説明

エアゾール製品

【課題】 エアゾール容器を簡単に交換可能で、該交換時の感電を防止可能にすること。
【解決手段】 エアゾール製品1は、バルブ21を有する容器2と、該容器2内部に充填されるエアゾール組成物と、バルブ21に装着され、噴射ボタン20が押下されるとエアゾール組成物を噴射する噴射装置17と、噴射ボタン20の押下に連動する起動手段を有し、前記噴射に連動して噴霧を誘導帯電させる誘導帯電装置18とを備えている。噴射装置17及び誘導帯電装置18は、噴射帯電モジュール19としてモジュール化され、容器2に対して一体的に着脱可能に構成されている。噴射帯電モジュール19は、容器2に取り付けられた状態であるか取り外された状態であるかを検出する検出部と、容器2から取り外された状態になると、噴射ボタン20の操作に伴う誘導帯電装置18の起動を防止するように構成された起動防止部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器に充填されたエアゾール組成物を細かい霧状の噴霧にして噴射するとともに、この噴霧を誘導帯電させることができるエアゾール製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景技術としては、特許文献1に記載された静電帯電エアゾール噴霧システムを例示する。この噴霧システムは、エアゾール噴霧を電気的に帯電するためのものである。図17に示すように、この噴霧システムのアクチュエータ120は、霧化した流体に電荷を誘導するため、噴霧ノズル118に隣接した位置にインダクタ134を有する。インダクタ134への電荷は、作動部材126の動きによって応力が与えられる圧電結晶146によって供給される。インダクタ134の帯電は無視できるほどの電力を使用するので、他の電源は必要としない。圧電結晶146には圧迫などのように連続して、または、打撃などのように断続して、応力を与えることができる。断続した応力を与える場合、電気回路は結晶とインダクタ134の間にスイッチを含み、これはバルブが開いている時にあき、噴霧の間インダクタ134を電気的に分離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平9−504735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、例えば空になった容器112を交換するとき等に、容器112からアクチュエータ120を取り外しておいた際に、ユーザの不注意等によりインダクタ134に身体が触れた状態で作動部材126を押し下げてしまうと、感電するという課題がある。この課題は、インダクタ134へ電力を供給するための電源として、圧電結晶146に代えて電池を採用した場合にも同様に発生する。しかも、電池を使用する場合は、その電池を交換する際にも、同様にユーザが感電する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のエアゾール製品は、
バルブが固着されたエアゾール容器と、
前記エアゾール容器内部に充填されるエアゾール組成物と、
前記バルブに装着され、噴射ボタンが押下されると前記エアゾール容器内の前記エアゾール組成物を細かい霧状の噴霧にして噴射する噴射装置と、
前記噴射ボタンの押下に連動する起動手段を有し、前記噴射に連動して起動され前記噴霧を誘導帯電させる誘導帯電装置とを備えたエアゾール製品であって、
前記噴射装置及び前記誘導帯電装置は、噴射帯電モジュールとしてモジュール化されることにより、前記エアゾール容器に対して一体的に着脱可能に構成されており、
前記噴射帯電モジュールは、前記エアゾール容器に取り付けられた状態であるか取り外された状態であるかを、前記エアゾール容器に接触しているか否かによって検出する検出部と、該エアゾール容器から取り外された状態になると、前記噴射ボタンの操作に伴う誘導帯電装置の起動を防止するように構成された起動防止部とを備えている。
【0006】
この構成によれば、前記噴射装置及び前記誘導帯電装置が前記噴射帯電モジュールとしてモジュール化されているので、前記噴射装置及び前記誘導帯電装置を前記エアゾール容器に対して一体的に着脱でき、例えばエアゾール組成物を使い切ったとき等にエアゾール容器を簡単に交換できる。また、前記噴射帯電モジュールが前記エアゾール容器から取り外された状態では、前記検出部及び前記起動防止部により、前記噴射ボタンの操作に伴う誘導帯電装置の起動が防止されるので、ユーザの感電を防止することができる。
【0007】
前記エアゾール製品としては、特に限定されないが、次の態様を例示する。
【0008】
(1)前記起動防止部は、前記噴射ボタン及び前記起動手段の機械的な連動を許可する連動許可状態及び連動を禁止する連動禁止状態を切り替えるように構成されており、
前記噴射帯電モジュールは、前記検出部により前記取り付けられた状態であることを検出すると前記起動防止部により前記連動許可状態に切り替え、前記検出部により前記取り外された状態であることを検出すると前記起動防止部により前記連動禁止状態に切り替えるように構成された態様。
【0009】
(2)前記起動防止部は、前記噴射ボタンの押下を許可する押下許可状態及び押下を禁止する押下禁止状態を切り替えるように構成されており、
前記噴射帯電モジュールは、前記検出部により前記取り付けられた状態であることを検出すると前記起動防止部により前記押下許可状態に切り替え、前記検出部により前記取り外された状態であることを検出すると前記起動防止部により前記押下禁止状態に切り替えるように構成された態様。
【0010】
(3)前記起動防止部は、前記誘導帯電装置の電気的な起動を許可する起動許可状態及び起動を禁止する起動禁止状態を切り替えるように構成されており、
前記噴射帯電モジュールは、前記検出部により前記取り付けられた状態であることを検出すると前記起動防止部により前記起動許可状態に切り替え、前記検出部により前記取り外された状態であることを検出すると前記起動防止部により前記起動禁止状態に切り替えるように構成された態様。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るエアゾール製品によれば、エアゾール容器を簡単に交換できるとともに、該交換時におけるユーザの感電を防止することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を具体化した第一実施形態に係るエアゾール製品を前方から見た斜視図である。
【図2】同エアゾール製品を後方から見た分解斜視図である。
【図3】同エアゾール製品の正面図である。
【図4】同エアゾール製品の平面図である。
【図5】図3のV−V線断面図であり、(a)は噴射帯電モジュールをエアゾール容器に取り付けた状態、(b)は噴射帯電モジュールをエアゾール容器から取り外した状態をそれぞれ示している。
【図6】同エアゾール製品の電気回路の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明を具体化した第二実施形態に係るエアゾール製品を後方から見た分解斜視図である。
【図8】同エアゾール製品の噴射帯電モジュールの分解斜視図である。
【図9】図7のIX−IX線断面図であり、(a)は噴射帯電モジュールをエアゾール容器に取り付けた状態、(b)は噴射帯電モジュールをエアゾール容器から取り外した状態をそれぞれ示している。
【図10】本発明を具体化した第三実施形態に係るエアゾール製品を後方から見た分解斜視図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図であり、(a)は噴射帯電モジュールをエアゾール容器に取り付けた状態、(b)は噴射帯電モジュールをエアゾール容器から取り外した状態をそれぞれ示している。
【図12】同エアゾール製品の電気回路の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明を具体化した第四実施形態に係るエアゾール製品を後方から見た分解斜視図である。
【図14】図13のXIV−XIV線断面図であり、(a)は噴射帯電モジュールをエアゾール容器に取り付けた状態、(b)は噴射帯電モジュールをエアゾール容器から取り外した状態をそれぞれ示している。
【図15】本発明の噴射帯電モジュールの変更例を示す斜視図である。
【図16】同噴射帯電モジュールの別の変更例を示す斜視図である。
【図17】従来の静電帯電エアゾール噴霧システムの全体的な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜図6は本発明を具体化した第一実施形態のエアゾール製品1を示している。このエアゾール製品1は、図1〜図5に示すように、バルブ21が固着されたエアゾール容器2と、エアゾール容器2内部に充填されるエアゾール組成物と、バルブ21に装着され、噴射ボタン20が押下されるとエアゾール容器2内の前記エアゾール組成物を細かい霧状の噴霧にして噴射する噴射装置17と、噴射ボタン20の押下に連動する起動手段としての起動スイッチ4を有し、前記噴射に連動して起動され前記噴霧を誘導帯電させる誘導帯電装置18とを備えている。噴射装置17及び誘導帯電装置18は、噴射帯電モジュール19としてモジュール化されることにより、エアゾール容器2に対して一体的に着脱可能に構成されている。
【0014】
エアゾール容器2は、耐圧性を有する有底筒状に形成されたものであり、公知の構成のものを適宜採用できる。本例のエアゾール容器2は、有底筒状の胴部2aを備えるとともに、該胴部2aの上端にビード2bが形成されており、ビード2bにはステム21aを有するバルブ21がクリンプされている。そして、バルブ21のステム21aが押し下げられると、バルブ21が開放され、エアゾール容器2の内部に充填されたエアゾール組成物がステム21aから外部に噴射されるように構成されている。エアゾール容器2の材質としては、内部のエアゾール組成物を誘導帯電装置18のアース電位にすることを容易にするために、導電性を有するもの(導電性の金属等)にすることが好ましい。
【0015】
エアゾール組成物は、原液と噴射剤とからなっている。原液としては、特に限定されないが、殺虫成分、害虫忌避成分、消臭成分、芳香成分、殺菌・消毒成分、洗浄成分、ペイント成分、防錆成分、潤滑成分などの空間、カーテン、ガラス、衣類、壁、機械類などに家庭用や工業用として使用される有効成分や、制汗成分、殺菌・消毒成分、消炎鎮痛成分、鎮痒成分、保湿成分、害虫忌避成分、芳香成分などの皮膚に使用される有効成分や、スタイリング成分、トリートメント成分、カラーリング成分、保湿成分、芳香成分などの頭髪に使用される有効成分などを配合したものを例示する。噴射剤としては、特に限定されないが、液化石油ガス、ジメチルエーテル、フロン類などの液化ガス、チッ素ガス、炭酸ガス、亜酸化チッ素ガス、圧縮空気などの圧縮ガス、さらには前記液化ガスと圧縮ガスの混合物などを例示する。これらの原液及び噴射剤は、用途や目的などに応じて適宜選択される。なお、帯電させやすく、帯電による効果が得られやすい点から霧状で噴射しうるエアゾール組成物が好ましい。
【0016】
噴射帯電モジュール19は、ベース3と、該ベース3に被せられるキャップ6とを有するとともに、これらの内部に装備された噴射装置17と誘導帯電装置18を備えている。
【0017】
ベース3は、略円盤状に形成されたベース本体25と、その略中央に貫設された貫通孔26と、該貫通孔26の後側に設けられたベースヒンジ27と、底面における貫通孔26及びベースヒンジ27の周囲に設けられ、エアゾール容器2の上部(ビード2b等)に係脱自在に係合するベース係合部28と備えている。本例のベースヒンジ27は、ヒンジ本体27aと、該ヒンジ本体27aをベース本体25に連結する可撓部27bとを備えており、図5(b)に示すように外部から力が加わっていない状態ではヒンジ本体27aが斜め下方に傾斜しているが、図5(a)に示すようにベース3がエアゾール容器2に取り付けられた状態では可撓部27bが変形することによりヒンジ本体27aがビード2bに押し上げられ、略水平に位置するように形成されている。
【0018】
噴射装置17は、ベース3の貫通孔26に下部が挿入され、エアゾール容器2のステム21aに装着され、エアゾール組成物を噴射する噴射口5aを有する噴射部材5と、該噴射部材5の上部に前後方向の中央部が左右方向に延びる軸22で揺動自在に軸支されるとともに、キャップ6の天井部に前端部が左右方向に延びる軸23で揺動自在に軸支されたノズルレバー7とを備えている。噴射ボタン20の後部には、該噴射ボタン20の押下に連動して起動スイッチ4を押下するための連動押下部5bが突設されている。本例では、これらのうちの噴射部材5及びノズルレバー7が噴射ボタン20を構成している。そして、ノズルレバー7を押し下げると、噴射部材5とともにステム21aが押し下げられてエアゾール組成物がステム21a、噴射部材5を介して外部に噴射されると同時に起動スイッチ4が押下されるようになっている。
【0019】
誘導帯電装置18は、図6に示すように、電源としての電池14と、該電池14に接続された起動スイッチ4と、該起動スイッチ4を介して接続された電池14により駆動される高電圧発生装置13と、該高電圧発生装置13の出力側に接続された電極8と、該高電圧発生装置13に接続された電池残量表示手段としての電池残量表示LED15とを備えており、高電圧発生装置13のアース側は金属製のエアゾール容器2に接続されている(図示略)。本例の電極8は環状に形成されており、その上部には該電極8をベース3に立設された電極支持柱16の上端に前後位置調節可能に取り付けるための電極取付部8aが一体的に形成されている。起動スイッチ4は、ベースヒンジ27の上に取り付けられている。図5(a)に示すようにベース3がエアゾール容器2に取り付けられた状態では、ベースヒンジ27はエアゾール容器2のビード2bに接触して押し上げられた水平姿勢になることにより、起動スイッチ4が噴射ボタン20の連動押下部5bの下方に位置した連動許可状態となり、該噴射ボタン20の押下に伴って連動押下部5bが起動スイッチ4を押下するように構成されている。また、図5(b)に示すようにベース3がエアゾール容器2から取り外された状態では、ベースヒンジは下方に傾斜した傾斜姿勢になることにより、起動スイッチ4のボタンが連動押下部5bの下方から退避した連動禁止状態になり、噴射ボタン20が押下されても連動押下部5bが起動スイッチ4のボタンを押下しないように構成されている。このように本例のベースヒンジ27は、エアゾール容器2に取り付けられた状態であるか取り外された状態であるかを、エアゾール容器2に接触しているか否かによる姿勢の変化により検出する検出部の機能と、噴射ボタン20及び起動スイッチ4の連動を許可する連動許可状態及び連動を禁止する連動禁止状態を切り替える起動防止部との両方の機能を兼ねた構成となっている。
【0020】
キャップ6は、ノズルレバー7の後端部と、電池残量表示LED15と、噴射部材5の噴射口5aとをそれぞれ外部に露出させる開口が設けられているとともに、ベース3の周縁部に係脱自在に係合するキャップ係合部6aを備えている。キャップ係合部6a及びベース3の係合は、ベース係合部28及びバルブ装着部分の係合並びに噴射部材5及びステム21aの係合と比較して相対的に強く係合するように構成されており、ユーザがキャップ6を持って、それをエアゾール容器2の上方に引き上げると、ベース係合部28及びバルブ装着部分の係合並びに噴射部材5及びステム21aの係合が外れ、噴射帯電モジュール19が、エアゾール容器2に対して一体的に取り外せるようになっている。また、この逆を行うことにより、噴射帯電モジュール19をエアゾール容器2に対して一体的に取り付けることができるようになっている。
【0021】
以上のように構成された本例のエアゾール製品1によれば、噴射装置17及び誘導帯電装置18が噴射帯電モジュール19としてモジュール化されているので、噴射装置17及び誘導帯電装置18をエアゾール容器2に対して一体的に着脱でき、例えばエアゾール組成物を使い切ったとき等にエアゾール容器2を簡単に交換できる。また、噴射帯電モジュール19がエアゾール容器2から取り外された状態では、前記検出部及び前記起動防止部により、噴射ボタン20の操作に伴う誘導帯電装置18の起動が防止されるので、ユーザの感電を防止することができる。
【0022】
次に、図7〜図9は本発明を具体化した第二実施形態を示している。このエアゾール製品1は、以下に示す点において、主に第一実施形態と相違している。従って、同実施形態と共通する部分については、同一符号を付することにより重複説明を省く。
【0023】
本例のベース3は、ベースヒンジ27を備えておらず、起動スイッチ4は、第一実施形態における連動許可状態に相当する位置に固定されている。
【0024】
本例の検出部は、ベース本体25を上下に貫通するガイド縦孔30と、該ガイド縦孔30にスライド自在に挿入された検出ピン11と、ベース本体25の底面側及び検出ピン11の間に介装され、該検出ピン11を下方に付勢する付勢手段としてのスプリング12とを備えている。検出ピン11の上部には、該検出ピン11のガイド縦孔30からの抜けを防止する上部抜け止め部11aが設けられており、下部には、該検出ピン11からのスプリング12の抜けを防止するとともに、検出ピン11の上方への所定長以上のスライドを規制する下部抜止め部11bが設けられている。検出ピン11の上端部11cは二股に形成されている。この検出部は、図9(b)に示すように噴射帯電モジュール19がエアゾール容器2から取り外された状態ではスプリング12により検出ピン11が下方にスライドした位置となっているが、図9(a)に示すように噴射帯電モジュール19がエアゾール容器2に取り付けられた状態になると検出ピン11の下端がエアゾール容器2に接触することにより上方にスライドした位置になるように構成されている。
【0025】
起動防止部は、キャップ6の内周面に形成されたガイド横孔32と、該ガイド横孔32に基端部がスライド自在に挿入されるとともに、噴射部材5の側面に設けられたロック孔5cに先端部が挿脱自在なロックピン9と、ガイド横孔32及びロックピン9の間に介装され、該ロックピン9の先端部がロック孔5cに進入する方向に付勢する付勢手段としてのスプリング10とを備えている。ロックピン9は、その長さ方向の途中部に該ロックピン9からのスプリング10の抜けを防止する抜止め部9aが設けられるとともに、該抜け止め部よりもロックピン9の先端側(反ガイド横孔側)には、検出ピン11の上端部により駆動される被駆動凸部9bが突設されている。ロックピン9の先端部は、検出ピン11の上端部11cの二股の間に配設されている。検出ピン11における被駆動凸部9bへの対峙面は、上端側になるほどロックピン9の先端側になるように形成された傾斜面となっている。このため、図9(b)に示すように噴射帯電モジュール19がエアゾール容器2から取り外された状態では、検出ピン11が下方にスライドした位置になり、被駆動凸部9bを介してロックピン9の先端部が噴射部材5のロック孔5cに進入するように駆動され、噴射部材5が上下動しないようにロックされる(押下禁止状態)。この一方、図9(a)に示すように噴射帯電モジュール19がエアゾール容器2に取り付けられた状態では、検出ピン11が上方にスライドした位置になり、被駆動凸部9bを介してロックピン9の先端部が噴射部材5のロック孔5cから脱出するように駆動され、噴射部材5のロックが解除される(押下許可状態)。
【0026】
以上のように、本例のエアゾール製品1においては、前記起動防止部は、噴射ボタン20の押下を許可する押下許可状態及び押下を禁止する押下禁止状態を切り替えるように構成されており、噴射帯電モジュール19は、前記検出部により前記取り付けられた状態であることを検出すると前記起動防止部により前記押下許可状態に切り替え、前記検出部により前記取り外された状態であることを検出すると前記起動防止部により前記押下禁止状態に切り替えるように構成されている。そして、本例の構成によっても、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0027】
次に、図10〜図12は本発明を具体化した第三実施形態を示している。このエアゾール製品1は、以下に示す点において、主に第一実施形態と相違している。従って、同実施形態と共通する部分については、同一符号を付することにより重複説明を省く。
【0028】
本例の起動スイッチ4は、ベースヒンジ27の上方において、第一実施形態における連動許可状態に相当する位置に固定されている。
【0029】
本例の検出部は、第一実施形態と同様に構成されたベースヒンジ27を備えている。すなわち、本例のベースヒンジ27も、外部から力が加わっていない状態ではヒンジ本体27aが斜め下方に傾斜しているが、ベース3がエアゾール容器2に取り付けられた状態では、可撓部27bが変形することによりヒンジ本体27aがビード2bに押し上げられ、略水平に位置するように形成されている。
【0030】
本例の起動防止部は、図12に示すように起動スイッチ4と直列に接続されており、プッシュボタン34aがヒンジ本体27aの上面に対峙するように配設された起動許可スイッチ34を備えている。このため、図11(b)に示すように噴射帯電モジュール19がエアゾール容器2から取り外された状態では、ベースヒンジ27が傾斜した状態になり、起動許可スイッチ34が押下されない(起動禁止状態)。この一方、図11(a)に示すように噴射帯電モジュール19がエアゾール容器2に取り付けられた状態では、ベースヒンジ27が水平な状態になることにより、ヒンジ本体27aにより起動許可スイッチ34が押下される(起動許可状態)。
【0031】
以上のように、本例のエアゾール製品1においては、前記起動防止部は、誘導帯電装置18の電気的な起動を許可する起動許可状態及び起動を禁止する起動禁止状態を切り替えるように構成されており、噴射帯電モジュール19は、前記検出部により前記取り付けられた状態であることを検出すると前記起動防止部により前記起動許可状態に切り替え、前記検出部により前記取り外された状態であることを検出すると前記起動防止部により前記起動禁止状態に切り替えるように構成されている。そして、本例の構成によっても、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0032】
次に、図13〜図14は本発明を具体化した第四実施形態を示している。このエアゾール製品1は、以下に示す点において、主に第三実施形態と相違している。従って、同実施形態と共通する部分については、同一符号を付することにより重複説明を省く。
【0033】
本例では、起動許可スイッチ34が検出部及び起動防止部の両方の機能を兼ねた構成となっている。すなわち、本例では、ベースヒンジ27を省くとともに、該ベースヒンジ27が設けられていた位置に貫通窓35を設け、該貫通窓35を介して起動許可スイッチ34のプッシュボタン34aがエアゾール容器2のビード2bの上面に対峙する位置となるように、起動許可スイッチ34を配設している。そして、図14(b)に示すように噴射帯電モジュール19がエアゾール容器2から取り外された状態では、起動許可スイッチ34が押下されない(起動禁止状態)。この一方、図14(a)に示すように噴射帯電モジュール19がエアゾール容器2に取り付けられた状態では、ビード2bにより起動許可スイッチ34が押下される(起動許可状態)。
【0034】
本例のエアゾール製品1によっても、第三実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0035】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)図15に示すように、電極支持柱16の高さを高く形成するとともに、電極取付部8aにおける下垂部位の下垂長さを長く形成することにより、電極8から高電圧発生装置13までの沿面距離を確保するとともに、電極8や電極取付部8aの表面に付着した液滴が重力で下方に流れ易くすることにより、該液滴の連続膜が高電圧発生装置側へ成長することを防止すること。これらにより、漏電の発生を防止する。
(2)図16に示すように、電極支持柱16を省き、電極取付部8aの先端部を高電圧発生装置13の高電圧出力端子に直接接続することにより、構造を簡単化すること。
(3)ノズルレバー7を省くことにより、噴射ボタン20を噴射部材5だけで構成すること。
【符号の説明】
【0036】
1 エアゾール製品
2 エアゾール容器
2a 胴部
2b ビード
3 ベース
4 起動スイッチ
5 噴射部材
5a 噴射口
5b 連動押下部
5c ロック孔
6 キャップ
6a キャップ係合部
7 ノズルレバー
8 電極
8a 電極取付部
9 ロックピン
9a 抜止め部
9b 被駆動凸部
10 スプリング
11 検出ピン
11a 上部抜止め部
11b 下部抜止め部
11c 上端部
12 スプリング
13 高電圧発生装置
14 電池
15 電池残量表示LED
16 電極支持柱
17 噴射装置
18 誘導帯電装置
19 噴射帯電モジュール
20 噴射ボタン
21 バルブ
21a ステム
22 軸
23 軸
25 ベース本体
26 貫通孔
27 ベースヒンジ
27a ヒンジ本体
27b 可撓部
28 ベース係合部
30 ガイド縦孔
32 ガイド横孔
34 起動許可スイッチ
34a プッシュボタン
35 貫通窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブが固着されたエアゾール容器と、
前記エアゾール容器内部に充填されるエアゾール組成物と、
前記バルブに装着され、噴射ボタンが押下されると前記エアゾール容器内の前記エアゾール組成物を細かい霧状の噴霧にして噴射する噴射装置と、
前記噴射ボタンの押下に連動する起動手段を有し、前記噴射に連動して起動され前記噴霧を誘導帯電させる誘導帯電装置とを備えたエアゾール製品であって、
前記噴射装置及び前記誘導帯電装置は、噴射帯電モジュールとしてモジュール化されることにより、前記エアゾール容器に対して一体的に着脱可能に構成されており、
前記噴射帯電モジュールは、前記エアゾール容器に取り付けられた状態であるか取り外された状態であるかを、前記エアゾール容器に接触しているか否かによって検出する検出部と、該エアゾール容器から取り外された状態になると、前記噴射ボタンの操作に伴う誘導帯電装置の起動を防止するように構成された起動防止部とを備えたエアゾール製品。
【請求項2】
前記起動防止部は、前記噴射ボタン及び前記起動手段の機械的な連動を許可する連動許可状態及び連動を禁止する連動禁止状態を切り替えるように構成されており、
前記噴射帯電モジュールは、前記検出部により前記取り付けられた状態であることを検出すると前記起動防止部により前記連動許可状態に切り替え、前記検出部により前記取り外された状態であることを検出すると前記起動防止部により前記連動禁止状態に切り替えるように構成された請求項1記載のエアゾール製品。
【請求項3】
前記起動防止部は、前記噴射ボタンの押下を許可する押下許可状態及び押下を禁止する押下禁止状態を切り替えるように構成されており、
前記噴射帯電モジュールは、前記検出部により前記取り付けられた状態であることを検出すると前記起動防止部により前記押下許可状態に切り替え、前記検出部により前記取り外された状態であることを検出すると前記起動防止部により前記押下禁止状態に切り替えるように構成された請求項1記載のエアゾール製品。
【請求項4】
前記起動防止部は、前記誘導帯電装置の電気的な起動を許可する起動許可状態及び起動を禁止する起動禁止状態を切り替えるように構成されており、
前記噴射帯電モジュールは、前記検出部により前記取り付けられた状態であることを検出すると前記起動防止部により前記起動許可状態に切り替え、前記検出部により前記取り外された状態であることを検出すると前記起動防止部により前記起動禁止状態に切り替えるように構成された請求項1記載のエアゾール製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−540(P2012−540A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135628(P2010−135628)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000100469)みのる産業株式会社 (158)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】