エアゾール容器の指示装置
【課題】 従来の薬剤入り容器に設けられる指示装置における、例えば、組み立てが困難で製造に費用のかかり、計数上の誤差の影響を受けやすい、等の欠点を解消すること。
【解決手段】 容器から投与されたか、又は容器内に残っている計量された投与の回数を表示する表示装置であって、容器に取り付けられるようになされた第1の部材と;所定軸線に沿って第1の部材に対して相対的に移動可能とされた第2の部材と;第1の部材と第2の部材との間に配置され、所定軸線と同じ方向に伸びる長手方向軸線の回りを回転可能である表示部材と;長手方向軸線に実質的に垂直な軸線の周りで回転可能とされ、第2の部材が第1の部材に対して所定軸線に沿って1以上の所定回数移動されることに応じて、表示部材を一増分だけ回動させる駆動部材とを有することを特徴とする表示装置。
【解決手段】 容器から投与されたか、又は容器内に残っている計量された投与の回数を表示する表示装置であって、容器に取り付けられるようになされた第1の部材と;所定軸線に沿って第1の部材に対して相対的に移動可能とされた第2の部材と;第1の部材と第2の部材との間に配置され、所定軸線と同じ方向に伸びる長手方向軸線の回りを回転可能である表示部材と;長手方向軸線に実質的に垂直な軸線の周りで回転可能とされ、第2の部材が第1の部材に対して所定軸線に沿って1以上の所定回数移動されることに応じて、表示部材を一増分だけ回動させる駆動部材とを有することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、エアゾール容器から小出しされた又はエアゾール容器内に残っている計量された投薬量又は投与量の回数を指示する指示装置に関し、特に、エアゾール容器に取り付けられるようになった指示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小出しされた計量済の投与量の回数を指示するため又は残っている投与量の回数を指示するための投与量指示装置を有するエアゾール式小出し容器が開発された。例えば、患者は、エーロゾルの状態で小出しされ吸入することにより患者に投与される薬剤を用いて治療が施される状況にある。一方法として、薬剤入りのエーロゾルを容器内に入れ、吸入器具又はブーツ形アクチュエータ(以下、「アクチュエータブーツ」と言う)を用いて計量又は測定された投与量の状態で小出しされる。かかる構成では、患者は、容器内に残っている計量された投与量の回数を知ることにより又は容器から既に小出しされた回数を知ることにより容器内に残っている計量された投与量の回数を確かめることができ、薬剤を必要とするときに容器が空であることを知らないでいることがないようにすることが重要である。かくして、吸入器具は、容器内に残っている投与量の回数又は容器から既に小出しされた投与量の回数のいずれかを正確に指示できることが重要な場合がある。
【0003】
代表的には、従来型エアゾール容器は、本体及び薬剤を含むエーロゾルの計量された投与量を放出するよう本体に対して押し下げることができる弁棒を有している。一般に、容器には、所定回数分、一般に約200回分の計量された投与量が入っており、したがって弁棒の押下げ回数及びかくしてこれと対応した小出しされた計量済の投与量の回数をカウントすることと容器内に残っている投与量の回数との間には極めて緊密な相関性を認めることができる。
【0004】
使用にあたり、容器を代表的には、弁をハウジング内の支持ブロックに係合させた状態の吸入器具のハウジング内に入れる。ユーザは、容器をハウジングに対して動かすことにより弁棒及び内部弁を押し下げ、それにより計量された投与量を放出することにより薬剤を投与するが、計量された投与量は代表的には、ハウジングから延びるポート又はマウスピースを通ってユーザに投与される。投与量を投与した後、代表的にはばね押し式の弁棒が、容器を支持ブロックから押し離して再び容器をハウジングに対して動かす。このようにして、計量された薬剤の投与量が、ハウジングに対する容器の直線往復動のサイクルごとに投与される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薬剤入り容器に取り付けられるアクチュエータブーツ又は他の装置の中には、ハウジングに対する容器の直線往復運動を指示装置の一方向又は単一サイクルの運動に変換する指示装置を有するものがあり、指示器は、容器の相対的充填度、容器内に残っている計量された投与量の回数又は既に投与された投与量の回数を識別する。指示器又は別個の指示装置を備えたこれらアクチュエータブーツは、一般に投与量の回数の追跡状態を保つことができるという利点があるが、改良の余地がある。例えば、この種の指示装置は、組み立てが困難で製造に費用のかかる構造の複雑な可動部品を有する場合がある。かかる装置は、割り出し又は嵌合部品の構成に起因して、計数上の誤差の影響を受けやすく、或いは比較的大きな又は多くの可動部品を収納する過度に広い空間をハウジング内に必要とする。他の指示装置は、吸入器具から小出しされている薬剤を含む空気流を妨げ又はこれを邪魔をする場合がある。変形例として、小出し量をカウントし又は記録する電気回路を用いる装置もある。しかしながら、かかる装置は、製造に比較的費用がかかり、一般に、種々の環境、例えば湿気の多い状況では損傷しやすい場合もある電源を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要を述べると、本発明は、容器から小出しされた又は容器内に残っている計量された投与量の回数を指示する指示装置に関する。この容器は、これから長手方向に延びる弁棒を有し、この弁棒は、閉鎖位置と開放位置との間で動くことができる。この容器は、弁棒を開放位置に動かすと、計量された投与量を小出しする。指示装置は、容器に取り付けられるようになったベース部材と、ベース部材に可動的に連結されたキャップ部材と、キャップ部材に回転自在に取り付けられた指示部材と、キャップ部材がベース部材に対して所定回数の軸方向運動を行うと、指示部材を一刻みの量回転させるようになった駆動部材とを有する。
【0007】
好ましい実施形態では、キャップ部材は、軸方向経路に沿ってベース部材に対して動くことができる。指示部材は、複数の歯を有し、この指示部材は、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向に対して実質的に平行な軸線の回りに回転自在にキャップ部材に取り付けられている。駆動部材を含む駆動機構は、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向運動によって定められる軸線に実質的に垂直な軸線の周りに回転自在にベース部材とキャップ部材のうち一方に取り付けられた爪車を有する。駆動部材は、爪車と同軸状に設けられ、爪が、キャップ部材及びベース部材のうち一方に取り付けられている。爪は、キャップ部材がベース部材に対して軸方向運動を行うために、爪車に選択的に係合し、爪車及び駆動部材を一刻みの量回転させる。駆動部材は、キャップ部材がベース部材に対して所定回数の軸方向運動を行うと、指示部材の複数の歯のうち少なくとも1つに選択的に係合し、指示部材を一刻みの量回転するようになっている。
【0008】
別の特徴によれば、指示装置は、第1及び第2の指示部材を有し、第1及び第2の指示部材は各々、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向に実質的に平行な軸線の回りにキャップ部材に取り付けられている。第1の指示部材は、第1の指示部材が使用サイクルを完了すると(これは、指示装置及びこれに取り付けられた容器が完全に一回使用されたことを示す)、第2の指示部材に選択的に係合し、第2の指示部材を一刻みの量回転するようになっている。好ましい実施形態では、第1の指示部材は、容器から小出しされた又は容器内に残っている投与量の回数を指示する投与量指標を有し、第2の指示部材は、指示装置について完了した使用サイクルの回数、又は指示装置について残っている使用サイクルの回数を指示する使用回数指標を有している。
【0009】
さらに別の特徴によれば、指示装置は、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向に対し実質的に平行な軸線の回りにキャップ部材に取り付けられた第1の指示部材及びベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向に対し実質的に垂直な軸線の回りにキャップ部材とベース部材のうち一方に取り付けられた第2の指示部材を有している。好ましい実施形態では、第1の指示部材と第2の指示部材の両方は、容器から小出しされた又は容器内に残っている投与量の回数を指示する投与量指標を有し、第2の指示部材は、ベース部材に対するキャップ部材の各軸方向運動に応答して一刻みの量回転し、第2の指示部材は、ベース部材に対するキャップ部材の所定回数の軸方向運動を行うと一刻みの量回転する。
【0010】
別の特徴によれば、指示装置は、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向に対して実質的に平行な軸線の回りにキャップ部材に取り付けられた第1及び第2の指示部材と、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向に対して実質的に垂直な軸線の回りにキャップ部材に取り付けられた第3の指示部材とを有している。好ましい実施形態では、第1及び第3の指示部材は、投与量指標を有し、第2の指示部材は好ましくは、使用回数指標を有している。
【0011】
さらに別の特徴によれば、指示装置は、駆動部材及び指示部材のうち一方に連結されたリセット部材を有している。リセット部材を回転させると、指示部材をベース部材に対するキャップ部材の軸方向運動とは無関係に、キャップ部材に対して動かすことができる。
【0012】
本発明の別の特徴によれば、容器から小出しされた又は容器内に残っている計量された投与量の回数を指示する方法が提供される。この方法は、容器を可動的に支持するハウジングを準備する段階と、キャップ部材、ベース部材及びキャップ部材に回転自在に取り付けられた指示部材を有する指示装置を準備する段階とを有する。この方法はさらに、キャップ部材をベース部材に近づけて容器を長手方向軸線に沿って移動させ、それにより弁棒を、計量された投与量が放出される開放位置に動かす段階と、指示部材を、ベース部材に対するキャップ部材の運動に応答して動かす段階とを有する。
【0013】
好ましい実施形態によれば、この方法は、キャップ部材をベース部材に近づける段階とキャップ部材をベース部材から遠ざける段階のうちいずれか一方を行うと、爪車を爪に係合させる段階と、指示部材を駆動部材に係合させて指示部材を回転させる段階とを更に有する。
【0014】
さらに別の特徴によれば、容器から計量された投与量の薬剤を小出しするディスペンサーを組み立てる方法が提供される。この方法は、ハウジングを準備する工程と、容器をハウジング内に配置する工程と、指示装置を容器に取り付ける工程とを有する。
【0015】
本発明は、他のエアゾール式小出し容器及びこれに用いられる指示装置に対して顕著な利点をもたらす。特に、指示装置は、別個に製造でき、これを必要に応じて、多種にわたる従来型エアゾール容器に取り付けることができ、この場合、容器又はハウジングに関して必要な設計変更は殆どないか、或いは全く無い。さらに、指示部材及び駆動機構を備えた指示装置は、製造及び組立が比較的容易な比較的少数で構造が簡単な機械部品で構成される。このようにすると、指示装置を一層頑丈に作ることができ、しかもユーザ側の種々の悪環境にさらされても損傷しにくい。加うるに、駆動機構及び指示部材は、容器から小出しされた又は容器内に残っている投与量の回数を指示する信頼性の高い指示装置を構成し、かかる指示装置は小出し装置の使用を邪魔しない比較的コンパクトな形態で作ることができる。
【0016】
本発明の内容は更に別の目的及び利点と共に、添付の図面と関連して以下の詳細な説明を読むと最もよく理解できよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面を参照し、特に図31及び図32を参照すると、エアゾール式ディスペンサが、ハウジング200又はアクチュエータブーツ及びこの中に設けられた容器12を有するものとして示されている。ハウジングは、容器を受け入れるような形状になった長手方向に延びるキャビティ202を有している。ハウジングの頂部は全体が開口していて、容器を開口部204を通ってハウジング内に挿入して、容器の底端部14がハウジングから突出して作動のためにユーザに露出される状態でハウジング内に取り付けることができるようになっている。
【0018】
本明細書で用いる「長手方向」及び「軸方向」という用語は、ハウジングに対する容器の往復運動の方向やベース部材に対する指示装置のキャップ部材の方向を示すものとする。「頂(又は上)」、「底(又は下)」、「上方」及び「下方」という用語は、図示の吸入装置を見たときの方向を示すものとするが、容器は、その頂面がハウジングの底部に隣接して位置したり、またその逆の関係になるように逆さまにされることは理解されたい。さらに、ユーザは容器及びディスペンサを任意の数の位置で用いることができることは理解されるべきであり、かかる位置としては、図31及び図32に示す好ましい直立位置が挙げられるが、これには限定されない。
【0019】
図31及び図32に示すように、井戸状の穴214を有する円筒形支持ブロック212が、ハウジングの底部206に形成されている。オリフィス210が、支持ブロックを貫通していて井戸状の穴の底部と連通している。一実施形態では、患者の口に挿入されるようになったマウスピース208が、オリフィス及び井戸状の穴と連通する排出ポート216を形成している。マウスピース208は、ハウジングから横方向に延びてマウスピースを患者の口の中に挿入しやすくしている。
【0020】
容器12は円筒形であり、その頂面17にはハブ16が設けられている。弁棒18が、ハブから長手方向に延びている。弁棒は、容器から同軸状に延び、容器の弁棒内に設けられたばね(図示せず)によってこれから外方に付勢されている。容器12は、弁棒18を支持ブロックの井戸状の穴214に圧力嵌めすることによりハウジング内に取り付けられている。
【0021】
好ましい実施形態では、容器12は、弁棒18を伸長閉鎖位置から押下げ開放位置に押し下げ又は動かすことにより容器から特定の計量された投与量で小出しされる加圧状態の薬剤を含むエーロゾルで満たされている。1回分の計量された投与量が、弁棒を長手方向に往復動させるたびに容器から小出しされる。
【0022】
動作原理を説明すると、弁棒を開くには、容器12を、弁棒及び容器の往復運動によって定められる長手方向軸線に沿ってハウジング200内で往復運動させ、容器の底端部14をハウジングに対して押し下げて、弁棒18が支持ブロックによって井戸状穴内で支持されている時に弁棒18を開放位置に動かす。弁棒を開放位置に動かすと、容器は、井戸状穴214及びオリフィス210を通って計量された投与量の薬剤を含むエーロゾルを小出しする。薬剤を含むエーロゾルを次に、自動発生空気流又は支援空気流によってマウスピースの排出ポート216を通って患者に送り出す。
【0023】
他の送出しシステムでは、ハウジング及び容器のホルダーが、出力端部を備えた室を有する部品に取り付けられるようになっている。かかる種類の送出しシステムの例が、例えば1991年5月7日に発行された米国特許第5,012,803号及び1984年9月11日に発行された米国特許第4,460,412号に示されており、これら2つの米国特許の内容を本明細書の一部を形成するものとしてここに引用する。(引用により本明細書の一部として組み込むというプラクティスを理由としては、米国特許のいずれにも明示又は黙示の実施許諾権が生じることはない。)これらの種類の送出しシステムでは、室を有する部品をハウジングのマウスピースを受け入れるように改造してもよく、或いはこれを容器を支持するホルダーに一体に連結してもよい。いずれの実施形態でも、エーロゾル中の薬剤の計量された投与量はまず最初に容器から室内に小出しされ、しかる後患者によって吸入される。
【0024】
好ましい実施形態では、容器12は、所定回数分の計量された投与量の薬剤を小出しするようになっている。例えば、従来型吸入器容器は一般に、約100〜200回分の計量された投与量を収容保持する。しかしながら、利用可能な投与量の範囲は潜在的に、例えば容器の容量及び(又は)投与量計量弁のサイズに応じて1回分という少ない投与量から500回分以上という多い投与量まで様々であってよい。使用にあたり、患者が容器内に残っている計量された投与量の回数を知ることが重要な場合があり、したがって患者が薬剤を必要な場合に容器が空になっていることを知らないことがないようにする。
【0025】
次に、全体的に図面を参照すると、投与量指示装置が示されている。指示装置10は、容器から小出しされた又は容器内に残っている計量された投与量の回数を指示する。図1〜図3A、図10及び図11の実施形態にそれぞれ示すように、指示装置10,200,500は、第1の部材としてのベース部材40,540内に設けられた第2の部材としてのキャップ部材20,220,520で構成された指示装置ハウジングを有している。ベース部材40は、容器12の底部に取り付けることができるように構成されている。図2、図6及び図12〜図17に示す第1の実施形態では、ベース部材は、凸状又は湾曲した底部50又はフロアを有し、この底部50は、凹状又は内側に湾曲した輪郭(図2参照)を有する容器の底端部14内に受け入れられてこれと嵌合するような形状になっている。ベース部材40は好ましくは、接着剤、両面テープ又はこれと類似した結合剤で容器の底部に結合される。図6及び図10〜図15に示すように、円周方向スカート部材94が、ベース部分から上方に延びてキャビティ96を形成している。
【0026】
変形例として、図25に示すように、ベース部材140は、底部150、下方に延びる(垂下した)円周方向スカート152及び上方に延びる円周方向スカート156を有している。垂下したスカート152は、容器の底端部を受け入れるような形状の凹部又はキャビティ154を形成している。ベース部材は、底部又はスカートのうち1又は2以上容器に結合することにより、或いは容器をキャビティ154内に圧力嵌めして容器と垂下したスカートとの間に締り嵌め関係を生じさせることにより容器に取り付けられる。上方に延びるスカート156及び底部は、下方キャビティ154の上に位置する上方キャビティ158を形成している。
【0027】
図29〜図32に示す更に別の実施形態では、アダプタ部材90が、接着、締り嵌め、スナップ嵌め又はねじ結合により上述のベース部材のうち1つに取り付けられている。アダプタ部材90は好ましくは、円筒形の形態をしており、容器の底端部を受け入れるような形状の円周方向スカート92を有している。この場合もまた、アダプタを接着、締り嵌め又はこれら両方により容器に取り付けるのがよい。内径が互いに異なるアダプタを揃えておいてモジュール式ベース部材を有する単一の指示装置を種々の外径を有する種々のエアゾール容器に取り付けることができるようにするのがよい。
【0028】
変形例として、図57に示すように、ベース部材1040は、凹部1154を形成する下方に延びる円周方向スカート1152を有している。スカート1152は、ベース部材1040に種々の内径を作る1又は2以上の段部1155又は肩を有している。このように、単一のベース部材1040を、種々の直径の容器に用いることができる。スカート1152に2つの内径部を形成するよう段部を1つしか示していないが、ベース部材は摩擦嵌めにより種々の容器を受け入れるような寸法の複数の種々の内径をもたらすよう追加の段部を有するように構成してもよいことは理解されるべきである。スカート1152もまた、複数の切欠き又はスリット1153を有するよう構成されており、かかる切欠きにより、薬剤又はエーロゾルが小出しされている領域にベース部材が密接して位置する実施形態では、ベース部材の周りの空気流を多くすることができる。
【0029】
開示した容器及び指示装置、特にキャップ部材及び指示装置、特にキャップ部材及びベース部材は、好ましくは円形横断面を有するものとして示されているが、当業者であれば、任意のアダプタを含む容器及び指示装置を他の形状にしてもよいことは理解されるべきであり、かかる形状としては、矩形又は三角形横断面が挙げられるが、これらには限定されない。
【0030】
図1、図1A及び図1Bに最もよく示されているように、キャップ部材20は、視認用窓34,39が設けられた頂部52を有している。好ましくは、キャップ部材20は円形であり、視認用窓は、キャップ部材の下に指示された指示部材の頂部に付けられた指標の上に位置するようキャップ部材の外周部に隣接して頂部に設けられている。視認用窓を、多種多様な形状で作ることができる。例えば、視認用窓34を、図1に示すようにテーパを付けてもよく、或いは、図1A及び図1Bに示すように同軸状の内側と外側の湾曲した境界57,58及び半径方向側方の境界56によって境界づけられた弧状窓59であってもよい。キャップ部材の頂部は好ましくは、ユーザの親指又はその他の指でつまむ又は掴むことができるパターンを形成する複数の隆起部分54を有している。このようにすると、ユーザは、滑らないでキャップ部材をしっかりと押し下げることができる。当業者であれば分かるように、他のパターン又は掴みやすい表面、例えばローレットパターンをキャップ部材に施して指示装置を使いやすくしてもよい。
【0031】
図4、図6、図38及び図44を参照すると、キャップ部材20,220,1020,2020は、頂部52,252,1052,2052から下方に延びる又は垂下した円周方向スカート92,292,1092,2092を有している。スカートは好ましくは、ベース部材の上方の延びるスカートよりも直径が小さく、したがってキャップ部材のスカートはベース部材の上方に延びるスカート内に嵌まり込むようになっている。変形例として、ベース部材のスカートよりも直径の大きなスカートを持つようにキャップ部材を形成してベース部材のスカートがキャップ部材のスカートに嵌まり込むようにしてもよい。キャップ部材20,220,1052,2052は、スナップ嵌めによりベース部材40,1040,2040に可動状態で取り付けられている。
【0032】
特に、図5、図6、図7、図9、図10、図16及び図44に示すように、キャップ部材は、スカートの円周方向外面から延びる複数の係合部材28,228を有している。キャップ部材をベース部材の凹部又はキャビティ96内に軸方向に挿入してテーパした表面を有する係合部材28,228がベース部材のスカートのリムを越えて摺動し、ついには係合部材がベース部材のスカートの円周方向内面に沿って形成された複数のポケット43内に嵌まり込んでスナップロック嵌め状態が得られるようにする。特に、係合部材の上面は、ポケットの頂部を構成する係合面45に係合する。このようにすると、キャップ部材は、ベース部材に対して軸方向又は長手方向の経路に沿って動くことができる。変形例として、ベース部材のリムを内方へ僅かに湾曲させて係合部材が内方に湾曲したリム部分に係合してキャップ部材がベース部材から分離しないようにしてもよい。
【0033】
ベース部材40に対するキャップ部材20,220,1020,2020の軸方向運動は、係合部材が完全伸長位置でベース部材のポケットの頂部(又は、ベース部材のリム)と係合し且つキャップ部材のスカートの底部リム21,221,1021,2021が例えば図12〜図15に示すようにストロークの下限のところで底部の上面に係合することにより制限又は拘束される。当業者であれば理解できるように、変形例として係合部材をベース部材のスカートに形成してキャップ部材のスカートに設けられたポケット又は開口部、或いはリム(又はこれに類似した突出部)に係合するようにしてもよい。
【0034】
図6、図9、図16及び図17に示すように、ばね100は、キャップ部材とベース部材との間に設けられている。ばねは好ましくは、キャップ部材の下方に延びるハブ部分30,230(図4及び図6に示す)及びベース部材の上方に延びるハブ部分44(図10、図16及び図17に示す)内に設けられ、これらハブ部分は、入れ子状になる。変形例として、図25に示すように、ばね300は、キャップ部材とベース部材との間に設けられ、このばねは、コイルがキャップ部材のスカート392の円周方向内面に隣接して位置するようなサイズのものである。ばね100,300は、戻し機構として機能し、キャップ部材60,260,360をベース部材内で上方に付勢してキャップ部材の係合部材28,228がベース部材のポケットの上方部分に係合するようにする。図面には圧縮ばねが示されているが、皿座金形ばね、片持ばりばね、トーションばね、板ばね及び(又は)引張ばねも又、キャップ部材を上方に付勢してこれをベース部材に係合させるよう働くことは理解されるべきである。ばねは、金属又はプラスチック製であるのがよい。
【0035】
図4、図5、図16、図17及び図45に示すように、キャップ部材とベース部材との間で働く戻し機構は、キャップ部材から下方に延びる複数の弾性アーム部材400,2400を有している。キャップ部材をベース部材に向かって動かすと、アーム部材のうち1又は2以上が、ハブ部分44の外側部分に沿って形成された傾斜した付勢面402に係合する。傾斜した付勢面は、キャップ部材がベース部材に向かって動くにつれて弾性アーム部材のうち1又は2以上を外方に付勢する。図4及び図5の実施形態に示すように、6本のアーム部材400が、ハブ部分30の周りに円周方向に配置されている。変形例として、図39の実施形態に示すように、6本のアーム部材1400が、ハブ1030の周りに“X”パターンで配置されていて、スペースを節約すると共にキャップ部材1020の下に空きスペースを別途作っている。これと対応した傾斜部又は傾斜した付勢面がベース部材1140に同様に設けられている。弾性アーム部材は、片持ばりばねとして働いて、ユーザがキャップ部材を離すと、キャップ部材をベース部材から押し離す。当業者には理解できるように、弾性アーム部材をベース部材上に形成してこれがキャップ部材に形成された傾斜面に係合するようにしてもよい。また、当業者には理解できるように、ばね及び弾性アーム部材を図16及び図17に示すように一緒に用いてもよく、或いは別個に用いてもよい。さらに、1又は2以上のアーム部材及び(又は)傾斜部を用いてもよく、この場合アーム部材及び(又は)傾斜部材の寸法形状は、キャップ部材とベース部材との間に一層広い空間が得られるよう設計変更される。
【0036】
図4、図6及び図44に示すように、キー部材32,232又は心合せリブが、キャップ部材のハブ部分30,230から半径方向に延びている。図10に示すように、キー穴47又はスロットが、ベース部材のハブ部分44の半径方向に延びる部分に形成されている。このスロットは、ハブ部分に形成された開口部から半径方向に延びている。組立て中、キャップ部材のキー部材をベース部材のキー穴に嵌め込んでこれらが互いに回転しないようにする。
【0037】
図4〜図9、図12〜図15、図38、図40及び図44〜図46の種々の実施形態を参照すると、投与量指示部材60,260,1060,2060が、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向運動に実質的に平行な軸線の周りでキャップ部材20,220,1020,2020内に回転自在に設けられている。指示部材は全体として中央が開口しており、この指示部材は、キャップ部材の頂部の底面に沿って回転自在に摺動する上面を備えた頂部76,276,1076,2076を有している。変形例として、指示部材をキャップ部材の外部に取り付けてもよく、この場合キャップ部材の頂部に付けられた指標を見るための視認用窓が指示部材に形成される。
【0038】
図5、図6、図38及び図44の実施形態に示すように、指示部材60,260,1060,2060は、頂部から下方に延びる円周方向スカート74,274,1074,2074を有している。図5及び図8を参照すると、複数の突出部26,226又は係合ハブ部材が、キャップ部材のスカートの円周方向内面から延びていて、指示部材のスカートの底部に形成されたリム64,264に係合する。変形例として、指示部材は、キャップ部材に設けられた溝又はこれと類似した開口部に嵌まる係合部材又はリムを有していてもよい。このようにすると、指示部材はキャップ部材に、これらの相対的な軸方向運動を防止するよう固定されるが、指示部材はキャップ部材に対して回転することができる。指示部材は、これをキャップ部材内にスナップ嵌めすることにより取り付けられる。当業者には理解できるように、変形例として指示部材をキャップ部材のハブ部分(キー部材の一部を切除してある)又はキャップ部材に固定されたこれと同様な軸に回転自在に取り付けてもよい。
【0039】
図25及び図26に示す更に別の変形実施形態では、プレート部材380が、指示部材360をキャップ部材の頂部の内面に当てた状態に保持し、この場合ばね300はプレート部材380の底面に係合していて、プレート部材の頂部398をキャップ部材に押し付け、キャップ部材をベース部材から押し離している。指示部材360は、プレート部材の平らな外部とキャップ部材の底面との間に形成された凹部に嵌め込まれている。図26を参照すると、駆動組立体は、軸384をプレート部材の下方に延びる壁388に設けられた開口部に差し込むことによりプレート部材380に取り付けられている。軸の一端に設けられた拡大部分396が、壁のうち1つに係合し、爪車382及び駆動部材386が軸の他端に取り付けられていて、それにより組立体が得られている。プレート部材の頂部が、キャップ部材に当接する。
【0040】
図4〜図9、図40〜図46の実施形態に示すように、指示部材60,260,1060,2060は、スカートの内周の周りに形成された複数の内方に向いた歯66,266,1066,2066を有している。図5、図6及び図40に示すように、歯は好ましくは、これらの間に隙間1061が形成されるよう円周の一部に沿ってのみ形成されている。
【0041】
変形例として、図26の実施形態に示すように、指示部材360は、これに形成された開口部の内側リムの周りに半径方向内方に形成された複数の歯366を有している。なお、この指示部材は、スカートを備えていない比較的平らなリングとして形成されている。図29に示す更に別の実施形態では、複数の歯466は、リング状の指示部材460から軸方向下方に延びている。
【0042】
図5及び図44〜図46の実施形態に示すように、指示部材60,2060は、スカート74,2074の円周方向外面の周りに形成された複数の凹み68,2068を有している。キャップ部材は、一対の上方に延びる弾性割出し部材22,2022を有し、これら割出し部材は各々、指示部材に解除自在に係合してこれとの相対回転を防止するよう凹みのうちの1つに係合する端部を有している。凹み68,2068相互間の角度的距離は、指示部材の複数の歯66,2066相互間の角度的距離と実質的に同じである。このようにすると、割出し部材は隣合う歯相互間の距離によって定まる一刻みの量、指示部材を前進させるたびに次の凹みに選択的に係合する。図46に示す実施形態では、凹みは、キャップ部材に対して指示部材2060を一方向にしか回転させることができないようにする爪歯として形成されている。
【0043】
変形例として、図6並びに図38及び図39の実施形態に示すように、凹みと割出し部材は逆の関係になっており、即ち凹み224,1224は、キャップ部材のスカートの円周方向内面の周りに形成され、そして図6に示すように、割出し部材270が指示部材のスカートに形成された空所内で指示部材から下方に延び、或いは図38に示すように、一対の割出し部材1270が、スカート1074の底縁に沿って設けられたリム部分1078に沿って形成された可撓性アームとして形成されている。図38、図39及び図40に示す実施形態では、割出し部材1270と、好ましくは爪歯として形成されている凹み1224との相互作用は、指示部材をキャップ部材の作動相互間で定位置に保持することにより指示部材を割り出すと共に指示部材1060の逆回転を防止するよう働く。1又は2以上の割出し部材を、好ましくは爪歯として形成された複数の凹みに係合させれば、割出し部材又は凹みがキャップ部材又は指示部材のいずれに形成されているかどうかとは無関係に指示部材の回転運動を制御することができる。
【0044】
図26に示す更に別の変形実施形態では、プレート部材380は、弾性割出し部材370を有し、この割出し部材370は、指示部材の偶発的な回転を防止するよう指示部材に選択的に係合する複数の歯366のうち1つに係合する。変形例として、割出し部材がキャップ部材から延びていてもよい。
【0045】
図1A及び図1Bに示すように、数字又は色塗りの形態の投与量指標72,172が、指示部材の頂面に設けられていて、キャップ部材の頂部に設けられた視認用窓34,59を通してユーザに見える。変形例として、図24及び図26の実施形態に示すように、数字0が好ましくは永続的なエッチングにより矩形の視認用窓334に隣接して設けられていて、視認用窓から見える指標の10倍の値が示されるようになっている。1桁及び2桁の指標372が指示部材360の頂部に設けられていて、3桁の数字がユーザに指示されるようになっている。
【0046】
図3Aに示す更に別の変形実施形態では、視認用窓534は、キャップ部材の下方に延びる円周方向スカート592の上部に形成されている。指標は、窓から見えるよう指示部材のスカート574の円周方向外面に付けられている。この実施形態では、ベース部材のリム542は好ましくは、指標を遮られることなく見ることができると共に視認用窓がどこにあるかをユーザに知らせるために視認用窓534と整列して扇形に切り込まれている。
【0047】
当業者であれば理解できるように、容器内に残っている又は容器から小出しされた投与量の回数を指示する他の指標として、種々の英数字、言葉、用語又はフレーズ(例えば、「一杯の」及び「空の」)、目盛り、格子、矢印、隆起部分、凹み、色塗り及び色分け、陰影等の印、或いはこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらには限定されない。例えば、視認用窓に表示されたセグメント状色格子172は(例えば、図1Bに示すように)、容器が一杯であることを示す緑色から、内容量が中程度であることを示す黄色、そして最終的に容器が空であることを示す赤色に変わるようにしてもよい。また、指標を指示部材と一体に形成してもよく、或いは塗料、染料、エッチング、タコ印刷、箔押又は型押印刷、或いは粘着ラベルによって指示部材に付着させてもよい。数字の指標を用いる場合、数字を、0(又は初めとなる或る数)から利用可能な投与量の所定の数になってこの所定の数がユーザに表示されると容器が空であることが分かるようにするよう配置し、或いは逆に初めとなる所定の数から0(又は終りとなる或る数)になって、これが容器が空であることをユーザに知らせるように配置してもよい。
【0048】
好ましい実施形態では、指示部材は、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)で作られ、この材料は、指標を印刷し又は付着させるある別の方法を利用でき、かかる方法としては、タコ印刷及び箔押又は型押印刷が挙げられる。キャップ部材及びベース部材は好ましくは、例えばアセテル(Acetel)のような硬質プラスチック材料で作られる。
【0049】
図5〜図9及び図12〜図18を参照すると、駆動機構が、駆動組立体を有するものとして示されている。駆動組立体は、軸84に設けられた駆動部材86に同軸状に取り付けられた爪車82を有する。爪車、駆動部材及び軸を別々に製作するのがよく、この場合、爪車及び駆動部材を軸に取り付け、或いは3つ全ての部品を一体部品として一体成形してもよい。駆動組立体は好ましくは、例えばアセテル(Acetel)のような硬質プラスチック材料で作られる。
【0050】
図38及び図42に示す変形実施形態では、駆動組立体は、駆動部材86と爪車82との間でこれらと同軸状に設けられた第2の投与量指示部材1800を更に有している。指示部材1800は、ホイールとして形づくられ、好ましくはその周面1802の周りに設けられた投与量指標を有する。好ましくは、指標は、0から9までの通し番号で構成される。
【0051】
図44に示す更に別の変形実施形態では、駆動組立体は、指示部材1800と同軸状に設けられた爪車82を有する。駆動部材86は、爪車及び指示部材とは別個に作られ、指示部材1800から軸方向に延びるカラー1082に形成された溝1801に受け入れられるような寸法の単一の歯89を有している。駆動部材86の歯89は、カラーの溝1801内に受け入れられ、この歯89をカラー、爪車及び指示部材に対して軸方向に動かすことができる。
【0052】
爪車82の周囲には複数(好ましくは10個)の歯88が形成されている。歯は各々、係合面89及びテーパ面87を有している。上述のように、駆動部材86(これは爪車と一体に形成されているか、或いは別体としてこれに連結されているかどうかは問わない)は、軸84又は駆動部材のカラーから半径方向に延びる単一の歯89を有している。
【0053】
図5、図6及び図45に示す実施形態では、駆動組立体はキャップ部材に取り付けられており、その手段として、軸84の互いに反対側の端部を下方に延びるハブ部分36,236,2236に係合させて軸、爪車及び駆動部材がベース部材に対するキャップ部材の軸方向運動の方向及び指示部材の回転軸線に実質的に垂直な軸線の周りに回転するようにする。変形例として、駆動組立体をこれと同様な方法でベース部材に取り付けてもよい。
【0054】
変形例として、図38及び図39の実施形態に示すように、軸84は、単一のハブ1036又は可撓性のスナップエンクロージャリブ内に受け入れられている。この実施形態では、駆動組立体は、傾斜部1083を更に有し、この傾斜部は、駆動組立体の回転軸線の周りに形成された複数の半径方向に延びる歯1085まで傾斜している。大径の軸1084が、歯から外方に延びている。リセット部材1106が、掴む又はつまむことのできるホイール部分1107及びカラー1109を有し、このカラーは、キャップ部材のスカートに形成された横方向に向いた開口部1302内に受け入れられるように寸法決めされている。軸受指示体1300が、カラーを指示するよう開口部の周囲の周りに形成されている。リセット部材1106は、カラー1109から軸方向に延びる4つの可撓性弾性フィンガ1304を更に有している。各フィンガ1304は、フィンガの端から半径方向内方に延びる係合部分1306を有している。係合部分は、駆動組立体に形成された歯1085のうち1つに係合するように形づくられている。突出部1308又はリブが、フィンガのうちの1つに、これから半径方向外方に延びるよう形成されている。突出部1308は、駆動部分として役立ち、図40に示すように指示部材の歯相互間に形成された隙間1061に隣接して指示部材の底部に形成された下に延びる突出部1310に係合する。好ましくは、突出部1310は、隙間をまたぐ2つの歯相互間の角度的に中点に位置するよう位置決めされている。
【0055】
図12〜図15に示すように、駆動機構は、可撓性ロッド又はフィンガとして示された爪部材48を更に有し、この爪部材は、ベース部材の底部から上方に延びていて、爪車の歯のうちの1つに選択的に係合する。変形例として、爪車をキャップ部材に可動的に固定して容器の頂部に係合するようベース部材を貫通させてもよく、したがって容器に向かうキャップ部材の軸方向運動により、爪は以下に説明するように爪車に向かって移動してこれに設けられた歯のうちの1つに係合するようになる。これまた可撓性ロッド又はフィンガとして示されている逆止め部材238が、キャップ部材の頂部から下方に延び、爪車の歯88のうちの別の1つに選択的に係合する。爪部材は変形例として、上述のように駆動組立体がベース部材に取り付けられている場合はキャップ部材から延びてもよい(及び逆止め部材がベース部材から延びる)ことは理解されるべきである。
【0056】
使用にあたり、図12〜図21に示すように、ユーザはキャップ部材220を完全伸長位置(図12参照)からベース部材に向かって押し下げてキャップ部材がストロークの下限でベース部材内で底に届き(図14)、そして計量された投与量が容器から小出しされるまでベース部材が容器に軸方向荷重を及ぼすようにする。好ましい実施形態では、ばね100(図6に示す)又はばねとして役立つ例えば弾性アーム部材のような変形例としての戻し機構の付勢力が、容器の計量弁内に設けられているばねの付勢力よりも小さく、したがってキャップ部材がベース部材内でまず最初に底に届き(この場合、容器はハウジング内で下方に移動している)ついには計量された投与量が小出しされるようにする。
【0057】
図12、図13及び図14を参照すると、キャップ部材220をベース部材40に向かって押し下げると、爪48は爪車の歯のうちの1つの係合面89に選択的に係合して爪車を回転させる。それと同時に、爪車の歯のうちの1つのテーパ面87は、逆止め部材238がストロークの下限の近くで次の歯に選択的に係合するまで逆止め部材238を外方に付勢する。次に、ユーザはキャップ部材を離し、しかるのちばね100(図6に示す)又はこれと類似した戻し機構がキャップ部材220をベース部材40から押し離し、ついには、係合部材が図15に示すようにストロークの上限でベース部分に係合するようになる。ユーザがキャップ部材を離すと、容器は長手方向軸線に沿ってハウジング内で上方に付勢され、弁棒が容器内で閉鎖位置に移動するようになる。それと同時に、キャップ部材が離されてベース部材から遠ざかるに連れ、爪48は爪車の歯のうちの1つのテーパ面87によって外方に付勢される。というのは、逆止め部材238が爪車の逆方向の回転を防止してその一方向の回転を維持するからである。ストロークの上限では(図15に示す)、爪48は再び、爪車の歯のうちの1つと選択的に係合する位置に配置される。このように、爪車82及びこれに連結された駆動部材86(図18〜図21に示す)は、容器の作動及びこれに伴なう薬剤の放出のたびに一刻みの量を送り進められる。一刻みの量は、爪車の周囲に形成された歯の数で決まる。好ましい実施形態に示すように10個の歯を備えている場合、爪車は、指示装置及び容器を10回転させるごとにまる1回転し、換言すると、1回の作動ごとに1/10回転することになる。当業者であれば、爪車の周囲に種々の数の歯を形成すれば爪車をまる1回転させるのに上記よりも多い又は少ない容器の軸方向の運動又は作動が必要になることは理解されよう。
【0058】
変形例として、爪車の作動を逆にしてもよい。この実施形態では、爪は、下降ストロークの際爪車の歯のうちの1つのテーパ面によって外方に付勢される。ストロークの下限では、爪は付勢されて歯のうちの1つに係合する。患者がキャップ部材を離すと、ばね又はこれと均等な戻し機構がキャップ部材を長手方向軸線に沿ってベース部材内で上方に付勢して爪部材が歯のうちの1つに係合し、それにより爪車を一刻みの量回転するようにする。この実施形態では、逆止め部材は、下降ストロークの際爪車の回転位置を維持する。
【0059】
図18〜図20、図38及び図44に示すように、駆動部材86は、好ましくは単一の歯89又はセグメントを有するものとして示されている。したがって、10回目の作動ごとに、駆動部材86が回転して歯が指示部材に形成された歯266のうち1つに選択的に係合して指示部材を一刻みの量回転させるようになる。一刻みの回転量は、隣り合う歯相互間の距離によって定められ、或いは歯の円ピッチとして定められる。このように、駆動部材は、キャップ部材がベース部材に対して所定回数の軸方向運動を行った後及びその際に、指示部材の歯のうちの少なくとも1つに選択的に係合して指示部材を一刻みの量回転させる。指示部材を回転させるのに必要な軸方向運動の所定回数は、爪車と駆動部材の減速比で決まり、この減速比は、爪車に形成された歯の数を駆動部材に形成された歯の数で割った値である。例えば、好ましい実施形態に示すように、爪車の歯が10個、駆動部材の歯が1つであれば、指示部材の小刻みな運動が得られることになり、或いは10回の軸方向運動を行うたびに指示部材が歯1個分送り進められるものとして定められる。これと同様に、駆動部材の歯が4個、爪車の歯が20個であれば、上記所定回数は、5回の軸方向運動等に等しくなろう。歯数比が1:1であればその結果として、軸方向運動の所定回数は1回となり、この場合指示部材は軸方向運動を行うたびに動くことになる。
【0060】
図19を参照すると、指示部材260及び駆動部材86は、ユーザにより初期作動又は使用前の状態で示されている。特に、駆動部材の歯は、指示部材の第1の歯266に隣接して位置している。爪車が10個の歯を備えているこの実施形態では、歯89が図21に示すように指示部材の第1の歯266に係合するには10回の作動が必要である。この時点において、指示部材は、軸方向運動の所定回数の数に等しい単一サイクルを完了しており、そのかかる単一サイクルの結果として、指示部材が小刻みに運動する。次に、このサイクルを繰り返して(再び所定回数の軸方向運動を実施することにより)再び指示部材の小刻みな運動が結果的に得られるようにする。好ましくは、図1A、図3A、図24及び図26に示すように、数字の指標(番号と点(・)を含む)を、指示部材の1回の小刻みな送り進めにつき10回の軸方向運動を必要とする好ましい実施形態と相関するよう10刻みで付ける。
【0061】
減速比が与えられた爪車と駆動部材は、指示部材を送り進める構成が簡単であるが、信頼性の高い機構を提供する。特に、指示部材及び容器の作動ごとの送り進めが必要な場合よりも指示部材に設ける歯を少なして製造できる。製造を容易にするために、指示部材及び爪車の各々に設けるピッチをできるだけ粗くすることが望ましい。ただし、歯車は依然として歯の細かい歯車として定義される。しかしながら、指示部材が容器から薬剤を完全に使い切った状態に相当する1回転(単一サイクル)だけを行うことも本発明の範囲に属する。かくして、多数回分(約200以上の回数)の投与量が容器内に入っている場合、爪車及び駆動部材は、比較的高い減速比を生じさせること、例えば、キャップ部材及び容器の200回の直線往復運動が、指示部材の1回転以下に相当するようにすることが重要である。したがって、指示部材は粗い歯を設けて安価に製造できる。加うるに、比較的大きな駆動部材と相互作用する大きくて粗い歯は、これら部品の噛み合いの際の装置の精度を向上させるのに役立つ。加うるに、かかる機構及びこれに付随する減速比により、たとえ容器が比較的多数(約200以上)の計量された投与量を収容していても、指示部材は、容器の使用寿命中、即ち、これが空になるまでに1回転だけをすることができる。この1回転は、容器が一杯であることを示す初期の読みから容器が空であることを示す最後の読みるでの投与量指示部材の運動量として定義される使用サイクルに相当している。当然のことながら、もし最初に少ない回数の投与量に設定されていれば、指示部材の回転量は、使用サイクルの完了の際にはまる1回転に足りない。
【0062】
図38及び図44に示す変形実施形態では、視認用窓1034,2034は、指標をそれぞれ備えた第1及び第2の投与量指示部材1060,2060,1800がこれらの窓から見えるよう十分に大きい。これら実施形態の使用にあたり、指示部材1800は、爪車1020,2020が爪部材により駆動されるとベース部材1040,2040に対するキャップ部材1020,2020の作動ごとに回転する。指示部材1800は、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向及び指示部材1060,2060の回転軸線に対して実質的に垂直な軸線の回りに回転する。指示部材1800が「1」の指標を有し、爪車82が10個の歯を備えている好ましい実施形態では、指示部材1800は、作動ごとに送り進められ、ユーザにかかる送り進めを知らせるよう目に見える指標を備えている。指示部材1800が1サイクル又は1回転を完了すると、指示部材1060,2060は、駆動部材86により一刻みの量送り進められ、指示部材1800は、別のサイクルを開始する。このように、ユーザには、指示装置が作動するたびにこれがユーザに知らされると共にこれに伴って生じる取付け状態の容器からの投与量の小出しがユーザに知らされる。
【0063】
図5及び図40に示されているように、歯66,1066が指示部材の周囲の周りに一部しか延びていない場合、指示部材60,1060は、容器を作動するようキャップ部材を繰り返し動かしても、駆動部材が最後の歯に係合した後では送り進められない。これにより、容器が空であることを示す最後の指標を越えて容器が一杯であることを示す最初の指標に送り進めてユーザを混乱させることはできないようになる。
【0064】
変形例として、図33〜図36に示すように、指示装置は、係止又はロック装置を有している。特に、ベース部材は、ベース部材の底部から上方に延びる支柱部材として形成された第1の係止部材702を有している。指示部材760は、指示部材の周囲に形成された複数の歯776のうちの1つの延長部として図35に示す第2の係止部材704を有している。使用にあたり、キャップ部材を上述のようにベース部材に近付けたり遠ざけたりして指示部材を回転させる。この操作中、図33及び図34に示すように、第1の係止部材702を、複数の歯の直径方向内面の内側に配置してこれが図33に示すように指示部材によって形成された凹部内に移動する際に歯に当たらないようにする。指示部材がまる1回転(これは好ましくは、容器を空にすることに相当している)を行った後、第2の係止部材704を図35及び図36に示すように第1の係止部材702上に回転させる。この位置では、キャップ部材をベース部材に向かって動かすことはできず、それにより、ユーザは、空になった容器をさらに中身を出したり又は空にしようとすることはできない。また、キャップ部材を動かすことができないので、これは容器が空になっているという二次的な指標となる。当業者には理解できるように、第1及び第2の係止部材の寸法形状は様々であってよい。例えば、支柱部材がベース部材の段付き表面に係合するようキャップ部材から延びていてもよい。
【0065】
図29及び図30に示すように、リセットホイール106が、爪車82及び駆動部材86と同軸状に設けられている。リセットホイールの外周部108(これは、ユーザの親指で掴める複数の歯を有している)は、これがベース部材の底面50を越えて延びると露出される。当業者には理解できるように、リセットホイールを露出させるには、これをユーザが接近できるよう指示装置の他の部分から延ばすのがよい。ユーザは、リセットホイール106を回して指示部材をその元の開始位置又は任意他の所望設定値まで手動で回転させ、この場合、キャップ部材をベース部材に対して動かす必要はない。このようにすると、指示部材を再利用して新しい容器に用いることができ、或いは指示装置を容器に取り付ける前に指示部材を適正な設定値に移動させることができる。このように、同一の指示装置を、様々な回数の計量された投与量の薬剤の入った種々の容器に用いることができる。キャップ部材に対する指示ホイールの運動中、キャップ部材及び指示装置のうちの一方の凹みに対する割出し部材の力に打ち勝って、割出し部材は、ユーザが指示部材を所望の設定値に回転させている時に繰り返し凹みに係合したりこれから離脱するようになる。この運動は、キャップ部材に対する指示部材の小刻みな送り進めを行うたびに生じる割出し部材の運動に似ている。
【0066】
好ましくは、図29及び図30のリセットホイールは、歯が周囲全体に形成されている指示部材と併用され、したがって指示ホイールを0(又は一杯、例えば200)位置に戻すのに歯の数個分(1又は2以上)しか動かす必要はないようになる。リセットホイールを用いる場合、上述の固定装置を用いても或いは用いなくてもよい。その理由は、リセットホイールを用いると、キャップ部材とベース部材の軸方向運動とは無関係に指示ホイールを移動させ又は回転させることができるからである。
【0067】
図28に示す変形実施形態では、リセットセレクター部材602が、軸の端に取り付けられており、ベース部材の側部又はスカート694に設けられた開口部604から露出している。リセットセレクター部材602は、軸に取り付けられている。セレクター部材602は、ねじ回し又はこれと類似した工具の頭を受け入れるようになったスロットを備え、ユーザはかかる工具を操作して、所望の指標が視認用窓を通して見えるようになるまで軸、同軸状に取り付けられた駆動部材及び指示部材を回すことができる。この特徴は、指示装置をリセットしたり、或いは指示装置を容器内に入っている投与量の適正な回数に合わせて初期設定するのに有用な場合がある。当業者であれば、開示したスロット以外の凹部及び(又は突出部をセレクター部材に露出するよう設けてもよく、それによりユーザはセレクター部材を掴み又は作動的に係合し、しかるのち指示部材を回すことができる。また、当業者には理解できるように、キャップ部材はベース部材に対して動いて開口部と位置が合った時にセレクター部材を露出させるので、軸の長手方向経路に沿う場所ならどこにでもベース部材の開口部を設けることができる。
【0068】
図27に示す更に別の変形実施形態では、セレクター窓806が、キャップ部材の頂部に形成されている。突出部又はこれに類似した掴むことのできる部材として形成されたリセットセレクター部材802が、指示部材を空の位置に回すと窓から露出する。一実施形態では、上述のように、複数の歯が、最初の歯と最後の歯との間に隙間を残すよう指示部材の周囲の一部だけに形成されている。かかる実施形態では、セレクター窓806は好ましくは、最初の歯が再び駆動部材に係合する位置にくるまでユーザが窓内でリセットセレクター部材802を動かすことができるような長さのものである。しかしながら、リセットセレクター部材はまた、周囲全体に歯が形成された指示部材にも使用できることが理解されるべきである。
【0069】
変形実施形態では、例えば複数の切欠き又は歯として形成された複数のリセット部材又はこれに類似した掴むことのできる面を指示部材の周囲全体に形成してセレクター窓又は変形例として視認用窓から露出するようにしてもよい。かかる実施形態では、リセットセレクター部材をユーザの親指又はこれに似た部材で指示部材に係合させるだけでいつでも指示ホイールを回転させて異なる指標を露出させることができる。
【0070】
図24に示す更に別の実施形態では、キャップ部材の頂部には開口部又はセレクター窓906が設けられている。薄い工具、例えばペーパークリップを開口部に差し込んで弾性割出し部材370を押してこれを指示部材から離脱させる。次に、ユーザは視認用窓又はセレクター窓から親指等で指示部材を作動的に掴んで指示部材を所望の設定値に動かすことができる。
【0071】
図43に示す更に別の変形実施形態では、リセット部材をカラー1109が駆動組立体の軸1084に取り付けられた状態で駆動組立体に対して軸方向外方に引っ張ってこれを、可撓性フィンガ1304の係合部分1306が軸84の周りに円周方向に位置する離脱位置から、可撓性フィンガの係合部分1306が傾斜部1083をずり上がるにつれ外方へ付勢され、しかるのち駆動組立体の軸の周りに形成された歯1085に係合するようになる係合リセット位置に動かす。次に、ユーザは、リセット部材1106をベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向に対して実質的に垂直な回転軸線の回りに回転させる。リセット部材を回すと、可撓性フィンガの突出部1308は、指示部材1060の突出部1310に係合して指示部材を一刻みの量回し、それにより隙間1061の他方の側に位置する最初の歯を駆動部材との係合が可能な位置に移動させ、かくして指示部材の歯相互間の隙間1061を橋渡しする。リセット部材1106を更に回すと、駆動部材の歯89は指示部材の歯1066に係合し、そしてリセット部材を回すと1又は複数の指示部材を手動で所望のプリセット状態にすることができる。例えば、200回分の投与量を有する容器用として200回分の投与量を指示するよう指示部材をリセットできる。
【0072】
好ましい実施形態では、駆動組立体の軸に形成された係合部分1306及び(又は)歯1085は、駆動部材を一方向にだけ回転させることができるよう構成されている。したがって、リセットホイールを反対方向に回転させても、駆動部材はその方向には回転しない。というのは、係合部分を備えた可撓性フィンガが、軸の周りに形成された歯の上を摺動するに過ぎないからである。この一方向の回転により、駆動部材が指示部材に係合してこれを逆方向に回転させるのを阻止し、この逆方向の回転は、爪車に係合する逆止め部材とキャップ部材と指示部材との間の一方向割出しインターフェースの両方によって阻止される。
【0073】
リセット部材及び駆動組立体を取り付けるために、駆動組立体を垂直に設けて軸84が可撓性スナップエンクロージャ1036内に受け入れられるようにする。駆動組立体がいったん定位置にスナップ嵌めされると、リセット部材1106をキャップ部材の開口部に通して、フィンガが最終的に離脱位置で軸84の周りに位置するまで軸1084上に挿入する。このようにすると、キャップ部材の支持面1300によって支持されたリセット部材は、駆動組立体を一段と支持する。
【0074】
図52〜図55に最もよく示されている更に別の実施形態では、指示部材2060は、その周囲全体の周りに延びる複数の歯を有している。歯2067のうち少なくとも1つは、駆動部材の歯89と整列する切除部分2069を有している。したがって、サイクルの終りでは、駆動部材は、駆動部材の1又は2以上の歯89がこれが整列している歯の切除部分2069を通過するに過ぎないので、指示装置を繰り返し作動させてもそれにより指示部材が送り進められることはない離脱位置に位置する。しかしながら、この実施形態では、駆動部材86は、指示部材1800及び爪車82に対して軸方向に動くことができる。
【0075】
図44、図47及び図52〜図56に最もよく示されているように、リセット部材2106は、駆動シャフト2109に連結された掴むことができるホイール2107を有している。図47の好ましい実施形態に示すように、駆動シャフトの端は、駆動部材86の一端部に形成された歯を受け入れるように寸法決めされたスロット2308又は開口部に嵌まる複数の歯2306を有している。駆動部材は、リセットホイールのシャフトに取り付けられてその一端に形成された歯2306が駆動部材に形成されたスロット2308に嵌まるようになっている。次に、駆動部材を指示部材から延びるカラー1082の溝1801に挿入する。
【0076】
使用にあたり、ユーザはリセット部材1206を軸方向外方に引張って駆動部材86を、駆動部材の歯89又は複数の歯が指示部材の歯の切除部分2069に整列する離脱位置から、駆動部材の歯が切除されていない歯の部分2067に係合する係合又はリセット位置に軸方向に動かす。リセット位置では、ユーザは、リセットホイール2107及びこれに連結された駆動部材86を回して指示部材2060又は複数の指示部材をベース部材に対するキャップ部材の軸方向運動とは無関係に所望の設定値まで送り進める。離脱位置では、リセットホイールは、ベース部材の周囲に形成された一対のテーパフランジ相互間に引っ込められる。
【0077】
図44及び図52〜図56に示すように、指示部材2060は、指示部材の頂部から半径方向内方に延びるカバー部分2087を有している。カバー部分は、使用サイクルの終りで視認用窓と整列し、したがってカバー部分の下で回転し続けることができる指示部材1800が見えないようになる。ユーザに容器が空であることを示すようカバー部分に指標、例えば番号「0」又は言葉「終」又は「空」を付けるのがよい。
【0078】
図38に示すように、指示装置は、使用回数指示部材1500を更に有している。指示部材1500は、リングとして形成され、投与量指示部材1060のスカート1074の周りに設けられ、ここで指示部材のリムフランジ1078とキャップ部材の頂部の底面との間に捕捉されている。このようにすると、使用回数指示部材1500は、投与量指示部材1060によって支持された状態でこの周りに動くことができる。それにより、指示部材1500は又、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向に実質的に平行な軸線の周りに回転自在に設けられている。リングとして形づくられている指示部材1500は、その外方に向いた半径方向周囲の周りに形成された複数の歯1502を有している。指示部材1500を上述したように送り進めると、指示部材1060の円周方向リム1078に沿って形成された可撓性フランジ1273は、キャップ部材の内側に形成された傾斜部1277によって半径方向内方に付勢され、指示部材に形成されている複数の歯1502のうちの少なくとも1つに係合し、それにより指示部材を隣り合う歯相互間の距離によって定まる一刻みの量送り進める。指示部材の周りに形成される歯の数は、指示装置の予定使用サイクル数に一致している。
【0079】
傾斜部1277が1つだけ設けられている好ましい実施形態では、使用回数指示部材1500を、指示装置の使用サイクル1回分に相当する投与量指示部材1060のまる1回転ごとに歯1個分送り進められる。例えば、指示装置を最初のカウントとして200回分の投与量を示すよう初期設定するのがよい。指示装置を連続的に作動して投与量を小出しすると、指標を備えた指示部材1060,1800は、これらが使用可能最終カウントとして0の投与量を表すまでカウントダウンするよう動作する。その時点において、駆動組立体は上述したように離脱位置に位置している。
【0080】
リセット部材1106を用いて駆動部材を作動させ、それによって指示装置を別の使用サイクルを行うことができるようリセットすると、弾性フィンガ1273を備えた指示部材1060は付勢されて傾斜部1277に係合し、使用回数指示部材を回転させるようにする。このように、使用回数指示部材1500は、連続した各使用サイクルの完了時に、回転し又は送り進められる。指示部材1500の歯1502の数は、指示装置についての予定使用数に一致している。例えば、図38及び図41に示す実施形態では、指示部材1500は、12個の互いに異なる容器に対する指示装置の12回の予定使用数に一致した12個の歯を有している。上述したように、リセット部材は、任意所望の読みのところで指標をリセットするのに用いることができ、したがって1つの指示装置を、互いに異なる回数の投与量が入っている連続した容器に用いることができるようになっている。指示部材1500は、指示部材の頂部から半径方向内方に延びる突出部として形成された停止部材1506を更に有している。停止部材1506は、最終の使用サイクルの完了時にキャップ部材の頂部から下方に延びる停止部材1508に係合する。この係合により、ユーザは、リセット部材及び駆動組立体により投与量指示部材1060を送り進めようとしてもこれを行うことができない。というのは、フィンガ1273が付勢されて、動かなくなっている使用回数指示部材の歯のうちの少なくとも1つに係合しているからである。このようにして、装置全体が動かなくなる。好ましい実施形態は12回の使用サイクルを行うよう構成されているが、使用回数指示部材に全部でこれよりも多い又は少ない利用回数の使用サイクルに対応して多い数又は少ない数の歯を設けてもよいことは理解されるべきである。
【0081】
図41を参照すると、使用回数指示部材1500は、指示部材の円周方向外面から半径方向外方に延びる突出部として形成された割出し部材1510を更に有している。割出し部材1510は、キャップ部材のスカートの円周方向内面の周りに形成された複数の歯1512に選択的に係合する。割出し部材1510及び歯1512は、キャップ部材1020に対する指示部材1500の一方向の回転を可能にする爪車装置又はラチェットとして形成されている。好ましい実施形態では、割出し部材及び歯は、互いに協働して一方向動作をもたらすようテーパしている。
【0082】
図37及び図38に示すように、複数の視認用窓1600が、キャップ部材の頂部の外周部の周りに配置されている。通し番号として示されている複数の指標1602が、視認用窓に隣接してキャップ部材の頂部に取り付けられている。使用回数指示部材の上縁部1514は、視認用窓1600を通して見ることができる指標を備え、したがってユーザは指示装置が現在どの使用サイクルで機能しているかを確かめることができるようになっている。例えば、図37及び図38に示す実施形態では、12個の視認用窓1600が、これに隣接して配置された番号1〜12を備え、これらは、指示装置の寿命を定める12回の使用サイクルに対応している。番号又は他の指標、例えば種々の色を、印刷、成形又は上述した技術のうち任意他のものを用いることによりキャップ部材に施すのがよい。変形例として、単一の視認用窓を設けて指示部材を露出するようにしてもよく、この場合指標が、その頂面又は上縁部1514に付けるのがよく、或いは窓がキャップ部材の側部に設けられていれば、その円周方向外面に沿って付けてもよい。
【0083】
図44、図45及び図49〜図51に示す実施形態では、使用回数指示部材2500は、開口部2521を備えたハブ2520を有し、このハブは、キャップ部材2020の頂部の内面から下方に延びる支柱2522に回転自在に取り付けられている。このようにして、使用回数指示部材2500は、投与量指示部材2060の回転軸線から間隔を置いた状態でこれに実質的に平行な軸線の周りに回転自在にキャップ部材2020に取り付けられる。投与量指示部材の回転軸線はまた、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向運動の方向に実質的に平行である。
【0084】
指示部材2500は、歯部2520の周りに形成されていて、リブ2526が一体に連結されたリング2524及び底面2528を有している。指示部材2500は、リングの内周部の周りに形成された複数の内方且つ半径方向に延びる歯2514及びリングの外周部の周りで指示部材の底面に形成された複数の外方且つ半径方向に延びる歯2502を有している。両方の複数の歯は、指示部材2500の一方向回転だけを可能にする爪歯として形成されている。
【0085】
図46を参照すると、係合部材2573は、指示部材2060から延びていて、この係合部材は、投与量指示部材2060が1サイクルを完全に終わると、爪歯2502のうち1つの係合面に係合する。係合部材2573が歯2502のうちの1つの係合面に係合すると、指示部材は、一刻みの量回転する。
【0086】
図51を参照すると、割出し部材2577が、支柱2522に対して平行且つこれから間隔を置いた関係をなしてキャップ部材2020から下方に延びている。割出し部材2577は、ハブ2520とリング2524との間のスペース内に設けられ、リングの内周部の周りに形成された内歯2514に選択的に係合する。この場合もまた、割出し部材2577及び歯2514は好ましくは、キャップ部材2020に対する使用回数指示部材2500の一方向回転だけを可能にするように形づくられている。内歯2514及び外歯2502の数とこれら相互間の角度間隔は、係合部材2573と外歯2502のうちの1つとの係合により指示部材2500の送り進めによって割出し部材2577がリングの内周部に沿って歯2514の1個分さらに送り進められるよう相互に対応している。指示装置についての所定の使用回数は、リングの内周部の周りに形成された歯の数に一致している。最後の使用サイクルの完了後、割出し部材2577をリブ2526に係合させ、このリブは、停止部材として働き、これにより指示部材はさそれ以上回転したり送り進められることはない。それと同時に、係合部材2573をリングの外周部の周りに形成された歯2502のうちの1つに係合させ、指示部材もまた送り進めることができないようにする。このようにすると、指示装置は動かなくなる。この場合もまた、指示装置は所定数の内歯及び外歯を備えるのがよく、かかる所定数は、指示装置についての所定の使用サイクルの数に一致している。
【0087】
好ましくはドーム状の指示部材リングの上面2528は、指示装置について完了した又は残っている使用サイクルの回数を指示する使用回数指標を備えている。使用回数指標は、図44に示すようにキャップ部材に設けられた視認用窓2600を通してユーザに見える。この場合もまた、使用回数指標は、種々の英数字、色塗り又は上述した他の手段のうち任意の形態をしているのがよい。
【0088】
本発明を好ましい実施形態に関して説明したが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱しないで形態及び細部に関する変形例を想到できよう。したがって、上記の詳細な説明は、本発明を限定するものではなく本発明の例示として解されるべきであり、本発明の範囲は、請求の範囲の記載及びその均等範囲により定められる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】視認用窓を備えた指示装置の平面図である。
【図1A】指標を見えるようにする視認用窓の変形実施形態を示す指示装置の平面図である。
【図1B】指標の変形実施形態を示す指示装置の平面図である。
【図2】断面図で示された容器の頂部に取り付けられている指示装置の側面図である。
【図3】視認用窓がキャップ部材の頂部に設けられている指示装置を上から見た斜視図である。
【図3A】視認用窓がキャップ部材の側部に沿って設けられた指示装置を上から見た斜視図である。
【図4】指示部材が収納されているキャップ部材を下から見た斜視図である。
【図5】第4図に示すキャップ部材及び指示部材の分解斜視図である。
【図6】ベース部材、キャップ部材、指示部材、爪車、駆動部材及びばねを有する指示装置の変形実施形態の分解斜視図である。
【図7】図6のキャップ部材及び指示部材を下から見た斜視図であり、指示部材がキャップ部材に収納されている状態を示す図である。
【図8】図7の指示部材及びキャップ部材の拡大部分図であり、指示部材とキャップ部材の係合状態を示す図である。
【図9】図6に示すキャップ部材、指示部材、爪車、駆動部材及びばねの下から見た組み立て斜視図である。
【図10】ベース部材恋人キャップ部材の分解斜視図であり、駆動機構及び指示部材がキャップ部材の中に設けられている状態を示す図である。
【図11】図9に示す指示装置の組み立て斜視図である。
【図12】図11の12−12線に沿う指示装置の断面図であり、ユーザが軸方向の力を及ぼす前に、キャップ部材がベース部材に対して完全伸長位置にある状態を示す図である。
【図13】図12に類似した指示装置の断面図であるが、キャップ部材が、方向を示す矢印によって指示されているようにストロークの中間位置でベース部材に向かって移動している状態で示されている図である。
【図14】図12に類似した指示装置の断面図であり、キャップ部材が、方向を示す矢印によって心されているようにストロークの下限に達した状態を示す図である。
【図15】図12に類似した指示装置の断面図であり、キャップ部材を、これが方向を示す矢印によって支持されているようにベース部材に対して完全伸長位置に戻ったときの状態で示す図である。
【図16】指示装置の中間部のところにおけるその断面図であり、ベース部材に形成されたポケット内に収納された係合部材を示す図である。
【図17】指示装置の中間部のところにおけるその断面図であり、キャップ部材について別の戻し機構を示す図である。
【図18】指示装置及び容器の最初の作動又は操作前における図9の組立体(ばねが設けられていない)を初期設定値で示す底面図である。
【図19】図18の19−19線矢視断面図である。
【図20】爪車及び駆動部材が所定回数の作動に相当するまる1回転を行った後の図9の組立体(ばねが設けられていない)の底面図である。
【図21】図20の21−21線矢視断面図である。
【図22】キャップ部材及び指示部材の拡大部分底面図であり、指示部材がキャップ部材に形成された凹みに係合する割出し部材を有している状態を示す図である。
【図23】指示装置の変形実施形態の側面図である。
【図24】図23に示す指示装置の平面図である。
【図25】指示装置の図24の25−25線矢視断面図である。
【図26】指示装置の図23の26−26線矢視断面図である。
【図27】リセット装置を備えた指示装置の斜視図である。
【図28】リセット装置の変形実施形態を備えた指示装置の斜視図である。
【図29】リセット部材の変形実施形態及びアダプタを備えた指示装置の変形実施形態の分解図である。
【図30】図29に示す指示装置及びアダプタの下から見た斜視図である。
【図31】断面で示されたディスペンサーハウジング内に支持された容器の底部に取り付けられているアダプタ及び指示装置の分解側面図である。
【図32】断面で示されたディスペンサーハウジング内に支持された容器の底部に取り付けられているアダプタ及び指示装置の側面図である。
【図33】離脱位置にある指示部材及び係止部材の側面図である。
【図34】図33に示す指示部材及び係止部材の底面図である。
【図35】係合位置にある指示部材及び係止部材の側面図である。
【図36】図35に示す指示部材及び係止部材の底面図である。
【図37】投与量指標を備えた少なくとも1つの指示部材及び使用回数指標を備えた指示部材を有する指示装置の変形実施形態の斜視図である。
【図38】図37に示す指示装置の分解斜視図である。
【図39】図38に示すキャップ部材を下から見た斜視図である。
【図40】図38に示す投与量指示部材を下から見た斜視図である。
【図41】図38に示す使用回数指示部材を上から見た斜視図である。
【図42】図38に示す駆動組立体及び投与量指示部材の斜視図である。
【図43】図38に示す指示装置内に示されたリセット部材の斜視図である。
【図44】投与量指標を備えた指示部材及び使用回数指標を備えた指示部材を有する指示装置の変形実施形態の分解斜視図である。
【図45】図44に示すキャップ部材を下から見た斜視図であり、使用回数指示部材がキャップ部材の下に取り付けられると共に投与量指示部材がキャップ部材から露出している状態を示す図である。
【図46】図44に示す投与量指示部材を下から見た斜視図である。
【図47】図44に示すリセット組立体の斜視図である。
【図48】図44に示す駆動部材の斜視図である。
【図49】図44に示す使用回数指示部材を下から見た斜視図である。
【図50】図44に示す使用回数指示部材を上から見た斜視図である。
【図51】図44に示すキャップ部材を下から見た斜視図である。
【図52】図44に示すリセット部材の切除斜視図であり、駆動部材が離脱位置にある状態で示す図である。
【図53】図44に示すリセット部材の切除斜視図であり、駆動部材が係合リセット位置にある状態で示す図である。
【図54】第1及び第2の投与量指示部材の側面図であり、リセット部材及び駆動部材が離脱位置で示されている図である。
【図55】第1及び第2の投与量指示部材の側面図であり、リセット部材及び駆動部材が係合リセット位置で示されている図である。
【図56】第1及び第2の投与量指示部材、使用回数指示部材及び駆動組立体を上から見た斜視図である。
【図57】図38に示すベース部材を下から見た斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、エアゾール容器から小出しされた又はエアゾール容器内に残っている計量された投薬量又は投与量の回数を指示する指示装置に関し、特に、エアゾール容器に取り付けられるようになった指示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小出しされた計量済の投与量の回数を指示するため又は残っている投与量の回数を指示するための投与量指示装置を有するエアゾール式小出し容器が開発された。例えば、患者は、エーロゾルの状態で小出しされ吸入することにより患者に投与される薬剤を用いて治療が施される状況にある。一方法として、薬剤入りのエーロゾルを容器内に入れ、吸入器具又はブーツ形アクチュエータ(以下、「アクチュエータブーツ」と言う)を用いて計量又は測定された投与量の状態で小出しされる。かかる構成では、患者は、容器内に残っている計量された投与量の回数を知ることにより又は容器から既に小出しされた回数を知ることにより容器内に残っている計量された投与量の回数を確かめることができ、薬剤を必要とするときに容器が空であることを知らないでいることがないようにすることが重要である。かくして、吸入器具は、容器内に残っている投与量の回数又は容器から既に小出しされた投与量の回数のいずれかを正確に指示できることが重要な場合がある。
【0003】
代表的には、従来型エアゾール容器は、本体及び薬剤を含むエーロゾルの計量された投与量を放出するよう本体に対して押し下げることができる弁棒を有している。一般に、容器には、所定回数分、一般に約200回分の計量された投与量が入っており、したがって弁棒の押下げ回数及びかくしてこれと対応した小出しされた計量済の投与量の回数をカウントすることと容器内に残っている投与量の回数との間には極めて緊密な相関性を認めることができる。
【0004】
使用にあたり、容器を代表的には、弁をハウジング内の支持ブロックに係合させた状態の吸入器具のハウジング内に入れる。ユーザは、容器をハウジングに対して動かすことにより弁棒及び内部弁を押し下げ、それにより計量された投与量を放出することにより薬剤を投与するが、計量された投与量は代表的には、ハウジングから延びるポート又はマウスピースを通ってユーザに投与される。投与量を投与した後、代表的にはばね押し式の弁棒が、容器を支持ブロックから押し離して再び容器をハウジングに対して動かす。このようにして、計量された薬剤の投与量が、ハウジングに対する容器の直線往復動のサイクルごとに投与される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薬剤入り容器に取り付けられるアクチュエータブーツ又は他の装置の中には、ハウジングに対する容器の直線往復運動を指示装置の一方向又は単一サイクルの運動に変換する指示装置を有するものがあり、指示器は、容器の相対的充填度、容器内に残っている計量された投与量の回数又は既に投与された投与量の回数を識別する。指示器又は別個の指示装置を備えたこれらアクチュエータブーツは、一般に投与量の回数の追跡状態を保つことができるという利点があるが、改良の余地がある。例えば、この種の指示装置は、組み立てが困難で製造に費用のかかる構造の複雑な可動部品を有する場合がある。かかる装置は、割り出し又は嵌合部品の構成に起因して、計数上の誤差の影響を受けやすく、或いは比較的大きな又は多くの可動部品を収納する過度に広い空間をハウジング内に必要とする。他の指示装置は、吸入器具から小出しされている薬剤を含む空気流を妨げ又はこれを邪魔をする場合がある。変形例として、小出し量をカウントし又は記録する電気回路を用いる装置もある。しかしながら、かかる装置は、製造に比較的費用がかかり、一般に、種々の環境、例えば湿気の多い状況では損傷しやすい場合もある電源を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要を述べると、本発明は、容器から小出しされた又は容器内に残っている計量された投与量の回数を指示する指示装置に関する。この容器は、これから長手方向に延びる弁棒を有し、この弁棒は、閉鎖位置と開放位置との間で動くことができる。この容器は、弁棒を開放位置に動かすと、計量された投与量を小出しする。指示装置は、容器に取り付けられるようになったベース部材と、ベース部材に可動的に連結されたキャップ部材と、キャップ部材に回転自在に取り付けられた指示部材と、キャップ部材がベース部材に対して所定回数の軸方向運動を行うと、指示部材を一刻みの量回転させるようになった駆動部材とを有する。
【0007】
好ましい実施形態では、キャップ部材は、軸方向経路に沿ってベース部材に対して動くことができる。指示部材は、複数の歯を有し、この指示部材は、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向に対して実質的に平行な軸線の回りに回転自在にキャップ部材に取り付けられている。駆動部材を含む駆動機構は、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向運動によって定められる軸線に実質的に垂直な軸線の周りに回転自在にベース部材とキャップ部材のうち一方に取り付けられた爪車を有する。駆動部材は、爪車と同軸状に設けられ、爪が、キャップ部材及びベース部材のうち一方に取り付けられている。爪は、キャップ部材がベース部材に対して軸方向運動を行うために、爪車に選択的に係合し、爪車及び駆動部材を一刻みの量回転させる。駆動部材は、キャップ部材がベース部材に対して所定回数の軸方向運動を行うと、指示部材の複数の歯のうち少なくとも1つに選択的に係合し、指示部材を一刻みの量回転するようになっている。
【0008】
別の特徴によれば、指示装置は、第1及び第2の指示部材を有し、第1及び第2の指示部材は各々、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向に実質的に平行な軸線の回りにキャップ部材に取り付けられている。第1の指示部材は、第1の指示部材が使用サイクルを完了すると(これは、指示装置及びこれに取り付けられた容器が完全に一回使用されたことを示す)、第2の指示部材に選択的に係合し、第2の指示部材を一刻みの量回転するようになっている。好ましい実施形態では、第1の指示部材は、容器から小出しされた又は容器内に残っている投与量の回数を指示する投与量指標を有し、第2の指示部材は、指示装置について完了した使用サイクルの回数、又は指示装置について残っている使用サイクルの回数を指示する使用回数指標を有している。
【0009】
さらに別の特徴によれば、指示装置は、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向に対し実質的に平行な軸線の回りにキャップ部材に取り付けられた第1の指示部材及びベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向に対し実質的に垂直な軸線の回りにキャップ部材とベース部材のうち一方に取り付けられた第2の指示部材を有している。好ましい実施形態では、第1の指示部材と第2の指示部材の両方は、容器から小出しされた又は容器内に残っている投与量の回数を指示する投与量指標を有し、第2の指示部材は、ベース部材に対するキャップ部材の各軸方向運動に応答して一刻みの量回転し、第2の指示部材は、ベース部材に対するキャップ部材の所定回数の軸方向運動を行うと一刻みの量回転する。
【0010】
別の特徴によれば、指示装置は、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向に対して実質的に平行な軸線の回りにキャップ部材に取り付けられた第1及び第2の指示部材と、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向に対して実質的に垂直な軸線の回りにキャップ部材に取り付けられた第3の指示部材とを有している。好ましい実施形態では、第1及び第3の指示部材は、投与量指標を有し、第2の指示部材は好ましくは、使用回数指標を有している。
【0011】
さらに別の特徴によれば、指示装置は、駆動部材及び指示部材のうち一方に連結されたリセット部材を有している。リセット部材を回転させると、指示部材をベース部材に対するキャップ部材の軸方向運動とは無関係に、キャップ部材に対して動かすことができる。
【0012】
本発明の別の特徴によれば、容器から小出しされた又は容器内に残っている計量された投与量の回数を指示する方法が提供される。この方法は、容器を可動的に支持するハウジングを準備する段階と、キャップ部材、ベース部材及びキャップ部材に回転自在に取り付けられた指示部材を有する指示装置を準備する段階とを有する。この方法はさらに、キャップ部材をベース部材に近づけて容器を長手方向軸線に沿って移動させ、それにより弁棒を、計量された投与量が放出される開放位置に動かす段階と、指示部材を、ベース部材に対するキャップ部材の運動に応答して動かす段階とを有する。
【0013】
好ましい実施形態によれば、この方法は、キャップ部材をベース部材に近づける段階とキャップ部材をベース部材から遠ざける段階のうちいずれか一方を行うと、爪車を爪に係合させる段階と、指示部材を駆動部材に係合させて指示部材を回転させる段階とを更に有する。
【0014】
さらに別の特徴によれば、容器から計量された投与量の薬剤を小出しするディスペンサーを組み立てる方法が提供される。この方法は、ハウジングを準備する工程と、容器をハウジング内に配置する工程と、指示装置を容器に取り付ける工程とを有する。
【0015】
本発明は、他のエアゾール式小出し容器及びこれに用いられる指示装置に対して顕著な利点をもたらす。特に、指示装置は、別個に製造でき、これを必要に応じて、多種にわたる従来型エアゾール容器に取り付けることができ、この場合、容器又はハウジングに関して必要な設計変更は殆どないか、或いは全く無い。さらに、指示部材及び駆動機構を備えた指示装置は、製造及び組立が比較的容易な比較的少数で構造が簡単な機械部品で構成される。このようにすると、指示装置を一層頑丈に作ることができ、しかもユーザ側の種々の悪環境にさらされても損傷しにくい。加うるに、駆動機構及び指示部材は、容器から小出しされた又は容器内に残っている投与量の回数を指示する信頼性の高い指示装置を構成し、かかる指示装置は小出し装置の使用を邪魔しない比較的コンパクトな形態で作ることができる。
【0016】
本発明の内容は更に別の目的及び利点と共に、添付の図面と関連して以下の詳細な説明を読むと最もよく理解できよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面を参照し、特に図31及び図32を参照すると、エアゾール式ディスペンサが、ハウジング200又はアクチュエータブーツ及びこの中に設けられた容器12を有するものとして示されている。ハウジングは、容器を受け入れるような形状になった長手方向に延びるキャビティ202を有している。ハウジングの頂部は全体が開口していて、容器を開口部204を通ってハウジング内に挿入して、容器の底端部14がハウジングから突出して作動のためにユーザに露出される状態でハウジング内に取り付けることができるようになっている。
【0018】
本明細書で用いる「長手方向」及び「軸方向」という用語は、ハウジングに対する容器の往復運動の方向やベース部材に対する指示装置のキャップ部材の方向を示すものとする。「頂(又は上)」、「底(又は下)」、「上方」及び「下方」という用語は、図示の吸入装置を見たときの方向を示すものとするが、容器は、その頂面がハウジングの底部に隣接して位置したり、またその逆の関係になるように逆さまにされることは理解されたい。さらに、ユーザは容器及びディスペンサを任意の数の位置で用いることができることは理解されるべきであり、かかる位置としては、図31及び図32に示す好ましい直立位置が挙げられるが、これには限定されない。
【0019】
図31及び図32に示すように、井戸状の穴214を有する円筒形支持ブロック212が、ハウジングの底部206に形成されている。オリフィス210が、支持ブロックを貫通していて井戸状の穴の底部と連通している。一実施形態では、患者の口に挿入されるようになったマウスピース208が、オリフィス及び井戸状の穴と連通する排出ポート216を形成している。マウスピース208は、ハウジングから横方向に延びてマウスピースを患者の口の中に挿入しやすくしている。
【0020】
容器12は円筒形であり、その頂面17にはハブ16が設けられている。弁棒18が、ハブから長手方向に延びている。弁棒は、容器から同軸状に延び、容器の弁棒内に設けられたばね(図示せず)によってこれから外方に付勢されている。容器12は、弁棒18を支持ブロックの井戸状の穴214に圧力嵌めすることによりハウジング内に取り付けられている。
【0021】
好ましい実施形態では、容器12は、弁棒18を伸長閉鎖位置から押下げ開放位置に押し下げ又は動かすことにより容器から特定の計量された投与量で小出しされる加圧状態の薬剤を含むエーロゾルで満たされている。1回分の計量された投与量が、弁棒を長手方向に往復動させるたびに容器から小出しされる。
【0022】
動作原理を説明すると、弁棒を開くには、容器12を、弁棒及び容器の往復運動によって定められる長手方向軸線に沿ってハウジング200内で往復運動させ、容器の底端部14をハウジングに対して押し下げて、弁棒18が支持ブロックによって井戸状穴内で支持されている時に弁棒18を開放位置に動かす。弁棒を開放位置に動かすと、容器は、井戸状穴214及びオリフィス210を通って計量された投与量の薬剤を含むエーロゾルを小出しする。薬剤を含むエーロゾルを次に、自動発生空気流又は支援空気流によってマウスピースの排出ポート216を通って患者に送り出す。
【0023】
他の送出しシステムでは、ハウジング及び容器のホルダーが、出力端部を備えた室を有する部品に取り付けられるようになっている。かかる種類の送出しシステムの例が、例えば1991年5月7日に発行された米国特許第5,012,803号及び1984年9月11日に発行された米国特許第4,460,412号に示されており、これら2つの米国特許の内容を本明細書の一部を形成するものとしてここに引用する。(引用により本明細書の一部として組み込むというプラクティスを理由としては、米国特許のいずれにも明示又は黙示の実施許諾権が生じることはない。)これらの種類の送出しシステムでは、室を有する部品をハウジングのマウスピースを受け入れるように改造してもよく、或いはこれを容器を支持するホルダーに一体に連結してもよい。いずれの実施形態でも、エーロゾル中の薬剤の計量された投与量はまず最初に容器から室内に小出しされ、しかる後患者によって吸入される。
【0024】
好ましい実施形態では、容器12は、所定回数分の計量された投与量の薬剤を小出しするようになっている。例えば、従来型吸入器容器は一般に、約100〜200回分の計量された投与量を収容保持する。しかしながら、利用可能な投与量の範囲は潜在的に、例えば容器の容量及び(又は)投与量計量弁のサイズに応じて1回分という少ない投与量から500回分以上という多い投与量まで様々であってよい。使用にあたり、患者が容器内に残っている計量された投与量の回数を知ることが重要な場合があり、したがって患者が薬剤を必要な場合に容器が空になっていることを知らないことがないようにする。
【0025】
次に、全体的に図面を参照すると、投与量指示装置が示されている。指示装置10は、容器から小出しされた又は容器内に残っている計量された投与量の回数を指示する。図1〜図3A、図10及び図11の実施形態にそれぞれ示すように、指示装置10,200,500は、第1の部材としてのベース部材40,540内に設けられた第2の部材としてのキャップ部材20,220,520で構成された指示装置ハウジングを有している。ベース部材40は、容器12の底部に取り付けることができるように構成されている。図2、図6及び図12〜図17に示す第1の実施形態では、ベース部材は、凸状又は湾曲した底部50又はフロアを有し、この底部50は、凹状又は内側に湾曲した輪郭(図2参照)を有する容器の底端部14内に受け入れられてこれと嵌合するような形状になっている。ベース部材40は好ましくは、接着剤、両面テープ又はこれと類似した結合剤で容器の底部に結合される。図6及び図10〜図15に示すように、円周方向スカート部材94が、ベース部分から上方に延びてキャビティ96を形成している。
【0026】
変形例として、図25に示すように、ベース部材140は、底部150、下方に延びる(垂下した)円周方向スカート152及び上方に延びる円周方向スカート156を有している。垂下したスカート152は、容器の底端部を受け入れるような形状の凹部又はキャビティ154を形成している。ベース部材は、底部又はスカートのうち1又は2以上容器に結合することにより、或いは容器をキャビティ154内に圧力嵌めして容器と垂下したスカートとの間に締り嵌め関係を生じさせることにより容器に取り付けられる。上方に延びるスカート156及び底部は、下方キャビティ154の上に位置する上方キャビティ158を形成している。
【0027】
図29〜図32に示す更に別の実施形態では、アダプタ部材90が、接着、締り嵌め、スナップ嵌め又はねじ結合により上述のベース部材のうち1つに取り付けられている。アダプタ部材90は好ましくは、円筒形の形態をしており、容器の底端部を受け入れるような形状の円周方向スカート92を有している。この場合もまた、アダプタを接着、締り嵌め又はこれら両方により容器に取り付けるのがよい。内径が互いに異なるアダプタを揃えておいてモジュール式ベース部材を有する単一の指示装置を種々の外径を有する種々のエアゾール容器に取り付けることができるようにするのがよい。
【0028】
変形例として、図57に示すように、ベース部材1040は、凹部1154を形成する下方に延びる円周方向スカート1152を有している。スカート1152は、ベース部材1040に種々の内径を作る1又は2以上の段部1155又は肩を有している。このように、単一のベース部材1040を、種々の直径の容器に用いることができる。スカート1152に2つの内径部を形成するよう段部を1つしか示していないが、ベース部材は摩擦嵌めにより種々の容器を受け入れるような寸法の複数の種々の内径をもたらすよう追加の段部を有するように構成してもよいことは理解されるべきである。スカート1152もまた、複数の切欠き又はスリット1153を有するよう構成されており、かかる切欠きにより、薬剤又はエーロゾルが小出しされている領域にベース部材が密接して位置する実施形態では、ベース部材の周りの空気流を多くすることができる。
【0029】
開示した容器及び指示装置、特にキャップ部材及び指示装置、特にキャップ部材及びベース部材は、好ましくは円形横断面を有するものとして示されているが、当業者であれば、任意のアダプタを含む容器及び指示装置を他の形状にしてもよいことは理解されるべきであり、かかる形状としては、矩形又は三角形横断面が挙げられるが、これらには限定されない。
【0030】
図1、図1A及び図1Bに最もよく示されているように、キャップ部材20は、視認用窓34,39が設けられた頂部52を有している。好ましくは、キャップ部材20は円形であり、視認用窓は、キャップ部材の下に指示された指示部材の頂部に付けられた指標の上に位置するようキャップ部材の外周部に隣接して頂部に設けられている。視認用窓を、多種多様な形状で作ることができる。例えば、視認用窓34を、図1に示すようにテーパを付けてもよく、或いは、図1A及び図1Bに示すように同軸状の内側と外側の湾曲した境界57,58及び半径方向側方の境界56によって境界づけられた弧状窓59であってもよい。キャップ部材の頂部は好ましくは、ユーザの親指又はその他の指でつまむ又は掴むことができるパターンを形成する複数の隆起部分54を有している。このようにすると、ユーザは、滑らないでキャップ部材をしっかりと押し下げることができる。当業者であれば分かるように、他のパターン又は掴みやすい表面、例えばローレットパターンをキャップ部材に施して指示装置を使いやすくしてもよい。
【0031】
図4、図6、図38及び図44を参照すると、キャップ部材20,220,1020,2020は、頂部52,252,1052,2052から下方に延びる又は垂下した円周方向スカート92,292,1092,2092を有している。スカートは好ましくは、ベース部材の上方の延びるスカートよりも直径が小さく、したがってキャップ部材のスカートはベース部材の上方に延びるスカート内に嵌まり込むようになっている。変形例として、ベース部材のスカートよりも直径の大きなスカートを持つようにキャップ部材を形成してベース部材のスカートがキャップ部材のスカートに嵌まり込むようにしてもよい。キャップ部材20,220,1052,2052は、スナップ嵌めによりベース部材40,1040,2040に可動状態で取り付けられている。
【0032】
特に、図5、図6、図7、図9、図10、図16及び図44に示すように、キャップ部材は、スカートの円周方向外面から延びる複数の係合部材28,228を有している。キャップ部材をベース部材の凹部又はキャビティ96内に軸方向に挿入してテーパした表面を有する係合部材28,228がベース部材のスカートのリムを越えて摺動し、ついには係合部材がベース部材のスカートの円周方向内面に沿って形成された複数のポケット43内に嵌まり込んでスナップロック嵌め状態が得られるようにする。特に、係合部材の上面は、ポケットの頂部を構成する係合面45に係合する。このようにすると、キャップ部材は、ベース部材に対して軸方向又は長手方向の経路に沿って動くことができる。変形例として、ベース部材のリムを内方へ僅かに湾曲させて係合部材が内方に湾曲したリム部分に係合してキャップ部材がベース部材から分離しないようにしてもよい。
【0033】
ベース部材40に対するキャップ部材20,220,1020,2020の軸方向運動は、係合部材が完全伸長位置でベース部材のポケットの頂部(又は、ベース部材のリム)と係合し且つキャップ部材のスカートの底部リム21,221,1021,2021が例えば図12〜図15に示すようにストロークの下限のところで底部の上面に係合することにより制限又は拘束される。当業者であれば理解できるように、変形例として係合部材をベース部材のスカートに形成してキャップ部材のスカートに設けられたポケット又は開口部、或いはリム(又はこれに類似した突出部)に係合するようにしてもよい。
【0034】
図6、図9、図16及び図17に示すように、ばね100は、キャップ部材とベース部材との間に設けられている。ばねは好ましくは、キャップ部材の下方に延びるハブ部分30,230(図4及び図6に示す)及びベース部材の上方に延びるハブ部分44(図10、図16及び図17に示す)内に設けられ、これらハブ部分は、入れ子状になる。変形例として、図25に示すように、ばね300は、キャップ部材とベース部材との間に設けられ、このばねは、コイルがキャップ部材のスカート392の円周方向内面に隣接して位置するようなサイズのものである。ばね100,300は、戻し機構として機能し、キャップ部材60,260,360をベース部材内で上方に付勢してキャップ部材の係合部材28,228がベース部材のポケットの上方部分に係合するようにする。図面には圧縮ばねが示されているが、皿座金形ばね、片持ばりばね、トーションばね、板ばね及び(又は)引張ばねも又、キャップ部材を上方に付勢してこれをベース部材に係合させるよう働くことは理解されるべきである。ばねは、金属又はプラスチック製であるのがよい。
【0035】
図4、図5、図16、図17及び図45に示すように、キャップ部材とベース部材との間で働く戻し機構は、キャップ部材から下方に延びる複数の弾性アーム部材400,2400を有している。キャップ部材をベース部材に向かって動かすと、アーム部材のうち1又は2以上が、ハブ部分44の外側部分に沿って形成された傾斜した付勢面402に係合する。傾斜した付勢面は、キャップ部材がベース部材に向かって動くにつれて弾性アーム部材のうち1又は2以上を外方に付勢する。図4及び図5の実施形態に示すように、6本のアーム部材400が、ハブ部分30の周りに円周方向に配置されている。変形例として、図39の実施形態に示すように、6本のアーム部材1400が、ハブ1030の周りに“X”パターンで配置されていて、スペースを節約すると共にキャップ部材1020の下に空きスペースを別途作っている。これと対応した傾斜部又は傾斜した付勢面がベース部材1140に同様に設けられている。弾性アーム部材は、片持ばりばねとして働いて、ユーザがキャップ部材を離すと、キャップ部材をベース部材から押し離す。当業者には理解できるように、弾性アーム部材をベース部材上に形成してこれがキャップ部材に形成された傾斜面に係合するようにしてもよい。また、当業者には理解できるように、ばね及び弾性アーム部材を図16及び図17に示すように一緒に用いてもよく、或いは別個に用いてもよい。さらに、1又は2以上のアーム部材及び(又は)傾斜部を用いてもよく、この場合アーム部材及び(又は)傾斜部材の寸法形状は、キャップ部材とベース部材との間に一層広い空間が得られるよう設計変更される。
【0036】
図4、図6及び図44に示すように、キー部材32,232又は心合せリブが、キャップ部材のハブ部分30,230から半径方向に延びている。図10に示すように、キー穴47又はスロットが、ベース部材のハブ部分44の半径方向に延びる部分に形成されている。このスロットは、ハブ部分に形成された開口部から半径方向に延びている。組立て中、キャップ部材のキー部材をベース部材のキー穴に嵌め込んでこれらが互いに回転しないようにする。
【0037】
図4〜図9、図12〜図15、図38、図40及び図44〜図46の種々の実施形態を参照すると、投与量指示部材60,260,1060,2060が、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向運動に実質的に平行な軸線の周りでキャップ部材20,220,1020,2020内に回転自在に設けられている。指示部材は全体として中央が開口しており、この指示部材は、キャップ部材の頂部の底面に沿って回転自在に摺動する上面を備えた頂部76,276,1076,2076を有している。変形例として、指示部材をキャップ部材の外部に取り付けてもよく、この場合キャップ部材の頂部に付けられた指標を見るための視認用窓が指示部材に形成される。
【0038】
図5、図6、図38及び図44の実施形態に示すように、指示部材60,260,1060,2060は、頂部から下方に延びる円周方向スカート74,274,1074,2074を有している。図5及び図8を参照すると、複数の突出部26,226又は係合ハブ部材が、キャップ部材のスカートの円周方向内面から延びていて、指示部材のスカートの底部に形成されたリム64,264に係合する。変形例として、指示部材は、キャップ部材に設けられた溝又はこれと類似した開口部に嵌まる係合部材又はリムを有していてもよい。このようにすると、指示部材はキャップ部材に、これらの相対的な軸方向運動を防止するよう固定されるが、指示部材はキャップ部材に対して回転することができる。指示部材は、これをキャップ部材内にスナップ嵌めすることにより取り付けられる。当業者には理解できるように、変形例として指示部材をキャップ部材のハブ部分(キー部材の一部を切除してある)又はキャップ部材に固定されたこれと同様な軸に回転自在に取り付けてもよい。
【0039】
図25及び図26に示す更に別の変形実施形態では、プレート部材380が、指示部材360をキャップ部材の頂部の内面に当てた状態に保持し、この場合ばね300はプレート部材380の底面に係合していて、プレート部材の頂部398をキャップ部材に押し付け、キャップ部材をベース部材から押し離している。指示部材360は、プレート部材の平らな外部とキャップ部材の底面との間に形成された凹部に嵌め込まれている。図26を参照すると、駆動組立体は、軸384をプレート部材の下方に延びる壁388に設けられた開口部に差し込むことによりプレート部材380に取り付けられている。軸の一端に設けられた拡大部分396が、壁のうち1つに係合し、爪車382及び駆動部材386が軸の他端に取り付けられていて、それにより組立体が得られている。プレート部材の頂部が、キャップ部材に当接する。
【0040】
図4〜図9、図40〜図46の実施形態に示すように、指示部材60,260,1060,2060は、スカートの内周の周りに形成された複数の内方に向いた歯66,266,1066,2066を有している。図5、図6及び図40に示すように、歯は好ましくは、これらの間に隙間1061が形成されるよう円周の一部に沿ってのみ形成されている。
【0041】
変形例として、図26の実施形態に示すように、指示部材360は、これに形成された開口部の内側リムの周りに半径方向内方に形成された複数の歯366を有している。なお、この指示部材は、スカートを備えていない比較的平らなリングとして形成されている。図29に示す更に別の実施形態では、複数の歯466は、リング状の指示部材460から軸方向下方に延びている。
【0042】
図5及び図44〜図46の実施形態に示すように、指示部材60,2060は、スカート74,2074の円周方向外面の周りに形成された複数の凹み68,2068を有している。キャップ部材は、一対の上方に延びる弾性割出し部材22,2022を有し、これら割出し部材は各々、指示部材に解除自在に係合してこれとの相対回転を防止するよう凹みのうちの1つに係合する端部を有している。凹み68,2068相互間の角度的距離は、指示部材の複数の歯66,2066相互間の角度的距離と実質的に同じである。このようにすると、割出し部材は隣合う歯相互間の距離によって定まる一刻みの量、指示部材を前進させるたびに次の凹みに選択的に係合する。図46に示す実施形態では、凹みは、キャップ部材に対して指示部材2060を一方向にしか回転させることができないようにする爪歯として形成されている。
【0043】
変形例として、図6並びに図38及び図39の実施形態に示すように、凹みと割出し部材は逆の関係になっており、即ち凹み224,1224は、キャップ部材のスカートの円周方向内面の周りに形成され、そして図6に示すように、割出し部材270が指示部材のスカートに形成された空所内で指示部材から下方に延び、或いは図38に示すように、一対の割出し部材1270が、スカート1074の底縁に沿って設けられたリム部分1078に沿って形成された可撓性アームとして形成されている。図38、図39及び図40に示す実施形態では、割出し部材1270と、好ましくは爪歯として形成されている凹み1224との相互作用は、指示部材をキャップ部材の作動相互間で定位置に保持することにより指示部材を割り出すと共に指示部材1060の逆回転を防止するよう働く。1又は2以上の割出し部材を、好ましくは爪歯として形成された複数の凹みに係合させれば、割出し部材又は凹みがキャップ部材又は指示部材のいずれに形成されているかどうかとは無関係に指示部材の回転運動を制御することができる。
【0044】
図26に示す更に別の変形実施形態では、プレート部材380は、弾性割出し部材370を有し、この割出し部材370は、指示部材の偶発的な回転を防止するよう指示部材に選択的に係合する複数の歯366のうち1つに係合する。変形例として、割出し部材がキャップ部材から延びていてもよい。
【0045】
図1A及び図1Bに示すように、数字又は色塗りの形態の投与量指標72,172が、指示部材の頂面に設けられていて、キャップ部材の頂部に設けられた視認用窓34,59を通してユーザに見える。変形例として、図24及び図26の実施形態に示すように、数字0が好ましくは永続的なエッチングにより矩形の視認用窓334に隣接して設けられていて、視認用窓から見える指標の10倍の値が示されるようになっている。1桁及び2桁の指標372が指示部材360の頂部に設けられていて、3桁の数字がユーザに指示されるようになっている。
【0046】
図3Aに示す更に別の変形実施形態では、視認用窓534は、キャップ部材の下方に延びる円周方向スカート592の上部に形成されている。指標は、窓から見えるよう指示部材のスカート574の円周方向外面に付けられている。この実施形態では、ベース部材のリム542は好ましくは、指標を遮られることなく見ることができると共に視認用窓がどこにあるかをユーザに知らせるために視認用窓534と整列して扇形に切り込まれている。
【0047】
当業者であれば理解できるように、容器内に残っている又は容器から小出しされた投与量の回数を指示する他の指標として、種々の英数字、言葉、用語又はフレーズ(例えば、「一杯の」及び「空の」)、目盛り、格子、矢印、隆起部分、凹み、色塗り及び色分け、陰影等の印、或いはこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらには限定されない。例えば、視認用窓に表示されたセグメント状色格子172は(例えば、図1Bに示すように)、容器が一杯であることを示す緑色から、内容量が中程度であることを示す黄色、そして最終的に容器が空であることを示す赤色に変わるようにしてもよい。また、指標を指示部材と一体に形成してもよく、或いは塗料、染料、エッチング、タコ印刷、箔押又は型押印刷、或いは粘着ラベルによって指示部材に付着させてもよい。数字の指標を用いる場合、数字を、0(又は初めとなる或る数)から利用可能な投与量の所定の数になってこの所定の数がユーザに表示されると容器が空であることが分かるようにするよう配置し、或いは逆に初めとなる所定の数から0(又は終りとなる或る数)になって、これが容器が空であることをユーザに知らせるように配置してもよい。
【0048】
好ましい実施形態では、指示部材は、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)で作られ、この材料は、指標を印刷し又は付着させるある別の方法を利用でき、かかる方法としては、タコ印刷及び箔押又は型押印刷が挙げられる。キャップ部材及びベース部材は好ましくは、例えばアセテル(Acetel)のような硬質プラスチック材料で作られる。
【0049】
図5〜図9及び図12〜図18を参照すると、駆動機構が、駆動組立体を有するものとして示されている。駆動組立体は、軸84に設けられた駆動部材86に同軸状に取り付けられた爪車82を有する。爪車、駆動部材及び軸を別々に製作するのがよく、この場合、爪車及び駆動部材を軸に取り付け、或いは3つ全ての部品を一体部品として一体成形してもよい。駆動組立体は好ましくは、例えばアセテル(Acetel)のような硬質プラスチック材料で作られる。
【0050】
図38及び図42に示す変形実施形態では、駆動組立体は、駆動部材86と爪車82との間でこれらと同軸状に設けられた第2の投与量指示部材1800を更に有している。指示部材1800は、ホイールとして形づくられ、好ましくはその周面1802の周りに設けられた投与量指標を有する。好ましくは、指標は、0から9までの通し番号で構成される。
【0051】
図44に示す更に別の変形実施形態では、駆動組立体は、指示部材1800と同軸状に設けられた爪車82を有する。駆動部材86は、爪車及び指示部材とは別個に作られ、指示部材1800から軸方向に延びるカラー1082に形成された溝1801に受け入れられるような寸法の単一の歯89を有している。駆動部材86の歯89は、カラーの溝1801内に受け入れられ、この歯89をカラー、爪車及び指示部材に対して軸方向に動かすことができる。
【0052】
爪車82の周囲には複数(好ましくは10個)の歯88が形成されている。歯は各々、係合面89及びテーパ面87を有している。上述のように、駆動部材86(これは爪車と一体に形成されているか、或いは別体としてこれに連結されているかどうかは問わない)は、軸84又は駆動部材のカラーから半径方向に延びる単一の歯89を有している。
【0053】
図5、図6及び図45に示す実施形態では、駆動組立体はキャップ部材に取り付けられており、その手段として、軸84の互いに反対側の端部を下方に延びるハブ部分36,236,2236に係合させて軸、爪車及び駆動部材がベース部材に対するキャップ部材の軸方向運動の方向及び指示部材の回転軸線に実質的に垂直な軸線の周りに回転するようにする。変形例として、駆動組立体をこれと同様な方法でベース部材に取り付けてもよい。
【0054】
変形例として、図38及び図39の実施形態に示すように、軸84は、単一のハブ1036又は可撓性のスナップエンクロージャリブ内に受け入れられている。この実施形態では、駆動組立体は、傾斜部1083を更に有し、この傾斜部は、駆動組立体の回転軸線の周りに形成された複数の半径方向に延びる歯1085まで傾斜している。大径の軸1084が、歯から外方に延びている。リセット部材1106が、掴む又はつまむことのできるホイール部分1107及びカラー1109を有し、このカラーは、キャップ部材のスカートに形成された横方向に向いた開口部1302内に受け入れられるように寸法決めされている。軸受指示体1300が、カラーを指示するよう開口部の周囲の周りに形成されている。リセット部材1106は、カラー1109から軸方向に延びる4つの可撓性弾性フィンガ1304を更に有している。各フィンガ1304は、フィンガの端から半径方向内方に延びる係合部分1306を有している。係合部分は、駆動組立体に形成された歯1085のうち1つに係合するように形づくられている。突出部1308又はリブが、フィンガのうちの1つに、これから半径方向外方に延びるよう形成されている。突出部1308は、駆動部分として役立ち、図40に示すように指示部材の歯相互間に形成された隙間1061に隣接して指示部材の底部に形成された下に延びる突出部1310に係合する。好ましくは、突出部1310は、隙間をまたぐ2つの歯相互間の角度的に中点に位置するよう位置決めされている。
【0055】
図12〜図15に示すように、駆動機構は、可撓性ロッド又はフィンガとして示された爪部材48を更に有し、この爪部材は、ベース部材の底部から上方に延びていて、爪車の歯のうちの1つに選択的に係合する。変形例として、爪車をキャップ部材に可動的に固定して容器の頂部に係合するようベース部材を貫通させてもよく、したがって容器に向かうキャップ部材の軸方向運動により、爪は以下に説明するように爪車に向かって移動してこれに設けられた歯のうちの1つに係合するようになる。これまた可撓性ロッド又はフィンガとして示されている逆止め部材238が、キャップ部材の頂部から下方に延び、爪車の歯88のうちの別の1つに選択的に係合する。爪部材は変形例として、上述のように駆動組立体がベース部材に取り付けられている場合はキャップ部材から延びてもよい(及び逆止め部材がベース部材から延びる)ことは理解されるべきである。
【0056】
使用にあたり、図12〜図21に示すように、ユーザはキャップ部材220を完全伸長位置(図12参照)からベース部材に向かって押し下げてキャップ部材がストロークの下限でベース部材内で底に届き(図14)、そして計量された投与量が容器から小出しされるまでベース部材が容器に軸方向荷重を及ぼすようにする。好ましい実施形態では、ばね100(図6に示す)又はばねとして役立つ例えば弾性アーム部材のような変形例としての戻し機構の付勢力が、容器の計量弁内に設けられているばねの付勢力よりも小さく、したがってキャップ部材がベース部材内でまず最初に底に届き(この場合、容器はハウジング内で下方に移動している)ついには計量された投与量が小出しされるようにする。
【0057】
図12、図13及び図14を参照すると、キャップ部材220をベース部材40に向かって押し下げると、爪48は爪車の歯のうちの1つの係合面89に選択的に係合して爪車を回転させる。それと同時に、爪車の歯のうちの1つのテーパ面87は、逆止め部材238がストロークの下限の近くで次の歯に選択的に係合するまで逆止め部材238を外方に付勢する。次に、ユーザはキャップ部材を離し、しかるのちばね100(図6に示す)又はこれと類似した戻し機構がキャップ部材220をベース部材40から押し離し、ついには、係合部材が図15に示すようにストロークの上限でベース部分に係合するようになる。ユーザがキャップ部材を離すと、容器は長手方向軸線に沿ってハウジング内で上方に付勢され、弁棒が容器内で閉鎖位置に移動するようになる。それと同時に、キャップ部材が離されてベース部材から遠ざかるに連れ、爪48は爪車の歯のうちの1つのテーパ面87によって外方に付勢される。というのは、逆止め部材238が爪車の逆方向の回転を防止してその一方向の回転を維持するからである。ストロークの上限では(図15に示す)、爪48は再び、爪車の歯のうちの1つと選択的に係合する位置に配置される。このように、爪車82及びこれに連結された駆動部材86(図18〜図21に示す)は、容器の作動及びこれに伴なう薬剤の放出のたびに一刻みの量を送り進められる。一刻みの量は、爪車の周囲に形成された歯の数で決まる。好ましい実施形態に示すように10個の歯を備えている場合、爪車は、指示装置及び容器を10回転させるごとにまる1回転し、換言すると、1回の作動ごとに1/10回転することになる。当業者であれば、爪車の周囲に種々の数の歯を形成すれば爪車をまる1回転させるのに上記よりも多い又は少ない容器の軸方向の運動又は作動が必要になることは理解されよう。
【0058】
変形例として、爪車の作動を逆にしてもよい。この実施形態では、爪は、下降ストロークの際爪車の歯のうちの1つのテーパ面によって外方に付勢される。ストロークの下限では、爪は付勢されて歯のうちの1つに係合する。患者がキャップ部材を離すと、ばね又はこれと均等な戻し機構がキャップ部材を長手方向軸線に沿ってベース部材内で上方に付勢して爪部材が歯のうちの1つに係合し、それにより爪車を一刻みの量回転するようにする。この実施形態では、逆止め部材は、下降ストロークの際爪車の回転位置を維持する。
【0059】
図18〜図20、図38及び図44に示すように、駆動部材86は、好ましくは単一の歯89又はセグメントを有するものとして示されている。したがって、10回目の作動ごとに、駆動部材86が回転して歯が指示部材に形成された歯266のうち1つに選択的に係合して指示部材を一刻みの量回転させるようになる。一刻みの回転量は、隣り合う歯相互間の距離によって定められ、或いは歯の円ピッチとして定められる。このように、駆動部材は、キャップ部材がベース部材に対して所定回数の軸方向運動を行った後及びその際に、指示部材の歯のうちの少なくとも1つに選択的に係合して指示部材を一刻みの量回転させる。指示部材を回転させるのに必要な軸方向運動の所定回数は、爪車と駆動部材の減速比で決まり、この減速比は、爪車に形成された歯の数を駆動部材に形成された歯の数で割った値である。例えば、好ましい実施形態に示すように、爪車の歯が10個、駆動部材の歯が1つであれば、指示部材の小刻みな運動が得られることになり、或いは10回の軸方向運動を行うたびに指示部材が歯1個分送り進められるものとして定められる。これと同様に、駆動部材の歯が4個、爪車の歯が20個であれば、上記所定回数は、5回の軸方向運動等に等しくなろう。歯数比が1:1であればその結果として、軸方向運動の所定回数は1回となり、この場合指示部材は軸方向運動を行うたびに動くことになる。
【0060】
図19を参照すると、指示部材260及び駆動部材86は、ユーザにより初期作動又は使用前の状態で示されている。特に、駆動部材の歯は、指示部材の第1の歯266に隣接して位置している。爪車が10個の歯を備えているこの実施形態では、歯89が図21に示すように指示部材の第1の歯266に係合するには10回の作動が必要である。この時点において、指示部材は、軸方向運動の所定回数の数に等しい単一サイクルを完了しており、そのかかる単一サイクルの結果として、指示部材が小刻みに運動する。次に、このサイクルを繰り返して(再び所定回数の軸方向運動を実施することにより)再び指示部材の小刻みな運動が結果的に得られるようにする。好ましくは、図1A、図3A、図24及び図26に示すように、数字の指標(番号と点(・)を含む)を、指示部材の1回の小刻みな送り進めにつき10回の軸方向運動を必要とする好ましい実施形態と相関するよう10刻みで付ける。
【0061】
減速比が与えられた爪車と駆動部材は、指示部材を送り進める構成が簡単であるが、信頼性の高い機構を提供する。特に、指示部材及び容器の作動ごとの送り進めが必要な場合よりも指示部材に設ける歯を少なして製造できる。製造を容易にするために、指示部材及び爪車の各々に設けるピッチをできるだけ粗くすることが望ましい。ただし、歯車は依然として歯の細かい歯車として定義される。しかしながら、指示部材が容器から薬剤を完全に使い切った状態に相当する1回転(単一サイクル)だけを行うことも本発明の範囲に属する。かくして、多数回分(約200以上の回数)の投与量が容器内に入っている場合、爪車及び駆動部材は、比較的高い減速比を生じさせること、例えば、キャップ部材及び容器の200回の直線往復運動が、指示部材の1回転以下に相当するようにすることが重要である。したがって、指示部材は粗い歯を設けて安価に製造できる。加うるに、比較的大きな駆動部材と相互作用する大きくて粗い歯は、これら部品の噛み合いの際の装置の精度を向上させるのに役立つ。加うるに、かかる機構及びこれに付随する減速比により、たとえ容器が比較的多数(約200以上)の計量された投与量を収容していても、指示部材は、容器の使用寿命中、即ち、これが空になるまでに1回転だけをすることができる。この1回転は、容器が一杯であることを示す初期の読みから容器が空であることを示す最後の読みるでの投与量指示部材の運動量として定義される使用サイクルに相当している。当然のことながら、もし最初に少ない回数の投与量に設定されていれば、指示部材の回転量は、使用サイクルの完了の際にはまる1回転に足りない。
【0062】
図38及び図44に示す変形実施形態では、視認用窓1034,2034は、指標をそれぞれ備えた第1及び第2の投与量指示部材1060,2060,1800がこれらの窓から見えるよう十分に大きい。これら実施形態の使用にあたり、指示部材1800は、爪車1020,2020が爪部材により駆動されるとベース部材1040,2040に対するキャップ部材1020,2020の作動ごとに回転する。指示部材1800は、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向及び指示部材1060,2060の回転軸線に対して実質的に垂直な軸線の回りに回転する。指示部材1800が「1」の指標を有し、爪車82が10個の歯を備えている好ましい実施形態では、指示部材1800は、作動ごとに送り進められ、ユーザにかかる送り進めを知らせるよう目に見える指標を備えている。指示部材1800が1サイクル又は1回転を完了すると、指示部材1060,2060は、駆動部材86により一刻みの量送り進められ、指示部材1800は、別のサイクルを開始する。このように、ユーザには、指示装置が作動するたびにこれがユーザに知らされると共にこれに伴って生じる取付け状態の容器からの投与量の小出しがユーザに知らされる。
【0063】
図5及び図40に示されているように、歯66,1066が指示部材の周囲の周りに一部しか延びていない場合、指示部材60,1060は、容器を作動するようキャップ部材を繰り返し動かしても、駆動部材が最後の歯に係合した後では送り進められない。これにより、容器が空であることを示す最後の指標を越えて容器が一杯であることを示す最初の指標に送り進めてユーザを混乱させることはできないようになる。
【0064】
変形例として、図33〜図36に示すように、指示装置は、係止又はロック装置を有している。特に、ベース部材は、ベース部材の底部から上方に延びる支柱部材として形成された第1の係止部材702を有している。指示部材760は、指示部材の周囲に形成された複数の歯776のうちの1つの延長部として図35に示す第2の係止部材704を有している。使用にあたり、キャップ部材を上述のようにベース部材に近付けたり遠ざけたりして指示部材を回転させる。この操作中、図33及び図34に示すように、第1の係止部材702を、複数の歯の直径方向内面の内側に配置してこれが図33に示すように指示部材によって形成された凹部内に移動する際に歯に当たらないようにする。指示部材がまる1回転(これは好ましくは、容器を空にすることに相当している)を行った後、第2の係止部材704を図35及び図36に示すように第1の係止部材702上に回転させる。この位置では、キャップ部材をベース部材に向かって動かすことはできず、それにより、ユーザは、空になった容器をさらに中身を出したり又は空にしようとすることはできない。また、キャップ部材を動かすことができないので、これは容器が空になっているという二次的な指標となる。当業者には理解できるように、第1及び第2の係止部材の寸法形状は様々であってよい。例えば、支柱部材がベース部材の段付き表面に係合するようキャップ部材から延びていてもよい。
【0065】
図29及び図30に示すように、リセットホイール106が、爪車82及び駆動部材86と同軸状に設けられている。リセットホイールの外周部108(これは、ユーザの親指で掴める複数の歯を有している)は、これがベース部材の底面50を越えて延びると露出される。当業者には理解できるように、リセットホイールを露出させるには、これをユーザが接近できるよう指示装置の他の部分から延ばすのがよい。ユーザは、リセットホイール106を回して指示部材をその元の開始位置又は任意他の所望設定値まで手動で回転させ、この場合、キャップ部材をベース部材に対して動かす必要はない。このようにすると、指示部材を再利用して新しい容器に用いることができ、或いは指示装置を容器に取り付ける前に指示部材を適正な設定値に移動させることができる。このように、同一の指示装置を、様々な回数の計量された投与量の薬剤の入った種々の容器に用いることができる。キャップ部材に対する指示ホイールの運動中、キャップ部材及び指示装置のうちの一方の凹みに対する割出し部材の力に打ち勝って、割出し部材は、ユーザが指示部材を所望の設定値に回転させている時に繰り返し凹みに係合したりこれから離脱するようになる。この運動は、キャップ部材に対する指示部材の小刻みな送り進めを行うたびに生じる割出し部材の運動に似ている。
【0066】
好ましくは、図29及び図30のリセットホイールは、歯が周囲全体に形成されている指示部材と併用され、したがって指示ホイールを0(又は一杯、例えば200)位置に戻すのに歯の数個分(1又は2以上)しか動かす必要はないようになる。リセットホイールを用いる場合、上述の固定装置を用いても或いは用いなくてもよい。その理由は、リセットホイールを用いると、キャップ部材とベース部材の軸方向運動とは無関係に指示ホイールを移動させ又は回転させることができるからである。
【0067】
図28に示す変形実施形態では、リセットセレクター部材602が、軸の端に取り付けられており、ベース部材の側部又はスカート694に設けられた開口部604から露出している。リセットセレクター部材602は、軸に取り付けられている。セレクター部材602は、ねじ回し又はこれと類似した工具の頭を受け入れるようになったスロットを備え、ユーザはかかる工具を操作して、所望の指標が視認用窓を通して見えるようになるまで軸、同軸状に取り付けられた駆動部材及び指示部材を回すことができる。この特徴は、指示装置をリセットしたり、或いは指示装置を容器内に入っている投与量の適正な回数に合わせて初期設定するのに有用な場合がある。当業者であれば、開示したスロット以外の凹部及び(又は突出部をセレクター部材に露出するよう設けてもよく、それによりユーザはセレクター部材を掴み又は作動的に係合し、しかるのち指示部材を回すことができる。また、当業者には理解できるように、キャップ部材はベース部材に対して動いて開口部と位置が合った時にセレクター部材を露出させるので、軸の長手方向経路に沿う場所ならどこにでもベース部材の開口部を設けることができる。
【0068】
図27に示す更に別の変形実施形態では、セレクター窓806が、キャップ部材の頂部に形成されている。突出部又はこれに類似した掴むことのできる部材として形成されたリセットセレクター部材802が、指示部材を空の位置に回すと窓から露出する。一実施形態では、上述のように、複数の歯が、最初の歯と最後の歯との間に隙間を残すよう指示部材の周囲の一部だけに形成されている。かかる実施形態では、セレクター窓806は好ましくは、最初の歯が再び駆動部材に係合する位置にくるまでユーザが窓内でリセットセレクター部材802を動かすことができるような長さのものである。しかしながら、リセットセレクター部材はまた、周囲全体に歯が形成された指示部材にも使用できることが理解されるべきである。
【0069】
変形実施形態では、例えば複数の切欠き又は歯として形成された複数のリセット部材又はこれに類似した掴むことのできる面を指示部材の周囲全体に形成してセレクター窓又は変形例として視認用窓から露出するようにしてもよい。かかる実施形態では、リセットセレクター部材をユーザの親指又はこれに似た部材で指示部材に係合させるだけでいつでも指示ホイールを回転させて異なる指標を露出させることができる。
【0070】
図24に示す更に別の実施形態では、キャップ部材の頂部には開口部又はセレクター窓906が設けられている。薄い工具、例えばペーパークリップを開口部に差し込んで弾性割出し部材370を押してこれを指示部材から離脱させる。次に、ユーザは視認用窓又はセレクター窓から親指等で指示部材を作動的に掴んで指示部材を所望の設定値に動かすことができる。
【0071】
図43に示す更に別の変形実施形態では、リセット部材をカラー1109が駆動組立体の軸1084に取り付けられた状態で駆動組立体に対して軸方向外方に引っ張ってこれを、可撓性フィンガ1304の係合部分1306が軸84の周りに円周方向に位置する離脱位置から、可撓性フィンガの係合部分1306が傾斜部1083をずり上がるにつれ外方へ付勢され、しかるのち駆動組立体の軸の周りに形成された歯1085に係合するようになる係合リセット位置に動かす。次に、ユーザは、リセット部材1106をベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向に対して実質的に垂直な回転軸線の回りに回転させる。リセット部材を回すと、可撓性フィンガの突出部1308は、指示部材1060の突出部1310に係合して指示部材を一刻みの量回し、それにより隙間1061の他方の側に位置する最初の歯を駆動部材との係合が可能な位置に移動させ、かくして指示部材の歯相互間の隙間1061を橋渡しする。リセット部材1106を更に回すと、駆動部材の歯89は指示部材の歯1066に係合し、そしてリセット部材を回すと1又は複数の指示部材を手動で所望のプリセット状態にすることができる。例えば、200回分の投与量を有する容器用として200回分の投与量を指示するよう指示部材をリセットできる。
【0072】
好ましい実施形態では、駆動組立体の軸に形成された係合部分1306及び(又は)歯1085は、駆動部材を一方向にだけ回転させることができるよう構成されている。したがって、リセットホイールを反対方向に回転させても、駆動部材はその方向には回転しない。というのは、係合部分を備えた可撓性フィンガが、軸の周りに形成された歯の上を摺動するに過ぎないからである。この一方向の回転により、駆動部材が指示部材に係合してこれを逆方向に回転させるのを阻止し、この逆方向の回転は、爪車に係合する逆止め部材とキャップ部材と指示部材との間の一方向割出しインターフェースの両方によって阻止される。
【0073】
リセット部材及び駆動組立体を取り付けるために、駆動組立体を垂直に設けて軸84が可撓性スナップエンクロージャ1036内に受け入れられるようにする。駆動組立体がいったん定位置にスナップ嵌めされると、リセット部材1106をキャップ部材の開口部に通して、フィンガが最終的に離脱位置で軸84の周りに位置するまで軸1084上に挿入する。このようにすると、キャップ部材の支持面1300によって支持されたリセット部材は、駆動組立体を一段と支持する。
【0074】
図52〜図55に最もよく示されている更に別の実施形態では、指示部材2060は、その周囲全体の周りに延びる複数の歯を有している。歯2067のうち少なくとも1つは、駆動部材の歯89と整列する切除部分2069を有している。したがって、サイクルの終りでは、駆動部材は、駆動部材の1又は2以上の歯89がこれが整列している歯の切除部分2069を通過するに過ぎないので、指示装置を繰り返し作動させてもそれにより指示部材が送り進められることはない離脱位置に位置する。しかしながら、この実施形態では、駆動部材86は、指示部材1800及び爪車82に対して軸方向に動くことができる。
【0075】
図44、図47及び図52〜図56に最もよく示されているように、リセット部材2106は、駆動シャフト2109に連結された掴むことができるホイール2107を有している。図47の好ましい実施形態に示すように、駆動シャフトの端は、駆動部材86の一端部に形成された歯を受け入れるように寸法決めされたスロット2308又は開口部に嵌まる複数の歯2306を有している。駆動部材は、リセットホイールのシャフトに取り付けられてその一端に形成された歯2306が駆動部材に形成されたスロット2308に嵌まるようになっている。次に、駆動部材を指示部材から延びるカラー1082の溝1801に挿入する。
【0076】
使用にあたり、ユーザはリセット部材1206を軸方向外方に引張って駆動部材86を、駆動部材の歯89又は複数の歯が指示部材の歯の切除部分2069に整列する離脱位置から、駆動部材の歯が切除されていない歯の部分2067に係合する係合又はリセット位置に軸方向に動かす。リセット位置では、ユーザは、リセットホイール2107及びこれに連結された駆動部材86を回して指示部材2060又は複数の指示部材をベース部材に対するキャップ部材の軸方向運動とは無関係に所望の設定値まで送り進める。離脱位置では、リセットホイールは、ベース部材の周囲に形成された一対のテーパフランジ相互間に引っ込められる。
【0077】
図44及び図52〜図56に示すように、指示部材2060は、指示部材の頂部から半径方向内方に延びるカバー部分2087を有している。カバー部分は、使用サイクルの終りで視認用窓と整列し、したがってカバー部分の下で回転し続けることができる指示部材1800が見えないようになる。ユーザに容器が空であることを示すようカバー部分に指標、例えば番号「0」又は言葉「終」又は「空」を付けるのがよい。
【0078】
図38に示すように、指示装置は、使用回数指示部材1500を更に有している。指示部材1500は、リングとして形成され、投与量指示部材1060のスカート1074の周りに設けられ、ここで指示部材のリムフランジ1078とキャップ部材の頂部の底面との間に捕捉されている。このようにすると、使用回数指示部材1500は、投与量指示部材1060によって支持された状態でこの周りに動くことができる。それにより、指示部材1500は又、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向の運動方向に実質的に平行な軸線の周りに回転自在に設けられている。リングとして形づくられている指示部材1500は、その外方に向いた半径方向周囲の周りに形成された複数の歯1502を有している。指示部材1500を上述したように送り進めると、指示部材1060の円周方向リム1078に沿って形成された可撓性フランジ1273は、キャップ部材の内側に形成された傾斜部1277によって半径方向内方に付勢され、指示部材に形成されている複数の歯1502のうちの少なくとも1つに係合し、それにより指示部材を隣り合う歯相互間の距離によって定まる一刻みの量送り進める。指示部材の周りに形成される歯の数は、指示装置の予定使用サイクル数に一致している。
【0079】
傾斜部1277が1つだけ設けられている好ましい実施形態では、使用回数指示部材1500を、指示装置の使用サイクル1回分に相当する投与量指示部材1060のまる1回転ごとに歯1個分送り進められる。例えば、指示装置を最初のカウントとして200回分の投与量を示すよう初期設定するのがよい。指示装置を連続的に作動して投与量を小出しすると、指標を備えた指示部材1060,1800は、これらが使用可能最終カウントとして0の投与量を表すまでカウントダウンするよう動作する。その時点において、駆動組立体は上述したように離脱位置に位置している。
【0080】
リセット部材1106を用いて駆動部材を作動させ、それによって指示装置を別の使用サイクルを行うことができるようリセットすると、弾性フィンガ1273を備えた指示部材1060は付勢されて傾斜部1277に係合し、使用回数指示部材を回転させるようにする。このように、使用回数指示部材1500は、連続した各使用サイクルの完了時に、回転し又は送り進められる。指示部材1500の歯1502の数は、指示装置についての予定使用数に一致している。例えば、図38及び図41に示す実施形態では、指示部材1500は、12個の互いに異なる容器に対する指示装置の12回の予定使用数に一致した12個の歯を有している。上述したように、リセット部材は、任意所望の読みのところで指標をリセットするのに用いることができ、したがって1つの指示装置を、互いに異なる回数の投与量が入っている連続した容器に用いることができるようになっている。指示部材1500は、指示部材の頂部から半径方向内方に延びる突出部として形成された停止部材1506を更に有している。停止部材1506は、最終の使用サイクルの完了時にキャップ部材の頂部から下方に延びる停止部材1508に係合する。この係合により、ユーザは、リセット部材及び駆動組立体により投与量指示部材1060を送り進めようとしてもこれを行うことができない。というのは、フィンガ1273が付勢されて、動かなくなっている使用回数指示部材の歯のうちの少なくとも1つに係合しているからである。このようにして、装置全体が動かなくなる。好ましい実施形態は12回の使用サイクルを行うよう構成されているが、使用回数指示部材に全部でこれよりも多い又は少ない利用回数の使用サイクルに対応して多い数又は少ない数の歯を設けてもよいことは理解されるべきである。
【0081】
図41を参照すると、使用回数指示部材1500は、指示部材の円周方向外面から半径方向外方に延びる突出部として形成された割出し部材1510を更に有している。割出し部材1510は、キャップ部材のスカートの円周方向内面の周りに形成された複数の歯1512に選択的に係合する。割出し部材1510及び歯1512は、キャップ部材1020に対する指示部材1500の一方向の回転を可能にする爪車装置又はラチェットとして形成されている。好ましい実施形態では、割出し部材及び歯は、互いに協働して一方向動作をもたらすようテーパしている。
【0082】
図37及び図38に示すように、複数の視認用窓1600が、キャップ部材の頂部の外周部の周りに配置されている。通し番号として示されている複数の指標1602が、視認用窓に隣接してキャップ部材の頂部に取り付けられている。使用回数指示部材の上縁部1514は、視認用窓1600を通して見ることができる指標を備え、したがってユーザは指示装置が現在どの使用サイクルで機能しているかを確かめることができるようになっている。例えば、図37及び図38に示す実施形態では、12個の視認用窓1600が、これに隣接して配置された番号1〜12を備え、これらは、指示装置の寿命を定める12回の使用サイクルに対応している。番号又は他の指標、例えば種々の色を、印刷、成形又は上述した技術のうち任意他のものを用いることによりキャップ部材に施すのがよい。変形例として、単一の視認用窓を設けて指示部材を露出するようにしてもよく、この場合指標が、その頂面又は上縁部1514に付けるのがよく、或いは窓がキャップ部材の側部に設けられていれば、その円周方向外面に沿って付けてもよい。
【0083】
図44、図45及び図49〜図51に示す実施形態では、使用回数指示部材2500は、開口部2521を備えたハブ2520を有し、このハブは、キャップ部材2020の頂部の内面から下方に延びる支柱2522に回転自在に取り付けられている。このようにして、使用回数指示部材2500は、投与量指示部材2060の回転軸線から間隔を置いた状態でこれに実質的に平行な軸線の周りに回転自在にキャップ部材2020に取り付けられる。投与量指示部材の回転軸線はまた、ベース部材に対するキャップ部材の軸方向運動の方向に実質的に平行である。
【0084】
指示部材2500は、歯部2520の周りに形成されていて、リブ2526が一体に連結されたリング2524及び底面2528を有している。指示部材2500は、リングの内周部の周りに形成された複数の内方且つ半径方向に延びる歯2514及びリングの外周部の周りで指示部材の底面に形成された複数の外方且つ半径方向に延びる歯2502を有している。両方の複数の歯は、指示部材2500の一方向回転だけを可能にする爪歯として形成されている。
【0085】
図46を参照すると、係合部材2573は、指示部材2060から延びていて、この係合部材は、投与量指示部材2060が1サイクルを完全に終わると、爪歯2502のうち1つの係合面に係合する。係合部材2573が歯2502のうちの1つの係合面に係合すると、指示部材は、一刻みの量回転する。
【0086】
図51を参照すると、割出し部材2577が、支柱2522に対して平行且つこれから間隔を置いた関係をなしてキャップ部材2020から下方に延びている。割出し部材2577は、ハブ2520とリング2524との間のスペース内に設けられ、リングの内周部の周りに形成された内歯2514に選択的に係合する。この場合もまた、割出し部材2577及び歯2514は好ましくは、キャップ部材2020に対する使用回数指示部材2500の一方向回転だけを可能にするように形づくられている。内歯2514及び外歯2502の数とこれら相互間の角度間隔は、係合部材2573と外歯2502のうちの1つとの係合により指示部材2500の送り進めによって割出し部材2577がリングの内周部に沿って歯2514の1個分さらに送り進められるよう相互に対応している。指示装置についての所定の使用回数は、リングの内周部の周りに形成された歯の数に一致している。最後の使用サイクルの完了後、割出し部材2577をリブ2526に係合させ、このリブは、停止部材として働き、これにより指示部材はさそれ以上回転したり送り進められることはない。それと同時に、係合部材2573をリングの外周部の周りに形成された歯2502のうちの1つに係合させ、指示部材もまた送り進めることができないようにする。このようにすると、指示装置は動かなくなる。この場合もまた、指示装置は所定数の内歯及び外歯を備えるのがよく、かかる所定数は、指示装置についての所定の使用サイクルの数に一致している。
【0087】
好ましくはドーム状の指示部材リングの上面2528は、指示装置について完了した又は残っている使用サイクルの回数を指示する使用回数指標を備えている。使用回数指標は、図44に示すようにキャップ部材に設けられた視認用窓2600を通してユーザに見える。この場合もまた、使用回数指標は、種々の英数字、色塗り又は上述した他の手段のうち任意の形態をしているのがよい。
【0088】
本発明を好ましい実施形態に関して説明したが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱しないで形態及び細部に関する変形例を想到できよう。したがって、上記の詳細な説明は、本発明を限定するものではなく本発明の例示として解されるべきであり、本発明の範囲は、請求の範囲の記載及びその均等範囲により定められる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】視認用窓を備えた指示装置の平面図である。
【図1A】指標を見えるようにする視認用窓の変形実施形態を示す指示装置の平面図である。
【図1B】指標の変形実施形態を示す指示装置の平面図である。
【図2】断面図で示された容器の頂部に取り付けられている指示装置の側面図である。
【図3】視認用窓がキャップ部材の頂部に設けられている指示装置を上から見た斜視図である。
【図3A】視認用窓がキャップ部材の側部に沿って設けられた指示装置を上から見た斜視図である。
【図4】指示部材が収納されているキャップ部材を下から見た斜視図である。
【図5】第4図に示すキャップ部材及び指示部材の分解斜視図である。
【図6】ベース部材、キャップ部材、指示部材、爪車、駆動部材及びばねを有する指示装置の変形実施形態の分解斜視図である。
【図7】図6のキャップ部材及び指示部材を下から見た斜視図であり、指示部材がキャップ部材に収納されている状態を示す図である。
【図8】図7の指示部材及びキャップ部材の拡大部分図であり、指示部材とキャップ部材の係合状態を示す図である。
【図9】図6に示すキャップ部材、指示部材、爪車、駆動部材及びばねの下から見た組み立て斜視図である。
【図10】ベース部材恋人キャップ部材の分解斜視図であり、駆動機構及び指示部材がキャップ部材の中に設けられている状態を示す図である。
【図11】図9に示す指示装置の組み立て斜視図である。
【図12】図11の12−12線に沿う指示装置の断面図であり、ユーザが軸方向の力を及ぼす前に、キャップ部材がベース部材に対して完全伸長位置にある状態を示す図である。
【図13】図12に類似した指示装置の断面図であるが、キャップ部材が、方向を示す矢印によって指示されているようにストロークの中間位置でベース部材に向かって移動している状態で示されている図である。
【図14】図12に類似した指示装置の断面図であり、キャップ部材が、方向を示す矢印によって心されているようにストロークの下限に達した状態を示す図である。
【図15】図12に類似した指示装置の断面図であり、キャップ部材を、これが方向を示す矢印によって支持されているようにベース部材に対して完全伸長位置に戻ったときの状態で示す図である。
【図16】指示装置の中間部のところにおけるその断面図であり、ベース部材に形成されたポケット内に収納された係合部材を示す図である。
【図17】指示装置の中間部のところにおけるその断面図であり、キャップ部材について別の戻し機構を示す図である。
【図18】指示装置及び容器の最初の作動又は操作前における図9の組立体(ばねが設けられていない)を初期設定値で示す底面図である。
【図19】図18の19−19線矢視断面図である。
【図20】爪車及び駆動部材が所定回数の作動に相当するまる1回転を行った後の図9の組立体(ばねが設けられていない)の底面図である。
【図21】図20の21−21線矢視断面図である。
【図22】キャップ部材及び指示部材の拡大部分底面図であり、指示部材がキャップ部材に形成された凹みに係合する割出し部材を有している状態を示す図である。
【図23】指示装置の変形実施形態の側面図である。
【図24】図23に示す指示装置の平面図である。
【図25】指示装置の図24の25−25線矢視断面図である。
【図26】指示装置の図23の26−26線矢視断面図である。
【図27】リセット装置を備えた指示装置の斜視図である。
【図28】リセット装置の変形実施形態を備えた指示装置の斜視図である。
【図29】リセット部材の変形実施形態及びアダプタを備えた指示装置の変形実施形態の分解図である。
【図30】図29に示す指示装置及びアダプタの下から見た斜視図である。
【図31】断面で示されたディスペンサーハウジング内に支持された容器の底部に取り付けられているアダプタ及び指示装置の分解側面図である。
【図32】断面で示されたディスペンサーハウジング内に支持された容器の底部に取り付けられているアダプタ及び指示装置の側面図である。
【図33】離脱位置にある指示部材及び係止部材の側面図である。
【図34】図33に示す指示部材及び係止部材の底面図である。
【図35】係合位置にある指示部材及び係止部材の側面図である。
【図36】図35に示す指示部材及び係止部材の底面図である。
【図37】投与量指標を備えた少なくとも1つの指示部材及び使用回数指標を備えた指示部材を有する指示装置の変形実施形態の斜視図である。
【図38】図37に示す指示装置の分解斜視図である。
【図39】図38に示すキャップ部材を下から見た斜視図である。
【図40】図38に示す投与量指示部材を下から見た斜視図である。
【図41】図38に示す使用回数指示部材を上から見た斜視図である。
【図42】図38に示す駆動組立体及び投与量指示部材の斜視図である。
【図43】図38に示す指示装置内に示されたリセット部材の斜視図である。
【図44】投与量指標を備えた指示部材及び使用回数指標を備えた指示部材を有する指示装置の変形実施形態の分解斜視図である。
【図45】図44に示すキャップ部材を下から見た斜視図であり、使用回数指示部材がキャップ部材の下に取り付けられると共に投与量指示部材がキャップ部材から露出している状態を示す図である。
【図46】図44に示す投与量指示部材を下から見た斜視図である。
【図47】図44に示すリセット組立体の斜視図である。
【図48】図44に示す駆動部材の斜視図である。
【図49】図44に示す使用回数指示部材を下から見た斜視図である。
【図50】図44に示す使用回数指示部材を上から見た斜視図である。
【図51】図44に示すキャップ部材を下から見た斜視図である。
【図52】図44に示すリセット部材の切除斜視図であり、駆動部材が離脱位置にある状態で示す図である。
【図53】図44に示すリセット部材の切除斜視図であり、駆動部材が係合リセット位置にある状態で示す図である。
【図54】第1及び第2の投与量指示部材の側面図であり、リセット部材及び駆動部材が離脱位置で示されている図である。
【図55】第1及び第2の投与量指示部材の側面図であり、リセット部材及び駆動部材が係合リセット位置で示されている図である。
【図56】第1及び第2の投与量指示部材、使用回数指示部材及び駆動組立体を上から見た斜視図である。
【図57】図38に示すベース部材を下から見た斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器から投与されたか、又は容器内に残っている計量された投与の回数を表示する表示装置であって、
該容器に取り付けられるようになされた第1の部材と;
所定軸線に沿って該第1の部材に対して相対的に移動可能とされた第2の部材と;
該第1の部材と該第2の部材との間に配置された単一の表示部材であって、前記所定軸線と同じ方向に伸びる長手方向軸線の回りを回転可能である表示部材と;
該長手方向軸線に実質的に垂直な軸線の周りで回転可能とされ、該第2の部材が該第1の部材に対して前記所定軸線に沿って1以上の所定回数移動されることに応じて、該表示部材を一増分だけ回動させる駆動部材と
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
該駆動部材は、該第2の部材に回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
該表示装置は、更に、該駆動部材に係合された爪車と該第1の部材から延びる爪部材とを有し、該爪部材は、該第2の部材が該第1の部材に対して前記所定軸線方向での移動を行う毎に該爪車と係合することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
該表示部材が複数の歯を有し、該駆動部材は該第2の部材が該第1の部材に対して前記所定軸線方向での移動を該所定回数行われると、該歯の少なくとも1本と係合することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項1】
容器から投与されたか、又は容器内に残っている計量された投与の回数を表示する表示装置であって、
該容器に取り付けられるようになされた第1の部材と;
所定軸線に沿って該第1の部材に対して相対的に移動可能とされた第2の部材と;
該第1の部材と該第2の部材との間に配置された単一の表示部材であって、前記所定軸線と同じ方向に伸びる長手方向軸線の回りを回転可能である表示部材と;
該長手方向軸線に実質的に垂直な軸線の周りで回転可能とされ、該第2の部材が該第1の部材に対して前記所定軸線に沿って1以上の所定回数移動されることに応じて、該表示部材を一増分だけ回動させる駆動部材と
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
該駆動部材は、該第2の部材に回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
該表示装置は、更に、該駆動部材に係合された爪車と該第1の部材から延びる爪部材とを有し、該爪部材は、該第2の部材が該第1の部材に対して前記所定軸線方向での移動を行う毎に該爪車と係合することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
該表示部材が複数の歯を有し、該駆動部材は該第2の部材が該第1の部材に対して前記所定軸線方向での移動を該所定回数行われると、該歯の少なくとも1本と係合することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【図1】
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図42】
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図42】
【公開番号】特開2008−290779(P2008−290779A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189362(P2008−189362)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【分割の表示】特願2000−547003(P2000−547003)の分割
【原出願日】平成11年4月30日(1999.4.30)
【出願人】(501393922)トルーデル メディカル インターナショナル (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【分割の表示】特願2000−547003(P2000−547003)の分割
【原出願日】平成11年4月30日(1999.4.30)
【出願人】(501393922)トルーデル メディカル インターナショナル (14)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]