説明

エアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物、及びそれを用いた染毛・脱色方法

【課題】刺激臭が抑制され、染毛・脱色後の毛髪の手触りが良いエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物の提供。
【解決手段】本発明のエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物は、アルカリ剤及び噴射剤を含有する第1剤と、酸化剤及び噴射剤を含有する第2剤とから構成され、前記第1剤が(A)両性ポリマー0.01〜0.3質量%、及び(B)炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム及び尿素から選ばれる少なくとも1種0.1〜4.0質量%を含有し、前記第2剤が、(C)ラノリン0.1〜1.0質量%を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物、及びそれを用いた染毛・脱色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪を染色し(染毛し)、又は毛髪を脱色する染毛・脱色剤組成物として、泡沫状のものが知られている。この泡沫状の染毛・脱色剤組成物(以下、泡沫状染毛・脱色剤組成物)は、その組成物の原液を、LPG等の噴射剤と共に収容したエアゾール式吐出容器(例えば、エアゾール式スプレー缶)から、泡沫状に吐出して使用される。
【0003】
この組成物の原液は、アルカリ剤及び任意成分である酸化染料を含有する第1剤用原液と、酸化剤を含有する第2剤用原液とからなり、それぞれ別々のエアゾール式吐出容器に噴射剤と共に収容される。なお、前記吐出容器には、各吐出容器から泡沫状の原液を同時に吐出し、かつ、これらの泡沫状の原液を混合する吐出ヘッド(同時混合吐出機構)が備えられている。
【0004】
このように、泡沫状染毛・脱色剤組成物は、エアゾール式吐出容器を用いて泡沫状に調製されるため、エアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物とも称される。
【0005】
エアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物は、上記のように、その調製にエアゾール式吐出容器を利用するため、操作性が良く、必要量を小分けして使用し易い。また、エアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物は、液状の染毛・脱色剤組成物と比べて、形状を保持し易く、液だれし難いという利点を有する。このような事情等により、エアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物は、毛髪の染色(染毛)又は脱色に、好ましく用いられている。
【0006】
エアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物としては、例えば、特許文献1及び2に開示されているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−139945号公報
【特許文献2】特開2002−284655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
エアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物は、一般的に、同等の染毛力、明度を備えるクリーム状等の他の剤型のものと比べて、刺激臭が強いと言われている。この刺激臭の主たる原因は、前記組成物に配合されている揮発性のアルカリ剤である。
【0009】
前記特許文献1に開示されているように、エアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物は、アルカリ剤としてアンモニアを含んでいる。アンモニアは揮発性であるため、前記組成物の原液が吐出されて泡沫状の組成物となると、その組成物からアンモニアが揮発し、刺激臭を感じることがあった。
【0010】
そこで、刺激臭を低減するために前記特許文献2には、アンモニアの配合量を低減した、又はアンモニアを全く配合しないエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物が開示されている。また、特許文献2には、アルカリ剤として不揮発性のアルカノールアミンを配合したエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物が開示されている。
【0011】
なお、特許文献2等に示されるように、前記組成物中のアンモニアの配合量(濃度)が低いと、前記組成物の染毛力が低下し、処理後の毛髪の明度が低下することがあった。
また、前記組成物中にアルカノールアミンが含まれていると、処理後の毛髪がきしみ、毛髪の感触を悪くすることがあった。また、アルカノールアミンが消泡作用を示し、前記組成物の泡の保形性を低下させることがあった。
【0012】
本発明の目的は、刺激臭が抑制され、染毛又は脱色処理後の毛髪の手触りが良いエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物、及びその組成物を用いた染毛・脱色方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために本発明者が鋭意検討を重ねた結果、下記成分(A)及び(B)を第1剤に使用し、下記成分(C)を第2剤に使用したエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物により、上記課題が解決されることを見いだした。
(A)両性ポリマー0.01〜0.3質量%、
(B)炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム及び尿素から選ばれる少なくとも1種0.1〜4.0質量%、及び
(C)ラノリン0.1〜1.0質量%。
【0014】
更に、前記組成物の第1剤に、下記成分(D)を配合することで、泡の保形性が良好となり、かつ、毛髪へ塗布した後の泡潰れが速い、という相反する効果が得られることを見いだした。
(D)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテルから選ばれる少なくとも1種0.1〜5.0質量%。
【0015】
本発明は、前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> アルカリ剤及び噴射剤を含有する第1剤と、酸化剤及び噴射剤を含有する第2剤とから構成されるエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物であって、
前記第1剤が、
(A)両性ポリマー0.01〜0.3質量%、及び
(B)炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム及び尿素から選ばれる少なくとも1種0.1〜4.0質量%を含有し、
前記第2剤が、
(C)ラノリン0.1〜1.0質量%を含有することを特徴とするエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物。
【0016】
<2> 第1剤が、(D)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテルから選ばれる少なくとも1種0.1〜5.0質量%を含有する前記<1>に記載のエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物。
【0017】
<3> 前記<1>又は<2>に記載のエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物を用いて毛髪を染毛又は脱色する染毛・脱色方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明のエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物は、刺激臭が抑制され、染毛又は脱色処理後の毛髪の手触りが良い。
また、本発明の染毛・脱色方法は、前記エアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物を使用するため、染毛又は脱色処理における刺激臭が抑制され、処理後の毛髪の手触りが良い。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔エアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物〕
本実施形態のエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物は、アルカリ剤及び噴射剤を含有する第1剤と、酸化剤及び噴射剤を含有する第2剤とから構成され、前記第1剤が、(A)両性ポリマー0.01〜0.3質量%、及び(B)炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム及び尿素から選ばれる少なくとも1種0.1〜4.0質量%を含有し、前記第2剤が、(C)ラノリン0.1〜1.0質量%を含有するものである。
【0020】
前記組成物は、毛髪を染色(染毛)する染毛剤組成物、又は毛髪を脱色する脱色剤組成物からなる。これらの組成物は、何れも毛髪の色彩を調整するものである。そのため本明細書では、これらの組成物をまとめて「染毛・脱色剤組成物」と表現する。
【0021】
<第1剤>
前記第1剤は、第1剤用原液と、噴射剤とからなる。この第1剤用原液が、アルカリ剤、(A)両性ポリマー、及び(B)炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム及び尿素から選ばれる少なくとも1種を含有する。
【0022】
前記(A)両性ポリマーは、アクリルアミド/アクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体からなる。前記(A)両性ポリマーとしては、例えば、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−47、ポリクオタニウム−53(何れもINCI名称)等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第1剤用原液における前記(A)両性ポリマーの含有量は、0.01〜0.3質量%が好ましい。前記含有量が0.01質量%未満であると、十分な毛髪の感触向上効果が得られない場合がある。これに対し、前記含有量が0.3質量%を超えると、毛髪の感触が悪くなることがある。
【0023】
前記(B)は、上記の通り、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム及び尿素から選ばれる少なくとも1種からなる。
第1剤用原液における前記(B)の含有量は、0.1〜4.0質量%が好ましい。前記含有量が0.1質量%未満であると、十分な刺激臭低減効果が得られない。これに対し、前記含有量が4.0質量%を超えると、刺激臭が強くなる。
【0024】
前記アルカリ剤は、一般的に、酸化剤の作用を促進させる等の目的で使用されるものである。また、前記アルカリ剤は、染毛力、明度等を調整する目的で使用される。なお、本明細書における前記アルカリ剤は、前記成分(B)を含まない。
前記アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
前記アルカリ剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第1剤用原液における前記アルカリ剤の含有量は、前記エアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜設定される。前記アルカリ剤の含有量としては、例えば、0.1〜10.0質量%が好ましく、2.0〜8.0質量%がより好ましい。
【0025】
前記第1剤用原液は、更に、(D)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテルから選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。
【0026】
第1剤用原液における前記(D)の含有量は、0.1〜5.0質量%が好ましい。前記含有量が0.1質量%未満であると、十分な泡の保形性の向上効果が得られないことがある。これに対し、前記含有量が5.0質量%を超えると、泡の保形性が悪くなることがある。
【0027】
前記第1剤用原液は、前記組成物が染毛を目的とするものであれば、必須成分として、酸化染料を含有する。これに対し、前記組成物が脱色のみを目的とするものであれば、前記第1剤用原液は、酸化染料を含有しない。つまり、前記第1剤用原液は、任意成分として酸化染料を含有する。
【0028】
前記酸化染料は、酸化剤による酸化重合によって発色可能な化合物である。この酸化染料は、主要中間体及びカプラーに分類される。
前記主要中間体としては、例えば、パラフェニレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−パラフェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、パラアミノフェノール等の化合物、及びこれらの化合物の塩類が挙げられる。塩類としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
前記主要中間体は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記カプラーとしては、例えば、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノオルトクレゾール、パラメチルアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、及びそれらの塩類等が挙げられる。塩類としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
前記カプラーは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
前記第1剤用原液は、前記エアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物の効果を損なわない限り、前記成分以外に、例えば、油性成分、多価アルコール、界面活性剤、防腐剤、ポリペプチド、pH調整剤、キレート化剤、酸化防止剤、ビタミン、香料、帯電防止剤、毛髪柔軟剤、色素、紫外線吸収剤、芳香族アルコール、水等の他の成分を、適宜、含有してもよい。
【0030】
前記油性成分は、主として、毛髪にうるおい感を付与する。前記油性成分としては、例えば、油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、シリコーン等が挙げられる。
【0031】
前記油脂としては、例えば、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、月見草油等が挙げられる。
【0032】
前記ロウとしては、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油等が挙げられる。
【0033】
前記高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール等が挙げられる。
【0034】
前記炭化水素としては、例えば、パラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
【0035】
前記高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。
【0036】
前記アルキルグリセリルエーテルとしては、例えば、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0037】
前記エステルとしては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、2−エチルヘキサン酸セチル等が挙げられる。
【0038】
前記シリコーンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、650〜10,000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
【0039】
前記油性成分は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
前記多価アルコールとしては、例えば、グリコール、グリセリン等が挙げられる。
前記グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
前記グリセリンとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0041】
前記界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤等が挙げられる。
【0042】
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。
これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
アルキル硫酸塩としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。スルホコハク酸エステルとしては、例えば、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウムが挙げられる。
【0043】
前記カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルケニルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ジアルケニルジメチルアンモニウム塩、アルキロイルアミドプロピルジメチルアミン、アルキルピリジニウム塩、ベンザルコニウム塩等が挙げられる。
これらの界面活性剤のカチオン基の対イオンとしては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、アルキル硫酸イオン、サッカリン等が挙げられる。
アルキルトリメチルアンモニウム塩としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。ベンザルコニウム塩としては、例えば、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。
【0044】
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルサッカライド界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ラウレス(ポリオキシエチレン(POE)ラウリルエーテル)、セテス(ポリオキシエチレンセチルエーテル)、ステアレス(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)、パレス等が挙げられ、前記ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルとしては、例えば、オレス(ポリオキシエチレンオレイルエーテル)等が挙げられる。
【0045】
前記両性界面活性剤としては、例えば、ココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)等が挙げられる。
【0046】
前記防腐剤としては、例えば、パラベン等が挙げられる。
【0047】
前記ポリペプチドは、毛髪を保護するために配合してもよい。前記ポリペプチドとしては、例えば、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、フィブロイン、コンキオリン、大豆タンパク及びカゼイン等のタンパク質を、酸、アルカリ又はプロテアーゼを用いて加水分解した加水分解物、並びに4級化したカチオン変性タンパク質等が挙げられる。
【0048】
前記pH調整剤としては、例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸第一アンモニウム、リン酸第二アンモニウム、クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピロリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、安息香酸、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及び塩基性アミノ酸等が挙げられる。
【0049】
前記キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸ナトリウム、エデト酸、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム等が挙げられる。
【0050】
前記酸化防止剤としては、例えば、アスコルビン酸、亜硫酸塩等が挙げられる。
【0051】
前記第1剤に使用される前記噴射剤としては、例えば、LPG、ジメチルエーテル、窒素、二酸化炭素等が挙げられる。この噴射剤は、前記第1剤用原液と混合される。前記原液と前記噴射剤との混合比(質量比)は、97:3〜93:7が好ましい。
【0052】
<第2剤>
前記第2剤は、第2剤用原液と、噴射剤とからなる。この第2剤用原液が、酸化剤、及び(C)ラノリンを含有する。
【0053】
前記酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンを脱色し、酸化染料を酸化重合させて発色させる。前記酸化剤としては、例えば、過酸化水素水等が挙げられる。
【0054】
第2剤用原液における前記酸化剤の含有量は、0.1〜10.0質量%が好ましく、1.0〜6.0質量%がより好ましい。前記含有量が0.1質量%未満であると、メラニンの十分な脱色、酸化染料の十分な発色を得られないことがある。これに対し、前記含有量が10.0質量%を超えると、毛髪に損傷等の不具合が発生し易い。
【0055】
前記(C)ラノリンの第2剤用原液における含有量は、0.1〜1.0質量%が好ましい。前記含有量が0.1質量%未満であると、十分な毛髪の感触向上効果、及び刺激臭低減効果が得られない。これに対し、前記含有量が1.0質量%を超えると、毛髪の感触が悪くなってしまう。
【0056】
前記第2剤用原液は、前記エアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物の効果を損なわない限り、前記成分以外に、例えば、前記第1剤用原液の他の成分として例示したもの等を、適宜、含有してもよい。
【0057】
前記第2剤に使用される前記噴射剤としては、前記第1剤に使用されるものと同様、例えば、LPG、ジメチルエーテル、窒素、二酸化炭素等が挙げられる。この噴射剤は、前記第2剤用原液と混合される。前記原液と前記噴射剤との混合比(質量比)は、97:3〜93:7が好ましい。
【0058】
前記第1剤及び第2剤は、それぞれ公知のエアゾール式吐出容器に充填して使用される。エアゾール式吐出容器は、第1剤及び第2剤を同時に吐出し、かつ混合する機構(同時吐出混合機構)を備えることが好ましい。前記第1剤及び第2剤は、エアゾール式吐出容器から吐出されると、泡沫状(フォーム状)の組成物となる。
【0059】
前記第1剤及び第2剤との混合比(質量比)は、目的に応じて適宜設定され、例えば、第1剤:第2剤=1:0.5〜1:4が好ましく、1:1〜1:2がより好ましい。
【0060】
本実施形態のエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物は、使用時における刺激臭が抑制され、染毛・脱色処理後の毛髪の感触(手触り)に優れる。
また、本実施形態のエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物は、毛髪に塗布される前は泡の保形性がよく、毛髪に塗布された後は泡潰れが速い。そのため、本実施形態のエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物は、毛髪に塗布し易い泡質を有する。
【0061】
〔染毛・脱色方法〕
本実施形態の染毛・脱色方法は、前記エアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物を利用して、毛髪を染色(染毛)し、又は毛髪を脱色する方法である。これらの方法は、何れも毛髪の色彩を調整する方法である。そのため本明細書では、これらの方法をまとめて「染毛・脱色方法」と表現する。
【0062】
本実施形態のエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物は、使用時に、エアゾール式吐出容器から吐出されて、使用される。
前記組成物は、毛髪に塗布する前に、所定のブラシ、コーム、容器等の染毛・脱色用器具上に取り出してもよいし、所定の手袋を装着した手のひら上に取り出してもよい。
前記組成物を毛髪に塗布する方法としては、上記のように、一旦、手のひら上に前記組成物を取り出した後、その組成物を手で揉み込むように、毛髪に塗布する方法が好ましい。なお、ブラシ等の器具を利用して、毛髪に塗布してもよい。
【0063】
本実施形態のエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物は、泡の保形性が良いため、液だれし難く、手のひら等にのせて取り扱いやすい。また、前記組成物は毛髪へ塗布した後の泡潰れが速いため、手で揉み込むようにして毛髪に塗布できる。
【0064】
なお、毛髪に塗布した後の処理内容は、従来の染毛・脱色方法と同様である。
【実施例】
【0065】
以下に本発明を実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明する。なお、本発明はこれらの内容によって限定されるものではない。
【0066】
<エアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物の調製>
〔実施例1〜16〕
表1及び2に示される各成分を配合することにより、実施例1〜16の第1剤用原液及び第2剤用原液を調製した。なお、表1及び2の配合量を示す数値の単位は、質量%である。
更に、各実施例の第1剤用原液及び第2剤用原液に、それぞれ表1及び2に示される割合で噴射剤(LPG)を混合して、各実施例の第1剤及び第2剤を調製した。
各実施例の第1剤及び第2剤を、同時混合吐出機構を備えたエアゾール式吐出容器に充填し、このエアゾール式吐出容器より各実施例の第1剤及び第2剤を吐出させて、実施例1〜16のエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物を得た。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
〔比較例1〜16〕
また、表3及び4に示される各成分を配合することにより、比較例1〜16の第1剤用原液及び第2剤用原液を調製した。なお、表3及び4の配合量を示す数値の単位は、質量%である。
更に、各比較例の第1剤用原液及び第2剤用原液に、それぞれ表3及び4に示される割合で噴射剤(LPG)を混合して、各比較例の第1剤及び第2剤を調製した。
各比較例の第1剤及び第2剤を、同時混合吐出機構を備えたエアゾール式吐出容器に充填し、このエアゾール式吐出容器より各比較例の第1剤及び第2剤を吐出させて、比較例1〜16のエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物を得た。
【0070】
【表3】

【0071】
【表4】

【0072】
<染毛・脱色処理>
実施例1〜16及び比較例1〜16の各組成物を、黒毛の人毛毛束(以下、単に「毛束」という)に、刷毛を用いて塗布し、その毛束を恒温槽(30℃)で30分間放置した。次いで、毛束に付着した前記組成物を水洗し、その後、毛束をシャンプー及びリンス(コンディショナー)で、それぞれ1回処理した。続いて、その毛束を温風で乾燥し、その後一日間、常温で放置した。このようにして、前記組成物を用いて毛束に染毛処理又は脱色処理を施した。
【0073】
<評価1:感触>
実施例1〜16及び比較例1〜16の各組成物を用いて染毛処理又は脱色処理された毛束に指を通した時の感触と、処理されていない毛束に指を通した時の感触とを比較して、パネラーが処理後の毛束の感触(きしみがなく、指通りが良いか否か)を評価(官能評価)した。評価基準は、以下の通りである。評価結果は、表1〜4に示した。
◎:パネラー10人中「良い」と答えた人が7人以上
○:パネラー10人中「良い」と答えた人が5〜6人
△:パネラー10人中「良い」と答えた人が3〜4人
×:パネラー10人中「良い」と答えた人が2人以下
【0074】
<評価2:刺激臭>
実施例1〜16及び比較例1〜16の各組成物をウィッグに塗布した時に、パネラーが刺激臭(臭くないか否か)を評価(官能評価)した。評価基準は、以下の通りである。評価結果は、表1〜4に示した。
◎:パネラー10人中「臭くない」と答えた人が7人以上
○:パネラー10人中「臭くない」と答えた人が5〜6人
△:パネラー10人中「臭くない」と答えた人が3〜4人
×:パネラー10人中「臭くない」と答えた人が2人以下
【0075】
<評価3:25℃での泡の保形性>
実施例1〜16及び比較例1〜16の各組成物を、25℃の条件下、平らな容器上に上記エアゾール式吐出容器より一定量吐出した。この吐出直後と、2時間経過後の泡の状態を、パネラーが目視で観察し、泡の保形性(吐出した泡が消泡せず、泡の形状が保たれているか否か)を評価(官能評価)した。評価基準は、以下の通りである。評価結果は、表1〜4に示した。
◎:パネラー10人中「優れる」と答えた人が7人以上
○:パネラー10人中「優れる」と答えた人が5〜6人
△:パネラー10人中「優れる」と答えた人が3〜4人
×:パネラー10人中「優れる」と答えた人が2人以下
【0076】
<評価4:染毛力(色彩調整力)>
実施例1〜16及び比較例1〜16の各組成物を用いた染毛処理又は脱色処理後の毛束をパネラーが目視で観察し、染毛力(又は脱色力)が良いか否かを評価(官能評価)した。評価基準は、以下の通りである。評価結果は、表1〜4に示した。
◎:パネラー10人中「良い」と答えた人が7人以上
○:パネラー10人中「良い」と答えた人が5〜6人
△:パネラー10人中「良い」と答えた人が3〜4人
×:パネラー10人中「良い」と答えた人が2人以下
【0077】
表1及び2の結果から明らかなように、実施例1〜16のエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物は、何れも、刺激臭が抑制され、処理後の毛髪の手触りが良いことが確かめられた。
また、各実施例の組成物は、何れも染毛力(実施例16は脱色力)に優れることが確かめられた。
【0078】
実施例の中でも、成分(D)が第1剤に含まれる場合である、実施例11〜16のエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物は、特に、25℃の条件下における泡の保形性に優れることが確かめられた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤及び噴射剤を含有する第1剤と、酸化剤及び噴射剤を含有する第2剤とから構成されるエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物であって、
前記第1剤が、
(A)両性ポリマー0.01〜0.3質量%、及び
(B)炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム及び尿素から選ばれる少なくとも1種0.1〜4.0質量%を含有し、
前記第2剤が、
(C)ラノリン0.1〜1.0質量%を含有することを特徴とするエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物。
【請求項2】
第1剤が、(D)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテルから選ばれる少なくとも1種0.1〜5.0質量%を含有する請求項1に記載のエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエアゾール式泡沫状染毛・脱色剤組成物を用いて毛髪を染毛又は脱色する染毛・脱色方法。

【公開番号】特開2010−280579(P2010−280579A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133463(P2009−133463)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】