エアバッグの折畳方法
【課題】拘束中心部を折塊部の上面側に載せる状態で折り畳む構成としても、簡便に折り畳むことができるエアバッグの折畳方法を提供すること。
【解決手段】エアバッグは第1折畳工程と第2折畳工程とを経て折り畳む。第1折畳工程では、車体側壁部に乗員側壁部を重ねて平らに展開するとともに、予め、乗員側壁部に、余肉部64からなって拘束中心部43を含めてなる突出折畳部65を形成しておき、突出折畳部65の両側に、一方側片縁部と他方側片縁部とを折り畳んだ一方側折塊部71と他方側折塊部72とを形成して、一方側折塊部と他方側折塊部との上面71a,72aに、拘束中心部43とともに突出折畳部65を平らに展開させて載せる。第2折畳工程では、離れた両縁74a,74bを流入用開口37に接近させるように折り畳めば、折畳工程を完了させることができる。
【解決手段】エアバッグは第1折畳工程と第2折畳工程とを経て折り畳む。第1折畳工程では、車体側壁部に乗員側壁部を重ねて平らに展開するとともに、予め、乗員側壁部に、余肉部64からなって拘束中心部43を含めてなる突出折畳部65を形成しておき、突出折畳部65の両側に、一方側片縁部と他方側片縁部とを折り畳んだ一方側折塊部71と他方側折塊部72とを形成して、一方側折塊部と他方側折塊部との上面71a,72aに、拘束中心部43とともに突出折畳部65を平らに展開させて載せる。第2折畳工程では、離れた両縁74a,74bを流入用開口37に接近させるように折り畳めば、折畳工程を完了させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイール用や助手席用等のエアバッグ装置に使用されるエアバッグの折畳方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエアバッグ装置のエアバッグでは、膨張時、運転者等の乗員に対して、迅速に受け止めて保護できるように、乗員を受け止めて保護する拘束部の中心付近を、素早く突出させるように折り畳んで収納するものがあった(例えば、特許文献1参照)。このエアバッグでは、膨張用ガスの流入用開口を備えた車体側壁部と、車体側壁部の外周縁から連なり、膨張完了時に乗員を受け止めて保護する拘束部を有した乗員側壁部と、を備えて構成されていた。そして、このエアバッグの折り畳みでは、つぎのような第1折畳工程と第2折畳工程とを経て、折り畳んでいた。
【0003】
第1折畳工程では、車体側壁部に乗員側壁部を重ねて、流入用開口の周縁における相互に対向する縁の両側からそれぞれ拘束部の中心付近となる拘束中心部まで延びる二つの一方側片縁部と他方側片縁部とを、それぞれ、流入用開口に接近させるように折り畳んでいた。また、第2折畳工程では、第1折畳工程で折り畳んで縮小させた方向と直交する方向の両縁をそれぞれ流入用開口に接近させるように折り畳んでいた。そして、第2折畳工程への移行前の第1折畳工程において、折塊部の上面側に、拘束中心部を載せていた。
【0004】
このように折り畳まれたエアバッグでは、流入用開口を利用して、膨張用ガスがエアバッグ内に流入すれば、第2折畳工程での折りを解消しつつ、直ちに、一方側折塊部と他方側折塊部とが離れて、その間の広いエリアから拘束中心部が押し出され、広く展開した拘束部が迅速に運転者を受け止めることができる。
【0005】
また、助手席用エアバッグ装置のエアバッグでも、第2折畳工程への移行前の第1折畳工程において、折塊部の上面側に、拘束中心部を載せて折り畳むものがあった(例えば、特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−280007号公報
【特許文献2】特開平8−276810号公報
【特許文献3】実開平5−13865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のエアバッグでは、車体側壁部と乗員側壁部とが、同一の円板状の外形とし、そして、拘束中心部を折塊部の上面に載せる際、一方側片縁部と他方側片縁部とを、それぞれ、流入用開口に接近させるようにロール折り等により折り畳んで形成した一方側折塊部と他方側折塊部との間から、乗員側壁部の拘束中心部を引きずり出して、折塊部の上面に載せていた。すなわち、この折畳方法では、拘束中心部を引きずり出すために、一方側折塊部と他方側折塊部との間に、引きずり出す治具を入れ、拘束中心部を摘まみ、そして、拘束中心部を引きずり出すこととなって、手間がかかっていた。また、この折畳方法では、拘束中心部を引きずり出す際の長さや、引きずり出した後の一方側折塊部と他方側折塊部との状態も、エアバッグ毎に安定させ難かった。
【0008】
また、特許文献2,3のエアバッグの折畳方法では、拘束中心部を平らに展開させた露出状態として、その下方に一方側折塊部と他方側折塊部とを形成しており、一方側折塊部と他方側折塊部とを形成する際、予め、拘束中心部を平らに展開させた状態で維持するための折板等が必要となり、簡単に折り畳む点に課題があった。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、拘束中心部を折塊部の上面側に載せる状態で折り畳む構成としても、簡便に折り畳むことができるエアバッグの折畳方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
<請求項1の説明>
本発明に係るエアバッグの折畳方法は、エアバッグが、膨張用ガスの流入用開口を備えた車体側壁部と、該車体側壁部の外周縁から連なり、膨張完了時に乗員を受け止めて保護する拘束部を有した乗員側壁部と、を備えて構成され、
前記車体側壁部に前記乗員側壁部を重ねて、前記流入用開口の周縁における相互に対向する縁の両側からそれぞれ前記拘束部の中心付近となる拘束中心部まで延びる二つの一方側片縁部と他方側片縁部とを、それぞれ、前記流入用開口に接近させるように折り畳む第1折畳工程と、
該第1折畳工程で折り畳んで縮小させた方向と直交する方向の両縁をそれぞれ前記流入用開口に接近させるように折り畳む第2折畳工程と、
を経て折り畳むとともに、
前記第2折畳工程への移行前の前記第1折畳工程において、折り畳んだ折塊部の上面側に、前記拘束中心部を載せる状態とするエアバッグの折畳方法であって、
前記エアバッグの前記乗員側壁部が、前記拘束中心部付近から外周縁側にわたるエリアに、摘まんで山折の折目を付けるように折り重ねて、前記一方側片縁部と前記他方側片縁部とを折り畳んだ一方側折塊部と他方側折塊部との間から、前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との高さより高く突出する突出折畳部を形成可能な余肉部、を備えて構成され、
前記第1折畳工程において、
前記車体側壁部に前記乗員側壁部を重ねて平らに展開するとともに、予め、前記突出折畳部を形成しておき、前記突出折畳部の両側に、前記一方側片縁部と前記他方側片縁部とを折り畳んだ前記一方側折塊部と前記他方側折塊部とを形成して、前記前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との少なくとも一方の上面に、前記突出折畳部を載せることを特徴とする。
【0011】
本発明のエアバッグの折畳方法では、エアバッグの乗員側壁部が、所定の突出折畳部を形成可能な余肉部を備えている。そのため、第1折畳工程時、車体側壁部に乗員側壁部を重ねて平らに展開する際に、予め、突出折畳部を形成しておき、突出折畳部の両側に、一方側片縁部と他方側片縁部とを折り畳んで一方側折塊部と他方側折塊部とを形成し、その後、一方側折塊部と他方側折塊部との少なくとも一方の上面に、突出折畳部を平らに展開したり曲げたりして、載せればよい。すなわち、一方側折塊部と他方側折塊部とを形成した後、拘束中心部を引きずり出さずに、予め、所定長さ分、突出折畳部として形成しておくことができ、エアバッグ毎に、安定して、乗員を受け止める拘束部を配置させておくことができる。また、突出折畳部は、摘まんで山折の折目を付けるように折り重ねるものであって、特別な保持手段を用いなくとも、自立させるように折り畳んだ状態で、乗員側壁部に配置させておくことができ、簡便に、第1折畳工程を行うことができる。
【0012】
したがって、本発明に係るエアバッグの折畳方法では、拘束中心部を折塊部の上面側に載せる状態で折り畳む構成としても、簡便に折り畳むことができる。
【0013】
<請求項2の説明>
そして、本発明のエアバッグの折畳方法では、前記エアバッグの前記乗員側壁部は、前記第1折畳工程で寸法を狭める方向に沿った膜長を、前記第2折畳工程で寸法を狭める方向に沿った膜長より、長くすることが望ましい。
【0014】
このような構成では、第1折畳工程において、第1折畳工程で寸法を狭める方向に沿った膜長が、第2折畳工程で寸法を狭める方向に沿った膜長より長い分、すなわち、その膜長差の分、余肉部による突出折畳部を形成しつつ、その周囲にしわの発生を抑えて、乗員側壁部を車体側壁部に重ねて平らに展開させることができる。そのため、このような構成では、突出折畳部の周囲を極力平らにすることができることから、一方側片縁部と他方側片縁部の折り畳みが行い易くなり、円滑に、第1折畳工程を行うことができる。
【0015】
なお、上記の点を考慮しなければ、膨張完了時のエアバッグの乗員側壁部は、円錐形状や多角錐形状、あるいは、円錐台形状や多角錐台形状として、拘束中心部付近に頂部を設けた先細り状の形状に形成すれば、余肉部を容易に形成することが可能となり、突出折畳部の周囲のしわが発生し易いものの、本発明の折り畳みを容易に行なうことができる。
【0016】
<請求項3の説明>
また、本発明のエアバッグの折畳方法では、上記の構成の場合、前記エアバッグは、単体での膨張完了形状を、前記車体側壁部の側において、前記第1折畳工程で寸法を狭める方向に沿った長さ寸法を、前記第2折畳工程で寸法を狭める方向に沿った幅寸法より、長くすることが望ましい。
【0017】
このような構成では、エアバッグの膨張完了時、車体側壁部の長さ方向の両端付近が、乗員側壁部の直交する方向相互の膜長差により、車体側の部位を強く抑えることができ、車体側の部位と当って離隔するようなリバウンドを抑制でき、迅速に車体側の部位の支持を受けることができて、乗員の受け止め時の反力を素早く確保できる。
【0018】
<請求項4の説明>
さらに、本発明のエアバッグの折畳方法では、前記第1折畳工程の終了時、前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との間から突出した前記突出折畳部の部位を、平らに展開させて、前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との両方の上面に載せることが望ましい。
【0019】
このような構成では、拘束中心部が、一方側折塊部と他方側折塊部との上面側に均等に載る状態となって、エアバッグの膨張時、拘束部が、一方側片縁部と他方側片縁部との一方側に片寄らず、均等に、乗員側に広い面積で突出でき、乗員を広い面積で受け止めることができる。
【0020】
<請求項5の説明>
また、乗員側壁部の直交方向相互に膜長差を設け、膨張完了時の車体側壁部の側に寸法差を設ける場合には、本発明のエアバッグの折畳方法では、前記エアバッグは、前記一方側片縁部を前方側に配置させ、前記他方側片縁部を後方側に配置させて、ステアリングホイールに搭載される運転者用として構成する。そして、前記第1折畳工程の終了時、前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との間から突出した前記突出折畳部の部位を、前記他方側片縁部から延びる後壁部を前記一方側片縁部から延びる前壁部より上面側に露出させて、折り曲げることが望ましい。
【0021】
このような構成では、エアバッグの膨張時、拘束部が運転者側に突出する際、運転者が接近していても、突出折畳部が、運転者の顎付近を、上方側から下方側に押し下げるように回転して曲げを解消しつつ、膨らみ、そして、拘束部を突出させることとなり、突出折畳部が、運転者の顎付近を下方側から上方側に押し上げずに、曲げを解消できることから、運転者の頚椎へのダメージを抑制できる。
【0022】
<請求項6,7の説明>
エアバッグの乗員側壁部の直交方向相互に膜長差を設ける場合、エアバッグの車体側壁部は、前記第1折畳工程で寸法を狭める方向と前記第2折畳工程で寸法を狭める方向とのそれぞれの両側に頂点側を配置させる菱形としたり、あるいは、円形にすることができる。
【0023】
そして、車体側壁部を菱形とする場合には、乗員側壁部の直交方向相互に膜長差を設ける際、その膜長の長い方向を菱側の二つの頂点側に向ければ、容易にリバウンドを抑制できるエアバッグを形成できる。
【0024】
また、車体側壁部を円形とする場合には、乗員側壁部を、車体側壁部の曲率に合わせた半円形の部位の間に余肉部を設けた形状として、設定でき、余肉部の縁を二つ折りして重ねて、縫い合われば、乗員側壁部の外周縁を車体側壁部と同様な円形に形成でき、その後の乗員側壁部と車体側壁部との外周縁相互の縫合が容易となって、エアバッグを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態の折畳方法で折り畳んだエアバッグを組み付けたエアバッグ装置が搭載されるステアリングホイールの平面図である。
【図2】第1実施形態のエアバッグ装置が搭載されるステアリングホイールの縦断面図であり、図1のII−II部位に対応する。
【図3】第1実施形態のエアバッグにリテーナとインフレーターとを組み付けた状態で膨張させた場合のエアバッグの左右方向に沿った縦断面図である。
【図4】第1実施形態のエアバッグにリテーナとインフレーターとを組み付けた状態で膨張させた場合のエアバッグの前後方向に沿った縦断面図である。
【図5】第1実施形態に使用するエアバッグの単体での膨張完了時の概略底面図である。
【図6】第1実施形態に使用するエアバッグの単体での膨張完了時の概略斜視図である。
【図7】第1実施形態のエアバッグを構成するエアバッグ用基布を説明する図である。
【図8】第1実施形態のエアバッグの第1折畳工程を説明する図である。
【図9】第1実施形態のエアバッグの第1折畳工程から第2折畳工程を完了させる状態を説明する図である。
【図10】第1実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する図である。
【図11】第2実施形態のエアバッグの第1折畳工程から第2折畳工程を完了させる状態を説明する図である。
【図12】第2実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する図である。
【図13】第3実施形態のエアバッグの第1折畳工程から第2折畳工程を完了させる状態を説明する図である。
【図14】第3実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する図である。
【図15】第4実施形態に使用するエアバッグの単体での膨張完了時の概略斜視図である。
【図16】第4実施形態のエアバッグの製造を説明する図である。
【図17】第4実施形態のエアバッグの第1折畳工程を説明する図である。
【図18】第4実施形態のエアバッグの第1折畳工程から第2折畳工程を完了させる状態を説明する図である。
【図19】第4実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する図である。
【図20】第5実施形態のエアバッグの第1折畳工程から第2折畳工程を完了させる状態を説明する図である。
【図21】第5実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する図である。
【図22】第6実施形態に使用するエアバッグの単体での膨張完了時の概略斜視図である。
【図23】第6実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態のエアバッグ30が使用されるエアバッグ装置S1は、図1,2に示すように、ステアリングホイールWに搭載される運転席用のものであり、ステアリングホイールWは、ステアリングホイール本体1と、ステアリングホイール本体1の中央のボス部Bの上部に配置されるエアバッグ装置S1と、を備えて構成されている。ステアリングホイール本体1は、操舵時に把持する円環状のリング部Rと、リング部Rの中央に配置されてステアリングシャフトSSに締結されるボス部Bと、ボス部Bとリング部Rとを連結する4本のスポーク部Sと、を備えて構成されている。
【0027】
なお、本明細書では、特に断らない限り、上下方向は、ステアリングシャフトSSの軸方向に沿った上下方向が対応し、前後方向は、車両の直進操舵時のステアリングシャフトSSの軸方向と直交した前後方向が対応し、左右方向は、車両の直進操舵時のステアリングシャフトSSの軸方向と直交した左右方向が対応するものである。
【0028】
ステアリングホイール本体1は、図2に示すように、リング部R、ボス部B、スポーク部Sの各部を連結するように配置されて、アルミニウム合金等の金属製の芯金2を備えて構成されている。芯金2のリング部Rの部位と各スポーク部Sのリング部R側の部位とには、合成樹脂製の被覆層5が被覆されている。芯金2のボス部Bの部位には、ステアリングシャフトSSを挿入させてナットN止めするための鋼製のボス3が配設されている。また、ステアリングホイール本体1の下部には、ボス部Bの下方を覆う合成樹脂製のロアカバー7が配設されている。
【0029】
エアバッグ装置S1は、図2に示すように、折り畳まれて収納されるエアバッグ30、エアバッグ30に膨張用ガスを供給するインフレーター13、折り畳んだエアバッグ30の上方を覆うエアバッグカバー21、エアバッグ30とインフレーター13とを収納保持するとともにエアバッグカバー21を保持するケース15、及び、インフレーター13とともにエアバッグ30をケース15に取り付けるためのリテーナ11、を備えて構成されている。
【0030】
リテーナ11は、インフレーター13の円柱状の本体部13aを下方から挿入可能な外形を略正方形とした四角環状として、四隅に下方へ突出するボルト11aを備えて構成されている。リテーナ11は、ボルト11aを突出させた状態でエアバッグ30内に収納されて、ケース15への取付時、各ボルト11aを、ケース15の底壁部16の貫通孔16b(図1参照)とインフレーター13のフランジ部13cとに貫通させて、各ボルト11aにナット12を締結させることにより、エアバッグ30とインフレーター13とをケース15の底壁部16に取付固定している。
【0031】
インフレーター13は、上部に複数のガス吐出口13bを備えた円柱状の本体部13aと、本体部13aの外周面から突出するフランジ部13cと、を備えて構成されている。フランジ部13cには、リテーナ11の各ボルト11aを貫通させる図示しない貫通孔が形成されている。
【0032】
ケース15は、長方形板状の底壁部16と、底壁部16の外周縁から上下に延びる側壁部17と、を備えた板金製とし、ステアリングホイールWのボス部Bの上部に配置されて、折り畳まれたエアバッグ30を収納する収納部位を構成している。底壁部16には、インフレーター13の本体部13aを下方から挿入可能な円形に開口した挿通孔16aが形成されるとともに、その周囲に、リテーナ11の各ボルト11aを貫通させる4つの貫通孔16bが形成されている。すなわち、底壁部16の上面側における挿通孔16aの周囲は、エアバッグ30を取り付けるためのボルト11aを各貫通孔16bに貫通させて、エアバッグ30を取り付けることから、エアバッグ30を取り付ける取付面15aを構成することとなる。
【0033】
また、側壁部17の上端には、外方へ延びる取付片17aが形成され、取付片17aには、図示しないホーンスイッチ機構の取付基板が取り付けられ、図示しない取付基板を利用して、ケース15がステアリングホイールWの芯金2に取付固定され、エアバッグ装置S1が、ステアリングシャフトSSに装着済みのステアリングホイール本体1のボス部Bの上部に搭載されることとなる。
【0034】
また、ケース15の側壁部17には、リベット19(図2参照)等を利用してエアバッグカバー21の側壁部23が取り付けられている。
【0035】
エアバッグカバー21は、合成樹脂製として、収納したエアバッグ30の上方を覆う天井壁部22と、天井壁部22の外周縁付近から下方へ延びる略四角筒形状の側壁部23と、を備えて構成されている。天井壁部22には、膨張するエアバッグ30に押されて前後両側に開く2枚の扉部22aが形成されている。
【0036】
エアバッグ30は、図1,2の二点鎖線に示すように、膨張完了形状を略四角錐形状として、図1〜6に示すように、外表面側の周壁31と、周壁31の内周面に配置される補強布48と、を備えて構成されている。そして、周壁31が、収納部位としてのケース15の取付面15aに取り付けられる車体側壁部32と、車体側壁部32の外周縁から連なって、エアバッグ30の膨張完了時に乗員としての運転者MD(図10参照)を受け止めて保護する拘束部42を有した乗員側壁部41と、を備えて構成されている。
【0037】
膨張完了時の車体側壁部32の側は、相互に直交するように配置される二つの対角線(長軸、短軸)33,34に長短の差を設けられた略菱形としている(図5の実線参照)。但し、平らに展開させた状態の車体側壁部32を形成する車体側構成部51は、図5の二点鎖線や図7に示すように、対角線の短い短軸34側の長さを長くした状態の正方形として、相互に直交する二つの対角線51a,51bを同じ長さとしている。ちなみに、二つの対角線51a,51bを同じ長さとしていても、膨張完了時に二つの対角線(長軸、短軸)33,34に長短の差が形成される理由は、実施形態の場合、膨張完了時の後述する稜線45,46に大きな差が設けられることから、その影響を受けて、二つの対角線(長軸、短軸)33,34に長短の差が生じている。
【0038】
そして、車体側壁部32(車体側構成部51)の中央付近(実施形態の場合には、車体側壁部32の中央(中心)である)には、リテーナ11に押えられてケース15の底壁部16の取付面15aに取り付けられる取付座35、が形成されている。この取付座35の中央には、エアバッグ30内に膨張用ガスGを流入させるための円形に開口させた流入用開口37が、配設されている。実施形態では、流入用開口37には、既述したように、インフレーター13の円柱状の本体部13aにおけるガス吐出口13bを設けた上部側が挿入されることとなる。取付座35の流入用開口37の周囲には、リテーナ11の各ボルト11aを挿通させる取付孔35aが、放射状の4箇所の位置に、開口されている。
【0039】
すなわち、この取付座35は、リテーナ11に押えられるエリアであり、リテーナ11の外形形状に対応して、車体側壁部32の対角線の長い側の長軸33に沿う辺と短軸34に沿う幅寸法とを有した平面状とし、リテーナ11に押えられてケース15の平面状の取付面15aに取付固定されることとなる。実施形態の場合、リテーナ11が、外形形状を略正方形としていることから、取付座35は、リテーナ11に一致した略正方形の外形として、中央に、円形の流入用開口37を有した略四角環状としている。
【0040】
なお、実施形態の場合、エアバッグ装置S1をステアリングホイールWへ搭載し、かつ、ステアリングホイールWの車両の直進操舵時において、エアバッグ30が膨張を完了させた際には、車体側壁部32の対角線の長い長軸33側は、両端(前端33aと後端33b)を前後方向に沿わせて配置させ、また、対角線の短い短軸34側は、両端(左端34aと右端34b)を左右方向に沿わせて配置されるように、エアバッグ装置S1がステアリングホイールWに搭載される。さらに、実施形態の場合、車体側壁部32は、ステアリングホイールWへの搭載状態でのエアバッグ30の膨張完了時、長軸33の前端33a,後端33bや短軸34の左端34a,右端34bの近傍を、リング部Rの上面PRに接触するように、形成されている。換言すれば、車体側構成部51は、対角線33,34の端部33a,33b,34a,34b付近を、リング部Rの上面PRに接触させるように、構成されている。
【0041】
なお、取付座35には、実施形態の場合、周壁31の内周面に配置される円板状の補強布48が、結合され、補強布48にも、流入用開口37と取付孔35aとが形成されている。
【0042】
また、車体側壁部32には、前端33a付近に、余剰の膨張用ガスを排気可能なベントホール39,39が開口されている。
【0043】
エアバッグ30の乗員側壁部41は、リテーナ11とインフレーター13とを設けた状態で、単体で膨張を完了させた際、図3,4,6に示すように、左右方向から見た前後方向の稜線(長寸側稜線)46の長さ、すなわち、前後方向の膜長LMが、左右方向の稜線(短寸側稜線)45の長さ、すなわち、左右方向の膜長LS、より長くなるように設定されている。また、乗員側壁部41は、膨張完了時の中央付近、すなわち、長寸側稜線46と短寸側稜線45との交差付近が、リング部Rの上面PRから上方へ突出して、運転者MDを受け止めて保護する拘束部42となる。なお、この拘束部42の構成は、膨張時の乗員側壁部41の左右方向に沿った横断面(短寸側稜線45に沿う横断面)では、図3に示すように、左右方向に沿った略直線状の平坦部42aが形成されるものの、前後方向に沿った縦断面(長寸側稜線46に沿う横断面)では、図4に示すように、拘束部42の中心となる頂点、換言すれば、拘束中心部43が最も膨らんだ状態となる。
【0044】
また、実施形態の乗員側壁部41では、前後方向の長寸側稜線46の膜長LMを左右方向の短寸側稜線45の膜長LSより長くする寸法差は、拘束中心部43付近を摘まんで山折の折目66を付けて形成する突出折畳部65(図8のA参照)を容易に形成できるように、余肉部64を形成するためと、後述するように、膨張完了時のエアバッグ30のリバウンドを抑制させるために、形成されている。
【0045】
すなわち、余肉部64に関しては、エアバッグ30の折畳時において、平らに展開した車体側壁部32に乗員側壁部41を載せて重ねる際に、余肉部64を摘まんで突出折畳部65を形成すれば、乗員側壁部41を極力平らに展開できるように、余肉部64を生じさせる膜長LM,LSに差が設けられている。なお、実施形態の場合、余肉部64を摘まんで突出折畳部65を形成する折目66は、拘束中心部43を通る左右方向の短寸側稜線45と一致し、拘束中心部43から左右の外周縁60a(図例の場合、車体側壁部32の左端34a付近や右端34b付近)まで延びている。また、突出折畳部65を形成しつつ、平らに展開した車体側壁部32に乗員側壁部41を平らに重ねて展開させた際、その平らに展開させた折畳準備体60には、図8のAに示すように、エアバッグ30の拘束中心部43から前縁30aまでの一方側片縁部(実施形態では前方側片縁部)61と、拘束中心部43から後縁30bまでの他方側片縁部(実施形態では後方側片縁部)62とが、突出折畳部65の前後に配置されることとなる。そしてその後、エアバッグ30(折畳準備体60)は、前後方向の寸法と左右方向の寸法とを縮めるように折り畳んで、収納部位としてのケース15に収納されて、ステアリングホイールWに搭載されることとなる。
【0046】
そして、実施形態のエアバッグ30を構成する周壁31は、図7に示すように、ポリエステルやポリアミド等の可撓性を有した織布からなるエアバッグ用基布50から形成されている。エアバッグ用基布50は、耐熱性を向上させるために、エアバッグ30の内周面側となる側に、適宜、シリコンゴム等からなるコーティング層が形成されている。
【0047】
エアバッグ用基布50は、基本構成として、エアバッグ30の膨張完了時における車体側壁部32を平らに展開させた状態の菱形の車体側構成部51と、乗員側壁部41を形成する乗員側構成部52と、を備えて構成されている。さらに、乗員側構成部52は、その基本構成として、菱形形状(実施形態では正方形形状)の車体側構成部51の周縁の四辺から拘束部42の拘束中心部43まで延びる四つの略三角形状の分割体53,54,55,56を備えて構成されている。分割体53は、乗員側壁部41の前左側を構成し、分割体54は、乗員側壁部41の前右側を構成し、分割体55は、乗員側壁部41の後左側を構成し、分割体56は、乗員側壁部41の後右側を構成する。
【0048】
そして、各分割体53,54,55,56は、直線状の縁53a,54a,55a,56aと曲線状の縁53b,54b,55b,56bとを備えて構成されている。各分割体53,54,55,56は、直線状の縁53a,54a相互と縁55a,56a相互とが縫合により結合され、曲線状の縁53b,54b相互と縁55b,56b相互とが縫合により結合されて、乗員側壁部41が形成されている。そして、各分割体53,54,55,56では、曲線状の縁53b,54b,55b,56bの長さ寸法より、直線状の縁53a,54a,55a,56aの長さ寸法を長くしていることから、乗員側壁部41が形成された際、前後方向の長寸側稜線46の膜長LMが、左右方向の短寸側稜線45の膜長LSより、その長さ寸法を長くすることとなる。また、縁53b,54b,55b,56bが所定の曲線状となっているため、乗員側壁部41が形成された際、拘束部42の横断面における拘束中心部43付近に、平坦部42aが形成されることとなる。
【0049】
なお、実際のエアバッグ30の製造時には、車体側構成部51の補強布48を縫合し、流入用開口37,取付孔35a、及び、ベントホール39を孔開け加工し、そして、各分割体53,54,55,56における直線状の縁53a,54a相互と55a,56a相互、及び、曲線状の縁53b,54b相互と縁55b,56b相互と、をそれぞれ縫合した後、縫代が外表面側に露出しないように、流入用開口37を利用して裏返して製造している。
【0050】
エアバッグ装置S1を組み立ててステアリングホイールWに搭載する場合には、各ボルト11aを取付孔35aから突出させるようにエアバッグ30内にリテーナ11を入れ、エアバッグ30を折り畳む。
【0051】
第1実施形態の折畳方法は、つぎのような前後左右の寸法を狭めるように、第1折畳工程と第2折畳工程とを経て折り畳む。
【0052】
第1折畳工程では、前後方向の寸法を狭める折畳工程であり、まず、図8のAに示すように、乗員側壁部41の短寸側稜線45付近の余肉部64を摘まんで、左右方向に沿う折目66を付けて前後に折り重ねた突出折畳部65を形成しつつ、平らに展開した車体側壁部32の上に乗員側壁部41を平らに展開させて、折畳準備体60を形成する。なお、この突出折畳部65における平らに展開した乗員側壁部41からの高さH1は、後述する図9のAに示す前側折塊部71や後側折塊部72より高く設定されている。
【0053】
ついで、図8のBに示すように、前側片縁部61と後側片縁部62とを、それぞれ、流入用開口37側に接近させるように、折り畳んで、前側折塊部71と後側折塊部72とを形成する。前側折塊部71と後側折塊部72とは、前側片縁部61や後側片縁部62を、車体側壁部32の側で巻いて折る外ロール折りや、乗員側壁部41の側で巻いて折る内ロール折り、あるいは、蛇腹折りが例示できる。
【0054】
そして、図9のAに示すように、前側折塊部71と後側折塊部72との上面71a,72aから突出する突出折畳部65の前壁部65aと後壁部65bとを離すように展開し、さらに、平らに展開させて、前側折塊部71と後側折塊部72との上面71a,72aにそれぞれ均等に載せて第1折畳体74を形成して、第1折畳工程を終了する。
【0055】
第2折畳工程は、左右方向の寸法を狭める折畳工程であり、実施形態の場合、図9のBに示すように、第1折畳工程で折り畳んで縮小させた方向(前後方向)と直交する方向の両縁を、すなわち、第1折畳体74の左右の縁74a,74bを、流入用開口37に接近させるように折り畳んで、折畳完了体76を形成する。このときの折り畳みも、縁74a,74b側を車体側壁部32の側で巻いて折る外ロール折りや、乗員側壁部41の側で巻いて折る内ロール折り、あるいは、蛇腹折りにより、折り畳むことが例示できる。
【0056】
そして、折畳完了体76を形成して、折り畳みを完了したならば、折り崩れしないように、エアバッグ30(折畳完了体76)を所定の折り崩れ防止材によって包む。ついで、各ボルト11aを貫通孔16bから突出させるように、ケース15内の底壁部16上にエアバッグ30を収納し、さらに、インフレーター13の本体部13aを下方から底壁部16の挿通孔16aに挿入させて、フランジ部13cに各ボルト11aを貫通させて、各ボルト11aにナット12を締結すれば、収納部位としてのケース15に、エアバッグ30とインフレーター13とを収納し、かつ、リテーナ11を利用して、エアバッグ30とインフレーター13とを取り付けることができる。さらに、ケース15にエアバッグカバー21を被せて、リベット19等を利用して側壁部17,23相互を連結して、ケース15にエアバッグカバー21を取り付け、さらに、ケース15の取付片17aに、図示しないホーンスイッチ機構を組み付ければ、エアバッグ装置S1を組み立てることができる。そして、エアバッグ装置S1の車両への搭載は、予め、ステアリングシャフトSSに締結したステアリングホイール本体1に対して、ホーンスイッチ機構の図示しない取付基板を利用して、エアバッグ装置S1を取り付ければ、エアバッグ装置S1を車両に搭載することができる。
【0057】
このステアリングホイールW用のエアバッグ装置S1では、作動時、図2に示すように、膨張用ガスGが流入用開口37を経てエアバッグ30に流入すると、エアバッグ30が膨張し、エアバッグカバー21の扉部22a,22aを押し開いて、エアバッグ30が、図10のA〜Cに示すように、収納部位としてのケース15から突出して、リング部Rの上面PR側を覆うように、膨張を完了させる。
【0058】
その際、膨張当初、図10のAの二点鎖線に示すように、第2折畳工程での折りを解消しつつ、直ちに、前側折塊部71と後側折塊部72とが前後に離れて、その間の広いエリアから拘束中心部43が押し出され、広く展開した拘束部42が迅速に運転者MDを受け止めることができる。そして、図10のB,Cに示すように、エアバッグ30が膨張を完了させ、運転者MDをクッション性よく受け止めて保護することができる。
【0059】
以上のように、第1実施形態のエアバッグ30の折畳方法では、エアバッグ30の乗員側壁部41が、所定の突出折畳部65を形成可能な余肉部64を備えている。そのため、第1折畳工程時、図8のAに示すように、車体側壁部32に乗員側壁部41を重ねて平らに展開する際に、予め、突出折畳部65を形成しておき、突出折畳部65の前後両側に、一方側片縁部(前側片縁部)61と他方側片縁部(後側片縁部)62とを折り畳んで一方側折塊部(前側折塊部)71と他方側折塊部(後側折塊部)72とを形成し、その後、前側折塊部71と後側折塊部72との上面71a,72aに、突出折畳部65を平らに展開して載せればよい。すなわち、前側折塊部71と後側折塊部72とを形成した後、拘束中心部43を引きずり出さずに、予め、所定長さ分、突出折畳部65として形成しておくことができ、エアバッグ30毎に、安定して、乗員としての運転者MDを受け止める拘束部42を第1折畳体74の上面側に配置させておくことができる。また、突出折畳部65は、摘まんで山折の折目66を付けるように折り重ねるものであって、特別な保持手段を用いなくとも、自立させるように折り畳んだ状態で、乗員側壁部41に配置させておくことができ、簡便に、第1折畳工程を行うことができる。
【0060】
したがって、第1実施形態のエアバッグ30の折畳方法では、拘束中心部43を折塊部71,72の上面側に載せる状態で折り畳む構成としても、簡便に折り畳むことができる。
【0061】
そして、第1実施形態のエアバッグ30の折畳方法では、エアバッグ30の乗員側壁部41は、第1折畳工程で寸法を狭める方向(実施形態では前後方向)に沿った膜長LMを、第2折畳工程で寸法を狭める方向(実施形態では左右方向)に沿った膜長LSより、長くしている。
【0062】
そのため、実施形態では、第1折畳工程において、第1折畳工程で寸法を狭める方向に沿った前後方向の長寸側稜線46の膜長LMが、第2折畳工程で寸法を狭める方向に沿った左右方向の短寸側稜線45の膜長LSより長い分、すなわち、その膜長差の分、余肉部64による突出折畳部65を形成しつつ、その周囲にしわの発生を抑えて、乗員側壁部41を車体側壁部32に重ねて平らに展開させることができる。そのため、このような構成では、突出折畳部65の周囲を極力平らにすることができることから、前側片縁部61と後側片縁部62の折り畳みが行い易くなり、円滑に、第1折畳工程を行うことができる。
【0063】
なお、上記の点を考慮しなければ、膨張完了時のエアバッグ30の乗員側壁部41は、円錐形状や多角錐形状、あるいは、円錐台形状や多角錐台形状として、拘束中心部43付近に頂部を設けた先細り状の形状に形成すれば、余肉部64を容易に形成することが可能となり、突出折畳部65の周囲のしわが発生し易いものの、本発明の折り畳みを容易に行なうことができる。
【0064】
また、第1実施形態のエアバッグ30の折畳方法では、エアバッグ30が、リテーナ11とインフレーター13とを設けた単体での膨張完了形状を、車体側壁部32の側において、第1折畳工程で寸法を狭める前後方向に沿った長さ寸法LLを、第2折畳工程で寸法を狭める左右方向に沿った幅寸法LWより、長くしている。
【0065】
このような構成では、エアバッグ30の膨張完了時、車体側壁部32の長さ方向の両端33a,33b付近が、乗員側壁部41の直交する方向相互の膜長差により、車体側の部位としてのリング部Rの上面PRの前端PRfと後端PRbとを強く抑えることができ、リング部Rの上面PRと当って離隔するようなリバウンドを抑制でき、迅速にリング部Rの支持を受けることができて、運転者MDの受け止め時の反力を素早く確保できる。
【0066】
すなわち、このようなエアバッグ30のリバウンドの抑制作用は、乗員側壁部41を、平面状の車体側壁部32より広い面積として、拘束中心部43を頂点とする先細り状に突出する形状とし、さらに、乗員側壁部41の相互に直交する前後と左右との稜線の膜長LM,LSに長短の差を設け、かつ、前後左右の稜線の端部に頂点を設けた略菱形の車体側壁部32としていることにより、達成されている。
【0067】
換言すれば、エアバッグ30の膨張完了時には、図4に示すように、乗員側壁部41の前後方向の長寸側稜線46が、凸形状となって、その膜長LMが、取付座35側での車体側壁部32の前後の長寸側対角線33の前端33aと後端33bとを、直接、結ぶ膜長LMDより、長い。そのため、その膜長LM,LMDの差によって、エアバッグ30の膨張完了時における拘束部42を経た前端33aと後端33bとを結ぶ乗員側壁部41の外側へ膨らもうとする力EP1が、取付座35側での前端33a,後端33b間の車体側壁部32の押し広げ力EP2より勝り、車体側壁部32の前端33a,後端33bが、車体側壁部32の取付座35から曲がるように、リング部Rの上面PRを押圧することとなって、リバウンドの抑制作用を発揮できることとなる。特に、エアバッグ30の膨張時には、車体側壁部32の中央における取付座35が、リテーナ11とケース15の取付面15aとの間で、挟持されて膨らまず、取付座35側の車体側壁部32の押し広げ力EP2を確保できる面積(内圧を受ける面積)が実質的にさらに狭まることから、一層、取付座35と対向する側の拘束部42を含めた乗員側壁部41の押し広げ力EP1が、取付座35側の車体側壁部32の押し広げ力EP2より勝ることとなる。そしてさらに、エアバッグ30の車体側壁部32の中央の取付座35が固定されて、その縁部分36,36から曲がり易いこととあいまって、エアバッグ30の車体側壁部32の前端33aと後端33bとは、取付座35から、拘束部42から離れる方向の側に、すなわち、搭載側部位のリング部Rの上面PR側を押える方向の側に沿って下がった位置に、配置させ易い。
【0068】
なお、エアバッグ30の車体側壁部32における左右方向の短寸側対角線34側でも、図3に示すように、エアバッグ30の膨張完了時、その短寸側対角線34の延びている方向と直交方向から見た側面視の状態で、乗員側壁部41の拘束部42を経た短寸側対角線34の左端34aと右端34bとを結ぶ短寸側稜線45が、凸形状となって、その膜長LSが、取付座35側での車体側壁部32の左端34aと右端34bとを直接結ぶ膜長LSDより、長くなる。しかし、このエアバッグ30では、膨張時、乗員側壁部41の拘束部42の拘束中心部43を経た長寸側稜線46の実質的な直線状の長さ寸法、すなわち、長さ寸法LLが、乗員側壁部41の拘束部42の拘束中心部43を経た短寸側稜線45の実質的な直線状の長さ寸法、すなわち、幅寸法LWより、長い。そのため、短寸側対角線34の左端34a,右端34bの拘束部42から離れる方向への押圧力DF2が、長寸側対角線33の前端33a,後端33bの拘束部42から離れる方向への押圧力DF1に伴う反力(取付座35側での長寸側対角線33と直交する短寸側対角線34の左端34a、右端34bを拘束部42側に押し上げるように発生する押上力)UF1に打ち消される状態となって、長寸側対角線33と直交する短寸側対角線34の左端34a,右端34bは、逆に、拘束部42側に浮き上がるような状態となる。
【0069】
ちなみに、対角線51a,51bの長さを等しくした菱形の車体側壁部32を備えたエアバッグ30が、直交する二つの稜線45,46の膜長LM,LSに差を設けられなければ、対角線33,34の端部33a,33b,34a,34b相互が、拘束部42から離れる方向への押圧力を打ち消しあって、対角線の各端部の全てが、搭載側部位のリング部Rの上面PR側を押える方向へ、変位し難くなってしまう。
【0070】
その結果、第1実施形態のエアバッグ装置S1のエアバッグ30では、膨張完了形状を維持している間、車体側壁部32の側における長寸側対角線33の両端33a,33bが容易に安定した強い押圧力DF1を発揮できて、リバウンドを的確に抑制できる(図4、図10のC参照)。
【0071】
さらにまた、第1実施形態のエアバッグ30の折畳方法では、第1折畳工程の終了時、前側折塊部71と後側折塊部72との間から突出した突出折畳部65の部位を、前壁部65aと後壁部65bとを離すように平らに展開させて、前側折塊部71と後側折塊部72との両方の上面71a,72aに載せている。
【0072】
そのため、第1実施形態では、拘束中心部43が、前側折塊部71と後側折塊部72との上面71a,72a側に均等に載る状態となって、エアバッグ30の膨張時、図10のAの二点鎖線に示すように、拘束部42が、前側折塊部71(前側片縁部61)と後側折塊部72(後側片縁部62)との一方側に片寄らず、均等に、運転者MD側に広い面積で突出でき、運転者MDを広い面積で受け止めることができる。そして、図例のように、運転者MDがステアリングホイールWに接近していても、拘束部42が、広い面積で運転者MDを受け止めて押し返しつつ、クッション性よく、運転者MDを保護することができる。
【0073】
そして、第1実施形態のように、乗員側壁部41の直交方向相互の稜線45,46に膜長差を設け、膨張完了時の車体側壁部32の側に前後左右の長さとなる長さ寸法LLと幅寸法LWとに寸法差を設けて、リバウンドを抑制してステアリングホイールWに搭載させる場合には、図11,12に示す第2実施形態のエアバッグ30Aの折畳方法や、図13,14に示す第3実施形態のエアバッグ30Bの折畳方法を採用してもよい。
【0074】
図11,12にエアバッグ30Aの折畳方法は、第1実施形態と同一形状のエアバッグ30を使用して、第1折畳工程における突出折畳部65の折塊部に載せる状態を、第1実施形態と異ならせている。すなわち、第2実施形態では、図11のAに示すように、前側折塊部71と後側折塊部72との間から突出する突出折畳部65の部位を、後側片縁部62から延びる後壁部65bを前側片縁部61から延びる前壁部65aより上面側に露出させるように、ロール折りして折り曲げて、前側折塊部71の上面71aに載せている。
【0075】
このような折り畳みでは、エアバッグ30Aの膨張時、図12のAの二点鎖線に示すように、拘束部42が運転者MD側に突出する際、運転者MDが接近していても、突出折畳部65が、運転者MDの顎J付近を、上方側から下方側に押し下げるように回転して曲げを解消しつつ、膨らみ、そして、拘束部42を後方側に突出させることとなり、突出折畳部65が、運転者MDの顎J付近を下方側から上方側に押し上げずに、曲げを解消できることから、運転者MDの頚椎へのダメージを抑制できる。
【0076】
図13,14にエアバッグ30Bの折畳方法も、第1実施形態と同一形状のエアバッグ30を使用して、第1折畳工程における突出折畳部65の折塊部に載せる状態を、第1実施形態と異ならせている。すなわち、第3実施形態では、図13のAに示すように、前側折塊部71と後側折塊部72との間から突出する突出折畳部65の部位を、後側片縁部62から延びる後壁部65bを前側片縁部61から延びる前壁部65aより上面側に露出させるように、後側折塊部72の上面72a側に一旦折り曲げ、そして、後側折塊部72の上面72aから前側折塊部71の上面71aに載せている。
【0077】
このような折り畳みでも、エアバッグ30Bの膨張時、図14のAの二点鎖線に示すように、拘束部42が運転者MD側に突出する際、運転者MDが接近していても、突出折畳部65が、運転者MDの顎J付近を、上方側から下方側に押し下げるように回転して曲げを解消しつつ、膨らみ、そして、拘束部42を後方側に突出させることとなり、突出折畳部65が、運転者MDの顎J付近を下方側から上方側に押し上げずに、曲げを解消できることから、運転者MDの頚椎へのダメージを抑制できる。
【0078】
なお、図11のAや図13のAの右側の括弧内に図示した折り畳みでは、前壁部65a側を後壁部65b側より上面側に配置させており、このような折り畳みのエアバッグでは、膨張時、突出折畳部65が、運転者MDの顎J付近を、下方側から上方側に押し上げるように回転して曲げを解消することから、接近した運転者に対しては不適となる。
【0079】
また、上記のエアバッグ30A,30Bでは、膨張完了時、リング部Rの上面PRの前端PRfと後端PRbとに強く圧接されて、リバウンドを抑制できることから、接近している運転者MDを、素早く反力を確保し、クッション性よく保護できる。
【0080】
さらに、突出折畳部を形成する余肉部を設けるエアバッグとしては、図15,16に示す第4実施形態のエアバッグ30Cのように構成してもよい。このエアバッグ30Cは、車体側壁部32Cがリング部Rを覆える円形とし、乗員側壁部41Cが、前後に縮めて形成するようなタックを設けたように構成されている。
【0081】
すなわち、図16のAに示すように、乗員側壁部41Cを形成する乗員側用基布57が、車体側壁部32Cの曲率に合わせた半円形の部位57a,57aの間に長方形板状の余肉部64Cを設けた形状としている。そして、この乗員側用基布57では、余肉部64Cの左右の縁64aをそれぞれ摘まむように二つ折りして重ねて、その重ねた部位を縫い合われば、図16のBに示すように、乗員側用基布57の外周縁を車体側壁部32Cと同様な円形に形成できる。
【0082】
そして、図16のCに示すように、円形の車体側壁部32Cと乗員側壁部41Cとの外周縁相互を縫合して、流入用開口37を利用して裏返せば、突出折畳部65Cを形成可能な余肉部64Cを設けたエアバッグ30Cを簡単に製造できる。
【0083】
すなわち、このエアバッグ30Cでは、膨張完了時の乗員側壁部41Cが、前後方向の長寸側稜線46を、長方形状の余肉部64Cにより、左右方向の短寸側稜線45に比べて、長くなる。
【0084】
なお、図例のエアバッグ30Cでは、余肉部64Cの左右の縁64aが、円形の車体側壁部32Cと乗員側壁部41Cとの外周縁相互の縫合時に共縫いされており、乗員側壁部41Cの左右方向の短寸側稜線45の長さ寸法は、車体側壁部32Cの直径寸法と等しく、前後方向の長寸側稜線46が左右方向の短寸側稜線45に比べて長い。
【0085】
そして、このエアバッグ30Cの折畳方法の第1折畳工程では、リテーナ11を入れた状態で、図17のAに示すように、乗員側壁部41Cの短寸側稜線45付近の余肉部64Cを摘まんで、左右方向に沿う折目66を付けて前後に折り重ねた突出折畳部65Cを形成しつつ、平らに展開した車体側壁部32Cの上に乗員側壁部41Cを平らに展開させて、折畳準備体60Cを形成する。なお、この突出折畳部65Cにおける平らに展開した乗員側壁部41Cからの高さH1は、後述する前側折塊部71や後側折塊部72より高く設定されている。
【0086】
ついで、図17のBに示すように、前側片縁部61と後側片縁部62とを、それぞれ、流入用開口37側に接近させるように、折り畳んで、前側折塊部71と後側折塊部72とを形成する。
【0087】
そして、図18のAに示すように、前側折塊部71と後側折塊部72との上面71a,72aから突出する突出折畳部65Cの前壁部65aと後壁部65bとを離すように展開し、さらに、平らに展開させて、前側折塊部71と後側折塊部72との上面71a,72aにそれぞれ均等に載せて第1折畳体74を形成して、第1折畳工程を終了する。
【0088】
第2折畳工程では、図18のBに示すように、第1折畳体74の左右の縁74a,74bを、流入用開口37に接近させるように折り畳んで、折畳完了体76を形成すれば、折り畳みを完了できる。
【0089】
このエアバッグ30Cを第1実施形態の同様にステアリングホイールWに搭載した後、エアバッグ30Cに膨張用ガスが流入すれば、膨張当初、図19のAの二点鎖線に示すように、第2折畳工程での折りを解消しつつ、直ちに、前側折塊部71と後側折塊部72とが前後に離れて、その間の広いエリアから拘束中心部43が押し出され、広く展開した拘束部42が迅速に運転者MDを受け止めることができる。そして、図19のB,Cに示すように、エアバッグ30Cが膨張を完了させ、運転者MDをクッション性よく受け止めて保護することができる。
【0090】
以上のように、第4実施形態のエアバッグ30Cの折畳方法でも、エアバッグ30Cの乗員側壁部41Cが、所定の突出折畳部65Cを形成可能な余肉部64Cを備えている。そのため、第1折畳工程時、図17のAに示すように、車体側壁部32Cに乗員側壁部41Cを重ねて平らに展開する際に、予め、突出折畳部65Cを形成しておき、突出折畳部65Cの前後両側に、一方側片縁部(前側片縁部)61と他方側片縁部(後側片縁部)62とを折り畳んで一方側折塊部(前側折塊部)71と他方側折塊部(後側折塊部)72とを形成し、その後、前側折塊部71と後側折塊部72との上面71a,72aに、突出折畳部65Cを平らに展開して載せればよい。すなわち、前側折塊部71と後側折塊部72とを形成した後、拘束中心部43を引きずり出さずに、予め、所定長さ分、突出折畳部65Cとして形成しておくことができ、エアバッグ30C毎に、安定して、拘束部42を第1折畳体74の上面71a,72a側に配置させておくことができる。また、突出折畳部65Cは、摘まんで山折の折目66を付けるように折り重ねるものであって、特別な保持手段を用いなくとも、自立させるように折り畳んだ状態として、乗員側壁部41に配置させておくことができ、簡便に、第1折畳工程を行うことができて、第4実施形態のエアバッグ30Cの折畳方法でも、第1実施形態と同様に、拘束中心部43を折塊部71,72の上面71a,72a側に載せる状態で折り畳む構成としても、簡便に折り畳むことができる。
【0091】
なお、エアバッグ30Cと同じものを使用してステアリングホイールWに搭載する場合でも、図20,21の第5実施形態のエアバッグ30Dのように、第1折畳工程における突出折畳部65Cの折塊部に載せる状態を、前側折塊部71と後側折塊部72との間から突出する突出折畳部65Cの部位を、後側片縁部62から延びる後壁部65bを前側片縁部61から延びる前壁部65aより上面側に露出させるように、例えば、前側折塊部71の上面71a側に載せるように折り曲げてもよい。この場合でも、エアバッグ30Dの膨張時、図21のAの二点鎖線に示すように、拘束部42が運転者MD側に突出する際、運転者MDが接近していても、突出折畳部65Cが、運転者MDの顎J付近を、上方側から下方側に押し下げるように回転して曲げを解消しつつ、膨らみ、そして、拘束部42を後方側に突出させることとなり、突出折畳部65Cが、運転者MDの顎J付近を下方側から上方側に押し上げずに、曲げを解消できることから、運転者MDの頚椎へのダメージを抑制できる。
【0092】
ちなみに、第1〜3実施形態のエアバッグ30,30A,30Bでは、車体側壁部32を菱形として、乗員側壁部41の直交方向相互の稜線45,46に膜長差を設けつつ、その膜長の長い方向を菱形の二つの頂点側に向ければ、容易にリバンウンドを抑制できる状態に形成できる。これに対し、第4,5実施形態のエアバッグ30C,30Dでは、乗員側壁部41の直交方向相互の稜線45,46に膜長差を設けて、第1折畳工程での乗員側壁部41Cのしわの発生を抑制して突出折畳部65Cを形成可能な余肉部64Cを簡単に形成させているものの、車体側壁部32Cが菱形で無く円形であることから、第1〜3実施形態のエアバッグ30,30A,30Bに比べて、リバウンドの抑制効果が低い。
【0093】
但し、第4,5実施形態のエアバッグ30C,30Dでは、車体側壁部32Cを円形として、乗員側壁部41Cを、車体側壁部32Cの曲率に合わせた半円形の部位の間に略長方形の余肉部64Cを設けた形状として、設定でき、余肉部64の縁64aを二つ折りして重ねれば、乗員側壁部41Cの外周縁を車体側壁部32Cと同様な円形に形成でき、その後の乗員側壁部41Cと車体側壁部32Cとの外周縁相互の縫合が容易となって、エアバッグ30C,30Dを容易に製造することができる。
【0094】
また、第1〜5実施形態のエアバッグ30,30A,30B,30C,30Dでは、ステアリングホイールWに搭載するステアリングホイールW用のエアバッグ装置S1に使用するものを説明したが、図22,23に示す第6実施形態のエアバッグ30Eのように、エアバッグ30と略相似形として大きくし、エアバッグ30の前後方向を左右方向に90°回転させて、助手席用のエアバッグ装置S2に使用してもよい。
【0095】
このエアバッグ30Eは、膨張完了形状を略四角錐形状として、単に、乗員側壁部41の長寸側稜線46が左右方向に配置され、短寸側稜線45や突出折畳部65の折目66が前後方向に配置されるだけで、エアバッグ30を90°回転させたと同様に構成され、そして、折り畳まれる。なお、ベントホール39は、インストルメントパネルIPの上方に突出するように、車体側壁部32の上部側に配置されている。
【0096】
インストルメントパネルIPに搭載された状態で、第6実施形態のエアバッグ30Eが膨張すれば、膨張初期に、図23のAに二点鎖線に示すように、拘束部42が素早く幅広く展開し、乗員としての助手席搭乗者MPを迅速に受け止めることができることとなる。
【0097】
なお、運転席用のエアバッグ装置S1に使用するエアバッグ30,30A,30B,30C,30Dの折り畳みとして、左右方向に折目66を付けた突出折畳部65を形成したが、それらの折り畳みの角度を90°ずらして、突出折畳部65の折目66を前後方向に沿わせて、折り畳んでもよい。この場合、エアバッグの長寸側稜線46は、左右方向に沿わせて配置させてもよいし、前後方向に沿わせて配置させてもよい。
【0098】
また、助手席用のエアバッグ30Eでも、図例と相違し、長寸側稜線46を前後方向(上下方向)に配置させて膨張する状態として、インストルメントパネルIPに搭載してもよい。そして、突出折畳部65の折目66は、前後方向に沿わせたり、左右方向に沿わせて、エアバッグを折り畳んでもよい。
【符号の説明】
【0099】
30,30A,30B,30C,30D,30E…エアバッグ、
31…周壁、
32,32C…車体側壁部、
37…流入口開口、
41,41C…乗員側壁部、
42…拘束部、
43…(頂部)拘束中心部、
45…短寸側稜線、
46…長寸側稜線、
61…(一方側片縁部)前側片縁部、
62…(他方側片縁部)後側片縁部、
64,64C…余肉部、
65,65C…突出折畳部、
65a…前壁部、
65b…後壁部、
66…折目、
71…(一方側折塊部)前側折塊部、
71a…上面、
72…(他方側折塊部)後側折塊部、
72a…上面、
S1…(運転席用)エアバッグ装置、
S2…(助手席用)エアバッグ装置、
G…膨張用ガス、
PR…(リング部・車体側の部位)上面、支持面、
IP…(車体側の部位)インストルメントパネル、
LM…(長寸側)膜長、
LS…(短寸側)膜長。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイール用や助手席用等のエアバッグ装置に使用されるエアバッグの折畳方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエアバッグ装置のエアバッグでは、膨張時、運転者等の乗員に対して、迅速に受け止めて保護できるように、乗員を受け止めて保護する拘束部の中心付近を、素早く突出させるように折り畳んで収納するものがあった(例えば、特許文献1参照)。このエアバッグでは、膨張用ガスの流入用開口を備えた車体側壁部と、車体側壁部の外周縁から連なり、膨張完了時に乗員を受け止めて保護する拘束部を有した乗員側壁部と、を備えて構成されていた。そして、このエアバッグの折り畳みでは、つぎのような第1折畳工程と第2折畳工程とを経て、折り畳んでいた。
【0003】
第1折畳工程では、車体側壁部に乗員側壁部を重ねて、流入用開口の周縁における相互に対向する縁の両側からそれぞれ拘束部の中心付近となる拘束中心部まで延びる二つの一方側片縁部と他方側片縁部とを、それぞれ、流入用開口に接近させるように折り畳んでいた。また、第2折畳工程では、第1折畳工程で折り畳んで縮小させた方向と直交する方向の両縁をそれぞれ流入用開口に接近させるように折り畳んでいた。そして、第2折畳工程への移行前の第1折畳工程において、折塊部の上面側に、拘束中心部を載せていた。
【0004】
このように折り畳まれたエアバッグでは、流入用開口を利用して、膨張用ガスがエアバッグ内に流入すれば、第2折畳工程での折りを解消しつつ、直ちに、一方側折塊部と他方側折塊部とが離れて、その間の広いエリアから拘束中心部が押し出され、広く展開した拘束部が迅速に運転者を受け止めることができる。
【0005】
また、助手席用エアバッグ装置のエアバッグでも、第2折畳工程への移行前の第1折畳工程において、折塊部の上面側に、拘束中心部を載せて折り畳むものがあった(例えば、特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−280007号公報
【特許文献2】特開平8−276810号公報
【特許文献3】実開平5−13865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のエアバッグでは、車体側壁部と乗員側壁部とが、同一の円板状の外形とし、そして、拘束中心部を折塊部の上面に載せる際、一方側片縁部と他方側片縁部とを、それぞれ、流入用開口に接近させるようにロール折り等により折り畳んで形成した一方側折塊部と他方側折塊部との間から、乗員側壁部の拘束中心部を引きずり出して、折塊部の上面に載せていた。すなわち、この折畳方法では、拘束中心部を引きずり出すために、一方側折塊部と他方側折塊部との間に、引きずり出す治具を入れ、拘束中心部を摘まみ、そして、拘束中心部を引きずり出すこととなって、手間がかかっていた。また、この折畳方法では、拘束中心部を引きずり出す際の長さや、引きずり出した後の一方側折塊部と他方側折塊部との状態も、エアバッグ毎に安定させ難かった。
【0008】
また、特許文献2,3のエアバッグの折畳方法では、拘束中心部を平らに展開させた露出状態として、その下方に一方側折塊部と他方側折塊部とを形成しており、一方側折塊部と他方側折塊部とを形成する際、予め、拘束中心部を平らに展開させた状態で維持するための折板等が必要となり、簡単に折り畳む点に課題があった。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、拘束中心部を折塊部の上面側に載せる状態で折り畳む構成としても、簡便に折り畳むことができるエアバッグの折畳方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
<請求項1の説明>
本発明に係るエアバッグの折畳方法は、エアバッグが、膨張用ガスの流入用開口を備えた車体側壁部と、該車体側壁部の外周縁から連なり、膨張完了時に乗員を受け止めて保護する拘束部を有した乗員側壁部と、を備えて構成され、
前記車体側壁部に前記乗員側壁部を重ねて、前記流入用開口の周縁における相互に対向する縁の両側からそれぞれ前記拘束部の中心付近となる拘束中心部まで延びる二つの一方側片縁部と他方側片縁部とを、それぞれ、前記流入用開口に接近させるように折り畳む第1折畳工程と、
該第1折畳工程で折り畳んで縮小させた方向と直交する方向の両縁をそれぞれ前記流入用開口に接近させるように折り畳む第2折畳工程と、
を経て折り畳むとともに、
前記第2折畳工程への移行前の前記第1折畳工程において、折り畳んだ折塊部の上面側に、前記拘束中心部を載せる状態とするエアバッグの折畳方法であって、
前記エアバッグの前記乗員側壁部が、前記拘束中心部付近から外周縁側にわたるエリアに、摘まんで山折の折目を付けるように折り重ねて、前記一方側片縁部と前記他方側片縁部とを折り畳んだ一方側折塊部と他方側折塊部との間から、前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との高さより高く突出する突出折畳部を形成可能な余肉部、を備えて構成され、
前記第1折畳工程において、
前記車体側壁部に前記乗員側壁部を重ねて平らに展開するとともに、予め、前記突出折畳部を形成しておき、前記突出折畳部の両側に、前記一方側片縁部と前記他方側片縁部とを折り畳んだ前記一方側折塊部と前記他方側折塊部とを形成して、前記前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との少なくとも一方の上面に、前記突出折畳部を載せることを特徴とする。
【0011】
本発明のエアバッグの折畳方法では、エアバッグの乗員側壁部が、所定の突出折畳部を形成可能な余肉部を備えている。そのため、第1折畳工程時、車体側壁部に乗員側壁部を重ねて平らに展開する際に、予め、突出折畳部を形成しておき、突出折畳部の両側に、一方側片縁部と他方側片縁部とを折り畳んで一方側折塊部と他方側折塊部とを形成し、その後、一方側折塊部と他方側折塊部との少なくとも一方の上面に、突出折畳部を平らに展開したり曲げたりして、載せればよい。すなわち、一方側折塊部と他方側折塊部とを形成した後、拘束中心部を引きずり出さずに、予め、所定長さ分、突出折畳部として形成しておくことができ、エアバッグ毎に、安定して、乗員を受け止める拘束部を配置させておくことができる。また、突出折畳部は、摘まんで山折の折目を付けるように折り重ねるものであって、特別な保持手段を用いなくとも、自立させるように折り畳んだ状態で、乗員側壁部に配置させておくことができ、簡便に、第1折畳工程を行うことができる。
【0012】
したがって、本発明に係るエアバッグの折畳方法では、拘束中心部を折塊部の上面側に載せる状態で折り畳む構成としても、簡便に折り畳むことができる。
【0013】
<請求項2の説明>
そして、本発明のエアバッグの折畳方法では、前記エアバッグの前記乗員側壁部は、前記第1折畳工程で寸法を狭める方向に沿った膜長を、前記第2折畳工程で寸法を狭める方向に沿った膜長より、長くすることが望ましい。
【0014】
このような構成では、第1折畳工程において、第1折畳工程で寸法を狭める方向に沿った膜長が、第2折畳工程で寸法を狭める方向に沿った膜長より長い分、すなわち、その膜長差の分、余肉部による突出折畳部を形成しつつ、その周囲にしわの発生を抑えて、乗員側壁部を車体側壁部に重ねて平らに展開させることができる。そのため、このような構成では、突出折畳部の周囲を極力平らにすることができることから、一方側片縁部と他方側片縁部の折り畳みが行い易くなり、円滑に、第1折畳工程を行うことができる。
【0015】
なお、上記の点を考慮しなければ、膨張完了時のエアバッグの乗員側壁部は、円錐形状や多角錐形状、あるいは、円錐台形状や多角錐台形状として、拘束中心部付近に頂部を設けた先細り状の形状に形成すれば、余肉部を容易に形成することが可能となり、突出折畳部の周囲のしわが発生し易いものの、本発明の折り畳みを容易に行なうことができる。
【0016】
<請求項3の説明>
また、本発明のエアバッグの折畳方法では、上記の構成の場合、前記エアバッグは、単体での膨張完了形状を、前記車体側壁部の側において、前記第1折畳工程で寸法を狭める方向に沿った長さ寸法を、前記第2折畳工程で寸法を狭める方向に沿った幅寸法より、長くすることが望ましい。
【0017】
このような構成では、エアバッグの膨張完了時、車体側壁部の長さ方向の両端付近が、乗員側壁部の直交する方向相互の膜長差により、車体側の部位を強く抑えることができ、車体側の部位と当って離隔するようなリバウンドを抑制でき、迅速に車体側の部位の支持を受けることができて、乗員の受け止め時の反力を素早く確保できる。
【0018】
<請求項4の説明>
さらに、本発明のエアバッグの折畳方法では、前記第1折畳工程の終了時、前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との間から突出した前記突出折畳部の部位を、平らに展開させて、前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との両方の上面に載せることが望ましい。
【0019】
このような構成では、拘束中心部が、一方側折塊部と他方側折塊部との上面側に均等に載る状態となって、エアバッグの膨張時、拘束部が、一方側片縁部と他方側片縁部との一方側に片寄らず、均等に、乗員側に広い面積で突出でき、乗員を広い面積で受け止めることができる。
【0020】
<請求項5の説明>
また、乗員側壁部の直交方向相互に膜長差を設け、膨張完了時の車体側壁部の側に寸法差を設ける場合には、本発明のエアバッグの折畳方法では、前記エアバッグは、前記一方側片縁部を前方側に配置させ、前記他方側片縁部を後方側に配置させて、ステアリングホイールに搭載される運転者用として構成する。そして、前記第1折畳工程の終了時、前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との間から突出した前記突出折畳部の部位を、前記他方側片縁部から延びる後壁部を前記一方側片縁部から延びる前壁部より上面側に露出させて、折り曲げることが望ましい。
【0021】
このような構成では、エアバッグの膨張時、拘束部が運転者側に突出する際、運転者が接近していても、突出折畳部が、運転者の顎付近を、上方側から下方側に押し下げるように回転して曲げを解消しつつ、膨らみ、そして、拘束部を突出させることとなり、突出折畳部が、運転者の顎付近を下方側から上方側に押し上げずに、曲げを解消できることから、運転者の頚椎へのダメージを抑制できる。
【0022】
<請求項6,7の説明>
エアバッグの乗員側壁部の直交方向相互に膜長差を設ける場合、エアバッグの車体側壁部は、前記第1折畳工程で寸法を狭める方向と前記第2折畳工程で寸法を狭める方向とのそれぞれの両側に頂点側を配置させる菱形としたり、あるいは、円形にすることができる。
【0023】
そして、車体側壁部を菱形とする場合には、乗員側壁部の直交方向相互に膜長差を設ける際、その膜長の長い方向を菱側の二つの頂点側に向ければ、容易にリバウンドを抑制できるエアバッグを形成できる。
【0024】
また、車体側壁部を円形とする場合には、乗員側壁部を、車体側壁部の曲率に合わせた半円形の部位の間に余肉部を設けた形状として、設定でき、余肉部の縁を二つ折りして重ねて、縫い合われば、乗員側壁部の外周縁を車体側壁部と同様な円形に形成でき、その後の乗員側壁部と車体側壁部との外周縁相互の縫合が容易となって、エアバッグを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態の折畳方法で折り畳んだエアバッグを組み付けたエアバッグ装置が搭載されるステアリングホイールの平面図である。
【図2】第1実施形態のエアバッグ装置が搭載されるステアリングホイールの縦断面図であり、図1のII−II部位に対応する。
【図3】第1実施形態のエアバッグにリテーナとインフレーターとを組み付けた状態で膨張させた場合のエアバッグの左右方向に沿った縦断面図である。
【図4】第1実施形態のエアバッグにリテーナとインフレーターとを組み付けた状態で膨張させた場合のエアバッグの前後方向に沿った縦断面図である。
【図5】第1実施形態に使用するエアバッグの単体での膨張完了時の概略底面図である。
【図6】第1実施形態に使用するエアバッグの単体での膨張完了時の概略斜視図である。
【図7】第1実施形態のエアバッグを構成するエアバッグ用基布を説明する図である。
【図8】第1実施形態のエアバッグの第1折畳工程を説明する図である。
【図9】第1実施形態のエアバッグの第1折畳工程から第2折畳工程を完了させる状態を説明する図である。
【図10】第1実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する図である。
【図11】第2実施形態のエアバッグの第1折畳工程から第2折畳工程を完了させる状態を説明する図である。
【図12】第2実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する図である。
【図13】第3実施形態のエアバッグの第1折畳工程から第2折畳工程を完了させる状態を説明する図である。
【図14】第3実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する図である。
【図15】第4実施形態に使用するエアバッグの単体での膨張完了時の概略斜視図である。
【図16】第4実施形態のエアバッグの製造を説明する図である。
【図17】第4実施形態のエアバッグの第1折畳工程を説明する図である。
【図18】第4実施形態のエアバッグの第1折畳工程から第2折畳工程を完了させる状態を説明する図である。
【図19】第4実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する図である。
【図20】第5実施形態のエアバッグの第1折畳工程から第2折畳工程を完了させる状態を説明する図である。
【図21】第5実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する図である。
【図22】第6実施形態に使用するエアバッグの単体での膨張完了時の概略斜視図である。
【図23】第6実施形態のエアバッグ装置の作動時を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態のエアバッグ30が使用されるエアバッグ装置S1は、図1,2に示すように、ステアリングホイールWに搭載される運転席用のものであり、ステアリングホイールWは、ステアリングホイール本体1と、ステアリングホイール本体1の中央のボス部Bの上部に配置されるエアバッグ装置S1と、を備えて構成されている。ステアリングホイール本体1は、操舵時に把持する円環状のリング部Rと、リング部Rの中央に配置されてステアリングシャフトSSに締結されるボス部Bと、ボス部Bとリング部Rとを連結する4本のスポーク部Sと、を備えて構成されている。
【0027】
なお、本明細書では、特に断らない限り、上下方向は、ステアリングシャフトSSの軸方向に沿った上下方向が対応し、前後方向は、車両の直進操舵時のステアリングシャフトSSの軸方向と直交した前後方向が対応し、左右方向は、車両の直進操舵時のステアリングシャフトSSの軸方向と直交した左右方向が対応するものである。
【0028】
ステアリングホイール本体1は、図2に示すように、リング部R、ボス部B、スポーク部Sの各部を連結するように配置されて、アルミニウム合金等の金属製の芯金2を備えて構成されている。芯金2のリング部Rの部位と各スポーク部Sのリング部R側の部位とには、合成樹脂製の被覆層5が被覆されている。芯金2のボス部Bの部位には、ステアリングシャフトSSを挿入させてナットN止めするための鋼製のボス3が配設されている。また、ステアリングホイール本体1の下部には、ボス部Bの下方を覆う合成樹脂製のロアカバー7が配設されている。
【0029】
エアバッグ装置S1は、図2に示すように、折り畳まれて収納されるエアバッグ30、エアバッグ30に膨張用ガスを供給するインフレーター13、折り畳んだエアバッグ30の上方を覆うエアバッグカバー21、エアバッグ30とインフレーター13とを収納保持するとともにエアバッグカバー21を保持するケース15、及び、インフレーター13とともにエアバッグ30をケース15に取り付けるためのリテーナ11、を備えて構成されている。
【0030】
リテーナ11は、インフレーター13の円柱状の本体部13aを下方から挿入可能な外形を略正方形とした四角環状として、四隅に下方へ突出するボルト11aを備えて構成されている。リテーナ11は、ボルト11aを突出させた状態でエアバッグ30内に収納されて、ケース15への取付時、各ボルト11aを、ケース15の底壁部16の貫通孔16b(図1参照)とインフレーター13のフランジ部13cとに貫通させて、各ボルト11aにナット12を締結させることにより、エアバッグ30とインフレーター13とをケース15の底壁部16に取付固定している。
【0031】
インフレーター13は、上部に複数のガス吐出口13bを備えた円柱状の本体部13aと、本体部13aの外周面から突出するフランジ部13cと、を備えて構成されている。フランジ部13cには、リテーナ11の各ボルト11aを貫通させる図示しない貫通孔が形成されている。
【0032】
ケース15は、長方形板状の底壁部16と、底壁部16の外周縁から上下に延びる側壁部17と、を備えた板金製とし、ステアリングホイールWのボス部Bの上部に配置されて、折り畳まれたエアバッグ30を収納する収納部位を構成している。底壁部16には、インフレーター13の本体部13aを下方から挿入可能な円形に開口した挿通孔16aが形成されるとともに、その周囲に、リテーナ11の各ボルト11aを貫通させる4つの貫通孔16bが形成されている。すなわち、底壁部16の上面側における挿通孔16aの周囲は、エアバッグ30を取り付けるためのボルト11aを各貫通孔16bに貫通させて、エアバッグ30を取り付けることから、エアバッグ30を取り付ける取付面15aを構成することとなる。
【0033】
また、側壁部17の上端には、外方へ延びる取付片17aが形成され、取付片17aには、図示しないホーンスイッチ機構の取付基板が取り付けられ、図示しない取付基板を利用して、ケース15がステアリングホイールWの芯金2に取付固定され、エアバッグ装置S1が、ステアリングシャフトSSに装着済みのステアリングホイール本体1のボス部Bの上部に搭載されることとなる。
【0034】
また、ケース15の側壁部17には、リベット19(図2参照)等を利用してエアバッグカバー21の側壁部23が取り付けられている。
【0035】
エアバッグカバー21は、合成樹脂製として、収納したエアバッグ30の上方を覆う天井壁部22と、天井壁部22の外周縁付近から下方へ延びる略四角筒形状の側壁部23と、を備えて構成されている。天井壁部22には、膨張するエアバッグ30に押されて前後両側に開く2枚の扉部22aが形成されている。
【0036】
エアバッグ30は、図1,2の二点鎖線に示すように、膨張完了形状を略四角錐形状として、図1〜6に示すように、外表面側の周壁31と、周壁31の内周面に配置される補強布48と、を備えて構成されている。そして、周壁31が、収納部位としてのケース15の取付面15aに取り付けられる車体側壁部32と、車体側壁部32の外周縁から連なって、エアバッグ30の膨張完了時に乗員としての運転者MD(図10参照)を受け止めて保護する拘束部42を有した乗員側壁部41と、を備えて構成されている。
【0037】
膨張完了時の車体側壁部32の側は、相互に直交するように配置される二つの対角線(長軸、短軸)33,34に長短の差を設けられた略菱形としている(図5の実線参照)。但し、平らに展開させた状態の車体側壁部32を形成する車体側構成部51は、図5の二点鎖線や図7に示すように、対角線の短い短軸34側の長さを長くした状態の正方形として、相互に直交する二つの対角線51a,51bを同じ長さとしている。ちなみに、二つの対角線51a,51bを同じ長さとしていても、膨張完了時に二つの対角線(長軸、短軸)33,34に長短の差が形成される理由は、実施形態の場合、膨張完了時の後述する稜線45,46に大きな差が設けられることから、その影響を受けて、二つの対角線(長軸、短軸)33,34に長短の差が生じている。
【0038】
そして、車体側壁部32(車体側構成部51)の中央付近(実施形態の場合には、車体側壁部32の中央(中心)である)には、リテーナ11に押えられてケース15の底壁部16の取付面15aに取り付けられる取付座35、が形成されている。この取付座35の中央には、エアバッグ30内に膨張用ガスGを流入させるための円形に開口させた流入用開口37が、配設されている。実施形態では、流入用開口37には、既述したように、インフレーター13の円柱状の本体部13aにおけるガス吐出口13bを設けた上部側が挿入されることとなる。取付座35の流入用開口37の周囲には、リテーナ11の各ボルト11aを挿通させる取付孔35aが、放射状の4箇所の位置に、開口されている。
【0039】
すなわち、この取付座35は、リテーナ11に押えられるエリアであり、リテーナ11の外形形状に対応して、車体側壁部32の対角線の長い側の長軸33に沿う辺と短軸34に沿う幅寸法とを有した平面状とし、リテーナ11に押えられてケース15の平面状の取付面15aに取付固定されることとなる。実施形態の場合、リテーナ11が、外形形状を略正方形としていることから、取付座35は、リテーナ11に一致した略正方形の外形として、中央に、円形の流入用開口37を有した略四角環状としている。
【0040】
なお、実施形態の場合、エアバッグ装置S1をステアリングホイールWへ搭載し、かつ、ステアリングホイールWの車両の直進操舵時において、エアバッグ30が膨張を完了させた際には、車体側壁部32の対角線の長い長軸33側は、両端(前端33aと後端33b)を前後方向に沿わせて配置させ、また、対角線の短い短軸34側は、両端(左端34aと右端34b)を左右方向に沿わせて配置されるように、エアバッグ装置S1がステアリングホイールWに搭載される。さらに、実施形態の場合、車体側壁部32は、ステアリングホイールWへの搭載状態でのエアバッグ30の膨張完了時、長軸33の前端33a,後端33bや短軸34の左端34a,右端34bの近傍を、リング部Rの上面PRに接触するように、形成されている。換言すれば、車体側構成部51は、対角線33,34の端部33a,33b,34a,34b付近を、リング部Rの上面PRに接触させるように、構成されている。
【0041】
なお、取付座35には、実施形態の場合、周壁31の内周面に配置される円板状の補強布48が、結合され、補強布48にも、流入用開口37と取付孔35aとが形成されている。
【0042】
また、車体側壁部32には、前端33a付近に、余剰の膨張用ガスを排気可能なベントホール39,39が開口されている。
【0043】
エアバッグ30の乗員側壁部41は、リテーナ11とインフレーター13とを設けた状態で、単体で膨張を完了させた際、図3,4,6に示すように、左右方向から見た前後方向の稜線(長寸側稜線)46の長さ、すなわち、前後方向の膜長LMが、左右方向の稜線(短寸側稜線)45の長さ、すなわち、左右方向の膜長LS、より長くなるように設定されている。また、乗員側壁部41は、膨張完了時の中央付近、すなわち、長寸側稜線46と短寸側稜線45との交差付近が、リング部Rの上面PRから上方へ突出して、運転者MDを受け止めて保護する拘束部42となる。なお、この拘束部42の構成は、膨張時の乗員側壁部41の左右方向に沿った横断面(短寸側稜線45に沿う横断面)では、図3に示すように、左右方向に沿った略直線状の平坦部42aが形成されるものの、前後方向に沿った縦断面(長寸側稜線46に沿う横断面)では、図4に示すように、拘束部42の中心となる頂点、換言すれば、拘束中心部43が最も膨らんだ状態となる。
【0044】
また、実施形態の乗員側壁部41では、前後方向の長寸側稜線46の膜長LMを左右方向の短寸側稜線45の膜長LSより長くする寸法差は、拘束中心部43付近を摘まんで山折の折目66を付けて形成する突出折畳部65(図8のA参照)を容易に形成できるように、余肉部64を形成するためと、後述するように、膨張完了時のエアバッグ30のリバウンドを抑制させるために、形成されている。
【0045】
すなわち、余肉部64に関しては、エアバッグ30の折畳時において、平らに展開した車体側壁部32に乗員側壁部41を載せて重ねる際に、余肉部64を摘まんで突出折畳部65を形成すれば、乗員側壁部41を極力平らに展開できるように、余肉部64を生じさせる膜長LM,LSに差が設けられている。なお、実施形態の場合、余肉部64を摘まんで突出折畳部65を形成する折目66は、拘束中心部43を通る左右方向の短寸側稜線45と一致し、拘束中心部43から左右の外周縁60a(図例の場合、車体側壁部32の左端34a付近や右端34b付近)まで延びている。また、突出折畳部65を形成しつつ、平らに展開した車体側壁部32に乗員側壁部41を平らに重ねて展開させた際、その平らに展開させた折畳準備体60には、図8のAに示すように、エアバッグ30の拘束中心部43から前縁30aまでの一方側片縁部(実施形態では前方側片縁部)61と、拘束中心部43から後縁30bまでの他方側片縁部(実施形態では後方側片縁部)62とが、突出折畳部65の前後に配置されることとなる。そしてその後、エアバッグ30(折畳準備体60)は、前後方向の寸法と左右方向の寸法とを縮めるように折り畳んで、収納部位としてのケース15に収納されて、ステアリングホイールWに搭載されることとなる。
【0046】
そして、実施形態のエアバッグ30を構成する周壁31は、図7に示すように、ポリエステルやポリアミド等の可撓性を有した織布からなるエアバッグ用基布50から形成されている。エアバッグ用基布50は、耐熱性を向上させるために、エアバッグ30の内周面側となる側に、適宜、シリコンゴム等からなるコーティング層が形成されている。
【0047】
エアバッグ用基布50は、基本構成として、エアバッグ30の膨張完了時における車体側壁部32を平らに展開させた状態の菱形の車体側構成部51と、乗員側壁部41を形成する乗員側構成部52と、を備えて構成されている。さらに、乗員側構成部52は、その基本構成として、菱形形状(実施形態では正方形形状)の車体側構成部51の周縁の四辺から拘束部42の拘束中心部43まで延びる四つの略三角形状の分割体53,54,55,56を備えて構成されている。分割体53は、乗員側壁部41の前左側を構成し、分割体54は、乗員側壁部41の前右側を構成し、分割体55は、乗員側壁部41の後左側を構成し、分割体56は、乗員側壁部41の後右側を構成する。
【0048】
そして、各分割体53,54,55,56は、直線状の縁53a,54a,55a,56aと曲線状の縁53b,54b,55b,56bとを備えて構成されている。各分割体53,54,55,56は、直線状の縁53a,54a相互と縁55a,56a相互とが縫合により結合され、曲線状の縁53b,54b相互と縁55b,56b相互とが縫合により結合されて、乗員側壁部41が形成されている。そして、各分割体53,54,55,56では、曲線状の縁53b,54b,55b,56bの長さ寸法より、直線状の縁53a,54a,55a,56aの長さ寸法を長くしていることから、乗員側壁部41が形成された際、前後方向の長寸側稜線46の膜長LMが、左右方向の短寸側稜線45の膜長LSより、その長さ寸法を長くすることとなる。また、縁53b,54b,55b,56bが所定の曲線状となっているため、乗員側壁部41が形成された際、拘束部42の横断面における拘束中心部43付近に、平坦部42aが形成されることとなる。
【0049】
なお、実際のエアバッグ30の製造時には、車体側構成部51の補強布48を縫合し、流入用開口37,取付孔35a、及び、ベントホール39を孔開け加工し、そして、各分割体53,54,55,56における直線状の縁53a,54a相互と55a,56a相互、及び、曲線状の縁53b,54b相互と縁55b,56b相互と、をそれぞれ縫合した後、縫代が外表面側に露出しないように、流入用開口37を利用して裏返して製造している。
【0050】
エアバッグ装置S1を組み立ててステアリングホイールWに搭載する場合には、各ボルト11aを取付孔35aから突出させるようにエアバッグ30内にリテーナ11を入れ、エアバッグ30を折り畳む。
【0051】
第1実施形態の折畳方法は、つぎのような前後左右の寸法を狭めるように、第1折畳工程と第2折畳工程とを経て折り畳む。
【0052】
第1折畳工程では、前後方向の寸法を狭める折畳工程であり、まず、図8のAに示すように、乗員側壁部41の短寸側稜線45付近の余肉部64を摘まんで、左右方向に沿う折目66を付けて前後に折り重ねた突出折畳部65を形成しつつ、平らに展開した車体側壁部32の上に乗員側壁部41を平らに展開させて、折畳準備体60を形成する。なお、この突出折畳部65における平らに展開した乗員側壁部41からの高さH1は、後述する図9のAに示す前側折塊部71や後側折塊部72より高く設定されている。
【0053】
ついで、図8のBに示すように、前側片縁部61と後側片縁部62とを、それぞれ、流入用開口37側に接近させるように、折り畳んで、前側折塊部71と後側折塊部72とを形成する。前側折塊部71と後側折塊部72とは、前側片縁部61や後側片縁部62を、車体側壁部32の側で巻いて折る外ロール折りや、乗員側壁部41の側で巻いて折る内ロール折り、あるいは、蛇腹折りが例示できる。
【0054】
そして、図9のAに示すように、前側折塊部71と後側折塊部72との上面71a,72aから突出する突出折畳部65の前壁部65aと後壁部65bとを離すように展開し、さらに、平らに展開させて、前側折塊部71と後側折塊部72との上面71a,72aにそれぞれ均等に載せて第1折畳体74を形成して、第1折畳工程を終了する。
【0055】
第2折畳工程は、左右方向の寸法を狭める折畳工程であり、実施形態の場合、図9のBに示すように、第1折畳工程で折り畳んで縮小させた方向(前後方向)と直交する方向の両縁を、すなわち、第1折畳体74の左右の縁74a,74bを、流入用開口37に接近させるように折り畳んで、折畳完了体76を形成する。このときの折り畳みも、縁74a,74b側を車体側壁部32の側で巻いて折る外ロール折りや、乗員側壁部41の側で巻いて折る内ロール折り、あるいは、蛇腹折りにより、折り畳むことが例示できる。
【0056】
そして、折畳完了体76を形成して、折り畳みを完了したならば、折り崩れしないように、エアバッグ30(折畳完了体76)を所定の折り崩れ防止材によって包む。ついで、各ボルト11aを貫通孔16bから突出させるように、ケース15内の底壁部16上にエアバッグ30を収納し、さらに、インフレーター13の本体部13aを下方から底壁部16の挿通孔16aに挿入させて、フランジ部13cに各ボルト11aを貫通させて、各ボルト11aにナット12を締結すれば、収納部位としてのケース15に、エアバッグ30とインフレーター13とを収納し、かつ、リテーナ11を利用して、エアバッグ30とインフレーター13とを取り付けることができる。さらに、ケース15にエアバッグカバー21を被せて、リベット19等を利用して側壁部17,23相互を連結して、ケース15にエアバッグカバー21を取り付け、さらに、ケース15の取付片17aに、図示しないホーンスイッチ機構を組み付ければ、エアバッグ装置S1を組み立てることができる。そして、エアバッグ装置S1の車両への搭載は、予め、ステアリングシャフトSSに締結したステアリングホイール本体1に対して、ホーンスイッチ機構の図示しない取付基板を利用して、エアバッグ装置S1を取り付ければ、エアバッグ装置S1を車両に搭載することができる。
【0057】
このステアリングホイールW用のエアバッグ装置S1では、作動時、図2に示すように、膨張用ガスGが流入用開口37を経てエアバッグ30に流入すると、エアバッグ30が膨張し、エアバッグカバー21の扉部22a,22aを押し開いて、エアバッグ30が、図10のA〜Cに示すように、収納部位としてのケース15から突出して、リング部Rの上面PR側を覆うように、膨張を完了させる。
【0058】
その際、膨張当初、図10のAの二点鎖線に示すように、第2折畳工程での折りを解消しつつ、直ちに、前側折塊部71と後側折塊部72とが前後に離れて、その間の広いエリアから拘束中心部43が押し出され、広く展開した拘束部42が迅速に運転者MDを受け止めることができる。そして、図10のB,Cに示すように、エアバッグ30が膨張を完了させ、運転者MDをクッション性よく受け止めて保護することができる。
【0059】
以上のように、第1実施形態のエアバッグ30の折畳方法では、エアバッグ30の乗員側壁部41が、所定の突出折畳部65を形成可能な余肉部64を備えている。そのため、第1折畳工程時、図8のAに示すように、車体側壁部32に乗員側壁部41を重ねて平らに展開する際に、予め、突出折畳部65を形成しておき、突出折畳部65の前後両側に、一方側片縁部(前側片縁部)61と他方側片縁部(後側片縁部)62とを折り畳んで一方側折塊部(前側折塊部)71と他方側折塊部(後側折塊部)72とを形成し、その後、前側折塊部71と後側折塊部72との上面71a,72aに、突出折畳部65を平らに展開して載せればよい。すなわち、前側折塊部71と後側折塊部72とを形成した後、拘束中心部43を引きずり出さずに、予め、所定長さ分、突出折畳部65として形成しておくことができ、エアバッグ30毎に、安定して、乗員としての運転者MDを受け止める拘束部42を第1折畳体74の上面側に配置させておくことができる。また、突出折畳部65は、摘まんで山折の折目66を付けるように折り重ねるものであって、特別な保持手段を用いなくとも、自立させるように折り畳んだ状態で、乗員側壁部41に配置させておくことができ、簡便に、第1折畳工程を行うことができる。
【0060】
したがって、第1実施形態のエアバッグ30の折畳方法では、拘束中心部43を折塊部71,72の上面側に載せる状態で折り畳む構成としても、簡便に折り畳むことができる。
【0061】
そして、第1実施形態のエアバッグ30の折畳方法では、エアバッグ30の乗員側壁部41は、第1折畳工程で寸法を狭める方向(実施形態では前後方向)に沿った膜長LMを、第2折畳工程で寸法を狭める方向(実施形態では左右方向)に沿った膜長LSより、長くしている。
【0062】
そのため、実施形態では、第1折畳工程において、第1折畳工程で寸法を狭める方向に沿った前後方向の長寸側稜線46の膜長LMが、第2折畳工程で寸法を狭める方向に沿った左右方向の短寸側稜線45の膜長LSより長い分、すなわち、その膜長差の分、余肉部64による突出折畳部65を形成しつつ、その周囲にしわの発生を抑えて、乗員側壁部41を車体側壁部32に重ねて平らに展開させることができる。そのため、このような構成では、突出折畳部65の周囲を極力平らにすることができることから、前側片縁部61と後側片縁部62の折り畳みが行い易くなり、円滑に、第1折畳工程を行うことができる。
【0063】
なお、上記の点を考慮しなければ、膨張完了時のエアバッグ30の乗員側壁部41は、円錐形状や多角錐形状、あるいは、円錐台形状や多角錐台形状として、拘束中心部43付近に頂部を設けた先細り状の形状に形成すれば、余肉部64を容易に形成することが可能となり、突出折畳部65の周囲のしわが発生し易いものの、本発明の折り畳みを容易に行なうことができる。
【0064】
また、第1実施形態のエアバッグ30の折畳方法では、エアバッグ30が、リテーナ11とインフレーター13とを設けた単体での膨張完了形状を、車体側壁部32の側において、第1折畳工程で寸法を狭める前後方向に沿った長さ寸法LLを、第2折畳工程で寸法を狭める左右方向に沿った幅寸法LWより、長くしている。
【0065】
このような構成では、エアバッグ30の膨張完了時、車体側壁部32の長さ方向の両端33a,33b付近が、乗員側壁部41の直交する方向相互の膜長差により、車体側の部位としてのリング部Rの上面PRの前端PRfと後端PRbとを強く抑えることができ、リング部Rの上面PRと当って離隔するようなリバウンドを抑制でき、迅速にリング部Rの支持を受けることができて、運転者MDの受け止め時の反力を素早く確保できる。
【0066】
すなわち、このようなエアバッグ30のリバウンドの抑制作用は、乗員側壁部41を、平面状の車体側壁部32より広い面積として、拘束中心部43を頂点とする先細り状に突出する形状とし、さらに、乗員側壁部41の相互に直交する前後と左右との稜線の膜長LM,LSに長短の差を設け、かつ、前後左右の稜線の端部に頂点を設けた略菱形の車体側壁部32としていることにより、達成されている。
【0067】
換言すれば、エアバッグ30の膨張完了時には、図4に示すように、乗員側壁部41の前後方向の長寸側稜線46が、凸形状となって、その膜長LMが、取付座35側での車体側壁部32の前後の長寸側対角線33の前端33aと後端33bとを、直接、結ぶ膜長LMDより、長い。そのため、その膜長LM,LMDの差によって、エアバッグ30の膨張完了時における拘束部42を経た前端33aと後端33bとを結ぶ乗員側壁部41の外側へ膨らもうとする力EP1が、取付座35側での前端33a,後端33b間の車体側壁部32の押し広げ力EP2より勝り、車体側壁部32の前端33a,後端33bが、車体側壁部32の取付座35から曲がるように、リング部Rの上面PRを押圧することとなって、リバウンドの抑制作用を発揮できることとなる。特に、エアバッグ30の膨張時には、車体側壁部32の中央における取付座35が、リテーナ11とケース15の取付面15aとの間で、挟持されて膨らまず、取付座35側の車体側壁部32の押し広げ力EP2を確保できる面積(内圧を受ける面積)が実質的にさらに狭まることから、一層、取付座35と対向する側の拘束部42を含めた乗員側壁部41の押し広げ力EP1が、取付座35側の車体側壁部32の押し広げ力EP2より勝ることとなる。そしてさらに、エアバッグ30の車体側壁部32の中央の取付座35が固定されて、その縁部分36,36から曲がり易いこととあいまって、エアバッグ30の車体側壁部32の前端33aと後端33bとは、取付座35から、拘束部42から離れる方向の側に、すなわち、搭載側部位のリング部Rの上面PR側を押える方向の側に沿って下がった位置に、配置させ易い。
【0068】
なお、エアバッグ30の車体側壁部32における左右方向の短寸側対角線34側でも、図3に示すように、エアバッグ30の膨張完了時、その短寸側対角線34の延びている方向と直交方向から見た側面視の状態で、乗員側壁部41の拘束部42を経た短寸側対角線34の左端34aと右端34bとを結ぶ短寸側稜線45が、凸形状となって、その膜長LSが、取付座35側での車体側壁部32の左端34aと右端34bとを直接結ぶ膜長LSDより、長くなる。しかし、このエアバッグ30では、膨張時、乗員側壁部41の拘束部42の拘束中心部43を経た長寸側稜線46の実質的な直線状の長さ寸法、すなわち、長さ寸法LLが、乗員側壁部41の拘束部42の拘束中心部43を経た短寸側稜線45の実質的な直線状の長さ寸法、すなわち、幅寸法LWより、長い。そのため、短寸側対角線34の左端34a,右端34bの拘束部42から離れる方向への押圧力DF2が、長寸側対角線33の前端33a,後端33bの拘束部42から離れる方向への押圧力DF1に伴う反力(取付座35側での長寸側対角線33と直交する短寸側対角線34の左端34a、右端34bを拘束部42側に押し上げるように発生する押上力)UF1に打ち消される状態となって、長寸側対角線33と直交する短寸側対角線34の左端34a,右端34bは、逆に、拘束部42側に浮き上がるような状態となる。
【0069】
ちなみに、対角線51a,51bの長さを等しくした菱形の車体側壁部32を備えたエアバッグ30が、直交する二つの稜線45,46の膜長LM,LSに差を設けられなければ、対角線33,34の端部33a,33b,34a,34b相互が、拘束部42から離れる方向への押圧力を打ち消しあって、対角線の各端部の全てが、搭載側部位のリング部Rの上面PR側を押える方向へ、変位し難くなってしまう。
【0070】
その結果、第1実施形態のエアバッグ装置S1のエアバッグ30では、膨張完了形状を維持している間、車体側壁部32の側における長寸側対角線33の両端33a,33bが容易に安定した強い押圧力DF1を発揮できて、リバウンドを的確に抑制できる(図4、図10のC参照)。
【0071】
さらにまた、第1実施形態のエアバッグ30の折畳方法では、第1折畳工程の終了時、前側折塊部71と後側折塊部72との間から突出した突出折畳部65の部位を、前壁部65aと後壁部65bとを離すように平らに展開させて、前側折塊部71と後側折塊部72との両方の上面71a,72aに載せている。
【0072】
そのため、第1実施形態では、拘束中心部43が、前側折塊部71と後側折塊部72との上面71a,72a側に均等に載る状態となって、エアバッグ30の膨張時、図10のAの二点鎖線に示すように、拘束部42が、前側折塊部71(前側片縁部61)と後側折塊部72(後側片縁部62)との一方側に片寄らず、均等に、運転者MD側に広い面積で突出でき、運転者MDを広い面積で受け止めることができる。そして、図例のように、運転者MDがステアリングホイールWに接近していても、拘束部42が、広い面積で運転者MDを受け止めて押し返しつつ、クッション性よく、運転者MDを保護することができる。
【0073】
そして、第1実施形態のように、乗員側壁部41の直交方向相互の稜線45,46に膜長差を設け、膨張完了時の車体側壁部32の側に前後左右の長さとなる長さ寸法LLと幅寸法LWとに寸法差を設けて、リバウンドを抑制してステアリングホイールWに搭載させる場合には、図11,12に示す第2実施形態のエアバッグ30Aの折畳方法や、図13,14に示す第3実施形態のエアバッグ30Bの折畳方法を採用してもよい。
【0074】
図11,12にエアバッグ30Aの折畳方法は、第1実施形態と同一形状のエアバッグ30を使用して、第1折畳工程における突出折畳部65の折塊部に載せる状態を、第1実施形態と異ならせている。すなわち、第2実施形態では、図11のAに示すように、前側折塊部71と後側折塊部72との間から突出する突出折畳部65の部位を、後側片縁部62から延びる後壁部65bを前側片縁部61から延びる前壁部65aより上面側に露出させるように、ロール折りして折り曲げて、前側折塊部71の上面71aに載せている。
【0075】
このような折り畳みでは、エアバッグ30Aの膨張時、図12のAの二点鎖線に示すように、拘束部42が運転者MD側に突出する際、運転者MDが接近していても、突出折畳部65が、運転者MDの顎J付近を、上方側から下方側に押し下げるように回転して曲げを解消しつつ、膨らみ、そして、拘束部42を後方側に突出させることとなり、突出折畳部65が、運転者MDの顎J付近を下方側から上方側に押し上げずに、曲げを解消できることから、運転者MDの頚椎へのダメージを抑制できる。
【0076】
図13,14にエアバッグ30Bの折畳方法も、第1実施形態と同一形状のエアバッグ30を使用して、第1折畳工程における突出折畳部65の折塊部に載せる状態を、第1実施形態と異ならせている。すなわち、第3実施形態では、図13のAに示すように、前側折塊部71と後側折塊部72との間から突出する突出折畳部65の部位を、後側片縁部62から延びる後壁部65bを前側片縁部61から延びる前壁部65aより上面側に露出させるように、後側折塊部72の上面72a側に一旦折り曲げ、そして、後側折塊部72の上面72aから前側折塊部71の上面71aに載せている。
【0077】
このような折り畳みでも、エアバッグ30Bの膨張時、図14のAの二点鎖線に示すように、拘束部42が運転者MD側に突出する際、運転者MDが接近していても、突出折畳部65が、運転者MDの顎J付近を、上方側から下方側に押し下げるように回転して曲げを解消しつつ、膨らみ、そして、拘束部42を後方側に突出させることとなり、突出折畳部65が、運転者MDの顎J付近を下方側から上方側に押し上げずに、曲げを解消できることから、運転者MDの頚椎へのダメージを抑制できる。
【0078】
なお、図11のAや図13のAの右側の括弧内に図示した折り畳みでは、前壁部65a側を後壁部65b側より上面側に配置させており、このような折り畳みのエアバッグでは、膨張時、突出折畳部65が、運転者MDの顎J付近を、下方側から上方側に押し上げるように回転して曲げを解消することから、接近した運転者に対しては不適となる。
【0079】
また、上記のエアバッグ30A,30Bでは、膨張完了時、リング部Rの上面PRの前端PRfと後端PRbとに強く圧接されて、リバウンドを抑制できることから、接近している運転者MDを、素早く反力を確保し、クッション性よく保護できる。
【0080】
さらに、突出折畳部を形成する余肉部を設けるエアバッグとしては、図15,16に示す第4実施形態のエアバッグ30Cのように構成してもよい。このエアバッグ30Cは、車体側壁部32Cがリング部Rを覆える円形とし、乗員側壁部41Cが、前後に縮めて形成するようなタックを設けたように構成されている。
【0081】
すなわち、図16のAに示すように、乗員側壁部41Cを形成する乗員側用基布57が、車体側壁部32Cの曲率に合わせた半円形の部位57a,57aの間に長方形板状の余肉部64Cを設けた形状としている。そして、この乗員側用基布57では、余肉部64Cの左右の縁64aをそれぞれ摘まむように二つ折りして重ねて、その重ねた部位を縫い合われば、図16のBに示すように、乗員側用基布57の外周縁を車体側壁部32Cと同様な円形に形成できる。
【0082】
そして、図16のCに示すように、円形の車体側壁部32Cと乗員側壁部41Cとの外周縁相互を縫合して、流入用開口37を利用して裏返せば、突出折畳部65Cを形成可能な余肉部64Cを設けたエアバッグ30Cを簡単に製造できる。
【0083】
すなわち、このエアバッグ30Cでは、膨張完了時の乗員側壁部41Cが、前後方向の長寸側稜線46を、長方形状の余肉部64Cにより、左右方向の短寸側稜線45に比べて、長くなる。
【0084】
なお、図例のエアバッグ30Cでは、余肉部64Cの左右の縁64aが、円形の車体側壁部32Cと乗員側壁部41Cとの外周縁相互の縫合時に共縫いされており、乗員側壁部41Cの左右方向の短寸側稜線45の長さ寸法は、車体側壁部32Cの直径寸法と等しく、前後方向の長寸側稜線46が左右方向の短寸側稜線45に比べて長い。
【0085】
そして、このエアバッグ30Cの折畳方法の第1折畳工程では、リテーナ11を入れた状態で、図17のAに示すように、乗員側壁部41Cの短寸側稜線45付近の余肉部64Cを摘まんで、左右方向に沿う折目66を付けて前後に折り重ねた突出折畳部65Cを形成しつつ、平らに展開した車体側壁部32Cの上に乗員側壁部41Cを平らに展開させて、折畳準備体60Cを形成する。なお、この突出折畳部65Cにおける平らに展開した乗員側壁部41Cからの高さH1は、後述する前側折塊部71や後側折塊部72より高く設定されている。
【0086】
ついで、図17のBに示すように、前側片縁部61と後側片縁部62とを、それぞれ、流入用開口37側に接近させるように、折り畳んで、前側折塊部71と後側折塊部72とを形成する。
【0087】
そして、図18のAに示すように、前側折塊部71と後側折塊部72との上面71a,72aから突出する突出折畳部65Cの前壁部65aと後壁部65bとを離すように展開し、さらに、平らに展開させて、前側折塊部71と後側折塊部72との上面71a,72aにそれぞれ均等に載せて第1折畳体74を形成して、第1折畳工程を終了する。
【0088】
第2折畳工程では、図18のBに示すように、第1折畳体74の左右の縁74a,74bを、流入用開口37に接近させるように折り畳んで、折畳完了体76を形成すれば、折り畳みを完了できる。
【0089】
このエアバッグ30Cを第1実施形態の同様にステアリングホイールWに搭載した後、エアバッグ30Cに膨張用ガスが流入すれば、膨張当初、図19のAの二点鎖線に示すように、第2折畳工程での折りを解消しつつ、直ちに、前側折塊部71と後側折塊部72とが前後に離れて、その間の広いエリアから拘束中心部43が押し出され、広く展開した拘束部42が迅速に運転者MDを受け止めることができる。そして、図19のB,Cに示すように、エアバッグ30Cが膨張を完了させ、運転者MDをクッション性よく受け止めて保護することができる。
【0090】
以上のように、第4実施形態のエアバッグ30Cの折畳方法でも、エアバッグ30Cの乗員側壁部41Cが、所定の突出折畳部65Cを形成可能な余肉部64Cを備えている。そのため、第1折畳工程時、図17のAに示すように、車体側壁部32Cに乗員側壁部41Cを重ねて平らに展開する際に、予め、突出折畳部65Cを形成しておき、突出折畳部65Cの前後両側に、一方側片縁部(前側片縁部)61と他方側片縁部(後側片縁部)62とを折り畳んで一方側折塊部(前側折塊部)71と他方側折塊部(後側折塊部)72とを形成し、その後、前側折塊部71と後側折塊部72との上面71a,72aに、突出折畳部65Cを平らに展開して載せればよい。すなわち、前側折塊部71と後側折塊部72とを形成した後、拘束中心部43を引きずり出さずに、予め、所定長さ分、突出折畳部65Cとして形成しておくことができ、エアバッグ30C毎に、安定して、拘束部42を第1折畳体74の上面71a,72a側に配置させておくことができる。また、突出折畳部65Cは、摘まんで山折の折目66を付けるように折り重ねるものであって、特別な保持手段を用いなくとも、自立させるように折り畳んだ状態として、乗員側壁部41に配置させておくことができ、簡便に、第1折畳工程を行うことができて、第4実施形態のエアバッグ30Cの折畳方法でも、第1実施形態と同様に、拘束中心部43を折塊部71,72の上面71a,72a側に載せる状態で折り畳む構成としても、簡便に折り畳むことができる。
【0091】
なお、エアバッグ30Cと同じものを使用してステアリングホイールWに搭載する場合でも、図20,21の第5実施形態のエアバッグ30Dのように、第1折畳工程における突出折畳部65Cの折塊部に載せる状態を、前側折塊部71と後側折塊部72との間から突出する突出折畳部65Cの部位を、後側片縁部62から延びる後壁部65bを前側片縁部61から延びる前壁部65aより上面側に露出させるように、例えば、前側折塊部71の上面71a側に載せるように折り曲げてもよい。この場合でも、エアバッグ30Dの膨張時、図21のAの二点鎖線に示すように、拘束部42が運転者MD側に突出する際、運転者MDが接近していても、突出折畳部65Cが、運転者MDの顎J付近を、上方側から下方側に押し下げるように回転して曲げを解消しつつ、膨らみ、そして、拘束部42を後方側に突出させることとなり、突出折畳部65Cが、運転者MDの顎J付近を下方側から上方側に押し上げずに、曲げを解消できることから、運転者MDの頚椎へのダメージを抑制できる。
【0092】
ちなみに、第1〜3実施形態のエアバッグ30,30A,30Bでは、車体側壁部32を菱形として、乗員側壁部41の直交方向相互の稜線45,46に膜長差を設けつつ、その膜長の長い方向を菱形の二つの頂点側に向ければ、容易にリバンウンドを抑制できる状態に形成できる。これに対し、第4,5実施形態のエアバッグ30C,30Dでは、乗員側壁部41の直交方向相互の稜線45,46に膜長差を設けて、第1折畳工程での乗員側壁部41Cのしわの発生を抑制して突出折畳部65Cを形成可能な余肉部64Cを簡単に形成させているものの、車体側壁部32Cが菱形で無く円形であることから、第1〜3実施形態のエアバッグ30,30A,30Bに比べて、リバウンドの抑制効果が低い。
【0093】
但し、第4,5実施形態のエアバッグ30C,30Dでは、車体側壁部32Cを円形として、乗員側壁部41Cを、車体側壁部32Cの曲率に合わせた半円形の部位の間に略長方形の余肉部64Cを設けた形状として、設定でき、余肉部64の縁64aを二つ折りして重ねれば、乗員側壁部41Cの外周縁を車体側壁部32Cと同様な円形に形成でき、その後の乗員側壁部41Cと車体側壁部32Cとの外周縁相互の縫合が容易となって、エアバッグ30C,30Dを容易に製造することができる。
【0094】
また、第1〜5実施形態のエアバッグ30,30A,30B,30C,30Dでは、ステアリングホイールWに搭載するステアリングホイールW用のエアバッグ装置S1に使用するものを説明したが、図22,23に示す第6実施形態のエアバッグ30Eのように、エアバッグ30と略相似形として大きくし、エアバッグ30の前後方向を左右方向に90°回転させて、助手席用のエアバッグ装置S2に使用してもよい。
【0095】
このエアバッグ30Eは、膨張完了形状を略四角錐形状として、単に、乗員側壁部41の長寸側稜線46が左右方向に配置され、短寸側稜線45や突出折畳部65の折目66が前後方向に配置されるだけで、エアバッグ30を90°回転させたと同様に構成され、そして、折り畳まれる。なお、ベントホール39は、インストルメントパネルIPの上方に突出するように、車体側壁部32の上部側に配置されている。
【0096】
インストルメントパネルIPに搭載された状態で、第6実施形態のエアバッグ30Eが膨張すれば、膨張初期に、図23のAに二点鎖線に示すように、拘束部42が素早く幅広く展開し、乗員としての助手席搭乗者MPを迅速に受け止めることができることとなる。
【0097】
なお、運転席用のエアバッグ装置S1に使用するエアバッグ30,30A,30B,30C,30Dの折り畳みとして、左右方向に折目66を付けた突出折畳部65を形成したが、それらの折り畳みの角度を90°ずらして、突出折畳部65の折目66を前後方向に沿わせて、折り畳んでもよい。この場合、エアバッグの長寸側稜線46は、左右方向に沿わせて配置させてもよいし、前後方向に沿わせて配置させてもよい。
【0098】
また、助手席用のエアバッグ30Eでも、図例と相違し、長寸側稜線46を前後方向(上下方向)に配置させて膨張する状態として、インストルメントパネルIPに搭載してもよい。そして、突出折畳部65の折目66は、前後方向に沿わせたり、左右方向に沿わせて、エアバッグを折り畳んでもよい。
【符号の説明】
【0099】
30,30A,30B,30C,30D,30E…エアバッグ、
31…周壁、
32,32C…車体側壁部、
37…流入口開口、
41,41C…乗員側壁部、
42…拘束部、
43…(頂部)拘束中心部、
45…短寸側稜線、
46…長寸側稜線、
61…(一方側片縁部)前側片縁部、
62…(他方側片縁部)後側片縁部、
64,64C…余肉部、
65,65C…突出折畳部、
65a…前壁部、
65b…後壁部、
66…折目、
71…(一方側折塊部)前側折塊部、
71a…上面、
72…(他方側折塊部)後側折塊部、
72a…上面、
S1…(運転席用)エアバッグ装置、
S2…(助手席用)エアバッグ装置、
G…膨張用ガス、
PR…(リング部・車体側の部位)上面、支持面、
IP…(車体側の部位)インストルメントパネル、
LM…(長寸側)膜長、
LS…(短寸側)膜長。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグが、膨張用ガスの流入用開口を備えた車体側壁部と、該車体側壁部の外周縁から連なり、膨張完了時に乗員を受け止めて保護する拘束部を有した乗員側壁部と、を備えて構成され、
前記車体側壁部に前記乗員側壁部を重ねて、前記流入用開口の周縁における相互に対向する縁の両側からそれぞれ前記拘束部の中心付近となる拘束中心部まで延びる二つの一方側片縁部と他方側片縁部とを、それぞれ、前記流入用開口に接近させるように折り畳む第1折畳工程と、
該第1折畳工程で折り畳んで縮小させた方向と直交する方向の両縁をそれぞれ前記流入用開口に接近させるように折り畳む第2折畳工程と、
を経て折り畳むとともに、
前記第2折畳工程への移行前の前記第1折畳工程において、折り畳んだ折塊部の上面側に、前記拘束中心部を載せる状態とするエアバッグの折畳方法であって、
前記エアバッグの前記乗員側壁部が、前記拘束中心部付近から外周縁側にわたるエリアに、摘まんで山折の折目を付けるように折り重ねて、前記一方側片縁部と前記他方側片縁部とを折り畳んだ一方側折塊部と他方側折塊部との間から、前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との高さより高く突出する突出折畳部を形成可能な余肉部、を備えて構成され、
前記第1折畳工程において、
前記車体側壁部に前記乗員側壁部を重ねて平らに展開するとともに、予め、前記突出折畳部を形成しておき、前記突出折畳部の両側に、前記一方側片縁部と前記他方側片縁部とを折り畳んだ前記一方側折塊部と前記他方側折塊部とを形成して、前記前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との少なくとも一方の上面に、前記突出折畳部を載せることを特徴とするエアバッグの折畳方法。
【請求項2】
前記エアバッグの前記乗員側壁部が、前記第1折畳工程で寸法を狭める方向に沿った膜長を、前記第2折畳工程で寸法を狭める方向に沿った膜長より、長くしていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグの折畳方法。
【請求項3】
前記エアバッグが、単体での膨張完了形状を、前記車体側壁部の側において、前記第1折畳工程で寸法を狭める方向に沿った長さ寸法を、前記第2折畳工程で寸法を狭める方向に沿った幅寸法より、長くしていることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグの折畳方法。
【請求項4】
前記第1折畳工程の終了時、前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との間から突出した前記突出折畳部の部位を、平らに展開させて、前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との両方の上面に載せていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエアバッグの折畳方法。
【請求項5】
前記エアバッグが、前記一方側片縁部を前方側に配置させ、前記他方側片縁部を後方側に配置させて、ステアリングホイールに搭載される運転者用として構成されて、
前記第1折畳工程の終了時、前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との間から突出した前記突出折畳部の部位を、前記他方側片縁部から延びる後壁部を前記一方側片縁部から延びる前壁部より上面側に露出させて、折り曲げていることを特徴とする請求項3に記載のエアバッグの折畳方法。
【請求項6】
前記エアバッグの前記車体側壁部が、前記第1折畳工程で寸法を狭める方向と前記前記第2折畳工程で寸法を狭める方向とのそれぞれの両側に頂点側を配置させる菱形としていることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグの折畳方法。
【請求項7】
前記エアバッグの前記車体側壁部が、円形としていることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグの折畳方法。
【請求項1】
エアバッグが、膨張用ガスの流入用開口を備えた車体側壁部と、該車体側壁部の外周縁から連なり、膨張完了時に乗員を受け止めて保護する拘束部を有した乗員側壁部と、を備えて構成され、
前記車体側壁部に前記乗員側壁部を重ねて、前記流入用開口の周縁における相互に対向する縁の両側からそれぞれ前記拘束部の中心付近となる拘束中心部まで延びる二つの一方側片縁部と他方側片縁部とを、それぞれ、前記流入用開口に接近させるように折り畳む第1折畳工程と、
該第1折畳工程で折り畳んで縮小させた方向と直交する方向の両縁をそれぞれ前記流入用開口に接近させるように折り畳む第2折畳工程と、
を経て折り畳むとともに、
前記第2折畳工程への移行前の前記第1折畳工程において、折り畳んだ折塊部の上面側に、前記拘束中心部を載せる状態とするエアバッグの折畳方法であって、
前記エアバッグの前記乗員側壁部が、前記拘束中心部付近から外周縁側にわたるエリアに、摘まんで山折の折目を付けるように折り重ねて、前記一方側片縁部と前記他方側片縁部とを折り畳んだ一方側折塊部と他方側折塊部との間から、前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との高さより高く突出する突出折畳部を形成可能な余肉部、を備えて構成され、
前記第1折畳工程において、
前記車体側壁部に前記乗員側壁部を重ねて平らに展開するとともに、予め、前記突出折畳部を形成しておき、前記突出折畳部の両側に、前記一方側片縁部と前記他方側片縁部とを折り畳んだ前記一方側折塊部と前記他方側折塊部とを形成して、前記前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との少なくとも一方の上面に、前記突出折畳部を載せることを特徴とするエアバッグの折畳方法。
【請求項2】
前記エアバッグの前記乗員側壁部が、前記第1折畳工程で寸法を狭める方向に沿った膜長を、前記第2折畳工程で寸法を狭める方向に沿った膜長より、長くしていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグの折畳方法。
【請求項3】
前記エアバッグが、単体での膨張完了形状を、前記車体側壁部の側において、前記第1折畳工程で寸法を狭める方向に沿った長さ寸法を、前記第2折畳工程で寸法を狭める方向に沿った幅寸法より、長くしていることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグの折畳方法。
【請求項4】
前記第1折畳工程の終了時、前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との間から突出した前記突出折畳部の部位を、平らに展開させて、前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との両方の上面に載せていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエアバッグの折畳方法。
【請求項5】
前記エアバッグが、前記一方側片縁部を前方側に配置させ、前記他方側片縁部を後方側に配置させて、ステアリングホイールに搭載される運転者用として構成されて、
前記第1折畳工程の終了時、前記一方側折塊部と前記他方側折塊部との間から突出した前記突出折畳部の部位を、前記他方側片縁部から延びる後壁部を前記一方側片縁部から延びる前壁部より上面側に露出させて、折り曲げていることを特徴とする請求項3に記載のエアバッグの折畳方法。
【請求項6】
前記エアバッグの前記車体側壁部が、前記第1折畳工程で寸法を狭める方向と前記前記第2折畳工程で寸法を狭める方向とのそれぞれの両側に頂点側を配置させる菱形としていることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグの折畳方法。
【請求項7】
前記エアバッグの前記車体側壁部が、円形としていることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグの折畳方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−71677(P2013−71677A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213321(P2011−213321)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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