説明

エアゾール組成物

【課題】火気に対する安全性が高く、水性原液と液化ガスとの乳化が容易なエアゾール組成物を提供すること。
【解決手段】水性原液10〜60重量%と、液化ガス40〜90重量%とからなるエアゾール組成物であって、前記液化ガスが、20℃における液密度が1.15〜1.30(g/ml)である重質液化ガス(a)を含有しており、前記水性原液と前記液化ガスとが乳化してなるエアゾール組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール組成物に関する。さらに詳しくは、火気に対する安全性が高く、水性原液と液化ガスとの乳化が容易なエアゾール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水性原液と液化石油ガスとをエアゾール容器内で乳化させるエアゾール組成物の製造方法が開示されている。このエアゾール組成物を大気中に噴射すると、液化石油ガスは水性原液との乳化により水性原液中に長く保持され、水性原液が氷結する。また、特許文献2には、水性原液と特定の沸点を有する液化ガスとがエアゾール容器内で乳化したエアゾール組成物が開示されており、該エアゾール組成物を噴射するとパチパチと破泡音を発するフォームを形成する。さらに特許文献3には、水性原液と液化ガスとがエアゾール容器内で乳化したエアゾール組成物が開示されており、泡と泡が独立したシャボン玉状のスプレーになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3439672号公報
【特許文献2】特許第4173034号公報
【特許文献3】特許第4098093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、水性原液と液化ガスとを乳化させるためには、エアゾール容器内に両者を充填した後で容器を上下に振り、容器内で混合させるため乳化効率が悪いという問題がある。具体的には、製造ラインにおいて、水性原液と液化ガスを充填した後、一旦製造ラインから取り出し、振とう機にエアゾール容器をセットして乳化させることを必須とし、その後製造ラインに戻すという操作を要することとなり、効率が悪いという問題がある。また、液化ガスは可燃性であるため、安全面でも問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明は、火気に対する安全性が高く、水性原液と液化ガスとの乳化が容易なエアゾール組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエアゾール組成物は、水性原液10〜60重量%と、液化ガス40〜90重量%とからなるエアゾール組成物であって、前記液化ガスが、20℃における液密度が1.15〜1.30(g/ml)である重質液化ガス(a)を含有しており、前記水性原液と前記液化ガスとが乳化してなるエアゾール組成物である。
【0007】
前記液化ガスが、20℃における液密度が0.50〜0.70(g/ml)である軽質液化ガス(b)を含有することが好ましい。
【0008】
前記エアゾール組成物中の重質液化ガス(a)の含有量が5重量%以上であることが好ましい。
【0009】
前記重質液化ガスが、ハイドロフルオロオレフィンであることが好ましい。
【0010】
前記水性原液の液密度が、0.90〜1.10(g/ml)であることが好ましい。
【0011】
前記エアゾール組成物を噴射すると少なくとも一部が凍結したシャーベットを形成し、15cm先の高さ5cmの火炎に噴射したときの火炎の伸びが50cm以下であることが好ましい。
【0012】
前記エアゾール組成物を噴射すると破泡音を発するフォームを形成し、フォームに着火したときの火炎の高さが35cm以下であることが好ましい。
【0013】
前記エアゾール組成物を噴射すると多数の独立したシャボン玉状の泡を形成し、泡の落下速度が0.015〜0.2m/秒であることが好ましい。
【0014】
前記水性原液が、イオン性の界面活性剤および/またはイオン性の樹脂を含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のエアゾール製品によれば、火気に対する安全性が高く、水性原液と液化ガスとの乳化が容易なエアゾール組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のエアゾール組成物は、水性原液10〜60重量%と、液化ガス40〜90重量%とからなるエアゾール組成物であって、前記液化ガスが、20℃における液密度が1.15〜1.30(g/ml)である重質液化ガス(a)を含有しており、前記水性原液と前記液化ガスとが乳化してなるエアゾール組成物である。
【0017】
なお、本発明のエアゾール組成物は、噴射すると少なくとも一部が凍結したシャーベットを形成するエアゾール組成物、噴射すると破泡音を発するフォームを形成するエアゾール組成物、または噴射すると多数の独立したシャボン玉状の泡を形成するエアゾール組成物とすることができる。
【0018】
前記多数の独立したシャボン玉状の泡とは、泡と泡とが独立して水性原液からなる単一の膜を形成し、膜の全体が外気と接触している泡(泡が1個の球体を形成)や、独立したシャボン玉状の泡同士が複数個くっつき、くっついた泡の一粒一粒が外気と接触する泡を意味する。独立したシャボン玉状の泡は、同質量の水性原液からなるシャボン玉状ではない噴射物に比べて、噴射後の空間に占める範囲が広く、また、外気と接触している膜の面積が広くなるために、空間中の浮遊物の付着性が向上するという特徴がある。
【0019】
前記シャボン玉状の泡の個々の直径は0.1〜10mmであることが好ましく、0.2〜5mmであることがさらに好ましい。泡の大きさが0.1mmよりも小さすぎると空間で浮遊する時間が長く、空間の浮遊物を除去しにくくなり、また噴射された泡を目視で確認しにくく、さらに使用者が吸引しやすくなる傾向がある。泡の大きさが10mmよりも大きすぎると外気と接触する面積が少なくなるため空間中の浮遊物を効率よく付着できない傾向がある。
【0020】
前記シャボン玉状の泡の落下速度は0.015〜0.2m/秒が好ましい。シャボン玉状の泡の落下速度が0.015m/秒より遅い場合は浮遊時間が長くなり、方向性を失って漂う傾向がある。0.2m/秒より早い場合は落下までの時間が短くなり、浮遊物の付着性が低下する傾向がある。特に好ましい落下速度は空間中の浮遊物を効率的に付着できる点から0.020〜0.15m/秒である。
【0021】
前記水性原液は、液化ガスと乳化するための界面活性剤を水に含有しており、必要に応じて樹脂、水溶性高分子、有効成分、アルコール類、油分、パウダーなどを配合することができる。前記水性原液の液密度は、0.90〜1.10(g/ml)であることが好ましい。水性原液の液密度が0.90〜1.10(g/ml)を外れる場合、液化ガスと乳化しにくくなる傾向がある。
【0022】
前記界面活性剤としては、たとえば、モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノイソステアリン酸POEソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;モノステアリン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;POEラノリンアルコールなどのポリオキシエチレンラノリンアルコール;POE硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノステアリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;モノオレイン酸POEグリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;;モノラウリン酸POEソルビット、テトラステアリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビットなどのポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;などのHLBが10〜19、好ましくは11〜18である非イオン系界面活性剤があげられる。HLBが10よりも小さい場合は、液化ガスが連続相になりやすい傾向があり、HLBが19よりも大きい場合は液化ガスを乳化しにくくなる傾向がある。また、脂肪酸石鹸、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、などのアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などのシリコーン系界面活性剤や、サーファクチンナトリウム、シクロデキストリン、水添酵素大豆レシチンなどの天然系界面活性剤や、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸カリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸カリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウムおよびN−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウムなどのN−アシルグルタミン酸塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、N−ステアロイル−L−グルタミン酸などのN−アシルグルタミン酸、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどのN−アシルグリシン塩、N−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニントリエタノールアミンなどのN−アシルアラニン塩、などのアミノ酸系界面活性剤、およびこれらの混合物などがあげられる。特に重質液化ガスとの乳化安定性に優れている点から、非イオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アミノ酸系界面活性剤を用いることが好ましい。また、多数の独立したシャボン玉状の泡を形成するエアゾール組成物の場合は、重質液化ガスを含む液化ガスとの乳化が容易になり、泡の大きさを調整しやすくなる点から、非イオン性界面活性剤を用いることが好ましく、ハウスダストや花粉などの浮遊物を吸着除去しやすい点からアニオン性、カチオン性、両性、アミノ酸系などのイオン性を有する界面活性剤を併用することが好ましい。
【0023】
前記界面活性剤の配合量は、水性原液中0.1〜20重量%、さらには0.2〜15重量%であることが好ましい。界面活性剤の配合量が0.1重量%よりも少ない場合は、水性原液と液化ガスとの乳化安定性が悪くなる傾向があり、20重量%よりも多い場合は付着面上で残りやすく使用感が悪くなる傾向がある。特に噴射物がシャボン玉状の泡を形成するエアゾール組成物とする場合は、水性原液中に1〜20重量%、さらには2〜15重量%であることが好ましい。
【0024】
前記水は水性原液の主溶媒であり、火気に対する安全性を高める。前記水としては、たとえば、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水などがあげられる。
【0025】
前記水の配合量は、水性原液中40〜99重量%、さらには50〜97重量%であることが好ましい。水の配合量が40重量%よりも少ない場合は乳化しにくくなり、火気に対する安全性が得られにくくなる傾向がある。99重量%よりも多い場合は液化ガスと乳化させるための界面活性剤を必要量配合しにくくなる傾向がある。
【0026】
前記樹脂は水性原液と液化ガスの乳化を補助する、水性原液の粘度を調整してエアゾール組成物の乳化安定性を向上させるなどの作用があり、特にイオン性の樹脂を用いる場合はハウスダストや花粉などの浮遊物を吸着して接着除去する効果が得られやすい。
【0027】
前記樹脂としては、たとえば、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマーなどのアニオン性樹脂;ビニルピロリドン/N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、塩化メチルビニルイミダゾリウム/ビニルピロリドン共重合体、メチルビニルイミダゾリウム/ビニルピロリドン共重合体メチル硫酸塩などのカチオン性樹脂;(アクリル酸オクチルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマーなどのアクリル酸系両性樹脂;ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル/ビニルピロリドン共重合体、ポリビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン/メタクリルアミド/N−ビニルイミダゾール共重合体、(ジアセトンアクリルアミド/炭素数4〜18の脂肪族アルコールとアクリル酸もしくはメタクリル酸とのエステル/少なくとも1種のアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸/少なくとも1種の炭素数1〜3のアクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル)コポリマー、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマーなどのノニオン性樹脂などがあげられる。特にアニオン性樹脂、カチオン性樹脂、両性樹脂などのイオン性の樹脂を用いる場合は、ハウスダストや花粉などの浮遊物を吸着して接着除去する効果が得られやすい。
【0028】
前記樹脂の配合量は、固形分で水性原液中0.01〜5重量%、さらには0.1〜3重量%であることが好ましい。樹脂の配合量が0.01重量%よりも少ない場合は前述の効果が得られにくくなる傾向がある。5重量%を超える場合は落下後に畳や床、カーペットなどに接着しやすくなり、落下物を除去しにくくなる傾向がある。
【0029】
前記水溶性高分子は水性原液の粘度を調整して液化ガスとの乳化安定性を良くし、また大気中に噴射された後でも乳化状態を維持してパチパチ音を大きくしたり、噴射物を凍結しやすくする、シャボン玉状の泡を大きくするなどの作用がある。
【0030】
前記水溶性高分子としては、たとえば、キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガムなどのガム質;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ニトロセルロース、結晶セルロースなどのセルロース系高分子;デキストラン、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ペクチン、デンプン、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、アルギン酸ナトリウム、変性ポテトスターチ、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーなどがあげられる。
【0031】
前記水溶性高分子の配合量は、水性原液中0.01〜5重量%、さらには0.05〜3重量%であることが好ましい。水溶性高分子の含有量が0.01重量%よりも少ない場合は前述の効果が得られにくくなる傾向があり、5重量%を超える場合は水性原液の粘度が高くなりすぎ、液化ガスと乳化するのに時間がかかる傾向がある。
【0032】
なお、水性原液の粘度は1〜20,000(mPa・s 20℃)であることが好ましく、さらには3〜10,000(mPa・s)であることが好ましい。水性原液の粘度が1(mPa・s)よりも小さい場合は乳化安定性が悪くなる傾向があり、20,000(mPa・s)よりも大きい場合は粘度の低い液化ガスと乳化しにくくなる傾向がある。
【0033】
前記有効成分としては、たとえば、クロタミトン、d−カンフルなどの鎮痒剤、サリチル酸メチル、インドメタシン、ピロキシカム、フェルビナク、ケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤;オキシコナゾール、クロトリマゾール、スルコナゾール、ビフォナゾール、ミコナゾール、イソコナゾール、エコナゾール、チオコナゾール、ブテナフィン、およびこれらの塩酸塩、硝酸塩、酢酸塩などの塩、などの抗真菌剤;酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;アラントイン、グリシルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤;塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、リドカイン、塩酸リドカインなどの局所麻酔剤;ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤;パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジンなどの殺菌・消毒剤;l−メントール、カンフルなどの清涼剤;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、レシチン、尿素などの保湿剤;ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、緑茶エキスなどの消臭剤;N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、カプリル酸ジエチルアミドなどの害虫忌避剤;フタルスリン、アレスリン、ペルメトリン、シスメスリン、プロパルスリン、レスメトリン、d−フェノトリン、テフルスリン、ベンフルスリンなどの殺虫成分、サイネピリン、ピペロニルブトキサイト、オクタクロロジプロピルエーテルなどの効力増強剤;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾンなどの紫外線吸収剤;酸化亜鉛、酸化チタンなどの紫外線散乱剤;レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロールおよびこれらの混合物などのビタミン類;アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤;シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの抽出液;アルブチン、コウジ酸などの美白剤;天然香料、合成香料などの各種香料などがあげられる。
【0034】
前記有効成分の配合量は、水性原液中0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%配合される。有効成分の配合量が0.05重量%よりも少ない場合は、有効成分の効果が充分に発揮できない傾向があり、10重量%よりも多い場合は、有効成分濃度が高くなりすぎ、有効成分によっては人体へ悪影響を及ぼす傾向がある。
【0035】
前記アルコール類は、水に溶解しにくい有効成分を溶解するための溶媒として、また噴射したときのパチパチ音や凍りやすさを調整する、さらには噴射したときの泡切れを良くし、多数のシャボン玉状の泡を形成しやすくするなどの目的で用いられる。
【0036】
前記アルコール類としては、たとえば、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数が2〜3個の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなどの2〜3価のポリオール、などがあげられる。
【0037】
前記アルコール類を配合する場合の配合量は、水性原液中0.1〜50重量%であることが好ましく、さらには0.3〜45重量%であることが好ましい。前記アルコール類の配合量が0.1重量%よりも少ない場合は前述の効果が得られにくくなる傾向があり、50重量%よりも多い場合は水性原液と液化ガスとが乳化しにくくなる傾向がある。
【0038】
噴射すると破泡音を発するフォームを形成するエアゾール組成物とする場合は水性原液中15〜30重量%であることが好ましい。前記アルコール類の配合量が15重量%よりも少ない場合は噴射物が凍結しやすくなる傾向があり、30重量%よりも多い場合は破泡音が小さくなりやすい傾向がある。
【0039】
噴射すると少なくとも一部が凍結するシャーベットを形成するエアゾール組成物とする場合は水性原液中0.1〜15重量%であることが好ましい。前記アルコール類の配合量が0.1重量%よりも少ない場合は前述の効果が得られにくくなる傾向があり、15重量%よりも多い場合は凍結しにくくなる傾向がある。
【0040】
噴射すると独立した多数のシャボン玉状の泡を形成するエアゾール組成物とする場合は水性原液中20〜50重量%であることが好ましい。前記アルコール類の配合量が20重量%よりも少ない場合は泡切れが悪くなる傾向があり、50重量%よりも多い場合は噴射物が発泡せず霧状になる傾向がある。
【0041】
前記油分は、水性原液と液化ガスとの乳化状態を調整する、対象物の油を除去する、あるいは対象物に浸透しやすくするなどの目的で用いられる。
【0042】
前記油分としては、たとえば、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、イソパラフィンなどの炭化水素油;アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、乳酸セチル、ステアリン酸イソセチル、セトステアリルアルコール、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオールなどのエステル油;メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シクロペンタシロキサンなどのシリコーンオイル;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコールなどの高級アルコール;アボガド油、マカダミアナッツ油、シア脂、オリーブ油、ツバキ油などの油脂;ミツロウ、ラノリンロウなどのロウ類などがあげられる。特に、噴射物中に液化ガスを保持しやすくなり、破泡音を大きくすることができる点から、噴射すると破泡音を発するフォームを形成するエアゾール組成物とする場合は、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオールなどのエステル油を用いることが好ましい。
【0043】
前記油分の配合量は、水性原液中0.1〜20重量%、さらには0.5〜15重量%であることが好ましい。油分の配合量が0.1重量%よりも少ない場合は油分を配合する効果が得られにくくなる傾向があり、20重量%よりも多い場合は乾燥性が悪くなるなど、使用感が低下する傾向がある。
【0044】
前記パウダーは、水性原液と液化ガスとを乳化しやすくする、乳化安定性を向上させるなど、乳化補助剤として用いられる。
【0045】
前記パウダーとしては、たとえば、タルク、酸化亜鉛、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、窒化ホウ素などがあげられる。
【0046】
前記パウダーの配合量は、水性原液中0.01〜5重量%、さらには0.03〜3重量%であることが好ましい。パウダーの配合量が0.01重量%よりも少ない場合は、前述の効果が得られにくくなる傾向があり、5重量%よりも多い場合は噴射経路、特に噴射孔で詰まりやすくなる傾向がある。
【0047】
特にパウダーの平均一次粒子径が5〜25nmであり、パウダー表面が親水性であるものを用いると水性原液と液化ガスの乳化が容易になり好ましい。
【0048】
本発明に用いられる水性原液は、界面活性剤、必要に応じて配合される水溶性高分子などを水やアルコール類に溶解させて調製する。なお、水性原液は、必要に応じて油分を乳化させたり、粉体を分散させてもよい。
【0049】
前記水性原液の配合量は、エアゾール組成物中10〜60重量%であり、15〜50重量%であることが好ましい。水性原液の配合量が10重量%よりも少ない場合は乳化しにくくなり、60重量%よりも多い場合は噴射物のパチパチ音が小さくなる傾向、凍りにくくなる傾向、シャボン玉状の泡が形成しにくくなる傾向がある。
【0050】
前記液化ガスは、エアゾール容器内では液体であり、水性原液と乳化して乳化物を形成する。
【0051】
前記液化ガスは、20℃における液密度が1.15〜1.30(g/ml)である重質液化ガス(a)を含有しており、20℃における液密度が0.50〜0.70(g/ml)である軽質液化ガス(b)と混合して用いることが好ましい。
【0052】
前記重質液化ガスは火炎に噴射しても火炎の伸びが認められない安全な液化ガスであり、水性原液と乳化させることで噴射時だけでなく、噴射物中に重質液化ガスが残留しやすくなり、火気への安全性を高くすることができる。特に、燃焼性の高い軽質液化ガスを用いる場合であっても、水性原液と重質液化ガスと軽質液化ガスとが乳化することで、噴射直後の軽質液化ガスの気化熱により重質液化ガスが冷却され、噴射物中に残留しやすくなるので噴射物の燃焼性が抑制され火気に対する安全性が向上する。また、軽質液化ガスと重質液化ガスは溶解して1液となるため液化ガスの液密度を調整することができ、液化ガスと水性原液の液密度の差を小さくすることで、水性原液と乳化しやすく、また分離しにくくなる。なお、重質液化ガスの液密度は1.15〜1.25(g/ml)である場合がより好ましい。前記重質液化ガスの液密度が1.15(g/ml)よりも小さい場合は軽質液化ガスを併用することで液化ガスの液密度と水性原液の液密度との差を小さくすることによる効果が得られにくく、軽質液化ガスおよび水性原液と乳化しやすくなる効果が得られにくくなる傾向があり、液密度が1.30(g/ml)よりも大きい場合は重質液化ガスがエアゾール容器中で沈降する速度が速くなり、軽質液化ガスおよび水性原液と乳化しにくくなる傾向があるとともに、経時変化により水性原液と分離しやすくなるという問題がある。
【0053】
前記重質液化ガスとしては、液密度が上記範囲に入るものであれば特に制限されないが、入手が容易である点からハイドロフルオロオレフィンが好ましく、特に、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(液密度:1.19g/ml、HFO−1234ze)、トランス−2,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン(液密度:1.19g/ml、HFO−1234yf)が好ましい。
【0054】
前記重質液化ガスの配合量は、エアゾール組成物中5〜90重量%であることが好ましく、さらには10〜87重量%であることが好ましい。重質液化ガスの配合量が5重量%よりも少ない場合は燃焼性を抑制する効果が不充分になる傾向があり、90重量%よりも多い場合は乳化しにくくなる傾向、また分離しやすくなる傾向がある。
【0055】
噴射すると破泡音を発するフォームを形成するエアゾール組成物とする場合はエアゾール組成物中に10重量%以上配合することでフォーム中に重質液化ガスが残留しやすくなり、火気に対する安全性が高くなって、フォームに火を直接付けたときに火炎の高さが35cm以下であり、燃焼時間も10秒以下と短くすることができる。特にエアゾール組成物中に40重量%以上配合することで、水性原液がアルコールなどの可燃物が配合されても、フォームに直接火を付けたときに火炎の高さが5cm以下であり、燃焼時間も3秒以下と非常に短くすることができる。
【0056】
噴射すると少なくとも一部が凍結するシャーベットを形成するエアゾール組成物とする場合はエアゾール組成物中に10重量%以上配合することでエアゾール組成物の液相を直接噴射しても火炎長の伸びを45cm以下にすることができる。特にエアゾール組成物中に40重量%以上配合することで、可燃性の軽質液化ガスを液化ガス中に40重量%まで配合しても火炎長の伸びをなくすことができる。これらにより、液化ガスの気相を導入するベーパータップが付いていないバルブを使用しても火気への安全性を確保できるため、噴射物中に液化ガスの液相を高濃度で含有させることができ、噴射物を凍結しやすくすることができる。
【0057】
噴射すると独立した多数のシャボン玉状の泡を形成するエアゾール組成物とする場合はエアゾール組成物中に10重量%以上配合することでシャボン玉状の泡が落下しやすくなり、空間で拡散する時間を調整することができる。またエアゾール組成物中に40重量%以上配合することで、可燃性の軽質液化ガスを液化ガス中に40重量%まで配合しても火炎長の伸びをなくすことができる。
【0058】
前記軽質液化ガスは水性原液と重質液化ガスを乳化しやすくする、エアゾール組成物の圧力を調整する、噴射物の破泡音や凍りやすさを調整する、シャボン玉状の泡の落下速度を調整するなどの目的で用いられる。なお、軽質液化ガスの液密度は0.50〜0.60(g/ml)である場合がより好ましい。前記軽質液化ガスの液密度が0.50(g/ml)よりも小さい場合は重質液化ガスおよび水性原液と乳化しにくくなる傾向があり、液密度が0.70(g/ml)よりも大きい場合は液化ガスの液密度と水性原液の液密度との差を小さくすることによる効果が得られにくく、重質液化ガスおよび水性原液と乳化しにくくなる傾向があるとともに、経時変化により水性原液と分離しやすくなる傾向がある。前記軽質液化ガスとしては、液密度が上記範囲に入るものであれば特に制限されないが、液化ガスの液密度を調整しやすく、エアゾール組成物の圧力を調整しやすい点から、プロパン(液密度:0.501g/ml)、ノルマルブタン(液密度:0.579g/ml)、イソブタン(液密度:0.557g/ml)およびこれらの混合物である液化石油ガス、ジメチルエーテル(液密度:0.661g/ml)、および液化石油ガスとジメチルエーテルの混合ガスが好ましい。なお、軽質液化ガスにノルマルペンタンやイソペンタンなどの炭化水素を配合して液密度を調整してもよい。
【0059】
前記軽質液化ガスを配合する場合の配合量は、エアゾール組成物中3〜80重量%であることが好ましく、さらには5〜70重量%であることが好ましい。軽質液化ガスの配合量が3重量%よりも少ない場合は軽質液化ガスを配合する効果が得られにくく、80重量%よりも多い場合は燃焼性が高くなりやすい。
【0060】
ここで液密度とは、液化ガスを耐圧シリンダー内で液化させ、浮きばかりを用いて20℃における液体の密度を測定した値である。
【0061】
前記液化ガスとして前記重質液化ガス(a)と前記軽質液化ガス(b)の混合物を用いる場合の重量比(a/b)は、燃焼性を抑制する効果や、液化ガスと水性原液の液密度の差を小さくして水性原液と液化ガスとの乳化しやすさおよび乳化安定性を向上させるという観点から、5/95〜95/5であることが好ましく、さらには10/90〜90/10であることが好ましい。なお容積比(a/b)の場合は3/97〜97/3であることが好ましく、さらには7/93〜90/10であることが好ましい。なお、液化ガスと水性原液の液密度の差は0.35以下であることが好ましく、さらには0.3以下であることが好ましい。また液化ガスの液密度dmixは、液化ガス中における重質液化ガスの配合率(重量%)をX、液密度をXdとし、軽質液化ガスの配合率(重量%)をY、液密度をYdとすると次式より求められる。
mix=(X+Y)/(X/Xd+Y/Yd
【0062】
さらに、多数の独立したシャボン玉状の泡を形成するエアゾール組成物において前記重質液化ガスとともに他の液化ガスを使用する場合、前記重質液化ガスの含有量は液化ガス中20重量%以上であることが好ましい。重質液化ガスの含有量が20重量%より少ない場合はシャボン玉状の泡が落下しにくく、空間中で長時間拡散する傾向がある。またシャボン玉状の泡の大きさと落下速度が調整しやすくなる点から50重量%以上であることが好ましく、さらに75重量%以上であることが好ましい。
【0063】
前記液化ガスの配合量は、エアゾール組成物中40〜90重量%であり、50〜85重量%であることが好ましい。液化ガスの配合量が40重量%よりも少ない場合は噴射物のパチパチ音が小さくなる傾向、凍りにくくなる傾向、またはシャボン玉状の泡を形成しにくくなる傾向がある。90重量%よりも多い場合は乳化しにくくなる傾向がある。
【0064】
本発明のエアゾール組成物は、たとえば、耐圧容器に水性原液と液化ガスを充填し、耐圧容器にエアゾールバルブを固着してエアゾール容器を組み立て、水性原液と液化ガスとを乳化させることによりエアゾール組成物を充填することができる。なお、液化ガスは重質液化ガスと軽質液化ガスとを予め所定の比率で混合しておき、この混合液化ガスを同時に充填することができる。
【0065】
また、エアゾール組成物の圧力を調整するために、加圧剤として炭酸ガス、チッ素ガス、圧縮空気、酸素ガスなどの圧縮ガスを用いることができる。
【0066】
本発明のエアゾール組成物を充填したエアゾール製品は、エアゾール容器内では水性原液が液化ガスと乳化しているエアゾール組成物を、エアゾール容器から外部に噴射すると、液化ガスの気化熱により水性原液が冷却されて凍結したシャーベット状になる、泡の内部に液化ガスを長く保持して泡が破れたときにパチパチと破泡音を発するフォームになる、あるいは泡と泡が独立したシャボン玉状のスプレーになる、などの噴射物を吐出することができる。
【0067】
本発明のエアゾール組成物がシャーベット状になる場合、および破泡音を発するフォームになる場合は、たとえば、冷却剤、消炎鎮痛剤、鎮痒剤、水虫薬、収斂剤、日焼け止め、忌避剤などの人体用製品や冷却殺虫剤などの害虫駆除製品やハンカチ、ウェットティッシュ、衣類、帽子、くつなど身の回りのものに噴射して冷却、消臭、除菌するなどの生活用品用製品などに好適に使用することができる。
【0068】
また、本発明のエアゾール組成物がシャボン玉状のスプレーになる場合は、充填したエアゾール製品は、特定の液密度を有する重質液化ガスを特定の割合で含有することで、噴射により形成されたシャボン玉状の泡の大きさと落下速度を調整することができる。これにより、空間に浮遊する浮遊物、たとえばハウスダストや花粉などを付着し落下させやすくなり、空間から浮遊物を除去する効果が高くなる。さらにシャボン玉状の泡が空間中で落下する様子を目視で確認することができる。つまり、本発明のエアゾール組成物を空間に噴射することで、目的とする空間内でシャボン玉状の泡を一時的に浮遊させることができ、このシャボン玉状の泡は調整された速度でハウスダストや花粉などの浮遊物を付着しながら落下する。その後、必要に応じて、泡が落下した床等を払拭することで空間内のハウスダストや花粉を除去することができる。さらに、落下中のシャボン玉状の泡は目視にて確認することができるため、全ての泡が落下したことを容易に確認できるため、噴射物を体内に吸い込むことがなく安全である。
【0069】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
評価方法を下記に示す。
【0071】
1.振とう回数
エアゾール製品を上下に30cm振り、乳化するまでの振とう回数を評価した。
◎:20回以内に乳化した。
○:21〜50回で乳化した。
△:51〜99回で乳化した。
×:100回振っても乳化しなかった。
【0072】
2.乳化安定性
エアゾール製品を25℃恒温室内で静置し、分離するまでの時間を評価した。
◎:2時間以上分離しなかった。
○:1〜2時間で分離する。
△:1分〜1時間で分離する。
×:1分以内に分離する。
−:乳化しなかったため評価せず。
【0073】
3.製品特性
エアゾール製品を25℃の恒温水槽中に30分間浸漬し、噴射物の状態を評価した。
<クラッキングフォーム>
手のひらに噴射して評価した。
◎:噴射物を手のひらで擦らなくてもパチパチと大きな破泡音を発した。
○:噴射物を手のひらで擦るとパチパチと大きな破泡音を発した。
△:噴射物を手のひらで擦ると小さな破泡音を発した。
×1:噴射物を手のひらで擦ってもパチパチと破泡音を発しなかった。
×2:フォームにならなかった。
【0074】
<シャーベットスプレー>
15cmの距離から腕に噴射し、評価した
◎:噴射物の全体が固いシャーベット状に凍結して腕に付着した。
○:噴射物の全体の80%以上がシャーベット状に凍結して腕に付着した。
△:噴射物の全体の50%以下がシャーベット状に凍結して腕に付着した。
×1:凍結しなかった。
×2:噴射物が跳ね返って付着しなかった。
【0075】
<シャボン玉スプレー>
a)スプレー状態
空間中に噴射して評価した。
○:噴射物がシャボン玉状の泡を形成し、空間で浮遊した。
×1:噴射物がシャボン玉状の泡にならず、霧状になった。
×2:噴射物がシャボン玉状の泡にならず、大きな粒の泡になった。
【0076】
b)シャボン玉の直径
エアゾール製品を、平板状の板の上で、15cmの高さから水平方向に噴射し、落下したシャボン玉状の泡の直径を測定した。実施例、比較例ごとに5個のシャボン玉状の泡について測定を行い、その平均値を求めた。
【0077】
c)シャボン玉の落下速度
エアゾール製品を、100cmの高さから噴射し、噴射直後から全てのシャボン玉状の泡が地面に落ちるまでの時間を計測し、シャボン玉状の泡の落下速度を求めた。
【0078】
4.燃焼性
<クラッキングフォーム>
平滑な台の上にエアゾール組成物を1秒間噴射し、噴射物に火をつけたときの火炎の高さと燃焼持続時間の測定をした。
◎:5cm以下、3秒以下
○:35cm以下、10秒以下
△:35cm以下、11〜30秒
×:36cm以上、31秒以上
−:吐出できないため測定不可能
【0079】
<シャーベットスプレー、シャボン玉スプレー>
噴射孔から距離15cmにある高さ5cmの火炎に向けて噴射したときの火炎の伸びを測定した。
◎1:伸びが認められなかった。
◎2:45cm以下、逆火なし
○:46〜50cm(逆火がある場合は含めた長さ)
△:51〜75cm(逆火がある場合は含めた長さ)
×:76cm以上(逆火がある場合は含めた長さ)
【0080】
実施例1〜3および比較例1〜3(クラッキングフォーム)
下記の水性原液1を調製し、水性原液1を表1に記載した量をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。耐圧容器に倒立用のエアゾールバルブを取り付け、液化ガスとして重質液化ガス(*1)と軽質液化ガス(*2)を表1および表2に記載した量を充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお水性原液1の液密度は0.95g/mlであった。評価結果を表3に示す。
【0081】
<水性原液1>
PEG−20ソルビタンココエート(*3) 0.5
タルク(*4) 0.5
エタノール 20.0
精製水 79.0
合 計(重量%) 100.0

*1:HFO−1234ze(20℃における液密度が1.19g/ml)
*2:液化石油ガス(20℃における液密度が0.57g/ml)
*3:NIKKOL TL10(商品名)、HLB16.9、日光ケミカルズ(株)製
*4:クラウンタルクPP(商品名)、松村産業(株)製
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
実施例4〜8および比較例4〜6(クラッキングフォーム)
下記の水性原液2を調製し、水性原液2を表4に記載した量をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。耐圧容器に倒立用のエアゾールバルブを取り付け、液化ガスとして重質液化ガス(*1)と軽質液化ガス(*2)を表4および表5に記載した量を充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお水性原液2の液密度は0.96g/mlであった。評価結果を表8に示す。
【0086】
<水性原液2>
PEG−20ソルビタンココエート(*3) 0.5
タルク(*4) 0.5
ヒドロキシエチルセルロース(*5) 1.0
エタノール 20.0
精製水 78.0
合 計(重量%) 100.0

*5:ダイセル HEC−SE850(商品名)、ダイセル化学(株)製
【0087】
【表4】

【0088】
【表5】

【0089】
実施例38〜41、比較例12〜13(クラッキングフォーム)
下記の水性原液5を調製し、水性原液5を表6に記載した量をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。耐圧容器に倒立用のエアゾールバルブを取り付け、液化ガスとして重質液化ガス(*1)と軽質液化ガス(*2)を表6および表7に記載した量を充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお水性原液5の液密度は0.96g/mlであった。評価結果を表8に示す。
【0090】
<水性原液5>
PEG−20ソルビタンココエート(*3) 1.0
タルク(*4) 0.5
ヒドロキシエチルセルロース(*5) 1.0
エタノール 20.0
濃グリセリン 1.0
シクロペンタシロキサン(*20) 5.0
ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール(*21) 5.0
精製水 66.5
合 計(重量%) 100.0

*20:DC345(商品名)、東レ・ダウコーニング(株)製
*21:ネオソリューMP(商品名)、日本精化(株)製
【0091】
【表6】

【0092】
【表7】

【0093】
【表8】

【0094】
実施例9(クラッキングフォーム)
PEG−20ソルビタンココエート(*3)の代わりにオレイン酸ポリグリセリル−10(*6)を用いたこと以外は実施例5と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表9に示す。
*6:DECAGLYN 1−OV (商品名)、日光ケミカルズ社製
【0095】
実施例10(クラッキングフォーム)
PEG−20ソルビタンココエート(*3)の代わりにアシルグルタミン酸ナトリウム(*7)を用いたこと以外は実施例5と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表9に示す。
*7:アミソフトLS−11 (商品名)、味の素(株)製
【0096】
実施例11(クラッキングフォーム)
PEG−20ソルビタンココエート(*3)の代わりにN−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニントリエタノールアミン液(*8)を用いたこと以外は実施例5と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表9に示す。
*8:アミライトACT−12 (商品名)、味の素(株)製
【0097】
実施例12(クラッキングフォーム)
PEG−20ソルビタンココエート(*3)の代わりにPEG−12−ジメチコン(*9)を用いたこと以外は実施例5と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表9に示す。
*9:SH3771M (商品名)、東レ・ダウコーニング社製
【0098】
実施例13(クラッキングフォーム)
PEG−20ソルビタンココエート(*3)の代わりにPOE(40)硬化ヒマシ油(*10)を用いたこと以外は実施例5と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表9に示す。
*10:NIKKOL HCO−40 (商品名)、日光ケミカルズ社製
【0099】
実施例14(クラッキングフォーム)
PEG−20ソルビタンココエート(*3)の代わりにPOE(20)POP(8)セチルエーテル(*11)を用いたこと以外は実施例5と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表9に示す。
*11:NIKKOL PBC−44 (商品名)、日光ケミカルズ社製
【0100】
実施例15(クラッキングフォーム)
軽質液化ガスとして液化石油ガス(*2)の代わりに液化石油ガス(*12)を用いたこと以外は実施例5と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表9に示す。
*12:液化石油ガス(20℃における液密度が0.55g/ml)
【0101】
実施例16(クラッキングフォーム)
軽質液化ガスとして液化石油ガス(*2)の代わりに液化石油ガスとイソペンタンの混合ガス(*13)を用いたこと以外は実施例5と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表9に示す。
*13:液化石油ガスとイソペンタンの重量比が65/35(20℃における液密度が0.59g/ml)
【0102】
実施例17(クラッキングフォーム)
軽質液化ガスとして液化石油ガス(*2)の代わりに液化石油ガスとジメチルエーテルの混合液化ガス(*14)を用いたこと以外は実施例5と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表9に示す。
*14:液化石油ガスとジメチルエーテルの重量比が80/20(20℃における液密度が0.58g/ml)
【0103】
実施例18(クラッキングフォーム)
軽質液化ガスとして液化石油ガス(*2)の代わりに液化石油ガスとジメチルエーテルの混合液化ガス(*15)を用いたこと以外は実施例5と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表9に示す。
*15:液化石油ガスとジメチルエーテルの重量比が70/30(20℃における液密度が0.60g/ml)
【0104】
実施例19(クラッキングフォーム)
パウダーとしてタルク(*4)の代わりに乾式法により製造した親水性シリカ(*16)を0.05重量%、精製水を78.45重量%用いたこと以外は実施例5と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表9に示す。
*16:アエロジル#200G(商品名)、日本アエロジル(株)製
【0105】
実施例20(クラッキングフォーム)
パウダーとしてタルク(*4)の代わりに乾式法により製造した親水性シリカ(*16)を0.05重量%、精製水を78.45重量%用いたこと以外は実施例7と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表9に示す。
【0106】
【表9】

【0107】
実施例21〜27および比較例7〜9(シャーベットスプレー)
下記の水性原液3を調製し、水性原液3を表10に記載した量をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。耐圧容器にベーパータップ孔を備えていないエアゾールバルブに取り付け、液化ガスとして重質液化ガス(*1)と軽質液化ガス(*2)を表10および表11に記載した量を充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお水性原液3の液密度は0.99g/mlであった。評価結果を表14に示す。
【0108】
【表10】

【0109】
【表11】

【0110】
<水性原液3>
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*11) 1.0
タルク(*4) 0.5
エタノール 5.0
精製水 93.5
合 計(重量%) 100.0
【0111】
実施例42〜45および比較例14〜15(シャーベットスプレー)
下記の水性原液6を調製し、水性原液6を表12に記載した量をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。耐圧容器にベーパータップ孔を備えていないエアゾールバルブに取り付け、液化ガスとして重質液化ガス(*1)と軽質液化ガス(*2)を表12および表13に記載した量を充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお水性原液6の液密度は0.99g/mlであった。評価結果を表14に示す。
【0112】
<水性原液6>
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*11) 1.0
タルク(*4) 0.5
エタノール 2.0
精製水 96.5
合 計(重量%) 100.0
【0113】
【表12】

【0114】
【表13】

【0115】
【表14】

【0116】
実施例28(シャーベットスプレー)
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*11)の代わりにN−ヤシ油脂肪酸アシル−DL−アラニントリエタノールアミン液(*8)を用いたこと以外は実施例23と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表15に示す。
【0117】
実施例29(シャーベットスプレー)
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*11)の代わりにPOE(40)硬化ヒマシ油(*10)を用いたこと以外は実施例23と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表15に示す。
【0118】
実施例30(シャーベットスプレー)
軽質液化ガスとして液化石油ガス(*2)の代わりに液化石油ガス(*12)を用いたこと以外は実施例23と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表15に示す。
【0119】
実施例31(シャーベットスプレー)
軽質液化ガスとして液化石油ガス(*2)の代わりに液化石油ガスとイソペンタンの混合ガス(*13)を用いたこと以外は実施例23と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表15に示す。
【0120】
実施例32(シャーベットスプレー)
軽質液化ガスとして液化石油ガス(*2)の代わりに液化石油ガスとジメチルエーテルの混合液化ガス(*14)を用いたこと以外は実施例23と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表15に示す。
【0121】
実施例33(シャーベットスプレー)
軽質液化ガスとして液化石油ガス(*2)の代わりに液化石油ガスとジメチルエーテルの混合液化ガス(*15)を用いたこと以外は実施例23と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表15に示す。
【0122】
実施例34(シャーベットスプレー)
パウダーとしてタルク(*4)の代わりに乾式法により製造した親水性シリカ(*16)を0.05重量%、精製水を78.45重量%用いたこと以外は実施例22と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表15に示す。
【0123】
実施例35(シャーベットスプレー)
パウダーとしてタルク(*4)の代わりに乾式法により製造した親水性シリカ(*16)を0.05重量%、精製水を78.45重量%用いたこと以外は実施例24と同様にしてエアゾール組成物を製造した。評価結果を表15に示す。
【0124】
【表15】

【0125】
実施例36、37および比較例10、11(シャボン玉スプレー)
下記の水性原液4を調製し、水性原液4を表16に記載した量をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。耐圧容器にベーパータップ孔を備えていないエアゾールバルブに取り付け、液化ガスとして重質液化ガス(*1)と軽質液化ガス(*2)を表16および表17に記載した量を充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお水性原液4の液密度は0.93g/mlであった。評価結果を表20に示す。
【0126】
<水性原液4>
POE(30)セチルエーテル(*17) 2.0
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(*18) 2.0
メチルポリシロキサン(*19) 2.0
メチルパラベン 0.1
エタノール 30.0
精製水 63.9
合 計(重量%) 100.0

*17:BC−30TX(商品名)、日光ケミカルズ(株)製
*18:コータミン86PC(商品名)、花王(株)製
*19:SH200 5cs(商品名)、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製
【0127】
【表16】

【0128】
【表17】

【0129】
実施例46〜49および比較例16〜18(シャボン玉スプレー)
下記の水性原液7を調製し、水性原液7を表18に記載した量をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。耐圧容器にベーパータップ孔を備えていないエアゾールバルブに取り付け、液化ガスとして重質液化ガス(*1)と軽質液化ガス(*2)を表18および表19に記載した量を充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお水性原液7の液密度は0.96g/mlであった。評価結果を表20に示す。
【0130】
<水性原液7>
POE(20)セチルエーテル(*22) 3.0
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム(*23) 2.0
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(*7) 3.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液(*24) 20.0
シリカ(*16) 0.1
タルク(*4) 0.3
濃グリセリン 10.0
エタノール 21.0
精製水 40.6
合 計(重量%) 100.0

*22:BC−20TX(商品名)、日光ケミカルズ(株)製
*23:アミノサーファクト ACDS−L(商品名)、旭化成ケミカルズ(株)製
*24:セロゲンP−815C 0.5%水溶液(商品名)、第一工業製薬(株)製
【0131】
【表18】

【0132】
【表19】

【0133】
【表20】

【0134】
実施例50〜58および比較例19〜23(シャボン玉スプレー)
下記の水性原液8を調製し、表21〜23に記載した量の水性原液8をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。次いで、耐圧容器にエアゾールバルブを取り付け、表21〜23に記載した量の液化ガスを充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお、水性原液8の20℃における液密度は0.98g/ml、20℃における液粘度は30mPa・sであった。評価結果を表25に示す。
【0135】
<水性原液8>
POE(20)セチルエーテル(*22) 3.0
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム(*25) 0.5
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(*9) 3.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液(*24) 20.0
パラオキシ安息香酸エステル(*26) 0.1
シリカ(*16) 0.1
タルク(*4) 0.3
グリセリン 10.0
エタノール 20.0
精製水 43.0
合 計(重量%) 100.0

*25:アミソフト CS−11(商品名)、味の素(株)製
*26:メッキンスM(商品名)、上野製薬(株)製
【0136】
【表21】

【0137】
【表22】

*27:液化石油ガス(25℃における圧力:0.39MPa、20℃における液密度:0.55g/ml)
【0138】
【表23】

【0139】
実施例59(シャボン玉スプレー)
液化ガスを表24に記載した量充填した以外は実施例50と同様にエアゾール組成物を製造した。評価結果を表25に示す。
【0140】
実施例60(シャボン玉スプレー)
下記の水性原液9を調製し、表24に記載した量の水性原液9をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。そして、耐圧容器にエアゾールバルブを取り付け、表24に記載した量の液化ガスを充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお、水性原液9の20℃における液密度は0.98g/ml、20℃における液粘度は30mPa・sであった。評価結果を表25に示す。
【0141】
<水性原液9>
POE(20)セチルエーテル(*22) 6.0
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム(*25) 2.0
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(*9) 3.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液(*24) 20.0
濃グリセリン 10.0
エタノール(95%) 31.0
精製水 28.0
合 計(重量%) 100.0
【0142】
実施例61(シャボン玉スプレー)
下記の水性原液10を調製し、表24に記載した量の水性原液10をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。そして、耐圧容器にエアゾールバルブを取り付け、表24に記載した量の液化ガスを充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお、水性原液10の20℃における液密度は0.98g/ml、20℃における液粘度は30mPa・sであった。評価結果を表25に示す。
【0143】
<水性原液10>
POE(20)セチルエーテル(*22) 5.0
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム(*25) 1.5
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(*9) 2.5
カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液(*24) 20.0
シリカ(*16) 0.1
タルク(*4) 0.3
流動パラフィン(*28) 13.0
濃グリセリン 9.0
エタノール(95%) 18.0
精製水 30.6
合 計(重量%) 100.0

*28:ハイコールK−230(商品名)、カネダ(株)製
【0144】
実施例62(シャボン玉スプレー)
下記の水性原液11を調製し、表24に記載した量の水性原液11をポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。そして、耐圧容器にエアゾールバルブを取り付け、表24に記載した量の液化ガスを充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。なお、水性原液11の20℃における液密度は0.98g/ml、20℃における液粘度は30mPa・sであった。評価結果を表25に示す。
【0145】
<水性原液11>
POE(20)セチルエーテル(*22) 5.0
N−ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム(*29) 1.5
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(*9) 2.5
カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液(*24) 20.0
シリカ(*16) 0.1
タルク(*4) 0.3
流動パラフィン(*28) 13.0
濃グリセリン 9.0
エタノール(95%) 18.0
精製水 30.6
合 計(重量%) 100.0

*29:アミライトGCK−11(商品名)、味の素(株)製
【0146】
【表24】

【0147】
【表25】

【0148】
製品例1(空間処理剤)
下記の水性原液60g(60重量%)をアルミニウム製エアゾール容器に充填した。エアゾール容器にベーパータップ孔を備えていないエアゾールバルブを取り付け、液化ガスとしてトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン40g(40重量%)を充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。このエアゾール組成物を空間に噴射するとシャボン玉状の泡が一時的に浮遊し、空間中のハウスダストを付着して地面に落下した。
【0149】
POE(20)セチルエーテル(*22) 3.0
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム(*25) 0.5
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(*9) 3.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液(*24) 20.0
アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル・
ジアセトンアクリルアミド・メタクリル共重合体(*30) 1.0
パラオキシ安息香酸エステル(*26) 0.1
シリカ(*16) 0.1
タルク(*4) 0.3
1,3−ブチレングリコール 5.0
エタノール(95%) 23.0
精製水 40.0
合 計(重量%) 100.0

*30:プラスサイズL−53(商品名)、互応化学(株)製
【0150】
製品例2(消臭・芳香剤)
下記の水性原液40g(40重量%)をアルミニウム製エアゾール容器に充填した。エアゾール容器にベーパータップ孔を備えていないエアゾールバルブを取り付け、液化ガスとして液化石油ガス12g(12重量%)と、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン48g(48重量%)を充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。このエアゾール組成物を空間に噴射するとシャボン玉状の泡が一時的に浮遊し、空間中の臭いを取り除き地面に落下した。
【0151】
POE(20)セチルエーテル(*22) 3.0
ラウロイルサルコシンナトリウム(*31) 1.0
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(*9) 3.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液(*24) 20.0
アクリル酸ヒドロキシエチル・
アクリル酸メトキシエチル共重合体(*32) 3.0
パラオキシ安息香酸エステル(*26) 0.1
シリカ(*16) 0.1
タルク(*4) 0.3
香料 0.1
エタノール(95%) 15.0
精製水 54.4
合 計(重量%) 100.0

*31:サルコシネートLN(商品名)、日光ケミカルズ(株)製
*32:プラスサイズL−222(商品名)、互応化学(株)製
【0152】
製品例3(空間用害虫忌避剤)
下記の水性原液60g(60重量%)をアルミニウム製エアゾール容器に充填した。エアゾール容器にベーパータップ孔を備えていないエアゾールバルブを取り付け、液化ガスとして液化石油ガス4g(4重量%)と、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン36g(36重量%)を充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。このエアゾール組成物を空間に噴射するとシャボン玉状の泡が一時的に浮遊し、忌避成分であるハーブエキスの香りが漂った。
【0153】
POE(20)セチルエーテル(*22) 3.0
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム(*25) 1.0
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(*9) 2.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液(*24) 20.0
パラオキシ安息香酸エステル(*26) 0.1
シリカ(*16) 0.1
タルク(*4) 0.3
ハーブエキス 2.0
エタノール(95%) 20.0
精製水 51.5
合 計(重量%) 100.0
【0154】
製品例4(空間用殺虫剤)
下記の水性原液60g(60重量%)をアルミニウム製エアゾール容器に充填した。エアゾール容器にベーパータップ孔を備えていないエアゾールバルブを取り付け、液化ガスとしてトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン40g(40重量%)を充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。このエアゾール組成物を飛んでいる害虫に向けて噴射すると、シャボン玉状の泡が一時的に浮遊し、害虫に付着して落下した。
【0155】
POE(20)セチルエーテル(*22) 3.0
N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム(*25) 1.0
ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(*9) 3.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液(*24) 20.0
パラオキシ安息香酸エステル(*26) 0.1
シリカ(*16) 0.1
タルク(*4) 0.3
フタルスリン 0.5
エタノール(95%) 20.0
精製水 52.0
合 計(重量%) 100.0
【0156】
製品例5(清涼剤)
下記の水性原液30g(30重量%)をアルミニウム製エアゾール容器に充填した。エアゾール容器に倒立用のエアゾールバルブを取り付け、液化ガスとしてトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン60g(60重量%)と液化石油ガス10g(10重量%)を充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。このエアゾール組成物を手のひらに噴射するとジェル状のフォームを形成し、これを腕に塗り伸ばすとパチパチと破泡音を発し、マッサージしながら冷却できた。
【0157】
PEG−20ソルビタンココエート(*3) 0.5
タルク(*4) 0.5
ヒドロキシエチルセルロース(*5) 0.5
エタノール 20.0
濃グリセリン 1.0
l−メントール 0.5
シクロペンタシロキサン(*20) 5.0
ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール(*21) 5.0
香料 0.1
精製水 66.9
合 計(重量%) 100.0
【0158】
製品例6(害虫忌避剤)
下記の水性原液30g(30重量%)をアルミニウム製エアゾール容器に充填した。エアゾール容器に倒立用のエアゾールバルブを取り付け、液化ガスとしてトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン50g(50重量%)と液化石油ガス20g(20重量%)を充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。このエアゾール組成物を手のひらに噴射するとジェル状のフォームを形成し、これを腕に塗り伸ばすとパチパチと破泡音を発し、マッサージしながら塗布できた。
【0159】
PEG−20ソルビタンココエート(*3) 0.5
タルク(*4) 0.5
ヒドロキシエチルセルロース(*5) 0.5
エタノール 25.0
1,3−ブチレングリコール 3.0
l−メントール 0.5
N,N−ジエチル−m−トルアミド 1.0
シクロペンタシロキサン(*20) 5.0
ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール(*21) 5.0
ハーブエキス 0.2
精製水 58.8
合 計(重量%) 100.0
【0160】
製品例7(害虫駆除剤)
下記の水性原液30g(25重量%)をアルミニウム製エアゾール容器に充填した。エアゾール容器にベーパータップ孔を備えていないエアゾールバルブを取り付け、液化ガスとしてトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン20g(16.7重量%)と液化石油ガス70g(58.3重量%)を充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。このエアゾール組成物を1m離れたゴキブリに噴射すると、噴射物がゴキブリの表面で凍結し、動きが鈍くなった。
【0161】
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*11) 1.0
タルク(*4) 0.5
エタノール 2.0
精製水 96.5
合 計(重量%) 100.0
【0162】
製品例8(冷却剤)
下記の水性原液30g(30重量%)をアルミニウム製エアゾール容器に充填した。エアゾール容器にベーパータップ孔を備えていないエアゾールバルブを取り付け、液化ガスとしてトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロパ−1−エン60g(60重量%)と液化石油ガス10g(10重量%)を充填した。次いでエアゾール容器を上下に振り、水性原液と液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を製造した。このエアゾール組成物をハンカチに噴射すると噴射物が凍結し、首筋に当てることで冷却できた。
【0163】
POE(20)POP(8)セチルエーテル(*11) 1.0
タルク(*4) 0.5
l−メントール 0.5
エタノール 5.0
精製水 93.0
合 計(重量%) 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性原液10〜60重量%と、
液化ガス40〜90重量%とからなるエアゾール組成物であって、
前記液化ガスが、20℃における液密度が1.15〜1.30(g/ml)である重質液化ガス(a)を含有しており、
前記水性原液と前記液化ガスとが乳化してなるエアゾール組成物。
【請求項2】
前記液化ガスが、20℃における液密度が0.50〜0.70(g/ml)である軽質液化ガス(b)を含有する請求項1記載のエアゾール組成物。
【請求項3】
前記液化ガス中の重質液化ガス(a)の含有量が5重量%以上である請求項1記載のエアゾール組成物。
【請求項4】
前記重質液化ガスが、ハイドロフルオロオレフィンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアゾール組成物。
【請求項5】
前記水性原液の液密度が、0.90〜1.10(g/ml)である請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアゾール組成物。
【請求項6】
前記エアゾール組成物を噴射すると少なくとも一部が凍結したシャーベットを形成し、15cm先の高さ5cmの火炎に噴射したときの火炎の伸びが50cm以下である請求項1記載のエアゾール組成物。
【請求項7】
前記エアゾール組成物を噴射すると破泡音を発するフォームを形成し、フォームに着火したときの火炎の高さが35cm以下である請求項1記載のエアゾール組成物。
【請求項8】
前記エアゾール組成物を噴射すると多数の独立したシャボン玉状の泡を形成し、泡の落下速度が0.015〜0.2m/秒である請求項1記載のエアゾール組成物。
【請求項9】
前記水性原液が、イオン性の界面活性剤および/またはイオン性の樹脂を含有する請求項8記載のエアゾール組成物。

【公開番号】特開2012−17464(P2012−17464A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131400(P2011−131400)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】