
【００１７】
ここについて具体的に説明すると、トリガーレバー部材１６の後部である後端には左右に向く横軸１９を左右それぞれ設けて、この横軸１９がキャップカバー１１の内側に設けた軸受け２１に嵌り込むことにより、トリガーレバー部材１６がキャップカバー１１に横軸１９を中心にして上下回動自在に枢着するようになる。一方、管部材１５における左右両側面には突起体２０を左右それぞれ設け、この突起体２０は上部を曲面にして下部を平らな面にしたものである。そして、この管部材１５の突起体２０を嵌め入れるようになる係合部２２をトリガーレバー部材１６の略中間に設け、この係合部２２は下向き凹状とし、その下側の一部に前方に突き出るようになるつめ２３を設けている。そして、この係合部２２に管部材１５の突起体２０を嵌め入れて、係合部２２の上面に沿って管部材１５の突起体２０の上部が接触状態で前後にすり動くことで、トリガーレバー部材１６の係合部２２が管部材１５の突起体２０に前後に摺動自在に係合するようようになる。なお、トリガーレバー部材１６の係合部２２のつめ２３によって、嵌め入れた管部材１５の突起体２０が係合部２２より容易に外れないようにしている。
【００１８】
これにより、図５に示すように、トリガーレバー部材１６の引金部１７を引くと、図６に示すように、トリガーレバー部材１６はその後端の横軸１９を中心に下方に回動し、トリガーレバー部材１６の略中間の係合部２２も横軸１９を中心とした円弧状に移動する（図６中の線Ａで示す）。しかしながら、管部材１５の突起体２０にあっては、トリガーレバー部材１６の係合部２２が突起体２０に対して前後に摺動することによって、突起体２０が円弧状に移動することなく、真っ直ぐ下側に移動する（図６中の線Ｂで示す）。これにより、管部材１５も真っ直ぐ下側に移動するようになっている。要するに、トリガーレバー部材１６の引金部１７を引いて、トリガーレバー部材１６を下方に回動しても、管部材１５は真っ直ぐ下側に移動するようになる。
【００１９】
なお、キャップカバー１１の前部には、トリガーレバー部材１６の引金部１７の前方に位置するようになるガード体２４を備えて、トリガーレバー部材１６の引金部１７をガードするようにしている。
【００２０】
また、キャップカバー１１の内部には、トリガーレバー部材１６の上面を押し付けて管部材１５におけるステム嵌合部１２を押し下げた状態で保持するカム方式の卵形形状の回転式ストッパー２５を備えると共に、キャップカバー１１の側面に、回転式ストッパー２５の回転を操作するための操作レバー２６を備えて、この回転式ストッパー２５によって、エアゾール噴射器１使用終了時（廃棄時）における残留ガスの排出を行えるようにしている。
【００２１】
このように構成することで、トリガーレバー部材１６の引金部１７を引くことによって、トリガーレバー部材１６がその後端の横軸１９を中心に下方に回動する。そして、トリガーレバー部材１６の係合部２２が管部材１５の突起体２０に対して前後に摺動することによって、管部材１５の突起体２０が真っ直ぐ下側に移動し、管部材１５も真っ直ぐ下側に移動する。これにより、管部材１５におけるステム嵌合部１２を押し下げて、エアゾール容器２のステム３も押し下げることで、エアゾール容器２の内部の内容物がステム３から噴出し、噴出した内容物が管部材１５の流路１４を経て噴射口１３から前方に向かって噴射されるようになる。
【００２２】
なお、トリガーレバー部材１６の略中間における管部材１５の突起体２０との係合にあっては、前述したようなトリガーレバー部材１６に下向き凹状となる係合部２２を設けているが、これに限定されるものではなく、例えば、図７に示すように、係合部２２を下向き凹状にすることなく、単なる平らな面状に、すなわちトリガーレバー部材１６の下面そのままにして、そこを管部材１５の突起体２０に前後に摺動自在に係合させるようにしても良い。このようにすることにより、トリガーレバー部材１６を単純な形にすることができ、トリガーレバー部材１６の製作を極めて容易に行うことができる。また、トリガーレバー部材１６の係合部２２と管部材１５の突起体２０とにあっては、前後に摺動自在に係合するのであれば、その他の形態のものでも良い。
【００２３】
以上のように、このトリガーレバー部材１６において、その後部をキャップカバー１１に横軸１９によって上下回動自在となるように枢着すると共に、その略中間において管部材１５の両側面に設けた突起体２０に前後に摺動自在に係合するようにしたことにより、トリガーレバー部材１６を操作してエアゾール容器２の内部の内容物を噴射する際、トリガーレバー部材１６が下方に回動しても、管部材１５は真っ直ぐ下側に移動するようになり、これにより、管部材１５の先端側となる噴射口１３の向きが変化するのをなくすことができ、噴射時の目標物に確実に内容物を噴射することができる。また、管部材１５のステム嵌合部１２におけるエアゾール容器２のステム３との嵌合がずれるのをなくして、ここより内容物が漏れ出すといった問題もなくすことができ、使用時の安全性を高めることができる。さらに、従来生じていた管部材１５とトリガーレバー部材１６とが咬んで、ここでの動きが悪くなるといった問題も解消することができる。
【００２４】
また、前述した実施形態のエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップの変形例として、図８に示すように、キャップカバー１１の内部に管部材１５を上下に移動自在に保持する垂直ガイド２７を備えるようにしても良い。この垂直ガイド２７としては、筒体状となり、その内周側が管部材１５を保持するようにしている。なお、この垂直ガイド２７にあっては、筒体状に限定されるものではなく、半リング状である略Ｃ字形の形状、あるいはコ字形の形状、さらには、単なる平板二枚で管部材１５の前後をガイドするもの等、管部材１５をガイドできるものであればどのような形状のものでも良い。
【００２５】
このように、キャップカバー１１の内部に管部材１５を上下に移動自在に保持する垂直ガイド２７を備えるようにしたことにより、エアゾール容器２の内部の内容物を噴射する際、トリガーレバー部材１６の引金部１７を引いて、トリガーレバー部材１６を回動させても、管部材１５を確実に垂直方向に真っ直ぐ移動させることができ、管部材１５における噴射口１３の向きが変化するのをなくして、噴射時の目標物に極めて確実に内容物を噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２６】
【図１】エアゾール噴射器の説明図である。
【図２】エアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップの斜視図である。
【図３】エアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップの断面図である。
【図４】エアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップの一部断面説明図である。
【図５】エアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップの一部断面説明図である。
【図６】トリガーレバー部材及び管部材の動作状態を示す概略説明図である。
【図７】別形状のトリガーレバー部材の説明図である。
【図８】エアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップにおける変形例の一部断面説明図である。
【符号の説明】
【００２７】
１…エアゾール噴射器、２…エアゾール容器、３…ステム、１１…キャップカバー、１２…ステム嵌合部、１３…噴射口、１４…流路、１５…管部材、１６…トリガーレバー部材、１７…引金部、１８…孔、１９…横軸、２０…突起体、２１…軸受け、２２…係合部、２３…つめ、２４…ガード体、２５…回転式ストッパー、２６…操作レバー、２７…垂直ガイド
【特許請求の範囲】
【請求項１】
上部にステム３を設けたエアゾール容器２の上部に装着するようになるキャップカバー１１を備え、このキャップカバー１１に、エアゾール容器２のステム３に嵌合するステム嵌合部１２から先端側となる噴射口１３までつながる流路１４を形成した管部材１５を備えると共に、この管部材１５を下側に移動させて管部材１５におけるステム嵌合部１２を押し下げ可能とするトリガーレバー部材１６を前後に向けて備えたエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップにおいて、
前記トリガーレバー部材１６は、その後部においてキャップカバー１１に上下回動自在に枢着すると共に、その略中間部において管部材１５の側部に設けた突起体２０に前後摺動自在に係合するようにしたことを特徴とするエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップ。
【請求項２】
前記キャップカバー１１に、トリガーレバー部材１６を回動させたとき、管部材１５を垂直方向に真っ直ぐ移動させるための垂直ガイド２７を備えたことを特徴とする請求項１記載のエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップ。
【請求項１】
上部にステム３を設けたエアゾール容器２の上部に装着するようになるキャップカバー１１を備え、このキャップカバー１１に、エアゾール容器２のステム３に嵌合するステム嵌合部１２から先端側となる噴射口１３までつながる流路１４を形成した管部材１５を備えると共に、この管部材１５を下側に移動させて管部材１５におけるステム嵌合部１２を押し下げ可能とするトリガーレバー部材１６を前後に向けて備えたエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップにおいて、
前記トリガーレバー部材１６は、その後部においてキャップカバー１１に上下回動自在に枢着すると共に、その略中間部において管部材１５の側部に設けた突起体２０に前後摺動自在に係合するようにしたことを特徴とするエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップ。
【請求項２】
前記キャップカバー１１に、トリガーレバー部材１６を回動させたとき、管部材１５を垂直方向に真っ直ぐ移動させるための垂直ガイド２７を備えたことを特徴とする請求項１記載のエアゾール噴射器のトリガー式ヘッドキャップ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２００８−１７４２８３（Ｐ２００８−１７４２８３Ａ）
【公開日】平成２０年７月３１日（２００８．７．３１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１０１１１（Ｐ２００７−１０１１１）
【出願日】平成１９年１月１９日（２００７．１．１９）
【出願人】（０００２０４６０８）大下産業株式会社 (13)
【出願人】（０００１１２８５３）フマキラー株式会社 (155)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年７月３１日（２００８．７．３１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１月１９日（２００７．１．１９）
【出願人】（０００２０４６０８）大下産業株式会社 (13)
【出願人】（０００１１２８５３）フマキラー株式会社 (155)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]