説明

エアハウス等に使用する給気用チューブ

【課題】先に出願した特願2010−225069号の発明に係る「エアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システム」に使用される給気用チューブであって、給気用チューブの内部に発生する結露を外部へ効果的に排除できる配置に給気孔を設けて成る、エアハウス等に使用する給気用チューブを提供する。
【解決手段】エアハウス又はエアカーテン1の断熱空気層と連通する複数の給気孔3…を、給気用チューブ2の長手方向に一定の間隔をあけて、下縁部に少なくとも1個ずつ、又は給気用チューブ2下縁から上方へも一定の間隔をあけて配置した複数個ずつの組で設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、先に出願した特願2010−225069号(以下、先願という。)の発明に係る「エアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システム」に使用される給気用チューブであって、同給気用チューブの内部に発生する結露を外部へ効果的に排除できる配置に給気孔を設けて成る、エアハウス等に使用する給気用チューブの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
上記先願に係る空気給・排気システムを、図5に基づいて概説すると、温室のハウス外郭体又はエアカーテンを内外二重の空気層形成フィルム4、5で気密な断熱空気層構造に形成する。そして、前記断熱空気層A内の長手方向に配設した給気用チューブ2の適所へ小型の電動ファン7を取り付け、同電動ファン7を駆動させて断熱空気層A内へ空気を吹き込み膨張させて一定層厚の断熱空気層Aを形成する。前記断熱空気層が一定層厚を超過するほど過剰空気を供給した場合には、その空気圧力によりフィルム5が点線図示のように膨らむことで、自ら排気口Bへ空気をオーバーフローさせて一定層厚を保つ構成である。したがって、電動ファン7については運転制御の必要がなく軽便に使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】特願2010−225069号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記先願の発明に係る「エアハウス又はエアカーテンの空気給・排気システム」は、上記した構成原理により所期の優れた作用・効果を奏するが、その後の試作試験によると、給気用チューブの内部に結露が発生しやすく、その結露によってチューブ内に青粉が発生し、見た目が悪いばかりでなく、太陽光の入射を阻害する等々の問題点が明らかになった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、給気用チューブの内部に発生する結露を外部へ速やかに効果的に排除することができ、青粉の発生による被害を未然に防止することができるように工夫した、エアハウス等に使用する給気用チューブを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係るエアハウス等に使用する給気用チューブは、
内外二重の空気層形成フィルムの間に気密な断熱空気層を形成し、同断熱空気層へ空気を吹き込んで膨張させ、又は断熱空気層内の空気を排気するエアハウス又はエアカーテンに使用する給気用チューブであって、
前記給気用チューブには、エアハウス又はエアカーテンの断熱空気層と連通する複数の給気孔が、前記給気用チューブの長手方向に一定の間隔をあけて、下縁部に少なくとも1個ずつ、又は給気用チューブの下縁から上方へ一定の間隔をあけて配置した複数個ずつの組で設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載したエアハウス等に使用する給気用チューブにおいて、
給気用チューブは、その中間部を折り曲げて一端縁を止着部よりも下方の部位へ気密的に接着させた構成であり、同給気用チューブの下縁から上方へ一定の間隔をあけて列状配置に設けられた複数の給気孔は、チューブ下縁の半丸孔から垂直上方へ、若しくは斜め上方へ向かう配置、又は市松模様状配置の円孔で形成されており、前記止着部に沿ってチューブ長手方向に止着ラインが表示されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載したエアハウス等に使用する給気用チューブにおいて、
給気用チューブに設ける給気孔の配置は、電動ファンに近い部分では、長手方向に一定の長さ範囲までは下縁部に1個ずつ一定の間隔をあけた配置で、電動ファンから長手方向に遠くなった部分では給気孔の個数を増やし、且つ間隔を狭めて設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるエアハウス等に使用する給気用チューブは、エアハウス又はエアカーテンの断熱空気層Aと連通する複数の給気孔3…が、給気用チューブ2の長手方向に一定の間隔をあけて、下縁部に少なくとも1個ずつ、又は給気用チューブ2の下縁から上方へ一定の間隔をあけて配置した複数個ずつの組で設けられているから、内部に結露8が発生しても、同結露8の液滴が重力作用で流れ落ちる位置には必ず前記給気孔3が存在する配置なので、いずれかの給気孔3から結露8を自然に速やかに効果的に外部へ排除することができる。よって、青粉の発生による被害を未然に確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】エアハウスの空気給・排気システムの要部を示した拡大図である。
【図2】(A)は給気用チューブを示した拡大図、(B)は(A)のb−b矢視断面図である。
【図3】給気孔を図2とは異なる配置で設けた構成の給気用チューブを示した拡大図である。
【図4】給気孔を図2及び図3とは異なる配置で設けた構成の給気用チューブを示した拡大図である。
【図5】先願の発明に係るエアハウスの空気給・排気システムの要部を示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るエアハウス等に使用する給気用チューブは、エアハウス又はエアカーテン1の断熱空気層と連通する複数の給気孔3…を、給気用チューブ2の長手方向に一定の間隔をあけて、下縁部に少なくとも1個ずつ、又は給気用チューブ2下縁から上方へも一定の間隔をあけて配置した複数個ずつの組で設ける。
【実施例1】
【0012】
以下に、本発明に係るエアハウス等に使用する給気用チューブ2を、図1〜図4に示した実施例に基づいて説明する。
本発明に係るエアハウス等に使用する給気用チューブ2は、図1と図5を対比すると明らかなように、本発明による給気用チューブ2の場合は、少なくとも給気用チューブ2の下面側約半分の領域に、複数の給気孔3…が比較的密なピッチで設けられていることが特徴である。
内外2枚の空気層形成フィルム4、5をハウスフレーム11の外側に沿い展張して断熱空気層Aを有する外殻体を形成したエアハウス1において、上記断熱空気層Aへ空気を送る給気用チューブ2は、内側の空気層形成フィルム4の固定端部4aを止着するシート止着具6を利用して合一に止着されている。前記シート止着具6と隣接のシート止着具60との間に設けた開口が排気口部Bとされている。前記固定端4a、及び給気用チューブ2の止着部20がシート止着具6により止着されて断熱空気層Aの内部にぶら下げられている。この給気用チューブ2は、エアハウス1の棟方向のほぼ全長にわたり前記排気口部Bと共に設けられている。
【0013】
上記給気用チューブ2は、柔軟性のある合成樹脂性又はゴムシート等で形成されて内外2枚の空気層形成フィルム4と5の隙間を塞ぐ膨張径を有する構成である。この給気用チューブ2は、簡単には断面を円形に形成したものでも良いが、図2(B)に示すように、幅寸の中間部を折り曲げて、折り返して一端縁を熱シール等の手段で裏側のフィルムへ気密状態に接着22して断面が6の字状に形成したものが製作及び使用に好適である。かくすると前記接着部22より上方部分は、止着部20としてシート止着具6へ止着することができる。よって、この止着部20の中間位置に止着位置を表す止着ライン21を給気用チューブ2の長手方向に沿って直線状態に表示すると使用上便利である。
【0014】
上記給気用チューブ2には、図2(A)、(B)に示したように、エアハウス1の断熱空気層Aと連通する給気孔3が、折り畳んだ下縁部を基本に、前記給気用チューブ2の長手方向に約500mm程度の間隔をあけて複数個、又は同給気用チューブ2の下縁に設けられた半円形状の給気孔3から斜め上方へ向かい長手方向に66mm程度の間隔をあけ、上方へは20mm程度の段差で間隔をあけた列状に配置した2個ずつの組として設けられている。
前記給気用チューブ2に給気孔3を設ける方法として、同給気用チューブ2を図2(B)に示したように2つ折にした状態で、例えば孔あけプレスにより一方の側から2枚のシートを貫通する給気孔3を一気に形成する。
前記給気孔3の大きさは、下縁部の給気孔3が直径約5mm程度であり、その他の給気孔3が直径約3mm程度で設けることが好ましい。
但し、前記給気孔3の個数や大きさ、配置の間隔は、上記した限りではない。給気チューブ2が膨張して内外2枚の空気層形成フィルム4、5と密着し、且つ空気を断熱空気層Aへ吹き込むことが可能であり、更に、発生する結露8を効果的に排除することができる、形状、大きさ、配置であれば良く、前記寸法、個数及び配置に限定されない。
例えば、図3に例示したように、給気用チューブ2において、電動ファン7に近い部分では、長手方向に一定の長さ範囲まで給気孔3は下縁部に1個ずつ一定の間隔をあけて設け、電動ファン7から長手方向に遠くなった部分では給気孔3の個数を、チューブ2の下縁から上方へ一定の間隔をあけて2個、3個と列状配置に増やして設けた構成とすることにより、給気用チューブ2を通じて送る空気を全域に満遍なく均等に供給し又は排気することができる。
【0015】
したがって、本発明に係るエアハウス等に使用する給気用チューブ2は、結露8が発生してもそれが重力作用で流れ落ちる位置には必ず給気孔3が存在し、いずれかの給気孔3から結露8を速やかに効果的に外部へ排除することができる。よって、青粉による被害を未然に確実に防止することができる。
【0016】
なお、上記給気用チューブ2の下縁から上方へ一定の間隔をあけて列状配置に設けられた複数個の給気孔3…の異なる配置例として、図4に示したように、市松模様状配置の円孔で形成した構成で実施することもできるし、図示することを省略したが、給気用チューブ2の下縁に設けられた半円形状の給気孔3から単純に垂直上方へ向かう配置に20mm程度の間隔をあけて形成した構成で実施することもでき、上記した効果と同様の効果を奏することができる。
【0017】
また、上記給気用チューブ2は、図2(B)に示したように、断面6の字状の構成を示したが、この限りではない。例えば従前通り断面が円形状に形成しても、その上部を一部摘んで、シート止着具6による止着すると、使用上、及び製作効果に不都合はなく同様に実施することができる。
【0018】
更に、詳細に図示することは省略したが、上記給気用チューブ2は、先願の発明に係るエアカーテンの空気給・排気システムにおいても、全く同様に実施することができる。
【0019】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、もとより本発明は実施例の構成に限定されるものではない。いわゆる当業者が必要に応じて行うであろう設計変更その他の応用、改変の範囲まで含むことを念のため申し添える。
【符号の説明】
【0020】
1 エアハウス
2 給気用チューブ
3 給気孔
4 内側の空気層形成フィルム
5 外側の空気層形成フィルム
A 断熱空気層
B 排気口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内外二重の空気層形成フィルムの間に気密な断熱空気層を形成し、同断熱空気層へ空気を吹き込んで膨張させ、又は断熱空気層内の空気を排気するエアハウス又はエアカーテンに使用する給気用チューブであって、
前記給気用チューブには、エアハウス又はエアカーテンの断熱空気層と連通する複数の給気孔が、前記給気用チューブの長手方向に一定の間隔をあけて、下縁部に少なくとも1個ずつ、又は給気用チューブの下縁から上方へ一定の間隔をあけて配置した複数個ずつの組で設けられていることを特徴とする、エアハウス等に使用する給気用チューブ。
【請求項2】
給気用チューブは、その中間部を折り曲げて一端縁を止着部よりも下方の部位へ気密的に接着させた構成であり、同給気用チューブの下縁から上方へ一定の間隔をあけて列状配置に設けられた複数の給気孔は、チューブ下縁の半丸孔から垂直上方へ、若しくは斜め上方へ向かう配置、又は市松模様状配置の円孔で形成されており、前記止着部に沿ってチューブ長手方向に止着ラインが表示されていることを特徴とする、請求項1に記載したエアハウス等に使用する給気用チューブ。
【請求項3】
給気用チューブに設ける給気孔の配置は、電動ファンに近い部分では、長手方向に一定の長さ範囲までは下縁部に1個ずつ一定の間隔をあけた配置で、電動ファンから長手方向に遠くなった部分では給気孔の個数を増やし、且つ間隔を狭めて設けることを特徴とする、請求項1又は2に記載したエアハウス等に使用する給気用チューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−60758(P2013−60758A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200576(P2011−200576)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000221568)東都興業株式会社 (57)
【Fターム(参考)】