説明

エアゾール容器の残留内容物排出装置

【課題】
エアゾール内容物の全量排出を2つの作業を介して行うことにより、エアゾール製品の廃棄時に残留内容物を確実に全量排出可能とするとともに、エアゾール内容物を誤って全量排出してしまう危険を防止する。
【解決手段】
ワンタッチキャップ1の両側壁間に押釦16を配置し、この押釦16の上面に押圧片27を配置する。押圧片27の両側に係合突起28を突設し、この係合突起28を上下方向に摺動及び回動可能に係合する係合溝12及び噴射用溝13を両側壁の内面にステム18の軸方向と平行に形成する。エアゾール内容物の通常噴射時に於いては、係合突起28を係合溝12に係合した状態で噴射を行う。エアゾール内容物の全量排出時に於いては、係合突起28を係合溝12から噴射用溝13に移動させ、係合突起28を介して押圧片27を回動させることにより、押圧片27の押圧部33で押釦27を押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール製品を廃棄する際に、残留内容物を全量排出するための、エアゾール容器の残留内容物排出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エアゾール容器内に充填された内容物の使用後にエアゾール製品を廃棄する場合、エアゾール容器内に内容物を残留させたまま廃棄すると、噴射剤の膨張による爆発事故を引き起こすなどの問題を生じるおそれがあった。そこで、特許文献1に示す如く、エアゾール容器内に残留した内容物を全量排出するための残留内容物排出装置が、従来から提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−55648号公報
【0004】
特許文献1に記載の残留内容物排出装置は、ワンタッチキャップ内にステムと接続した押釦を配置し、この押釦の上面には押圧片を配置している。そして、この押圧片の両側には係合突起を突設し、この係合突起を摺動及び回動可能に係合する係合溝を、ワンタッチキャップの両側壁の内面に形成している。そして、エアゾール容器の通常使用時に於いては、押圧片を押釦の上面に配置し、この押圧片の天面を下方に押圧することにより、押釦を介してステムを押圧し、エアゾール内容物を噴射可能としている。また、エアゾール容器の廃棄時に於いては、前記係合突起を介して押圧片の一端側を立ち上げ、係合突起の他端側に設けた押圧部で押釦を連続的に押圧することにより、残留内容物を全量排出可能としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す装置に於いては、上述の如く係合突起を介して押圧片の一端側を立ち上げるという1つの作業により残留内容物の全量排出を行うから、全量排出の意思がないのに誤って押圧片の一端側を立ち上げてしまい、エアゾール内容物の全量排出が行われる危険があった。
【0006】
そこで、本発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、エアゾール製品の廃棄時に残留内容物を確実に全量排出可能とするとともに、エアゾール内容物を誤って全量排出してしまう危険の少ない製品を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、エアゾール容器に下端を固定したワンタッチキャップの両側壁間に、ステムと接続した押釦を配置し、この押釦の上面に押圧片を配置している。また、この押圧片には嵌合溝を形成し、この嵌合溝の保持部に、押釦の上面に突出した嵌合突起を嵌合している。この保持部への嵌合突起の嵌合により、押圧片を押釦の上面に固定接続して、押圧片の立ち上げを抑制することができる。
【0008】
また、保持部に連続する嵌合溝には、押圧片を押釦の上面でスライドさせた時に前記嵌合突起を嵌合する作動部を形成している。そして、嵌合突起を上記保持部から作動部に摺動させることにより、嵌合突起が嵌合溝から離脱可能となり、押圧片を押釦の上方に立ち上げることが可能となる。
【0009】
また、押圧片の両側に、ステムの軸方向の両側に位置して係合突起を突設し、この係合突起を上下方向に摺動及び回動可能に係合する係合溝をワンタッチキャップの両側壁の内面にステムの軸方向と平行に形成している。また、押釦の非押圧状態における係合突起から係合溝の上端に設けた上端天部までの長さよりも、係合突起から押圧片の先端までの長さを短いか又は同一としている。そのため、係合突起を係合溝に配置した状態で無理に係合突起を介して押圧片の一端側を立ち上げたとしても、係合突起が上端天部に突き当たらないか突き当たっても押圧片の先端が押釦の天面を押圧することがなく、全量排出が行われることはない。
【0010】
また、前記ワンタッチキャップの両側壁の内面に係合溝と平行に噴射用溝を連続して形成している。この噴射用溝は、押圧片を押釦の上面をスライドさせて、噴射用溝に係合突起を上下方向に摺動及び回動可能に係合した時に、押釦の非押圧状態に於ける係合突起から噴射用溝の上端に設けた噴射突当部までの長さよりも、係合突起から押圧片の先端までの長さが長くなるよう形成している。そのため、係合突起を噴射用溝に配置した状態で、係合突起を介して押圧片の一端側を立ち上げると、係合突起が噴射突当部に突き当たることにより、押圧片の先端に設けた押圧部が押釦の天面を連続的に押圧し、残留内容物の全量排出が行われる。
【0011】
また、嵌合突起は、径小部とその上部の膨出径大部により形成し、この径小部を介して嵌合突起を嵌合するガイドレールを嵌合溝の保持部に膨出径大部の直径よりも小さな間隔で形成したものであっても良い。そして、上記ガイドレールの作動部側の内面には前記径小部を突き当て可能な内方突起を突出し、この内方突起を径小部が乗り越えることにより、嵌合突起が嵌合溝の保持部から作動部に移動し、係合突起が係合溝から噴射用溝に移動可能とする。このように形成することにより、手指等により押圧片を水平方向に一定の押圧力で押圧しなければ、係合突起が保持部から作動部に摺動できないものとなる。そのため、エアゾール内容物の通常噴射時に押圧片が誤って立ち上がることにより、エアゾール内容物の全量排出が行われる危険をより確実に防止することが可能となる。また、上記作動部への摺動を行わずに係合突起を支点として立ち上げようとすると、嵌合突起の膨出径大部が嵌合溝のガイドレールに引っ掛かるため、押圧片を立ち上げることはできず、不用意な全量排出を防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述の如く構成したものであって、残留内容物の全量排出を行うためには、押圧片の係合突起を係合溝から噴射用溝にスライドさせ、その後に上記係合突起を介して押圧片の一端側を立ち上げるという2つの作業が必要となる。そのため、1つの作業で残留内容物の全量噴射が可能となる前記従来技術の如く、エアゾール内容物を誤って全量排出してしまう危険を防止することができる。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の一実施例を図面に於いて説明すれば、(1)はワンタッチキャップで、図2に示す如く、外周壁(2)の内面下端付近に突条(3)を設け、この突条(3)を、図1に示す如くエアゾール容器(4)のマウンテンカップ(5)の外周に係合することにより、ワンタッチキャップ(1)をエアゾール容器(4)に取り外し可能に係合している。
【0014】
尚、本実施例では上記の如く、ワンタッチキャップ(1)をマウンテンカップ(5)の肩部の外周に係合しているが、他の異なる実施例では、ワンタッチキャップ(1)の突条(3)を、エアゾール容器(4)を構成する目金部と胴部との間の巻き締め部(図示せず)の外周又は内周に係合したり、エアゾール容器(4)を構成する肩カバーに係合することも可能である。また、上記外周壁(2)の内方には、図2、図3に示す如く、円筒状の内周壁(6)を、上部壁(7)を介して外周壁(2)と一定の装着間隔(8)を介して一体に形成している。
【0015】
また、外周壁(2)には円形の外側開口(10)を形成するとともに、内周壁(6)には、上記外側開口(10)に対応する位置に円形の内側開口(11)を形成している。以下、本明細書中に於いては、上記外側開口(10)の形成側を前側とし、その反対側を後側とする。また、内周壁(6)の両側には、図2に示す如く、内周壁(6)の下端から上部壁(7)方向に係合溝(12)を形成するとともに、この係合溝(12)の後方には、この係合溝(12)と平行な噴射用溝(13)を係合溝(12)と下部方向を連続して形成している。この噴射用溝(13)は、上端に設けた噴射突当部(14)を、係合溝(12)の上端に設けた上端天部(15)よりも低い位置に設けている。また、上記内周壁(6)の内面下端には、図2に示す如く、上記噴射用溝(13)の後方に、後述の押釦(16)の下端を係合可能な一対の下端突部(17)を突設している。また、ワンタッチキャップ(1)の上部壁(7)間を、図1に示す如く、押釦(16)の押圧時に手指を挿入する指掛け凹部(19)としている。
【0016】
また、図1、図3〜図5に示す如く、上記ワンタッチキャップ(1)の内周壁(6)間には、略円筒形の押釦(16)をステム(18)と接続して上下動可能に装着している。この押釦(16)は、外周に円筒状の噴射開口(20)を形成するとともに、この噴射開口(20)の内側面の中央に、内容物の噴射口(21)を形成している。この噴射口(21)は、押釦(16)の中央上下方向に設けた連通路(22)を介してエアゾール容器(4)のステム(18)に接続している。また、押釦(16)は、図1、図2に示す如く前面上端に上端鍔部(23)を突出形成するとともに、上面の中央部に嵌合突起(24)を突出形成している。この嵌合突起(24)は、径小部(25)とその上部の膨出径大部(26)とにより形成している。
【0017】
また、上記押釦(16)の上面には、エアゾール内容物の通常噴射時及び全量排出時に押釦(16)を押圧するための平板状の押圧片(27)を、両側に係合突起(28)を突設して図2〜図6に示す如く配置している。この、押圧片(27)は、図2、図6に示す如く、前記押釦(16)の嵌合突起(24)を嵌合可能な長円状の嵌合溝(30)を中央部に形成している。また、この嵌合溝(30)は、図6に示す如く、嵌合突起(24)を分離困難に嵌合するための保持部(31)を後側に形成するとともに、この保持部(31)に連続する嵌合溝(30)に、押圧片(27)を押釦(16)の上面でスライドさせた時に前記嵌合突起(24)を嵌合するとともに嵌合突起(24)を離脱可能とする直径の作動部(32)を形成している。
【0018】
また、上記嵌合溝(30)の保持部(31)は、図6に示す如く底部にU字型のガイドレール(34)を設けており、このガイドレール(34)の対向間隔に径小部(25)を図7に示す如く挿入することにより上記嵌合突起(24)を嵌合可能としている。また、嵌合突起(24)の膨出径大部(26)をガイドレール(34)の対向間隔よりも大きな直径で形成し、膨出径大部(26)がガイドレール(34)間に配置した時は押圧片(27)の立ち上げを困難なものとしている。又、上記保持部(31)に連続して設けた作動部(32)には、図6に示す如くガイドレール(34)を設けず溝幅を膨出径大部(26)よりも大きなものとしているから、嵌合突起(24)を保持部(31)から作動部(32)に移動させることにより、嵌合突起(24)が嵌合溝(30)から容易に離脱して、押圧片(27)を押釦(16)の上面で係合突起(28)を支点として立ち上げ可能としている。
【0019】
また、上記ガイドレール(34)の作動部(32)側の内面には、図6、図7に示す如く、前記径小部(25)を突き当て可能な内方突起(35)を突出しており、この内方突起(35)を径小部(25)が乗り越えることにより、嵌合突起(24)が嵌合溝(30)の保持部(31)から、これに連続する作動部(32)に移動可能としている。このように形成することにより、手指等により押圧片(27)を後方に一定の押圧力で押圧しなければ、係合突起(28)が保持部(31)から作動部(32)に摺動できないものとなる。そのため、後述の如く係合突起(28)を保持部(31)に係合して行うエアゾール内容物の通常噴射時に於いて、係合突起(28)が不用意に保持部(31)から作動部(32)に摺動するのを抑制することができる。
【0020】
また、押圧片(27)の前部両側には、前述の如く、ステム(18)の軸方向の両側に位置して係合突起(28)を突設している。この係合突起(28)は、エアゾール内容物の通常噴射時に於いて、前記ワンタッチキャップ(1)の係合溝(12)に、図3、図4に示す如く、上下動可能に係合している。また、このように係合突起(28)を係合溝(12)に係合した状態に於いては、前記嵌合突起(24)が嵌合溝(30)の保持部(31)に嵌合するように、係合突起(28)及び嵌合溝(30)の形成位置を調整している。そのため、エアゾール内容物の通常噴射時に於いては、図7に示す如くガイドレール(34)の上面が嵌合突起(24)の膨出径大部(26)に突き当たり、押圧片(27)を押釦(16)の上面から上方に立ち上げ困難に接続することが可能となる。
【0021】
また、係合突起(28)は、図3に示す押釦(16)の非押圧状態に於いて、係合突起(28)から係合溝(12)の上端天部(15)までの長さよりも、係合突起(28)から押圧部(33)の先端までの長さが短いか又は同一となるように形成している。そのため、上述の如く係合突起(28)を係合溝(12)に配置したエアゾール内容物の通常噴射位置に於いて、嵌合突起(24)と保持部(31)の嵌合を無理に解除して係合突起(28)を支点として押圧片(27)の一端側を立ち上げたとしても、係合突起(28)は係合溝(12)の上端天部(15)に届かないか又は接触するだけで突き当たらないため、押圧片(27)の先端が押釦(16)の天面を押圧することはない。そのため、押圧片(27)の通常噴射状態に於いて、エアゾール内容物の全量排出が誤って行われる不都合を確実に防止することができる。
【0022】
また、係合突起(28)は、押圧片(27)を押釦(16)の上面に於いて後方にスライドさせることにより、図5に示す如く係合溝(12)から噴射用溝(13)へ移動して、噴射用溝(13)に上下動可能に係合する。また、上記押釦(16)のスライドに伴い、図5に示す如く、嵌合突起(24)は保持部(31)から直径が膨出径大部(26)よりも大きな作動部(32)に移動するため、嵌合溝(30)と嵌合突起(24)との分離が可能となる。そのため、図1に示す如く、係合突起(28)を支点として嵌合突起(24)を立ち上げ回動させることが可能となる。
【0023】
そして、前記の噴射用溝(13)は、押釦(16)の非押圧状態に於ける係合突起(28)から噴射用溝(13)の上端に設けた噴射突当部(14)までの長さよりも、係合突起(28)から押圧片(27)の先端までの長さが長くなるよう形成している。そのため、係合突起(28)を噴射用溝(13)に配置した状態で、係合突起(28)を介して押圧片(27)の一端側を立ち上げると、係合突起(28)が噴射突当部(14)に突き当たることにより、この突き当たり状態で係合突起(28)を支点として押圧片(27)を突き当て回動することが可能となるから、押圧片(27)の先端に設けた押圧部(33)が押釦(16)の天面を押圧するものとなる。
【0024】
上述の如く構成したものに於いてエアゾール内容物の通常噴射をするためには、ワンタッチキャップ(1)の指掛け凹部(19)に手指を架けて、押圧片(27)の天面を図4に示す如く下方に押圧する。この押圧により、押釦(16)を介してステム(18)を下方に押し下げて、エアゾール容器(4)内のバルブ機構(図示せず)を開弁させる。これにより、エアゾール容器(4)内に収納した内容物が、ステム(18)及び押釦(16)の連通路(22)を通過し、噴射口(21)、内側開口(11)及び外側開口(10)を介して外部に噴射される。そして、上記押釦(16)の押圧を解除すると、バルブ機構によりステム(18)が元の位置に復元して閉弁し、内容物の噴射が停止する。
【0025】
また、上記エアゾール内容物の通常噴射時に於いては、前述の如く、嵌合突起(24)が径小部(25)を介してガイドレール(34)間に嵌合し、このガイドレール(34)の間隔よりも直径が大きな膨出径大部(26)にガイドレール(34)が突き当たり、押圧片(27)が押釦(16)の上面に於いて立ち上げ困難となる。そのため、エアゾール内容物の通常噴射時に於いて、係合突起(28)を介して誤って立上部(29)が立ち上がることを確実に防止することが可能となる。また、ガイドレール(34)の作動部(32)側の内面には、前述の如く、内方突起(35)を突出しているため、手指等により押圧片(27)を後方に一定以上の押圧力で押圧しなければ、係合突起(28)が保持部(31)から作動部(32)に摺動することがない。そのため、エアゾール内容物の通常噴射時に於いて、係合突起(28)が誤って保持部(31)から作動部(32)に摺動するのを抑制することができる。本実施例に於いてはこのように、エアゾール内容物の通常噴射時に於いて、立上部(29)が立ち上がったり係合突起(28)が保持部(31)から作動部(32)に摺動したりするのを抑制することが可能となり、そのため、全量排出の意思がないのに誤ってエアゾール内容物の全量排出が行われるのを確実に防止することができる。
【0026】
次に、上記通常噴射によりエアゾール容器の使用が終了し、エアゾール容器(4)を廃棄する際の残留内容物の全量排出について以下に説明する。まず、上記通常噴射時と同様に、係合突起(28)を係合溝(12)に係合した状態で、図4に示す如く押圧片(27)の天面を押圧する。次に、この押圧片(27)の押圧状態で、手指により押圧片(27)を押釦(16)の上面で後方にスライドさせ、図5に示す如く係合突起(28)を係合溝(12)から噴射用溝(13)に移動させ、噴射突当部(14)に突き当てる。なお、本実施例に於いては図4に示す如く、噴射突当部(14)の係合溝(12)側に突部(36)を設けて、噴射用溝(13)に係合した係合突起(28)が係合溝(12)に復帰困難なものとしている。
【0027】
また、このように係合突起(28)を係合溝(12)から噴射用溝(13)に移動させることにより、前述の如く、嵌合突起(24)が保持部(31)から作動部(32)に移動して、押圧片(27)が押釦(16)と分離可能となる。そして、このように押釦(16)と分離可能となった押圧片(27)を、図1に示す如く、立上部(29)を手指で引き上げることにより係合突起(28)を介してステム(18)の軸方向と平行に回動させる。これにより、押圧片(27)の前部に設けた押圧部(33)の先端が、押釦(16)を介してステム(18)を押圧し、バルブ機構(図示せず)が開弁して残留内容物がステム(18)から連続的に噴出し、連通路(22)、噴射口(21)、内側開口(11)及び外側開口(10)を介して外部に排出される。そして、係合突起(28)は、押釦(16)の押し上げ復元方向に於いて噴射用溝(13)の噴射突当部(14)に突き当たったままとなるから、エアゾール内容物の噴射を継続することができる。
【0028】
本発明に於いてはこのように、押圧片(27)を押釦(16)の上面に於いて後方にスライドさせて係合突起(28)を係合溝(12)から噴射用溝(13)に移動し、その後に上記係合突起(28)を介して押圧片(27)の立上部(29)を立ち上げることにより、押圧部(33)により押釦(16)の上面を押圧して、エアゾール内容物の全量排出を行う。そのため、エアゾール内容物の全量排出を行うためには、押圧片(27)を後方にスライドさせる作業と、係合突起(28)を介して立上部(29)を立ち上げる作業の2つが必要となる。従って、1つの作業でエアゾール内容物の全量噴射が可能となる場合の如く、エアゾール内容物を誤って全量排出してしまう危険を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】エアゾール内容物の全量排出時を示す断面図。
【図2】ワンタッチキャップ、押釦及び押圧片の分解斜視図。
【図3】エアゾール内容物の通常噴射時に於いて、噴射前の状態を示す断面図。
【図4】エアゾール内容物の通常噴射時に於いて、噴射状態を示す断面図。
【図5】エアゾール内容物の通常噴射時から全量排出時への移行段階を示す断面図。
【図6】押釦及び押圧片を内装したワンタッチキャップの平面図。
【図7】嵌合突起と保持部の嵌合状態を示す、図6のA−A線断面図。
【符号の説明】
【0030】
1 ワンタッチキャップ
4 エアゾール容器
12 係合溝
13 噴射用溝
14 噴射突当部
15 上端天部
16 押釦
18 ステム
24 嵌合突起
25 径小部
26 膨出径大部
27 押圧片
28 係合突起
30 嵌合溝
31 保持部
32 作動部
33 押圧部
34 ガイドレール
35 内方突起



【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器に下端を固定したワンタッチキャップの両側壁間にステムと接続した押釦を配置し、この押釦の上面に押圧片を配置し、この押圧片に形成した嵌合溝の保持部に押釦の上面に突出した嵌合突起を嵌合するとともに保持部に連続する嵌合溝に、押圧片を押釦の上面でスライドさせた時に前記嵌合突起を嵌合する作動部を形成し、また押圧片の両側に、ステムの軸方向の両側に位置して係合突起を突設し、この係合突起を上下方向に摺動及び回動可能に係合する係合溝をワンタッチキャップの両側壁の内面にステムの軸方向と平行に形成するとともに、押釦の非押圧状態における係合突起から係合溝の上端に設けた上端天部までの長さよりも、係合突起から押圧片の先端までの長さを短いか又は同一とし、また前記ワンタッチキャップの両側壁の内面に係合溝と平行に噴射用溝を連続して形成し、押圧片を押釦の上面をスライドさせて噴射用溝に係合突起を上下方向に摺動及び回動可能に係合した時に、押釦の非押圧状態に於ける係合突起から噴射用溝の上端に設けた噴射突当部までの長さよりも、係合突起から押圧片の先端までの長さが長くなるよう噴射用溝を形成し、この押圧片の先端部を押釦の押圧部としたことを特徴とするエアゾール容器の残留内容物排出装置。
【請求項2】
嵌合突起は、径小部とその上部の膨出径大部により形成し、この径小部を介して嵌合突起を嵌合するガイドレールを嵌合溝の保持部に膨出径大部の直径よりも小さな間隔で形成し、このガイドレールと径小部との係合により押圧片の係合突起に従った上方への回動を防止するとともに上記ガイドレールの作動部側の内面には前記径小部を突き当て可能な内方突起を突出し、この内方突起を径小部が乗り越えることにより、嵌合突起が嵌合溝の保持部から作動部に移動し、係合突起が係合溝から噴射用溝に移動可能としたことを特徴とする請求項1のエアゾール容器の残留内容物排出装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−143592(P2009−143592A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321790(P2007−321790)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000222129)東洋エアゾール工業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】