説明

エアゾール容器

【課題】エアゾール容器のカバーキャップを利用して残留内容物を回収するときに、作業者がカバーキャップを押し込んだままにする必要がないにもかかわらず、アタッチメントを容器本体から取り外さずに残留内容物を回収することを可能にする。
【解決手段】カバーキャップ40に、ステムに嵌合する孔部41を設ける。容器本体10から取り外したカバーキャップ40の孔部41をステムに嵌合して押し下げることによりステムが押し込まれる。このときのステムの押下げ状態を維持したまま、カバーキャップ40をアタッチメント20に結合することに用いる結合手段を備える。結合手段は、アタッチメント20の鍔形部22に圧入嵌合される凸部50によって形成することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器、特に、エアゾール容器に備わっているカバーキャップを利用することにより、残留内容物をカバーキャップで回収して廃棄することのできる対策が講じられているエアゾール容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエアゾール容器では、有底筒状の容器本体に、内容物の吐出通路を有するステムが取り付けられていて、ステムが押し込まれると内容物が吐出通路を経て吐出され、ステムが押込み位置から初期位置に復帰すると内容物の吐出が停止するようになっているものがある。
【0003】
また、エアゾール容器には、チップ型ノズルを採用したエアゾール容器やアタッチメントを採用したエアゾール容器がある。
【0004】
このうち、チップ型ノズルを採用したエアゾール容器では、ステムにチップ型のノズルが差し込まれている。このものでは、ノズルを手の指で押し下げてステムを押し込むと、内容物がステムの吐出通路を経てノズルの噴射口から噴射される。
【0005】
これに対し、アタッチメントを採用したエアゾール容器では、容器本体の頂部に取り付けられたアタッチメントがノズル部を有する押下げ操作部を有して、その押下げ操作部がステムに差し込まれている。このものでは、押下げ操作部を手の指で押し下げてステムを押し込むと、内容物がステムの吐出通路を経てノズル部の噴射口から噴射される。
【0006】
一方、使用済みのエアゾール容器では、残留内容物の全量をできるだけ少なくして廃棄することが勧奨されていて、そのための対策として、エアゾール容器から取り外したカバーキャップを利用することが行われている。
【0007】
従来より講じられている上記対策は、エアゾール容器から取り外したカバーキャップの内部空間にステムの吐出通路を臨ませ、ステムの吐出通路から吐出される残留内容物をカバーキャップで回収するというものである(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0008】
特許文献1のものでは、カバーキャップによって残留内容物を回収作業中には、作業者がカバーキャップを人力で常時押し下げたまま保つようになっている。これに対し、特許文献2のものでは、カバーキャップを容器本体に結合しておくだけで、作業者が人力でカバーキャップを常時押し下げておかなくても、ステムが押し込まれたままになる。また、この特許文献2には、エアゾール容器としてのスプレー缶が示されていて、残留内容物をカバーキャップで回収するときには、通常使用時にステムに装着されているチップ型のノズルを取り外してからカバーキャップを容器本体に結合するということが記載されている。
【0009】
また、容器本体から取り外したカバーキャップに備わっている噴射ヘッド係合部(突条)を、容器本体に備わっている治具係合部(ガイド溝)に横方向からスライドさせて嵌め込むことにより、カバーキャップ側のボタン当接部をステムに装着されているアタッチメントの押しボタン部に横方向からスライドさせて乗り上がらせるという操作を介してステムを押し込ませ、残留内容物をカバーキャップに回収するという提案もなされている(たとえば、特許文献3参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3062335号公報(図7)
【特許文献2】特開平10−264958号公報(図9、図12)
【特許文献3】特開2000−335661号公報(図9、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載されているエアゾール容器のように、残留内容物を回収するときに、カバーキャップを作業者が人力で常時押し下げておくことは、作業者にとって負担が大きく、場合によっては、十分に残留内容物が回収されていない間に作業者がカバーキャップから手を離して回収作業を止めてしまうということが起こり得る。これに対し、特許文献2に記載されているものでは、作業者がカバーキャップを常時押し下げておく必要がなく、カバーキャップを容器本体に結合して放置しておくだけでステムが押し込まれたままになるために、残留内容物を十分に回収することができるという利点がある。
【0011】
しかしながら、特許文献2に記載されているものでは、残留内容物の回収作業時にステムからチップ型のノズルを取り外さなければならないという煩わしさがある。また、残留内容物の回収作業時に、ステムから取り外されたノズルが容器本体や容器本体に結合されたカバーキャップから離れて紛失してしまったり、ノズルを容器本体及び容器本体に結合されているカバーキャップとは別に廃棄したりしなければならないという煩わしさがある。
【0012】
一方、特許文献3に記載されているエアゾール容器では、ステムからアタッチメントを取り外すことなく残留内容物をカバーキャップに回収することができるという利点がある。しかしながら、このエアゾール容器は、残留内容物を回収するときに、カバーキャップを横方向からスライドさせてそのカバーキャップ側のボタン当接部をアタッチメントの押しボタン部にスライドさせて乗り上がらせるという操作を行うようになっているので、残留内容物の回収作業時に行われるカバーキャップのスライド方向がステムの押込み方向に対して直角の方向になる。そのため、作業者(ユーザ)にとっては、容器にカバーキャップを装着する際のカバーキャップのスライド方向が、アタッチメントの押しボタン部の押込み方向ではなくてその押込み方向に対して直角になっているというとまどいを生じることがある。このため、エアゾール容器を直観的に取り扱うことの多いユーザにとっては、直観的な操作を通じて残留内容物を回収することができないことになる。
【0013】
本発明は以上の状況の下でなされたものであり、容器本体にアタッチメントが装着されているエアゾール容器において、カバーキャップを利用して残留内容物を回収するときに、作業者がカバーキャップを押し込んだままにする必要がないにもかかわらず、アタッチメントを容器本体から取り外さずに残留内容物を回収することが可能になり、しかも、カバーキャップを容器本体に装着する際にカバーキャップの装着方向をステムの押込み方向と同一にすることのできる対策を講じることによって、ユーザにとって直観的な使いやすい操作を行うだけで残留内容物を回収することが可能になるエアゾール容器を提供することを目的としている。
【0014】
また、本発明は、残留内容物の回収に利用されるカバーキャップを、ぐらつかない状態で安定性よく容器本体に保持させておくことのできるエアゾール容器を提供することを目的とする。
【0015】
さらに、本発明は、残留内容物の回収作業時にアタッチメントを容器本体に結合するという対策を講じた上で、その結合手段の具体例を提案することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明に係るエアゾール容器は、上部にドーム形部分を有する円筒状胴部に巻締め部を介して凹入状の上蓋部が結合されてなり、かつ、内容物の吐出通路を形成するステムを備えてそのステムが押し込まれることによって内容物が上記吐出通路から吐出されるようになっている容器本体と、上記巻締め部の内側に嵌合状に取り付けられた取付部に、上記ステムを臨ませる開口を形作っている板状の鍔形部が具備され、その鍔形部に上記ステムに装着された押込み操作部がヒンジを介して連設されていて、その押込み操作部に上記ステムの吐出通路から吐出された内容物を噴射するノズル部が設けられているアタッチメントと、上記容器本体に装着されて上記アタッチメントを覆うカバーキャップと、を有している。また、上記カバーキャップは、アタッチメントの押込み操作部が取り外された上記ステムにその押込み方向で嵌合可能で、かつ、上記吐出通路を当該カバーキャップの内部空間に臨ませる孔部を有し、この孔部を上記ステムに嵌合した状態でカバーキャップを押し下げるカバーキャップ押下げ動作を行うことによって上記ステムが押し込まれるように構成されている。
【0017】
そして、このような基本構成に、上記カバーキャップ押下げ動作を介して当該カバーキャップを上記容器本体に結合することに用いられる結合手段が追加されていて、その結合手段が、上記カバーキャップに設けられて、上記カバーキャップ押下げ動作を介してアタッチメントの上記開口に挿入されることにより上記鍔形部に圧入嵌合されて上記カバーキャップをアタッチメントに保持させる凸部によって構成されている。
【0018】
この構成であると、残留内容物の回収作業時には、ステムに対するカバーキャップの孔部の嵌合方向が、残留内容物を吐出させるときのステムの押込み方向に一致する。しかも、結合手段の作用でカバーキャップを容器本体に結合させるときに行われるカバーキャップ押下げ動作の方向もステムの押込み方向に一致する。そのため、残留内容物の回収作業時にカバーキャップを容器本体に装着するときには、ユーザにとって直観的な使いやすい操作を行うだけで済む。また、カバーキャップ側の凸部をアタッチメントの鍔形部に圧入嵌合しておきさえすれば、作業者がカバーキャップから手を離してもステムが押し下げられたままになり、カバーキャップのぐらつきや容器本体からの脱落も起こりにくくなる。
【0019】
さらに、容器本体からアタッチメントを取り外さずに残留内容物を回収することが可能になるので、残留内容物の回収作業時にアタッチメントを容器本体から取り外すという煩わしさや、容器本体から取り外したアタッチメントが紛失したりすることがなくなり、さらに、アタッチメントを容器本体やカバーキャップとは別に廃棄しなければならないという煩わしさもなくなる。
【0020】
請求項2の発明に係るエアゾール容器では、上記凸部に、上記カバーキャップ押下げ動作を介して当該凸部が上記鍔形部に圧入嵌合されたときにその鍔形部に係合されるリブ状の係合爪が追加されている。この構成を採用すると、凸部が鍔形部に圧入嵌合することによって発揮されるぐらつき防止や脱落防止の作用に、アタッチメントの鍔形部に対する係合爪の係合作用が相乗する。そのため、残留内容物の回収作業時のカバーキャップの安定性が向上し、残留内容物の回収途中でカバーキャップがぐらついたり脱落したりして、ステムから吐出された内容物がカバーキャップに回収されずに周囲に飛び散ってしまうという事態が起こりにくくなる。
【0021】
請求項3の発明に係るエアゾール容器は、上記カバーキャップに、上記カバーキャップ押下げ動作を介してアタッチメントの上記鍔形部の外側に遊嵌合される凹入部が備わり、この凹入部の内壁面に、上記カバーキャップ押下げ動作を介して上記凸部が上記鍔形部に圧入嵌合されたときに上記巻締め部に係合するリブ状の上記係合爪が追加されている。この構成を採用した場合でも、凸部が鍔形部に圧入嵌合することによって発揮されるぐらつき防止や脱落防止の作用に、容器本体の巻締め部に対する係合爪の係合作用が相乗する。そのため、上記同様に、残留内容物の回収作業時のカバーキャップの姿勢安定性が向上し、残留内容物の回収途中でカバーキャップがぐらついたり脱落したりして、ステムから吐出された内容物がカバーキャップに回収されずに周囲に飛び散ってしまうという事態が起こりにくくなる。
【0022】
請求項4に係るエアゾール容器は、上記した基本構成に、上記カバーキャップ押下げ動作を介して当該カバーキャップを上記容器本体に結合することに用いられる結合手段が追加されていて、その結合手段が、容器本体の上記巻締め部に係合する係合爪を有して、その係合爪が、上記カバーキャップに設けられて上記カバーキャップ押下げ動作を介してアタッチメントの上記鍔形部の外側に遊嵌合される凹入部の内壁面に形成されている。
【0023】
この構成を有するエアゾール容器においても、上記したところと同様に、残留内容物の回収作業時にカバーキャップを容器本体に装着するときの操作が直観的になる。また、カバーキャップの孔部をステムに嵌合してそのステムを押し込み、カバーキャップの結合手段としての係合爪を容器本体の巻締め部に係合させておきさえすれば、作業者がカバーキャップから手を離してもステムが押し下げられたままになる。そのため、残留内容物の回収作業時にカバーキャップを作業者が手で押し込んだままにする必要がなくなる。
【0024】
さらに、係合爪の係合箇所が容器本体の巻締め部であり、その巻締め部はもともと容器本体に備わっている部分であるので、容器本体やアタッチメントの構造を変更することなく、カバーキャップに結合手段としての係合爪を設けるだけで済む。
【0025】
そのほか、容器本体からアタッチメントを取り外さずに残留内容物を回収することが可能になるので、残留内容物の回収作業時にアタッチメントを容器本体から取り外すという煩わしさや、容器本体から取り外したアタッチメントが紛失したりすることがなくなり、さらに、アタッチメントを容器本体やカバーキャップとは別に廃棄しなければならないという煩わしさもなくなる。
【0026】
請求項5に係るエアゾール容器は、上記カバーキャップに、当該カバーキャップが上記結合手段によって容器本体に結合されたときに、容器本体の上記ドーム形部分の表面に重なり合ってカバーキャップの結合姿勢を安定させる支え面が備わっている、というものである。これによれば、カバーキャップの支え面が容器本体側のドーム形部分の表面に重なり合ってカバーキャップの結合姿勢を安定させるために、残留内容物の回収途中でのカバーキャップのぐらつきや脱落がいっそう確実に防止される。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明によれば、残留内容物の回収作業に際し、ユーザにとって直観的な使いやすい操作を行ってカバーキャップを容器本体に結合することが可能になるという効果が奏される。また、残留内容物の回収に利用されるカバーキャップを、ぐらついたり脱落したりしないように安定性よく容器本体に保持させておくことができる。そのために、残留内容物の回収作業を迅速かつ安全に行うことができるようになる。
【0028】
また、残留内容物の回収作業時に、作業者がカバーキャップを常時押し込んでおかなければならないという煩わしさや、アタッチメントを容器本体から取り外すという煩わしさがなくなるだけでなく、エアゾール容器に当初から備わっているすべての部品、具体的には、容器本体とアタッチメントとカバーキャップとを残留内容物の回収が終わった後に一括して廃棄してしまうことができるという利便性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は本発明の対象であるエアゾール容器の概略側面図である。同図のように、このエアゾール容器は、冒頭で説明した「アタッチメントを採用したエアゾール容器」に属している。さらに具体的には、容器本体10が有底の円筒状胴部12を有している。この円筒状胴部12には、その上部に巻締め結合されているマウンテンカップが含まれていて、そのマウンテンカップによってドーム形部分13が形成されている。このような形状の容器本体10の上部には、凹入状の上蓋部(図に現れていない)が巻締め結合されている。そして、その上蓋部にアタッチメント20が取り付けられている。ドーム形部分13と上蓋部とを結合している巻締め部を符号14で示してある。
【0030】
容器本体10には、凹入状の上記上蓋部の中央部から突き出たステム16が取り付けられている。そして、このステム16が初期位置から押し込まれると、容器本体10の内容物がステム16の吐出通路を経て外部に吐出される。また、ステム16は初期位置に向けて弾発付勢されていて、ステム16に対する押込み力が解除されると、ステム16が初期位置に復帰して内容物の吐出が止まる。
【0031】
図2はアタッチメント20を一部省略して示した斜視図である。図1又は図2のように、アタッチメント20は、短い円筒状の取付部21の一端に板状の鍔形部22を有していて、この鍔形部22にヒンジ23を介して押込み操作部24が連設されている。押し込み操作部24にはノズル部25と舌片状の摘み部26とが設けられていて、ヒンジ23が図1のように折り曲げられた状態では、鍔形部22によって形作られている開口27に押込み操作部24が臨むようになっている。また、この鍔形部22によって形作られている開口27の口縁部28は、周方向の2箇所で内向きに張り出している。このようなアタッチメント20は、ノズル部25を除く部分が樹脂で一体成形されているのに対して、ノズル部25は押込み操作部24に圧入状態で装着されている。このアタッチメント20は、取付部21を、容器本体10のドーム形部分13と上蓋部とを結合している巻締め部14の内側に圧入嵌合することによって容器本体10に装着されていて、そのような装着状態では鍔形部22が巻締め部14に重なり合っている。また、ヒンジ23が折り曲げられた状態で、押込み操作部24が上記ステム16に装着されていて、ステム16の吐出通路から吐出された内容物がノズル部25のノズル孔から噴射されるようになっている。
【0032】
さらに、容器本体10にカバーキャップ40を着脱することができるようになっている。このカバーキャップ40は、エアゾール容器の不使用時には、容器本体10の円筒状胴部12とドーム形部分13を形成しているマウンテンカップとの巻締め結合部17に嵌着されることによって上記アタッチメント20を覆うようになっている。
【0033】
以上の構成を有するエアゾール容器を通常使用して内容物を噴射するときには、カバーキャップ40を容器本体10から取り外した後、図1の矢印Pのようにアタッチメント20の摘み部26を作業者が手の指で押し下げる。この押下げ操作により、ヒンジ23を支点として押込み操作部24が押し下げられてステム16が押し込まれ、そのようなステム16の押込みによって内容物がステム16の吐出通路からノズル部25のノズル孔を経て外部に噴射する。
【0034】
この発明に係るエアゾール容器では、カバーキャップ40が残留内容物の回収容器として利用される。そして、回収作業時には、アタッチメント20の押込み操作部24がステム16から取り外され、併せて、容器本体10から取り外したカバーキャップ40を倒立させてアタッチメント20に結合するという操作が行われる。
【0035】
図3は残留内容物の回収作業を説明的に示した一部破断側面図である。同図に示したように、倒立姿勢で示されているカバーキャップ40の頂部コーナ部分には孔部41が備わっている。この孔部41は、ステム16に嵌合することのできる大きさを有していると共に、ステム16に嵌合したときにそのステム16の端面に突き当たる段付部42と、ステム16の吐出通路18に連通する貫通孔43とを有している。このため、図3のように、孔部41をステム16に嵌合してその段付部42をステム16の端面に突き当て、その状態でカバーキャップ40を押し下げるというカバーキャップ押下げ動作を行うと、ステム16が段付部42により矢印Dのように押し込まれ、残留内容物がステム16の吐出通路18を経て孔部41の貫通孔43からカバーキャップ40の内部空間に矢印Sのように吐出してカバーキャップ40により回収される。この回収作業を行うに当たって、図示のようにカバーキャップ40に通気性を持つ紙や綿などの素材100、たとえばティッシュペーパやウェス端切れなどを緩く装填しておくと、カバーキャップ40の内部空間に吐出した残留内容物が外部に飛び散ることなく回収される。
【0036】
この実施形態では、上記したカバーキャップ押下げ動作を介してカバーキャップ40を容器本体10に結合することに用いられる結合手段が追加されている。この結合手段には、図3のようにカバーキャップ40の孔部41をステム16に嵌合してそのステム16を押し下げた場合に、その押下げ状態を維持したまま、カバーキャップ40を容器本体10に結合するという機能が要求される。次にこの結合手段の具体例を説明する。
【0037】
図4〜図7には、上記したカバーキャップ押下げ動作を介してアタッチメント20の開口27に挿入されることにより、そのアタッチメント20の鍔形部22に圧入嵌合される凸部50によって上記結合手段が構成されている事例を示してある。
【0038】
図4は凸部50を有するカバーキャップ40の概略斜視図、図5は残留内容物の回収作業時のカバーキャップ40の使用状態を示した一部破断側面図、図6は図5のVI−VI線に沿う一部破断正面図、図7はアタッチメント20の鍔形部22に凸部50が圧入嵌合されている状態を示した横断平面図である。
【0039】
図4のように、カバーキャップ40は、その頂板部44が軸線に対して傾斜していて、その頂板部44の再高位部分に近い箇所に、段付部42を有する孔部41が設けられている。また、凸部50は、頂板部44の再高位部分に近い箇所で、孔部41の形成箇所とその周囲の円弧状領域とを凹ませることによって形成されていて、孔部41を取り囲む形態の馬蹄形に形成されている。図4には、孔部41の形成箇所での凹み箇所を符号45で示して、円弧状領域での凹み箇所を符号46で示してある。
【0040】
その他の構成、すなわち容器本体10やアタッチメント20など構成は図1又は図2を参照して説明したところと同様である。
【0041】
残留内容物の回収作業に際し、カバーキャップ40は容器本体10から取り外される。そして、図5及び図6のように、容器本体10から取り外されたカバーキャップ40の孔部41を容器本体10側のステム16(図3参照)に嵌合することと併せて、凸部50をアタッチメント20の開口27に挿入し、さらにカバーキャップ40を押し下げる。そのようなカバーキャップ押下げ動作を行うと、図5及び図6、図7のように、孔部41の段付部42がステム16の端面に突き当たって、ステム16が図3矢印Dのように押し込まれると共に、凸部50がアタッチメント20の鍔形部22に圧入嵌合される。こうして凸部50が鍔形部22に圧入嵌合されると、カバーキャップ40が、凸部50によって、アタッチメント20を介して容器本体10にぐらついたり脱落したりしない状態で保持される。また、ステム16が押し込まれているため、図3を参照して説明したように、残留内容物がステム16の吐出通路18を経て孔部41の貫通孔43からカバーキャップ40の内部空間に吐出してカバーキャップ40により回収される。
【0042】
この具体例では、図4のように、凸部50の両側面にリブ状の係合爪61を形成してある。そして、上記したカバーキャップ押下げ動作を介して凸部50が鍔形部22に圧入嵌合されたときには、図6又は図7のように、係合爪61が開口27の口縁部28を乗り越えて鍔形部22に係合するようになっている。このように、凸部50に係合爪61を追加しておくと、凸部50が鍔形部22に圧入嵌合することによって発揮されるぐらつき防止や脱落防止の作用に、鍔形部22に対する係合爪61の係合作用が相乗する。そのため、残留内容物の回収作業時のカバーキャップ40の姿勢安定性が向上し、残留内容物の回収途中でカバーキャップ40がぐらついたり脱落したりして、ステム16から吐出された内容物がカバーキャップ40に回収されずに周囲に飛び散ってしまうという事態が起こりにくくなる。
【0043】
この具体例では、図4などのように係合爪61を凸部50の側面に追加することにより、その係合爪61をアタッチメント20の鍔形部22に係合させるように構成してある。
【0044】
これに対し、図8〜図11には、容器本体10の巻締め部14に係合爪を係合させることによって、残留内容物の回収作業時のカバーキャップ40の姿勢安定性を向上させるようにした事例を示してある。
【0045】
図8は凸部50を有するカバーキャップ40の概略斜視図、図9は残留内容物の回収作業時のカバーキャップ40の使用状態を示した一部破断側面図、図10は図9のX−X線に沿う一部破断正面図、図11はアタッチメント20の鍔形部22に凸部50が圧入嵌合されている状態を示した横断平面図である。
【0046】
図8のように、この具体例では、カバーキャップ40の傾斜した頂板部44の中央部に、段付部42を有する孔部41が設けられている。また、凸部50は、頂板部44の中央部で、孔部41の形成箇所とその周囲の円弧状領域とを凹ませることによって形成されていて、孔部41を取り囲む形態の馬蹄形に形成されている。図8には、孔部41の形成箇所での凹み箇所を符号45で示して、円弧状領域での凹み箇所を符号46で示してある。
【0047】
残留内容物の回収作業に際しては、図9及び図10のように、容器本体10から取り外されたカバーキャップ40の孔部41を容器本体10側のステム16(図3参照)に嵌合することと併せて、凸部50をアタッチメント20の開口27に挿入して、さらにカバーキャップ40を押し下げる。そのようなカバーキャップ押下げ動作を行うと、図9及び図10、図11のように、孔部41の段付部42がステム16の端面に突き当たって、ステム16が図3矢印Dのように押し込まれると共に、凸部50がアタッチメント20の鍔形部22に圧入嵌合される。こうして凸部50が鍔形部22に圧入嵌合されると、カバーキャップ40が、凸部50によって、アタッチメント20を介して容器本体10にぐらついたり脱落したりしない状態で保持される。また、ステム16が押し込まれているため、図3を参照して説明したように、残留内容物がステム16の吐出通路18を経て孔部41の貫通孔43からカバーキャップ40の内部空間に吐出してカバーキャップ40により回収される。
【0048】
この具体例では、図8のように、円弧状の凹み箇所46によって形成されている凹入部の内壁面47にリブ状の係合爪62を形成してある。そして、上記したカバーキャップ押下げ動作を介して凸部50が鍔形部22に圧入嵌合されたときには、図10又は図11のように、係合爪62が容器本体10の巻締め部14を乗り越えてその下面に係合するようになっている。このように、凹入部の内壁面47に係合爪62を追加しておくと、凸部50が鍔形部22に圧入嵌合することによって発揮されるぐらつき防止や脱落防止の作用に、巻締め部14に対する係合爪62の係合作用が相乗する。そのため、残留内容物の回収作業時のカバーキャップ40の姿勢安定性が向上し、残留内容物の回収途中でカバーキャップ40がぐらついたり脱落したりして、ステム16から吐出された内容物がカバーキャップ40に回収されずに周囲に飛び散ってしまうという事態が起こりにくくなる。
【0049】
さらにこの具体例では、図8のように、カバーキャップ40の最高位部分に近い箇所に凹入状の支え面71を形成してある。そして、カバーキャップ40が容器本体10に結合されたときに、図9のように容器本体10のドーム形部分13の表面にその支え面71が重なり合ってカバーキャップ40の結合姿勢を安定させるようになっている。この構成によると、残留内容物の回収作業時のカバーキャップ40の安定性がいっそう向上する。
【0050】
次に、図12〜図15には、上記した凸部50を省略した事例を示してある。
【0051】
図12はこの事例のカバーキャップ40の概略斜視図、図13は残留内容物の回収作業時のカバーキャップ40の使用状態を示した一部破断側面図、図14は図13のXIV−XIV線に沿う一部破断正面図、図15は容器本体10にカバーキャップ40が結合されている状態を示した横断平面図である。
【0052】
図12のように、この具体例では、カバーキャップ40の傾斜した頂板部44の中央部に、段付部42を有する孔部41が設けられていると共に、その孔部41の周囲を広く凹ませることによって凹入部を形成し、その凹入部の内壁面47にリブ状の係合爪62を形成してある。図4〜図7や図8〜図11に示されている凸部50に相当する要素は設けられていない。そして、上記したカバーキャップ押下げ動作が行われたときには、図14又は図15のように、係合爪62が容器本体10の巻締め部14を乗り越えてその下面に係合するようになっている。
【0053】
この具体例では、アタッチメント20の鍔形部22に圧入嵌合される凸部50に相当する要素が設けられていないものの、上記のように凹入部の内壁面47に追加されている係合爪62が、巻締め部14に係合するしてカバーキャップ40を容器本体10に保持させるので、残留内容物の回収作業時のカバーキャップ40の姿勢安定性を保つことが可能になる。したがって、残留内容物の回収途中でカバーキャップ40がぐらついたり脱落したりして、ステム16から吐出された内容物がカバーキャップ40に回収されずに周囲に飛び散ってしまうという事態が起こりにくくなる。
【0054】
さらにこの具体例では、図12のように、カバーキャップ40の最高位部分に近い箇所に凹入状の支え面71を形成してある。そして、カバーキャップ40が容器本体10に結合されたときに、図13のように容器本体10のドーム形部分13の表面にその支え面71が重なり合ってカバーキャップ40の結合姿勢を安定させるようになっている。この構成によると、残留内容物の回収作業時のカバーキャップ40の安定性がいっそう向上する。
【0055】
なお、図12〜図15を参照して説明した具体例を、図8〜図11を参照して説明した具体例と対比すると、前者は、後者に存在している凸部50を省略した構成になっている。また、図4〜図7に示した事例においても、カバーキャップに支え面を具備させ、その支え面が容器本体のドーム形部分の表面に重なり合ってカバーキャップの結合姿勢を安定させるようにすることも可能である。
【0056】
なお、図1〜図15では、同一又は相当する部分に同一符号を付してある。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の対象であるエアゾール容器の概略側面図である。
【図2】アタッチメントを一部省略して示した斜視図である。
【図3】残留内容物の回収作業を説明的に示した一部破断側面図である。
【図4】カバーキャップの概略斜視図である。
【図5】残留内容物の回収作業時のカバーキャップの使用状態を示した一部破断側面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う一部破断正面図である。
【図7】アタッチメントの鍔形部に凸部が圧入嵌合されている状態を示した横断平面図である。
【図8】カバーキャップの概略斜視図である。
【図9】残留内容物の回収作業時のカバーキャップの使用状態を示した一部破断側面図である。
【図10】図9のX−X線に沿う一部破断正面図である。
【図11】アタッチメントの鍔形部に凸部が圧入嵌合されている状態を示した横断平面図である。
【図12】カバーキャップの概略斜視図である。
【図13】残留内容物の回収作業時のカバーキャップの使用状態を示した一部破断側面図である。
【図14】図13のXIV−XIV線に沿う一部破断正面図である。
【図15】容器本体にカバーキャップが結合されている状態を示した横断平面図である。
【符号の説明】
【0058】
10 容器本体
12 円筒状胴部
13 ドーム形部分
14 巻締め部
16 ステム
18 吐出通路
20 アタッチメント
21 取付部
22 鍔形部
23 ヒンジ
24 押込み操作部
25 ノズル部
27 開口
40 カバーキャップ
41 孔部
47 凹入部の内壁面
50 凸部
61 係合爪
62 係合爪
71 支え面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部にドーム形部分を有する円筒状胴部に巻締め部を介して凹入状の上蓋部が結合されてなり、かつ、内容物の吐出通路を形成するステムを備えてそのステムが押し込まれることによって内容物が上記吐出通路から吐出されるようになっている容器本体と、
上記巻締め部の内側に嵌合状に取り付けられた取付部に、上記ステムを臨ませる開口を形作っている板状の鍔形部が具備され、その鍔形部に上記ステムに装着された押込み操作部がヒンジを介して連設されていて、その押込み操作部に上記ステムの吐出通路から吐出された内容物を噴射するノズル部が設けられているアタッチメントと、
上記容器本体に装着されて上記アタッチメントを覆うカバーキャップと、を有し、
上記カバーキャップは、アタッチメントの押込み操作部が取り外された上記ステムにその押込み方向で嵌合可能で、かつ、上記吐出通路を当該カバーキャップの内部空間に臨ませる孔部を有し、この孔部を上記ステムに嵌合した状態でカバーキャップを押し下げるカバーキャップ押下げ動作を行うことによって上記ステムが押し込まれるように構成されているエアゾール容器であって、
上記カバーキャップ押下げ動作を介して当該カバーキャップを上記容器本体に結合することに用いられる結合手段が追加されていて、
その結合手段が、上記カバーキャップに設けられて、上記カバーキャップ押下げ動作を介してアタッチメントの上記開口に挿入されることにより上記鍔形部に圧入嵌合されて上記カバーキャップをアタッチメントに保持させる凸部によって構成されていることを特徴とするエアゾール容器。
【請求項2】
上記凸部に、上記カバーキャップ押下げ動作を介して当該凸部が上記鍔形部に圧入嵌合されたときにその鍔形部に係合されるリブ状の係合爪が追加されている請求項1に記載したエアゾール容器。
【請求項3】
上記カバーキャップに、上記カバーキャップ押下げ動作を介してアタッチメントの上記鍔形部の外側に遊嵌合される凹入部が備わり、この凹入部の内壁面に、上記カバーキャップ押下げ動作を介して上記凸部が上記鍔形部に圧入嵌合されたときに上記巻締め部に係合するリブ状の上記係合爪が追加されている請求項1に記載したエアゾール容器。
【請求項4】
上部にドーム形部分を有する円筒状胴部に巻締め部を介して凹入状の上蓋部が結合されてなり、かつ、内容物の吐出通路を形成するステムを備えてそのステムが押し込まれることによって内容物が上記吐出通路から吐出されるようになっている容器本体と、
上記巻締め部の内側に嵌合状に取り付けられた取付部に、上記ステムを臨ませる開口を形作っている板状の鍔形部が具備され、その鍔形部に上記ステムに装着された押込み操作部がヒンジを介して連設されていて、その押込み操作部に上記ステムの吐出通路から吐出された内容物を噴射するノズル部が設けられているアタッチメントと、
上記容器本体に装着されて上記アタッチメントを覆うカバーキャップと、を有し、
上記カバーキャップは、アタッチメントの押込み操作部が取り外された上記ステムにその押込み方向で嵌合可能で、かつ、上記吐出通路を当該カバーキャップの内部空間に臨ませる孔部を有し、この孔部を上記ステムに嵌合した状態でカバーキャップを押し下げるカバーキャップ押下げ動作を行うことによって上記ステムが押し込まれるように構成されているエアゾール容器であって、
上記カバーキャップ押下げ動作を介して当該カバーキャップを上記容器本体に結合することに用いられる結合手段が追加されていて、
その結合手段が、容器本体の上記巻締め部に係合する係合爪を有して、その係合爪が、上記カバーキャップに設けられて上記カバーキャップ押下げ動作を介してアタッチメントの上記鍔形部の外側に遊嵌合される凹入部の内壁面に形成されていることを特徴とするエアゾール容器。
【請求項5】
上記カバーキャップに、当該カバーキャップが上記結合手段によって容器本体に結合されたときに、容器本体の上記ドーム形部分の表面に重なり合ってカバーキャップの結合姿勢を安定させる支え面が備わっている請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載したエアゾール容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−249019(P2009−249019A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101803(P2008−101803)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000227331)株式会社ソフト99コーポレーション (84)
【出願人】(503314738)株式会社パナックス (2)
【Fターム(参考)】