説明

エアゾール容器のガス抜き機構および、このガス抜き機構を備えたエアゾール式製品

【課題】通常タイプおよび定量噴射タイプの何れのエアゾール式製品にも適用できるガス抜き機構を提供することを目的とする。
【解決手段】外部空間への流出弁を構成するステム2およびステムガスケット10を備え、作動モード設定操作に基づいて当該ステムがマウンティングキャップ9の開口部の中を移動し、これにより当該流出弁が開く形のエアゾール容器において、前記ステムの、少なくとも静止モード位置での前記開口部に対応した範囲が含まれる上側部を、噴射用通路が形成された内筒状部2aと、これに取り外し可能な態様で設けられた外筒状部2bとで構成した。ガス抜きの際には、外筒状部2bを取り外した状態の内筒状部2aを静止モード位置のまま横方向に押して前記開口部の範囲内で変位させることにより、前記ステムガスケットとの間にガス抜き用の流出路を形成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール式製品に用いられるガス抜き機構に関する。
特に、静止モード位置でのマウンティングキャップ開口部に対応したステム上側部を、噴射用通路が形成された本体部分と、その外側の部分とで構成し、当該外側部分を外すことによりマウンティングキャップと当該本体部分との間に横方向のいわば遊びが積極的に形成されるようにしたものである。
【0002】
そしてガス抜きの際には、この遊び範囲でステム本体部分を作動モード位置のまま横倒しすることにより、当該本体部分とステムガスケットとの間にガス流出路が設定されることになる。
【0003】
なお、定量噴射タイプのエアゾール式製品では、噴射剤としての液化ガスの作用で、定量室内部の噴射対象物および当該液化ガスのみが外部空間に噴射されることになる。
【0004】
また、この噴射用液化ガスの一部は気化して、利用者が噴射対象物を使いきった後も容器内部に残留する。
【0005】
以上の定量噴射タイプ、すなわちステムが作動モード位置に移行した状態では容器内部と定量室(やその下流側の流出路,外部空間など)との連通状態が遮断されてしまうタイプ、のエアゾール式製品における廃棄前などのガス抜き動作への適用可能性も視野にいれる場合、ステムを作動モード位置に移行させない状態で容器内部の残留ガスを外部空間に放出できることが望ましく、本発明はこのような要請に応えるものでる。
【背景技術】
【0006】
本件出願人は、定量噴射タイプのエアゾール式製品におけるガス抜き機構をすでに提案している(特許文献1参照)。
【0007】
このガス抜き機構は、ステムを作動モード(=定量噴射モード)よりもっと下方の位置(ガス抜きモード位置)まで移動させて、その状態で定量室の流入弁(入力弁)が開状態に設定されように、ステム外周面の周方向に間歇的に溝状部を形成している。定量室流入弁は、環状の弾性弁部材と定量噴射モードにおいてこれが密接するステム外周面とで構成される。
【0008】
そしてガス抜きモードを設定する場合、利用者は、操作ボタン(ステム)を作動モード位置よりさらに押下げればよい。
【0009】
この押下げ操作の結果、ステム外周面の上記溝状部が上記弾性弁部材と対向し、容器内部の残留気化ガスは当該溝状部を通って定量室内部に流入する。定量室に流入した残留気化ガスは作動モード(=定量噴射モード)と同じようにステム内部の縦通路を経て外部空間に噴射される。
【0010】
すなわち、上記提案のガス抜き機構では、ステム(操作ボタン)のいわば操作ストロークの違いにより、ステム外周面の周方向の全体にわたって上記弾性弁部材が密接する作動モード(定量噴射モード)と、当該周方向に間歇的に形成された上記溝状部において上記弾性弁部材との隙間が確保されるガス抜きモードと、を選択できるようにしている。
【特許文献1】特開2005−306459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記提案のガス抜き機構とはステム作動態様についての発想をまったく変えて、定量噴射タイプおよび通常タイプのいずれのエアゾール式製品に対しても確実に作動しえる形の新たなガス抜き機構を提供することを目的とする。
【0012】
すなわち上述のようにステムの操作ストローク長を作動モードとガス抜きモードとで異ならせる(ガス抜きモード>作動モード)のではなく、ステムを内外の筒状部などの複数部材で形成し、ガス抜きモードの設定の際にはこの中の外筒状部を取り外してからステム本体部分(内筒状部)を静止モード位置のまま横方向に傾ける、といったステム作動態様を採りいれたものである。
【0013】
なお、この外筒状部を取り外すことによってステム本体部分(内筒状部)とマウンティングキャップ開口部の縁部分とのクリアランス(間隔)が大きくなり、また、このステム本体部分(内筒状部)のいわば横倒しによってステム本体部分とステムガスケットとの間(=ステムの外側)にガス流出路が形成される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、以上の課題を次のガス抜き機構により解決する。
(1)外部空間への流出弁を構成するステム(例えば後述のステム2)およびステムガスケット(例えば後述のステムガスケット10)を備え、作動モード設定操作に基づいて当該ステムがマウンティングキャップ(例えば後述のマウンティングキャップ9)の開口部の中を移動し、これにより当該流出弁が開く形のエアゾール容器において、
前記ステムの、少なくとも静止モード位置での前記開口部に対応した範囲が含まれる上側部を、噴射用通路が形成された本体部分(例えば後述の内筒状部2a)と、これに取り外し可能な態様で設けられた外側部分(例えば後述の外筒状部2b)とで構成し、
前記本体部分は、前記外側部分が取り外された状態で静止モード位置のまま横方向に押されて前記開口部の範囲内で変位することにより、前記ステムガスケットとの間にガス抜き用の流出路を形成する。
(2)上記(1)において、
前記外側部分として、前記本体部分の周りに取り付けられた筒状部(例えば後述の外筒状部2b)を用いる。
(3)上記(1),(2)において、
前記流出弁として、噴射対象物定量噴射用の定量室の出力弁を用いる。
【0015】
なお、ガス抜きモードの設定に際して取り外されるステム外側部分は、図示のような外筒状部に限定されるものではなく、その取外し状態において上述のマウンティングキャップとの間のクリアランスが確保されるものであればよい。
【0016】
例えばステム本体部分の外周面の一箇所または複数箇所の部分に取り付けられるピース状のものを用いてもよい。
【0017】
本発明は、このような構成からなるガス抜き機構および、当該ガス抜き機構を備えたエアゾール式製品を対象としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、ステムを内外の筒状部などの複数部材で形成し、ガス抜きモードの設定の際にはこの中の外筒状部を取り外してからステム本体部分(内筒状部)を静止モード位置のまま横方向に傾けることにより、ステム本体部分とステムガスケットとの間(=ステムの外側)にガス流出路が形成されるようにしているので、定量噴射タイプおよび通常タイプのいずれのエアゾール式製品に対しても確実にガス抜きを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1乃至図3を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0020】
なお、上述したように本発明は、定量噴射タイプでないいわば通常のエアゾール式製品におけるガス抜き機構にも勿論適用されるものであるが、以下の図面に基づく記載部分では単なる説明の便宜上、「定量噴射タイプのエアゾール式製品におけるガス抜き機構」を対象とする。
【0021】
ここで、
図1は、本発明の定量噴射タイプのエアゾール式製品のガス抜きモード(操作ボタン1および外筒状部2bを取り外したステム2を横方向に傾けてマウンティングキャップ9とのクリアランスを大きくした状態)を示し、
図2は、図1のエアゾール式製品の静止モード(=噴射ボタン5が押圧操作されずに、定量室の入力弁〔流入弁〕は開き、出力弁〔流出弁〕は閉じた状態)および、定量噴射モード(=噴射ボタン5が押圧操作されて、定量室の入力弁は閉じ、出力弁は開いた状態)を示し、
図3は、図1のエアゾール式製品の操作ボタンおよび外側筒状部分を取り外した状態のガス抜き準備モードを示している。
【0022】
以下のアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば通路部分1a)は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素(例えば操作ボタン1)の一部であることを示している。
【0023】
図1〜図3において、
1は利用者の押圧操作に基づき上下動するタイプの操作ボタン,
1aは噴射対象物や噴射剤の通路部分,
1bは当該通路部分に続く噴射孔,
2は定量室の出力弁(流出弁)の構成要素であり、操作ボタン1と嵌合して上下方向に連動するステム,
2aは後述の孔部2dよりも上側の内筒状部,
2bは当該内筒状部の外周面部分に取り外し可能な形で係合するとともに操作ボタン1と嵌合している外筒状部,
2cは噴射対象物や噴射剤の内部通路域,
2dは当該内部通路域と後述のハウジング3の定量室形成用の内部空間域とを連通させる孔部,
2eは当該孔部より下方の外周面に形成されて後述のコイルスプリング5を受ける環状段部(天井面部分),
3はステム2の下端面部分と係合(嵌合)したスティック状のステム延長用部材,
3aは定量室の入力弁(流入弁)の構成要素であって後述の被シール部分7bに対する閉塞機能を備えたシール作用面(下端側外周面),
4はステム2を上下動可能な形で収容する筒状のハウジング,
4aは大径の上側筒状部,
4bは小径の下側筒状部,
4cは当該上側筒状部と当該下側筒状部との境界ともいえる内周面側の環状段部,
4dは当該下側筒状部の外周面の周方向に連続してまたは間歇的に形成された係合用の凸状部,
5はステム2の環状段部2eとハウジング3の環状段部3cとの間に配設されて当該ステムを上方向に付勢するコイルスプリング,
6はハウジング4と嵌合して定量室形成用の付加ユニットを構成する上カバー体,
6aは中央筒状部,
6bは当該中央筒状部の上側内周面の周方向に連続してまたは間歇的に形成された係合用の凹状部(ハウジング4の凸状部4dに対応),
6cは当該中央筒状部の外方に形成された環状垂下部,
6dは当該環状垂下部の下側外周面の周方向に連続してまたは間歇的に形成された係合用の凸状部,
7は上カバー体6に嵌合して定量室形成用の付加ユニットを構成する下カバー体,
7aは中央筒状部,
7bは定量室の入力弁(流入弁)の構成要素であって当該中央筒状部の内周面に形成された環状の被シール部分,
7cは当該中央筒状部の外方に形成された環鞘状部,
7dは当該環鞘状部の外側内周面の周方向に連続してまたは間歇的に形成された係合用の凹状部(上カバー体6の凸状部6dに対応),
8は下カバー体7のシール作用部分7bによって画定される定量室入口側の開口域,
9は周知のエアゾール容器本体(図示省略)の開口端部側に取り付けられたマウンティングキャップ,
10は定量室の出力弁(流出弁)の構成要素であり、ハウジング4の上側開口部分とマウンティングキャップ9の開口部側天井面との間に取り付けられて当該ハウジングの内部空間域のシール作用を呈するステムガスケット,
11はステム2の外筒状部2bが取り外された後の内筒状部2aとマウンティングキャップ9との間のクリアランス(隙間)に差し込んで当該内筒状を横倒ししてガス抜きモードに保持するための棒状,筒状の治具,
12は下カバー体7の中央筒状部7aに取り付けられた噴射対象物流入用のチューブ,
Aはガス抜きモードにおける残留ガスの概略的な流れ,
Bは静止モードへの移行初期段階における容器本体から定量室(=開口域8からステムガスケット10にいたる内部空間)への噴射対象物の概略的な流れ,
Cは定量噴射モードにおける定量室から外部空間への噴射対象物の概略的な流れ,
をそれぞれ示している。
【0024】
ここで、操作ボタン1,ステム2,ステム延長用部材3,ハウジング4,上カバー体6,下カバー体7,治具11およびチューブ12などはポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【0025】
また、コイルスプリング5は金属製やプラスチック製のものであり、マウンティングキャップ9は金属製のものであり、ステムガスケット10はプラスチック製やゴム製のものである。
【0026】
図示のガス抜き機構における基本的な特徴は、通常は単一部材からなるステム2の上側部分(マウンティングキャップ9とのクリアランスが生じる範囲を含む上側部分)が、噴射対象物などの通路部分を備えた内筒状部2aと、これに取り外し可能な形で取り付けられた外筒状部2bと、から構成されていることである。
【0027】
そしてこの構成により、
(11)ガス抜きモードに設定されていない状態(静止モードや定量噴射モード)では内筒状部2aおよびこれと一体の外筒状部2bにより通常のステム形態(図2参照)をとり、
(12)ガス抜きモードへの移行に際しては、先ず操作ボタン1およびこれと強めに嵌合している外筒状部2bの一体物を内筒状部2aから図示上方にいわば引き抜くことにより、外筒状部2bが捨象されてマウンティングキャップ9とのクリアランスが大きくなったガス抜き準備モードのステム形態(図3参照)とし、
(13)次に、このクリアランス部分に治具11を差し込んで内筒状部2aの部分を横倒しにし、この状態を保持している(図1参照)。
【0028】
また、この横倒し状態では、ステム2(ステム延長用部材3)の上下方向位置は静止モードのそれと同じであり、上記定量室の入力弁(流入弁)として作動するステム延長用部材3のシール作用面3aと下カバー体7の被シール部分7bとは離間している。すなわち定量室入口側の開口域8は閉塞されずに開放されている。
【0029】
そのため、容器本体内部の残留ガス(上述の気化ガス)は、図1の矢印Aで示されるように「チューブ12−開口域8−ステム延長用部材3の外周面と中央筒状部6a(上カバー体6)の内周面との間の環状域−ハウジング4の内部空間−横倒し状態の内筒状部2a(ステム2)とステムガスケット10との形成されるガス流出路」の流れによって、外部空間に放出される。ここで筒状の治具11を用いる場合、残留ガスはこの治具内部空間も通過する。
【0030】
上カバー体6と下カバー体7との間の定量室部分の残留ガスも勿論「ステム延長用部材3の外周面と中央筒状部6a(上カバー体6)の内周面との間の環状域−ハウジング4の内部空間−横倒し状態の内筒状部2a(ステム2)とステムガスケット10との形成されるガス流出路」の流れによって、外部空間に放出される。
【0031】
定量バルブ機構を持つエアゾール式製品では上述のようには液化ガス(圧縮ガス)が用いられる。
【0032】
図2(b)の静止モードの場合、ステム2はコイルスプリング5の作用によってステムガスケット10と密接した被シール状態にあり、定量室入口側の開口域8は開状態になっている。
【0033】
そのため容器本体の噴射対象物は、液化ガスの作用によりチューブ12を介した概略B方向の流れで付加ユニットの内部空間域(=上カバー体6,下カバー体7およびステム延長用部材3によって画定されるエリア)とハウジング3の内部空間域とからなる定量室に流入して、そこに収容される。
【0034】
そして操作ボタン1が押圧されると、ステム2およびステム延長用部材3がコイルスプリング5の弾性力に抗しながら下動して定量噴射モード(b)に移行する。
【0035】
すなわちステム延長用部材3(ステム2)の下動にともない、そのシール作用面3aが下カバー体7の被シール部分7bに密接して定量室入口側の開口域8を閉じ、かつ、それまでのステム2とステムガスケット10とのシール状態が解除される。
【0036】
その結果、ハウジング3の内部空間域がステム2の孔部2d,内部通路域2cおよび操作ボタン1の通路部分1a,噴射孔1bを介して外部空間と連通する。
【0037】
そしてハウジング3の内部空間域の上流側である付加ユニットの定量室空間域(内部空間域)も勿論、当該ハウジング内部空間域を介して容器外部空間と連通する。
【0038】
この連通により、静止モードの定量室に入っていた所定量の噴射対象物はそれといわば混在している液化ガスの作用により概略B方向の流れで噴射孔1bから外部空間に放出される。
【0039】
ここで上カバー体6の中央筒状部6aはその下端部分が下カバー体7の定量室底面の近傍まで延びる形で設定されているため、当該中央筒状部とその外方の環状垂下部5cとの間の追加内部空間域(=定量室の主要空間域)の上側部分に収容されていた内容物は、必然的にいったん下降して中央筒状部6aの下端部分と下カバー体7の上面(定量室底面)との隙間部分を通ってから当該中央筒状部の内側域を上昇していくことになる。
【0040】
そのため、一般にはステム2の孔部2dから遠くて内容物が容器外部空間に放出されずに残留したままとなりやすい上記定量室底面部分においても、そこの保持内容物は、この「下降−上昇」の流れにいわば引きずられる形で確実に噴射される。
【0041】
操作ボタン1の押圧操作の終了にともないステム2がコイルスプリング5の弾性力によって(b)の静止モード位置に復帰する。
【0042】
なお、図示の定量室形成用の付加ユニット(上カバー体6および下カバー体7)やステム延長用部材3を設けない通常タイプ、例えばハウジング4の下端開口部側にチューブ12が取り付けられたタイプのエアゾール式製品の場合にも、図1の態様のガス抜きモードを設定できることは勿論である。
【0043】
本発明が適用されるエアゾール式製品としては、消臭剤,洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0044】
容器本体に収納する噴射対象物は、例えば、水,粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分などである。
【0045】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0046】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0047】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0048】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0049】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼインなどを用いる。
【0050】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0051】
さらに、上記噴射対象物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0052】
エアゾール式製品における内容物噴射用ガスとしては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の定量噴射タイプのエアゾール式製品のガス抜きモード(操作ボタン1および外筒状部2bを取り外したステム2を横方向に傾けてマウンティングキャップ9とのクリアランスを大きくした状態)を示す説明図である。
【図2】図1のエアゾール式製品の静止モード(噴射ボタン5が押圧操作されずに、定量室の流入弁は開き、流出弁は閉じた状態)および、定量噴射モード(噴射ボタン5が押圧操作されて、定量室の流入弁は閉じ、流出弁は開いた状態)を示す説明図である。
【図3】図1のエアゾール式製品の操作ボタンおよび外側筒状部分を取り外した状態のガス抜き準備モードを示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1:操作ボタン
1a:通路部分
1b:噴射孔
2:ステム
2a:内筒状部
2b:外筒状部
2c:内部通路域
2d:孔部
2e:環状段部(天井面部分)
3:ステム延長用部材
3a:シール作用面
4:ハウジング
4a:大径の上側筒状部
4b:小径の下側筒状部
4c:環状段部
4d:係合用凸状部
5:コイルスプリング
6:上カバー体
6a:中央筒状部
6b:凹状部(ハウジング4の凸状部4dに対応)
6c:環状垂下部
6d:係合用凸状部
7:下カバー体
7a:中央筒状部
7b:環状の被シール部分
7c:環鞘状部
7d:係合用凹状部(上カバー体6の凸状部6dに対応)
8:定量室入口側の開口域
9:マウンティングキャップ
10:ステムガスケット
11:棒状の治具
12:チューブ
A:ガス抜きモードにおける残留ガスの概略的な流れ
B:静止モードへの移行初期段階における噴射対象物の概略的な流れ
C:定量噴射モードにおける噴射対象物の概略的な流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部空間への流出弁を構成するステムおよびステムガスケットを備え、作動モード設定操作に基づいて当該ステムがマウンティングキャップの開口部の中を移動し、これにより当該流出弁が開く形のエアゾール容器において、
前記ステムの、少なくとも静止モード位置での前記開口部に対応した範囲が含まれる上側部を、噴射用通路が形成された本体部分と、これに取り外し可能な態様で設けられた外側部分とで構成し、
前記本体部分は、前記外側部分が取り外された状態で静止モード位置のまま横方向に押されて前記開口部の範囲内で変位することにより、前記ステムガスケットとの間にガス流出路を形成する、
ことを特徴とするエアゾール容器のガス抜き機構。
【請求項2】
前記外側部分は、前記本体部分の周りに取り付けられた筒状部である、
ことを特徴とする請求項1記載のエアゾール容器のガス抜き機構。
【請求項3】
前記流出弁は、噴射対象物定量噴射用の定量室の出力弁である、
ことを特徴とする請求項1または2記載のエアゾール容器のガス抜き機構。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のガス抜き機構を備え、かつ、噴射用ガスおよび噴射対象物を収容した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−265794(P2008−265794A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109710(P2007−109710)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】