説明

エアゾール噴霧装置

【課題】エアゾール組成物を噴霧するエアゾール噴射機構であって、その噴射時に眼に入ることを防止することができると共に、目的とする噴霧空間内に十分に行き渡り易くしたエアゾール噴霧装置の提供を図る。
【解決手段】エアゾール容器11と噴射ノズル14とを備えた噴射部材と、吸液蒸散体15と、ケーシング16とを備える。エアゾール容器11の内容物は、初留点が100℃以下の溶剤95%以上からなるエアゾール原液20〜85wt%と、噴射剤15〜80wt%とからなるエアゾール組成物を含む。ケーシング16は、実質的に閉ざされた収容空間19と、収容空間19とケーシング16外部とを導通する通気口22とを備える。吸液蒸散体15は、通気口22と噴射ノズル14との間に配置され、噴射ノズル14から噴霧されたエアゾール組成物は、吸液蒸散体15に一旦吸収された後、通気口22からケーシング外部へ放散される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアゾールの噴霧装置に関するもので、さらに詳しくは、噴射ボタンを押しても薬液が吸着体に噴霧されることによって、薬液が直接、人の体や顔や手などにかかることを防止したエアゾール噴霧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1に液霧を出さないエアゾール噴霧装置が提案されている。しかし、この発明は発効物体に香料や消臭剤を含浸させたものにガスのみを吹き付けて香料や消臭剤を拡散させるもので、発効物体に含浸させた香料などが揮発してしまうと効果が全くなくなる。また、機構が複雑で実用化が困難である。特許文献2,3のように内容液を空間に噴射するノズルと吸着体に含浸させるノズルを有しており、ボタンを一回押すことで空間への噴射で即効性を発揮し、吸着体に含浸させた薬液が徐々に揮発することで持続性を持たせたエアゾール噴霧装置が提案されている。しかし、空間に噴射するノズルを有しているため、薬液が眼に入る恐れがある。特許文献4のように足踏みして内容物を噴射させるエアゾール噴霧装置が提案されている。足で容器を押し付けることで噴射するので眼に入る恐れは少ないが、誤って手で押した場合、噴射口が多く眼に入る危険性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−34009
【特許文献2】特開2004−175385
【特許文献3】特許第4035380号
【特許文献4】特許第3581062号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、内容物を噴霧するエアゾール噴射機構であって、その噴射時に眼に入ることを防止することができるエアゾール噴霧装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、内容液が目的とする噴霧空間内に十分に行き渡り易くしたエアゾール噴霧装置を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、エアゾール容器と前記エアゾール容器内の内容物を噴霧する噴射ノズルとを備えた噴射部材と、前記噴射ノズルの前方に配置された吸液蒸散体と、ケーシングとを備え、前記エアゾール容器内の内容物は、初留点が100℃以下の溶剤95%以上からなるエアゾール原液20〜85wt%と、噴射剤15〜80wt%とからなるエアゾール組成物を含むものであり、前記ケーシングは、前記噴射ノズルから噴霧された前記エアゾール組成物を収容する実質的に閉ざされた収容空間と、前記収容空間とケーシング外部とを導通する通気口とを備え、前記吸液蒸散体は、前記通気口と前記噴射ノズルとの間に配置されたものであり、
前記噴射ノズルから噴霧された前記エアゾール組成物は、前記吸液蒸散体に一旦吸収された後、前記通気口からケーシング外部へ放散されるものであることを特徴とするエアゾール噴霧装置を提供することにより、上記の課題を解決する。
本発明において、前記吸液蒸散体の厚みは、特に限定されないが、0.05〜1.00mmが適当である。また、前記通気口の位置は前記噴射ノズルより下方に設けられたものを含むものとして実施することができる。さらに、前記収容空間は、下部空間と上部空間とを備え、前記下部空間は、下方から上方に向かうに従い横断面積が大きくなるものであり、前記上部空間は、その下端において前記下部空間に連続するものであり、前記通気口は、前記下部空間に開口する下部通気口と、前記上部空間に開口する上部通気口とを備え、前記噴射ノズルは前記上部空間に配置されたものであり、前記吸液蒸散体は前記噴射ノズルと前記上部通気口との間に配置されたものとして実施することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、前記ケーシングが、前記噴射ノズルから噴霧された前記エアゾール組成物を収容する実質的に閉ざされた収容空間と、前記収容空間とケーシング外部とを導通する通気口とを備え、前記吸液蒸散体は、前記通気口と前記噴射ノズルとの間に配置されたものであり、前記噴射ノズルから噴霧された前記エアゾール組成物は、前記吸液蒸散体に一旦吸収された後、前記通気口からケーシング外部へ放散されるものであるため、前記噴射ノズルから噴霧された前記エアゾール組成物が直接目に入ってしまうことを防止することができる。
また、本発明において、前記吸液蒸散体の厚みを、0.05〜1.00mmとすることによって、エアゾール組成物が直接外部に噴射されたしまうことを防止すると共に、直接エアゾールを噴霧したのと実質的には同じように、直ちに噴霧の効果が感じられる程度に放散させることができるなど、エアゾール組成物を目的とする噴霧空間内に短時間に行き渡らせることができる。
また、基本的にエアゾール原液と噴射剤は、空気(N2やO2)より重いので、通気口の位置は噴射ノズルより下の方に設けたものを含むことにより、効率的にケーシング外にエアゾール組成物を排出することができる。
さらに、前記収容空間は、下部空間と上部空間とを備え、前記下部空間は、下方から上方に向かうに従い横断面積が大きくなるものであり、前記上部空間は、その下端において前記下部空間に連続するものであり、前記通気口は、前記下部空間に開口する下部通気口と、前記上部空間に開口する上部通気口とを備え、前記噴射ノズルは前記上部空間に配置されたものであり、前記吸液蒸散体は前記噴射ノズルと前記上部通気口との間に配置されたものとして実施することにより、円滑に目的とする噴霧空間内に行き渡らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本願発明の実施の形態に係るエアゾール噴霧装置の一部切欠斜視図である。
【図2】同エアゾール噴霧装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
この実施の形態に係るエアゾール噴霧装置(以下、本装置という)は、エアゾール容器11と、吸液蒸散体15と、これらを収納するケーシング16とを備える。
【0009】
エアゾール容器11は、耐圧容器とこれに取り付けられた噴射部材を備えたものであり、噴射部材は、耐圧容器の上端から突出するステム12と、ステム12の端部に設けられたボタン13と、ボタン13の前方に開口する噴射ノズル14とを備える。噴射ノズル14は、ステム12を介してエアゾール容器11の耐圧容器内に導通し、ボタン13が動かされることでエアゾール容器11の耐圧容器内に収納された内容物を前方に噴霧する。
【0010】
エアゾール容器11の耐圧容器内の内容物は、初留点が100℃以下の溶剤95%以上からなるエアゾール原液20〜85wt%と、噴射剤15〜80wt%とからなるエアゾール組成物を含む。
【0011】
初留点100℃以下の溶剤としてはナフテン系、イソパラフィン系、パラフィン−ナフテン混合系、ノルマルパラフィン系の炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶剤などが用いられる。中でもエタノール(初留点78.3℃)、イソプロパノール(初留点82.3℃)、ノルマルプロパノール(初留点97.1℃)などの炭素数1〜3個の低級アルコールやヘキサンまたはその異性体であるイソヘキサンが好ましい。エアゾール原液中の割合は95wt%以上が好ましく、さらに好ましくは98wt%以上である。95wt%未満であれは、初留点100℃を超える薬剤の量が増えることで噴射直後の空間への拡散が悪くなる。
【0012】
エアゾール原液には特に指定はないが必要に応じて香料、消臭剤、抗菌剤、殺菌剤、忌避剤、防虫剤、殺虫剤等を添加することができる。芳香剤として用いる場合には、香料が好ましい。香料としては特に限定されないが、レモン油、オレンジ油、タイム油、ローズ油、シナモンリーフ油、cis-3-ヘキセールサリシレート、グアヤコール、ラベンダー油、ペパーミント油、ガラチソリッド、cis-3-ヘキセノール、リナロール、リナリルアセテート、ボルニルアセテート、ベンジルアセテート、シトロネロール、ターピネオール、フェニルエチルアルコール、シトロネリルアセテート、ゲラニルフォーメート、β-フェニルエタノール、サンタレックス、リリアール、トナリッド、シクロペンタデカノリド、エチレンブラシレート、ボルネオール、リモネン、ゲラニオールの群からなる1種または2種以上を含んでも良い。
【0013】
このエアゾール原液の割合は20〜85wt%が好ましく、さらに好ましくは30〜60wt%である。20wt%未満であれば、エアゾール原液が少なすぎて効果が得られなく、85wt%を超えると吸液蒸散体がエアゾール原液を吸収できずに内部に垂れてしまう。
【0014】
噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、プロパン、ブタン、フロンガス、ジメチルエーテル、窒素、炭酸ガスなど従来公知の噴射剤を単独で又は2種以上組み合わせて、通常の量的割合で配合することができる。噴射剤は15〜80wt%が好ましく、さらに好ましくは40〜70wt%である。噴射剤が15wt%未満であると前記同様、吸液蒸散体がエアゾール原液を吸収できずに内部に垂れてしまい、80wt%を超えるとエアゾール原液が少なすぎて効果が得られない。
【0015】
次に、ケーシング16について説明する。この例ではケーシング16内にエアゾール容器11と吸液蒸散体15とが配置されている。ケーシング16は、略半球状の下部ケーシング17と上部ケーシング18とが上下に組み合わされたもので、全体が略球形をなしている。そして、その内部の空間が収容空間19となる。この収容空間19は、下部ケーシング17の内部空間である下部空間20と、上部ケーシング18の内部空間であると上部空間21とが上下に連続して形成されたものである。詳しくは、下部空間20は、底部が平坦とされ、その下方から上方に向かうに従い横断面積が大きくなる空間である。上部空間21は、その下端において下部空間20に連続するものであり、下方から上方に向かうに従い横断面積が小さくなる。
【0016】
下部ケーシング17は、その下端内部に、下部保持部27が設けられており、エアゾール容器11の下部を着脱可能に支持する。また下部ケーシング17の壁面には、格子状の下部通気口23が形成されている。そして、下部ケーシング17の開放された上端には、下部スライド部25が設けられている。
【0017】
上部ケーシング18の下端には、上部スライド部26が設けられており、この上部スライド部26が上記の下部スライド部25によって上下に摺動可能に支持されることにより、上部ケーシング18全体が下部ケーシング17に対して上下に摺動可能となっている。上部ケーシング18の上端内部には、上部保持部28とボタン保持部29とが設けられている。上部保持部28は、エアゾール容器11の上端を、着脱可能且つ上下に摺動可能に受容する。またボタン保持部29は、ボタン13を着脱可能且つ上下に摺動不能に受容する。なお、上部保持部28とボタン保持部29は、噴射ノズル14の前方には設けられておらず、噴射ノズル14からの噴霧は上部保持部28とボタン保持部29とに邪魔をされることなくなされ得る。
【0018】
上部ケーシング18の壁面には、格子状の上部通気口24が形成されている。なお、本書において、この上部通気口24と前記の下部通気口23とを合わせて呼ぶときは通気口22と呼ぶ。上部通気口24の内側には、吸液蒸散体15が配置されている。この吸液蒸散体15は上部通気口24が設けられた上部ケーシング18の内壁面に取り付けられたもので、接着剤などで着脱不能に固定してもよく、面ファスナなどの係止具で着脱可能に取り付けてもよい。通気口22の形状は特に限定されなく、例えば多数の小孔を形成したものや、メッシュ状のものなど、エアゾール装置内に蒸散したエアゾール原液が外部に放出され、効果を発揮するものであれば良い。
【0019】
この吸液蒸散体15は、噴射ノズル14から噴射されるエアゾール組成物を一時的に吸液できるものであればよく、その材質に関しては特に限定はないが、綿、羊毛、麻、パルプ、絹、鉱物繊維などの天然繊維、ポリエステル、ポリアミド、アクリル繊維、ビニロン、ポリプロピレン、ウレタン、レーヨン、絹、ガラス繊維などの化学繊維などから選ばれる1種または2種以上を混合させた不織布、ニット、発泡体などが使用でき、特に綿、ポリエステル、ポリアミドなどが好ましい。
【0020】
吸液蒸散体15の厚みは0.05〜1.00mmが好ましく、さらに好ましくは0.08〜0.30mmである。厚みが0.05mm未満の吸液蒸散体を作成する技術が難しく、実際に製品化する場合、コストが高くなってしまう。また、1.00mmを超えると吸液蒸散体にエアゾール原液が吸収されて揮発速度が遅くなり目的とする噴霧空間をエアゾール組成物で満たすという効果が不充分となるおそれがある。
【0021】
吸液蒸散体15と噴射ノズル14との間隔は、特に指定はないが5mm〜70mm、更に好ましくは10〜30mmである。間隔が5mm未満であればエアゾール原液が垂れて、蒸散する量が少なくなり、また、70mmを超えるとエアゾール装置が大きくなりすぎて蒸散したエアゾール原液が収容空間19内部に滞留して効果が得られない場合がある。
【0022】
次に本装置の使用方法について説明する。
まず、下部ケーシング17と上部ケーシング18とを分離して、下部保持部27にエアゾール容器11を支持させ、エアゾール容器11上端とボタン13とが上部保持部28とボタン保持部29に合致するように、下部スライド部25と上部スライド部26とを組み合わせる。この状態で、噴射ノズル14の前方には、吸液蒸散体15が位置するように、下部スライド部25と上部スライド部26とには周方向の位置決め手段を設けておいてもよい。
【0023】
噴霧に際しては、上部ケーシング18を下部ケーシング17に対して押し下げる。その際、下部スライド部25と上部スライド部26、及び、エアゾール容器11と上部保持部28は、それぞれ上下に摺動可能であるが、ボタン保持部29に対して、ボタン13は摺動不能である。従って、上部ケーシング18の押し下げによって、ボタン13も押し下げられ、エアゾール容器11のステム12が押し下げられて、噴射ノズル14からエアゾール組成物の噴霧がなされる。噴霧されたエアゾール組成物は、その噴射方向前方の吸液蒸散体15に吸収され、直接上部通気口24から外部に噴射されることはない。そして、一旦吸液蒸散体15に吸収されたエアゾール組成物は、吸液蒸散体15から上部通気口24を経て外部に放散される。また、噴霧時及び放散時に、ケーシング16内部の収容空間19に残ったエアゾール組成物は、空気よりも重いため、下部空間20から外部に流出する。その際、下部通気口23は、その下方に向かうに従って横断面積が小さくなるため、下部ケーシング17の下部に設けられた下部通気口23から確実に外部に流出する。また、上記の例では、上部空間21の上端寄りに噴射ノズル14を配置し、上部空間21の形状をその下方に向かうに従って横断面積が大きくなるように構成したため、噴射ノズル14と吸液蒸散体15との間隔を適正な間隔に保ち易く、且つ、エアゾール組成物を下部空間20に向けて無理なく移動させることができる。
【0024】
なお、ケーシング16、収容空間19の形状は適宜変更して実施することができるものであり、例えば、横断面形状が四角形などの多角形や、アニメのキャラクターのような不定形なものでも実施することができる。また、収容空間19の全体形状は上記のように略球形が好ましいが、これに限らず、上下方向に径が一定な筒状や、円錐台形状や、逆円錐台形状等々、適宜変更して実施することができる。先の例では、吸液蒸散体15と共に、エアゾール容器11全体をケーシング16に収納したが、エアゾール容器11全体ではなく、ボタン13又は噴射ノズル14のみを収納するようにしてもよい。吸液蒸散体15及び通気口22は、噴射ノズル14の噴射方向の前方に配置されればよく、絶対的な位置は問わないものであり、噴射ノズル14の噴射方向が上方であれば、その上方に吸液蒸散体15及び通気口が配置されればよい。
【実施例】
【0025】
図1及び図2に示す本装置を製作し、これに基づき試験した実施例及び比較例について説明するが、本発明はこの実施例に限定して理解されるべきではない。
【0026】
まず、表1のエアゾール原液を調整し、各々の割合で噴射剤をエアゾール容器に充填してエアゾールサンプルを作成した(各例においては、同種の香料0.5%を配合している)。作成した各例のエアゾールサンプルを、上記図のエアゾール噴霧装置に装着して試験を行った。なお、本装置の高さは、上部ケーシング18を押し下げていない状態で92mm(押下げ時は90mm)であった。吸液蒸散体には、0.08又は0.10mmの綿ブロードを単体又は重ね合わせて、表1の厚みに調整したもの用いた。
【0027】
試験方法1
試験方法1は、第1回噴射と第2回噴射との臭気の差異を試験するものである。第1回噴射は、同じエアゾールサンプルを幅1.6×1.6m、高さ2mの空間内に配置して、1回噴射するもので、10人のパネラーに噴射直後の臭気を嗅がせる。第2回噴射は、同じエアゾールサンプルを本装置内にセットし、幅1.6×1.6m、高さ2mの空間内に配置して、1回噴射するもので、10人のパネラーに噴射直後の臭気を嗅がせる。第1回噴射(直接噴射)と、第2回噴射(実施例及び比較例)とで、臭気の強さについて同程度の臭気を感じたか否かをパネラーに評価させ、以下の評価基準によって4段階評価し、その結果を表1の判定欄に記載した。
【0028】
評価基準
◎:8人以上が直接噴射と同等の臭気を感じた。
○:5〜7人が直接噴射と同等の臭気を感じた。
△:2〜4人が直接噴射と同等の臭気を感じた。
×:1人以下が直接噴射と同等の臭気を感じた。
※:◎、○の判定を有効な効果が得られたと判定した。
【0029】
試験方法2
試験方法2は、試験方法1の第2回噴射と同じ条件で、上部通気口24の5cm前方にパネラーの手を置いた状態で噴射を行い、「噴射を手に感じなかった」「気にならない程度の僅かな噴射を手に感じた」「噴射を手に感じた」の3段階で10人のパネラーに評価させたところ、全ての実施例及び比較例について、全員が「噴射を手に感じなかった」の評価を行なった。
【0030】
【表1】

【0031】
上記の各実施例については、噴射がなされたことを人体に直接感じさせないにもかかわらず、実質的には直接噴射と同等の噴霧効果を発揮することが確認された。他方、比較例1では、吸液蒸散体の厚みが大きすぎる結果、直接噴射と同等の噴霧効果を得ることができなかった。比較例2では、初留点が100℃以下の溶剤(イソヘキサン)が91.5%しか用いられておらず、直接噴射と同等の噴霧効果を十分に得ることができなかった。比較例3ではエアゾール原液の量が少なすぎる結果、また、比較例4ではエアゾール原液の量が多すぎる結果、それぞれ直接噴射と同等の噴霧効果を十分に得ることができなかった。
【符号の説明】
【0032】
11エアゾール容器
14噴射ノズル
15吸液蒸散体
16ケーシング
17下部ケーシング
18上部ケーシング
19収容空間
20下部空間
21上部空間
22通気口
23下部通気口
24上部通気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器と前記エアゾール容器内の内容物を噴霧する噴射ノズルとを備えた噴射部材と、吸液蒸散体と、ケーシングとを備え、
前記エアゾール容器内の内容物は、初留点が100℃以下の溶剤95%以上からなるエアゾール原液20〜85wt%と、噴射剤15〜80wt%とからなるエアゾール組成物を含むものであり、
前記ケーシングは、前記噴射ノズルから噴霧された前記エアゾール組成物を収容する実質的に閉ざされた収容空間と、前記収容空間とケーシング外部とを導通する通気口とを備え、
前記吸液蒸散体は、前記通気口と前記噴射ノズルとの間に配置されたものであり、
前記噴射ノズルから噴霧された前記エアゾール組成物は、前記吸液蒸散体に一旦吸収されるか前記吸液蒸散体に吸収されずに跳ね返り前記ケーシング内部を循環するかの少なくとも何れかにより、前記通気口からケーシング外部へ放散されるものであることを特徴とするエアゾール噴霧装置。
【請求項2】
前記吸液蒸散体の厚みが0.05〜1.00mmであることを特徴とする請求項1記載のエアゾール噴霧装置。
【請求項3】
前記通気口の位置は前記噴射ノズルより下方に設けられたものを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のエアゾール噴霧装置。
【請求項4】
前記収容空間は、下部空間と上部空間とを備え、
前記下部空間は、下方から上方に向かうに従い横断面積が大きくなるものであり、
前記上部空間は、その下端において前記下部空間に連続するものであり、
前記通気口は、前記下部空間に開口する下部通気口と、前記上部空間に開口する上部通気口とを備え、
前記噴射ノズルは前記上部空間に配置されたものであり、
前記吸液蒸散体は前記噴射ノズルと前記上部通気口との間に配置されたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のエアゾール噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−246008(P2012−246008A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118842(P2011−118842)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(393008821)日進化学株式会社 (16)
【出願人】(591023594)和歌山県 (62)
【Fターム(参考)】