説明

エアゾール組成物およびエアゾール製品

【課題】吐出直後は吐出物の少なくとも一部が凍結し、この凍結した吐出物に水を添加すると、融解して発泡することで冷たいフォームを形成するエアゾール組成物およびエアゾール製品を得ること。
【解決手段】界面活性剤を5〜70質量%含む水性原液と液化ガスとを含むエアゾール組成物であって、前記液化ガスが親油性液化ガスと親水性液化ガスとからなり、エアゾール組成物中に60〜90質量%含有し、前記エアゾール組成物を吐出すると吐出物の少なくとも一部が凍結し、該凍結した吐出物に水を添加すると融解して発泡するエアゾール組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール組成物およびエアゾール製品に関する。さらに詳しくは、吐出すると吐出物の少なくとも一部が凍結し、凍結した吐出物に水を添加すると発泡して冷たいフォームを形成するエアゾール組成物および該エアゾール組成物を充填したエアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、特定のHLBを有する界面活性剤を含有する水性原液と、ジメチルエーテルと親油性液化ガスとからなり、吐出するとフォームを形成し、その後フォーム内部に保持されていた液化ガスが気化してフォームが自ら凍るエアゾール組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−173561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のエアゾール組成物は吐出すると先に発泡してフォームを形成し、その後自ら凍るため、フォームは冷たく冷却感が得られるが、濡れた手で触ったり水を添加したりすると融けてしまうため塗布しにくく、冷却感も持続しないという問題がある。
【0005】
本発明のエアゾール組成物およびエアゾール製品は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、吐出直後は少なくとも一部が凍結し、この凍結した吐出物に水を添加すると発泡して冷たいフォームを形成するエアゾール組成物およびエアゾール製品を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエアゾール組成物は、界面活性剤を5〜70質量%含む水性原液と液化ガスとを含むエアゾール組成物であって、前記液化ガスが親油性液化ガスと親水性液化ガスとからなり、エアゾール組成物中に60〜90質量%含有し、前記エアゾール組成物を吐出すると吐出物の少なくとも一部が凍結し、該凍結した吐出物に水を添加すると融解して発泡するエアゾール組成物であることを特徴としている。
【0007】
前記親油性液化ガスの沸点が親水性液化ガスの沸点よりも高いことが好ましい。
【0008】
前記親油性液化ガスと親水性液化ガスの含有比率が質量比で90/10〜10/90であることが好ましい。
【0009】
前記エアゾール組成物が頭髪用であることが好ましい。
【0010】
前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤および/または両性界面活性剤を含有することが好ましい。
【0011】
前記非イオン性界面活性剤がエーテル型であることが好ましい。
【0012】
前記エアゾール組成物を耐圧容器に充填したエアゾール製品であり、前記エアゾール製品が、前記エアゾール組成物を噴射するための噴射部材を備えており、前記噴射部材が噴射面を覆うカバー部を備えているエアゾール製品とすることができる。
【0013】
前記エアゾール組成物を耐圧容器に充填したエアゾール製品であり、前記エアゾール製品が、前記エアゾール組成物を噴射するための噴射部材を備えており、前記噴射部材が噴射孔の周囲に複数の突起を備えているエアゾール製品とすることができる。
【0014】
前記エアゾール組成物を耐圧容器に充填したエアゾール製品であり、前記エアゾール組成物をストリーム状に噴射するための噴射部材を備えているエアゾール製品とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るエアゾール組成物およびエアゾール製品は、吐出直後は少なくとも一部が凍結し、この凍結した吐出物に水を添加すると、融解して発泡することで冷たいフォームを形成するため、たとえば、エアゾール組成物を頭皮や頭髪上に吐出すると一部が凍結し冷却感が得られ、さらに吐出物に水を添加したり濡れた指や手で塗り拡げたりすると発泡するため、垂れずに頭皮や頭髪に塗布することができる。特に水を添加して発泡するときに液化ガスの一部が気化するため、鈍感な頭皮でも持続的に冷却感が得られ、熱がこもりやすい頭皮をクールダウンすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明におけるエアゾール製品の一実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明におけるエアゾール製品の他の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明におけるエアゾール製品の他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のエアゾール組成物は、界面活性剤を5〜70質量%含む水性原液と液化ガスとを含むエアゾール組成物であって、前記液化ガスが親油性液化ガスと親水性液化ガスとからなり、エアゾール組成物中に60〜90質量%含有し、前記エアゾール組成物を吐出すると吐出物の少なくとも一部が凍結し、該凍結した吐出物に水を添加すると融解して発泡する。
【0018】
すなわち、水性原液中に界面活性剤を特定量含有し、さらに液化ガスとして親油性液化ガスと親水性液化ガスをエアゾール組成物中に特定量含有することで、吐出物は発泡する前に、液化ガスの気化熱により強力に冷却されて水性原液の少なくとも一部が凍結し、さらに凍結した吐出物中には親油性液化ガスが保持されているので、水の添加により融解し、残留している親油性液化ガスの気化により発泡する。
【0019】
前記界面活性剤は、吐出する前に容器内で水性原液と液化ガスを一時的に乳化または分散させて液化ガスの気化熱を水性原液に伝わりやすくし、吐出物の少なくとも一部を凍結し易くするという目的で用いられる。さらには、凍結した吐出物中に親油性液化ガスを保持することで、濡れた指や手などで触ったり直接水を添加するなど、吐出物に水が添加されたときに親油性液化ガスを気化させて吐出物を発泡させるなどの目的で用いられる。また、シャンプーに使用する場合は洗浄成分として、トリートメントに使用する場合はコンディショナー成分として作用する。
【0020】
前記界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アミノ酸系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、天然系界面活性剤などが挙げられる。
【0021】
前記非イオン性界面活性剤としては、たとえば、POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのエーテル型;モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸POEセチルエーテル、イソステアリン酸POEラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノラウリン酸POEソルビット、テトラステアリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル、POEラノリンアルコールなどのポリオキシエチレンラノリンアルコールなどのエステル型;ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミドなどのアルキルアルカノールアミドなどのアルキルアルカノール型などが挙げられる。
【0022】
前記両性界面活性剤としては、たとえば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)、ステアリルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタインなどのアルキルベタイン、ヤシ酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン(コカミドプロピルベタイン)、コカミドプロピルヒドロキシスルタインなどの脂肪酸アミドプロピルベタインなどのベタイン型;2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(ココアンホ酢酸)などのアルキルイミダゾール型;ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンなどのアミノ酸型;ラウリルジメチルアミンN−オキシド、オレイルジメチルアミンN−オキシドなどのアミンオキシド型などが挙げられる。
【0023】
前記アニオン性界面活性剤としては、たとえば、ヤシ油脂肪酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、ラウリン酸カリウムなどの脂肪酸石鹸;ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;ラウリルリン酸などのアルキルリン酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸などのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩;アシルメチルタウリン酸;ラウリルスルホ酢酸ナトリウムなどのスルホン酸塩などが挙げられる。
【0024】
前記カチオン性界面活性剤としては、たとえば、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム塩;アルキルベンジルアンモニウム塩;ステアリルアミンアセテート;ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミンなどのポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。
【0025】
前記アミノ酸系界面活性剤としては、たとえば、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミンなどのアシルアミノ酸塩;N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸カリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウムおよびN−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウムなどのN−アシルグルタミン酸塩;N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、N−ステアロイル−L−グルタミン酸などのN−アシルグルタミン酸;N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN−アシルグリシン塩;N−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニントリエタノールアミンなどのN−アシルアラニン塩;ヤシ油脂肪酸アルギニンなどのアミノ酸石鹸などが挙げられる。
【0026】
前記シリコーン系界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などが挙げられる。
【0027】
前記天然系界面活性剤としては、たとえば、サーファクチンナトリウム、シクロデキストリン、水添酵素大豆レシチンなどが挙げられる。
【0028】
前記界面活性剤の中でも、吐出物が塗布面で凍結しやすいという点から、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、アミノ酸系界面活性剤を用いることが好ましい。また、凍結した吐出物に水を添加したときに発泡しやすいという点から、非イオン性界面活性剤と、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤などのイオン性界面活性剤を用いることが好ましい。これら凍結機能と発泡機能とを得るために前述の界面活性剤の中から適宜選択し混合して用いてもよい。なお、凍結機能および発泡機能の2つの効果を併せ持つことから、非イオン性界面活性剤および/または両性界面活性剤を用いることが好ましく、特に非イオン性界面活性剤の中でもエーテル型を用いることが好ましく、両性界面活性剤の中でもアルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタインなどのベタイン型を用いることが好ましい。
【0029】
さらに、前記界面活性剤のうち、カチオン性界面活性剤はトリートメント効果を発揮し、アニオン性界面活性剤および両性型界面活性剤は洗浄効果を発揮することから、これらの界面活性剤には有効成分としての効果も期待することができる。
【0030】
前記界面活性剤の含有量は、水性原液中5〜70質量%であることが好ましく、10〜65質量%であることがより好ましく、さらには15〜60質量%であることが好ましい。界面活性剤の含有量が5質量%よりも少ない場合は吐出物が凍結するが、吐出物中に液化ガスを保持する効果が弱く、吐出物に水を添加しても発泡せずに融解し、塗布面で垂れ落ちやすくなる傾向がある。70質量%よりも多い場合は洗い流しても頭皮や頭髪に残りやすくなり、使用感が低下する傾向がある。
【0031】
前記水としては、たとえば、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水などが挙げられる。
【0032】
前記水の含有量は、水性原液中25〜90質量%であることが好ましく、さらには30〜85質量%であることが好ましい。水の含有量が25質量%よりも少ない場合は凍結しにくくなる傾向がある。90質量%よりも多い場合は凍結した吐出物に水を添加したときに発泡しにくくなる傾向がある。
【0033】
本発明に用いられる水性原液は、用途や目的などに応じて有効成分、アルコール類、水溶性高分子、pH調整剤、油分、粉体などを含有することができる。
【0034】
前記有効成分としては、たとえば、天然香料、合成香料などの各種香料;ポリクオタニウム4、ポリクオタニウム10、ポリクオタニウム22、ポリクオタニウム39、ポリクオタニウム47、ポリクオタニウム51などのカチオン性ポリマー;l−メントール、カンフル、ハッカ油などの清涼剤;レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、ジベンゾイルチアミン、リボフラビンおよびこれらの混合物などのビタミン類;アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤;グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤;加水分解ハチミツタンパクなどのコンディショニング剤;パラオキシ安息香酸エステル、メチルイソチアゾリノン、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、パラクロルメタクレゾールなどの防腐・殺菌消毒剤;ヨモギエキス、チョウジエキス、ローヤルゼリーエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;クロタミトン、d−カンフルなどの鎮痒剤;酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;アラントイン、グリシルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤;塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、リドカイン、塩酸リドカインなどの局所麻酔剤;ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤;ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジルなどの消臭剤;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;酸化亜鉛、酸化チタン、オクチルトリメトキシシラン被覆酸化チタンなどの紫外線散乱剤;アルブチン、コウジ酸などの美白剤などが挙げられる。
【0035】
前記有効成分を含有する場合の含有量は、水性原液中0.05〜20質量%であることが好ましく、さらには0.1〜15質量%であることが好ましい。有効成分の含有量が0.05質量%よりも少ない場合は有効成分の効果が充分に発揮できない傾向がある。20質量%よりも多い場合は吐出物の凍結状態や発泡状態が悪化しやすくなる傾向がある。
【0036】
前記アルコール類は、使用感を向上させるだけでなく、水に溶解しにくい有効成分を溶解するための溶媒として、また吐出物の凍りやすさ、吐出物に水を添加したときの発泡性を調整するなどの目的で用いられる。
【0037】
前記アルコール類としては、たとえば、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数が2〜3個の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなどの2〜3価のポリオールなどが挙げられる。
【0038】
前記アルコール類を含有する場合の含有量は、水性原液中0.1〜30質量%であることが好ましく、さらには0.5〜20質量%であることが好ましい。前記アルコール類の含有量が0.1質量%よりも少ないと前述の効果が得られにくくなる傾向がある。30質量%を超える場合は吐出物が凍結しにくくなり、また水を添加しても発泡しにくくなる傾向がある。
【0039】
前記水溶性高分子は液化ガスのガス離れを調整して吐出物を凍結しやすくする、吐出物に水を添加したときの発泡性を調整するなどの目的で用いられる。
【0040】
前記水溶性高分子としては、たとえば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系高分子;カラギーナン、キサンタンガム、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガムなどのガム質;ゼラチン、デキストラン、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ペクチン、デンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、アルギン酸ナトリウム、変性ポテトスターチ、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーなどが挙げられる。
【0041】
前記水溶性高分子を含有する場合の含有量は、水性原液中に0.01〜5質量%であることが好ましく、さらには0.05〜3質量%であることが好ましい。水溶性高分子の含有量が0.01質量%よりも少ない場合は前述の効果が得られにくくなる傾向がある。5質量%を超える場合は水性原液の粘度が高くなりすぎ使用感が低下する傾向がある。
【0042】
前記pH調整剤はエアゾール組成物を安定化させる、容器への腐食を低減するなどの目的で用いられる。
【0043】
前記pH調整剤としては、たとえば、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンムニウムなどが挙げられる。
【0044】
前記pH調整剤を含有する場合の含有量は、水性原液中に0.01〜1質量%であることが好ましく、さらには0.05〜0.5質量%であることが好ましい。pH調整剤の含有量が0.01質量%よりも少ない場合は前述の効果が得られにくくなる傾向がある。1質量%を超えて配合しても前述の効果は向上しない傾向がある。
【0045】
前記油分は、対象物に艶や潤いを与える、発泡状態を調整する、などの目的で用いられる。
【0046】
前記油分としては、たとえば、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、イソパラフィンなどの炭化水素油;アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、乳酸セチル、ステアリン酸イソセチル、セトステアリルアルコール、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのエステル油;メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリグリセロール変性シリコーンなどのシリコーンオイル;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコール;アボガド油、マカダミアナッツ油、シア脂、オリーブ油、ツバキ油などの油脂;ミツロウ、ラノリンロウなどのロウ類などが挙げられる。
【0047】
前記油分を含有する場合の含有量は、水性原液中0.1〜10質量%であることが好ましく、さらには0.5〜8質量%であることが好ましい。油分の含有量が0.1質量%よりも少ない場合は油分を含有する効果が得られにくくなる傾向がある。10質量%よりも多い場合は乾燥性が悪くなるなど、使用感が低下する傾向がある。
【0048】
前記粉体は、紫外線を散乱させる、頭髪にマット感を付与するなど、粉体自体を有効成分として用いたり、使用前に容器を上下に振ったときに原液と液化ガスとが混ざりやすく均一な組成で吐出しやすくする安定化剤、他の有効成分を担持する担体、付着剤などとしても用いられる。
【0049】
前記粉体としては、たとえば、タルク、酸化亜鉛、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、窒化ホウ素などが挙げられる。
【0050】
前記粉体を含有する場合の含有量は、水性原液中0.1〜5質量%であることが好ましく、さらには0.3〜3質量%であることが好ましい。粉体の含有量が0.1質量%よりも少ない場合は、粉体を含有する効果が得られにくくなる傾向がある。5質量%よりも多い場合はバルブや吐出部材の吐出孔で詰まりやすくなる傾向や、静置した状態で長期間保存した場合、粉体が容器底部で固まりやすくなり(ケーキング)、均一な組成物を吐出し難くなる傾向がある。
【0051】
本発明に用いられる水性原液は、界面活性剤、必要に応じて含有される有効成分などを水やアルコール類に溶解させて調製する。なお、水性原液には、必要に応じて油成分を乳化させたり、粉体を分散させたりしてもよい。
【0052】
前記水性原液の含有量は、エアゾール組成物中10〜40質量%であることが好ましく、さらには15〜35質量%であることが好ましい。水性原液の含有量が10質量%よりも少ない場合は吐出物に水を添加しても発泡しにくくなる傾向がある。40質量%よりも多い場合は吐出物が凍結しにくくなる傾向がある。
【0053】
前記液化ガスは、エアゾール容器内では液体であり、吐出時にその一部が気化することで水性原液を冷却し、吐出物の少なくとも一部を凍結させる。そして、凍結した吐出物の内部には高濃度に含有した界面活性剤により、気化していない液化ガスの一部が保持されており、凍結した吐出物に水が添加されることで吐出物が融解し、保持されていた液化ガスが気化して発泡物(フォーム)を形成する。
【0054】
前記液化ガスは親油性液化ガスと親水性液化ガスとからなる。
【0055】
前記親油性液化ガスは、吐出したときに自己の気化熱や親水性液化ガスの気化熱により冷却され、さらに少なくとも一部が気化できる状態で、界面活性剤により吐出物中に保持され、水を添加したときに気化して吐出物を発泡させるなどの目的で用いられる。また、液化ガスの圧力を調整し、飛び散りを防止するなどの目的でも用いられる。
【0056】
前記親油性液化ガスとしては、たとえば、プロパン(沸点:−42.1℃)、ノルマルブタン(沸点:−0.5℃)、イソブタン(沸点:−11.7℃)およびこれらの混合物である液化石油ガス、イソペンタン(沸点:27℃)やノルマルペンタン(沸点:36℃)などの炭素数が5個の脂肪族炭化水素や、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(沸点:−19℃)、トランス−2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(沸点:−19℃)などのハイドロフルオロオレフィン、前記液化石油ガスと炭素数が5個の脂肪族炭化水素またはハイドロフルオロオレフィンとの混合物などが挙げられる。なお、炭素数が5個の脂肪族炭化水素を用いる場合は、吐出の勢いがやわらげられて対象物に付着しやすくなる傾向、凍結した吐出物中に多く保持・残留し、吐出物に水やお湯を添加することで、吐出物がゆっくりと大きく発泡する傾向がある。
【0057】
前記親油性液化ガスの含有量は、エアゾール組成物中5〜65質量%であることが好ましく、さらには10〜60質量%であることが好ましい。親油性液化ガスの含有量が5質量%よりも少ない場合は、凍結した吐出物中に残留する量が少なくなり、水を添加しても発泡しにくくなる傾向がある。65質量%よりも多い場合は吐出時に発泡して凍結しにくくなる傾向がある。
【0058】
前記親水性液化ガスは、吐出したときに吐出物を冷却して親油性液化ガスの気化を抑制し、吐出物を発泡させずに少なくとも一部を凍結させるなどの目的で用いられる。
【0059】
前記親水性液化ガスとしては、たとえばジメチルエーテル(沸点:−24.9℃)が挙げられる。
【0060】
前記親水性液化ガスの含有量は、エアゾール組成物中5〜80質量%であることが好ましく、さらには10〜75質量%であることが好ましい。親水性液化ガスの含有量が5質量%よりも少ない場合は、冷却効果が弱く吐出物が先に発泡し、凍結しにくくなる傾向がある。80質量%よりも多い場合は冷却効果が強くなりすぎる傾向、また、圧力が高くなって吐出物が飛び散りやすくなる傾向がある。
【0061】
親水性液化ガスを親油性液化ガスよりも速く気化させることで親油性液化ガスの気化を抑制でき、吐出物中に親油性液化ガスを保持しやすくなり、水を添加したときに発泡しやすくなるという点から、前記親油性液化ガスは親水性液化ガスよりも沸点が高いものを用いることが好ましい。
【0062】
また、前記親油性液化ガスと親水性液化ガスの含有比率は質量比で10/90〜90/10であることが好ましく、15/85〜85/15であることがより好ましく、さらには20/80〜80/20であることが好ましい。含有比率が90/10よりも大きい場合は親油性液化ガスが充分に冷却されず、吐出物が発泡し、凍結しにくくなる傾向があり、また吐出物中に保持される親油性液化ガスが少なくなり、水を添加しても発泡しにくくなる傾向がある。さらに発泡した吐出物は冷却が不充分で泡が冷たくなりにくい傾向がある。一方、10/90よりも小さい場合は冷却効果と吐出の勢いが強すぎ、吐出物が硬くなって親油性液化ガスが保持されにくくなり、水を添加しても発泡しにくくなる傾向がある。
【0063】
前記液化ガスの含有量は、エアゾール組成物中に60〜90質量%であり、65〜85質量%であることが好ましい。液化ガスの含有量が60質量%よりも少ない場合は、液化ガスの冷却能力が不充分であり、吐出物が凍結しにくくなる傾向がある。よって、新油性液化ガスを保持できないため吐出物に水を添加しても発泡しにくくなる傾向がある。一方、液化ガスの含有量が90質量%よりも多い場合は冷却効果が強すぎる傾向や、吐出物が飛び散りやすくなる傾向がある。
【0064】
本発明のエアゾール組成物は、たとえば、耐圧容器に水性原液を充填し、次いで液化ガスをアンダーカップ充填などで充填したのちバルブを固着し、エアゾール容器内で水性原液と液化ガスを混合させることにより調製することができる。
【0065】
さらに、吐出の勢いの調整や、吐出通路内における吐出物残留を防ぐことなどを目的として、炭酸ガス、チッ素ガス、圧縮空気、酸素ガスなどの圧縮ガスを用いてエアゾール組成物の圧力を調整することができる。なかでも、炭酸ガスを用いる場合は、液化ガス中に溶解する量が多く、吐出物は吐出されたときに液化ガスの気化熱により冷却されるため、吐出物中に炭酸ガスが長く保持され、血行促進などの炭酸ガスの効果が得られやすい。なお、圧縮ガスは25℃での平衡圧力が0.4〜0.7MPaとなるように充填することが好ましい。
【0066】
本発明のエアゾール組成物は、吐出物の少なくとも一部が凍結し、凍結した吐出物に水を添加すると発泡して冷たいフォームを形成するため、たとえば、シャンプー、コンディショナー、クレンジング、育毛剤などの頭皮・頭髪用製品、消炎鎮痛剤、鎮痒剤、制汗剤、収斂剤、ほてり止めなど、皮膚に使用する製品などに好適に用いることができる。
【0067】
前記エアゾール組成物を、耐圧容器、エアゾールバルブ、噴射部材を備えたエアゾール容器に充填することで、本発明のエアゾール製品とすることができる。
【0068】
前記耐圧容器としては、本発明の効果を損なわないものである限り特に限定されないが、例えば、アルミニウムやブリキなどの金属、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂を用いて、上端に開口部を有する有底筒状に成形したものを用いることができる。
【0069】
前記エアゾールバルブとしては、本発明の効果を損なわない範囲で一般的にエアゾール容器に使用されるエアゾールバルブ、たとえば、弁棒(以下、ステム)、ステムラバー、スプリングからなる弁機構と、弁機構を収容するハウジングと、ハウジングを保持すると共に耐圧容器の開口部に固着されるマウンティングカップとを備えたもの等を用いることができる。
【0070】
前記吐出部材としては、本発明の効果を損なわないものである限り特に限定はないが、例えば、図1に示すような噴射面を覆うカバー部を備えた噴射部材、図2に示すような噴射孔の周りに複数の突起を備えた噴射部材、図3に示すようなストリーム状に噴射することができる噴射部材などが挙げられる。
【0071】
図1に示すエアゾール容器について説明する。該エアゾール容器は図1に示すように、エアゾール組成物Aが充填された耐圧容器10の上端開口部に、エアゾールバルブが嵌着されており、該エアゾールバルブのステム11には、噴射面を覆う椀型のカバー部32を備え、椀型のカバー部32の底部の中心に噴射孔31が設けられた噴射部材30が装着されている。また、耐圧容器10の肩部には肩カバー20が嵌着されている。
【0072】
図1に示すエアゾール容器は、噴射部材30を下方に向け、噴射部材30のカバー部32を噴射面に押し当てることで充填されたエアゾール組成物Aを噴射することができる。このエアゾール容器によれば、噴射面を覆う椀型のカバー部32を備えることから、噴射物の飛び散りを防止することができ、目的箇所に適格に噴射物を噴射することができる。また、噴射物の気化熱の拡散も防ぐことができるため噴射物を効率的に冷却することができるため、親水性液化ガスの配合比率を少なくし、かつ、新油性液化ガスの配合比率を多くしても噴射物を凍結させることができ、水を添加したときに発泡しやすくすることができる。さらに、本発明のエアゾール組成物は、吐出すると一部が凍結するエアゾール組成物であるところ、カバー部32により噴射孔31と噴射面との距離を適切に設定できるため、距離が近すぎることによる過冷却および遠すぎることによる冷却感の不足を防止することができる。
【0073】
図2に示すエアゾール容器について説明する。該エアゾール容器は図2に示すように、エアゾール組成物Aが充填された耐圧容器10の上端開口部に、エアゾールバルブが嵌着されており、該エアゾールバルブのステム11には、複数の突起43を有する噴射部材40が装着されている。
【0074】
複数の突起43は、中心点に噴射孔41が設けられた円形の基部42のステム装着面とは逆の面上に、噴射孔41を中心とする円周状に特定の間隔をあけて配設されている。ここで、突起43の材質としては特に限定されないが、突起を頭皮に押し付けたときに刺激が小さく痛みを感じにくいという点から、シリコーンゴム、合成ゴム、エラストマーなど、基部とは異なる材質を用いて成型したものを用いることが好ましい。また、基部の材質としては特に限定されないが、ステムを確実に押し下げることができる、突起を頭皮に安定して押し付けることができるという点から、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの合成樹脂を用いて成型したものを用いることが好ましい。
【0075】
図2に示すエアゾール容器は、噴射部材40を下方に向け、噴射部材40の複数の突起43の先端を噴射面に押し当てることで充填されたエアゾール組成物Aを噴射することができる。このエアゾール容器によれば、複数の突起43を備えることから、噴射物の飛び散りを防止することができ、目的箇所に適格に噴射物を噴射することができる。また、本発明のエアゾール組成物は、吐出すると一部が凍結するエアゾール組成物であるところ、複数の突起43により噴射孔41と噴射面との距離を適切に設定できるため、距離が近すぎることによる過冷却および遠すぎることによる冷却感の不足を防止することができる。さらに、複数の突起43間の隙間で噴射物が凍結し、この隙間から冷気が拡散することで広範囲に冷却感を付与することができる。
【0076】
図3に示すエアゾール容器について説明する。該エアゾール容器は図3に示すように、エアゾール組成物Aが充填された耐圧容器10の上端開口部に、エアゾールバルブが嵌着されており、該エアゾールバルブのステム11には、ストリーム状に噴射することができる噴射部材50が装着されている。また、エアゾールバルブのハウジングの下部にエアゾール組成物A中に延びるディップチューブが装着されている。
【0077】
図3に示すエアゾール容器は、噴射部材50を指で押し下げることで充填されたエアゾール組成物Aをストリーム状に噴射することができる。このエアゾール容器によれば、噴射物がストリーム状、つまり勢いよく噴射されるため頭皮まで噴射物が到達し易く、効率的に頭皮に冷却感を付与することができる。
【0078】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0079】
評価方法を下記に示す。
【0080】
1)吐出物の凍結状態
エアゾール製品を25℃の恒温水槽中に1時間浸漬し、頭皮に0.5g吐出したときの吐出物の状態を下記の基準に基づき評価した。
◎1:積もって凍結した。
◎2:全体的に凍結した。
○:一部が凍結した。
×1:凍結せずに泡立った。
×2:凍結せず、泡立たなかった。
【0081】
2)吐出物に水を添加したときの発泡状態
1)の凍結状態を評価した後に吐出物へ水を5ml添加したときの吐出物の状態を下記の基準に基づき評価した。
◎:発泡して冷たいフォームを形成し、垂れずにフォームがゆっくりと大きくなった。
○:発泡して冷たいフォームを形成し、ほとんど垂れなかった。
△:発泡したが一部が垂れた。
×1:ほとんど発泡せず、溶けて垂れた。
×2:泡が液化して垂れた。
【0082】
3)吐出物に水を添加したときの冷却感
2)の発泡状態を評価した後に、吐出物の冷却効果を下記の基準に基づき評価した。
○:水を添加したときにも持続的に冷却感が得られた。
△:水の添加直後は冷却感が得られたが、直ぐに冷却感が失われた。
×1:ほとんど冷却感がなかった。
×2:冷却感が弱くなった。
【実施例】
【0083】
<実施例1〜8、比較例1〜4>
表1に示す水性原液1〜4を調製し、表2および表3に示すように水性原液と液化ガスとをアルミニウム製のエアゾール容器に充填し、エアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品について吐出物の凍結状態、水を添加したときの発泡状態、冷却感を評価した。評価結果を表4および表5に示す。
【0084】
【表1】

*1:アンヒトール55AB(商品名)、花王株式会社製
*2:AM−3130N(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
*3:BO−20V(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
*4:PBC−44(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
【0085】
【表2】

*5:液化石油ガス/ジメチルエーテル=30/70(質量比)、液化石油ガスはノルマルブタンとイソブタンの混合物(25℃での蒸気圧が0.2MPa)
【0086】
【表3】

*6:液化石油ガス/ジメチルエーテル=20/80(質量比)、液化石油ガスはノルマルブタンとイソブタンの混合物(25℃での蒸気圧が0.2MPa)
*7:液化石油ガス/ジメチルエーテル=35/65(質量比)、液化石油ガスはノルマルブタンとイソブタンの混合物(25℃での蒸気圧が0.2MPa)
*8:ノルマルブタンとイソブタンの混合物(25℃での蒸気圧が0.2MPa)
【0087】
【表4】

【0088】
【表5】

【0089】
<実施例9〜13、比較例5>
表6に示す水性原液5〜10を調製し、各水性原液30g(30質量%)と液化ガス(液化石油ガス/ジメチルエーテル(*5))70g(70質量%)とをアルミニウム製のエアゾール容器に充填し、エアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品について吐出物の凍結状態、水を添加したときの発泡状態、冷却感を評価した。評価結果を表7に示す。
【0090】
【表6】

【0091】
【表7】

【0092】
<実施例14〜18>
表8に示す水性原液11〜15を調製し、各水性原液30g(30質量%)と液化ガス(液化石油ガス/ジメチルエーテル(*5))70g(70質量%)とをアルミニウム製のエアゾール容器に充填し、エアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品について吐出物の凍結状態、水を添加したときの発泡状態、冷却感を評価した。評価結果を表9に示す。
【0093】
【表8】

*9:コータミンP−85(商品名)、花王株式会社製
*10:アミノソープAR−12(商品名)、味の素株式会社製
*11:TL−10(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
*12:Decaglyn 1−OV(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
【0094】
【表9】

【0095】
<実施例19〜22、比較例6および7>
表10に示す水性原液16を調製し、表11に示すように水性原液と液化ガスとをアルミニウム製のエアゾール容器に充填し、エアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品について吐出物の凍結状態、水を添加したときの発泡状態、冷却感を評価した。評価結果を表13に示す。
【0096】
【表10】

*13:エマールE−27C(商品名)、花王株式会社製
*14:アンヒトール20AB(商品名)、花王株式会社製
*15:アミノーンC−11S(商品名)、花王株式会社製
*16:マーコート10(商品名)、ナルコジャパン株式会社製
*17:ソフケアGS−G(商品名)、花王株式会社製
【0097】
【表11】

*18:液化石油ガス/ジメチルエーテル=40/60(質量比)、液化石油ガスはノルマルブタンとイソブタンの混合物(25℃での蒸気圧が0.2MPa)
*19:トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン
【0098】
<実施例23>
表12に示す水性原液17を調製し、水性原液30g(30質量%)と液化ガス(液化石油ガス/ジメチルエーテル(*5))70g(70質量%)をアルミニウム製のエアゾール容器に充填し、エアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品について吐出物の凍結状態、水を添加したときの発泡状態、冷却感を評価した。評価結果を表13に示す。
【0099】
【表12】

*20:アミソフトCS−11(商品名)、味の素株式会社製
*21:サンソフトM−12J(商品名)、太陽化学株式会社製
*22:BY22−060(商品名)、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製
*23:Celquat L−200(商品名)、アクゾノーベル株式会社製
【0100】
【表13】

【0101】
製品例1(冷感シャンプー)
下記の水性原液Aを調製し、水性原液30g(30質量%)と液化ガス(液化石油ガス/ジメチルエーテル(*24))70g(70質量%)をアルミニウム製のエアゾール容器に充填し、エアゾール製品を製造した。なお、吐出部材として図1に示す椀型のカバー部を備えたものを用いた。
【0102】
水性原液A
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(*25) 7.00
ヤシ酸アミドプロピルベタイン(*1) 5.00
セタノール(*26) 1.50
ポリクオタニウム10(*16) 0.50
ポリクオタニウム550(*27) 0.50
PPG−3カプリリルエーテル(*28) 3.00
クエン酸 0.10
精製水 82.40
合 計 100.00(質量%)
*24:液化石油ガス/ジメチルエーテル=80/20(質量比)、液化石油ガスはノルマルブタンとイソブタンの混合物(25℃での蒸気圧が0.2MPa)
*25:エマール170T(商品名)、花王株式会社製
*26:セタノールJP(商品名)、花王株式会社製
*27:マーコート550(商品名)、ナルコジャパン株式会社製
*28:KAO SOFCARE GP−1(商品名)、花王株式会社製
【0103】
製品例2(冷感シャンプー)
下記の水性原液Bを調製し、水性原液30g(30質量%)と液化ガス(液化石油ガス/ジメチルエーテル(*5))70g(70質量%)をアルミニウム製のエアゾール容器に充填し、エアゾール製品を製造した。なお、吐出部材として図2に示すポリアセタール製の基材にシリコーンゴム製の突起を複数備えたものを用いた。
【0104】
水性原液B
ラウロイルサルコシンナトリウム(*29) 15.00
ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(*3) 5.00
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(*30) 10.00
ヒドロキシエチルセルロース(*31) 0.50
リンゴ酸(*32) 0.20
メチルイソチアゾリノン(*33) 0.05
精製水 69.25
合 計 100.00(質量%)
*29:ソイポンSLE(商品名)、川研ファインケミカル株式会社製
*30:エマール270J(商品名)、花王株式会社製
*31:HEC SE850(商品名)、ダイセル化学工業株式会社製
*32:リンゴ酸フソウM(商品名)、挟桑化学工業株式会社製
*33:ZONEN−MT10(商品名)、株式会社ケミクレア製
【0105】
製品例3(女性用保湿冷感シャンプー)
下記の水性原液Cを調製し、水性原液30g(30質量%)と液化ガス(液化石油ガス/ジメチルエーテル(*5))70g(70質量%)をアルミニウム製のエアゾール容器に充填し、エアゾール製品を製造した。なお、吐出部材として図1に示す椀型のカバー部を備えたものを用いた。
【0106】
水性原液C
ラウロイルサルコシンナトリウム(*29) 15.00
ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(*3) 5.00
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(*30) 10.00
ヒドロキシエチルセルロース(*31) 0.50
ポリクオタニウム10(*16) 0.10
ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム(*34) 3.00
ジグリセリン(*35) 2.00
加水分解ハチミツタンパク(*36) 1.00
カワラヨモギエキス、チョウジエキス、
グリセリン脂肪酸エステル、1,3−ブチレングリコール
水の混合物(*37) 0.50
リンゴ酸(*32) 0.20
メチルイソチアゾリノン(*33) 0.05
精製水 62.65
合 計 100.00(質量%)
*34:ヒアロベール(商品名)、キューピー株式会社製
*35:ジグリセリン 801(商品名)、阪本薬品工業株式会社製
*36:ハニーテイン(商品名)、片倉チッカリン株式会社製
*37:SYプランテックスKN(商品名)、阪本薬品工業株式会社製
【0107】
製品例4(男性用強力冷感シャンプー)
下記の水性原液Dを調製し、水性原液30g(30質量%)と液化ガス(液化石油ガス/ジメチルエーテル(*5))70g(70質量%)をアルミニウム製のエアゾール容器に充填し、エアゾール製品を製造した。なお、吐出部材として図2に示すポリアセタール製の基材にシリコーンゴム製の突起を複数備えたものを用いた。
【0108】
水性原液D
ラウロイルサルコシンナトリウム(*29) 15.00
ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(*3) 5.00
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(*30) 10.00
ヒドロキシエチルセルロース(*31) 0.50
ポリクオタニウム10(*16) 0.10
ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム(*34) 3.00
ジグリセリン(*35) 2.00
加水分解ハチミツタンパク(*36) 1.00
l−メントール(*38) 0.20
エタノール 3.00
カワラヨモギエキス、チョウジエキス、
グリセリン脂肪酸エステル、1,3−ブチレングリコール
水の混合物(*37) 0.50
リンゴ酸(*32) 0.20
メチルイソチアゾリノン(*33) 0.05
精製水 59.45
合 計 100.00(質量%)
*38:l−メントール(商品名)、鈴木薄荷株式会社製
【0109】
製品例5(冷感マイルドシャンプー)
下記の水性原液Eを調製し、水性原液40g(40質量%)と液化ガス(液化石油ガス/ジメチルエーテル(*39))60g(60質量%)をアルミニウム製のエアゾール容器に充填し、エアゾール製品を製造した。なお、吐出部材として図1に示す椀型のカバー部を備えたものを用いた。
【0110】
水性原液E
ラウロイルサルコシンナトリウム(*29) 15.00
ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(*3) 5.00
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(*30) 10.00
ヒドロキシエチルセルロース(*31) 0.50
リンゴ酸(*32) 0.20
メチルイソチアゾリノン(*33) 0.05
タルク 1.00
精製水 68.25
合 計 100.00(質量%)
*39:液化石油ガス/ジメチルエーテル=30/70(質量比)、液化石油ガスはノルマルブタン
【0111】
製品例6(冷感コンディショニングシャンプー)
下記の水性原液Fを調製し、水性原液30g(30質量%)と液化ガス(液化石油ガス/ジメチルエーテル(*5))70g(70質量%)をアルミニウム製のエアゾール容器に充填し、次いでエアゾー容器内の平衡圧力が25℃において0.6MPaになるように炭酸ガスを充填し、エアゾール製品を製造した。なお、吐出部材として図3に示すストリーム状に吐出できるノズルを備えたものを用いた。
【0112】
水性原液F
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸
トリエタノールアミン(*40) 10.00
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(*30) 20.00
ラウリル硫酸トリエタノールアミン(*41) 5.00
ラウリン酸アミドプロピルベタイン(*14) 5.00
ポリクオタニウム10(*16) 0.20
モノラウリン酸ポリエチレングリコール(*42) 2.00
プロピレングリコール 3.00
香料 0.10
精製水 54.70
合 計 100.00(質量%)
*40:エマール20T(商品名)、花王株式会社製
*41:エマールTD(商品名)、花王株式会社製
*42:エマノーン1112(商品名)、花王株式会社製
【0113】
製品例7(冷感リンスインシャンプー)
下記の水性原液Gを調製し、水性原液30g(30質量%)と液化ガス(ノルマルブタン/イソペンタン/ジメチルエーテル(*43))70g(70質量%)をアルミニウム製のエアゾール容器に充填し、エアゾール製品を製造した。なお、吐出部材として図1に示す椀型のカバー部を備えたものを用いた。
【0114】
水性原液G
ココアンホ酢酸ナトリウム水溶液(*44) 15.00
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム(*20) 3.00
ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(*3) 5.00
ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(*9) 2.00
ポリオキシエチレンラウリルアミン(*45) 1.00
ジメチルポリシロキサン(*46) 1.00
プロピレングリコール 2.00
香料 0.10
精製水 70.90
合 計 100.00(質量%)
*43:ノルマルブタン/イソペンタン/ジメチルエーテル=30/10/60(質量比)
*44:AM−101(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
*45:アミート105(商品名)、花王株式会社製
*46:SH200 5cs(商品名)、東レ・ダウコーニング株式会社製
【0115】
製品例1〜7について吐出物の凍結状態、水を添加したときの発泡状態、冷却感を評価した。評価結果を表14に示す。
【0116】
【表14】

【符号の説明】
【0117】
A エアゾール組成物
10 耐圧容器
11 ステム
20 肩カバー
30 噴射部材
31 噴射孔
32 カバー部
40 噴射部材
41 噴射孔
42 基部
43 突起
50 噴射部材
51 噴射孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤を5〜70質量%含む水性原液と液化ガスとを含むエアゾール組成物であって、
前記液化ガスが親油性液化ガスと親水性液化ガスとからなり、エアゾール組成物中に60〜90質量%含有し、
前記エアゾール組成物を吐出すると吐出物の少なくとも一部が凍結し、該凍結した吐出物に水を添加すると融解して発泡するエアゾール組成物。
【請求項2】
前記親油性液化ガスの沸点が親水性液化ガスの沸点よりも高い請求項1記載のエアゾール組成物。
【請求項3】
前記親油性液化ガスと親水性液化ガスとの含有比率が質量比で90/10〜10/90である請求項1または2記載のエアゾール組成物。
【請求項4】
前記エアゾール組成物が頭髪用である請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアゾール組成物。
【請求項5】
前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤および/または両性界面活性剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアゾール組成物。
【請求項6】
前記非イオン性界面活性剤がエーテル型である請求項5記載のエアゾール組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のエアゾール組成物を耐圧容器に充填したエアゾール製品であり、
前記エアゾール製品が、前記エアゾール組成物を噴射するための噴射部材を備えており、
前記噴射部材が噴射面を覆うカバー部を備えているエアゾール製品。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のエアゾール組成物を耐圧容器に充填したエアゾール製品であり、
前記エアゾール製品が、前記エアゾール組成物を噴射するための噴射部材を備えており、
前記噴射部材が噴射孔の周囲に複数の突起を備えているエアゾール製品。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のエアゾール組成物を耐圧容器に充填したエアゾール製品であり、
前記エアゾール組成物をストリーム状に噴射するための噴射部材を備えているエアゾール製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−10757(P2013−10757A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−127129(P2012−127129)
【出願日】平成24年6月4日(2012.6.4)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】