説明

エアチューブの取り外し具

【課題】ワンタッチ式継手からエアチューブを取り外す際の作業性を向上できるエアチューブの取り外し具を提供する。
【解決手段】ワンタッチ式継手からエアチューブを取り外すためのエアチューブの取り外し具1Aであって、エアチューブを挟んだ状態でその外周に沿わせることができる案内部2と、案内部2をエアチューブに沿わせた状態でワンタッチ式継手の解放リングに突き当てられる先端部2aと、案内部2から延びていて作業者にて把持される把持部3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワンタッチ式継手に取り付けられたエアチューブを取り外すための取り外し具に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるワンタッチ式継手は従来から空気圧配管に広く利用されている。この継手はエアチューブを挿入するだけでロック爪によりエアチューブをロックできるように構成されている。また、挿入されたエアチューブの外周には解放リングが位置しており、その解放リングはロック爪と連動するようになっている。この解放リングをエアチューブの挿入方向に押し込むことにより、ロック爪がエアチューブから離れエアチューブのロックが解放される。そのロックの解放は作業者の手作業により行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
こうしたワンタッチ式継手(サムラッチ式継手とも呼ばれる。)は、空気圧配管系の様々な場所に配置されることがある。例えば、作業者の手が届かない場所に継手が設置されていたり、或いは多数の継手が密集している場合などには、エアチューブを継手から取り外す作業が困難を極める。
【0004】
そこで、本発明は、ワンタッチ式継手からエアチューブを取り外す際の作業性を向上できるエアチューブの取り外し具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、本発明のエアチューブの取り外し具について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0006】
本発明の取り外し具は、ロックされたエアチューブ(TB)の外周に位置する解放リング(107)が押し込まれることによりエアチューブのロックを解放可能なワンタッチ式継手(100)からエアチューブを取り外すためのエアチューブの取り外し具(1A、1B)であって、前記エアチューブを挟んだ状態でその外周に沿わせることができる案内部(2、12)と、前記案内部と一体に形成されて前記案内部を前記エアチューブに沿わせた状態で前記ワンタッチ式継手の前記解放リングに突き当てられる突き当て部(2a、12a)と、前記案内部から延びていて作業者にて把持される把持部(3、13)と、を備えることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
この取り外し具によれば、把持部を把持した作業者が、ワンタッチ式継手から延びているエアチューブの外周に案内部を沿わせながら継手に向けて動かすことにより、案内部と一体の突き当て部を解放リングに正確に突き当てることができる。そして、突き当て部を解放リングに突き当てた状態で作業者が取り外し具を押し込むことにより、解放リングに触れずに解放リングが押し込まれるので、エアチューブのロックを簡単に解放することができる。そのため、エアチューブの取り外し作業を行うべき継手が作業者の手の届かない場所に配置されていても、案内部を利用することによって狙いが定め易くなり、突き当て部を正確に解放リングに突き当てることができる。これにより、ワンタッチ式継手からエアチューブを取り外す際の作業性が向上する。なお、把持部の長さは適宜定めてよく、また、把持部には作業者が把持し易くするため外径が拡大した拡径部が設けられてもよい。
【0008】
本発明の取り外し具の一態様において、前記案内部は、前記把持部に対して所定方向に曲がりかつ先端部(2a)が二股に分かれるように構成されており、前記先端部が前記突き当て部として機能してもよい。この態様によれば、案内部が把持部に対して所定方向に曲がっているためエアチューブに対する側方からのアクセスが容易になる。このため、二股に分かれた先端部でエアチューブを挟むことが容易になり作業性が更に向上する。
【0009】
本発明の取り外し具の一態様において、前記案内部は、端面(12a)が非環状となるように管状部材(P)の少なくとも一部が切除されることにより構成されており、非環状の前記端面が前記突き当て部として機能してもよい。この態様によれば、管状部材の一部を切除することにより案内部を構成できるため加工が容易である。また、内径がエアチューブの外径よりも大きくかつ外径が解放リングの外径以下となるように管状部材を薄肉にすることで、多数のワンタッチ式継手が密集して配置されている場合であっても、取り外し対象の継手に隣接する他の継手に影響を与えずにエアチューブの取り外し作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明の取り外し具によれば、エアチューブの取り外し作業を行うべき継手が作業者の手の届かない場所等に配置されていても、案内部を利用することによって狙いが定め易くなり、突き当て部を正確に解放リングに突き当てることができる。これにより、ワンタッチ式継手からエアチューブを取り外す際の作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の形態)
図1は本発明の第1の形態に係るエアチューブの取り外し具の外観を示した斜視図であり、図2はワンタッチ式継手の構成を説明する断面模式図である。まず、図2を参照しながら、ワンタッチ式継手の構造及びその機能を説明する。ワンタッチ式継手(以下、継手と略す。)100は、外周に雄ねじが形成された金属製の金属本体101と、金属本体101にOリング103を介在させた状態で嵌め込まれた樹脂製の樹脂本体102とを備えている。これら本体101、102は圧縮空気等の流体を導くことができるように中空に構成されている。
【0012】
樹脂本体102の端部には柔軟性のあるエアチューブTBをロックするロック機構104が設けられている。ロック機構104は、挿入されたエアチューブTBに噛み込むロック爪105と、ロック爪105を支持するガイドリング106と、ガイドリング106の内周に移動可能に装着され、エアチューブTBの外周に位置する解放リング107とを有している。エアチューブTBがロック機構104に挿入されると、ロック爪105がエアチューブTBの外周に噛み込むため、エアチューブTBが引き抜けないようにロックされる。なお、ロックされたエアチューブTBと樹脂本体102とをシールするため、これらの間にはゴム等の弾性体で構成された弾性体スリーブ108が装着されている。解放リング107はそのスリーブ部107aがロック爪105と突き当たるように設けられていて、解放リング107がエアチューブTBの挿入方向(図2の左方向)に押し込まれるとロック爪105は径方向外側に変位する。これによりロック爪105がエアチューブTBから離れてロックが解放される。従って、解放リング107を押し込みながらエアチューブTBを引っ張ることにより、継手100からエアチューブTBを取り外すことができる。
【0013】
図1に示した取り外し具1Aは継手100からエアチューブTBを取り外すための工具として構成されている。取り外し具1Aは先端部2aが二股に分かれた案内部2と、案内部2から延びていて作業者にて把持される把持部3とを備えている。案内部2は、その先端部2aが二股に分かれているため、その二股の間にエアチューブTBを挟んだ状態でその外周に沿わせることができる。案内部2は把持部3に対して所定方向に曲がっている。本形態では案内部2が把持部3に対して鈍角をなすように曲がっている。
【0014】
把持部3は丸棒状のロッド部5と、ロッド部5の端部に取付けられてロッド部5よりも外径が拡大した拡径部6とを有している。拡径部6は作業者が握り易くするために設けられたものであり、金属製のロッド部5とは材質の異なるゴム等の樹脂材料にて構成されている。把持部3の長さは用途に応じて適宜設定できる。また、把持部3を案内部2から取り外し可能とし、長さの異なる複数の把持部3を案内部2に付け替えるようにすることも可能である。
【0015】
図3は、取り外し具1Aの使用方法を示した説明図である。まず、図3の(a)に示すように、取り外し具1AをエアチューブTBの側方から接近させて、二股の先端部2aでエアチューブTBを挟むようにする。次に、図3(b)に示すように、案内部2の二股の付け根をエアチューブTBに沿わせながら、取り外し具1Aを継手100に向かって移動させる。この際にはエアチューブTBを作業者が支持しているとよい。案内部2をエアチューブTBに沿わせた状態で移動させると先端部2aが継手100の解放リング107に突き当たる。そして、図3(c)に示すように、先端部2aを解放リング107に突き当てた状態で、矢印方向に取り外し具1Aを押し込むと、解放リング107が押し込まれてエアチューブTBのロックが解放される。このように、案内部2の先端部2aは案内部2と一体であり、案内部2をエアチューブTBに沿わせた状態で継手100の解放リング107に突き当てられるから、この形態の先端部2aは本発明に係る突き当て部として機能する。
【0016】
本形態の取り外し具1Aによれば、案内部2をエアチューブTBに沿わせながら継手100に向けて動かすことにより、案内部2の先端部2aを解放リング107に正確に突き当てることができる。そして、先端部2aを解放リング107に突き当てた状態で取り外し具1Aを押し込むことにより、作業者が解放リング107に触れなくても解放リング107を押し込むことができる。従って、エアチューブTBの取り外しを行うべき継手100が作業者の手の届かない場所に配置されていても、案内部2を利用することによって狙いが定め易くなり、その先端部2aを正確に解放リング107に突き当てることができる。これにより、継手100からエアチューブTBを取り外す際の作業性が向上する。また、取り外し具1Aは、その案内部2が把持部3に対して所定方向に曲がっているためエアチューブTBの側方からのアクセスが容易になり作業性が更に向上する。
【0017】
(第2の形態)
次に、図4及び図5を参照しながら本発明の第2の形態を説明する。図4は第2の形態に係る取り外し具1Bの外観を示した斜視図であり、図5は取り外し具1Bの使用方法を示した説明図である。
【0018】
図4に示すように、取り外し具1Bは継手100からエアチューブTBを取り外すための工具として構成されていて、エアチューブTBに沿わせることができる案内部12と、案内部12から延びていて作業者にて把持される把持部13とを備えている。
【0019】
案内部12は、その端面12aが非還状であるC字状となるように管状部材としての薄肉円筒管Pの一部が長手方向に切除されることにより構成されている。薄肉円筒管Pの一部が切除されたため、端面12aから案内部12の終端12bまでの横断面形状はC字状になっている。案内部12は薄肉円筒管Pの切除により構成されるので、案内部12の加工が容易である。端面12aから終端12bまでの断面非環状の部分は開放部12cを構成する。これにより、案内部12は、その開放部12cによってエアチューブTBを挟んだ状態でその外周に沿わせることができる。案内部12の構成材料である薄肉円筒管Pは、内径がエアチューブTBの外径よりも大きくかつ外径が解放リングTBの外径以下となるように肉厚t及びその外径φがそれぞれ設定されている。
【0020】
把持部13は案内部12から一体に延びる中空ロッド部15を有しており、そのロッド部15の端部には外径が拡大した拡径部16が設けられている。拡径部16は作業者が握り易くするために設けられたものであり、金属製のロッド部15とは材質の異なるゴム等の樹脂材料にて構成されている。
【0021】
次に図5を参照して取り外し具1Bの使用方法を説明する。まず、図5(a)に示すように、案内部12の開放部12cにエアチューブTBが挟まれるように取り外し具1Bを沿わせる。次に、図5(b)に示すように、案内部12にエアチューブTBを沿わせながら取り外し具1Bを継手100に向かって移動させて、想像線で示すように端面12aを解放リング107に突き当てる。この際にはエアチューブTBを作業者が支持しているとよい。そして、図5(c)に示すように、端面12aを解放リング107に突き当てた状態で、矢印方向に取り外し具1Bを押し込むと、解放リング107が押し込まれてエアチューブTBのロックが解放される。このように、案内部12の端面12aは案内部12と一体であり、案内部12をエアチューブTBに沿わせた状態で継手100の解放リング107に突き当てられるから、この形態において端面12aは本発明に係る突き当て部として機能する。
【0022】
本形態の取り外し具1Bによれば、第1の形態の取り外し具1Aと同様にエアチューブTBの取り外し作業の作業性が向上する。また、上述したように、案内部12の構成材料である薄肉円筒管Pは、内径がエアチューブTBの外径よりも大きくかつ外径が解放リングTBの外径以下となるように肉厚t及び外径φがそれぞれ設定されている。このため、図5に示したように、多数の継手100が密集し、隣接するエアチューブTB間の間隔Gが狭い場合でも、案内部12を構成する薄肉円筒管Pの肉厚が薄いため、他の継手100やエアチューブTBに影響を与えずに取り外し具1Bを動かして取り外し作業を行うことができる。
【0023】
本発明は以上の各形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内において種々の形態にて実施できる。第1の形態では、案内部が把持部に対して鈍角をなすように曲げられているが、その曲げの角度は適宜設定してよい。例えば、案内部を把持部に対して直角又は鋭角をなすように曲げて実施してもよい。また、第2の形態では、管状部材として円筒管を用いたが管状であればその断面形状は問わない。従って、管状部材の一部を切除することにより、端面がU字状、コ字状、V字状その他の非環状になる形態で実施することもできる。また、第2の形態では、管状部材の一部を切除して案内部を構成しているが、その一部だけを切除することに限定されるものではない。従って、管状部材の少なくとも一部が切除されていればよく、例えば管状部材を長手方向に亘って全て切除して案内部を構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の形態に係るエアチューブの取り外し具の外観を示した斜視図。
【図2】ワンタッチ式継手の構成を説明する断面模式図。
【図3】第1の形態に係る取り外し具の使用方法を示した説明図。
【図4】第2の形態に係るエアチューブの取り外し具の外観を示した斜視図。
【図5】第2の形態に係る取り外し具の使用方法を示した説明図。
【符号の説明】
【0025】
1A、1B 取り外し具
2 案内部
2a 先端部(突き当て部)
3 把持部
12 案内部
12a 端面(突き当て部)
13 把持部
100 ワンタッチ式継手
107 解放リング
TB エアチューブ
P 薄肉円筒管(管状部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックされたエアチューブの外周に位置する解放リングが押し込まれることによりエアチューブのロックを解放可能なワンタッチ式継手からエアチューブを取り外すためのエアチューブの取り外し具であって、
前記エアチューブを挟んだ状態でその外周に沿わせることができる案内部と、前記案内部と一体に形成されて前記案内部を前記エアチューブに沿わせた状態で前記ワンタッチ式継手の前記解放リングに突き当てられる突き当て部と、前記案内部から延びていて作業者にて把持される把持部と、を備えることを特徴とするエアチューブの取り外し具。
【請求項2】
前記案内部は、前記把持部に対して所定方向に曲がりかつ先端部が二股に分かれるように構成されており、前記先端部が前記突き当て部として機能している請求項1に記載の取り外し具。
【請求項3】
前記案内部は、端面が非環状となるように管状部材の少なくとも一部が切除されることにより構成されており、非環状の前記端面が前記突き当て部として機能している請求項1に記載の取り外し具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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