説明

エアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システム

【課題】電動ファンで断熱空気層へ空気を吹き込み膨張させるかぎり、一定層厚の断熱空気層が形成され、一定層厚を超過する過剰な空気は自ら排気口を形成して一定層厚を保ち、優れた断熱効果を期待でき、電動ファンの運転制御の必要がないエアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システムを提供する。
【解決手段】内側の空気層形成フィルム20は、固定端20aから展張した他方の固定端20bを排気口部Bの手前側口縁部に止着され、外側の空気層形成フィルム30は固定端30aから展張した他方の固定端30bが排気口部Bを跨いで反対側のハウス1側面に止着され、同止着位置で一方の固定端21aを止着された内側の空気層形成フィルム21の他方の固定端21bが排気口部Bの手前側口縁部に止着されている。内側の空気層形成フィルム20、21の排気口部Bと隣接する固定端20b、21bの位置に給気用チューブ6が設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所謂ビニールハウスと通称される簡易構造の温室のハウス外郭体又は室内側カーテンとして、内外二重の空気層形成フィルムで気密な断熱空気層を形成し、同断熱空気層へ空気を吹き込んで膨張させることにより断熱空気層によるハウス外郭体又は室内側カーテンを形成するエアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システムの技術分野に属し、更に云えば、電動ファンで断熱空気層へ空気を吹き込み膨張させるかぎり、一定層厚の断熱空気層が形成され、一定層厚を超過する過剰な空気は自ら排気口を形成してオーバーフローすることで一定層厚を保ち、優れた断熱効果を期待でき、電動ファンの運転制御の必要がないエアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜・花卉の栽培に利用されるエアハウスとして、合成樹脂シートで成る内外二重の空気層形成フィルムで気密な断熱空気層を形成し、同断熱空気層へ空気を吹き込んで同断熱空気層を膨張させることにより断熱空気層を有するハウス外郭体が形成された構成(例えば下記特許文献1〜3に開示)が知られており、既に実用に供されている。
前記空気層形成フィルムで保温性を高めたエアハウスを実施すると、現状の重油を燃やす暖房費を約30%節減できると試算されている。また、通常のビニールハウスでも屋根部分や側面部分に内張りカーテンを設置すると断熱保温の効果が上がることが知られている。更に、その内張カーテンを空気層形成フィルムで構成すると、やはり暖房費を約20%節減できると試算されている。
【0003】
下記特許文献1及び2に記載された発明は、ハウスフレームを構成する支柱に設置したブロワー型送風機により、配管を通じて内外二重の断熱空気層内へ空気を強制的に吹き込み膨張させて断熱空気層を有するハウス外郭体を形成する構成である。
断熱空気層を有するハウス外郭体を形成できる点において優れているが、前記ブロワー型送風機は、概して大型且つ大重量であり、専用の取り付け台座を支柱等のハウスフレームに加工する必要があり、その設置作業及び交換作業が大変面倒である。また、ブロワー型送風機は、概して風圧が大きいので、ビニールシートが必要以上に膨張し、ひいては破裂する虞がある、等々の問題がある。
【0004】
そこで、本出願人は、下記特許文献3に開示されたエアハウスを開発し特許出願をした。このエアハウスは、二重のシートの断熱空気層内へ空気を強制的に吹き込む送風機として小型軽量のファン型送風機を使用し、該ファン型送風機をシートへ直接取り付けた構成である。即ち、下記特許文献1及び2に開示されたブロワー型送風機と比較して、専用の取り付け台座を不要とし、その設置作業及び交換作業の効率を向上させることができる。また風圧が小さいので、合成樹脂シートを破裂させる虞がない、等々の多くの利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−255291号公報
【特許文献2】特開平10−28484号公報
【特許文献3】特開2004−33065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示されたエアハウスには、ファン型送風機で吹き込まれた空気によって膨らむ断熱空気層の膨らみ具合(膨らみ厚さ)を適切に調整する手段については何ら記載されていない。前記エアハウスの断熱空気層として必要十分とされる膨らみ厚は、約15cm〜20cm程度であり、30cm以上になると断熱効果が殆ど変わらないことが確認されている。それ故、断熱空気層を常に適切な膨らみ厚とする手段として、作業員が適宜、断熱空気層の膨らみ具合(膨らみ厚さ)を確認して送風機を調整しながら断熱空気層へ空気を吹き込むか、或いは断熱空気層の膨らみ厚を計測して電動ファンの運転を自動制御する装置を設置する他ないのが現状である。
【0007】
そこで、本発明の目的は、温室のハウス外郭体又はエアカーテンを内外二重の空気層形成フィルムで気密な断熱空気層構造とする場合に、小型の電動ファンで断熱空気層へ空気を吹き込み膨張させて一定層厚の断熱空気層を形成するが、一定層厚を超過する過剰な空気は空気圧力を利用して自ら排気口を形成しオーバーフローさせることで一定層厚を保つことができ、優れた断熱効果を期待でき、一方、電動ファンについて運転制御の必要がなく軽便に使用できる、エアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係るエアハウスの空気給・排気システムは、
ハウス外郭体として合成樹脂シートで成る内外二重の空気層形成フィルムにより気密な断熱空気層が形成され、同断熱空気層へ電動ファンにより空気を吹き込み膨張させて断熱空気層が形成される、エアハウスの空気給・排気システムであって、
内側の空気層形成フィルムは、ハウス側面の下部又は上部に相当する一方の固定端から展張した他方の固定端が排気口部の手前側口縁部に止着され、外側の空気層形成フィルムは同じ一方の固定端から展張した他方の固定端を前記排気口部を跨いだ反対側口縁部に止着され、
前記内側の空気層形成フィルムの前記排気口部と隣接する固定端の位置又はそれより内方側の位置に、内外の空気層形成フィルムの隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ又は同様の外径を有する管材が、前記排気口部の長手方向に沿って全長にわたり設置され、この給気用チューブ又は管材に内外の空気層形成フィルムが形成する前記断熱空気層に向かって連通する給気孔が設けられており、
前記給気用チューブ又は管材の内部に向かって空気を吹き込む電動ファンが設置されており、
前記電動ファンにより給気を行い、給気用チューブ又は管材を通じて断熱空気層へ空気を吹き込み断熱空気層を膨らませてエアハウス外郭体が形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載した発明に係るエアハウスの空気給・排気システムは、
ハウス外郭体として合成樹脂シートで成る内外二重の空気層形成フィルムにより気密な断熱空気層が形成され、同断熱空気層へ電動ファンにより空気を吹き込み膨張させて断熱空気層が形成される、エアハウスの空気給・排気システムであって、
内側の空気層形成フィルムは、ハウス側面の下部又は上部に相当する一方の固定端から展張した他方の固定端を排気口部の手前側口縁部に止着され、外側の空気層形成フィルムは同じ一方の固定端から展張した他方の固定端を前記排気口部を跨いで反対側のハウス側面の下部又は上部の位置に止着され、同止着位置で一方の固定端を止着された内側の空気層形成フィルムの他方の固定端が前記排気口部の手前側口縁部に止着されており、
前記内側の空気層形成フィルムの前記排気口部と隣接する固定端の位置又はそれより内方側の位置に、内外の空気層形成フィルムの隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ又は同様の外径を有する管材が、前記排気口部の長手方向に沿って全長にわたり設置され、この給気用チューブ又は管材に内外の空気層形成フィルムが形成する前記断熱空気層に向かって連通する給気孔が設けられており、
前記給気用チューブ又は管材の内部に向かって空気を吹き込む電動ファンが設置されており、
前記電動ファンにより給気を行い、給気用チューブ又は管材を通じて断熱空気層へ空気を吹き込み断熱空気層を膨らませてエアハウス外郭体が形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載した発明に係るエアハウスの空気給・排気システムは、
ハウス外郭体として合成樹脂シートで成る内外二重の空気層形成フィルムにより気密な断熱空気層が形成され、同断熱空気層へ電動ファンにより空気を吹き込み膨張させて断熱空気層が形成される、エアハウスの空気給・排気システムであって、
内側の空気層形成フィルムは、ハウス側面の下部又は上部に相当する一方の固定端から展張した他方の固定端を排気口部の手前側口縁部に止着され、外側の空気層形成フィルムは同じ一方の固定端から展張した他方の固定端を前記排気口部の手前側口縁部を跨いで同排気口部の中間位置に止着され、前記中間位置の固定端から反対側のハウス側面へ展張した外側の空気層形成フィルムの固定端が同反対側のハウス側面の下部又は上部の位置に止着され、同止着位置で一方の固定端を止着された内側の空気層形成フィルムの他方の固定端が前記排気口部の手前側口縁部に止着されており、
前記内側の空気層形成フィルムの前記排気口部と隣接する固定端の位置又はそれより内方側の位置に、内外の空気層形成フィルムの隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ又は同様の外径を有する管材が、前記排気口部の長手方向に沿って全長にわたり設置され、この給気用チューブ又は管材に内外の空気層形成フィルムが形成する前記断熱空気層に向かって連通する給気孔が設けられており、
前記給気用チューブ又は管材の内部に向かって空気を吹き込む電動ファンが設置されており、
前記電動ファンにより給気を行い、給気用チューブ又は管材を通じて断熱空気層へ空気を吹き込み断熱空気層を膨らませてエアハウス外郭体が形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載した発明に係るエアカーテンの空気給・排気システムは、
合成樹脂シートで成る内外二重の空気層形成フィルムによる気密な断熱空気層が、温室の換気用開口部を開閉するカーテン又はハウス内カーテンとして形成され、同断熱空気層へ電動ファンにより空気を吹き込み膨張させて断熱空気層によるエアカーテンを形成する、エアカーテンの空気給・排気システムであって、
内側及び外側の空気層形成フィルムの自由端は巻き軸に巻き込まれ、内側の空気層形成フィルムは前記自由端側から展張した先の固定端が排気口部の手前側口縁部に止着され、同外側の空気層形成フィルムは前記自由端から展張した先の固定端を前記排気口部を跨いだ反対側口縁部に止着され、
前記内側の空気層形成フィルムの前記排気口部と隣接する固定端の位置又はそれより内方側の位置に、内外の空気層形成フィルムの隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ又は同様の外径を有する管材が、前記排気口部の長手方向に沿って全長にわたり設置され、この給気用チューブ又は管材に内外の空気層形成フィルムが形成する前記断熱空気層に向かって連通する給気孔が設けられており、
前記給気用チューブ又は管材の内部に向かって空気を吹き込む電動ファンが設置されており、
前記巻き軸を回転して空気層形成フィルムを展開するとき、又は展開した後に前記電動ファンにより給気を行い、給気用チューブ又は管材を通じて断熱空気層へ空気を吹き込み断熱空気層を膨らませてエアカーテンが形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載した発明に係るエアカーテンの空気給・排気システムは、
合成樹脂シートで成る内外二重の空気層形成フィルムによる気密な断熱空気層が温室内のカーテンとして形成され、同断熱空気層へ電動ファンにより空気を吹き込み膨張させて断熱空気層によるエアカーテンを形成する、エアカーテンの空気給・排気システムであって、
内側及び外側の空気層形成フィルムの自由端は巻き軸に巻き込まれ、内側の空気層形成フィルムは前記自由端から展張した先の固定端が排気口部の手前側口縁部に止着され、外側の空気層形成フィルムの他端は前記自由端から展張して前記排気口部を跨いだ反対側の巻き軸に巻き込まれ、同巻き軸に自由端を巻き込まれた内側の空気層形成フィルムは、同自由端から展張した先の固定端が前記排気口部の手前側口縁部に止着されており、
前記内側の空気層形成フィルムの前記排気口部と隣接する固定端の位置又はそれより内方側の位置に、内外の空気層形成フィルムの隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ又は同様の外径を有する管材が、前記排気口部の長手方向に沿って全長にわたり設置され、この給気用チューブ又は管材に内外の空気層形成フィルムが形成する前記断熱空気層に向かって連通する給気孔が設けられており、
前記給気用チューブ又は管材の内部に向かって空気を吹き込む電動ファンが設置されており、
前記巻き軸を回転して空気層形成フィルムを展開するとき、又は展開した後に前記電動ファンにより給気を行い、給気用チューブ又は管材を通じて断熱空気層へ空気を吹き込み断熱空気層を膨らませてエアカーテンが形成されることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載した発明に係るエアカーテンの空気給・排気システムは、
合成樹脂シートで成る内外二重の空気層形成フィルムによる気密な断熱空気層が温室内のカーテンとして形成され、同断熱空気層へ電動ファンにより空気を吹き込み膨張させて断熱空気層によるエアカーテンを形成する、エアカーテンの空気給・排気システムであって、
内側及び外側の空気層形成フィルムの自由端は巻き軸に巻き込まれ、内側の空気層形成フィルムは、前記自由端から展張した先の固定端が排気口部の手前側口縁部に止着され、外側の空気層形成フィルムは前記自由端から展張して先の固定端を前記排気口部を跨いで同排気口部の中間位置に止着され、前記中間位置の固定端から展張した外側の空気層形成フィルムの自由端が反対側の巻き軸に巻き込まれ、同巻き軸に自由端を巻き込まれた内側の空気層形成フィルムの先の固定端が前記排気口部の手前側口縁部に止着されており、
前記内側の空気層形成フィルムの前記排気口部と隣接する固定端の位置又はそれより内方側の位置に、内外の空気層形成フィルムの隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ又は同様の外径を有する管材が、前記排気口部の長手方向に沿って全長にわたり設置され、この給気用チューブ又は管材に内外の空気層形成フィルムが形成する前記断熱空気層に向かって連通する給気孔が設けられており、
前記給気用チューブ又は管材の内部に向かって空気を吹き込む電動ファンが設置されており、
前記巻き軸を回転して空気層形成フィルムを展開するとき、又は展開した後に前記電動ファンにより給気を行い、給気用チューブ又は管材を通じて断熱空気層へ空気を吹き込み断熱空気層を膨らませてエアカーテンが形成されることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載した発明は、請求項4〜6のいずれか一に記載したエアカーテンの空気給・排気システムにおいて、
断熱空気層を膨らませてエアカーテンを形成した後、巻き軸を逆に回転して空気層形成フィルムを巻き取るときに、外側の空気層形成フィルムを空気圧力により押し退けて、外側の空気層形成フィルムと給気用チューブ又は管材との隙間から空気を抜け出させてゆき、排気口部から排出することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載した発明は、請求項1〜7のいずれか一に記載したエアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システムにおいて、
排気口部に、同排気口部の口縁部を介して垂れ下がらせた封鎖シートが、同排気口部の長手方向に沿って全長にわたり取り付けられており、
前記封鎖シートを封鎖手段で封鎖して前記排気口部を全面的に封鎖した状態で電動ファンにより給気を継続して行い、エアハウス外郭体又はエアカーテンを構成する断熱空気層の内圧を高めることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載した発明は、請求項2、3、6、7又は8に記載したエアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システムにおいて、
左右に設置された給気用チューブ又は管材は連通管により相互に連通されていることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載した発明は、請求項1〜9のいずれか一記載したエアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システムにおいて、
電動ファンにより断熱空気層へ吹き込まれた空気は、同断熱空気層内の空気圧の高まりに応じて外側の空気層形成フィルムを押し退けて給気用チューブ又は管材との隙間から抜け出て空気圧を一定値に自己保持することを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載した発明は、請求項1〜10のいずれか一に記載したエアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システムにおいて、
排気口部の全面に防虫ネットが取り付けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載した発明は、請求項1〜11に記載したエアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システムにおいて、
給気用チューブ又は管材と外側の空気層形成フィルムの間に粘着防止シートが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の空気給・排気システムを採用したエアハウス又はエアカーテンは、内側及び外側の空気層形成フィルム20(21)、30が形成した断熱空気層Aへ小型の電動ファン5による給気を行って同断熱空気層Aを膨らませ断熱効果を発揮させることはもちろん、電動ファン5を回し放しにして断熱空気層Aへ空気をどんどん吹き込んでも、空気圧の高まりに応じて外側の空気層形成フィルム30を押し退けて給気用チューブ6又は管材7との隙間から排気口部Bへと排出されて一定層圧を自己保持する構成なので、前記電動ファン5について運転制御の必要がなく、即ち、断熱空気層の厚さを計測する器具や制御装置は無用である。
【0021】
また、本発明の空気給・排気システムを採用したエアカーテンは、断熱空気層Aを膨らませてエアカーテン15(16)を形成した後、巻き軸(90〜92)を逆に回転して空気層形成フィルムを巻き取るときに、外側の空気層形成フィルム30(31)を空気圧力により押し退けて、外側の空気層形成フィルム30(31)と給気用チューブ6又は管材7との隙間から空気を抜け出させてゆき、排気口部Bから排出する構成なので、例えば電動ファン5を回し放しにした状態でも(電動ファンの電源を切り忘れても)、内外の空気層形成フィルム20(21、22)、30(31)の巻き取り作業を容易に行えるし、前記内外の空気層形成フィルム20(21、22)、30(31)が膨張し過大に伸びたり破損する事故もない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1に記載した発明に係るエアハウス全体を概念的に示した正面図である。
【図2】断熱空気層へ空気を吹き込む前の状態を示したエアハウスの屋根部分の拡大図である。
【図3】断熱空気層へ空気を吹き込みエアハウス外郭体を形成した状態を示したエアハウスの屋根部分の拡大図である。
【図4】断熱空気層へ過剰に吹き込まれた空気を排気口部から排気させる状態を示したエアハウスの屋根部分の拡大図である。
【図5】(A)、(B)は防虫ネットの取付け例を示した説明図である。
【図6】一方の内側の空気層形成フィルムの固定端の位置にのみ給気用チューブを設置した構成を示したエアハウスの屋根部分の拡大図である。
【図7】図6に示したエアハウスの給気用チューブが萎んだ状態を示したエアハウスの屋根部分の拡大図である。
【図8】左右の内側の空気層形成フィルムの固定端をダブル型シート止着具で止着した実施例を示したエアハウスの屋根部分の拡大斜視図である。
【図9】電動ファンの設置例を示した拡大図である。
【図10】排気口部を封鎖した状態を示したエアハウスの屋根部分の拡大図である。
【図11】内外の空気層形成フィルムの隙間を塞ぐ手段として管材を使用した実施例を示したエアハウスの屋根部分の拡大斜視図である。
【図12】実施例2に記載した発明に係るエアハウス全体を概念的に示した正面図である。
【図13】実施例2に記載した発明に係るエアハウス全体の異なる実施例を概念的に示した正面図である。
【図14】温室の側面部に形成したエアカーテンを示す部分拡大図である。
【図15】(A)、(B)は給気用チューブの止着例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係るエアハウスの空気給・排気システムは、内側の空気層形成フィルム20は、ハウス1側面の下部又は上部に相当する一方の固定端20aから展張した他方の固定端20bが排気口部Bの手前側口縁部に止着され、外側の空気層形成フィルム30は同じ一方の固定端30aから展張した他方の固定端30bを排気口部Bを跨いだ反対側のハウス1側面の下部又は上部の位置に止着され、同止着位置で一方の固定端21aを止着された内側の空気層形成フィルム21の他方の固定端21bが前記排気口部Bの手前側口縁部に止着されている。
内側の空気層形成フィルム20、21の前記排気口部Bと隣接する固定端20b、21bの位置又はそれより内方側の位置に、内外の空気層形成フィルム20(21)、30の隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ6又は同様の外径を有する管材7が、前記排気口部Bの長手方向に沿って全長にわたり設置されている。この給気用チューブ6又は管材7に内外の空気層形成フィルム20(21)、30が形成する前記断熱空気層Aに向かって連通する給気孔(6a又は70)が設けられている。前記給気用チューブ6又は管材7の内部に向かって空気を吹き込む電動ファン5が設置されている。
電動ファン5により給気を行い、給気用チューブ6又は管材7を通じて断熱空気層Aへ空気を吹き込み断熱空気層Aを膨らませてエアハウス外郭体10が形成される。
【0024】
本発明に係るエアカーテンの空気給・排気システムは、内側及び外側の空気層形成フィルム20の自由端は巻き軸90に巻き込まれ、内側の空気層形成フィルム20は、前記該自由端から展張した先の固定端20bが排気口部Bの手前側口縁部に止着され、外側の空気層形成フィルム30は前記自由端から展張した先の固定端30cが前記排気口部Bを跨いだ同排気口部Bの中間位置に止着され、前記中間位置の固定端30cから展張した外側の空気層形成フィルム30の自由端が反対側の巻き軸91に巻き込まれ、この巻き軸91に自由端を巻き込まれた内側の空気層形成フィルム21の先の固定端21bが前記排気口部Bの手前側口縁部に止着されている。
内側の空気層形成フィルム20、21の前記排気口部Bと隣接する固定端20b、21bの位置又はそれより内方側の位置に、内外の空気層形成フィルム20(21)、30の隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ6又は同様の外径を有する管材7が、前記排気口部Bの長手方向に沿って全長にわたり設置され、この給気用チューブ6又は管材7に内外の空気層形成フィルム20(21)、30が形成する前記断熱空気層Aに向かって連通する給気孔(6a又は70)が設けられている。
給気用チューブ6又は管材7の内部に向かって空気を吹き込む電動ファン5が設置されている。
巻き軸90(91)を回転して空気層形成フィルム20(21)、30を展開するとき、又は展開した後に電動ファン5により給気を行い、給気用チューブ6又は管材7を通じて断熱空気層Aへ空気を吹き込み断熱空気層Aを膨らませてエアカーテンが形成される。
【実施例1】
【0025】
以下に、本発明に係るエアハウスの空気給・排気システムを図示した実施例に基づいて説明する。
先ず、請求項1及び2に記載した発明に係るエアハウスの空気給・排気システムについて説明する。
図1は、ハウス外郭体10として合成樹脂シートで成る内側の空気層形成フィルム20、21と外側の空気層形成フィルム30とで気密な断熱空気層A、Aを形成し、同断熱空気層Aへ電動ファン5により空気を吹き込み膨張させることにより断熱空気層Aが形成されたエアハウス1の全体図を示している。なお、このエアハウス1のフレームを構成するアーチパイプ11や、同アーチパイプへ連結する棟方向へ配置したシート止着具4…等々は、格別新規なものではなく、従来一般のエアハウスに実施するフレーム資材とほぼ同じ構成である。
【0026】
図1に示す内側の空気層形成フィルム20は、ハウス1側面の下部に相当する位置に設置されたシート止着具40により一方の固定端20aが止着され、同固定端20aからハウス1の屋根部分まで展張した他方の固定端20bが、同ハウス1の屋根部分に形成された一定幅Rの排気口部Bの手前側口縁部に設置されたシート止着具41により止着されている。
外側の空気層形成フィルム30は、前記内側の空気層形成フィルム20の一方の固定端20aを止着するシート止着具40により共通に止着された固定端30aから展張された他方の固定端30bを前記排気口部Bを跨いだ反対側のハウス1側面の下部の位置に設置されたシート止着具42により止着されている。
そして、前記外側の空気層形成フィルム30の他方の固定端を止着するシート止着具42に一方の固定端21aが止着された内側の空気層形成フィルム21の他方の固定端21bが、前記排気口部Bの手前側口縁部に設置されたシート止着具43に止着されている。
前記排気口部Bは、断熱空気層Aへ送り込まれた空気を十分に排気できる開口幅Rとして、例えば5〜10cm程度の幅寸で構成することが好ましい。
また、前記排気口部Bの全面には、図5(A)、(B)に詳示したように、ハウス1内の虫が断熱空気層Aへ進入することを防止する虫除けネット17が、左右の内側の空気層形成フィルム20、21の固定端20b、21bを止着するシート止着具41、43に止着されて取り付けられている。因みに、前記虫除けネット17の材質は、一例として繊維性又は樹脂性である。
なお、図示した実施例では、内側の空気層形成フィルム20、21の一方の固定端20a、21a、及び外側の空気層形成フィルム30の両固定端30a、30bは、ハウス1側面の下部に相当する位置に止着された構成を示したが、この限りではなく、ハウス1側面の上部に相当する位置、具体的にはハウス1の肩部に止着された構成で実施することもできる。
【0027】
前記内外の空気層形成フィルム20(21)、30を止着する手段は、エアハウス1の長手方向に沿ってアーチパイプ11に取り付けられた複数のシート止着具4(40〜43)により行われる。このシート止着具4(40〜43)は、当業技術分野では既に周知の技術である。具体的には、横断面方向に見ると底壁の両側に立ち上がる両側壁を内方へ略ハの字形状に傾斜させて開口が狭幅のシート止着溝が形成された構成である。前記シート止着溝の排気口部上にフィルムを拡げ、その上から波形状をなす弾性なシート止め線材4aをシート止着溝の中へ押し入れて止着するものである。
なお、左右の内側の空気層形成フィルムの他方の固定端20b、21bを止着するシート止着具41、43は、図8に示すダブル型シート止着具44を使用した構成で実施することもできる。このダブル型シート止着具44は、2本のシート止着具を連結片44aにより連結した構成であり、当業技術分野では既に周知の技術である(例えば意匠登録第1095339号や意匠登録第1340312号に開示)。前記ダブル型シート止着具40の前記連結片44aには、排気口部として複数の排気口孔44b…が長手方向に形成されている。
【0028】
因みに、前記内外の空気層形成フィルム20(21)、30を構成する合成樹脂シートは、耐用性に優れているポリオレフィン系シートやフッ素系シートを使用することが好ましい。外側の空気層形成フィルム30の厚みは、0.1〜0.15mm程度とされ、内側の空気層形成フィルム20、21の厚みは0.1mm程度とされている。なお、後述するカーテンの場合には、内外の空気層形成フィルムは、0.05〜0.075mm程度とされている。
【0029】
図1〜4に示すように、上記内側の空気層形成フィルム20、21の上記排気口部Bと隣接する固定端20b、21bの位置又はそれより内方側の位置に、内外の空気層形成フィルム(20、21)と30の隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ6が、内側の空気層形成フィルム20(21)の固定端20b(21b)と共にシート止着具41(43)で止着され、前記排気口部Bの長手方向に沿って全長にわたり設置されている。
前記給気用チューブ6をシート止着具41(43)で止着させるには、給気用チューブ6の外面に軟質フィルムを溶着し、該軟質フィルムを内側の空気層形成フィルム20(21)と共にシート止着具41(43)のシート止着溝の開口部上に拡げ、シート止め線材4aをシート止着溝の中へ押し入れて止着する。その他の方法として、図14及び図15(B)に示すように、給気用チューブ6の排気口部B側の端部を内側の空気層形成フィルム22と共にシート止着具6のシート止着溝の開口部上へ拡げ、シート止め線材4aをシート止着溝の中へ押し入れて止着する。このとき、図15(A)に示すように、給気用チューブ6の外面に、シート止着具41(43)の口縁部へ合わせるライン18と電動ファン5を設置するためのライン19を、ハウス1の長手方向に沿って印刷等で付することより、同給気用チューブ6を設置するときに捻れる等の不都合を解消して作業性を高めることが好ましい。
なお、上記給気用チューブ6と外側の空気層形成フィルム30とが、水滴により粘着する場合には、給気用チューブ6と外側の空気層形成フィルム30の間に粘着防止シートを設けることが好ましい。具体的には、図5(A)、(B)に示すように、排気口部Bの全面に設けた虫除けネット17を給気用チューブ6を越えて断熱空気層Aに向かって延ばし、同虫よけネット17を給気用チューブ6へ貼り付けることにより、表面張力の発生を抑制して粘着(密着)を予防できる。
前記給気用チューブ6は、柔軟性のある合成樹脂性又はゴムシート等であり、上記断熱空気層Aへ向かって連通する直径約6mmの給気孔6a…が上下方向に約30mmの間隔をあけて2個設けられ、ハウスの長手方向においては例えば500mmの間隔をあけて設けられている。但し、前記給気孔6a…は、給気チューブ6が膨張して内外の空気層形成フィルム20(21)、30と密着し、且つ空気を断熱空気層Aへ吹き込むことが可能な形状と大きさであれば良く、前記寸法及び個数に限定されない。
【0030】
なお、前記給気用チューブ6は、図1〜4に示す実施形態に限定されない。例えば図6に示すように、内外の空気層形成フィルム(20、21)と30の隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ6を、一方の内側の空気層形成フィルム21の固定端21bにのみ止着した構成で実施することもできる。
この場合には、図7に示すように、電動ファン5のスイッチをオフにして電動ファン5を停止させて、給気用チューブ6を萎ませることで、排気口部Bが開放され、断熱空気層Aの空気が排気口部Bから放出可能となる。
【0031】
上記内側の空気層形成フィルム20(21)と給気用チューブ5とを挟む配置へ、エアハウス1の室内側から前記給気用チューブ6に向って空気を吹き込む小型軽量の電動ファン5が直接取り付けられ、前記電動ファン5の空気吹き出し口が前記給気用チューブ6に向って直接開口されている。
図9は、前記電動ファン5を内側の空気層形成フィルム20及び給気用チューブ6へ取り付ける構成を示している。小型の電動ファン5を内側の空気層形成フィルム20の内側面にあてがい、同給気用チューブ6の内側面に当てがわれた押さえ縁50とで同フィルム20と給気用チューブ6をサンドイッチ状に挟み、ボルト接合して取り付けられている。因みに、電動ファン5を取り付ける箇所は空気の出入りが可能な大きさと形状に開口されている。
前記電動ファン5は、一例として出力25W程度のものであり、給気用チューブ6の長手方向(約30m程度)に1個設置され、10分程度の作動でエアハウス外郭体10を形成することができる。ただし、前記電動ファン5は、給気用チューブ6の長手方向(約30m程度)に複数個設置して、より素早く断熱空気層Aへ空気を吹き込みエアハウス外郭体10を形成する構成で実施することもできる。
なお、図示することは省略したが、前記左右の給気用チューブ6、6を連通管により相互に連通し、前記小型の電動ファン5を、一方の給気用チューブ6にのみ設置したり、或いは前記連通管へ設置することで1個の電動ファン5で共通に給気することができる。
【0032】
次に、上記電動ファン5により、上記空気層形成フィルム2へ空気を吹き込み、断熱空気層Aを有するエアハウス外郭体10を形成する手順について説明する。
先ず、断熱空気層A、Aへ空気を給気させる手順であるが、左右の内側の空気層形成フィルム20、21に設置した電動ファン5をスイッチオンして給気を行い、図1に示すように、左右の断熱空気層A、Aを膨らませる。前記電動ファン5から空気が前記給気用チューブ6へ吹き込まれて、図2に示すように左右の給気用チューブ6、6が萎んだ状態から、先ずはこの給気用チューブ6を図3に示すように膨らませて、排気口部Bを閉止する。続いて、空気は前記給気用チューブ6の給気孔6aから抜け出て、断熱空気層A内へ順次に効率よく吹き込まれる。
こうして、膨張した左右の給気用チューブ6は、内外の空気層形成フィルム20(21)、30へ密接して排気口部Bを完全に塞いだ状態になるから、空気が内外の空気層形成フィルム20(21)、30の外部へ漏れることがなく、断熱空気層Aを有するエアハウス外郭体10を形成することができる。
【0033】
上記電動ファン5により、断熱空気層Aへ過剰に吹き込まれた空気は、図4に示すように、内圧の高まりに応じて外側の空気層形成フィルム30を押し退けて給気用チューブ6との隙間から抜け出て排気口部Bから排出される。つまり、電動ファン5で断熱空気層Aへ空気を吹き込み(電動ファンを回し放し)膨張させるかぎり、一定層厚の断熱空気層Aが形成され、一定層厚を超過する過剰な空気は自ら排気口を形成してオーバーフローすることで、空気圧を一定値以下に自己保持することができ、優れた断熱効果を期待できる。したがって、過剰に吹き込まれた空気圧が原因で内外の空気層形成フィルム20(21)、30が膨張し過大に伸びたり極端な場合には破損する事故もない。
【0034】
なお、断熱空気層A内へ空気を吹き込む際に、例えば作業員により断熱空気層Aの膨らみ厚に応じて断続的に電動ファン5を作動させて同断熱空気層A内へ空気を吹き込む構成で実施することもできる。或いは断熱空気層Aの膨らみ厚を設定値になるように自動調整する検出手段としての電動スイッチ機構と、同電動スイッチ機構を使用して作動させる電気スイッチ機構とからなる電気スイッチ機構を設置して、同電気スイッチ機構により前記膨らみ厚を調整しながら空気を吹き込む構成で実施することもできる。
【0035】
因みに、断熱空気層Aから空気を抜く排気手順としては、スイッチをオフにして電動ファン5を停止させ、給気用チューブ6を萎ませる。すると、給気用チューブ6と内外の空気層形成フィルム20(21)、30との密接状態が解除され排気口部Bが大きく開放されるので、空気は排気口部Bから一気に大量に放出可能である。
【0036】
なお、強風や冬期における積雪によりエアハウス1の屋根部分のフィルムが集中的に又は局所的に圧迫されて空気層形成フィルム20(21)、30が垂れ下がるおそれがある場合には、図10に示すように、内側の空気層形成フィルム20、21の固定端20b、21bを止着する左右のシート止着具41、43に、排気口部Bから垂れ下がらせた封鎖シート8、8の一端を、同排気口部Bの長手方向に沿って全長にわたり取り付け、他端を例えば両面テープやチャック或いはファスナー等の封鎖手段80で封鎖すると共に、前記封鎖シート8、8の両端を封鎖して全面的に封鎖した状態で、電動ファン5により継続して給気を行い、断熱空気層Aの内圧を高める。すると、エアハウス外郭体10は大きくピンっと張った状態となり、エアハウス1の屋根部分の積雪を地面に向って振るい落とすことができるし、強風に耐えうる強度に形成することができる。なお、前記封鎖シート8、8は、一端を上記左右の給気用チューブ6、6へ溶着させて排気口部Bから垂れ下がる構成として実施することもできる。
【0037】
図11は、上記給気用チューブ6に代えて管材として塩化ビニル管7(以下、塩ビ管という)を設置した構成を示している。
具体的には、内側の空気層形成フィルム20、21の排気口部Bと隣接する固定端の位置又はそれより内方側の位置に、排気口部Bを形成する内外の空気層形成フィルム20(21)、30の排気口幅を塞ぐ径の塩ビ管7が、前記排気口部Bの長手方向に沿って全長にわたり設置されている。前記塩ビ管7には、断熱空気層Aに向かう側に同断熱空気層Aと連通する給気孔70…が設けられ、更に塩ビ管7に向かって空気を吹き込む電動ファン5が内側の空気層形成フィルム20、21と塩ビ管7を挟む配置で設置されている。即ち、前記同電動ファン5により給気を行い、塩ビ管7から左右の断熱空気層Aへ空気を吹き込むことにより、断熱空気層Aを有するエアハウス外郭体10が形成される。
【0038】
なお、上記エアハウスの空気給・排気システムは、図1において左右のどちらか一方の側に設置した構成で実施することもできる。
詳細な図示は省略し、図1を参考にして左側にのみ設置した場合の構成を説明すると、内側の空気層形成フィルム20は、ハウス1側面の下部に相当する位置に設置されたシート止着具40に止着された一方の固定端20aから展張した他方の固定端20bが、排気口部Bの手前側口縁部に設置されたシート止着具41に止着される。外側の空気層形成フィルム30は、同じ一方の固定端30aから展張した他方の固定端30aが、前記排気口部Bを跨いだ反対側口縁部に設置されたシート止着具43又は反対側のハウス側面の下部に相当する位置に設置されたシート止着具42に止着される。
【0039】
また、上記エアハウスの空気給・排気システムの異なる実施形態として、請求項3に記載した発明に係る空気給・排気システムでも同様に実施することができる。
詳細な図示は省略し、構成を図1と図12を参考に説明すると、内側の空気層形成フィルム20は、図1に示すように、ハウス側面の下部(又は上部)に相当する位置に設置されたシート止着具40に止着された一方の固定端20aからハウス1の屋根部分まで展張した他方の固定端20bを、排気口部Bの手前側口縁部に設置されたシート止着具41へ止着する。
外側の空気層形成フィルム30は、図1に示すように、前記内側の空気層形成フィルム20の一方の固定端20aを止着するシート止着具40に共通に止着された固定端30aから展張した他方の固定端30cを、図12に示すように、前記排気口部Bの手前側口縁部を跨いで同排気口部Bの中間位置に設置されたシート止着具45により止着し、前記中間位置の固定端30cから、図1に示すように、反対側のハウス1側面へ展張された外側の空気層形成フィルム30の固定端30bを、同反対側のハウス1側面の下部(又は上部)の位置に設置したシート止着42により止着する。
そして、前記外側の空気層形成フィルム30の他方の固定端30bを止着するシート止着具42に固定端21aが止着された内側の空気層形成フィルム21の他方の固定端21bを前記排気口部Bの反対側口縁部に設置されたシート止着具43に止着する。
【実施例2】
【0040】
次に、図12〜15に基づいて、請求項4〜6に記載した発明に係るエアカーテンの空気給・排気システムを説明する。なお、上述した実施例1のエアハウスの空気給・排気システムと重複する内容についての説明は省略する。
図12は、内外二重の空気層形成フィルムにより気密な断熱空気層Aが温室13の内部のカーテンとして形成されたカーテンシステム15の構成、及び温室13の側面部において、断熱空気層Aが温室13の換気用開口部を開閉する換気用カーテンとして形成されたサイドシステム16の構成を示している。
即ち、共通する構成要素に共通の符号をつけて実施例を概念的に示したように、主に断熱、保温効果を目的として温室13の内部のフレーム17と、同温室13の側面部のそれぞれに沿って空気層形成フィルムを上下方向のカーテン状に展張し又は同フィルムを収納するカーテンシステム15及びサイドシステム16において、断熱空気層Aによるカーテンを形成し、回転伝達装置で回転する巻き軸(90〜92)でカーテンを巻き上げて収納し、又は巻き下ろして展張する場合の空気給・排気システムである。
前記換気口を開閉させるべく、巻き軸(90〜92)の巻き上げ又は巻き下ろし手段に用いる回転伝達装置は、例えば特開2007−92973号公報や特開2005−221072号公報等に開示されて既に実用に供されている。図12〜15に示す実施例では、前記回転伝達装置の記載を省略し、内外の空気層形成フィルム20(21)、30を巻き付ける巻き軸(90〜92)のみを記載している。
【0041】
以下に、エアカーテンの空気給・排気システムの具体的な構成を説明する。
先ず、図12に示した請求項6に記載した発明に係る温室13の内部に形成されたカーテンシステム15について説明する。
内側及び外側の空気層形成フィルム20、30の自由端は、温室13の側面の上部(肩部)に相当する位置で巻き軸90に巻き込まれ、前記内側の空気層形成フィルム20は、前記自由端から展張した先の固定端20bが、排気口部Bの手前側口縁部の設置されたシート止着具41により止着されている。
外側の空気層形成フィルム30の自由端は、前記巻き軸90に巻き込まれた自由端から展張した固定端30cが、前記排気口部Bを跨いで同排気口部Bの中間位置に設置されたシート止着具45により止着されている。そして、前記中間位置の固定端30cから反対側の温室13の側面の上部(肩部)に相当する位置まで展張された外側の空気層形成フィルム30の自由端が巻き軸91に巻き込まれている。
前記外側の空気層形成フィルム30の自由端を巻き込んだ巻き軸91に自由端が巻き込まれたもう一方の内側の空気層形成フィルム21の先方の固定端21bが前記排気口部Bの手前側口縁部に設置されたシート止着具43により止着されている。
即ち、内外の空気層形成フィルム20(21)、30の自由端側は、回転伝達装置で正逆方向へ回転される巻き軸90、91に巻き付けられ、回転伝達装置の手動ハンドルを一方へ回転させると、巻き軸9により内外の空気層形成フィルム20(21)、30が自由端側から巻き上げられて換気口が形成される。手動ハンドルを逆方向へ回転させると巻き軸90、91で内外の空気層形成フィルム20(21)、30を巻き戻し、前記内外の空気層形成フィルム20(21)、30は展張されて換気口を閉じることができる構成である。
なお、図12において詳示することは省略したが、前記排気口部Bの全面には、虫除けネットが、シート止着具41(43)、45に止着されて取り付けられている。
【0042】
なお、上記内外の空気層形成フィルム20(21)、30の自由端は、温室13の側面の下部に相当する位置まで展張して巻き軸90(91)に巻き込まれた構成で実施することもできる(例えば図13を参考)。
また、図示することは省略したが、上記排気口部Bの中間位置に2つのシート止着具を並行させて設置し、外側の空気層形成フィルム30の中央側の固定端30cを、前記2つのシート止着具により別々に止着させた構成で実施することもできる。
【0043】
上記左右の内側の空気層形成フィルム20、21の排気口部Aと隣接する固定端20b、21bの位置又はそれより内方側の位置に、同内外の空気層形成フィルム20(21)、30の隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ6が、前記排気口部Aの長手方向に沿って全長にわたり設置され、この給気用チューブ6において上記断熱空気層Aに向って連通する複数の給気孔6a…が設けられている(詳しくは図3を参照)。なお、前記給気用チューブ6に代えて、上記段落番号[0037]において説明した塩ビ管7(管材)を使用した構成で実施することもできる。
そして、給気用チューブ6の内部に向かって空気を吹き込む電動ファン5が、内側の空気層形成フィルム20(21)と給気用チューブ6を挟み付けて取り付けられている。
【0044】
なお、上記カーテンシステム15の異なる実施形態として、図13に示した請求項5に記載した発明に係る構成で実施することもできる。
具体的には、内側及び外側の空気層形成フィルム20、30の自由端は、温室13の側面の下部に相当する位置で巻き軸90に巻き込まれ、前記内側の空気層形成フィルム20は、前記自由端から展張した先の固定端20bが、排気口部Bの手前側口縁部に設置されたシート止着具41により止着されている。
外側の空気層形成フィルム30は、前記自由端から展張して前記排気口部Bを跨いだ反対側の温室13の側面の下部に相当する位置で巻き軸91に巻き込まれている。
そして、前記巻き軸91に自由端を巻き込まれた内側の空気層形成フィルム21は、同自由端から展張した先の固定端21bが前記排気口部Bの手前側口縁部に設置されたシート止着具43により止着されている。
なお、上記内外の空気層形成フィルム20(21)、30の自由端は、温室13の側面の上部(肩部)に相当する位置で巻き軸90(91)に巻き込まれた構成で実施することもできる(例えば図12を参考)。
【0045】
次に、図12に示した請求項4に記載した発明に係る温室13の換気用開口部を開閉するカーテンとして形成されたサイドシステム16について説明する。
図14に拡大して示すように、内側及び外側の空気層形成フィルム22、31の自由端は巻き軸92に巻き込まれ、内側の空気層形成フィルム22は、前記自由端側から展張した先の固定端22bが、排気口部Bの手前側口縁部に設置されたシート止着具46により止着されている。
前記外側の空気層形成フィルム31は、前記自由端から展張した先の固定端31bが前記排気口部Bを跨いだ反対側位置に設置されたシート止着具47により止着されている。 図14に示すサイドシステム16における給気用チューブ6は、図15に示すように、排気口部B側の端部を内側の空気層形成フィルム22と共にシート止着具46のシート止着溝の開口部上へ拡げ、シート止め線材4aをシート止着溝の中へ押し入れて止着されている。ただし、給気用チューブ6の外面に軟質フィルムを溶着し、該軟質フィルムを内側の空気層形成フィルム20(21)と共にシート止着具4のシート止着溝の開口部上に拡げ、シート止め線材4aをシート止着溝の中へ押し入れて止着した構成で実施することもできる。
因みに、符号31cは、シート止着具47のシート止着溝内へ水滴が入り込むことを防止するシートを示している。このシート31cは、一端がシート止着具47に止着され、温室の長手方向に沿って、シート止着具47のシート止着溝を覆う配置に取り付けられている。なお、前記シート31cは、実施例1及び2で説明した、その他のシート止着具においても同様に設置することができる。
なお、図示することは省略したが、前記サイドシステム16は、温室13の内部におけるエアカーテンとした構成で実施することもできる。
【0046】
次に、上記断熱空気層Aへ空気を給・排気させる手順を、図12に示したハウスの屋根部分に形成されたカーテンシステム15に基づいて説明する。
先ず、断熱空気層Aへ空気を給気させる手順であるが、回転伝達装置のハンドルを回転させることにより巻き軸90(91)を巻き戻して内外の空気層形成フィルム20(21)、30を展開する際(途中)、又は展開した際(展開後)に、前記電動ファン5をスイッチオンして給気を行い断熱空気層Aを膨らませる。電動ファン5から給気用チューブ6へ吹き込まれて、先ずはこの給気用チューブ6を膨らませて、排気口部Bを閉止する。続いて、空気は前記給気用チューブ6の給気孔6aから抜け出て、断熱空気層A内へ順次に効率よく吹き込まれる。こうして、膨張した給気用チューブ6は、内外の空気層形成フィルム20(21)、30へ密接して排気口部Bを完全に塞いだ状態になるから、空気が断熱空気層Aの外部へ漏れることがなく、空気層形成フィルム20(21)、30は断熱空気層Aを形成することができる。
前記断熱空気層Aへ過剰に吹き込まれた空気は、内圧の高まりに応じて外側の空気層形成フィルム30を押し退けて給気用チューブ6との隙間から抜け出てゆき排気口部Bから排出される。つまり、電動ファン5で断熱空気層Aへ空気を吹き込み(電動ファンを回し放し)膨張させるかぎり、一定層厚の断熱空気層Aが形成され、一定層厚を超過する過剰な空気は自ら排気口を形成してオーバーフローすることで、空気圧を一定値以下に自己保持することができ、優れた断熱効果を期待できる。
【0047】
次に、断熱空気層Aへ空気を排気させる手順であるが、先ず、スイッチをオフにして電動ファン5を停止させ、給気用チューブ6を萎ませる。すると、給気用チューブ6と、内外のフィルム20(21)、30との密接状態が解除され排気口部Bが開放されるので、空気は排気口部Bから一気に大量に放出可能である。よって、上記回転伝達装置のハンドルを回転させて巻き軸91で内外の空気層形成フィルム20(21)、30を巻き取る際の巻き軸90(91)による前記内外の空気層形成フィルム20(21)、30の巻き上げ速度(空気層形成フィルム2の絞り効果)に負けない早さで断熱空気層A内の空気を一気に排出できるし、前記内外の空気層形成フィルム20(21)、31の巻き上げる際に巻き軸90(91)が空気圧で浮き上がる不都合もなく、作業性に優れている。
なお、前記電動ファン5を回し放しにし(電動ファン5の電源を切り忘れた状態)、給気用チューブ6を膨らませた状態であっても、巻き軸90(91)で内外の空気層形成フィルム20(21)、30を巻き上げることにより、外側の空気層形成フィルム30を空気圧力により押し退けて、外側の空気層形成フィルム30と給気用チューブ6との隙間から空気を抜け出させてゆき、排気口部Bから排出できるので、巻き軸90(91)が空気圧により浮き上がる不都合もなく、内外の空気層形成フィルム20(21)、30の巻き取り作業をスムーズに行える。また、内外の空気層形成フィルム20(21)、30が膨張し過大に伸びたり破損する事故もない。
【0048】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、もとより本発明は実施例の構成に限定されるものではない。いわゆる当業者が必要に応じて行うであろう設計変更その他の応用、改変の範囲まで含むことを念のため申し添える。
【符号の説明】
【0049】
1 エアハウス
10 ハウス外郭体
13 温室
15 カーテンシステム
16 サイドシステム
17 虫除けネット
20〜22 内側の空気層形成フィルム
30、31 外側の空気層形成フィルム
4(40〜45) シート止着具
5 電動ファン
6 給気用チューブ
7 管材(塩化ビニル管)
8 封鎖シート
80 止着手段
90〜92 巻き軸
A 断熱空気層
B 排気口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウス外郭体として合成樹脂シートで成る内外二重の空気層形成フィルムにより気密な断熱空気層が形成され、同断熱空気層へ電動ファンにより空気を吹き込み膨張させて断熱空気層が形成される、エアハウスの空気給・排気システムであって、
内側の空気層形成フィルムは、ハウス側面の下部又は上部に相当する一方の固定端から展張した他方の固定端が排気口部の手前側口縁部に止着され、外側の空気層形成フィルムは同じ一方の固定端から展張した他方の固定端を前記排気口部を跨いだ反対側口縁部に止着され、
前記内側の空気層形成フィルムの前記排気口部と隣接する固定端の位置又はそれより内方側の位置に、内外の空気層形成フィルムの隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ又は同様の外径を有する管材が、前記排気口部の長手方向に沿って全長にわたり設置され、この給気用チューブ又は管材に内外の空気層形成フィルムが形成する前記断熱空気層に向かって連通する給気孔が設けられており、
前記給気用チューブ又は管材の内部に向かって空気を吹き込む電動ファンが設置されており、
前記電動ファンにより給気を行い、給気用チューブ又は管材を通じて断熱空気層へ空気を吹き込み断熱空気層を膨らませてエアハウス外郭体が形成されることを特徴とする、エアハウスの空気給・排気システム。
【請求項2】
ハウス外郭体として合成樹脂シートで成る内外二重の空気層形成フィルムにより気密な断熱空気層が形成され、同断熱空気層へ電動ファンにより空気を吹き込み膨張させて断熱空気層が形成される、エアハウスの空気給・排気システムであって、
内側の空気層形成フィルムは、ハウス側面の下部又は上部に相当する一方の固定端から展張した他方の固定端を排気口部の手前側口縁部に止着され、外側の空気層形成フィルムは同じ一方の固定端から展張した他方の固定端を前記排気口部を跨いで反対側のハウス側面の下部又は上部の位置に止着され、同止着位置で一方の固定端を止着された内側の空気層形成フィルムの他方の固定端が前記排気口部の手前側口縁部に止着されており、
前記内側の空気層形成フィルムの前記排気口部と隣接する固定端の位置又はそれより内方側の位置に、内外の空気層形成フィルムの隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ又は同様の外径を有する管材が、前記排気口部の長手方向に沿って全長にわたり設置され、この給気用チューブ又は管材に内外の空気層形成フィルムが形成する前記断熱空気層に向かって連通する給気孔が設けられており、
前記給気用チューブ又は管材の内部に向かって空気を吹き込む電動ファンが設置されており、
前記電動ファンにより給気を行い、給気用チューブ又は管材を通じて断熱空気層へ空気を吹き込み断熱空気層を膨らませてエアハウス外郭体が形成されることを特徴とする、エアハウスの空気給・排気システム。
【請求項3】
ハウス外郭体として合成樹脂シートで成る内外二重の空気層形成フィルムにより気密な断熱空気層が形成され、同断熱空気層へ電動ファンにより空気を吹き込み膨張させて断熱空気層が形成される、エアハウスの空気給・排気システムであって、
内側の空気層形成フィルムは、ハウス側面の下部又は上部に相当する一方の固定端から展張した他方の固定端を排気口部の手前側口縁部に止着され、外側の空気層形成フィルムは同じ一方の固定端から展張した他方の固定端を前記排気口部の手前側口縁部を跨いで同排気口部の中間位置に止着され、前記中間位置の固定端から反対側のハウス側面へ展張した外側の空気層形成フィルムの固定端が同反対側のハウス側面の下部又は上部の位置に止着され、同止着位置で一方の固定端を止着された内側の空気層形成フィルムの他方の固定端が前記排気口部の手前側口縁部に止着されており、
前記内側の空気層形成フィルムの前記排気口部と隣接する固定端の位置又はそれより内方側の位置に、内外の空気層形成フィルムの隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ又は同様の外径を有する管材が、前記排気口部の長手方向に沿って全長にわたり設置され、この給気用チューブ又は管材に内外の空気層形成フィルムが形成する前記断熱空気層に向かって連通する給気孔が設けられており、
前記給気用チューブ又は管材の内部に向かって空気を吹き込む電動ファンが設置されており、
前記電動ファンにより給気を行い、給気用チューブ又は管材を通じて断熱空気層へ空気を吹き込み断熱空気層を膨らませてエアハウス外郭体が形成されることを特徴とする、エアハウスの空気給・排気システム。
【請求項4】
合成樹脂シートで成る内外二重の空気層形成フィルムによる気密な断熱空気層が、温室の換気用開口部を開閉するカーテン又はハウス内カーテンとして形成され、同断熱空気層へ電動ファンにより空気を吹き込み膨張させて断熱空気層によるエアカーテンを形成する、エアカーテンの空気給・排気システムであって、
内側及び外側の空気層形成フィルムの自由端は巻き軸に巻き込まれ、内側の空気層形成フィルムは前記自由端側から展張した先の固定端が排気口部の手前側口縁部に止着され、同外側の空気層形成フィルムは前記自由端から展張した先の固定端を前記排気口部を跨いだ反対側口縁部に止着され、
前記内側の空気層形成フィルムの前記排気口部と隣接する固定端の位置又はそれより内方側の位置に、内外の空気層形成フィルムの隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ又は同様の外径を有する管材が、前記排気口部の長手方向に沿って全長にわたり設置され、この給気用チューブ又は管材に内外の空気層形成フィルムが形成する前記断熱空気層に向かって連通する給気孔が設けられており、
前記給気用チューブ又は管材の内部に向かって空気を吹き込む電動ファンが設置されており、
前記巻き軸を回転して空気層形成フィルムを展開するとき、又は展開した後に前記電動ファンにより給気を行い、給気用チューブ又は管材を通じて断熱空気層へ空気を吹き込み断熱空気層を膨らませてエアカーテンが形成されることを特徴とする、エアカーテンの空気給・排気システム。
【請求項5】
合成樹脂シートで成る内外二重の空気層形成フィルムによる気密な断熱空気層が温室内のカーテンとして形成され、同断熱空気層へ電動ファンにより空気を吹き込み膨張させて断熱空気層によるエアカーテンを形成する、エアカーテンの空気給・排気システムであって、
内側及び外側の空気層形成フィルムの自由端は巻き軸に巻き込まれ、内側の空気層形成フィルムは前記自由端から展張した先の固定端が排気口部の手前側口縁部に止着され、外側の空気層形成フィルムの他端は前記自由端から展張して前記排気口部を跨いだ反対側の巻き軸に巻き込まれ、同巻き軸に自由端を巻き込まれた内側の空気層形成フィルムは、同自由端から展張した先の固定端が前記排気口部の手前側口縁部に止着されており、
前記内側の空気層形成フィルムの前記排気口部と隣接する固定端の位置又はそれより内方側の位置に、内外の空気層形成フィルムの隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ又は同様の外径を有する管材が、前記排気口部の長手方向に沿って全長にわたり設置され、この給気用チューブ又は管材に内外の空気層形成フィルムが形成する前記断熱空気層に向かって連通する給気孔が設けられており、
前記給気用チューブ又は管材の内部に向かって空気を吹き込む電動ファンが設置されており、
前記巻き軸を回転して空気層形成フィルムを展開するとき、又は展開した後に前記電動ファンにより給気を行い、給気用チューブ又は管材を通じて断熱空気層へ空気を吹き込み断熱空気層を膨らませてエアカーテンが形成されることを特徴とする、エアカーテンの空気給・排気システム。
【請求項6】
合成樹脂シートで成る内外二重の空気層形成フィルムによる気密な断熱空気層が温室内のカーテンとして形成され、同断熱空気層へ電動ファンにより空気を吹き込み膨張させて断熱空気層によるエアカーテンを形成する、エアカーテンの空気給・排気システムであって、
内側及び外側の空気層形成フィルムの自由端は巻き軸に巻き込まれ、内側の空気層形成フィルムは、前記自由端から展張した先の固定端が排気口部の手前側口縁部に止着され、外側の空気層形成フィルムは前記自由端から展張して先の固定端を前記排気口部を跨いで同排気口部の中間位置に止着され、前記中間位置の固定端から展張した外側の空気層形成フィルムの自由端が反対側の巻き軸に巻き込まれ、同巻き軸に自由端を巻き込まれた内側の空気層形成フィルムの先の固定端が前記排気口部の手前側口縁部に止着されており、
前記内側の空気層形成フィルムの前記排気口部と隣接する固定端の位置又はそれより内方側の位置に、内外の空気層形成フィルムの隙間を塞ぐ膨張径を有する給気用チューブ又は同様の外径を有する管材が、前記排気口部の長手方向に沿って全長にわたり設置され、この給気用チューブ又は管材に内外の空気層形成フィルムが形成する前記断熱空気層に向かって連通する給気孔が設けられており、
前記給気用チューブ又は管材の内部に向かって空気を吹き込む電動ファンが設置されており、
前記巻き軸を回転して空気層形成フィルムを展開するとき、又は展開した後に前記電動ファンにより給気を行い、給気用チューブ又は管材を通じて断熱空気層へ空気を吹き込み断熱空気層を膨らませてエアカーテンが形成されることを特徴とする、エアカーテンの空気給・排気システム。
【請求項7】
断熱空気層を膨らませてエアカーテンを形成した後、巻き軸を逆に回転して空気層形成フィルムを巻き取るときに、外側の空気層形成フィルムを空気圧力により押し退けて、外側の空気層形成フィルムと給気用チューブ又は管材との隙間から空気を抜け出させてゆき、排気口部から排出することを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一に記載したエアカーテンの空気給・排気システム。
【請求項8】
排気口部に、同排気口部の口縁部を介して垂れ下がらせた封鎖シートが、同排気口部の長手方向に沿って全長にわたり取り付けられており、
前記封鎖シートを封鎖手段で封鎖して前記排気口部を全面的に封鎖した状態で電動ファンにより給気を継続して行い、エアハウス外郭体又はエアカーテンを構成する断熱空気層の内圧を高めることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載したエアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システム。
【請求項9】
左右に設置された給気用チューブ又は管材は連通管により相互に連通されていることを特徴とする、請求項2、3、6、7又は8に記載したエアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システム。
【請求項10】
電動ファンにより断熱空気層へ吹き込まれた空気は、同断熱空気層内の空気圧の高まりに応じて外側の空気層形成フィルムを押し退けて給気用チューブ又は管材との隙間から抜け出て空気圧を一定値に自己保持することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載したエアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システム。
【請求項11】
排気口部の全面に防虫ネットが取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一に記載したエアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システム。
【請求項12】
給気用チューブ又は管材と外側の空気層形成フィルムの間に粘着防止シートが設けられていることを特徴とする、請求項1〜11に記載した発明に係るエアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−75405(P2012−75405A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225069(P2010−225069)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000221568)東都興業株式会社 (57)
【Fターム(参考)】