説明

エアゾール容器用キャップ

【課題】エアゾール製品の未使用状態をシュリンクパックを利用せずに確認できるようにする。
【解決手段】キャップ本体部11は閉鎖天部12を有する略円筒形状を有する。側壁部16の下端外周を囲繞するように複数の連接部21を介して補強帯状部材20を設ける。これによりキャップ本体部11をエアゾール容器50に強制嵌合して取付け、使用開始時には本体部11から補強帯状部材20を引き千切ることにより初めてキャップ10が容器50から取り外すことができる。補強帯状部材20の両端部25に上下方向の孔部27を形成し、これにロックピンを設備できる。側壁部16の上下方向に6つの縦折れ目線を設け、使用完了後側壁部16を分割して本体部11の天部12がエアゾール容器50の噴射機構55を押圧して連続噴射状態のままにできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器のキャップに関するものであり、より詳しくは、そのエアゾール容器が未使用であることを確認できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエアゾール缶等のエアゾール製品にあっては、その全体がプラスチック製フィルムによるシュリンクパックが行われており、その製品が未だ未使用であること、つまりその製品のバージン性は、そのシュリンクパック包装の有無により確認していた。
また、エアゾール製品でなく、各種液体製品の容器にあっては、下記特許文献にあるような、封緘キャップ付き容器が存在していた。
この封緘キャップは、キャップの周方向に破断帯を設けたもので、この破断帯の端部の摘み片を把持してこれを切り離し、キャップを開口することができるものであり、この破断帯の有無が製品のバージン性を確保していたものである。
【特許文献1】実開平6−78262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明においては、エアゾール製品に係る容器に関するキャップを提供することをその目的としており、とりわけ容器内のエアゾール製品が未使用であることを容易にシュリンクパック包装なしに確認できるようにすることをその第一の課題とするものである。
しかも、その構造を極めて簡易なものとして、製造容易、製造コストの低減化をも念頭に入れてその創案をすることがその課題である。これによりシュリンク用フィルムの不使用による省資源にも寄与できることとなる。
更に、本発明においては、エアゾール容器に課せられた使用終了後廃棄時の残留ガスの排出手段の付加をも考慮し、かかる手段をも備えたエアゾール容器のキャップを提供することもその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、エアゾール容器の上端部に設けられるエアゾール製品の噴射機構を被覆し、エアゾール容器の上端部に嵌合できる合成樹脂製キャップにおいて、キャップ本体部は、その天部と、その天部から下方に延長する略筒体形状の側壁部を有し、前記側壁部の下端周縁部がエアゾール容器の上端部に嵌合することができ、前記側壁部の下端外周を囲繞するように補強帯状部材が設けられ、この補強帯状部材は複数の連接部により前記側壁部と連接し、これにより、キャップ本体部をエアゾール容器に取り付ける際は、強制的に嵌合させることにより行われ、容器の使用開始時には、前記補強帯状部材を本体部から引き千切ることにより初めてキャップ本体部がエアゾール容器から取り外すことができることを特徴とするエアゾール容器用キャップである。
【0005】
本発明の第2のものは、エアゾール容器の上端部に設けられるエアゾール製品の噴射機構を被覆し、エアゾール容器の上端部に嵌合できる合成樹脂製キャップにおいて、キャップ本体部は、その天部と、その天部から下方に延長する二重の略筒体形状の外側側壁部と内側側壁部を有し、前記外側側壁部の下端部には補強帯状部材が連接部を介して設けられ、この連接部を切り離すことによりこの補強帯状部材は外側側壁部と分離でき、この補強帯状部材の内周面と内側側壁部の下端外周面がエアゾール容器の上端縁部を挟持するように嵌合することができ、これにより、キャップ本体部をエアゾール容器に取り付ける際は、強制的に嵌合させることにより行われ、容器の使用開始時には、前記補強帯状部材を外側側壁部から引き千切ることにより初めてキャップ本体部がエアゾール容器から取り外すことができることを特徴とするエアゾール容器用キャップである。
【0006】
本発明の第3のものは、上記第1の発明において、補強帯状部材の両端部に設けられた連接部を他の連接部よりも長く形成したことを特徴とするエアゾール容器用キャップである。
【0007】
本発明の第4のものは、上記第1乃至第3の発明において、補強帯状部材の両端部に上下方向の孔部を形成し、これらの孔部にその両脚部を嵌入することができる略コ字形状のロックピンを設備したことを特徴とするエアゾール容器用キャップである。
【0008】
本発明の第5のものは、上記第1、第3又は第4の発明において、側壁部の上下方向に且つ略等間隔に複数の縦折れ目線を設け、また側壁部の内周面の適宜高さ位置の周方向には横折れ目線を設け、且つ前記横折れ目線の上方には周方向に突条部を形成し、
エアゾール製品の使用完了後、このキャップ本体部の天部を下方に強制的に押圧することにより、上記縦折れ目線を切り離し且つ横折れ目線で折曲し、前記突条部をエアゾール容器の上端部に嵌合させることにより、キャップ本体部の天部がエアゾール容器の噴射機構を押圧して連続噴射状態のままに維持できることを特徴とするエアゾール容器用キャップである。
【0009】
本発明の第6のものは、上記第5の発明において、上記縦折れ目線の下端部で且つその縦折れ目線に沿って切欠部を形成したことを特徴とするエアゾール容器用キャップである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1のものにおいては、キャップ本体部の下端外周に複数の連接部を介して補強帯状部材が設けられているために、キャップ本体部の下端外周縁部が少しの力では容易に拡開しないために、簡単にはエアゾール容器から取り外すことができないものとなる。
エアゾール製品を製造する段階では、このキャップは、強制的にエアゾール容器の上端部に嵌合させることができるのであるが、上記のように補強帯状部材が設けられたことにより、キャップが容器上端部に嵌合された後は、通常の蓋を開ける程度の力では容易には取り外すことができない状態となるのである。
【0011】
従って、本発明に係る容器のキャップを最初に開放するときには、上記補強帯状部材をキャップ本体部から引き千切って、取り除かなければならない。
それ故、本発明の場合には、その未使用状態を保持するために、プラスチックフィルム等のシュリンクパックを行う必要がなく、その補強帯状部材の存在を確認することにより、これがキャップ本体部に連接している限りで、そのバージン性が保持されることとなるのである。
これにより、シュリンクパックの包装工程も不要となり、フィルムに関する省資源にも寄与することとなる。また、キャップ自体も一体成形により容易に製造することができる。
【0012】
本発明の第2のものにおいては、本体部の側壁部の構造を二重構造とし、これら二重構造の外側及び内側側壁部の両者でエアゾール容器の上端縁部と嵌合することができ、外側側壁部の下端部に補強帯状部材を連接部を介して設けている。
この本体部をエアゾール容器の上端縁部に強制嵌合させて冠着、固定させると、キャップは容易には容器から外すことができなくなる。
そして、キャップを使用する際には、外側側壁部の下端部の補強帯状部材を引き千切ることによって、初めてキャップがエアゾール容器の上端部から取り外すことができるようになるものである。
これにより、樹脂フィルム等によるシュリンクパックが無くとも、上記補強帯状部材の存在により製品のバージン性を確認することができることとなり、上記第1の発明と同じ効果を発揮するものとなる。
【0013】
本発明の第3のものにおいては、補強帯状部材の両端部の連接部の長さをより長くすることにより両端部が起立した状態となるために、指でこの端部を把持したり、指でこの連接部を折ったりする際に、その指先をその補強帯状部材の内側に挿入することが容易となり、切り取り又は分離し易いものとなる。
尚、本発明では、この補強帯状部材の両端部の何れかを右手或いは左手の指先を当ててその連接部を折り、切り取ることが出来、右方向又は左方向の何れの方向にも補強帯状部材を千切ることができ、右利き又は左利きの何れの使用者にも便利なものとしている。
【0014】
本発明の第4のものにおいては、補強帯状部材の両端部にロックピンを容易に挿入することができる構造となり、本発明に係るキャップにおいて、誤って補強帯状部材の切り取り等の防止効果を発揮し、よりバージン性を向上させることができる。
【0015】
本発明の第5のものにおいては、キャップ本体部の天部に下方に向けて強い力を加えることにより、縦折れ目線の部分で側壁部が複数に分割され、また横折れ目線の部分で外側に折曲されるため、側壁部内周面に形成された突条部が容器上端部に嵌合して、キャップ本体部の天部がエアゾール製品の噴射機構を連続的に押圧した状態に維持されるために、エアゾール製品の使用完了後、残留ガスを排出することが容易に出来ることとなる。
【0016】
本発明の第6のものにおいては、側壁部の縦折れ目線の下端部に切欠部を設けて、側壁部がより適切にその縦折れ目線に沿って分割、分離し易くしたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係るキャップの第1の実施形態を示しており、その(A)がその平面図、その(B)がエアゾール容器に取り付けた状態を示す縦断面説明図である。
本発明に係るキャップ10は、ポリプロピレン又はポリエチレン等の合成樹脂からなる一体成形ものであり、その本体部11は、天部12の直径が底面開口部13の直径よりもやや小さい略円筒形状を有し、その側壁部16の上方側外周面には複数の面取り部16tを設けて、天部12の平面視外形を12角形形状としている。
【0018】
この本体部11の底面開口部13がエアゾール容器50の上端縁部53と嵌合し、エアゾール容器50の上端部に設備されている噴射機構55を被覆する。
本体部11の底面開口部13の内周面には内側方向に突出する突条部14が周方向に形成されており、この突条部14がエアゾール容器50の上端縁部53の下方周面に適合してキャップ10がエアゾール容器50に冠着、固定されるのである。
【0019】
更に、本発明においては、上記本体部11の下端外周を囲繞する(取り囲む)ように、やはり同一の合成樹脂製の補強帯状部材20が複数の連接部21、21、…を介して設けられている。
この補強帯状部材20は、閉鎖した円環形状のものでなく、その両端部25、25が分離しており、これらの両端部25、25を摘み易くするために、略円筒形状に形成している。
【0020】
上記本体部11には、更に、この図には明瞭に現れていないが、その側壁部16に同一間隔で上下方向に縦折れ目線を6本設けており、これら縦折れ目線のそれぞれの上端を周方向に連結するように横折れ目線をも設けている。
また、側壁部16の内周面の略中央部(前記横折れ目線の上方)、周方向に突条部15を設けている。
この構成により、エアゾール容器内に収容されているエアゾール製品が無くなり、容器の廃棄を行う際に、本発明に係るキャップ10の天部12を下方に押圧することにより、上記縦折れ目線が分割、分離し、横折れ目線の部位で折曲し、天部12が噴射機構55を押圧したままの状態に維持することができるのである。
【0021】
即ち、キャップ10の側壁部16が6つの縦折れ目線で分割、分離して、横折れ目線で折曲することにより、天部12が下方に移行し、側壁部16内周面に設けられた突条部15がエアゾール容器50の上端縁部53と嵌合し、固定されることにより、キャップ10の天部12が噴射機構55を押圧したままの状態を維持できるため、エアゾール容器50内の残留ガスを最後まで外部に噴射できることとなり、内部製品の全てを外部に排出でき、その後容器を廃棄することができることとなるのである。
この構成は後の図3により再度説明する。
【0022】
また、補強帯状部材20の両端部25、25は略円筒形状を有しているために、この両端部に略コ字形状のロックピン等(図示省略)をこれら端部25、25の孔部27、27に嵌入させることができ、補強帯状部材20が本体部11から誤って分離してしまうことを防止することができる。
上記孔部27は、上下に貫通するものであっても、或いは貫通せずに適宜深さの孔であってもよい。
【0023】
以上の構成により、本実施形態に係るキャップ10は、エアゾール容器50の上端縁部53に強制嵌合させることにより、容器50に取り付けられる。一旦このキャップ10が容器50に取り付けられると、補強帯状部材20の存在により、今度は容易には容器50からこのキャップ10は取り外すことが出来なくなるのである。
これは、補強帯状部材20と本体部11の側壁部16とが複数の連接部21、21、…を介して接続されているために、キャップ10の側壁部16が容易には、つまり通常のキャップを取り外す程度の力では、この側壁部16が周方向に伸張することが困難となり、取り外すことが困難となるからである。
【0024】
以上のように、本発明に係るキャップ10の場合には、その補強帯状部材20の存在により、未使用状態を維持でき、これを視覚を通じて確認することができ、プラスチックフィルム等のシュリンクパックが不要ということになるのである。
そして、その補強帯状部材20を引き千切ってしまった後は、キャップ10は自由に開閉することができ、そのバージン性は消滅することとなるのである。
【0025】
図2は、上記キャップ10から補強帯状部材20が取り除かれた後の状態を示しており、その(A)が平面図、その(B)が容器に取り付けられている状態の縦断面説明図である。
図示したこの状態で、上記した通り、キャップ10は、エアゾール容器50から自由に取り外すことができることとなり、そのバージン性は消滅したものとなる。
【0026】
即ち、キャップ10の側壁部16の下端内周部に形成された突条部14が、エアゾール容器50の上端縁部53の下面外周に適合して、キャップ10は容器50に取り付け、固定され、キャップ10に上方への力を加えることによって、上記突条部14と容器50の上端縁部53との適合が解除されて、キャップ10が容器50から取り外されるのである。
この構成は、従来のエアゾール容器とキャップとの係合及び解除と同様である。
尚、このキャップの開閉動作において、キャップ10の側壁部16に形成された縦折れ目線の部位で、側壁部16が分割、分離されることはないものである。
【0027】
図3は、上記実施形態において、エアゾール製品の使用終了後容器内の残留ガスを排出させるために、キャップ本体部の側壁部を分割、分離して折曲した状態を示すもので、その(A)が平面図、その(B)が縦断面説明図である。
本実施形態に係るキャップ10においては、その本体部11の側壁部16の上下方向に等間隔で6本の縦折れ目線18を設けている。
これら縦折れ目線18の下端部には、切欠部19をその縦折れ目線18に沿ってそれぞれ設けている。
更に、これら縦折れ目線18の上端を連結するように周方向にも横折れ目線17を側壁部16の内周面に設けている。
【0028】
この周方向の横折れ目線17の少し上方には、環状に突条部15が設けられ、側壁部16の縦折れ目線18が分割、分離され、横折れ目線17が折曲した後に、この突条部15がエアゾール容器50の上端縁部53と適合して、キャップ10の天部12が噴射機構55を押圧したままの状態に維持することができる。
これにより、エアゾール容器50内の残留ガスが完全に排出されることとなり、その後安全にこのエアゾール容器を廃棄することができるのである。
尚、次の図4において詳細に説明するが、本実施形態においては、補強帯状部材20を本体部11に連接する連接部21を、上記切欠部19の部位に設けた切取予定部に連接して設けている。
【0029】
図4は、上記実施形態をより詳細に示す図面であり、その(A)が一部切欠正面図、その(B)が底面図である。
この図4は、補強帯状部材と連接部並びに切欠部と切取予定部、そして縦折れ目線等の構成をより明確に表している。尚、連接部の形態は、上記図1と比較して、平面視少し幅広に形成している。
【0030】
この実施形態に係るキャップ10においては、その連接部21は、切欠部19に設けられている切取予定部31の部位に設けられている。
即ち、縦折れ目線18の下端部には切欠部19が設けられ、この切欠部19に切取予定部31が連接されているのである。
この切取予定部31の上縁部が切欠部19に連接し、その連接部分は、後の図5において説明するが、薄肉に形成されて、引き千切ることができるように構成している。
このように補強帯状部材20と本体部11とを連接する連接部21は、本体部11の切取予定部31と連接しているのである。
【0031】
これにより、補強帯状部材20を本体部11から引き千切ると、この補強帯状部材20と共に、連接部21及び切取予定部31の両者が本体部11から切り取られ、本体部11から分離される。
切取予定部31が切り取られると、本体部11の側壁部16にはいわば窓のように、切欠部19が出現する構成となる。
【0032】
このように構成することにより、その補強帯状部材20を引き千切ると、連接部21が本体部11の側壁部16の外周面に残ることなく、連接部21は、本体部11の切取予定部31と共に完全に除去されることとなる。そして、その連接部21が切り取られると同時に本体部11下端部に切欠部19が出現するということとなるのである。
このような構成を採用しないと、つまり連接部を切欠部の部位に設けないと、補強帯状部材を引き千切った後に、連接部の一部が側壁部16の外周面に残存してしまうのである。
しかし、この連接部を切欠部の部位以外に設けて実施することも勿論可能である。
【0033】
以上の構成により、補強帯状部材20を切り取った後のキャップの外観は極めてスマートなものとなるのである。
更に本実施形態においては、それぞれの縦折れ目線18の部分には、更にその外側に極めて幅の狭い切込み18sを設け、側壁部16の分割、分離を行い易くしている。
また、この縦折れ目線18の下端部には、上記した通り、縦折れ目線18に沿って切欠部19が出現するように構成されているために、縦折れ目線18の分割、分離を更に容易にしている。
また、側壁部16の下端内周面に形成された突条部14は、この図からよく解るとおり、上記切欠部19の部分を除き環状に側壁部16の内周面全体に形成されている。
【0034】
以上の構成により、本発明に係るキャップは、一度エアゾール容器の上端に強制嵌合して取り付けられると、補強帯状部材の存在により容易には容器本体から取り外すことが困難となるのであり、これを取り外す際は、その補強帯状部材を引き千切ることによって初めて可能となるものである。これにより、本発明に係る補強帯状部材の存在がエアゾール製品のバージン性を保証するものとなるのである。
尚、図4(B)においては、縦折れ目線18及び切込み18sは、破線で表すべきところ、不明瞭となるために、実線で図示している。
【0035】
図5は、図4(B)のD−D線拡大断面図であって、補強帯状部材、連接部及び切取予定部等の部分(切欠部の部分)を図示するものである。
この図からよく解る通り、補強帯状部材20は、連接部21を介して、本体部の側壁部の下端に位置する切欠部に設けられている切取予定部31と連接している。
切取予定部31の上端略中央部から上方に向かって縦折れ目線18が延長し、その縦折れ目線18の外側には更に切込み18sが設けられている。
【0036】
補強帯状部材20を指等で引き千切る動作を行うと、この補強帯状部材20と一緒に連接部21が引っ張られ、切取予定部31が肉薄に形成された接続部39の部位で切り取られる。
これにより切欠部が縦折れ目線18の下端部に出現することとなるのである。
また、これにより連接部21は、本体部の側壁部16の側には全く残存することがなくなり、その外観がよりスマートなものとなるのである。
【0037】
図6は、本発明に係るキャップの第2の実施形態を示す底面図である。
この実施形態に係るキャップ30においては、補強帯状部材20とキャップ本体部11とを連接する連接部21が、上記実施形態と異なり、本体部の切欠部以外の部位に設けられているものである。
即ち、この第2実施形態においては、両端部25の部位の連接部21のほかに5つの箇所で連接部21を設けており、これらの連接部21の位置は切欠部19の位置と異なる位置に設けられている。このように連接部の位置は自由に設計することができる。
【0038】
この図からも解る通り、縦折れ目線18の部分には、更にその外側に極めて幅の狭い切込み18sを設け、側壁部16の分割、分離を行い易くしている。
また、この縦折れ目線18の下端部には、縦折れ目線18に沿って切欠部19をそれぞれ設けており、縦折れ目線18の分割、分離を更に容易にしている。
側壁部16の下端内周面に形成された突条部14は、この図からよく解るとおり、上記切欠部19の部分を除き環状に側壁部16の内周面全体に形成されている。
【0039】
補強帯状部材20の両端部25、25の部位に設けられた連接部21、21は、他の連接部21よりもその長さを長く形成して、この端部25の内側に手の指等を侵入させ、引き千切り易いように形成している。
図6中、上記第1実施形態と同一の符号は、同一構成要素を示している。
以上の構成により、本発明に係るキャップは、一度エアゾール容器の上端に強制嵌合して取り付けられると、補強帯状部材の存在により容易には容器本体から取り外すことが困難となるのであり、これを取り外す際は、その補強帯状部材を引き千切ることによって可能となるものである。これにより、本発明に係る補強帯状部材の存在がエアゾール製品のバージン性を保証するものとなるのである。
【0040】
図7は、本発明に係るキャップの第3の実施形態を示し、その(A)がその平面図、その(B)が図7(A)のE−E線断面説明図である。
この第3の実施形態に係るキャップ40おいては、上記2つの実施形態と異なり、本体部11の側壁部が、外側側壁部16aと内側側壁部16bとの二重構造を有している。
即ち、本体部11の天部12の外周縁から下方に筒体形状に外側側壁部16aが延長し、その内側に同じく下方に筒体形状に延長する内側側壁部16bが形成されている。
【0041】
これらの外側及び内側側壁部16a、16bの下端部がエアゾール容器50の上端端部53の外側と内側に適合し、キャップ40は、噴射機構55を被覆して、エアゾール容器50の上端に冠着、固定されることとなる。
外側側壁部16aの下端周縁部には、補強帯状部材42が連接部41を介して設けられており、この補強帯状部材42の内周面の周方向に突条部14が形成されている。
この突条部14がエアゾール容器50の上端縁部53の外側下方周面と適合する。
尚、上記連接部41は、その周方向の全体に設けてもよいし、その周方向に断続的に複数設けるようにしてもよい。
【0042】
他方、内側側壁部16bの下端外周面にも周方向に突条部44が形成され、エアゾール容器50の上端縁部53の内側下方周面と適合する。
これらの突条部14、44が、エアゾール容器50の上端縁部53の外側と内側とに適合することにより、一度このキャップ40が容器50の上端縁部53に嵌合、固定されると容易にはキャップ40は、容器50から外れなくなるのである。
【0043】
それ故、このキャップ40を容器から取り外す際には、外側側壁部16aの下端部に設けられている補強帯状部材42を切り取ることによって初めて取り外し可能となるのである。
従って、この補強帯状部材42の有無により、製品のバージン性を確認することができ、フィルムのシュリンクパック等の工程を省略することが出来るものとなるのである。
【0044】
この第3の実施形態では、上記の実施形態と異なり、補強帯状部材42は、外側側壁部16aの下端外周を囲繞するようには形成されておらず、外側側壁部16aの下方延長上に形成されているが、この補強帯状部材42は、内側側壁部16bと共働して固定の補強部材としての役割を果たしており、この補強帯状部材42と内側側壁部16bの両者によってキャップ40のエアゾール容器50への冠着、固定が完全なものとなる。そして、一度固定されると容易には取り外すことが出来ないものとなるのであり、この第3の実施形態における補強帯状部材42も上記第1及び第2の実施形態に係る補強帯状部材と同じ機能を果たすこととなるのである。
尚、この第3の実施形態においても、その本体部11の外側側壁部16aの上方外周面を面取りして面取り部16tを設け、天部12の平面視を略12角形としている点は、上記第1の実施形態と同様である。
【0045】
以上、実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り種々設計変更が可能である。
本発明に係るキャップ本体部の大きさ、形状等は、適宜必要に応じて設計することができる。
補強帯状部材は、所定の幅と厚みを有する帯状の合成樹脂製のものであればよく、上記実施形態では上下幅が約10mm程度、厚みが約1mm程度のものを用いている。
【0046】
補強帯状部材と本体部の側壁部とを連接する連接部の数や大きさも自由に設計することができるし、その連接部の周方向の間隔も全く自由に設計することができる。
その数と間隔により、本体部側壁部下端部外周の拡開強度も異なることとなるが、要するに使用者が通常キャップを外す程度の力以上の強度があればよいものである。
連接部の位置も、上記第1実施形態のように、切欠部に設けることもできるし、切欠部以外の部位に設けることもできる。
連接部を切欠部以外の部位に設ける際は、連接部の根元部に切り込み線を設けて、補強帯状部材を引き千切った後に、その連接部の残部が側壁部に残らないようにすることも可能である。
【0047】
第1及び第2実施形態においては、補強帯状部材の両端部を略円筒形状にし、その中央の孔部に略コ字形状のロックピンを挿入できるように構成したが、この孔部は特に設けなくとも実施することができる。
即ち、ロックピンを使用せずとも、本発明の効果は十分発揮される。
エアゾール製品の使用完了後、キャップの側壁部を分割、分離して切り離すのであるが、その際の縦折れ目線の数及び長さも自由に設計することができる。縦折れ目線は少なくとも2本設ければ、実施可能である。
縦折れ目線の長さは、エアゾール容器の上部噴射機構を作動できる程度にキャップの天部が下方に移動できる長さ分設けられていればよいので、噴射機構の高さに応じて設計することができる。
【0048】
縦折れ目線の下端部に形成した切欠部は、これを設けずに実施することもでき、縦折れ目線の更に外側に設けた切込みも、これを設けずに実施するもこと可能である。
キャップ本体部の側壁部を分割、分離して、その天部を下方に移行させ、その後に側壁部の内周面に形成した突条部がエアゾール容器の上端縁部に適合するのであるが、この突条部も側壁部の内周面の周方向全体に設けられていなくともよく、適宜所定間隔を空けて複数個所に設けられている形態を採用することもできる。
【0049】
本発明に係るキャップは、エアゾール容器の上端部ばかりでなく、エアゾール容器の上端に設けられたマウンテンカップの上端縁部に装着することも出来るものである。
以上、本発明は、エアゾール容器のキャップの下端部に補強帯状部材を連接部を介して連接することにより、キャップを容器から容易には取り外すことをできなくし、これにより製品のバージン性を保証して合成樹脂フィルム等のシュリンクパック等の加工を不要にした極めて大きな効果を有するエアゾール容器用キャップを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係るキャップの第1の実施形態を示しており、その(A)がその平面図、その(B)がエアゾール容器に取り付けた状態を示す縦断面説明図である。
【図2】上記実施形態に係るキャップから補強帯状部材を取り除いた後の状態を示し、その(A)が平面図、その(B)が容器に取り付けた状態の縦断面説明図である。
【図3】上記実施形態において、エアゾール製品の使用終了後容器内の残留ガスを排出させるために、キャップ本体部の側壁部を分割、分離した状態を示し、その(A)が平面図、その(B)が縦断面説明図である。
【図4】上記実施形態に係る詳細を示し、その(A)が一部切欠正面図、その(B)が底面図である。
【図5】図4(B)のD−D線拡大断面図である。
【図6】本発明に係るキャップの第2の実施形態を示す底面図である。
【図7】本発明に係るキャップの第3の実施形態を示し、その(A)がその平面図、その(B)が図7(A)のE−E線断面図である。
【符号の説明】
【0051】
10、30、40 キャップ
11 本体部
12 天部
14、15 突条部
16 側壁部
16a 外側側壁部
16b 内側側壁部
17 横折れ目線
18 縦折れ目線
19 切欠部
20、42 補強帯状部材
21、41 連接部
25 端部(補強帯状部材の)
27 孔部(端部の)
31 切取予定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器の上端部に設けられるエアゾール製品の噴射機構を被覆し、エアゾール容器の上端部に嵌合できる合成樹脂製キャップにおいて、
キャップ本体部(11)は、その天部(12)と、その天部(12)から下方に延長する略筒体形状の側壁部(16)を有し、前記側壁部(16)の下端周縁部がエアゾール容器の上端部に嵌合することができ、
前記側壁部(16)の下端外周を囲繞するように補強帯状部材(20)が設けられ、この補強帯状部材(20)は複数の連接部(21, 21, …)により前記側壁部(16)と連接し、
これにより、キャップ本体部(11)をエアゾール容器に取り付ける際は、強制的に嵌合させることにより行われ、
容器の使用開始時には、前記補強帯状部材(20)を本体部(11)から引き千切ることにより初めてキャップ本体部(11)がエアゾール容器から取り外すことができることを特徴とするエアゾール容器用キャップ。
【請求項2】
エアゾール容器の上端部に設けられるエアゾール製品の噴射機構を被覆し、エアゾール容器の上端部に嵌合できる合成樹脂製キャップにおいて、
キャップ本体部(11)は、その天部(12)と、その天部(12)から下方に延長する二重の略筒体形状の外側側壁部(16a) と内側側壁部(16b) を有し、
前記外側側壁部(16a) の下端部には補強帯状部材(42)が連接部(41)を介して設けられ、この連接部(41)を切り離すことによりこの補強帯状部材(42)は外側側壁部(16a) と分離でき、
この補強帯状部材(42)の内周面と内側側壁部(16b) の下端外周面がエアゾール容器の上端縁部を挟持するように嵌合することができ、
これにより、キャップ本体部(11)をエアゾール容器に取り付ける際は、強制的に嵌合させることにより行われ、
容器の使用開始時には、前記補強帯状部材(42)を外側側壁部(16a) から引き千切ることにより初めてキャップ本体部(11)がエアゾール容器から取り外すことができることを特徴とするエアゾール容器用キャップ。
【請求項3】
補強帯状部材(20)の両端部(25, 25)に設けられた連接部(21, 21)を他の連接部(21, 21, …)よりも長く形成したことを特徴とする請求項1に記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項4】
補強帯状部材(20)の両端部(25, 25)に上下方向の孔部(27)を形成し、これらの孔部(27)にその両脚部を嵌入することができる略コ字形状のロックピンを設備したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項5】
側壁部(16)の上下方向に且つ略等間隔に複数の縦折れ目線(18)を設け、また側壁部(16)の内周面の適宜高さ位置の周方向には横折れ目線(17)を設け、且つ前記横折れ目線(17)の上方には周方向に突条部(15)を形成し、
エアゾール製品の使用完了後、このキャップ本体部(11)の天部(12)を下方に強制的に押圧することにより、上記縦折れ目線(18)を切り離し且つ横折れ目線(17)で折曲し、前記突条部(15)をエアゾール容器の上端部に嵌合させることにより、キャップ本体部(11)の天部(12)がエアゾール容器の噴射機構を押圧して連続噴射状態のままに維持できることを特徴とする請求項1、3又は4に記載のエアゾール容器用キャップ。
【請求項6】
上記縦折れ目線(18)の下端部で且つその縦折れ目線(18)に沿って切欠部(19)を形成したことを特徴とする請求項5に記載のエアゾール容器用キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−126198(P2010−126198A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302988(P2008−302988)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000141118)株式会社丸一 (47)
【Fターム(参考)】