説明

エアゾール装置

【課題】 噴射対象物である棒状部材を用いて噴射操作することができ、かつ、その棒状部材の先端に内容物を確実に噴射することができ、繰り返し使用しても高いシール性が維持されるエアゾール装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 容器本体11と、その容器本体の開口部に固着されたエアゾールバルブ12とを備えたエアゾール容器とからなる棒状部材の先端近辺に内容物を噴射するためのエアゾール装置10であって、前記棒状部材15の先端15aを挿入することができ、その棒状部材を挿入したとき、棒状部材を支持する挿入部37を備えており、前記挿入部の内部はエアゾールバルブに上下移動自在に設けられたステムのステム内通路34と連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアゾール装置に関する。さらに、詳しくは棒状部材を挿入して噴射操作し、その先端に確実に内容物を噴射できるエアゾール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2001−39478号公報
【特許文献2】特開平2−109894号公報
【0003】
通常エアゾール製品は、噴射対象物に狙いを定める、噴射部材(押しボタン)を指で操作して噴射する、という2つの動作で使用する。このようなエアゾール製品は、空間用、頭髪用、人体用などの広範囲に噴射するスプレー製品として用いられている。一方、噴射範囲を狭くすることにより、狭い範囲あるいは小さな対象物に対して噴霧するエアゾール製品も知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、噴射範囲を狭くしたエアゾール製品は噴射パターンを狭くすることによりその目的を達成しているため、対象物に対する噴射の勢いが強くなりすぎ、対象物に対して刺激が強くなる、跳ね返りにより周囲に飛散するなどの問題がある。また、噴射される内容物を、対象物に対して狙いを定めて噴射させるが、噴射部材の押し下げに伴い噴射部材が移動するため、狙いがずれやすく正確に噴射できないこともある。
【0005】
特許文献1の図2あるいは図4には、手あるいは足裏によって噴射操作し、エアゾール容器内の内容物をその操作を行う手あるいは足裏に噴射するエアゾール装置が開示されている。このエアゾール装置は、対象物に対してねらいを定めて噴射する必要がなく好ましい。しかし、このようなエアゾール装置であっても、棒状対象物の先端にのみ噴射することは困難である。
【0006】
特許文献2は、スパウトの軸部を弁に挿入し、スパウトを押し下げ操作することで内容物を取り出すことができる飲料容器が開示されている。この特許文献2の飲料容器はスパウトを装着して何回かに分けて取り出しても品質が劣化しない飲料容器を提供することを目的としている。またこの飲料容器は、スパウト装着時はスパウトの軸から内容物がこぼれ出ないようにシール用パッキン(特許文献2の図3の符号6)にてシールしており、スパウトが取り外されているときは、軸方向に動く弁座(ステム)(同図3の符号10)の上端がバネ11によりシール用パッキンの下面に押し付けられてシールしている。
【0007】
特許文献2の飲料容器では、スパウトに替えて棒状部材を挿入することによって、棒状部材の先端に内容物を噴射することが可能である。しかし、特許文献2の弁構造に棒状部材を使用する場合、棒状部材の先端で弁座を押し下げると弁座の上端とシール用パッキンの下面との間に隙間ができて内容物が棒状部材の先端に噴射されるが、棒状部材の押し下げ量により隙間の大きさが異なるため、使用する度に噴射量(先端に付着する量)が異なり使い勝手が悪い。さらに、棒状部材を斜め下方に操作された場合は、操作後に弁座が傾いて元の状態に戻らない場合があり、使用しないときのシール性が低下するおそれがある。また棒状部材を押し下げたとき、先端がシール位置の側面まで到達するため、先端にゴミやホコリなどが付着していた場合には弁座とパッキンとの間に挟まりシール性が低下する。
【0008】
本発明は、噴射対象物である棒状部材を用いて噴射操作することができ、かつ、確実に内容物をその棒状部材の先端近辺に噴射することができ、繰り返し使用してもシール性が低下しないエアゾール装置を提供することを技術課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のエアゾール装置は、容器本体と、その容器本体の開口部に固着されたエアゾールバルブとを備えたエアゾール容器とからなる棒状部材の先端近辺に内容物を噴射するためのエアゾール装置であって、前記棒状部材の先端を挿入することができ、その棒状部材を挿入したとき、棒状部材を支持する挿入部を備えており、前記挿入部の内部はエアゾールバルブに上下移動自在に設けられたステムのステム内通路と連通していることを特徴としている(請求項1)。
このようなエアゾール装置において、有底筒状の挿入部を有する操作部材がステムに装着されていることが好ましく(請求項2)、前記ステムの移動をエアゾール容器の軸方向に規制する規制手段を備えていることが好ましい(請求項3)。
また、エアゾール容器に筒状の凹部を備えたカバー部材が装着されており、前記凹部およびステムの上端によって挿入部が形成されていることが好ましい(請求項4)。
さらに、前記エアゾールバルブが容器本体の開口部を閉じるマウンティングカップを備えており、前記マウンティングカップはその中央にステムを挿入するステム挿入口と、そのステム挿入口から上方に立ち上がり、その上端がステムの上端より上方に位置するように形成された円筒状の側壁とを備えており、前記側壁およびステムの上端によって挿入部が形成されていることが好ましい(請求項5)。前記エアゾールバルブのステムが傾動式ステムであることが好ましく(請求項6)、前記挿入部の内径または対角線が10mm以下であることが好ましい(請求項7)。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエアゾール装置は、容器本体と、その容器本体の開口部に固着されたエアゾールバルブとを備えたエアゾール容器とからなる棒状部材の先端近辺に内容物を噴射するためのエアゾール装置であって、前記棒状部材の先端を挿入することができ、その棒状部材を挿入したとき棒状部材を支持する挿入部を備えており、前記挿入部の内部はエアゾールバルブに上下移動自在に設けられたステムのステム内通路と連通しているため、噴射対象物である棒状部材の先端を挿入部に挿入して、そのまま棒状部材を押し下げることにより、周囲に内容物を飛散させることなく棒状部材の先端だけに内容物を噴射することができる(請求項1)。また、棒状部材の先端を挿入する挿入部の内部がステム内通路と連通しているため、ステム孔により単位時間当たりの噴射量が制御された内容物が挿入部に導入され、棒状部材の操作量が変化しても単位時間当たりの噴射量は変化しない。そのため、棒状部材の先端に安定した量を付着させることができ、使い勝手が良い。
【0011】
このようなエアゾール装置であって、有底筒状の挿入部を有する操作部材がステムに装着されている場合は、棒状部材を挿入部に挿入したとき、棒状部材は挿入部によりエアゾール容器の軸方向に支持されるため、押し下げの操作がしやすい(請求項2)。さらに、前記ステムの移動をエアゾール容器の軸方向に規制する規制手段を備えている場合は、棒状部材で挿入部の押し下げ操作をすることによりステムをエアゾール容器の軸方向に下降させることができる。また、棒状部材を挿入部から抜いたときはバネ等によって上方に付勢されているステムをエアゾール容器の軸方向に上昇させて、ステムを傾けることなく元の位置に戻すことができるため、繰り返し使用しても高いシール性を確保できる(請求項3)。
また、前記エアゾール容器に筒状の凹部を備えたカバー部材が装着されており、前記凹部およびステムの上端によって挿入部が形成されている場合は、棒状部材でステムを直接操作でき、ステムは凹部によってエアゾール容器の軸方向に移動が規制されるため、繰り返し使用しても高いシール性を確保できる(請求項4)。
さらに、前記エアゾールバルブが容器本体の開口部を閉じるマウンティングカップを備えており、前記マウンティングカップはその中央にステムを挿入するステム挿入口と、そのステム挿入口から上方に立ち上がり、その上端がステムの上端より上方に位置するように形成された円筒状の側壁とを備えており、前記側壁およびステムの上端によって挿入部が形成されている場合は、棒状部材でステムを直接操作でき、ステムは側壁よってエアゾール容器の軸方向に移動が規制されるため、繰り返し使用しても高いシール性を確保できる。またこのようなエアゾール装置は部品点数が少なくコストが安くなる(請求項5)。
【0012】
エアゾールバルブのステムが傾動式ステムである場合は、ステムの開放に要する力を小さくすることができ、例えば棒部を指で摘む等により操作する棒状部材のように下方に力を加えにくいものであっても、ステムの開放が容易になる(請求項6)。
また、挿入部の内径または対角線が10mm以下である場合は、棒状部材の先端に内容物を均等に付着させやすい(請求項7)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に図面を用いて本発明のエアゾール装置の説明をする。図1は本発明のエアゾール装置の一実施形態を示す断面図、図2は図1の一部拡大断面図、図3〜図9は本発明のエアゾール装置の他の実施形態を示す断面図である。
【0014】
図1に示すエアゾール装置10は、耐圧性を有する容器本体11と、その容器本体の開口部に固着されるエアゾールバルブ12と、そのエアゾールバルブに装着される操作部材13と、その操作部材の全体を覆うようにしてエアゾール容器に装着されるカバー部材14とから構成されている。また、棒状部材(綿棒)15はこのエアゾール装置10を操作するものである。
【0015】
容器本体11は、アルミニウム、ブリキなどの金属板を絞り加工またはインパクト加工などにより胴部16と底部17とを有する有底筒状に形成し、ついで、その胴部上端にネッキング加工などを施して肩部18を形成し、肩部上端にカーリング加工によりビード部19を形成したものである。また、底部17は中心に向けてテーパー状に盛り上がる山型に形成している。これにより、内圧に対する容器の耐圧性が高まり変形しにくい。なお、合成樹脂や耐圧ガラスなど、耐圧性を有する他の材質のものを用いてもよい。
また、このエアゾール装置10は、床面などの固定面に置いた状態で棒状部材15を用いて噴射操作し、その操作をした棒状部材の先端15aに内容物(エアゾール組成物)を噴射するものである。そのため、容器本体11は高さに対して底部の径が大きい比較的安定であるものが好ましく、高さと底部の径の比が2/1〜1/3、好ましくは1.5/1〜1/2.5である。また、その底部の径は20〜150mm、好ましくは30〜130mmである。
【0016】
エアゾールバルブ12は、図2に示すように、容器本体11のビード部19にクリンプして固定されるマウンティングカップ21と、そのマウンティングカップの中央に保持される筒状のハウジング22と、そのハウジング内に上下移動自在に収容されステム孔23を有するステム24と、そのステムを常時上向きに付勢するバネ25と、前記ステム孔を塞ぐステムラバー26と、前記ハウジングの下端から容器本体の底部に延びているディップチューブ27とからなるものである。
【0017】
マウンティングカップ21は容器本体の開口部を覆い、容器本体のビード部19にガスケット20を介してクリンプされる湾曲フランジ部28と、ハウジング22を保持するハウジング保持部29と、中央にステム24を挿入するステム挿入口30とを有する従来公知のものである。このようなマウンティングカップ21は、アルミニウム、ブリキなどの金属板を加工することで製造される。
【0018】
前記ハウジング22は、有底筒状のものであり、底部に形成された容器内部と連通する連通孔31と、底部外周に設けられたディップチューブ係合部32と、ステムラバーを載置するために上端に形成された段部33とからなる。
【0019】
ステム24は、ステム孔23と、そのステム孔23と連通するステム内通路34とを有する。また、ステム24のステム孔23より若干下方の部位は、ステムがマウンティングカップのステム挿入口30から飛び出さないように半径方向に突出した環状の係合部35が形成されている。さらに、ステムの係合部35より下部は、ハウジングの内面形状より径または幅および高さが小さくなるように形成されている。このようにステム24は形成されているため、ステム24はハウジング内において上下移動のみならず、ハウジングの軸方向に対して若干傾斜させることもできる。このようなステム24は傾動式ステムとして公知である。そして、通常のステムと異なりステム孔23を開放するために必要な外力が小さくてよい。本発明のように棒状部材を指で摘んで操作することによってエアゾールバルブを開放する場合、ステム24を押し下げにくいため、このように比較的開放しやすいステムを使用している。ただし、通常のステムを使用してもよい。
【0020】
図1に戻って、操作部材13は、エアゾールバルブのステムに装着するステム装着部36と、噴射対象物を挿入する挿入部37とからなる筒状の部材である。この挿入部37は有底筒状に形成されており、棒状部材の先端を挿入したとき、棒状部材をエアゾール容器の軸方向に支持し、軸下方に押し下げ操作できるように案内する。挿入部の内径は噴射対象物の大きさにより任意に決定することができるが、棒状部材の先端に内容物を均等に付着させやすい点から10mm以下、さらには8mm以下であることが好ましい。また、挿入部の内径は棒状部材の先端の外径に対して、棒状部材を挿入しやすくし、かつ棒状部材の先端が挿入部から抜けなくならないように、1〜2倍、さらには1〜1.5倍であることが好ましい。挿入部の高さは噴射対象物の大きさにより任意に決定することができるが、棒状部材を挿入したときエアゾール容器の軸方向に支持しやすい点から3〜50mm、さらには5〜30mmであることが好ましい。挿入部37の内部はステム内通路34と噴射孔37aにより連通している。この噴射孔37aの径は棒状部材15の先端部15aより小さく形成されている。これにより、棒状部材15が噴射孔37aに嵌着して抜け難くなる、あるいは抜けなくなることを防ぐ。なお噴射孔37aは1個でもよく、複数個設けても良い。
【0021】
カバー部材14は、容器本体のビード部19またはマウンティングカップの湾曲フランジ部28の外周下端において係合する外筒部38と、操作部材13の移動をエアゾール容器の軸方向に規制する規制手段として作用する内筒部39と、外筒部と内筒部とをその上端で連結する天面部40とからなる。このカバー部材14は、エアゾール容器の上部を保護する保護部材としても作用する。本実施形態ではこのカバー部材の円筒部39が操作部材13を介してステム24の移動を規制している。
ハウジング22、ステム24、操作部材13およびカバー部材14はそれぞれ合成樹脂を材料として射出成型等によって製造される。
【0022】
このように構成される本発明のエアゾール装置10は、洗面台やテーブル、床面などの平地に載置した、あるいは壁などに固定したエアゾール装置の操作部材の挿入部37に、噴射対象物である棒状部材15(たとえば、綿棒)の先端15aを挿入して操作する。そのとき、棒状部材は有底筒状の挿入部37によりエアゾール容器の軸方向に支持される。この状態で棒状部材15を押し下げることにより、その力は操作部材13を介してステム24に伝わる。つまり、棒状部材15を挿入し、そのまま押し下げることにより、操作部材13はカバー部材14の内筒部39によりガイドされながら、エアゾール容器の軸下方に移動し、それに伴いステム24も軸下方に移動して、ステム孔23が開放される。このとき容器本体内の内容物(エアゾール組成物)がディップチューブ27からハウジング内部、ステム孔、ステム内通路を経て操作部材の噴射孔37aから棒状部材の先端に噴射される。その後、棒状部材を挿入部から引き抜くと操作部材が円筒部39にガイドされながら軸上方に移動し、これに伴いステムも軸上方に移動してステム孔23が閉塞される。これにより棒状部材の先端には内容物を付着させることができ、これを目的個所に塗布することができる。なお、この実施の形態では、小さな力でステム孔23を開放するために傾動式ステムを用いているが、ステムは規制手段(内筒部39)によりエアゾール容器の軸方向のみ上下動可能となり、棒状部材を引き抜くとステムは傾くことなく元の位置に回復するため繰り返し使用しても高いシール性を維持できる。また、棒状部材の押し下げによりステム孔が開放され、単位時間当たりの噴射量(g/秒)はステム孔の断面積により制御されるため、棒状部材の押し下げ量が変化しても単位時間当たりの噴射量は一定であり、使用毎に付着する量のバラツキが小さく、使い勝手がよい。
【0023】
本発明のエアゾール装置は様々な用途に用いることができる。内容物としてはたとえば、耳の中を清潔にする清拭剤、耳垢を付着させ除去するための粘着剤、歯の間(口腔内)をすっきりさせる清涼剤、刺し傷や切り傷などの傷口の殺菌消毒剤や止血剤、虫刺されなどの痒みを止めるための鎮痒剤、水虫菌を死滅させるための抗真菌剤、局部的にメイクを落とすクレンジング剤、マニキュアを落とすためのネイルエナメルリムーバー、しみを消すなど局部的にメイクするファンデーション、目元のしわを伸ばすなどのスキンケア、睫毛を太くするマスカラ、アイシャドーなどの人体用品や、ゴミやホコリ、害虫(死骸)などを付着させて除去する粘着剤、クリーナー、朱肉などの家庭用品などが挙げられる。しかし、綿棒や楊枝等の棒状部材の先端に液体あるいは紛体を噴射して使用するものであれば本発明のエアゾール装置を使用することができ、特に限定されるものではない。また棒状部材としては、綿棒、楊枝、歯や歯間用、マスカラ用などのブラシ、化粧用の筆、印鑑などがあげられ、特に限定されるものではない。
【0024】
図3に示すエアゾール装置41は、上下動のみ移動可能な通常のステムを用いたものであり、ステムの移動規制手段であるカバー部材を備えていないものである。ステム42は、ステム孔23より下部が円筒状であり、その外周の径が、ハウジングの内周面の径より若干小さくなるように形成されている。これによりステム42は傾動できないが、ハウジング22内を上下動自在に構成されている。このように通常のステムを用いることにより、ステム自身は上下方向のみ移動するため、図1のようにカバー部材を設けなくてもよい。ただし、保護部材としてカバー部材を設けても良い。なお、通常のステム42の代わりに図1のエアゾール装置10で用いた傾動式ステム24を用いてもよく、この場合は操作部材の挿入部37に棒状部材を挿入した後、棒状部材の先端を軸として棒状部材を傾けることにより棒状部材の先端に内容物を噴射することができ、操作力が非常に軽くなる。またこの実施の形態では、挿入部の底部に排出孔43を設けており、排出孔43により、噴射後に挿入部の底部に溜まった内容物を外部に排出することができ、挿入部内部を清潔に保つことができる。
【0025】
図4に示すエアゾール装置45は、カバー部材46がマウンティングカップ21のハウジング保持部29の外周に取り付けられたものであり、装着部47と、操作部材13の移動方向を規制する筒部48とからなるものである。この実施の形態では、棒状部材の先端15aを操作部材の挿入部37に挿入して棒状部材15を押し下げるとき、操作部材は、ステム装着部36の外周がカバー部材46の筒部48により移動方向が規制されているため、エアゾール容器の軸方向にのみ移動可能となり、それに伴いステムも軸方向にのみ移動可能になる。他の構成は、図1のエアゾール装置10と実質的に同じものである。なお。本実施形態では棒状部材として先端に多数の毛が環状に設けられたブラシを用いている。
【0026】
図5に示すエアゾール装置50は、カバー部材51の中心に設けられた内筒部52(凹部)を直接、エアゾールバルブのステム53に係合させたものであり、ステム53の上部でもって図1のエアゾール装置10の操作部材13を兼用させたものである。つまり、ステム53の上端と、カバー部材の内筒部52によって形成される挿入部に、棒状部材を挿入するものである。また、その挿入部によって棒状部材はエアゾール容器の軸方向に支持され、棒状部材に下方への力を直接ステムに伝えることができる。このときステムは内筒部52によってその移動が規制され、円筒部52の側面に沿って上下動するため、繰り返し使用してもステムは元の位置に戻り高いシール性を維持できる。なお、内筒部52の上部は、綿棒等の棒状部材の挿入を容易にするため、上端開口部55に向かってテーパー状に拡がった案内部54になっている。他の構成は図1のエアゾール装置10と実質的に同じものであり、その作用も同じである。
【0027】
図6に示すエアゾール装置56は、爪楊枝のように先端が鋭い棒状部材15に内容物を噴射するためのものであり、カバー部材51の中心に設けられた内筒部52に棒状部材の先端の外形に合わせて形成された挿入補助部材57が挿入されている。
このように挿入補助部材57を内筒部52内に挿入することにより、棒状部材がステム内通路に入り込んで内容物の噴射通路を塞がないようにしている。他の構成は図5のエアゾール装置50と実質的に同じものである。なお、挿入補助部材57は内筒部52と摺動可能であり、棒状部材に加えられる下方への力をステムに伝えることができるため、ステムに装着される操作部材の一種と考えることができる。
【0028】
図7に示すエアゾール装置60は、マウンティングカップ中央のステム挿入口30の周縁が上方に立ち上がって円筒部61(側壁)を形成している。また、そのステム挿入口30に挿入されるステム62は、その上端が円筒部61の上端よりも低く、円筒部61内に収められるように構成されている。このものも図5のエアゾール装置50と同様に、ステム62の上部でもって操作部材を兼用させたものである。そして、ステム62の上端およびマウンティングカップの円筒部61によって挿入部が形成される。そのため、挿入部に棒状部材を挿入するとその挿入部によって棒状部材はエアゾール容器の軸方向に支持される。さらに、棒状部材に加えられる下方への力をステムに直接伝えることができ、ステムは円筒部61によってその移動が規制され、円筒部61の側面に沿ってエアゾール容器の軸下方へ移動し、ステム孔が開放される。この実施の形態も、棒状部材を抜くとステムは円筒部61に沿って上方へ移動してステム孔が閉塞され、元の位置に戻り高いシール性を維持できる。
なお、棒状部材の形状によってはステム内通路の段部62aでもって棒状部材を支持してもよい。また、ステム内通路を下方に向かって細くなっているテーパー状の側面に狭まるように棒状部材を支持させてもよい。このように本発明のエアゾール装置は、棒状部材が内容物の通路を塞がない限り、棒状部材の一部がステム内通路に挿入されても構わない。
【0029】
図8のエアゾール装置65は、カバー部材66がマウンティングカップのハウジング保持部の外周に係合されており、ステムの上端が短くなっていること以外は、図5のエアゾール装置50と実質的に同じものである。このものもカバー部材66の内筒部39とステムの上端とが挿入部として作用し、カバー部材66の内筒部39がステムの移動規制手段として作用する。そのため、棒状部材をカバー部材の天面から内筒部に挿入し、そしてさらに押し下げることにより、エアゾール容器内の内容物が棒状部材の先端に噴射される。
【0030】
図9に示すエアゾール装置70は、図1の操作部材13の側面に操作部71が設けられているものである。このように操作部71を設けることにより、棒状部材15を挿入部37に挿入し、その後、この操作部71を押し下げることにより棒状部材の先端15aに内容物を噴射することができる。なお、これまでの実施の形態と同様に棒状部材で噴射操作することもできる。この実施の形態では、棒状部材の先端に内容物を噴射するだけでなく、棒状部材を挿入せずに操作部71を操作して空間や人体などの広い噴射対象物に内容物を噴射することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のエアゾール装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の一部拡大断面図である。
【図3】本発明のエアゾール装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明のエアゾール装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明のエアゾール装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明のエアゾール装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明のエアゾール装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明のエアゾール装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明のエアゾール装置のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 エアゾール装置
11 容器本体
12 エアゾールバルブ
13 操作部材
14 カバー部材
15 棒状部材
15a棒状部材の先端
16 胴部
17 底部
18 肩部
19 ビード部
20 ガスケット
21 マウンティングカップ
22 ハウジング
23 ステム孔
24 ステム
25 バネ
26 ステムラバー
27 ディップチューブ
28 湾曲フランジ部
29 ハウジング保持部
30 ステム挿入口
31 連通孔
32 ディップチューブ係合部
33 段部
34 ステム内通路
35 係合部
36 ステム装着部
37 挿入部
37a噴射孔
38 外筒部
39 内筒部
40 天面部
41 エアゾール装置
42 ステム
43 排出孔
45 エアゾール装置
46 カバー部材
47 装着部
48 筒部
50 エアゾール装置
51 カバー部材
52 内筒部
53 ステム
54 案内部
55 上端開口部
56 エアゾール装置
57 挿入補助部材
60 エアゾール装置
61 円筒部
62 ステム
65 エアゾール装置
66 カバー部材
70 エアゾール装置
71 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、その容器本体の開口部に固着されたエアゾールバルブとを備えたエアゾール容器とからなる棒状部材の先端近辺に内容物を噴射するためのエアゾール装置であって、
前記棒状部材の先端を挿入することができ、その棒状部材を挿入したとき、棒状部材を支持する挿入部を備えており、
前記挿入部の内部はエアゾールバルブに上下移動自在に設けられたステムのステム内通路と連通しているエアゾール装置。
【請求項2】
有底筒状の挿入部を有する操作部材がステムに装着されている請求項1記載のエアゾール装置。
【請求項3】
前記ステムの移動をエアゾール容器の軸方向に規制する規制手段を備えている請求項1記載のエアゾール装置。
【請求項4】
エアゾール容器に筒状の凹部を備えたカバー部材が装着されており、前記凹部およびステムの上端によって挿入部が形成されている請求項1記載のエアゾール装置。
【請求項5】
前記エアゾールバルブが容器本体の開口部を閉じるマウンティングカップを備えており、
前記マウンティングカップはその中央にステムを挿入するステム挿入口と、
そのステム挿入口から上方に立ち上がり、その上端がステムの上端より上方に位置するように形成された円筒状の側壁とを備えており、
前記側壁およびステムの上端によって挿入部が形成されている請求項1記載のエアゾール装置。
【請求項6】
前記エアゾールバルブのステムが傾動式ステムである請求項1記載のエアゾール装置。
【請求項7】
前記挿入部の内径または対角線が10mm以下である請求項1記載のエアゾール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−30978(P2007−30978A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−221538(P2005−221538)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】