説明

エアゾール消臭剤物品

【課題】消臭効果に優れ、噴霧粒子径が比較的大きくかつ均一な噴霧ができるエアゾール消臭剤物品を提供する。
【解決手段】消臭剤、水、有機溶媒、界面活性剤、噴射剤を含有する消臭組成物を噴霧用容器に充填したエアゾール消臭剤物品であって、噴射剤が有機溶媒に不溶性のガスであり、該容器が平均粒子径40〜150μmの噴霧粒子として噴霧でき、かつ粒径10μm以下の微粒子存在率が1.0体積%未満であるメカニカルブレークアップ機構を有するエアゾール消臭剤物品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール消臭剤物品に関する。
【背景技術】
【0002】
空間に存在する臭い物質は衣料やカーペット等に付着し悪臭の原因となる。このような悪臭を除去する方法として、エアゾール消臭剤製品が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。しかしながら、従来のエアゾール消臭剤製品は、ファインミスト(柔らかく広がった霧状噴霧粒子)を得ることを目的としていたため、噴霧粒子径が小さく、消臭対象物を的確に消臭するには不十分であり、消臭効果の点でも問題であった。
【0003】
【特許文献1】特開2000−319643号公報
【特許文献2】特開2001−37861号公報
【特許文献3】特開2005−200341号公報
【特許文献4】特開2007−77545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、消臭効果に優れ、噴霧粒子径が比較的大きく、かつ粒径10μm以下の微粒子存在率が1.0体積%未満である、均一な噴霧ができるエアゾール消臭剤物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、消臭剤、水、有機溶媒、界面活性剤、噴射剤を含有する消臭組成物を噴霧用容器に充填したエアゾール消臭剤物品であって、噴射剤が有機溶媒に不溶性のガスであり、該容器が平均粒子径40〜150μmの噴霧粒子として噴霧でき、かつ粒径10μm以下の微粒子存在率が1.0体積%未満であるメカニカルブレークアップ機構を有するエアゾール消臭剤物品を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のエアゾール消臭剤物品によれば、消臭組成物を、比較的粒径が大きくかつ均一な噴霧粒子として噴射することができる。このため、消臭対象物を的確に消臭することができ、優れた消臭効果を発揮し、しかも液だれすることがない。
従って、本発明のエアゾール消臭剤物品は、特にリビング、居間、タンス等の空間や、布地、衣類、カーペット、ソファー等の繊維製品等の硬質表面を有する対象物に付着した臭いの消臭に好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のエアゾール消臭剤物品に用いられる消臭組成物は、少なくとも、消臭剤、水、有機溶媒、界面活性剤、噴射剤を含有する。以下、これらの各成分について説明する。
【0008】
[消臭剤]
本発明に用いられる消臭剤としては、臭気化合物を包接することにより消臭する包接性消臭剤、臭気化合物を吸着することにより消臭する吸着性消臭剤、臭気化合物と反応することにより消臭効果を発現する反応性消臭剤等が挙げられる。これらの中では反応性消臭剤がより好ましい。
包接性消臭剤としては、シクロデキストリン等が挙げられる。包接性消臭剤を用いる場合は、消臭組成物中に好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%含有される。また、吸着性の消臭基剤としては、ゼオライト、タルク等が挙げられる。
反応性消臭剤としては、(i)フラボノイド、亜鉛化合物、(ii)4級アンモニウム塩又はアミンオキシド等が挙げられる。
(i)フラボノイドとしては、カルコン、フラバノン、フラバノール、フラボン、フラボノール、イソフラボン、カテキン等が挙げられる。フラボノイドを消臭剤として用いる場合は、消臭組成物中のフラボノイドの含有量は、消臭効果の観点から、好ましくは0.001〜1質量%、より好ましくは0.005〜0.5質量%である。
また、亜鉛化合物としては、塩化亜鉛、亜鉛石けん等が挙げられる。亜鉛化合物を消臭剤として用いる場合は、消臭組成物中の亜鉛化合物の含有量は、消臭効果の観点から、好ましくは0.001〜2質量%、より好ましくは0.005〜1質量%である。
【0009】
(ii)4級アンモニウム塩又はアミンオキシドとしては、炭素数8〜18のアルキル基を少なくとも1つ有する4級アンモニウム塩又はアミンオキシドが好ましい。これらの化合物の中では、特に下記一般式(I)で表される4級アンモニウム塩、及び一般式(II)又は(III)で表されるアミンオキシドが好ましい。
【0010】
【化1】

【0011】
一般式(I)〜(III)において、R1は、炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、R2、R3及びR4は、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R5は、炭素数1〜5のアルキレン基である。Yは、−CONR6−、−NR6CO−、−COO−及び−OCO−から選ばれる連結基であり、R6は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、X-は陰イオン基を示す。
一般式(I)〜(III)において、R1としては、炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、R2、R3及びR4としては、メチル基又はエチル基が好ましく、R5としては、炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。また、Yとしては、−CONH−、−COO−が好ましく、X-としては、ハロゲンイオン、炭素数1〜14の脂肪酸イオン、炭素数1〜3のアルキル硫酸イオンが好ましい。
【0012】
一般式(I)〜(III)で表される化合物の中でも、一般式(III)で表されるアミンオキシドが消臭効果の点で特に好ましい。その好適例としては、炭素数8〜18の置換又は無置換のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルアミドプロピルアミン−N,N−ジメチル−N−オキサイド等が挙げられ、より具体的には、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルアミドプロピルアミン−N,N−ジメチル−N−オキサイド等が挙げられる。
消臭組成物中の一般式(I)〜(III)で表される4級アンモニウム塩又はアミンオキシドの含有量は、消臭効果、持続性等の観点から、好ましくは0.1〜2.0質量%、より好ましくは0.2〜1.5質量%である。
上記の消臭剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0013】
[水]
本発明に用いられる消臭組成物は、水を好ましくは85〜98質量%、より好ましくは90〜96質量%含有する。また、使用する水としては、重金属や硬度成分を除去した精製水、特にイオン交換水を使用することが好ましい。
[有機溶媒]
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール等の炭素数2〜4のアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の炭素数2〜12の多価アルコール、エチレングリコールやプロピレングリコールのモノエチル又はモノブチルエーテル、ジエチレングリコールやジプロピレングリコールのモノエチル又はモノブチルエーテル、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノール性化合物のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物、p−トルエンスルホン酸塩、m−キシレンスルホン酸塩等の芳香族スルホン酸塩類等が挙げられる。
これらの中では、炭素数2〜4のアルコールが好ましく、炭素数2〜3のアルコールがより好ましく、エタノールが更に好ましい。
消臭組成物中の有機溶媒の含有量は、噴霧粒子の平均粒子径を40〜150μmに制御する観点から、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%である。
【0014】
[噴射剤]
本発明で用いられる噴射剤は、有機溶媒に不溶性のガスである。プロパン、プロピレン、n−ブタン、イソブタン等の液化石油ガスや、ジメチルエーテル、CFC、HCFC、HFC等のクロロフロロカーボン等の有機溶媒に可溶性のガスを使用すると、本発明の目的を達成することができない。ここで、有機溶媒に不溶性とは、有機溶媒100gに対する溶解量が0.1g以下であることを意味する。
有機溶媒に不溶性の噴射剤としては、液化炭酸、液化窒素等の液化ガス、窒素、炭酸ガス、空気、亜酸化窒素等の圧縮ガスが挙げられる。これらの中では、溶媒に対する溶解性、粒径制御及び安全性の観点から、窒素、炭酸ガス、空気、亜酸化窒素等の圧縮ガスが好ましく、窒素が特に好ましい。
噴射剤(圧縮ガス)の含有割合は特に限定されず、好適な噴射状態が得られる割合であればよいが、通常、内部圧力で0.2〜2.0MPa(25℃)、好ましくは0.3〜1.0MPa(25℃)に相当する量、あるいは消臭組成物に対して通常0.1〜5.0質量%、好ましくは0.1〜2.0質量%である。
【0015】
[その他の成分]
本発明の消臭組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、前記の消臭剤以外の界面活性剤、pH変動抑制剤、消臭増強剤、増粘剤、香料、pH調整剤、防腐剤、殺菌・抗菌剤、安定化剤、消泡剤、キレート剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の一般に使用される各種の添加剤を添加することができる。
【0016】
(その他の界面活性剤)
その他の界面活性剤としては、消臭性能の観点から、炭素数8以上、特には炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基を有する陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤が好ましい。
臭気成分は、通常、布地、衣類、カーペット、ソファー等の繊維製品等の固体表面に付着するが、界面活性剤は、固体表面に付着した臭気成分の揮発を抑制するばかりでなく、消臭剤を安定に分散させ、繊維製品等に対する接触性を向上させて、消臭性能を更に高めることができる。
これら界面活性剤を多量に含有させ過ぎると消臭剤の作用を阻害するため、消臭組成物中のその他の界面活性剤の含有量は、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
【0017】
(pH変動抑制剤)
pH変動抑制剤としては、pH変動抑制能を有する化合物であれば、特に制限されない。例えば、りん酸、塩酸、クエン酸、コハク酸等の酸、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、メチルモノエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
消臭組成物中のpH変動抑制剤の含有量は、pH変動抑制能を与える観点から、好ましくは0.01〜3.0質量%、より好ましくは0.05〜2.0質量%である。また、20℃におけるpHを7.5〜9.5、好ましくは7.5〜9.0に調整することが好ましい。
本発明においては、消臭効果及び効果の持続性の観点から、消臭剤として前記の4級アンモニウム塩又はアミンオキシドを使用し、更にpH変動抑制剤を配合することが好ましい。
【0018】
(消臭増強剤)
消臭増強剤としては、特に制限はないが、緑茶乾留抽出物が好ましい。緑茶乾留抽出物とは、緑茶の乾燥した葉を減圧条件下、加熱することにより気化した成分を乾留物として抽出したものである。
減圧下で加熱する工程の条件としては、圧力は消臭性能を有する化合物の性能を損なうことなく効率的に抽出する観点から、1〜13kPaが好ましく、2〜7kPaがより好ましい。加熱温度は100〜250℃が好ましく、120〜220℃がより好ましく、140〜200℃が更に好ましい。具体的な抽出方法としては、繊維工学,Vol.40,No.3(1987)のP132〜140に記載されている方法を参考にすることができる。緑茶乾留抽出物を用いることで対象物の着色を抑制することもできる。
緑茶乾留抽出物として、市販の緑茶乾留抽出物等を用いることもできる。特に、白井松新薬株式会社製の緑茶乾留エキス(フレッシュシライマツ)が、消臭性能に優れ、更に白物衣料に噴霧しても黄変せず好ましい。
本発明に用いられる消臭組成物中の緑茶乾留抽出物の含有量は、消臭性能の観点から、好ましくは0.001〜2.0質量%、より好ましくは0.01〜1.0質量%である。
【0019】
(増粘剤)
増粘剤は特に制限されないが、消臭組成物の粘度を調整する観点から、水溶性高分子化合物が好ましい。ここで、水溶性とは、20℃のイオン交換水100gに対する溶解量が1g以上であることを意味する。より具体的には、質量平均分子量が2千〜400万、好ましくは2千〜200万、より好ましくは2千〜100万の水溶性高分子化合物が好ましい。なお、質量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によりポリエチレングリコールを標準として求めた値である。
水溶性高分子化合物の好適例としては、水溶性天然高分子化合物類、不飽和カルボン酸重合体、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
水溶性天然高分子化合物類としては、アラビアゴム、カラーギナン、グアガム、デンプン、キサンタンガム、エチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン等を挙げられ、これらの中では、エチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化デンプンが好ましい。
不飽和カルボン酸重合体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸又はその塩の単独重合体又は共重合体が好ましく、ポリビニルアルコールとしては、鹸化度が75〜100モル%のものが好ましく、ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングルコール又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダム付加物又はブロック付加物が好ましい。
【0020】
上記の水溶性高分子化合物の中では、水溶性天然高分子及びその誘導体が好ましく、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化デンプンが特に好ましい。
本発明に用いられる消臭組成物中の水溶性高分子化合物の含有量は、消臭効果の持続性の点から、好ましくは0.001〜0.5質量%、より好ましくは0.005〜0.1質量%である。また、該消臭組成物の25℃における粘度が0.5〜8mm2/s、好ましくは1〜5mm2/sになるように添加されることが好ましい。なお、粘度はJIS K 7117記載の方法によって測定することができる。
【0021】
(香料)
香料は、中和や二重結合による反応等の化学反応による臭気原因物質の低減や、臭覚に刺激を与えることによるマスキング、あるいはカップリングによる変調などにより、消臭力を補足又は強化するものが好ましい。かかる香料としては、メチルイオノン、サリチル酸ヘキシル、イオノン、ヘディオン、フェノキシエタノール、アンバーコア、セドリルメチルエーテル、シネオール、カンファー、ピネン、リモネン、リナロール、酢酸リナロール、ネロール、酢酸ネリル、カルバクロール、チモール、シトロネロール、シトラール、ゲラニオール、サンタロール、ボルネオール、カルボン、酢酸ベンジル、オイゲノール、セドレン、酢酸ボルニル、メントール、メントン、メチルチャビコール、サイメン、プレゴール、アネトール、ツヨン等の合成香料、セージオイル、タイムオイル、バジルオイル、ペパーミントオイル、ハッカオイル、ローズマリーオイル、ユーカリプタスオイル、マジョラムオイルセージ等の天然香料が挙げられる。
本発明に用いられる消臭組成物中の香料の含有量は、好ましくは0.001〜1質量%、より好ましくは0.005〜0.5質量%である。
【0022】
<噴霧用容器>
本発明においては、メカニカルブレークアップ機構を備えた噴射バルブ装置を有する耐圧噴霧用容器が用いられる。図1は、本発明のエアゾール消臭剤物品で用いられる噴霧用容器の一態様を示す縦断面図である。図1において、1は耐圧容器、2はマウンテンカップであって、マウンテンカップ2は、アウターガスケット3を介して耐圧容器1の上部開口に気密に設置されている。4は噴射バルブ装置であり、噴射バルブ装置4は、マウンテンカップ2に保持され、上方に突出するよう形成されたステム5と、耐圧容器1の下部に伸びているディップチューブ6を有する。ステム5の上端にはアクチュエータ7が設けられており、アクチュエータ7には、ステム5に連通する流通路8を介して噴射口9が形成されている。
このような噴射バルブ装置を有する噴霧用容器では、アクチュエータ7が押下操作されない非動作時には、耐圧容器1の内部と遮断された状態とされている。一方、アクチュエータ7により、噴射バルブが押下操作された動作時は、耐圧容器1内の消臭組成物が、ステム5及び流通路8を介して噴射口9から微細な噴霧粒子として均一に噴射される。噴射口9には、メカニカルブレークアップ機構を備えたボタンが取り付けられている。
【0023】
<メカニカルブレークアップ機構>
メカニカルブレークアップ機構は、図2に示すように、旋回力を与えて噴霧するための溝(チャンネル)を有する構造を有する。図2において、(a)は該溝を3本とした例であり、(b)は該溝を4本とした例である。該溝は3〜6本とするのが好ましい。
メカニカルブレークアップ機構を備えたボタンを噴射口9に取り付け、ここで消臭組成物に旋回力を与えた後、噴射口9からその消臭組成物を噴射させることにより、消臭組成物は適度な大きさの噴霧粒子として微細化されて均一に噴射される。
このようなメカニカルブレークアップ機構による噴射バルブ装置を備えてなる噴霧用容器によれば、本発明で用いられる消臭組成物を、平均粒子径40〜150μmの噴霧粒子として噴霧することができる。噴霧粒子の平均粒子径は、十分な消臭効果を得る観点から、好ましくは40〜120μm、より好ましくは50〜100μmである。そのために、噴射口9の口径は、好ましくは0.2〜1.0mm、より好ましくは0.3〜0.8mm、より好ましくは0.3〜0.7mmとするのがよい。
【0024】
噴霧粒子の平均粒子径は粒度分布測定装置により測定され、自動演算処理装置により解析されたD50(累積50%)を意味するものである。具体的には、粒度分布測定装置のレーザー光発光部から照射されるレーザービームに対して垂直に噴霧用容器の噴口を20cm離して配置し、噴霧用容器からの噴霧物がレーザービームを垂直に通過するように噴霧して噴霧物の粒度分布を自動演算処理装置により解析することにより求められる。
また、噴霧粒子の粒径10μm以下の微粒子存在率は1.0体積%未満であが、その値は、前記と同じ粒度分布測定装置により測定され、自動解析された粒径累積分布曲線(Q3チャート、粒径―累積体積分率曲線)から求められた0〜10μmまでの粒子の累積体積分率(%)である。
【0025】
<エアゾール消臭剤物品>
本発明のエアゾール消臭剤物品は、消臭剤、水、界面活性剤、噴射剤を含有する消臭組成物を噴霧用容器に充填することによって調製される。この際、内圧が0.3〜1.0MPaとなるように充填するのがよい。
本発明のエアゾール消臭剤は1回のストロークで通常0.2g〜0.7g、好ましくは0.25〜0.5g噴出し、噴霧量が通常10〜80g/10秒、好ましくは10〜60g/10秒となるように調整するのがよい。
本発明のエアゾール消臭剤物品を用いる対象物は、空間又は固体表面を有するものであれば特に制限はない。例えば、リビングや居間等の空間、タンスの中等の空間、カーテン等の布地、スーツ、セーター等の衣類、カーペット、ソファー等の繊維製品、食器、ゴミ箱、調理台、室内の床、天井、壁等の硬質表面を有する対象物に本発明の消臭組成物を噴霧して、対象物の臭いを効果的に低減させることができる。特に、繊維製品のような消臭対象の表面積が広い対象物において効果的である。
【実施例】
【0026】
実施例及び比較例で用いた消臭組成物の粘度、及び噴霧粒子の平均粒子径の測定は、以下の方法により行った。
(1)粘度の測定
ウベローデ型動粘度計(V−0426OB,1〜5〔mm2/s〕用、粘度計定数0.00507)を用いて、恒温槽中で20分間温調後、測定(測定温度25℃)した。液体消臭組成物が液流下に要した秒数を5回測定し、その平均値に粘度計定数を掛けて粘度を算定した。
(2)噴霧粒子の平均粒子径及び微粒子存在率の測定
噴霧粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計(日本電子株式会社製)を用いて、噴霧された液体消臭組成物が噴霧手段の噴霧開始位置から噴霧方向に20cm離れた位置において測定した。自動解析により得られた平均粒子径は体積平均粒子径であり、粒子の累積体積分率が50%に達する時の粒子径(D50)である。
また、微粒子存在率は、自動解析により得られた粒径累積分布曲線(Q3チャート、粒径―累積体積分率曲線)を用いて、0〜10μmまでの粒子の累積体積分率(%)を求め、粒径10μm以下の微粒子存在率(体積%)とした。
【0027】
実施例1及び比較例1〜2
<水性消臭組成物の調製>
表1に示す各成分を用いて、表1に示す組成の液体消臭組成物を調製した。
なお、表1に示す以外の成分として、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(抗菌剤)、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル(安定化剤)、ヒドロキシエチルセルロース(増粘剤)、有機ポリシロキサン(消泡剤)、エチレンジアミン四酢酸・4ナトリウム塩(キレート剤)を使用し、香料として、ケイ皮酸エチル5部、酢酸リナリル10部、リラール部15部、ヘキシルシンナミックアルデヒド10部、パーライド10部、フェニルエチルアルデヒド20部、セダーアルコール10部、及びリモネン20部からなる調合香料を使用し、得られた組成物は、10%塩酸又は48%水酸化ナトリウム水溶液で、25℃でのpHを8.0に調整した。
【0028】
<消臭効果の評価>
(1)消臭対象物の調製
〔汗臭試験片〕
木綿メリヤス布(6cm×6cm)に、臭気成分として、イソ吉草酸/カプロン酸/酢酸=18ppm/6ppm/6ppm水溶液をスプレーバイアル(株式会社マルエム、No.6)を用いて4回スプレーし(約0.16g)、30分間乾燥させた後、試験片とした。
(2)消臭方法
上記で得られた汗臭試験片に、表1に示す配合処方の消臭組成物を、図2(a)に示すメカニカルブレークアップ機構を備えたボタンを噴射口に取り付けた噴霧用容器(東洋エアゾール工業株式会社製)に充填し、1ストロークスプレーし(計約0.24g)、所定の時間乾燥させた。
(3)消臭性能評価
30歳代の男性5人及び女性5人の計10人の熟練パネラーに、消臭剤組成物をスプレーした後の試験片の臭いを嗅いでもらい、それぞれ下記の6段階の臭気強度表示法で評価し、その平均値を求めた。表1には消臭剤組成物をスプレーした後、30分後、3時間後の評価結果を示した。
(評価基準)
0:無臭
1:何の臭いか分からないが、ややかすかに何かを感じる強さ(検知閾値のレベル)
2:何の臭いか分かる、容易に感じる弱い臭い(認知閾値のレベル)
3:明らかに感じる臭い
4:強い臭い
5:耐えられないほど強い臭い
上記評価基準に基づいて、平均値0以上1未満を◎、平均値1以上2未満を○、平均値2以上3未満を△、平均値3以上5以下を×として評価した。評価は◎又は○が好ましい。
【0029】
【表1】

【0030】
表1から、比較例1及び2のエアゾール消臭剤物品による消臭では、布上の汗臭に対しての消臭効果が低いのに対して、実施例1のエアゾール消臭剤物品によれば、汗臭に対する消臭性能が高く、3時間経過後も臭い戻りがないことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のエアゾール消臭剤物品によれば、消臭組成物を比較的大きく、かつ均一な噴霧粒子として噴射することができる。このため、本発明の水性消臭剤組成物は、リビング、居間、タンス等の空間や、布地、衣類、カーペット、ソファー等の繊維製品、食器、ゴミ箱、調理台、室内の床、天井、壁等の硬質表面を有する対象物に付着した複合臭の水性消臭剤組成物として、好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のエアゾール消臭剤物品において用いられる噴霧用容器の一態様を示す縦断面図である。
【図2】メカニカルブレークアップ機構を備えたボタンの例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0033】
1:耐圧容器 2:マウンテンカップ 3:アウターガスケット
4:噴射バルブ装置 5:ステム 6:ディップチューブ
7:アクチュエータ 8:流通路 9:噴射口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消臭剤、水、有機溶媒、界面活性剤、噴射剤を含有する消臭組成物を噴霧用容器に充填したエアゾール消臭剤物品であって、噴射剤が有機溶媒に不溶性のガスであり、該容器が平均粒子径40〜150μmの噴霧粒子として噴霧でき、かつ粒径10μm以下の微粒子存在率が1.0体積%未満であるメカニカルブレークアップ機構を有するエアゾール消臭剤物品。
【請求項2】
噴霧粒子の平均粒子径が50〜100μmである請求項1に記載のエアゾール消臭剤物品。
【請求項3】
噴射剤が窒素である請求項1又は2に記載のエアゾール消臭剤物品。
【請求項4】
消臭組成物の水の含有量が85〜98質量%である請求項1〜3のいずれかに記載のエアゾール消臭剤物品。
【請求項5】
消臭組成物の25℃における粘度が0.5〜8mm2/sである請求項1〜4のいずれかに記載のエアゾール消臭剤物品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−115370(P2010−115370A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291398(P2008−291398)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】