説明

エアバック装置及びその展開制御方法

【課題】簡易な構成で乗員の位置を検出し、適切にエアバックの展開制御を行う技術を提供する。
【解決手段】エアバック装置が、エアバックを設置した座席を含む領域を撮影範囲とし、前記座席に座る乗員を撮影し、前記撮影範囲に測定用の光束を照射するステップと、
前記撮影画像を画像処理して前記撮影画像に写った前記乗員を認識し、当該乗員の撮影画像内の位置を求め、前記測定用の光束のうち、前記乗員と交わって反射した反射光を前記撮影画像から抽出し、当該反射光に基づいて、前記測定用光源と所定の位置関係にある基準位置から前記乗員までの距離を求め、前記乗員の撮影画像内の位置及び前記距離に基づいて前記座席に座る乗員の位置を検出し、前記乗員の位置に基づいてエアバックの展開を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突時にエアバックを展開して乗員を保護する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員保護装置としてのエアバッグ装置は、現在多くの車両に普及している。エアバック装置は、例えば車両の衝突による衝撃を感知したセンサからの信号がコントロールユニットを経由して、インフレータ(ガス発生装置)を点火させ、発生したガスにより瞬時にバッグを膨らませる。
【0003】
衝撃を検知した場合、各座席に配置した全てのエアバックを展開するエアバック装置が多いが、一度展開したエアバックは、再度利用することはできないため、乗員が着席していない座席のエアバックは無駄になってしまう。また、座席に乗員が着席しているのではなく、荷物が置かれていた場合には、エアバックの展開によって、この荷物が跳ね飛ばされることも考えられる。
【0004】
このため、座席に乗員の体重がかかっているか否かによって乗員の有無を確認して、衝撃を検知した場合でも乗員がいない座席のエアバックを展開させないエアバック装置も提案されている。
【0005】
更に、エアバック装置は、座席ベルトを締めて通常の姿勢で着席した状態の乗員の頭部を衝突時に展開したエアバックで受け止めて衝撃を緩和することを想定しており、この特定の条件下で効果を発揮するものである。
【0006】
このため、乗員の着席姿勢や位置を検出し、乗員が禁止範囲に位置するような場合には、エアバックの展開を禁止するエアバック装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2006−510076号公報
【特許文献2】特開2004−243962号公報
【特許文献3】特開2003−294855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように乗員の着席姿勢によってエアバックの展開或いは非展開を制御する場合、乗員の頭部の位置を検出することが重要である。このため、カメラで乗員を撮影し、パターンマッチングによって乗員の頭部の位置を検出することが考えられるが、一台のカメラで検出できるのは、撮影画面内の二次元的な位置であるため、二台のカメラを用いて三次元的に頭部の位置を求めるエアバック装置が提案されている(特許文献1)。
【0009】
このように撮影画像から三次元的な位置を求める場合、カメラが二台必要であるうえ、カメラ二台分の撮影画像を処理する回路等も必要となり、装置構成が複雑になるという問題があった。
【0010】
更に、二台のカメラのそれぞれから、座席上の乗員を撮影する必要があるため、各座席を見渡せるカメラの設置個所を二か所に確保しなければならず、各カメラと乗員との間に遮蔽物がこないように車内のレイアウトが制限されてしまうという問題もある。
【0011】
また、ヘッドレスト近傍に設けた接触センサと一台のカメラとを用い、カメラによって乗員が座席上に居るか否かを判別し、接触センサで乗員の頭部がヘッドレスト近傍に位置しているか否かを判別することで、高価なカメラ等の部品の使用を少なくした装置が提案されている。しかしながら接触センサで検出できるのはヘッドレスト近傍に頭部があるか否かであり、頭部からエアバックまでの距離といった詳細な情報が検出できるものではなかった。
【0012】
そこで、本発明は簡易な構成で乗員の位置を検出し、適切にエアバックの展開制御を行う技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明では、以下の手段または処理を採用した。
【0014】
即ち、本発明に係るエアバック装置は、
エアバックを設置した座席を含む領域を撮影範囲とし、前記座席に座る乗員を撮影する撮影手段と、
前記撮影範囲に測定用の光束を照射する測定用光源と、
前記撮影手段で撮影した撮影画像を画像処理して前記撮影画像に写った前記乗員を認識し、当該乗員の撮影画像内の位置を求める乗員認識手段と、
前記測定用の光束のうち、前記乗員と交わって反射した反射光を前記撮影画像から抽出し、当該反射光に基づいて、前記測定用光源と所定の位置関係にある基準位置から前記乗員までの距離を求める距離認識手段と、
前記乗員の撮影画像内の位置及び前記距離に基づいて前記座席に座る乗員の位置を検出する位置検出手段と、
前記乗員の位置に基づいてエアバックの展開を制御する展開制御手段と、
を備える。
【0015】
また、前記展開制御手段は、前記乗員の位置に基づいて、前記エアバックを展開するか否か、或いは前記エアバックを展開するタイミングを制御しても良い。
【0016】
更に本発明に係るエアバック装置の展開制御方法は、
エアバック装置が、
エアバックを設置した座席を含む領域を撮影範囲とし、前記座席に座る乗員を撮影するステップと、
前記撮影範囲に測定用の光束を照射するステップと、
前記撮影画像を画像処理して前記撮影画像に写った前記乗員を認識し、当該乗員の撮影画像内の位置を求めるステップと、
前記測定用の光束のうち、前記乗員と交わって反射した反射光を前記撮影画像から抽出し、当該反射光に基づいて、前記測定用光源と所定の位置関係にある基準位置から前記乗員までの距離を求めるステップと、
前記乗員の撮影画像内の位置及び前記距離に基づいて前記座席に座る乗員の位置を検出するステップと、
前記乗員の位置に基づいてエアバックの展開を制御するステップと、
を実行する。
【0017】
また、本発明に係るエアバック装置の展開制御方法は、前記エアバックの展開を制御するステップにて、前記乗員の位置に基づいて、前記エアバックを展開するか否か、或いは前記エアバックを展開するタイミングを制御しても良い。
【0018】
なお、本発明は、上記エアバック装置の展開制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして捉えることもできる。また、本発明は、前記プログラムをコンピュータが読み取り可能に記録した記録媒体(記憶媒体)として捉えることもできる。
【0019】
ここで、コンピュータが読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体の内、コンピュータから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、DAT、8mmテープ、メモリカード等がある。
【0020】
また、コンピュータに固定された記録媒体としてハードディスクやROM(リードオンリーメモリ)等がある。
【0021】
上記手段およびステップの各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡易な構成で乗員の位置を検出し、適切にエアバックの展開制御を行う技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】エアバック装置の概略構成図
【図2】図2(A)は、カメラの外観斜視図、図2(B)はカメラのブロック図
【図3】カメラの撮影範囲における座席及び乗員を示す模式図
【図4】測定用光源から基準面に所定パターンを照射した例を示す図
【図5】所定パターンと乗員とを撮影した場合の模式図
【図6】図5に示した所定パターンの歪みの大きさと距離との関係の説明図
【図7】エアバック装置の展開制御方法の説明図
【図8】エアバック装置の展開制御方法の説明図
【図9】変形例1の説明図
【図10】変形例2の説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について説明する。まず、本発明の実施の形態にかかるエアバック装置の構成の一例について図1を用いて説明する。
【0025】
本実施形態のエアバック装置10は、車両91に搭載され、衝突時にエアバック1を展開して乗員94を保護する。
【0026】
本実施形態のエアバック装置10は、普通自動車に搭載した例を示したが、本発明のエアバック装置は、これに限らず自動二輪や航空機等、乗員94を乗せて移動する移動体に搭載可能である。
【0027】
エアバック装置10は、インストルメントパネル11内等に格納されるエアバック1や、座席93に座る乗員94を撮影するためのカメラ2、車両の衝突を検知する衝突センサ3、衝突センサ3で衝突を検知した場合にエアバック1の展開を制御する制御部4、制御部4からの信号によってエアバック1を展開させるインフレータ(ガス発生装置)5を備える。
【0028】
図1では、車輌の前後軸92に沿った助手席付近の断面を示しており、エアバック1が助手席用として助手席前方のインストルメントパネル上部に設けられた例を示している。また、エアバック1は、運転席用としてステアリングホイール内に設けられる。この他、エアバック1は、下肢保護用にインストルメントパネル下部や、側面衝突用にセンターピラーやサイドガラス上部の天井に設けられても良い。更に、エアバック1は、後席用に前席の背面や天井に設けられていても良い。
【0029】
図2(A)は、カメラ2の外観斜視図、図2(B)はカメラ2のブロック図である。
【0030】
カメラ2は、撮影レンズ21及び撮像素子22を備え、撮影レンズ21が座席93に座る乗員94の像を撮像素子22の撮像面上に形成し、撮像素子22が撮像面上の像を光電変換して電気信号による撮影画像を得、この撮影画像の情報を制御部4に送る。また、カメラ2は、乗員94との距離を測定する為の光束を前記撮影範囲に照射する測定用光源23、マスク24、投影レンズ25を備え、所定パターンの開口を有するマスク24を背面から測定用光源23で照明し、マスク24の開口を通った光束(測定用光束)、即ち所定パターンを投影レンズ25で基準面(像面)上に投影する。本実施形態のカメラ2は、図2に示すように、撮影光学系(撮影手段)21,22と特定用光束の投影光学系23,24,25との間に所定の離間距離(基線長)Hrをとって一体的に備えている。このように本実施形態では、撮影光学系21,22と投影光学系23,24,25の位置関係、即ち撮影手段と測定用光源との位置関係が予め定められており、測定用光源23から照射し、乗員94と交わった測定用光束を撮影光学系21,22で撮影することにより、後述のとおり基準位置(例えば撮影手段の位置)と乗員94との距離を検出することができる。なお、撮影光学系21,22と投影光学系23,24,25は、位置関係が定まれば、別体に設けても良い。また、測定用光束の波長は、撮影手段で撮影可能な波長であれば良く、特に限定されないが、不可視、例えば赤外光とするのが望ましい。
【0031】
カメラ2は、エアバック1が設置された座席93に座る乗員94を撮影するため、各座席93に座る乗員94を見通せる位置に設けられる。即ち、カメラ2は、エアバック1を設置した座席93を含む領域を撮影範囲とする。なお、乗員94が見通せる位置であれば、カメラ2を乗員94の側方や上方に設けても良いが、乗員94の目や鼻、口に基づいてパターンマッチングを行い、乗員94の頭部94Aを特定するためには、カメラ2を乗員94の前方に設置するのが望ましい。例えば、天井の前端やバックミラー近傍にカメラ2を設けるのが良い。なお、複数の座席93にエアバック1が設けられている場合は、座席93毎にカメラ2を設けても良いが、装置構成を簡素化するために、一台のカメラ2で複数の座席93の乗員94を撮影する構成が望ましい。即ち、前席(運転席・助手席)及び後席を全て一台のカメラで撮影するのが良い。また、前列の座席93席(運転席・助手席)を一台で撮影し、後列の座席93を他の一台のカメラで撮影するように、座席93の列毎にカメラ2を設けても良い。
【0032】
衝突センサ3は、車両の衝突を検知した場合に、衝突を通知する衝突信号を制御部4に送る。例えば衝突センサ3は、ピエゾ素子などの加速度ピックアップで車両の減速度を電気信号として検知し、その電気信号を制御部4に入力する。また、衝突時の衝撃(慣性力)によりマス(ボール、ローラ等)が移動し、そのマスが接点を閉じることで衝撃を受けたことを電気信号として制御部4に伝えるものでも良い。
【0033】
インフレータ5は、制御部4からの信号を受けてガスを発生させるものである。制御部4から信号(着火信号)を受けると、点火装置が着火剤を介してガス発生剤を燃焼させてガス(窒素ガス)を発生させ、フィルタを介してこのガスをエアバック1へ送る。また、インフレータ5は、圧縮ガスのタンクを備え、制御部4からの信号を受けてタンクのバルブを解放し、タンク内のガスをエアバック1へ送る方式でも良い。
【0034】
制御部4は、乗員94認識部40や、距離認識部41、位置検出部42、展開制御部43、メモリ44を備え、エアバック1の展開を制御する。
【0035】
乗員94認識部40は、カメラ2で撮影した撮影画像を画像処理、例えばパターンマッチングして当該撮影画像に写った乗員94を認識し、当該乗員94の撮影画像内の位置を求める。なお、本実施形態では、特に顔の輪郭や目、鼻、口等を用いたパターンマッチングによって、乗員94の頭部94Aを認識し、当該頭部94Aの位置を求めている。また、乗員94の認識手法は、パターンマッチングに限らず、画像処理によって乗員94を特定できれば如何なる手法でも良い。
【0036】
距離認識部41は、測定用光源23から照射された光束のうち、乗員94と交わって反射した反射光を前記撮影画像から抽出し、当該反射光に基づいて測定用光源と所定の位置関係にある基準位置から当該乗員94までの距離を求める。
【0037】
図3は、カメラ2の撮影範囲における座席93及び乗員94を示す模式図である。この撮影範囲に対し測定用光源23は、所定パターンの光束を照射する。図4は測定用光源23から基準面に所定パターンを照射した場合を示す。ここで、基準面とは、距離を認識する為に床面や座面等に仮定した面である。本実施形態の測定用光源23は、座面から20cm上方に設定した水平面であり、この基準面上で前後軸X方向の線が並列に配された形状となるように光束を照射している。しかし、実際の車内には座席93や乗員94等が存在しており、光束は基準面に達する前に乗員94等と交わる。図5はこの所定パターンと乗員94とをカメラ2で撮影した場合の撮影画像を示す。なお、光束は乗員94以外にも座席93等と交わるが、距離認識部41は、乗員94認識部40で認識した乗員94の頭部94Aについてのみ位置検出の処理を行い、他の部分と交わる光束の情報は必要としないため、図5では、乗員94や座席93以外は無いものとして模式的に示している。また、図5は乗員までの距離の検出について説明する模式図であるため、乗員までの距離と歪みの大きさの比率等は図5の例に限定されない。更に基準面は一つで無くても良く、座席93毎に適切な位置に基準面を設定しても良い。また、図4では、所定パターンとして複数の平行線を照射した例を示したが、これに限らず格子状のパターンや複数の同心円からなるパターンなど、歪みの大きさが判断できるように特定の形状であれば良い。
【0038】
図4に示す所定パターンの光束は、図5に示すように乗員94と交わった部分が歪んでカメラ2に撮影される。例えば図3上の点X1へ向けて照射された光束は、図5上の点X2で乗員94と交わり、この差分Hmが歪みとなる。この歪みは基準面から離れたところで交わるほど大きくなるので、この歪みの大きさHmに基づいてカメラ2と乗員94の頭部94Aとの距離を求めることができる。
【0039】
図6は、歪みの大きさと距離との関係の説明図である。図6中、カメラ2の撮像面から基準面31までの基準距離Dr、カメラ2の撮像素子22と測定用光源との基線長Hr、および光束32が照射される基準面上の位置X1は既知の値である。そして基準面31の手前で光束32が乗員94と交わると、この交点X2と基準面上の位置X1との差が歪みとしてカメラ2で撮影される。ここでカメラ2の撮影画像から基準面上での位置X1と交点X2との距離Hmを求めた場合、この距離Hmとカメラ2から交点X2までの距離Dmとは、式1の関係にある。
【0040】
(Dr−Dm)/Dm=Hm/Hr ・・・(1)
即ち、カメラ2から交点X2までの距離Dmを式2により求めることができる。
【0041】
Dm=Hm/Hr(Dr−Dm) ・・・(2)
同様に、交点X3や交点X4についても基準面状での位置と交点との差、即ち歪みと、カメラ2から交点までの距離との関係式を予め求めておき、歪みの大きさからカメラ2から交点までの距離を求める。
【0042】
位置検出部42は、前記乗員94の撮影画像上の位置及び前記乗員94とカメラ2との距離に基づいて前記座席93に座る乗員94の実在の位置を検出する。上記乗員94と測定用光束の交点X2を撮影する際の撮像面上の点(即ち撮影画像上の点)をX2αとしたとき、交点X2と点X2αとは、物点と像点の関係にある。このため、当該点X2αの撮影画像上の位置、即ち撮影画像上に定めた縦軸及び横軸上の二次元座標に基づき、物空間内において、これと対応する交点X2の縦軸Y及び横軸Z上の二次元座標を求めることができる。そして、乗員94とカメラ2との距離によって、この交点X2の奥行き方向の(例えば前後軸X)の座標が定まる。このように、位置検出部42は、前記乗員94の撮影画像上の位置及び前記乗員94とカメラ2との距離に基づいて、物空間における交点X2の三次元座標上の位置が定まる。
【0043】
展開制御部43は、位置検出部42によって求めた乗員94の位置に基づいてエアバックの展開を制御する。特に、本実施形態では、エアバック作動範囲90(図1,図3)を予め定めておき、展開制御部43は、乗員94の頭部94Aが、このエアバック作動範囲90内に位置しているか否かを判定し、乗員94の頭部94Aがエアバック作動範囲90内に位置していればエアバック1を展開させる信号をインフレータ5へ送り、エアバック1を展開させる。また、乗員94の頭部94Aがエアバック作動範囲90内に位置していなければ、エアバック1を展開させる信号をインフレータ5へ送らず、エアバック1を展開させない。
【0044】
なお、展開制御部43は乗員94の頭部94Aがエアバック作動範囲90内に位置しているか否かを所定周期で判定し、判定結果をメモリ44に記憶させている。展開制御部43は、衝突センサ3で衝突を検知した場合、メモリ44を参照して前記判定結果を読み出してエアバック1の展開制御を行う。これにより、展開制御部43は、衝突の検出時に乗員94の位置を検出する処理を行うことなく、メモリ44を参照するだけでエアバック1の展開制御を行うことができる。
【0045】
〈展開制御方法〉
次に図7,図8を用いてエアバックの展開制御方法について説明する。
【0046】
図7は、エアバック1が装備された座席93における乗員の位置を判定する処理、即ちエアバック作動範囲90内に乗員94が位置しているか否かを判定する処理のフローチャートである。図7に示すように、車輌のイグニッションキーをONにしてエアバック装置10が起動すると、カメラ2は、測定用光束の照射及びエアバック1を設置した座席93付近の撮影を開始する(ステップS1)。
【0047】
そして、乗員94認識部40は、カメラ2で撮影した撮影画像について、輪郭抽出やパターン認識等の画像処理を行って、撮影画像に写った前記乗員94を認識し、当該乗員94の撮影画像上の位置を求める(ステップS2)。
【0048】
また、距離認識部41は、前記測定用の光束のうち、乗員94からの反射光、即ち前記撮影画像内の乗員94の位置に写った測定用の光束(反射光)に基づいて、基準位置、例えばカメラ2から前記乗員94までの距離を求める(ステップS3)。
【0049】
次に位置検出部42は、乗員94の撮影画像内の位置及び前記距離に基づいて前記座席93に座る乗員94の三次元座標上の位置を検出する(ステップS4)。
【0050】
そして展開制御部43は、位置検出部42によって求めた乗員94の位置がエアバック作動範囲90内か否かを判定し、判定結果を作動フラグとしてメモリ44に記憶させる。例えば、乗員94がエアバック作動範囲90内に位置していれば”1”、乗員94がエアバック作動範囲90内に位置していなければ”0”のように記憶させる。この判定結果は、エアバック1を装備した座席93毎に設けている。即ち、運転席、助手席、2つの後部座席93のエアバック作動範囲90内にそれぞれ乗員94が位置していた場合、”1,1,1,1”のように各座席93の作動フラグを立てる。従って、運転席及び助手席に座った乗員94がエアバック作動範囲90内に位置し、2つの後部座席93が空席であった場合、後部座席93では乗員94が検出されないため、”1,1,0,0”のように運転席及び助手席のみ作動フラグを立てる。なお、頭部を保護するエアバック1に限らず、下肢を保護するエアバックや、側面衝突用のサイドエアバックなど、一つの座席に複数のエアバックが備えられている場合には、制御するエアバック毎に作動フラグ(判定結果)を記憶しても良い。この場合、エアバック作動範囲90も制御するエアバック毎に設定して良い。
【0051】
その後、終了か否かを判定し、終了でなければステップS1に戻って上記ステップS1−S5を繰り返す(ステップS5)。これらの処理S1−S5は、乗員94の位置を略リアルタイムに検出するために十分短い間隔、例えば1/30秒毎に繰り返す。この間隔が長くなり過ぎると、判定後に乗員94の位置が変わることがあるため、判定精度が低下してしまう。そこで、要求される精度に応じ、例えば0.01〜0.5秒間隔に設定する。この判定の間隔が下限値0.01秒よりも小さくなってくると、露光時間や処理時間が短くなってくるため、高速度カメラや高速な処理部が必要になり、エアバック装置10を構成する部品の選択性が低くなってしまう。そして、判定の間隔が上限値0.5秒以下であれば、所望の判定精度が確保されるため、上記範囲0.01〜0.5秒とすることで、選択性と判定精度を両立できる。
【0052】
一方、車輌の衝突時には、図7で示した判定処理の結果に基づいて図8に示すエアバックの展開処理を行う。
【0053】
図8は、エアバックの展開処理のフローチャートである。
【0054】
まず、車輌のイグニッションキーをONにしてエアバック装置10が起動すると、展開制御部43は、図7の処理と並行して衝突センサ3が衝突を検知したか否か、即ち衝突センサ3から衝突信号を受信したか否かを判定し(ステップS21)、衝突信号を受信していなければ(ステップS21,No)判定を繰り返し、衝突信号を受信するまで待機する。
【0055】
そして、衝突センサ3から衝突信号を受信すると(ステップS21,Yes)、展開制御部43は、メモリ44の作動フラグを参照し(ステップS22)、作動フラグが立っているか(作動フラグの値に1があるか)否かを判定する(ステップS23)。ここで、作動フラグが立っている、即ち、乗員94がエアバック作動範囲90に位置している座席93がある場合(ステップS23,Yes)、展開制御部43は当該座席93のインフレータ5へ着火信号を送る(ステップS24)。一方、作動フラグが全て0、即ち、エアバック作動範囲90に位置している乗員94がいない場合(ステップS23,No)、展開制御部43はインフレータ5へ着火信号を送らずに処理を終了する。
【0056】
展開制御部43から着火信号を受信したインフレータ5は、点火装置により着火剤に点火し、ガス発生剤を燃焼させてガス(窒素ガス)を発生させ、このガスをエアバック1へ送る(ステップS25)。
【0057】
このインフレータ5からのガスが導入されることにより、エアバック1が膨らみ、インストルメントパネル11表面のカバー11Aや内装を押しのけて展開する(ステップS26)。
【0058】
以上のように、本実施形態によれば、エアバック1を装備した座席93のエアバック作動範囲90に乗員94が位置している場合にのみ当該座席93のエアバック1を展開させるので、不必要にエアバックを展開させることを防止できる。
【0059】
また、本実施形態によれば、一つのカメラで撮影した画像から乗員94の三次元座標上の位置を求めることができ、装置構成を簡素化できる。また、設置するカメラが一つで済むので、カメラ設置時の自由度が高い。
【0060】
更に、一つのカメラで撮影した画像から複数の乗員94の位置を求めることができ、装置構成を簡素化できる。
【0061】
特に本実施形態によれば、特許文献2のようにエアバック展開禁止領域に対するカメラの設置位置が制約されることがない。例えば、本実施形態のエアバック装置10は、撮影方向(前後軸X方向)の異なる位置に存在する乗員の位置の判定を一つのカメラで行うことができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、一つのカメラで乗員の撮影画像上の位置と、カメラから乗員までの距離を求めるための測定用光束とを得られるので、簡易な構成で且つ精度良くエアバック1の展開制御を行うことができる。
【0063】
〈変形例1〉
図9は、エアバック装置10が制御部を複数備え、乗員94の位置判定処理を並行処理する例を示す図である。本変形例1は、図9(A)に示すように複数の制御部4A,4Bを備えた点が前述の実施形態と異なり、その他の構成は同じである。このため、同一の要素は、同符号を付すなどして再度の説明を省略する。
【0064】
制御部4A,4Bは、それぞれ乗員94認識部40や、距離認識部41、位置検出部42、展開制御部43を備え、図7に示した乗員の位置を判定する処理を並行して行う。例えば、カメラ2で撮影した撮影画像のn枚目を制御部4Aで処理して処理結果をメモリ44に記憶させ、撮影画像のn+1枚目を制御部4Bで処理して処理結果をメモリ44に記憶させ、同様に撮影画像のn+2枚目を制御部4A、撮影画像のn+3枚目を制御部4Bで処理するように、撮影画像を順番に複数の制御部4A,4Bに振り分けて、並行処理することにより、各制御部4A,4Bが当該判定処理にかかる時間よりも短い間隔でメモリ44の処理結果を更新できる。即ち、各制御部4A,4Bが当該判定処理にかかる時間をPr、分散して処理する制御部4A,4Bの数をNaとした場合に、処理結果の更新間隔が、ほぼPr/Naとなり、リアルタイムに乗員の位置を判定でき、更に精度良くエアバック1の展開制御を行うことができる。なお、図9では、エアバック装置10が二つの制御部4A,4Bを備える例を示したが、三つ以上の制御部を備え、撮影画像を順番に複数の制御部に振り分けても良い。また、一枚の画像を複数の領域に分割し、各領域を複数の制御部に振り分けても良い。例えば、運転席、助手席、右側後席、左側後席がそれぞれ一つ或いは複数含まれる領域に分割し、各領域の画像を複数の制御部に振り分け、平行処理する。
【0065】
更に、図9(B)は、カメラ2の撮像素子を複数備え、単位時間当たりの撮影枚数を増加させた例を示す図である。
【0066】
例えば、撮影レンズ21からの光束をビームスプリッタ27で分割して複数の撮像素子22A,22Bに導光し、これら複数の撮像素子22A,22Bでタイミングをずらして順番に撮影した撮影画像を得る。例えば、撮像素子22AでN枚目の撮影画像を撮像し、撮像素子22BでN+1枚目の撮影画像を撮像し、撮像素子22AでN+2枚目の撮影画像を撮像し、撮像素子22BでN+3枚目の撮影画像を撮像する。これにより例えば、撮像素子22A,22Bがそれぞれ1秒間に30フレームの撮影画像を撮影する仕様であれば、1秒間に合計60フレームの撮影画像が得られる。
【0067】
そして各撮像素子2A,2Bから得た撮影画像をそれぞれ、制御部で前述の実施形態(図1)或いは図9(A)の例と同様に処理する。図9(B)では、撮像素子22Aで撮像した撮影画像を制御部4A,4Bで処理し、撮像素子22Bで撮像した撮影画像を制御部4C,4Dで処理する。これによりメモリ44に記憶させる判定結果の更新間隔を更に短くできる。
【0068】
なお、図9(A),(B)の例において、衝突信号を受けて図8の如くエアバックの展開制御を行う場合には、複数の制御部のうちの少なくとも一つ、例えば制御部4Aが着火信号をインフレータ5に送れば良い。
【0069】
〈変形例2〉
図7に示すように乗員94の位置の判定処理は、衝突信号を受ける前に予め行っておき、衝突信号を受信した場合には、予め求めた判定結果に基づいてエアバックの展開制御を行うことで、衝突後の処理を迅速に実行することが望ましいが、乗員94の位置の判定処理が十分に短い時間で(例えば0.01秒以内)行えるのであれば、衝突信号を受信してから乗員94の位置の判定処理を行っても良い。図10は、衝突信号を受信してから乗員94の位置の判定を行う場合のフローチャートである。
【0070】
まず、車輌のイグニッションキーをONにしてエアバック装置10が起動すると、展開制御部43は、衝突センサ3から衝突信号を受信したか否かを判定し(ステップS21)、衝突信号を受信していなければ(ステップS21,No)判定を繰り返し、衝突信号を受信するまで待機する。
【0071】
そして、衝突センサ3から衝突信号を受信すると(ステップS21,Yes)、カメラ2は、測定用光束の照射及びエアバックを設置した座席93付近の撮影を開始する(ステップS1)。
【0072】
そして、乗員94認識部40は、カメラ2で撮影した撮影画像について、輪郭抽出やパターン認識等の画像処理を行って、撮影画像に写った前記乗員94を認識し、当該乗員94の撮影画像内の位置を求める(ステップS2)。
【0073】
また、距離認識部41は、前記測定用の光束のうち、乗員94からの反射光、即ち前記撮影画像内の乗員94の位置に写った測定用の光束(反射光)に基づいて、基準位置、例えばカメラ2から前記乗員94までの距離を求める(ステップS3)。
【0074】
次に位置検出部42は、乗員94の撮影画像内の位置及び前記距離に基づいて前記座席93に座る乗員94の三次元座標上の位置を検出する(ステップS4)。
【0075】
そして展開制御部43は、位置検出部42によって求めた乗員94の位置がエアバック作動範囲90内か否かを判定する(ステップS23)。ここで、乗員94がエアバック作動範囲90に位置している座席93がある場合(ステップS23,Yes)、展開制御部
43は当該座席93のインフレータ5へ着火信号を送る(ステップS24)。一方、エアバック作動範囲90に位置している乗員94がいない場合(ステップS23,No)、展開制御部43はインフレータ5へ着火信号を送らずに処理を終了する。
【0076】
展開制御部43から着火信号を受信したインフレータ5は、点火装置により着火剤に点火し、ガス発生剤を燃焼させてガス(窒素ガス)を発生させ、このガスをエアバック1へ送る(ステップS25)。
【0077】
このインフレータ5からのガスが導入されることにより、エアバック1が膨らみ、インストルメントパネル11表面のカバー11Aや内装を押しのけて展開する(ステップS26)。
【0078】
以上のように、本変形例2によれば、衝突信号を受信する前に予め乗員94の位置の判定処理を行わなくてもエアバックの展開制御を行うことができる。
【0079】
〈変形例3〉
上記の例では、乗員94の位置に応じてエアバックを展開するか否かを制御したが、これに限らず、エアバック1を展開するタイミング、即ちインフレータ5の着火タイミングを制御しても良い。
【0080】
この場合、展開制御部43は乗員94の位置の判定結果として単に0か1かではなく、着火時期をメモリ44に記憶させる。例えば乗員94の位置がエアバック1に近ければ、衝突信号受信時、直ちに着火し、乗員94の位置がエアバックから離れていれば、衝突信号受信時、その距離に応じた時間を待って着火するように着火時期を示す情報をメモリ44に記憶させる。このとき乗員94がエアバック作動範囲90から外れていた場合には、前述と同様にエアバック1を展開させない旨のフラグを着火時期と別に記憶させても良いし、着火時期を所定時間より大きい値とすることで展開させないことを示しても良い。
【0081】
また、一つのエアバック1に対して複数のインフレータ5を設け、衝突信号受信時、一つのインフレータ5を直ちに着火させ、着火時期をずらして次のインフレータ5を着火させることで、エアバックの展開を制御しても良い。なお、ずらして着火させる場合の着火時期は、上記と同様にメモリ44に記憶させておく。
【0082】
このように一つのエアバック1に対して複数のインフレータ5を備えた場合、乗員94の位置の他、乗員94の大きさ、即ち重さに応じて、複数のインフレータ5を同時に着火するか、ずらして着火するかを制御しても良い。例えば大人であれば同時に着火し、子供であればずらして着火する。
【0083】
展開制御部43は、撮影画像に写った乗員94の頭部94Aの大きさが所定値より小さければ子供或いは小柄な人と判定して複数のインフレータ5の着火時期をずらし、撮影画像に写った乗員94の頭部94Aの大きさが所定値以上であれば大人と判定して複数のインフレータ5を同時に着火させる。
【0084】
なお、頭部94Aがカメラ2に近いと撮影画像上に大きく撮影され、頭部94Aがカメラ2から遠いと撮影画像上に小さく撮影される場合でも、本変形例3では、基準位置から頭部94Aまでの距離、ひいてはカメラ2から頭部94Aまでの距離を求めることができるので、この距離に応じて撮影画像上の頭部94Aの大きさを補正することで、頭部94Aの大きさを精度良く判定することができる。
【0085】
このように本変形例3によれば、乗員94の位置等に応じてエアバックの展開タイミン
グを制御でき、より適切に乗員94を保護できる。
【0086】
〈その他〉
本実施形態及び変形例における制御部は、基本的な回路を組み合わせて各々の機能を実現したハードウェアであっても良い。このハードウェアは、例えば、FPGA[Field Programmable Gate Array]、ASIC[Application Specific Integrated Circuit]、LSI[Large Scale Integration]といった基本的な回路を備えても良い。また、当該ハ
ードウェアは、IC[Integrated Circuit]、ゲートアレイ、論理回路、信号処理回路、アナログ回路といった基本的な回路を備えても良い。
【0087】
論理回路としては、例えば、AND、OR、NOT、NAND、NOR、フリップフロップ、カウンタ回路がある。信号処理回路には、信号値に対し、例えば、加算、乗算、除算、反転、積和演算、微分、積分を実行する回路が、含まれていてもよい。アナログ回路には、例えば、信号値に対して、増幅、加算、乗算、微分、積分を実行する回路が、含まれていてもよい。
【0088】
また、本実施形態及び変形例における制御部は、汎用のプロセッサがソフトウェアを実行することによって、上記乗員94認識部40や、距離認識部41、位置検出部42、展開制御部43の各機能を実現しても良い。
【符号の説明】
【0089】
10 エアバック装置
1 エアバック
2 カメラ
3 衝突センサ
4 制御部
5 インフレータ(ガス発生装置)
91 車両
93 座席
94 乗員

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバックを設置した座席を含む領域を撮影範囲とし、前記座席に座る乗員を撮影する撮影手段と、
前記撮影範囲に測定用の光束を照射する測定用光源と、
前記撮影手段で撮影した撮影画像を画像処理して前記撮影画像に写った前記乗員を認識し、当該乗員の撮影画像内の位置を求める乗員認識手段と、
前記測定用の光束のうち、前記乗員と交わって反射した反射光を前記撮影画像から抽出し、当該反射光に基づいて、前記測定用光源と所定の位置関係にある基準位置から前記乗員までの距離を求める距離認識手段と、
前記乗員の撮影画像内の位置及び前記距離に基づいて前記座席に座る乗員の位置を検出する位置検出手段と、
前記乗員の位置に基づいてエアバックの展開を制御する展開制御手段と、
を備えるエアバック装置。
【請求項2】
前記展開制御手段が、前記乗員の位置に基づいて、前記エアバックを展開するか否か、或いは前記エアバックを展開するタイミングを制御する請求項1に記載のエアバック装置。
【請求項3】
エアバック装置が、
エアバックを設置した座席を含む領域を撮影範囲とし、前記座席に座る乗員を撮影するステップと、
前記撮影範囲に測定用の光束を照射するステップと、
前記撮影画像を画像処理して前記撮影画像に写った前記乗員を認識し、当該乗員の撮影画像内の位置を求めるステップと、
前記測定用の光束のうち、前記乗員と交わって反射した反射光を前記撮影画像から抽出し、当該反射光に基づいて、前記測定用光源と所定の位置関係にある基準位置から前記乗員までの距離を求めるステップと、
前記乗員の撮影画像内の位置及び前記距離に基づいて前記座席に座る乗員の位置を検出するステップと、
前記乗員の位置に基づいてエアバックの展開を制御するステップと、
を実行するエアバック装置の展開制御方法。
【請求項4】
前記エアバックの展開を制御するステップにて、前記乗員の位置に基づいて、前記エアバックを展開するか否か、或いは前記エアバックを展開するタイミングを制御する請求項3に記載のエアバック装置の展開制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−1125(P2012−1125A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138686(P2010−138686)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【Fターム(参考)】